JP2007242282A - 電池 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】電池1を、集電体14と、複数の天然黒鉛の接着による造粒体を主たる材料とする活物質層15及び16とからなり、前記造粒体のかさ密度が、0.20g/cm3以上0.70g/cm3以下とされた負極10によって構成する。
【選択図】図1
Description
この二次電池においては、黒鉛層間へのリチウム(Li)のインターカレーション反応を利用した黒鉛材料、あるいは細孔中へのリチウムの吸蔵・離脱作用を応用した炭素質材料を負極活物質として用いた所謂リチウムイオン2次電池が開発され、広く利用されている。
従来、このリチウムイオン二次電池においては、負極を構成する活物質層が鱗片状の形状を有する天然黒鉛で構成されていた。この天然黒鉛は、その高い結晶性により、理論容量(372mAh/g)に近い360〜370mAh/gもの容量を有する。したがって、通常330〜350 mAh/g程度の容量と考えられる人造黒鉛を用いるよりも、天然黒鉛を高体積密度で充填した構成とすることが好ましいと考えられている。
しかし、天然黒鉛はその結晶性の高さにより、明確なエッジ面が存在しない人造黒鉛に比べて負荷特性及びサイクル特性が低いという問題がある。これは、人造黒鉛が、低結晶性で明確なエッジ面を持たないためにインターカレート/デインターカレート時にも黒鉛粒子の全面が均一に作用するのに対し、天然黒鉛は、エッジ面からしかインターカレート/デインターカレートがなされず、更に前述の網目構造を有する層の積層方向が電極面に垂直になって所謂寝た状態となりやすいためにエッジ面が外側(正極側)に向き難いことなどによる。
負極電極面に対してエッジ面を異なる方向に向けた構成によれば、充電時つまりインターカレート時に正極側から放出されるリチウムイオンが網目状の平面を避けてエッジ面にまで回り込む必要がなくなり、エッジ面からリチウムイオンを受け取りやすい構造となるため、受け入れ性は向上する。
特に、一度粉砕されることにより単位体積あたりのエッジの割合を増やす事が出来、従来品の天然黒鉛よりも単位体積当たりのエッジが多い負極活物質となり、リチウムイオンのインターカレーション、デインターカレーションに適した構造となる。
本実施形態では、図1Aに一部を切開した斜視図で示すような、所謂素子巻回式の円筒型電池を例として説明する。
電池缶2は、例えばニッケルめっきされた鉄缶により構成されており、巻回体3は、電解質を含む巻回されたセパレータ7及び8を介して、同様に巻回された正極9及び負極10が対向配置された構成を有する。
安全弁機構18は、熱感抵抗素子を介して電池蓋5と電気的に接続されており、内部短絡あるいは外部からの加熱などにより電池の内圧が一定以上となった場合には、例えば内蔵するディスク板が反転して電池蓋5と巻回体3との電気的接続が切断される。ここで、熱感抵抗素子は、温度が上昇すると抵抗値の増大により電流を制限して大電流による異常な発熱を防止するものである。
本実施形態において、巻回体3は、帯状(薄板状)の正極9及び負極10が、電解質を含むセパレータ7及び8を介して対向配置され、これらが巻回された構成を有する。
巻回体3の正極9及び負極10には、例えばアルミニウムによる正極リード及び例えばニッケルなどによる負極リード(図示せず)がそれぞれ接続されており、正極リードは安全弁機構18に溶接されて電池蓋5と電気的に接続され、負極リードは電池缶2に直接溶接されて電気的に接続されている。
内面正極活物質層12及び外面正極活物質層13は必ずしも両方設けられなくともよく、目的とする電池構成や特性に応じて選定して構成されることが好ましい。正極集電体11は、例えば、アルミニウム,ニッケルあるいはステンレスなどによることができる。
なお、Liは必ずしも正極活物質層12及び13から全て供給される必要はなく、例えば後述する溶媒中など、電池系内に炭素質材料1g当たり250mAh以上の充放電容量相当分のLiが存在すれば良い。また、このLiの量は、電池の放電容量を測定に応じて適宜選定されるものである。
混合して用いる場合は特に、エチレンカーボネートを主溶媒として、メチルエチルカーボネートやメチルプロピルカーボネート等の非対称鎖状炭酸エステルを第2成分として添加した構成が好適である。さらに、メチルエチルカーボネートとジメチルカーボネートとの混合溶媒とすることもできる。この場合、混合する体積比率は、エチレンカーボネート:第2成分溶媒=7:3〜3:7の範囲とすることが好ましい。また、第2成分溶媒として前述の混合溶媒を用いる場合、体積比率はメチルエチルカーボネート:ジメチルカーボネート=2:8〜9:1の範囲とすることが好ましい。
第2成分の添加により、主溶媒の分解が抑制されるとともに、導電率が向上して電流特性が改良される、電解液の凝固点が低下して低温特性が改善される、リチウム金属との反応性が低下して安全性が改善されるなどの効果が得られる。
まず、ハンマーミル、ピンミル、ボールミル、ジェットミル等を使用して天然黒鉛の粉砕加工を行う。例えばハンマーミルを用いる場合、回転速度は4000〜5000rpmで20分以上粉砕加工を行うことが好ましい。なお、黒鉛粒子を供給、排出する方法としては、黒鉛粒子を気流に同伴させて行うことが望ましい。また、粉砕によって微粉状黒鉛粒子を得るためにはこのように比較的大きな衝撃力をあたえる必要があることから、粉砕の度合いはこの処理時間にほぼ比例すると考えられる。
続いて、粉砕処理された黒鉛粒子に、バインダー溶液を加える。用いるバインダー溶液としては、バインダーとして、C6H10O5を基本構造とする澱粉の誘導体、C6H10O5を基本構造とする粘性多糖類、C6H10O5を基本構造とする水溶性セルロース誘導体、ポリウロニドおよび水溶性合成樹脂からなる群から選ばれる1つ以上、またはポリビニルアルコール、スチレンブタジエンゴムなどを所定の濃度に調整して溶液として用いる。溶液濃度は0.02〜2%程度が好ましい。
続いて、粉砕処理された黒鉛粒子を含むバインダー溶液を低速攪拌にかけ、造粒処理を行う。この処理には、例えばスプレードライヤー付き攪拌混合機を使用することができ、バインダー溶液と黒鉛粒子の造粒を所定時間行い、球状の造粒黒鉛粒子を得る。その後、スプレードライヤーにより、そのまま攪拌されながら乾燥されるため、出来上がった粒子は球状の形状を保持した形で排出される。ドライヤー温度は80℃〜110℃が好ましい。更に、この造粒黒鉛粒子に対し、窒素または不活性ガス下で焼成処理を行い、バインダーを焼き飛ばして本実施形態における造粒体を得る。なお、この焼成処理は、焼成温度500℃〜1000℃程度、焼成時間1〜12時間程度で行うことが好ましい。
このようにして略球状として得られた造粒体に、バインダーとしてスチレンブタジエンゴム(SBR)を加え、増粘材としてカルボキシルメチルセルロース(CMC)を混合して負極合剤を調製し、水分散させてペースト状のスラリーとする。このスラリーを薄板状(帯状)の銅箔集電体上に塗布し、例えば80℃で乾燥後、目的とする体積密度に応じてプレス成型することにより、本実施形態に係る電池を構成する本発明の負極10を得る。
図2Aに示すように、本実施形態に係る電池1を構成する負極10の表面では、複数の天然黒鉛の接着によって形成された略球状の造粒体が、多数設けられて活物質層を形成していることが確認できる。
これらの造粒体は、図2Bに示すように、表面に凹凸が形成されて比表面積の増大が図られているほか、図2C及び図2Dに示すように、これらの凹凸よりも更に小さい細孔が表面に多数形成されて、リチウムイオンのインターカレートの促進に寄与できる構成を有していることがわかる。
本発明に係る電池の実施例について、以下、説明する。
天然黒鉛として中国産天然黒鉛試料粉末を用意し、この試料粉末を、ハンマーミルを用いて粉砕処理した。
粉砕の度合いはこの粉砕処理をした時間で規定した。〔表1〕に、試料の粉砕による粉砕処理時間と比表面積及び粒径(体積平均粒径;D50)との関係を示す。比表面積測定はBET法により測定した。この際、吸着質を窒素とし、脱気温度を120℃脱気時間を30分とした。〔表1〕の結果より、粉砕の時間が長いほど、より細かく粉砕されることが確認できた。
なお、処理時間が20分から40分の場合には、比表面積が8.9m2/g以上15.2m2/g以下となり、特に好ましい。なお、比表面積が8.9m2/g未満では粒度が大きすぎるため、増粒接着に好ましくなく、比表面積が15.2m2/gを超えると比表面積が大きすぎて、増粒の際、接着強度が低下するため好ましくないと考えられる。すなわち、D50の数値についても、8.0μm以上15.0μm以下とすることが好ましい。天然黒鉛の平均粒径をこの数値範囲内とすれば、最終的に得る造粒体の平均粒径を18μm以上30μm以下とすることができると考えられるためである。なお、造粒体の平均粒径が18μmより小さいと、比表面積が大きいため、作製した電池の初期充電の際に効率が低下してしまうと考えられる。一方、造粒体の平均粒径が30μmより大きいと、作製した電池において黒鉛中のリチウム(Li)拡散が律速になり、Li受け入れ性が低下してしまうと考えられる。
前述の第1実施例で説明した粉砕処理に30分間かけた天然黒鉛を、スプレードライヤー付き攪拌混合機を用いて造粒処理した。造粒処理は、黒鉛微粉50gに対し、カルボキシルメチルセルロース(CMC)1.0%水溶液を30g投入し、攪拌混合により造粒を行った。ドライヤー乾燥温度は110℃とした。
この造粒処理によって得られた造粒体を、比表面積測定、粒度分布測定、球形度測定によって評価した。
比表面積測定はBET法により測定した。この際、吸着質を窒素とし、脱気温度を120℃脱気時間を30分とした。
粒度分布測定は、堀場製レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置により行った。
球状度測定は、SYSMEX(株)製フロー製粒子像分析装置 FPIA3000を用いた。黒鉛粒子をビーカーに入れ、精製水50ml、分散媒ポリ(オキシエチレン)−オクチルフェニルエーテル(和光製薬製)を加え、超音波に300W、3秒かけたものをサンプルとし、機器吸引により測定を開始した。画像解析は天然黒鉛粒子の個々の投影画像の面積を同等の円に置き換えた時の円周径をLとし、実際の周囲長をlとし、L/lを円形度と規定した。ここでは、円形度が0.85以下の粒子(個数基準)が少なく、円形度(体積基準)も高い値であれば、形状が球形に近いと判断する。
攪拌装置回転速度1000rpmでは、〔表2〕に示すように、全てのパラメータに対して変化は確認されなかった。
攪拌装置回転速度2000rpmでは、〔表3〕に示すように、時間を追うごとに比表面積が減少し、D50が増加した。このことから、微粉同士が接着し、造粒されていると考えられる。
また、時間を追うごとに、球状化度が高くなって行く様子が確認され、攪拌に伴う凝集体同士の摩擦により形状は球形化されることがわかった。
また、各処理時間ごとの造粒体のかさ密度を測定したところ、比表面積,体積平均粒径,円形度の各数値から、かさ密度は0.20g/cm3以上0.70g/cm3以下が好ましいことが確認できた。この数値範囲内でかさ密度を選定することにより、円形度が0.85以下の粒子を個数基準で20%以下とすることができ、特にかさ密度を0.52g/cm3以上0.70g/cm3以下とすれば、更に比表面積を、6.5m2/g以上8.7m2/g以下にもすることができる。比表面積が10m2/gを超える場合、初回充放電効率が低下するため、好ましくない。
なお、この造粒体は、実際の電池の製造においては、後述する第3の実施例で一例を示すような焼成などの他の工程を経て活物質層を形成するに至るものであるが、少なくとも焼成によっては、かさ密度の変化を殆ど生じないものであることが確認できた。
また、攪拌装置回転速度4000rpmでは、〔表4〕に示すように、回転数が高すぎるため、微粉はさらに粉砕され、造粒には至らなかった。
電池材料としては、粒径が20〜30ミクロン程度の黒鉛粉体用いることが特に好適であることから、前述の第2の実施例の結果より、本実施例では、造粒処理において攪拌装置回転速度2000rpm、攪拌時間30minとして得られた造粒体を用いた。
この造粒体を窒素雰囲気下で12時間焼成し、その際の焼成温度による比表面積の変化を測定した。比表面積測定はBET法により、吸着質を窒素、脱気温度を120℃、脱気時間を30分として測定した。
測定結果を〔表5〕に示す。
焼成後は、CMCの揮発のため、比表面積が増加した。CMCはリチウムのインターカレーション、デインターカレーションを阻害するものなので、出来るだけ造粒体内部に存在しないことが好ましい。従って、造粒体の比表面積が6.5m2/g以上8.7m2/g以下となる焼成温度のうち、CMCが完全に揮発したと思われる焼成温度400℃以上のものが電池を構成する上で好適と考えられる。
前述の第3の実施例の結果に基づき、本実施例では、温度400℃の焼成処理を経た造粒体を用意し、この焼成した造粒体に、バインダーとして 2重量%のスチレンブタジエンゴム(SBR)を加え、増粘材として1.0重量%のCMCを混合して負極合剤を調製し、水分散させてスラリー(ペースト状)にした。その後、スラリーを負極集電体となる厚さ15μmの銅箔上に塗布して80℃の乾燥炉を通過させ、造粒体を集電体上に形成し、更に圧縮成型して、所定の体積密度の負極活物質層を有する負極を形成した。
本実施例においては、負極活物質層を焼成造粒体で構成したので、その配向性を調べるために、プレス後の電極のX線回折を測定した。
黒鉛のような結晶性の高い炭素材料の場合、C軸が電極面に対して法線となる方向に配向しやすく、その配向に起因する(002)面の強力なピークは26.5°(2θ)付近に認められることがわかっている。また、黒鉛の六角網面(層面)電極面に対して垂直に近いとき大きくなる(110)面のピークは77.5°(2θ)付近に見られる。それぞれのピークの相対強度比I(110)/I(002)を配向度と定義し、この値を比較することで炭素材料の配向のしやすさ(配向性)を評価した。
〔表6〕に、この造粒体(焼成及びプレス後)に関する(110面)/(002面)のピーク強度比を、前述した第1実施例で使用した天然黒鉛(粉砕前)と、第2実施例で使用した天然黒鉛(粉砕後;攪拌装置回転速度2000rpm、攪拌時間30min)と、第3実施例で使用した造粒体(焼成前)と比較して示す。
ここで、造粒体の配向方向、すなわちX線回折における黒鉛の(002)面の回折ピークの強度I(002)と(110)面の回折ピークの強度I(110)との比I(110)/I(002)は、0.5以上が好ましい。0.5未満であると増粒による等方性の付与がない増粒条件であり好ましくない。
〔表6〕に示すように、造粒によって、(110面)/(002面)強度比が増加し、異方性が減少していることが認められ、強度比0.5以上となることが確認できた。この結果より、エッジ面が多方向を向いて等方性が向上し、リチウムイオン受け入れ性が向上していると考えられる。
本実施例では、第1実施例で使用した天然黒鉛(粉砕前)と、第2実施例で使用した天然黒鉛(粉砕後;攪拌装置回転速度2000rpm、攪拌時間30min)と、第3実施例で使用した造粒体(焼成前)と、第4実施例で得た造粒体(焼成及びプレス後)とを用いて、それぞれ前述した第4実施例に示した方法で負極を作製し、電極の比表面積測定を行った。
作製した電極は、それぞれ体積密度1.60g/cm3にプレスし、縦1mm横10mmにカットし、比表面積測定用試験管に詰め、比表面積をBET法により測定した。その際、吸着質を窒素とし、脱気温度を80℃、脱気時間を40分とした。なお、脱気温度は、CMCバインダーの揮発温度が約110℃であることから、焼成による影響をより高い精度で検討するために、より低い80℃に選定した。
〔表7〕に、加熱温度と各加熱温度での電極比表面積を示す。この結果より、黒鉛の粉砕によっても電極の比表面積が増加するものの、造粒後焼成したものについては更に比表面積が増加することが確認でき、比表面積が0.52以上1.10以下となることが確認できた。これは、CMCバインダー揮発の際に形成された、造粒体粒子内の孔に起因すると考えられる。
本実施例では、第1実施例で得た天然黒鉛(粉砕前)と、第2実施例で得た天然黒鉛(粉砕後)と、第3実施例で得た造粒体(焼成前)と、第4実施例で得た造粒体(焼成及びプレス後)との各試料を用いて、第5の実施例で示した手法によって負極を作製し、この各負極を用いて前述した実施形態で説明した円筒型の非水電解液二次電池(直径18mm,高さ65mm)の円筒型非水電解液二次電池作製してサイクル試験を行った。
まず、第1実施例〜第4実施例に対応する各試料(天然黒鉛または造粒体)に、バインダーとして2重量%のスチレンブタジエンゴム(SBR)を加え、増粘材として1重量%のカルボキシルメチルセルロース(CMC)を混合して負極合剤を調製し、水分散させてスラリー(ペースト状)にし、この負極合剤スラリーを最終的に負極集電体となる厚さ10μmの帯状銅箔の両面に塗布した後、乾燥及び圧縮成型して薄板状の負極を作製した。
続いて、炭酸リチウム0.5モルと炭酸コバルト1モルを混合し、900℃の空気中で5時間焼成してLiCoO2を得た後、このLiCoO2を粉砕し、レーザ回折法によって得られる50%累積粒径が15μmのLiCoO2粉末を作製した。その後、LiCoO2粉末95重量部と炭酸リチウム粉末5重量部からなる混合物を91重量部、導電剤としてグラファイト6重量部、結着剤としてポリフッ化ビニリデン3重量部を混合して正極合剤を調製し、N−メチルピロリドンに分散させてスラリー(ペースト状)にした。この正極合剤スラリーを、最終的に正極集電体となる厚さ20μmの帯状のアルミニウム箔の両面に均一に塗布し、乾燥及び圧縮成型して薄板状の正極を作製した。
続いて、作製した負極及び正極と、厚さ25μmの微多孔性ポリプロピレンフィルムより成るセパレータとを、負極、セパレータ、正極、セパレータの順に積層してから多数回巻回し、外径18mmの渦巻型巻回体を作製した。
この渦巻型巻回体を、ニッケルめっきを施した鉄製電池缶に収納し、渦巻式電極上下両面には絶縁板を配設し、アルミニウム製正極リードを正極集電体から導出して電池蓋に、ニッケル製負極リードを負極集電体から導出して電池缶底に、それぞれ溶接した。
この、巻回体が収納された電池缶の中に、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートの等容量混合溶媒にLiPF6を1mol/dm3の割合で溶解した電解液を注入した。その後、アスファルトで表面を塗布した絶縁封口ガスケットを介して電池蓋をかしめることにより、電流遮断機構を有する安全弁装置、PTC素子並びに電池蓋を固定し、電池内の気密性を保持させた。
〔表8〕に示した結果より、本実施形態に係る、造粒体を用いて構成された負極を有する筒型試験用電池は、従来の天然黒鉛用いて構成された負極を有する筒型試験用電池に比べ、サイクル特性の向上、負荷特性(2.0C)の向上が認められた。
本実施例においては、第1実施例で使用した天然黒鉛(粉砕前)と、第2実施例で使用した天然黒鉛(粉砕後)と、第3実施例で使用した造粒体(焼成前)と、第4実施例で得た造粒体(焼成及びプレス後)との各試料について、島津製作所製微小圧縮試験機MCT−W500Jによって圧縮強度を測定した。なお、粒子径に対して10%変形する試験力を強度と規定した。測定結果を〔表9〕に示す。
〔表9〕に示す結果より、バインダー揮発前の強度が20MPaと硬いのに対し、バインダー揮発後は、0.9MPaと小さくなった。これにより、バインダーの揮発によって粒子中に空洞が形成されたことと、本実施形態に係る、造粒体を用いた負極においては、電解液の浸透効率が向上し、リチウムイオンの移動が促進されることが確認できた。
なお、図4に、この測定結果をより詳細に示すように、天然黒鉛においては、試験力の増加に伴って徐々に変位が進むのに対し、本実施形態における造粒体においては、段階的に変位が進むことも確認できた。これは、造粒体においては、内部に空洞が形成されていることによっても、比表面積の増加が更になされているためと考えられる。
また、受け入れ性を改善することによって、負荷特性だけでなく、充放電サイクルに伴うリチウム金属の析出が抑制されるため、サイクル特性の向上も見込まれる。
しかしながら本発明によれば、製造において、400℃という比較的低温でバインダーを焼き飛ばす焼成を行うため、得られる造粒体も電解液の浸透性に優れ、黒鉛全体を充放電に寄与させることが負極活物質層を有する電池を構成することも可能となる。
例えば前述の実施の形態では焼成を窒素雰囲気下で行う場合を例として説明したが、アルゴンガスなど、他の不活性ガス雰囲気下で焼成を行うことも可能である。
また、前述の実施の形態では、円筒型の二次電池を例として説明したが、これに限らず、コイン型,ボタン型,薄型,大型或いはラミネートフィルムなどの外装部材を用いた他の形状を有する二次電池、または積層構造などの他の構造を有する二次電池についても同様に適用することができるなど、本発明は種々の変形及び変更をなされうる。
Claims (16)
- 正極及び負極と共に電解質を備えた電池であって、
前記負極が、複数の天然黒鉛の造粒体を含有し、
前記造粒体のかさ密度が、0.20g/cm3以上0.70g/cm3以下である
ことを特徴とする電池。 - 前記負極活物質の、BET(Brunauer-Emmett-Teller)法によって測定される比表面積が、0.52m2/g以上1.10m2/gである
ことを特徴とする請求項1に記載の電池。 - 前記造粒体の、BET法によって測定される比表面積が、6.5m2/g以上8.7m2/g以下である
ことを特徴とする請求項1に記載の電池。 - 前記天然黒鉛の、BET法によって測定される比表面積が、8.9m2/g以上15.2m2/g以下である
ことを特徴とする請求項1に記載の電池。 - 前記造粒体と前記負極を構成するバインダー及び増粘材とからなるペーストを金属薄膜に塗布し、乾燥させた乾燥体の、前記負極を作製する条件によるプレスがなされた後における、X線回折法による110面と002面との強度比が、0.5以上である
ことを特徴とする請求項1に記載の電池。 - 前記造粒体を構成する天然黒鉛の平均粒径が8.0μm以上15.0μm以下である
ことを特徴とする請求項1に記載の電池。 - 前記造粒体の圧縮強度が、0.5MPa以上2.0MPa以下である
ことを特徴とする請求項1に記載の電池。 - 前記造粒体が、
バインダーとして、C6H10O5を基本構造とする澱粉の誘導体、C6H10O5を基本構造とする粘性多糖類、C6H10O5を基本構造とする水溶性セルロース誘導体、ポリウロニドおよび水溶性合成樹脂からなる群から選ばれる1つ以上、またはポリビニルアルコール、スチレンブタジエンゴムを用いて作製された
ことを特徴とする請求項1に記載の電池。 - 前記造粒体の個々の画像の面積を同等の円に置き換えた時の円相当径をLとし、実際の周囲長をlとし、L/lを円形度と規定したとき、円形度が0.85以下の粒子が個数基準で20%以下である
ことを特徴とする請求項1に記載の電池。 - 前記造粒体の個々の画像の面積を同等の円に置き換えた時の円相当径をLとし、実際の周囲長をlとし、L/lを円形度と規定したとき、体積基準での平均円形度が0.925以上である
ことを特徴とする請求項1に記載の電池。 - 前記造粒体が、窒素又は不活性ガス下で焼成された
ことを特徴とする請求項1に記載の電池。 - 前記造粒体が、攪拌式造粒によって作製された
ことを特徴とする請求項1に記載の電池。 - 前記リチウムイオンを吸蔵放出することが可能な炭素材料が、前記天然黒鉛粒子である
ことを特徴とする請求項1に記載の電池。 - 前記天然黒鉛が、鱗片状である
ことを特徴とする請求項1に記載の電池。 - 前記電池が、非水電解質を含む二次電池である
ことを特徴とする請求項1に記載の電池。 - 前記正極及び負極が、前記電解質を少なくとも一部含むセパレータを介して対向配置された
ことを特徴とする請求項1に記載の電池。
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