JP2007231821A - 過給器を備える内燃機関の制御 - Google Patents

過給器を備える内燃機関の制御 Download PDF

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Abstract

【課題】過給器を有する内燃機関の不具合判定を内燃機関の動作状態に応じて行うことのできる技術を提供することを目的とする。
【解決手段】タービンの回転速度を含むN個(Nは2以上の整数)のパラメータの値に基づいて内燃機関の不具合の可能性の有無を判定する。ここで、N個のパラメータで規定されるN次元空間を複数の判定範囲に区分した判定マップを用い、複数のパラメータ値が含まれる判定範囲に基づいて前記判定を行う。また、複数の判定範囲の内の少なくとも1つの境界は、複数のパラメータ値の内の一部が変化した場合に他のパラメータ値の内の少なくとも一部が変化する部分を含むように設定されている。
【選択図】図5

Description

本発明は、過給器を備える内燃機関の制御に関するものである。
従来より、車両等の移動体の駆動源として、過給器を備える内燃機関が利用されている。このような内燃機関では、事故を防ぐために、不具合判定が重要である。例えば、タービン回転数を設定値と比較して故障を診断する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開平1−117927号公報 特開平5−231162号公報
ところが、稼働中の内燃機関の動作状態は種々の状態に変わり得る。すなわち、タービン回転数のような内燃機関の動作に関するパラメータの適切な値も、種々の値に変わり得る。しかし、従来は、このような変化に応じて内燃機関の不具合判定を行う点に関しては、十分な工夫がなされていないのが実情であった。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、過給器を有する内燃機関の不具合判定を内燃機関の動作状態に応じて行うことのできる技術を提供することを目的とする。
上述の課題の少なくとも一部を解決するため、本発明の制御装置は、過給器を有する内燃機関を制御する制御装置であって、前記過給器は、燃焼室からの排気ガスによって駆動されるタービンを備え、前記制御装置は、前記タービンの回転速度を含むN個(Nは2以上の整数)のパラメータの値に基づいて前記内燃機関の不具合の可能性の有無を判定する不具合判定部を備え、前記不具合判定部は、前記N個のパラメータで規定されるN次元空間を複数の判定範囲に区分した判定マップを用い、前記複数のパラメータ値が含まれる判定範囲に基づいて前記判定を行い、前記複数の判定範囲の内の少なくとも1つの境界は、前記複数のパラメータ値の内の一部が変化した場合に他のパラメータ値の内の少なくとも一部が変化する部分を含むように設定されている。
タービンの回転速度は内燃機関の動作状態に応じて素早く変化し得る。この制御装置では、内燃機関の不具合の可能性の有無の判定にタービンの回転速度が用いられるので、不具合判定を内燃機関の動作状態に応じて行うことができる。また、複数の判定範囲の内の少なくとも1つの境界が、複数のパラメータ値の内の一部が変化した場合に他のパラメータ値の内の少なくとも一部が変化する部分を含むように設定されているので、不具合判定に、内燃機関の動作状態の変化を反映させることができる。
上記制御装置において、前記不具合判定部は、複数種類の不具合のそれぞれに対応付けられた複数の判定範囲を形成する複数の境界を用いるとともに、前記複数のパラメータ値が含まれる判定範囲に基づいて、前記複数種類の不具合の内から可能性のある不具合を特定することが好ましい。
この構成によれば、複数種類の不具合の内から可能性のある不具合を特定されるので、不具合の種類の特定のためのユーザの労力を低減することができる。
なお、前記不具合判定部によって可能性の有無が判定される不具合は、前記過給器の駆動抵抗の増大と、前記タービンに向かって前記排気ガスを吐出するノズルの開度を調整する可動ノズルベーンの不具合と、前記タービンを迂回する排気ガスの流路であるウェイストゲート流路において開度を調整するウェイストゲートバルブの不具合と、のうちの少なくとも1つを含むこととしてもよい。
上記各制御装置において、前記複数のパラメータ値は、前記内燃機関の駆動速度を含み、前記境界は、前記内燃機関の駆動速度が変化した場合に他のパラメータ値のうちの少なくとも一部が変化する部分を含むこととしてもよい。
この構成によれば、境界が、内燃機関の駆動速度が変化した場合に他のパラメータ値のうちの少なくとも一部が変化する部分を含むので、不具合判定に、内燃機関の動作状態の変化をより適切に反映させることができる。
上記制御装置において、前記境界は、前記内燃機関の駆動速度が速いほど前記タービンの回転速度が速くなるように設定されていることが好ましい。
この構成によれば、適切な不具合判定を行うことができる。
上記制御装置において、前記境界は、前記タービンの回転速度と前記内燃機関の駆動速度との対応関係を示す第1境界を含み、前記不具合判定部は、前記タービン回転速度が前記第1境界よりも高い場合に、前記タービンに向かって前記排気ガスを吐出するノズルの開度を調整する可動ノズルベーンが閉状態で固着している不具合の可能性が有るとの判定と、前記タービンをバイパスするウェイストゲート流路において開度を調整するウェイストゲートバルブが閉状態で固着している不具合の可能性が有るとの判定と、のうちの所定の一方を行うこととしてもよい。
この構成によれば、可動ノズルベーンとウェイストゲートバルブとのいずれか一方が閉状態で固着している不具合の可能性が有るとの判定が、タービン回転速度が第1境界よりも高い場合に行われるので、これらの判定を適切に行うことができる。
上記各制御装置において、前記境界は、前記タービンの回転速度と前記内燃機関の駆動速度との対応関係を示す第2境界を含み、前記不具合判定部は、前記タービン回転速度が前記第2境界よりも低い場合に、前記タービンに向かって前記排気ガスを吐出するノズルの開度を調整する可動ノズルベーンが開状態で固着している不具合の可能性が有るとの判定と、前記タービンをバイパスするウェイストゲート流路において開度を調整するウェイストゲートバルブが開状態で固着している不具合の可能性が有るとの判定と、のうちの所定の一方を行うこととしてもよい。
この構成によれば、可動ノズルベーンとウェイストゲートバルブとのいずれか一方が開状態で固着している不具合の可能性が有るとの判定が、タービン回転速度が第2境界よりも低い場合に行われるので、これらの判定を適切に行うことができる。
上記制御装置において、前記境界は、前記タービンの回転速度と前記内燃機関の駆動速度との対応関係を示すとともに、前記第2境界よりも前記タービン回転速度が高い第3境界を含み、
前記不具合判定部は、前記タービン回転速度が前記第3境界よりも低く、かつ、前記タービン回転速度が前記第2境界よりも高い場合に、前記過給器の駆動抵抗が増大する不具合の可能性が有ると判定することとしてもよい。
この構成によれば、過給器の駆動抵抗が増大する不具合の可能性が有るとの判定が、タービン回転速度が第3境界よりも低く、かつ、第2境界よりも高い場合に行われるので、この判定を適切に行うことができる。
上記各制御装置において、前記複数のパラメータ値は、さらに、前記タービンに向かって前記排気ガスを吐出するノズルの開度を調整する可動ノズルベーンが実現すべき開度を示す可動ノズルベーン開度指令値と、前記過給器を迂回するガス流路であるバイパス流路において開度を調整するバイパスバルブが実現すべき開度を示すバイパスバルブ開度指令値と、前記タービンをバイパスするウェイストゲート流路において開度を調整するウェイストゲートバルブが実現すべき開度を示すウェイストゲートバルブ開度指令値と、のいずれか1つである調整用開度指令値を含み、前記境界は、前記調整用開度指令値が変化した場合に他のパラメータ値のうちの少なくとも一部が変化する部分を含むことが好ましい。
この構成によれば、境界が、調整用開度指令値が変化した場合に他のパラメータ値のうちの少なくとも一部が変化する部分を含むので、不具合判定に、内燃機関の動作状態の変化をより適切に反映させることができる。
上記制御装置において、前記調整用開度指令値は、前記可動ノズルベーン開度指令値と前記ウェイストゲートバルブ開度指令値とのいずれか一方であり、前記境界は、前記調整用開度指令値が小さいほど前記タービンの回転速度が速くなるように設定されていることとしてもよい。
また、上記制御装置において、前記調整用開度指令値は、前記バイパスバルブ開度指令値であり、前記境界は、前記調整用開度指令値が大きいほど前記タービンの回転速度が速くなるように設定されていることとしてもよい。
これらの構成によれば、調整用開度指令値とタービンの回転速度とに基づいて適切な不具合判定を行うことができる。
上記各制御装置において、さらに、前記不具合判定部によって不具合の可能性が有ると判定された場合に、前記タービン回転速度に応じて前記内燃機関のトルクを制御する不具合対応処理部を有することが好ましい。
この構成によれば、不具合の可能性が生じた場合に、タービン回転速度に応じたトルク制御が実行されるので、不具合に適したトルク制御が可能である。
上記制御装置において、前記不具合対応処理部は、前記タービン回転速度が、不具合の可能性が無いと判定される値と比べて速い場合には、前記トルクを低減させることが好ましい。
この構成によれば、トルクが過剰に大きくなることを抑制できる。
上記各制御装置において、前記不具合対応処理部は、前記タービン回転速度が、不具合の可能性が無いと判定される値と比べて遅い場合には、前記トルクを増大させることが好ましい。
この構成によれば、トルクが不足することを抑制できる。
上記各制御装置において、前記不具合対応処理部は、前記内燃機関における燃料噴射量と、前記内燃機関における吸入空気量と、前記内燃機関における点火タイミングと、のうちの少なくとも一つを制御することによって、前記トルクを制御することとしてもよい。
上記各制御装置において、前記複数のパラメータ値は、前記内燃機関に接続された変速機の変速比に相関のある変速比パラメータ値を含み、前記境界は、前記変速比パラメータ値が変化した場合に他のパラメータ値の内の少なくとも一部が変化する部分を含むことが好ましい。
この構成によれば、変速比パラメータ値とタービンの回転速度とに基づいて適切な不具合判定を行うことができる。
上記制御装置において、前記境界は、前記変速比パラメータ値が示す変速比であって、前記変速機の前記内燃機関側である前段の回転速度に対する後段の回転速度の変速比が高いほど前記タービン回転速度が速くなるように設定されていることが好ましい。
適正なタービン回転速度は、変速比が高いほど速くなる傾向にあるので、この構成によれば、変速比パラメータ値とタービン回転速度とに基づいて適切な不具合判定を行うことができる。
上記各制御装置において、前記複数のパラメータ値は、前記内燃機関における吸気管圧力を含み、前記境界は、前記タービンの回転速度が変化した場合に前記吸気管圧力が変化する部分を含むこととしてもよい。
この構成によれば、境界が、タービンの回転速度が変化した場合に吸気管圧力が変化する部分を含むので、不具合判定に、内燃機関の動作状態の変化をより適切に反映させることができる。
上記制御装置において、前記境界は、前記タービンの回転速度が速いほど前記吸気管圧力が高くなるように設定されていることが好ましい。
この構成によれば、適切な判定を行うことができる。
なお、前記不具合判定部によって可能性の有無が判定される不具合は、前記過給器を迂回するガス流路であるバイパス流路において開度を調整するバイパスバルブの不具合と、前記内燃機関からの排気ガスを前記内燃機関に還流させる排気再循環流路において開度を調整する排気再循環バルブの不具合と、のうちの少なくとも1つを含むこととしてもよい。
上記制御装置において、前記不具合判定部によって可能性の有無が判定される不具合は、前記バイパスバルブの不具合を含み、前記不具合判定部は、さらに、前記内燃機関の所定の動作状態における前記複数のパラメータ値の変化の軌跡の形状に基づいて、前記バイパスバルブの不具合の可能性の有無を判定する軌跡判定を実行することとしてもよい。
この構成によれば、バイパスバルブの不具合の可能性の有無を、より精度よく判定することができる。
上記制御装置において、前記複数のパラメータ値は、前記内燃機関における吸気管圧力を含み、前記不具合判定部は、前記内燃機関のトルクが減少した場合における前記タービン回転速度の減少に対する前記吸気管圧力の減少が、上に凸のグラフで表される場合には、前記バイパスバルブが閉じる方向にずれる不具合の可能性があると判定することが好ましい。
この構成によれば、バイパスバルブが閉じる方向にずれる不具合の可能性の有無を、適切に判定することができる。
上記制御装置において、前記複数のパラメータ値は、前記内燃機関における吸気管圧力を含み、前記不具合判定部は、前記内燃機関のトルクが増大した場合における前記タービン回転速度の増大に対する前記吸気管圧力の増大が、下に凸のグラフで表される場合には、前記バイパスバルブが開く方向にずれる不具合の可能性があると判定することが好ましい。
この構成によれば、バイパスバルブが開く方向にずれる不具合の可能性の有無を、適切に判定することができる。
上記各制御装置において、前記不具合判定部によって可能性の有無が判定される不具合は、さらに、前記内燃機関からの排気ガスを前記内燃機関に還流させる排気再循環流路において開度を調整する排気再循環バルブの不具合を含み、前記不具合判定部は、前記複数のパラメータ値に基づいて、前記バイパスバルブと前記排気再循環バルブとのうちの少なくとも一方に不具合の可能性が有るか否かを判定する予備判定を実行し、不具合の可能性が有るとの前記予備判定が成立した場合には、前記不具合判定部は、さらに、前記軌跡判定を実行し、前記バイパスバルブの不具合の可能性が無いとの前記軌跡判定が成立した場合には、前記不具合判定部は、前記排気再循環バルブの不具合の可能性があると判定することとしてもよい。
この構成によれば、不具合の原因がバイパスバルブと排気再循環バルブとのいずれにあるのかを特定することができる。
上記制御装置において、前記複数のパラメータ値は、前記内燃機関における吸気管圧力を含み、前記境界は第1境界を含み、前記不具合判定部は、前記予備判定において、前記吸気管圧力が前記第1境界よりも高い場合に、前記バイパスバルブが閉じる方向にずれる不具合と前記排気再循環バルブが開く方向にずれる不具合との少なくとも一方の可能性があると判定することとしてもよい。
この構成によれば、バイパスバルブと排気再循環バルブとのいずれかの不具合の可能性が有るとの判定が、吸気管圧力が第1境界よりも高い場合に行われるので、この判定を適切に行うことができる。
上記制御装置において、前記複数のパラメータ値は、前記内燃機関における吸気管圧力を含み、前記境界は第2境界を含み、前記不具合判定部は、前記予備判定において、前記吸気管圧力が前記第2境界よりも低い場合に、前記バイパスバルブが開く方向にずれる不具合と前記排気再循環バルブが閉じる方向にずれる不具合との少なくとも一方の可能性があると判定することとしてもよい。
この構成によれば、バイパスバルブと排気再循環バルブとのいずれかの不具合の可能性が有るとの判定が、吸気管圧力が第2境界よりも低い場合に行われるので、この判定を適切に行うことができる。
上記制御装置において、前記複数のパラメータ値は、前記内燃機関における吸気管圧力を含み、前記境界は、前記吸気管圧力と前記タービン回転速度との対応関係を示す第1境界を含み、前記不具合判定部は、前記吸気管圧力が前記第1境界よりも高い場合に、前記バイパスバルブが閉じる方向にずれる不具合の可能性が有るとの判定と、前記排気再循環バルブが開く方向にずれる不具合の可能性が有るとの判定と、のうちの所定の一方を行うこととしてもよい。
この構成によれば、バイパスバルブと排気再循環バルブとのうちの所定の一方の不具合の可能性が有るとの判定が、吸気管圧力が第1境界よりも高い場合に行われるので、この判定を適切に行うことができる。
上記制御装置において、前記複数のパラメータ値は、前記内燃機関における吸気管圧力を含み、前記境界は、前記吸気管圧力と前記タービン回転速度との対応関係を示す第2境界を含み、前記不具合判定部は、前記吸気管圧力が前記第2境界よりも低い場合に、前記バイパスバルブが開く方向にずれる不具合の可能性が有るとの判定と、前記排気再循環バルブが閉じる方向にずれる不具合の可能性が有るとの判定と、のうちの所定の一方を行うこととしてもよい。
この構成によれば、バイパスバルブと排気再循環バルブとのうちの所定の一方の不具合の可能性が有るとの判定が、吸気管圧力が第2境界よりも低い場合に行われるので、この判定を適切に行うことができる。
上記各制御装置において、前記不具合判定部は、前記バイパスバルブが閉じる方向にずれる第1不具合の可能性の有無を判定可能であり、前記過給器は、さらに、前記タービンに接続された電動機を有し、前記制御装置は、さらに、前記不具合判定部によって前記第1不具合の可能性が有ると判定された場合に、前記電動機を用いた回生を実行する不具合対応処理部を有することとしてもよい。
この構成によれば、回生によって生じる制動力によりタービン回転速度が低下するので、吸気管圧力が過剰に高くなることを抑制することができる。
上記各制御装置において、前記不具合判定部は、前記バイパスバルブが開く方向にずれる第2不具合の可能性の有無を判定可能であり、前記過給器は、さらに、前記タービンに接続された電動機を有し、前記制御装置は、さらに、前記不具合判定部によって前記第2不具合の可能性が有ると判定された場合に、不具合の可能性が無いと判定された場合よりも前記タービン回転速度が速くなるように、前記電動機を用いた力行を実行する不具合対応処理部を有することとしてもよい。
この構成によれば、力行によってタービン回転速度が高められるので、吸気管圧力が過剰に低くなることを抑制することができる。
上記各制御装置において、前記不具合判定部は、前記排気再循環バルブが開く方向にずれる第3不具合の可能性の有無を判定可能であり、前記過給器は、さらに、前記タービンに接続された電動機を有し、前記制御装置は、さらに、前記不具合判定部によって前記第3不具合の可能性が有ると判定された場合に、不具合の可能性が無いと判定された場合よりも前記タービン回転速度が速くなるように、前記電動機を用いた力行を実行する不具合対応処理部を有することとしてもよい。
この構成によれば、力行によってタービン回転速度が高められるので、過給器による過給圧も高められる。その結果、過剰な量の排気ガスが内燃機関に還流することを抑制できる。
上記各制御装置において、前記内燃機関は、吸気弁と、排気弁と、前記吸気弁と前記排気弁とのうちの少なくとも一方の動作タイミングを変更する可変動弁機構と、を有し、前記不具合判定部は、前記排気再循環バルブが閉じる方向にずれる第4不具合の可能性の有無を判定可能であり、前記制御装置は、さらに、前記不具合判定部によって前記第4不具合の可能性が有ると判定された場合に、前記吸気弁と前記排気弁との両方が開いている期間であるオーバーラップ期間が、不具合の可能性が無いと判定された場合よりも長くなるように、前記可変動弁機構を制御する不具合対応処理部を有することとしてもよい。
この構成によれば、内燃機関に還流される排気ガスの量が減少することを抑制できる。
上記制御装置において、前記過給器は、さらに、前記タービンに接続された電動機を有し、前記不具合判定部によって前記第4不具合の可能性が有ると判定された場合に、前記不具合対応処理部は、さらに、不具合の可能性が無いと判定された場合よりも前記タービン回転速度が速くなるように、前記電動機を用いた力行を実行することとしてもよい。
この構成によれば、力行によって内燃機関の背圧が高められるので、内燃機関に還流される排気ガスの量を増大させることができる。
上記制御装置において、前記内燃機関は、前記タービンに向かって前記排気ガスを吐出するノズルの開度を調整する可動ノズルベーンと、前記タービンを迂回する排気ガスの流路であるウェイストゲート流路において開度を調整するウェイストゲートバルブと、のうちのいずれか一方であるタービン制御バルブを有し、前記制御装置は、さらに、前記不具合判定部によって不具合の可能性が有ると判定された場合に、前記吸気管圧力に応じて前記タービン制御バルブの開度を制御する不具合対応処理部を有することとしてもよい。
この構成によれば、不具合に応じた適切な開度制御が可能となる。
上記制御装置において、前記不具合対応処理部は、前記吸気管圧力が、不具合の可能性が無いと判定される値と比べて高い場合には、前記タービン制御バルブの開度を増大させ、前記吸気管圧力が、不具合の可能性が無いと判定される値と比べて低い場合には、前記タービン制御バルブの開度を低減させることが好ましい。
この構成によれば、吸気管圧力が高い場合には、タービン回転速度が低減されるので、吸気管圧力を低減することができる。また、吸気管圧力が低い場合には、タービン回転速度が高められるので、吸気管圧力を高めることができる。
なお、本発明は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、エンジン(内燃機関)の制御装置および制御方法、その制御装置を備えたエンジン、そのエンジンを搭載する車両、それらの方法または装置の機能を実現するためのコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した記録媒体、そのコンピュータプログラムを含み搬送波内に具現化されたデータ信号、等の形態で実現することができる。
次に、この発明の実施の形態を実施例に基づいて以下の順序で説明する。
A.第1実施例:
B.第2実施例:
C.第3実施例:
D.第4実施例:
E.第5実施例:
F.第6実施例:
G.第7実施例:
H.第8実施例:
I.第9実施例:
J.第10実施例:
K.第11実施例:
L.第12実施例:
M.第13実施例:
N.第14実施例:
O.第15実施例:
P.第16実施例:
Q.第17実施例:
R.第18実施例:
S.変形例:
A.第1実施例:
図1は、本発明の実施例としての車両の構成を示す概略図である。この車両900は、駆動源としてエンジン100を有している。このエンジン100は、シリンダ180と、シリンダ180内を上下に摺動するピストン144とを有している。シリンダ180とピストン144とは、燃焼室を形成する。
シリンダ180には、吸入空気が流入する吸気ポート133と、吸気ポート133の開口を開閉する給気弁InVと、排気ガスが流出する排気ポート135と、排気ポート135の開口を開閉する排気弁ExVと、点火プラグ136と、燃焼室内に燃料噴霧を噴射する燃料インジェクタ14とが設けられている。給気弁InVおよび排気弁ExVは、それぞれ電動アクチュエータInA、ExAで駆動されている。電動アクチュエータInA、ExAは、所望のタイミングでそれぞれの給気弁InVおよび排気弁ExVを開閉することが可能である。燃料インジェクタ14の動作(燃料噴射量と燃料噴射時期)は、噴射弁電子制御ユニット(IEDU)142によって制御されている。
吸気ポート133には吸入空気を導く吸気通路12が接続されており、排気ポート135には排気ガスが通過する排気通路16が接続されている。排気通路16の下流には、過給器50のタービン52と、排気ガスに含まれる大気汚染物質を浄化するための触媒26と、が設けられている。排気通路16内を通過する排気ガスはタービン52を回転させた後、大気に放出される。また、吸気通路12には、過給器50のコンプレッサ54が設けられている。コンプレッサ54は、タービンシャフト56を介してタービン52に接続されており、排気ガスによってタービン52が回転するとコンプレッサ54も回転する。その結果、コンプレッサ54は、エアクリーナ20から吸い込んだ空気を加圧した後、吸気ポート133に向かって圧送する。
コンプレッサ54で加圧すると空気温度が上昇するので、吸入空気を冷却するために、コンプレッサ54の下流側にはインタークーラ62が設けられている。また、吸気通路12内にはサージタンク60や、スロットル弁22も設けられている。サージタンク60は、燃焼室が空気を吸い込んだときに生じる圧力波を緩和させる作用を有しており、またスロットル弁22は電動アクチュエータ24によって適切な開度に設定されて、吸入空気量を調整する機能を有している。また、サージタンク60には、吸入空気の温度を測定する吸気温度センサ63と、吸入空気の圧力を測定する吸入管圧力センサ64とが、設けられている。さらに、エアクリーナ20の下流側には空気流量を測定するエアフローメータ66が設けられている。また、吸気通路12には、コンプレッサ54の上流側と下流側とを結ぶバイパス流路13が設けられている。バイパス流路13内にはエアバイパスバルブ17(以下「ABV17」とも呼ぶ)が設けられている。エアバイパスバルブ17は、電動アクチュエータ15によって適切な開度に設定されて、コンプレッサ54の下流側の圧力が急上昇することを抑制する。
ピストン144は、コネクティングロッド146を介してクランクシャフト148に接続されており、クランクシャフト148には、クランク角度を検出するクランク角センサ32が取り付けられている。また、クランクシャフト148には、ベルトを介してオルタネータ149が接続されている。オルタネータ149は、クランクシャフト148に駆動され、発電する。生成された電力は、低圧バッテリ150に蓄えられる。また、生成された電力は、直流コンバータ(DC/DCコンバータ)152によって昇圧され、高圧バッテリ154にも蓄えられる。
高圧バッテリ154には、過給器電子駆動ユニット(EDU)160が接続されている。過給器電子駆動ユニット160には、過給器50の電動機70が接続されている。この電動機70は、過給器50のタービンシャフト56の回転をアシストするために利用される。電動機70は、タービンシャフト56に固定された永久磁石72と、永久磁石72を囲むように配置されたコイル74と、回転子位置センサ76と、を有している。永久磁石72が固定されているタービンシャフト56はロータ(回転子)として機能し、コイル74はステータ(固定子)として機能する。回転子位置センサ76の検出信号は、回転子(タービンシャフト56)の回転速度Ntの測定に利用される。なお、このような電動機70を有する過給器50は、MAT(Motor Assisted Turbo)とも呼ばれる。
吸気ポート133に供給される空気の圧力が不足している場合には、過給器電子駆動ユニット160は、高圧バッテリ154の電力を電動機70に供給することによって、コンプレッサ54の回転速度を上昇させる。一方、電動機70は、発電機としても機能する。タービンシャフト56の回転速度が高い場合には、過給器電子駆動ユニット160は、電動機70によって生成された電力を用いて、高圧バッテリ154を充電する(回生とも呼ばれる)。なお、このような電動機70の駆動と回生とを実行する過給器電子駆動ユニット160としては、種々の電子回路を採用することができる。
過給器電子駆動ユニット160には、過給器電子制御ユニット(ECU)164が接続されている。過給器電子駆動ユニット160の動作は、過給器電子制御ユニット164によって制御される。また、過給器電子制御ユニット164には、回転子位置センサ76の検出信号が供給される。
このエンジン100の動作は、エンジン電子制御ユニット30(以下「EECU30」とも呼ぶ)によって制御される。EECU30は、CPU(中央演算処理装置)とメモリ(RAM、ROM)と、タイマと、種々の信号を処理するためのA/DコンバータとD/Aコンバータと、を有している。CPUは、プログラムを実行することによって、エンジン100を制御するための種々の機能を実現する。なお、過給器電子制御ユニット164とIEDU142とも、EECU30と同様に、CPUとメモリとを有している。また、過給器電子制御ユニット164とIEDU142との動作は、EECU30によって制御される。
図2は、EECU30(図1)のROMの内部構成を示す概略図である。ROMには、CPUが実行するプログラムが格納されている。図2の例では、ROMには、運転制御モジュール300と、判定モジュール310と、対応処理実行モジュール320と、が格納されている。これらのモジュールは、CPUによって実行されるプログラムである。運転制御モジュール300は、エンジン100の各構成要素を制御する。判定モジュール310は、エンジン100の不具合の可能性の有無を判定する。対応処理実行モジュール320は、不具合判定処理の結果に基づいて、不具合対応処理を実行する。なお、ROMには、後述する各実施例で利用される種々のマップと対応関係、および、エンジン100制御用の他のモジュール(プログラム)とデータとが格納されているが、図示が省略されている。
EECU30は、エンジン100を制御するために、種々のパラメータを取得する。図1の例では、パラメータとして、タービン回転速度Ntと、エンジン回転速度Neと、車速CVと、ギヤ比GRと、アクセル開度θと、吸気管圧力Pimと、空気流量Gaと、が取得される。タービン回転速度Ntは、回転子位置センサ76の検出信号から算出される。エンジン回転速度Neは、クランク角センサ32の出力信号から算出される。車速CVは速度センサ80から取得される。ギヤ比GRは、ギヤ比センサ82から取得される。ギヤ比センサ82は、エンジン100に連結された変速機(図示せず)のギヤ比を検出するセンサである。アクセル開度θは、アクセルペダルの踏み込み量を示しており、アクセルペダルに接続されたアクセル開度センサ36によって検出される。吸気管圧力Pimは、吸入管圧力センサ64から取得される。空気流量Gaは、エアフローメータ66から取得される。
図3(A)、図3(B)は、それぞれ、過給器50のタービン52を示す説明図である。これらの図は、タービン52の回転軸に沿って見た過給器50の断面図を示している。過給器50は、タービン52の回転軸に沿って延びる略円筒形状のタービンハウジング50THを有している。タービンハウジング50TH内には、タービン52と、複数の可動ベーンVNとが設けられている。タービン52は、タービンハウジング50THの中央に配置され、複数の可動ベーンVNは、タービン52の周囲を囲むように配置されている。各可動ベーンVNは、タービンハウジング50THに回動可能に固定された回動軸VNaと、この回動軸VNaからタービン52の回転方向TR(図3の例では、反時計回り方向)に沿って延びる羽VNwと、を有している。また、各可動ベーンVNは、回転方向TRに対する傾きが互いに同じとなるように駆動される。このような駆動のための機構としては、モータに接続されたリンク機構等の種々の機構を採用可能である。
このタービンハウジング50THの側面には、排気ガスが流入する流入口50inが設けられている。この流入口50inには、円形状の接線方向へ延びるように、排気ポート135(図1)からの排気通路16が接続される。また、図3(A)、図3(B)には、排気ガスが流出する排出口50outが示されている。この排出口50outは、図3におけるタービンハウジング50THの正面側の壁(図示せず)に設けられた穴であり、タービン52と対向する位置に配置されている。この排出口50outには、触媒26(図1)へ向かう排気通路16が接続される。
図3(A)、図3(B)に示す破線の矢印GF1、GF2は、排気ガスの流れを示している。流入口50inから流入した排気ガスは、タービンハウジング50TH内を壁に沿って旋回しながら可動ベーンVN間の隙間(以下「ノズルN」とも呼ぶ)を通ってタービン52に至る。そして、排気ガスは、タービン52を回転させた後、排出口50outから排出される。
ノズルNの大きさ(開度)は、可動ベーンVNの向きを変えることによって調整される。図3(A)は、開状態を示し、図3(B)は閉状態を示している。開状態(図3(A))では、各可動ベーンVNの下流側の端部VNweは、タービン52に向けられている。これにより、ノズルNの開度は大きくなる。この状態では、ノズルNを通り抜ける排気ガスの流速、すなわち、タービン52に吹き付けられる排気ガスの流速が遅くなるので、タービン52の回転速度は遅くなる。一方、閉状態(図3(B))では、各可動ベーンVNの下流側の端部VNweは、下流側に隣接する可動ベーンVNに向けられている。これにより、ノズルNの開度は小さくなる。この状態では、タービン52に吹き付けられる排気ガスの流速が速くなるので、タービンの回転速度も速くなる。
本実施例では、運転制御モジュール300(図2)は、可動ベーンVNを以下のように制御する。エンジン100の負荷(トルク)が小さい場合には(例えば、アクセルペダルの踏み込み量が小さい場合には)、運転制御モジュール300は、ノズルNの開度(以下「可動ベーンVNの開度」とも呼ぶ)を小さくする。これにより、タービン52の回転速度、すなわち、コンプレッサ54の回転速度が高められるので、過給圧が高められる。その結果、エンジン100のトルク不足を抑制できる。一方、タービン52の回転速度が過剰に高い場合には、EECU30は、可動ベーンVNの開度を大きくする。これにより、タービン52の回転速度が過剰に高い状態が続くことが抑制されるので、タービン52の回転速度が過剰に速いことに起因するエンジン100の故障を抑制できる。
なお、本実施例では、各可動ベーンVNの回動可能範囲は、図3(A)に示す開状態と、図3(B)に示す閉状態との間の範囲である。ここで、閉状態においてノズルNの開度はゼロ(全閉)ではなく、ゼロよりも大きな値を有している。このように、閉状態とは、開度が設定可能範囲内の最小である状態を意味している。また、タービン52に向かって排気ガスを吐出するノズルの開度を調整可能な構成としては、図3のような複数の可動ベーンVNを配置した構成に限らず、種々の構成を採用可能である。例えば、固定ベーンと可動ベーンとを交互に配置した構成を採用してもよい。
以上のように、タービン52の回転速度は、ノズルN(可動ベーンVN)の開度と強い相関がある。従って、タービン52の回転速度を用いることによって、可動ベーンVNの不具合の可能性の有無を判定することができる。
図4は、第1実施例における不具合判定処理の手順を示すフローチャートである。まず、判定モジュール310は、エンジン回転速度Neとタービン回転速度Ntとを取得する(S106、S108)。エンジン回転速度Neは、クランク角センサ32(図1)の出力信号から算出される。タービン回転速度Ntは、回転子位置センサ76(図1)の出力信号から算出される。回転子位置センサ76の出力信号は、過給器電子制御ユニット164を介して、判定モジュール310(EECU30)に取得される。
次のステップS120では、判定モジュール310は、判定マップを参照する。図5(A)は、判定マップ500を示すグラフである。この判定マップ500は、EECU30(図1)のROMに格納されている。横軸はエンジン回転速度Neを示し、縦軸はタービン回転速度Ntを示している。このグラフには、3つの基準線B11〜B13が示されている。各基準線B11〜B13は、タービン回転速度Ntの基準値と、エンジン回転速度Neと、の対応関係を示している。ここで、同じエンジン回転速度Neに対するタービン回転速度Ntの大きい順番は、適正上限B11、適正下限B12、低異常下限B13の順である。
図5(A)の例では、エンジン回転速度Neとタービン回転速度Ntとの組み合わせ(以下「第1動作ポイント」とも呼ぶ)の範囲が、3つの基準線B11〜B13によって、4つの範囲DR10〜DR13に区分されている。
適正範囲DR10は、適正上限B11と適正下限B12とに挟まれた範囲である。第1動作ポイントが適正範囲DR10内にある場合には、タービン回転速度Ntが適正であると判定される。換言すれば、エンジン100に不具合の可能性が無いと判定される。
過大回転異常範囲DR11は、タービン回転速度Ntが適正上限B11よりも速い範囲である。第1動作ポイントがこの過大回転異常範囲DR11内にある場合には、タービン回転速度Ntが過剰に速いと判定される。このように、タービン回転速度Ntが過剰に速い場合には、可動ベーンVN(図3)が閉状態(図3(B))で固着していることが多い。従って、第1動作ポイントが過大回転異常範囲DR11内にある場合には、可動ベーンVNが閉状態で固着している可能性が有ると判定することができる。
低回転異常範囲DR13は、適正下限B12と低異常下限B13とに挟まれた範囲である。第1動作ポイントがこの低回転異常範囲DR13内にある場合には、タービン回転速度Ntが適正な速度よりも低いと判定される。このように、タービン回転速度Ntが適正な速度と比べて低い場合には、過給器50(図1)の駆動抵抗が適正な強さよりも強くなっている場合が多い。例えば、過給器50に供給される潤滑油が劣化している場合に、過給器50の駆動抵抗(すなわち、タービンシャフト56の回転に対する抵抗)が強くなる。従って、第1動作ポイントが低回転異常範囲DR13内にある場合には、過給器50の駆動抵抗が適正な強さよりも強くなっている可能性が有ると判定することができる。
過小回転異常範囲DR12は、タービン回転速度Ntが低異常下限B13よりも低い範囲である。第1動作ポイントがこの過小回転異常範囲DR12内にある場合には、タービン回転速度Ntが過剰に低いと判定される。このように、タービン回転速度Ntが過剰に低い場合には、可動ベーンVN(図3)が開状態(図3(A))で固着していることが多い。従って、第1動作ポイントが過小回転異常範囲DR12内にある場合には、可動ベーンVNが開状態で固着している可能性が有ると判定することができる。
なお、各基準線B11〜B13は、いずれも、エンジン回転速度Neが速いほど、タービン回転速度Ntが速くなるように設定されている。これは、エンジン回転速度Neが速いほど、タービン回転速度Ntの適正な値も大きくなる傾向にあるからである。また、エンジン回転速度Neが同じ場合であっても、エンジン100の負荷(トルク)に応じて、タービン回転速度Ntも変化する(負荷が大きいほど、タービン回転速度Ntも速い)。そこで、適正範囲DR10は、このようなタービン回転速度Ntの変化に合わせて設定される。なお、このような各範囲を定めるための各基準線B11〜B13は、予め実験的に設定しておけばよい。
次のステップS140〜S144では、判定モジュール310は、第1動作ポイントがいずれの範囲DR10〜DR12内に有るかを判定する。第1動作ポイントが適正範囲DR10内にある場合には(S140:Yes)、次のステップS150で、判定モジュール310は、異常フラグをクリアする。図5(B)は、EECU30(図1)のRAMに格納された異常フラグを示す説明図である。異常フラグとは、不具合の可能性の有無を示すフラグである。第1実施例では、図5(A)に示す3つの異常範囲DR11〜DR13毎に準備された3つの異常フラグDF11〜DF13が、RAMに格納されている。第1動作ポイントが、いずれかの異常範囲内にある場合に、その異常範囲に対応付けられた異常フラグが「ON(異常有)」に設定される。なお、このステップS160では、3つの異常フラグDF11〜DF13の全てが「OFF(異常無)」に設定される。
第1動作ポイントが過大回転異常範囲DR11内にある場合には(S142:Yes)、判定モジュール310は、過大回転異常フラグDF11を「ON(異常有)」に設定する(S162)。第1動作ポイントが過小回転異常範囲DR12内にある場合には(S144:Yes)、判定モジュール310は、過小回転異常フラグDF12を「ON(異常有)」に設定する(S164)。第1動作ポイントが低回転異常範囲内にある場合には(S144:No)判定モジュール310は、低回転異常フラグDF13を「ON(異常有)」に設定する(S166)。
フラグを設定した後、判定モジュール310は、再び、ステップS106に戻り、図
4に示す不具合判定処理を繰り返し実行する。
一方、対応処理実行モジュール320(図2)は、3つの異常フラグDF11〜DF13のそれぞれの設定値に基づいた対応処理を実行する。第1実施例では、各異常フラグDF11〜DF13毎に設けられた警告ランプ(図示省略)を点灯させる。例えば、過大回転異常フラグDF11が「ON」である場合には、過大回転異常フラグDF11に対応付けられた警告ランプを点灯させる。これにより、対応処理実行モジュール320は、車両900のユーザに、エンジン100の不具合の可能性の有無と、不具合の種類と、の両方を容易に報知することができる。また、車両900のユーザは、エンジン100の点検と修理とを適切に進めることが可能である。なお、対応処理実行モジュール320は、このような対応処理を、異常フラグDF11〜DF13の設定値が変化したことに応じて実行する。また、このような警告ランプは、車両900の操作パネル(図示せず)に設けられている。
以上のように、第1実施例は、以下のような種々の特徴と利点とを有している。第1の特徴点は、判定モジュール310が、不具合判定に、タービン回転速度Ntを用いている点である。タービン回転速度Ntは、他のパラメータ(例えば、排気圧力のようなエンジン100におけるガスの圧力)と比べて、エンジン100の動作状態に応じて素早く変化し得る。これにより、不具合判定の精度を高めることができるという利点がある。また、不具合判定を素早くできるという利点もある。
第2の特徴点は、不具合判定に利用される各基準線B11〜B13が、エンジン回転速度Neが変化した場合にタービン回転速度Ntも変化するように設定されている点である。これにより、不具合判定に、エンジン100の動作状態の変化を反映させることができるので、不具合判定の精度を高めることができるという利点がある。なお、基準線としては、エンジン回転速度Neが速いほどタービン回転速度Ntが速くなるような任意の線を採用可能である。例えば、エンジン回転速度Neの一部の範囲では、タービン回転速度Ntが一定値であってもよく、また、エンジン回転速度Neの変化に対してタービン回転速度Ntがステップ状に変化してもよい。
第3の特徴点は、判定モジュール310が、複数の基準値(基準線B11〜B13)を用いることにより、複数種類の不具合のそれぞれの可能性の有無を判定している点である。このように、複数種類の不具合の中から可能性の有る不具合が特定されるので、不具合の種類の特定のための労力を低減することができるという利点がある。
第4の特徴点は、判定モジュール310が、可動ベーンVNの不具合の可能性の有無の判定を、エンジン回転速度Neとタービン回転速度Ntとを用いて行っている点である。これにより、判定モジュール310は、可動ベーンVNの実際の開度を検出するセンサを用いずに、不具合判定を行うことができる。
なお、対応処理実行モジュール320が、不具合の可能性の有無と、不具合の種類と、をユーザに報知する方法としては、種々の方法を採用可能である。例えば、可能性の有る不具合の種類を示すメッセージを、車両900に設けられたディスプレイ(図示せず)に表示する方法を採用してもよい。
B.第2実施例:
図6は、第2実施例における不具合判定処理の手順を示すフローチャートである。図4に示す第1実施例との差違は、判定に利用される基準値が、可動ベーンVNの開度(ノズルNの開度)の指令値に応じて変化する点だけである。また、装置の構成は、図1〜図3に示す第1実施例と同じである。
最初のステップS106、S108は、図4のステップS106、S108と同じである。次のステップS110では、判定モジュール310は、可動ベーンVNの開度の指令値DVNを、運転制御モジュール300(図2)から取得する。開度指令値DVNは、運転制御モジュール300が可動ベーンVN(図3)を制御する際に利用する可動ベーンVNの開度の目標値である。可動ベーンVNの動作が正常である場合には、可動ベーンVNの実際の開度は開度指令値DVNと一致する。一方、可動ベーンVNの動作に不具合がある場合には、実際の開度と開度指令値DVNとが異なる場合がある。
次のステップS120では、判定モジュール310は、判定マップを参照する。図7は、第2実施例における判定マップ500aを示すグラフである。図5(A)に示す第1実施例の判定マップ500との差違は、不具合判定に利用される基準値(基準線)が、開度指令値DVNに応じて変わる点だけである。他の構成は、図5(A)に示す判定マップ500と同じである。
図7の判定マップ500aには、3本の適正上限基準線B21S、B21M、B21Lと、3本の適正下限基準線B22S、B22M、B22Lと、3本の低異常下限基準線B23S、B23M、B23Lとが示されている。各基準線は、いずれも、エンジン回転速度Neが速いほど、基準値(タービン回転速度Nt)が速くなるように設定されている。これら9つの基準線は3組のグループに分けられる。すなわち、第1の基準線B21S、B22S、B23Sと、第2の基準線B21M、B22M、B23Mと、第3の基準線B21L、B22L、B23Lである。第1の基準線B21S、B22S、B23Sは、第2の基準線B21M、B22M、B23Mよりも、それぞれ速い基準値(回転速度Nt)を示している。すなわち、第1適正上限B21Sは第2適正上限B21Mよりも速く(回転速度Ntが速い)、第1適正下限B22Sは第2適正下限B22Mよりも速く、第1低異常下限B23Sは第2低異常下限B23Mよりも速い。同様に、第2の基準線B21M、B22M、B23Mは、第3の基準線B21L、B22L、B23Lよりも、それぞれ速い(回転速度Ntが速い)。
判定モジュール310は、開度指令値DVNが小さいほど、大きなタービン回転速度Ntの基準値を利用する。すなわち、第1の基準線B21S、B22S、B23Sは、開度指令値DVNが比較的小さい場合に利用される。第2の基準線B21M、B22M、B23Mは、開度指令値DVNが比較的中程度である場合に利用される。第3の基準線B21L、B22L、B23Lは、開度指令値DVNが比較的大きい場合に利用される。この理由は、エンジン回転速度Neが同じ場合には、開度指令値DVNが小さいほど、適正なタービン回転速度Ntが速くなるからである。なお、エンジン回転速度Neが低い範囲では、可動ベーンVNの開度を小さくした場合にタービン回転速度Ntが大きく上昇する傾向にある。従って、各適正上限B21S、B21M、B21Lの差は、エンジン回転速度Neの低い範囲では大きくなっている。
判定マップ500aを参照した後の処理(S140〜S166)は、図4のステップS140〜S166の処理と同じである。ただし、判定モジュール310は、基準値を用いた判定を行うステップS140〜S144では、開度指令値DVNの大きさに応じて、3組の基準値を使い分ける。
以上のように、第2実施例は、上述した第1実施例と同様の種々の特徴を有し、その結果、第1実施例と同様の種々の利点を有している。さらに、第2実施例は、以下の特徴を有している。すなわち、各基準線が、開度指令値DVNが変化した場合にタービン回転速度Ntも変化するように設定されている点である。これにより、不具合判定に、エンジン100の動作状態の変化をより適切に反映させることができるので、不具合判定の精度を高めることができるという利点がある。
なお、タービン回転速度Ntの基準値と開度指令値DVNとの対応関係としては、開度指令値DVNが小さいほど基準値が速くなるような任意の対応関係を採用可能である。例えば、開度指令値DVNが値を取り得る範囲を、小範囲、中範囲、大範囲の3つの範囲に区分することによって、図7に示す3組の基準線を使い分けてもよい。具体的には、指令値DVNが小範囲内にある場合には第1の基準値B21S、B22S、B23Sが利用され、指令値DVNが中範囲内にある場合には第2の基準値B21M、B22M、B23Mが利用され、指令値DVNが大範囲内にある場合には、第3の基準値B21L、B22L、B23Lが利用される。また、このように、指令値DVNの変化に応じて基準値をステップ状に変化させる代わりに、指令値DVNの変化に応じて連続的に基準値を変化させてもよい。また、エンジン回転速度Neの一部の範囲においてのみ、基準値が開度指令値DVNに応じた可変値であり、エンジン回転速度Neの残りの範囲では、基準値が開度指令値DVNの応じた可変値でなくてもよい。
C.第3実施例:
図8は、第3実施例における不具合判定処理の手順を示すフローチャートである。図6、図7に示す第2実施例との差違は、エアバイパスバルブ17(図1)の開度の指令値DABが大きいほどタービン回転速度Ntの基準値が速い値に設定される点だけである。装置の構成は、図1〜図3に示す第1実施例と同じである。
最初のステップS106、S108は、図6のステップS106、S108と同じである。次のステップS112では、判定モジュール310は、エアバイパスバルブ17(図1)の開度の指令値DABを、運転制御モジュール300(図2)から取得する。開度指令値DABは、運転制御モジュール300がエアバイパスバルブ17(図1)を制御する際に利用するエアバイパスバルブ17の開度の目標値である。開度指令値DABの決定方法、すなわち、ABV17の開度の制御方法としては、周知の種々の方法を採用可能である。例えば、吸気管圧力Pimが過剰に上昇したことに応じて、運転制御モジュール300が開度指令値DABをより大きな値に変更することとしてもよい。こうすれば、コンプレッサ54によって過給される空気の内の過剰分がバイパス流路13へ逃がされるので、吸気管圧力Pimの低減が可能となる。なお、このような吸気管圧力Pimの過剰な上昇は、アクセル開度が低減した場合に、しばしば生じる。
次のステップS120では、判定モジュール310は、判定マップを参照する。図9は、第3実施例における判定マップ500bを示すグラフである。図7に示す第2実施例の判定マップ500aとの差違は、可動ベーンVNの開度指令値DVNの代わりに、ABV17の開度指令値DABに応じて、基準線が変わる点だけである。
図9の判定マップ500bには、図7に示す第2実施例と同様に、3本の適正上限基準線B31L、B31M、B31Sと、3本の適正下限基準線B32L、B32M、B32Sと、3本の低異常下限基準線B33L、B33M、B33Sとが示されている。各基準線は、いずれも、エンジン回転速度Neが速いほど、タービン回転速度Ntが速くなるように設定されている。また、第1の基準線B31L、B32L、B33Lは、第2の基準線B31M、B32M、B33Mよりも、それぞれ速く(回転速度Ntが速い)、第2の基準線B31M、B32M、B33Mは、第3の基準線B31S、B32S、B33Sよりも、それぞれ速い。
判定モジュール310は、開度指令値DABが大きいほど、大きなタービン回転速度Ntの基準値を利用する。すなわち、第1の基準線B31L、B32L、B33Lは、開度指令値DABが比較的大きい場合に利用される。第2の基準線B31M、B32M、B33Mは、開度指令値DABが比較的中程度である場合に利用される。第3の基準線B31S、B32S、B33Sは、開度指令値DABが比較的小さい場合に利用される。この理由は、以下の通りである。すなわち、エアバイパスバルブ17(図1)の開度が大きい場合には、バイパス流路13を流れる空気量が多くなるので、コンプレッサ54に係る負荷が小さくなる。その結果、タービン52の駆動に要する負荷も小さくなるので、エンジン回転速度Neが同じ場合には、適正なタービン回転速度Ntが速くなるからである。
判定マップ500bを参照した後の処理(S140〜S166)は、図6のステップS140〜S166の処理と同じである。ただし、判定モジュール310は、基準値を用いた判定を行うステップS140〜S144では、開度指令値DABの大きさに応じて、3組の基準値を使い分ける。
以上のように、第3実施例は、上述した第1実施例と同様の種々の特徴を有し、その結果、第1実施例と同様の種々の利点を有している。さらに、第3実施例は、以下の特徴を有している。すなわち、各基準線が、開度指令値DABが変化した場合にタービン回転速度Ntも変化するように設定されている点である。これにより、不具合判定に、エンジン100の動作状態の変化をより適切に反映させることができるので、不具合判定の精度を高めることができるという利点がある。
なお、タービン回転速度Ntの基準値と開度指令値DABとの対応関係としては、開度指令値DABが大きいほど基準値が速くなるような任意の対応関係を採用可能である。ここで、上述した第2実施例における回転速度Ntと開度指令値DVNとエンジン回転速度Neの関係と同様に、回転速度Ntと開度指令値DABとエンジン回転速度Neとの関係を設定可能である。
また、エンジン100に、実際のエアバイパスバルブ17(図1)の開度を検知する開度センサを設けてもよい。この場合には、開度指令値DABの代わりに、開度センサの検出結果を用いてもよい。
D.第4実施例:
図10は、第4実施例における不具合判定処理の手順を示すフローチャートである。図6、図7に示す第2実施例との差違は、ギヤ比GRが高いほどタービン回転速度Ntの基準値が速い値に設定される点だけである。装置の構成は、図1〜図3に示す第1実施例と同じである。
最初のステップS106、S108は、図6のステップS106、S108と同じである。次のステップS114では、判定モジュール310は、ギヤ比GRをギヤ比センサ82(図1)から取得する。ギヤ比GRは、エンジン100に連結された変速機(図示省略)のギヤ比である。変速機としては、任意の変速機を採用可能である。例えば、車速等に応じて所定のマップに従って自動的にギヤ比を変化させる自動変速機を採用してもよく、また、ユーザによってギヤ比が指定されるマニュアル変速機を採用してもよい。また、ギヤ比を多段階に変化させる変速機を採用してもよく、ギヤ比を無段階に変化させる無段変速機(CVTとも呼ばれる)を採用してもよい。いずれの場合も、ギヤ比センサ82は、現行のギヤ比に相関のある情報をEECU30に供給する。
ここで、ギヤ比GRとは、エンジン回転速度Neに対する、変速機に連結された車輪(図示せず)の回転速度の比率を意味している。従って、エンジン回転速度Neが同じ場合には、ギヤ比GRが高いほど、車輪の回転速度は速くなる。
次のステップS120では、判定モジュール310は、判定マップを参照する。図11は、第4実施例における判定マップ500cを示すグラフである。図7に示す第2実施例の判定マップ500aとの差違は、開度指令値DVNの代わりに、ギヤ比GRに応じて基準線が変わる点だけである。
図11の判定マップ500cには、図7に示す第2実施例と同様に、3本の適正上限基準線B41H、B41M、B41Lと、3本の適正下限基準線B42H、B42M、B42Lと、3本の低異常下限基準線B43H、B43M、B43Lとが示されている。各基準線は、いずれも、エンジン回転速度Neが速いほど、タービン回転速度Ntが速くなるように設定されている。また、第1の基準線B41H、B42H、B43Hは、第2の基準線B41M、B42M、B43Mよりも、それぞれ速く(回転速度Ntが速い)、第2の基準線B41M、B42M、B43Mは、第3の基準線B41L、B42L、B43Lよりも、それぞれ速い。
判定モジュール310は、ギヤ比GRが高いほど、大きなタービン回転速度Ntの基準値を利用する。すなわち、第1の基準線B41H、B42H、B43Hは、ギヤ比GRが高い場合に利用される。第2の基準線B41M、B42M、B43Mは、ギヤ比GRが中程度である場合に利用される。第3の基準線B41L、B42L、B43Lは、ギヤ比GRが低い場合に利用される。この理由は、以下の通りである。すなわち、ギヤ比GRが低い場合には、エンジン回転速度Neが高くなり、エンジン100の負荷(トルク)が小さくなる傾向がある。逆に、ギヤ比GRが高い場合には、エンジン回転速度Neが低くなり、エンジン100の負荷が大きくなる傾向がある。これらを総合すると、ギヤ比GRが高いほど、エンジン100の負荷が大きくなる傾向があり、それにより、ギヤ比GRが高いほど、適正なタービン回転速度Ntが速くなる傾向があるからである。
判定マップ500cを参照した後の処理(S140〜S166)は、図6のステップS140〜S166の処理と同じである。ただし、判定モジュール310は、基準値を用いた判定を行うステップS140〜S144では、ギヤ比GRの大きさに応じて、3組の基準値を使い分ける。
以上のように、第4実施例は、上述した第1実施例と同様の種々の特徴を有し、その結果、第1実施例と同様の種々の利点を有している。さらに、第4実施例は、以下の特徴を有している。すなわち、各基準線が、ギヤ比GRが変化した場合にタービン回転速度Ntも変化するように設定されている点である。これにより、不具合判定に、エンジン100の動作状態の変化をより適切に反映させることができるので、不具合判定の精度を高めることができるという利点がある。
なお、タービン回転速度Ntの基準値とギヤ比GRとの対応関係としては、ギヤ比GRが高いほど基準値が大きくなるような任意の対応関係を採用可能である。ここで、上述した第2実施例における回転速度Ntと開度指令値DVNとエンジン回転速度Neの関係と同様に、回転速度Ntとギヤ比GRとエンジン回転速度Neとの対応関係を設定可能である。
また、エンジンの特性や使用形態によっては、適正なタービン回転速度Ntが、ギヤ比GRが高いほど遅くなる場合もあり得る。このような場合には、ギヤ比GRが大きいほどタービン回転速度Ntの基準値が小さくなるように、基準値を設定してもよい。
E.第5実施例:
図12は、第5実施例における不具合対応処理の手順を示すフローチャートである。この不具合対応処理は、過大回転異常フラグDF11(図5(B))が「ON」に設定された場合に実行される。また、このフローチャートは、エンジン100がガソリンエンジンである場合の手順を示している。なお、不具合判定処理としては、上述の各実施例(図4〜図11)の処理を採用可能である。
対応処理実行モジュール320(図2)は、過大回転異常フラグDF11が「ON」に設定されたことに応じて、ステップS210に続く一連の処理を実行する(S200:Yes)。
ステップS210では、対応処理実行モジュール320(図2)は、ONに設定されている異常フラグ(この場合は、過大回転異常フラグDF11)を特定する情報を、ダイアグノーシス用メモリに格納する。ダイアグノーシス用メモリは、エンジン100修理の際に参照されるべき情報を格納するメモリである。このようなダイアグノーシス用メモリとしては、例えば、EECU30のRAMを採用可能である。ここで、プログラム実行用のRAMの代わりに、専用メモリを採用してもよい。また、不揮発性メモリを採用すれば、EECU30の電源が切れた場合であっても情報が消えることを防止できる。
次のステップS212では、対応処理実行モジュール320(図2)は、チェックエンジンランプ(図示省略)を点灯させる。このチェックエンジンランプは、ユーザに、エンジン100の点検を促すために点灯されるランプであり、車両900(図1)の操作パネル(図示省略)に設けられている。これにより、対応処理実行モジュール320は、ユーザに、エンジン100に不具合の可能性が有ることを報知することができる。
次のステップS220〜S244では、対応処理実行モジュール320(図2)は、第1動作ポイント(タービン回転速度Ntとエンジン回転速度Ne)が過大回転異常範囲から外れるまで、スロットル弁22(図1)の開度(以下「スロットル開度TA」とも呼ぶ)を低減させる。ところで、第5実施例では、エンジン100がガソリンエンジンであるので、運転制御モジュール300は、アクセル開度θが大きいほどスロットル開度TAが大きくなるように、電動アクチュエータ24を制御する。また、運転制御モジュール300は、いわゆるA/F(空燃比)が適切な値に維持されるように、吸入空気量(エアフローメータ66の検出値)に応じてIEDU142(燃料噴射量)を制御する。ここで、スロットル開度TAを低減させれば、吸入空気量が減少し、燃料噴射量も減少する。その結果、エンジン100のトルクが減少するので、タービン回転速度Ntを低減させることが可能である。対応処理実行モジュール320は、運転制御モジュール300の代わりに電動アクチュエータ24を制御することによって、スロットル開度TAを低減させる。
図12の例では、対応処理実行モジュール320は、タービン回転速度Ntとエンジン回転速度Neとを取得して(S220、S222)、第1動作ポイントが過大回転異常範囲内にあるか否かを判定する処理(S230)と、第1動作ポイントが過大回転異常範囲内にある場合に、スロットル開度TAを所定量ΔTA0だけ低減する処理(S240〜S244)と、を繰り返し実行する。スロットル開度TAを低減する際には、対応処理実行モジュール320は、現行のアクセル開度θを取得し(S240)、アクセル開度θに応じてスロットル開度TAを算出し(S242)、そして、アクセル開度θに対応するスロットル開度TAを、所定量ΔTA0だけ小さな値に補正する(S244)。そして、対応処理実行モジュール320は、電動アクチュエータ24を制御することによって、スロットル開度TAを補正後の値に設定する。
以上のように、第5実施例では、タービン回転速度Ntが過剰に速い場合には、スロットル開度TAが低減されることによって、タービン回転速度Ntが低減される。その結果、タービン回転速度Ntの過剰な上昇に起因するエンジン100の致命的な故障(例えば、タービン52や、コンプレッサ54、タービンシャフト56、永久磁石72の破壊)を抑制することが可能となる。また、このような致命的な故障が抑制されるので、可動ベーンVNに不具合が生じた場合であっても、エンジン100の駆動を維持することが可能である。その結果、レッカー車を用いることなく、車両900を修理工場まで走行させることが可能である。また、第5実施例の不具合対応処理では、第1動作ポイントが過大回転異常範囲から適正範囲へ移動するまで、スロットル開度TAが低減される。従って、エンジン100の致命的な故障を適切に抑制可能である。
F.第6実施例:
図13は、第6実施例における不具合対応処理の手順を示すフローチャートである。この不具合対応処理は、図12の例と同様に、過大回転異常フラグDF11(図5(B))が「ON」に設定された場合に実行される。ただし、この不具合対応処理は、エンジンがディーゼルエンジンである場合の処理を示している。図12に示す第5実施例との差違は、スロットル開度TAを低減させる処理(図12のS120〜S244)の代わりに、燃料噴射量tau(例えば、燃料噴射時間。後述の他の実施例においても同様)を低減させる処理(S250〜S254)が実行される点だけである。ステップS200〜S230の処理は、図12のステップS200〜S230の処理と同じである。
第6実施例では、エンジンがディーゼルエンジンであるので、装置の構成においては、点火プラグ136(図1)が省略される。また、ピストン144とシリンダ180との形状と、燃料インジェクタ14の配置とは、火花を用いずに燃料が燃焼できるように、予め設定されている。装置の他の構成は、図1〜図3に示す第1実施例と同様である。また、通常は、運転制御モジュール300は、アクセル開度θが大きいほど燃料噴射量tauが大きくなるように、IEDU142を制御する。ここで、燃料噴射量tauを低減させることによって、エンジンの出力を低減させ、タービン回転速度Ntを低減させることが可能である。対応処理実行モジュール320は、運転制御モジュール300の代わりにIEDU142を制御することによって、燃料噴射量tauを低減させる。
燃料噴射量tauの低減処理(S250〜S254)では、図12におけるスロットル開度TAの低減処理(S240〜S242)と同様の方法で、燃料噴射量tauが所定量Δtau0だけ低減される。これにより、燃料噴射量tauは、第1動作ポイント(タービン回転速度Ntとエンジン回転速度Ne)が過大回転異常範囲から外れるまで、低減される。その結果、第6実施例では、上述の第5実施例と同様に、タービン回転速度Ntの過剰な上昇に起因するエンジン100の致命的な故障を抑制することが可能となる。また、第6実施例の不具合対応処理では、第1動作ポイントが過大回転異常範囲から適正範囲へ移動するまで、燃料噴射量tauが低減される。従って、エンジンの致命的な故障を適切に抑制可能である。
G.第7実施例:
図14は、第7実施例における不具合対応処理の手順を示すフローチャートである。この不具合対応処理は、過小回転異常フラグDF12(図5(B))が「ON」に設定された場合に実行される。また、このフローチャートは、エンジン100がガソリンエンジンである場合の手順を示している。なお、不具合判定処理としては、上述の各実施例(図4〜図11)の処理を採用可能である。
対応処理実行モジュール320(図2)は、過小回転異常フラグDF12が「ON」に設定されたことに応じて、ステップS210に続く一連の処理を実行する(S200a:Yes)。ステップS210、S212の処理は、図12のステップS210、S212と同じである。
次のステップS220〜S244aでは、対応処理実行モジュール320(図2)は、第1動作ポイント(タービン回転速度Ntとエンジン回転速度Ne)が過小回転異常範囲から外れるまで、スロットル開度TAを増大させる。スロットル開度TAを増大させれば、燃料噴射量も増大し、エンジン100の出力も増大するので、タービン回転速度Ntを増大させることが可能である。対応処理実行モジュール320は、運転制御モジュール300の代わりに電動アクチュエータ24を制御することによって、スロットル開度TAを増大させる。
図14の例では、対応処理実行モジュール320は、第1動作ポイントが過小回転異常範囲内にあるか否かを判定する処理(S220〜S230a)と、第1動作ポイントが過小回転異常範囲内にある場合に、スロットル開度TAを所定量ΔTA1だけ増大させる処理(S240〜S244a)と、を繰り返し実行する。ステップS220、S222、S240、S242の処理は、図12のステップS220、S222、S240、S242の処理と、それぞれ同じである。また、ステップS230aでは、第1動作ポイントが過小回転異常範囲内にあるか否かが判定される。また、ステップS244aでは、スロットル開度TAが、所定量ΔTA1だけ大きな値に補正される。
以上のように、第7実施例では、タービン回転速度Ntが過剰に遅い場合には、スロットル開度TAが増大されることによって、タービン回転速度Ntが増大される。従って、可動ベーンVNに不具合が生じた場合であっても、エンジン100のトルクが不足することを抑制できる。また、可動ベーンVNに不具合が生じた場合であっても、車両900を修理工場まで走行させることが容易となる。
なお、図14の例では、第1動作ポイントが低回転異常範囲へ移動するまで、スロットル開度TAの増大処理が繰り返し実行される。この代わりに、第1動作ポイントが適正範囲へ移動するまでスロットル開度TAを増大させることとしてもよい。
H.第8実施例:
図15は、第8実施例における不具合対応処理の手順を示すフローチャートである。この不具合対応処理は、図14の例と同様に、過小回転異常フラグDF12(図5(B))が「ON」に設定された場合に実行される。ただし、この不具合対応処理は、エンジンがディーゼルエンジンである場合の処理を示している。図14に示す第7実施例との差違は、スロットル開度TAを増大させる処理(図14のS240〜S244a)の代わりに、燃料噴射量tauを増大させる処理(S250〜S254a)が実行される点だけである。ステップS200a〜S230aの処理は、図14のステップS200a〜S230aの処理と同じである。また、エンジンの構成は、上述の第6実施例の場合(ディーゼルエンジン)と同じである。
第8実施例では、エンジンがディーゼルエンジンであるので、燃料噴射量tauを増大させることによって、エンジンの出力を増大させ、タービン回転速度Ntを高めることが可能である。燃料噴射量tauの増大処理(S250〜S254a)では、図14のスロットル開度TAの増大処理(S240〜S244a)と同様の方法で、燃料噴射量tauが所定量Δtau1だけ増大される。これにより、第8実施例では、タービン回転速度Ntが過剰に遅い場合には、燃料噴射量tauが増大されることによって、タービン回転速度Ntが増大される。従って、可動ベーンVNに不具合が生じた場合であっても、エンジン100のトルクが不足することを抑制できる。
なお、図15の例では、第1動作ポイントが低回転異常範囲へ移動するまで、燃料噴射量tauの増大処理が繰り返し実行される。この代わりに、第1動作ポイントが適正範囲へ移動するまで燃料噴射量tauを増大させることとしてもよい。
I.第9実施例:
図16は、第9実施例における不具合対応処理の手順を示すフローチャートである。この不具合対応処理は、低回転異常フラグDF13(図5(B))が「ON」に設定された場合に実行される。また、このフローチャートは、エンジン100がガソリンエンジンである場合の手順を示している。なお、不具合判定処理としては、上述の各実施例(図4〜図11)の処理を採用可能である。
対応処理実行モジュール320(図2)は、低回転異常フラグDF13が「ON」に設定されたことに応じて、ステップS212bに続く一連の処理を実行する(S200b:Yes)。
次のステップS212bでは、対応処理実行モジュール320(図2)は、エンジンオイル交換ランプ(図示省略)を点灯させる。このエンジンオイル交換ランプは、ユーザに、エンジンオイルの交換を促すために点灯されるランプであり、車両900(図1)の操作パネル(図示省略)に設けられている。一方、本実施例では、過給器50に供給される潤滑油としてエンジンオイルが利用されている。従って、第1動作ポイントが低回転異常範囲にある場合には、エンジンオイルが劣化して粘度が大きくなっている可能性が高い。従って、エンジンオイル交換ランプを点灯させることにより、ユーザにエンジンオイルの交換を促すことが可能となる。そして、エンジンオイルが過度に劣化して、エンジン100が故障することを抑制できる。
なお、本実施例では、対応処理実行モジュール320は、低回転異常フラグDF13が「ON」であることを示す情報を、ダイアグノーシス用メモリに格納しない。これは、低回転異常フラグDF13が「ON」であることが、エンジン100の故障の可能性が高いことを意味するものでは無いからである。ただし、このような情報を、ダイアグノーシス用メモリに格納してもよい。
次のステップS220〜S244bでは、対応処理実行モジュール320(図2)は、第1動作ポイントが低回転異常範囲から外れるまで、スロットル開度TAを増大させる。ここで、ステップS220、S222、S230、S242の処理は、図14のステップS220、S222、S230、S242の処理と同じである。また、ステップS230bでは、第1動作ポイントが低回転異常範囲内にあるか否かが判定される。また、ステップS244bでは、スロットル開度TAが、所定量ΔTA2だけ大きな値に補正される。なお、この所定量ΔTA2は、図14のステップS244aで利用されている所定量ΔTA1よりも小さい。この理由は、低回転異常フラグDF13が「ON」であることは、エンジン100の故障の可能性が高いことを意味しているものではないので、スロットル開度TAを大きく高める必要性が小さいからである。また、このように、スロットル開度TAの増大量ΔTA2を、過小回転異常フラグDF12が「ON」である場合の増大量ΔTA1よりも小さくすることによって、スロットル開度TAの調整に起因するトルク変動ショックを抑えることが可能となる。
以上のように、第9実施例では、タービン回転速度Ntが低い場合には、スロットル開度TAが増大されることによって、タービン回転速度Ntが増大される。従って、過給器50の潤滑油が劣化した場合であっても、エンジン100のトルクが不足することを抑制できる。また、図16の例では、スロットル開度TAの増大によって、第1動作ポイントが低回転異常範囲から適正範囲へ移動される。従って、エンジン100のトルクが不足することを適切に抑制できる。
J.第10実施例:
図17は、第10実施例における不具合対応処理の手順を示すフローチャートである。この不具合対応処理は、図16の例と同様に、低回転異常フラグDF13(図5(B))が「ON」に設定された場合に実行される。ただし、この不具合対応処理は、エンジンがディーゼルエンジンである場合の処理を示している。図16に示す第9実施例との差違は、スロットル開度TAを増大させる処理(図16のS240〜S244b)の代わりに、燃料噴射量tauを増大させる処理(S250〜S254b)が実行される点だけである。ステップS200b〜S230bの処理は、図16のステップS200b〜S230bの処理と同じである。また、エンジンの構成は、上述の第6実施例の場合(ディーゼルエンジン)と同じである。
第10実施例では、エンジンがディーゼルエンジンであるので、燃料噴射量tauを増大させることによって、エンジン100の出力を増大させ、タービン回転速度Ntを高めることが可能である。燃料噴射量tauの増大処理(S250〜S254b)では、図16のスロットル開度TAの増大処理(S240〜S244b)と同様の方法で、燃料噴射量tauが所定量Δtau2だけ増大される。これにより、第10実施例では、タービン回転速度Ntが過剰に遅い場合には、燃料噴射量tauが増大されることによって、タービン回転速度Ntが増大される。従って、過給器50の潤滑油が劣化した場合であっても、エンジンのトルクが不足することを抑制できる。なお、この所定量Δtau2は、図15のステップS254aで利用されている所定量Δtau1よりも小さい。この理由は、所定量ΔTA2(図16)が所定量ΔTA1(図14)よりも小さい理由と同じである。
K.第11実施例:
図18は、第11実施例における車両の構成を示す概略図である。図1に示す車両900との差違は、この車両900aのエンジン100aが、可動ベーンVNの代わりに、ウェイストゲート流路250とウェイストゲートバルブ252とを有している点だけである。エンジン100a(車両900a)の他の構成は、図1のエンジン100(車両900)と同じである。
ウェイストゲート流路250は、排気通路16におけるタービン52を迂回するガス流路であり、タービン52の下流側と上流側とを接続する。ウェイストゲートバルブ252(以下「WGV252」とも呼ぶ)は、このウェイストゲート流路250の途中に設けられている。WGV252の開度を大きくすると、より多くの排気ガスが、タービン52を駆動せずに、ウェイストゲート流路250を介して過給器50の下流側の排気通路16へ流れる。その結果、タービン回転速度Ntの上昇を抑えることが可能である。一方、WGV252の開度を小さくすると、より多くの排気ガスが、タービン52を駆動に用いられる。その結果、タービン回転速度Ntを高めることが可能である。このように、タービン回転速度Ntは、WGV252の開度と強い相関がある。従って、タービン回転速度Ntを用いることによって、WGV252の不具合の可能性の有無を判定することができる。
EECU30(運転制御モジュール300(図2))は、WGV252に接続された電動アクチュエータ254を制御することによって、WGV252の開度を制御する。WGV252の開度の制御方法としては、周知の種々の方法を採用可能である。例えば、運転制御モジュール300は、タービン52に流入する排気ガスの圧力が高いほど、WGV252の開度を大きくする。これにより、吸気管圧力Pimが過剰に高くなることを抑制できる。
ところで、本実施例のエンジン100aでは、WGV252の開度が小さいほど、タービン回転速度Ntが高められる傾向にある。一方、図1に示すエンジン100においては、可動ベーンVNの開度が小さいほど、タービン回転速度Ntが高められる傾向にある。このように、WGV252の開度の変化に対するタービン回転速度Ntの変化の傾向は、可動ベーンVNの開度の変化に対するタービン回転速度Ntの変化の傾向と、同じである。従って、上記各実施例(図4〜図11)と同様の不具合判定処理を、本実施例のエンジン100aに適用可能である。これによって、WGV252の不具合の可能性の有無を判定可能である。同様に、上記各実施例(図12〜図17)と同様の不具合対応処理を、このエンジン100aに適用可能である。いずれの場合も、可動ベーンVNの開度に関する部分をWGV252の開度に関するものに置き換えればよい。
例えば、図4に示す不具合対応処理を適用すると仮定する。タービン回転速度Ntが適正上限よりも速い場合には、WGV252の閉固着異常の可能性が有ると判定可能である。また、タービン回転速度Ntが低異常下限よりも低い場合には、WGV252の開固着異常の可能性が有ると判定可能である。この際、図5の判定マップ500と同様の判定マップを利用可能である。他の不具合判定処理(図6〜図11)についても同様である。
L.第12実施例:
図19は、第12実施例における不具合判定処理の手順を示すフローチャートである。上記各実施例の不具合判定処理との差違は2点ある。1点目は、エンジン回転速度Neの代わりに吸気管圧力Pimが利用されている点である。2点目は、可動ベーンVNの代わりに、エアバイパスバルブ17(図1)の不具合の可能性の有無が判定される点である。装置の構成は、図1〜図3に示す第1実施例と同じである。ただし、図18に示す第11実施例の装置構成を採用してもよい。
ABV17の開度は、図8に示す第3実施例で説明したように、コンプレッサ54(図1)の下流側の圧力が過剰に高くならないように運転制御モジュール300によって制御される。ここで、ABV17の開度が大きいほど、バイパス流路13へ逃がされる空気量が多くなるので、吸気管圧力Pimが低くなる。このように、吸気管圧力Pimは、ABV17の開度と強い相関がある。従って、吸気管圧力Pimを用いることによって、ABV17の不具合の可能性の有無を判定することができる。
最初のステップS306では、判定モジュール310(図2)が、吸気管圧力Pimを取得する。この吸気管圧力Pimは、吸入管圧力センサ64(図1)から取得される。次のステップS308では、判定モジュール310は、タービン回転速度Ntを取得する。
次のステップS320では、判定モジュール310は、判定マップを参照する。図20(A)は、第12実施例における判定マップ500dを示すグラフである。横軸はタービン回転速度Ntを示し、縦軸は吸気管圧力Pimを示している。このグラフには4つの基準線B101〜B104が示されている。各基準線B101〜B104は、吸気管圧力Pimの基準値と、タービン回転速度Ntと、の対応関係を示している。ここで、同じタービン回転速度Ntに対する吸気管圧力Pimの大きい順番は、高異常上限B101、適正上限B102、適正下限B103、低異常下限B104の順である。タービン回転速度Ntと吸気管圧力Pimとの組み合わせ(以下「第2動作ポイント」とも呼ぶ)の範囲は、4つの基準線B101〜B104によって、5つの範囲DR21〜DR25に区分されている。
適正範囲DR21は、適正上限B102と適正下限B103とに挟まれた範囲である。第2動作ポイントが適正範囲DR21内にある場合には、吸気管圧力Pimが適正であると判定される。換言すれば、エンジン100の不具合の可能性が無いと判定される。
ABV閉異常範囲DR25は、高異常上限B101と適正上限B102とに挟まれた範囲である。このように、吸気管圧力Pimが適正な圧力よりも高い場合には、ABV17の開度が目標値(図8:開度指令値DAB)よりも小さくなっている場合が多い。従って、第2動作ポイントがABV閉異常範囲DR25内にある場合には、ABV17が閉じる方向にズレている可能性が有ると判定することができる。
ABV閉固着異常範囲DR24は、吸気管圧力Pimが高異常上限B101よりも高い範囲である。このように、吸気管圧力Pimが過剰に高い場合には、ABV17が閉状態(ABV17の開度が最小である状態)で固着していることが多い。従って、第2動作ポイントがABV閉固着異常範囲DR24内にある場合には、ABV17が閉状態で固着している可能性が有ると判定することができる。
ABV開異常範囲DR23は、適正下限B103と低異常下限B104とに挟まれた範囲である。このように、吸気管圧力Pimが適正な圧力よりも高い場合には、ABV17の開度が目標値(図8:開度指令値DAB)よりも大きくなっている場合が多い。従って、第2動作ポイントがABV開異常範囲DR23内にある場合には、ABV17が開く方向にズレている可能性があると判定することができる。
ABV開固着異常範囲DR22は、吸気管圧力Pimが低異常下限B104よりも低い範囲である。このように、吸気管圧力Pimが過剰に低い場合には、ABV17が開状態(ABV17の開度が最大である状態)で固着していることが多い。従って、第2動作ポイントがABV開固着異常範囲DR22内にある場合には、ABV17が開状態で固着している可能性が有ると判定することができる。
なお、各基準線B101〜B104は、いずれも、タービン回転速度Ntが速いほど、吸気管圧力Pimが高くなるように設定されている。これは、タービン回転速度Ntが速いほど、コンプレッサ54による過給が強くなるので、吸気管圧力Pimの適正な値も高くなる傾向にあるからである。このような各範囲を定めるための各基準線B101〜B104は、予め実験的に設定しておけばよい。
次のステップS350〜S356では、判定モジュール310は、第2動作ポイントがいずれの範囲DR21〜DR25内に有るかを判定する。第2動作ポイントが適正範囲DR21内にある場合には(S350:Yes)、次のステップS382で、判定モジュール310は、異常フラグをクリアする。図20(B)には、4つの異常範囲DR22〜DR25毎に準備された4つの異常フラグDF22〜DF25が示されている。これらの異常フラグはRAMに格納されている。第2動作ポイントが、いずれかの異常範囲DR22〜DR25の内にある場合には、判定モジュール310は、第2動作ポイントが存在する異常範囲に対応付けられた異常フラグを「ON」に設定する(S352〜S356、S382〜S388)。
フラグを設定した後、判定モジュール310は、再び、ステップS306に戻り、図19に示す不具合判定処理を繰り返し実行する。
一方、対応処理実行モジュール320(図2)は、4つの異常フラグDF22〜DF25のそれぞれの設定値に基づいた対応処理を実行する。第12実施例では、各異常フラグDF22〜DF25毎に設けられた警告ランプ(図示省略)を点灯させる。このような対応処理は、異常フラグDF22〜DF25の設定値が変化したことに応じて実行される。
以上のように、第12実施例は、以下のような種々の特徴と利点とを有している。第1の特徴点は、判定モジュール310が、不具合判定に、タービン回転速度Ntを用いている点である。エンジン100の動作状態に応じて素早く変化し得るタービン回転速度Ntを用いることによって、不具合判定の精度を高めることができるという利点がある。
第2の特徴点は、不具合判定に利用される吸気管圧力Pimの基準値(基準線B101〜B104)が、タービン回転速度Ntに応じて変わる可変値である点である。これにより、不具合判定に、エンジン100の動作状態の変化を反映させることができるので、不具合判定の精度を高めることができるという利点がある。なお、基準線としては、タービン回転速度Ntが速いほど吸気管圧力Pimが高くなるような任意の線を採用可能である。例えば、タービン回転速度Ntの一部の範囲では、吸気管圧力Pimが一定値であってもよく、また、タービン回転速度Ntの変化に対して吸気管圧力Pimがステップ状に変化してもよい。
第3の特徴点は、判定モジュール310が、複数種類の基準値を用いることにより、複数種類の不具合のそれぞれの可能性の有無を判定している点である。このように、複数種類の不具合の中から可能性の有る不具合が特定されるので、不具合の種類の特定のための労力を低減することができるという利点がある。
第4の特徴点は、判定モジュール310が、ABV17の不具合の可能性の有無の判定を、タービン回転速度Ntと吸気管圧力Pimとを用いて行っている点である。これにより、判定モジュール310は、ABV17の実際の開度を検出するセンサを用いずに、不具合判定を行うことができる。
M.第13実施例:
図21は、第13実施例における車両の構成を示す概略図である。図1に示す車両900との差違は、この車両900bのエンジン100bが、バイパス流路13とABV17との代わりに、EGR流路210とEGRバルブ202とを有している点である。また、このエンジン100bは、ディーゼルエンジンであり、点火プラグ136(図1)が省略されている。ピストン144とシリンダ180との形状と、燃料インジェクタ14の配置とは、火花を用いずに燃料が燃焼できるように、予め設定されている。エンジン100b(車両900b)の他の構成は、図1のエンジン100(車両900)と同じである。
EGR流路210は、排気ガスを吸気通路12へ循環させるガス流路であり、排気通路16のうちの排気ポート135とタービン52との間と、サージタンク60と、を接続している。このようなEGR流路210によって、排気ガスの一部が再びシリンダ180に還流されるので、燃料の燃焼速度が緩やかになる。その結果、排出されるNOx(窒素酸化物)の量を低減することができる。このEGR流路210の途中には、還流する排気ガスの量を調整するためのEGRバルブ202が設けられている。EECU30(運転制御モジュール300(図2))は、EGRバルブ202に接続された電動アクチュエータ204を制御することによって、EGRバルブ202の開度を制御する。EGRバルブ202の開度の制御方法としては、周知の種々の方法を採用可能である。なお、EGR流路210としては、シリンダ180の下流側(排気通路16)と上流側(吸気通路12)とを接続する任意の流路を採用可能である。
ところで、EGRバルブ202の開度が大きいと、吸気通路12に還流される排気ガス量も多くなるので、吸気管圧力Pimが高くなる。逆に、EGRバルブ202の開度が小さいと、吸気通路12に還流される排気ガス量が少なくなるので、吸気管圧力Pimが低くなる。このように、吸気管圧力Pimは、EGRバルブ202の開度と強い相関がある。従って、吸気管圧力Pimを用いることによって、EGRバルブ202の不具合の可能性の有無を判定することができる。
本実施例では、EGRバルブ202の開度が大きいほど吸気管圧力Pimが高められる傾向にある。一方、図19、図20に示す第12実施例では、ABV17の開度が小さいほど吸気管圧力Pimが高められる傾向にある、このように、EGRバルブ202の開度の変化に対する吸気管圧力Pimの変化の傾向は、ABV17の開度の変化に対する吸気管圧力Pimの変化の傾向と、逆である。従って、第12実施例と同様の不具合判定処理を、本実施例のエンジン100bに適用可能である。ただし、吸気管圧力Pimが適正値よりも高い場合には、EGRバルブ202が開く方向にずれる不具合の可能性があると判定される。逆も同様である。
図22は、第13実施例の不具合判定処理に用いられる判定マップ500eを示すグラフである。横軸はタービン回転速度Ntを示し、縦軸は吸気管圧力Pimを示している。この判定マップ500eは、図20(A)の判定マップ500dと同じ構成を有している。ただし、4つの異常範囲DR32〜DR35は、以下のように置き換えられたものである。すなわち、ABV閉固着異常範囲DR24はEGR開固着異常範囲DR34に置き換えられ、さらに、ABV閉異常範囲DR25はEGR開異常範囲DR35に、ABV開異常範囲DR23はEGR閉異常範囲DR33に、ABV開固着異常範囲DR22はEGR閉固着異常範囲DR32に、それぞれ、置き換えられている。
EGR開固着異常範囲DR34は、EGRバルブ202が開状態(開度が最大である状態)で固着している可能性があると判定される範囲である。EGR開異常範囲DR35は、EGRバルブ202が開く方向にズレている可能性があると判定される範囲である。EGR閉異常範囲DR33は、EGRバルブ202が閉じる方向にズレている可能性があると判定される範囲である。EGR閉固着異常範囲DR32は、EGRバルブ202が閉状態(開度が最小である状態)で固着している可能性があると判定される範囲である。
なお、これらの範囲を区切る4つの基準線B111〜B114は、いずれも、タービン回転速度Ntが高いほど、吸気管圧力Pimが大きくなるように設定されている。また、このような各範囲を定めるための各基準線B111〜B114は、予め実験的に設定しておけばよい。
判定モジュール310(図2)は、図19と同様の手順に従って、不具合判定を行う。第2動作ポイント(タービン回転速度Ntと吸気管圧力Pim)が、適正範囲DR31内にある場合には、判定モジュール310は、4つの異常範囲DR32〜DR35毎に準備された4つの異常フラグDF32〜DF35(図22(B))の全てを「OFF」に設定する。第2動作ポイントが、いずれかの異常範囲DR32〜DR35の内にある場合には、判定モジュール310は、第2動作ポイントが存在する異常範囲に対応付けられた異常フラグを「ON」に設定する。
以上のように、第13実施例では、判定モジュール310は、上述の第12実施例と同様の方法に従って、EGRバルブ202の不具合の可能性の有無の判定を行う。従って、本実施例は、第12実施例と同様の種々の特徴を有し、その結果、第12実施例と同様の種々の利点を有している。
N.第14実施例:
図23は、第14実施例における車両の構成を示す概略図である。図21に示す車両900bとの差違は、この車両900cのエンジン100cが、さらに、バイパス流路13とABV17とを有している点だけである。バイパス流路13とABV17との構成は、図1に示すバイパス流路13とABV17と同じである。エンジン100c(車両900c)の他の構成は、図21のエンジン100b(車両900b)と同じである。
本実施例のエンジン100cは、EGRバルブ202とABV17との両方を備えている。従って、第2動作ポイント(タービン回転速度Ntと吸気管圧力Pim)の現行値だけからは、不具合の原因がいずれのバルブにあるのかを判断することが難しい場合がある。例えば、吸気管圧力Pimが過剰に高い場合には、ABV17の閉固着異常(図20(A))と、EGRバルブ202の開固着異常(図22(A))と、の両方の可能性がある。そこで、本実施例では、第2動作ポイントの変化の軌跡を用いることによって、不具合の原因が、EGRバルブ202とABV17とのうちのいずれにあるかを判断する。
図24は、ABV不具合判定処理の手順を示すフローチャートである。この処理は、ABV17が閉じる方向にずれる不具合の可能性があるか否かを判定する処理である。最初のステップS306、S308では、判定モジュール310(図2)は、吸気管圧力Pimとタービン回転速度Ntと(第2動作ポイント)を取得する。以後、判定モジュール310は、第2動作ポイントの取得を継続的に実行する。そして、判定モジュール310は、車両900cの減速が開始されてから(S330:Yes)減速が終了するまで(S334:Yes)の間の第2動作ポイントの軌跡を取得する(S332)。減速の判定(S330、S334)は、速度センサ80から取得される車速CVに基づいて行われる。
図25は、第2動作ポイントの軌跡の例を示すグラフである。横軸はタービン回転速度Ntを示し、縦軸は吸気管圧力Pimを示している。グラフ中の開始ポイントD1は、減速開始時点での第2動作ポイントを示し、終了ポイントD2は、減速終了時点での第2動作ポイントを示している。また、開始ポイントD1から終了ポイントD2へ至る正常軌跡LDnは、ABV17(図23)が正常に動作している場合の軌跡を示し、開始ポイントD1から終了ポイントD2へ至る異常軌跡LDaは、ABV17が閉じる方向にずれている場合の軌跡を示している。なお、通常は、減速時には、エンジン100cの負荷(トルク)も低下するので、タービン回転速度Ntと吸気管圧力Pimとの両方が低下する。従って、終了ポイントD2の回転速度Ntと圧力Pimとは、開始ポイントD1のものと比べて、それぞれ小さい。
通常は、エンジン100cの負荷(トルク)が低減したときには(例えば、アクセルペダルの踏み込み量が低減したときには)、ABV17の開度が増大される(本実施例では、運転制御モジュール300がこのような制御を行う)。これにより、車両900cの減速時には、しばしば、ABV17の開度が増大されるので、コンプレッサ54によって過給される空気の内のバイパス流路13へ逃げる量が多くなる。その結果、減速開始時には、タービン回転速度Ntの変化率(減少の割合)よりも大きな変化率で吸気管圧力Pimが減少する。すなわち、第2動作ポイントの軌跡は、正常軌跡LDnのように下に凸な軌跡となる。なお、図25のグラフでは、回転速度Ntと圧力Pimとの両方が、均等目盛(等間隔目盛)で表されている。
一方、ABV17が閉じる方向にずれている場合には、過給された空気の内のバイパス流路13へ逃げる量が少なくなる。その結果、減速開始時には、タービン回転速度Ntの変化率(減少の割合)よりも小さな変化率で吸気管圧力Pimが減少する。すなわち、第2動作ポイントの軌跡は、異常軌跡LDaのように上に凸な軌跡となる。
このように、車両900cの減速時における第2動作ポイントの軌跡が上に凸な場合には(S360:No)、ABV17が閉じる方向にずれる不具合の可能性があると判定することができる。従って、この場合には、ABV17が閉じる方向にずれる不具合の可能性が有ることを示す異常フラグ(例えば、図20(B)のABV閉固着異常フラグDF24やABV閉異常フラグDF25)をONに設定可能である。一方、第2動作ポイントの軌跡が下に凸な場合には(S360:Yes)、ABV17が閉じる方向にずれる不具合の可能性は無いと判定することができる。従って、この場合には、ABV17が閉じる方向にずれる不具合の可能性が有ることを示す異常フラグをOFFに設定可能である。
図26は、ABV不具合判定処理の別の例の手順を示すフローチャートである。この処理は、ABV17が開く方向にずれる不具合の可能性があるか否かを判定する処理である。図24に示す判定処理との差違は、車両900cの加速時の軌跡を利用して行われる点である。判定モジュール310(図2)は、第2動作ポイント(吸気管圧力Pimとタービン回転速度Nt)の取得を継続的に実行する(S306、S308)。そして、判定モジュール310は、車両900cの加速が開始されてから(S340:Yes)加速が終了するまで(S344:Yes)の間の第2動作ポイントの軌跡を取得する(S342)。
図27は、図25と同様の、第2動作ポイントの軌跡の例を示すグラフである。開始ポイントA1は、加速開始時点での第2動作ポイントを示し、終了ポイントA2n、A2aは、それぞれ、加速終了時点での第2動作ポイントを示している。また、開始ポイントA1から正常終了ポイントA2nへ至る正常軌跡LAnは、ABV17(図23)が正常に動作している場合の軌跡を示し、開始ポイントA1から異常終了ポイントA2aへ至る異常軌跡LAaは、ABV17が開く方向にずれている場合の軌跡を示している。通常は、加速時には、エンジン100cの負荷(トルク)も増大するので、タービン回転速度Ntと吸気管圧力Pimとの両方が増大する。ただし、ABV17が開く方向にずれている場合には、バイパス流路13を流れる空気量が多くなるので、ABV17の不具合の無い場合と比べて圧力Pimの上昇量が小さくなる。その結果、回転速度Ntの上昇量も小さくなる。
通常は、エンジン100cの負荷(トルク)が増大したときに(例えば、アクセルペダルの踏み込み量が増大したときに)、ABV17の開度が低減される(本実施例では、運転制御モジュール300がこのような制御を行う)。これにより、車両900cの加速時には、しばしば、ABV17の開度が減少されるので、コンプレッサ54によって過給される空気の内のバイパス流路13へ逃げる量が少なくなる。その結果、加速開始時には、タービン回転速度Ntの変化率(増大の割合)よりも大きな変化率で吸気管圧力Pimが増大する。すなわち、第2動作ポイントの軌跡は、正常軌跡LAnのように上に凸な軌跡となる。
一方、ABV17が開く方向にずれている場合には、過給された空気の内のバイパス流路13へ逃げる量が多くなる。その結果、加速開始時には、タービン回転速度Ntの変化率(増大の割合)よりも小さな変化率で吸気管圧力Pimが増大する。すなわち、第2動作ポイントの軌跡は、異常軌跡LAaのように下に凸な軌跡となる。
このように、車両900cの加速時における第2動作ポイントの軌跡が下に凸な場合には(S370:No)、ABV17が開く方向にずれる不具合の可能性があると判定することができる。従って、この場合には、ABV17が開く方向にずれる不具合の可能性が有ることを示す異常フラグ(例えば、図20(B)のABV開固着異常フラグDF22やABV開異常フラグDF23)をONに設定可能である。一方、第2動作ポイントの軌跡が上に凸な場合には(S370:Yes)、ABV17が開く方向にずれる不具合の可能性は無いと判定することができる。従って、この場合には、ABV17が開く方向にずれる不具合の可能性が有ることを示す異常フラグをOFFに設定可能である。
なお、第2動作ポイントの軌跡の形状に基づくABV17の不具合判定処理は、車両900cの減速時と加速時とに限らず、一般に、エンジン100cの負荷(トルク)の増大時と減少時とのそれぞれの場合に実行可能である。例えば、アクセルペダルの踏み込み量が減少したときの第2動作ポイントの軌跡の形状に基づいて、図24と同様の判定を実行してもよい。同様に、アクセルペダルの踏み込み量が増大したときの第2動作ポイントの軌跡の形状に基づいて、図26と同様の判定を実行してもよい。
また、バイパス流路13を流れる空気量は、EGRバルブ202の不具合の有無に拘わらずに、ABV17の開度が大きいほど多くなる。従って、図24、図26に示したABV不具合判定は、EGRバルブ202の不具合の有無に拘わらずに、実行可能である。
図28は、第14実施例における不具合判定処理の手順を示すフローチャートである。図19に示す不具合判定処理との差違は、第2動作ポイントが適正範囲から外れている場合に、ABV17の不具合の可能性の有無を判定することによって、不具合の可能性が、EGRバルブ202とABV17とのうちのいずれのものかを判断する点だけである。
最初のステップS306〜S320の処理は、図19のステップS306〜S320と同じである。ただし、ステップS320では、EGRバルブ202とABV17との不具合を考慮した判定マップが参照される。図29は、第14実施例の不具合判定処理に用いられる判定マップ500fを示すグラフである。この判定マップ500fは、図20(A)の判定マップ500dと、図22(A)の判定マップ500eとを総合したものである。第2動作ポイントの範囲は、4つの基準線B201〜B204によって、5つの範囲I〜Vに区切られている。同じタービン回転速度Ntに対する吸気管圧力Pimの基準値が大きい順番は、第4範囲IV、第5範囲V、第1範囲I、第3範囲III、第2範囲IIの順番である。
第4範囲IVでは、EGRバルブ202が開状態で固着しているか、または、ABV17が閉状態で固着している可能性が有ると判定される。第5範囲Vでは、EGRバルブ202が開く方向にズレているか、または、ABV17が閉じる方向にズレている可能性があると判定される。第1範囲Iでは、EGRバルブ202およびABV17の不具合の可能性が無いと判定される。第3範囲IIIでは、EGRバルブ202が閉じる方向にズレているか、または、ABV17が開く方向にズレている可能性が有ると判定される。第2範囲IIでは、EGRバルブ202が閉状態で固着しているか、または、ABV17が開状態で固着している可能性が有ると判定される。
なお、各基準線B201〜B204は、いずれも、タービン回転速度Ntが高いほど、吸気管圧力Pimが大きくなるように設定されている。また、このような各範囲を定めるための各基準線B201〜B204は、予め実験的に設定しておけばよい。
次のステップS450〜S456では、判定モジュール310は、第2動作ポイントがいずれの範囲I〜V内に有るかを判定する(「予備判定」に相当する)。第2動作ポイントが適正範囲I内にある場合には(S450:Yes)、判定モジュール310は、EGRバルブ202に関する異常フラグと、ABV17に関する異常フラグと、をクリアする(S480、S482)。EECU30(図23)のRAMには、図20(B)、図22(B)と同様の異常フラグが格納されている。
第2動作ポイントが第2範囲II内にある場合には(S452:Yes)、判定モジュール310は、さらに、図26に示すABV不具合判定処理を実行する(S462)。ABV17の不具合の可能性が有ると判定された場合には、判定モジュール310は、ABV開固着異常フラグDF22(図20(B))をONに設定する(S473)。ABV17の不具合の可能性が無いと判定された場合には、判定モジュール310は、EGRV閉固着異常フラグDF32(図22(B))をONに設定する(S472)。
第2動作ポイントが第3範囲III内にある場合(S454:Yes)も同様である。図26に示すABV不具合判定処理(S464)の結果、ABV17の不具合の可能性が有ると判定された場合には、ABV開異常フラグDF23(図20(B))がONに設定される(S475)。ABV17の不具合の可能性が無いと判定された場合には、EGRV閉異常フラグDF33(図22(B))がONに設定される(S474)。
第2動作ポイントが第4範囲IV内に有る場合には(S456:Yes)、判定モジュール310は、さらに、図24に示すABV不具合判定処理を実行する(S466)。ABV17の不具合の可能性が有ると判定された場合には、ABV閉固着異常フラグDF24(図20(B))がONに設定される(S477)。ABV17の不具合の可能性が無いと判定された場合には、EGRV開固着異常フラグDF34(図22(B))がONに設定される(S476)。
第2動作ポイントが第5範囲V内にある場合(S456:No)も同様である。図24に示すABV不具合判定処理(S468)の結果、ABV17の不具合の可能性が有ると判定された場合には、ABV閉異常フラグDF25(図20(B))がONに設定される(S479)。ABV17の不具合の可能性が無いと判定された場合には、EGRV開異常フラグDF35(図22(B))がONに設定される(S478)。
フラグを設定した後、判定モジュール310は、再び、ステップS306に戻り、図28に示す不具合判定処理を繰り返し実行する。
一方、対応処理実行モジュール320(図2)は、8つの異常フラグDF22〜DF25、DF32〜DF35のそれぞれの設定値に基づいた対応処理を実行する。第14実施例では、各異常フラグDF22〜DF25、DF32〜DF35毎に設けられた警告ランプ(図示省略)を点灯させる。
以上のように、第14実施例は、上述した第12実施例と同様の種々の特徴を有し、その結果、第12実施例と同様の種々の利点を有している。さらに、第14実施例は、以下の特徴を有している。すなわち、判定モジュール310は、図24、図26に示す方法(「軌跡判定」に相当する)に従って、ABV17の不具合の可能性が有るか否かを判定している。これにより、ABV17の不具合の可能性の有無を、より精度よく判定することができるという利点がある。また、判定モジュール310は、ABV17の不具合の可能性が無いとの軌跡判定が成立した場合に、EGRバルブ202の不具合の可能性があると判定する。これにより、エンジン100cがABV17とEGRバルブ202との両方を備える場合であっても、不具合の原因がABV17とEGRバルブ202とのいずれにあるのかを特定可能である。
なお、本実施例では、第2動作ポイントが適正範囲Iから外れている場合には、ABV17の不具合の可能性が無いと判定された場合にのみ、EGRバルブ202の不具合の可能性があると判定される。逆に、ABV17の不具合の可能性が有ると判定された場合には、EGRバルブ202の不具合の可能性が無いと判定される。すなわち、ABV17とEGRバルブ202との一方のみに不具合の可能性があると仮定して不具合判定が行われている。ここで、ABV17とEGRバルブ202との両方が同時に故障する可能性は小さいと考えられる。従って、このような仮定の下で不具合判定を行うことによって、判定精度の低下を抑制しつつ、不具合の原因がABV17とEGRバルブ202とのいずれにあるのかの特定を容易にすることが可能となる。
O.第15実施例:
図30は、第15実施例における不具合対応処理の手順を示すフローチャートである。この不具合対応処理は、ABV閉固着異常フラグDF24、または、ABV閉異常フラグDF25がONに設定された場合に実行される。不具合判定処理としては、上述の各実施例(例えば、図19〜図20に示す第12実施例、図23〜図29に示す第14実施例)の処理を採用可能である。以下、エンジンとして図23のエンジン100cを用いることと仮定して、説明を行う。
対応処理実行モジュール320(図2)は、まず、車両900cの減速が開始されたことと、2つの異常フラグDF24、DF25の内の少なくとも一方がONに設定されていることと、の2つの条件が満たされているか否かを判定する。2つの条件が満たされたことに応じて(S500:Yes、S504:Yes)、対応処理実行モジュール320は、ステップS508に続く一連の処理を実行する。なお、減速の判定(S330)は、速度センサ80から取得される車速CVに基づいて行われる。また、ステップS508、S512の処理は、図12のステップS210、S212と、それぞれ同様である。
次のステップS516〜S536では、対応処理実行モジュール320(図2)は、吸気管圧力Pimが過剰に高くならないように、電動機70を用いた回生を行う。図31(A)は、吸気管圧力Pimと空気流量Gaとの関係を示すグラフである。横軸は空気流量Gaを示し、縦軸は吸気管圧力Pimを示している。空気流量Gaは、吸入空気の流量を意味しており、エアフローメータ66から取得される。グラフ中には、サージ限界線SLと、エンジン作動線ELと、が示されている。
サージ限界線SLは、吸気通路12のサージ(圧力(流量)の持続的な脈動)が生じるための吸気管圧力Pimの限界値である。吸気管圧力Pimがこのサージ限界線SL以上の場合にサージが生じる。この限界値は、空気流量Gaが大きいほど高くなっている。このようなサージ限界線SLは、実験的に取得可能である。一方、サージ限界線SLよりも下に設定されたエンジン作動線ELは、吸気管圧力Pimと空気流量Gaとの組み合わせ(以下「第3動作ポイント」とも呼ぶ)の目標値を示している。ABV17(図23)を含むエンジン100cの種々の構成要素は、第3動作ポイントがこのエンジン作動線EL上に維持されるように、運転制御モジュール300によって制御される。
ところで、ABV17(図23)が閉じる方向にずれる不具合が生じると、バイパス流路13を流れる空気量が低減するので、吸気管圧力Pimが過剰に高くなる可能性がある。特に、車両900cの減速時には、しばしば、エンジン100cのトルクとエンジン回転速度Neとが低下するので、吸気管圧力Pimの低減量が小さく、空気流量Gaの低減量が大きくなる場合が多い。その結果、第3動作ポイントがサージ限界線SLの上に移動する場合がある(例えば、図31(A)の開始ポイントD11から異常ポイントSPへ)。そこで、図30の不具合対応処理では、電動機70を用いた回生を行うことによって、第3動作ポイントがサージ限界線SLよりも上の範囲に移動することを抑制する。
対応処理実行モジュール320は、まず、第3動作ポイント(吸気管圧力Pimと空気流量Ga)を取得し(S516、S520)、目標回転速度マップを参照することによって、取得した第3動作ポイントからタービン回転速度Ntの目標値Nt_tを取得する(S524)。図31(B)は、目標回転速度マップ700を示すグラフである。このマップ700は、第3動作ポイントと目標タービン回転速度Nt_tとの対応関係を示す3次元マップである。図31(B)において、横軸は空気流量Gaを示し、縦軸は吸気管圧力Pimを示している。マップ700中に示された複数の円は、その円の中心に位置する第3動作ポイントに対応付けられた目標タービン回転速度Nt_tを示している。ここで、円の半径が目標タービン回転速度Nt_tの大きさを示している。本実施例では、目標タービン回転速度Nt_tは、空気流量Gaが大きいほど速く、かつ、吸気管圧力Pimが高いほど速くなるように設定されている。この理由は、通常は、空気流量Gaが多いほど、タービン回転速度Ntが速くなり、また、吸気管圧力Pimが高いほど、タービン回転速度Ntが速くなるからである。
目標タービン回転速度Nt_tを取得したら、対応処理実行モジュール320は、現行のタービン回転速度Ntを取得する(S528)。現行のタービン回転速度Ntが目標値Nt_t以上である場合には(S532:Yes)、対応処理実行モジュール320は、過給器電子駆動ユニット160(過給器電子制御ユニット164)を制御することによって、電動機70を用いた回生を実行する(S536)。すると、回生によって生じる制動力により、タービン回転速度Ntは低下する。その結果、吸気管圧力Pimも低減される。第3動作ポイントの取得から回生までの一連の処理(S516〜S536)は、現行の回転速度Ntが目標値Nt_tよりも小さくなるまで繰り返し実行される。これにより、例えば図31(A)中の開始ポイントD11から減速を開始した場合には、吸気管圧力Pimも大きく減少するので、サージ限界線SLよりも下の領域TA内に第3動作ポイントが移動し得る(例えば、図31(A)の通常ポイントD12)。
現行の回転速度Ntが目標タービン回転速度Nt_tよりも小さくなったら、対応処理実行モジュール320は、回生を停止する。
以上のように、第15実施例では、ABV17(図23)が閉じる方向にずれる不具合の可能性がある状態で車両900cが減速された場合には、タービン回転速度Ntが目標タービン回転速度Nt_tよりも小さくなるまで、電動機70を用いた回生が行われる。従って、吸気管圧力Pimが過剰に高くなることを抑制することができる。その結果、サージが発生することを抑制できる。
なお、第3動作ポイントと目標タービン回転速度Nt_tとの対応関係は、吸気管圧力Pimが過剰に高くならないように実験的に設定しておけばよい。この際、ABV17が閉じた状態で固着した場合であっても、吸気管圧力Pimがサージ限界線SL以下となるように、対応関係を予め実験的に設定しておくことが好ましい。こうすれば、サージが生じることを防止できる。
また、電動機70を用いた回生による吸気管圧力Pimの低減処理は、車両900cの減速時に限らず、任意のタイミングで実行可能である。ただし、エンジン100cの負荷(トルク)が減少したことを示す任意の所定の条件の成立に応じて、実行されることが好ましい。例えば、アクセルペダルの踏み込み量が減少したことに応じて、回生が実行されてもよい。こうすれば、トルクが減少した場合にサージが生じることを抑制できる。また、回生によって回収される電力量としては任意の量を採用可能である。例えば、所定の一定量であってもよい。また、タービン回転速度Ntに拘わらずに、一定時間だけ回生を実行してもよい。
P.第16実施例:
図32は、第16実施例における不具合対応処理の手順を示すフローチャートである。この不具合対応処理は、ABV開固着異常フラグDF22、または、ABV開異常フラグDF23がONに設定された場合に実行される。不具合判定処理としては、上述の各実施例(例えば、図19〜図20に示す第12実施例、図23〜図29に示す第14実施例)の処理を採用可能である。以下、エンジンとして図23のエンジン100cを用いることと仮定して、説明を行う。
対応処理実行モジュール320(図2)は、2つの異常フラグDF22、DF23の内の少なくとも一方がONに設定されたことに応じて、ステップS554に続く一連の処理を実行する(S550:Yes)。ステップS554、S558の処理は、図30のステップS508、S512と、それぞれ同様である。
次のステップS562〜S584では、対応処理実行モジュール320(図2)は、吸気管圧力Pimが過剰に低くなることを抑制するために、電動機70を用いた力行を行うことによってタービン回転速度Ntを高める。図33は、目標タービン回転速度Nt_tとアクセル開度θとの対応関係を示すグラフである。横軸はアクセル開度θを示し、縦軸は目標タービン回転速度Nt_tを示している。
グラフには、2つの目標値TN、TABAが示されている。正常目標値TNは、正常時(ABV17の不具合の可能性が無いと判定された場合)に利用される。この正常目標値TNは、アクセル開度θが大きいほど、目標値Nt_tが高くなるように設定されている。運転制御モジュール300(図2)は、現行のタービン回転速度Ntが現行のアクセル開度θから決まる正常目標値TNよりも低い場合に、タービン回転速度Ntが目標値Nt_tまで上昇するように力行を実行する。
一方、不具合時目標値TABAは、ABV17が開く方向にずれる不具合の可能性がある場合に利用される。この不具合時目標値TABAは、正常目標値TNよりも速い部分を含んでいる。ただし、アクセル開度θの最も大きな一部の範囲では、2つの目標値TABA、TNは同じである。これは、回転速度Ntを過剰に高めることを抑制するためである。また、アクセル開度θの最も小さい一部の範囲では、2つの目標値TABA、TNはゼロに設定されている。これは、アクセル開度θがごく小さい場合のトルクの微調整を容易にするためである。
ABV17が開く方向にずれる不具合の可能性がある場合には(図32:S550:Yes)、対応処理実行モジュール320(図2)が、不具合時目標値TABAに従って、電動機70を用いた力行を行う。対応処理実行モジュール320は、現行のアクセル開度θを取得して(S562)、アクセル開度θに応じた不具合時目標値TABAを取得する(S566)。また、対応処理実行モジュール320は、不具合時目標値TABAがゼロであるようなアクセル開度θの最大値(以下「アシスト開始開度θ_t」とも呼ぶ)を取得する(S570)。現行のアクセル開度θがアシスト開始開度θ_t以下である場合には(S574:No)、対応処理実行モジュール320は力行をせずに不具合対応処理を終了する。
現行のアクセル開度θがアシスト開始開度θ_tよりも高い場合には(S574:Yes)、対応処理実行モジュール320は、タービン回転速度Ntが目標タービン回転速度Nt_tを超えるまで、電動機70を用いた力行を実行する(S576〜S584)。そして、タービン回転速度Ntが目標値Nt_tを超えたら、力行を停止する。
以上のように、第16実施例では、ABV17(図23)が開く方向にずれる不具合の可能性がある場合には、電動機70を用いた力行によって、タービン回転速度Ntが正常時よりも高められる。従って、ABV17の不具合に起因する吸気管圧力Pimの低下が抑制されるので、エンジン100cのトルク不足を抑制することが可能となる。
なお、不具合時目標値TABAとアクセル開度θとの対応関係は、図33に示す対応関係に限らず、種々の関係を採用可能である。この対応関係は、トルク不足の抑制と、タービン回転速度Ntの過剰な上昇の抑制と、のバランスを考慮して、実験的に設定すればよい。この際、タービン回転速度Ntが正常時の速度よりも高められるアクセル開度θの範囲(以下「補強開度範囲」と呼ぶ)としては、任意の範囲を採用可能である。アクセル開度θの全範囲を採用してもよく、また、アクセル開度θの一部の範囲を採用してもよい。
また、ABV17が開く方向にずれる不具合の可能性がある場合の不具合対応処理としては、タービン回転速度Ntが正常時の速度と比べて高くなるように力行を実行する任意の処理を採用可能である。例えば、正常時には力行を実行せずに、ABV17(図23)が開く方向にずれる不具合の可能性がある場合に、力行を実行することとしてもよい。
Q.第17実施例:
図34は、第17実施例における不具合対応処理の手順を示すフローチャートである。この不具合対応処理は、EGRV開固着異常フラグDF34、または、EGRV開異常フラグDF35がONに設定された場合に実行される。不具合判定処理としては、上述の各実施例(例えば、図19〜図20に示す第12実施例、図23〜図29に示す第14実施例)の処理を採用可能である。以下、エンジンとして図23のエンジン100cを用いることと仮定して、説明を行う。
対応処理実行モジュール320(図2)は、2つの異常フラグDF34、DF35の内の少なくとも一方がONに設定されたことに応じて、ステップS554に続く一連の処理を実行する(S550a:Yes)。これらの各ステップS554〜S584の処理は、図32のステップS554〜S584とそれぞれ同じである。ただし、タービン回転速度Ntの目標値としては、不具合時目標値TABA(図33)の代わりに、図32の処理のために準備された目標値が利用される。
図35は、本実施例で利用される不具合時目標値TEGAを示すグラフである。横軸はアクセル開度θを示し、縦軸は目標タービン回転速度Nt_tを示している。図中には、不具合時目標値TEGAと、図33と同じ正常目標値TNと、が示されている。不具合時目標値TEGAは、図33の不具合時目標値TABAと同様の形状を有している。
EGRバルブ202(図23)が開く方向にずれる不具合が生じている場合には、大量の排気ガスが、EGR流路210を介して吸気通路12に流入するので、吸気ポート133に流入する新気(新鮮な空気)の量(流入新気量)が減少する傾向にある。その結果、エンジン100cのトルクも減少する傾向にある。ところが、対応処理実行モジュール320(図2)は、不具合時目標値TEGAに従った電動機70の力行によって、タービン回転速度Ntを高める。その結果、コンプレッサ54によって新気の圧力も高められるので、過剰な量の排気ガスが吸気通路12に流入することを抑制し、流入新気量の減少を緩和することが可能となる。これらの結果、第17実施例では、EGRバルブ202の不具合の可能性が有る場合であっても、エンジン100cのトルク不足を抑制することが可能となる。
なお、アクセル開度θが大きい場合には、コンプレッサ54による過給圧が、排気ガスの圧力と同程度か、または、それ以上にまで高くなる場合がある。このような状態で、EGRバルブ202(図23)が開く方向にずれる不具合が生じると、吸気ポート133に流入せずにEGR流路210を介して排気通路16に排出される新気量が増大する。これにより、エンジン100cのトルクが減少する。そこで、このような場合にも、対応処理実行モジュール320が力行によってタービン回転速度Ntを高めれば、トルク低下を抑制できる。ただし、タービン回転速度Ntが過剰に高くなることを抑制するためには、図35の不具合時目標値TEGAのように、アクセル開度θの最も大きい一部の範囲では、タービン回転速度Ntを高めないことが好ましい。
なお、EGRバルブ202が開く方向にずれる不具合の可能性がある場合の不具合対応処理としては、タービン回転速度Ntが正常時の速度と比べて高くなるように力行を実行する任意の処理を採用可能である。この際、補強開度範囲としては、上述の第16実施例と同様に、任意の範囲を採用可能である。また、不具合時目標値TEGA(図35)は、図33の不具合時目標値TABAと同様に実験的に設定すればよい。
R.第18実施例:
図36は、第18実施例における不具合対応処理の手順を示すフローチャートである。この不具合対応処理は、EGRV閉固着異常フラグDF32、または、EGRV閉異常フラグDF33がONに設定された場合に実行される。不具合判定処理としては、上述の各実施例(例えば、図19〜図20に示す第12実施例、図23〜図29に示す第14実施例)の処理を採用可能である。以下、エンジンとして図23のエンジン100cを用いることと仮定して、説明を行う。
対応処理実行モジュール320(図2)は、2つの異常フラグDF32、DF33の内の少なくとも一方がONに設定されたことに応じて、ステップS554に続く一連の処理を実行する(S550b:Yes)。これらの一連の処理(S554〜S584)と、図34の一連の処理(S554〜S584)との差違は、VVT位相角度変更処理(S559)が追加されている点だけである。このVVT位相角度変更処理では、給気弁InV(図23)と排気弁ExVとの両方が開いているオーバーラップ期間が長くなるように、バルブ駆動タイミングが変更される。これにより、EGRバルブ202が閉じる方向にずれる不具合が生じている場合であっても、シリンダ180に還流される排気ガスの量の減少を緩和することが可能となる(詳細は後述)。このステップS559以外の他のステップS554〜S584の処理は、図34のステップS554〜S584とそれぞれ同じである。ただし、タービン回転速度Ntの目標値Nt_tとしては、図36の処理のために準備された目標値が利用される。
図37は、ステップS566で利用される不具合時目標値TEGBを示すグラフである。図中には、図35と同じ正常目標値TNと、不具合時目標値TEGBと、が示されている。不具合時目標値TEGBは、図35の不具合時目標値TEGAと同様の形状を有している。このように、タービン回転速度Ntが正常時の速度と比べて高くなるように力行が実行される理由については、後述する。
図38は、エンジン100cのバルブタイミングの一例を示す説明図である。図38(A)(B)には、各バルブInV、ExVを開閉するタイミングが、クランク角CAに対応付けて示されている。これらの図では、クランク角CAが時間の経過とともに時計回りに変化することとしている。また、図中のTDCは上死点を示し、BDCは下死点を示している。なお、本実施例では、エンジン100cが、4サイクル運転を行うものと仮定している。
図38(A)は、正常時のバルブタイミングを示している。給気弁InVに関しては、開弁タイミングIVOaが上死点TDCから進んだ(進角した)タイミングに設定され、閉弁タイミングIVCaは、下死点BDCから遅れた(遅角した)タイミングに設定されている。一方、排気弁ExVに関しては、開弁タイミングEVOaが下死点BDCから進角したタイミングに設定され、閉弁タイミングEVCaは上死点TDCから遅れたタイミングに設定されている。その結果、給気弁InVの開弁タイミングIVOaから、排気弁ExVの閉弁タイミングEVCaまでの間は、給気弁InVと排気弁ExVとの両方が開いている。この間の角度OAは、バルブオーバーラップ量OAとも呼ばれている。
一方、図38(B)は、EGRバルブ202の不具合の可能性がある場合に利用されるバルブタイミングを示している。図38(A)のタイミングとの差違は、給気弁InVの開弁タイミングIVObと閉弁タイミングIVCbとが、図38(A)のタイミングと比べて、それぞれ、進角している点だけである。特に、開弁タイミングIVObが進角しているので、バルブオーバーラップ量OAが、図38(A)と比べて大きくなっている。ところで、通常は、排気通路16(図23)の方が吸気通路12よりも圧力が高い。従って、バルブオーバーラップ量OAを大きくすると、排気ガスが、排気ポート135からシリンダ180内を介して吸気ポート133へ逆流する。逆流した排気ガスは、続く吸気行程でシリンダ180内に吸入される。これにより、EGR流路210を介して排気ガスをシリンダ180に還流する場合と同じ効果(例えば、NOxの低減)を得ることができる。このように、燃焼室を介して排気ガスが還流する現象は「内部EGR」とも呼ばれている。以下、内部EGRによって還流される排気ガスの量を「内部EGR量」と呼ぶ。この内部EGR量は、バルブオーバーラップ量OAが大きいほど、多くなる。
図39は、EGRバルブ202の不具合の可能性がある場合に利用されるバルブタイミングの別の例を示す説明図である。図38(B)のバルブタイミングとの差違は、給気弁InVの開弁タイミングIVOcと閉弁タイミングIVCcとが進められることに加えて、排気弁ExVの開弁タイミングEVOcと閉弁タイミングEVCcとが遅らせられる点だけである。特に、図39の例では、給気弁InVの開弁タイミングIVOcが進められ、排気弁ExVの閉弁タイミングEVCcが遅らせられているので、両方のタイミングIVOc、EVCcの変化量を大きくせずに、バルブオーバーラップ量OAを大きくすることができる。
対応処理実行モジュール320(図2)は、各電動アクチュエータInA、ExA(図23)を制御することによって、各バルブInV、ExVの開閉タイミングを制御可能である。なお、電動アクチュエータの代わりに、油圧アクチュエータやカム機構などの他の種類の可変動弁機構によって給気弁InVおよび排気弁ExVを駆動しても良い。
図40は、VVT位相角度変更処理(図36:S559)の手順を示すフローチャートである。対応処理実行モジュール320(図2)は、バルブオーバーラップ量OAが大きくなるように、各バルブInV、ExV(図23)の開閉タイミングを制御する。この際、図38(B)の例のように、給気弁InVのタイミングのみを変更してもよく、図39の例のように、給気弁InVと排気弁ExVとの両方のタイミングを変更してもよい。以下、それぞれの場合をまとめて説明する。
まず、対応処理実行モジュール320は、エンジン回転速度Neと空気流量Gaとを取得し(S600、S610)、負荷率KLを算出する(S620)。ここで、負荷率KLとは、シリンダ180の内に、シリンダ容積の何%の空気が入るかを表わす値であり、エンジン回転速度Neと吸入空気量(空気流量Ga)とから算出される。負荷率KLは、空気流量Gaが多いほど高くなり、エンジン回転速度Neが高いほど小さくなる。なお、通常は、エンジン100cに要求される負荷(トルク)が大きいほど、この負荷率KLが大きくなるように、エンジン100cが制御される。
次のステップS630では、対応処理実行モジュール320は、目標バルブオーバーラップ量OAtを取得する。図41は、エンジン回転速度Neと負荷率KLと目標バルブオーバーラップ量OAtとの対応関係を示すグラフである。横軸はエンジン回転速度Neを示し、縦軸は負荷率KLを示している。また、グラフ内に記された数字は目標バルブオーバーラップ量OAtを示している(単位は度)。この対応関係では、目標バルブオーバーラップ量OAtは、正常時(EGRバルブ202の不具合の可能性が無いと判定された場合)のバルブオーバーラップ量OA(図示せず)よりも大きくなるように、設定されている。
図41の例では、エンジン回転速度Neと負荷率KLとの範囲が複数の範囲に区分されており、各範囲毎に目標バルブオーバーラップ量OAtが割り当てられている。目標バルブオーバーラップ量OAtは、エンジン回転速度Neが高いほど小さな値に設定され、また、負荷率KLが高いほど小さな値に設定される。これらの理由は以下の通りである。バルブオーバーラップ量OAが増大すると、内部EGR量が多くなる。内部EGR量が増大すると、燃料の燃焼速度が緩やかになる。その結果、バルブオーバーラップ量OAが大きいほど(すなわち、内部EGR量が多いほど)、エンジン回転速度Neと負荷(トルク)が低減する傾向にあるからである。
次のステップS640では、対応処理実行モジュール320は、給気弁InVの開弁タイミングの進角量InPを取得する。図42(A)は、進角量InPと目標バルブオーバーラップ量OAtとの対応関係を示すグラフである。横軸は目標バルブオーバーラップ量OAtを示し、縦軸は進角量InPを示す。ここで、進角量InPは、上死点TDCを基準とする進む角度を示している。グラフ中には、2つの進角量InP1、InP2が示されている。第1進角量InP1は、給気弁InVのタイミングのみを調整する場合に利用され、第2進角量InP2は、給気弁InVと排気弁ExVとの両方のタイミングを調整する場合に利用される。いずれの進角量InP1、InP2も、目標バルブオーバーラップ量OAtが大きいほど、大きな値に設定される。ただし、第1進角量InP1は第2進角量InP2よりも大きな値に設定されている。これは、給気弁InVの開弁タイミングの調整のみで、目標バルブオーバーラップ量OAtを実現するためである。
次のステップS650では、対応処理実行モジュール320は、排気弁ExVの閉弁タイミングの遅角量ExPを取得する。図42(B)は、遅角量ExPと目標バルブオーバーラップ量OAtとの対応関係を示すグラフである。横軸は目標バルブオーバーラップ量OAtを示し、縦軸は遅角量ExPを示す。ここで、遅角量ExPは、上死点TDCを基準とする遅れる角度を示している。図示するように、遅角量ExPは、目標バルブオーバーラップ量OAtが大きいほど大きな値に設定される。なお、給気弁InVのタイミングのみを変更する場合には、このステップS650は省略される。
次に、対応処理実行モジュール320は、給気弁InVの開弁タイミングが進角量InPで決まるタイミングとなるように、電動アクチュエータInA(図23)を制御する(S660)。そして、対応処理実行モジュール320は、排気弁ExVの閉弁タイミングが遅角量ExPで決まるタイミングとなるように、電動アクチュエータExAを制御する(S670)。なお、給気弁InVのタイミングのみを変更する場合には、このステップS670は省略される。
なお、給気弁InVの閉弁タイミングは固定値であってもよく、この代わりに、閉弁タイミングを開弁タイミングに合わせて調整してもよい。同様に、排気弁ExVの開弁タイミングは固定値であってもよく、この代わりに、開弁タイミングを閉弁タイミングに合わせて調整してもよい。
以上のように、第18実施例では、EGRバルブ202(図23)が閉じる方向にずれる不具合の可能性がある場合には、バルブオーバーラップ量OAが増大するように、給気弁InVの開弁タイミング、あるいは、給気弁InVの開弁タイミングと排気弁ExVの閉弁タイミングの両方が調整される。従って、EGRバルブ202に不具合が生じた場合であっても、シリンダ180に還流される排気ガスの量が減少することを抑制することができる。
また、第18実施例では、図36に示すように、タービン回転速度Ntが正常時の速度と比べて高くなるように力行が実行される。これにより、エンジン100cの背圧(排気ポート135における排気ガスの圧力)が高められるので、内部EGR量を、さらに、増大させることができる。この理由は以下の通りである。タービン52は、排気ガスの流れによって効率よく駆動されるように設計されている。従って、タービン回転速度Ntを強制的に高めた場合であっても、タービン52による排気ガスの吸引力は上昇しにくく、逆に、タービン52による抵抗(排気ガスの流れに対する抵抗)が大きくなる傾向がある。その結果、タービン回転速度Ntを高めることにより、エンジン100cの背圧が上昇し、内部EGR量を増大させることが可能となる。なお、力行処理としては、タービン回転速度Ntが正常時の速度と比べて高くなるように電動機70の力行を実行する任意の処理を採用可能である。この際、補強開度範囲としては、上述の第16実施例と同様に、任意の範囲を採用可能である。
なお、EGRバルブ202(図23)が閉じる方向にずれる不具合の可能性がある場合の対応処理としては、バルブオーバーラップ量OAを正常時よりも大きくする任意の処理を採用可能である。例えば、電動機70の力行を実行せずに、バルブオーバーラップ量OAを大きくしてもよい。なお、バルブオーバーラップ量OAを増大させるためには、給気弁InVの開弁タイミングを進ませる(進角させる)処理と、排気弁ExVの閉弁タイミングを遅らせる(遅角させる)処理と、のいずれか一方のみを実行してもよく、両方を実行してもよい。また、可変動弁機構としては、給気弁InVと排気弁ExVの少なくとも一方の動作タイミングを変更できるものを利用可能である。
また、目標バルブオーバーラップ量OAtとしては、図41に示す対応関係で決まる値に限らず、種々の値を採用可能である。例えば、所定の一定値を採用してもよい。一般には、目標バルブオーバーラップ量OAtは、シリンダ180に還流する排気ガスの不足の抑制と、トルクの低下の抑制と、のバランスを考慮して、実験的に設定すればよい。
S.変形例:
なお、上記各実施例における構成要素の中の、独立クレームでクレームされた要素以外の要素は、付加的な要素であり、適宜省略可能である。また、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
変形例1:
不具合判定処理としては、上述の各実施例の処理に限らず、タービン回転速度Ntを含む複数のパラメータ値に基づいて内燃機関の不具合の可能性の有無を判定する種々の処理を採用可能である。ここで、不具合判定処理に利用されるパラメータ値としては、不具合の種類と、エンジンの特性とに合わせて選択された任意のパラメータ値を採用可能である。例えば、図7の例と図9の例とを組み合わせて判定を行っても良い。この場合には、可動ベーンVNの開度指令値DVNが小さいほど、タービン回転速度Ntの基準値が大きくなり、かつ、ABV17の開度指令値DABが大きいほど、タービン回転速度Ntの基準値が大きくなるように、基準値を設定すればよい。
また、不具合判定処理に利用される基準値(境界)は、実験的に設定されたものを採用すればよい。ここで、複数の判定範囲の内の一部の判定範囲の境界については、複数のパラメータ値の内の一部が変化した場合であっても、他のパラメータ値が一定値であってもよい。例えば、図5(A)に示す実施例において、低異常下限B13が、エンジン回転速度Neの大きさに拘わらずにタービン回転速度Ntが一定値であるように、設定されていてもよい。
また、不具合判定処理としては、以下の処理を採用してもよい。例えば、タービン回転速度Ntと、その回転速度Ntを実現するために電動機70に供給される電力との組み合わせの範囲を、図5(A)の判定マップ500のように適正範囲と異常範囲とに区分し、これらの判定範囲に基づいて判定を行ってもよい。動作ポイント(電力と回転速度Nt)が異常範囲内にある場合には、電動機70の不具合の可能性が有ると判定できる。なお、電力の適正な値は、タービン回転速度Ntが高いほど大きくなる。ここで、電動機70に供給される電力の代わりに、電動機70を用いた回生で得られる電力を用いても、同様に判定を行うことができる。
変形例2:
可能性の有無の判定の対象となる不具合としては、上記各実施例の不具合に限らず、他の種々の不具合を採用可能である。また、判定対象の不具合としては、上記各実施例における不具合の中から任意に選択された一部のみを採用してもよい。例えば、図5に示す第1実施例において、適正上限B11のみを用いて、可動ベーンVNが閉状態で固着しているか否かのみを判定することとしてもよい。また、図28に示す第14実施例において、ABV17の不具合の可能性の有無のみを判定することとしてもよい。この場合には、軌跡判定(図24、図26)によって、ABV17の不具合の可能性が無いと判定された場合には、エンジンに不具合の可能性が無いと判定してもよい。また、上述の各実施例における不具合判定を組み合わせることにより、より多くの種類の不具合の中から、可能性の有る不具合を特定してもよい。また、不具合対応処理としても、上記各実施例における不具合対応処理の中から任意に選択したものを採用可能である。
変形例3:
上述の第1〜第4、第11実施例において、可動ベーンVNやWGV252に不具合の可能性が有ると判定された場合に対応処理実行モジュール320によって実行される不具合対応処理としては、タービン回転速度Ntに応じてエンジンのトルクを制御する任意の処理を採用可能である。この際、前記タービン回転速度が、不具合の可能性が無いと判定される値と比べて速い場合には、トルクを低減させ、タービン回転速度が、不具合の可能性が無いと判定される値と比べて遅い場合には、トルクを増大させればよい。こうすれば、不具合が生じた場合に、トルクが不足することを抑制できる。また、不具合が生じた場合に、トルクが過剰に大きくなることを抑制できる。
なお、トルクの制御方法としては、種々の方法を採用可能であり、例えば、スロットル開度TAを補正する方法や、燃料噴射量tauを補正する方法や、点火タイミングを補正する方法を採用可能である。通常は、いわゆるノッキングを抑制するために、点火タイミングが、運転制御モジュール300によって、トルクが最大となるタイミングよりも遅いタイミングに設定されている。従って、点火タイミングを早めればトルクが増大し、点火タイミングを遅くすればトルクが減少する。
また、吸入空気量を制御するためには、スロットル開度TAを制御する方法に限らず、種々の方法を採用可能である。例えば、給気弁InVの開度(リフト量とも呼ばれる)を制御してもよい。
なお、これらのパラメータ値(例えば、スロットル開度TAや燃料噴射量tau)の補正は、動作ポイント(例えば、タービン回転速度Ntとエンジン回転速度Ne)が、適正範囲に移動するように、実行されることが好ましい。このような補正方法としては、いわゆるPID制御を用いた方法や、種々のパラメータを用いたマップに基づいて補正量を決定する方法等を採用可能である。ただし、補正後の動作ポイントが適正範囲の外にあってもよい。ここで、補正量が所定の一定値であってもよく、補正量が種々のパラメータ値(例えば、アクセル開度θ)に応じて決まる所定の値であってもよい。
また、トルクを制御する際には、複数のパラメータ(例えば、スロットル開度TAと点火タイミング)を同時に補正してもよい。また、不具合発生時にエンジンの駆動を適切に継続するためには、補正量を所定の許容範囲内に限定することが好ましい。このような許容範囲は実験的に設定しておけばよい。
変形例4:
上記各実施例において、不具合判定処理に利用される基準線(本発明における「境界」に相当する)が、ギヤ比GRが変化した場合に他のパラメータ値の内の少なくとも一部が変化する部分を含むことが好ましい。例えば、図29に示す第14実施例において、各基準線B201〜B204が、ギヤ比GRが高いほど吸気管圧力Pimが高くなるように設定されていてもよい。この理由は、ギヤ比GRが高いほどエンジンの負荷(トルク)が大きくなる傾向にあるので、ギヤ比GRが高いほど適正な吸気管圧力Pimも高くなる傾向があるからである。従って、このような基準線を用いれば、ギヤ比GRとタービン回転速度Ntと吸気管圧力Pimとに基づいて適切な不具合判定を行うことができる。なお、吸気管圧力Pimの基準値が、ギヤ比GRの変化に応じて連続的に変化してもよく、また、基準値が、ギヤ比GRの変化に応じてステップ状に変化してもよい。また、タービン回転速度Ntの一部の範囲においてのみ、基準値がギヤ比GRに応じた可変値であってもよい。
なお、基準値(境界)の設定に利用されるパラメータとしては、ギヤ比GRに限らず、ギヤ比GRに相関のある種々のパラメータを採用可能である。例えば、ギヤ比を多段階に変化させる変速機を採用する場合には、現行の段階を示す情報(「シフトポジション」とも呼ばれる)に基づいて基準値を修正してもよい。
変形例5:
エアバイパスバルブ17やEGRバルブ202に不具合の可能性が有ると判定された場合に対応処理実行モジュール320によって実行される不具合対応処理としては、上述の各実施例(図30〜図42)の処理に限らず、種々の処理を採用可能である。例えば、上述の各実施例(図30〜図42)において、電動機70を用いた力行を行う代わりに、可動ベーンVNの開度とWGV252の開度との少なくとも一方を正常時の開度と比べて低減させてもよい。こうすれば、力行を行う場合と同様にタービン回転速度Ntを高めることが可能となる。また、電動機70を用いた回生を行う代わりに、可動ベーンVNの開度とWGV252の開度との少なくとも一方を正常時の開度と比べて増大させてもよい。こうすれば、回生を行う場合と同様にタービン回転速度Ntを低減することが可能である。
また、吸気管圧力Pimを用いた不具合判定処理に応じて対応処理実行モジュール320によって実行される不具合対応処理としては、可動ベーンVNの開度とWGV252の開度との少なくとも一方を、吸気管圧力Pimに応じて制御する種々の処理を採用可能である。こうすれば、不具合に応じた適切な開度制御が可能となる。この際、吸気管圧力Pimが、不具合の可能性が無いと判定される値と比べて高い場合には、開度を増大させることが好ましい。こうすれば、タービン回転速度Ntが低減されるので、吸気管圧力Pimを低減することができる。逆に、吸気管圧力Pimが、不具合の可能性が無いと判定される値と比べて低い場合には、開度を低減させることが好ましい。こうすれば、タービン回転速度Ntが高められるので、吸気管圧力Pimを高めることができる。この際、開度の補正量としては、任意の量を採用可能である。例えば、所定の一定値を採用してもよい。また、吸気管圧力Pimやタービン回転速度Ntに応じた可変値であってもよい。
変形例6:
上述の各実施例のエンジンの構成(図1、図18、図21、図23)において、利用していない構成要素は適宜省略可能である。例えば、可動ベーンVNを利用しない場合には、可動ベーンVNを省略してもよい。また、電動機70を利用しない場合には、電動機70を省略してもよい。
変形例7:
上記各実施例において、タービン回転速度Ntを取得するためのセンサ(回転子位置センサ76)としては、回転子の磁極位相を検出するホール素子や、機械的に速度を測定するセンサ等の種々のセンサを利用可能である。また、このようなセンサを利用する代わりに、電動機70の制御内容から推定されるタービン回転速度Ntを利用してもよい。例えば、回生で生じる電力、電流、又は、電圧からタービン回転速度Ntを推定してもよく、また、力行時に電動機70に供給される電力、電流、又は、電圧からタービン回転速度Ntを推定してもよい。
変形例8:
上記各実施例において、不具合の可能性が有ると判定するための条件として、動作ポイント(パラメータ値の組み合わせ)が異常範囲内にある状態が所定時間(例えば、1分)以上続くことを採用してもよい。また、動作ポイントが適正範囲から異常範囲に移動した回数の合計値が2以上の所定の閾回数(例えば、5回)以上であることを条件として採用してもよい。こうすれば、不具合が生じていないにも拘わらずに、動作ポイントが偶然に異常範囲内に入った場合に、誤って不具合の可能性が有ると判定することを抑制できる。なお、動作ポイントが適正範囲から異常範囲に移動した総数は、エンジンの駆動が停止されるたびにゼロにリセットされてもよい。
変形例9:
上述の各実施例における不具合判定処理と不具合対応処理とのそれぞれは、特に断らない限り、ガソリンエンジンに適用してもよく、ディーゼルエンジンに適用してもよい。また、エンジンは、4サイクル運転を行うものでもよく、2サイクル運転を行うものでもよい。
変形例10:
上記各実施例において、ソフトウェアによって実現されていた構成の一部をハードウェアに置き換えるようにしてもよく、逆に、ハードウェアによって実現されていた構成の一部をソフトウェアに置き換えるようにしてもよい。例えば、対応処理実行モジュール320(図2)の機能を、論理回路を有するハードウェア回路によって実現することとしてもよい。
本発明の実施例としての車両の構成を示す概略図である。 EECU30(図1)のROMの内部構成を示す概略図である。 過給器50のタービン52を示す説明図である。 第1実施例における不具合判定処理の手順を示すフローチャートである。 判定マップ500と異常フラグを示す説明図である。 第2実施例における不具合判定処理の手順を示すフローチャートである。 第2実施例における判定マップ500aを示すグラフである。 第3実施例における不具合判定処理の手順を示すフローチャートである。 第3実施例における判定マップ500bを示すグラフである。 第4実施例における不具合判定処理の手順を示すフローチャートである。 第4実施例における判定マップ500cを示すグラフである。 第5実施例における不具合対応処理の手順を示すフローチャートである。 第6実施例における不具合対応処理の手順を示すフローチャートである。 第7実施例における不具合対応処理の手順を示すフローチャートである。 第8実施例における不具合対応処理の手順を示すフローチャートである。 第9実施例における不具合対応処理の手順を示すフローチャートである。 第10実施例における不具合対応処理の手順を示すフローチャートである。 第11実施例における車両の構成を示す概略図である。 第12実施例における不具合判定処理の手順を示すフローチャートである。 判定マップ500dと異常フラグを示す説明図である。 第13実施例における車両の構成を示す概略図である。 第13実施例の不具合判定処理に用いられる判定マップ500eを示すグラフである。 第14実施例における車両の構成を示す概略図である。 ABV不具合判定処理の手順を示すフローチャートである。 第2動作ポイントの軌跡の例を示すグラフである。 ABV不具合判定処理の別の例の手順を示すフローチャートである。 第2動作ポイントの軌跡の例を示すグラフである。 第14実施例における不具合判定処理の手順を示すフローチャートである。 第14実施例の不具合判定処理に用いられる判定マップ500fを示すグラフである。 第15実施例における不具合対応処理の手順を示すフローチャートである。 吸気管圧力Pimと空気流量Gaとの関係を示すグラフである。 第16実施例における不具合対応処理の手順を示すフローチャートである。 目標タービン回転速度Nt_tとアクセル開度θとの対応関係を示すグラフである。 第17実施例における不具合対応処理の手順を示すフローチャートである。 不具合時目標値TEGAを示すグラフである。 第18実施例における不具合対応処理の手順を示すフローチャートである。 不具合時目標値TEGBを示すグラフである。 エンジン100cのバルブタイミングの一例を示す説明図である。 EGRバルブ202の不具合の可能性がある場合に利用されるバルブタイミングの別の例を示す説明図である。 VVT位相角度変更処理の手順を示すフローチャートである。 エンジン回転速度Neと負荷率KLと目標バルブオーバーラップ量OAtとの対応関係を示すグラフである。 進角量InP、および、遅角量ExPのそれぞれと、目標バルブオーバーラップ量OAtとの対応関係を示すグラフである。
符号の説明
12…吸気通路
13…バイパス流路
14…燃料インジェクタ
15…電動アクチュエータ
16…排気通路
17…エアバイパスバルブ
20…エアクリーナ
22…スロットル弁
24…電動アクチュエータ
26…触媒
30…エンジン電子制御ユニット(EECU)
32…クランク角センサ
36…アクセル開度センサ
50…過給器
50out…排出口
50TH…タービンハウジング
50in…流入口
52…タービン
54…コンプレッサ
56…タービンシャフト
60…サージタンク
62…インタークーラ
63…吸気温度センサ
64…吸入管圧力センサ
66…エアフローメータ
70…電動機
72…永久磁石
74…コイル
76…回転子位置センサ
80…速度センサ
82…ギヤ比センサ
100、100a、100b、100c…エンジン
133…吸気ポート
135…排気ポート
136…点火プラグ
144…ピストン
146…コネクティングロッド
148…クランクシャフト
149…オルタネータ
150…低圧バッテリ
154…高圧バッテリ
160…過給器電子駆動ユニット
164…過給器電子制御ユニット
180…シリンダ
202…EGRバルブ
204…電動アクチュエータ
210…EGR流路
250…ウェイストゲート流路
252…ウェイストゲートバルブ(WGV)
254…電動アクチュエータ
300…運転制御モジュール
310…判定モジュール
320…対応処理実行モジュール
500、500a、500b、500c、500d、500e、500f…判定マップ
700…目標回転速度マップ
900、900a、900b、900c…車両
N…ノズル
VNwe…端部
VN…可動ベーン
InA…電動アクチュエータ
VNa…回動軸
ExA…電動アクチュエータ
InV…給気弁
VNw…羽
ExV…排気弁

Claims (36)

  1. 過給器を有する内燃機関を制御する制御装置であって、
    前記過給器は、燃焼室からの排気ガスによって駆動されるタービンを備え、
    前記制御装置は、前記タービンの回転速度を含むN個(Nは2以上の整数)のパラメータの値に基づいて前記内燃機関の不具合の可能性の有無を判定する不具合判定部を備え、
    前記不具合判定部は、前記N個のパラメータで規定されるN次元空間を複数の判定範囲に区分した判定マップを用い、前記複数のパラメータ値が含まれる判定範囲に基づいて前記判定を行い、
    前記複数の判定範囲の内の少なくとも1つの境界は、前記複数のパラメータ値の内の一部が変化した場合に他のパラメータ値の内の少なくとも一部が変化する部分を含むように設定されている、
    制御装置。
  2. 請求項1に記載の制御装置であって、
    前記不具合判定部は、複数種類の不具合のそれぞれに対応付けられた複数の判定範囲を形成する複数の境界を用いるとともに、前記複数のパラメータ値が含まれる判定範囲に基づいて、前記複数種類の不具合の内から可能性のある不具合を特定する、
    制御装置。
  3. 請求項1または請求項2に記載の制御装置であって、
    前記不具合判定部によって可能性の有無が判定される不具合は、
    前記過給器の駆動抵抗の増大と、
    前記タービンに向かって前記排気ガスを吐出するノズルの開度を調整する可動ノズルベーンの不具合と、
    前記タービンを迂回する排気ガスの流路であるウェイストゲート流路において開度を調整するウェイストゲートバルブの不具合と、
    のうちの少なくとも1つを含む、制御装置。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の制御装置であって、
    前記複数のパラメータ値は、前記内燃機関の駆動速度を含み、
    前記境界は、前記内燃機関の駆動速度が変化した場合に他のパラメータ値のうちの少なくとも一部が変化する部分を含む、
    制御装置。
  5. 請求項4に記載の制御装置であって、
    前記境界は、前記内燃機関の駆動速度が速いほど前記タービンの回転速度が速くなるように設定されている、
    制御装置。
  6. 請求項4または請求項5に記載の制御装置であって、
    前記境界は、前記タービンの回転速度と前記内燃機関の駆動速度との対応関係を示す第1境界を含み、
    前記不具合判定部は、前記タービン回転速度が前記第1境界よりも高い場合に、
    前記タービンに向かって前記排気ガスを吐出するノズルの開度を調整する可動ノズルベーンが閉状態で固着している不具合の可能性が有るとの判定と、
    前記タービンをバイパスするウェイストゲート流路において開度を調整するウェイストゲートバルブが閉状態で固着している不具合の可能性が有るとの判定と、
    のうちの所定の一方を行う、制御装置。
  7. 請求項4または請求項6に記載の制御装置であって、
    前記境界は、前記タービンの回転速度と前記内燃機関の駆動速度との対応関係を示す第2境界を含み、
    前記不具合判定部は、前記タービン回転速度が前記第2境界よりも低い場合に、
    前記タービンに向かって前記排気ガスを吐出するノズルの開度を調整する可動ノズルベーンが開状態で固着している不具合の可能性が有るとの判定と、
    前記タービンをバイパスするウェイストゲート流路において開度を調整するウェイストゲートバルブが開状態で固着している不具合の可能性が有るとの判定と、
    のうちの所定の一方を行う、制御装置。
  8. 請求項7に記載の制御装置であって、
    前記境界は、前記タービンの回転速度と前記内燃機関の駆動速度との対応関係を示すとともに、前記第2境界よりも前記タービン回転速度が高い第3境界を含み、
    前記不具合判定部は、前記タービン回転速度が前記第3境界よりも低く、かつ、前記タービン回転速度が前記第2境界よりも高い場合に、前記過給器の駆動抵抗が増大する不具合の可能性が有ると判定する、制御装置。
  9. 請求項4ないし請求項8のいずれかに記載の制御装置であって、
    前記複数のパラメータ値は、さらに、
    前記タービンに向かって前記排気ガスを吐出するノズルの開度を調整する可動ノズルベーンが実現すべき開度を示す可動ノズルベーン開度指令値と、
    前記過給器を迂回するガス流路であるバイパス流路において開度を調整するバイパスバルブが実現すべき開度を示すバイパスバルブ開度指令値と、
    前記タービンをバイパスするウェイストゲート流路において開度を調整するウェイストゲートバルブが実現すべき開度を示すウェイストゲートバルブ開度指令値と、
    のいずれか1つである調整用開度指令値を含み、
    前記境界は、前記調整用開度指令値が変化した場合に他のパラメータ値のうちの少なくとも一部が変化する部分を含む、
    制御装置。
  10. 請求項9に記載の制御装置であって、
    前記調整用開度指令値は、前記可動ノズルベーン開度指令値と前記ウェイストゲートバルブ開度指令値とのいずれか一方であり、
    前記境界は、前記調整用開度指令値が小さいほど前記タービンの回転速度が速くなるように設定されている、
    制御装置。
  11. 請求項9に記載の制御装置であって、
    前記調整用開度指令値は、前記バイパスバルブ開度指令値であり、
    前記境界は、前記調整用開度指令値が大きいほど前記タービンの回転速度が速くなるように設定されている、
    制御装置。
  12. 請求項1ないし請求項10のいずれかに記載の制御装置であって、さらに、
    前記不具合判定部によって不具合の可能性が有ると判定された場合に、前記タービン回転速度に応じて前記内燃機関のトルクを制御する不具合対応処理部を有する、
    制御装置。
  13. 請求項12に記載の制御装置であって、
    前記不具合対応処理部は、前記タービン回転速度が、不具合の可能性が無いと判定される値と比べて速い場合には、前記トルクを低減させる、
    制御装置。
  14. 請求項12または請求項13に記載の制御装置であって、
    前記不具合対応処理部は、前記タービン回転速度が、不具合の可能性が無い
    と判定される値と比べて遅い場合には、前記トルクを増大させる、
    制御装置。
  15. 請求項12ないし請求項14のいずれかに記載の制御装置であって、
    前記不具合対応処理部は、前記内燃機関における燃料噴射量と、前記内燃機関における吸入空気量と、前記内燃機関における点火タイミングと、のうちの少なくとも一つを制御することによって、前記トルクを制御する
    制御装置。
  16. 請求項1ないし請求項15のいずれかに記載の制御装置であって、
    前記複数のパラメータ値は、前記内燃機関に接続された変速機の変速比に相関のある変速比パラメータ値を含み、
    前記境界は、前記変速比パラメータ値が変化した場合に他のパラメータ値の内の少なくとも一部が変化する部分を含む、
    制御装置。
  17. 請求項16に記載の制御装置であって、
    前記境界は、前記変速比パラメータ値が示す変速比であって、前記変速機の前記内燃機関側である前段の回転速度に対する後段の回転速度の変速比が高いほど前記タービン回転速度が速くなるように設定されている、
    制御装置。
  18. 請求項1または請求項2に記載の制御装置であって、
    前記複数のパラメータ値は、前記内燃機関における吸気管圧力を含み、
    前記境界は、前記タービンの回転速度が変化した場合に前記吸気管圧力が変化する部分を含む、
    制御装置。
  19. 請求項18に記載の制御装置であって、
    前記境界は、前記タービンの回転速度が速いほど前記吸気管圧力が高くなるように設定されている、
    制御装置。
  20. 請求項1、請求項18、請求項19のいずれかに記載の制御装置であって、
    前記不具合判定部によって可能性の有無が判定される不具合は、
    前記過給器を迂回するガス流路であるバイパス流路において開度を調整するバイパスバルブの不具合と、
    前記内燃機関からの排気ガスを前記内燃機関に還流させる排気再循環流路において開度を調整する排気再循環バルブの不具合と、
    のうちの少なくとも1つを含む、制御装置。
  21. 請求項20に記載の制御装置であって、
    前記不具合判定部によって可能性の有無が判定される不具合は、前記バイパスバルブの不具合を含み、
    前記不具合判定部は、さらに、前記内燃機関の所定の動作状態における前記複数のパラメータ値の変化の軌跡の形状に基づいて、前記バイパスバルブの不具合の可能性の有無を判定する軌跡判定を実行する、
    制御装置。
  22. 請求項21に記載の制御装置であって、
    前記複数のパラメータ値は、前記内燃機関における吸気管圧力を含み、
    前記不具合判定部は、前記内燃機関のトルクが減少した場合における前記タービン回転速度の減少に対する前記吸気管圧力の減少が、上に凸のグラフで表される場合には、前記バイパスバルブが閉じる方向にずれる不具合の可能性があると判定する、
    制御装置。
  23. 請求項21に記載の制御装置であって、
    前記複数のパラメータ値は、前記内燃機関における吸気管圧力を含み、
    前記不具合判定部は、前記内燃機関のトルクが増大した場合における前記タービン回転速度の増大に対する前記吸気管圧力の増大が、下に凸のグラフで表される場合には、前記バイパスバルブが開く方向にずれる不具合の可能性があると判定する、
    制御装置。
  24. 請求項21ないし請求項23のいずれかに記載の制御装置であって、
    前記不具合判定部によって可能性の有無が判定される不具合は、さらに、前記内燃機関からの排気ガスを前記内燃機関に還流させる排気再循環流路において開度を調整する排気再循環バルブの不具合を含み、
    前記不具合判定部は、前記複数のパラメータ値に基づいて、前記バイパスバルブと前記排気再循環バルブとのうちの少なくとも一方に不具合の可能性が有るか否かを判定する予備判定を実行し、
    不具合の可能性が有るとの前記予備判定が成立した場合には、前記不具合判定部は、さらに、前記軌跡判定を実行し、
    前記バイパスバルブの不具合の可能性が無いとの前記軌跡判定が成立した場合には、前記不具合判定部は、前記排気再循環バルブの不具合の可能性があると判定する、
    制御装置。
  25. 請求項24に記載の制御装置であって、
    前記複数のパラメータ値は、前記内燃機関における吸気管圧力を含み、
    前記境界は第1境界を含み、
    前記不具合判定部は、前記予備判定において、前記吸気管圧力が前記第1境界よりも高い場合に、前記バイパスバルブが閉じる方向にずれる不具合と前記排気再循環バルブが開く方向にずれる不具合との少なくとも一方の可能性があると判定する、
    制御装置。
  26. 請求項24に記載の制御装置であって、
    前記複数のパラメータ値は、前記内燃機関における吸気管圧力を含み、
    前記境界は第2境界を含み、
    前記不具合判定部は、前記予備判定において、前記吸気管圧力が前記第2境界よりも低い場合に、前記バイパスバルブが開く方向にずれる不具合と前記排気再循環バルブが閉じる方向にずれる不具合との少なくとも一方の可能性があると判定する、
    制御装置。
  27. 請求項20に記載の制御装置であって、
    前記複数のパラメータ値は、前記内燃機関における吸気管圧力を含み、
    前記境界は、前記吸気管圧力と前記タービン回転速度との対応関係を示す第1境界を含み、
    前記不具合判定部は、前記吸気管圧力が前記第1境界よりも高い場合に、
    前記バイパスバルブが閉じる方向にずれる不具合の可能性が有るとの判定と、
    前記排気再循環バルブが開く方向にずれる不具合の可能性が有るとの判定と、
    のうちの所定の一方を行う、制御装置。
  28. 請求項20に記載の制御装置であって、
    前記複数のパラメータ値は、前記内燃機関における吸気管圧力を含み、
    前記境界は、前記吸気管圧力と前記タービン回転速度との対応関係を示す第2境界を含み、
    前記不具合判定部は、前記吸気管圧力が前記第2境界よりも低い場合に、
    前記バイパスバルブが開く方向にずれる不具合の可能性が有るとの判定と、
    前記排気再循環バルブが閉じる方向にずれる不具合の可能性が有るとの判定と、
    のうちの所定の一方を行う、制御装置。
  29. 請求項20ないし請求項28のいずれかに記載の制御装置であって、
    前記不具合判定部は、前記バイパスバルブが閉じる方向にずれる第1不具合の可能性の有無を判定可能であり、
    前記過給器は、さらに、前記タービンに接続された電動機を有し、
    前記制御装置は、さらに、
    前記不具合判定部によって前記第1不具合の可能性が有ると判定された場合に、前記電動機を用いた回生を実行する不具合対応処理部を有する、
    制御装置。
  30. 請求項20ないし請求項28のいずれかに記載の制御装置であって、
    前記不具合判定部は、前記バイパスバルブが開く方向にずれる第2不具合の可能性の有無を判定可能であり、
    前記過給器は、さらに、前記タービンに接続された電動機を有し、
    前記制御装置は、さらに、
    前記不具合判定部によって前記第2不具合の可能性が有ると判定された場合に、不具合の可能性が無いと判定された場合よりも前記タービン回転速度が速くなるように、前記電動機を用いた力行を実行する不具合対応処理部を有する、
    制御装置。
  31. 請求項20ないし請求項28のいずれかに記載の制御装置であって、
    前記不具合判定部は、前記排気再循環バルブが開く方向にずれる第3不具合の可能性の有無を判定可能であり、
    前記過給器は、さらに、前記タービンに接続された電動機を有し、
    前記制御装置は、さらに、
    前記不具合判定部によって前記第3不具合の可能性が有ると判定された場合に、不具合の可能性が無いと判定された場合よりも前記タービン回転速度が速くなるように、前記電動機を用いた力行を実行する不具合対応処理部を有する、
    制御装置。
  32. 請求項20ないし請求項28のいずれかに記載の制御装置であって、
    前記内燃機関は、吸気弁と、排気弁と、前記吸気弁と前記排気弁とのうちの少なくとも一方の動作タイミングを変更する可変動弁機構と、を有し、
    前記不具合判定部は、前記排気再循環バルブが閉じる方向にずれる第4不具合の可能性の有無を判定可能であり、
    前記制御装置は、さらに、
    前記不具合判定部によって前記第4不具合の可能性が有ると判定された場合に、前記吸気弁と前記排気弁との両方が開いている期間であるオーバーラップ期間が、不具合の可能性が無いと判定された場合よりも長くなるように、前記可変動弁機構を制御する不具合対応処理部を有する、
    制御装置。
  33. 請求項32に記載の制御装置であって、
    前記過給器は、さらに、前記タービンに接続された電動機を有し、
    前記不具合判定部によって前記第4不具合の可能性が有ると判定された場合に、前記不具合対応処理部は、さらに、不具合の可能性が無いと判定された場合よりも前記タービン回転速度が速くなるように、前記電動機を用いた力行を実行する、
    制御装置。
  34. 請求項18または請求項19に記載の制御装置であって、
    前記内燃機関は、
    前記タービンに向かって前記排気ガスを吐出するノズルの開度を調整する可動ノズルベーンと、
    前記タービンを迂回する排気ガスの流路であるウェイストゲート流路において開度を調整するウェイストゲートバルブと、
    のうちのいずれか一方であるタービン制御バルブを有し、
    前記制御装置は、さらに、
    前記不具合判定部によって不具合の可能性が有ると判定された場合に、
    前記吸気管圧力に応じて前記タービン制御バルブの開度を制御する不具合対応処理部を有する、
    制御装置。
  35. 請求項34に記載の制御装置であって、
    前記不具合対応処理部は、前記吸気管圧力が、不具合の可能性が無いと判定される値と比べて高い場合には、前記タービン制御バルブの開度を増大させ、前記吸気管圧力が、不具合の可能性が無いと判定される値と比べて低い場合には、前記タービン制御バルブの開度を低減させる、
    制御装置。
  36. 過給器を有する内燃機関を制御する制御方法であって、
    前記過給器は、燃焼室からの排気ガスによって駆動されるタービンを備え、
    前記制御方法は、前記タービンの回転速度を含むN個(Nは2以上の整数)のパラメータの値に基づいて前記内燃機関の不具合の可能性の有無を判定する不具合判定工程を備え、
    前記不具合判定工程は、前記N個のパラメータで規定されるN次元空間を複数の判定範囲に区分した判定マップを用い、前記複数のパラメータ値が含まれる判定範囲に基づいて前記判定を行う工程を含み、
    前記複数の判定範囲の内の少なくとも1つの境界は、前記複数のパラメータ値の内の一部が変化した場合に他のパラメータ値の内の少なくとも一部が変化する部分を含むように設定されている、
    制御方法。
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