JP2007145932A - 耐衝撃性改良剤およびそれを用いた熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】配合量が少ない場合でも、耐候性を低下させることなく高い耐衝撃性を発現できる新規な耐衝撃性改良剤、およびそれを用いた熱可塑性樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】少なくとも1以上の(メタ)アクリレート系の軟質重合体相および最外層に硬質重合体相を有する体積平均粒子径が50〜200nmのグラフト共重合体(a−1)、少なくとも1以上の(メタ)アクリレート系の軟質重合体相および最外層に硬質重合体相を有する体積平均粒子径が250〜600nmのグラフト共重合体(a−2)、物理ゲルを形成する性質を有する水溶性高分子化合物(a−3)ならびにゲル化剤(a−4)を含有する耐衝撃性改良剤(a)であって、グラフト共重合体(a−1)および/または(a−2)中の最外層の硬質重合体相の比率が0.5〜10重量%であることを特徴とする、耐衝撃性改良剤、並びにそれを含有する熱可塑性樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、熱可塑性樹脂の衝撃強度を向上しうる耐候性耐衝撃性改良剤に関する。
熱可塑性樹脂の耐衝撃性を改良するために、乳化重合法や懸濁重合法で得られるグラフト共重合体を添加することが従来から広く利用されている。例えば、塩化ビニル系樹脂の場合、ジエン系またはアクリレート系のグラフト共重合体を配合することが知られているが(例えば、特許文献1参照)、特に特定の粒子径分布を有するグラフト共重合体を用いることにより、耐衝撃性を向上させうる技術が開示されている(例えば、特許文献2参照)。しかしながら、市場ではさらなる高耐衝撃化、低コスト化が切望されており、より卓越した耐衝撃性を発現できるグラフト共重合体の開発が望まれている。
一般にジエン系のグラフト共重合体を熱可塑性樹脂に配合して使用すると耐衝撃性は改良されるが、耐候性が悪いため製造された成形品を屋外で使用した場合には耐衝撃性が著しく低下するという欠点がある。それゆえ、屋外用途向けの耐衝撃性改良剤として、ジエン系グラフト共重合体の耐候性を改良し、かつ耐衝撃性を付与するため、アルキル(メタ)アクリレートを主体としたグラフト共重合体が提案されている(例えば、特許文献3参照)。しかしながら、(メタ)アクリレート系のゴムは、ジエン系のゴムに比べて耐衝撃性の改良効果が小さいことから、熱可塑性樹脂への配合量を多くする必要がある。前述したように、市場からは耐衝撃性改良剤であるグラフト共重合体の配合量をできる限り少なくすることが品質面あるいはコスト面から望まれており、その点を改良するための検討が必須となっている。
グラフト共重合体による熱可塑性樹脂への耐衝撃性付与効果を改良する方法は種々知られているが、中でも、グラフト共重合体中の軟質重合体相のガラス転移温度を下げる、あるいはグラフト共重合体中の軟質重合体相の重量比を上げる等、グラフト共重合体中の軟質成分の質および量を向上する方法が、その目的において効果的であることが知られている。特に、グラフト共重合体中の軟質成分の重量比を大幅に増加させることは、高度に耐衝撃性を付与するための効果的な方法であると思われる。
しかし、上記手法を用いた場合はグラフト共重合体粒子自体が粘着質となるため、乳化重合ラテックスあるいは懸濁重合スラリーからグラフト共重合体の粒子を粉体として回収する際に粗大化や塊状化が起こりうる。このような樹脂を熱可塑性樹脂に配合しても充分な耐衝撃性改良効果は得られず、さらに成形品の外観不良の原因にもなりうる。これは、粗大化や塊状化しやすい耐衝撃性改良剤は、熱可塑性樹脂に配合してブレンドする際に均一に混合されない、さらには粗大化や塊状化した耐衝撃性改良剤を熱可塑性樹脂に配合し加工しても充分に分散しないためであり、このような分散不良の現象は成形品の電子顕微鏡観察により確認されている。それゆえ、例えば、塩化ビニル系樹脂の場合は耐衝撃性改良剤を配合して加工する前に篩などにより粗大化や塊状化した粒子を取り除く工程が一般的に実施されている。
従って、産業上は、あらかじめ粗大粒子を取り除いた耐衝撃性改良剤製品が利用されており、耐衝撃性改良剤製造時に粗大粒子の量をできる限り少なくすることがコスト面からも有利なことから、グラフト共重合体中の軟質重合体相のガラス転移温度の制限やグラフト共重合体中の軟質重合体相の重量比の制限が必須とされている。
軟質重合体相の重量比が高く粉体流動性が良好な耐衝撃性改良剤を得るために、最内層ポリマーを特定の単量体組成とし、耐衝撃性改良剤の粒子径を特定の範囲に規定した技術が開示されている(例えば、特許文献4参照)。しかしこの方法では、軟質重合体相の重量比を高くすることができるものの、軟質重合体相の組成に制限があり、著しい耐衝撃性改良効果が期待できないことや、耐衝撃性改良剤の粒子径に制限があることで耐衝撃性以外の品質の低下が避けられない等の課題がある。
以上の如く、耐衝撃性向上と耐衝撃性改良剤添加による品質低下やコスト上昇という相反する両物性を高いレベルで満足させる熱可塑性樹脂の開発が、未だ期待され続けているのが現状である。
特公昭39−19035号公報 特開2001−323129号公報 特公昭51−28117号公報 韓国特許出願公開第2004−62761号明細書
本発明は、配合量が少ない場合でも、耐候性を低下させることなく高い耐衝撃性を発現させることができる新規な耐衝撃性改良剤、およびそれを用いた熱可塑性樹脂組成物を提供することを課題とする。
上記のような現状に鑑み、本発明者は、耐衝撃性以外の品質を維持したまま優れた耐衝撃性改良効果を得るべく鋭意検討を重ねた結果、特定の粒子径分布を有するグラフト共重合体(a−1)および(a−2)、物理ゲルを形成する性質を有する水溶性高分子化合物(a−3)およびゲル化剤(a−4)を含有する耐衝撃性改良剤を熱可塑性樹脂組成物に配合した場合、耐衝撃性改良剤の配合量が少なくても、耐候性を低下させることなく、高い耐衝撃性を発現できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち本発明は、少なくとも1以上の(メタ)アクリレート系の軟質重合体相および最外層に硬質重合体相を有する体積平均粒子径が50〜200nmのグラフト共重合体(a−1)、少なくとも1以上の(メタ)アクリレート系の軟質重合体相および最外層に硬質重合体相を有する体積平均粒子径が250〜600nmのグラフト共重合体(a−2)、物理ゲルを形成する性質を有する水溶性高分子化合物(a−3)ならびにゲル化剤(a−4)を含有する耐衝撃性改良剤(a)であって、グラフト共重合体(a−1)および/または(a−2)中の最外層の硬質重合体相の比率が0.5〜10重量%であることを特徴とする、耐衝撃性改良剤に関する。なお、本発明において(メタ)アクリルとは、特に断らない限り、アクリルおよび/またはメタクリルを意味するものとする。
好ましい実施態様は、前記グラフト共重合体(a−1)および/またはグラフト共重合体(a−2)が、内層に(メタ)アクリレート系軟質重合体相を有し、最外層に硬質重合体相を有することを特徴とする、前記の耐衝撃性改良剤に関する。
好ましい実施態様は、前記グラフト共重合体(a−1)および/またはグラフト共重合体(a−2)が、最内層に硬質重合体相を有し、中間層に(メタ)アクリレート系軟質重合体相を有し、最外層に硬質重合体相を有することを特徴とする、前記の耐衝撃性改良剤に関する。
好ましい実施態様は、前記グラフト共重合体(a−1)および/またはグラフト共重合体(a−2)が、最内層に(メタ)アクリレート系軟質重合体相を有し、中間層に硬質重合体相を有し、外層に(メタ)アクリレート系軟質重合体相を有し、最外層に硬質重合体相を有することを特徴とする、前記の耐衝撃性改良剤に関する。
好ましい実施態様は、前記グラフト共重合体(a−1)および/またはグラフト共重合体(a−2)における軟質重合体相が、(メタ)アクリル酸エステル50〜99.8重量%、芳香族ビニル単量体0〜49.8重量%、(メタ)アクリル酸エステルおよび芳香族ビニル単量体と共重合可能なビニル単量体0〜10重量%ならびに多官能性単量体0.2〜5重量%(ただし、これらの成分の合計は100重量%)を重合してなり、ガラス転移温度が20℃未満の軟質重合体相であることを特徴とする、前記何れかに記載の耐衝撃性改良剤に関する。
好ましい実施態様は、前記グラフト共重合体(a−1)および/またはグラフト共重合体(a−2)中の最外層の硬質重合体相の比率が0.5〜7重量%であることを特徴とする、前記何れかに記載の耐衝撃性改良剤に関する。
好ましい実施態様は、前記グラフト共重合体(a−1)および/またはグラフト共重合体(a−2)中の最外層の硬質重合体相の比率が0.5〜4重量%であることを特徴とする、前記何れかに記載の耐衝撃性改良剤に関する。
好ましい実施態様は、前記グラフト共重合体(a−1)および(a−2)の合計量に対し、グラフト共重合体(a−1)が5〜95重量%、グラフト共重合体(a−2)が95〜5重量%含まれることを特徴とする、前記何れかに記載の耐衝撃性改良剤に関する。
好ましい実施態様は、前記グラフト共重合体(a−1)およびグラフト共重合体(a−2)の合計100重量部に対し、前記物理ゲルを形成する性質を有する水溶性高分子化合物(a−3)を0.01〜3.0重量部含むことを特徴とする、前記何れかに記載の耐衝撃性改良剤に関する。
好ましい実施態様は、物理ゲルを形成する性質を有する水溶性高分子化合物(a−3)が、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、水溶性アルギン酸誘導体、寒天、ゼラチン、カラギーナン、グルコマンナン、ペクチン、カードラン、ジェランガム、およびポリアクリル酸誘導体から選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする、前記何れかに記載の耐衝撃性改良剤に関する。
好ましい実施態様は、物理ゲルを形成する性質を有する水溶性高分子化合物(a−3)が、水溶性アルギン酸誘導体であることを特徴とする、前記の耐衝撃性改良剤に関する。
好ましい実施態様は、ゲル化剤(a−4)が、無機塩および/または酸であることを特徴とする、前記いずれかに記載の耐衝撃性改良剤に関する。
本発明は、熱可塑性樹脂(b)100重量部に対し、前記何れかに記載の耐衝撃性改良剤(a)を0.5〜20重量部含有することを特徴とする、熱可塑性樹脂組成物に関する。
好ましい実施態様は、前記熱可塑性樹脂(b)が、塩化ビニル系樹脂であることを特徴とする、前記の熱可塑性樹脂組成物に関する。
本発明の耐衝撃性改良剤は粉体特性に優れており、当該耐衝撃性改良剤を用いた熱可塑性樹脂組成物は、耐衝撃性改良剤の配合量が少ない場合でも、耐候性を低下させることなく高い耐衝撃性を発現することができる。
本発明は、特定のグラフト共重合体(a−1)および特定のグラフト共重合体(a−2)からなる複数のグラフト共重合体、物理ゲルを形成する性質を有する水溶性高分子化合物(a−3)ならびにゲル化剤(a−4)を含有する耐衝撃性改良剤(a)に関する。以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に係るグラフト共重合体(a−1)は、体積平均粒子径が50〜200nmの範囲であることが好ましく、更には70〜180nmであることがより好ましい。本発明において、グラフト共重合体(a−1)は、それを含んだ成形体に衝撃が与えられた際の応力集中点としての役割を有するが、それのみならず成形体中におけるグラフト共重合体の粒子間距離を狭くすることにより、成形体における熱可塑性樹脂の微細な変形を効果的に持続させる役割も有している。グラフト共重合体(a−1)の体積平均粒子径が50nm未満である場合は、応力集中点としての働きがほとんどなくなり、耐衝撃性を発現しにくくなる場合がある。逆に、体積平均粒子径が200nmを超えるとグラフト共重合体の粒子間距離が広くなることから、耐衝撃性を発現しにくくなる場合がある。
一方、本発明に係るグラフト共重合体(a−2)は、体積平均粒子径が250〜600nmの範囲であることが好ましく、更には250〜500nmであることがより好ましい。本発明において、グラフト共重合体(a−2)は、同様に成形体に衝撃が与えられた際の強力な応力集中点として働き、成形体における熱可塑性樹脂の微細な変形を効果的に誘起させる役割を有する。グラフト共重合体(a−2)の体積平均粒子径が250nm未満である場合は、強力な応力集中点として効果的に働きにくくなる傾向があり、耐衝撃性を発現しにくくなる場合がある。逆に、体積平均粒子径が600nmを超えると応力集中点が少なくなりグラフト共重合体粒子間の距離が広がりすぎることから、同様に耐衝撃性を発現しにくくなる傾向がある。
なお、本発明において上記体積平均粒子径は、例えば、MICROTRAC UPA150(日機装株式会社製)を用いることにより測定することができる。
本発明の耐衝撃性改良剤において、グラフト共重合体(a−1)およびグラフト共重合体(a−2)を混合する方法としては特に制限はないが、例えば各々がラテックス状態での混合、一方がラテックスで他方がスラリー状態での混合、各々がスラリー状態での混合、各々が乾燥パウダー状態での混合などの方法が例示され、特に作業性、均一混合性等の観点から、各々がラテックス状態で混合する方法が好ましい。
本発明に係るグラフト共重合体(a−1)およびグラフト共重合体(a−2)の混合比率については、(a−1)/(a−2)の重量比率が95/5〜5/95であることが好ましく、更には85/15〜15/85であることがより好ましく、75/25〜25/75であることが特に好ましい。(a−1)/(a−2)の重量比率が95/5を超えると、熱可塑性樹脂の微細な変形を効果的に誘起させるために必要な応力集中点が少なくなりすぎるため、耐衝撃性を発現しにくくなる傾向がある。逆に、5/95を下回ると、熱可塑性樹脂の微細な変形を効果的に持続させるために必要な粒子間距離が広がりすぎるため、耐衝撃性を発現しにくくなる傾向がある。
本発明のグラフト共重合体(a−1)ならびにグラフト共重合体(a−2)は、所定の体積平均粒子径の範囲内である限り、組成、構造、製造方法等は以下のようにそれぞれ独立に設定することができる。
本発明に係るグラフト共重合体(a−1)ならびにグラフト共重合体(a−2)は、それぞれ少なくとも1以上の(メタ)アクリレート系軟質重合体相と、グラフト共重合体の最外層に硬質重合体相を含有するものであれば良いが、例えば、乳化重合法、懸濁重合法、マイクロサスペンション重合法、ミニエマルション重合法、水系分散重合法などにより製造されたグラフト共重合体を用いることができる。中でも、構造制御が容易である点から、乳化重合法により製造されたグラフト共重合体を好適に用いることができる。
なお、本発明において軟質重合体相における「軟質」とは、重合体のガラス転移温度(以下、Tgとも言う。)が20℃未満であることを意味するが、以下の観点から、軟質重合体のガラス転移温度は0℃未満であることが好ましく、更には−20℃未満であることがより好ましい。軟質重合体のガラス転移温度が20℃以上の場合は、本発明における耐衝撃性改良剤を塩化ビニル系樹脂などの熱可塑性樹脂と配合した際に、軟質重合体成分の衝撃吸収能力が低下し、顕著な耐衝撃性改良効果が得られにくくなる場合がある。
一方、本発明において硬質重合体相における「硬質」とは、重合体のガラス転移温度が20℃以上であることを意味するが、以下の観点から、硬質重合体のガラス転移温度は30℃以上であることが好ましく、更には50℃以上であることがより好ましい。硬質重合体のガラス転移温度が20℃未満の場合は、本発明における耐衝撃性改良剤を塩化ビニル系樹脂などの熱可塑性樹脂と配合した際に、熱可塑性樹脂との相溶性が低下し、顕著な耐衝撃性改良効果が得られにくくなる場合があり、またグラフト共重合体粒子の粗大化や塊状化が起こりやすくなる場合がある。
なお重合体のガラス転移温度は、例えば、示差走査熱量計により測定することができるが、本発明においては、ポリマ−ハンドブック[POLYMER HANDBOOK FOURTH EDITION(J. Brandrup, WILEY−INTERSCIENCE,1999)]に記載されている値を使用することとする(例えば、メチルメタクリレートのガラス転移温度は105℃であり、ポリブチルアクリレートは−49℃である)。
本発明のグラフト共重合体(a−1)およびグラフト共重合体(a−2)における軟質重合体相と硬質重合体相については、少なくとも1以上の(メタ)アクリレート系軟質重合体相と、最外層に硬質重合体相を含有する限り特に制限はないが、具体的には、グラフト共重合体(a−1)および/またはグラフト共重合体(a−2)が、1)内層に(メタ)アクリレート系軟質重合体相を有し、最外層に硬質重合体相を有する多層構造、2)最内層に硬質重合体相を有し、中間層に(メタ)アクリレート系軟質重合体相を有し、最外層に硬質重合体相を有する多層構造、3)最内層に(メタ)アクリレート系軟質重合体相を有し、中間層に硬質重合体相を有し、外層に(メタ)アクリレート系軟質重合体相を有し、最外層に硬質重合体相を有する多層構造などをであることが好ましい。上記2)の最内層、または3)の中間層に硬質重合体を有するグラフト重合体は、特に良好な加工性や成形体表面光沢が必要な場合に好ましく使用することができる。これらは、適宜1種または2種以上を併用して用いることができる。
上記の多層構造については、例えば、内層に軟質重合体相を有し、外層に硬質重合体相を有する場合について説明すると、内層の軟質重合体相を外層の硬質重合体が完全に被覆した層構造が一般的であるが、軟質重合体相と硬質重合体相の重量比等によっては、層構造を形成するための硬質重合体量が不充分な場合もありうる。そのような場合は、完全な層構造である必要はなく、内層である軟質重合体相の一部を外層となる硬質重合体相が被覆した構造、或いは内層である軟質重合体相の一部に外層となる硬質重合体がグラフト重合した構造も好適に用いることができる。なお上記多層構造の概念は、例えば、最内層に硬質重合体相を有し、中間層に軟質重合体相を有し、最外層に硬質重合体相を有する多層構造などの場合についても同様に当てはまる。
前記グラフト共重合体(a−1)ならびにグラフト共重合体(a−2)における軟質重合体相としては、(メタ)アクリレート系の軟質重合体であれば特に制限されず、グラフト共重合体中に1若しくは2以上存在しても良い。ただし本発明において(メタ)アクリレート系とは、その組成において(メタ)アクリル酸エステル単位が50重量%以上を占めることを意味する。中でも、前記(メタ)アクリレート系軟質重合体としては、得られる熱可塑性樹脂組成物の耐衝撃性に代表される品質の観点から、例えば、(メタ)アクリル酸エステル50〜99.8重量%、芳香族ビニル単量体0〜49.8重量%、(メタ)アクリル酸エステルおよび芳香族ビニル単量体と共重合可能なビニル単量体0〜10重量%ならびに多官能性単量体0.2〜5重量%(ただし、これらの成分の合計は100重量%)を重合してなり、ガラス転移温度が20℃未満の軟質重合体であることが特に好ましい。
さらに前記軟質重合体の構造は、耐衝撃性を高度に改良する観点から、一般に応力集中度の増大効果が高いことが知られている、例えば、内部に中空部分、あるいは凝集部分を有する構造が好適に使用されうる。更には、高い耐衝撃性の改良効果と成形体の表面光沢や抗張力等の物性とを両立させる観点から、軟質重合体相は、例えば、ガラス転移温度が異なる重合体相からなる多層構造、あるいは多層構造と内部に中空部分、あるいは凝集構造とを組み合わせた構造が好適に使用されうる。
前記グラフト共重合体(a−1)ならびにグラフト共重合体(a−2)における最外層の硬質重合体相としては特に制限されないが、熱可塑性樹脂へのグラフト共重合体の分散性の観点から、例えば、(メタ)アクリル酸エステル0〜100重量%、芳香族ビニル単量体0〜90重量%、シアン化ビニル単量体0〜25重量%、多官能性単量体0〜5重量%、ならびに(メタ)アクリル酸エステル、芳香族ビニル単量体、シアン化ビニル単量体および多官能性単量体と共重合可能なビニル単量体0〜20重量%からなる単量体混合物(ただし、これらの成分の合計は100重量%)を重合してなるガラス転移温度20℃以上の硬質重合体が好適に例示されうる。
前記グラフト共重合体(a−1)ならびにグラフト共重合体(a−2)が、例えば最内層に硬質重合体相を有し、中間層に軟質重合体相を有し、最外層に硬質重合体相を有するグラフト共重合体である場合などにおける最外層ではない(この場合は、最内層)硬質重合体相としては、例えば、メタクリル酸エステル40〜100重量%、アクリル酸エステル0〜60重量%、芳香族ビニル単量体0〜60重量%、多官能性単量体0〜10重量%、ならびにメタクリル酸エステル、アクリル酸エステル、芳香族ビニル単量体および多官能性単量体と共重合可能なビニル単量体0〜20重量%からなる単量体混合物(ただし、これらの成分の合計は100重量%)を重合してなるガラス転移温度20℃以上の硬質重合体が好適に例示されうる。
上記したグラフト共重合体は、熱可塑性樹脂に配合することにより、高い耐衝撃性を発現させうるだけでなく、耐候性や成形体の表面光沢に代表される物性を低下させない熱可塑性樹脂を得ることができる。
上記したグラフト共重合体の一般的な製造方法は、例えば、特開2002−363372号公報、特開2003−119396号公報、特開平9−286830号公報等に詳細に記述されているが、これらに限定されるものではない。
本発明で用いることのできるグラフト共重合体(a−1)ならびにグラフト共重合体(a−2)は、上記の重合体に限定されるものではなく、例えば、次の単量体群から選ばれた1種または2種以上の単量体を主とする単量体組成物を共重合またはグラフト重合させた重合体の単独または混合物からなる重合体を、軟質重合体および硬質重合体として用いることができる。
上記単量体群としては、例えば、(1)メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、ドデシルアクリレート、ステアリルアクリレート、ベヘニルアクリレート等のアルキル基を有するアルキルアクリレート類、4−ヒドロキシブチルアクリレート等のヒドロキシル基を有するアルキルアクリレート類、あるいはアルコキシル基を有するアルキルアクリレート類、(2)メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、ベヘニルメタクリレート等のアルキル基を有するアルキルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート等のヒドロキシル基を有するアルキルメタクリレート類、あるいはアルコキシル基を有するアルキルメタクリレート類、(3)スチレン、α−メチルスチレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン等のビニルアレーン類、(4)アクリル酸、メタクリル酸等のビニルカルボン酸類、(5)アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニルシアン類、(6)塩化ビニル、臭化ビニル、クロロプレン等のハロゲン化ビニル類、(7)酢酸ビニル、(8)エチレン、プロピレン、ブチレン、ブタジエン、イソブチレン等のアルケン類、(9)アリルメタクリレート、ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、モノエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ジビニルベンゼン、グリシジルメタクリレート等の多官能性単量体が例示されうる。
中でも、グラフト共重合体(a−1)ならびにグラフト共重合体(a−2)における軟質重合体相は、高度に耐衝撃性を改良できる観点から、アルキル基が1〜22の炭素原子を含有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル、アルキル基が1〜22の炭素原子を含有しヒドロキシル基を含有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル、アルキル基が1〜22の炭素原子を含有しアルコキシル基を含有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルから選ばれる1以上の(メタ)アクリル酸アルキルエステル50〜99.8重量%、芳香族ビニル単量体0〜49.8重量%、(メタ)アクリル酸アルキルエステルおよび芳香族ビニル単量体と共重合可能なビニル単量体0〜10重量%ならびに多官能性単量体0.2〜5重量%を重合したものであることが好ましい。
前記のアルキル(メタ)アクリレート類の炭素数については特に制限はないが、例えば炭素数が22を超えると重合性が劣る場合があるため、炭素数が22以下のアルキル(メタ)アクリレート類が好適に使用され得る。さらに好ましくは(メタ)アクリレート系耐衝撃性改良剤の軟質重合相として汎用的に用いられている、炭素数が12以下のアルキル(メタ)アクリレート類が好適に使用され得る。具体的には、前記グラフト共重合体(a−1)ならびにグラフト共重合体(a−2)における軟質重合体相が、アルキル基が1〜12の炭素原子を含有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル、アルキル基が1〜12の炭素原子を含有しヒドロキシル基を含有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル、アルキル基が1〜12の炭素原子を含有しアルコキシル基を含有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルから選ばれる1以上の(メタ)アクリル酸アルキルエステル50〜99.8重量%、芳香族ビニル単量体0〜49.8重量%、(メタ)アクリル酸アルキルエステルおよび芳香族ビニル単量体と共重合可能なビニル単量体0〜10重量%ならびに多官能性単量体0.2〜5重量%を重合したものが好適に使用されうる。
なお、本発明のグラフト共重合体(a−1)ならびにグラフト共重合体(a−2)における軟質重合体の形成に用いる前記多官能性単量体(架橋剤および/またはグラフト交叉剤)の使用量は、耐衝撃性を改良する観点から、軟質重合体に対し、0.2〜5重量%であることが好ましく、0.2〜2重量%であることがより好ましい。グラフト共重合体(a−1)ならびにグラフト共重合体(a−2)における軟質重合体の形成に用いる多官能性単量体の使用量が5重量%を超えると耐衝撃性改良効果が発現しにくくなる傾向にある。一方、グラフト共重合体(a−1)ならびにグラフト共重合体(a−2)における軟質重合体の形成に用いる多官能性単量体の使用量が、0.2重量%未満の場合は、成形中に耐衝撃性改良剤が形状を維持できない可能性があり、耐衝撃性改良効果が発現しにくくなる傾向にある。但し、軟質重合体相が多層構造であり、かつ、最外層の硬質重合体相に接していない層においては、軟質重合体相全体の多官能性単量体の使用量が0.2〜5重量%である限りは、多官能性単量体の使用量は0重量%であっても問題ない。
本発明におけるグラフト共重合体(a−1)ならびにグラフト共重合体(a−2)中の軟質重合体相/硬質重合体相の重量比には特に制限はないが、本発明においては、グラフト共重合体(a−1)および/またはグラフト共重合体(a−2)中における最外層の硬質重合体相の比率が0.5〜10重量%であることが必要であり、更には0.5〜7重量%であることがより好ましく、0.5〜4重量部であることが特に好ましい。グラフト共重合体(a−1)および/またはグラフト共重合体(a−2)中における最外層の硬質重合体相の重量比率が10重量%を越える場合は、耐衝撃性改良効果が劣る傾向がある。一方、グラフト共重合体(a−1)および/またはグラフト共重合体(a−2)中の最外層の硬質重合体相の重量比率が0.5重量%未満の場合は、例えば、塩化ビニル系樹脂などの熱可塑性樹脂の耐衝撃性改良剤として用いた際に、グラフト共重合体(a−1)および/またはグラフト共重合体(a−2)と熱可塑性樹脂との相溶性が低下するため、耐衝撃性改良効果が得られにくくなる傾向にある。なお、耐衝撃性改良の観点から、グラフト共重合体(a−1)およびグラフト共重合体(a−2)中における最外層の硬質重合体相の比率は、共に上記範囲内であることが好ましい。
本発明の耐衝撃性改良剤においては、グラフト共重合体(a−1)ならびにグラフト共重合体(a−2)と共に、物理ゲルを形成する性質を有する水溶性高分子化合物(a−3)を含有させる。本発明において物理ゲルとは、高分子間の水素結合やイオン結合あるいはキレート形成などによって形成される物理的橋架けによるゲルを意味する。また、物理ゲルを形成する性質を有するとは、水溶性高分子化合物単独の水溶液に、無機塩や酸等のゲル化剤の添加により、粘性流体(ゾル)から弾性体(ゲル)への変化が視覚的にとらえられることを意味し、本発明において、物理ゲルを形成する性質を有する水溶性高分子化合物(a−3)とは、上記性質を有する水溶性高分子化合物と定義する。
本発明で用いることのできる物理ゲルを形成する性質を有する水溶性高分子化合物(a−3)としては上記性質を発現できるものであれば特に制限はないが、例えば、次の群から選ばれた1種または2種以上の混合物からなる水溶性高分子化合物を用いることができる。例えば、メチルセルロース,ヒドロキシエチルメチルセルロース,ヒドロキシプロピルメチルセルロース,カルボキシメチルセルロース等の水溶性セルロース誘導体、アルギン酸,アルギン酸ナトリウム,アルギン酸カリウム,アルギン酸アンモニウム等の水溶性アルギン酸誘導体、寒天、ゼラチン、カラギーナン、グルコマンナン、ペクチン、カードラン、ジェランガム、およびポリアクリル酸誘導体等が例示され得る。本発明においては、その目的を達成する意味において、これらの中でも水溶性セルロース誘導体若しくは水溶性アルギン酸誘導体がより好ましく、中でも水溶性アルギン酸誘導体が最も好ましく使用され得る。
なお、上記水溶性アルギン酸誘導体中のマンヌロン酸とグルロン酸の比率には特に制限はないが、グルロン酸比率が高いほど物理ゲルの形成能力が高くなる傾向にあるため好ましく、通常は水溶性アルギン酸誘導体中のグルロン酸比率が5重量%以上、より好ましくは30重量%以上である。また、上記水溶性アルギン酸誘導体に代表される水溶性高分子化合物の分子量には特に制限はないが、製造時の移液性の点から、B型粘度計により測定した1.0重量%濃度における水溶液の粘度が2〜22000mPa・sであることが好ましく、2〜1000mPa・sであることがより好ましい。
本発明の耐衝撃性改良剤における物理ゲルを形成する性質を有する水溶性高分子化合物(a−3)の含有量は、グラフト共重合体(a−1)およびグラフト共重合体(a−2)の合計100重量部に対し、0.01〜3.0重量部であることが好ましく、更には0.05〜1.8重量部であることがより好ましい。物理ゲルを形成する性質を有する水溶性高分子化合物(a−3)の含有量が0.01重量部よりも少ない場合は、本発明の耐衝撃性改良剤を回収する際に粗大化や塊状化が起こりやすくなる傾向にある。逆に、物理ゲルを形成する性質を有する水溶性高分子化合物(a−3)の含有量が3.0重量部よりも多い場合は、耐衝撃性改良剤を回収する際の粗大化や塊状化の抑制効果は向上するものの、耐衝撃性改良剤に多量の水溶性高分子化合物(それに由来する物質を含む)が残存してしまい、耐衝撃性改良効果や成形加工時の熱安定性等の品質が低下する場合がある。
本発明において使用され得るゲル化剤(a−4)としては、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、臭化ナトリウム、臭化カリウム、臭化リチウム、よう化カリウム、よう化リチウム、硫酸カリウム、硫酸アンモニウム、硫酸ナトリウム、塩化アンモニウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウム、塩化カルシウム、硫酸第一鉄、硫酸マグネシウム、硫酸亜鉛、硫酸銅、硫酸カドミウム、塩化バリウム、塩化第一鉄、塩化マグネシウム、塩化第二鉄、硫酸第二鉄、硫酸アルミニウム、カリウムミョウバン、鉄ミョウバン等の無機塩類、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸類、酢酸、蟻酸等の有機酸類、および酢酸ナトリウム、酢酸カルシウム、蟻酸ナトリウム、蟻酸カルシウム等の有機酸の塩類を単独または混合したものを用いることができる。これらの中でも、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸アンモニウム、硫酸ナトリウム、塩化アンモニウム、塩化カルシウム、硫酸第一鉄、硫酸マグネシウム、硫酸亜鉛、硫酸銅、硫酸カドミウム、塩化バリウム、塩化第一鉄、塩化マグネシウム、塩化第二鉄、硫酸第二鉄、硫酸アルミニウム、カリウムミョウバン、鉄ミョウバン等の無機塩類、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸類、酢酸、蟻酸等の有機酸類を、単独または2種以上混合したものが好適に使用され得る。
なお本発明において、物理ゲルを形成する性質を有する水溶性高分子化合物(a−3)として水溶性アルギン酸誘導体を用いる場合は、ゲル化剤(a−4)として、塩化カルシウム、硫酸第一鉄、塩化第一鉄、塩化第二鉄、硫酸第二鉄、硫酸アルミニウムなどが好適に使用され得る。
本発明におけるゲル化剤(a−4)の添加量には特に制限はないが、例えば、クラフト共重合体ラテックスに物理ゲルを形成する性質を有する水溶性高分子化合物を添加し、これにゲル化剤を作用させて耐衝撃性改良剤を回収する場合は、ゲル化剤(a−4)の大部分を耐衝撃性改良剤回収時における水洗工程により洗い流すことが可能なことから、グラフト共重合体(a−1)およびグラフト共重合体(a−2)の合計100重量部に対し、ゲル化剤(a−4)が0.001重量部以上、1重量部未満の範囲で残留していることが好ましく、更には0.01〜0.5重量部の範囲であることがより好ましい。グラフト共重合体(a−1)およびグラフト共重合体(a−2)中のゲル化剤(a−4)の残留量が1重量部を超える場合には、例えば、耐衝撃性改良剤を塩化ビニル系樹脂に配合し、成形する際の加工性が変化する可能性があり、高い耐衝撃性改良効果が発現しにくくなる傾向があるだけでなく、成形体が黄変するなどの問題を引き起こす可能性がある。
なお、前記の耐衝撃性改良剤回収時のゲル化剤(a−4)の使用量は、グラフト共重合体(a−1)およびグラフト共重合体(a−2)の合計100重量部に対するゲル化剤(a−4)の残留量が0.001重量部以上、1重量部未満であれば特に制限はないが、回収の容易さ、および製造コストの観点から、グラフト共重合体(a−1)およびグラフト共重合体(a−2)の合計100重量部に対し0.2〜20重量部が好ましく、更には1〜10重量部がより好ましい。
本発明において、耐衝撃性改良剤(a)中に物理ゲルを形成する性質を有する水溶性高分子化合物(a−3)およびそのゲル化剤(a−4)を含有させる目的は、(1)グラフト共重合体凝固粒子中に非粘着性の物理ゲルが共存することにより、回収途中の凝固粒子の耐ブロッキング性および凝固粒子形態保持性(凝固粒子への弾性の付与)を向上させることができる、(2)凝固粒子を乾燥した後においても、凝固粒子中に非粘着性の物理ゲルの乾燥物が共存することにより、凝固粒子の耐ブロッキング性および凝固粒子形態保持性(凝固粒子への弾性の付与)を向上させ、粗大化や塊状化を抑制できるためである。
また、本発明にはさらに耐衝撃性改良効果等の品質と粗大化や塊状化を抑制する効果をより高いレベルで満足させることが可能となる点から、適宜融着防止剤を使用することができる。この融着防止剤としては、例えば、陰イオン性界面活性剤の多価金属塩、架橋ポリマーおよび/またはシリコンオイルが好適に使用され得る。
本発明におけるグラフト共重合体凝固粒子、即ち耐衝撃性改良剤の体積平均粒子径は、粗大化あるいは塊状化しない限り特に制限はなく、製品である乾燥後の粉粒体の供給形態に合わせ任意に調整することができるが、例えば、塩化ビニル系樹脂の場合には、通常はMICROTRAC FRA−SVRSC(日機装株式会社製)により測定した体積平均粒子径が50μm〜1.0mmの範囲内であることが好ましく、75μm〜750μmであることがより好ましい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物においては、例えば、塩化ビニル系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、カーボネート系樹脂、アミド系樹脂、エステル系樹脂、オレフィン系樹脂などを熱可塑性樹脂(b)として好適に使用することが可能である。しかし、これらに限定されるものではない。中でも、本発明の耐衝撃性改良剤は、特に塩化ビニル系樹脂の耐衝撃性改良剤として用いた場合に、優れた効果を発現しうることから、塩化ビニル系樹脂であることが好ましい。なお、本発明において塩化ビニル系樹脂とは、塩化ビニルホモポリマー、または塩化ビニルから誘導された単位を少なくとも70重量%含有する共重合体を意味する。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、少量の配合でも優れた耐衝撃性を発現できる耐衝撃性改良剤(a)を用いることから、従来では達成が困難であった優れた物性およびコストバランスを達成することが可能となる。熱可塑性樹脂組成物中の耐衝撃性改良剤(a)の含有量は特に限定されないが、品質面およびコスト面から0.5〜20重量部であることが望ましく、0.5〜10重量部がより好ましく、1〜6.5重量部であることが特に好ましく、1.5〜5.5重量部であることが最も好ましい。熱可塑性樹脂組成物中の耐衝撃性改良剤の含有量が、20重量部を超えた場合には耐衝撃改良効果は充分であるが、耐衝撃性以外の品質が低下する可能性があることやコストが上昇する場合がある。一方、熱可塑性樹脂組成物中の耐衝撃改良剤(a)の含有量が0.5重量部未満の場合は、充分な耐衝撃性改良効果が得られにくくなる場合がある。
また、本発明の熱可塑性樹脂組成物には、必要に応じて、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、顔料、帯電防止剤、滑剤、加工助剤等の添加剤を適宜添加することができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物を製造する方法としては特に限定はなく、公知の方法を採用することができる。例えば、熱可塑性樹脂(b)および耐衝撃性改良剤(a)等を予めヘンシェルミキサー、タンブラーなどを用いて混合した後、単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、加熱ロールなどを用いて溶融混練することにより樹脂組成物を得る方法などを採用することができる。
次に本発明を実施例に基づいて更に詳細に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
(製造例1)
グラフト共重合体Aの作製
温度計、攪拌機、還流冷却器、窒素流入口、単量体と乳化剤の添加装置を有するガラス反応器に、脱イオン水180重量部、ラウリル硫酸ナトリウム0.5重量部を仕込み、窒素気流中で攪拌しながら50℃に昇温した。次にブチルアクリレート(以下、BAとも言う)8.96重量部、アリルメタクリレート(以下、ALMAとも言う)0.04重量部、クメンハイドロパーオキサイド0.01重量部の混合物を仕込み、その10分後にエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム0.01重量部と硫酸第一鉄・7水和塩0.005重量部を蒸留水5重量部に溶解した混合液、およびホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム0.2重量部を仕込んだ。1時間攪拌後、そこにBA83.16重量部、ALMA0.84重量部およびクメンハイドロパーオキサイド0.1重量部からなる単量体の混合物を5時間を要して滴下した。また、前記の単量体混合物の添加とともに、1重量部のラウリル硫酸ナトリウムを5重量%濃度の水溶液にしたものを5時間にわたり連続的に追加した。単量体混合物添加終了後、0.5時間攪拌を続けた。このアクリレート系軟質重合体に、硬質重合体成分として、メチルメタクリレート(以下、MMAとも言う)7.0重量部、およびクメンハイドロパーオキサイド0.01重量部の混合物を50℃で15分間にわたって連続的に添加した。添加終了後、クメンハイドロパーオキサイド0.01重量部を添加し、さらに1時間攪拌を続けて重合を完結させた。単量体成分の重合転化率は98.8%であった。上記により、軟質重合体(Tg:−54℃)含量93重量%、最外層の硬質重合体(Tg:105℃)含量7重量%のグラフト共重合体Aのラテックスを得た。MICROTRAC UPA150(日機装株式会社製)(以下、UPAとも言う)により測定した体積平均粒子径は80nmであった。
(製造例2)
グラフト共重合体Bの作製
温度計、攪拌機、還流冷却器、窒素流入口、単量体と乳化剤の添加装置を有するガラス反応器に、脱イオン水180重量部、ラウリル硫酸ナトリウム0.02重量部を仕込み、窒素気流中で攪拌しながら50℃に昇温した。次にBA8.96重量部、ALMA0.04重量部、クメンハイドロパーオキサイド0.01重量部の混合物を仕込み、その10分後にエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム0.01重量部と硫酸第一鉄・7水和塩0.005重量部を蒸留水5重量部に溶解した混合液、およびホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム0.2重量部を仕込んだ。1時間攪拌後、そこにBA85.14重量部、ALMA0.86重量部およびクメンハイドロパーオキサイド0.1重量部からなる単量体の混合物を5時間を要して滴下した。また、前記の単量体混合物の添加とともに、1重量部のラウリル硫酸ナトリウムを5重量%濃度の水溶液にしたものを5時間にわたり連続的に追加した。単量体混合物添加終了後、0.5時間攪拌を続けた。このアクリレート系軟質重合体に、硬質重合体成分として、MMA5.0重量部、およびクメンハイドロパーオキサイド0.01重量部の混合物を50℃で15分間にわたって連続的に添加した。添加終了後、クメンハイドロパーオキサイド0.01重量部を添加し、さらに1時間攪拌を続けて重合を完結させた。単量体成分の重合転化率は98.5%であった。上記により、軟質重合体(Tg:−54℃)含量95重量%、最外層の硬質重合体(Tg:105℃)含量5重量%のグラフト共重合体Bのラテックスを得た。UPAにより測定した体積平均粒子径は400nmであった。
(製造例3)
グラフト共重合体Cの作製
温度計、攪拌機、還流冷却器、窒素流入口、単量体と乳化剤の添加装置を有するガラス反応器に、脱イオン水180重量部、ラウリル硫酸ナトリウム0.1重量部を仕込み、窒素気流中で攪拌しながら50℃に昇温した。次にBA8.96重量部、ALMA0.04重量部、クメンハイドロパーオキサイド0.01重量部の混合物を仕込み、その10分後にエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム0.01重量部と硫酸第一鉄・7水和塩0.005重量部を蒸留水5重量部に溶解した混合液、およびホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム0.2重量部を仕込んだ。1時間攪拌後、そこにBA87.665重量部、ALMA1.335重量部およびクメンハイドロパーオキサイド0.1重量部からなる単量体の混合物を5時間を要して滴下した。また、前記の単量体混合物の添加とともに、1重量部のラウリル硫酸ナトリウムを5重量%濃度の水溶液にしたものを5時間にわたり連続的に追加した。単量体混合物添加終了後、0.5時間攪拌を続けた。このアクリレート系軟質重合体に、硬質重合体成分として、MMA2.0重量部、およびクメンハイドロパーオキサイド0.01重量部の混合物を50℃で15分間にわたって連続的に添加した。添加終了後、クメンハイドロパーオキサイド0.01重量部を添加し、さらに1時間攪拌を続けて重合を完結させた。単量体成分の重合転化率は98.5%であった。上記により、軟質重合体(Tg:−54℃)含量98重量%、最外層の硬質重合体(Tg:105℃)含量2重量%のグラフト共重合体Cのラテックスを得た。UPAにより測定した体積平均粒子径は180nmであった。
(製造例4)
グラフト共重合体Dの作製
温度計、攪拌機、還流冷却器、窒素流入口、単量体と乳化剤の添加装置を有するガラス反応器に、脱イオン水180重量部、ラウリル硫酸ナトリウム0.01重量部を仕込み、窒素気流中で攪拌しながら50℃に昇温した。次に2−エチルヘキシルアクリレート(以下、2−EHAとも言う)8.955重量部、ALMA0.045重量部、クメンハイドロパーオキサイド0.01重量部の混合物を仕込み、その10分後にエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム0.01重量部と硫酸第一鉄・7水和塩0.005重量部を蒸留水5重量部に溶解した混合液、およびホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム0.2重量部を仕込んだ。1時間攪拌後、そこに2−EHA50.745重量部、ALMA0.255重量部およびクメンハイドロパーオキサイド0.07重量部からなる単量体の混合物を3.5時間を要して滴下した。また、前記の単量体混合物の添加とともに、0.7重量部のラウリル硫酸ナトリウムを5重量%濃度の水溶液にしたものを3.5時間にわたり連続的に追加した。単量体混合物添加終了後、0.5時間攪拌を続けた。さらにBA37.81重量部、ALMA0.19重量部およびクメンハイドロパーオキサイド0.03重量部からなる単量体の混合物を1.5時間を要して滴下した。また、前記の単量体混合物の添加とともに、0.3重量部のラウリル硫酸ナトリウムを5重量%濃度の水溶液にしたものを1.5時間にわたり連続的に追加した。単量体混合物添加終了後、0.5時間攪拌を続けた。このアクリレート系軟質重合体に、硬質重合体成分として、MMA2.0重量部、およびクメンハイドロパーオキサイド0.01重量部の混合物を50℃で10分間にわたって連続的に添加した。添加終了後、クメンハイドロパーオキサイド0.01重量部を添加し、さらに1時間攪拌を続けて重合を完結させた。単量体成分の重合転化率は99.2%であった。上記により、第一の軟質重合体(Tg:−50℃)、第二の軟質重合体(Tg:−49℃)の軟質重合体合計含量98重量%、最外層の硬質重合体(Tg:105℃)含量2重量%のグラフト共重合体Dのラテックスを得た。UPAにより測定した体積平均粒子径は580nmであった。
(製造例5)
グラフト共重合体Eの作製
温度計、攪拌機、還流冷却器、窒素流入口、単量体と乳化剤の添加装置を有するガラス反応器に、脱イオン水180重量部、ラウリル硫酸ナトリウム0.15重量部を仕込み、窒素気流中で攪拌しながら50℃に昇温した。次に2−EHA9.95重量部、ALMA0.05重量部、クメンハイドロパーオキサイド0.01重量部の混合物を仕込み、その10分後にエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム0.01重量部と硫酸第一鉄・7水和塩0.005重量部を蒸留水5重量部に溶解した混合液、およびホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム0.2重量部を仕込んだ。1時間攪拌後、そこにBA85.57重量部、ALMA0.43重量部およびクメンハイドロパーオキサイド0.1重量部からなる単量体の混合物を5時間を要して滴下した。また、前記の単量体混合物の添加とともに、1.0重量部のラウリル硫酸ナトリウムを5重量%濃度の水溶液にしたものを5時間にわたり連続的に追加した。単量体混合物添加終了後、0.5時間攪拌を続けた。このアクリレート系軟質重合体に、硬質重合体成分として、MMA4.0重量部、およびクメンハイドロパーオキサイド0.01重量部の混合物を50℃で15分間にわたって連続的に添加した。添加終了後、クメンハイドロパーオキサイド0.01重量部を添加し、さらに1時間攪拌を続けて重合を完結させた。単量体成分の重合転化率は98.9%であった。上記により、第一の軟質重合体(Tg:−50℃)、第二の軟質重合体(Tg:−49℃)の軟質重合体合計含量96重量%、最外層の硬質重合体(Tg:105℃)含量4重量%のグラフト共重合体Eのラテックスを得た。UPAにより測定した体積平均粒子径は120nmであった。
(製造例6)
グラフト共重合体Fの作製
温度計、攪拌機、還流冷却器、窒素流入口、単量体と乳化剤の添加装置を有するガラス反応器に、脱イオン水180重量部、ラウリル硫酸ナトリウム0.02重量部を仕込み、窒素気流中で攪拌しながら50℃に昇温した。次にMMA8.955重量部、ALMA0.045重量部、クメンハイドロパーオキサイド0.01重量部の混合物を仕込み、その10分後にエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム0.01重量部と硫酸第一鉄・7水和塩0.005重量部を蒸留水5重量部に溶解した混合液、およびホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム0.2重量部を仕込んだ。1時間攪拌後、そこにMMA5.91重量部、ALMA0.09重量部およびクメンハイドロパーオキサイド0.01重量部からなる単量体の混合物を0.5時間を要して滴下した。また、前記の単量体混合物の添加とともに、0.1重量部のラウリル硫酸ナトリウムを5重量%濃度の水溶液にしたものを0.5時間にわたり連続的に追加した。単量体混合物添加終了後、0.5時間攪拌を続けた。さらにBA81.59重量部、ALMA0.41重量部およびクメンハイドロパーオキサイド0.09重量部からなる単量体の混合物を4.5時間を要して滴下した。また、前記の単量体混合物の添加とともに、0.9重量部のラウリル硫酸ナトリウムを5重量%濃度の水溶液にしたものを4.5時間にわたり連続的に追加した。単量体混合物添加終了後、0.5時間攪拌を続けた。この(メタ)アクリレート系軟質重合体に、硬質重合体成分として、MMA3.0重量部、およびクメンハイドロパーオキサイド0.01重量部の混合物を50℃で15分間にわたって連続的に添加した。添加終了後、クメンハイドロパーオキサイド0.01重量部を添加し、さらに1時間攪拌を続けて重合を完結させた。単量体成分の重合転化率は98.2%であった。上記により、最内層の硬質重合体(Tg:105℃)含量15重量%、中間層の軟質重合体(Tg:−49℃)の軟質重合体含量82重量%、最外層の硬質重合体(Tg:105℃)含量3重量%のグラフト共重合体Fのラテックスを得た。UPAにより測定した体積平均粒子径は300nmであった。
(製造例7)
グラフト共重合体Gの作製
温度計、攪拌機、還流冷却器、窒素流入口、単量体と乳化剤の添加装置を有するガラス反応器に、脱イオン水180重量部、ラウリル硫酸ナトリウム1.0重量部を仕込み、窒素気流中で攪拌しながら50℃に昇温した。次にBA8.96重量部、ALMA0.04重量部、クメンハイドロパーオキサイド0.01重量部の混合物を仕込み、その10分後にエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム0.01重量部と硫酸第一鉄・7水和塩0.005重量部を蒸留水5重量部に溶解した混合液、およびホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム0.2重量部を仕込んだ。1時間攪拌後、そこにBA85.14重量部、ALMA0.86重量部およびクメンハイドロパーオキサイド0.1重量部からなる単量体の混合物を5時間を要して滴下した。また、前記の単量体混合物の添加とともに、1重量部のラウリル硫酸ナトリウムを5重量%濃度の水溶液にしたものを5時間にわたり連続的に追加した。単量体混合物添加終了後、0.5時間攪拌を続けた。このアクリレート系軟質重合体に、硬質重合体成分として、MMA5.0重量部、およびクメンハイドロパーオキサイド0.01重量部の混合物を50℃で15分間にわたって連続的に添加した。添加終了後、クメンハイドロパーオキサイド0.01重量部を添加し、さらに1時間攪拌を続けて重合を完結させた。単量体成分の重合転化率は98.3%であった。上記により、軟質重合体(Tg:−54℃)含量95重量%、最外層の硬質重合体(Tg:105℃)含量5重量%のグラフト共重合体Gのラテックスを得た。UPAにより測定した体積平均粒子径は30nmであった。
(製造例8)
グラフト共重合体Hの作製
温度計、攪拌機、還流冷却器、窒素流入口、単量体と乳化剤の添加装置を有するガラス反応器に、脱イオン水180重量部、ラウリル硫酸ナトリウム0.005重量部を仕込み、窒素気流中で攪拌しながら50℃に昇温した。次にBA8.96重量部、ALMA0.04重量部、クメンハイドロパーオキサイド0.01重量部の混合物を仕込み、その10分後にエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム0.01重量部と硫酸第一鉄・7水和塩0.005重量部を蒸留水5重量部に溶解した混合液、およびホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム0.2重量部を仕込んだ。1時間攪拌後、そこにBA85.14重量部、ALMA0.86重量部およびクメンハイドロパーオキサイド0.1重量部からなる単量体の混合物を5時間を要して滴下した。また、前記の単量体混合物の添加とともに、1重量部のラウリル硫酸ナトリウムを5重量%濃度の水溶液にしたものを5時間にわたり連続的に追加した。単量体混合物添加終了後、0.5時間攪拌を続けた。このアクリレート系軟質重合体に、硬質重合体成分として、MMA5.0重量部、およびクメンハイドロパーオキサイド0.01重量部の混合物を50℃で15分間にわたって連続的に添加した。添加終了後、クメンハイドロパーオキサイド0.01重量部を添加し、さらに1時間攪拌を続けて重合を完結させた。単量体成分の重合転化率は98.3%であった。上記により、軟質重合体(Tg:−54℃)含量95重量%、最外層の硬質重合体(Tg:105℃)含量5重量%のグラフト共重合体Hのラテックスを得た。UPAにより測定した体積平均粒子径は700nmであった。
(製造例9)
グラフト共重合体Iの作製
温度計、攪拌機、還流冷却器、窒素流入口、単量体と乳化剤の添加装置を有するガラス反応器に、脱イオン水180重量部、ラウリル硫酸ナトリウム0.5重量部を仕込み、窒素気流中で攪拌しながら50℃に昇温した。次にBA8.96重量部、ALMA0.04重量部、クメンハイドロパーオキサイド0.01重量部の混合物を仕込み、その10分後にエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム0.01重量部と硫酸第一鉄・7水和塩0.005重量部を蒸留水5重量部に溶解した混合液、およびホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム0.2重量部を仕込んだ。1時間攪拌後、そこにBA75.24重量部、ALMA0.76重量部およびクメンハイドロパーオキサイド0.1重量部からなる単量体の混合物を4.5時間を要して滴下した。また、前記の単量体混合物の添加とともに、1重量部のラウリル硫酸ナトリウムを5重量%濃度の水溶液にしたものを4.5時間にわたり連続的に追加した。単量体混合物添加終了後、0.5時間攪拌を続けた。このアクリレート系軟質重合体に、硬質重合体成分として、MMA15.0重量部、およびクメンハイドロパーオキサイド0.02重量部の混合物を50℃で45分間にわたって連続的に添加した。添加終了後、クメンハイドロパーオキサイド0.01重量部を添加し、さらに1時間攪拌を続けて重合を完結させた。単量体成分の重合転化率は99.0%であった。上記により、軟質重合体(Tg:−54℃)含量85重量%、最外層の硬質重合体(Tg:105℃)含量15重量%のグラフト共重合体Iのラテックスを得た。UPAにより測定した体積平均粒子径は80nmであった。
(製造例10)
グラフト共重合体Jの作製
温度計、攪拌機、還流冷却器、窒素流入口、単量体と乳化剤の添加装置を有するガラス反応器に、脱イオン水180重量部、ラウリル硫酸ナトリウム0.02重量部を仕込み、窒素気流中で攪拌しながら50℃に昇温した。次にBA8.96重量部、ALMA0.04重量部、クメンハイドロパーオキサイド0.01重量部の混合物を仕込み、その10分後にエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム0.01重量部と硫酸第一鉄・7水和塩0.005重量部を蒸留水5重量部に溶解した混合液、およびホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム0.2重量部を仕込んだ。1時間攪拌後、そこにBA78.21重量部、ALMA0.79重量部およびクメンハイドロパーオキサイド0.1重量部からなる単量体の混合物を4.5時間を要して滴下した。また、前記の単量体混合物の添加とともに、1重量部のラウリル硫酸ナトリウムを5重量%濃度の水溶液にしたものを4.5時間にわたり連続的に追加した。単量体混合物添加終了後、0.5時間攪拌を続けた。このアクリレート系軟質重合体に、硬質重合体成分として、MMA12.0重量部、およびクメンハイドロパーオキサイド0.02重量部の混合物を50℃で45分間にわたって連続的に添加した。添加終了後、クメンハイドロパーオキサイド0.01重量部を添加し、さらに1時間攪拌を続けて重合を完結させた。単量体成分の重合転化率は98.7%であった。上記により、軟質重合体(Tg:−54℃)含量88重量%、最外層の硬質重合体(Tg:105℃)含量12重量%のグラフト共重合体Jのラテックスを得た。UPAにより測定した体積平均粒子径は400nmであった。
表1には、製造例において製造されたグラフト共重合体の軟質重合体組成、硬質重合体組成、軟質重合体/硬質重合体の重量比率、体積平均粒子径の結果を示した。
Figure 2007145932
(実施例1)
耐衝撃性改良剤IM−1の作製
グラフト共重合体Aのラテックス(ポリマー固形分5重量部)とグラフト共重合体Bのラテックス(ポリマー固形分95重量部)を混合し、1.5重量%濃度のアルギン酸ナトリウム(株式会社キミカ社製アルギテックスLL)水溶液(B型粘度計により測定した水溶液粘度が120mPa・s)をアルギン酸ナトリウム固形分がグラフト共重合体Aとグラフト共重合体Bの合計100重量部に対し0.4重量部となるように添加し、3分間撹拌混合して混合ラテックスを作製した。温度5℃の混合ラテックスを、加圧ノズルの一種である旋回流式円錐ノズルでノズル径0.6mmを用い、噴霧圧力3.7kg/cmにて、塔底部液面からの高さ5m、直径60cmの円筒状の装置中に、体積平均液滴径が約200μmの液滴となるように噴霧した。それと同時に、30重量%濃度の塩化カルシウム水溶液を、塩化カルシウム固形分がグラフト共重合体Aとグラフト共重合体Bの合計100重量部に対し5〜15重量部となるように二流体ノズルにて空気と混合しながら、液滴径0.1〜10μmで噴霧した。塔内を落下した混合ラテックス液滴は、塔底部にて5℃の1.0重量%濃度の塩化カルシウム水溶液を入れた受槽に投入され、これを回収した。
得られた凝固ラテックス粒子水溶液に、融着防止剤として5重量%濃度のパルミチン酸カリウム水溶液をパルミチン酸カリウム固形分がグラフト共重合体Aとグラフト共重合体Bの固形分合計100重量部に対し1.5重量部となるよう添加し、熱処理した後、脱水、乾燥することにより、耐衝撃性改良剤(IM−1)を調製した。この耐衝撃性改良剤(IM−1)に残留しているゲル化剤(塩化カルシウム)は0.06重量%であった。
熱可塑性樹脂組成物の調製、成形体の調製、および評価
塩化ビニル樹脂(カネビニールS−1001、株式会社カネカ製、平均重合度1000)100重量部、鉛系ワンパック安定剤(LGC3203、ACROS社製)4.5重量部、酸化チタン4.5重量部、炭酸カルシウム8重量部、メチルメタクリレート系重合体(該重合体0.1gを100mlのクロロホルムに溶解した溶液の30℃における比粘度が0.5未満のメチルメタクリレート系重合体)の加工助剤(カネエースPA−20、株式会社カネカ製)0.5重量部、および耐衝撃性改良剤(IM−1)6重量部をヘンシェルミキサーにてブレンドしてパウダーコンパウンドを得た。
得られたパウダーコンパウンドをポリラボ(HAAKE社製)に接続した小型のコニカル2軸押し出し機を用いて幅7cm、厚さ3mmのシート状に180℃で押し出し成形した。得られたシート状成形体から耐衝撃性試験片を作製し、JIS K−7111に準じてシャルピー強度を測定した。結果を表1に示す。
(実施例2)
グラフト共重合体Aのラテックス(ポリマー固形分15重量部)とグラフト共重合体Bのラテックス(ポリマー固形分85重量部)を混合した以外は、実施例1と同様の方法にて、耐衝撃性改良剤(IM−2)を調製し(残留しているゲル化剤は0.06重量%)、成形体を得、シャルピー強度を測定した。結果を表1に示す。
(実施例3)
グラフト共重合体Aのラテックス(ポリマー固形分25重量部)とグラフト共重合体Bのラテックス(ポリマー固形分75重量部)を混合した以外は、実施例1と同様の方法にて、耐衝撃性改良剤(IM−3)を調製し(残留しているゲル化剤は0.06重量%)、成形体を得、シャルピー強度を測定した。結果を表1に示す。
(実施例4)
グラフト共重合体Aのラテックス(ポリマー固形分50重量部)とグラフト共重合体Bのラテックス(ポリマー固形分50重量部)を混合した以外は、実施例1と同様の方法にて、耐衝撃性改良剤(IM−4)を調製し(残留しているゲル化剤は0.05重量%)、成形体を得、シャルピー強度を測定した。結果を表1に示す。
(実施例5)
グラフト共重合体Aのラテックス(ポリマー固形分75重量部)とグラフト共重合体Bのラテックス(ポリマー固形分25重量部)を混合した以外は、実施例1と同様の方法にて、耐衝撃性改良剤(IM−5)を調製し(残留しているゲル化剤は0.05重量%)、成形体を得、シャルピー強度を測定した。結果を表1に示す。
(実施例6)
グラフト共重合体Aのラテックス(ポリマー固形分85重量部)とグラフト共重合体Bのラテックス(ポリマー固形分15重量部)を混合した以外は、実施例1と同様の方法にて、耐衝撃性改良剤(IM−6)を調製し(残留しているゲル化剤は0.04重量%)、成形体を得、シャルピー強度を測定した。結果を表1に示す。
(実施例7)
グラフト共重合体Aのラテックス(ポリマー固形分95重量部)とグラフト共重合体Bのラテックス(ポリマー固形分5重量部)を混合した以外は、実施例1と同様の方法にて、耐衝撃性改良剤(IM−7)を調製し(残留しているゲル化剤は0.04重量%)、成形体を得、シャルピー強度を測定した。結果を表1に示す。
(実施例8)
グラフト共重合体Cのラテックス(ポリマー固形分25重量部)とグラフト共重合体Dのラテックス(ポリマー固形分75重量部)を混合した以外は、実施例1と同様の方法にて、耐衝撃性改良剤(IM−8)を調製し(残留しているゲル化剤は0.06重量%)、成形体を得、シャルピー強度を測定した。結果を表1に示す。
(実施例9)
グラフト共重合体Cのラテックス(ポリマー固形分50重量部)とグラフト共重合体Bのラテックス(ポリマー固形分50重量部)を混合し、1.5重量%濃度のアルギン酸ナトリウム水溶液の代わりに、2.0重量%濃度のヒドロキシプロピルメチルセルロース(信越化学社製60SH−4000)水溶液(B型粘度計により測定した水溶液粘度が4000mPa・s)をヒドロキシプロピルメチルセルロース固形分がグラフト共重合体Bとグラフト共重合体Cの固形分合計100重量部に対し0.4重量部となるように変更した以外は、実施例1と同様の方法にて、耐衝撃性改良剤(IM−9)を調製し(残留しているゲル化剤は0.05重量%)、成形体を得、シャルピー強度を測定した。結果を表1に示す。
(実施例10)
グラフト共重合体Eのラテックス(ポリマー固形分75重量部)とグラフト共重合体Fのラテックス(ポリマー固形分25重量部)を混合した以外は、実施例1と同様の方法にて、耐衝撃性改良剤(IM−10)を調製し(残留しているゲル化剤は0.04重量%)、成形体を得、シャルピー強度を測定した。結果を表1に示す。
(実施例11)
耐衝撃性改良剤IM−4を5重量部使用する以外は実施例1と同様の方法にて、成形体を得、シャルピー強度を測定した。結果を表1に示す。
(比較例1)
耐衝撃性改良剤IM−11の作製
グラフト共重合体Aのラテックス(ポリマー固形分100重量部)に、1.5重量%濃度のアルギン酸ナトリウム(株式会社キミカ社製アルギテックスLL)水溶液(B型粘度計により測定した水溶液粘度が120mPa・s)をアルギン酸ナトリウム固形分がグラフト共重合体A100重量部に対し0.4重量部となるように添加し、3分間撹拌混合して混合ラテックスを作製した。温度5℃の混合ラテックスを、加圧ノズルの一種である旋回流式円錐ノズルでノズル径0.6mmを用い、噴霧圧力3.7kg/cmにて、塔底部液面からの高さ5m、直径60cmの円筒状の装置中に、体積平均液滴径が約200μmの液滴となるように噴霧した。それと同時に、30重量%濃度の塩化カルシウム水溶液を、塩化カルシウム固形分がグラフト共重合体A100重量部に対し5〜15重量部となるように二流体ノズルにて空気と混合しながら、液滴径0.1〜10μmで噴霧した。塔内を落下した混合ラテックス液滴は、塔底部にて5℃の1.0重量%濃度の塩化カルシウム水溶液を入れた受槽に投入され、これを回収した。
得られた凝固ラテックス粒子水溶液に、融着防止剤として5重量%濃度のパルミチン酸カリウム水溶液をパルミチン酸カリウム固形分がグラフト共重合体Aの固形分100重量部に対し1.5重量部となるよう添加し、熱処理した後脱水、乾燥することにより、耐衝撃性改良剤(IM−11)を調製した。この耐衝撃性改良剤(IM−11)に残留しているゲル化剤(塩化カルシウム)は0.03重量%であった。
熱可塑性樹脂組成物の調製、成形体の調製、および評価
耐衝撃性改良剤(IM−11)を使用する以外は実施例1と同様の方法にて、成形体を得、シャルピー強度を測定した。結果を表1に示す。
(比較例2)
グラフト共重合体Bのラテックス(ポリマー固形分100重量部)を使用する以外は、比較例1と同様の方法にて、耐衝撃性改良剤(IM−12)を調製し(残留しているゲル化剤は0.06重量%)、成形体を得、シャルピー強度を測定した。結果を表1に示す。
(比較例3)
グラフト共重合体Aのラテックス(ポリマー固形分3重量部)とグラフト共重合体Bのラテックス(ポリマー固形分97重量部)を混合した以外は、実施例1と同様の方法にて、耐衝撃性改良剤(IM−13)を調製し(残留しているゲル化剤は0.06重量%)、成形体を得、シャルピー強度を測定した。結果を表1に示す。
(比較例4)
グラフト共重合体Aのラテックス(ポリマー固形分97重量部)とグラフト共重合体Bのラテックス(ポリマー固形分3重量部)を混合した以外は、実施例1と同様の方法にて、耐衝撃性改良剤(IM−14)を調製し(残留しているゲル化剤は0.04重量%)、成形体を得、シャルピー強度を測定した。結果を表1に示す。
(比較例5)
グラフト共重合体Bのラテックス(ポリマー固形分50重量部)とグラフト共重合体Hのラテックス(ポリマー固形分50重量部)を混合した以外は、実施例1と同様の方法にて、耐衝撃性改良剤(IM−15)を調製し(残留しているゲル化剤は0.07重量%)、成形体を得、シャルピー強度を測定した。結果を表1に示す。
(比較例6)
グラフト共重合体Gのラテックス(ポリマー固形分50重量部)とグラフト共重合体Bのラテックス(ポリマー固形分50重量部)を混合した以外は、実施例1と同様の方法にて、耐衝撃性改良剤(IM−16)を調製し(残留しているゲル化剤は0.04重量%)、成形体を得、シャルピー強度を測定した。結果を表1に示す。
(比較例7)
グラフト共重合体Iのラテックス(ポリマー固形分50重量部)とグラフト共重合体Jのラテックス(ポリマー固形分50重量部)を混合した以外は、実施例1と同様の方法にて、耐衝撃性改良剤(IM−17)を調製し(残留しているゲル化剤は0.05重量%)、成形体を得、シャルピー強度を測定した。結果を表1に示す。
(比較例8)
耐衝撃性改良剤(IM−17)を7重量部使用する以外は実施例1と同様の方法にて、成形体を得、シャルピー強度を測定した。結果を表1に示す。
表2には、実施例および比較例で用いられた耐衝撃性改良剤を構成するグラフト共重合体(a−1)およびグラフト重合体(a−2)の種類および重量比率、物理ゲルを形成する性質を有する水溶性高分子化合物の種類(水溶性高分子種)、耐衝撃性改良剤添加部数および成形体の耐衝撃強度(シャルピー強度)の評価結果を示した。
Figure 2007145932
実施例1乃至7、および比較例1、2より、特定の体積平均粒子径を有するグラフト共重合体(a−1)およびグラフト共重合体(a−2)が存在することにより、それぞれが単独に存在している場合に比べて高い耐衝撃性改良効果が得られることがわかる。
実施例1乃至7、および比較例3、4より、グラフト共重合体(a−1)/グラフト共重合体(a−2)の重量比率が5/95〜95/5の範囲内、好ましくは85/15〜15/85の範囲内、特に好ましくは75/25〜25/75の範囲内であれば、高い耐衝撃性改良効果が得られることがわかる。
実施例4、8、9、および比較例5、6より、グラフト共重合体(a−1)の体積平均粒子径が50〜200nm、およびグラフト共重合体(a−2)の体積平均粒子径が250〜600nmの範囲内であれば、高い耐衝撃性改良効果が得られることがわかる。
実施例3乃至5、7乃至9、および比較例7より、グラフト共重合体(a−1)およびグラフト共重合体(a−2)における最外層の硬質重合体の重量比率が0.5〜10の範囲内であれば、高い耐衝撃性改良効果が得られることがわかる。
実施例4、11、および比較例7、8より、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、比較例7、8の熱可塑性樹脂組成物に比べ、耐衝撃性改良剤の配合部数が少なくても、高い耐衝撃性改良効果が得られることがわかる。

Claims (14)

  1. 少なくとも1以上の(メタ)アクリレート系の軟質重合体相および最外層に硬質重合体相を有する体積平均粒子径が50〜200nmのグラフト共重合体(a−1)、少なくとも1以上の(メタ)アクリレート系の軟質重合体相および最外層に硬質重合体相を有する体積平均粒子径が250〜600nmのグラフト共重合体(a−2)、物理ゲルを形成する性質を有する水溶性高分子化合物(a−3)ならびにゲル化剤(a−4)を含有する耐衝撃性改良剤(a)であって、グラフト共重合体(a−1)および/または(a−2)中の最外層の硬質重合体相の比率が0.5〜10重量%であることを特徴とする、耐衝撃性改良剤。
  2. 前記グラフト共重合体(a−1)および/またはグラフト共重合体(a−2)が、内層に(メタ)アクリレート系軟質重合体相を有し、最外層に硬質重合体相を有することを特徴とする、請求項1に記載の耐衝撃性改良剤。
  3. 前記グラフト共重合体(a−1)および/またはグラフト共重合体(a−2)が、最内層に硬質重合体相を有し、中間層に(メタ)アクリレート系軟質重合体相を有し、最外層に硬質重合体相を有することを特徴とする、請求項1に記載の耐衝撃性改良剤。
  4. 前記グラフト共重合体(a−1)および/またはグラフト共重合体(a−2)が、最内層に(メタ)アクリレート系軟質重合体相を有し、中間層に硬質重合体相を有し、外層に(メタ)アクリレート系軟質重合体相を有し、最外層に硬質重合体相を有することを特徴とする、請求項1に記載の耐衝撃性改良剤。
  5. 前記グラフト共重合体(a−1)および/またはグラフト共重合体(a−2)における軟質重合体相が、(メタ)アクリル酸エステル50〜99.8重量%、芳香族ビニル単量体0〜49.8重量%、(メタ)アクリル酸エステルおよび芳香族ビニル単量体と共重合可能なビニル単量体0〜10重量%ならびに多官能性単量体0.2〜5重量%(ただし、これらの成分の合計は100重量%)を重合してなり、ガラス転移温度が20℃未満の軟質重合体相であることを特徴とする、請求項1乃至4の何れかに記載の耐衝撃性改良剤。
  6. 前記グラフト共重合体(a−1)および/またはグラフト共重合体(a−2)中の最外層の硬質重合体相の比率が0.5〜7重量%であることを特徴とする、請求項1及至5の何れかに記載の耐衝撃性改良剤。
  7. 前記グラフト共重合体(a−1)および/またはグラフト共重合体(a−2)中の最外層の硬質重合体相の比率が0.5〜4重量%であることを特徴とする、請求項1及至5の何れかに記載の耐衝撃性改良剤。
  8. 前記グラフト共重合体(a−1)および(a−2)の合計量に対し、グラフト共重合体(a−1)が5〜95重量%、グラフト共重合体(a−2)が95〜5重量%含まれることを特徴とする、請求項1乃至7の何れかに記載の耐衝撃性改良剤。
  9. 前記グラフト共重合体(a−1)およびグラフト共重合体(a−2)の合計100重量部に対し、前記物理ゲルを形成する性質を有する水溶性高分子化合物(a−3)を0.01〜3.0重量部含むことを特徴とする、請求項1乃至8の何れかに記載の耐衝撃性改良剤。
  10. 物理ゲルを形成する性質を有する水溶性高分子化合物(a−3)が、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、水溶性アルギン酸誘導体、寒天、ゼラチン、カラギーナン、グルコマンナン、ペクチン、カードラン、ジェランガム、およびポリアクリル酸誘導体から選ばれる1種または2種以上であることを特徴とする、請求項1及至9の何れかに記載の耐衝撃性改良剤。
  11. 物理ゲルを形成する性質を有する水溶性高分子化合物(a−3)が、水溶性アルギン酸誘導体であることを特徴とする、請求項10に記載の耐衝撃性改良剤。
  12. ゲル化剤(a−4)が、無機塩および/または酸であることを特徴とする、請求項1乃至11のいずれかに記載の耐衝撃性改良剤。
  13. 熱可塑性樹脂(b)100重量部に対し、請求項1乃至12の何れかに記載の耐衝撃性改良剤(a)を0.5〜20重量部含有することを特徴とする、熱可塑性樹脂組成物。
  14. 前記熱可塑性樹脂(b)が、塩化ビニル系樹脂であることを特徴とする、請求項13に記載の熱可塑性樹脂組成物。
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