JP2007211807A - 固定式等速自在継手 - Google Patents

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Abstract

【課題】 継手が作動角をとった時、ボールと外側継手部材から飛び出そうとする位相で、ボールの飛び出しを抑制し、作動角の高角化を容易に実現する。
【解決手段】 内球面12に複数のボール溝14を形成した外輪10と、外球面22に外輪10のボール溝14と対をなす複数のボール溝24を形成した内輪20と、外輪10と内輪20の両ボール溝間に介在してトルクを伝達する複数のボール30と、外輪10の内球面12と内輪20の外球面22間に介在してボール30を保持するケージ40とを備え、ケージ40の外球面中心と内球面中心は継手中心に対して軸方向に等距離だけ反対側にオフセットされ、ケージ40の縦断面において、外輪10の開口端側を厚肉にし、外輪10のボール溝14を開口端に向けて拡径したテーパ状にすると共に、内輪20のボール溝24を反開口端側に向けて拡径したテーパ状とし、ケージ40のポケット46の厚肉部側および薄肉部側周壁面47,48の外球面側に、反開口端側へ向けて傾斜する傾斜面49,50を形成する。
【選択図】 図1

Description

本発明は固定式等速自在継手に関し、詳しくは、自動車や各種産業機械の動力伝達系において使用されるもので、駆動側と従動側の二軸間で作動角度変位のみを許容する固定式等速自在継手に関する。
近年、自動車の乗車空間拡大の観点からホイールベースを長くすることがあるが、それに伴って車両回転半径が大きくならないようにするため、自動車のドライブシャフト等の連結用継手として使用されている固定式等速自在継手の高角化による前輪の操舵角の増大が求められている。
一般的に、固定式等速自在継手は、図10に示すように内球面112に複数のボール溝114を円周方向等間隔に軸方向に沿って開口端118に向けて形成した外側継手部材110と、外球面122に外側継手部材110のボール溝114と対をなす複数のボール溝124を円周方向等間隔に軸方向に沿って形成した内側継手部材120と、外側継手部材110のボール溝114と内側継手部材120のボール溝124との間に介在してトルクを伝達する複数のボール130と、外側継手部材110の内球面112と内側継手部材120の外球面122との間に介在してボール130を保持するケージ140とを備えている。このケージ140の円周方向等間隔に、ボール130を収容したポケット146が形成されている。
前述した高角化のニーズに対する固定式等速自在継手としては、外側継手部材110のボール溝114の開口端側溝底を、その外側継手部材110の開口端118に向けて直線的に拡径したテーパ状にすると共に、内側継手部材120のボール溝124の反開口端側溝底を、その外側継手部材110の反開口端側に向けて直線的に拡径したテーパ状とすることにより、高角域の作動を実現している(例えば、特許文献1〜3参照)。
特開2001−153149号公報 特開2001−304282号公報 特開2001−349332号公報
ところで、前述した各特許文献1〜3に開示された固定式等速自在継手では、外側継手部材110および内側継手部材120の両ボール溝114,124をテーパ形状にすることで作動角の高角化を容易にしている。図11は、この固定式等速自在継手が最大作動角θをとった状態、つまり、外側継手部材110の回転軸Xと内側継手部材120の回転軸Yが最大作動角θをとった状態を示す。
しかしながら、固定式等速自在継手が高角域に入っていくにしたがって、図11に示すように、ボール130が外側継手部材110から飛び出そうとする位相(位相角φ=0°)で、ボール130と外側継手部材110のボール溝114との接触点Aと、その外側継手部材110の開口部端面119との余裕量、つまり、ボール130と外側継手部材110のボール溝114との接触点Aから、外側継手部材110の開口部端面119までの接触距離が減少し、正規の接触点からはずれ易くなる。
但し、各特許文献1〜3に開示された等速自在継手の特性として、ボール130が外側継手部材110から飛び出そうとする位相(位相角φ=0°)では過大なトラックおよびポケット荷重が発生しないため、継手の基本機能としては問題ない。ここで、トラック荷重とは、接触するボール130からボール溝114,124が受ける荷重を意味し、ポケット荷重とは、ボール130からケージ140のポケット146の壁面に作用する荷重をポケット荷重を意味する。
しかしながら、前述したようにボール130が外側継手部材110から飛び出そうとする位相(位相角φ=0°)で、ボール130と外側継手部材110のボール溝114との接触点Aと、その外側継手部材110の開口部端面119との余裕量が減少すると、図11の矢印の方向に、ボール130が飛び出し易くなるという問題が生じる。
そこで、本発明は前述の問題点に鑑みて提案されたもので、その目的とするところは、継手が作動角をとった時、ボールと外側継手部材から飛び出そうとする位相で、ボールの飛び出しを抑制し、作動角の高角化を容易に実現し得る固定式等速自在継手を提供することにある。
前記目的を達成するための技術的手段として、本発明は、内球面に複数のボール溝を円周方向等間隔に軸方向に沿って開口端に向けて形成した外側継手部材と、外球面に外側継手部材のボール溝と対をなす複数のボール溝を円周方向等間隔に軸方向に沿って形成した内側継手部材と、外側継手部材と内側継手部材の両ボール溝間に介在してトルクを伝達する複数のボールと、外側継手部材の内球面と内側継手部材の外球面との間に介在してボールを保持するポケットが形成されたケージとを備え、ケージの外球面中心と内球面中心は継手中心に対して軸方向に等距離だけ反対側にオフセットされ、ケージの縦断面において、外側継手部材の開口端側を厚肉にすると共にその反開口端側を薄肉にし、外側継手部材のボール溝の開口端側溝底を、開口端に向けて直線的に拡径したテーパ状にすると共に、内側継手部材のボール溝の反開口端側溝底を、その反開口端側に向けて直線的に拡径したテーパ状とし、ケージのポケット周壁面の外球面側の一部あるいは全域で、かつ、開口端厚肉側あるいは反開口端薄肉側のうちの少なくとも開口端厚肉側に、反開口端側へ向けて傾斜する傾斜面を形成したことを特徴とする。なお、傾斜面としては、ケージの縦断面において、R形状あるいはテーパ形状のいずれかを採用することが可能である。
本発明では、ケージのポケット周壁面の外球面側の一部あるいは全域で、かつ、開口端厚肉側あるいは反開口端薄肉側のうちの少なくとも開口端厚肉側に、反開口端側へ向けて傾斜する傾斜面を形成したことにより、継手が作動角をとった時、ボールが外側継手部材から飛び出そうとする位相(位相角φ=0°)で、そのボールが飛び出す方向を調整して反開口端側へ向けることができる。その結果、ボールが外側継手部材から飛び出そうとする位相で、そのボールと外側継手部材のボール溝との接触点と、その外側継手部材の開口部端面との余裕量が減少しても、ボールの飛び出しを抑制することが可能となる。
ここで、「開口端厚肉側あるいは反開口端薄肉側のうちの少なくとも開口端厚肉側」としたのは、開口端厚肉側のみに傾斜面を形成するか、あるいは、開口端厚肉側と反開口端薄肉側の両方に傾斜面を形成するかのいずれかであることを意味する。これは、ポケット周壁面の開口端厚肉側は、継手が作動角をとった時に、ボールが外側継手部材から飛び出そうとする位相(位相角φ=0°)で、そのボールが飛び出す方向を調整してボールの飛び出しを抑制する点で、反開口端薄肉側と比較して大きく関与するためである。また、傾斜面の形成は、ケージのポケット周壁面の外球面側の一部あるいは全域のいずれであってもよい。
本発明では、外側継手部材および内側継手部材の両ボール溝をテーパ状とすることにより、外側継手部材の外径を大きくすることなく、作動角の高角化を容易に実現する上で、外側継手部材の肉厚を薄くしてもその外側継手部材の強度および加工性を低下させないように、この固定式等速自在継手の内部諸元の中で、ボール溝をテーパ状にすることによる影響および傾向を検証し、前述のボール溝のテーパ角度の最適値としてその上限値を12°に規定した。
本出願人は、従来必要な基本性能である強度や耐久性を確保しながら、静的内部力解析、有限要素法(FEM)解析を用いて検討を進め、ボール溝のテーパ角度の範囲を絞り込んで最適設定した。そして、テーパ角度を変えたサンプルの評価結果と解析結果との整合性を確認した。
前述の構成において、ケージの外球面中心と内球面中心とのケージオフセット量fと、外側継手部材のボール溝の曲率中心または内側継手部材のボール溝の曲率中心とボールの中心とを結ぶ線分の長さPCRとの比の値f/PCRが0.12以下であることが望ましい。このケージオフセット量fは、ケージの縦断面における肉厚差に関係するため、この点を考慮してケージオフセット量fを設定することが望ましい。
例えば、ケージオフセット量fを大きく設定することにより、外側継手部材の開口端側にケージの厚肉側を位置させるようにすれば、外側継手部材の開口端側のケージの肉厚を増大させて強度向上を図ることができる利点を有する。また、外側継手部材の開口端側のケージの肉厚を増大させることによって、作動角をとった時、外側継手部材の開口端から飛び出そうとするボールをケージで拘束することができる。
ただし、ケージオフセット量fが大きすぎると、ケージのポケット内におけるボールの周方向移動量が大きくなり、ボールの適正な運動を確保するため、ケージのポケットの周方向寸法を大きくする必要が生じるので、ケージの柱部が細くなり、強度面が問題となる。また、外側継手部材の反開口端側のケージの肉厚が小さくなり、強度面が問題となる。
以上より、ケージオフセット量fが過大であるのは好ましくなく、ケージオフセット量fを設ける意義と前述の強度面での問題との均衡を図り得る最適範囲が存在する。ただ、ケージオフセット量fの最適範囲は継手の大きさによって変わるので、継手の大きさを表わす基本寸法との関係において求める必要がある。そのため、ケージオフセット量fと、外側継手部材のボール溝の曲率中心または内側継手部材のボール溝の曲率中心とボールの中心とを結ぶ線分の長さPCRとの比f/PCRを用いる。
そこで、前述の構成におけるケージオフセット量は、そのケージオフセット量fと、作動角0°時における外側継手部材のボール溝の曲率中心または内側継手部材のボール溝の曲率中心とボールの中心とを結ぶ線分の長さPCRとの比f/PCRを0より大きく、かつ、0.12以下とすることが望ましい。
この比f/PCRが0.12より大きいと前述の強度面での問題がある。逆に、0以下であるとケージオフセット量fを設ける意義がなくなる。すなわち、ケージオフセット量fが0の場合、トラックオフセット量も0のため、オフセットが0となり、くさび角=0でボール(ケージ)位置が定まらず、作動性が著しく悪化することから、0以下の範囲では、その目的が達成できない。従って、ケージ強度の確保、耐久性の確保の点から、比f/PCRが0より大きく、かつ、0.12以下であることが、ケージオフセット量fの最適範囲である。
なお、本発明は、ボール数が6個あるいは8個である固定式等速自在継手に適用可能であるが、ボール数が8個の固定式等速自在継手に適用すれば、固定式等速自在継手のコンパクト化が図れる点で有効である。
本発明によれば、ケージのポケット周壁面の外球面側の一部あるいは全域で、かつ、開口端厚肉側あるいは反開口端薄肉側のうちの少なくとも開口端厚肉側に、反開口端側へ向けて傾斜する傾斜面を形成したことにより、継手が作動角をとった時、ボールが外側継手部材から飛び出そうとする位相(位相角φ=0°)で、そのボールが飛び出す方向を調整して反開口端側へ向けることができる。
その結果、ボールが外側継手部材から飛び出そうとする位相で、そのボールと外側継手部材のボール溝との接触点と、その外側継手部材の開口部端面との余裕量が減少しても、ボールの飛び出しを抑制することが可能となり、作動角の高角化を容易に実現することができ、近年における自動車の乗車空間拡大の観点からホイールベースを長くする要望に対して、車両回転半径が大きくならないように前輪の操舵角の増大を容易に対応することができる。
本発明に係る固定式等速自在継手の実施形態を以下に詳述する。
図1に示す固定式等速自在継手は、外輪10と、内輪20と、ボール30と、ケージ40を主要な構成要素としている。この固定式等速自在継手によって連結すべき二軸、例えば従動側の回転軸(図示せず)を外輪10と結合し、駆動側の回転軸(図示せず)を結合して、両者が角度をなした状態でも等速でトルクを伝達するようになっている。なお、図1は外輪10の回転軸Xと内輪20の回転軸Yとがなす作動角θが0°の状態を示し、図3はその作動角θが最大の状態を示す。
外側継手部材としての外輪10はマウス部16とステム部(図示せず)とからなり、ステム部にて従動側の回転軸とトルク伝達可能に結合する。マウス部16は一端にて開口した椀状で、その内球面12に、軸方向に延びた複数のボール溝14が円周方向等間隔に形成されている。そのボール溝14はマウス部16の開口端18まで延びている。
内側継手部材としての内輪20は、その外球面22に、軸方向に延びた複数のボール溝24が円周方向等間隔に形成されている。そのボール溝24は内輪20の軸方向に切り通されている。内輪20は駆動側の回転軸とトルク伝達可能に結合するためのスプライン孔26を有している。
外輪10のボール溝14と内輪20のボール溝24とは対をなし、各対のボール溝14,24で構成されるトラックに1個ずつ、トルク伝達要素としてのボール30が転動可能に組み込んである。ボール30は外輪10のボール溝14と内輪20のボール溝24との間に介在してトルクを伝達する。
各ボール30はケージ40の円周方向に配設したポケット46内に収容されている。ボール30の数、換言すれば、ボール溝14,24の数は任意であるが、例を挙げるならば6あるいは8である。特に、ボールが8個の場合、コンパクトな等速自在継手を実現することができる。
ケージ40は外輪10と内輪20との間に摺動可能に介在し、外球面42にて外輪10の内球面12と接し、内球面44にて内輪20の外球面22と接する。外輪10の内球面12の曲率中心とケージ40の外球面42の曲率中心とは一致し、図2に符号Oで示している。同様に、内輪20の外球面22の曲率中心とケージ40の内球面44の曲率中心とは一致し、図2に符号Oで示している。なお、図面では、外輪10の内球面12とケージ40の外球面42との間、内輪20の外球面22とケージ40の内球面44との間のすきまが誇張して示している。
外輪10のボール溝14は円弧部分14aと直線部分14bとからなり、円弧部分14aはマウス部16の奥側つまり反開口端側に位置し、直線部分14bは開口端側に位置する。そして、ボール溝14は、開口端側の溝底を、開口端18に向かって直線的に拡径するテーパ角度αのテーパ状としている。
内輪20のボール溝24は円弧部分24aと直線部分24bとからなり、円弧部分24aは外輪10の開口端側に位置し、直線部分24bは反開口端側に位置する。そして、ボール溝24は、外輪10の奥側つまり反開口端側の溝底を、反開口端側に向かって直線的に拡径するテーパ角度αのテーパ状としている。
この継手では、大きな作動角θを取り得る構造とするため、図2に示すように、外輪10のボール溝14の曲率中心Oは内球面12の中心Oに対して、内輪20のボール溝24の曲率中心Oは外球面22の中心Oに対して、等距離Fだけ軸方向に逆向きにオフセットさせている(トラックオフセット)。同様に、ケージ40の外球面42の曲率中心Oと内球面44の曲率中心Oは、継手中心Oに対して等距離fだけ軸方向に逆向きにオフセットさせている(ケージオフセット)。
図3に示すように、外輪10の回転軸Xと内輪20の回転軸Yが0°以外のある作動角θをとったとき、両回転軸X,Yのなす角度θの二等分線に垂直な平面すなわち継手中心面P内にすべてのボール30があれば、ボール中心から両回転軸X,Yまでの距離が相等しく、したがって、両回転軸X,Y間で等角速度で回転運動の伝達が行われる。継手中心面Pと回転軸X,Yとの交点を継手中心Oと称する。固定式等速自在継手では、作動角θに関わりなく継手中心Oは固定されている。
対をなす外輪10のボール溝14と内輪20のボール溝24とで構成されるトラックは、外輪10のマウス部16の奥側から開口端側に向かって径方向間隔が徐々に拡大する楔状を呈している。そして、継手が作動角θをとった状態でトルクを伝達するとき、図2に白抜き矢印で示すように、楔状のトラックの狭い方から広い方へボール30を押し出そうとする力が作用する。この力によってボール30からケージ40のポケット46の壁面に作用する荷重をポケット荷重と呼ぶ。
ケージ40は、前述したようにケージオフセットを設けたことにより、外輪10の開口端側に向けて厚肉で、その反開口端側に向けて薄肉となった形状を有する。つまり、外輪10の開口端側に厚肉部41、その反開口端側に薄肉部43が配されている。
このケージ40の円周方向等間隔に、ボール30を収容する略矩形状のポケット46が形成されている。ケージ40のポケット46の厚肉部側周壁面47の外球面側と薄肉部側周壁面48の外球面側に、反開口端側へ向けて傾斜する傾斜面を形成する。その傾斜面としては、ケージ40の縦断面において、図5に示すようにR形状の傾斜面49,50(曲率半径R)とするか、あるいは、図6に示すようにテーパ形状の傾斜面51,52(テーパ角度β)とするかのいずれかを採用すればよい。また、傾斜面は、ケージ40のポケット46の厚肉部側周壁面47と薄肉部側周壁面48の外球面側の一部あるいは全域のいずれかに形成すればよい。
このように、ケージ40のポケット46の厚肉部側周壁面47の外球面側と薄肉部側周壁面48の外球面側に、反開口端側へ向けて傾斜する傾斜面49〜52を形成したことにより、継手が作動角をとった時、ボール30が外輪10から飛び出そうとする位相(位相角φ=0°)で、図3の矢印で示すようにそのボール30が飛び出す方向を調整して反開口端側へ向けることができる。その結果、ボール30が外輪10から飛び出そうとする位相で、そのボール30と外輪10のボール溝14との接触点Aと、その外輪10の開口部端面19との余裕量が減少しても、ボール30の飛び出しを抑制することが可能となる。
この実施形態では、ケージ40のポケット46の厚肉部側周壁面47の外球面側と薄肉部側周壁面48の外球面側の両方に傾斜面49〜52を形成した場合について説明したが、この傾斜面は、ケージ40のポケット46の厚肉部側周壁面47の外球面側のみに形成するようにしてもよい。ケージ40のポケット46の厚肉部側周壁面47の外球面側は、継手が作動角をとった時に、ボール30が外輪10から飛び出そうとする位相(位相角φ=0°)で、そのボール30が飛び出す方向を調整してボール30の飛び出しを抑制する点で、ケージ40のポケット46の薄肉部側周壁面48の外球面側と比較して大きく関与するからである。
外輪10と内輪20が最大作動角θをとったとき、外輪10のマウス部16の開口端18からボール30が飛び出すことを防止するため、ケージ40のポケット46で拘束できるようにケージオフセット量fを従来のものよりも大きく設定する。すなわち、ケージオフセット量をf、ボール30の中心軌跡半径値、すなわち、作動角0°時における外輪10のボール溝14の曲率中心Oまたは内輪20のボール溝24の曲率中心Oとボール30の中心Oとを結ぶ線分の長さをPCRとした場合、f/PCRが0より大きく、かつ、0.12以下となるように設定する。
このように、外輪10および内輪20の両ボール溝14,24をテーパ状とすれば、最大作動角の高角化と共に、外輪10のボール溝14におけるボール30との接触長さを確保することができるので、外輪10と内輪20との間で安定したトルク伝達を確保することができる。また、作動角をとった時にボール30が最も飛び出そうとする位相(位相角φ=0°)(図3および図4参照)のトラック荷重およびポケット荷重を低減することができるので、外輪10と内輪20の高角域での作動において有利である。ここで、トラック荷重とは、接触するボール30からボール溝14,24が受ける荷重を意味する。
また、ケージ40の外球面42は外輪10の内球面12に接触案内され、ケージ40の内球面44は内輪20の外球面22に接触案内され、トルク伝達時にケージ40と外輪10または内輪20との間で球面力が作用するが、その球面力の最大値を低減することができ、継手内部での発熱を抑制できる。さらに、鍛造型が抜き易いことから冷間鍛造による加工性がよく、製造コストの低減も図れる。
外輪10および内輪20の両ボール溝14,24をテーパ状とすることにより、前述したトラック荷重、ポケット荷重および球面力からなる内部力の影響および傾向を検証し、有限要素法(FEM)解析を実施することで、ボール溝14,24のテーパ角度α(図1および図2参照)の範囲を絞り込んで最適設定した。
まず、ボール溝14,24のテーパ角度αを大きくすることによる内部力(トラック荷重、ポケット荷重および球面力)の傾向は、表1のとおりである。なお、表1において、ボール30が最も飛び出そうとする位相(位相角φ=0°)と内部力が最大値となるボール30の位相、つまり、ボール30が最も奥に入る位相(位相角φ=180°付近)について検証した(図3および図4参照)。また、球面力の変動幅とは、球面力の最大値と最小値との差を意味する。
Figure 2007211807
表1から明らかなようにテーパ角度αを大きくすると、ポケット荷重の最大値が大きくなるが、ボール30が最も奥に入る位相(位相角φ=180°付近)で外輪10の肉厚を大きく、また、ケージオフセット量を大きくしてケージ40の肉厚を大きくすることにより強度を確保することができるので問題にはならない。
次に、テーパ角度αの上限値を決定するために、有限要素法(FEM)解析を実施した。テーパ角度αが大きくなれば、ボール30が最も飛び出そうとする位相(位相角φ=0°)では内部力(トラック荷重およびポケット荷重)が小さくなり、強度的に有利になるが、外輪10の開口端18でありその肉厚が小さくなるため、ボール溝14に発生する応力値を継手強度に換算して傾向を確認した。その結果は、図7に示すとおりである。同図に示す特性から明らかなようにテーパ角度αが12.9°で継手強度が必要強度を下回ることから、テーパ角度αの最適範囲としてその上限値を12°として規定した。
なお、前述の実施形態では、トラックオフセットを設けた場合について例示したが、そのトラックオフセットを設けずにトラックオフセット量Fを0にしてもよい。トラックオフセットを設けていると、外輪10のボール溝14の円弧部分14aがその奥側に向けて浅くなることから、作動角をとった時にボール溝14の最奥部に位置するボール30の乗り上げが生じる可能性がある。
そこで、外輪10のボール溝14の曲率中心Oをその内球面12の曲率中心Oに一致させ、かつ、内輪20のボール溝24の曲率中心Oをその外球面22の曲率中心Oに一致させてトラックオフセット量Fを0とすることにより、外輪10のボール溝14の円弧部分14aが奥側に向けて浅くなることがなく均一な深さとなることから、作動角をとった時にボール溝14の最奥部に位置するボール30の乗り上げを抑制することができる。
トラックオフセット量F、ケージオフセット量f、テーパ角度αの各因子を変動させて内部力解析を行った結果を次に述べる。ここで、トラックオフセットについては、高角域に入っても許容負荷トルクが落ちない超高角固定式等速自在継手の特性を考慮してトラックオフセット量F=0すなわち「トラックオフセットなし」とした。ケージオフセットについては、内部力の観点からはできるだけ小さい方がよいが、継手の機能確保のためにはある程度ケージオフセットをつけなくてはならないことから、0≦f/PCR≦0.150で変動させた。テーパ角度αについては、0°から12°までの範囲で変動させた。
ケージオフセット量f=0(f/PCR=0)ならば、テーパ角度αが1.1°以上のとき、ボール30が最も飛び出そうとする位相(0°位相)のトラック荷重およびポケット荷重はゼロになる。一方、テーパ角度α=12°ならば、ケージオフセット量f=3.94(f/PCR=0.114)以下のとき、ボール30が最も飛び出そうとする位相(0°位相)のトラック荷重およびポケット荷重はゼロになる。
つまり、ケージオフセット量fとテーパ角度αとの関係が図8の斜線領域内に設定されていれば、ボール30が最も飛び出そうとする位相(0°位相)のトラック荷重およびポケット荷重はゼロになる。ここで、図8は内部力解析により算出したデータに基づいて作図したもので、横軸がテーパ角度α(deg)、縦軸がf/PCRを表している。
これより、ボール30が最も飛び出そうとする位相(0°位相)に負荷される荷重を極力小さくし、より高角作動域において有利となる内部仕様は次のようになる。
トラックオフセット:なし
ケージオフセット量f:0<f/PCR≦0.12
テーパ角度α:1°≦α≦12°
また、この実施形態では、ボール30が最も飛び出そうとする位相(0°位相)における荷重が低減する一方、ピークの荷重は従来の等速自在継手と比較して大きくなることから、強度を確保するため、ケージ40の厚肉部41を外輪10の開口端側に向けた配置とするのが好ましい。
前述の内部仕様で寸法を設定した本発明による固定式等速自在継手(実施例)と従来の固定式等速自在継手(比較例)について、最大作動角時のボール30が最も飛び出そうとする位相(0°位相)におけるトラック荷重およびポケット荷重を算出したところ、結果は図9に示すとおりであった。同図より、比較例に対して実施例が、トラック荷重とポケット荷重のいずれも8割以上減少していることが分かる。
本発明に係る固定式等速自在継手の実施形態を示す断面図である。 図1の等速自在継手において、ケージオフセットおよびトラックオフセット等の内部諸元を説明するための図である。 図1の等速自在継手において、外輪に対して内輪が最大作動角をとった状態を示す断面図である。 ケージに収容されたボールの位相を示す断面図である。 図1の等速自在継手におけるケージで、ポケットの厚肉部側および薄肉部側周壁面の外球面側にR形状の傾斜面を形成した場合を説明する図である。 ケージのポケットの厚肉部側および薄肉部側周壁面の外球面側にテーパ形状の傾斜面を形成した場合を説明する図である。 ボール溝のテーパ角度に対する継手強度の関係を示す特性図である。 ボール溝のテーパ角度とf/PCRとの関係を示す特性図である。 最大作動角時における基本トルク負荷時の0°位相荷重を示す特性図である。 固定式等速自在継手の従来例を示す断面図である。 図10の等速自在継手において、外輪に対して内輪が最大作動角をとった状態を示す断面図である。
符号の説明
10 外側継手部材(外輪)
12 外側継手部材(外輪)の内球面
14 外側継手部材(外輪)のボール溝
18 開口端
20 内側継手部材(内輪)
22 内側継手部材(内輪)の外球面
24 内側継手部材(内輪)のボール溝
30 ボール
40 ケージ
41 厚肉部
42 ケージの外球面
43 薄肉部
44 ケージの内球面
46 ポケット
47,48 ポケット周壁面
49,50 R形状の傾斜面
51,52 テーパ形状の傾斜面
f ケージオフセット量
F トラックオフセット量
外側継手部材(外輪)のボール溝の曲率中心
内側継手部材(内輪)のボール溝の曲率中心
ケージの内球面中心
ケージの外球面中心
ボールの中心
α ボール溝のテーパ角度

Claims (5)

  1. 内球面に複数のボール溝を円周方向等間隔に軸方向に沿って開口端に向けて形成した外側継手部材と、外球面に前記外側継手部材のボール溝と対をなす複数のボール溝を円周方向等間隔に軸方向に沿って形成した内側継手部材と、前記外側継手部材と内側継手部材の両ボール溝間に介在してトルクを伝達する複数のボールと、外側継手部材の内球面と内側継手部材の外球面との間に介在してボールを保持するポケットが形成されたケージとを備え、
    前記ケージの外球面中心と内球面中心は継手中心に対して軸方向に等距離だけ反対側にオフセットされ、ケージの縦断面において、外側継手部材の開口端側を厚肉にすると共にその反開口端側を薄肉にし、
    前記外側継手部材のボール溝の開口端側溝底を、前記開口端に向けて直線的に拡径したテーパ状にすると共に、前記内側継手部材のボール溝の反開口端側溝底を、その反開口端側に向けて直線的に拡径したテーパ状とし、
    前記ケージのポケット周壁面の外球面側の一部あるいは全域で、かつ、開口端厚肉側あるいは反開口端薄肉側のうちの少なくとも開口端厚肉側に、反開口端側へ向けて傾斜する傾斜面を形成したことを特徴とする固定式等速自在継手。
  2. 前記傾斜面は、ケージの縦断面において、R形状あるいはテーパ形状のいずれかとした請求項1に記載の固定式等速自在継手。
  3. 前記外側継手部材および内側継手部材の両ボール溝のテーパ角度の上限値を12°とした請求項1又は2に記載の固定式等速自在継手。
  4. 前記ケージの外球面中心と内球面中心とのケージオフセット量fと、作動角0°時における外側継手部材のボール溝の曲率中心または内側継手部材のボール溝の曲率中心とボールの中心とを結ぶ線分の長さPCRとの比の値f/PCRが0より大きく、かつ、0.12以下である請求項1〜3のいずれか一項に記載の固定式等速自在継手。
  5. 前記ボールの個数を8個とした請求項1〜4のいずれか一項に記載の固定式等速自在継手。
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