JP2007290887A - ビスマスチタン酸系ナノ粒子、それを用いた圧電セラミックス、それらの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 本発明は、予め(Bi1/2Na1/2)TiO3 あるいは(Bi1/2K1/2)TiO3構造を有するナノ粒子を厳密にサイズ・形態制御しつつ合成し、これらを用いてペレット整形し焼結することで、非鉛系ビスマス含有セラミックスを合成法、それらを用いて製造される圧電セラミックスに関する。
【解決手段】 ゲル状の前駆体を作成し、前記前駆体を徐々に溶解させて得られたゾル状混合物を固液分離し乾燥させてなるゲル−ゾル合成法を用いたビスマスチタン酸ナトリウム又はビスマスチタン酸ナトリウムナノ粒子の製造方法
【選択図】 図1
【解決手段】 ゲル状の前駆体を作成し、前記前駆体を徐々に溶解させて得られたゾル状混合物を固液分離し乾燥させてなるゲル−ゾル合成法を用いたビスマスチタン酸ナトリウム又はビスマスチタン酸ナトリウムナノ粒子の製造方法
【選択図】 図1
Description
本発明は、非鉛系圧電材料である (Bi1/2Na1/2)TiO3 系セラミックを調製するための原料に関する。特に、(Bi1/2Na1/2)TiO3あるいは(Bi1/2K1/2)TiO3ナノ粒子を、液相系においてサイズ・形態を制御しつつ大量に合成する新規手法を提供するにある。さらに、得られた (Bi1/2Na1/2)TiO3のナノサイズ粒子をペレットに整形し、これを焼結することにより得られる誘電、圧電体特性の優れたビスマス系セラミックス材料を提供するにある。
従来、素材として、誘電、圧電セラミックスとしては鉛成分を含むPZTが用いられてきた。このため有害な鉛を全く含まないもしくはほとんど含まない圧電セラミックスの開発が環境問題として望まれていた。圧電体、誘電体として利用できる非鉛系材料としてチタン酸バリウムより高温使用が可能で高い圧電性セラミックスが得られる合目的な複合機能非鉛ナノ粒子を製造する必要がある。
対象材料としては(Bi1/2Na1/2)TiO3/チタン酸ビスマスナトリウム、(Bi1/2K1/2)TiO3/チタン酸ビスマスカリウムが考えられる。
非鉛圧電セラミックスの高性能化の実現においては複合機能ナノ粒子の状態が圧電特性に大きく影響を及ぼす。粒子同士の凝集を防ぎ、単分散した状態でサイズや形状が一定の粒子群を作製できることは出来上がった圧電セラミックスの機能性に大きな影響を与える。
非鉛圧電セラミックスの高性能化の実現においては複合機能ナノ粒子の状態が圧電特性に大きく影響を及ぼす。粒子同士の凝集を防ぎ、単分散した状態でサイズや形状が一定の粒子群を作製できることは出来上がった圧電セラミックスの機能性に大きな影響を与える。
他方製法として一般に固相反応法として知られている。圧電セラミックの調製で、原料となる複数の原料粉を機械的に混合した後、ペレットに整形し、焼結する手法である。しかしながら、この方法では、ナノレベルでの原料粉の均一混合が困難であることや、焼結時に結晶構造変化を伴うことから、得られるセラミックスの精密な結晶子サイズ・粒界制御が困難であるという課題があった。
特に、この粒界制御が圧電セラミックスの特性向上で不可欠な要素である。これに対し、従来の固相反応法において焼結方法の制御改善を試みてきたが、ナノレベルの原料粉の均一混合が不可能であった。粒径がマイクロメートルオーダーであるなどの理由から特性向上に至らず事実上不可能であった。さらには焼結の際に原料粉からペロブスカイト構造へと結晶構造変化を伴うため、ナノレベルでの精密な粒界制御は困難であったことによる。
固相反応法に対し液相法も用いられている。例えば、液相系における (Bi1/2Na1/2)TiO3 粒子の合成法としては、 TiO2 粒子とBi(OH)3 の NaOH 溶液から合成する方法(非特許文献1)がある。また、 (Bi1/2Na1/2)TiO3 組成のアモルファスを液相法で合成し焼結により合成する方法 (非特許文献2)、さらに、Ti の過酸化物と Bi(NO3)3 からアルカリ条件で作る方法 ((非特許文献3)等が報告されている。
しかしながら、いずれも得られるセラミックスの精密な結晶子サイズ・粒界制御が困難であるという課題があった。また、これらの文献では粒子のサイズ・形態制御に関する言及はなく、液相系においてサイズ・形態を制御しつつ大量に合成する新規手法の検討に対しては未開拓の分野であった。
M. M. Lencka et al, Chem. Mater., 12, 1323-30 (2000年))
(Bi1/2Na1/2)TiO3 組成のアモルファスを液相法で合成し焼結により合成する方法 (C. Y. Kim et al, J. Am. Ceram. Soc., 86 (9) 1464-67 (2003年))
Ti の過酸化物と Bi(NO3)3 からアルカリ条件で作る方法 (P. Pookmanee et al, J. Eur. Ceram. Soc., 24, 517-520 (2004年))
前記したように、ナノレベルでの原料粉の均一混合が困難であること、焼結時に結晶構造変化を伴うこと、得られるセラミックスの精密な結晶子サイズ・粒界制御が困難であるという課題解決が望まれていた。具体的には、固相反応法でナノレベルの原料粉の混合に課題があり、他方、液相法でも、得られるセラミックスの精密な結晶子サイズ・粒界制御が困難であるという課題があった。
本発明では、前記課題を解決し、予め(Bi1/2Na1/2)TiO3 あるいは(Bi1/2K1/2)TiO3構造を有するナノ粒子を厳密にサイズ・形態制御しつつ合成し、これらを用いてペレット整形し焼結することで、これまでの課題を解決し、非鉛系ビスマス含有セラミックスを合成するに至った。
本発明は、ゲル状の前駆体を作成し、前記前駆体を徐々に溶解させて得られたゾル状混合物を固液分離し乾燥させてなるゲル−ゾル合成法を用いたビスマスチタン酸ナトリウム又はビスマスチタン酸ナトリウムナノ粒子の製造方法により提供される。
また、本発明は、前記ゲル状の前駆体が水酸化チタン錯体である前記記載のゲル−ゾル合成法を用いたビスマスチタン酸ナトリウム又はビスマスチタン酸ナトリウムナノ粒子の製造方法により提供される。
さらに、本発明は、前記ナノ粒子を成型し、焼結してなるゲル−ゾル合成法を用いたビスマスチタン酸ナトリウム又はビスマスチタン酸ナトリウムからなる圧電セラミックスの製造方法により提供される。
さらにまた、本発明は、ゲル状の前駆体を作成し、前記前駆体を徐々に溶解させて得られたゾル状混合物を固液分離し乾燥させてなるゲル−ゾル合成法を用いたビスマスチタン酸ナトリウム又はビスマスチタン酸ナトリウムナノ粒子粉末により提供される。
さらにまた、本発明は、ゲル状の前駆体を作成し、前記前駆体を徐々に溶解させて得られたゾル状混合物を固液分離し乾燥させてなるゲル−ゾル合成法を用いたビスマスチタン酸ナトリウム又はビスマスチタン酸ナトリウムナノ粒子粉末により提供される。
さらに、別に、本発明はゲル状の前駆体を作成し、前記前駆体を徐々に溶解させて得られたゾル状混合物を固液分離し乾燥させてなるゲル−ゾル合成法を用いたビスマスチタン酸ナトリウム又はビスマスチタン酸ナトリウムナノ粒子粉末を成型・焼結した圧電セラミックスにより効果的に提供される。
本発明は、ゲル状の前駆体を作成し、前記前駆体を徐々に溶解させて得られたゾル状混合物を固液分離し乾燥させてなるゲル−ゾル合成法を用いたビスマスチタン酸ナトリウム又はビスマスチタン酸ナトリウムナノ粒子の製造方法により提供される。これにより、ナノ粒子を大量に合成できる。また、ナノ粒子に形状異方性を導入でき、粒子の結晶子径を制御できる。固相法に比較し低温焼結の手法を提供できる。
ナノサイズの粉末を作製するためにはサイズ、形状が均一なナノ粒子を作製するためには粒子同士の凝集を防ぎ、単分散化することが必要である。これには本件の新合成法(ゲル−ゾル法)を用いることが簡便で最適である。
“ゲル−ゾル法”(ゾル−ゲル法ではないことに注意すべきである。)は、単分散金属酸化物などの粒子の合成において出発物質として前駆体である濃厚な水酸化物ゲルを用いて最終的に金属酸化物微粒子のゾルを得る溶液系における一般的な単分散微粒子合成法である。この系では、前駆体モノマーの貯蔵庫であるゲルがモノマー濃度の精密制御と成長粒子の凝集防止の双方の役割を同時に担うように設計されている。
一方、メソポーラスシリカの合成法などとして古くから知られているゾル−ゲル法では、金属アルコキシドなどのゾルを出発原料とし、加水分解、縮重合などの化学反応を経てゲルを作製する。ついで熱処理により内部に残された溶媒を取り除き、さらに固相における焼結により緻密化あるいは結晶化を促進させることによりガラスやセラミックスを得る手法である。すなわち“ゲル−ゾル法”は、乾燥や焼結過程を経由しないことから、ゾル−ゲル法とは本質的に異なる微粒子合成法である。
新合成法(ゲル−ゾル法)はゲル混濁液を出発にして最終的にはゾル(コロイド)を得る方法である。最初のゲルが極めて重要であり、ブラウン運動を抑制し、衝突による粒子同士の凝集を防止する。ゲルはゾルに相転移していくので反応の最終段階では全てゾルに変化する。例えばチタン酸バリウムの場合には最初チタンのアルコキシドとトリエタノールアミンから安全な錯体を作製し、加水分解して濃厚なゲル状態を得る。ゲル網の中でチタン酸バリウムの核生成が起こり粒子は成長する。ビスマス系の場合は安定なチタン錯体にビスマス化合物、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムを加えゲル状混合物を加熱、冷却することによりゾル状混合物が得られ、遠心分離機でナノ粒子を得る。
この手法を利用すれば二種類のナノ粒子を混合して得られる合目的な複合機能ナノ粒子を一度にゲルゾル法で合成することも可能である。例えば(Bi1/2Na1/2)TiO3/チタン酸ビスマスナトリウム、(Bi1/2K1/2)TiO3/チタン酸ビスマスカリウムを混合して二成分系組成を作製することが可能であり高性能な圧電特性が期待できる。
以下、本発明を具体的に説明する。本発明では、比較的高いキュリー温度をもつビスマス系複合ペロブスカイト構造からなるナノ粒子を、超濃厚液相系においてサイズ・形態を制御しつつ大量に合成する手法を供する。本合成法の概略図を図1に示す。具体的にはまず、チタンテトライソプロポキシド(Ti[OCH(CH3)2]4)とトリエタノールアミン(N(CH2CH2OH)3)とから安定なチタン錯体水溶液を作製する。
さらに、硝酸ビスマスあるいは水酸化ビスマス(Bi(NO3)3・5H2O)とを混合する。その後、水酸化ナトリウムあるいは水酸化カリウム水溶液を加えることによりゲル状溶液(solution-D)を得る。チタンテトライソプロポキシドは空気中の水分と室温ですら加水分解反応を起こすので反応速度の制御が困難である。トリエタノールアミンとを反応させて新たに生成した錯体は水溶液にしても室温では極めて安定である。
このチタン錯体にビスマス源を添加し、さらに水酸化ナトリウム、水酸化カリウムを加え、水酸化チタンナトリウム、水酸化チタンカリウムのゲルを生成させることによって熱運動をきっかけに起こる粒子の凝集を抑制する。
テフロン(登録商標)製の半透明チューブで作成されたカプセルにチタン錯体溶液を入れ、調整はグローブボックス中で行い、水分を除いた窒素ガス下で行いこれをオートクレーブに移し、200 ℃で 24 時間加熱経時後、遠心分離にて固−液分離する。得られた固相を硝酸で洗浄した後、さらにイオン交換水で3回洗浄することで(Bi1/2Na1/2)TiO3 あるいは (Bi1/2K1/2)TiO3 ナノ粒子を得る。
テフロン(登録商標)製の半透明チューブで作成されたカプセルにチタン錯体溶液を入れ、調整はグローブボックス中で行い、水分を除いた窒素ガス下で行いこれをオートクレーブに移し、200 ℃で 24 時間加熱経時後、遠心分離にて固−液分離する。得られた固相を硝酸で洗浄した後、さらにイオン交換水で3回洗浄することで(Bi1/2Na1/2)TiO3 あるいは (Bi1/2K1/2)TiO3 ナノ粒子を得る。
この際、反応溶液中におけるチタンとビスマスのモル比を変えることにより、得られる(Bi1/2Na1/2)TiO3粒子の形態を球状・ファイバー状・チューブ状へと制御可能である。本件の新合成法で作製できるナノサイズの粉末は0.05μmから0.2μmの粉末の作製が可能である。
なお、ゲル−ゾル合成法では、強アルカリ化で作製すべきである。pH値はpH13以上とすべきである。これ以下では不要成分が生成されやすい。
実施例では、(Bi1/2Na1/2)TiO3/チタン酸ビスマスナトリウムの組成範囲としてはTiは0.25mol%、Biは0.062から0.25mol%、Naは2mol%から8mol%が適当である。
なお、ゲル−ゾル合成法では、強アルカリ化で作製すべきである。pH値はpH13以上とすべきである。これ以下では不要成分が生成されやすい。
実施例では、(Bi1/2Na1/2)TiO3/チタン酸ビスマスナトリウムの組成範囲としてはTiは0.25mol%、Biは0.062から0.25mol%、Naは2mol%から8mol%が適当である。
オートクレーブの温度は50℃から250℃、圧力は2.6MPaで実施した。
比較例として、ゾル−ゲル法でも検討した。その結果は、先にチタニアが生成されるのでペロブスカイト構造ができにくい欠点がある。この欠点を克服するために粉末後の焼結でペロブスカイト構造を作成するといった欠点も確認された。
本発明のゲル−ゾル法では合成の時点でペロブスカイト構造ができているのでその後の焼結においても高性能が特性を得ることができる。
比較例として、ゾル−ゲル法でも検討した。その結果は、先にチタニアが生成されるのでペロブスカイト構造ができにくい欠点がある。この欠点を克服するために粉末後の焼結でペロブスカイト構造を作成するといった欠点も確認された。
本発明のゲル−ゾル法では合成の時点でペロブスカイト構造ができているのでその後の焼結においても高性能が特性を得ることができる。
(Bi1/2Na1/2)TiO3 球状粒子の合成
十分に乾燥させた窒素雰囲気下、容積 200 mL のメスフラスコに、28.42 g (= 0.100 mol)のチタンテトライソプロポキシド (TIPO) および29.84 g (=0.200 mol)のトリエタノールアミン (TEOA) を順に加え、室温で一晩撹拌し、チタンのTEOA錯体を生成させる。この錯体は水に対して比較的安定な錯体であるが、出発物質のTIPOは水に対してきわめて不安定であり水蒸気存在下で直ちに加水分解反応を起こして、水酸化チタンあるいは酸化チタンを生成する。
十分に乾燥させた窒素雰囲気下、容積 200 mL のメスフラスコに、28.42 g (= 0.100 mol)のチタンテトライソプロポキシド (TIPO) および29.84 g (=0.200 mol)のトリエタノールアミン (TEOA) を順に加え、室温で一晩撹拌し、チタンのTEOA錯体を生成させる。この錯体は水に対して比較的安定な錯体であるが、出発物質のTIPOは水に対してきわめて不安定であり水蒸気存在下で直ちに加水分解反応を起こして、水酸化チタンあるいは酸化チタンを生成する。
この後、イオン交換水を加えて全量を 200 mL とすることで淡黄色の 0.50 mol/L チタンストック溶液を得る。ついで、容積 23 mL のテフロン容器に、調製した 0.50 mol/L チタンストック溶液を 6.0 mL入れ、さらに、1.455 g(=3.00 mmol) のBi(NO3)3 五水和物および 3.0 mLの8.0 mol/L 水酸化ナトリウム水溶液を攪拌しながら順に加えた後、イオン交換水 (3.0 mL) を加えて全量を 12 mL とし、さらに室温で 10 分間撹拌する。得られたゲル状混合物を耐熱オートクレーブに移して密栓し、あらかじめ 200 ℃に加熱しておいた加熱炉中で 24 時間加熱経時する。
経時後、オートクレーブを加熱炉から取り出し、室温まで放冷した後、得られたゾル状混合物を遠心分離機 (18,000 rpm, 15 分) で固−液分離し、固体をイオン交換水に超音波分散、遠心沈降する操作を3回繰り返すことで固体を洗浄する。最終的に得られた固体を 60 ℃の乾燥機中で一晩放置、乾燥し、目的とする粉末状(Bi1/2Na1/2)TiO3 ナノ粒子を得る。
得られた固体粒子のサイズ・形態および元素組成をエネルギー分散型X線分光装置 (EDS) 付き透過型電子顕微鏡 (TEM, JEOL, JEM-3010, 300 kV) で観察し、X線回折測定 (XRD, Rigaku, Rad-B, 40 kV, 20 mA) により固体粒子の結晶構造および結晶子径を評価する。ここで、合成時に用いる Bi 源としては Bi(NO3)3 以外に Bi(OH)3 であっても良い。得られた (Bi1/2Na1/2)TiO3 粒子の 図2単分散化された粒子のTEM 写真、図3は
同様単分散された粒子のTEM 写真図4がEDS 分析結果、および 図5がXRDパターンを表したものである。
図2については得られた固体粒子のサイズ・形態を示し、単分散された様子は本発明の顕著な作用効果を示した。粒子の分散性及び粒径が100から200nm程度であった。
同様単分散された粒子のTEM 写真図4がEDS 分析結果、および 図5がXRDパターンを表したものである。
図2については得られた固体粒子のサイズ・形態を示し、単分散された様子は本発明の顕著な作用効果を示した。粒子の分散性及び粒径が100から200nm程度であった。
図4にはゲル−ゾル法により合成した BNT 粒子のエネルギー分散型X線吸収スペクトル
(EDS) 測定結果を示したもので、Bi、 Ti、 Na、 O 原子の存在に由来するピークが観察され、その強度比から純粋なBNT粒子が生成していることが確認できる。ここで Cu のピークはTEM観察の際のグリッドに由来する物である(バックグラウンド)。この結果、液相法を用いることで高純度の BNT 粒子が得られることがわかる。
(EDS) 測定結果を示したもので、Bi、 Ti、 Na、 O 原子の存在に由来するピークが観察され、その強度比から純粋なBNT粒子が生成していることが確認できる。ここで Cu のピークはTEM観察の際のグリッドに由来する物である(バックグラウンド)。この結果、液相法を用いることで高純度の BNT 粒子が得られることがわかる。
図5にはゲル−ゾル法により合成した BNT 粒子の粉末 X 線回折測定 (XRD) 結果を示したもので、すべてのピークは BNT 構造に帰属され、一般に固相法で存在が確認される
BixTiyO系の層状化合物に由来するピークは確認されなかった。きわめて純度の高い BNT粒子が得られていることを意味している。またピークの半値幅からわかるように、粒子
の結晶子サイズは固相法で調製した粒子に比べてきわめて小さい結晶子サイズであることがわかる。
BixTiyO系の層状化合物に由来するピークは確認されなかった。きわめて純度の高い BNT粒子が得られていることを意味している。またピークの半値幅からわかるように、粒子
の結晶子サイズは固相法で調製した粒子に比べてきわめて小さい結晶子サイズであることがわかる。
(Bi1/2Na1/2)TiO3 粒子の合成においては、系の pH が重要であり、 pH = 13 以下では目的とする (Bi1/2Na1/2)TiO3 粒子が得られない。また、反応温度と時間を 250 ℃、3 時間とすると、(Bi1/2Na1/2)TiO3 粒子の他に層状化合物が生成する。
先に述べたように、実施例1において、用いる Bi 源としては Bi(NO3)3 以外に Bi(OH)3 であっても良い。ただし、Bi(OH)3 を用いる場合、系の初期 pH は NaOH を添加しなくても 13 以上となる。この場合、Na+ 源として NaClO4 もしくは Na(NO3)3 を添加して、系中における Na+ イオン濃度を0.50 mol/l 以上にする必要がある。
先に述べたように、実施例1において、用いる Bi 源としては Bi(NO3)3 以外に Bi(OH)3 であっても良い。ただし、Bi(OH)3 を用いる場合、系の初期 pH は NaOH を添加しなくても 13 以上となる。この場合、Na+ 源として NaClO4 もしくは Na(NO3)3 を添加して、系中における Na+ イオン濃度を0.50 mol/l 以上にする必要がある。
(Bi1/2Na1/2)TiO3 ナノチューブ状粒子の合成
実施例1において、Bi 源をBi(NO3)3から Bi(OH)3 に変えると同時にその添加量を Bi/Ti = 1/2、 1/4、 1/8 と減らすと、ナノチューブ状の (Bi1/2Na1/2)TiO3 粒子が得られる。具体的には、実施例1において Bi(NO3)3 五水和物 1.445 g のかわりに Bi(OH)3 0.339 g、反応条件を 200 ℃ 24 時間から 250 ℃ 3 時間とすることでナノチューブ状の (Bi1/2Na1/2)TiO3 粒子を得る。得られるナノチューブの図6がEDSの分析結果、図7がXRの分析結果、図8から図10までがTEM 写真を示す。ナノチューブは針状結晶で直径数十nmで長さが200nm程度の形状をしており、非常に質の高い単結晶であることがこれら写真から読み取れる。
実施例1において、Bi 源をBi(NO3)3から Bi(OH)3 に変えると同時にその添加量を Bi/Ti = 1/2、 1/4、 1/8 と減らすと、ナノチューブ状の (Bi1/2Na1/2)TiO3 粒子が得られる。具体的には、実施例1において Bi(NO3)3 五水和物 1.445 g のかわりに Bi(OH)3 0.339 g、反応条件を 200 ℃ 24 時間から 250 ℃ 3 時間とすることでナノチューブ状の (Bi1/2Na1/2)TiO3 粒子を得る。得られるナノチューブの図6がEDSの分析結果、図7がXRの分析結果、図8から図10までがTEM 写真を示す。ナノチューブは針状結晶で直径数十nmで長さが200nm程度の形状をしており、非常に質の高い単結晶であることがこれら写真から読み取れる。
図6にはゲル−ゾル法により合成したナノチューブ状粒子のエネルギー分散型X線吸収スペクトル(EDS) 測定結果を示したもので、Bi、 Ti、 Na、 O 原子の存在に由来するピークが観察され、その強度比から純粋なナノチューブ状粒子が生成していることが確認できる。
図7は図5と同様の結果が得られた。ゲル−ゾル法により合成したナノチューブ状粒子の粉末 X 線回折測定 (XRD) 結果を示したもので、すべてのピークは ナノチューブ状構造に帰属され、一般に固相法で存在が確認される BixTiyO系の層状化合物に由来するピークは確認されなかった。きわめて純度の高い ナノチューブ状粒子が得られていることを意味している。またピークの半値幅からわかるように、粒子の結晶子サイズは固相法で調製した粒子に比べてきわめて小さく数十ナノメートル程度の結晶子サイズであることがわかる。
図7は図5と同様の結果が得られた。ゲル−ゾル法により合成したナノチューブ状粒子の粉末 X 線回折測定 (XRD) 結果を示したもので、すべてのピークは ナノチューブ状構造に帰属され、一般に固相法で存在が確認される BixTiyO系の層状化合物に由来するピークは確認されなかった。きわめて純度の高い ナノチューブ状粒子が得られていることを意味している。またピークの半値幅からわかるように、粒子の結晶子サイズは固相法で調製した粒子に比べてきわめて小さく数十ナノメートル程度の結晶子サイズであることがわかる。
図8から図10はナノチューブ状粒子のサイズ・形態を示し、様子は本発明の顕著な作用効果を示している。粒子の分散性及び粒径が数十nmから200nm程度の形状をしており、非常に質の高い単結晶である。図8はナノチューブ状粒子が1本、図9はその拡大写真、図10は多数のナノチューブ状粒子が認められた。本件の新合成法において単結晶化されたナノチューブ粒子を製造できる特徴が認められた。
本発明は、(Bi1/2Na1/2)TiO3 、(Bi1/2K1/2)TiO3ナノ粒子を、ゲル−ゾル法という新規合成法については他のナノ粉末素材として提供したが、他の素材での応用が考えられ、分散性の優れたナノサイズ粉末を利用する産業分野での利用が期待される。
Claims (5)
- ゲル状の前駆体を作成し、前記前駆体を徐々に溶解させて得られたゾル状混合物を固液分離し乾燥させてなるゲル−ゾル合成法を用いたビスマスチタン酸ナトリウムナノ粒子又はビスマスチタン酸ナトリウムナノ粒子の製造方法。
- 前記ゲル状の前駆体が水酸化チタン錯体である請求項1記載のゲル−ゾル合成法を用いたビスマスチタン酸ナトリウムナノ粒子又はビスマスチタン酸ナトリウムナノ粒子の製造方法。
- 請求項1又は請求項2記載の前記ナノ粒子を成型し、焼結してなるゲル−ゾル合成法を用いたビスマスチタン酸ナトリウムナノ粒子又はビスマスチタン酸ナトリウムからなる圧電セラミックスの製造方法。
- ゲル状の前駆体を作成し、前記前駆体を徐々に溶解させて得られたゾル状混合物を固液分離し乾燥させてなるゲル−ゾル合成法を用いたビスマスチタン酸ナトリウムナノ粒子又はビスマスチタン酸ナトリウムナノ粒子粉末。
- 請求項4記載のゲル状の前駆体を作成し、前記前駆体を徐々に溶解させて得られたゾル状混合物を固液分離し乾燥させてなるゲル−ゾル合成法を用いたビスマスチタン酸ナトリウムナノ粒子又はビスマスチタン酸ナトリウムナノ粒子粉末を成型・焼結した圧電セラミックス。
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