JP2007314752A - 日射遮蔽分散体、日射遮蔽体、および、それらの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】一般式MYWOZ(0.001≦Y≦1.0、2.2≦Z≦3.0、M元素は、Cs、Rb、K、Tl、In、Ba、Li、Ca、Sr、Fe、Snのうちの1種類以上)で示され、且つ六方晶の結晶構造を持つ複合タングステン酸化物微粒子と、カーボンブラック微粒子とを、固形分重量比で(20:1)〜(200:1)の範囲で、媒体中に混合分散した日射遮蔽分散体であって、可視光透過率が30〜90%であり、かつ、日射透過率が10〜80%であり、可視光透過率よりも日射透過率が低く、L*a*b*表色系で、L*が50〜95、a*が−15〜1、b*が−10〜10であることを特徴とするものである。
【選択図】なし
Description
また上述した、窓等に使用される可視光領域に吸収がある黒色系顔料の近赤外線遮蔽材料は、可視光領域に大きな吸収があり、近赤外線領域の吸収が少ないため、有効な近赤外線遮蔽材とはいえないという問題があることが見出された。
さらに上述した、ガラス基板上にCuO−Fe2O3−Mn2O3系からなる無機顔料とシリカゾルでなした遮光膜付きガラスは、可視光反射率は比較的低いものの、遮光性能の劣化等の経時変化という問題があることが見出された。
一般式MYWOZ(但し、0.001≦Y≦1.0、2.2≦Z≦3.0、M元素は、Cs、Rb、K、Tl、In、Ba、Li、Ca、Sr、Fe、Snのうちから選択される1種類以上の元素)で示され、且つ六方晶の結晶構造を持つ複合タングステン酸化物微粒子と、窒素吸着比表面積が30m2/g以上であるカーボンブラック微粒子とが、所定の媒体中に混合分散し、
前記複合タングステン酸化物微粒子と、前記カーボンブラック微粒子との混合分散は、固形分重量比で(20:1)〜(200:1)の範囲にあり、
可視光透過率が30〜90%であり、日射透過率が10〜80%であり、可視光透過率の数値よりも日射透過率の数値が低く、
L*a*b*表色系で評価したとき、L*が50〜95、a*が−15〜1、b*が−10〜10であることを特徴とする日射遮蔽分散体である。
第1の構成に記載の日射遮蔽分散体が、所定の基材の片面または両面に設けられ、
可視光透過率が30〜90%であり、かつ、日射透過率が10〜80%であり、可視光透過率の数値よりも日射透過率の数値が低く、
L*a*b*表色系で評価したとき、L*が50〜95、a*が−15〜1、b*が−10〜10であることを特徴とする日射遮蔽体である。
第1の構成に記載の複合タングステン酸化物微粒子が所定の媒体内に分散された、複合タングステン酸化物分散体と、
第1の構成に記載のカーボンブラック微粒子が所定の媒体内に分散された、カーボンブラック分散体と、を有する日射遮蔽分散体であって、
当該日射遮蔽分散体において、前記複合タングステン酸化物微粒子と、前記カーボンブラック微粒子との存在比率は、(20:1)〜(200:1)の固形分重量比の範囲であり、
可視光透過率が30〜90%であり、日射透過率が10〜80%であり、可視光透過率の数値よりも日射透過率の数値が低く、
L*a*b*表色系で評価したとき、L*が50〜95、a*が−15〜1、b*が−10〜10であることを特徴とする日射遮蔽分散体である。
第3の構成に記載の複合タングステン酸化物分散体と、カーボンブラック分散体とが、所定の基材の片面または両面に設けられ、
当該日射遮蔽体において、前記複合タングステン酸化物微粒子と、前記カーボンブラック微粒子との存在比率は、(20:1)〜(200:1)の固形分重量比の範囲であり、
可視光透過率が30〜90%であり、日射透過率が10〜80%であり、可視光透過率の数値よりも日射透過率の数値が低く、
L*a*b*表色系で評価したとき、L*が50〜95、a*が−15〜1、b*が−10〜10であることを特徴とする日射遮蔽体である。
上記複合タングステン酸化物微粒子とカーボンブラック微粒子の粒子径が、1nm以上、800nm以下であることを特徴とする第1若しくは第3の構成に記載の日射遮蔽分散体、または、第2若しくは第4の構成に記載の日射遮蔽体である。
上記複合タングステン酸化物微粒子の表面が、ケイ素、ジルコニウム、チタン、アルミニウムを1種類以上含む酸化物で被覆されていることを特徴とする第1若しくは第3の構成に記載の日射遮蔽分散体、または、第2若しくは第4の構成に記載の日射遮蔽体である。
上記媒体が、樹脂もしくはガラスであることを特徴とする第1若しくは第3の構成に記載の日射遮蔽分散体、または、第2若しくは第4の構成に記載の日射遮蔽体である。
上記媒体が、ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリエステル樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ふっ素樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂のうちの1種類以上であることを特徴とする第1若しくは第3の構成に記載の日射遮蔽分散体、または、第2若しくは第4の構成に記載の日射遮蔽体である。
上記媒体が、板状、フィルム状、薄膜状であることを特徴とする第1若しくは第3の構成に記載の日射遮蔽分散体、または、第2若しくは第4の構成に記載の日射遮蔽体である。
上記基体が、樹脂またはガラスであることを特徴とする第2または第4の構成に記載の日射遮蔽体である。
上記基体が、ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリエステル樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ふっ素樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂のうちの1種類以上であることを特徴とする第2または第4の構成に記載の日射遮蔽体である。
複合タングステン酸化物微粒子を分散溶媒に分散し、当該複合タングステン酸化物微粒子の分散粒子径を調整することで、当該複合タングステン酸化物微粒子を分散した分散溶媒の色調をL*a*b*表色系で評価したとき、L*が50〜95、a*が−20〜0、b*が−25〜3の範囲とする工程と、
前記分散粒子径を調整した複合タングステン酸化物微粒子の分散溶媒へ、カーボンブラック微粒子を添加混合し、混合物を製造する工程と、
を有することを特徴とする、第1〜第3の構成のいずれかに記載の日射遮蔽分散体の製造方法である。
複合タングステン酸化物微粒子を分散溶媒に分散し、当該複合タングステン酸化物微粒子の分散粒子径を調整することで、当該複合タングステン酸化物微粒子を分散した分散溶媒の色調をL*a*b*表色系で評価したとき、L*が50〜95、a*が−20〜0、b*が−25〜3の範囲とする工程と、
前記分散粒子径を調整した複合タングステン酸化物微粒子の分散溶媒へ、カーボンブラック微粒子を添加混合し、第1の混合物を製造する工程と、
前記第1の混合物から前記分散溶媒を除去して、分散粉を製造する工程と、
前記分散粉を所定の媒体中に混合分散し、第2の混合物を製造する工程と、
前記第2の混合物を、成形固化する工程と、
を有することを特徴とする、第1〜第3の構成のいずれかに記載の日射遮蔽分散体の製造方法である。
第12または第13の構成に記載の日射遮蔽分散体の製造方法により製造された日射遮蔽分散体を、所定の基材上にコーティングし、第4〜第11の構成のいずれかに記載の日射遮蔽体を得ることを特徴とする、日射遮蔽体の製造方法である。
可視光透過率が30〜90%であり、かつ、日射透過率が10〜80%であり、可視光透過率よりも日射透過率が低く、L*a*b*表色系で、L*が50〜95、a*が−15〜1、b*が−10〜10であることを特徴としている。
可視光透過率が30〜90%であり、かつ、日射透過率が10〜80%であり、可視光透過率よりも日射透過率が低く、L*a*b*表色系で、L*が50〜95、a*が−15〜1、b*が−10〜10であることを特徴とする。
可視光透過率が30〜90%であり、かつ、日射透過率が10〜80%であり、可視光透過率よりも日射透過率が低く、L*a*b*表色系で、L*が50〜95、a*が−15〜1、b*が−10〜10であることを特徴とする。
可視光透過率が30〜90%であり、かつ、日射透過率が10〜80%であり、可視光透過率よりも日射透過率が低く、L*a*b*表色系で、L*が50〜95、a*が−15〜1、b*が−10〜10であることを特徴とする。
日射遮蔽機能を有する微粒子として、一般式WyOz(但し、Wはタングステン、Oは酸素、2.0<z/y<3.0)で表記されるタングステン酸化物の微粒子、および/または、一般式MxWyOz(但し、Mは、H、He、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Mg、Zr、Cr、Mn、Fe、Ru、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Al、Ga、In、Tl、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、B、F、P、S、Se、Br、Te、Ti、Nb、V、Mo、Ta、Reの内から選択される1種以上の元素、Wはタングステン、Oは酸素、0.001≦x/y≦1、2.0<z/y≦3.0)で表記される複合タングステン酸化物の微粒子が、国際公開WO2005/087680号公報に本出願人によって提案されている。
上記一般式MYWOZ(0.001≦Y≦1.0、2.2≦Z≦3.0)で示され、且つ六方晶の結晶構造を持つ複合タングステン酸化物微粒子としては、例えばM元素が、Cs、Rb、K、Tl、In、Ba、Li、Ca、Sr、Fe、Snのうちの1種類以上を含むような複合タングステン酸化物微粒子が挙げられる。
該複合タングステン酸化物微粒子は、波長400nm〜500nm付近に透過率のピークを持ち、近赤外線領域、特に900〜2200nm付近の光を大きく吸収する。この材料は、可視光領域である380nm〜780nmの光の一部を選択的に透過するために着色が生じ、その透過色調は青色系から緑色系となるものが多い。
被覆方法は特に限定されないが、当該複合タングステン酸化物微粒子を分散した溶液中に、上記金属のアルコキシドを添加することで、複合タングステン酸化物微粒子の表面を被覆することが可能である。
本実施形態に用いられるカーボンブラック微粒子は、窒素吸着比表面積が大きく、粒子径が小さい方が、隠蔽力が強くなり、分散性も向上するため好ましい。このため、カーボンブラックの窒素吸着比表面積は30m2/g以上であることが好ましく、100m2/g以上であることがより好ましく、200m2/g以上であることが更に好ましい。
また、カーボンブラックの粒子径は50nm以下であることが好ましく、30nm以下であることがより好ましい。
また、分散性を向上させるために、当該カーボンブラックの粒子を、予め樹脂で被覆しておくのも好ましい構成である。
上記複合タングステン酸化物微粒子と上記カーボンブラック微粒子とを混合することで、近赤外線の吸収を保持したまま、色彩を抑えた色調調整が可能となる。得られた日射遮蔽材の色調は、両材料の組成比にもよるが、青色系から青色系の黒色、黒色系、緑色系の黒色へ可変である。この結果、当該日射遮蔽材において、国際照明委員会(CIE)で規格化されたL*a*b*表色系(JISZ8729)におけるL*が50〜95、a*が−15〜1、b*が−10〜10の範囲の色調を得ることができた。
次に、本実施形態の日射遮蔽分散体および日射遮蔽体の好ましい形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態の日射遮蔽分散体、日射遮蔽体の模式的な断面図である。尚、図1において、○は複合タングステン酸化物微粒子を示し、●はカーボンブラック微粒子を示し、無地の部分は媒体を示し、斜線の部分は基体を示す。
日射遮蔽体の第一の形態は、複合タングステン酸化物微粒子とカーボンブラック微粒子とを共に含有する分散体を、後述する適宜な基体の片面あるいは両面に有するものである。当該形態例を図1(B)に示す。
日射遮蔽分散体の第二の形態は、複合タングステン酸化物微粒子が媒体内に分散された複合タングステン酸化物微粒子分散体の片面もしくは両面に、カーボンブラック微粒子を含有するカーボンブラック微粒子分散体を有するか、または、カーボンブラック微粒子が媒体内に分散されたカーボンブラック微粒子分散体の片面もしくは両面に、複合タングステン酸化物微粒子を含有する複合タングステン酸化物微粒子分散体を有するものである。当該形態例を図1(C)に示す。尚、当該形態において、媒体に機械的強度のあるものを用い、基材を用いることなく日射遮蔽体として使用することも勿論可能である。
日射遮蔽体の第二の形態は、複合タングステン酸化物微粒子を含有する複合タングステン酸化物微粒子分散体と、カーボンブラック微粒子を含有するカーボンブラック微粒子分散体とを、後述する適宜な基体の片面に積層して有するか、または、複合タングステン酸化物微粒子分散体を、当該基体の片面に有し、且つこの基体の他方の片面にカーボンブラック微粒子分散体を有するものである。当該形態例を図1(D)に示す。
上述の各形態の日射遮蔽分散体および日射遮蔽体を作製する場合、複合タングステン酸化物微粒子またはカーボンブラック微粒子を含む組成物を媒体上にコーティングすること、あるいは上記微粒子を媒体中に練り込んで分散させることが出来る。
これらの適用方法としては通常のコーティング方法や分散方法を用いることができる。これらの方法は、樹脂等の耐熱温度の低い材料への応用が可能であり、且つ、作製の際に、大型の装置を必要とせず安価である。
複合タングステン酸化物微粒子および/またはカーボンブラック微粒子を媒体の内部に分散させる場合には、該微粒子単独あるいは混合物を媒体表面から浸透させてもよく、あるいは、媒体を溶融温度以上に加熱して溶融させた後、該微粒子単独あるいは混合物を混合してもよい。また、予め原料樹脂中に該微粒子を高濃度に分散せしめたマスターバッチを製造し、これを所定の濃度に希釈調整して用いることも可能である。このようにして得られた複合タングステン酸化物微粒子および/またはカーボンブラック微粒子を含有する樹脂は、所定の方法で、板状、フィルム状、薄膜状に成形することができる。
その際の混合には、リボブレンダー、タンブラー、ナウターミキサー、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、プラネタリーミキサーなどの混合機、あるいは、バンバリーミキサー、ニーダー、ロール、ニーダールーダー、一軸押出機、二軸押出機などの混練機を使用することができる。
そのほか、該微粒子を熱可塑性樹脂に直接添加し、均一に溶融混合する方法を用いることもできる。微粒子を樹脂に分散させる方法は、特に限定されないが、例えば、超音波分散、媒体攪拌ミル、ボールミル、サンドミルなどを使用することができる。
上述の微粒子の分散媒は、特に限定されるものではなく、配合する樹脂に合わせて選択することが可能である。例えば、水、あるいは、アルコール、エーテル、エステル、ケトン、芳香族化合物など、一般的な溶媒の使用が可能である。また、必要に応じて、酸やアルカリを添加してpHを調整してもよい。更に、微粒子の分散安定性を一層向上させるために、各種の界面活性剤、カップリング剤などを添加することも可能である。
複合タングステン酸化物微粒子および/またはカーボンブラック微粒子を含有する分散体をコーティングにより、後述する適宜な基体上に形成する場合には、例えば、複合タングステン酸化物微粒子を溶媒中に分散させ、これに樹脂バインダーを添加した後、媒体表面にコーティングし、溶媒を蒸発させ、所定の方法で樹脂を硬化させることにより、複合タングステン酸化物微粒子を含む分散体を形成することができる。また、複合タングステン酸化物微粒子を樹脂バインダー中に直接分散したものは、媒体表面にコーティングした後、溶媒を蒸発させる必要がないため、環境的にも工業的にも好ましい。
樹脂であれば、一般的に、透過性があり散乱の少ない、無色透明の樹脂が適しており、用途に適した樹脂を選択すればよい。具体的には、ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリエステル樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ふっ素樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂などが挙げられるが、中でもポリエチレンテレフタレート樹脂が好適である。
樹脂もしくはフィルムの意匠性を重視する場合には、あらかじめ着色された媒体、もしくは型どりされた媒体を使用することもできる。また、塗布液中に着色顔料や染料を添加してもよい。
樹脂もしくはフィルム等の形状の分散体をガラス等の基体に貼り付けるため、接着面に接着層と離型フィルム層とを積層してもよい。自動車のバックウィンドウのように曲面に貼り付け易いように、ドライヤーの熱で簡単に軟化するフィルムを使用してもよい。
接着剤中に紫外線遮蔽剤を添加すれば、フィルムや樹脂の紫外線劣化を防止できる。紫外線吸収剤には、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤や、CeO2、TiO2、ZnO等が挙げられる。
また、分散体の媒体として金属アルコキシドを用いることも可能である。上記金属アルコキシドとしては、Si、Ti、Al、Zrなどのアルコキシドが代表的である。これら金属アルコキシドを媒体として用いた分散体は加水分解して、加熱することで酸化膜を形成することが可能である。
(実施例1)
Cs0.33WO3微粒子(比表面積20m2/g)を10重量部、トルエン80重量部、微粒子分散用分散剤10重量部を混合し、媒体攪拌ミルで分散処理を行ない、平均分散粒子径80nmのCs0.33WO3微粒子の分散液を作製した(A液)。当該A液の色調は、L*a*b*表色系において、L*を84.70とした場合、a*が−7.00、b*が−4.28であった。同様の方法で、平均分散粒子径80nmのカーボンブラック微粒子の分散液を作製した(B液)。このA液とB液をCs0.33WO3微粒子とカーボンブラック微粒子の固形分重量比が120:1、塗布液中のハードコート用紫外線硬化樹脂(固形分100%)の割合が20%となるように、トルエンで希釈して十分混合し塗布液とした。この塗布液をバーコーターを用いて50μmPETフィルム上に塗布、成膜した。この膜を60℃で1分乾燥し溶媒を蒸発させた後、高圧水銀ランプで硬化させ、目的とする膜を得た。
作製された膜の光学特性を、日立製作所製の分光光度計を用いて波長200〜2100nmの光の透過率により測定し、JIS A 5759に従って可視光透過率、日射透過率、色調(L*、a*、b*表色系)を算出した。
この結果を表1に示す。また、表1には下記の実施例2〜6、比較例1で得られた結果についても併せて示す。
Rb0.33WO3微粒子(比表面積20m2/g)を10重量部、トルエン80重量部、微粒子分散用分散剤10重量部を混合し、媒体攪拌ミルで分散処理を行ない、平均分散粒子径80nmのRb0.33WO3微粒子の分散液を作製した(C液)。当該C液の色調は、L*a*b*表色系において、L*を84.91とした場合、a*が−6.92、b*が−3.92であった。同様の方法で、平均分散粒子径80nmのカーボンブラック微粒子の分散液を作製した(B液)。このC液とB液をRb0.33WO3微粒子とカーボンブラック微粒子の固形分重量比が60:1、塗布液中のハードコート用紫外線硬化樹脂(固形分100%)の割合が20%となるように、トルエンで希釈して十分混合し塗布液とした。この塗布液をバーコーターを用いて50μmPETフィルム上に塗布、成膜した。この膜を60℃で1分乾燥し溶媒を蒸発させた後、高圧水銀ランプで硬化させ、目的とする膜を得た。
この膜の光学特性を実施例1と同様の方法で測定した結果を表1に示す。
Cs0.33WO3微粒子(比表面積20m2/g)を10重量部、トルエン80重量部、微粒子分散用分散剤10重量部を混合し、媒体攪拌ミルで分散処理を行ない、平均分散粒子径80nmのCs0.33WO3微粒子の分散液を作製した(A液)。当該A液の色調は、L*a*b*表色系において、L*を84.70とした場合、a*が−7.00、b*が−4.28であった。同様の方法で、平均分散粒子径80nmのカーボンブラック微粒子の分散液を作製した(B液)。このA液とB液をCs0.33WO3微粒子とカーボンブラック微粒子の固形分重量比が100:1、塗布液中のハードコート用紫外線硬化樹脂(固形分100%)の割合が20%となるように、トルエンで希釈して十分混合し塗布液とした。この塗布液をバーコーターを用いて50μmPETフィルム上に塗布、成膜した。この膜を60℃で1分乾燥し溶媒を蒸発させた後、高圧水銀ランプで硬化させ、目的とする膜を得た。
この膜の光学特性を実施例1と同様の方法で測定した結果を表1に示す。
Cs0.33WO3微粒子(比表面積20m2/g)を10重量部、トルエン80重量部、微粒子分散用分散剤10重量部を混合し、媒体攪拌ミルで分散処理を行ない、平均分散粒子径80nmのCs0.33WO3微粒子の分散液を作製した(A液)。当該A液の色調は、L*a*b*表色系において、L*を84.70とした場合、a*が−7.00、b*が−4.28であった。同様の方法で、平均分散粒子径80nmのカーボンブラック微粒子の分散液を作製した(B液)。さらにスプレードライヤーを用いて(A液)および(B液)のトルエンを除去し、Cs0.33WO3分散粉である(A粉)とカーボンブラック分散粉である(B粉)を得た。
得られた(A粉)および(B粉)を、各々ポリエステル樹脂ペレットに添加し、ブレンダーで均一に混合した後、二軸押出機で溶融混練し、押出されたストランドをペレット状にカットし、Cs0.33WO3を含有するマスターバッチとカーボンブラックを含有するマスターバッチを得た。
このCs0.33WO3を含有するマスターバッチとカーボンブラックを含有するマスターバッチの固形分重量比が150:1となるように、同じ方法で調製した無機微粒子を添加していないマスターバッチと混合した。
この混合マスターバッチを押出し成形して、厚さ50μmのフィルムを形成した。このフィルムの光学特性を実施例1と同様の方法で測定した結果を表1に示す。
Cs0.33WO3微粒子(比表面積20m2/g)を10重量部、トルエン80重量部、微粒子分散用分散剤10重量部を混合し、媒体攪拌ミルで分散処理を行ない、平均分散粒子径80nmのCs0.33WO3微粒子の分散液を作製した(A液)。当該A液の色調は、L*a*b*表色系において、L*を84.70とした場合、a*が−7.00、b*が−4.28であった。このA液70重量部とハードコート用紫外線硬化樹脂(固形分100%)20重量部とトルエン10重量部とを混合して、Cs0.33WO3微粒子分散体液を得た。同様の方法で、平均分散粒子径80nmのカーボンブラック微粒子の分散液を作製した(B液)。このB液5重量部とハードコート用紫外線硬化樹脂(固形分100%)20重量部とトルエン75重量部とを混合して、カーボンブラック微粒子分散体液を得た。
このCs0.33WO3微粒子分散体液をバーコーターを用いて50μmPETフィルム上に塗布、成膜した。この膜を60℃で1分乾燥し溶媒を蒸発させた後、高圧水銀ランプで硬化させた。その後、PETフィルムのもう片面に、同様の方法でカーボンブラック微粒子分散体液を塗布、成膜し、硬化させ、Cs0.33WO3微粒子とカーボンブラック微粒子の固形分重量比が80:1となるような膜を得た。
この膜の光学特性を実施例1と同様の方法で測定した結果を表1に示す。
Cs0.33WO3微粒子(比表面積20m2/g)を10重量部、トルエン80重量部、微粒子分散用分散剤10重量部を混合し、媒体攪拌ミルで分散処理を行ない、平均分散粒子径80nmのCs0.33WO3微粒子の分散液を作製した(A液)。当該A液の色調は、L*a*b*表色系において、L*を84.70とした場合、a*が−7.00、b*が−4.28であった。
さらにスプレードライヤーを用いて(A液)のトルエンを除去し、Cs0.33WO3分散粉である(A粉)を得た。得られた(A粉)を、ポリエステル樹脂ペレットに添加し、ブレンダーで均一に混合した後、二軸押出機で溶融混練し、押出されたストランドをペレット状にカットし、Cs0.33WO3を含有するマスターバッチを得た。このCs0.33WO3を含有するマスターバッチを同じ方法で調製した無機微粒子を添加していないマスターバッチと混合した。この混合マスターバッチを押出し成形して、厚さ50μmのフィルムを形成した。
同様の方法で、平均分散粒子径80nmのカーボンブラック微粒子の分散液を作製した(B液)。このB液5重量部とハードコート用紫外線硬化樹脂(固形分100%)20重量部とトルエン75重量部とを混合して、カーボンブラック微粒子分散体液を得た。このカーボンブラック微粒子分散体液をバーコーターを用いて、Cs0.33WO3微粒子を含有している上記フィルム上に塗布、成膜し、硬化させ、Cs0.33WO3微粒子とカーボンブラック微粒子の固形分重量比が40:1となるような膜を得た。
この膜の光学特性を実施例1と同様の方法で測定した結果を表1に示す。
カーボンブラック微粒子(比表面積20m2/g)を10重量部、トルエン80重量部、微粒子分散用分散剤10重量部を混合し、媒体攪拌ミルで分散処理を行ない、平均分散粒子径80nmのカーボンブラック微粒子の分散液を得た(B液)。このB液5重量部とハードコート用紫外線硬化樹脂(固形分100%)20重量部とトルエン75重量部とを混合して、カーボンブラック微粒子分散体液を得た。
このカーボンブラック微粒子分散体液を、バーコーターを用いて50μmPETフィルム上に塗布、成膜した。この膜を60℃で1分乾燥し溶媒を蒸発させた後、高圧水銀ランプで硬化させ、目的とする膜を得た。
この膜の光学特性を実施例1と同様の方法で測定した結果を表1に示す。
比較例1は、可視光透過率よりも日射透過率の方が高く、透明な日射遮蔽体としては断熱効果が悪い。また、b*値が大きいため色調に黄色みがあり意匠性において好ましくない。
これに対し、実施例1〜6は、複合タングステン酸化物微粒子とカーボンブラック微粒子を併用することで、日射透過率が低く保持されたままでも、断熱効果が高いことがわかる。また、色調は黒色系であった。
Claims (14)
- 一般式MYWOZ(但し、0.001≦Y≦1.0、2.2≦Z≦3.0、M元素は、Cs、Rb、K、Tl、In、Ba、Li、Ca、Sr、Fe、Snのうちから選択される1種類以上の元素)で示され、且つ六方晶の結晶構造を持つ複合タングステン酸化物微粒子と、窒素吸着比表面積が30m2/g以上であるカーボンブラック微粒子とが、所定の媒体中に混合分散し、
前記複合タングステン酸化物微粒子と、前記カーボンブラック微粒子との混合分散は、固形分重量比で(20:1)〜(200:1)の範囲にあり、
可視光透過率が30〜90%であり、日射透過率が10〜80%であり、可視光透過率の数値よりも日射透過率の数値が低く、
L*a*b*表色系で評価したとき、L*が50〜95、a*が−15〜1、b*が−10〜10であることを特徴とする日射遮蔽分散体。 - 請求項1に記載の日射遮蔽分散体が、所定の基材の片面または両面に設けられ、
可視光透過率が30〜90%であり、かつ、日射透過率が10〜80%であり、可視光透過率の数値よりも日射透過率の数値が低く、
L*a*b*表色系で評価したとき、L*が50〜95、a*が−15〜1、b*が−10〜10であることを特徴とする日射遮蔽体。 - 請求項1に記載の複合タングステン酸化物微粒子が所定の媒体内に分散された、複合タングステン酸化物分散体と、
請求項1に記載のカーボンブラック微粒子が所定の媒体内に分散された、カーボンブラック分散体と、を有する日射遮蔽分散体であって、
当該日射遮蔽分散体において、前記複合タングステン酸化物微粒子と、前記カーボンブラック微粒子との存在比率は、(20:1)〜(200:1)の固形分重量比の範囲であり、
可視光透過率が30〜90%であり、日射透過率が10〜80%であり、可視光透過率の数値よりも日射透過率の数値が低く、
L*a*b*表色系で評価したとき、L*が50〜95、a*が−15〜1、b*が−10〜10であることを特徴とする日射遮蔽分散体。 - 請求項3に記載の複合タングステン酸化物分散体と、カーボンブラック分散体とが、所定の基材の片面または両面に設けられ、
当該日射遮蔽体において、前記複合タングステン酸化物微粒子と、前記カーボンブラック微粒子との存在比率は、(20:1)〜(200:1)の固形分重量比の範囲であり、
可視光透過率が30〜90%であり、日射透過率が10〜80%であり、可視光透過率の数値よりも日射透過率の数値が低く、
L*a*b*表色系で評価したとき、L*が50〜95、a*が−15〜1、b*が−10〜10であることを特徴とする日射遮蔽体。 - 上記複合タングステン酸化物微粒子とカーボンブラック微粒子の粒子径が、1nm以上、800nm以下であることを特徴とする請求項1若しくは3に記載の日射遮蔽分散体、または、請求項2若しくは4に記載の日射遮蔽体。
- 上記複合タングステン酸化物微粒子の表面が、ケイ素、ジルコニウム、チタン、アルミニウムを1種類以上含む酸化物で被覆されていることを特徴とする請求項1若しくは3に記載の日射遮蔽分散体、または、請求項2若しくは4に記載の日射遮蔽体。
- 上記媒体が、樹脂もしくはガラスであることを特徴とする請求項1若しくは3に記載の日射遮蔽分散体、または、請求項2若しくは4に記載の日射遮蔽体。
- 上記媒体が、ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリエステル樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ふっ素樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂のうちの1種類以上であることを特徴とする請求項1若しくは3に記載の日射遮蔽分散体、または、請求項2若しくは4に記載の日射遮蔽体。
- 上記媒体が、板状、フィルム状、薄膜状であることを特徴とする請求項1若しくは3に記載の日射遮蔽分散体、または、請求項2若しくは4に記載の日射遮蔽体。
- 上記基体が、樹脂またはガラスであることを特徴とする請求項2または4に記載の日射遮蔽体。
- 上記基体が、ポリエチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリエステル樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ふっ素樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂のうちの1種類以上であることを特徴とする請求項2または4に記載の日射遮蔽体。
- 複合タングステン酸化物微粒子を分散溶媒に分散し、当該複合タングステン酸化物微粒子の分散粒子径を調整することで、当該複合タングステン酸化物微粒子を分散した分散溶媒の色調をL*a*b*表色系で評価したとき、L*が50〜95、a*が−20〜0、b*が−25〜3の範囲とする工程と、
前記分散粒子径を調整した複合タングステン酸化物微粒子の分散溶媒へ、カーボンブラック微粒子を添加混合し、混合物を製造する工程と、
を有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の日射遮蔽分散体の製造方法。 - 複合タングステン酸化物微粒子を分散溶媒に分散し、当該複合タングステン酸化物微粒子の分散粒子径を調整することで、当該複合タングステン酸化物微粒子を分散した分散溶媒の色調をL*a*b*表色系で評価したとき、L*が50〜95、a*が−20〜0、b*が−25〜3の範囲とする工程と、
前記分散粒子径を調整した複合タングステン酸化物微粒子の分散溶媒へ、カーボンブラック微粒子を添加混合し、第1の混合物を製造する工程と、
前記第1の混合物から前記分散溶媒を除去して、分散粉を製造する工程と、
前記分散粉を所定の媒体中に混合分散し、第2の混合物を製造する工程と、
前記第2の混合物を、成形固化する工程と、
を有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の日射遮蔽分散体の製造方法。 - 請求項12または13に記載の日射遮蔽分散体の製造方法により製造された日射遮蔽分散体を、所定の基材上にコーティングし、請求項4〜11のいずれかに記載の日射遮蔽体を得ることを特徴とする、日射遮蔽体の製造方法。
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