JP2007302075A - 車両用スタビライザシステム - Google Patents

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Abstract

【課題】アクチュエータの作動によってスタビライザ力を変更可能なアクティブスタビライザシステムにおいて、スタビライザ力を利用して車両の特定の状態を認定し、その特定の状態に対処する。
【解決手段】設定されたアクチュエータ力を、設定時間ずつ、双方向に順次に発揮させ、その場合において、アクチュエータが有するモータの正方向の回転角θCWおよび逆方向の回転角θCCWを取得し、それらの差θDを取得する。その差θDが閾値θD0より大きい場合には、車両が片輪立ち状態であると認定し、スタビライザ力を発揮しない状態を実現させる。また、その差θDによって、左右のエアスプリングのばねレートの相違状態を認定することもでき、その認定に基づき、エアスプリングのチャンバ間を連通させて、左右のばねレートを等しくすることも可能である。
【選択図】 図8

Description

本発明は、車両に搭載されるスタビライザシステム、詳しくは、アクチュエータを備えてそれの作動によってスタビライザバーが発揮するスタビライザ力を変更可能なスタビライザシステムに関する。
スタビライザシステムは、スタビライザバーの発揮する力(例えば、それが捩じられることによって発生する力)であるスタビライザ力によって、車体のロールを抑制するシステムであり、近年では、例えば、下記特許文献に記載されているような所謂アクティブスタビライザシステム、つまり、アクチュエータの作動によって上記スタビライザ力を車両の旋回状態等に応じて変更可能なシステムが検討され、一部の車両において、既に実用化され始めている。
特表2002−518245号公報
上記アクティブスタビライザシステムは、未だ開発途上にあり、実用性を向上させるための改善の余地を多分に残すものとなっている。本発明は、そのような実情に鑑みてなされたものであり、実用性の高い車両用スタビライザシステムを提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明の車両用スタビライザシステムは、アクチュエータの作動によってスタビライザ力を変更可能なシステムであって、そのアクチュエータを制御する制御装置が、設定された時間、設定されたアクチュエータ力を順次双方向に発揮させるようにアクチュエータの作動を制御し、その際におけるスタビライザバーの両端部の相対変位量を指標する相対変位指標量の、アクチュエータ力の方向による差を取得する機能を有するように構成されたことを特徴とする。
本発明の車両用スタビライザシステムによれば、スタビライザ力による車体姿勢の変化特性に関しての、スタビライザ力の方向における差が取得可能であり、この差の有無,程度によって、車両の状態を認定することが可能であり、また、認定された状態に基づいてその車両の状態を維持させたりあるいは変更することや、当該システムの制御形態を適合させること等が可能となる。このような機能を有することで、本発明のシステムは、実用的なシステムとなる。
発明の態様
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、「請求可能発明」という場合がある)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、それらの発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載,実施例の記載等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から何某かの構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。
なお、下記態様において、(1)項が請求項1に相当し、(2)項ないし(5)項が、それぞれ、請求項2ないし請求項5に相当し、(7)項および(8)項が、それぞれ、請求項6および請求項7に相当する。
(1)両端部が左右の車輪の各々を保持する車輪保持部材の各々に連結され、自身が発揮する力であるスタビライザ力によって、車体のロールを抑制するスタビライザバーと、
自身が発揮する力であるアクチュエータ力に応じたスタビライザ力を前記スタビライザバーに発揮させるとともに、自身の作動が制御されることによってスタビライザ力を制御するアクチュエータと、
前記アクチュエータの作動を制御する制御装置と
を備えた車両用スタビライザシステムであって、
前記制御装置が、
設定された時間、設定されたアクチュエータ力を順次双方向に発揮させるように、前記アクチュエータの作動を制御するとともに、その際における前記スタビライザバーの両端部の相対変位量を指標する相対変位指標量の、アクチュエータ力の方向による差を取得する相対変位量差取得部を有する車両用スタビライザシステム。
本項の態様は、所謂アクティブスタビライザシステムに関する態様である。アクチュエータを備えたアクティブスタビライザシステムでは、スタビライザバーが発揮するスタビライザ力の方向および大きさは、アクチュエータが発揮するアクチュエータ力に応じた方向および大きさとなる。したがって、本項の態様のように、ある大きさのアクチュエータ力をある時間発揮させれば、ある大きさのスタビライザ力が、左右の車輪保持部材(例えば、サスペンションアーム等)に対する相対力として付与されることとなり、そのアクチュエータ力を逆の方向に発揮させれば、同じ大きさの相対力が逆方向に左右の車輪保持部材に付与されることとなる。この相対力は、車輪と車体とを接近・離間する方向の力として作用し、その力に応じた量だけ、スタビライザバーの両端部は相対変位する。通常、同じ大きさのスタビライザ力を双方向に交互に付与した場合、スタビライザバーの両端部の相対変位量は、スタビライザ力の方向によらず、同じ量となるはずである。ところが、スタビライザバーの両端部の相対変位量は、サスペンションスプリングの弾性力等に依存するため、例えば、左右のサスペンションスプリングのばねレートが相違しているような場合,一方の車輪保持部材がバウンドストッパあるいはリバウンドストッパに当接しているような場合等、サスペンション装置の構成やサスペンション装置が置かれている状況における左右のバランスが崩れているような場合には、スタビライザバーの両端部の相対変位量がスタビライザ力の方向によって異なるという現象が生じ得る。つまり、スタビライザ力による車体姿勢の変化特性について、スタビライザ力の方向における差が生じることとなるのである。本項の態様のスタビライザシステムでは、上述したように、アクチュエータを制御して相対変位量の差を取得するような機能を有するため、その差の有無,程度によって、上記左右のバランスの崩れの有無,程度等に関する車両の状態を認定することが可能であり、また、その認定に基づいて、その車両の状態を維持あるいは変更することや、当該スタビライザシステムの制御形態を認定された車両の状態に適合させること等が可能となる。
本項の態様のスタビライザシステムでは、上記スタビライザバーおよびアクチュエータによってスタビライザ装置が構成されるが、そのスタビライザ装置の構成は、特に限定されるものではない。例えば、後に説明するように、スタビライザバーを、中央部で2つに分離して1対のスタビライザバー部材によって構成し、それら1対のスタビライザバー部材の間にアクチュエータを配設して、そのアクチュエータがそれら1対のスタビライザバー部材を相対回転させるようなアクチュエータ力を発生させるような構成であってもよい。また、スタビライザバーの一方の端部と車輪保持部材との間にアクチュエータを配設して、そのアクチュエータがその一方の端部と車輪保持部材との間隔を変化させるようなアクチュエータ力を発生させるような構成であってもよい。ちなみに、アクチュエータは、どのような力に基づいて動作するものであってもよい。例えば、油圧等によって作動する流体式のアクチュエータであってもよく、また、電動モータ等を駆動源として備えた電磁式のアクチュエータであってもよい。
本項の態様において、「制御装置」は、例えば、コンピュータを主体として構成することが可能である。その制御装置は、主たる機能として、車両の旋回状態(例えば、車両の旋回時の走行速度,操舵角,車体の受けるロールモーメント,車体に発生している横加速度,車両のヨーレイト等)に基づいて、適切なロール抑制力となるような適切なスタビライザ力が得られるように、アクチュエータを制御する機能を有するように構成することができる。また、この場合の制御は、アクチュエータ力を直接の制御目標とする制御であってもよく、また、アクチュエータの動作量を直接の制御目標とする制御であってもよい。前者では、例えば、車両の旋回状態に基づいて、その旋回状態において車体が受けるロールモーメントに対抗する力のスタビライザバーの分担分として目標スタビライザ力を決定し、その目標スタビライザ力を発生させるための目標アクチュエータ力を決定し、その目標アクチュエータ力を発揮するようにアクチュエータを制御すればよい。また、後者では、例えば、上記目標スタビライザ力を発揮した場合において車体のロール量が適切なロール量となるような剛性(見かけ上の剛性である)をスタビライザバーが有するように、アクチュエータの目標となる動作量を決定し、動作量がその目標動作量となるようにアクチュエータを制御すればよい。
本項にいう「相対変位指標量」は、スタビライザバーの両端部の相対変位量を直接的あるいは間接的に表すパラメータを広く含む概念であり、上記「相対変位量差取得部」が取得する「相対変位指標量の差」として、例えば、車輪と車体との間の離間距離(以下、「車輪車体間距離」という場合がある)を検出するためのストロークセンサが車両に設けられている場合においては、そのストロークセンサの検出値に基づく車輪車体間距離を採用することが可能であり、また、後に説明するように、アクチュエータの動作量の差を採用することが可能である。
なお、「相対変位量差取得部」が実行する上記アクチュエータの作動の制御(以下、「双方向力発揮制御」という場合がある)は、双方向に、順次、所定の時間,所定の大きさのアクチュエータ力を発揮させる制御であるが、この双方向力発揮制御では、いずれの方向のアクチュエータ力の発揮を先に行ってもよい。また、スタビライザ力による車体姿勢の変化を乗員に感知させないためには、この制御におけるアクチュエータ力は、相対変位指標量の差を検知できる範囲内で、できるだけ小さくすることが望ましい。
また、相対変位量差取得部によって実行される上記処理(双方力発揮制御を含む処理であり、以下、「相対変位量差取得処理」という場合ある)は、設定された時間をおいて間欠的に実行されるような処理であってもよく、所定の開始条件を満たした場合において実行されるような処理であってもよい。なお、相対変位量差取得処理は、同じ大きさのアクチュエータ力を双方向に発揮させて相対変位指標量の差を取得する処理であることを鑑みれば、スタビライザ力を実質的に発揮していない状態において実行されることが望ましく、また、路面からの外部入力による相対変位指標量の変動に配慮すれば、車両が走行していないあるいは走行していないとみなせる状態において実行されることが望ましい。
(2)前記相対変位量差取得部が、アクチュエータ力の方向による前記アクチュエータの動作量の差を、前記相対変位指標量の差として取得するものである(1)項に記載の車両用スタビライザシステム。
一般的なアクティブスタビライザシステムでは、上述した相対変位量は、アクチュエータの動作量に依存する。本項の態様は、そのことを利用して、アクチュエータ力の方向によるアクチュエータの動作量の差を、相対変位指標量の差として取得するものである。本項の態様によれば、上述のストロークセンサを装備していない車両においても、相対変位量差取得処理によって、上記左右のバランスの崩れの有無,程度等に関する車両の状態を認定することが可能となる。
(3)前記制御装置が、前記相対変位量差取得部が取得した前記相対変位指標量の差に基づいて、当該スタビライザシステムが搭載された車両の状態が特定の状態にあることを認定する特定状態認定部を有する(1)項または(2)項に記載の車両用スタビライザシステム。
本項の態様は、上記相対変位量差取得処理によって取得された相対変位指標量の差の利用態様について、限定を加えた態様である。本項にいう「車両の状態」とは、例えば、上述した左右のバランスの崩れの有無,程度等に関する車両の状態等を意味し、上記「特定状態認定部」による処理(以下、「特定状態認定処理」という場合がある)において認定される「特定の状態」とは、その左右のバランスが崩れている状態等、具体的には、後に説明するような車両が片輪立ちしているような状態,サスペンションスプリングのばねレートが左右において相違している状態等が該当する。
(4)前記特定状態認定部が、
前記相対変位指標量の差が設定された閾値より大きい場合に、車両の状態が、左右の車輪の接地荷重の差が大きい状態である片輪立ち状態にあることを認定する片輪立ち認定部を有する(3)項に記載の車両用スタビライザシステム。
本項の態様は、上記特定状態認定処理によって認定される特定の状態を限定した態様である。片輪立ち状態では、例えば、一方の車輪保持部材がバウンドストッパあるいはリバウンドストッパに当接しているような状態となるため、双方向力発揮制御によるスタビライザバーの両端部の相対変位量がスタビライザ力の方向によって異なるという現象が生じ得る。具体的に言えば、例えば、バウンドストッパに当接している状態にある側をさらにバウンド方向にバウンドさせようとする場合、そのバウンド動作がバウンドストッパによって禁止されるため、そのことに起因して、上記相対変位量が異なることとなるのである。つまり、本項の態様によれば、車両が走行している路面がモーグル路等の悪路であることを容易に認定することが可能となる。
(5)前記制御装置が、片輪立ち認定部によって車両が片輪立ち状態であると認定された場合に、前記アクチュエータがアクチュエータ力を発揮し得ない状態を実現するアクチュエータ無力化状態実現部を有する(4)項に記載の車両用スタビライザシステム。
本項の態様にいう「アクチュエータ力を発揮し得ない状態」では、スタビライザバーがスタビライザ力を発揮し得ない状態となる。モーグル路等の悪路においては、スタビライザ力は車輪の接地性を悪化させる一因となる。したがって、本項の態様によれば、片輪立ち状態であると認定された場合に、スタビライザ力を発揮し得ない状態が実現されるため、悪路を走行している場合において自動的に走破性が向上させられることになる。
(6)前記アクチュエータが電動モータを動力源として有するものであり、
前記アクチュエータがアクチュエータ力を発揮し得ない状態が、前記電動モータのすべての入力端子と電源との間の電気的導通およびそれら入力端子間相互の電気的導通を遮断して実現される(5)項に記載の車両用スタビライザシステム。
本項の態様は、上記アクチュエータ力を発揮し得ない状態を具体的な状態に限定した態様であり、アクチュエータが電動モータの動力によってアクチュエータ力を発揮するシステム、つまり、電動アクティブスタビライザシステムにおいて好適な態様である。本項に記載の状態には、例えば、電動モータが外部入力によって動作させられる場合においても起電力を発生し得ないように、電動モータの各相がオープンにされた状態が該当する。
(7)当該スタビライザシステムが搭載された車両が、サスペンションスプリングとしてエアスプリングを備えた車両であり、
前記特定状態認定部が、前記相対変位指標量の差が設定された閾値より大きい場合に、車両の状態が、エアチャンバ内の空気量の差に起因して左右の前記エアスプリングのばねレートが相違する状態であるばねレート相違状態にあると認定するばねレート相違認定部を有する(3)項ないし(6)項のいずれかに記載の車両用スタビライザシステム。
エアスプリングは、エアチャンバ内の空気圧に依拠するばね力を発揮するスプリングであり、一般的には、エアチャンバ内の空気量を調節することによって、当該スプリングのばね長を変更し、車輪車体間距離を変更することで車両の車高を調整する機能を有している。しかし、例えば、傾斜している路面や凹凸のある路面において車高調整を実行した場合等においては、たとえ左右の車輪車体間距離が一致していても、必ずしも左右のエアスプリングのエアチャンバ内の空気量が均等であるとは限らず、左右のエアスプリングのばねレート(車輪車体間距離に対するエアスプリングの弾性力であり、それらがリニアな関係にある場合のばね定数に相当する)が相違するような現象が発生する。このようなばねレートの相違は、例えば、車線変更(レーンチェンジ)をするように車両を操舵した場合において、車両の挙動の左右におけるアンバランスの一因となる。左右のエアスプリングのばねレートが相違している場合には、同じ大きさのスタビライザ力を作用させたとしても、そのばねレートの相違に起因して、スタビライザ力の方向よって車輪車体間距離の変動量が相違することになり、その結果として、スタビライザバーの両端部の相対変位量の差が発生することになる。本項に記載の態様は、この現象を利用して、上記ばねレート相違状態を特定の状態として認定するように構成された態様であり、本項の態様によれば、車両の操縦安定性を阻害する一要因を容易に認識可能となる。
(8)前記制御装置が、ばねレート相違認定部によって車両がばねレート相違状態にあると認定された場合に、前記左右のエアスプリングのばねレートが等しい状態を実現するばねレート均等状態実現部を有する(7)項に記載の車両用スタビライザシステム。
本項の態様によれば、上記ばねレート相違状態であると認定された場合に、ばねレートの相違が解消されることになり、例えば、車両の操縦安定性が担保されることになる。
(9)前記左右のエアスプリングのばねレートが等しい状態が、前記左右のエアスプリングの各々のエアチャンバを相互に連通することによって実現される(8)項に記載の車両用スタビライザシステム。
本項の態様は、左右のエアスプリングのばねレートが均等となる状態を実現するための具体的な手法を、特定の手法に限定した態様である。本項の態様によれば、簡便に、左右のエアスプリングのばねレートの相違を解消することが可能となる。
(10)前記スタビライザバーが、
それぞれが、車幅方向に延びる1つの軸線上に配設されるトーションバー部と、そのトーションバー部に連続してそのトーションバー部と交差して延びるとともに先端部において前記車輪保持部材に連結されるアーム部とを有する1対のスタビライザバー部材を含んで構成され、
前記アクチュエータが、前記1対のスタビライザバー部材のトーションバー部を前記軸線のまわりに相対回転させるものである(1)項ないし(9)項のいずれかに記載の車両用スタビライザシステム。
本項に記載の態様は、スタビライザ装置の具体的構造に関する限定を加えた態様であり、本項の態様によれば、スタビライザバーが発揮するロール抑制力を効率的に変更可能なアクティブスタビライザシステムが実現可能である。
(11)前記アクチュエータが、ハウジングと、それぞれがそのハウジングに支持されて配設された電動モータおよびその電動モータの回転を減速させる減速機とを含んで構成され、前記1対のスタビライザバー部材の一方のトーションバー部が前記ハウジングに相対回転不能に接続され、他方のトーションバー部が前記減速機の出力部に相対回転不能に接続された(10)項に記載の車両用スタビライザシステム。
本項に記載の態様は、上記構造のスタビライザ装置において、アクチュエータを電動のものとした態様、つまり、電動のアクティブスタビライザシステムの具体的な構造を限定した態様である。本項の態様によれば、電動モータの良好な制御性を利用することで、スタビライザ装置のアクティブな制御をより効率的に実現することが可能である。なお、本項の態様におけるアクチュエータでは、電動モータに供給される電力を制御することによってアクチュエータ力を制御することが可能である。
以下、本発明のいくつかの実施例およびその変形例を、図を参照しつつ詳しく説明する。なお、本発明は、下記実施例の他、前記〔発明の態様〕の項に記載された態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した種々の態様で実施することができる。
≪第1実施例≫
(A)スタビライザシステムの構成
図1に、請求可能発明の一実施例である車両用スタビライザシステム10を、模式的に示す。本スタビライザシステム10は、車両の前輪側、後輪側の各々に配設された2つのスタビライザ装置14を含んで構成されている。スタビライザ装置14はそれぞれ、両端部において左右の車輪16の各々を保持する車輪保持部材としてのサスペンションロアアームの各々に、連結部材としてのリンクロッド18を介して連結されたスタビライザバー20を備えている(図2参照)。そのスタビライザバー20は、それが分割された1対のスタビライザバー部材、すなわち右スタビライザバー部材22と左スタビライザバー部材24とを含む構成のものとされている。それら1対のスタビライザバー部材22,24がそれぞれ、アクチュエータ30を介して相対回転可能に接続されており、大まかにいえば、スタビライザ装置14は、アクチュエータ30が、左右のスタビライザバー部材22,24を相対回転させることによって、スタビライザバー20全体の見かけ上の剛性を変化させて車体のロール抑制を行う。
図2には、一方のスタビライザ装置14が概略的に示されている。本スタビライザシステム10が装備される車両は、それぞれが4つの車輪16の各々に対して設けられた4つの独立懸架式のサスペンション装置38を含んで構成されている。このサスペンション装置38は、一般によく知られたダブルウィシュボーン式のものであり、一端部が車体に回動可能に連結されるとともに他端部が車輪16に連結された車輪保持部材としてのアッパアーム42およびロアアーム44を備えている(図5参照)。それらアッパアーム42およびロアアーム44は、車輪16と車体との接近離間(相対的な上下動の意味)に伴い、上記一端部(車体側)を中心に回動させられ、上記他端部(車輪側)が車体に対して上下させられる。また、サスペンション装置38は、ショックアブソーバ46と、サスペンションスプリング48(本装置では「コイルスプリング」である)とを備えている。それらショックアブソーバ46およびスプリング48は、それぞれ、それらの一端部が車体側のマウント部に、他端部がロアアーム44に連結されている。このような構造から、サスペンション装置38は、車輪16と車体とを弾性的に相互支持するとともに、それらの接近離間に伴う振動に対する減衰力を発生させる機能を果たすものとなっている。さらに、各サスペンション装置38は、車体に固定して設けられたバウンドストッパ50とリバウンドストッパ52とを備え、それらバウンドストッパ50とリバウンドストッパ52とがロアアーム44に当接することにより、ロアアーム44の車体に対する回動を規制して、車輪車体間距離の上限と下限とを規制するようにされている(図6参照)。
図2に示すように、1対のスタビライザバー部材22,24は、それぞれ、略車幅方向にほぼ同じ長さに延びるトーションバー部60と、各トーションバー部60と一体化されてそれと交差して概ね車両の前後方向に延びるアーム部62とに区分することができる。トーションバー部60は、直線的な形状をなし、アクチュエータ30とアーム部62との間の長さが互いに略等しくされている。
各スタビライザバー部材22,24のトーションバー部60は、アーム部62に近い箇所において、車体に固定的に設けられた支持部64に回転可能に支持され、互いに同軸に配置されている。それら左右のトーションバー部60を繋ぐようにして、上述のアクチュエータ30が配設されており、後に詳しく説明するが、各トーションバー部60の端部(アーム部62とは反対側の端部)は、それぞれ、そのアクチュエータ30に接続されている。一方、各アーム部62の端部(トーションバー部60側とは反対側の端部)は、リンクロッド18を介して車輪保持部材であるロアアーム44に連結されている。なお、スタビライザ装置14は、トーションバー部60の各々に固定的に設けられた規制部材66の各々が2つの支持部64の互いに向かい合う側面に当接するようにされていることで、車幅方向の位置変動が規制されている。
アクチュエータ30は、前輪側および後輪側のスタビライザ装置14ともに同じ構造のものが採用されており、図3に模式的に示すように、電動モータ70と、電動モータ70の回転を減速する減速機72とを含んで構成されている。これら電動モータ70および減速機72は、アクチュエータ30の外殻部材であるハウジング74内に設けられている。図から解るように、左スタビライザバー部材24は、ハウジング74の端部に固定的に接続されており、また、右スタビライザバー部材22は、ハウジング74内に延び入る状態で配設されるとともに、ハウジング74に対して回転可能かつ軸方向に移動不能に支持されている。その右スタビライザバー部材22のハウジング74内に存在する端部は、減速機72に接続されている。
電動モータ70は、ハウジング74の周壁の内面に沿って一円周上に固定して配置された複数のステータコイル84と、ハウジング74に回転可能に保持された中空状のモータ軸86と、モータ軸86の外周においてステータコイル84と向きあうようにして一円周上に固定して配設された永久磁石88とを含んで構成されている。電動モータ70は、ステータコイル84がステータとして機能し、永久磁石88がロータとして機能するモータであり、3相のDCブラシレスモータとされている。
減速機72は、波動発生器(ウェーブジェネレータ)90,フレキシブルギヤ(フレクスプライン)92およびリングギヤ(サーキュラスプライン)94を備え、ハーモニックギヤ機構を含んで構成されている。波動発生器90は、楕円状カムと、それの外周に嵌められたボール・ベアリングとを含んで構成されるものであり、モータ軸86の一端部に固定されている。フレキシブルギヤ92は、周壁部が弾性変形可能なカップ形状をなすものとされており、周壁部の開口側の外周に複数の歯が形成されている。このフレキシブルギヤ92は、先に説明した右スタビライザバー部材22に接続され、それによって支持されている。詳しく言えば、右スタビライザバー部材22は、モータ軸86を貫通しており、それから延び出す端部において、当該減速機72の出力部としてのフレキシブルギヤ92の底部とセレーション嵌合によって相対回転不能かつ軸方向に相対移動不能に接続されているのである。リングギヤ94は、概してリング状をなして内周に複数(フレキシブルギヤの歯数よりやや多い数、例えば2つ多い数)の歯が形成されたものであり、ハウジング74に固定されている。フレキシブルギヤ92は、その周壁部が波動発生器90に外嵌して楕円状に弾性変形させられ、楕円の長軸方向に位置する2箇所においてリングギヤ94と噛合し、他の箇所では噛合しない状態とされている。波動発生器90が1回転(360度)すると、つまり、電動モータ70のモータ軸86が1回転すると、フレキシブルギヤ92とリングギヤ94とが、それらの歯数の差分だけ相対回転させられる。
以上の構成から、車両の旋回等によって、車体に左右の車輪16の一方と車体との距離と左右の車輪16の他方と車体との距離とを相対変化させる力、すなわちロールモーメントが作用する場合、右スタビライザバー部材22と左スタビライザバー部材24とを相対回転させる力、つまり、アクチュエータ30に対する外部入力が作用する。その場合、電動モータ70が発生する力であるモータ力(電動モータ70が回転モータであることから、回転トルクと考えることができるため、以下、回転トルクと呼ぶ場合がある)によって、アクチュエータ30がその外部入力に釣り合う力をアクチュエータ力として発揮しているときには、それら2つのスタビライザバー部材22,24によって構成された1つのスタビライザバー20が捩られることになる。この捩りにより生じる弾性力は、ロールモーメントに対抗する力、すなわち、ロール抑制力となる。そして、モータ力によってアクチュエータ力を変化させることで、右スタビライザバー部材22と左スタビライザバー部材24とを相対回転させる力を変化させれば、車体が同じロールモーメントを受けている場合であっても、結果として、そのロールモーメントとアクチュエータ力とが釣り合う位置であるアクチュエータ30の動作量が変化することとなる。つまり、左右のスタビライザバー部材22,24の相対回転位置が変化することとなり、車体のロール量を変化させることが可能となる。本スタビライザ装置14は、そのようにして、スタビライザバー20の見かけ上の剛性、すなわち、スタビライザ剛性を変化させることが可能な装置とされているのである。
なお、アクチュエータ30には、ハウジング74内に、モータ軸86の回転角度、すなわち、電動モータ70の回転角度を検出するためのモータ回転角センサ100が設けられている。モータ回転角センサ100は、本アクチュエータ30ではエンコーダを主体とするものであり、左右のスタビライザバー部材22,24の相対回転角度(相対回転位置)、言い換えれば、アクチュエータ30の動作量すなわち回転量を指標するものとして、後述する片輪立ち対処処理などに利用される。
アクチュエータ30が備える電動モータ70には、図1に示すように、バッテリ102から電力が供給される。本スタビライザシステム10では、バッテリ102による供給電圧を昇圧するためのDC−DCコンバータ103が設けられており、それらバッテリ102とコンバータ103とを含んで電源が構成されている(図には、それぞれ、「BAT」,「CNV」で示されている)。コンバータ103と、2つのスタビライザ装置14の各々との間には、それぞれ、スタビライザ電子制御ユニット(以下、単に「スタビライザECU」と記載する場合がある)111が設けられている。スタビライザECU111は、駆動回路としてのインバータ104と、制御装置としてのコントローラ110とを含んで構成されている(図には、それぞれ、「INV」,「CONT」で示されている)。2つのスタビライザ装置14の各々が有する電動モータ70には、2つのスタビライザECU111各々が有するインバータ104を介して電力が供給される。なお、電動モータ70は定電圧駆動されることから、供給電力量は、供給電流量を変更することによって変更され、電動モータ70は、その供給電流量に応じた力を発揮することとなる。ちなみに、供給電流量は、インバータ104がPWM(Pulse Width Modulation)によるパルスオン時間とパルスオフ時間との比(デューティ比)を変更することによって行われる。
図1を参照しつつ説明すれば、スタビライザECU111のコントローラ110は、CPU,ROM,RAM等を備えたコンピュータを主体として構成されており、コントローラ110には、上記モータ回転角センサ100を始め、操舵量としてのステアリング操作部材の操作量であるステアリングホイールの操作角を検出するための操作角センサ120,車両の走行速度(以下、車速と略する場合がある)を検出するための車速センサ122,車体に実際に発生する横加速度である実横加速度を検出する横加速度センサ124が接続されている(図には、それぞれ「θ」,「δ」,「v」,「Gy」で示されている)。さらに、コントローラ110は、スタビライザECU111内においてインバータ104と接続され、コントローラ110は、インバータ104を制御することで、アクチュエータ30の発生するアクチュエータ力を制御するものとされている。
(B)電動モータの作動モード
図4に示すように、電動モータ70は、Δ結線された3相のDCブラシレスモータであり、インバータ104は、各相(U,V,W)について、high側(高電位側),low側(低電位側)の入力端子のそれぞれに接続された2つのスイッチング素子UHC,ULC,VHC,VLC,WHC,WLCを備えている。コントローラ110は、電動モータ70に設けられた3つのホール素子HA,HB,HCの検出信号により回転位相(電気角)を判断し、そして、その回転位相に基づいて制御信号を出力する。その制御信号によって、6つのスイッチング素子の各々のON/OFFの切り換えが実行される。本スタビライザシステム10では、このインバータ104のスイッチング素子のON/OFFの切り換えの態様を変更することによって電動モータ70の各相の入力端子と電源との通電/非通電状態を切り換えるとともに、電動モータ70への電力供給状態を変更することによって、電動モータ70の作動の制御を行う。詳しく言えば、本スタビライザシステム10では、スイッチング素子の切換態様,電力供給状態に応じて、以下に説明する3つの作動モードが設定されており、電動モータ70は、それら3つの作動モードの中から設定された条件等に基づいて選択された1つの作動モードにおいて作動させられる。
i)制御モード
3つの作動モードのうちの1つである「制御モード」は、電動モータ70を作動制御可能な通電形態下、電動モータ70への供給電力が制御される作動モードであり、スタビライザ装置14がロールモーメントに応じたロール抑制力を発生させるとともに、スタビライザ剛性を変化させることによって、例えばロールモーメント等に応じて、車体のロール抑制効果をアクティブに制御することが可能な作動モードである。この制御モードでは、いわゆる120°通電矩形波駆動と呼ばれる方式にて、各スイッチング素子UHC,ULC,VHC,VLC,WHC,WLCのON/OFFが、電動モータ70の回転位相に応じて切り換えられる。詳しく言えば、通電相は電気角60°ごとに切り換えられる。また、制御モードにおいては、通電相の切換パターンは、モータ力の発生方向、つまり、回転トルクの発生方向に応じて2つのパターンが設定されており、いずれかのパターンが選択されることにより、電動モータ70のトルク発生方向が決定され、その方向に応じた方向のロール抑制力が発揮されることになる。また、この制御モードでは、low側に存在する各スイッチング素子ULC,VLC,WLCのみが、デューティ比に従ったON/OFF制御、つまり、デューティ制御が行われるようになっており、そのデューティ比を変更することによって、電動モータ70への供給電流量が変更されるようになっている。
上述のように、制御モードは、電動モータ70のトルク発生方向および電動モータ70への供給電力量が制御可能なモードであり、このモードでは、電動モータ70は、任意の方向に、供給電流量に応じた任意の大きさの回転トルクを発生させることが可能となる。したがって、この制御モードの下で、ロールモーメントに応じて、ロール抑制力をアクティブに変更するスタビライザ装置14の制御が可能となるのである。
ii)ブレーキモード
3つの作動モードの別の1つである「ブレーキモード」は、インバータ104が電動モータ70に電力を供給しない作動モードの一種である。本モードでは、電動モータ70の各相が相互に接続される通電形態とされる。つまり、スイッチング素子のうちのhigh側,low側の一方に配置されたすべてのものを閉状態に維持し、high側,low側の他方に配置されたすべてのものを開状態に維持する。具体的に言えば、本実施例では、high側のスイッチング素子UHC,VHC,WHCのいずれもが、ON状態(閉状態)とされ、low側のスイッチング素子ULC,VLC,WLCのいずれもが、OFF状態(開状態)とされる。それらON状態とされたスイッチング素子UHC,VHC,WHCにより、電動モータ70の各相は、あたかも相互に短絡させられた状態となる。このような状態では、電動モータ70に対して、いわゆる短絡制動の効果が得られることになる。したがって、アクチュエータ30は、外部入力によって速度の大きな動作を強いられる場合に、比較的大きな抵抗(アクチュエータ力の一種である)を発生し、その場合には、スタビライザ装置14は、あたかも、スタビライザ剛性を変更できない通常のスタビライザ装置に近い状態となる。ただし、速度の遅い動作に対しては、抵抗は小さいため、たとえ左右の車輪と車体との離間距離差が存在しても、その離間距離差の変化速度が小さい状態、つまり、例えば車両が静止あるいは静止に近い状態にあっては、スタビライザバー20は、殆どスタビライザ力を発揮しない。
iii)フリーモード
3つの作動モードのうちの残る1つである「フリーモード」は、ブレーキモードと同様、インバータ104が電動モータ70に電力を供給しない作動モードである。本モードでは、電動モータ70の各相への通電が遮断された通電形態とされる。具体的に言えば、スイッチング素子UHC,ULC,VHC,VLC,WHC,WLCのすべてが、OFF状態(開状態)とされる。そのことによって、あたかも、電動モータ70の各相とインバータ104との結線が切断されたに近い状態とされるとともに、各相の入力端子間相互の電気的導通が遮断された状態とされる。本作動モードでは、電動モータ70に起電力が発生せず、電動モータ70による制動効果が殆ど得られないことになる。したがって、本作動モードを採用すれば、スタビライザバー20が剛性を殆ど発揮し得ない状態となり、車両はスタビライザを備えていないに近い状態となる。
(C)スタビライザ装置の制御
i)基本的な制御
本スタビライザシステム10では、車体に旋回によるロールモーメントが作用している場合には、電動モータ70の作動モードが上記制御モードとされ、そのロールモーメントに応じて、そのロールモーメントに対抗するスタビライザ力をスタビライザ装置14に発揮させるアクティブ制御が実行される。一方、ロールモーメントが実質的に作用していない場合には、電動モータ70の作動モードが上記ブレーキモードとされ、アクチュエータ30の回転を抑制するブレーキ制御が実行される。なお、本スタビライザシステム10は、前輪側,後輪側の2つのスタビライザ装置14を備えており、それら2つのスタビライザ装置14は、設定されたロール剛性配分に従ってそれぞれが個別に制御され、その個々の制御下において、それぞれが所定のロール抑制力を発生させることになるが、ここからの説明では、特に断わりのない限り、説明の単純化に配慮して、2つのスタビライザ装置14を同一構成のものとして扱い、また、それらを一元化して扱うこととする。
上記アクティブ制御を詳しく説明すれば、アクティブ制御では、コントローラ110において、上記ロールモーメント指標量としての横加速度に基づいて、適正なスタビライザ力を得るべく、アクチュエータ30の目標アクチュエータ力が決定され、その目標アクチュエータ力に対応するモータ力を発揮するように電動モータ70が制御される。具体的には、まず、ステアリングホイールの操作角と車速とに基づいて推定された推定横加速度Gycと、実測された実横加速度Gyrとに基づいて、制御に利用される横加速度である制御横加速度Gy*が、次式に従って決定される。
Gy*=K1・Gyc+K2・Gyr (K1,K2:ゲイン)
次いで、このように決定された制御横加速度Gy*に基づいて、目標アクチュエータ力が決定され、目標アクチュエータ力に基づいて電動モータ70への目標供給電流i*が決定される。決定された目標供給電流i*に関する指令は、コントローラ110からインバータ104に発せられ、インバータ104によって、アクチュエータ30が目標アクチュエータ力を発揮すべく、適切な電力がアクチュエータ30の電動モータ70に供給される。
ii)片輪立ち対処処理
車両がモーグル路等の悪路に進入した場合、本スタビライザシステム10では、例えば、図5に示すように、1つの車輪が段差に乗り上げるなどして車両が片輪立ち状態となる。この片輪立ち状態は、左右の車輪に対する荷重のバランスが大きく崩れた状態であると言うことができる。設定された大きさのアクチュエータ力を設定時間発揮させた場合、車輪車体間距離の相対変位量は、荷重のバランスがとれた状態では、アクチュエータ力の方向によらず略同じであるが、荷重バランスが大きく崩れた状態では、アクチュエータ力の方向によって相違することとなる。具体的に言えば、片輪立ち状態では、図6に示すように、左右いずれか一方の車輪側のロアアーム44がバウンドストッパ50あるいはリバウンドストッパ52に当接した状態(図には、左輪側のロアアーム44がバウンドストッパ50に当接した状態が描かれている)となっており、その状態において、一定の大きさのアクチュエータ力を設定時間順次双方向に発揮させれば、バウンドストッパ50に当接している側をさらにバウンドさせる方向のアクチュエータ力を発揮させた場合と、その方向と反対の方向にアクチュエータ力を発揮させた場合とでは、相対変位量が異なることになるのである。
上記車輪車体間距離の相対変位量の相違は、相対変位量を指標するアクチュエータ30の動作量の差異として現出することから、本スタビライザシステム10では、その差異を利用し、その差異がある閾値を超えた場合に、片輪立ち状態であると認定するようにされている。そして、本スタビライザシステム10では、車両が片輪立ち状態であると認定された場合には、悪路における走破性の向上を目的として、スタビライザ力が発揮されないようにすべく、アクチュエータ30をアクチュエータ力を発揮しない状態とするアクチュエータ無力化状態実現処理が実行される。具体的には、電動モータ70の作動モードがフリーモードとされて、スタビライザ装置14がスタビライザ力を殆ど発揮しない状態においてアクチュエータ30の外部入力による回転を許容するフリー制御が実行される。なお、前輪側,後輪側の一方のスタビライザ装置14について、片輪立ち状態が認定された場合、前輪側,後輪側の両方のスタビライザ装置14ともにアクチュエータ力を発揮しない状態とされる。
(D)スタビライザ制御プログラム
スタビライザ装置14の制御は、図7にフローチャートを示すスタビライザ制御プログラムが、スタビライザECU111が有するコントローラ110によって、イグニッションスイッチがON状態とされている間、原則として、短い時間ピッチ(例えば、数mから数十msec)で繰り返し実行されることによって行われる。以下に、スタビライザ制御プログラムに従う制御処理を、フローチャートを参照しつつ、詳しく説明する。
スタビライザ制御プログラムに従う制御処理では、まず、ステップ1(以下、単に「S1」と略す。他のステップについても同様とする)およびS2において、車速vおよび操作角δが取得され、次に、S3において、それら車速vおよび操作角δに基づいて推定横加速度Gycが推定される。コントローラ110には、車速vと操作角δとをパラメータとする推定横加速度Gycに関するマップデータが格納されており、推定横加速度Gycは、そのマップデータを参照することによって推定される。続いて、S4において、車体に実際に発生する横加速度である実横加速度Gyrが、横加速度センサ124の検出値に基づいて取得される。続くS5において、制御横加速度Gy*が、上述のように推定横加速度Gycと実横加速度Gyrとから決定される。次に、S6において、制御横加速度Gy*の絶対値が閾値Gy*0より大きいか否かが判定される。制御横加速度Gy*の絶対値が閾値Gy*0より大きい場合には、車両が旋回しているものと認定され、S7において、その制御横加速度Gy*に基づいて、目標供給電流i*が決定される。コントローラ110内には、制御横加速度Gy*をパラメータとする目標供給電流i*のマップデータが格納されており、S7では、そのマップデータを参照して、目標供給電流i*が決定される。次にS8において、目標供給電流i*に関する指令がインバータ104に出力され、S9においてフラグFBRが0とされて、本プログラムの1回の実行が終了する。なお、フラグFBRは、後述するようにブレーキ制御が実行された場合に1とされるフラグであって、今回のプログラム実行時のようにアクティブ制御が行われている場合には0とされる。
一方、S6の判定において制御横加速度Gy*の絶対値が閾値Gy*0以下である場合には、車両が旋回していないものと認定され、S10において、片輪立ち対処プログラムの割り込みの有無を示すフラグFWKが0であるか否かが判定される。フラグFWKは、初期値が0とされ、後述する片輪立ち対処プログラムによる処理が実質的に行われている場合に1とされる値であって、このフラグFWKが1である間は、ブレーキ制御を実行しないようにされており、S11およびS12がスキップされて、本プログラムの1回の実行が終了する。この場合のスタビライザ装置14の制御は片輪立ち対処プログラムによって実行される。一方、フラグFWKが0である場合には、次に、S11において、ブレーキ制御を実行するように、インバータ104に指令を出力する処理が実行される。続く、S12において、ブレーキ制御が実行されたことを示すフラグFBRが1とされて、本プログラムの1回の実行が終了する。なお、フラグFBRは、一度ブレーキ制御が実行されれば、その後最初にアクティブ制御が実行されるまで1とされ、言い換えれば、車両の走行状態がブレーキ制御を実行すべき状態である間、1とされる。
(E)片輪立ち対処プログラム
片輪立ち対処処理は、図8にフローチャートを示す片輪立ち対処プログラムが、スタビライザECU111のコントローラ110によって、イグニッションスイッチがON状態とされている間、先のスタビライザ制御プログラムと並行して、原則として短い時間ピッチ(例えば、数mから数十msec)で繰り返し実行されることによって行われる。以下に、片輪立ち対処処理を、図に示すフローチャートを参照しつつ、詳しく説明する。
まず、S21およびS22において、片輪立ち対処処理を実行すべきか否かが判定される。具体的には、車速vが閾値v1より大きい場合、または、スタビライザ制御プログラムによってブレーキ制御が実行されていることを示すフラグFBRが0である場合、すなわち、S21またはS22のいずれかの判定がNOである場合には、片輪立ち対処処理を実行すべきでないと認定され、S23において種々のパラメータ、フラグFθ0,フラグFθD,フラグFWK,フラグFCWおよびタイムカウンタtCW,tCCWがすべて初期化されて本プログラムの1回の実行が終了する。片輪立ち対処処理は、車両が走行していないかあるいは走行していないとみなせる場合にのみ実行するようにされており、処理の途中であっても車両が走行し始めた場合には、その処理を中断してすべてのパラメータを初期化するようにされているのである。
一方、S21およびS22の両方の判定がYESである場合、すなわち、車速vが閾値v1以下であり、かつ、フラグFBRが1である場合には、片輪立ち対処処理を実行すべきであると認定され、続くS24ないしS26において、アクチュエータ30によってアクチュエータ力を発揮させる前のモータ回転角である処理前モータ回転角θ0が取得される。処理前モータ回転角θ0は、1回の片輪立ち対処処理を実行する場合に最初のプログラム実行時にのみ取得されるものである。詳しくは、S24において、フラグFθ0が0であるか否かが判定される。フラグFθ0は、今回の片輪立ち対処処理において、処理前モータ回転角θ0が取得されていない場合に0とされ、フラグFθ0が0である場合には、次にS25において、現在のモータ回転角が処理前モータ回転角θ0として取得される。続くS26において、フラグFθ0が1とされて、以後、今回の片輪立ち対処処理が継続して実行されている間は、本プログラムが実行される際に、S25およびS26がスキップされる。
次にS27において、フラグFθDが0であるか否かが判定される。フラグFθDは、初期値が0とされ、片輪立ち状態であるか否かを判定するためのモータ回転角差θDが取得された場合に1とされる値である。今回のプログラムの実行においてフラグFθDが0であると仮定すると、次に、S28において、上述のフラグFWKが1とされる。次に、S29において、フラグFCWが0であるか否かが判定される。フラグFCWは、アクチュエータ力を双方向に発揮させてアクチュエータ30の動作量をそれぞれ取得する処理のうち、CW方向にアクチュエータ力を発揮させてその場合のアクチュエータ30の動作量を指標するモータ回転角である右モータ回転角θCWを取得する処理が完了した場合に1とされる値である。右モータ回転角θCWを取得する処理が完了していない場合には、S29の判定はYESとなり、続くS30において、CW方向にアクチュエータ力を発揮させるために予め設定された設定供給電流iCWに関する指令をインバータ104に出力する処理が行われる。S31において、タイムカウンタtCWに1が加算される。タイムカウンタtCWはアクチュエータ力をCW方向に発揮させている時間を指標するものであって、具体的にはS30の処理が実行された回数を示す。なお、タイムカウンタtCWに代えてタイマーを利用して、S30の処理が実行されるごとにプログラムの実行時間Δtを加算するようにしてもよい。
次に、S32において、タイムカウンタtCWの値が閾値TCWより大きいか否かが判定される。タイムカウンタtCWの値が閾値TCW以下である間は、S32の判定がNOとなり、CW方向にアクチュエータ力を設定時間発揮させる制御が完了していないと認定され、本プログラムの1回の実行が終了する。車両の走行状態など、片輪立ち対処処理を実行すべき条件が維持されている間は、S21ないしS32の処理が繰り返し実行される。S32においてタイムカウンタtCWの値が閾値TCWより大きいと判定されれば、CW方向に設定されたアクチュエータ力を設定時間発揮させたと認定され、続くS33において、その時点におけるモータ回転角の上記処理前モータ回転角θ0に対する変位量が右モータ回転角θCWとして取得される。次に、S34において、フラグFCWが1とされて、次回以降の本プログラムの実行においてS30ないしS34の処理がスキップされる。
次に、S35において、CCW方向に設定されたアクチュエータ力を発揮させるために予め設定された設定供給電流iCCW(設定供給電流iCWと同じ電流値であって流す向きが反対である)に関する指令をインバータ104に出力する処理が実行される。続くS36において、S31と同様に、タイムカウンタtCCWに1が加算される。S37においては、S32と同様の判定が行われ、タイムカウンタtCCWの値が閾値TCCWの値より小さい間は、S35およびS36の処理が繰り返し実行される。タイムカウンタtCCWの値が閾値TCCWより大きいと判定されれば、CCW方向に設定されたアクチュエータ力を設定時間発揮させたと認定され、次にS38において、その時点におけるモータ回転角の上記処理前モータ回転角θ0に対する変位量が左モータ回転角θCCWとして取得される。ちなみに、右モータ回転角θCWおよび左モータ回転角θCCWは、処理前モータ回転角θ0からの変位量を示す値であって、回転方向に拘わらず正の値として扱うものとする。
なお、本プログラムに従う処理では、タイムカウンタtCWによって設定供給電流iCW,iCCWを供給する時間を管理しているが、そのような手法に代え、例えば、タイマーを利用して管理することも可能である。また、本プログラムに従う処理では、設定供給電流iCW,iCCWを供給する時間は、それらの電流を供給した場合に右モータ回転角θCWおよび左モータ回転角θCCWが殆ど変化しない状態、つまり、安定状態となるのに十分な時間に設定されており、安定状態において、右モータ回転角θCWおよび左モータ回転角θCCWが取得される。このような手法に代えて、例えば、モータ回転角が処理前モータ回転角θ0に復帰するのを待って設定供給電流iCCWの供給を開始するようにすれば、安定状態となる前の状態、つまり、モータ回転角が変化している過程において、右モータ回転角θCWおよび左モータ回転角θCCWを取得することも可能であり、それらの取得した値を基に、以降の処理を実行することも可能である。
右モータ回転角θCWおよび左モータ回転角θCCWが取得された後、S39において、上述の右モータ回転角θCWおよび左モータ回転角θCCWの差の絶対値がモータ回転角差θDとして取得され、S40において、フラグFθDが1とされる。以後、今回の片輪立ち対処処理が継続して実行されている間、すなわち、車速vが十分に大きくなるかまたは制御横加速度Gy*が大きくなるまで、S28ないしS40の処理がスキップされて本プログラムが実行される。次にS41において、モータ回転角差θDが閾値θD0より大きいか否かが判定される。モータ回転角差θDの方が閾値θD0より大きい場合には、車両の状態が片輪立ち状態であると認定されて、S42において、フリー制御を実行するための指令をインバータ104に出力する処理が実行される。この処理は、車両走行速度が悪路を走行するにはふさわしくない速度となるまで継続され、その間、上述のスタビライザ制御プログラムの実行が停止される。S42の処理がこのような処理がとされることで、悪路を走行している間の走破性が確保される。一方、S41においてモータ回転角差θDが閾値θD0以下である場合には、車両の状態が片輪立ち状態ではないと認定され、S43において、フラグFWKが0とされる。モータ回転角差θDが十分に小さい場合は、スタビライザ制御プログラムの実行が許容されるのである。以上で本プログラムの1回の実行が終了する。
(F)制御装置の機能構成
以上のようなスタビライザ制御プログラムおよび片輪立ち対処プログラムが実行されて機能する本スタビライザシステム10の制御装置であるスタビライザECU111は、図9に示すように、S1〜S12の処理を実行する機能部として通常制御部150を、S21〜S43の処理を実行する機能部として片輪立ち対処処理部152を備えている。そして、片輪立ち対処処理部152は、S24〜S40処理を実行する機能部としての相対変位量差取得部154、S41の処理を実行する機能部としての片輪立ち認定部158を含む特定状態認定部156、S42の処理を実行する機能部としてのアクチュエータ無力化状態実現部160を備えている。
≪第2実施例≫
(A)スタビライザシステムの構成
図10に、請求可能発明の別の実施例である車両用スタビライザシステム190を、模式的に示す。本スタビライザシステム190は、上述のスタビライザシステム10と略同じ構成をなしているため、構成についての説明は省略する。なお、以後の説明において、スタビライザシステム10と共通する構成要素については、共通の符号を用いることとする。ただし、本スタビライザシステム190が搭載されている車両は、車高調整装置200を有しており、スタビライザ装置14の制御においては、その車高調整装置200と関連した制御が実行されるようになっている。
(B)車高調整装置の構成
本スタビライザシステム190が搭載される車両では、各車輪16に対応して設けられたサスペンション装置210の各々が、サスペンションスプリングとして、エアスプリング214を有している。エアスプリング214は、エアチャンバ216内の空気圧に依拠するばね力を発揮するものとされ、エアチャンバ216内の空気量を調整することによって各車輪16と車体との離間距離を変更する機能を有している。つまり、各エアスプリング214のエアチャンバ216内の空気量を調整することで、車高を調整する車高調整機能を備えるものとなっている。この機能を実現する車高調整装置200は、大まかに言えば、それらエアスプリング214と、各エアスプリング214のエアチャンバ216に圧縮空気を供給するポンプ装置218と、複数の電磁弁を含んで構成され、各エアチャンバ内の空気量を制御するための制御弁装置220とを含んで構成されている。
より詳しく説明すれば、本車高調整装置200では、ポンプ装置218の吐出口から供給路230が延び出し、共通制御弁232を介して4つのエアチャンバ216に共通の共通通路234に接続されている。共通制御弁232は3位置弁とされており、共通通路234が供給路230に接続されてポンプ装置218と連通された給気状態と、排気路236に接続されて常圧の大気に連通された排気状態と、供給路230と排気路236とのいずれからも遮断された遮断状態とを選択的に実現することができる。さらに、共通通路234からは4つの個別通路238が分岐して延び出しており、各エアスプリング214のエアチャンバ216にそれぞれ接続されている。各個別通路238には、それぞれ個別制御弁240が設けられている。各個別制御弁240は、開状態で対応するエアチャンバ216と共通通路234とが連通されてエアチャンバ216内の空気量を増加あるいは減少させることが可能とされ、閉状態でエアチャンバ216を共通通路234から遮断することにより、エアチャンバ216内の空気量を維持することが可能とされている。
車高調整装置200は、上述の各制御弁232,240を制御して車高を調整するための車高調整電子制御ユニット(以下、「車高調整ECU」と略する場合がある)250を備える。車高調整ECU250は、コンピュータを主体として構成され、4つの車輪16のそれぞれの車輪車体間距離を検出するためのストロークセンサ252が接続されている(図には「L」で示されている)。車高調整ECU250は、さらに、車高が低い状態であるLOW状態と、その状態よりも車高が高くされた状態であるHI状態とを、運転者が選択するための車高調整スイッチ254が接続されている(図には、「Sw」で示されている)。
(C)車高調整装置の制御とばねレート相違
以上のように構成される車高調整装置200の制御である車高調整制御は、所定のプログラムに従い、車高調整ECU250によって行われる。車高調整制御は、車高調整スイッチ254によって選択された車高が実現するように行われる。具体的には、ストロークセンサ252によって検出された各車輪16についての車輪車体間距離が、車高状態に応じて設定された距離となるように、ポンプ装置218,制御弁装置220が制御される。さらに詳しく言えば、例えば、車高をLOW状態からHI状態に変更する場合には、ポンプ装置218が作動させられ、各個別制御弁240が開状態とされるとともに、共通制御弁232が給気状態とされる。そして、車輪車体間距離がHI状態の設定距離となった車輪16と対応する個別制御弁240が閉弁され、4つの車輪16の車輪車体間距離がすべて設定距離となった場合に、共通制御弁232が遮断状態とされ、ポンプ装置218の作動が止められる。また、例えば、車高をHI状態からLOW状態に変更する場合には、個別制御弁240が開状態とされるとともに、共通制御弁232が排気状態とされる。そして、車輪車体間距離がLOW状態の設定距離となった車輪16に対応する個別制御弁240が閉弁、4つの車輪16の車輪車体間距離がすべて設定距離となった場合に、共通制御弁232が遮断状態とされる。
悪路の走行が予定される場合には、一般に、車体下部と路面との干渉を回避すべく、運転者が上述の車高調整スイッチ254を操作することによってHI状態が選択され、車高をHI状態にするための車高調整制御が実行される。悪路走行が終了した場合には、逆に、運転者が車高調整スイッチ254を操作することによってLOW状態が選択され、車高をLOW状態にするための車高調整制御が実行される。そのような車高調整制御は、車両の挙動の変化に伴う車輪車体間距離の変動の影響を排除すべく、車両が走行していないあるいは走行していないとみなせることを条件として実行される。
ところが、左右に段差がある路面に車両が停止している状態等においては、左右の車輪16に対する荷重バランスが崩れており、その状態で車高調整制御が実行された場合には、左右の車輪16の車輪車体間距離が等しくされても、それら左右の車輪16に対応して設けられた2つのエアスプリング214のエアチャンバ216の空気量が相違することになる。このような空気量の相違がある状態では、左右のエアスプリング214のばねレートが相互に相違することとなる。このようなばねレートの相違は、車両の挙動に影響を与える。例えば、車線変更(レーンチェンジ)するように車両を操舵した場合において、車両の挙動の左右におけるアンバランスの一因となる。
(D)ばねレート相違対処処理
本スタビライザシステム190は、スタビライザECU111によって、先のスタビライザシステム10が実行するアクティブ制御およびブレーキ制御が車両の走行状態に基づいて選択的に実行されるとともに、それらアクティブ制御およびブレーキ制御とは別に、上述したばねレートの相違に対処するための制御が実行される。
左右のエアスプリング214のばねレートが相違している場合には、ある大きさのスタビライザ力を作用させても、そのばねレートの相違に起因して、そのスタビライザ力の方向によって車輪車体間距離の変動量が相違することになる。このことを、それぞれのエアスプリング214についての車輪車体間距離の変化と弾性力の変化との関係を示す図11を参照して説明すれば、以下のようになる。なお、この図では、説明を解りやすくするため、アクチュエータ力を発生させていない場合において左右の車輪車体間距離が同じ値となるものとして、車輪車体間距離の変化とエアスプリング214の弾性力の変化との関係が示されている。図から解るように、例えば、右輪側をバウンドさせて左輪側をリバウンドさせる向きのアクチュエータ力F1を発揮させれば、右輪側の変位量が図にbBで示す大きさとなり、左輪側の変位量がaRBとなって、左右の車輪車体間距離の相対変位量はそれらの和(aRB+bB)となる。これに対して、同じ大きさのアクチュエータ力F1を反対方向、すなわち、右輪側をリバウンドさせて、左輪側をバウンドさせる方向に発揮させれば、右輪側の変位量がbRBとなり、左輪側の変位量がaBとなって、左右の車輪車体間距離の相対変位量は(aB+bRB)となる。このように、左右のエアスプリング214のばねレートが相違する場合、相対変位量に差異が生じることになる。
上述したような相対変位量の差異が生じる現象を利用して、本スタビライザシステム190においては、左右のエアスプリング214のばねレートが相違する状態を認定する。具体的に言えば、スタビライザECU111が、設定されたアクチュエータ力を設定時間双方向に発揮させて、アクチュエータ力を発揮させる方向によって生じる相対変位量の差である相対変位量差を取得し、相対変位指標量たるアクチュエータ30の動作量の差が、設定された値を超える場合に、左右のエアスプリング214のばねレートが相違するばねレート相違状態であると認定するようにされている。
そして、本スタビライザシステム190では、ばねレート相違状態が認定された場合に、左右のエアスプリング214のエアチャンバ216を互いに連通させて、ばねレートが等しい状態を実現させるようにされている。具体的には、スタビライザECU111から車高調整ECU250に対してその旨の指令が出力され、その指令を受けた車高調整ECU250によって、共通制御弁232を閉状態とした上で、連通させるエアチャンバ216に対応する個別制御弁240を開状態とすることによって、左右のエアチャンバ216を連通させるような処理が実行されるのである。
(E)ばねレート相違対処プログラム
ばねレート相違対処処理は、図12にフローチャートを示すばねレート相違対処プログラムが、上述の車高調整制御によってHI状態からLOW状態への切り換え制御が完了した後に、スタビライザECU111が有するコントローラ110により実行されることによって行われる。以下に、ばねレート相違対処プログラムに従う制御処理を、図に示すフローチャートを参照しつつ説明する。なお、ばねレート相違対処処理は、例えば、別の適当なタイミングで実行されるようにしてもよく、また、例えば、車両が走行していない場合等に、適当な間隔をおいて繰り返し実行されるようにしてもよい。
本プログラムは、上述の片輪立ち対処プログラムと共通する処理が多いので、それらの処理については、片輪立ち対処プログラムの処理の説明を援用することとし、具体的な説明を省略する。まず、S51およびS52において、S21およびS22と同様に、ばねレート相違対処処理を実行する条件が満たされているか否かが判定される。S51またはS52の判定がNOである場合には、ばねレート相違対処処理を実行すべきでないと認定されて、S70において、種々のパラメータ、フラグFWK,フラグFCW,タイムカウンタtCW,tCCWがすべて初期値0とされて本プログラムの1回の実行が終了する。
一方、S51およびS52の両方の判定がYESである場合には、ばねレート相違対処処理を実行すべきであると認定され、次にS53ないしS55において、S24ないしS26と同様に、処理前モータ回転角θ0が取得される。続くS56ないしS67において、S28ないしS39と同様に、設定されたアクチュエータ力を設定時間双方向に発揮させて電動モータ70の右モータ回転角θCWおよび左モータ回転角θCCWを取得する処理が実行される。次にS68においてS41と同様に、モータ回転角差θDが閾値θD0より大きいか否かが判定される。モータ回転角差θDの方が閾値θD0より大きい場合には、ばねレート相違状態であると認定されて、S69において、左右のエアチャンバ216を連通させるための指令を、車高調整ECU250に出力する処理が実行される。一方、モータ回転角差θDが閾値θD0以下である場合には、ばねレート相違状態でないと認定され、S69の処理がスキップされる。いずれの場合であっても、次にS70において、フラグFWKおよびFCWと、タイムカウンタtCW,tCCWとが初期値0に戻されて、本プログラムの1回の実行が終了する。
(F)制御装置の機能構成
以上のようなスタビライザ制御プログラムおよびばねレート相違対処プログラムが実行されて機能する本スタビライザシステム190の制御装置であるスタビライザECU111は、図13に示すように、S1〜S12の処理を実行する機能部として通常制御部260を、S51〜S70の処理を実行する機能部としてばねレート相違対処処理部262を備えている。そして、ばねレート相違対処処理部262は、S53〜S67の処理を実行する機能部としての相対変位量差取得部264、S68の処理を実行する機能部としてのばねレート相違認定部268を含む特定状態認定部266、S69の処理を実行する機能部としてのばねレート均等状態実現部270を備えている。
請求可能発明の第1実施例であるスタビライザシステムの全体構成を示す模式図である。 図1のスタビライザシステムが備えるスタビライザ装置を示す概略図である。 図2のスタビライザ装置を構成するアクチュエータを示す概略断面図である。 図2のスタビライザ装置が有する電動モータの駆動回路であるインバータを模式的に示す回路図である。 車両が片輪立ち状態となった場合のサスペンション装置の状態を示す模式図である。 図5に示すサスペンション装置において、一方のサスペンション装置のロアアームがバウンドストッパに当接している状態を示す模式図である。 図1のスタビライザシステムにおいて実行されるスタビライザ制御プログラムを示すフローチャートである。 図1のスタビライザシステムにおいて実行される片輪立ち対処プログラムを示すフローチャートである。 図1に示すスタビライザシステムの制御装置であるスタビライザ電子制御ユニットの機能を示すブロック図である。 請求可能発明の第2実施例であるスタビライザシステムの全体構成を示す模式図である。 図10に示すスタビライザシステムが搭載された車両において左右のサスペンション装置のばねレートが相違する状態を説明するためのグラフである。 図10のスタビライザシステムにおいて実行されるばねレート相違対処プログラムを示すフローチャートである。 図10のスタビライザシステムの制御装置であるスタビライザ電子制御ユニットの機能を示すブロック図である。
符号の説明
10:車両用スタビライザシステム 14:スタビライザ装置 20:スタビライザバー 22:右スタビライザバー部材 24:左スタビライザバー部材 30:アクチュエータ 60:トーションバー部 62:アーム部 70:電動モータ 72:減速機 74:ハウジング 104:インバータ(駆動回路) 111:スタビライザ電子制御ユニット(スタビライザECU)(制御装置) 120:操作角センサ 122:車速センサ 124:横加速度センサ 150:通常制御部 152:片輪立ち対処処理部 154:相対変位量差取得部 156:特定状態認定部 158:片輪立ち状態認定部 160:アクチュエータ無力化状態実現部 190:車両用スタビライザシステム 200:車高調整装置 210:サスペンション装置 214:エアスプリング 216:エアチャンバ 250:車高調整電子制御ユニット(車高調整ECU) 260:通常制御部 262:ばねレート相違対処処理部 264:相対変位量差取得部 266:特定状態認定部 268:ばねレート相違認定部 270:ばねレート均等状態実現部

Claims (7)

  1. 両端部が左右の車輪の各々を保持する車輪保持部材の各々に連結され、自身が発揮する力であるスタビライザ力によって、車体のロールを抑制するスタビライザバーと、
    自身が発揮する力であるアクチュエータ力に応じたスタビライザ力を前記スタビライザバーに発揮させるとともに、自身の作動が制御されることによってスタビライザ力を制御するアクチュエータと、
    前記アクチュエータの作動を制御する制御装置と
    を備えた車両用スタビライザシステムであって、
    前記制御装置が、
    設定された時間、設定されたアクチュエータ力を順次双方向に発揮させるように、前記アクチュエータの作動を制御するとともに、その際における前記スタビライザバーの両端部の相対変位量を指標する相対変位指標量の、アクチュエータ力の方向による差を取得する相対変位量差取得部を有する車両用スタビライザシステム。
  2. 前記相対変位量差取得部が、アクチュエータ力の方向による前記アクチュエータの動作量の差を、前記相対変位指標量の差として取得するものである請求項1に記載の車両用スタビライザシステム。
  3. 前記制御装置が、前記相対変位量差取得部が取得した前記相対変位指標量の差に基づいて、当該スタビライザシステムが搭載された車両の状態が特定の状態にあることを認定する特定状態認定部を有する請求項1または請求項2に記載の車両用スタビライザシステム。
  4. 前記特定状態認定部が、
    前記相対変位指標量の差が設定された閾値より大きい場合に、車両の状態が、左右の車輪の接地荷重の差が大きい状態である片輪立ち状態にあることを認定する片輪立ち認定部を有する請求項3に記載の車両用スタビライザシステム。
  5. 前記制御装置が、片輪立ち認定部によって車両が片輪立ち状態であると認定された場合に、前記アクチュエータがアクチュエータ力を発揮し得ない状態を実現するアクチュエータ無力化状態実現部を有する請求項4に記載の車両用スタビライザシステム。
  6. 当該スタビライザシステムが搭載された車両が、サスペンションスプリングとしてエアスプリングを備えた車両であり、
    前記特定状態認定部が、前記相対変位指標量の差が設定された閾値より大きい場合に、車両の状態が、エアチャンバ内の空気量の差に起因して左右の前記エアスプリングのばねレートが相違する状態であるばねレート相違状態にあると認定するばねレート相違認定部を有する請求項3ないし請求項5のいずれかに記載の車両用スタビライザシステム。
  7. 前記制御装置が、ばねレート相違認定部によって車両がばねレート相違状態にあると認定された場合に、前記左右のエアスプリングのばねレートが等しい状態を実現するばねレート均等状態実現部を有する請求項6に記載の車両用スタビライザシステム。
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