JP2007243070A - 配向酸化亜鉛質熱電変換材料及びそれを用いた熱電変換デバイス - Google Patents
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Abstract
【課題】熱電変換材料として有用な配向酸化亜鉛質焼結体、熱電素子及び熱電変換デバイス等を提供する。
【解決手段】酸化亜鉛を主成分とする熱電酸化亜鉛質焼結体であって、該焼結体の特定面でのX線回折ピークにおいて、Lotgering法によるc軸配向度が0.90以上であること、相対密度が95%以上であること、を特徴とする熱電酸化亜鉛質焼結体、及び酸化亜鉛質熱電材料粉末を含むスラリーに対して、磁場を印加し、該スラリーを回転させながら該材料粉末を配向させるとともに、該スラリーを固化して成型体を作製した後、該成型体を焼結することを特徴とする熱電酸化亜鉛質焼結体の製造方法、及び該焼結体を利用した熱電素子等の製品。
【効果】高い電気伝導度を有する優れた配向熱電変換材料及び熱電素子等を提供することが出来る。
【選択図】図1
【解決手段】酸化亜鉛を主成分とする熱電酸化亜鉛質焼結体であって、該焼結体の特定面でのX線回折ピークにおいて、Lotgering法によるc軸配向度が0.90以上であること、相対密度が95%以上であること、を特徴とする熱電酸化亜鉛質焼結体、及び酸化亜鉛質熱電材料粉末を含むスラリーに対して、磁場を印加し、該スラリーを回転させながら該材料粉末を配向させるとともに、該スラリーを固化して成型体を作製した後、該成型体を焼結することを特徴とする熱電酸化亜鉛質焼結体の製造方法、及び該焼結体を利用した熱電素子等の製品。
【効果】高い電気伝導度を有する優れた配向熱電変換材料及び熱電素子等を提供することが出来る。
【選択図】図1
Description
本発明は、酸化亜鉛質熱電変換材料及びその製造方法に関するものであり、更に詳しくは、結晶配向性を有する配向熱電材料、その製造方法、これらの配向熱電材料を用いて製造した熱電素子及び熱電変換モジュール等に関するものである。本発明は、従来技術では作製することが困難であった高配向性と高密度を実現した配向酸化亜鉛質焼結体を作製することを可能にするものであり、それにより、電流が流れる方向に対して平行な面のc軸配向が0.9以上、相対密度が95%以上、熱電性能指数が2.5×10−4/K以上であり、高い電気伝導度を有する熱電酸化亜鉛質焼結体及びその熱電変換素子等の製品を提供するものである。
熱エネルギーを電気エネルギーに直接変換することが出来る熱電材料が注目されており、熱電材料の中でも酸化亜鉛質熱電材料は、原料が比較的安価・豊富で毒素元素を含まず、高温酸化性雰囲気での使用に向いている。酸化亜鉛質熱電材料の熱電特性ピークは、ZT=0.3 at 1273K(無配向バルク体)であり、実用化の目安とされているZT=1の約3割にとどまっている。
この主な原因として、低い電気伝導度が挙げられる。従来の導電性酸化物焼結体は、その単結晶材料に比べて、著しく電気伝導度が低い。これは、酸化物の電気伝導機構は、異方性が大きく、粒界散乱の影響を受けやすいためと考えられる。特に、酸化亜鉛結晶は、結晶軸方向(結晶面)によって諸特性の異方性を有することから、ある特定の結晶面を配向させることによって、諸特性が向上することが期待できる。
先行技術文献には、出発原料に針状酸化亜鉛粒子を用い、押し出し成型法により酸化亜鉛結晶をc軸方向に配向させ、バリスタ特性を有する酸化亜鉛質焼結体を作製することが記載されている(特許文献1)。更に、他の先行技術文献には、出発原料に形状異方性を有するZnO又はその前駆体粉末材料を用いてドクターブレード法により配向酸化亜鉛質焼結体を作製することが記載されている(特許文献2)。
しかしながら、出発原料に形状異方性粒子を用いると製造コストが高くなり、また、ドクターブレード法による配向焼結体の作製は生産性が悪い。また、上述の方法では、c軸配向度は0.86と低く、相対密度も90%と低く、その結果、熱電出力因子は、3.0×10−4(W/mK2)@800℃に留まっていた。
このような状況の中で、本発明者らは、上記従来技術に鑑みて、c軸配向度が高く、相対密度が高く、高い電気伝導度を有する酸化亜鉛質熱電材料を低製造コスト及び高生産性で作製することが可能な新しい技術を開発することを目標として鋭意研究を積み重ねた結果、従来技術では作製することが困難であった配向度と密度が高く、高い電気伝導度を有する配向酸化亜鉛質熱電変換材料を作製できることを見出し、本発明を完成するに至った。本発明は、結晶配向度及び密度の高い配向酸化亜鉛質熱電変換材料、その製造方法及びその配向酸化亜鉛質熱電変換材料を用いて作製した熱電性能に優れた熱電素子、と熱電変換デバイス及び熱電変換モジュールを提供することを目的とするものである。
上記課題を解決するための本発明は、以下の技術的手段から構成される。
(1)酸化亜鉛を主成分とする熱電酸化亜鉛質焼結体であって、1)該焼結体の特定面でのX線回折ピークにおいて、Lotgering法によるc軸配向度が0.90以上である、2)相対密度が95%以上である、ことを特徴とする熱電酸化亜鉛質焼結体。
(2)前記焼結体の熱電性能指数が、2.5×10−4/K以上である、前記(1)に記載の熱電酸化亜鉛質焼結体。
(3)酸化亜鉛質熱電材料粉末を含むスラリーに対して、磁場を印加し、該スラリーを回転させながら該材料粉末を配向させるとともに、該スラリーを固化して成型体を作製した後、該成型体を焼結することを特徴とする熱電酸化亜鉛質焼結体の製造方法。
(4)原料粉末のZnOとAl2O3のモル比が、ZnO:Al2O3=100−2*x:x(0.1≦x≦5)である、前記(3)に記載の熱電酸化亜鉛質焼結体の製造方法。
(5)前記スラリーの回転数が、1〜100回転/分である、前記(3)に記載の熱電酸化亜鉛質焼結体の製造方法。
(6)少なくとも8テスラの磁場を印加して、スラリーを水平面内で回転させる、前記(3)に記載の熱電酸化亜鉛質焼結体の製造方法。
(7)前記(1)から(3)のいずれかに記載の熱電酸化亜鉛質焼結体が熱電素子として用いられていることを特徴とする熱電変換デバイス。
(8)前記(1)から(3)のいずれかに記載の熱電酸化亜鉛質焼結体が熱電素子として用いられていることを特徴とする熱電変換モジュール。
(1)酸化亜鉛を主成分とする熱電酸化亜鉛質焼結体であって、1)該焼結体の特定面でのX線回折ピークにおいて、Lotgering法によるc軸配向度が0.90以上である、2)相対密度が95%以上である、ことを特徴とする熱電酸化亜鉛質焼結体。
(2)前記焼結体の熱電性能指数が、2.5×10−4/K以上である、前記(1)に記載の熱電酸化亜鉛質焼結体。
(3)酸化亜鉛質熱電材料粉末を含むスラリーに対して、磁場を印加し、該スラリーを回転させながら該材料粉末を配向させるとともに、該スラリーを固化して成型体を作製した後、該成型体を焼結することを特徴とする熱電酸化亜鉛質焼結体の製造方法。
(4)原料粉末のZnOとAl2O3のモル比が、ZnO:Al2O3=100−2*x:x(0.1≦x≦5)である、前記(3)に記載の熱電酸化亜鉛質焼結体の製造方法。
(5)前記スラリーの回転数が、1〜100回転/分である、前記(3)に記載の熱電酸化亜鉛質焼結体の製造方法。
(6)少なくとも8テスラの磁場を印加して、スラリーを水平面内で回転させる、前記(3)に記載の熱電酸化亜鉛質焼結体の製造方法。
(7)前記(1)から(3)のいずれかに記載の熱電酸化亜鉛質焼結体が熱電素子として用いられていることを特徴とする熱電変換デバイス。
(8)前記(1)から(3)のいずれかに記載の熱電酸化亜鉛質焼結体が熱電素子として用いられていることを特徴とする熱電変換モジュール。
次に、本発明について更に詳細に説明する。
本発明は、酸化亜鉛を主成分とする熱電酸化亜鉛質焼結体であって、該焼結体の特定面でのX線回折ピークにおいて、Lotgering法によるc軸配向度が0.90以上である、相対密度が95%以上である、ことを特徴とするものである。本発明では、前記焼結体の熱電性能指数が、2.5×10−4/K以上であること、を好ましい実施態様としている。
本発明は、酸化亜鉛を主成分とする熱電酸化亜鉛質焼結体であって、該焼結体の特定面でのX線回折ピークにおいて、Lotgering法によるc軸配向度が0.90以上である、相対密度が95%以上である、ことを特徴とするものである。本発明では、前記焼結体の熱電性能指数が、2.5×10−4/K以上であること、を好ましい実施態様としている。
また、本発明は、上記熱電酸化亜鉛質焼結体の製造方法であって、酸化亜鉛質熱電材料粉末を含むスラリーに対して、磁場を印加し、該スラリーを回転させながら該材料粉末を配向させるとともに、該スラリーを固化して成型体を作製した後、該成型体を焼結することを特徴とするものである。本発明では、前記方法において、原料粉末のZnOとAl2O3のモル比が、ZnO:Al2O3=100−2*x:x(0.1≦x≦5)であること、前記スラリーの回転数が、1〜100回転/分であること、少なくとも8テスラの磁場を印加して、スラリーを水平面内で回転させること、を好ましい実施態様としている。
また、本発明は、前記の熱電酸化亜鉛質焼結体が熱電素子として用いられていることを特徴とする熱電変換モジュールの点、及び前記の熱電酸化亜鉛質焼結体が熱電素子として用いられていることを特徴とする熱電変換デバイスの点、に特徴を有するものである。
次に、本発明の熱電酸化亜鉛質焼結体の製造方法について説明する。本発明の酸化亜鉛質熱電材料の製造方法においては、ZnOとAl2O3のモル比がZnO:Al2O3=100−2*x:x(0.1≦x≦5)の間の組成を主成分とする粉末を原料として用いる。この場合、特に、モル比ZnO:Al2O3=98:1であることが熱電特性を高めるために好ましい。
また、酸化亜鉛質熱電材料に、IIA族元素、IIIB族元素、3d、4d、5d遷移金属元素等をドーパントとして添加することが出来る。これにより、酸化亜鉛質熱電材料のキャリア濃度を1.0×1019から1.0×1021に調整することが出来、その結果、熱電特性を高めることが可能となる。
本発明の方法では、原料として前記酸化亜鉛質熱電材料粉末を主成分とし、これに水、エタノール、イソプロパノール等の溶媒、ポリアクリル酸アンモニウム、クエン酸アンモニウム、ポリエチレンイミン等の分散剤を加えてスラリーを作製する。本発明では、このスラリーに磁場を印加して、該スラリー中に含まれる酸化亜鉛質熱電材料粒子を強磁場によって配向せしめることが重要である。
磁場は、前記酸化亜鉛質熱電材料粒子である場合、8テスラ(以下、Tで表す)以上の磁場を用いることが必要である。特に、9T以上、更には、10T以上が配向度を高める上で好ましい。
このとき用いる原料の平均粒子径(累積重量比50%のときの粒子径)の平均が、レーザー回折法で20μm以下、特に、10μm以下、更には、1μm以下であることが望ましい。これにより、高い配向度と密度を有する酸化亜鉛質焼結体を得ることが容易に可能になる。
なお、磁場発生装置は、一般の超伝導磁石を備えた装置を使用することが出来るが、この場合、磁場は水平磁場であることが配向度を高める点で好ましい。更に、水平磁場と同じ面内でスラリーを回転することによって、酸化亜鉛質熱電材料の磁化困難軸であるc軸を配向させることも可能である。このときのスラリーの回転数は、1から100回転/分が望ましく、更には、30回転/分程度が特に好ましい。
また、本発明では、スラリー中の粒子を磁場中で配向させるとともに、スラリーを固化して成型することが重要である。成型には、磁場発生装置内で、鋳込み成型法、ゲルキャスト法等の周知の成型方法を用いることが出来る。
次に、本発明では、得られた成型体を焼成して、主結晶を配向させた配向焼結体を得ることが重要である。焼結は、常圧焼結法、ホットプレス、ホットフォージング、HIP焼結法等を用いることが出来るが、特に、製造コスト面で常圧焼結法が望ましい。また、焼成に関しては、成型体中の一次粒子は焼成時に粒成長するが、そのときに、より大きな一次粒子が所定の方向に配向していると、その周辺に存在する微粉末も同じ配向方向に成長が進むようになる。
上記のようにして作製された熱電酸化亜鉛質焼結体の配向度は、磁場の印加方向に対して垂直な軸のc軸配向度が、5Tの磁場を印加しながらスラリーを水平面内で回転させると0.5以上になり、更に、8Tの磁場を印加しながらスラリーを水平面内で回転させると0.9以上になる。このような配向性を有する酸化亜鉛質熱電材料を用いた場合、c軸と垂直な面方向の電気伝導度が高いために、c面方向の熱電特性、すなわち、性能指数Zが高いという特徴が得られる。
なお、ここで、c軸配向度とは、Lotgering法で算出されるものであって、x線回折により得られたI(hkl)ピーク強度をそれぞれ求め、これらのピーク強度の和に対し、I(00l)の割合を示し、以下の式で与えられるfで算出されるものである。
f=(P−P0)/(1−P0)
f=(P−P0)/(1−P0)
ここで、PはP=ΣI(00l)/ΣI(hkl)で表され、配向試料から得られたピーク強度である。P0はP0=ΣI0(00l)/ΣI0(hkl)で表され、ICDD(無配向試料)から得られるピーク強度である。
ここで、性能指数Zとは、電気伝導度をσ、ゼーベック係数をS、熱伝導度をkとしたとき、Z=σS2/kで定義されるもので、熱電材料の効率を示すものである。更に、本発明の配向熱電素子において、電流が流れる方向に対して平行な面のc軸配向度が0.9以上、性能指数zが2.7×10−4/K以上であることにより、熱電素子として優れた性能を発現することが可能となる。
従来、酸化亜鉛結晶を配向させた酸化亜鉛質焼結体を作製することは、例えば、出発原料に針状酸化亜鉛粒子を使用すること、あるいは、形状異方性を有する酸化亜鉛やその前駆体材料を使用し、ドクターブレード法を利用することにより、種々試みられていた。しかし、従来法では、配向度の向上や相対密度の向上に限界があり、高い電気伝導度を有する優れた配向熱電変換材料を作製することは困難であった。これに対し、本発明は、原料粉末を含むスラリーに対して、磁場を印加し、該スラリーを回転させながら配向させることで、高い配向度と高い密度を共に有する配向酸化亜鉛質焼結体を作製することを可能にしたものであり、それによって、従来法では提供することが出来なかった高い電気伝導度を有する優れた熱電変換材料を提供することを実現可能にしたものである。
本発明により、次のような効果が奏される。
(1)結晶配向度及び密度が高く、高い電気伝導度を有する新しい酸化亜鉛質熱電変換材料を提供することが出来る。
(2)上記熱電変換材料からなる熱電素子、該熱電変換材料を熱電素子として用いた熱電変換デバイス及び熱電変換モジュールを提供することが出来る。
(3)原料粉末を含むスラリーに磁場を印加することで、結晶配向度及び密度の高い酸化亜鉛質焼結体を作製し、提供することが出来る。
(4)酸化亜鉛を主成分とする高配向熱電酸化亜鉛質焼結体及び該焼結体からなる熱電素子を提供することが出来る。
(5)上記熱電素子を利用した熱電変換デバイス及び熱電変換モジュールを提供することが出来る。
(6)本発明により、従来技術では困難であった配向度と密度が高い酸化亜鉛質熱電材料焼結体の作製が可能になり、粒界散乱の低減に起因する高い電気伝導度を有する優れた配向熱電変換材料を提供することが可能となる。
(7)本発明により、従来技術では困難であった、高い絶対値のゼーベック係数及び低い熱伝導度を維持したまま、高い電気伝導度を有する優れた配向熱電変換材料を提供することが可能となった。
(1)結晶配向度及び密度が高く、高い電気伝導度を有する新しい酸化亜鉛質熱電変換材料を提供することが出来る。
(2)上記熱電変換材料からなる熱電素子、該熱電変換材料を熱電素子として用いた熱電変換デバイス及び熱電変換モジュールを提供することが出来る。
(3)原料粉末を含むスラリーに磁場を印加することで、結晶配向度及び密度の高い酸化亜鉛質焼結体を作製し、提供することが出来る。
(4)酸化亜鉛を主成分とする高配向熱電酸化亜鉛質焼結体及び該焼結体からなる熱電素子を提供することが出来る。
(5)上記熱電素子を利用した熱電変換デバイス及び熱電変換モジュールを提供することが出来る。
(6)本発明により、従来技術では困難であった配向度と密度が高い酸化亜鉛質熱電材料焼結体の作製が可能になり、粒界散乱の低減に起因する高い電気伝導度を有する優れた配向熱電変換材料を提供することが可能となる。
(7)本発明により、従来技術では困難であった、高い絶対値のゼーベック係数及び低い熱伝導度を維持したまま、高い電気伝導度を有する優れた配向熱電変換材料を提供することが可能となった。
次に、実施例に基いて本発明を具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例によって何ら限定されるものではない。
原料粉末として、平均粒子径0.5μm、純度99.99%以上のZnO粉末と、平均粒子径0.2μm以下、純度99.999以上のAl2O3粉末を、モル比ZnO:Al2O3=98:1にて秤量した。これらの原料粉末を、ボールミルを用いて24時間湿式混合した。得られた混合粉末を1100℃、12時間合成した。得られた合成粉末を、溶媒及びアルミナボールと共に、アルミナ容器に入れ、遊星ボールミルを用いて4−10時間の粉砕を行った。溶媒にはエタノールを用いた。得られたスラリーを乾燥後、微細合成粉末を得た。
得られた粉末の平均粒子径をレーザー回折法により求めた結果、D50=0.7−2.0μmであった。微細合成粉末は、溶媒をエタノールとし、分散性を高めるために、分散剤を粉末に対して0.5重量%添加し、固体含有量が30容量%となるように混合し、成型用スラリーを作製した。スラリーは、内径30mm、高さ20mmのテフロン(登録商標)製の型に5cc流し込み、磁場を印加しながらスラリーを30回転/分の条件で回転させながらスラリーを乾燥させた。テフロン(登録商標)製の型を、磁場に対して、図1のように装置内に配置し、所定の条件で実験を行った。なお、磁力は、磁石の中心部からの距離による変化率をあらかじめ測定しておき、テフロン(登録商標)製の型の配置位置により変化させた。表1に、実験条件と熱電性能指数等の特性を示す。
試料を、表1に示す条件により、常圧・大気中雰囲気で焼成し、焼結体を作製した。該焼結体より、磁場の印加方向に対して、長さ15mm、幅3mm、厚み3mmの直方体試料を作製し、熱電特性評価装置(真空理工(製))により、電気伝導度及びゼーベック係数を、室温から800℃の条件下で、測定した。また、熱伝導度の測定には、上記焼結体より、直径10mm、厚さ2mmの円盤状試料を作製し、レーザーフラッシュ法により、室温から800℃の条件下で、測定した。
また、熱電性能指数Zは、式Z=σS2/kより算出した。更に、c軸配向度fの測定には、上記直方体試料を用い、得られたピーク強度から、Lotgering法により結晶配向を求めた。それらの結果を表1に示す。本発明の試料は、配向度が0.9以上、相対密度が99%以上、性能指数が2.7×10−4/K以上と非常に大きい値を示した。
比較例1
上記実施例と同様にして作製したスラリーに、磁場を0Tから10Tまで印加し、スラリーを乾燥させて、成型体を作製した。焼結条件として、焼結温度を1200℃から1400℃とした。熱電特性の評価方法は、実施例と同様である。表2に、実験条件と熱電性能指数等の特性を示す。得られた試料番号4から7は、高い相対密度を示したが、低い配向度により、性能指数は2.5×10−4/K未満と低い値を示した。一方、試料番号8は、高い配向度を示したが、密度が約92%と低いために、性能指数も2.4×10−4/Kと低い値を示した。また、試料番号9から13は、出発原料に平均粒径2μmの粉末を用いて試料作製を行ったが、低い配向度もしくは低い密度により、性能指数も低くなった。
上記実施例と同様にして作製したスラリーに、磁場を0Tから10Tまで印加し、スラリーを乾燥させて、成型体を作製した。焼結条件として、焼結温度を1200℃から1400℃とした。熱電特性の評価方法は、実施例と同様である。表2に、実験条件と熱電性能指数等の特性を示す。得られた試料番号4から7は、高い相対密度を示したが、低い配向度により、性能指数は2.5×10−4/K未満と低い値を示した。一方、試料番号8は、高い配向度を示したが、密度が約92%と低いために、性能指数も2.4×10−4/Kと低い値を示した。また、試料番号9から13は、出発原料に平均粒径2μmの粉末を用いて試料作製を行ったが、低い配向度もしくは低い密度により、性能指数も低くなった。
以上詳述したように、本発明は、配向酸化亜鉛質熱電変換材料及びそれを用いた熱電変換デバイスに係るものであり、本発明により、配向度と密度が高い酸化亜鉛質熱電材料焼結体を作製し、提供することが可能であり、それにより、粒界散乱の低減と、それに起因する高い電気伝導度を有する熱電変換材料を提供することが可能である。熱電変換を利用した発電は、比較的低品質の熱においても直接電気に変換することが可能であるために、現状の未利用の廃熱を回収できる技術であり、原料が比較的安価・豊富で毒素元素を含まない熱電変換材料は、多方面での利用の可能性があるが、本発明は、当該技術分野で広く利用することが可能な新しい熱電変換材料を提供するものとして有用である。
Claims (8)
- 酸化亜鉛を主成分とする熱電酸化亜鉛質焼結体であって、(1)該焼結体の特定面でのX線回折ピークにおいて、Lotgering法によるc軸配向度が0.90以上である、(2)相対密度が95%以上である、ことを特徴とする熱電酸化亜鉛質焼結体。
- 前記焼結体の熱電性能指数が、2.5×10−4/K以上である、請求項1に記載の熱電酸化亜鉛質焼結体。
- 酸化亜鉛質熱電材料粉末を含むスラリーに対して、磁場を印加し、該スラリーを回転させながら該材料粉末を配向させるとともに、該スラリーを固化して成型体を作製した後、該成型体を焼結することを特徴とする熱電酸化亜鉛質焼結体の製造方法。
- 原料粉末のZnOとAl2O3のモル比が、ZnO:Al2O3=100−2*x:x(0.1≦x≦5)である、請求項3に記載の熱電酸化亜鉛質焼結体の製造方法。
- 前記スラリーの回転数が、1〜100回転/分である、請求項3に記載の熱電酸化亜鉛質焼結体の製造方法。
- 少なくとも8テスラの磁場を印加して、スラリーを水平面内で回転させる、請求項3に記載の熱電酸化亜鉛質焼結体の製造方法。
- 請求項1から3のいずれかに記載の熱電酸化亜鉛質焼結体が熱電素子として用いられていることを特徴とする熱電変換デバイス。
- 請求項1から3のいずれかに記載の熱電酸化亜鉛質焼結体が熱電素子として用いられていることを特徴とする熱電変換モジュール。
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JP2016500780A (ja) * | 2012-09-27 | 2016-01-14 | シーメンス アクチエンゲゼルシヤフトSiemens Aktiengesellschaft | 熱流束センサを有するガスタービン |
US9461226B2 (en) | 2010-04-08 | 2016-10-04 | Samsung Electronics Co., Ltd. | Thermoelectric material and method of preparing the same |
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2006
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JP2016500780A (ja) * | 2012-09-27 | 2016-01-14 | シーメンス アクチエンゲゼルシヤフトSiemens Aktiengesellschaft | 熱流束センサを有するガスタービン |
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