JP2007270168A - Cr含有フェライト系鋼板の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】広い成分範囲においてリジングを改善できるCr含有フェライト系鋼板の製造方法を提供する。
【解決手段】質量%で、C:0.003〜0.020%、Mn:0.05〜1.0%、Si:0.05〜1.5%、P:0.04%以下、S:0.006%以下、Cr:9.0〜30%、Al:0.001〜0.09%、N:0.003〜0.015%、Ti、Nb、Cu、Ni、Mo、V、Wのうちから選ばれた少なくとも1種の元素:0.05〜2.5%、残部Feおよび不可避的不純物からなる連続鋳造されたスラブを熱間圧延するに際し、合計圧下率で65%以上を鋳造方向と同方向に熱間圧延を行い、かつ前記熱間圧延のうち合計圧下率で30%以上を再結晶温度以上の温度域で行うことを特徴とするCr含有フェライト系鋼板の製造方法。
【選択図】図3
【解決手段】質量%で、C:0.003〜0.020%、Mn:0.05〜1.0%、Si:0.05〜1.5%、P:0.04%以下、S:0.006%以下、Cr:9.0〜30%、Al:0.001〜0.09%、N:0.003〜0.015%、Ti、Nb、Cu、Ni、Mo、V、Wのうちから選ばれた少なくとも1種の元素:0.05〜2.5%、残部Feおよび不可避的不純物からなる連続鋳造されたスラブを熱間圧延するに際し、合計圧下率で65%以上を鋳造方向と同方向に熱間圧延を行い、かつ前記熱間圧延のうち合計圧下率で30%以上を再結晶温度以上の温度域で行うことを特徴とするCr含有フェライト系鋼板の製造方法。
【選択図】図3
Description
本発明は、Cr含有フェライト系鋼板、特に、自動車、家電、厨房などに用いられるCr含有のフェライト系耐熱鋼板やステンレス鋼板の製造方法に関する。
SUH409鋼やSUS430鋼などのCr含有のフェライト系耐熱鋼板およびステンレス鋼板は、優れた耐熱性や耐食性を有し、Niを多量に含有するオーステナイト系ステンレス鋼に比べて安価であることから、厨房器具、家電製品、自動車排気系部材など多岐に使用されている。
しかし、こうしたCr含有フェライト系鋼板においては、スラブ鋳造時に形成される粗大な柱状晶組織に起因して冷間圧延・焼鈍後にも方位の近い結晶粒の集団がバンド状に残留し、プレス加工や引張り加工によりリジングと呼ばれる皺状の表面起伏が発生しやすい。このリジングは、製品の美観が要求される用途では表面研磨工程の負荷を増大させ、また、加工性が要求される用途では加工不良を引き起こすため、なるべく低減することが要求されている。
リジングを改善する技術として、スラブの鋳造条件により柱状晶組織の形成を抑制する方法やスラブの柱状晶組織を熱間圧延などで破壊する方法など、数多く開示されている。例えば、特許文献1には、鋼中のTiとAlの含有量の比Ti/Alを8以上にしてスラブの等軸晶率を高める方法が、また、特許文献2には、YやMgを含有させ、これらを含む介在物を分散させてスラブの等軸晶率を高める方法が、さらに、特許文献3には、成分のオーステナイトの安定度を高め、熱間圧延時の加熱温度、圧延温度、圧延率を制御して柱状晶組織を破壊し微細にランダム化する方法が提案されている。
特開平9-49010号公報
特開2002-285292号公報
特開2000-256750号公報
しかしながら、特許文献1〜3に記載された方法では、スラブの等軸晶率を高めたり、柱状晶組織を破壊し微細化して冷間圧延・焼鈍後のリジングの改善を図れるが、いずれも成分の制約があり、広い範囲のCr含有フェライト系鋼板には適用できない場合がある。
本発明は、広い成分範囲において、冷間圧延・焼鈍後のリジングを改善できるCr含有フェライト系鋼板の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、リジングの改善のためにスラブの柱状晶組織に注目して検討したところ、以下のことを見出した。
1)図1に模式的に示すように、連続鋳造されたスラブの柱状晶組織は、スラブの表層から中央に向かって鋳造方向とは逆方向に傾斜している。
2)スラブを熱間圧延するに際し、所定の圧下率で、所定の温度域を鋳造方向と同方向に熱間圧延を行うことによりリジングを改善できる。
1)図1に模式的に示すように、連続鋳造されたスラブの柱状晶組織は、スラブの表層から中央に向かって鋳造方向とは逆方向に傾斜している。
2)スラブを熱間圧延するに際し、所定の圧下率で、所定の温度域を鋳造方向と同方向に熱間圧延を行うことによりリジングを改善できる。
本発明は、このような知見に基づきなされたもので、質量%で、C:0.003〜0.020%、Mn:0.05〜1.0%、Si:0.05〜1.5%、P:0.04%以下、S:0.006%以下、Cr:9.0〜30%、Al:0.001〜0.09%、N:0.003〜0.015%、Ti、Nb、Cu、Ni、Mo、V、Wのうちから選ばれた少なくとも1種の元素:0.05〜2.5%、残部Feおよび不可避的不純物からなる連続鋳造されたスラブを熱間圧延するに際し、合計圧下率で65%以上を鋳造方向と同方向に熱間圧延を行い、かつ前記熱間圧延のうち合計圧下率で30%以上を再結晶温度以上の温度域で行うことを特徴とするCr含有フェライト系鋼板の製造方法を提供する。
本発明により、広い成分範囲において、等軸晶率が60%未満と低い連続鋳造されたスラブであっても、リジングの改善されたCr含有フェライト系鋼板を製造できる。本発明の方法で製造されたCr含有フェライト系鋼板は、厨房器具、家電製品、自動車排気系部材などに好適である。ここで、等軸晶率とは、図2に模式的に示すように、スラブの鋳造方向に垂直な断面における、全断面積に対する等軸晶組織の占める断面積の割合のことである。なお、等軸晶組織は、短軸bに対する長軸aの比a/bが1.5以下となるような結晶粒からなり、通常、スラブの中央部に形成される
以下に、本発明について詳細に説明する。
1)成分
C: Cは部材としての所定の強度を得るために0.003%以上とする必要があるが、Cr炭化物を形成し、粒界腐食や靭性低下を招くため、0.020%以下とする。
C: Cは部材としての所定の強度を得るために0.003%以上とする必要があるが、Cr炭化物を形成し、粒界腐食や靭性低下を招くため、0.020%以下とする。
Mn: Mnは脱酸元素として有効であるが、過剰に添加すると加工性を低下させるため、0.05〜1.0%とする。
Si: Siは脱酸元素として有効であり、耐食性を向上させる元素であるが、過剰に添加すると酸洗性や加工性を低下させるため、0.05〜1.5%とする。
P: Pは著しく延性を低下させるため、0.04%以下とする。
S: SはMn等と硫化物を形成し耐食性や加工性を低下させるため、0.006%以下とする。
Cr: Crは耐食性や耐熱性を向上させるため、9.0%以上とする必要があるが、30%を超えると加工性を著しく低下させるため、9.0〜30%とする。
Al: Alは脱酸元素として有効であり、Nを固定し加工性を向上させる元素であるが、過剰に添加すると溶接性を低下させるため、0.001〜0.09%とする。
N: NもCと同様に部材としての所定の強度を得るために0.003%以上とする必要があるが、過剰に含有するとCr窒化物を形成し、粒界腐食や靭性低下を招くため、0.015%以下とする。
Ti、Nb、Cu、Ni、Mo、V、W: Ti、Nb、Cu、Ni、Mo、V、Wは加工性、耐食性、耐熱性を向上させるが、過剰に添加すると強度が増加し、靭性が低下して加工性の低下を招くため、少なくとも1種の元素を0.05〜2.5%含有させる必要がある。
残部はFeおよび不可避的不純物である。
2)熱間圧延
上述したように、連続鋳造されたスラブの柱状晶組織は、スラブの表層から中央に向かって鋳造方向とは逆方向に傾斜している。これは、連続鋳造においては鋳造方向に引張られて溶鋼が凝固されるためで、鋳造方向の前面および側面から冷却、凝固が進行し、鋳造方向と逆方向に、かつスラブ中央に向かって柱状晶が成長するためである。
上述したように、連続鋳造されたスラブの柱状晶組織は、スラブの表層から中央に向かって鋳造方向とは逆方向に傾斜している。これは、連続鋳造においては鋳造方向に引張られて溶鋼が凝固されるためで、鋳造方向の前面および側面から冷却、凝固が進行し、鋳造方向と逆方向に、かつスラブ中央に向かって柱状晶が成長するためである。
図3に、スラブの鋳造方向と同方向に熱間圧延を行った場合およびスラブの鋳造方向と逆方向に熱間圧延を行った場合におけるスラブの組織を模式的に示す。鋳造方向と同方向に所定の圧下率で熱間圧延を行った場合は、スラブの柱状晶組織を破壊、分断する効果が高く、このとき所定の圧下率で再結晶温度以上の温度域でこの熱間圧延を行えば、リジングの基となる有害な集合組織を侵食する形で再結晶化が進むため、熱延鋼板の組織のランダム化が促進され、リジングが改善する。一方、スラブの鋳造方向と逆方向の熱間圧延を行うと、柱状晶の形態を維持したまま展伸した組織が形成されるため、リジングに有害な集合組織がバンド状に残留しやすくなり、リジングが顕著となる。
図4に、本発明の成分範囲にある15Cr-0.5Nb-1.5Mo鋼について、熱間圧延の方向、合計圧下率、そのうちの再結晶温度以上の温度域における合計圧下率を変化させて求めたスラブの等軸晶率と冷間圧延・焼鈍後のリジングとの関係を示す。スラブの鋳造方向と同方向に合計圧下率で65%以上を、かつこのうち30%以上を再結晶温度以上の温度域で、熱間圧延することにより、等軸晶が殆ど存在しないスラブにおいてもリジングを30μm以下、等軸晶率が40%のスラブではリジングを10μm以下にすることができる。なお、リジングは、JIS Z 2201に規定される5号引張試験片を5本採取し、平行部を鏡面仕上げした後、15%の引張歪みを付与し、その表面のうねり高さの平均値で評価した。
熱間圧延後の鋼板は、必要に応じて焼鈍後、通常の方法で冷間圧延、再結晶焼鈍される。
表1に示す成分組成の鋼a、b、cを用い、溶鋼過熱度や電磁撹拌の強度を変化させて連続鋳造により等軸晶率の異なる厚さ110〜220mmのスラブを作製した。その後、スラブを、表2に示す熱間圧延条件により3〜5mmの熱延鋼板とし、850〜1020℃で焼鈍を行った。次いで、焼鈍後の熱延鋼板を、酸洗後、圧下率50〜60%で1.0〜2.0mmの冷延鋼板とし、850〜1050℃の再結晶焼鈍を行った。そして、再結晶焼鈍後の冷延鋼板のリジングを、上述の方法で測定した。うねり高さの平均値が10μm以下を◎、10μm超20μm以下を○、20μm超30μm以下を△、30μm超えを×として区分した。
結果を表2に示す。スラブの等軸晶率が同じ場合には、本発明の熱間圧延条件で製造した本発明例は、比較例に比べリジングが改善されていることがわかる。とくに本発明例では、等軸晶率が38〜42%のスラブを用いた場合にはリジングが20μm以下に、等軸晶率が5%未満のスラブを用いた場合でもリジングが30μm以下に改善されている。
Claims (1)
- 質量%で、C:0.003〜0.020%、Mn:0.05〜1.0%、Si:0.05〜1.5%、P:0.04%以下、S:0.006%以下、Cr:9.0〜30%、Al:0.001〜0.09%、N:0.003〜0.015%、Ti、Nb、Cu、Ni、Mo、V、Wのうちから選ばれた少なくとも1種の元素:0.05〜2.5%、残部Feおよび不可避的不純物からなる連続鋳造されたスラブを熱間圧延するに際し、合計圧下率で65%以上を鋳造方向と同方向に熱間圧延を行い、かつ前記熱間圧延のうち合計圧下率で30%以上を再結晶温度以上の温度域で行うことを特徴とするCr含有フェライト系鋼板の製造方法。
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KR101614606B1 (ko) * | 2014-08-08 | 2016-04-22 | 주식회사 포스코 | 성형성이 우수한 페라이트계 스테인리스강 및 그 제조 방법 |
CN107964632A (zh) * | 2012-09-24 | 2018-04-27 | 杰富意钢铁株式会社 | 成型加工性优异的铁素体系不锈钢板 |
WO2023121133A1 (ko) * | 2021-12-21 | 2023-06-29 | 주식회사 포스코 | 내식성과 성형성이 향상된 배기계 강관용 강판 및 그 제조방법 |
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