JP2007242296A - 燃料電池システム - Google Patents

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Abstract

【課題】循環ガスから回収した液水の液水量を適切に制御する燃料電池システムを提供する。
【解決手段】水分量推定手段は、燃料電池スタック1の燃料極から排出されるガスに含まれる水分量を、燃料電池スタック1の運転状態に基づいて推定する。液水制御手段は、水位センサ45によって検出された液水量と、セパレータタンク13に貯えられた液水の排出を制御するための液水量閾値とを比較し、この比較結果に基づいて、シャットバルブ14の開閉状態を制御するとともに、水分量推定手段によって推定された水分量に基づいて、液水量閾値を可変に設定する。
【選択図】図1

Description

本発明は、燃料電池システムに関する。
従来より、燃料極に燃料ガス(例えば、水素)を供給し、酸化剤極に酸化剤ガス(例えば、空気)を供給することにより、これらのガスを電気化学的に反応させて発電を行う燃料電池が知られている。この燃料電池を備える燃料電池システムでは、燃料極側からの排出ガスを循環ポンプ等によって燃料ガスの供給側へと循環させることにより、燃費効率の向上を図っている。
ところで、この燃料電池では、燃料極および酸化剤極におけるガスの反応に伴って水が生成される。生成水はとくに酸化極側で生じやすいが、電解質膜を通して燃料極側へと移動するため、この生成水が燃料ガスの循環系へと流入し、循環ポンプ等の循環手段に不具合を生じさせたり、燃料電池へ流入して、燃料ガスの反応面積を減少させたりするといった問題がある。そのため、燃料ガスの循環系には、循環ガス(燃料極からの排出ガス)を、ガスと水とに分離する気液分離手段が設けられている(例えば、特許文献1参照)。
気液分離手段によって分離された水はタンク内に回収され、一方で、分離されたガスは、循環系へと排出される。気液分離手段のタンクには、タンク内の液水量(具体的には、水位)を検出する検出手段が設けられており、また、タンク内の液水を排出するための流路と、この流路の開閉状態を切り替えるバルブとが設けられている。液水量の検出値が予め設定された閾値を上回ると、バルブが開状態に設定され、液水の排出が開始される。そして、液水量の検出値が予め設定された閾値を下回ると、バルブが閉状態に設定され、液水の排出が終了する。
特開2005−71926号公報
しかしながら、従来の手法によれば、液水の排出を制御するための閾値が固定値に設定されているため、例えば、タンクへの液水流入速度が排水速度を上回るようなケースでは、タンクがオーバーフローしてしまうという問題が生じる。この場合、気液分離手段によって液水の分離が十分に行えない状態となり、循環系の循環ポンプに液水が流入し、循環ポンプの回転を阻害したり、あるいは、液水が燃料電池へ流入し、燃料ガスの反応面積が減少したりするという不都合が生じる。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、循環ガスから回収した液水の液水量を適切に制御することである。
かかる課題を解決するために、本発明は、燃料電池と、循環流路と、貯水手段と、排水流路と、バルブと、水分量推定手段と、液水制御手段とを有する燃料電池システムを提供する。ここで、燃料電池は、燃料極に燃料ガスが供給されるとともに、酸化剤極に酸化剤ガスが供給されることにより、燃料ガスと酸化剤ガスとを電気化学的に反応させて電力を発電する。循環流路は、燃料電池の燃料極から排出されたガスが、この燃料極の燃料ガスの供給側へと循環する。貯水手段は、循環流路に設けられており、燃料極から排出されるガスに含まれる水を回収して、この回収された水を貯える。排水流路は、貯水手段に接続されており、この貯水手段に貯えられた液水を外部に排出する。バルブは、排水流路に設けられ、開閉状態が切り替え可能となっている。液水量検出手段は、貯水手段に貯えられる液水量を検出する。水分量推定手段は、燃料電池の燃料極から排出されるガスに含まれる水分量を、燃料電池の運転状態に基づいて推定する。液水制御手段は、液水量検出手段によって検出された液水量と、貯水手段に貯えられた液水の排出を制御するための液水量閾値とを比較し、この比較結果に基づいて、バルブの開閉状態を制御するとともに、水分量推定手段によって推定された水分量に基づいて、液水量閾値を可変に設定する。
本発明によれば、燃料電池の燃料極から排出されるガスに含まれる水分量を推定し、この推定結果に基づいて液水量閾値が可変に設定されるので、回収手段に貯まる液水の液水量を適切に制御することができる。
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態にかかる燃料電池システムを示す構成図である。この燃料電池システムは、例えば、車両を駆動する電動機(図示せず)の電源として、車両に搭載されている。
燃料電池システムは、固体高分子電解質膜を挟んで酸化剤極と燃料極とを対設した燃料電池構造体をセパレータで挟持して、これを複数積層して構成される燃料電池スタック1を備える。この燃料電池スタック1では、スタック内部に形成された燃料ガス流路(図示せず)を介して、燃料極に燃料ガスが供給されるとともに、スタック内部に形成された酸化剤ガス流路(図示せず)を介して、酸化剤極に酸化剤ガスが供給されることにより、これらのガスを電気化学的に反応させて発電電力を発生する。本実施形態では、燃料ガスとして水素ガスを燃料極に導入すると共に、酸化剤ガスとして酸素を含む空気を酸化剤極に導入するケースについて説明する。
この燃料電池スタック1を備える燃料電池システムには、燃料電池スタック1に水素ガスを供給するための水素系と、燃料電池スタック1に空気を供給するための空気系と、燃料電池スタック1を冷却するための冷却系とが備えられている。
水素系において、燃料ガスである水素は、燃料タンク10(例えば、高圧水素ボンベ)に貯蔵された状態から、水素供給流路L1を介して燃料電池スタック1に供給される。具体的には、燃料タンク10の下流には燃料タンク元弁(図示せず)が設けられており、この燃料タンク元弁が開状態となると、燃料タンク10からの高圧水素ガスは、その下流に設けられた減圧弁(図示せず)によって機械的に所定の圧力まで減圧される。減圧された水素ガスは、減圧弁よりも下流に設けられた水素調圧バルブ11によって更に減圧された後に、燃料電池スタック1に供給される。水素調圧バルブ11は、燃料電池スタック1へ供給される水素圧力が所望の値となるように、後述する制御部40によってその開度が制御される。
燃料電池スタック1の燃料極からの排出ガス(未使用の水素を含むガス)は、水素循環流路(循環流路)L2へと排出される。この水素循環流路L2は、他方の端部が水素調圧バルブ11よりも下流側の水素供給流路L1に接続されており、水素循環流路L2には、例えば、水素循環ポンプ12といった水素循環手段が設けられている。この水素循環手段により、燃料電池スタック1からの排出ガスは、燃料電池スタック1の水素ガスの供給側へと循環される。これにより、燃料電池スタック1における反応効率の向上を図ることができる。水素循環ポンプ12の駆動量、すなわち、その回転数は、燃料電池スタック1へ供給される水素流量が所望の値となるように、制御部40によって制御される。
また、水素循環流路L2には、水素循環ポンプ12よりも上流側に、流路内を流れるガスに含まれる水を分離するセパレータタンク(貯水手段)13が設けられている。セパレータタンク13は、水が分離されたガスを水素循環流路L2の下流側へと排出するとともに、分離された水をタンクに貯える。セパレータタンク13としては、例えば、遠心力によって気液を分離するサイクロン方式など、周知の気液分離手段を用いることができる。セパレータタンク13には、一方の端部が外部(大気)に開放された排水流路L3が接続されており、セパレータタンク13に貯まった液水は、排水流路L3を介して排出される。この排水流路L3には、開閉状態が切り替え可能なシャットバルブ14が設けられており、シャットバルブ14の開閉状態は制御部40によって制御される。
ところで、酸化剤ガスとして空気を用いた場合、空気中の窒素が酸化剤極から燃料極に透過するため、水素系内におけるガスの窒素濃度が増加し、水素分圧が減少する傾向となる。そのため、水素循環流路L2には、水素系内のガスを排出する水素排出流路L4が接続されている。この水素排出流路L4には、パージバルブ15が設けられており、このパージバルブ15の開閉状態を切り替えることにより、水素循環流路L2を流れる排出ガス(窒素、未使用な水素等を含むガス)が外部に排出される。パージバルブ15は、燃料電池スタック1の運転状態に応じて、その開閉状態が制御部40によって制御される。例えば、パージバルブ15は、基本的に閉状態に制御されており、燃料極における窒素濃度を推定して、或いは、所定の周期毎に、必要に応じて閉状態から開状態へと切り替えられるといった如くである。これにより、未反応な水素とともに窒素が水素系からパージされ、水素分圧の減少を抑制することができる。
空気系において、酸化剤ガスである空気は、例えば、大気がコンプレッサ20によって加圧され、空気供給流路L5を介して燃料電池スタック1に供給される。この空気供給流路L5には、加湿装置(図示せず)が設けられており、燃料電池スタック1に供給される空気は、燃料電池スタック1の発電性能を低下させない程度に加湿される。燃料電池スタック1からの排出ガス(酸素が消費された空気)は、空気排出流路L6を介して外部(大気)に排出される。この空気排出流路L6には、空気調圧バルブ21が設けられている。空気調圧バルブ21は、燃料電池スタック1へ供給される空気圧力と空気流量とが所望の値となるように、その開度が、コンプレッサ20の駆動量(回転数)とともに制御部40によって制御される。
冷却系は、燃料電池スタック1を冷却する冷却媒体(本実施形態では、冷却水)が循環する冷却水流路L7を有しており、この冷却水流路L7には、流路内を流れる冷却水を蓄えるリザーバタンク30が設けられているとともに、冷却水を循環させる循環ポンプ31が設けられている。また、冷却水流路L7には、ラジエータ32が設けられており、冷却水流路L7の冷却水は、ラジエータ32によって冷却される。冷却された冷却水は、冷却水ポンプ31を動作させることにより、燃料電池スタック1へと供給される。冷却水流路L7は、燃料電池スタック1内においてその流路が細かく分岐しており、これにより、燃料電池スタック1は、その内部が全体に亘り冷却されるようになっている。燃料電池スタック1の冷却によって温度が上昇した冷却水は、冷却水流路L7を経由して、ラジエータ32へと再度供給される。また、この冷却水流路L7には、燃料電池スタック1から排出される冷却水を、ラジエータ32を経由せずに燃料電池スタック1へと循環させるバイパス流路L8が設けられている。このバイパス流路L8と冷却水流路L7との接続部位には、三方弁33が設けられており、冷却水の流路を、ラジエータ32方向とバイパス流路L8とで切り替えたり、或いは、ラジエータ32方向およびバイパス流路L8に分流したりすることができる。この三方弁33による流路の切り替えは、燃料電池スタック1が所望の温度で冷却されるように、制御部40によって制御される。
このような燃料電池システムにおいて、燃料電池スタック1には出力取出装置2が接続されている。出力取出装置2は、制御部40によって制御され、燃料電池スタック1から必要な出力(例えば、電力)を取り出す。出力取出装置2によって取り出された電力は、車両の駆動モータ(図示せず)を制御するモータ制御部3を介して、駆動モータに供給される。また、この出力取出装置2には、モータ制御部3と並列に充放電可能な二次電池4が接続されている。出力取出装置2によって取り出された電力、ならびに、駆動モータからの回生電力は、二次電池4に充電される。また、二次電池4に蓄電された電力は、モータ制御部3を介して、駆動モータに供給される。
制御部(制御手段)40としては、例えば、CPU、ROM、RAM、入出力インターフェースを主体に構成されるマイクロコンピュータを用いることができる。この制御部40は、システムの各部を制御することにより、燃料電池スタック1の運転状態を制御する。制御部40は、ROMに記憶された制御プログラムに従い、例えば、水素調圧バルブ11の開度演算、空気調圧バルブ21の開度演算、水素循環ポンプ12の回転数演算、およびコンプレッサ20の回転数演算を行う。そして、制御部40は、この演算によって算出された制御量(制御信号)を各種アクチュエータに対して出力し、水素調圧バルブ11の開度、空気調圧バルブ21の開度、水素循環ポンプ12の回転数、およびコンプレッサ20の回転数を制御する。また、本実施形態との関係において、制御部40は、燃料電池スタック1の運転状態に応じてシャットバルブ14の開閉状態を制御することにより、セパレータタンク13に貯まった液水の液水量を制御する。
制御部40には、センサ41〜47を含む各種センサ(運転状態検出手段)からの信号が入力されている。温度センサ41は、燃料電池スタック1の温度(以下「スタック温度」という)を検出するセンサであり、燃料電池スタック1に設けられている。空気流量計42は、燃料電池スタック1へ供給される空気の流量(以下「供給空気流量」という)を検出するセンサであり、空気供給流路L5に設けられている。電流計43は、燃料電池スタック1の出力電流を計測するセンサである。排出ガス圧センサ44は、燃料電池スタック1の燃料極側から排出されるガスの圧力(以下「排出ガス圧力」)を検出するセンサであり、水素循環流路L2の燃料電池スタック1近傍に設けられている。水位センサ(液水量検出手段)45は、セパレータタンク13に貯まる液水量(具体的には、液水の水位)を検出するセンサである。空気圧センサ46は、燃料電池スタック1の酸化剤極へと供給される空気の圧力(以下「供給空気圧力」という)を検出するセンサであり、燃料電池スタック1よりも上流側の空気供給流路L5に設けられている。水素圧センサ47は、燃料電池スタック1の燃料極へと供給される水素ガスの圧力(以下「供給水素圧力」という)を検出するセンサであり、燃料電池スタック1よりも上流側の水素供給流路L1に設けられている。なお、排出ガス圧センサ44を設けずとも、水素圧センサ47の検出値(供給水素圧力)を参照し、排出ガス圧力を間接的に特定してもよい。具体的には、水素圧センサ47の検出位置から燃料電池スタック1内部までの圧力損失を考慮し、水素圧センサ47によって検出される供給水素圧力から圧力損失を減算することによって特定してもよい。
図2は、第1の実施形態にかかる制御部40のブロック構成図である。制御部40は、これを機能的に捉えた場合、水分量推定手段40aと、液水制御手段40bとを有している。水分量推定手段40aは、燃料電池スタック1の燃料極から排出されるガスに含まれる水分量を、燃料電池スタック1の運転状態に基づいて推定する。推定された水分量は、液水制御手段40bに対して出力される。液水制御手段40bは、水位センサ45によって検出された液水量と、液水量閾値とを比較し、この比較結果に基づいて、シャットバルブ14の開閉状態を制御する。また、液水制御手段40bは、水分量推定手段40aによって推定された水分量に基づいて、液水量閾値を可変に設定する。
以下、このような構成を有する燃料電池システムにおいて、制御部40によって実行される液水の液水量制御を説明する。図3は、本発明の第1の実施形態にかかる液水量制御の処理手順を示すフローチャートである。このフローチャートに示す処理は、所定の間隔毎に呼び出され、制御部40によって実行される。
まず、ステップ1において、各種センサの検出値が読み込まれる。このステップ10において読み込まれる検出値としては、温度センサ41によるスタック温度、空気流量計42による供給空気流量、電流計43による出力電流、排出ガス圧センサ44による排出ガス圧力(或いは、水素圧力センサによる供給水素圧力)、水位センサ45による液水量、および、空気圧センサ46による供給空気圧力が挙げられる。
ステップ2において、燃料電池スタック1の発電電流、燃料電池スタック1内の水素ガスの温度、燃料電池スタック1内の水素ガスの圧力、および、燃料電池スタック1に供給される空気に含まれる水分量に基づいて、燃料電池スタック1の燃料極側から排出される水分量が推定される。図4は、ステップ2における水分量推定処理の詳細な手順を示すフローチャートである。
まず、ステップ20において、燃料電池スタック1の酸化剤極(具体的には、燃料電池スタック1の酸化剤ガス流路)における空気中の水蒸気分圧が算出される。まず、空気供給流路L5に加湿装置が設けられている場合には、この加湿装置によって空気に加えられる水分量が特定される。ここで、加湿装置による水分量は、以下の通りにして算出される。なお、加湿装置としては、例えば、中空糸膜等を用いた膜透過方式の加湿装置を用いることとする。燃料電池スタック1から排出される空気には、燃料電池スタック1の反応で生成された水分が含まれているため、燃料電池スタック1に供給される空気中よりも多くの水分が含まれている。加湿装置は、透過性の中空糸膜を介して、燃料電池スタック1から排気された空気中の水分を、燃料電池スタック1に供給する空気へと移動させており、これにより、燃料電池スタック1に供給する空気を加湿している。加湿装置において移動する水分量は、加湿装置を通過する、燃料電池スタック1に供給する空気の圧力、温度および含有する水分量と、加湿装置を通過する、燃料電池スタック1から排出される空気の圧力、温度および含有する水分量とで決定される。
そこで、実験やシミュレーションを通じて、加湿装置を通過する空気の圧力、温度および含有する水分量と、移動する水分量との関係を取得し、この関係を規定したテーブル或いは計算式を参照することにより、移動する水分量、すなわち、空気に加えられる水分量を算出することが可能である。なお、空気の圧力、温度は、空気供給流路L5および空気排出流路L6のそれぞれに圧力センサや温度センサを設けることにより、特定することができる。また、燃料電池スタック1へ供給する空気の水分量については、加圧されて供給されるシステムの場合にはその湿度を略ゼロとして問題はなく、さらに、燃料電池スタック1から排出される空気中の水分量については後述するように、燃料電池スタック1の出力電流から推定することが可能である。
つぎに、酸化剤極において生成される水分量が特定される。この水分量は、燃料電池スタック1の出力電流に比例するという傾向がある。そのため、出力電流と、生成される水分量との関係を実験やシミュレーションを通じて予め取得しておき、この関係を規定したテーブル或いは計算式を参照することにより、生成される水分量は、電流計43によって検出された出力電流に基づいて算出することができる。そして、加湿装置により加えられる水分量と、酸化剤極において生成される水分量とを加算することにより、酸化剤極における空気に含まれる水分量が算出される。
つぎに、酸化剤極における空気に含まれる水分量と、供給空気圧力と、供給空気流量とに基づいて、酸化剤極における空気中の水蒸気分圧が算出される。
(数式1)
水蒸気分圧= 供給空気圧力 ×(水分量 ÷ 供給空気流量)
数式1に示すように、水蒸気分圧は、供給空気圧力に、供給空気流量とそれに含まれる水分量との比を積算することにより、算出される。
そして、温度センサ41によって検出されるスタック温度は、酸化剤極内の空気の温度と概ね対応するため、このスタック温度に基づいて、酸化剤極における空気の飽和水蒸気圧が算出される。温度と、飽和水蒸気圧との間には相関があるため、両者の関係を規定したテーブル或いは計算式を参照することにより、スタック温度に基づいて、酸化剤極における空気の飽和水蒸気圧が算出される。そして、先に算出された水蒸気分圧と、飽和水蒸気圧とに基づいて、酸化剤極における空気中に気体状態で存在している水の水蒸気分圧が算出される。具体的には、算出された水蒸気分圧と、飽和水蒸気圧とが比較され、値の小さい方が酸化剤極における空気中の水蒸気分圧として特定される。
ステップ21において、燃料電池スタック1の燃料極(具体的には、燃料電池スタック1の燃料ガス流路)における水素ガス中の水蒸気分圧が算出される。具体的には、まず、燃料極における水素ガス中の水分量が算出される。この水分量は、燃料タンク10から供給される水素ガスに水が含まれていないことを前提に、燃料極側から排出される排出ガス中の水分量のみを考慮すればよい。排出ガス中の水分量は、相対湿度で100%として扱うことができるので、燃料極における燃料ガスの温度と、飽和水蒸気量との関係に基づいて、排出ガス中の水分量を特定することができる。ここで、燃料極における燃料ガスの温度は燃料電池スタック1の温度と概ね対応するために、温度センサ41によるスタック温度を参照することにより、燃料ガスの温度は特定可能である。そして、燃料極における水素ガス中の水蒸気分圧は、排出ガス中の水分量と燃料電池へ流入する燃料ガス量との流量比で、排出ガス圧力を比例分配することにより算出される。
ステップ22において、逆拡散水量が算出される。この逆拡散水量は、電解質膜を通して酸化剤極側から燃料極側に移動する水分量であり、ステップ20において算出された空気の水蒸気分圧と、ステップ21において算出された水素ガスの水蒸気分圧との差に、電解質膜における水の移動抵抗を考慮することにより一義的に算出される。電解質膜における水の移動抵抗は、実験やシミュレーションを通じて事前に取得することができる。そして、ステップ23において、燃料極における水素ガス中の水分量が算出される。具体的には、この水分量は、ステップ22において算出された逆拡散水量と、ステップ21の演算において用いられる燃料極における水素ガス中の水分量とを加算することによって算出される。
ステップ23に続くステップ24において、燃料電池スタック1の燃料極側から排出される水分量が算出される。具体的には、燃料極からの排出ガスの温度は、燃料電池スタック1の温度と概ね対応しているため、温度センサ41によるスタック温度に基づいて、飽和水蒸気圧が算出される。また、ステップ23において算出された水分量に基づいて、燃料極における水素ガス中の水蒸気分圧が算出される。そして、算出された水蒸気分圧を飽和水蒸気圧から減算することにより、燃料極側から排出される水分量が算出される。
再び、図3を参照するに、ステップ3において、推定された水分量に基づいて、セパレータタンク13に貯えられた液水の排出を制御するための液水量閾値が設定される。液水量閾値は、排出開始閾値と、排出終了閾値とを含む。排出開始閾値は、セパレータタンク13に貯まった液水の排出を開始する液水量が規定された閾値であり、セパレータタンク13の容量等を考慮して、その基準値が予め設定されている。セパレータタンク13内の液水量が増加して排出開始閾値に到達すると、制御部40は、シャットバルブ14を開状態に制御し、排水流路L3を介してセパレータタンク13内に貯まった液水の排出を開始する。
ところで、セパレータタンク13内の液水を完全に排出してしまった場合には、たとえシャットバルブ14を閉状態に制御していたとしても、循環する排出ガスがシャットバルブ14から漏れ出してしまうことがある。そこで、セパレータタンク13から液水を完全に排出せずに、ある程度の量の液水を貯めておくことにより、この液水によってガスが流出するといった事態を抑制する。そのため、セパレータタンク13に貯まった液水の排出を終了する液水量が規定された閾値が、排出終了閾値として決定されている。すなわち、一旦、セパレータタンク13の液水の排出が開始され、セパレータタンク13内の液水量が減少し、排出終了閾値に到達すると、制御部40は、シャットバルブ14を閉状態に制御し、液水の排出を終了する。この排出終了閾値は、実験やシミュレーションを通じて、その基準値が予め設定さている。
ステップ3では、推定された水分量に基づいて、排出開始閾値が予め設定された基準値から減少した値に設定(変更)される。基準値からの減少量は、例えば、推定された水分量と、排出開始閾値の基準値からの減少量との対応関係を規定したテーブル或いは計算式を用意しておくことで、推定された水分量から一義的に決定することができる。この際、両者の対応関係は自由に設定することが可能であるが、例えば、推定された水分量が多い程、減少量が大ききなるように、液水量に応じて減少量を決定してもよい。なお、本実施形態では、排出終了閾値は、予め設定された基準値をそのまま設定する。
このように、本実施形態によれば、制御部40(水分量推定手段40a)によって、燃料電池スタック1の燃料極から排出されるガスに含まれる水分量が、燃料電池スタック1の運転状態に基づいて推定される。また、制御部40(液水制御手段40b)によって、検出された液水量と、セパレータタンク13に貯えられた液水の排出を制御するための液水量閾値とを比較し、この比較結果に基づいて、シャットバルブ14の開閉状態が制御されるとともに、推定された水分量に基づいて、液水量閾値が可変に設定される。そのため、セパレータタンク13に貯まる液水の液水量を適切に制御することができる。
また、本実施形態において、液水量閾値は、セパレータタンク13に貯まった液水の排出を開始する液水量が規定された排出開始閾値を含む。この場合、制御部40(液水制御手段40b)は、推定された水分量に基づいて、排出開始閾値を予め設定された基準値から減少した値に変更する。これにより、例えば、燃料電池スタック1の燃料極から排出される水素ガスに含まれる水分量が増大するような運転状態では、排出開始閾値が小さい値に設定される。そのため、排出開始閾値が基準値に固定されているケースと比較して、液水の排出開始タイミングを早めることができるので、セパレータタンク13の貯水スペースを確保することができるので、セパレータタンク13がオーバーフローするといった事態の発生を抑制することができる。
さらに、本実施形態において、制御部40(水分量推定手段40a)は、燃料電池スタック1の発電電流、燃料電池スタック1内の水素ガスの温度、燃料電池スタック1内の水素ガスの圧力、および、燃料電池スタック1に供給される空気に含まれる水分量に基づいて、燃料極から排出されるガスに含まれる水分量を推定する。これにより、燃料電池スタックの燃料極から排出される水分量を精度よく推定することが可能となる。
なお、本実施形態では、制御部40(液水制御手段40b)は、推定された水分量に基づいて、排出開始閾値を予め設定された基準値から減少した値に設定しているが、本発明はかかる手法に限定されない。例えば、制御部40(液水制御手段40)は、シャットバルブ14が開状態の際に排水流路L3から排出される液水の排出量と、推定された水分量とに基づいて、セパレータタンク13における液水の増加量を推定するとともに、推定された液水の増加量と、所定の経過時間とに基づいて、セパレータタンク13に貯えられる液水量がセパレータタンク13の容量をオーバーしないように、排出開始閾値を所定の基準値から減少した値に変更してもよい。これにより、例えば、燃料電池スタック1の燃料極から排出される水分量が増大するような運転状態においても、セパレータタンク13がオーバーフローするといった事態の発生を抑制することができる。
(第2の実施形態)
図5は、本発明の第2の実施形態にかかる燃料電池システムの制御部60を示す構成図である。第2の実施形態にかかる燃料電池システムが、第1の実施形態のそれと相違する点は、制御部40が制御部60に変更されている点であり、この制御部60は、燃料電池スタック1の運転状態を予測した上で、排出される水分量を推定する点に主たる特徴がある。そのため、第2の実施形態における制御部60には、ナビゲーションシステム(ナビゲーション手段)50からの情報がさらに入力されている。なお、第1の実施形態と同一の構成については、同一の参照符号を引用し、詳細な説明については省略する。
ナビゲーションシステム50は、自車両周辺の地理的な情報を出力するシステムであり、現在位置検出部51と、地図情報取得部52と、地図情報格納部53とを主体に構成されている。現在位置検出部51は、GPS受信器、方位センサおよび車速センサから出力される情報に基づいて、車両の現在位置を検出し、この検出された現在位置を位置情報として出力する。なお、現在位置を検出する手法としては、GPSを用いた手法に限らず、複数の基地局から発信される電波を同時に受信し、電波の到達時間から割り出した基地局までの距離に基づいて現在位置を三角測量により検出するといった手法でもよい。地図情報取得部52は、現在位置検出部51から出力された位置情報に基づいて、地図情報格納部53より自車両周辺の地図情報を取得する。地図情報格納部53は、ナビゲーション用の地図情報を格納しており、例えば、ナビゲーションシステムと一体化されたハードディスク装置で構成されている。地図情報は、道路上の特定地点を表すノードと、特定地点間の接続を表す道路リンクとで構成される道路情報を主体に構成されている。
ナビゲーションシステム50によって特定された位置情報および地図情報は、運転状態予測手段60aに出力される。運転状態予測手段60aは、本システムを搭載した車両が走行している位置情報および地図情報から、一定時間経過後に自車両に要求される駆動力を推定するとともに、この推定された駆動力を得るために電動機に対して供給すべき電力を発電する際の燃料電池スタック1の運転状態を予測する。運転状態予測手段60aによって予測された燃料電池スタック1の運転状態は、水分量推定手段40aに対して出力される。
以下、第2の実施形態にかかる制御部60によって実行される液水量制御を説明する。図6は、本発明の第2の実施形態にかかる液水量制御の処理手順を示すフローチャートである。まず、第1の実施形態と同様に、ステップ1において、各種のセンサ41〜47の検出値が読み込まれる。
ステップ1に続くステップ4において、ナビゲーションシステム50からナビ情報が取得される。このナビ情報は、自車両が走行している現在位置である位置情報と、自車両周辺の地図情報とが該当する。
ステップ5において、一定時間経過後に燃料電池スタック1が発電するであろう出力(例えば、電流値)が推定される。具体的には、位置情報と、地図情報とを参照した上で、現在より一定時間経過後に車両が走行する走行路の勾配および車速が推定される。走行路の勾配は、例えば、車両が走行するであろう進路に該当するノード間の情報から推定するといった如くである。また、車速は、例えば、一定時間後も車速は同じであると仮定して、現在の車速をそのまま用いるといった如くである。そして、推定された走行路の勾配および車速と、車両重量等の車両諸元とに基づいて、車両駆動力を算出する。車両駆動力は、例えば、これらのパラメータ(走行路の勾配、車速、車両諸元)と関連付けたマップ或いは計算式を実験やシミュレーションを通じて予め用意しておき、これを用いることにより一義的に算出する。つぎに、実験やシミュレーションを通じて予め取得されている駆動系のエネルギ変換効率を参照し、算出された車両駆動力に基づいて、燃料電池スタック1が必要とする発電量を推定する。そして、燃料電池の電流−電圧特性を参照し、推定された発電量に基づいて、電流値を算出する。
また、推定された電流値、すなわち、一定時間経過後に燃料電池スタック1が発電するであろう電流値に基づいて、この電流値を発電するために必要な燃料電池の運転状態が推定される。これにより、一定時間経過後の燃料電池スタック1内の水素ガスの温度、燃料電池スタック1内の水素ガスの圧力、燃料電池スタック1に供給される空気の水分量が推定される。これらの各種パラメータを推定する手法としては、例えば、予め実験やシミュレーションを通じて、電流値と、これに対応する各種パラメータとの関係を取得しておき、これをマップや計算式として参照することでおこなってもよい。なお、これらのパラメータを推定するにあたり、必要に応じて、センサ41〜47によって検出されている現在の検出値を参照してもよい。換言すれば、このステップ5において、燃料電池スタック1の発電電流、燃料電池スタック1内の水素ガスの温度、燃料電池スタック1内の水素ガスの圧力、および、燃料電池スタック1に供給される空気に含まれる水分量が、燃料電池スタック1の運転状態として予測される。
ステップ5に続くステップ2において、第1の実施形態と同様に、燃料電池スタック1の燃料極側から排出されるガスに含まれる水分量が推定される。なお、本実施形態におけるステップ2において、水分量の推定は、ステップ5において予測された燃料電池スタック1の運転状態をベースに行なわれる。そして、ステップ3において、第1の実施形態と同様に、推定された液水量に基づいて、セパレータタンク13に貯まる液水量を制御する液水量閾値が設定される。
このように本実施形態によれば、制御部60は、燃料電池スタック1の運転状態を予測する運転状態予測手段60aをさらに有している。この場合、制御部60(具体的には、水分量推定手段40a)は、予測された燃料電池スタック1の運転状態に基づいて、水分量を推定する。これにより、例えば、燃料電池スタック1の燃料極から排出される水分量が増大するような運転状態を未然に予測し、これに応じて排出開始閾値を設定することができるので、セパレータタンク13がオーバーフローするといった事態の発生を抑制することができる。
さらに、本実施形態によれば、燃料電池スタック1によって発電された電力が供給されて駆動する電動機を駆動源として搭載した自車両周辺の地理的な情報を出力するナビゲーションシステム50をさらに有している。この場合、制御部60(運転状態予測手段60a)は、ナビゲーションシステム50から取得した自車両周辺の地理的な情報に基づいて、一定時間経過後に自車両に要求される駆動力を推定するとともに、推定された駆動力を得るために電動機に対して供給すべき電力を発電する際の燃料電池スタック1の運転状態を予測する。燃料電池スタック1の運転状態は、車両を駆動する電動機に供給される電力に支配されるので、地理的な情報を参照した上で、自車両に要求される駆動力を推定することにより、燃料電池スタック1の運転状態を予測することができる。これにより、セパレータタンク13に貯まる液水の液水量を適切に制御することができる。
(第3の実施形態)
図7は、本発明の第3の実施形態にかかる燃料電池システムの制御部70を示す構成図である。第3の実施形態にかかる燃料電池システムが、第2の実施形態のそれと相違する点は、制御部60が制御部70に変更されている点であり、この制御部70は、車両の走行状態を予測した上で、液水の排出制御を行う点に主たる特徴がある。なお、第2の実施形態と同一の構成については、同一の参照符号を引用し、詳細な説明については省略する。
図7を参照するに、走行状態予測手段70aは、ナビゲーションシステム50によって特定された位置情報および地図情報に基づいて、車両の走行状態を推定する。走行状態予測手段70aが推定する走行状態としては、主として、登坂路走行、降坂路走行および屈曲路走行が挙げられる。走行状態予測手段70aによって推定された走行状態は、液水制御手段40bに対して出力される。
以下、第3の実施形態にかかる制御部70によって実行される液水の排出制御の処理を説明する。図8は、本発明の第3の実施形態にかかる液水量制御の処理手順を示すフローチャートである。まず、第2の実施形態と同様に、ステップ1,4において、各種のセンサ41〜47の検出値が読み込まれるとともに、ナビゲーションシステム50からナビ情報が取得される。そして、ステップ5,2において、一定時間経過後の燃料電池スタック1の運転状態が予測されるとともに、燃料電池スタック1の燃料極側から排出される液水量が推定される。
ステップ2に続くステップ7において、車両の走行状態が予測される。具体的には、ナビゲーションシステム50からの位置情報と地図情報とを参照した上で、これから一定時間継続する走行状態を予測する。このステップ2において推定される走行状態は、登坂路走行、降坂路走行、屈曲路走行である。具体的には、現在車両が登り勾配を走行しており、その走行が継続すると判定された場合には、走行状態が登坂路走行と予測される。一方、現在車両が下り勾配を走行しており、その走行が継続すると判定された場合には、走行状態が降坂路走行と予測される。また、現在の走行路形状が屈曲した傾向にあり、その走行が継続すると判定された場合には、走行状態が屈曲路走行と予測される。
ステップ7に続くステップ8において、推定された液水量と、予測された走行状態とに基づいて、セパレータタンク13に貯まる液水量を制御する液水量閾値が設定される。このステップ8では、まず、第2の実施形態と同様に、推定された液水量に基づいて、排出開始閾値を予め設定された基準値から減少した値に設定する。また、排出終了閾値は、予め設定された基準値のままとする。
推定された液水量に基づいて、液水量閾値が変更されると、この変更された液水量閾値をベースに、推定された走行状態に基づいて、液水量閾値が変更される。具体的には、車両の走行状態が登坂路状態であれば、排出開始閾値をさらに減少させた値に変更する。一方、車両の走行状態が降坂路状態であれば、排出開始閾値を増加させた値に変更する。また、車両の走行状態が屈曲路状態であれば、排出開始閾値をさらに減少させた値に変更し、また、排出終了閾値を増加させた値に変更する。
このように本実施形態によれば、制御部70として、ナビゲーションシステム50から取得した自車両周辺の地理的な情報に基づいて、自車両の走行状態を予測する走行状態予測手段70aがさらに備えられている。この場合、制御部70(液水制御手段40b)は、推定された水分量に基づいて、排出開始閾値を予め設定された基準値から減少した値に設定するとともに、予測された車両の走行状態に基づいて、設定された排出開始閾値をさらに設定する。車両の走行状態に応じて排出開始閾値を設定することができるので、セパレータタンク13に貯まる液水の液水量を適切に制御することができる。
また、本実施形態において、制御部70(液水制御手段40b)は、自車両が登坂路を走行することが予測された場合には、設定された排出開始閾値を減少させた値に変更する。これにより、登坂走行中で燃料電池スタック1の発電量が大きく、また水素ガスの流量が大きく、液水の流入速度が大きいと推定される場合でも、セパレータタンク13の水位を事前に減少させておくことが可能となり、オーバーフローを抑制することができる。
また、本実施形態において、制御部70(液水制御手段40b)は、自車両が降坂路を走行することが予測された場合には、設定された排出開始閾値を増加させる方向に変更する。これにより、降坂走行中で燃料電池の発電量が小さく、液水の流入速度が小さいと推定される場合には、セパレータタンク13内に所定量の水を貯めておくことが可能となり、シール性能の向上を図ることができる。
さらに、本実施形態において、制御部70(液水制御手段40b)は、自車両が屈曲路を走行することが予測された場合には、前記設定された排出開始閾を減少させる方向に変更する。これにより、屈曲路走行中で燃料電池スタック1の発電量の変化が大きく、また同時に燃料ガス流量の変化が大きく、液水の流入速度変化が大きいと推定される場合でも、セパレータタンク13の水位を事前に減少させておくことで、オーバーフローを抑制することができる。
また、本実施形態において、液水量閾値は、セパレータタンク13に貯まった液水の排出を終了する液水量が規定された排出終了閾値を含む。そして、制御部70(液水制御手段40b)は、自車両が屈曲路を走行することが予測された場合には、排出終了閾値を、予め設定された基準値から増加させた値に設定する。これにより、セパレータタンク13に所定量の水を貯蔵させておくことが可能となり、屈曲路走行によりセパレータタンク13内の水が傾くような場合でも、排水流路L3のシャットバルブ14によるシール性能の向上を図ることができる。
本発明の第1の実施形態にかかる燃料電池システムを示す構成図 第1の実施形態にかかる制御部40のブロック構成図 本発明の第1の実施形態にかかる液水量制御の処理手順を示すフローチャート ステップ2における水分量推定処理の詳細な手順を示すフローチャート 本発明の第2の実施形態にかかる燃料電池システムの制御部60を示す構成図 本発明の第2の実施形態にかかる液水量制御の処理手順を示すフローチャート 本発明の第3の実施形態にかかる燃料電池システムの制御部70を示す構成図 本発明の第3の実施形態にかかる液水量制御の処理手順を示すフローチャート
符号の説明
1 燃料電池スタック
10 燃料タンク
11 水素調圧バルブ
12 水素循環ポンプ
13 セパレータタンク
14 シャットバルブ
15 パージバルブ
20 コンプレッサ
21 空気調圧バルブ
30 リザーバタンク
31 循環ポンプ
32 ラジエータ
33 三方弁
40 制御部
40a 水分量推定手段
40b 液水制御手段
41 温度センサ
42 空気流量計
43 電流計
44 排出ガス圧センサ
45 水位センサ
46 空気圧センサ
47 水素圧センサ
50 ナビゲーションシステム
51 現在位置検出部
52 地図情報取得部
53 地図情報格納部
60 制御部
60a 運転状態予測手段
70 制御部
70a 走行状態予測手段

Claims (11)

  1. 燃料極に燃料ガスが供給されるとともに、酸化剤極に酸化剤ガスが供給されることにより、前記燃料ガスと前記酸化剤ガスとを電気化学的に反応させて電力を発電する燃料電池と、
    前記燃料電池の燃料極から排出されたガスが、当該燃料極の燃料ガスの供給側へと循環する循環流路と、
    前記循環流路に設けられており、前記燃料極から排出されるガスに含まれる水を回収して、当該回収された水を貯える貯水手段と、
    前記貯水手段に接続されており、当該貯水手段に貯えられた液水を外部に排出する排水流路と、
    前記排水流路に設けられ、開閉状態が切り替え可能なバルブと、
    前記貯水手段に貯えられる液水量を検出する液水量検出手段と、
    前記燃料電池の燃料極から排出されるガスに含まれる水分量を、前記燃料電池の運転状態に基づいて推定する水分量推定手段と、
    前記液水量検出手段によって検出された液水量と、前記貯水手段に貯えられた液水の排出を制御するための液水量閾値とを比較し、当該比較結果に基づいて、前記バルブの開閉状態を制御するとともに、前記水分量推定手段によって推定された水分量に基づいて、前記液水量閾値を可変に設定する液水制御手段と
    を有することを特徴とする燃料電池システム。
  2. 前記液水量閾値は、前記貯水手段に貯まった液水の排出を開始する液水量が規定された排出開始閾値を含み、
    前記液水制御手段は、前記水分量推定手段によって推定された水分量に基づいて、前記排出開始閾値を予め設定された基準値から減少させた値に変更することを特徴とする請求項1に記載された燃料電池システム。
  3. 前記液水量閾値は、前記貯水手段に貯まった液水の排出を開始する液水量が規定された排出開始閾値を含み、
    前記液水制御手段は、前記バルブが開状態の際に前記排水流路を介して前記貯水手段から排出される液水の排出量と、前記水分量推定手段によって推定された水分量とに基づいて、前記貯水手段における液水の増加量を推定するとともに、所定時間経過後に前記貯水手段に貯まる液水量が当該貯水手段の容量をオーバーしないように、前記推定された液水の増加量と、前記所定時間とに基づいて、前記排出開始閾値を予め設定された基準値から減少させた値に変更することを特徴とする請求項1に記載された燃料電池システム。
  4. 前記燃料電池の運転状態を予測する運転状態予測手段をさらに有し、
    前記水分量推定手段は、前記運手状態予測手段によって予測された前記燃料電池の運転状態に基づいて、前記燃料電池の燃料極から排出されるガスに含まれる水分量を推定することを特徴とする請求項2または3に記載された燃料電池システム。
  5. 前記燃料電池によって発電された電力が供給されて駆動する電動機を駆動源として搭載した自車両周辺の地理的な情報を出力するナビゲーション手段をさらに有し、
    前記運転状態予測手段は、前記ナビゲーション手段から取得した自車両周辺の地理的な情報に基づいて、一定時間経過後に自車両に要求される駆動力を推定するとともに、前記推定された駆動力を得るために前記電動機に対して供給すべき電力を発電する際の前記燃料電池の運転状態を予測することを特徴とする請求項4に記載された燃料電池システム。
  6. 前記ナビゲーション手段から取得した自車両周辺の地理的な情報に基づいて、自車両の走行状態を予測する走行状態予測手段をさらに有し、
    前記液水制御手段は、前記水分量推定手段で推定された前記水分量に基づいて、前記排出開始閾値を予め設定された基準値から減少した値に変更するとともに、前記走行状態予測手段によって推定された車両の走行状態に基づいて、前記変更された排出開始閾値をさらに変更することを特徴とする請求項5に記載された燃料電池システム。
  7. 前記液水制御手段は、前記走行状態予測手段によって自車両が登坂路を走行することが予測された場合には、前記設定された排出開始閾値を減少させる方向に変更することを特徴とする請求項6に記載された燃料電池システム。
  8. 前記液水制御手段は、前記走行状態予測手段によって自車両が降坂路を走行することが予測された場合には、前記変更された排出開始閾値を増加させる方向に変更することを特徴とする請求項6または7に記載された燃料電池システム。
  9. 前記液水制御手段は、前記走行状態予測手段によって自車両が屈曲路を走行することが予測された場合には、前記変更された排出開始閾を減少させる方向に変更することを特徴とする請求項6から8のいずれか一項に記載された燃料電池システム。
  10. 前記液水量閾値は、前記貯水手段に貯まった液水の排出を終了する液水量が規定された排出終了閾値をさらに含み、
    前記液水制御手段は、前記走行状態予測手段によって自車両が屈曲路を走行することが予測された場合には、前記排出終了閾値を、予め設定された基準値から増加させる方向に補正することを特徴とする請求項9に記載された燃料電池システム。
  11. 前記水分量推定手段は、前記燃料電池の発電電流、前記燃料電池内の燃料ガスの温度、前記燃料電池内の燃料ガスの圧力、および、前記燃料電池に供給される酸化剤ガスに含まれる水分量に基づいて、前記燃料電池の燃料極から排出されるガスに含まれる水分量を推定することを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載された燃料電池システム。
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