以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
以下では、物理量として角速度および加速度を検出する物理量センサーを例に挙げて説明するが、角速度および加速度以外の物理量を検出する物理量センサーも本発明に含まれる。
1.物理量センサー
1.1 第1実施形態
図1は、第1実施形態に係る物理量センサーの機能ブロック図である。図1に示すように、本実施形態に係る物理量センサー1は、IC(Integrated Circuit)2と振動素子100を含んで構成され、さらに、物理量センサー1の出力データを用いて各種の計算処理や制御処理を行うMCU(Micro Control Unit)50を含んで構成されてもよい。
振動素子100は、駆動電極と検出電極が配置された振動片を有し、一般的に、振動片のインピーダンスをできるだけ小さくして発振効率を高めるために、振動素子100は気密性が確保されたパッケージに封止されている。
なお、振動素子100の振動片は、例えば水晶、タンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウムなどの圧電材料であっても良く、ジルコン酸チタン酸鉛等の圧電セラミックスなどの圧電性材料を用いても良い。
本実施形態における振動素子100は、図2、図3A、図4Aに示すような、T型の2つの駆動振動腕を有するいわゆるダブルT型の振動素子100‐1である。
図2、図3A、図4Aは、本実施形態の振動素子100‐1を模式的に示す平面図(主面180を見た図)である。なお、図2、図3A、図4Aに示す図では、互いに直交する3つの軸とし、x軸、y軸、z軸を図示している。
振動素子100‐1は、基部130と、連結腕131,132と、駆動振動腕(「駆動腕」の一例)113,114,115,116と、駆動入力電極111と、駆動出力電極112と、検出振動腕(「第1検出腕」の一例)123と、検出振動腕(「第2検出腕」の一例)124と、第1検出電極121と、第2検出電極122と、共通電極125と、を含む。
基部130は、その平面形状が、例えば矩形(略矩形)に形成されている。
連結腕131および連結腕132は、基部130から、x軸に沿って互いに反対方向に延出している。図2に示すように、連結腕131は、基部130から−x軸方向に延出し、連結腕132は、基部130から+x軸方向に延出する。
駆動振動腕113および駆動振動腕114は、連結腕131からy軸方向に沿って互いに反対方向に延出している。図2に示すように、駆動振動腕113は、連結腕131から+y軸方向に延出し、駆動振動腕114は、連結腕131から−y軸方向に延出する。駆動振動腕113および駆動振動腕114は、連結腕131を介して、基部130に接続される。
駆動振動腕115および駆動振動腕116は、連結腕132からY軸方向に沿って互いに反対方向に延出している。図2に示すように、駆動振動腕115は、連結腕132から+y軸方向に延出し、駆動振動腕116は、連結腕132から−y軸方向に延出する。駆動振動腕115および駆動振動腕116は、連結腕132を介して、基部130に接続される。
駆動振動腕113および駆動振動腕114の振動素子100‐1の主面180において駆動入力電極111がそれぞれ形成されており、駆動振動腕113および駆動振動腕114の側面において駆動出力電極112がそれぞれ形成されている。
駆動振動腕115および駆動振動腕116の振動素子100‐1の主面180において駆動出力電極112がそれぞれ形成されており、駆動振動腕115および駆動振動腕116の側面において駆動入力電極111がそれぞれ形成されている。
検出振動腕123および検出振動腕124は、基部130からy軸に沿って互いに反対方向に延出している。図2に示すように、検出振動腕123は、基部130から+y軸方向に延出し、検出振動腕124は、基部130から−y軸方向に延出する。
検出振動腕123の振動素子100‐1の主面180において第1検出電極121が形成されており、検出振動腕123の駆動振動腕113側の側面において共通電極125が形成されている。また、検出振動腕124の振動素子100‐1の主面180において第2検出電極122が形成されており、検出振動腕124の駆動振動腕114側の側面において共通電極125が形成されている。なお、共通電極125は接地される。
駆動入力電極111と駆動出力電極112との間に駆動信号DRVとしての交流電圧が与えられると、振動素子100‐1の駆動振動腕113,114,115,116は、逆圧電効果により矢印Aのように振動素子100‐1の主面180に沿った方向に駆動振動する。
具体的には、駆動入力電極111、駆動出力電極112との間に駆動信号DRVとしての交流電圧が与えられると、駆動振動腕113の先端と駆動振動腕115の先端が互いに接近と離間を繰り返し屈曲運動(励振振動)し、駆動振動腕114の先端と駆動振動腕116の先端が互いに接近と離間を繰り返し屈曲運動する。なお、駆動振動腕113の先端と駆動振動腕115の先端が互いに接近しているとき、駆動振動腕114の先端と駆動振動腕116の先端は互いに接近し、駆動振動腕113の先端と駆動振動腕115の先端が互いに離間しているとき、駆動振動腕114の先端と駆動振動腕116の先端は互いに離間するように動作する。
この状態で、振動素子100‐1にz軸方向を第1検出軸160とした角速度150が加わると、図3Aに示すように、駆動振動腕113,114,115,116には、矢印Aの屈曲振動の方向(x軸方向)と角速度150の第1検出軸160(z軸方向)の双方に垂直な方向(y軸方向)にコリオリの力を得る。その結果、図3Aに示すように、連結腕131,132は矢印Bで示すようにy軸方向に対し振動し、連結腕131,132の振動に伴い検出振動腕123,124は、矢印Cに示すようにx軸方向に対し屈曲振動する。
そして、圧電効果によってこれらの屈曲振動に基づいた交流電荷が、第1検出電極121および第2検出電極122に発生する。ここで、コリオリの力に基づいて発生する交流電荷は、コリオリの力の大きさ(言い換えれば、角速度150の大きさ)に応じて変化する。
このとき、連結腕131,132は、互いに逆相となるように振動し、同様に、検出振動腕123,124も互いに逆相になるように屈曲振動する。即ち、検出振動腕123の駆動振動腕113側の側面に設けられた共通電極125と第1検出電極121との間に存在する振動素子100‐1の圧電材料が伸長したとき、検出振動腕124の駆動振動腕114側の側面に設けられた共通電極125と第2検出電極122との間に存在する振動素子100‐1の圧電材料は圧縮し、検出振動腕123の駆動振動腕113側の側面に設けられた共通電極125と第1検出電極121との間に存在する振動素子100‐1の圧電材料が圧縮されたとき、検出振動腕124の駆動振動腕114側の側面に設けられた共通電極125と第2検出電極122との間に存在する振動素子100‐1の圧電材料は伸長する。この結果、圧電効果によって第1検出電極121と第2検出電極122に発生する交流電荷は図3Bに示すように逆相となる。
また、振動素子100‐1に、x軸と略平行な第2検出軸170方向に加速度151が加わると、図4Aに示すように、検出振動腕123,124は、加速度151により生じた力で、矢印Dに示すようにx軸方向に対し屈曲振動(強制振動)を行う。
そして、圧電効果によってこれらの屈曲振動に基づいた交流電荷が、第1検出電極121および第2検出電極122に発生する。ここで、加速度151に基づいて発生する交流電荷は、加速度151により振動素子100‐1に与えられた力に応じて変化する。なお、振動素子100‐1に加速度151が加わる要因として、例えば、物理量センサー1が搭載された筐体に衝撃が加わったときなどが挙げられる。
この時、検出振動腕123,124は互いに同相の屈曲振動を行う。即ち、検出振動腕123の駆動振動腕113側の側面に設けられた共通電極125と第1検出電極121との間に存在する振動素子100‐1の圧電材料が伸長したとき、検出振動腕124の駆動振動腕114側の側面に設けられた共通電極125と第2検出電極122との間に存在する振動素子100‐1の圧電材料は伸長され、検出振動腕123の駆動振動腕113側の側面に設けられた共通電極125と第1検出電極121との間に存在する振動素子100‐1の圧電材料が圧縮されたとき、検出振動腕124の駆動振動腕114側の側面に設けられた共通電極125と第2検出電極122との間に存在する振動素子100‐1の圧電材料は圧縮する。この結果、圧電効果によって第1検出電極121と第2検出電極122に発生する交流電荷は図4Bに示すように同相となる。
本実施形態における振動素子100は図5Aに示すような、平面形状がH型の振動素子100‐2であっても良い。
図5Aは、本実施形態の振動素子100‐2を模式的に示す平面図(主面180を見た図)であり、図5B、図6A、図7Aは、本実施形態のH型の振動素子100‐2の模式的に示す側面図(側面190を見た図)である。なお、図5A、図5B、図6A、図7Aに示す図では、互いに直交する3つの軸とし、x軸、y軸、z軸を図示している。
図5Aに示すように、振動素子100‐2は、基部130と、駆動振動腕(「駆動腕」の一例)113,115と、駆動入力電極111と、駆動出力電極112と、検出振動腕(「第1検出腕」の一例)123と、検出振動腕(「第2検出腕」の一例)124と、第1検出電極121と、第2検出電極122と、を含む。
基部130は、その平面形状が、例えば矩形(略矩形)に形成されている。
駆動振動腕113は、基部130からy軸方向に沿って−y軸方向に延出している。
駆動振動腕114は、基部130からy軸方向に沿って駆動振動腕113と平行に−y軸方向に延出している。
検出振動腕123は、基部130からy軸方向に沿って互いに駆動振動腕113と反対方向に+y軸方向に延出している。
検出振動腕124は、基部130からy軸方向に沿って駆動振動腕115と反対方向に、且つ検出振動で124と平行に+y軸方向に延出している。
駆動振動腕113の振動素子100‐2の主面180において駆動入力電極111が形成されており、駆動振動腕113の振動素子100‐2の側面190には駆動出力電極112が形成されている。
駆動振動腕115の振動素子100‐2の主面180において駆動出力電極112が形成されており、駆動振動腕115の振動素子100‐2の側面190には駆動入力電極111がそれぞれ形成されている。
検出振動腕123の振動素子100‐2の主面180において第1検出電極121が形成されており、検出振動腕123の振動素子100‐2の側面190には共通電極125が形成されている。
検出振動腕124の振動素子100‐2の主面180において第2検出電極122が形成されており、検出振動腕123の振動素子100‐2の側面190には、共通電極125が形成されている。なお、共通電極125は接地される。
駆動入力電極111、駆動出力電極112との間に駆動信号DRVとしての交流電圧が与えられると、振動素子100‐2の駆動振動腕113,115は、逆圧電効果により矢印Eのように、振動素子100‐2の主面180に沿った方向に駆動振動する。
具体的には、駆動入力電極111、駆動出力電極112との間に駆動信号DRVとしての交流電圧が与えられると、駆動振動腕113と駆動振動腕115の先端が互いに接近と離間を繰り返し屈曲運動(励振振動)する。このとき、図5Bに示すように振動素子100‐2には、z軸方向の変化は生じない。
この状態で、振動素子100‐2にy軸方向を第1検出軸160とした角速度150が加わると、図6Aに示すように、駆動振動腕113,115には、図5Aに示す矢印Eの屈曲振動の方向(x軸方向)と、図6Aに示す角速度150の第1検出軸160(y軸方向)の双方に垂直な方向(z軸方向)にコリオリの力を得る。その結果、図6Aに示すように、駆動振動腕113,115、検出振動腕123,124は、矢印Fに示すようにz軸方向に対し屈曲振動する。
そして、ダブルT型の振動素子100‐1と同様に、圧電効果によってこれらの屈曲振動に基づいた交流電荷が、第1検出電極121および第2検出電極122に発生する。ここで、コリオリの力に基づいて発生する交流電荷は、コリオリの力の大きさ(言い換えれば、角速度150の大きさ)に応じて変化する。
このとき、検出振動腕123,124は互いに逆相となるように屈曲振動する。即ち、検出振動腕123の振動素子100‐2の主面180に設けられた第1検出電極121と検出振動腕123の側面190に設けられた共通電極125との間に存在する振動素子100‐2の圧電材料が伸長したとき、検出振動腕124の振動素子100‐2の主面180に設けられた第2検出電極122と検出振動腕124の側面190に設けられた共通電極125との間に存在する振動素子100‐2の圧電材料は圧縮し、検出振動腕123の振動素子100‐2の主面180に設けられた第1検出電極121と検出振動腕123の側面190に設けられた共通電極125との間に存在する振動素子100‐2の圧電材料が圧縮されたとき、検出振動腕124の振動素子100‐2の主面180に設けられた第2検出電極122と検出振動腕124の側面190に設けられた共通電極125との間に存在する振動素子100‐2の圧電材料は伸長する。この結果、圧電効果によって第1検出電極121と第2検出電極122に発生する交流電荷は図6Bに示すように逆相となる。
また、振動素子100‐2に、z軸と略平行な第2検出軸170方向に加速度151が加わると、図7Aに示すように、検出振動腕123,124は、加速度151により生じた力で、矢印Gに示すようにz軸方向に対し屈曲振動(強制振動)する。
そして、圧電効果によってこれらの屈曲振動に基づいた交流電荷が、第1検出電極121および第2検出電極122に発生する。ここで、加速度151に基づいて発生する交流電荷は、加速度151により振動素子100‐2に与えられた力に応じて変化する。なお、振動素子100‐2に加速度151が加わる要因として、例えば、物理量センサー1が搭載された筐体に衝撃が加わったときなどが挙げられる。
このとき、検出振動腕123,124は互いに同相の屈曲振動を行う。即ち、検出振動腕123の振動素子100‐2の主面180に設けられた第1検出電極121と検出振動腕123の側面190に設けられた共通電極125との間に存在する振動素子100‐2の圧電材料が伸長したとき、検出振動腕124の振動素子100‐2の主面180に設けられた第2検出電極122と検出振動腕124の側面190に設けられた共通電極125との間に存在する振動素子100‐2の圧電材料は伸長し、検出振動腕123の振動素子100‐2の主面180に設けられた第1検出電極121と検出振動腕123の側面190に設けられた共通電極125との間に存在する振動素子100‐2の圧電材料が圧縮されたとき、検出振動腕124の振動素子100‐2の主面180に設けられた第2検出電極122と検出振動腕124の側面190に設けられた共通電極125との間に存在する振動素子100‐2の圧電材料は圧縮する。この結果、圧電効果によって第1検出電極121と第2検出電極122に発生する交流電荷は図7Bに示すように同相となる。
なお、本実施の形態において、ダブルT型の振動素子100‐1と、H型の振動素子100‐2とにおいて、特に区別する必要がないときは、振動素子100として説明を行う。
図1に戻り、本実施形態におけるIC2は、振動素子100を駆動振動させるための駆動回路10と、角速度または加速度(物理量の一例)が加わったときに振動素子100の検出振動を検出するための検出回路20と、を含み構成されている。
駆動回路10は、振幅調整回路11と、I/V変換回路(電流電圧変換回路)12と、AC増幅回路13と、を有している。駆動回路10は振動素子100の駆動入力電極111に駆動振動腕113,114,115,116(図2参照、H型の振動素子100‐2においては、駆動振動腕113、115)を駆動させる駆動信号DRVを出力し、かつ振動素子100の駆動出力電極112から出力される信号が入力される回路である。
振動素子100の駆動振動腕113,114,115,116が振動すると、圧電効果に基づく交流電流が、駆動出力電極112から出力され、I/V変換回路12に入力される。I/V変換回路12は、入力された交流電流を駆動振動腕113,114,115,116の振動周波数と同一の周波数の交流電圧信号に変換し出力する。
I/V変換回路12から出力された交流電圧信号は、AC増幅回路13に入力される。AC増幅回路13は入力された交流電圧信号を増幅し出力する。
AC増幅回路13から出力された交流電圧信号は、振幅調整回路11に入力される。振幅調整回路11は、入力された交流電圧信号の振幅を一定に保持するように利得を制御し、利得制御後の交流電圧信号を、振動素子100の駆動入力電極111に出力する。この駆動入力電極111に入力される交流電圧信号(駆動信号DRV)により、駆動振動腕113,114,115,116が駆動振動する。
検出回路20は、チャージアンプ(「第1増幅器」の一例)21,チャージアンプ(「第2増幅器」の一例)22と、変換部23と、信号処理部24と、インターフェース回路25と、A/D変換回路26と、を含む。
チャージアンプ21は、振動素子100の第1検出電極121と電気的に接続され、第1検出電極121から出力される交流電荷に基づく電流信号を、交流電圧である第1信号Sig1に変換する。チャージアンプ22は、振動素子100の第2検出電極122と電気的に接続され、第2検出電極122から出力される交流電荷に基づく電流信号を、交流電圧である第2信号Sig2に変換する。
具体的には、チャージアンプ21およびチャージアンプ22は各々が、例えば演算増幅器と帰還抵抗と帰還容量を備えて構成される。演算増幅器の反転入力端子(−端子)には、第1検出電極121または第2検出電極122から出力された交流電荷に基づく交流電流が入力され、非反転増幅端子(+端子)には、基準電圧が入力される。この演算増幅器を介することで、チャージアンプ21は、第1検出電極121から入力される信号である交流電荷を増幅して第1信号Sig1に変換し、チャージアンプ22は、第2検出電極122から入力される信号である交流電荷を増幅して第2信号Sig2に変換する。
変換部23は、スイッチ35,36と、A/D変換回路31と、レジスター32,33と、を含む。
変換部23は、時分割にチャージアンプ21からの第1信号Sig1を第1デジタル信号Dig1に変換し、チャージアンプ22からの第2信号Sig2を第2デジタル信号Dig2に変換する。
具体的には、変換部23に入力された第1信号Sig1および第2信号Sig2は、スイッチ35,36により順次A/D変換回路31に入力される。スイッチ35,36は、不図示の制御部から出力されるスイッチ制御信号Ctrにより順次導通される。即ち、ある時刻tにおいてスイッチ35が導通し、スイッチ36が非導通となり、第1信号Sig1がA/D変換回路31に入力され、時刻t+1においてスイッチ35が非導通となり、スイッチ36が導通することで、A/D変換回路31には、第2信号Sig2が入力される。
A/D変換回路31は、時分割に入力された第1信号Sig1および第2信号Sig2をデジタル信号に変換する。このとき、A/D変換回路31により変換されたデジタル信号はスイッチ制御信号Ctrに連動し順次レジスター32またはレジスター33に保持される。この結果、時分割にA/D変換された第1信号Sig1および第2信号Sig2は、デジタル信号に変換され、スイッチ制御信号Ctrに連動し順次レジスター32またはレジスター33に保持される。例えば、ある時刻tにおいて、第1信号Sig1がA/D変換されたデジタル信号がレジスター32に保持され、時刻t+1において、第2信号Sig2がA/D変換されたデジタル信号がレジスター33に保持される。即ち、レジスター32に保持されているデジタル信号が第1デジタル信号Dig1であり、レジスター33に保持されているデジタル信号が第2デジタル信号Dig2となる。
このように変換部23は、第1信号Sig1と第2信号Sig2を時分割にA/D変換することにより、第1デジタル信号Dig1の算出処理および第2デジタル信号Dig2の算出処理とを、疑似的に並列して行う。
A/D変換回路26は、振動素子100を駆動する駆動信号DRVに基づく信号をAD変換し、基準信号SDETを出力する。具体的には、A/D変換回路26は、駆動回路10のAC増幅回路13から出力された電圧信号が入力され、デジタル信号である基準信号SDETに変換し信号処理部24に出力する。
信号処理部24は、乗算処理部41と、ローパスフィルター処理部42(LPF:Low Pass Filter)と、第1演算処理部43と、第2演算処理部44と、を含み構成される。
信号処理部24は、第1デジタル信号Dig1と第2デジタル信号Dig2とに基づいて角速度と加速度とを算出する。
具体的には、本実施形態において信号処理部24は、第1デジタル信号Dig1と、振動素子100を駆動する駆動信号DRVに基づく基準信号SDETとを乗算し、第2デジタル信号Dig2と、基準信号SDETとを乗算する乗算処理と、乗算処理により得られた信号に対するローパスフィルター処理と、ローパスフィルター処理により得られた信号を、和演算および差演算の一方により角速度を算出する第1演算処理を行う。また、本実施形態において信号処理部24は、第1デジタル信号Dig1と第2デジタル信号Dig2との和演算および差演算の他方により加速度を算出する第2演算処理を行う。
また前述のとおり、本実施形態において、振動素子100の第1検出電極121から出力される交流電荷と第2検出電極122から出力される交流電荷は互いに逆相の成分である角速度成分および互いに同相の成分である加速度成分の少なくとも一方を含む。よって、第1検出電極121の出力信号に基づく第1信号Sig1と、第2検出電極122の出力信号に基づく第2信号Sig2も互いに逆相の成分である角速度成分および互いに同相の成分である加速度成分の少なくとも一方を含む。ここで、第1信号Sig1と第2信号Sig2とが、互いに逆相の角速度成分を含むとき、角速度成分は、第1信号Sig1と第2信号Sig2との差を算出することで、抽出することができる。また、第1信号Sig1と第2信号Sig2とが、互いに同相の加速度成分を含むとき、加速度成分は、第1信号Sig1と第2信号Sig2との和を算出することで、抽出することができる。即ち、本実施形態において角速度を算出する第1演算処理は、差演算であり、加速度を算出する第2演算処理は、和演算となる。
具体的には、変換部23から出力された、第1デジタル信号Dig1と第2デジタル信号Dig2は、各々を乗算処理する乗算処理部41に入力される。第1デジタル信号Dig1と第2デジタル信号Dig2は、各々が乗算処理部41において基準信号SDETと乗算される。さらに乗算された各々のデジタル信号は、ローパスフィルター処理を行うローパスフィルター処理部42に入力され高周波成分が除去される(正確には、高周波成分が所定のレベル以下に減衰される)。即ち、乗算処理部41とローパスフィルター処理部42は、同期検波回路としての機能を有する。その後、第1演算処理部43は、ローパスフィルター処理部42から出力された信号の差を算出(差演算)することで、角速度信号VD1を生成する。さらに、第2演算処理部44は、第1デジタル信号Dig1と第2デジタル信号Dig2との和を算出(和演算)することにより、加速度信号VD2を生成する。
このように、本実施形態では、信号処理部24は角速度および加速度の算出をデジタル処理で演算することで、ノイズ等の影響を受け難く、角速度および加速度の算出が可能となる。
インターフェース回路25は、信号処理部24から出力された角速度信号VD1および加速度信号VD2を、例えばSPI(Serial Peripheral Interface)バスによりMCU50に出力する。また、インターフェース回路25は、MCU50が発信する各種のコマンドを受信し、コマンドに応じたデータをMCU50に発信する処理を行う。さらに、インターフェース回路25は、MCU50からの要求に応じ、不図示の記憶部(不揮発性メモリやレジスターなど)に記憶されているデータを読出しMCU50に出力する処理や、MCU50から出力されたデータを記憶部に書き込む処理を行う。なお、インターフェース回路25は、SPIバス以外の各種バス、例えばI2C(Inter-Integrated Circuit)バス等に対応するインターフェース回路25であってもよい。
第1実施形態に係る物理量センサー1によれば、振動素子100は、第1検出軸160まわりに角速度150が印加されたとき、検出振動腕123と検出振動腕124とが互いに逆方向に振動し、第2検出軸170方向に加速度151が加わったとき、検出振動腕123と検出振動腕124とが互いに同方向に振動する。これにより、第1実施形態に係る物理量センサー1は、角速度と加速度との2つの物理量を一つの振動素子100を用いて検出することができる。
さらに、振動素子100は、角速度と加速度との検出信号を共通の一対の電極である第1検出電極121および第2検出電極122から出力する。その為、角速度および加速度の検出信号を増幅するチャージアンプ21,22も角速度成分および加速度成分での双方で共通に用いることができる。さらに、チャージアンプ21,22から出力された第1信号Sig1,第2信号Sig2を時分割に変換部23に入力することで、一つの変換部23でデジタル信号に変換することが可能となる。これにより、第1実施形態に係る物理量センサー1は、回路規模の増加を抑えることが可能となる。
また、第1実施形態に係る物理量センサー1によれば、信号処理部24は、角速度および加速度の演算を第1デジタル信号Dig1および第2デジタル信号Dig2に基づき行う。この為、ノイズ等の影響を受け難く、安定した特性を有する物理量センサー1が実現可能となる。
1.2 第2実施形態
第1実施形態における物理量センサー1では、1軸の角速度および1軸の加速度を算出しているが、第2実施形態の物理量センサー1は、振動素子100を3個用いることで、3軸の角速度および2軸の加速度を算出する。なお、第2実施形態の物理量センサー1について、第1実施形態と同様の構成要素には、同じ符号を付し、第1実施形態と異なる点について説明し、第1実施形態と重複する説明を省略する。
図8は、第2実施形態における物理量センサー1の斜視図である。なお、図8に示す図では、互いに直交する3つの軸とし、X軸、Y軸、Z軸を図示している。
第2実施形態における物理量センサー1は、1面が開口された箱状のベース300と、ベース300の開口面を塞ぐ板状の不図示のリッドと、第1振動素子100aと、第2振動素子100bと、第3振動素子100cと、不図示のIC2と、を含み構成される。そして、物理量センサー1は、箱状のベース300とリッドとで気密性が確保されたパッケージの中に、第1振動素子100aと、第2振動素子100bと、第3振動素子100cと、不図示のIC2と、を配置する。
第2実施形態における複数の振動素子100の各々の構造および動作は、第1実施形態(図2〜図7B)と同様であるため、その図示および説明を省略する。
図示を省略するが、第2の実施形態における物理量センサー1は、第1実施形態(図1)と同様に駆動回路10、変換部23、信号処理部24、インターフェース回路25、A/D変換回路26を含む。さらに、物理量センサー1は、3組のチャージアンプ21a、22a、21b、22b、21c、22cを含む。
第1振動素子100aは、図5A〜図7Bに示されるH型の振動素子100‐2である。第1振動素子100aは、図6Aに示す第1検出軸160および図7Aに示す第2検出軸170が、それぞれ図8のX軸およびZ軸に沿うように配置される。即ち、第1振動素子100aは、図8においてX軸に沿った第1検出軸160まわりの角速度と、Z軸に沿った第2検出軸170方向の加速度を検出することができる。
第2振動素子100bは、図5A〜図7Bに示されるH型の振動素子100‐2である。第2振動素子100bは、図6Aに示す第1検出軸160および図7Aに示す第2検出軸170が、それぞれ図8のY軸およびZ軸に沿うように配置さる。即ち、第2振動素子100bは、図8においてY軸に沿った第1検出軸160まわりの角速度と、Z軸に沿った第2検出軸170方向の加速度を検出することができる。
第3振動素子100cは、図2〜図4Bに示されるダブルT型の振動素子100‐1である。第3振動素子100cは、図3Aに示す第1検出軸160および図4Aに示す第2検出軸170が、それぞれ図8のZ軸およびX軸に沿うように配置される。即ち、第3振動素子100cは、図8においてZ軸に沿った第1検出軸160まわりの角速度と、X軸に沿った第2検出軸170方向の加速度を検出することができる。
図9は、第2実施形態の物理量センサー1において、複数の振動素子100と検出できる物理量との関係を示した図である。図9に示すように、第2実施形態における物理量センサー1は、X軸角速度を、第1振動素子100aの第1検出電極121a(図10参照)と第2検出電極122a(図10参照)との逆相の信号により検出し、Y軸角速度を、第2振動素子100bの第1検出電極121b(図10参照)と第2検出電極122b(図10参照)との逆相の信号により検出し、Z軸角速度を、第3振動素子100cの第1検出電極121c(図10参照)と第2検出電極122c(図10参照)との逆相の信号により検出することができる。さらに、第2実施形態における物理量センサー1は、X軸加速度を、第3振動素子100cの第1検出電極121c(図10参照)と第2検出電極122c(図10参照)との同相の信号により検出し、Z軸加速度を、第1振動素子100aの第1検出電極121a(図10参照)と第2検出電極122a(図10参照)との同相の信号および第2振動素子100bの第1検出電極121b(図10参照)と第2検出電極122b(図10参照)との同相の信号により検出することができる。なお、第2実施形態における物理量センサー1は、Z軸加速度を、第1振動素子100aと第2振動素子100bとで検出される。その為、Z軸加速度は、第1振動素子100aおよび第2振動素子100bの、いずれかの検出結果を用いてもよいし、双方の検出結果の平均によりZ軸加速度を算出しても良い。
これより、第2実施形態における物理量センサー1は、X軸、Y軸、Z軸の角速度(3軸の角速度)と、X軸、Z軸の加速度(2軸の加速度)を検出可能な5軸センサーである。
図10は、第2実施形態における、検出回路20に含まれるチャージアンプ21a,21b,21c,22a,22b,22c、変換部23を示すブロック図である。
チャージアンプ21aは、第1振動素子100aの第1検出電極121aから出力された交流電荷を、電流/電圧変換および増幅し、第1信号Sig1aを出力する。また、チャージアンプ22aは、第1振動素子100aの第2検出電極122aから出力された交流電荷を、電流/電圧変換および増幅し、第2信号Sig2aを出力する。
チャージアンプ21bは、第2振動素子100bの第1検出電極121bから出力された交流電荷を、電流/電圧変換および増幅し、第1信号Sig1bを出力する。また、チャージアンプ22bは、第2振動素子100bの第2検出電極122bから出力された交流電荷を、電流/電圧変換および増幅し、第2信号Sig2bを出力する。
チャージアンプ21cは、第3振動素子100cの第1検出電極121cから出力された交流電荷を、電流/電圧変換および増幅し、第1信号Sig1cを出力する。また、チャージアンプ22cは、第3振動素子100cの第2検出電極122cから出力された交流電荷を、電流/電圧変換および増幅し、第2信号Sig2cを出力する。
なお、チャージアンプ21a,21b,21cは、第1実施形態のチャージアンプ21と同様の構成であり、詳細の説明は省略する。同様に、チャージアンプ22a,22b,22cは、第1実施形態のチャージアンプ22と同様の構成であり、詳細の説明は省略する。
変換部23は、第1信号Sig1a,Sig1b,Sig1cおよび第2信号Sig2a,Sig2b,Sig2cが入力され、時分割にA/D変換を行い、デジタル信号に変換する。具体的には、変換部23に入力された第1信号Sig1a,Sig1b,Sig1cおよび第2信号Sig2a,Sig2b,Sig2cは、各々の信号に対し設けられたスイッチ35a,35b,35cおよびスイッチ36a,36b,36cにより順次A/D変換回路31に入力される。なお、スイッチ35a,35b,35cおよびスイッチ36a,36b,36cは、不図示の制御部から出力されるスイッチ制御信号Ctrにより順次導通される。
即ち、変換部23に設けられたスイッチ35a,35b,35cおよびスイッチ36a,36b,36cは、ある時刻tにおいてスイッチ35aが導通し、他の全てのスイッチは非導通となり、A/D変換回路31に第1信号Sig1aが入力され、時刻t+1においてスイッチ36aが導通し、他の全てのスイッチは非導通となり、A/D変換回路31に第2信号Sig2aが入力され、時刻t+2においてスイッチ35bが導通し、他の全てのスイッチは非導通となり、A/D変換回路31に第1信号Sig1bが入力され、時刻t+3においてスイッチ36bが導通し、他の全てのスイッチは非導通となり、A/D変換回路31に第2信号Sig2bが入力され、時刻t+4においてスイッチ35cが導通し、他の全てのスイッチは非導通となり、A/D変換回路31に第1信号Sig1cが入力され、時刻t+5においてスイッチ36cが導通し、他の全てのスイッチは非導通となり、A/D変換回路31に第2信号Sig2cが入力され、時刻t+6においてスイッチ35aが再び導通し、他の全てのスイッチは非導通となり、A/D変換回路31に第1信号Sig1aが入力される。以後、これを繰り返すことで、A/D変換回路31には、第1信号Sig1a,Sig1b,Sig1cおよび第2信号Sig2a,Sig2b,Sig2cが時分割に入力される。
A/D変換回路31は、時分割に入力された第1信号Sig1a,Sig1b,Sig1cおよび第2信号Sig2a,Sig2b,Sig2cをデジタル信号に変換する。このとき、A/D変換回路31により変換されたデジタル信号はスイッチ制御信号Ctrに連動し、順次レジスター32a,32b,32cまたはレジスター33a,33b,33cに保持される。この結果、時分割にA/D変換された第1信号Sig1a,Sig1b,Sig1cおよび第2信号Sig2a,Sig2b,Sig2cは、デジタル信号に変換され、スイッチ制御信号Ctrに連動し順次レジスター32a,32b,32cまたはレジスター33a,33b,33cに保持される。
例えば、ある時刻tにおいて、第1信号Sig1aがA/D変換されたデジタル信号はレジスター32aに保持され、時刻t+1において、第2信号Sig2aがA/D変換されたデジタル信号はレジスター33aに保持され、時刻t+2において、第1信号Sig1bがA/D変換されたデジタル信号はレジスター32bに保持され、時刻t+3において、第2信号Sig2bがA/D変換されたデジタル信号はレジスター33bに保持され、時刻t+4において、第1信号Sig1cがA/D変換されたデジタル信号はレジスター32bに保持され、時刻t+5において、第2信号Sig2cがA/D変換されたデジタル信号はレジスター33bに保持され、時刻t+6において、第1信号Sig1aがA/D変換されたデジタル信号は再びレジスター32aに保持さる。即ち、レジスター32aに保持されている信号が第1デジタル信号Dig1aであり、レジスター33aに保持されている信号が第2デジタル信号Dig2aであり、レジスター32bに保持されている信号が第1デジタル信号Dig1bであり、レジスター33bに保持されている信号が第2デジタル信号Dig2bであり、レジスター32cに保持されている信号が第1デジタル信号Dig1cであり、レジスター33cに保持されている信号が第2デジタル信号Dig2cとなる。
各々のレジスターに保持されたデジタル信号は、第1実施形態と同様に、信号処理部24に入力され、第1デジタル信号Dig1aと第2デジタル信号Dig2aとに基づいて、X軸角速度およびZ軸加速度を算出し、第1デジタル信号Dig1bと第2デジタル信号Dig2bとに基づいて、Y軸角速度およびZ軸加速度を算出し、第1デジタル信号Dig1cと第2デジタル信号Dig2cとに基づいて、Z軸角速度およびX軸加速度を算出する。そして、信号処理部24は、算出したX軸、Y軸、Z軸の角速度を、角速度信号VD1として順次出力する。また、信号処理部24は、例えば算出した2つのZ軸加速度の平均をZ軸加速度とし、算出したX軸、Z軸の加速度を、VD2として順次出力する。
なお、信号処理部24、インターフェース回路25の詳細については、第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
本実施形態によれば、変換部23は、第1信号Sig1a,Sig1b,Sig1cと第2信号Sig2a,Sig2b,Sig2cとを時分割にA/D変換することにより、第1デジタル信号Dig1a,Dig1b,Dig1cの算出処理および第2デジタル信号Dig2a,Dig2b,Dig2cの算出処理とを、疑似的に並列して行う。そして、第2実施形態においても、第1実施形態と同様に信号処理部24が角速度および加速度の算出をデジタル処理で実施することにより、ノイズ等の影響を受け難く、角速度および加速度の算出が可能となる。
図11は、第2実施形態における、検出回路20に含まれるチャージアンプ21、チャージアンプ22、変換部23の変形例を示すブロック図である。本変形例は第2実施形態と変換部23の構成が異なる。
具体的には、第1信号Sig1aおよび第2信号Sig2aは、不図示の制御部から出力されるスイッチ制御信号Ctraで制御されるスイッチ35aおよびスイッチ36aにより時分割にA/D変換回路31aに入力され、デジタル信号に変換される。A/D変換回路31aにより変換されたデジタル信号は、スイッチ制御信号Ctraに同期し、レジスター32a,33aに時分割に保持され、その後、第1デジタル信号Dig1aおよび第2デジタル信号Dig2aに変換され、信号処理部24に入力される。
同様に、第1信号Sig1bおよび第2信号Sig2bは、不図示の制御部から出力されるスイッチ制御信号Ctrbで制御されるスイッチ35bおよびスイッチ36bにより時分割にA/D変換回路31bに入力され、デジタル信号に変換される。A/D変換回路31bにより変換されたデジタル信号は、スイッチ制御信号Ctrbに同期し、レジスター32b,33bに時分割に保持され、その後、第1デジタル信号Dig1bおよび第2デジタル信号Dig2bに変換され、信号処理部24に入力される。
同様に、第1信号Sig1cおよび第2信号Sig2cは、不図示の制御部から出力されるスイッチ制御信号Ctrcで制御されるスイッチ35cおよびスイッチ36cにより時分割にA/D変換回路31cに入力され、デジタル信号に変換される。A/D変換回路31cにより変換されたデジタル信号は、スイッチ制御信号Ctrcに同期し、レジスター32c,33cに時分割に保持され、その後、第1デジタル信号Dig1cおよび第2デジタル信号Dig2cに変換され、信号処理部24に入力される。
本変形例によれば、複数設けられた振動素子100に対し、A/D変換回路31を個別に設けることで、A/D変換のサンプリングレートを下げることが可能となる。具体的には、A/D変換のサンプリングレートは、物理量センサー1が検出可能な信号帯域(以下、「センサー帯域」という)の上限周波数の10倍以上であることが望ましく、例えば、センサー帯域の上限周波数が100Hzの場合、検出軸1軸あたり1kHz以上が望ましい。さらに、物理量センサー1の用途において迅速な検出動作が求められる場合においては、物理量センサー1のセンサー帯域の上限周波数の50倍以上であることが望ましく、例えば、センサー帯域の上限周波数が100Hzの場合、検出軸1軸あたり5kHz以上が望ましい。
また、角速度を検出する上では、振動素子100を駆動振動させる為の駆動信号DRVの駆動周波数の10倍以上であることが望ましく、例えば、駆動周波数が50kHzの場合、A/D変換のサンプリングレートは検出軸1軸あたり500kHz以上が望ましい。さらに、物理量センサー1の用途において迅速な検出動作が求められる場合においては、振動素子100を駆動振動させるための駆動信号DRVの駆動周波数の50倍以上が望ましく、例えば、センサー帯域の上限周波数が50kHzの場合、検出軸1軸あたり2.5MHz以上が望ましい。
例えば、角速度と加速度との2軸を検出する物理量センサー1において、求められるA/D変換のサンプリングレートはセンサー帯域の上限周波数または駆動信号DRVの駆動周波数の大きいほうの2倍以上であることが望ましい。具体的には、センサー帯域の上限周波数が100Hz、駆動信号DRVの駆動周波数が50kHz、角速度と加速度を検出する物理量センサー1の場合、50kHz×10倍×2軸=1MHz以上のサンプリングレートが望ましい。さらに、第2実施形態のように振動素子100が3個設けられた物理量センサー1の場合においては、その3倍である3MHz以上のサンプリングレートが望ましい。
即ち、本変形例においては、振動素子100が3個設けられた物理量センサー1において、個々にA/D変換回路31a,31b,31cを設けることにより、一つのA/D変換回路あたりの検出軸数を減らすことができ、サンプリングレートを抑えることが可能となる。これより、物理量センサー1の省電力化が可能となる。
第2実施形態によれば、物理量センサー1に3つの振動素子100を搭載することで、5軸(3軸の角速度および2軸の加速度)の検出が可能な物理量センサー1を実現することができる。さらに、各々の振動素子100からの検出信号を時分割にデジタル信号に変換し、角速度および加速度の算出をデジタル処理で実施することにより、ノイズ等の影響を受け難い5軸物理量センサーが実現可能となる。
1.3 第3実施形態
第2実施形態の物理量センサー1では、振動素子100を3個用いることで、3軸の角速度および2軸の加速度を算出しているが、第3実施形態の物理量センサー1は、H型の振動素子100‐2の断面形状を変更することで、3軸の角速度および3軸の加速度を算出する。なお、第3実施形態の物理量センサー1において、第1実施形態および第2実施形態と同様の構成要素には、同じ符号を付し、第1実施形態および第2実施形態と異なる点について説明し、第1実施形態または第2実施形態と重複する説明を省略する。
図示を省略するが、第3実施形態における物理量センサー1は、第2実施形態(図8)と同様に、1面が開口された箱状のベース300と、ベース300の開口面を塞ぐ板状の不図示のリッドと、第1振動素子100aと、第2振動素子100bと、第3振動素子100cと、不図示のIC2と、を含み構成される。そして、物理量センサー1は、箱状のベース300とリッドとで気密性が確保されたパッケージの中に、第1振動素子100aと、第2振動素子100bと、第3振動素子100cと、不図示のIC2と、を配置する。なお、第3実施形態における第1振動素子100aと、第2振動素子100bと、第3振動素子100cとは、第2実施形態と同様に配置される。
第3実施形態における物理量センサー1の機能ブロックについては、第1実施形態(図1)および第2実施形態(図9、図10)と同様であるため、その図示および説明を省略する。
第3実施形態における第3振動素子100cは、第2実施形態と同様のダブルT型の振動素子100‐1であり、構造および動作は、第1実施形態(図2〜図4B)と同様であるためその図示および説明を省略する。
第3実施形態における第1振動素子100aおよび第2振動素子100bは、H型の振動素子100‐2である。駆動信号DRVに基づく駆動振動(図5A、図5B)は第1実施形態と同様であり、また、角速度の検出(図6A、図6B)についても第1実施形態と同様であり、その図示、および説明を省略する。第3実施形態において第1振動素子100aおよび第2振動素子100bは、検出振動腕123,124の断面形状が異なる。さらに加速度の検出方法についても第1実施形態および第2実施形態と異なる。以下にその詳細を説明する。
図12は、第3実施形態における第1振動素子100aおよび第2振動素子100bのH型の振動素子100‐2の形状を模式的に示す平面図である。また、図13A、図13B、図13Cは、第3実施形態におけるH型の振動素子100‐2の検出振動腕123において図12のA−A‘断面(xz断面)を示す断面図である。なお、図12、図13A、図13B、図13Cは、図5A、図5B、図6A、図7Aと同様の軸で、互いに直交する3つの軸、x軸、y軸、z軸を図示している。即ち、図13A、図13B、図13Cに示す検出振動腕123のxz断面形状は、図5A、図5B、図6A、図7Aにおけるxz断面図に対応する。なお、第1振動素子100aおよび第2振動素子100bは共にH型の振動素子100‐2であり、共通の符号を用いて構造および動作を説明する。
さらに、第3実施形態において、検出振動腕123と検出振動腕124は、形成されている検出電極が第1検出電極121か第2検出電極122かの違いであり、同様の構成である。その為、第3実施形態においては検出振動腕123について代表的に説明する。
第3実施形態における振動素子100‐2の検出振動腕123のxz断面(図12A−A‘断面)は、図13Aに示すように、振動素子100‐2の主面180側および主面180の反対側の面において、それぞれ有底状の溝210、211が形成されている。即ち、検出振動腕123のxz断面形状は略H字型の形状となる。
溝210の内面は、z軸に対し傾斜した傾斜面210A、210B,210C、面210Dで構成されている。
傾斜面210Aは溝210の内面のうち、最も−x側に位置する。また、傾斜面210Aとyz平面とのなす角θ1は、20〜25°程度である。
傾斜面210Bは、傾斜面210Aの+x側に位置する。また、傾斜面210Bとyz平面とのなす角θ2は、55〜65°程度である。
傾斜面210Cは、傾斜面210Bの+x側に位置する。また、傾斜面210Cとyz平面とのなす角θ3は、65〜75°程度である。
面210Dは、溝210の内面のうち、最も+x側に位置している。また、面210Dは、z軸を法線とする平面で構成されている。
溝211の内面は、z軸に対し傾斜した傾斜面211A、211B,211C、面211Dで構成されている。
傾斜面211Aは溝211の内面のうち、最も−x側に位置する。また、傾斜面211Aとyz平面とのなす角θ4は、20〜25°程度である。
傾斜面211Bは、傾斜面211Aの+x側に位置する。また、傾斜面211Bとyz平面とのなす角θ5は、55〜65°程度である。
傾斜面211Cは、傾斜面211Bの+x側に位置する。また、傾斜面211Cとyz平面とのなす角θ6は、65〜75°程度である。
面211Dは、溝211の内面のうち、最も+x側に位置している。また、面211Dは、z軸を法線とする平面で構成されている。
第1検出電極121は、傾斜面211A,211B、および面210Dに設けられている。また、共通電極125は、検出振動腕123の−x側側面、面212、傾斜面210A、210Bに連続して設けられ、さらに検出振動腕123の+x側側面、面213、面211Dに連続して設けられている。
第3実施形態において、図13Bに示すように、x軸に略垂直な第2検出軸170に沿った方向の加速度151が加わった時、検出振動腕123には、矢印a,b,c,dに示す電界がそれぞれ生じる。しかし、矢印a,dに示す電界は、共通電極125間に生じる電界であり、第1検出電極121では検出されない。よって、第1検出電極121には、矢印b,dに示す電界に基づく交流電荷が出力される。
なお、第3実施形態において検出振動腕124に形成された第2検出電極122および共通電極125は、図13Aに示す検出振動腕123に形成された第1検出電極121および共通電極125と同様の配置であり、第2検出軸170に沿った方向の加速度151が加わった時、検出振動腕123および検出振動腕124は同様の動作を行う。即ち、第2検出軸170に沿った方向の加速度151が加わった時、第1検出電極121と第2検出電極122とから出力される交流電荷は、同相となる。
第3実施形態において、図13Cに示すように、x軸に略水平な第3検出軸175に沿った方向の加速度151が加わった時、検出振動腕123には、矢印e,f,g,hに示す電界がそれぞれ生じる。しかし、矢印e,fに示す電界は、共通電極125間に生じる電界であり、第1検出電極121では検出されない。よって、第1検出電極121には、矢印f,gに示す電界に基づく交流電荷が出力される。
なお、第3実施形態において検出振動腕124に形成された第2検出電極122および共通電極125は、図13Aに示す検出振動腕123に形成された第1検出電極121および共通電極125と同様の配置であり、第3検出軸175に沿った方向の加速度151が加わった時、検出振動腕123および検出振動腕124は同様の動作を行う。即ち、第3検出軸175に沿った方向の加速度151が加わった時、第1検出電極121と第2検出電極122とから出力される交流電荷は、同相となる。
これより、第3実施形態の振動素子100‐2は、第1検出軸160(y軸)まわりに発生した角速度に加え、第2検出軸170(z軸)方向の加速度、さらに第3検出軸175(x軸)方向の加速度の検出が行える。
図14は、第3実施形態の振動素子100‐2を第1振動素子100aおよび第2振動素子100bとして用いたときの、物理量センサー1において、複数の振動素子100と検出できる物理量との関係を示した図である。
図14に示すように、第3実施形態における物理量センサー1は、X軸角速度を、第1振動素子100aの第1検出電極121aと第2検出電極122aとの逆相の信号により検出し、Y軸角速度を、第2振動素子100bの第1検出電極121bと第2検出電極122bとの逆相の信号により検出し、Z軸角速度を、第3振動素子100cの第1検出電極121cと第2検出電極122cとの逆相の信号により検出することができる。さらに、第3実施形態における物理量センサー1は、X軸加速度を、第2振動素子100bの第1検出電極121bと第2検出電極122bとの同相の信号および第3振動素子100cの第1検出電極121cと第2検出電極122cとの同相の信号により検出し、Y軸加速度を、第1振動素子100aの第1検出電極121aと第2検出電極122aとの同相の信号により検出し、Z軸加速度を、第1振動素子100aの第1検出電極121aと第2検出電極122aとの同相の信号および第2振動素子100bの第1検出電極121bと第2検出電極122bとの同相の信号により検出することができる。
第3実施形態における物理量センサー1において、例えば第1振動素子100aは、Y軸加速度に加え、Z軸加速度も検出する。即ち、第3実施形態における物理量センサー1では、例えば第1振動素子100aの検出信号のみでは、検出した物理量が、Y軸加速度なのか、Z軸加速度なのか判断できない。その為、本実施形態においては、複数の振動素子100が検出した加速度を、以下の算出式において演算することにより、3軸の加速度を算出する。
具体的には、第1振動素子100aで検出される加速度をVacc1、第2振動素子100bで検出される加速度をVacc2、第3振動素子100cで検出される加速度をVacc3とすると、各軸の加速度は、以下で算出される。
第3実施形態によれば、物理量センサー1の第1振動素子100aおよび第2振動素子100bに、2軸の加速度を検出することが可能な振動素子100と用いることで、6軸(3軸の角速度および3軸の加速度)の検出が可能な物理量センサー1を実現することができる。さらに、各々の振動素子100からの検出信号を時分割にデジタル信号に変換し、角速度および加速度の算出をデジタル処理で実施することにより、ノイズ等の影響を受け難い6軸物理量センサーが実現可能となる。
1.4 第4実施形態
第4実施形態においては、第2実施形態の物理量センサー1において、第1振動素子100aの配置を変更することで、Y軸加速度の検出を可能とした3軸の角速度および3軸の加速度を算出する。
なお、第4実施形態の物理量センサー1において、第1実施形態、第2実施形態および第3実施形態と同様の構成要素には、同じ符号を付し、第1実施形態、第2実施形態および第3実施形態と異なる点について説明し、第1実施形態、第2実施形態または第3実施形態と重複する説明を省略する。
図15は、第4実施形態における物理量センサー1の斜視図である。なお、図15に示す図では、互いに直交する3つの軸とし、X軸、Y軸、Z軸を図示している。
第4実施形態における物理量センサー1は、1面が開口された箱状のベース300と、ベース300の開口面を塞ぐ板状の不図示のリッドと、第1振動素子100aと、第2振動素子100bと、第3振動素子100cと、不図示のIC2と、を含み構成される。そして、物理量センサー1は、箱状のベース300とリッドとで気密性が確保されたパッケージの中に、第1振動素子100aと、第2振動素子100bと、第3振動素子100cと、不図示のIC2と、を配置する。
第1振動素子100aは、図5A〜図7Bに示されるH型の振動素子100‐2である。第1振動素子100aは、図6Aに示す第1検出軸160および図7Aに示す第2検出軸170が、それぞれ図15のX軸およびY軸に沿うように配置される。即ち、第1振動素子100aは、箱状のベース300の内側面において、H型の振動素子100‐2の主面180が図15に示すXZ平面に対し略水平になるように設けられる。これにより、第1振動素子100aは、図15においてX軸に沿った第1検出軸160まわりの角速度と、Y軸に沿った第2検出軸170方向の加速度を検出することができる。
第2振動素子100bは、図5A〜図7Bに示されるH型の振動素子100‐2である。第2振動素子100bは、図6Aに示す第1検出軸160および図7Aに示す第2検出軸170が、それぞれ図15のY軸およびZ軸に沿うように配置される。即ち、第2振動素子100bは、図15においてY軸に沿った第1検出軸160まわりの角速度と、Z軸に沿った第2検出軸170方向の加速度を検出することができる。
第3振動素子100cは、図2〜図4Bに示されるダブルT型の振動素子100‐1である。第3振動素子100cは、図3Aに示す第1検出軸160および図4Aに示す第2検出軸170が、それぞれ図15のZ軸およびX軸に沿うように配置される。即ち、第3振動素子100cは、図15においてZ軸に沿った第1検出軸160まわりの角速度と、X軸に沿った第2検出軸170方向の加速度を取得することができる。
第4実施形態における複数の振動素子100の各々の構造および動作は、第1実施形態(図2〜図7B)と同様であるため、その図示および説明を省略する。
第4実施形態における物理量センサー1は、第1実施形態(図1)と同様に駆動回路10、変換部23、信号処理部24、インターフェース回路25、A/D変換回路26を含む。さらに、物理量センサー1は、第2の実施形態(図9、図10)と同様に3組のチャージアンプ21a、22a、21b、22b、21c、22cを含む。
図16は、第4実施形態における物理量センサー1の複数の振動素子100と検出できる物理量との関係を示した図である。
図15に示すように、第4実施形態における物理量センサー1は、X軸角速度を、第1振動素子100aの第1検出電極121aと第2検出電極122aとの逆相の信号により検出し、Y軸角速度を、第2振動素子100bの第1検出電極121bと第2検出電極122bとの逆相の信号により検出し、Z軸角速度を、第3振動素子100cの第1検出電極121cと第2検出電極122cとの逆相の信号により検出することができる。さらに、第4実施形態における物理量センサー1は、X軸加速度を、第3振動素子100cの第1検出電極121cと第2検出電極122cとの同相の信号により検出し、Y軸加速度を、第1振動素子100aの第1検出電極121aと第2検出電極122aとの同相の信号により検出し、Z軸加速度を、第2振動素子100bの第1検出電極121bと第2検出電極122bとの同相の信号により検出することができる。
第4実施形態によれば、物理量センサー1に3つの振動素子100を立体的に搭載することで、物理量センサー1は、X軸、Y軸、Z軸の角速度(3軸の角速度)とX軸、Y軸、Z軸の加速度(3軸の加速度)を検出可能な6軸センサーである。
第4実施形態によれば、物理量センサー1に3つの振動素子100を立体的に搭載することで、6軸(3軸の角速度および3軸の加速度)の検出が可能な物理量センサー1を実現することができる。さらに、各々の振動素子100からの検出信号を時分割にデジタル信号に変換し、角速度および加速度の算出をデジタル処理で実施することにより、ノイズ等の影響を受け難い6軸物理量センサーが実現可能となる。
2.電子機器
次に、本実施形態に係る電子機器について、図面を参照しながら説明する。本実施形態に係る電子機器は、本発明に係る物理量センサーを含む。以下では、本発明に係る物理量センサーとして、物理量検出装置400を含む電子機器について、説明する。
図17は、本実施形態に係る電子機器として、モバイル型(またはノート型)のパーソナルコンピューター1100を模式的に示す斜視図である。
図17に示すように、パーソナルコンピューター1100は、キーボード1102を備えた本体部1104と、表示部1108を有する表示ユニット1106と、により構成され、表示ユニット1106は、本体部1104に対しヒンジ構造部を介して回動可能に支持されている。
このようなパーソナルコンピューター1100には、物理量検出装置400が内蔵されている。
図18は、本実施形態に係る電子機器として、携帯電話機(PHSも含む)1200を模式的に示す斜視図である。
図18に示すように、携帯電話機1200は、複数の操作ボタン1202、受話口1204および送話口1206を備え、操作ボタン1202と受話口1204との間には、表示部1208が配置されている。
このような携帯電話機1200には、物理量検出装置400が内蔵されている。
図19は、本実施形態に係る電子機器として、デジタルスチルカメラ1300を模式的に示す斜視図である。なお、図19には、外部機器との接続についても簡易的に示している。
ここで、通常のカメラは、被写体の光像により銀塩写真フィルムを感光するのに対し、デジタルスチルカメラ1300は、被写体の光像をCCD(Charge Coupled Device)などの撮像素子により光電変換して撮像信号(画像信号)を生成する。
デジタルスチルカメラ1300におけるケース(ボディー)1302の背面には、表示部1310が設けられ、CCDによる撮像信号に基づいて表示を行う構成になっており、表示部1310は、被写体を電子画像として表示するファインダーとして機能する。
また、ケース1302の正面側(図中裏面側)には、光学レンズ(撮像光学系)やCCDなどを含む受光ユニット1304が設けられている。
撮影者が表示部1310に表示された被写体像を確認し、シャッターボタン1306を押下すると、その時点におけるCCDの撮像信号が、メモリー1308に転送・格納される。
また、このデジタルスチルカメラ1300においては、ケース1302の側面に、ビデオ信号出力端子1312と、データ通信用の入出力端子1314とが設けられている。そして、ビデオ信号出力端子1312には、テレビモニター1430が、データ通信用の入出力端子1314には、パーソナルコンピューター1440が、それぞれ必要に応じて接続される。さらに、所定の操作により、メモリー1308に格納された撮像信号が、テレビモニター1430や、パーソナルコンピューター1440に出力される構成になっている。
このようなデジタルスチルカメラ1300には、物理量検出装置400が内蔵されている。
なお、物理量検出装置400を備えた電子機器は、図17に示すパーソナルコンピューター(モバイル型パーソナルコンピューター)、図18に示す携帯電話機、図19に示すデジタルスチルカメラの他にも、例えば、インクジェット式吐出装置(例えばインクジェットプリンター)、ラップトップ型パーソナルコンピューター、テレビ、ビデオカメラ、ビデオテープレコーダー、各種ナビゲーション装置、ページャー、電子手帳(通信機能付も含む)、電子辞書、電卓、電子ゲーム機器、ヘッドマウントディスプレイ、ワードプロセッサー、ワークステーション、テレビ電話、防犯用テレビモニター、電子双眼鏡、POS端末、医療機器(例えば電子体温計、血圧計、血糖計、心電図計測装置、超音波診断装置、電子内視鏡)、魚群探知機、各種測定機器、計器類(例えば、車両、航空機、ロケット、船舶の計器類)、ロボットや人体などの姿勢制御、フライトシミュレーターなどに適用することができる。
本実施形態に係る電子機器は、回路規模の増加を抑えながら、安定した特性で角速度および加速度を検出可能な物理量検出装置400を含む。従って、より低コストでより信頼性の高い電子機器を実現することができる。
3.移動体
次に、本実施形態に係る移動体について、図面を参照しながら説明する。本実施形態に係る移動体は、本発明に係る物理量センサーを含む。以下では、本発明に係る物理量センサーとして、物理量検出装置400を含む移動体について、説明する。
図20は、本実施形態に係る移動体として、自動車1500を模式的に示す斜視図である。
自動車1500には、物理量検出装置400が内蔵されている。具体的には、図20に示すように、自動車1500の車体1502には、自動車1500の角速度を検知する振動素子100を内蔵してエンジンの出力を制御する電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)1504が搭載されている。また、物理量検出装置400は、他にも、車体姿勢制御ユニット、アンチロックブレーキシステム(ABS)、エアバック、タイヤ・プレッシャー・モニタリング・システム(TPMS:Tire Pressure Monitoring System)、に広く適用することができる。
本実施形態に係る電子機器は、回路規模の増加を抑えながら、安定した特性で角速度および加速度を検出可能な物理量検出装置400を含む。従って、より低コストでより信頼性の高い電子機器を実現することができる。
本発明は本実施形態に限定されず、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。
4.変形例
4.1 変形例1
本変形例1において、第1実施形態から第4実施形態と重複する構成要素の説明は省略し、異なる点について説明を行う。
本変形例1において、物理量センサー1は、互いに逆相の信号となる加速度成分および互いに同相の信号となる角速度成分の少なくとも一方を含み、第1演算処理は、和演算であり、第2演算処理は、差演算であっても良い。
具体的には、第1実施形態における振動素子100において、第1検出電極121および第2検出電極122から出力される交流電荷は、第1検出電極121と、第2検出電極122と、共通電極125との配置により極性を変更することができる。
ダブルT型の振動素子100‐1において、例えば、検出振動腕124の側面190の駆動振動腕114側に設けられた共通電極125を、検出振動腕124の側面190の駆動振動腕116側に変更したとき、ダブルT型の振動素子100‐1の第1検出電極121と第2検出電極122は、加速度を検出したときに互いに逆相の交流電荷を出力し、角速度を検出したときに互いに同相の信号となる交流電荷を出力する。
H型の振動素子100‐2においては、例えば、検出振動腕124の主面180側に設けられた第2検出電極122を、検出振動腕124の主面180と反対側に変更したとき、H型の振動素子100‐2の第1検出電極121と第2検出電極122は、加速度を検出したときに互いに逆相の交流電荷を出力し、角速度を検出したときに互いに同相の信号となる交流電荷を出力する。
本変形例によれば、振動素子100に設ける電極の配置を変更することで、振動素子100が角速度を検出したとき、第1検出電極121および第2検出電極122から出力される交流電荷を同相とすることができ、また、振動素子100が加速度を検出したとき、第1検出電極121および第2検出電極122から出力される交流電荷を逆相とすることができる。
一般に差分で算出することにより同期ノイズが除去(正確には低減)され、検出精度を向上させることができる。本変形例1によれば、角速度を和演算で算出し加速度を差演算で算出することから、加速度の検出精度を高めることが可能となる。
4.2 変形例2
本変形例2においては、第1実施形態から第4実施形態と重複する構成要素の説明は省略し、異なる点について説明を行う。
本変形例2は、和演算の演算レートと、差演算の演算レートとを設定する演算設定部を含んでも良い。即ち、物理量センサー1は、第1演算処理部43および第2演算処理部44で演算される角速度および加速度の演算レートを任意に設定・変更する為の、演算設定部を含んでも良い。
具体的には、例えば信号処理部24は、演算設定部を含み構成され、演算設定部は、第1演算処理部43および第2演算処理部44の和演算および差演算の演算レートを設定・変更する。さらに、演算設定部は演算頻度(演算レート)を設定する為のデータを記憶する記憶部を含んでも良い。
具体的には、演算設定部は、記憶部に記憶された演算レートのデータに基づき第1演算処理部43および第2演算処理部44の演算頻度を決定する。例えば、角速度は精度よく検出し、加速度を補助的に検出するような物理量センサー1において、第1演算処理部43の演算レートを高め、第2演算処理部44の演算レートを低く設定することができる。
なお、記憶部は、例えば不揮発性メモリーでもよく、具体的にはマスクROM(read Only Memory)、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)などでもよい。また、記憶部に記憶される演算レートのデータは、例えばMCU50などから変更可能な構成であっても良い。
本変形例2によれば、演算設定部は、第1演算処理部43および第2演算処理部44で実行される和演算および差演算の演算頻度(演算レート)を任意に設定・変更することができる。これにより、例えば、物理量センサー1が使用される機器において、角速度の検出頻度が高く、加速度の検出頻度が低い場合において、角速度を演算する第1演算処理部43の演算レートを高くし、加速度を演算する第2演算処理部44の演算レートを低くすることができる。
即ち、物理量センサー1は、用途に応じ角速度および加速度の演算を任意に最適な演算レートで実行することが可能となると共に、不要な演算を減らし消費電力の削減にもつながる。さらに、本変形例2によれば、角速度と加速度の検出周波数帯域が大きく異なる場合においても、最適な演算処理が可能となる。
上述した実施形態および変形例は一例であって、これらに限定されるわけではない。例えば、各実施形態および各変形例を適宜組み合わせることも可能である。
本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的および効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成または同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。