JP2007254307A - 歯科用接着材 - Google Patents

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Abstract

【課題】歯科医療分野等における歯の修復に際し、前処理などの操作をしなくても、修復材料と歯質との優れた接着強度及び接着耐久性を実現する為の歯科用接着材の提供。
【解決手段】酸性基含有重合性単量体を含む重合性単量体、及び水を含んで成る歯科用接着性組成物に、光酸発生剤、酸化型の光ラジカル発生剤、少なくとも一つの水素原子を有する飽和炭素原子が、縮合多環式芳香族環の縮合炭素原子に隣接する炭素原子と結合している縮合多環式芳香族化合物、及びアミン化合物から成る光重合開始剤を配合する歯科用接着材。光酸発生剤は、ジアリールヨードニウム塩系化合物が好ましく、酸化型の光ラジカル発生剤は、ジアリールケトン化合物、α−ジケトン化合物又はケトクマリン化合物が好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、歯科医療分野等における歯の修復に際し、前処理などの操作をしなくても、コンポジットレジンと歯質との優れた接着強度及びと接着耐久性を実現する為の歯科用接着材に関する。
齲蝕等により損傷を受けた歯の修復には、主にコンポジットレジンと呼ばれる充填材料が用いられる。このコンポジットレジンは歯の空洞に充填後重合硬化して使用される事が一般的である。しかし、この材料自体歯質への接着性を持たない為、歯科用接着材が併用される。この接着材にはコンポジットレジンの硬化に際して発生する内部応力、即ちコンポジットレジンと歯質との界面に生じる引張り応力に打ち勝つだけの接着強度が要求される。さもないと過酷な口腔環境下での長期使用により脱落する可能性があるのみならず、コンポジットレジンと歯質の界面で間隙を生じ、そこから細菌が侵入して歯髄に悪影響を与える恐れがあるためである。
歯の硬組織はエナメル質と象牙質からなり、臨床的には双方への接着が要求される。従来、接着性の向上を目的として、接着材塗布に先立ち歯の表面を前処理する方法が用いられてきた。このような前処理材としては、歯の表面を脱灰する酸水溶液が一般的であり、リン酸、クエン酸、マレイン酸等の酸水溶液が用いられてきた。エナメル質の場合、処理面との接着機構は、酸水溶液の脱灰による粗造な表面へ、接着材が浸透して硬化するというマクロな機械的嵌合であるのに対し、象牙質の場合には、脱灰後に歯質表面に露出するスポンジ状のコラーゲン繊維の微細な空隙に、接着材が浸透して硬化するミクロな機械的嵌合であると言われている。但し、コラーゲン繊維への浸透はエナメル質表面ほど容易ではなく、酸水溶液による処理後に更にプライマーと呼ばれる浸透促進材が一般的に用いられる。
したがって、この方法ではエナメル質と象牙質の双方に対して良好な接着強度を得るためには、歯科用接着材を塗布する前に、前記酸水溶液によるエッチング処理と、浸透促進材によるプライマー処理の2段階の前処理が必要であり、操作が煩雑であるという問題があった。
こうした中、近年、これらの前処理は施さなくても、エナメル質と象牙質の双方に対してかなり良好な接着性が発揮される1ステップシステム型の歯科用接着材として、(A)酸性基含有重合性単量体を含む重合性単量体成分、(B)水、(C)光重合開始剤を含んでなる歯科用接着材が開発されている(特許文献1、2参照)。この歯科用接着材において、上記酸性基含有重合性単量体は、リン酸基、カルボン酸基等の酸性基を有しており、(B)水の存在下において、歯質脱灰性を発揮し、且つ象牙質にも良く浸透し高い親和性を発揮するため、前記した前処理を施さなくても、歯牙に対して相当に高い接着性が得られる。
こうした歯科用接着材は、修復が必要な歯の空洞に塗布した後、光の照射により硬化させて使用するのが、操作性等の理由から好ましく、そのために(C)重合開始剤としては光重合開始剤が使用されている。通常は、α−ジケトン系化合物またはチオキサントン系化合物などと、各種アミン類とを組合せたものを使用することが多く、特に、上記α−ジケトン系化合物としてカンファーキノンを使用し、アミン類として還元性の高いN,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステルを使用したものが、優れた重合活性が得られるため汎用されている(例えば、特許文献3参照)。
一方、光照射により、著しく短時間で重合が完結し、良好な硬化体物性が得られるコンポジットレジン用光重合開始剤として、光酸発生剤と特定の光ラジカル発生剤、並びに特定の縮合多環式芳香族化合物から成る光重合開始剤が見出され、既に提案されている(特許文献4参照)。該光重合開始剤は著しく高い重合活性を有しており、上記歯質接着強度を満足する歯科用接着材用の光重合開始剤として期待される。しかしながら、この光重合開始剤の組合せを、歯科用接着材として応用した例は具体的には知られておらず、まして、前記したような(A)重合性単量体成分として酸性基含有重合性単量体を含むものを使用し、さらに(B)水も配合したものに、これを使用した例は全く皆無である。
特開平10−236912号公報 特開平10−245525号公報 特開昭60−26002号公報 特開2004−196949号公報
前記したように(A)酸性基含有重合性単量体を含む重合性単量体成分、(B)水、(C)光重合開始剤を含んでなる歯科用接着材は、エッチング処理やプライマー処理の前処理は施さなくても、エナメル質と象牙質の双方に対してかなり良好に接着し、操作も簡便であるため優れた接着材であるが、以下の理由により歯質への接着性や硬化体の機械的強度において、さらに向上させる余地があった。
すなわち、該歯科用接着材は、(B)水を含有しており、このような水存在下では、前記したα−ジケトン系化合物やチオキサントン系化合物等と、各種アミン類とを組合せた(C)光重合開始剤や、光酸発生剤と特定の光ラジカル発生剤、並びに特定の縮合多環式芳香族化合物とを組合せた(C)光重合開始剤などを使用したのでは、その重合活性が低下し、今一歩高い重合度で硬化していないことが判明した。さらに、歯科用接着材として歯面に塗布した際には、口腔内の唾液の水分も、この(C)光重合開始剤の活性低下を引き起こし、しかも、前記(A)酸性基含有重合性単量体の酸性基は親水性が強い官能基であり、こうした口腔内の水分と強く親和するため、該作用はより高まって、その歯質との接着力や、その接着耐久性を低減させていた。
しかして、この問題の解決には、該(C)光重合開始剤として、水による活性低下の影響を受け難いものを使用することが考えられるが、種々の光重合開始剤の開示の中にあって、どの開始剤が上記歯科用接着材の系に対して有効であるかは不明であり、該水がその重合活性の発現にどのような影響を与えるかは予測困難であった。
以上の背景にあって、本発明は、歯の修復に際し、エッチング処理やプライマー処理などの前処理をしなくても使用可能な前記(A)酸性基含有重合性単量体を含む重合性単量体成分、(B)水、(C)光重合開始剤を含んでなる歯科用接着材において、その歯質への接着性や硬化体の機械的強度を、さらに向上させることを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決すべく、鋭意検討を行った。その結果、前記歯科用接着材において、光重合開始剤として、光酸発生剤、酸化型の光ラジカル発生剤、少なくとも一つの水素原子を有する飽和炭素原子が、縮合多環式芳香族環の縮合炭素原子に隣接する炭素原子と結合している縮合多環式芳香族化合物、及びアミン化合物の組合せを使用することにより、上記の課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、(A)酸性基含有重合性単量体を含む重合性単量体、(B)水、(C)光重合開始剤を含んで成る歯科用接着材において、前記(C)光重合開始剤が、(C−1)光酸発生剤、(C−2)酸化型の光ラジカル発生剤、(C−3)少なくとも一つの水素原子を有する飽和炭素原子が、縮合多環式芳香族環の縮合炭素原子に隣接する炭素原子と結合している縮合多環式芳香族化合物、及び(C−4)アミン化合物から成ることを特徴とする歯科用接着材である。
本発明の歯科用接着材は、水を含有し、しかも、重合性単量体成分が酸性基含有重合成単量体を含むにも関わらず、高い重合活性で硬化し、その結果、硬化体の機械的強度は高く、より優れた歯質接着強度及びその接着耐久性を得ることができる。
したがって、この歯科用接着材を齲蝕の治療に用いることにより、エッチング処理やプライマー処理などの前処理をしなくても、歯質と修復材料とを強固に接着させることが可能であり、その接着界面からの齲蝕菌の侵入が抑制されて、齲蝕の再発を高度に防止することができる。
本発明の歯科用接着材(以下、単に「本発明の接着材」とも称する)において、(A)重合性単量体成分は酸性基含有重合性単量体を含んでなる。この(A)重合成単量体成分は、該酸性基含有重合性単量体のみからなっていてもよいが、歯質に対して、より優れた接着力及び接着耐久性を得る為に、硬化体の強度及び接着材の歯質に対する浸透性を調節する観点から酸性基を有しない重合性単量体を更に含むのが好適である。特に、エナメル質及び象牙質の両方に対する接着強度の観点から(A)成分である全重合性単量体中の酸性基含有重合性単量体の含有割合は、5〜50質量%、特に10〜30質量%であるのが好適である。酸性基含有重合性単量体の配合量が少ないと、エナメル質に対する接着力が低下する傾向があり、逆に多いと象牙質に対する接着力が低下する傾向がある。
ここで、酸性基含有重合性単量体としては、1分子中に少なくとも1つの重合性不飽和基と少なくとも1つの酸性基を有する重合性単量体であれば特に限定されず、公知の化合物を用いることができる。ここで、重合性不飽和基とは、(メタ)アクリロイル基及び(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリロイルアミノ基、(メタ)アクリロイルチオ基等の(メタ)アクリロイル基の誘導体基;ビニル基:アリル基;スチリル基等が例示される。
また、ここで酸性基とは、ホスフィニコ基{=P(=O)OH}、ホスホノ基{−P(=O)(OH)}、カルボキシル基{−C(=O)OH}、スルホ基(−SOH)等の遊離の酸基のみならず、当該酸性基の2つが脱水縮合した酸無水物構造(例えば、−C(=O)−O−C(=O)−)、あるいは酸性基のOHがハロゲンに置換された酸ハロゲン化物基(例えば、−C(=O)Cl)等など、該基を有する重合性単量体の水溶液又は水懸濁液が酸性を示す基を示す。
酸性基含有重合性単量体を具体的に例示すると、(メタ)アクリル酸、N−(メタ)アクリロイルグリシン、N−(メタ)アクリロイルアスパラギン酸、N−(メタ)アクリロイル−5−アミノサリチル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル ハイドロジェンサクシネート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル ハイドロジェンフタレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル ハイドロジェンマレート、6−(メタ)アクリロイルオキシエチルナフタレン−1,2,6−トリカルボン酸、O−(メタ)アクリロイルチロシン、N−(メタ)アクリロイルチロシン、N−(メタ)アクリロイルフェニルアラニン、N−(メタ)アクリロイル−p−アミノ安息香酸、N−(メタ)アクリロイル−O−アミノ安息香酸、p−ビニル安息香酸、2−(メタ)アクリロイルオキシ安息香酸、3−(メタ)アクリロイルオキシ安息香酸、4−(メタ)アクリロイルオキシ安息香酸、N−(メタ)アクリロイル−5−アミノサリチル酸、N−(メタ)アクリロイル−4−アミノサリチル酸等の分子内に1つのカルボキシル基を有す重合性単量体、およびこれらの酸無水物、酸ハロゲン化物;11−(メタ)アクリロイルオキシウンデカン−1,1−ジカルボン酸、10−(メタ)アクリロイルオキシデカン−1,1−ジカルボン酸、12−(メタ)アクリロイルオキシドデカン−1,1−ジカルボン酸、6−(メタ)アクリロイルオキシヘキサン−1,1−ジカルボン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−3’−メタクリロイルオキシ−2’−(3,4−ジカルボキシベンゾイルオキシ)プロピル サクシネート、1,4−ビス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)ピロメリテート、N,O−ジ(メタ)アクリロイルチロシン、4−(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)トリメリテート アンハイドライド、4−(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)トリメリテート、4−(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメリテート、4−(メタ)アクリロイルオキシブチルトリメリテート、4−(メタ)アクリロイルオキシヘキシルトリメリテート、4−(メタ)アクリロイルオキシデシルトリメリテート、4−アクリロイルオキシブチルトリメリテート、6−(メタ)アクリロイルオキシエチルナフタレン−1,2,6−トリカルボン酸無水物、6−(メタ)アクリロイルオキシエチルナフタレン−2,3,6−トリカルボン酸無水物、4−(メタ)アクリロイルオキシエチルカルボニルプロピオノイル−1,8−ナフタル酸無水物、4−(メタ)アクリロイルオキシエチルナフタレン−1,8−トリカルボン酸無水物等の分子内に複数のカルボキシル基あるいはその酸無水物基を有す重合性単量体、およびこれらの酸無水物、酸ハロゲン化物(ただしこれらはカルボキシル基を有す化合物である場合);2−(メタ)アクリロイルオキシエチル ジハイドロジェンフォスフェート、ビス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル) ハイドロジェンフォスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル フェニル ハイドロジェンフォスフェート、10−(メタ)アクリロイルオキシデシル ジハイドロジェンフォスフェート、6−(メタ)アクリロイルオキシヘキシル ジハイドロジェンフォスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル 2−ブロモエチル ハイドロジェンフォスフェート等の分子内にホスフィニコオキシ基又はホスホノオキシ基を有す重合性単量体(重合性酸性リン酸エステルとも称す)、およびこれらの酸無水物、酸ハロゲン化物;ビニルホスホン酸、p−ビニルベンゼンホスホン酸等の分子内にホスホノ基を有す重合性単量体;2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、p−ビニルベンゼンスルホン酸、ビニルスルホン酸等の分子内にスルホ基を有す重合性単量体が例示される。またこれら以外にも、特開昭54−11149号公報、特開昭58−140046号公報、特開昭59−15468号公報、特開昭58−173175号公報、特開昭61−293951号公報、特開平7−179401号公報、特開平8−208760号公報、特開平8−319209号公報、特開平10−236912号公報、特開平10−245525号公報等に開示されている歯科用接着材の成分として記載されている酸性モノマーも好適に使用できる。
これら酸性基含有重合性単量体は単独で用いても、複数の種類のものを併用しても良い。
上記酸性基含有重合性単量体のなかでも、歯質に対する接着性が優れている点で、重合性酸性リン酸エステルが特に好ましい。また光照射時の重合性が良好な点で、重合性不飽和基としては、(メタ)アクリロイル基の誘導体基であることが好ましい。
一方、(A)重合成単量体成分において、上記酸性基含有重合性単量体以外の重合性単量体(以下、「他の重合成単量体」とも略する)を使用する場合、該他の重合成単量体としては、酸性基を有さず、重合可能な不飽和基を有するものであれば、公知のラジカル重合性単量体が何ら制限なく使用される。一般的には硬化速度や硬化体の機械的物性の観点から、(メタ)アクリレート系の重合性単量体が好適に用いられる。
これらの他の重合成単量体を具体的に例示すれば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、グリジジル(メタ)アクリレート、2−シアノメチル(メタ)アクリレート、ベンジルメタアクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセリルモノ(メタ)アクリレート等のモノ(メタ)アクリレート単量体;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ノナエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、2,2'−ビス[4−(メタ)アクリオイルオキシエトキシフェニル]プロパン、2,2'−ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシエトキシフェニル]プロパン、2,2'−ビス[4−(メタ)アクリロイルオキシエトキシエトキシエトキシエトキシエトキシフェニル]プロパン、2,2'−ビス{4−[3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ]フェニル}プロパン、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ビス(メタクリルエチルオキシカルボニルアミノ)−2,2,4−トリメチルヘキサン、1,6−ビス(メタクリルエチルオキシカルボニルアミノ)−2,4,4−トリメチルヘキサン、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレート系単量体;フマル酸モノメチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジフェニル等のフマル酸エステル化合物;スチレン、ジビニルベンゼン、α−メチルスチレン、α−メチルスチレンダイマー等のスチレン、α−メチルスチレン誘導体;ジアリルフタレート、ジアリルテレフタレート、ジアリルカーボネート、アリルジグリコールカーボネート等のアリル化合物等を挙げることができる。
これら他の重合成単量体は単独で用いても、複数の種類のものを併用しても良く、硬化体強度及び歯質への浸透性の観点から、2,2−ビス(4−(メタクリロイルオキシポリエトキシフェニル)プロパンなどの多環能(メタ)アクリレートと、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどの水溶性の重合性単量体とを組み合わせて使用することが好ましい。ここで言う水溶性とは、20℃での水への溶解度が20g/100ml以上であることを言う。
本発明の接着材に使用する(B)水は、(A)重合性単量体成分に含有される酸性基含有重合性単量体と共に歯質脱灰作用を持たせる為に必須である。該(B)水は、保存安定性、生体適合性および接着性に有害な不純物を実質的に含まないことが好ましく、例としては脱イオン水、蒸留水等が挙げられる。
本発明の接着材における(B)水の配合量は、特に限定されるものではなく適宜設定すれば良いが、(A)酸性基含有重合性単量体を含む重合性単量体成分100質量部に対して、1〜50質量部であることが好ましく、より好ましくは10〜30質量部である。
本発明の最大の特徴は、上記(A)酸性基含有重合性単量体を含む重合性単量体成分、および(B)水を含有する歯科用接着材において、該(A)成分の重合成単量体を重合させる(C)光重合開始剤として、(C−1)光酸発生剤、(C−2)酸化型の光ラジカル発生剤、(C−3)少なくとも一つの水素原子を有する飽和炭素原子が、縮合多環式芳香族環の縮合炭素原子に隣接する炭素原子と結合している縮合多環式芳香族化合物、及び(C−4)アミン化合物の組合せの系を採用した点にある。それにより、該接着材のように水が含有され、酸性基含有重合性単量体の酸性基が口腔内の水と親和する組成であるにも関わらず、その重合活性は高度に維持され、その結果、硬化体は機械的強度に優れるものになり、歯質に対して優れた接着強度及び優れた接着耐久性が発揮されるものになる。以下、これら各成分について説明する。
(C−1)光酸発生剤
本発明の接着材に用いる(C−1)光酸発生剤は、紫外線等の光照射により直接ブレンステッド酸、あるいはルイス酸を発生しうる化合物であり、公知の化合物がなんら制限なく用いられるが、具体的には、ジアリールヨードニウム塩系化合物、スルホニウム塩系化合物、スルホン酸エステル化合物、およびハロメチル置換−S−トリアジン有導体等が挙げられる。本発明においては上記光酸発生剤の中でも、ジアリールヨードニウム塩系光酸発生剤が、重合活性が特に高い点で優れている。代表的なジアリールヨードニウム塩系化合物を一般式で示すと下記一般式(3)
Figure 2007254307
(上記式中、R、R、RおよびR10はそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基又はニトロ基であり、Mはハロゲン化物イオン、p−トルエンスルホナートイオン、パーフルオロアルキルスルホナートイオン、テトラフルオロボレートイオン、テトラキスペンタフルオロフェニルボレートイオン、テトラキスペンタフルオロフェニルガレートイオン、ヘキサフルオロフォスフェートイオン、ヘキサフルオロアルセナートイオン、ヘキサフルオロアンチモネートイオンである。)
で示されるジアリールヨードニウム塩化合物が挙げられる。
ここで、R、R、RおよびR10のハロゲン原子としては、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、ヨード基などが挙げられる。また、アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基デシル基等の炭素数1〜10のものが好ましい。また、アリール基としては、フェニル基、p−メチルフェニル基、p−クロロフェニル基、ナフチル基等の炭素数6〜14のものが好ましい。また、アルケニル基としては、ビニル基、アリル基、イソプロペニル基、ブテニル基、2−フェニルエテニル基、2−(置換フェニル)エテニル基等の炭素数2〜14のものが好ましい。また、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、の炭素数1〜6のものが好ましい。さらに、アリールオキシ基としては、フェノキシ、p−メトキシフェニル、p−オクチルオキシフェニル等の炭素数6〜14のものが好ましい。
このジアリールヨードニウム塩系化合物は、特に、単量体への溶解性や低求核性等の観点からはMが、ヘキサフルオロフォスフェートイオン、またはテトラキスペンタフルオロフェニルボレートイオンであるジアリールヨードニウム塩系化合物が好適に使用される。
前記一般式(1)で示されるジアリールヨードニウム塩化合物の具体例を例示すれば、ジフェニルヨードニウム、ビス(p−クロロフェニル)ヨードニウム、ジトリルヨードニウム、ビス(p−tert−ブチルフェニル)ヨードニウム、p−イソプロピルフェニル−p−メチルフェニルヨードニウム、ビス(m−ニトロフェニル)ヨードニウム、p−tert−ブチルフェニルフェニルヨードニウム、p−メトキシフェニルフェニルヨードニウム、ビス(p−メトキシフェニル)ヨードニウム、p−オクチルオキシフェニルフェニルヨードニウム、p−フェノキシフェニルフェニルヨードニウム等のクロリド、ブロミド、p−トルエンスルホナート、トリフルオロメタンスルホナート、テトラフルオロボレート、テトラキスペンタフルオロフェニルボレート、テトラキスペンタフルオロフェニルガレート、ヘキサフルオロフォスフェート、ヘキサフルオロアルセナート、ヘキサフルオロアンチモネート等が挙げられる。
また、本発明で好適に使用される他の光酸発生剤を具体的に例示すればスルホニウム塩系化合物として、ジメチルフェナシルスルホニウム、ジメチルベンジルスルホニウム、ジメチル−4−ヒドロキシフェニルスルホニウム、ジメチル−4−ヒドロキシナフチルスルホニウム、ジメチル−4,7−ジヒドロキシナフチルスルホニウム、ジメチル−4,8−ジヒドロキシナフチルスルホニウム、トリフェニルスルホニウム、p−トリルジフェニルスルホニウム、p−tert−ブチルフェニルジフェニルスルホニウム、ジフェニル−4−フェニルチオフェニルスルホニウム等のクロリド、ブロミド、p−トルエンスルホナート、トリフルオロメタンスルホナート、テトラフルオロボレート、テトラキスペンタフルオロフェニルボレート、テトラキスペンタフルオロフェニルガレート、ヘキサフルオロフォスフェート、ヘキサフルオロアルセナート、ヘキサフルオロアンチモネート塩が挙げられる。
また、スルホン酸エステル化合物の具体例としては、ベンゾイントシレート、α−メチロールベンゾイントシレート、o−ニトロベンジルp−トルエンスルホナート、p−ニトロベンジル−9,10−ジエトキシアントラセン−2−スルホナートなどが挙げられ、ハロメチル置換−S−トリアジン有導体の具体例としては、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−S−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−S−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−S−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリブロモメチル)−S−トリアジン等を挙げることができる。
これら光酸発生剤は1種または複数の種類のものを併用しても良い。
(C−2)酸化型の光ラジカル発生剤
本発明の接着材に用いる(C−2)酸化型の光ラジカル発生剤としては、光照射により励起してラジカルを発生する化合物であって、励起により水素供与体から水素を引き抜いてラジカルを生成するいわゆる水素引き抜き型のラジカル発生剤、励起により自己開裂を起こしてラジカルを発生し(自己開裂型ラジカル発生剤)、次いで該ラジカルが水素供与体から水素を引き抜くタイプのもの、及び光照射により励起して電子供与体から直接電子を引き抜いてラジカルとなるもの等の、光照射による励起によって活性ラジカル種を発生させる機構が酸化剤的な作用による(自らは還元される)ものであれば特に制限されず、公知の化合物を用いれば良い。
該水素引き抜き型のラジカル発生剤としては、ジアリールケトン化合物、α−ジケトン化合物、ケトクマリン化合物等を挙げることができる。
当該ジアリールケトン化合物を具体的に例示すると4,4−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、9−フルオレノン、3,4−ベンゾ−9−フルオレノン、2−ジメチルアミノ−9−フルオレノン、2−メトキシ−9−フルオレノン、2−クロロ−9−フルオレノン、2,7−ジクロロ−9−フルオレノン、2−ブロモ−9−フルオレノン、2,7−ジブロモ−9−フルオレノン、2−ニトロ−9−フルオレノン、2−アセトキ−9−フルオレノン、ベンズアントロン、アントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、1−ジメチルアミノアントラキノン、2,3−ジメチルアントラキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−クロロアントラキノン、1,5−ジクロロアントラキノン、1,2−ジメトキシアントラキノン、1,2−ジアセトキシ−アントラキノン、5,12−ナフタセンキノン、6、13−ペンタセンキノン、キサントン、チオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、9(10H)−アクリドン、9−メチル−9(10H)−アクリドン、ジベンゾスベレノン等を挙げることができる。
α−ジケトン化合物の具体例を例示すれば、カンファーキノン、ベンジル、ジアセチル、アセチルベンゾイル、2,3−ペンタジオン、2,3−オクタジオン、4,4’−ジメトキシベンジル、4,4’−オキシベンジル、9,10−フェナンスレンキノン、アセナフテンキノン等が挙げられる。
またケトクマリン化合物としては、3−ベンゾイルクマリン、3−(4−メトキシベンゾイル)クマリン、3−ベンゾイル−7−メトキシクマリン、3−(4−メトキシベンゾイル)7−メトキシ−3−クマリン、3−アセチル−7−ジメチルアミノクマリン、3−ベンゾイル−7−ジメチルアミノクマリン、3,3’−クマリノケトン、3,3’−ビス(7−ジエチルアミノクマリノ)ケトン等を挙げることができる。
また、光照射による自己開裂によってラジカルを発生し、該ラジカルが水素供与体から水素を引き抜くタイプのものとしては、トリクロロアセトフェノンが挙げられる。
光照射により励起して電子供与体から直接電子を引き抜いてラジカルとなるものとしては、キサンテン化合物、アクリジン化合物、フェナジン化合物等が挙げられ、キサンテン化合物としてはエオシン系化合物、エリスロシン系化合物、ローズベンガル等が例示され、アクリジン化合物としては、アクリジン、9−フェニルアクリジン、ベンズ[a]アクリジン、アクリジンオレンジ等が例示され、またフェナジン化合物としてはフェナジン、ベンズ[a]フェナジン等が例示される。
上記各種酸化型の光ラジカル発生剤のなかでも、歯科用として汎用される可視光の光照射でも高い活性を示す点から可視光に吸収をもつ化合物が好ましく、350〜800nmに極大吸収波長を有す化合物がより好ましい。さらに光照射を行った際の重合活性が他の化合物に比してより高い点で、水素引き抜き型の光ラジカル発生剤が好ましく、なかでも、ジアリールケトン化合物、α−ジケトン化合物又はケトクマリン化合物が特に好ましい。
これら酸化型の光ラジカル発生剤は単独で用いても、複数の種類のものを併用しても良い。
(C−3)少なくとも一つの水素原子を有する飽和炭素原子が、縮合多環式芳香族環の縮合炭素原子に隣接する炭素原子と結合している縮合多環式芳香族化合物(以下単に縮合多環式芳香族化合物とも言う。)
本発明の接着材に用いる(C−3)縮合多環式芳香族化合物としては、ナフタレン環、アントラセン環等の複数の芳香族環が縮合した縮合多環式芳香族環において、該環の縮合炭素原子(複数の環が共有する炭素原子)に隣接する炭素原子(縮合炭素原子と結合している炭素原子であり、これも縮合多環式芳香族環を構成する原子である)に、少なくとも1つの水素原子を有する飽和炭素原子が結合した構造を有す芳香族化合物であれば特に制限されるものではなく、公知の如何なる化合物でも使用することができる。(以下、単に本発明の縮合多環式芳香族化合物とも称す)
なお、縮合多環式芳香族化合物において複数の環が共有する炭素原子の隣に位置する、少なくとも1つの水素原子を有する飽和炭素原子が結合可能な炭素原子を具体的に示すと、例えばナフタレン環であれば、1,4,5及び8番として番号がつけられる炭素原子が、アントラセン環であれば1,4,5,8,9及び10番の炭素原子が、フェナンスレン環であれば1,4,5,8,9及び10番の炭素原子がこれに相当する。
本発明の縮合多環式芳香族化合物における、縮合多環式芳香族環部分としては公知のいかなる構造でも良く、ナフタレン環、アントラセン環、フェナンスレン環、アズレン環等のように炭化水素環のみが縮合したものでも、ナフチリジン環等のように複素環同士が縮合したものでも、あるいはキノリン環等のように炭化水素環と複素環両者が縮合した環のいずれでもよく、また、縮合している環の数も2つ以上の環が縮合したものであれば特に制限されるものではない。重合活性や入手の容易さの点から、少なくとも1つの炭化水素環を有すもの(即ち、炭化水素環のみが縮合したものか或いは炭化水素環と複素環両者が縮合したもの)であることが好ましく、炭化水素環のみからなるものであることがより好ましく、ベンゼン環だけが縮合したものであることが特に好ましい。同様の理由から、縮合している芳香族環の数としては、2〜6の環が縮合したものであることが好ましく、3〜6つの環が縮合したものであることがより好ましい。なおそれに対し、単一のベンゼン環、ピリジン環等の縮合型ではない芳香族環では重合活性を向上させることができず、本発明の効果を得ることができない。
また、少なくとも一つの水素原子を有する飽和炭素原子が、該縮合多環式芳香族環を構成する炭素原子に結合している形式は特に制限されるものではなく、メチルアントラセンやジクロロメチルアントラセンのように非置換のアルキル基、或いは縮合多環式芳香族環と結合する炭素原子上に少なくとも1つの水素原子を残して置換された置換アルキル基のような置換基の一部分として結合していても良いし、アセナフテンやアセアンスレンのように、縮合多環式芳香族環にさらに縮環した非芳香族環の一部分として存在していても良い。
このような非置換のアルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基、デシル基等の炭素数1〜10のアルキル基が例示される。また縮合多環式芳香族環と結合する炭素原子上に少なくとも1つの水素原子を残して置換された置換アルキル基における置換基としては特に制限されるものではなく、公知の如何なる置換基でも良く、またその置換基の数も特に制限されるものではない。このような置換アルキル基としては、メトキシメチル基、1−メトキシエチル基、1−メトキシプロピル基、ジメトキシメチル基、ジエトキシメチル基、ジブトキシメチル基の炭素数1〜10のアルコキシアルキル基;フェニルメチル基、p−トリルメチル基、1−フェニルエチル基、1−フェニルプロピル基、ジフェニルメチル基、ビス(p−トリル)メチル基等の炭素数7〜15のアリールアルキル基;アリル基、メタリル基、1−メチルアリル基、1−メチルメタリル基等の炭素数3〜10のアルケニル基;ジアリルメチル基、ジメタリルメチル基等の炭素数3〜10のアルケニルアルキル基;ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、1−ヒドロキシプロピル基、1−ヒドロキシペンチル基、1−ヒドロキシデシル基等の炭素数1〜10のヒドロキシアルキル基;クロロメチル基、ブロモメチル基、ジクロロメチル基、ジブロモメチル基、1−クロロエチル基、1−クロロプロピル基等の炭素数1〜5のハロゲノアルキル基;アセトキシメチル基、ベンゾイルオキシメチル基、ジアセチルオキシメチル基、1−アセチルオキシエチル基、1−アセチルオキシプロピル基等の炭素数2〜10のアシルオキシアルキル基;エチルチオメチル基、ブチルチオメチル基、1−エチルチオエチル基、1−ブチルチオエチル基等の炭素数1〜10のアルキルチオアルキル基;メルカプトメチル基、1−メルカプトエチル基、1−メルカプトプロピル基等の炭素数1〜10のメルカプトアルキル基等が具体的に例示される。
また、少なくとも一つの水素原子を有する飽和炭素原子が、縮合多環式芳香族環に結合するように縮環した非芳香族環の一部として存在する場合、縮合の様式はオルト縮合、オルトペリ縮合のどちらでも良い。その非芳香族環としては飽和炭化水素環としてシクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロオクタン環等があげられる。また、これら非芳香族環の環構成元素として不飽和炭素あるいは酸素、窒素、硫黄等ヘテロ原子を有してもよいが、当然その場合には、少なくとも一つの水素原子を有する飽和炭素原子が、該環の構成元素に少なくとも一つ以上含まれなくてはならない。このような非芳香族環の例としては、不飽和炭化水素環としてシクロペンテン環、シクロヘキセン環、シクロヘプテン環、1,2−シクロヘプタジエン環、シクロオクテン環、1,2−シクロオクタジエン環、1,3−シクロオクタジエン環等、また含ヘテロ原子環としては含酸素環としてオキセタン環、テトラヒドロフラン環、テトラヒドロピラン環等、含窒素環としてアゼチジン環、ピロリジン環、ピペラジン環等、含硫黄環としてトリメチレンスルフィド環、テトラヒドロチオフェン環、テトラメチレンスルフィド環等が挙げられる(なお、これらの名称は縮合多環式芳香族環と縮合していない状態での命名であり、縮合することによりその環名称が変わる場合もある)。これらの環が前記したような縮合多環式芳香族環と、少なくとも一つの水素原子を有する飽和炭素原子が該縮合多環式芳香族環の縮合炭素原子に隣接する炭素原子と結合するように縮環していればよい。またこれらの環が不飽和結合を有する場合には、この不飽和結合を縮合多環式芳香族環と共有するように縮環していても良いし、それ以外の部分として残るように縮環していてもよい。
非置換の或いは置換アルキル基として存在する場合には、炭素数1〜10の非置換の或いは置換アルキル基の一部として存在することが好ましい。また、縮合多環式芳香族環に縮環した非芳香族環の一部分として存在している場合には、該非芳香族環は5〜7員環(縮合多環式芳香族環の環構成原子と共有する原子を含む)であることが好ましく、5〜7員環の非芳香族性の炭化水素環であることがより好ましい。
それに対し、縮合多環式芳香族環に置換基が結合していない場合や非芳香族性の環が縮合していない場合には、重合活性の向上効果が得られない。また、置換基や非芳香族性の縮合環が存在していても、ビニル基、フェニル基等の不飽和の炭素原子で縮合多環式芳香族環と結合する基や、メトキシ基等の炭素以外の原子で結合する基しか存在しない場合には、重合活性を向上させる効果が得られない。同じく、飽和炭素原子であっても、t−ブチル基、トリクロロメチル基、1,1−ジクロロエチル基等の、縮合多環式芳香族環と結合する炭素原子上に水素原子を有さない(すべて置換されている)炭素原子である場合にも重合活性の向上効果が得られない。
また上記のような、少なくとも一つの水素原子を有する飽和炭素原子は、縮合多環式芳香族環に複数結合していても良いが、そのうちの少なくとも1つは前述の通り縮合多環式芳香族環における縮合炭素原子に隣接する炭素原子と結合していなくてはならない。少なくとも一つの水素原子を有する飽和炭素原子が、縮合多環式芳香族化合物の縮合炭素原子に隣接する炭素原子以外にしか結合していない場合には、充分な重合活性を得ることができない。
また本発明の縮合多環式芳香族化合物の縮合多環式芳香族環部分は、水酸基、ハロゲン原子、メルカプト基、t−ブチル基、トリクロロメチル基等により置換されていても良い。
このような縮合多環式芳香族化合物として好適に使用できる化合物としては下記一般式(1)
CH−A−(R (1)
{上記式中、Aは2〜6つのベンゼン環が縮合したn+1価の芳香族炭化水素基であり、R及びRは各々独立に水素原子、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、或いは炭素数1〜10の1価の有機残基であり、Rはハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、或いは炭素数1〜10の1価の有機残基であるか、又はR、R、Rから選ばれるいずれか2つが、或いはR同士が一緒になって結合して非芳香族性の環を形成していても良く、nは0〜6の整数であり、nが2以上の場合にはRは各々異なっていても良く、かつ、(RCH−)で示される基は、Aで示される縮合多環式芳香族環の縮合炭素原子に隣接する炭素原子と結合している。}
で示される縮合多環式芳香族化合物が挙げられる。
上記式中、Aは2〜6つのベンゼン環が縮合したn+1価の芳香族炭化水素基である。当該芳香族炭化水素基を具体的に例示すると、2つのベンゼン環が縮合したものとしてナフタレン環;3つのベンゼン環が縮合したものとしてアントラセン環又はフェナンスレン環;4つのベンゼン環が縮合したものとしてナフタセン環、1,2−ベンズアントラセン環、クリセン環又はピレン環等;5つのベンゼン環が縮合したものとしてはベンゾ(a)ピレン環、ベンゾ(e)ピレン環、ベンゾ(g)ピレン環、ベンゾ(h)ピレン環、ベンゾ(i)ピレン環、ペリレン環、ペンタセン環、ペンタフェン環又はピセン環等;6つのベンゼン環が縮合したものとしてヘキサフェン環、ヘキサセン環等から誘導される芳香族炭化水素基が例示される。
上記式中、R及びRは各々独立に水素原子、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、或いは炭素数1〜10の1価の有機残基である。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が例示される。また、炭素数1〜10の1価の有機残基としては、置換又は非置換のアルキル基、置換又は非置換のアルコキシ基、置換又は非置換のアルキルチオ基、置換又は非置換のアリール基、置換又は非置換のアルケニル基、あるいはジアルキルアミノ基等が例示される。
当該非置換のアルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基等の炭素数1〜10のアルキル基が例示される。
また、置換アルキル基に置換している置換基は公知の如何なる基でもよいが、具体的には、メトキシ基、エトキシ基等のアルコキシ基;フェニル基、トリル基等のアリール基;ビニル基、1−プロペニル基等の1−アルケニル基;水酸基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;アセチルオキシ基、ベンゾイルオキシ基等のアシルオキシ基;エチルチオ基、ブチルチオ基等のアルキルチオ基;メルカプト基等が例示される。
より具体的に、このような基により置換された置換アルキル基を例示すると、メトキシメチル基、1−メトキシエチル基、1−メトキシプロピル基、ジメトキシメチル基、ジエトキシメチル基、ジブトキシメチル基等の炭素数1〜10のアルコキシアルキル基;フェニルメチル基、p−トリルメチル基、1−フェニルエチル基、1−フェニルプロピル基等の炭素数7〜10のアリールアルキル基;ビニル基、アリル基、メタリル基、1−メチルアリル基、1−メチルメタリル基等の炭素数2〜10のアルケニル基;ジアリルメチル基、ジメタリルメチル基等の炭素数3〜10のアルケニルアルキル基;ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、1−ヒドロキシプロピル基等の炭素数1〜10のヒドロキシアルキル基;クロロメチル基、ブロモメチル基、ジクロロメチル基、トリクロロメチル基、ジブロモメチル基、1−クロロエチル基、1−クロロプロピル基等の炭素数1〜10のハロゲノアルキル基;アセトキシメチル基、ベンゾイルオキシメチル基、ジアセチルオキシメチル基、1−アセチルオキシエチル基、1−アセチルオキシプロピル基等の炭素数2〜10のアシルオキシアルキル基;エチルチオメチル基、ブチルチオメチル基、1−エチルチオエチル基、1−ブチルチオエチル基等の炭素数1〜10のアルキルチオアルキル基;メルカプトメチル基、1−メルカプトエチル基、1−メルカプトプロピル基等のメルカプトアルキル基等が挙げられる。
また置換又は非置換のアルコキシ基、置換又は非置換のアルキルチオ基としては、上記置換又は非置換のアルキル基から誘導されるアルコキシ基、アルキルチオ基が例示され(例えば、メチル基からは、メトキシ基、メチルチオ基が誘導される)、好ましくは炭素数1〜10のアルコキシ基、アルキルチオ基である。
置換又は非置換のアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基等の炭素数6〜10のアリール基が例示され、置換又は非置換のアルケニル基としてはビニル基、アリル基等の炭素数2〜10のアルケニル基が例示され、ジアルキルアミノ基としては、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基等の炭素数2〜10のジアルキルアミノ基が例示される。
上記のようなR及びRの結合した(RCH−)で示される基のなかでも、重合活性の点で、炭素数20以下であるものが好ましく、炭素数10以下のものが特に好ましい。このような基をより具体的に例示すると、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基等の炭素数1〜10のアルキル基;メトキシメチル基、1−メトキシエチル基、1−メトキシプロピル基、ジメトキシメチル基、ジエトキシメチル基の炭素数1〜10のアルコキシアルキル基;フェニルメチル基、p−トリルメチル基、1−フェニルエチル基、1−フェニルプロピル基、ジフェニルメチル基、ビス(p−トリル)メチル基等の炭素数7〜15のアリールアルキル基;アリル基、メタリル基、1−メチルアリル基、1−メチルメタリル基等の炭素数3〜10のアルケニル基;ジアリルメチル基、ジメタリルメチル基等の炭素数3〜10のアルケニルアルキル基;ヒドロキシメチル基、1−ヒドロキシエチル基、1−ヒドロキシプロピル基等の炭素数1〜10のヒドロキシアルキル基;クロロメチル基、ブロモメチル基、ジクロロメチル基、ジブロモメチル基、1−クロロエチル基、1−クロロプロピル基等の炭素数1〜10のハロゲノアルキル基;アセトキシメチル基、ベンゾイルオキシメチル基、ジアセチルオキシメチル基、1−アセチルオキシエチル基、1−アセチルオキシプロピル基等の炭素数2〜10のアシルオキシアルキル基;エチルチオメチル基、ブチルチオメチル基、1−エチルチオエチル基、1−ブチルチオエチル基等の炭素数1〜10のアルキルチオアルキル基;メルカプトメチル基、1−メルカプトエチル基、1−メルカプトプロピル基等の炭素数1〜10のメルカプトアルキル基等が挙げられる。
上記式中、Rはハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、或いは炭素数1〜10の1価の有機残基であり、これらの具体例は、R、Rとして上記したものと同様である。上記式中、nは0〜6の整数であり、nが2〜6である場合には、Rで示される基は各々同一でも異なっていても良い。
また上記式においては、R、R、Rから選ばれるいずれか2つ或いはR同士が一緒になって結合して非芳香族性の環を形成していても良い。これらの非芳香族環は複数存在していても良く、その場合には、それらが各々異なる環でも構わない。
とRとが一緒になって結合して環を形成した場合の具体例としては、シクロプロパン環、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、テトラヒドロピラン環、テトラヒドロフラン環等が形成されているものが例示される。
また、R又はRとRとが一緒になって結合して環を形成した場合、あるいはR同士が一緒になって環を形成した場合これらの環は上記Aで示される縮合多環式芳香族炭化水素環と縮合した非芳香族性の環を形成することになる。このような環としては特に制限されるものではなく、炭化水素環でも複素環でも良く、具体的には、少なくとも一つの水素原子を有する飽和炭素原子が、縮合多環式芳香族環に結合するように縮環した非芳香族環の一部として存在する場合として例示した通りである。
また上記Rは、Aで示される縮合多環式芳香族炭化水素環のどの位置に結合していてもよいが、(RCH−)で示される基は、Aで示される縮合多環芳香族環の縮合炭素原子に隣接する炭素原子と結合していなければならない。
好適に使用される(C−3)縮合多環式芳香族化合物を例示すると、R、R及びRのいずれも互いに結合していないものとして、1−メチルナフタレン、1−エチルナフタレン、1,4−ジメチルナフタレン等のナフタレン誘導体類;4,5−ジメチルフェナントレン、1,8−ジメチルフェナントレン等のフェナントレン誘導体類;1−メチルアントラセン、9−メチルアントラセン、9−エチルアントラセン、9,10−ジメチルアントラセン、9,10−ジエチルアントラセン、9−メトキシメチルアントラセン、9−(1−メトキシエチル)アントラセン、9−ヘキシルオキシメチルアントラセン、9,10−ジメトキシメチルアントラセン、9−ジメトキシメチルアントラセン、9−フェニルメチルアントラセン、9−(1−ナフチル)メチルアントラセン、9−ヒドロキシメチルアントラセン、9−(1−ヒドロキシエチル)アントラセン、9,10−ジヒドロキシメチルアントラン、9−アセトキシメチルアントラセン、9−(1−アセトキシエチル)アントラセン、9,10−ジアセトキシメチルアントラセン、9−ベンゾイルオキシメチルアントラセン、9,10−ジベンゾイルオキシメチルアントラセン、9−エチルチオメチルアントラセン、9−(1−エチルチオエチル)アントラセン、9,10−ビス(エチルチオメチル)アントラセン、9−メルカプトメチルアントラセン、9−(1−メルカプトエチル)アントラセン、9,10−ビス(メルカプトメチル)アントラセン、9−エチルチオメチル−10−メチルアントラセン、9−メチル−10−フェニルアントラセン、9−メチル−10−ビニルアントラセン、9−アリルアントラセン、9,10−ジアリルアントラセン、9−クロロメチルアントラセン、9−ブロモメチルアントラセン、9−ヨードメチルアントラセン、9−(1−クロロエチル)アントラセン、9−(1−ブロモエチル)アントラセン、9−(1−ヨードエチル)アントラセン、9,10−ジクロロメチルアントラセン、9,10−ジブロモメチルアントラセン、9,10−ジヨードメチルアントラセン、9−クロロ−10−メチルアントラセン、9−クロロ−10−エチルアントラセン,9−ブロモ−10−メチルアントラセン、9−ブロモ−10−エチルアントラセン、9−ヨード−10−メチルアントラセン、9−ヨード−10−エチルアントラセン、9−メチル−10−ジメチルアミノアントラセン、7,12−ジメチルベンズ(a)アントラセン、7,12−ジメトキシメチルベンズ(a)アントラセン等のアントラセン誘導体類;5,12−ジメチルナフタセン、7−メチルベンゾ(a)ピレン、3,4,9,10−テトラメチルペリレン、3,4,9,10−テトラキス(ヒドロキシメチル)ペリレン、6,13−ジメチルペンタセン、8,13−ジメチルペンタフェン、5,16−ジメチルヘキサセン、9,14−ジメチルヘキサフェン等の4〜6つのベンゼン環が縮合した縮合多環式芳香族炭化水素の誘導体類が挙げられる。
また、RとRが互いに結合して環を形成しているものとしては、9−シクロヘキシルアントラセン、9,10−ジシクロヘキシルアントラセン等が挙げられ、R又はRとRとが結合して環を形成してるものとしては、アセナフテン、フェナレン、アセフェナントレン、アセアントレン、アセナフテノン、1,2,3,4−テトラヒドロフェナントレン、ベンゾ[e]フタラン、ベンゾ[f]クロマン、ベンゾ[f]イソクロマン、N−メチルベンゾ[e]インドリン、N−メチルベンゾ[e]イソインドリン、コラントレン、ビオランスレン、イソビオランスレン等が挙げられる。
これら縮合多環式芳香族化合物は1種または複数の種類のものを併用しても良い。
(C−4)アミン化合物
本発明における(C−4)アミン化合物は、上記(C−1)、(C−2)及び(C−3)からなる重合開始剤における酸水溶液存在下での重合活性の低下を防ぐ為に必須であり、該アミン化合物としては、公知のアミン化合物が何ら制限なく使用でき、第1級アミン、第2級アミン及び第3級アミンを挙げることが出来るが、一般的には臭気等の観点から第3級アミン化合物が好ましい。これらのアミン化合物としては、窒素原子に1つ以上の芳香族基が直接結合したアミン化合物(以下、芳香族アミン化合物とも呼ぶ)と窒素原子に直接結合した芳香族基を有さないアミン化合物(以下、脂肪族アミン化合物とも呼ぶ)が挙げられる。
上記芳香族アミン化合物としては公知の芳香族アミン化合物が何ら制限なく使用でき、具体的には、アニリン、トルイジン等の芳香族第1級アミン化合物;N−メチルアニリン、N−メチル−p−トルイジン等の芳香族第2級アミン化合物;N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジベンジルアニリン、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ジエチル−p−トルイジン、N,N−ジ(β−ヒドロキシエチル)−p−トルイジン、p−ジメチルアミノ安息香酸、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジメチルアミノ安息香酸アミル等の第3級アミン化合物を挙げることができる。
これらの中でも、歯科用として使用することを考慮すると、臭気等の点から第3級芳香族アミン化合物類が好ましい。さらに、高い重合活性を示し、重合硬化性を維持し、尚且つ高い硬化体物性を発現させることが可能な点で、下記一般式(2)で示される芳香族第3級アミン化合物を用いることがより好ましい。
Figure 2007254307
(式中、R及びRは各々独立に、炭素数1〜6のアルキル基であり、Rは水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基である。)
一般式(2)中、RとRは各々独立に、炭素数1〜6のアルキル基であるが、好ましくは炭素数1〜3のアルキル基である。該アルキル基を具体的に例示すると、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、n−ヘキシル基を挙げることができる。
また、一般式(2)中、Rは水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基であるが、好ましくは炭素数1〜3のアルキル基である。メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、n−ヘキシル基を挙げることができる。
一般式(2)で示される芳香族アミン化合物を具体的に例示すると、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、N,N−ジ−n−ブチルアニリン、N,N−ジベンジルアニリン、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ジエチル−p−トルイジン、N,N−ジメチル−m−トルイジン、p−ブロモ−N,N−ジメチルアニリン、m−クロロ−N,N−ジメチルアニリン、p−ジメチルアミノベンズアルデヒド、p−ジメチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノ安息香酸、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、p−ジメチルアミノ安息香酸アミルエステル等が挙げられる。
また、本発明で好適に使用される脂肪族アミン化合物を具体的に例示すると、n−ブチルアミン、n−ヘキシルアミン、n−オクチルアミン等の脂肪族第1級アミン化合物;ジブチルアミン等の脂肪族第2級アミン化合物;トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート等の脂肪族第3級アミン化合物などを挙げることができるが、好ましくは脂肪族第3級アミン化合物であり、さらに好ましくはN,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート等のラジカル重合性官能基を有する第3級脂肪族アミン化合物である。
これらアミン化合物はいずれを用いても良く、また異なる種類のアミン化合物を併用しても良いが、少なくとも1種の芳香族アミン化合物を用いることが好ましく、さらには、1種または2種以上の芳香族アミン化合物と1種または2種以上の脂肪族アミン化合物を併用することが特に好ましい。芳香族アミン化合物と脂肪族アミン化合物とを併用することにより、芳香族アミン化合物のみを使用した場合よりも、硬化体を太陽光等の紫外光に暴露した時に着色が低減され、また、脂肪族アミン化合物のみを使用した場合よりも硬化活性が向上する。
最も好ましくは、前記一般式(2)で示される芳香族第3級アミン化合物と、ラジカル重合性官能基を有する第3級脂肪族アミン化合物との組み合わせである。
本発明に使用される(C)光重合開始剤の配合量は特に限定されないが、(A)酸性基含有重合性単量体を含む重合性単量体100質量部に対して、(C−1)光酸発生剤が0.1〜10.0質量部、(C−2)酸化型の光ラジカル発生剤が0.01〜5.0質量部、(C−3)縮合多環式芳香族化合物が0.01〜5.0質量部、(C−4)アミン化合物が0.1〜15.0質量部であることが好ましく、より好ましくは(C−1)成分が0.5〜5.0質量部、(C−2)成分が0.05〜1.0質量部、(C−3)成分が0.05〜1.0質量部、(C−4)成分が0.5〜7.0質量部である。
また、(C−4)成分であるアミン化合物として芳香族アミン化合物と脂肪族アミン化合物とを組合せて使用する場合には、前記(C−4)成分の配合量の範囲内において、両者の質量比が、前者が1〜20質量%で後者が80〜99質量%、より好適には前者が5〜10質量%で後者が90〜95質量%とするのが、硬化活性を特に向上させる観点から好適である。
本発明の歯科用接着材には、上記(A)〜(C)成分が配合されていればその効果を発現するが、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて歯科用接着性組成物の配合成分として公知の他の成分、例えば、水溶性有機溶媒、紫外線吸収剤、重合禁止剤、重合抑制剤、染料、顔料、無機充填剤などが配合されていてもよい。
水溶性有機溶媒としては、水溶性を示すものであれば公知の有機溶媒が何等制限なく使用できる。ここで言う水溶性とは、20℃での水への溶解度が20g/100ml以上であることを言う。このような水溶性有機溶媒として具体的に例示すると、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、アセトン、メチルエチルケトンなどが挙げられる。これら有機溶媒は必要に応じ複数を混合して用いることも可能である。生体に対する為害性を考慮すると、エタノール、プロパノール又はアセトンが好ましい。
本発明の歯科用接着材の製造方法は特に限定されるものではなく、公知の歯科用接着材の製造方法に従えばよく、一般的には、赤色光などの不活性光下に、配合される全成分を秤取り、均一溶液になるまでよく混合すればよい。
本発明の歯科用接着材は、齲蝕等により損傷を受けた歯を修復するに際して、該歯の修復部の空洞に充填したコンポジットレジンと歯質を接着させる目的に使用する。該コンポジットレジンとしては、公知のものが制限なく使用できるが、一般には(メタ)アクリレート系重合性単量体を硬化性成分とし、これに光重合開始剤等の重合開始剤およびフィラーが配合されたものが使用される。
その具体的な使用方法もまた、公知の歯科用接着材の使用方法に従えばよく、例えば、齲蝕部を取り除くなどした被着体となる歯質に本発明の接着材を塗布、5〜60秒程度放置後に圧縮空気などを軽く吹きつけて、ついで歯科用照射器を用いて可視光を照射し重合、硬化させた後、被着体となるコンポジットレジンなどの修復物を充填、光硬化させれば良い。
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。なお、実施例および比較例で使用した化合物とその略称を(1)に、本発明の接着材に使用される重合開始剤の重合活性評価方法を(2)に、硬化体の曲げ強度測定方法を(3)に、エナメル質、象牙質接着強度測定方法を(4)に示す。
(1)略称及び構造
(A)酸性基含有重合性単量体を含む重合性単量体成分
酸性基含有重合性単量体
PM;2−メタクリロイルオキシエチルジハイドロジェンホスフェートとビス(2−メタクリロイルオキシエチル)ハイドロジェンホスフェートの混合物
MDP;10−メタクリロイルオキシデシルジハイドロジェンホスフェート
MAC10;11,11−ジカルボキシウンデシルメタクリレート
4META;4−メタクリロイルオキシエチルトリメリット酸
他の重合性単量体
D2.6E;2,2−ビス(4−(メタクリロイルオキシポリエトキシフェニル)プロパン
3G;トリエチレングリコールジメタクリレート
HEMA;2−ヒドロキシエチルメタクリレート
(C)光重合開始剤
(C−1)光酸発生剤
DPISB;ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロフォスフェート
DPIPB;p−イソプロピルフェニル−p−メチルフェニルヨードニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレート
DPSB;ジフェニルスルホニウムヘキサフルオロフォスフェート
BTC;ベンゾイントシレート
TCT;2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−S−トリアジン
(C−2)酸化型の光ラジカル発生剤
CQ;カンファーキノン
AnQ;アントラキノン
RC;3,3’−ビス(7−ジエチルアミノクマリノ)ケトン
(C−3)縮合多環式芳香族化合物
DMAn;9,10−ジメチルアントラセン
9MAn;9−メチルアントラセン
(C−4)アミン化合物
芳香族アミン
DMBE;p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル
DMPT;N,N−ジメチル−p−トルイジン
脂肪族アミン
DMEM;N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート
DEEM;N,N−ジエチルアミノエチルメタクリレート
NMA;N,N−ジメチルアニリン
(2)重合活性評価方法
本発明の接着材3.0gを5mlサンプル管瓶に入れ、照射距離0.5cmから歯科用の光照射器(TOKUSO POWER LITE、(株)トクヤマ社製)によって2分間光照射した。照射直後の硬化体の硬化深度によりそれぞれ3段階で評価した。即ち、硬化深度が20mmに達しているものを◎、硬化深度が15mm以上20mm未満のものを○、硬化深度が10mm以上15mm未満のものを●、一部硬化するが、硬化深度が10mmに達していないものを△、ゲル化はするが十分な硬度を有しない、或は全く硬化しないものを×とした。
(3)硬化体の曲げ強度測定方法
テフロン(登録商標)製型枠に本発明の接着材を充填し、ポリプロピレンで圧接した状態で、一方の面から30秒×3回、全体に光が当たるように場所を変えてトクソーパワーライトにてポリプロピレンに密着させて光照射を行なった。ついで、反対の面からも同様にポリプロピレンに密着させて30秒×3回光照射して硬化体を得た。#800の耐水研磨紙にて、硬化体を2×2×25mmの角柱状に整え、この試料片を試験機(島津製作所製、オートグラフAG5000D)に装着し、支点間距離20mm、クロスヘッドスピード1mm/分で3点曲げ強度を測定した。
(4)エナメル質、象牙質接着強度測定方法
屠殺後24時間以内に牛前歯を抜去し、往水下、#600のエメリーペーパーで唇面に平行になるようにエナメル質および象牙質平面を削り出した。次にこれらの面に圧縮空気を約10秒間吹き付けて乾燥した後、この平面に直径3mmの孔の開いた両面テープを固定し、ついで厚さ0.5mm直径8mmの孔の開いたパラフィンワックスを上記円孔上に同一中心となるように固定して模擬窩洞を形成した。この模擬窩洞内に本発明の接着剤を塗布し、20秒間放置後、圧縮空気を約10秒間吹き付けて乾燥した。次に可視光線照射器(パワーライト、トクヤマデンタル社製)にて10秒間光照射し接着剤を硬化させた。更にその上に歯科用コンポジットレジン(パルフィークエステライトΣ、トクヤマデンタル社製)を充填し、可視光線照射器により30秒間光照射して、接着試験片を作製した。
上記接着試験片を37℃の水中に24時間浸漬した後、引張り試験機(オートグラフ、島津製作所製)を用いてクロスヘッドスピード2mm/minにて引張り、歯牙とコンポジットレジンの引張り接着強度を測定した。1試験当り、4本の引張り接着強さを上記方法で測定し、その平均値を接着強度とした。また、同様に作製した接着試験片を熱衝撃試験機にて4℃と60℃の水中に1分間ずつ交互に浸漬し、これを3000回行った後で上記と同様に引張り接着強度を測定し、その値を耐久性後の接着強度とした。
実施例1
(A)成分として2.5gのPM、4.0gのD−2.6E、1.5gの3G、及び2.0gのHEMA、(B)成分として1.5gの水、(C−1)成分として0.25gのDPISB、(C−2)成分として0.02gのCQ、(C−3)成分として0.01gのDMAn、(C−4)成分として0.04gのDMBE、及び0.4gのDMEMを用い、これらを混合して本発明の接着材を調製した。この接着材の組成を表1及び表2に示した。
得られた接着材を用いて重合活性、硬化体の曲げ強度、エナメル質、象牙質接着強度及び、耐久性後の接着強度を測定した。評価結果を表3に示した。
実施例2〜25
実施例1の方法に準じ、組成の異なる接着材を調整した。接着材の組成を表1、及び表2に、重合活性、硬化体の曲げ強度、及び接着強度評価結果を表3に示した。
Figure 2007254307
Figure 2007254307
Figure 2007254307
比較例1〜10
実施例1の方法に準じ、組成の異なる接着材を調整した。接着材の組成を表4及び表5に、重合活性、硬化体の曲げ強度、及び接着強度評価結果を表6に示した。
Figure 2007254307
Figure 2007254307
Figure 2007254307
実施例1〜25は、各成分が本発明で示される構成を満足するように配合されたものであるが、いずれの場合においても、高い重合活性、及び硬化体の曲げ強度を有しており、歯質に対する接着強度は耐久性後も含めて良好な値が得られている。
これに対して、比較例1〜2は、光重合開始剤として、現在広く用いられているα−ジケトン系化合物と、アミン類を使用した場合であるが、重合活性が低く、硬化体の曲げ強度及び歯質に対する接着強度が低下している。
比較例3は、本発明で使用する光重合開始剤から(C−4)成分であるアミン化合物を除いた光重合開始剤を用い、且つ(A)成分である酸性基含有重合性単量体、及び(B)成分である水を含んでいない場合であるが、重合活性及び硬化体の曲げ強度において良好な結果が得られるものの、歯質の脱灰に必要である酸性基含有重合性単量体及び水を含んでいない為、歯質に対する接着強度が得られない。比較例4は、比較例3で示される接着材に水を添加した場合であるが、重合活性が低下し、硬化体の曲げ強度が低下している。また、比較例5は、比較例3で示される接着材に歯質の脱灰に必要である酸性基含有重合性単量体および水を添加した場合であるが、重合活性は比較例4と同様に低く、硬化体の曲げ強度及び歯質の接着強度は該比較例4よりもさらに低下している。
比較例6〜8は、(C−1)成分である光酸発生剤、(C−2)成分である酸化型の光ラジカル発生剤、(C−3)成分である縮合多環式芳香族化合物のいずれか1つを欠いた場合であるが、重合活性が低下し、硬化体の曲げ強度、及び歯質に対する接着強度も、前記実施例1〜25よりも大きく劣る結果になっている。
比較例9は、(A)成分である重合性単量体に酸性基含有重合性単量体が配合されていない為、重合活性及び硬化体の曲げ強度は良好な値が得られているものの、歯質の脱灰力が弱く初期及び耐久性後の接着強度が低下している。
比較例10は、(B)成分である水が配合されていない為、重合活性及び硬化体の曲げ強度は良好な値が得られているものの、歯質の脱灰力が弱く、歯質に対する接着強度が低下している。

Claims (5)

  1. (A)酸性基含有重合性単量体を含む重合性単量体、(B)水、(C)光重合開始剤を含んでなる歯科用接着材において、前記(C)光重合開始剤が、(C−1)光酸発生剤、(C−2)酸化型の光ラジカル発生剤、(C−3)少なくとも一つの水素原子を有する飽和炭素原子が、縮合多環式芳香族環の縮合炭素原子に隣接する炭素原子と結合している縮合多環式芳香族化合物、及び(C−4)アミン化合物からなることを特徴とする歯科用接着材。
  2. (C−1)光酸発生剤が、ジアリールヨードニウム塩系化合物である請求項1記載の歯科用接着材。
  3. (C−2)酸化型の光ラジカル発生剤が、ジアリールケトン化合物、α−ジケトン化合物又はケトクマリン化合物からなる群から選ばれる少なくともいずれか一種である請求項1又は2に記載の歯科用接着材。
  4. (C−3)縮合多環式芳香族化合物が、下記一般式(1)
    CH−A−(R (1)
    {上記式中、Aは2〜6つのベンゼン環が縮合したn+1価の芳香族炭化水素基であり、R及びRは各々独立に水素原子、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、或いは炭素数1〜10の1価の有機残基であり、Rはハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、或いは炭素数1〜10の1価の有機残基であるか、又はR、R、Rから選ばれるいずれか2つが、或いはR同士が一緒になって結合して非芳香族性の環を形成していても良く、nは0〜6の整数であり、nが2以上の場合にはRは各々異なっていても良く、かつ、(RCH−)で示される基は、Aで示される縮合多環式芳香族環の縮合炭素原子に隣接する炭素原子と結合している。}
    で示される縮合多環式芳香族化合物である請求項1〜3に記載の歯科用接着材。
  5. (C−4)アミン化合物が、下記一般式(2)
    Figure 2007254307
    (式中、R及びRは各々独立に、炭素数1〜6のアルキル基であり、Rは水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基である。)
    で示される芳香族第3級アミン化合物とラジカル重合性官能基を有する第3級脂肪族アミン化合物との組み合わせからなる請求項1〜4に記載の歯科用接着材。
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