JP6123014B1 - エネルギー吸収型支承 - Google Patents

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Abstract

【課題】高い初期剛性とすべり耐力の自由な制御を可能とし、さらには、地震等の際に屋根架構等からなる上部構造体からの鉛直荷重が大きく変動した場合にも所望のエネルギー吸収性能を発揮することのできるエネルギー吸収型支承を提供すること。【解決手段】下部構造体BFと上部構造体RFを繋ぐエネルギー吸収型支承100であって、二つの凸部2を備えたベースプレート1と、ベースプレート1上の二つの凸部2の間に配設されたスライダー3と、ベースプレート1とスライダー3と下部構造体BFを繋ぐ第一のアンカーボルト6と、下部構造体BFで支持されていない不支持領域Caに配設されてベースプレート1とスライダー3の間に介在する摩擦抵抗プレート4と、ベースプレート1と摩擦抵抗プレート4とスライダー3を繋ぐ第二のアンカーボルト7aおよび第二のアンカーボルト7aに取り付けられた軸力調整部材7bと、からなる。【選択図】図3

Description

本発明は、RC造もしくはSRC造のフレーム架構等からなる下部構造体と、該下部構造体に支持されるS造の屋根架構等からなる上部構造体とを繋ぐエネルギー吸収型支承に関するものである。
2011年に発生した東日本大震災においては、体育館を構成するS造の屋根架構(上部構造体)とこれを支持するRC造の支持架構(下部構造体)の支承部が損傷を受けるといった被害が多かった。地震波が下部構造体に入力された際に、下部構造体には、その水平剛性が低い方向に過大な構面外応答が生じ、この構面外応答が上部構造体である屋根架構に伝播した結果、交番荷重が支承部に齎されたことがその原因の一つである。
体育館のような収容人数の大きな公共施設は、室内運動エリアという本来の機能のほかにも、大地震のみならず、台風や土砂災害といった自然災害時の避難施設としての重要な役割を担っている。したがって、自然災害時に損傷することなく、自然災害後の地域インフラや破損家屋の復旧、復興期間において、避難施設としての役割、機能を継続することが極めて重要である。
現在、体育館の屋根等のRC片持架構支承部に弾塑性型のエネルギー吸収支承を用いることにより、地震時の応答低減効果を図る研究もおこなわれている。この技術では、支承の初期剛性を高くし、すべり耐力(静摩擦力)が限定的な範囲の場合により高い応答低減効果が予想されることから、初期剛性が高く、すべり耐力を自由に制御できる弾塑性エネルギー吸収型支承の開発が当該技術分野において望まれるところである。
ここで、公開技術に目を転じるに、特許文献1には、屋根架構と支持構造との間に、両者間の相対水平変位を許容する機能と、相対水平変位時に減衰力を発生する機能を有する免震装置を設置し、支持構造の水平剛性が低い方向には屋根架構と支持構造との間の少なくとも一定量の相対変位を生じさせ、水平剛性が高い方向には屋根架構と支持構造との間の相対変位を許容しながら、免震装置に水平力を負担させ、減衰力を発生させる免震構造物が開示されている。そして、この免震構造物においては、鋼棒ダンパーや湾曲した鋼板ダンパーをエネルギー吸収材として適用するとしている。
特許文献1に開示される免震構造物によれば、支持構造に入力する水平剛性の低い方向の水平力の屋根架構への伝達を低減し、屋根架構への強制変形を回避することができるとしている。
しかしながら、エネルギー吸収材として適用する鋼棒ダンパーや湾曲した鋼板ダンパーの剛性や耐力は、ダンパーの形状に密接に関連している。そのため、上記する課題、すなわち、初期剛性が高いという条件下ですべり耐力を自由に制御するのは極めて難しい。
また、特許文献2には充填材を含むポリアミド樹脂が保持板に挿嵌されてなるすべり材と、コーティングされたすべり板とから構成されたすべり支承が開示されている。
特許文献2に開示されるすべり支承によれば、摩擦係数を最適範囲内に制御することができ、耐震性が良好になるとしている。
ところで、上記するすべり支承は当該支承が分担する鉛直荷重によって摩擦力を発生させ、この摩擦力にて地震エネルギーを吸収するものであるところ、すべり支承に載荷されるたとえば上記体育館等の屋根架構による鉛直荷重は地震応答によって大きく変動することから、地震時に安定的な摩擦力を生じさせ、地震エネルギーを安定的に吸収することは難しく、設計値と実際のエネルギー吸収性能との間には大きな乖離が存在していると考えられる。
特開2005−344508号公報 特開2006−161840号公報
本発明は上記する問題に鑑みてなされたものであり、高い初期剛性とすべり耐力の自由な制御を可能とし、さらには、地震等の際に屋根架構等からなる上部構造体からの鉛直荷重が大きく変動した場合にも所望のエネルギー吸収性能を発揮することのできるエネルギー吸収型支承を提供することを目的としている。
前記目的を達成すべく、本発明によるエネルギー吸収型支承は、下部構造体と上部構造体を繋ぐエネルギー吸収型支承であって、前記下部構造体にその一部が支持され、上面に二つの凸部を備え、複数のボルト穴を備えたベースプレートと、第一のボルト長穴および第二のボルト長穴を備え、前記ベースプレート上であって前記二つの凸部の間に配設され、前記上部構造体の荷重が直接載荷されるスライダーと、前記ベースプレートの前記ボルト穴と前記スライダーの前記第一のボルト長穴に挿通され、その一部が前記下部構造体に埋設されて前記ベースプレートおよび前記スライダーと該下部構造体を繋ぐ第一のアンカーボルトと、ボルト穴を備え、前記ベースプレートのうち、前記下部構造体で支持されていない不支持領域に配設され、該ベースプレートと前記スライダーの間に介在する摩擦抵抗プレートと、前記ベースプレートと前記摩擦抵抗プレートの対応する各ボルト穴および前記スライダーの第二のボルト長穴に挿通される第二のアンカーボルトと、前記第二のアンカーボルトに取り付けられた軸力調整部材と、からなり、前記二つの凸部にて前記スライダーの該凸部側への動きが規制され、前記軸力調整部材にて前記ベースプレートと前記スライダーによる前記摩擦抵抗プレートの圧縮力が調整されているものである。
本発明のエネルギー吸収型支承は、ベースプレートのうち、下部構造体で支持されていない不支持領域(したがって下方からの反力がない領域)に摩擦抵抗プレートが配設され、スライダーとベースプレートにて所望の圧縮力で摩擦抵抗プレートを圧縮することにより、上部構造体からの重量変動に左右されることなく、実際の地震等の際に一定の摩擦抵抗力を期待できるものである。
また、二つの凸部でスライダーの凸部側への動きを規制したことで、地震時にスライダーが凸部側へ動き、スライダーの側面から凸部に反力が伝達される。そのため、第一のアンカーボルトがスライダーの第一のボルト長穴の側面に食い込み、第一のアンカーボルトやスライダーが損傷することが解消される。
なお、二つの凸部とスライダーの側面はメタルタッチとしておいてもよいし、若干のクリアランスを設けておくものの、このクリアランスを第一のボルト長穴と第一のアンカーボルトの間のクリアランスよりも小さくしておくことで、第一のアンカーボルトが第一のボルト長穴の側面に衝突して作用反力にて損傷することを抑止できる。
ここで、下部構造体は、RC造(鉄筋コンクリート造)やSRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)のフレーム架構体等からなり、上部構造体はスライダーに固定されたS造(鉄骨造)の屋根架構等からなり、この屋根架構には鋼製、金属製等の板材や各種素材のシート材が敷設されて屋根が構成される。また、これらの構造を備えた本発明のエネルギー吸収型支承の設置対象構造体としては、既述する体育館をはじめ、図書館、自治体の公舎や、各種アミューズメント施設等が挙げられる。また、下部構造体が橋脚や橋台であり、上部構造体が橋桁である橋梁も本発明のエネルギー吸収型支承の設置対象構造体となり得る。
また、軸力調整部材にてベースプレートとスライダーによる摩擦抵抗プレートの圧縮力を所望に調整することにより、高い初期剛性とすべり耐力の自由な制御が可能なエネルギー吸収型支承となる。
なお、このように、高い初期剛性を備えたすべり耐力と、すべり耐力を超えた領域においては動摩擦力を発揮しながら水平移動してエネルギーを吸収する塑性挙動をおこなうことから、本発明のエネルギー吸収型支承は、高い初期剛性を有する弾塑性型ダンパー、もしくは剛塑性型ダンパーなどと称することもできる。
地震時にエネルギー吸収型支承に対して構面外応答が生じた際には、上部構造体の重量を支持するスライダーとこのスライダーの下方に配設された摩擦抵抗プレートがともに下部構造体の振動に呼応して振動する。
この際、エネルギー吸収型支承は、摩擦抵抗力のすべり耐力までの静摩擦領域においてはわずかな水平移動のみが生じ、すべり耐力を超えた領域においては摩擦抵抗プレートが動摩擦力を生じながら水平移動することになる。すなわち、ベースプレートおよびスライダーと、これらによって所定の圧縮力にて挟持された摩擦抵抗プレートと、から構成されるエネルギー吸収型支承は、静摩擦領域から動摩擦領域に亘って支承全体が一体に挙動する。
また、下部構造体に埋設されてベースプレートおよびスライダーと該下部構造体を繋ぐ第一のアンカーボルトは、スライダーの第一のボルト長穴に挿通されており、この第一のボルト長穴は、下部構造体の構面に対して直交する態様で配設されている。下部構造体の構面方向は水平剛性が高いことから、ベースプレートの水平移動はほとんどなく、エネルギー吸収型支承は下部構造体に対して構造上はピン支承となっている。
これに対して、下部構造体の構面直交方向は水平剛性が低いことから、この方向には摩擦抵抗プレートによる摩擦力にて静摩擦領域においてはわずかな水平移動のみが生じ、すべり耐力を超えた領域においてはスライダーを水平移動させることによって効果的にエネルギー吸収を図ることが可能になる。
ここで、軸力調整部材には、皿ばね、板ばね、コイルばね、硬質ゴム等が適用でき、これらの部材を適用することで、比較的安価な部材コストにて高性能なエネルギー吸収型支承を製作することが可能になる。
また、本発明によるエネルギー吸収型支承の好ましい実施の形態は、前記凸部がボルト穴を備え、前記ベースプレートと前記凸部の対応する各ボルト穴に第三のアンカーボルトが挿通されて前記ベースプレートに対して前記凸部が固定されているものである。
凸部間にスライダーを設置するに当たり、一般には双方がメタルタッチとなることから、ベースプレートに固定されている2つの凸部間にスライダーを挿通設置するには手間がかかる。そこで、ベースプレート上にスライダーを配設後、後付けで2つの凸部をベースプレートにボルト固定するように構成することで、凸部間へのスライダーの設置が容易となる。
また、本発明によるエネルギー吸収型支承の他の実施の形態は、ボルト穴を備え、前記凸部と前記スライダーを繋ぐ繋ぎ材をさらに備えており、前記ベースプレートと前記凸部と前記繋ぎ材の対応する各ボルト穴に前記第三のアンカーボルトが挿通されて前記凸部に前記繋ぎ材が固定され、前記スライダーと前記繋ぎ材の間であって、前記摩擦抵抗プレートに対応する位置にボルト穴を備えた別途の摩擦抵抗プレートが配設され、前記ベースプレートと前記摩擦抵抗プレートと前記スライダーと前記別途の摩擦抵抗プレートと前記繋ぎ材の対応する各ボルト穴に前記第二のアンカーボルトが挿通されており、前記軸力調整部材にて前記ベースプレートと前記スライダーによる前記摩擦抵抗プレートの圧縮力、および、前記スライダーと前記繋ぎ材による前記別途の摩擦抵抗プレートの圧縮力の双方が調整されているものである。
本実施の形態のエネルギー吸収型支承は、上下方向に二種の摩擦抵抗プレート(摩擦抵抗プレートと別途の摩擦抵抗プレート)を配設し、一方の摩擦抵抗プレートをベースプレートとスライダーで挟持し、他方の別途の摩擦抵抗プレートをスライダーと凸部に固定されている繋ぎ材で挟持し、双方の摩擦抵抗プレートを所定の圧縮力で圧縮することにより、一層大きな摩擦抵抗力を発揮することのできるエネルギー吸収型支承である。
なお、凸部から複数の繋ぎ材を突出させ、繋ぎ材と他の構成部材の間に摩擦抵抗プレートを配設することで、三種以上の摩擦抵抗プレートが上下方向に配設されたエネルギー吸収型支承を形成することもできる。
上記する第一のアンカーボルト、第二のアンカーボルト、および第三のアンカーボルトはいずれも現場施工にて取り付けが自在である。そのため、たとえば、下部構造体の躯体工事の開始から屋根架構等の上部構造体の建方まで各アンカーボルトが現場にて放置され、雨ざらしになって錆びるといった問題も生じない。
以上の説明から理解できるように、本発明のエネルギー吸収型支承によれば、ベースプレートのうち、下部構造体で支持されていない不支持領域に摩擦抵抗プレートが配設され、スライダーとベースプレートにて所望の圧縮力で摩擦抵抗プレートを圧縮することにより、上部構造体からの重量変動に左右されることなく、実際の地震等の際に所望のエネルギー吸収性能を発揮することができる。さらに、下部構造体との間で摩擦抵抗力が期待される摩擦抵抗プレートを、軸力調整部材にて所望の圧縮力で下部構造体に対して押さえ付けた構成を適用したことにより、高い初期剛性とすべり耐力の自由な制御が可能になる。
本発明のエネルギー吸収型支承が適用される体育館の外観構造図である。 (a)は体育館の妻面における構面方向、構面直交方向を説明した模式図であり、(b)は体育館の桁行き面における構面方向、構面直交方向を説明した模式図である。 本発明のエネルギー吸収型支承の実施の形態1の分解斜視図である。 エネルギー吸収型支承の実施の形態1の斜め上方から見た斜視図である。 エネルギー吸収型支承の実施の形態1の斜め下方から見た斜視図である。 本発明のエネルギー吸収型支承の実施の形態2の分解斜視図である。 エネルギー吸収型支承の実施の形態2の斜め上方から見た斜視図である。 エネルギー吸収型支承の実施の形態2の斜め下方から見た斜視図である。 本発明のエネルギー吸収型支承の実施の形態3の縦断面図である。
以下、図面を参照して本発明のエネルギー吸収型支承の実施の形態1〜3を説明する。なお、図示例はエネルギー吸収型支承を体育館の支持架構と屋根架構の間に適用したものであるが、本発明のエネルギー吸収型支承は体育館以外の構造物、特に広範な屋根架構を有する各種の公共施設、競技施設、アミューズメント施設に適用可能であり、その他、橋梁などにも適用可能である。また、図示例は、ベースプレートに対して凸部がボルト固定される形態を示しているが、ベースプレートと凸部が一体成型されたものを適用してもよい。
(エネルギー吸収型支承の実施の形態1)
まず、図1,2を参照して本発明のエネルギー吸収型支承が適用される構造物として、体育館の構造を説明する。
図示する体育館は、妻面に6本のRC柱C(SRC柱でもよい)を有し(図1において、1〜6の番号箇所)、各RC柱Cに直交する水平方向に2本のRC梁B(SRC梁でもよい)を有し、これら複数のRC柱CとRC梁Bから複数の矩形開口を備えたRCフレームが構成され、そのうちのいくつかの矩形開口には耐震壁Wが配設された構造を呈しており、RC柱CとRC梁B、および耐震壁Wにて妻面の下部構造体である支持架構BFを構成している。
一方、体育館の桁行き面には両端の妻面(に位置するRC柱C)の間に、所定の間隔を置いて8本のRC柱C’ (SRC柱でもよい)を有し(図1において、B〜Iのアルファベット箇所)、各RC柱C’に直交する水平方向に2本のRC梁B(SRC梁でもよい)を有し、これら複数のRC柱C’とRC梁Bから複数の矩形開口を備えたRC−RCフレームが構成され、そのうちのいくつかの矩形開口にも耐震壁Wが配設された構造を呈しており、RC柱C’とRC梁B、および耐震壁Wにて桁行き面の下部構造体である支持架構BFを構成している。
このように、体育館において、屋根架構RF(上部構造体)を支持する支持架構BF(下部構造体)は、RC造もしくはSRC造からなる。なお、図示する体育館は、一階フロア(1FL)と二階フロア(2FL)にそれぞれRC造の床が配設される。
そして、図1、図2aで示すように、妻面においては、その構面方向の水平剛性が高く(図1のX方向)、構面直交方向の水平剛性が低くなっており(図1のY方向)、桁行き面においては、図1、図2bで示すように、その構面方向の水平剛性が高く(図1のY方向)、構面直交方向の水平剛性が低くなっている(図1のX方向)。
一方、支持架構BFに支持される屋根架構RFは、鉄骨の大梁BBや鉄骨の小梁SBから複数の矩形開口を備えたS造フレームが構成され、各矩形開口内には鉄骨のブレースBRが取り付けられており、S造の大梁BB、小梁SBおよびブレースBRにて屋根架構RFを構成している。なお、図示を省略するが、屋根架構RFには鋼板やシート材が敷設されて屋根が構成される。このように、屋根架構はS造のフレーム構造ゆえに比較的軽量である。
図1、図2a、bで示すように、エネルギー吸収型支承は、下部構造体である支持架構BFの妻面と桁行き面を構成する上部構造体である屋根架構RFのRC梁B上に設置される。以下、エネルギー吸収型支承の説明においては、各実施の形態にかかるエネルギー吸収型支承が下部構造体を構成する柱Cと上部構造体の間に配設される形態を取り上げて説明する。
次に、図3〜5を参照して、本発明のエネルギー吸収型支承の実施の形態1を説明する。ここで、図3は本発明のエネルギー吸収型支承の実施の形態1の分解斜視図であり、図4はエネルギー吸収型支承の実施の形態1の斜め上方から見た斜視図であり、図5はエネルギー吸収型支承の実施の形態1の斜め下方から見た斜視図である。
図3で示すように、エネルギー吸収型支承100は、下部構造体を構成する柱Cにその一部が支持されたベースプレート1と、ベースプレート1に固定された二つの凸部2と、ベースプレート1上であって二つの凸部2の間に配設されて上部構造体の荷重が直接載荷されるスライダー3と、ベースプレート1とスライダー3の間に介在する左右2つの摩擦抵抗プレート4と、から大略構成されている。なお、スライダー3の中央に配設された球体3cに上部構造体RFを構成する不図示の梁下端の中空球体等が嵌り込み、スライダー3と上部構造体RFの可動自在な接続が図られる。
ベースプレート1は複数のボルト穴1a,1b,1cを備え、スライダー3は第一のボルト長穴3aおよび第二のボルト長穴3bを備えており、第一のアンカーボルト6がスライダー3の第一のボルト長穴3aとベースプレート1のボルト穴1aに挿通され、第一のアンカーボルト6の一部が柱Cに埋設されてベースプレート1およびスライダー3と柱Cを繋いでいる。
摩擦抵抗プレート4はボルト穴4aを備え、ベースプレート1とスライダー3の間に介在するとともに、ベースプレート1のうち、柱Cで支持されていない不支持領域Caに配設されている。
ベースプレート1と摩擦抵抗プレート4の対応する各ボルト穴1b、4aおよびスライダー3の第二のボルト長穴3bには第二のアンカーボルト7aが挿通され、第二のアンカーボルト7aの頭部に軸力調整部材7bが取り付けられてこれら三種の部材の固定が図られている。
より詳細に説明すると、摩擦抵抗プレート4とスライダー3の間にはステンレス板5A,5BとPTFE板5Cが配設され、ステンレス板5Aのボルト穴5AaとPTFE板5Cのボルト穴5Caがスライダー3の第一のボルト長穴3aに対応し、ステンレス板5Bのボルト長穴5Baがスライダー3の第二のボルト長穴3bに対応している。
凸部2はボルト穴2aを備え、ベースプレート1と凸部2の対応する各ボルト穴1c、2aに第三のアンカーボルト8aが挿通されてナット8bで締め付けられることにより、ベースプレート1に対して凸部2が固定される。
凸部2間にスライダー3を設置するに当たり、一般には双方がメタルタッチとなることから、ベースプレート1に固定されている2つの凸部2間にスライダーを挿通設置するには手間がかかる。そこで、ベースプレート1上にスライダー3を配設後、後付けで2つの凸部2をベースプレート1にボルト固定するように構成することで、凸部2間へのスライダー3の設置が容易となる。
図3で示すように、第一のアンカーボルト6、第二のアンカーボルト7aおよび第三のアンカーボルト8aは全て現場で取り付けられることから、下部構造体BFの躯体工事の開始から屋根架構等の上部構造体RFの建方まで各アンカーボルトが現場にて放置され、雨ざらしになって錆びるといった問題は生じない。
ベースプレート1上の2つの凸部2の間にスライダー3が配設されていることから、スライダー3の凸部2側への動きが規制される。その一方で、スライダー3の第一のボルト長穴3aを第一のアンカーボルト6が挿通していることから、スライダー3の第一のボルト長穴3aの長手方向への動きは保証される。
また、二つの凸部2でスライダー3の凸部2側への動きを規制したことで、地震時にスライダー3が凸部2側へ動き、スライダー3の側面から凸部2に反力が伝達される。そのため、第一のアンカーボルト6がスライダー3の第一のボルト長穴3aの側面に食い込み、第一のアンカーボルト6やスライダー3が損傷するといった問題は生じない。
また、皿ばねからなる軸力調整部材7bにてベースプレート1とスライダー3による摩擦抵抗プレート4の圧縮力を所望に調整することにより、高い初期剛性とすべり耐力の自由な制御が可能なエネルギー吸収型支承100を形成できる。なお、軸力調整部材7bとしては、皿ばねのほかにも板ばねやコイルばね、硬質ゴムなどを適用できる。
エネルギー吸収型支承100の下部構造体BFへの配設態様は、スライダー3の第一のボルト長穴3aの長手方向が下部構造体BFの構面に対して直交する方向となるように配設される。下部構造体BFの構面方向は水平剛性が高いことから、ベースプレート1の水平移動はほとんどなく、エネルギー吸収型支承100は下部構造体BFに対して構造上はピン支承となる。一方、下部構造体BFの構面直交方向は水平剛性が低いことから、この方向には摩擦抵抗プレート4による摩擦力にてすべり耐力まではわずかな水平移動のみが生じ、すべり耐力を超えた領域においてはスライダー3を水平移動させることによって効果的にエネルギー吸収を図ることが可能になる。
また、エネルギー吸収型支承100によれば、ベースプレート1のうち、下部構造体BFを構成する柱Cで支持されていない不支持領域Ca(したがって下方からの反力がない領域)に摩擦抵抗プレート4が配設され、スライダー3とベースプレート1にて所望の圧縮力で摩擦抵抗プレート4を圧縮することにより、上部構造体RFからの重量変動に左右されることなく、実際の地震等の際に一定の摩擦抵抗力を期待することができる。
(エネルギー吸収型支承の実施の形態2)
図6は本発明のエネルギー吸収型支承の実施の形態2の分解斜視図であり、図7はエネルギー吸収型支承の実施の形態2の斜め上方から見た斜視図であり、図8はエネルギー吸収型支承の実施の形態2の斜め下方から見た斜視図である。
実施の形態2にかかるエネルギー吸収型支承100Aは、上下に2つの摩擦抵抗プレート4,4Aを配設することにより(計4つの摩擦抵抗プレート)、より一層大きな摩擦抵抗力の発生を可能としたものである。
具体的には、ボルト穴9a,9bを備えて凸部2とスライダー3を繋ぐ繋ぎ材9を有し、ベースプレート1と凸部2と繋ぎ材9の対応する各ボルト穴1c、2a、9bに第三のアンカーボルト8aが挿通されて凸部2に繋ぎ材9が固定される。
スライダー3と繋ぎ材9の間であって、下方の摩擦抵抗プレート4に対応する位置にボルト穴4Aaを備えた別途の摩擦抵抗プレート4Aが配設され、ベースプレート1と摩擦抵抗プレート4とスライダー3と別途の摩擦抵抗プレート4Aと繋ぎ材9の対応する各ボルト穴1b、4a、3b、4Aa、9aに第二のアンカーボルト7aが挿通され、軸力調整部材7bにてベースプレート1とスライダー3による摩擦抵抗プレート4の圧縮力、および、スライダー3と繋ぎ材9による別途の摩擦抵抗プレート4Aの圧縮力の双方が調整される。
(エネルギー吸収型支承の実施の形態3)
図9は、本発明のエネルギー吸収型支承の実施の形態3の縦断面図であり、エネルギー吸収型支承の右側端部のみを拡大して示した図である。実施の形態3にかかるエネルギー吸収型支承100Bでは、上下に分割された凸部2Aの間に中央の繋ぎ材9Aを配設し、上方の凸部2の上面に別途の繋ぎ材9を配設し、ベースプレート1とともにこれらを第三のアンカーボルト8aおよびナット8bで固定している。
一方、上下2つの分割片3Aと、これらの分割片3A間に介在して凸部2A側から相対的に後退した位置にある別途の分割片3Bと、からスライダーを構成し、繋ぎ材9、9Aと分割片3Aをラップさせ、各部材間に形成された4つの空間に摩擦抵抗プレート4,4A,4B,4Cを介在させ、第二のアンカーボルト7aと軸力調整部材7bで接合している。
エネルギー吸収型支承100Bによれば、上下に4つの摩擦抵抗プレート4,4A,4B,4Cが配設されることにより(計8つの摩擦抵抗プレート)、より一層大きな摩擦抵抗力を発生させることができる。
以上、本発明の実施の形態を図面を用いて詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更等があっても、それらは本発明に含まれるものである。
1…ベースプレート、1a,1b,1c…ボルト穴、2,2A…凸部、2a…ボルト穴、3…スライダー、3A,3B…分割片(スライダー)、3a…第一のボルト長穴、3b…第二のボルト長穴、3c…球体、4,4A,4B,4C…摩擦抵抗プレート、4a,4Aa…ボルト穴、6…第一のアンカーボルト、7a…第二のアンカーボルト、7b…軸力調整部材(皿ばね)、8a…第三のアンカーボルト、8b…ナット、9,9A…繋ぎ材、100,100A,100B…エネルギー吸収型支承(支承)、RF…上部構造体(屋根架構)、BF…下部構造体(支持架構)、C…柱、Ca…不支持領域

Claims (4)

  1. 下部構造体と上部構造体を繋ぐエネルギー吸収型支承であって、
    前記下部構造体にその一部が支持され、上面に二つの凸部を備え、複数のボルト穴を備えたベースプレートと、
    第一のボルト長穴および第二のボルト長穴を備え、前記ベースプレート上であって前記二つの凸部の間に配設され、前記上部構造体の荷重が直接載荷されるスライダーと、
    前記ベースプレートの前記ボルト穴と前記スライダーの前記第一のボルト長穴に挿通され、その一部が前記下部構造体に埋設されて前記ベースプレートおよび前記スライダーと該下部構造体を繋ぐ第一のアンカーボルトと、
    ボルト穴を備え、前記ベースプレートのうち、前記下部構造体で支持されていない不支持領域に配設され、該ベースプレートと前記スライダーの間に介在する摩擦抵抗プレートと、
    前記ベースプレートと前記摩擦抵抗プレートの対応する各ボルト穴および前記スライダーの第二のボルト長穴に挿通される第二のアンカーボルトと、
    前記第二のアンカーボルトに取り付けられた軸力調整部材と、からなり、
    前記二つの凸部にて前記スライダーの該凸部側への動きが規制され、
    前記軸力調整部材にて前記ベースプレートと前記スライダーによる前記摩擦抵抗プレートの圧縮力が調整されている、エネルギー吸収型支承。
  2. 前記凸部がボルト穴を備え、
    前記ベースプレートと前記凸部の対応する各ボルト穴に第三のアンカーボルトが挿通されて前記ベースプレートに対して前記凸部が固定されている、請求項1に記載のエネルギー吸収型支承。
  3. ボルト穴を備え、前記凸部と前記スライダーを繋ぐ繋ぎ材をさらに備えており、
    前記ベースプレートと前記凸部と前記繋ぎ材の対応する各ボルト穴に前記第三のアンカーボルトが挿通されて前記凸部に前記繋ぎ材が固定され、
    前記スライダーと前記繋ぎ材の間であって、前記摩擦抵抗プレートに対応する位置にボルト穴を備えた別途の摩擦抵抗プレートが配設され、
    前記ベースプレートと前記摩擦抵抗プレートと前記スライダーと前記別途の摩擦抵抗プレートと前記繋ぎ材の対応する各ボルト穴に前記第二のアンカーボルトが挿通されており、
    前記軸力調整部材にて前記ベースプレートと前記スライダーによる前記摩擦抵抗プレートの圧縮力、および、前記スライダーと前記繋ぎ材による前記別途の摩擦抵抗プレートの圧縮力の双方が調整されている、請求項2に記載のエネルギー吸収型支承。
  4. 前記軸力調整部材が、皿ばね、板ばね、コイルばね、硬質ゴムのいずれか一種からなる請求項1〜3のいずれか一項に記載のエネルギー吸収型支承。
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