JP2007296445A - カーボンナノチューブ生成用触媒の処理方法 - Google Patents

カーボンナノチューブ生成用触媒の処理方法 Download PDF

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弥八 齋藤
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Abstract

【課題】基板に設けた触媒によって良質のカーボンナノチューブを生成することを可能にする。
【解決手段】基板1上に設けられた触媒2に、酸化性雰囲気中でエネルギービーム30を照射して、前記触媒を酸化物微細構造化させる。また、前記触媒の一部のみを選択的に酸化物微細構造化することができる。触媒に酸化性雰囲気中でエネルギービームを照射することで触媒が急激に加熱されて急激な温度上昇を生じ雰囲気中の酸素と結合し、冷却されて微細構造化した触媒2bとなる。この触媒を用いてカーボンナノチューブの生成処理を行うと、触媒と基板の間での相互拡散が防止され、触媒活性が良好に維持される。微細化された触媒により良質のカーボンナノチューブが生成される。
【選択図】図1

Description

この発明は、基板に設けた触媒を用いて該基板上にカーボンナノチューブを生成する際に、前記触媒を前処理するカーボンナノチューブ生成用触媒の処理方法に関するものである。
従来のカーボンナノチューブ製造方法としては、CVD(Chemical Vapor Deposition;化学気相成長)法、アーク放電法またはレーザアブレーション法等が用いられている。これらのうち、CVD法については、触媒と炭化水素等の原料ガスが混在した状態に熱やプラズマを加えて、高温雰囲気中で触媒からカーボンナノチューブを成長させている。
従来この種の技術としては、特許文献1や特許文献2等で提案されているものがある。特許文献1では、2種以上の異なる触媒層が積層された多層触媒パターンを、CVDに供する前に加熱処理することで、高品質なカーボンナノチューブを所望の位置に成長させる技術が開示されている。
上記特許文献1で示されるように、カーボンナノチューブの生成に先立って触媒を加熱することで触媒の活性化処理がなされている。従来の触媒活性化方法は、触媒を500〜1000℃程度まで加熱するため、図7に示すように基板11に触媒膜15が付いた試料を石英管20中にセットし、電気炉21等の加熱手段を用いて大気中で処理されている。
ところで、上記のように触媒の活性化を行っても、CVD中のような高温雰囲気中では、Siや他の無機材料を用いた担体や基板と、触媒材料がCVD中に熱による相互拡散が生じ、触媒と基板材料の化合物が作られ触媒活性が損なわれる。そのため、予めこの基板と触媒の間に相互拡散を防ぐ為のバッファ層を設けることで、基板材料との相互拡散が抑制され触媒活性も失われないことが知られている。
特許文献2では、図8に示すように、基板11上にバッファ層12、密着層13、エネルギー吸収層14、触媒層15を積層したFED(Field Emission Display、電界電子放出型ディスプレイ)用カーボンナノチューブ成長用基板が開示されている。具体的には、Siなどで構成される基板11上に基板保護の為にSiO、SiN等を用いて数百nmのバッファ層12が設けられており、密着層13を介してバッファ層12とエネルギービーム照射時のエネルギーを熱に変換するエネルギー吸収層14との密着性を高めている。さらに最上層にカーボンナノチューブを成長させる為の触媒層15が設けられている。この開示技術によれば、低温での触媒活性を得る為に、水素ガス等の還元ガス雰囲気中で触媒にエネルギービームを照射し触媒の活性化を行っている。さらに、炭化水素等のカーボンナノチューブ反応性ガス雰囲気中で基板11にエネルギービームを照射することで、エネルギー吸収層14がエネルギービームを熱に変換し、触媒層15の活性化エネルギーを与えることでカーボンナノチューブが成長する。このときもバッファ層が存在することで、基板11がエネルギービームにより加熱されることを抑制するとともに、基板11と触媒層15との相互拡散による触媒活性の低下が抑制される。
特開2003−277033号公報 特開2005−239494号公報
しかし、上記特許文献1に示す開示技術では、処理対象の基板を700℃まで昇温とし、作業上安全な温度まで冷却する時間が必要であり、作業に長時間を要し製造効率が悪いという問題がある。また基板自体も高温に曝される為、基板材料が1000℃以上の高温に耐えられるものに限定されている。
また、基板全面が加熱処理されて触媒の活性化がなされるため、カーボンナノチューブを電界電子放出用電極などとして用いる場合、電極パターンに合わせてカーボンナノチューブを成長させる必要性から、触媒活性化の前後どちらかの段階で触媒をドライまたはウェットエッチングで任意のパターンで残す必要がある。例えば、個々の触媒層の形状をドット、円形、及び四角等のパターンを形成するのに、フォトリソグラフィー法あるいは電子リソグラフィー法等でレジストパターン形成後、真空蒸着法により触媒を蒸着し、レジストパターン溶解してリフトオフを行う必要があり、複数の工程が必要であるとの問題がある。
さらに、触媒活性化では基板自体も高温に曝される為、絶縁層やゲート電極といった材料を予め基板上に設けることができず、触媒の加熱処理後に作らなければならないとの制約もある。
また、特許文献2に示す開示技術では、エネルギービームを利用することで基板を部分的に加熱することが可能であり、上記のような課題を回避することが可能である。
ところで、カーボンナノチューブの生成では、触媒結晶サイズを制御することで、カーボンナノチューブの直径と層数を制御することが可能である。単層または2〜3層程度の比較的細いカーボンナノチューブは、数nmから10nm程度の非常に微細な触媒結晶を用いることで得られる。また触媒結晶サイズが大きくなるに比例し、カーボンナノチューブの層数が増加し、多層カーボンナノチューブが得られる。この触媒結晶サイズの制御方法としては、金属または金属酸化物超微粒子を多孔体に担持させる方法や、金属薄膜を加熱して酸化させ、熱による融合を抑制する方法が知られている(齋藤弥八 編著「カーボンナノチューブの材料科学入門」コロナ社、2005年3月、P18−19参照)。
しかし、上記特許文献2に示すような触媒活性化を行う場合、触媒が活性化する還元処理またはカーボンナノチューブ成長時のエネルギービームによる加熱で触媒粒子が融合するため触媒結晶粒子の微細化、粒子サイズの制御が困難であるという問題がある。また還元され活性化した触媒と基板との相互拡散を抑制するためにバッファ層が必ず必要であるといった問題がある。
この発明は上記のような従来の技術の課題を解決するためになされたものであり、触媒結晶の微細化と酸化物化による表面バリア層の形成による基板材料との相互拡散の抑制を可能にし、さらに低融点材料を基材に使用することを可能にして、従来の加熱処理で抱える課題を解決するカーボンナノチューブ生成用触媒の処理方法を提供することを目的とする。
さらに、本発明の他の目的は、触媒への酸化物微細構造化を選択的に制限することにより、フォトリソグラフィー工程やエッチング工程を不要とし、さらにゲート電極、絶縁層といった材料の製造時期が制限されることなく、触媒の前処理を行うことができるカーボンナノチューブ生成用触媒の処理方法を提供することを目的とする。
すなわち、本発明のカーボンナノチューブ生成用触媒の処理方法のうち、請求項1記載の発明は、基板上に設けられた触媒に、酸化性雰囲気中でエネルギービームを照射して、前記触媒を酸化物微細構造化させることを特徴とする。
請求項2記載のカーボンナノチューブ生成用触媒の処理方法の発明は、請求項1記載の発明において、前記エネルギービームが、レーザ、イオンビーム、マイクロ波、紫外線ランプ光、赤外線ランプ光のいずれかであることを特徴とする。
請求項3記載のカーボンナノチューブ生成用触媒の処理方法の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記エネルギービームの照射は、連続または間欠で行うことを特徴とする。
請求項4記載のカーボンナノチューブ生成用触媒の処理方法の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記エネルギービームの照射は、室温以下の酸化性雰囲気中で行うことを特徴とする。
請求項5記載のカーボンナノチューブ生成用触媒の処理方法の発明は、請求項1〜4のいずれかに記載の発明において、前記触媒の一部のみを選択的に酸化物微細構造化することを特徴とする。
請求項6記載のカーボンナノチューブ生成用触媒の処理方法の発明は、請求項5記載の発明において、前記触媒に照射するエネルギービームの照射面積と形状を光学素子を用いて制御することで触媒の一部を選択的に酸化物微細構造化することを特徴とする。
請求項7記載のカーボンナノチューブ生成用触媒の処理方法の発明は、請求項5または6に記載の発明において、カーボンナノチューブを成長させる箇所に合わせたパターンを持ったマスクを配置し、該マスクを通して前記触媒に前記エネルギービームを照射することで、前記基板表面の触媒の一部をカーボンナノチューブを成長させる箇所に合わせて選択的に酸化物微細構造化することを特徴とする。
請求項8記載のカーボンナノチューブ生成用触媒の処理方法の発明は、請求項5〜7のいずれかに記載の発明において、前記カーボンナノチューブ生成用触媒が、電界電子放出素子用カーボンナノチューブ陰極の生成に用いる触媒であることを特徴とする。
請求項9記載のカーボンナノチューブ生成用触媒の処理方法の発明は、請求項1〜8のいずれかに記載の発明において、前記基板とエネルギービームとを相対的に走査することで前記触媒の全面または一部を酸化物微細構造化することを特徴とする。
請求項10記載のカーボンナノチューブ生成用触媒の処理方法の発明は、請求項1〜9のいずれかに記載の発明において、前記触媒が前記基板上に製膜または付着されたものであることを特徴とする。
請求項11記載のカーボンナノチューブ生成用触媒の処理方法の発明は、請求項1〜10のいずれかに記載の発明において、前記触媒が触媒担持物に担持されて前記基板上に設けられているものであることを特徴とする。
本発明によれば、前記触媒に酸化性雰囲気中でエネルギービームを照射することで触媒が急激に加熱されて選択的にエネルギーを吸収し急激な温度上昇を生じて活性エネルギーを得て雰囲気中の酸素と結合し、冷却されて酸化物化される。さらにはエネルギービームの照射を止めると基板および周辺雰囲気との温度差から急激に冷却され、結晶成長に要する時間が非常に短く微細な酸化物結晶として析出する。これにより、数nmから10nm程度の微細な結晶を得ることができる。
なお、従来の触媒活性化処理では、Si等の無機物を主成分とする基板上に蒸着法やスパッタ法により触媒薄膜を形成した場合、CVD操作中の加熱により基板無機成分と触媒が相互拡散して化合物を形成し、触媒活性が損なわれる。しかし、本発明では、触媒酸化物が生成されており、この触媒を用いてCVD等によるカーボンナノチューブの生成処理を行うと、触媒と基板との間での相互拡散が防止され、触媒の活性が良好に維持される。 また、触媒の微細化がなされていることにより、カーボンナノチューブの直径と層数が制御され、良質のカーボンナノチューブを生成することが可能になる。
なお、このカーボンナノチューブ成長触媒としては、鉄、コバルト、ニッケル、モリブデン等の金属が有用である。ただし、本発明としては、カーボンナノチューブ合成が可能なものであれば触媒の種類が特に限定されるものではない。これら触媒の結晶粒径とほぼ同直径のカーボンナノチューブが成長し、径寸法に合わせてチューブ層の数も増減することから、結晶を微細化することで単層から2、3層のカーボンナノチューブを得ることが可能である。触媒は、触媒粉末や、Siやガラスといった基板上にスパッタ法や蒸着法を用いて成膜したもの、ゼオライトやAl等の多孔体に担持したものを用いることができる。
また、エネルギービームの照射における雰囲気は、酸化性雰囲気として、大気中、酸素を混合したガス雰囲気、酸素を供給可能なガス雰囲気などが挙げられる。
該酸化性雰囲気は、エネルギービームの照射に際し、触媒融点以下で室温よりも高温であっても良いが、望ましくは室温またはそれ以下の温度を有することで、エネルギービーム照射後に基板とともに触媒を効果的に冷却して触媒結晶の微細化に寄与する。基板は、エネルギービーム照射に際し、直接的な加熱を避けることで昇温を抑制することができる。また、エネルギービームは、触媒を全体的にではなく部分的に加熱することができるので、基板の昇温をできるだけ抑制することができ、また、エネルギービームの出力制御や間欠照射によっても基板の温度上昇の抑制は可能である。
エネルギービームは、前記したように代表的にはレーザ、イオンビーム、マイクロ波、紫外線ランプ光、赤外線ランプ光が例示される。ただし、本発明としてはエネルギービームの種別が特に限定されるものではなく、適宜選定が可能である。エネルギービームの照射は上記したように連続的または間欠的に行うことが可能であり、照射エネルギー密度、処理面積により、レンズやスリットを用いてスポット状またはライン状に照射領域形状を設定して照射を行うことができる。触媒の照射対象面積が広い場合には、エネルギービームと基板とを相対的に移動させて、エネルギービームを走査しつつ照射を行うことができる。
また、エネルギービームは、触媒の全面に照射する他、一部にのみ選択的に照射するものであってもよい。エネルギービームの照射がなされた一部触媒では、上記のように酸化物微細構造化がなされる。一方、エネルギービームの照射がなされない触媒では、酸化物微細化がなされず、活性化もなされない。この触媒を用いてカーボンナノチューブを生成する場合、酸化物微細構造化がなされた触媒の部分では、基板との間での相互拡散が防止され、前記のように良質のカーボンナノチューブが生成される。これに対し、エネルギービームの照射がなされていない触媒では、元々活性が低い上に、CVD等の加熱時に基板との間での相互拡散が生じ、さらに活性が低下する。このため未照射の部分では触媒活性が損なわれカーボンナノチューブの成長を抑制することができる。
上記現象を利用することで、カーボンナノチューブを所望のパターンなどで基板上に効率よく生成することが可能になり、カーボンナノチューブを電界電子放出用電極などとして用いる場合にも、エッチング処理などを要することなく、電極パターンに合わせてカーボンナノチューブを成長させることが可能になる。
さらに、前記のように触媒の処理では基板の昇温が抑制されるので、絶縁層やゲート電極といった材料を予め基板上に設けておくことも可能になる。
なお、エネルギービームを触媒の一部にのみ選択的に照射する方法は、本発明としては特に限定されず、エネルギービームのビーム形状を適宜の光学素子で光学的に絞り込んだり、照射箇所に合わせてビームを透過するマスクでビーム形状を成形することができる。
適宜の光学素子としては、ビームの絞り込みや成形に用いる光学素子として例えば、レーザー光学系で使用される様なミラーやコリメートレンズ、プリズム等、あるいはX線光学系で用いるスリット、モノクロメート結晶等が考えられる。
また、マスクは、特定の部位のみエネルギービームが透過する透過部を形成したり、特定の部位のみエネルギーが伝達され、他部ではエネルギーが減衰されるなどの構成とすることができる。
以上説明したように、本発明のカーボンナノチューブ生成用触媒の処理方法の発明によれば、基板上に設けられた触媒に、酸化性雰囲気中でエネルギービームを照射して、前記触媒を酸化物微細構造化させるので、触媒の酸化物微細結晶化と酸化物化による表面バリア層の形成により基板材料との相互拡散の抑制が可能になり、良質なカーボンナノチューブの生成が可能になる。また、基板の昇温も抑えられることで、従来の電気炉等による加熱処理で必要とされていた基板の昇温と冷却に要する時間を短縮するなどして処理時間を短時間で行え、且つ低融点で安価なガラス等の材料を使用することが可能になるといった効果がある。
なお、前記触媒の一部のみを選択的に酸化物微細構造化するものとすれば、選択的に触媒のみを活性化してカーボンナノチューブを成長させることができ、フォトリソグラフィー工程やエッチング工程を不要にする効果がある。また、選択的な加熱によりゲート電極、絶縁層といった材料を高温に曝すことなく、触媒の処理が可能であり、前記ゲート電極等の生成時期が制限されない効果がある。
以下に、本発明の一実施形態を図1に基づいて説明する。
Si等で構成される基板1に、スパッタリング、蒸着、塗布などによって触媒層2を設ける。なお、触媒層2は粒状にしたり、触媒担持物に担持した状態で基板上に設けたものであってもよい。
触媒層2における触媒は、鉄、ニッケル、モリブデン、コバルトといったカーボンナノチューブ合成に適するとされる材料を用いることができる。触媒としては、一種または複数を用いることができる。
また図中には示していないが、本発明としては基板1と触媒層2の間にバッファ層としてSiOやAl、Ti、ZnO等を用いても構わない。
上記基板1上の触媒層2に対し、エネルギービーム3を照射する。エネルギービーム3には、マイクロ波、レーザ、イオンビーム、赤外線ランプや紫外線ランプなどを用いる。 処理方法としては、大気中または酸素雰囲気中で試料台(図示しない)に設置した触媒層2に対し、図示しないエネルギービーム発生源から生じたエネルギービーム3を触媒表面に照射する。
エネルギービーム3は、レンズやスリットを用いてスポット状またはライン状にして触媒層2に照射するとともに、照射光の光学系か照射対象の試料台の一方または両方を稼働させて処理面積全てに照射を行う。
上記エネルギービーム3の照射がなされた触媒層2では、急激な加熱に伴って雰囲気中の酸素と触媒とが反応して触媒酸化物2aが得られる。上記走査によってエネルギービームを触媒層2の全面に照射することで触媒全体が酸化物化する
エネルギービーム3の照射が全面に亘って必要時間なされると、エネルギービームの照射を停止する。すると、高温に加熱されている触媒酸化物2aは、略室温状態にある大気と、エネルギービーム3では直接には加熱されず昇温が抑制されている基板1とによって冷却され、微細な結晶構造が得られ、酸化物微細化構造の触媒2bが得られる。
上記触媒用いて化学的気相成長法(CVD)などによるカーボンナノチューブの成長を行うと、触媒の活性が良好に維持されており、炭化水素やアルコールといった原料ガスから触媒反応により炭素のみが取り出され、微細な触媒結晶構造に合わせてグラファイトと同様の炭素分子構造を有する筒状で良質なカーボンナノチューブが成長する。
該カーボンナノチューブは、種々の用途に利用することができ、本発明としては特定の用途に限定されない。なお、上記実施形態1では、触媒層2の全面に亘ってエネルギービーム3を照射する形態について説明したが、以下に、触媒層2の一部のみにエネルギービーム3を照射する形態について説明する。
(実施形態2)
この実施形態2においても、実施形態1と同様に、基板1上に触媒層2を設ける。
また、触媒層2上で、所望のパターンで生成を行いたいカーボンナノチューブに合わせて、エネルギービームの透過パターン4aを有するマスク4を用意する。このマスクをエネルギービーム照射源(図示しない)と基板1との間に配置し、マスク4上方からエネルギービーム30を照射する。また、特定パターンでの照射を必要としない部位では、触媒層2にエネルギービーム31を照射する。マスク4に照射されたエネルギービーム30は、上記透過パターン4aに対応する部分でのみ透過して、エネルギービーム30aが触媒層2に照射される。
触媒層2では、上記エネルギービーム30aおよびエネルギービーム31が照射された部位でのみ触媒が急激に加熱され、大気中の酸素と反応して触媒酸化物2aが得られる。
必要な部位へのエネルギービーム30a、31の照射を必要時間行った後、照射を停止すると、前記実施形態と同様に高温の触媒酸化物2aは、早期に冷却され、酸化物微細化構造の触媒2bが得られる。その他の部位では、エネルギービームの照射が行われておらず、処理前の触媒層2と同じ性状のままである。
この触媒を用いてCVD等によるカーボンナノチューブの生成を行うと、前記酸化物微細化構造の触媒2bのパターンに応じて所定パターン形状のカーボンナノチューブが成長する。他の部位の触媒層2では、触媒の活性が失われて良質なカーボンナノチューブの生成がなされない。上記のように、触媒の一部に選択的にエネルギービームを照射する方法は、種々の用途にも適用が可能であり、特に、電界電子放出素子用カーボンナノチューブ陰極等の炭素材料製造に適している。
以下に、本発明の実施例を説明する。
(実施例1−1)
Si基板表面に真空蒸着で鉄触媒を膜厚3nmで製膜し、大気中でUVレーザをエネルギー強度250mJ/cm/shot、10Hzで10shot照射した。照射後の触媒表面は、図3に示すように縞状組織化しており、触媒が溶融し酸化、再結晶化されたことが確認された。更に、この基板を熱CVD装置で、Ar:96%、C:4%の混合ガス、700℃雰囲気で10分間成長させた。図4に示すとおり、直径10nmのカーボンナノチューブが密に成長することが確認された。
(実施例1−2)
Si基板表面にスパッタでAlバッファ層を膜厚100nm、鉄触媒を膜厚3nmで製膜したものを、大気中でUVレーザをエネルギー強度250mJ/cm/shot、10Hzで10shot照射した。照射後の触媒表面は、縞状組織化しており、触媒が溶融し酸化、再結晶化されたことが確認された。更に、この基板を熱CVD装置で、Ar:96%、C:4%の混合ガス、700℃雰囲気で10分間成長させた。実施例1−1と遜色なく、直径10nmのカーボンナノチューブが密に成長することが確認された。
(実施例2−1)
Si基板表面に真空蒸着で鉄触媒を製膜した基板について触媒層表面の一部分に、大気雰囲気中でUVレーザをスポット状に成型しエネルギー強度250mJ/cm/shot、10Hzで100shot照射した。照射後の触媒表面は、図5に示すように縞状組織化しており、触媒が溶融し酸化、再結晶化されたことが確認された。この時、UVレーザを照射しなかった触媒表面には、縞状組織は確認されなかった。
更に、この基板を熱CVD装置で、Ar:96%、C:4%の混合ガス、700℃雰囲気で10分間成長させた。図6に示すように、レーザ処理をしていない箇所ではカーボンナノチューブは成長せず、レーザ処理した箇所のみ成長したことが確認された。
(実施例2−2)
Si基板表面に真空蒸着で鉄触媒を製膜した基板において、触媒層の前面に400メッシュの金網を配置し、大気雰囲気中でUVレーザをエネルギー強度250mJ/cm/shot、10Hzで10shot照射した。照射後の触媒表面は、メッシュ開口部を透過しUVレーザが照射された触媒表面は、方形に触媒が溶融し酸化、微細構造化されたことが確認された。この時、UVレーザを照射しなかった触媒表面には、縞状組織は確認されなかった。
更に、この基板を熱CVD装置で、Ar:96%、C:4%の混合ガス、700℃雰囲気で10分間成長させた。レーザ処理をしていない箇所ではカーボンナノチューブは成長せず、レーザ処理されたマスク開口部と同じ配置にカーボンナノチューブが成長した。
以上、上記実施形態および実施例によって本発明を説明したが、本発明は上記説明に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない範囲で変更が可能である。
本発明の一実施形態における触媒の処理方法の工程を説明する図である。 同じく、他の実施形態における触媒の処理方法の工程を説明する図である。 同じく、一実施例における処理後の触媒の表面組織を示す図面代用写真である。 同じく、一実施例におけるカーボンナノチューブの表面組織を示す図面代用写真である。 同じく、他の実施例における処理後の触媒の表面組織を示す図面代用写真である。 同じく、他の実施例におけるカーボンナノチューブの表面組織を示す図面代用写真である。 従来の触媒活性化処理を説明する図である。 従来のカーボンナノチューブの生成に用いられる、触媒等を積層した基板を示す拡大断面図である。
符号の説明
1 基板
2 触媒層
2a 酸化物化した触媒層
2b 酸化物微細構造化した触媒層
3 エネルギービーム
30 エネルギービーム
31 エネルギービーム
4 マスク
4a パターン

Claims (11)

  1. 基板上に設けられた触媒に、酸化性雰囲気中でエネルギービームを照射して、前記触媒を酸化物微細構造化させることを特徴とするカーボンナノチューブ生成用触媒の処理方法。
  2. 前記エネルギービームが、レーザ、イオンビーム、マイクロ波、紫外線ランプ光、赤外線ランプ光のいずれかであることを特徴とする請求項1記載のカーボンナノチューブ生成用触媒の処理方法。
  3. 前記エネルギービームの照射は、連続または間欠で行うことを特徴とする請求項1または2に記載のカーボンナノチューブ生成用触媒の処理方法。
  4. 前記エネルギービームの照射は、室温以下の酸化性雰囲気中で行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のカーボンナノチューブ生成用触媒の処理方法。
  5. 前記触媒の一部のみを選択的に酸化物微細構造化することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のカーボンナノチューブ生成用触媒の処理方法。
  6. 前記触媒に照射するエネルギービームの照射面積と形状を光学素子を用いて制御することで触媒の一部を選択的に酸化物微細構造化することを特徴とする請求項5記載のカーボンナノチューブ生成用触媒の処理方法。
  7. カーボンナノチューブを成長させる箇所に合わせたパターンを持ったマスクを配置し、該マスクを通して前記触媒に前記エネルギービームを照射することで、前記基板表面の触媒の一部をカーボンナノチューブを成長させる箇所に合わせて選択的に酸化物微細構造化することを特徴とする請求項5または6に記載のカーボンナノチューブ生成用触媒の処理方法。
  8. 前記カーボンナノチューブ生成用触媒が、電界電子放出素子用カーボンナノチューブ陰極の生成に用いる触媒であることを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載のカーボンナノチューブ生成用触媒の処理方法。
  9. 前記基板とエネルギービームとを相対的に走査することで前記触媒の全面または一部を酸化物微細構造化することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のカーボンナノチューブ生成用触媒の処理方法。
  10. 前記触媒が前記基板上に製膜または付着されたものであることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のカーボンナノチューブ生成用触媒の処理方法。
  11. 前記触媒が触媒担持物に担持されて前記基板上に設けられているものであることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載のカーボンナノチューブ生成用触媒の処理方法。
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