JP2007270679A - 密閉型回転圧縮機 - Google Patents

Abstract

【課題】吐出マフラの固定により生じるシリンダ閉塞面の歪変形を低減し、高効率で低騒音の密閉型回転圧縮機を得ること。
【解決手段】電動装置２と、ローリングピストン９と、ローリングピストン９を収納するシリンダ４と、シリンダ４に締結され、該シリンダ４の上下端面を閉塞して圧縮室１４を構成するツバ部及び電動装置２の出力を伝達する回転軸３を支持する筒部を有した上下軸受５，６と、下軸受６の圧縮室側面との反対側を空間を有して覆い冷媒ガスの吐出音を低減する下軸受６に固定された吐出マフラ１０とを、密閉容器１内に備えた密閉型回転圧縮機であって、吐出マフラ１０の外周部が平坦段部１０ａに形成されて該平坦段部１０ａが下軸受６のツバ部６Ａ外周下面に押圧密着され、かつ下軸受６の筒部６Ｂ下端面にリング状の弾性部材１１を介して吐出マフラ１０が押圧密着されている。
【選択図】図１

Description

この発明はルームエアコンやパッケージエアコン、冷蔵庫などの冷凍空調システムに用いられる密閉型回転圧縮機に係り、特にその構造に関する。

密閉型回転圧縮機は、電動装置と、電動装置で駆動されるローリングピストンと、ローリングピストンを収納するシリンダと、シリンダに締結され該シリンダの上下端面を閉塞して圧縮室を構成すると共に電動装置の出力を伝達する回転軸を支持する上下軸受と、一方の軸受の圧縮室側面との反対側を空間を有して覆い冷媒ガスの吐出音を低減する該軸受に固定された吐出マフラとを、密閉容器内に備えている。そのような密閉型回転圧縮機として、従来は、下軸受に吐出マフラをボルト締結する際、下軸受のツバ部外周側面に吐出マフラを圧入して密閉シールし、かつ軸受部の下端面にも弾性体を設け、これを固定する保持具を押圧するごとく密封シールする方式（例えば特許文献１)や、吐出マフラの外周部を平担部とした段付構造とし、吐出マフラの平担部を軸受に密着させてシールする方式(例えば特許文献２)などがあった。

実開昭５９−２４９８５号公報 実用登録第３０７７９８３号公報

しかしながら、従来の密閉型回転圧縮機では、吐出マフラを軸受ツバ部外周側面に圧入しているため、軸受部のシリンダ閉塞面が圧縮室側へ歪変形し、この歪によりローリングピストンとのクリアランスが狭くなり、摺動損失が高くなることによる圧縮効率の低下や騒音発生の問題があった。

また、軸受の下端面に弾性体を設け、これを固定する保持具を押圧するごとく密封シールする方式の場合は、部品点数が多くなりコスト面での問題もあった。

さらに、吐出マフラの外周部に平担部を設けて段付構造とし、その平担部を利用して軸受の外周部に吐出マフラを密着シールする方式では、吐出マフラが接触する軸受の筒部端面で軸受が強く押圧され、軸受のシリンダ閉塞面が圧縮室側へ歪変形するという問題もあった。

この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、主たる目的は吐出マフラの固定により生じるシリンダ閉塞面の歪変形を低減し、高効率で低騒音の密閉型回転圧縮機を得ることである。
また、併せて、吐出マフラを固定する際の構造を簡素化することにより、安価で高効率、低騒音の密閉型回転圧縮機を得ることである。

この発明は、電動装置と、前記電動装置で駆動されるローリングピストンと、前記ローリングピストンを収納するシリンダと、前記シリンダに締結され、該シリンダの上下端面を閉塞して圧縮室を構成するツバ部及び前記電動装置の出力を伝達する回転軸を支持する筒部を有した上下軸受と、前記下軸受の前記圧縮室側面との反対側を空間を有して覆い冷媒ガスの吐出音を低減する前記下軸受に固定された吐出マフラとを、密閉容器内に備えた密閉型回転圧縮機であって、前記吐出マフラの外周部が平坦段部に形成されて該平坦段部が前記下軸受のツバ部外周下面に押圧されて密着され、かつ前記下軸受の筒部下端面にリング状の弾性部材を介して前記吐出マフラが押圧されて密着されているものである。

また、電動装置と、前記電動装置で駆動されるローリングピストンと、前記ローリングピストンを収納するシリンダと、前記シリンダに締結され、該シリンダの上下端面を閉塞して圧縮室を構成するツバ部及び前記電動装置のの出力を伝達する回転軸を支持する筒部を有した上下軸受と、前記下軸受の前記圧縮室側面との反対側を空間を有して覆い冷媒ガスの吐出音を低減する前記下軸受に固定された吐出マフラとを、密閉容器内に備えた密閉型回転圧縮機であって、前記吐出マフラの外周部が平坦段部に形成されて該平坦段部が前記下軸受のツバ部外周下面に押圧されて密着され、かつ前記下軸受の筒部下端面に形成された環状溝に前記吐出マフラが押圧されて密着されているものである。

さらに、電動装置と、前記電動装置で駆動されるローリングピストンと、前記ローリングピストンを収納するシリンダと、前記シリンダに締結され該シリンダの上下端面を閉塞して圧縮室を構成するツバ部及び前記電動装置の出力を伝達する回転軸を支持する筒部を有した上下軸受と、前記上下軸受のうちの一方の軸受の前記圧縮室側面との反対側を空間を有して覆い冷媒ガスの吐出音を低減する吐出マフラとを、密閉容器内に備えた密閉型回転圧縮機であって、前記一方の軸受と前記吐出マフラとで形成される吐出マフラ内へ冷媒ガスを吐出する吐出ポートが前記一方の軸受の吐出弁座薄肉部に形成され、前記吐出弁座薄肉部の前記圧縮室側面を前記吐出弁座薄肉部以外の該軸受の前記圧縮室側表面より凹ませた凹面としているものである。

この発明によれば、吐出マフラの外周部が平坦段部に形成されて該平坦段部が下軸受のツバ外周部下面に押圧されて密着され、かつ下軸受の筒部下端面にリング状の弾性部材を介して吐出マフラが押圧されて密着されているため、それらの密着部がシールされるとともに、下軸受のシリンダ閉塞面の圧縮室側への歪変形が低減される。従って、下軸受とローリングピストンとの摺動損失が低減され、圧縮効率が高く、高効率、低騒音の密閉型回転圧縮機が得られる。また、その効果を特許文献１などにくらべてより簡素な構造で実現できるため、安価で高性能の密閉型回転圧縮機が得られる。

なお、前記吐出マフラの外周部が平坦段部に形成されて該平坦段部が前記下軸受のツバ外周部下面に押圧されて密着され、かつ前記下軸受の筒部下端面に形成された環状溝に前記吐出マフラが押圧されて密着されている構成としても、上記とほぼ同様の効果が得られる。

さらに、前記一方の軸受と前記吐出マフラとで形成される吐出マフラ内へ冷媒ガスを吐出する吐出ポートが前記一方の軸受の吐出弁座薄肉部に形成され、前記吐出弁座薄肉部の前記圧縮室側面を前記吐出弁座薄肉部以外の該軸受の前記圧縮室側表面より凹ませた凹面としているので、圧縮機運転時に吐出弁座薄肉部が圧縮室側へ歪変形したとしても、ローリングピストンとのクリアランスが狭くなることなく、摺動損失が低くて、高効率の密閉型回転圧縮機を得ることができる。

以下、この発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
実施の形態１．
図１はこの発明の実施の形態１に係る密閉型回転圧縮機の縦断面図、図２は実施の形態１に係る密閉型回転圧縮機の底部詳細図である。

図１に示すように、実施の形態１に係る密閉型回転圧縮機は、密閉容器１の中に電動機などの電動装置２、電動装置２の回転出力を伝達する回転軸３、電動装置２の下部に配置されたシリンダ４、シリンダ４の上下開端面を閉塞し、圧縮室１４を構成すると共に回転軸３を支持する上下軸受（上軸受５及び下軸受６）、回転軸３の偏心部に一体に嵌合装着されシリンダ４内に収納されたローリングピストン９、下軸受６に固定された吐出マフラ１０を備える。

上軸受５及び下軸受は６ボルト７，８によりシリンダ４に締結固定されている。なお、上軸受５及び下軸受６において、シリンダ４に締結され該シリンダ４を閉塞して圧縮室を構成する部分をツバ部と、電動装置２の出力を伝達する回転軸３を支持する部分を筒部と称する。そして、下軸受６のそれらを特に、ツバ部６Ａ、筒部６Ｂとして表す。吐出マフラ１０は、下軸受６のツバ部６Ａにボルト８で締結固定されている。
この密閉型回転圧縮機はさらに、下軸受６の筒部６Ｂ下端面６ｂと、そこに対応する吐出マフラ１０の環状突起部１０ｂの間に設けられたリング状弾性部材（例えば樹脂やゴム製部材）１１、冷媒ガスを冷凍空調システムへ送り出す吐出管１２、冷凍回路内から流入した冷媒を貯留するアキュームレータ１３、このアキュームレータ１３より冷媒をシリンダ４内の圧縮室１４へ導く吸入管１５を備える。

吐出マフラ１０は、その外周部に下軸受６のツバ部６Ａ外周下面６ａと接する平担段部１０ａを有した段付構造となっており、平担段部１０ａがツバ部６Ａ外周下面６ａに押圧されて密着され、シール状態とされている。また、吐出マフラ１０は、下軸受６の筒部６Ｂ下端面６ｂに対応する部位が環状に突起した環状突起部１０ｂとして形成されており、環状突起部１０ｂが弾性部材１１を介して下軸受６の筒部６Ｂ下端面６ｂに押圧されて密着され、シール状態とされている。なお、平担段部１０ａとツバ部６Ａ外周下面６ａとの押圧、及び環状突起部１０ｂと筒部６Ｂ下端面６ｂとの押圧は、吐出マフラ１０と下軸受６とのボルト８締結により生じている。

次に、以上のように構成された密閉型回転圧縮機の作用を説明する。電動装置２の回転力は、回転軸３によってローリングピストン９に伝達される。そして、シリンダ４内の圧縮室１４で回転軸３の偏芯部に嵌合装着されたローリングピストン９が偏芯回転運動を行うことにより、圧縮室１４内に吸入管１５から冷媒ガスが吸入されて圧縮される。その圧縮された冷媒ガスは、下軸受６に設けられた吐出ポート１６から吐出マフラ１０内へ吐出された後、密閉容器１内に導かれ、電動装置２を冷却して、容器１上部に設けられた吐出管１２から冷凍空調システム内に流出する。
なお、密閉容器１に隣接して設けられたアキュームレータ１３は冷凍サイクルから戻ってきた冷媒を気液分離し、吸入管１５を通って液冷媒がシリンダ４内に流入することを防止している。

下軸受６に装着された吐出マフラ１０は冷媒ガスの吐出音を低減する機能を有するが、冷媒ガスが密閉容器１の底部に貯溜された冷凍機油１７内に吹き出すことがないように、下軸受６に吐出マフラ１０を密着してシールしている。吐出マフラ１０内に吐出された冷媒ガスは、シリンダ４を貫通する流路より上部へ導かれた後に密閉容器１内に吐出される。冷凍機油１７は、回転軸３が回転することにより、回転軸３の内側に設けられた中空穴部に発生する遠心力を利用して各摺動部へ供給されるが、吐出マフラ１０の給油穴１０ｃは、回転軸３の中空穴径より小さく、ここを通る冷凍機油１７の流速を早め、給油力を増加させている。

上記のように、シリンダ４に固定された下軸受６及び吐出マフラ１０は、冷媒ガスが密閉容器１の底部に貯溜された冷凍機油１７内に吹き出すことが無いようにシールされていることが必要である。このため、図２に示すように、下軸受６の筒部６Ｂ下端面６ｂにはリング状の弾性部材１１を装着し、ボルト８の締結力により吐出マフラ１０の環状突起部１０ｂが弾性部材１１を介して下軸受６の筒部６Ｂ下端面６ｂを押圧し、その部分を密着シールしている。このとき、弾性部材１１は吐出マフラ１０の強すぎる押圧を抑制して適度な押圧にすると共に、密着度を高める作用を果たしている。
それに加えて、吐出マフラ１０の外周部が平担段部１０ａを有した段付構造となっており、ボルト８の締結力により下軸受６のツバ部６Ａ外周下面６ａをこの平担段部１０ａが押圧することにより、下軸受６のツバ部６Ａ外周下面６ａに吐出マフラ１０の平担段部１０ａが密着シールされた状態となっている。

図３は吐出マフラ１０の固定態様に応じた下軸受６のシリンダ閉塞面に生じる歪変形の比較説明図である。図３（ｃ）が上記実施の形態１の場合の状態図であり、下軸受６のシリンダ閉塞面に生ずる歪変形は破線で示している。これに対して、図３（ａ）は筒部６Ｂ下端面６ｂに弾性部材１１を介さない場合の構成、図３（ｂ）は弾性部材１１を介しているが、下軸受６のツバ部６Ａ外周側面６ｃに吐出マフラ１０を圧入してシールしている構成であり、それらの場合における下軸受６のシリンダ閉塞面に生ずる歪変形を破線で示している。なお、図３中の黒色矢印は、吐出マフラ１０が下軸受６に作用する押圧力を示している。

実施の形態１の密閉型回転圧縮機では、吐出マフラ１０の外周部の平坦段部１０ａが下軸受６のツバ部６Ａ外周下面６ａに密着シールされ、かつ下軸受６の筒部６Ｂ下端面６ｂでリング状弾性部材１１を介して吐出マフラ１０が密着シールされることにより、下軸受６のシリンダ閉塞面に生ずる応力が低減される。このときの下軸受６のシリンダ閉塞面に生ずる歪変形は、たとえば図３（ａ）の破線で示すように表せる。
これに対して、図３（ａ）及び図３（ｂ）では、吐出マフラ１０が下軸受６に作用する押圧力に起因して下軸受６のシリンダ閉塞面に生ずる応力が図３（ａ）の場合より大きくなるため、下軸受６のシリンダ閉塞面に生ずる歪変形は、それぞれ図３（ａ）、図３（ｂ）の破線で示すように、図３（ｃ）に比較して増大する。

実施の形態１の密閉型回転圧縮機によれば、吐出マフラ１０の外周部の平坦段部１０ａが下軸受６のツバ部６Ａ外周下面６ａに密着シールされ、かつ下軸受６の筒部６Ｂ下端面６ｂにリング状弾性部材１１を介して吐出マフラ１０が密着シールされることにより、下軸受６のシリンダ閉塞面に生ずる応力が低減されるので、下軸受６と吐出マフラ１０との締結により生じる下軸受６のシリンダ閉塞面の歪変形が、従来の固定方式に比べて低減する。これにより、摺動損失が低い、高効率、低騒音の圧縮機を得ることができる。

また、下軸受６の筒部６Ｂ下端面６ｂを、リング状弾性部材１１を介して、吐出マフラ１０の環状突起部１０ｂにより押圧することにより、下軸受６と吐出マフラ１０とを密着シールするこの方式は、従来の軸受部の下端面に弾性体を設けて、それを固定する保持具を押圧するごとく吐出マフラで密封シールする方式よりも、部品点数が少なく、低コストの圧縮機を得ること寄与する。

実施の形態２．
図４はこの発明の実施の形態２に係る密閉型回転圧縮機の底部詳細図であり、丸枠内にはその一部の拡大図が付加されている。なお、実施の形態１と同一構成物には同一符号を付して詳細な説明を省略する。

図４に示すように、実施の形態２は、下軸受６の筒部６Ｂ下端面６ｂでの密着を、実施の形態１で使用したリング状の弾性部材１１に代えて、下軸受６の筒部６Ｂ下端面６ｂに形成した環状溝６ｄを利用して行うようにしたものであり、その他の点では実施の形態１と同じである。

すなわち、下軸受６の筒部６Ｂ下端面６ｂに環状溝６ｄを形成しておき、ボルト８により吐出マフラ１０が下軸受６に締結されると、その締結力により、吐出マフラ１０の環状突起部１０ｂが環状溝６ｄを押圧し、環状突起部１０ｂがその環状溝６ｄの部位に密着して、その溝６ｄ部で下軸受６と吐出マフラ１０とがシールされる。

実施の形態２の密閉型回転圧縮機によれば、吐出マフラ１０が下軸受６にボルト８で締結固定される際、吐出マフラの環状突起部１０ｂの曲部が広がるように弾性変形する。これにより、下軸受６の筒部６Ｂ下端面６ｂへの押圧が適正に調整されるため、下軸受６のシリンダ閉塞面の歪変形を低減させた状態で、下軸受６と吐出マフラ１０とをシールできる。これにより、圧縮室側面の歪変形による摺動ロスの増加による性能低下や騒音増加が防止され、実施の形態１と同等の効果が得られる。

また、下軸受６の筒部６Ｂ下端面６ｂの環状溝ｄに、吐出マフラ１０の環状突起部１０ｂを押圧することにより、下軸受６と吐出マフラ１０とを密着シールするこの方式は、従来の軸受部の下端面に弾性体を設けて、それを固定する保持具を押圧するごとく吐出マフラで密封シールする方式よりも、部品点数が少なく、低コストの圧縮機を得ることに寄与する。

実施の形態３．
図５はこの発明の実施の形態３に係る密閉型回転圧縮機の底部詳細図である。なお、実施の形態１と同一構成物には同一符号を付して詳細な説明を省略する。

図５に示すように、実施の形態３においても、吐出マフラ１０の外周部は実施の形態１、２と同様、平坦段部１０ａに形成された段付構造となっている。ただし、実施の形態３では、下軸受６のツバ部６Ａを、シリンダ４の端面との接触部より外周（外側）まで拡張し、この拡張部外周端に、吐出マフラ１０の平坦段部１０ａを受け入れる平坦面６ａ’を設けて、この平坦面６ａ’と平坦段部１０ａとを密着シールするようにしたものである。

実施の形態１及び実施の形態２では、吐出マフラ１０の外周に設けた平担段部１０ａが、下軸受６のシリンダ４との接触面の内側に位置する構成となっているため、下軸受６のツバ部６Ａ外周側面に吐出マフラ１０を圧入する方式に比べて、吐出マフラ１０の外径が小さくなり、その分密封されているマフラ空間が小さくなる（参考のため、図５には、実施の形態１及び実施の形態２の場合の吐出マフラ１０の外周位置を破線で示している）。そこで、マフラ空間を従来と同様の大きさに保って、吐出マフラ１０の消音効果を充分なものとするために採用したのが実施の形態３の構成である。

実施の形態３の密閉型回転圧縮機によれば、吐出マフラ１０の外周部の平担段部１０ａを受け取る下軸受６ツバ部６Ａの平坦面６ａ’を、下軸受６のシリンダ４との接触面の外周（外側）位置に設けた構造としたので、吐出マフラ１０を下軸受６のツバ部６Ａ外周側面に圧入する方式と同等の吐出マフラ内容積が得られる。これにより、実施の形態１及び２の効果に加えて、吐出マフラ１０の消音効果も損なわれることのない圧縮機が得られるなお、実施の形態３の平担面６ａ’を実施の形態２に適用してもよい。

実施の形態４．
図６はこの発明の実施の形態４に係る密閉型回転圧縮機の底部詳細図である。なお、実施の形態１と同一構成物には同一符号を付して詳細な説明を省略する。

図６に示すように、実施の形態４では、下軸受６の筒部６Ａの下端域外周６ｅに吐出マフラ１０を圧入して固定することとし、下軸受６と吐出マフラ１０をボルト締結しない構造としたものである。従って、吐出マフラ１０の下軸受６筒部６Ａ下端域に対応する部分には、筒部６Ａの下端域外周６ｅの外径より少し小さい径の凹部を予め形成しておく。また、下軸受６の筒部６Ａ下端域内周は他の基本径部分より拡径して、吐出マフラ１０の圧入によりその部分が歪変形しても、その歪変形が基本径の部分より内側突出することを防いでいる。なお、この拡径部分をここでは、変形逃がし部６ｆと称する。

実施の形態４の構成によれば、吐出マフラ１０は、下軸受６の筒部６Ａ下端域外周６ｅに圧入されて固定されている。そして、吐出マフラ１０の外周部は、実施の形態１，２と同様、吐出マフラ１０の平担段部１０ａが、吐出マフラ１０の圧入による押圧力により、下軸受６のツバ部６Ａ外周下面６ａを押圧して密着シールされている。また、下軸受６の筒部６Ｂ下端面６ｂにはリング状弾性部材１１が装着され、吐出マフラ１０の環状突起部１０ｂがそれを押圧している。この構成により、吐出マフラ１０の平坦段部１０ａによる下軸受６のツバ部６Ａ外周下面６ａへの押付力を強すぎることなく適切にし、かつ弾性部材１１が吐出マフラ１０の環状突起部１０ｂによる過度な押圧力を吸収して、下軸受６のシリンダ閉塞面を歪変形させることなく、吐出マフラ１０を下軸受６に密着シールさせることができる。これにより、圧縮室１４側面の歪変形に起因する摺動損失を抑制して、高効率、低騒音の圧縮機を得ることができる。

なお、吐出マフラ１０が圧入される下軸受６の筒部６Ｂ下端域外周６ｅに対応する内径側には、拡径された変形逃がし部６ｆが設けられているため、吐出マフラ１０が圧入固定された際に筒部６Ｂに歪変形が発生しても、この変形逃がし部６ｆがその歪変形を下軸受６の基本内径より内側へ突出することを防ぐ。このため、歪変形による下軸受６と回転軸３の摺動ロス増加による性能低下や騒音増加を防止することができる。

さらに、吐出マフラ１０を下軸受６に圧入して固定し、両者間をボルト締結しない構造としているため、ボルト締結部に生ずる局部応力が発生せず、従って、吐出マフラ１０の外周全体に均等に下軸受６を押圧する力が掛かるため、吐出マフラ１０と下軸受６とが確実に密封シールされ、漏れ損失や摺動損失が低い、高効率の圧縮機を得ることができる。なお、吐出マフラ１０を下軸受６の筒部６Ｂに圧入するこの構成を実施の形態２に適用してもよい。

実施の形態５．
図７は密閉型回転圧縮機の底部詳細図であって、吐出弁座薄肉部１８に凹面がない説明図（ａ）と実施の形態５に係る吐出弁座薄肉部１８の側断面図（ｂ）及び平面図（ｃ）である。なお、実施の形態１と同一構成物には同一符号を付して詳細な説明を省略する。

実施の形態５は、上軸受６又は下軸受６のうちの一方の軸受と吐出マフラ１０とで形成される吐出マフラ内へ冷媒ガスを吐出する吐出ポート１６が、その一方の軸受５又は６の吐出弁座薄肉部１８に形成され、その吐出弁座薄肉部１８の圧縮室側面を吐出弁座薄肉部１８以外の圧縮室側表面より凹ませた凹面１９とするものである。

図７（ａ）の断面図は基本的に実施の形態１の図１及び図２と同じ構成となっている。 これに対して、図７（ｂ）の側断面図及び図７（ｃ）の平面図は、下軸受６に形成された吐出弁座薄肉部１８の圧縮室側面が、吐出弁座薄肉部１８以外の下軸受６の圧縮室１４側表面より凹んだ凹面１９となっていることを表している。

冷媒ガスを吐出マフラ１０内に吐出する吐出ポート１６は、片持ち梁状の吐出弁２０により開閉されるが、吐出される冷媒ガスの圧損を減らすため、圧縮室１４と吐出弁２０との間に形成されるデッドボリュームをできる限り減らす必要がある。このため、吐出ポート１６及び吐出弁２０は、下軸受６のツバ部６Ａに形成した薄肉部である吐出弁座薄肉部１８に設けられる。

ところが、この吐出弁座薄肉部１８を基準としたとき、圧縮機運転中の圧縮室１４内の圧力Ｐｃは、吐出マフラ１０内の圧力Ｐｄより小さくなるため、吐出弁座薄肉部１８は、図７の(ａ)の丸枠内の破線で示すように、圧縮室側へ歪変形することがある。この歪変形が生じると、ローリングピストンとのクリアランスが狭くなり、摺動損失が高くなることによる圧縮効率の低下や騒音が増大につながる。

そこで、図７（ｂ）及び（ｃ）に示すように、下軸受ツバ部６Ａの吐出弁座薄肉部１８に対応する圧縮室１４側の部分をそれ以外の部分に対して、およそ数μｍ程度の微小凹面加工を施し、その加工した凹面１９を変形逃がし部１９としている。

実施の形態５の密閉型回転圧縮機によれば、変形逃がし部１９を設けたことで、圧縮機運転時に吐出弁座薄肉部１８が圧縮室１４側へ歪変形したとしても、ローリングピストン９とのクリアランスが狭くなることがなくなり、摺動損失が低下した、高効率の圧縮機を得ることができる。

なお、ここでは実施の形態１との組合せを例に示したが、実施の形態５で示した吐出弁座薄肉部１８の凹面１９の構成は、実施の形態２〜４あるいはここに例示していない他の形態、例えば上軸受６に吐出マフラ１０や吐出ポート１６を設けた構成、と組み合わせてもよい。

この発明の実施の形態１に係る密閉型回転圧縮機の縦断面図である。 この発明の実施の形態１に係る密閉型回転圧縮機の底部詳細図である。 吐出マフラの固定態様に応じた下軸受のシリンダ閉塞面に生じる歪変形の比較説明図である。 この発明の実施の形態２に係る密閉型回転圧縮機の底部詳細図である。 この発明の実施の形態３に係る密閉型回転圧縮機の底部詳細図である。 この発明の実施の形態４に係る密閉型回転圧縮機の底部詳細図である。 密閉型回転圧縮機の底部詳細図であって、吐出弁座薄肉部に凹面がない場合の説明図（ａ）と、実施の形態５に係る吐出弁座薄肉部を示す側断面図（ｂ）及び平面図（ｃ）である。

符号の説明

１ 密閉容器、２ 電動装置、３ 回転軸、４ シリンダ、５ 上軸受、６ 下軸受、６Ａ 下軸受のツバ部、６Ｂ 下軸受の筒部、６ａ 下軸受のツバ部外周下面、６ａ’ 平担面、６ｂ 下軸受の筒部下端面、６ｄ 下軸受の筒部下端面の環状溝、６ｅ 下軸受の筒部下端域の外周、６ｆ 筒部下端域の変形逃がし部（拡径部）、７ 上軸受締結ボルト、８ 下軸受締結ボルト、９ ローリングピストン、１０ 吐出マフラ、１０ａ 吐出マフラ外周部の平担段部、１０ｂ 吐出マフラの環状突起部、１０ｃ 吐出マフラの給油穴、１１ リング状弾性部材、１２ 吐出管、１３ アキュームレータ、１４ 圧縮室、１５ 吸入管、１６ 吐出ポート、１７ 冷凍機油、１８ 吐出弁座薄肉部、１９ 吐出弁座薄肉部の変形逃がし部（凹面）、２０ 吐出弁。

Claims (6)

1. 電動装置と、前記電動装置で駆動されるローリングピストンと、前記ローリングピストンを収納するシリンダと、前記シリンダに締結され、該シリンダの上下端面を閉塞して圧縮室を構成するツバ部及び前記電動装置の出力を伝達する回転軸を支持する筒部を有した上下軸受と、前記下軸受の前記圧縮室側面との反対側を空間を有して覆い冷媒ガスの吐出音を低減する前記下軸受に固定された吐出マフラとを、密閉容器内に備えた密閉型回転圧縮機であって、
   前記吐出マフラの外周部が平坦段部に形成されて該平坦段部が前記下軸受のツバ部外周下面に押圧されて密着され、かつ前記下軸受の筒部下端面にリング状の弾性部材を介して前記吐出マフラが押圧されて密着されていることを特徴とする密閉型回転圧縮機。
2. 電動装置と、前記電動装置で駆動されるローリングピストンと、前記ローリングピストンを収納するシリンダと、前記シリンダに締結され、該シリンダの上下端面を閉塞して圧縮室を構成するツバ部及び前記電動装置の出力を伝達する回転軸を支持する筒部を有した上下軸受と、前記下軸受の前記圧縮室側面との反対側を空間を有して覆い冷媒ガスの吐出音を低減する前記下軸受に固定された吐出マフラとを、密閉容器内に備えた密閉型回転圧縮機であって、
   前記吐出マフラの外周部が平坦段部に形成されて該平坦段部が前記下軸受のツバ部外周下面に押圧されて密着され、かつ前記下軸受の筒部下端面に形成された環状溝に前記吐出マフラが押圧されて密着されていることを特徴とする密閉型回転圧縮機。
3. 内周が他の領域より拡径された前記下軸受の前記筒部下端域の外周に、前記吐出マフラが圧入されて固定されていることを特徴とする請求項１又は２記載の密閉型回転圧縮機。
4. 前記下軸受は前記シリンダとの接触部より外周位置に、前記吐出マフラの前記平坦段部を受ける平坦面を有することを特徴とする請求項１〜３のいずれかに記載の密閉型回転圧縮機。
5. 前記下軸受と前記吐出マフラとで形成される吐出マフラ内へ冷媒ガスを吐出する吐出ポートが前記下軸受の吐出弁座薄肉部に形成され、前記吐出弁座薄肉部の前記圧縮室側面を、前記吐出弁座薄肉部以外の前記下軸受の前記圧縮室側表面より凹ませた凹面としていることを特徴とする請求項１〜４のいずれかに記載の密閉型回転圧縮機。
6. 電動装置と、前記電動装置で駆動されるローリングピストンと、前記ローリングピストンを収納するシリンダと、前記シリンダに締結され、該シリンダの上下端面を閉塞して圧縮室を構成するツバ部及び前記電動装置の出力を伝達する回転軸を支持する筒部を有した上下軸受と、前記上下軸受のうちの一方の軸受の前記圧縮室側面との反対側を空間を有して覆い冷媒ガスの吐出音を低減する吐出マフラとを、密閉容器内に備えた密閉型回転圧縮機であって、
   前記一方の軸受と前記吐出マフラとで形成される吐出マフラ内へ冷媒ガスを吐出する吐出ポートが前記一方の軸受の吐出弁座薄肉部に形成され、前記吐出弁座薄肉部の前記圧縮室側面を前記吐出弁座薄肉部以外の該軸受の前記圧縮室側表面より凹ませた凹面としていることを特徴とする密閉型回転圧縮機。
   

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