JP2007332316A - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 特定の熱可塑性樹脂の耐衝撃性レベルを従来よりも向上させることを課題とする。
【解決手段】 (a)熱可塑性樹脂100重量部、並びに(b)耐衝撃性改良剤0.5〜35重量部を含有する熱可塑性樹脂組成物であって、(a)熱可塑性樹脂が、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアセタール樹脂およびこれらの樹脂のアロイから選ばれる1種以上であり、(b)耐衝撃性改良剤が、(b−1)ゴム重合体と硬質シェルを有するグラフト共重合体、(b−2)物理ゲルを形成する性質を有する水溶性高分子化合物、及び(b−3)ゲル化剤を含有するものであり、グラフト共重合体(b−2)中の硬質シェルの比率は1〜20重量%であり、(b−2)物理ゲルを形成する性質を有する水溶性高分子化合物の含有量が、グラフト共重合体(b−1)100重量部に対し0.01〜3.0重量部であることを特徴とする、熱可塑性樹脂組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明は耐衝撃性に優れた熱可塑性樹脂組成物に関する。
熱可塑性樹脂の耐衝撃性を改良する為に、乳化重合法や懸濁重合法で得られるグラフト共重合体を添加することが従来より広く利用されている。
グラフト共重合体による熱可塑性樹脂の耐衝撃性改良において、種々の効果的な因子が知られているが、グラフト共重合体中のゴム成分の量を増やす方法も有力な方法の1つである。特に、グラフト共重合体中のゴム成分の重量比を80重量%以上にすることは、高度に熱可塑性樹脂の耐衝撃性を改良するための効果的な方法であると思われる。
しかしながら、上記方法を用いた場合は粒子自体が粘着質となるため、乳化重合ラテックスあるいは懸濁重合スラリーからグラフト共重合体の粒子を回収する際に粗大化や塊状化が起こりうる。このような樹脂を熱可塑性樹脂に配合しても充分な耐衝撃性改良効果は得られず、さらに成形品の外観不良の原因にもなりうる。これは、粗大化や塊状化しやすい耐衝撃性改良剤は、熱可塑性樹脂に配合してブレンドする際に均一に混合されない、さらには粗大化や塊状化した耐衝撃性改良剤を熱可塑性樹脂に配合し加工しても充分に分散しないためであり、このような分散不良の現象は成形品の電子顕微鏡観察により確認されている。それゆえ、例えば、熱可塑性樹脂に耐衝撃性改良剤を配合して加工する前に、篩などにより粗大化や塊状化した粒子を取り除く工程が実施される場合もある。
従って、産業上は、あらかじめ粗大粒子を取り除いた耐衝撃性改良剤製品が利用されており、耐衝撃性改良剤製造時に粗大粒子の量をできる限り少なくすることがコスト面からも有利なことから、グラフト共重合体中のゴム成分の重量比の制限が必須とされており、現実的にはグラフト共重合体中のゴム成分量の重量比を80重量%以上にすることは困難であった。
一方、粘着質なゴム状高分子ラテックスを粘着性の少ない樹脂粉体として回収する方法として、分子中にカルボキシル基および/または水酸基を有する高分子量ポリアニオンをゴムラテックスに添加し、その混合ラテックスをアルカリ土類金属の少なくとも1種を含有する水溶液に滴下する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、この方法では、高分子量ポリアニオンをゴムラテックス中のゴム固形分100重量部に対し少なくとも2〜8重量部、好ましくは4〜6重量部加えなければ、回収した樹脂粉体の粘着性を抑制できないと記載されている。通常、高分子ラテックスに対し4重量部以上もの異物(即ち、この場合は高分子量ポリアニオン)を添加すると、種々の目的で使用されうる回収ポリマー組成物自体が有する本来の品質が低下することが容易に想定できる。特に、熱可塑性樹脂等の耐衝撃性改良の目的において、できる限り配合量を削減することが望まれているグラフト共重合体に適用した場合、耐衝撃性改良効果等の品質の低下は避けられないことから、満足な方法とは言い難い。
また、ビカット軟化温度の低い柔らかい樹脂をラテックスから回収する方法として、界面活性剤を添加して粗大化を抑制する技術が開示されている(例えば、特許文献2参照)。しかしながら、この方法では、ブタジエン系ゴムを使用したグラフト共重合体ラテックスの場合、回収できる樹脂の硬質シェルの比率が15重量%以上に制限されているために、耐衝撃性改良の著しい効果発現には限度がある。
つまり、耐衝撃性向上と耐衝撃性改良剤添加による品質低下やコスト上昇という相反する両物性を高いレベルで満足させる熱可塑性樹脂の開発が、未だ期待され続けているのが現状である。
特開昭52−37987号公報 特開平8−217817号公報
本発明は、熱可塑性樹脂の強度改質を図る為に、耐衝撃性改良効果を上げるべく、グラフト共重合体中のゴム量の多いものを粉状で取り出し、ゴム量の多いグラフト共重合体を有効に活用して、特定の熱可塑性樹脂の耐衝撃性レベルを従来よりも向上させることを課題とする。
本発明は、従来公知の強度改質に関する基本技術、例えばゴム粒子径の最適化、グラフト共重合体のグラフト組成の最適化、グラフト共重合体中のゴム特性の最適化等の他に、グラフト共重合体中のゴム量を従来の調整範囲を越えて高く設定することで特定の熱可塑性樹脂の強度改質効果を向上せしめるものである。つまり、特定の熱可塑性樹脂に対する耐衝撃性改良剤として、高ゴム含量のグラフト共重合体を用いることを提案するものである。
すなわち本発明は、(a)熱可塑性樹脂100重量部、並びに(b)耐衝撃性改良剤0.5〜35重量部を含有する熱可塑性樹脂組成物であって、(a)熱可塑性樹脂が、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアセタール樹脂およびこれらの樹脂のアロイから選ばれる1種以上であり、(b)耐衝撃性改良剤が、(b−1)ゴム重合体と硬質シェルを有するグラフト共重合体、(b−2)物理ゲルを形成する性質を有する水溶性高分子化合物、及び(b−3)ゲル化剤を含有するものであり、グラフト共重合体(b−2)中の硬質シェルの比率は1〜20重量%であり、(b−2)物理ゲルを形成する性質を有する水溶性高分子化合物の含有量が、グラフト共重合体(b−1)100重量部に対し0.01〜3.0重量部であることを特徴とする、熱可塑性樹脂組成物に関する。
好ましい実施態様は、前記(b−1)グラフト共重合体におけるゴム重合体が、ブタジエン系ゴム重合体、アクリル系ゴム重合体、およびシリコーン系ゴム重合体から選ばれる1種以上であることを特徴とする、前記の熱可塑性樹脂組成物に関する。
好ましい実施態様は、物理ゲルを形成する性質を有する水溶性高分子化合物(b−2)が、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、水溶性アルギン酸誘導体、寒天、ゼラチン、カラギーナン、グルコマンナン、ペクチン、カードラン、ジェランガムおよびポリアクリル酸誘導体から選ばれる1種以上であることを特徴とする、前記いずれかの熱可塑性樹脂組成物に関する。
好ましい実施態様は、前記ポリエステル樹脂が、ポリエチレンテレフタレートおよび/またはポリブチレンテレフタレートであることを特徴とする、前記いずれかの熱可塑性樹脂組成物に関する。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、少量のグラフト共得重合体の配合でも優れた耐衝撃性を発現できることから、従来では達成が困難であった優れた物性およびコストバランスを達成することが可能となる。
本発明の構成は、(a)熱可塑性樹脂100重量部、並びに(b)耐衝撃性改良剤0.5〜35重量部を含有する熱可塑性樹脂組成物であって、(a)熱可塑性樹脂が、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアセタール樹脂およびこれらの樹脂のアロイから選ばれる1種以上であり、(b)耐衝撃性改良剤が、(b−1)ゴム重合体と硬質シェルを有するグラフト共重合体、(b−2)物理ゲルを形成する性質を有する水溶性高分子化合物、及び(b−3)ゲル化剤を含有するものであり、グラフト共重合体(b−2)中の硬質シェルの比率は1〜20重量%であり、(b−2)物理ゲルを形成する性質を有する水溶性高分子化合物の含有量が、グラフト共重合体(b−1)100重量部に対し0.01〜3.0重量部であることを特徴とする、熱可塑性樹脂組成物に関する。
本発明における熱可塑性樹脂(a)は、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアセタール樹脂およびこれらの樹脂のアロイから選ばれる1種以上であり、各々公知のものが使用できる。
前記ポリカーボネート樹脂としては、公知のものが使用でき特に限定はないが、その具体例としては、芳香族ポリカーボネート樹脂、脂肪族ポリカーボネート樹脂、および脂肪族−芳香族ポリカーボネート樹脂等を挙げることができる。これらの中でも芳香族ポリカーボネート樹脂が好ましく用いられる。芳香族ポリカーボネート樹脂は、一般に、芳香族ジヒドロキシ化合物とカーボネート前駆体とを反応させて製造される。
前記芳香族ジヒドロキシ化合物としては、例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン等のビスフェノール類、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)エーテル等の2価フェノールエーテル類、p,p’−ジヒドロキシジフェニル、3,3’−ジクロロ−4,4’−ジヒドロキシジフェニル等のジヒドロキシジフェニル類、ビス(4−ヒドロキシフェニル)サルホン、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)サルホン等のジヒドロキシアリールサルホン類、レゾルシノール、ヒドロキノン等のジヒドロキシベンゼン類、1,4−ジヒドロキシ−2,5−ジクロロベンゼン、1,4−ジヒドロキシ−3−メチルベンゼン等のハロゲンまたはアルキル基で置換されたジヒドロキシベンゼン類、ビス(4−ヒドロキシフェニル)サルファイド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキサイド、ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)スルホキサイド等のジヒドロキシジフェニルサルファイド類、およびジヒドロキシジフェニルスルホキサイド類等の化合物が挙げられ、これらは単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンを好適に使用できる。
前記カーボネート前駆体としては、例えば、ホスゲン等に代表されるカルボニルハライド類、ジフェニルカーボネート等に代表されるカルボニルエステル類、またはハロホロメート等が挙げられ、これらは単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、本発明で用いられるポリカーボネート樹脂は、その一部が分岐されていてもよく、例えば、多官能芳香族化合物を2価フェノールおよびカーボネート前駆体と反応させた熱可塑性ランダム分岐ポリカーボネート樹脂でもよく、さらに直線状のポリカーボネート樹脂と分岐状のポリカーボネート樹脂の混合物でもよい。
前記多官能芳香族化合物としては、例えば、1,1,1−トリ(4−ヒドロキシフェニル)エタン、トリメリット酸無水物、トリメリット酸、トリメリットイルトリクロライド、4−クロロホルミルフタル酸無水物、ピロメリット酸、ピロメリット酸二無水物、メリト酸、メリト酸無水物、トリメシン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物等が挙げられ、これらは単独または2種以上を組み合わせて用いられる。
本発明で使用されうるポリエステル樹脂については、公知のものが使用でき特に制限はないが、例えば、ポリアルキレンテレフタレート、ポリアルキレンナフタレンジカルボキシレート、または脂肪族ジオール若しくは環式脂肪族ジオールの少なくとも1種若しくはこれらの組合せ並びに少なくとも1種の二塩基酸から誘導される単位を含有する熱可塑性ポリエステル樹脂などがあげられる。熱可塑性ポリエステル樹脂(A)は、1種以上を組合わせて使用しても良い。
前記ポリアルキレンテレフタレートとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリペンチレンテレフタレート等、または2種のグリコール(例えばエチレングリコールおよびシクロヘキサンジメタノール)または2種の二塩基酸(例えばテレフタル酸およびイソフタル酸)から誘導される単位を含有する芳香族コポリエステルが例示され、ポリエチレンテレフタレート、またはエチレングリコール、若しくはシクロヘキサンジメタノール並びにイソフタル酸から誘導される単位を含有するコポリエステルなどが好ましく例示されうる。
前記ポリアルキレンナフタレンジカルボキシレートとしては、例えば、ポリナフタレンジカルボキシレートなどが例示されうる。
上記ポリエステル樹脂の中でも、入手容易性の観点から、ポリエチレンテレフタレート若しくはポリブチレンテレフタレートが好ましい。
本発明で使用されうるポリアリレート樹脂は、芳香族ジカルボン酸成分と2価フェノール成分から構成された樹脂であり、公知のものが使用できる。ポリアリレート樹脂を構成する芳香族ジカルボン酸成分としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ビフェニルジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−tert−ブチルイソフタル酸等を例示することができる。2価フェノール成分としては、ハイドロキノン、レゾルシノール、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシルフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)−p−ジイソプロピルベンゼン、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−ブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、4,4’−ジヒドロキシルビフェニル、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノンなどを例示することができる。特に、テレフタル酸とイソフタル酸及び2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンから実質的に構成されるポリアリレートは、エンジニアリングプラスチックとしてよく知られており、好適に使用できる。
本発明で使用されうるポリアセタール樹脂は、オキシメチレン基を主要な分子構造とするポリマーであり、公知もものが使用できるが、たとえばオキシメチレンホモポリマー、オキシメチレン単位とコモノマー単位とを含有するアセタールコポリマー、または少量の他の成分が共重合された変性ポリアセタール樹脂などが挙げられる。また、ポリアセタール樹脂の構造は、線状のみならず分岐構造であってもよく、架橋構造を有していてもよい。ポリアセタールの重合度、分岐度や架橋度も特に制限はなく、成形可能なものが好適に使用できる。コポリマーにおいて、コモノマー単位には、例えば炭素数2〜6程度のオキシアルキレン単位が含まれる。コモノマー単位の含有量は、少量、例えば、ポリアセタール樹脂全体に対して、0.01〜20モル%、好ましくは0.03〜15モル%、さらに好ましくは0.1〜10モル%程度の範囲から選択できる。アセタールコポリマーは、二成分で構成されたコポリマー、三成分で構成されたターポリマーなどであってもよい。アセタールコポリマーは、ランダムコポリマーの他、ブロックコポリマー、グラフトコポリマーなどであってもよい。
前記のポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアセタール樹脂のアロイについては、特に制限はなく公知のものが使用できるが、上記で例示した樹脂の1種または2種以上からなる樹脂のアロイが例示されうる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、(a)熱可塑性樹脂に対し、(b−1)ゴム重合体と硬質シェルを有するグラフト共重合体、(b−2)物理ゲルを形成する性質を有する水溶性高分子化合物、及び(b−3)ゲル化剤を含有する(b)耐衝撃性改良剤を配合するものである。
前記のゴム重合体と硬質シェルを有するグラフト共重合体(b−1)は、例えば、乳化重合法、懸濁重合法、マイクロサスペンション重合法、ミニエマルション重合法、水系分散重合法などにより製造されたグラフト共重合体を用いることができる。中でも、構造制御が容易である点から、乳化重合法により製造されたグラフト共重合体を好適に用いることができる。
前記グラフト共重合体(b−1)におけるゴム重合体としては、公知のものが使用できるが、粒子径制御が容易で耐衝撃性改良剤のゴム成分として適している点から、ブタジエン系ゴム重合体、アクリル系ゴム重合体、およびシリコーン系ゴム重合体から選ばれる1種以上であることが好ましい。
前記ブタジエン系ゴム重合体としては、例えば、ポリブタジエンゴム重合体、またはブタジエン単量体と、これと共重合可能なビニル系単量体または単量体混合物とを共重合させてなる共重合体などが例示できるが、得られる熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性の観点から、ブタジエン系ゴム重合体中のブタジエンの割合が50重量%以上であることが好ましく、さらには65重量%以上であることがより好ましい。また得られる熱可塑性樹脂組成物が、透明性が要求される用途に使用される場合、グラフト共重合体(b−1)におけるブタジエン系ゴム重合体の屈折率と熱可塑性樹脂の屈折率の差が小さい方が好適であり、当該屈折率差は0.02以下であることが好ましい。
ブタジエン単量体と共重合可能なビニル単量体としては、例えば、ブチルアクリレ−ト、2−エチルヘキシルアクリレート、スチレン、アクリロニトリル等が好適に使用できる。これらブタジエン系ゴム重合体の重合においては、ブタジエン単量体の自己架橋効果により、多官能性単量体を使用しなくとも架橋ブタジエン系ゴムとして重合されうるが、適宜、ジビニルベンゼン、1、3−ブチレングリコ−ルジメタクリレ−ト、アリルメタクリレ−ト、ジアリルフタレ−ト等の多官能性単量体を使用でき、またn−ドデシルメルカプタンやt−ドデシルメルカプタン等の連鎖移動剤を使用することもできる。
一方、耐候性等の観点からは、前記ブタジエン系ゴム重合体よりもアクリル系ゴム重合体の方が好ましい。アクリル系ゴム重合体としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル45〜99.9重量%、(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能なビニル単量体0〜54.9重量%および多官能性単量体0.1〜10重量%からなる単量体混合物(但し、総量は100重量%)を重合して得られる架橋ゴム状重合体であることが好ましく、さらには耐候性の観点から、より好ましくは(メタ)アクリル酸エステルが60〜99.9重量%、更に好ましくは70〜99.9重量%、特に好ましくは80〜99.9重量%である。
前記(メタ)アクリル酸エステルとしては、高度に耐衝撃性を改良できる観点から、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸ベヘニル等の炭素数が1〜22のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル類、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル等の炭素数が1〜22のアルキル基を有しヒドロキシル基を有する(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリル酸グリシジル等のエポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステル類、または炭素数が1〜22のアルキル基を有しアルコキシル基を有する(メタ)アクリル酸エステル類が挙げられる。前記の(メタ)アクリル酸エステル類のアルキル基の炭素数については必ずしも制限されるものではないが、例えば炭素数が22を超えると重合性が劣る場合があるため、アルキル基の炭素数が22以下の(メタ)アクリル酸エステル類が好適に使用されうる。なお、これらは単独で用いてもよく2種以上組み合わせてもよい。
中でも、(メタ)アクリル酸エステル系耐衝撃性改良剤のゴム状重合体コアとして汎用的に用いられている、アルキル基の炭素数が12以下の(メタ)アクリル酸アルキルエステル類が好適に使用されうる。具体的には、前記アクリル系ゴム重合体が、炭素数が1〜12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル類、炭素数が1〜12のアルキル基を有しヒドロキシル基を含有する(メタ)アクリル酸エステル類、エポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステル類、炭素数が1〜12のアルキル基を有しアルコキシル基を含有する(メタ)アクリル酸エステル類が好適に使用されうる。なお、これらは単独で用いてもよく2種以上組み合わせても良い。
前記アクリル系ゴム重合体中の(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能なビニル単量体は0〜54.9重量%であることが好ましいが、耐候性の観点から、より好ましくは0〜39.9重量%、更に好ましくは0〜29.9重量%、特に好ましくは0〜19.9重量%である。
前記の(メタ)アクリル酸エステルと共重合可能なビニル単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン等の芳香族ビニル化合物、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル化合物、アクリル酸、メタクリル酸等のビニルカルボン酸類、塩化ビニル、臭化ビニル、クロロプレン等のハロゲン化ビニル類、酢酸ビニル等が例示されうる。中でも、熱可塑性樹脂組成物の加工性の観点から、芳香族ビニル化合物若しくはシアン化ビニル化合物がより好ましい。これらは単独で用いてもよく2種以上組み合わせてもよい。
前記多官能性単量体は、アクリル系ゴム重合体に架橋構造を導入する架橋剤の役割を有し、またアクリル系ゴム重合体に硬質シェルがグラフト重合する際のグラフト点を供給するグラフト交叉剤の役割も有するものである。多官能性単量体の具体例としては、例えば、アリルメタクリレート、ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、モノエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ジビニルベンゼン、1,3−ブチレンジメタクリレート等が挙げられる。中でも、グラフト交叉剤としての機能の観点から、アリルメタクリレートがより好ましい。これらは単独で用いてもよく2種以上組み合わせてもよい。
前記アクリル系ゴム重合体の形成に用いる多官能性単量体の使用量は、アクリル系ゴム重合体中に0.1〜10重量%であることが好ましいが、耐衝撃性を改良する観点から、より好ましくは0.1〜5重量%、更に好ましくは0.1〜3重量%、特に好ましくは0.2〜3重量%である。前記多官能性単量体の使用量が10重量%を超える場合は、耐衝撃性改良効果が発現しにくくなる場合がある。一方、多官能性単量体の使用量が0.1重量%未満の場合は、成形中にグラフト共重合体(b−1)が形状を維持できない可能性があり、耐衝撃性改良効果が発現しにくくなる場合がある。
さらに耐候性および耐衝撃性等の観点からは、シリコーン系ゴム重合体が好ましい。シリコーン系ゴム重合体としては公知のものが使用できるが、例えば、オルガノシロキサン、必要に応じて使用される架橋剤、グラフト交叉剤、さらにはこれら以外のオルガノシランなどからなるシリコーンゴム形成成分を主成分として用いて乳化重合することにより得られるものが使用できる。前記オルガノシロキサンは、シリコーンゴム鎖の主骨格を構成する成分であり、直鎖状または環状のものを好適に使用できる。これらの中でも乳化重合系への適用可能性および経済的な点から、環状オルガノシロキサンが好ましい。その具体例としては、たとえばヘキサメチルシクロトリシロキサン(D3)、オクタメチルシクロテトラシロキサン(D4)、デカメチルシクロペンタシロキサン(D5)、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン(D6)、テトラデカメチルシクロヘプタシロキサン(D7)、ヘキサデカメチルシクロオクタシロキサン(D8)などが例示されうる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。特に、D4、D3〜D7の混合物もしくはD3〜D8の混合物は経済的な面で有利であり好ましく用いられる。
前記架橋剤は、前記オルガノシロキサンと共重合してシリコーンゴム中に架橋構造を導入してゴム弾性を発現するための成分であり、その具体例としては、たとえばテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、トリエトキシメチルシラン、トリエトキシエチルシラン、ブチルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシランなど4官能あるいは3官能のアルコキシシラン化合物があげられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記グラフト交叉剤は、分子内に重合性不飽和結合またはメルカプト基を有する反応性シラン化合物などであり、前記オルガノシロキサンや前記架橋剤などと共重合することにより、共重合体の側鎖または末端に重合性不飽和結合またはメルカプト基を導入するための成分である。前記重合性不飽和結合またはメルカプト基は後述するビニル系単量体のグラフト活性点になりうる。また、前記重合性不飽和結合またはメルカプト基は、ラジカル重合開始剤を用いてラジカル反応させた場合に架橋点にもなりうる。なお、ラジカル反応によって架橋させた場合でも、一部はグラフト活性点として残るのでグラフトは可能である。
グラフト交叉剤の具体例としては、たとえば、β−メタクリロイルオキシエチルジメトキシメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルジメチルメトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルジエトキシメチルシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリプロポキシシラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルジプロポキシメチルシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルジメトキシメチルシラン、γ−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、p−ビニルフェニルジメトキシメチルシラン、p−ビニルフェニルトリメトキシシラン、p−ビニルフェニルトリエトキシシラン、p−ビニルフェニルジエトキシメチルシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、アリルメチルジメトキシシラン、アリルメチルジエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メルカプトプロピルジメトキシメチルシランなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記以外のオルガノシランとしては、例えば、メチルブチルジメトキシシラン、ジブチルジメトキシシラン、メチルオクチルジメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシランなどがあげられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
前記(b−1)グラフト共重合体におけるゴム重合体の体積平均粒子径は、対象とする熱可塑性樹脂の種類にもよるが、耐衝撃性の観点から、0.03〜1.0μmであるのが一般的である。上記体積平均粒子径は、さらには0.05〜0.5μmであることがより好ましい。前記範囲の体積平均粒子径を得る方法としては特に制限されないが、ゴム重合体を乳化重合法で重合する場合、例えば、重合中または重合後に酸、塩、酸基含有ラテックスなどを肥大化剤として加える方法、シード重合法などを挙げることができる。なお、体積平均粒子径は、例えばMICROTRAC UPA(日機装株式会社製)により測定することができる。
前記(b−1)グラフト共重合体におけるゴム重合体の比率は、80〜99重量%であることが好ましく、さらには84〜98重量%であることがより好ましく、87〜98重量%であることが特に好ましい。グラフト共重合体(b−1)中におけるゴム重合体の重量比率が80重量%未満の場合は、耐衝撃性改良効果が劣る場合がある。一方、グラフト共重合体(b−1)中のゴム重合体の重量比率が99重量%を超える場合は、熱可塑性樹脂の耐衝撃性改良剤として用いた際に、グラフト共重合体(b−1)と熱可塑性樹脂との相溶性が低下するため、耐衝撃性改良効果が得られにくくなる傾向にある。
一方、前記グラフト共重合体(b−1)における硬質シェルとしては特に制限されないが、熱可塑性樹脂へのグラフト共重合体の分散性の観点から、例えば、(メタ)アクリル酸エステル0〜100重量%、芳香族ビニル単量体0〜90重量%、シアン化ビニル単量体0〜25重量%ならびに(メタ)アクリル酸エステル、芳香族ビニル単量体およびシアン化ビニル単量体と共重合可能なビニル単量体0〜20重量%からなる単量体混合物を重合してなる硬質重合体が好適に例示されうる。これらの単量体のうち、2種以上を用いる場合はそれぞれを別々に重合系中に一括または連続的に投入しても良いし、混合して投入しても良い。本発明における硬質シェルの「硬質」とは、重合体のガラス転移温度(以下、Tgともいう)が30℃以上であることを意味するが、以下の観点から、硬質重合体のガラス転移温度は50℃以上であることが好ましい。硬質シェルのガラス転移温度が30℃未満の場合は、本発明におけるグラフト共重合体を耐衝撃性改良剤として熱可塑性樹脂と配合した際に、熱可塑性樹脂との相溶性が低下し、顕著な耐衝撃性改良効果が得られにくくなる場合があり、またグラフト共重合体粒子の粗大化や塊状化が起こりやすくなる場合がある。
なお重合体のガラス転移温度は、例えば、示差走査熱量計により測定することができるが、本発明においては、ポリマ−ハンドブック[Polymer Hand Book(J. Brandrup, Interscience1989)]に記載されている値を使用してFoxの式を用いて算出した値を用いることとする。(例えば、ポリメチルメタクリレートのガラス転移温度は105℃、ポリスチレンは105℃、ポリブチルアクリレートは−54℃である。)
前記(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸ベヘニル等の炭素数が1〜22のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル類、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル等の炭素数が1〜22のアルキル基を有しヒドロキシル基を有する(メタ)アクリル酸エステル類、(メタ)アクリル酸グリシジル等のエポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステル類、または炭素数が1〜22のアルキル基を有しアルコキシル基を有する(メタ)アクリル酸エステル類が挙げられる。
前記芳香族ビニル単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン等が例示される。
前記シアン化ビニル単量体としては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が例示される。
前記の(メタ)アクリル酸エステル、芳香族ビニル単量体およびシアン化ビニル単量体と共重合可能なビニル単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸等のビニルカルボン酸類、塩化ビニル、臭化ビニル、クロロプレン等のハロゲン化ビニル類、酢酸ビニル等が例示されうる。
硬質シェルを形成するための重合に用いられる前記単量体は、適宜1種または2種以上を組み合わせて使用できる。
前記グラフト共重合体(b−1)中における硬質シェルの比率は1〜20重量%であることが好ましく、さらには2〜16重量%であることがより好ましく、2〜13重量%であることが特に好ましい。グラフト共重合体(b−1)中における硬質シェルの重量比率が20重量%を超える場合は、耐衝撃性改良効果が劣る場合がある。一方、グラフト共重合体(b−1)中の硬質シェルの重量比率が1重量%未満の場合は、熱可塑性樹脂の耐衝撃性改良剤として用いた際に、グラフト共重合体(b−1)と熱可塑性樹脂との相溶性が低下するため、耐衝撃性改良効果が得られにくくなる傾向にある。
本発明においては、耐衝撃性改良剤(b)において、グラフト共重合体(b−1)と共に、物理ゲルを形成する性質を有する水溶性高分子化合物(b−2)を含有させる。ここで物理ゲルとは、高分子間の水素結合やイオン結合あるいはキレート形成などによって形成される物理的橋架けによるゲルを意味する。また、物理ゲルを形成する性質を有するとは、水溶性高分子化合物単独の水溶液に、無機塩や酸等のゲル化剤の添加により、粘性流体(ゾル)から弾性体(ゲル)への変化が視覚的にとらえられることを意味し、本発明において、物理ゲルを形成する性質を有する水溶性高分子化合物(b−2)とは、上記性質を有する水溶性高分子化合物と定義する。
本発明で用いることのできる物理ゲルを形成する性質を有する水溶性高分子化合物としては上記性質を発現できるものであれば特に制限はないが、例えば、次の群から選ばれた1種または2種以上の混合物からなる水溶性高分子化合物を用いることができる。例えば、アルギン酸,アルギン酸ナトリウム,アルギン酸カリウム,アルギン酸アンモニウム等の水溶性アルギン酸誘導体、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、寒天、ゼラチン、カラギーナン、グルコマンナン、ペクチン、カードラン、ジェランガム、ポリアクリル酸誘導体等が例示されうる。本発明においては、これらの中でもカルボキシメチルセルロース、水溶性アルギン酸誘導体、若しくはポリアクリル酸誘導体がより好ましく、中でも水溶性アルギン酸誘導体が最も好ましく使用されうる。
なお、上記水溶性アルギン酸誘導体中のマンヌロン酸とグルロン酸の比率には特に制限はないが、グルロン酸比率が高いほど物理ゲルの形成能力が高くなる傾向にあるため好ましく、通常は水溶性アルギン酸誘導体中のグルロン酸比率が5重量%以上、より好ましくは30重量%以上である。
本発明における物理ゲルを形成する性質を有する水溶性高分子化合物(b−2)の含有量は、グラフト共重合体(b−1)100重量部に対し、0.01〜3.0重量部であることが好ましく、更には0.05〜1.8重量部であることがより好ましい。物理ゲルを形成する性質を有する水溶性高分子化合物(b−2)の含有量が0.01重量部よりも少ない場合は、耐衝撃性改良剤を回収する際に粗大化や塊状化が起こりやすくなる傾向にある。逆に、物理ゲルを形成する性質を有する水溶性高分子化合物(b−2)の含有量が3.0重量部よりも多い場合は、耐衝撃性改良剤を回収する際に粗大化や塊状化の抑制効果は向上するものの、耐衝撃性改良剤に多量の水溶性高分子化合物(それに由来する物質を含む)が残存してしまい、耐衝撃性付与効果や成形加工時の熱安定性等の品質が低下する傾向にある。
本発明において使用され得るゲル化剤(b−3)としては、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化リチウム、よう化カリウム、よう化リチウム、硫酸カリウム、硫酸アンモニウム、硫酸ナトリウム、塩化アンモニウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、塩化カルシウム、硫酸第一鉄、硫酸マグネシウム、硫酸亜鉛、硫酸銅、硫酸カドミウム、塩化バリウム、塩化第一鉄、塩化マグネシウム、塩化第二鉄、硫酸第二鉄、硫酸アルミニウム、カリウムミョウバン、鉄ミョウバン等の無機塩類、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸類、酢酸、蟻酸等の有機酸類、および酢酸ナトリウム、酢酸カルシウム、蟻酸ナトリウム、蟻酸カルシウム等の有機酸の塩類を単独または混合したものを用いることができる。これらの中でも、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸アンモニウム、硫酸ナトリウム、塩化アンモニウム、塩化カルシウム、硫酸第一鉄、硫酸マグネシウム、硫酸亜鉛、硫酸銅、硫酸カドミウム、塩化バリウム、塩化第一鉄、塩化マグネシウム、塩化第二鉄、硫酸第二鉄、硫酸アルミニウム、カリウムミョウバン、鉄ミョウバン等の無機塩類、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸類、酢酸、蟻酸等の有機酸類を、単独または2種以上混合したものが好適に使用されうる。
なお本発明において、物理ゲルを形成する性質を有する水溶性高分子化合物(b−2)として水溶性アルギン酸誘導体を用いる場合は、ゲル化剤(b−3)として、塩化カルシウム、硫酸第一鉄、塩化第一鉄、塩化第二鉄、硫酸第二鉄、硫酸アルミニウムなどが好適に使用されうる。
本発明におけるゲル化剤(b−3)の添加量には特に制限はないが、ゲル化剤(b−3)の大部分はグラフト共重合体回収時における水洗工程により洗い流すことが可能で、グラフト共重合体(b−1)100重量部に対し1重量部以下残留していることが好ましく、更には0.5重量部以下であることがより好ましい。グラフト共重合体(b−1)中のゲル化剤(b−3)の残留量が1重量部を超える場合には、例えば、熱可塑性樹脂に配合し、成形する際の加工性が変化する可能性があり、高い耐衝撃性効果が発現しにくくなる傾向があるだけでなく、成形体が黄変するなどの問題を引き起こす可能性がある。
なお、グラフト共重合体(b−1)回収時のゲル化剤(b−3)の使用量は、グラフト共重合体(b−1)100重量部に対するゲル化剤(b−3)の残留量が、1重量部未満であれば特に制限はないが、回収の容易さ、および製造コストの観点から、グラフト共重合体(b−1)に対し0.2〜20重量部が好ましく、更には1〜10重量部がより好ましい。
本発明において、(b)耐衝撃性改良剤中に物理ゲルを形成する性質を有する水溶性高分子化合物(b−2)およびそのゲル化剤(b−3)を含有させる目的は、(1)グラフト共重合体凝固粒子中に非粘着性の物理ゲルが共存することにより、回収途中の凝固粒子の耐ブロッキング性および凝固粒子形態保持性(凝固粒子への弾性の付与)を向上させることができる、(2)凝固粒子を乾燥した後においても、凝固粒子中に非粘着性の物理ゲルの乾燥物が共存することにより、凝固粒子の耐ブロッキング性および凝固粒子形態保持性(凝固粒子への弾性の付与)を向上させ、粗大化や塊状化を抑制できるためである。
一方、特開昭52−37987号公報には、分子中にカルボキシル基および/または水酸基を有する高分子量ポリアニオンをゴムラテックスに添加し、その混合ラテックスをアルカリ土類金属の少なくとも1種を含有する水溶液に滴下する、限られた条件下における方法が、粉粒体での回収が極めて困難なゴム状高分子ラテックスを造粒する方法として開示されている。しかしこの手法では、ゴムラテックス中のポリマー固形分100重量部に対し、少なくとも2.0重量部以上、好ましくは4.0重量部以上の高分子量ポリアニオンを添加しなければならないと記載されている。つまりこの方法では、回収したポリマー凝固粒子の粗大化や塊状化を抑制するためには、少なくとも4.0重量部以上の高分子量ポリアニオンを添加しなければならない。
通常、ポリマーに対し、4.0重量部もの異物(この場合は高分子量ポリアニオン)を含有させると、本来のゴムポリマーが有する耐衝撃強度、熱安定性などの様々な品質が低下することは容易に想定でき、本発明が目的としている品質(耐衝撃性改良効果など)を高いレベルで満足することが困難となる。
本発明では、ゴム重合体と、硬質シェルを有するグラフト共重合体(b−1)を用いることで、異物である物理ゲルを形成する性質を有する水溶性高分子化合物(b−2)の含有量を、0.01〜3.0重量部、好ましくは0.05〜1.8重量部の範囲に設定することができる。これにより粗大化や塊状化が抑制された耐衝撃性改良剤を得ることができ、著しい耐衝撃性改良効果や熱安定性等の品質を発現することが可能となる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、少量の配合でも優れた耐衝撃性を発現できる耐衝撃性改良剤(b)を用いることから、従来では達成が困難であった優れた物性およびコストバランスを達成することが可能となる。熱可塑性樹脂組成物中の耐衝撃性改良剤(b)の含有量は特に限定されないが、品質面、およびコスト面から0.5〜35重量部であることが望ましく、2〜30重量部がより好ましく、4〜25重量部であることが特に好ましい。熱可塑性樹脂組成物中の耐衝撃性改良剤の含有量が、35重量部を超えた場合には耐衝撃改良効果は充分であるが、耐衝撃性以外の品質が低下する可能性があることやコストが上昇する場合がある。一方、熱可塑性樹脂組成物中の耐衝撃改良剤(b)の含有量が0.5重量部未満の場合は、充分な耐衝撃性改良効果が得られにくくなる場合がある。
また、本発明の熱可塑性樹脂組成物には、必要に応じて、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、顔料、帯電防止剤、滑剤、加工助剤等の添加剤を適宜添加することができる。
次に本発明を実施例に基づいて更に詳細に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。なお、以下の実施例、比較例における重合体粒子の体積平均粒子径は、MICROTRAC UPA(日機装株式会社製)を用いて測定した。
(実施例1)
(1)ブタジエン系ゴム重合体(R−1)の作製
水200重量部、オレイン酸ナトリウム1.5重量部、硫酸第一鉄(FeSO4・7H2O)0.002重量部、エチレンジアミン4酢酸・2Na塩0.005重量部、ホルムアルデヒドスルフォキシル酸ナトリウム0.2重量部、リン酸三カリウム0.2重量部、ブタジエン(以下、Bdともいう。)100重量部、ジイソプロピルベンゼンハイドロパ−オキサイド0.1重量部を攪拌機つき耐圧重合容器に仕込み、50℃で12時間撹拌させた。これにより、重合転化率97%、体積平均粒子径0.09μmのブタジエン系ゴム重合体(R−1)のラテックスを得た。
(2)グラフト共重合体(b−1)の作製
ブタジエン系ゴム重合体(R−1)のラテックス272重量部(固形分量で90重量部)、硫酸第一鉄(FeSO4・7H2O)0.002重量部、エチレンジアミン4酢酸・2Na塩0.004重量部、ホルムアルデヒドスルフォキシル酸ナトリウム0.1重量部、無水硫酸ナトリウム1.1重量部を8リットルガラス製重合機に入れ攪拌し、60℃にした。さらに硬質シェル成分として、メチルメタクリレ−ト(以下、MMAともいう。)9重量部、ブチルアクリレート(以下、BAともいう。)1重量部、ターシャリブチルハイドロパ−オキサイド0.05重量部の混合液を1.5時間で連続追加し、さらに60分間攪拌を続けたのち、ターシャリブチルハイドロパ−オキサイド0.1重量部を添加した。1時間攪拌を続けたのち常温まで冷却し、グラフト共重合体(b−1)のラテックスを製造した(シェルのTgは90℃)。グラフト共重合体(b−1)の体積平均粒子径は0.21μmであった。上記により、ゴム重合体含量90重量%、硬質シェル含量10重量%のグラフト共重合体(b−1)のラテックスを得た。
(3)耐衝撃性改良剤(b)の作製
グラフト共重合体(b−1)のラテックス(固形分量で100重量部)に、1.5重量%濃度のアルギン酸ナトリウム(株式会社キミカ製 アルギテックスI−3G)水溶液をアルギン酸ナトリウム固形分がグラフト共重合体(b−1)100重量部に対し0.3重量部となるように添加し、3分間撹拌混合して混合ラテックスを作製した。温度5℃の混合ラテックスを、加圧ノズルの一種である旋回流式円錐ノズルでノズル径0.6mmを用い、噴霧圧力3.7kg/cm2にて、塔底部液面からの高さ5m、直径60cmの円筒状の装置中に、体積平均液滴径が約200μmの液滴となるように噴霧した。それと同時に、30重量%濃度の塩化カルシウム水溶液を、塩化カルシウム固形分がグラフト共重合体(b−1)100重量部に対し5〜15重量部となるように二流体ノズルにて空気と混合しながら、液滴径0.1〜10μmで噴霧した。さらに、塔頂から塔の内壁に沿わせ40℃の水をポリマー固形分100重量部に対し約750重量部となるよう連続的に流下させ、その流下水中に分散剤として部分ケン化ポリビニルアルコール(日本合成化学工業株式会社製:KH−17)3.0重量%水溶液を部分ケン化ポリビニルアルコール固形分がポリマー固形分100重量部に対し0.4重量部となるよう連続的に供給した。塔内を落下したラテックス液滴(凝固ラテックス粒子)を、流下水と共に塔底部の受槽に投入し、ポリマー固形分が約10重量%の凝固粒子の水懸濁液を得た。この時、受槽内の懸濁液の温度は40℃であった。
得られた凝固粒子水懸濁液を熱処理した後脱水、乾燥することにより、白色樹脂粉末を調製した。
(4)熱可塑性樹脂組成物の調製、成形体の調製、および評価
ポリカーボネート樹脂(出光興産(株)製タフロンA2200)100重量部、耐衝撃性改良剤(b)7重量部を日本製鋼所株式会社製44mm二軸押出機(TEX−44)で混練ペレット化した。このペレットを用い、射出成形でテストピースを得た。この成形体を用い、−50℃〜−20℃の測定温度における耐衝撃強度(1/8インチ厚み、Vノッチ、Izod)を測定した。結果を表1に示す。
(比較例1)
実施例1のグラフト共重合体(b−1)の作製において、ゴムラテックス(R−1)量を227重量部(固形分75重量部)にし、グラフト重合処方は実施例1で記載した量の(25/10)倍に変更した以外は実施例1と同様にしてグラフト共重合体を得た。上記で得られたグラフト共重合体を用いた以外は、実施例1に準じて耐衝撃強度を評価した。結果を表1に示す。
(比較例2)
実施例1においてアルギン酸ナトリウムを使用しない以外は実施例1と同様に耐衝撃性改良剤の作製を試みたが、樹脂が凝集して粉末を得ることができなかった。
Figure 2007332316
(実施例2、比較例3)
実施例1、比較例1においてポリカーボネート樹脂をポリブチレンテレフタレート樹脂(ウィンテックポリマー(株)製ジュラネックス2002)に変更し、耐衝撃性改良剤の添加部数を7重量部から25重量部に変更した以外は、実施例1および比較例1と同様にして−20℃〜10℃の測定温度における耐衝撃強度(1/8インチ厚み、Vノッチ、Izod)の評価を実施した。結果を表2に示す。
Figure 2007332316
(実施例3)
(5)アクリル系ゴム重合体(R−2)の作製
温度計、攪拌機、還流冷却器、窒素流入口、単量体と乳化剤の添加装置を有するガラス反応器に、水160重量部、ラウリル硫酸ナトリウム0.05重量部を仕込み、窒素気流中で攪拌しながら50℃に昇温した。次に、BA8.96重量部、アリルメタクリレート(以下、AMAとも言う)0.04重量部、クメンハイドロパーオキサイド0.01重量部の混合物を仕込み、その10分後にエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム0.01重量部と硫酸第一鉄・7水和塩0.005重量部を水5重量部に溶解した混合液、およびホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム0.2重量部を仕込んだ。1時間攪拌後、そこにBA87.56重量部、AMA0.44重量部およびクメンハイドロパーオキサイド0.1重量部からなる単量体の混合物を5時間を要して滴下した。また、前記の単量体混合物の添加とともに、1重量部のラウリル硫酸ナトリウムを5重量%濃度の水溶液にしたものを5時間にわたり連続的に追加した。単量体混合物添加終了後、1.5時間攪拌を続け、Tgが−54℃、体積平均粒子径が0.16μmのアクリル系ゴム重合体(R−2)のラテックスを得た。
(6)グラフト共重合体(b−1)の作製
このアクリル系ゴム重合体(R−2)のラテックス(固形分量で90重量部)に、硬質シェル成分として、MMA9.0重量部、BA1.0重量部、およびクメンハイドロパーオキサイド0.03重量部の混合物を50℃で1時間にわたって連続的に添加した。添加終了後、クメンハイドロパーオキサイド0.01重量部を添加し、さらに1時間攪拌を続けて重合を完結させた。単量体成分の重合転化率は99.3%であった。上記により、ゴム重合体含量90重量%、硬質シェル含量10重量%のグラフト共重合体(b−1)のラテックスを得た。
(7)耐衝撃性改良剤(b)の作製
実施例1で記載した方法に準じて実施した。
(8)熱可塑性樹脂組成物の調製、成形体の調製、及び評価
実施例1のポリカーボネート樹脂を用いて実施例1に準じ、−50℃〜−20℃の測定温度における耐衝撃強度(1/8インチ厚み、Vノッチ、Izod)の評価を実施した。結果を表3に示す。
(比較例4)
実施例3におけるグラフト共重合体(b−1)の調製においてゴム量を75重量部に変更し、グラフト重合処方は実施例3で記載した量の(25/10)倍に変更した以外は実施例3と同様にしてグラフト共重合体を得た。上記で得られたグラフト共重合体を用い耐衝撃性改良剤を調製した以外は、実施例3に準じて耐衝撃強度を評価した。結果を表3に示す。
(比較例5)
実施例3においてアルギン酸ナトリウムを使用しない以外は実施例3と同様に耐衝撃性改良剤の作製を試みたが、樹脂が凝集して粉末を得ることができなかった。
Figure 2007332316
(実施例4)
実施例3で調製した耐衝撃性改良剤を用いた以外は、実施例2と同様に熱可塑性樹脂をポリブチレンテレフタレートに変更して、−5℃〜10℃の測定温度における耐衝撃強度(1/8インチ厚み、Vノッチ、Izod)の評価を実施した。結果を表4に示す。
(比較例6)
比較例4で調製した耐衝撃性改良剤を用いた以外は実施例4と同様にして耐衝撃強度を評価した。結果を表4に示す。
Figure 2007332316
表1〜4の結果より、本発明で規定する熱可塑性樹脂組成物は、幅広い温度領域において優れた耐衝撃性を発現できることがわかる。

Claims (4)

  1. (a)熱可塑性樹脂100重量部、並びに(b)耐衝撃性改良剤0.5〜35重量部を含有する熱可塑性樹脂組成物であって、(a)熱可塑性樹脂が、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアセタール樹脂およびこれらの樹脂のアロイから選ばれる1種以上であり、(b)耐衝撃性改良剤が、(b−1)ゴム重合体と硬質シェルを有するグラフト共重合体、(b−2)物理ゲルを形成する性質を有する水溶性高分子化合物、及び(b−3)ゲル化剤を含有するものであり、グラフト共重合体(b−2)中の硬質シェルの比率は1〜20重量%であり、(b−2)物理ゲルを形成する性質を有する水溶性高分子化合物の含有量が、グラフト共重合体(b−1)100重量部に対し0.01〜3.0重量部であることを特徴とする、熱可塑性樹脂組成物。
  2. 前記(b−1)グラフト共重合体におけるゴム重合体が、ブタジエン系ゴム重合体、アクリル系ゴム重合体、およびシリコーン系ゴム重合体から選ばれる1種以上であることを特徴とする、請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. 物理ゲルを形成する性質を有する水溶性高分子化合物(b−2)が、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、水溶性アルギン酸誘導体、寒天、ゼラチン、カラギーナン、グルコマンナン、ペクチン、カードラン、ジェランガムおよびポリアクリル酸誘導体から選ばれる1種以上であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  4. 前記ポリエステル樹脂が、ポリエチレンテレフタレートおよび/またはポリブチレンテレフタレートであることを特徴とする、請求項1乃至3に記載の熱可塑性樹脂組成物。
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