JP2007200775A - 金属微粒子分散体および金属微粒子分散体を利用した導電材料 - Google Patents

金属微粒子分散体および金属微粒子分散体を利用した導電材料 Download PDF

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公也 後藤
Takuya Tonomura
卓也 外村
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Abstract

【課題】分散媒中での金属微粒子の分散安定性が高く、膜化後の金属微粒子の接触および焼結を阻害せず導電性を発現させることができる金属微粒子分散体を提供する。
【解決手段】本発明の金属微粒子分散体は、表面に分散剤が吸着した金属微粒子を分散媒中に分散させてなる金属微粒子分散体であって、分散剤は、分子内にカルボキシル基および水酸基の少なくとも一方を有し、分散媒の比誘電率が、12.0以上である。
【選択図】なし

Description

本発明は、分散安定性と導電性に優れた金属微粒子分散体および金属微粒子分散体を利用した導電材料に関するものである。具体的には、太陽電池パネル配線、フラットパネルディスプレイの電極、回路基板やICカードの配線、スルーホールまたは回路、ブラウン管の電磁波遮蔽材、建材または自動車の赤外線遮蔽材、電子機器や携帯電話の静電気帯電防止剤、曇ガラスの熱線遮蔽材、樹脂に導電性を付与するためのコーティングとして好適に用いられ得る導電材料と、それらを作製するために用いられ得る金属微粒子分散体に関するものである。
従来から、導電性膜を形成する方法として、例えば金属の真空蒸着、化学蒸着およびイオンスパッタリングなどの方法が広く用いられている。しかしながら、これらの方法は、真空系または密閉系での作業を必要とするため、操作が煩雑である。また、これらの方法は、大きな装置(設備)を必要とする。その結果、これらの方法は、導電性膜の量産性が低い上に、多くの費用を必要とする。
また、従来から、導電性膜を形成する方法として、メッキによって形成する方法も広く用いられている。この方法は、多量の廃液を排出する。上記廃液には多くの材料が混入しているため、この方法は、材料の損失が大きいとともに、環境に対する負荷が大きい。また上記廃液を処理しようとすると、多くの費用を必要とする。
また、従来から、配線のパターニングを形成する方法として、フォトリソグラフィー法が広く用いられている。しかしながら、この方法は、基材上に形成された導電性膜の必要部分をマスクする工程を必要とする。また、配線のパターニングを形成する過程において、感光性樹脂、除去された金属膜、およびそれらが混入した廃液が多量に排出されるため、それらを処理するための費用が必要であるとともに、環境に対する負荷が大きい。
これらの方法の問題点を解決するため、液状材料からなるコーティング液を基材上に描画することによって導電性膜を形成する方法が用いられている。この方法では、特別な設備を設ける必要がなく、簡単な設備にて導電性膜を生産できる。したがって、広いスペースを必要とせず、投資も少なくてすむ。また、廃液もほとんどなく、そこに混入する材料を損失することもほとんどないので、費用の面でも有利であり、環境に対する負荷も小さい。
従来から、上記方法に用いられるコーティング液としては、銀やその他の金属微粒子を樹脂や有機溶媒中に練りこんだ金属ペーストや、導電性インクと称される液状組成物が用いられている(例えば、特許文献1および2参照)。上記コーティング液は、ディスペンサーやスクリーン印刷によって基材上に配置されることが多い。また、最近では粘度の低いコロイド状の金属分散液をインクジェット方式によって吐出して基材上に描画し、配線パターンを形成する方法も試みられている。
このような金属微粒子を分散させた液状組成物では、金属微粒子の分散安定性と膜化後の導電性が、重要な特性として注目されている。
特開2000−212611号公報(平成12年8月2日公開) 特開2002−88277号公報(平成14年3月27日公開)
上記従来のコーティング液では、分散媒中において金属微粒子を分散安定化するには、金属微粒子表面に吸着して、微粒子同士の凝集を防ぐ分散剤を必要とする。上記分散剤として、金属微粒子への吸着力が強くかつ金属微粒子の分散安定化への寄与が強い分散剤を選択すると、膜化後に金属粒子間の接触および焼結を阻害し、膜の導電性を阻害するという問題を生じる。一方、金属微粒子への吸着力が弱くかつ金属微粒子の分散安定化への寄与が弱い分散剤を選択すると、分散媒中の金属微粒子が凝集してしまうという問題を生じる。
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであって、その目的は、分散媒中で金属微粒子の分散安定性が高いと共に、膜化後の金属微粒子の接触および焼結を阻害せず導電性を発現させることができる金属微粒子分散体および金属微粒子分散体を利用した導電材料を提供することにある。
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討した結果、1)分子内にカルボキシル基および水酸基の少なくとも一方を有する分散剤が表面に吸着した金属微粒子を、比誘電率が12.0以上の分散媒に分散させること、2)金属微粒子分散体の表面に吸着している分散剤の量を限定することによって、分散媒中で金属微粒子の分散安定性が高いと共に、膜化後の金属微粒子の接触および焼結を阻害せず導電性を発現させることができる金属微粒子分散体を作製することができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明の金属微粒子分散体は、上記課題を解決するために、表面に分散剤が吸着した金属微粒子を分散媒中に分散させてなる金属微粒子分散体であって、上記分散剤は、分子内にカルボキシル基および水酸基の少なくとも一方を有し、上記分散媒の比誘電率が、12.0以上であることを特徴としている。
本発明の金属微粒子分散体では、上記金属微粒子が、Hよりも酸化還元電位が低い金属からなることが好ましい。
また、本発明の金属微粒子分散体では、上記金属微粒子が、金、銀、銅、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、イリジウムおよびオスミウムからなる群より選ばれる1種以上の金属からなることが好ましい。
また、本発明の金属微粒子分散体では、表面に分散剤が吸着した前記金属微粒子を30℃以下で乾燥させて得られる固形分を、窒素雰囲気下、10℃/minの昇温速度にて500℃まで昇温する条件で熱重量分析を行ったとき、重量減少量が、0.1重量%以上、10重量%以下であることが好ましい。
本発明の導電材料は、上記課題を解決するために、上記金属微粒子分散体を基材上に配置し、その後、加熱処理することによって作製されることを特徴としている。
本発明の金属微粒子分散体は、以上のように、表面に分散剤が吸着した金属微粒子を分散媒中に分散させてなる金属微粒子分散体であって、上記分散剤は、分子内にカルボキシル基および水酸基の少なくとも一方を有し、上記分散媒の比誘電率が、12.0以上である。
上記分散媒の比誘電率が12.0以上であることによって、上記分散剤の分散効果が増す。これによって、表面に分散剤が吸着した金属微粒子は安定に分散媒中に分散することができる。
その結果、分散媒中で金属微粒子の分散安定性が高いと共に、膜化後の金属微粒子の接触および焼結を阻害せず導電性を発現させることができる金属微粒子分散体を提供することができるという効果を奏する。
本発明の一実施形態について以下に説明する。以下の説明では、まず金属微粒子分散体について説明した後、当該金属微粒子分散体を用いて作製される導電材料について説明する。
〔金属微粒子分散体〕
本発明の金属微粒子分散体では、金属微粒子が分散媒中に分散されている。
上記金属微粒子は、特に限定されないが、Hよりも酸化還元電位が低い金属からなることが好ましい。更に、上記金属微粒子は、金、銀、銅、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、イリジウムおよびオスミウムよりなる群より選ばれる1種以上の金属を含むことが好ましい。また、上記金属微粒子は、銀、銅、白金およびパラジウムよりなる群より選ばれる1種以上の金属を含むことが最も好ましい。
更に、金属微粒子の粒子径は、特に限定されるものではないが、1〜400nmであることが好ましい。また、粒子径が1nm未満である場合でも、良好な導電性インクは得られるが、一般的にそのような金属微粒子の製造はコスト高であって実用的ではない。一方、粒子径が400nmを超える場合、金属微粒子の分散安定性は経時的に変化しやすい。上記金属微粒子の粒子径は、3〜100nmであることが、より好ましい。また、上記金属微粒子の粒子径は、5〜40nmであることが、最も好ましい。なお、上記金属微粒子の粒子径は、適宜従来の方法を用いて測定することができる。例えば、動的光散乱法を用いた粒度分布測定が一般的に用いられ得る。具体的には、LB−550(株式会社 堀場製作所製)を用いて測定することができる。具体的な測定条件は、例えば、分布形態を標準として、データ取り込み回数:100回、反復回数:50回、粒子径基準:体積、試料屈折率:0.200−3.900i(銀)、分散媒屈折率:1.333(水)、分散媒粘度:0.8426mPa・S、測定温度:27.7℃として測定することが好ましい。なお、測定結果のメシアン系をもって粒子径の代表値とする。
金属微粒子分散体中の金属微粒子の濃度は特に限定されるものではないが、3重量%以上、70重量%以下であることが好ましい。金属微粒子分散体を用いて導電材料を形成しようとする場合、金属微粒子の濃度が低すぎれば、乾燥後の導電材料の厚さが不均一になったり、導電材料が不連続になったりする。一方、金属微粒子の濃度が高すぎれば、乾燥および固化が生じやすくなり、取り扱いが困難になる。上記金属微粒子の濃度は、10重量%以上、60重量%以下であることが、より好ましい。また、上記金属微粒子の濃度は、15重量%以上、45重量%以下であることが、最も好ましい。
また、金属微粒子分散体では、上記金属微粒子の表面に分散剤が吸着している。上記分散剤は、金属微粒子の表面に吸着することによって、金属微粒子を分散媒中に安定に分散させ得る分子であって、当該分子内にカルボキシル基および水酸基の少なくとも一方を有するものであればよく、特に限定されるものではない。具体的に、上記分散剤としては、クエン酸、りんご酸、酒石酸、グリコール酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸および各種ヒドロキシカルボン酸やその塩類に代表される有機酸、ならびにグリシン、アラニン、バリン、ロイシン、セリン、トレオニンに代表されるアミノ酸類、没食子酸、2−ヒドロキシ−1,4−ナフトキノン、2,3−ジヒドロキシ−1,4−ナフトキノン、1,4−ジヒドロキシナフタレン−2−カルボン酸、3−アルキル−2−ヒドロキシ−1,4−ナフトキノン、2,2−ビス(3−ヒドロキシ−1,4−ナフトキノン)、5−ヒドロキシイソフタル酸、サリチル酸、タンニン酸およびカテキン類などが挙げられる。また、これらは単独にて用いられてもよいし、2種類以上が併用されてもよい。
また、これらの分散剤を還元剤として用い、分散媒中に存在する金属イオンを還元すると共に、酸化還元反応後の還元残渣が、分散剤として金属微粒子分散体中に残留してもよい。
金属微粒子分散体の分散媒は、比誘電率が12.0以上であればよく、特に限定されるものではない。比誘電率が12.0よりも低い分散媒を用いた場合には、銀粒子などの金属微粒子の分散安定性が阻害されて金属微粒子が凝集を引き起こし、その結果、金属微粒子の沈降および沈殿を引き起こす。分散媒としては、具体的には、水、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、2−プロピルアルコール、1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、エチレングリコール、グリセリンおよびアセトンなどが挙げられる。特に水を用いる場合には、人体や環境に対する悪影響がない。したがって、上記分散媒は、水であることがより好ましい。
また、金属微粒子分散体は、塗工や描画時の加工特性を向上させるために、粘度調整剤、チキソ剤、表面張力調整剤および造膜助剤などを含有してもよい。
上記粘度調整剤としては、特に限定されるものではないが、ポリエステル系エマルジョン樹脂、アクリル系エマルジョン樹脂、ポリウレタン系エマルジョン樹脂、ブロックドイソシアネートなどのエマルジョン、ポリエステル系樹脂、ポリアクリレート系樹脂、ポリアクリルアミド系樹脂、ポリエーテル系樹脂、メラミン系樹脂、セルロース系樹脂、アクリレート系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂および水性ポリアニリン系樹脂などを挙げることができる。これらは、単独にて用いられてもよいし、2種類以上が併用されてもよい。
上記粘度調整剤の添加量としては、上記金属微粒子100重量部に対して、0.1重量部以上、10重量部以下であることが好ましい。上記粘度調整剤の添加量が、上記金属微粒子100重量部に対して10重量部を超えると、導電性が悪化する。一方、0.1重量部未満であると粘度調整剤として機能しない。上記粘度調整剤の添加量は、1重量部以上、6重量部以下であることがより好ましい。
上記チキソ剤としては、クレイ、ベントナイト、ヘクトライトなどの粘度鉱物、ポリエステル系エマルジョン樹脂、アクリル系エマルジョン樹脂、ポリウレタン系エマルジョン樹脂、ブロックドイソシアネートなどのエマルジョンを挙げることができる。これらは、単独にて用いられてもよいし、2種類以上が併用されてもよい。
上記チキソ剤の添加量としては、上記金属微粒子100重量部に対して、10重量部以下、分散媒100重量部に対して0.01重量部以上であることが好ましい。上記チキソ剤の添加量が、上記金属微粒子100重量部に対して10重量部を超えると、導電性が悪化する。一方、分散媒100重量部に対して0.01重量部未満であると、チキソ剤として機能しない。上記チキソ剤の添加量は、分散媒100重量部に対して1.0重量部以上、上記金属微粒子100重量部に対して6.0重量部以下であることが、より好ましい。
上記表面張力調整剤としては、各種界面活性能を有するものであればよく、特に限定されるものではない。具体的に、表面張力調整剤としては、各種溶媒または各種界面活性剤を挙げることができる。具体的に、上記溶媒としては、水、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、2−プロピルアルコール、1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、エチレングリコール、グリセリンおよびアセトンなどが好ましい。また、上記界面活性剤としては、フッ素系界面活性剤などのノニオン系界面活性剤などが好ましい。
上記表面張力調整剤の添加量としては、分散媒100重量部に対して、0.01重量部以上、5.0重量部以下であることが好ましい。上記表面張力調整剤の添加量が、分散媒100重量部に対して5.0重量部を超えると、導電性が悪化する。一方、0.01重量部未満であると、表面張力調整剤として機能しない。上記表面張力調整剤の添加量は、分散媒100重量部に対して0.03重量部以上、1.0重量部以下であることが、より好ましい。
上記造膜助剤としては、特に限定されるものではないが、ポリエステル系エマルジョン樹脂、アクリル系エマルジョン樹脂、ポリウレタン系エマルジョン樹脂、ブロックドイソシアネートなどのエマルジョン、ポリエステル系樹脂、ポリアクリレート系樹脂、ポリアクリルアミド系樹脂、ポリエーテル系樹脂、メラミン系樹脂、セルロース系樹脂、アクリレート系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂および水性ポリアニリン系樹脂などを挙げることができる。これらは単独にて用いられてもよいし、2種類以上が併用されてもよい。
上記造膜助剤の添加量としては、上記金属微粒子100重量部に対して、0.1重量部以上、10重量部以下であることが好ましい。上記造膜助剤の添加量が、上記金属微粒子100重量部に対して10重量部を超えると、導電性が悪化する。一方、0.1重量部未満であると、造膜助剤として機能しない。上記造膜助剤の添加量は、金属微粒子100重量部に対して1.0重量部以上、6.0重量部以下であることが、より好ましい。
金属微粒子分散体は、上述したように、チキソ剤、粘度調整剤、表面張力調整剤および造膜助剤を含み得る。これらの薬剤として用いられる物質の中には、複数の薬剤の機能を同時に有し得る物質も存在する。この場合、金属微粒子分散体中の当該物質の量は、それぞれの薬剤として用いられる量の合計である。
また、本発明の金属微粒子分散体では、表面に分散剤が吸着した前記金属微粒子を30℃以下で乾燥させて得られる固形分を、窒素雰囲気下、10℃/minの昇温速度にて500℃まで昇温する条件で熱重量分析を行ったとき、重量減少量が、0.1重量%以上、10重量%以下であることが好ましい。上記条件にて、熱重量分析を行うことによって、金属微粒子の表面に吸着した分散剤の量を規定することができる。換言すれば、本発明の金属微粒子分散体では、金属微粒子の表面に吸着する分散剤の量が、熱重量分析にて分析された場合に上記範囲内になるように加えられることが好ましい。
上記熱重量分析の方法としては、特に限定されるものではなく、適宜公知の方法を用いることができる。なお、上記熱重量分析にかけるための金属微粒子の回収方法も特に限定されないが、本発明の金属微粒子分散体を限外濾過膜にて濾過してもよいし、または遠心分離法によって沈殿物として回収してもよい。上記熱重量分析において、重量減少量が0.1重量%未満であると、分散媒中での金属微粒子の分散安定性が低下する。一方、重量減少量が10重量%を超えると、得られる導電材料の導電性が悪くなる。上記重量減少量は、0.1重量%以上、6.0重量%以下であることが、より好ましい。
また、上述したように、本発明の金属微粒子分散体は、チキソ剤、粘度調整剤、表面張力調整剤および造膜助剤を含有してもよい。上記チキソ剤、粘度調整剤、表面張力調整剤および造膜助剤には、金属微粒子の表面に吸着し得るものも存在する。この場合、金属微粒子表面に吸着した分散剤、チキソ剤、粘度調整剤、表面張力調整剤および造膜助剤の総量が、0.1重量%以上、6.0重量%以下であることが好ましい。
〔導電材料〕
上述した本発明の金属微粒子分散体を用いれば、導電性を有する導電材料を作製することができる。以下に、導電材料の作製方法について説明する。
導電材料は、金属微粒子分散体を基材上に配置し、更に加熱処理することによって作製することができる。
ここで、導電材料とは、上記加熱処理後に基材上に形成された金属微粒子からなる固形物を意図するものとする。
上記基材は、その上に金属微粒子分散体を配置することができ、かつ加熱処理を行うことができるものであればよく、特に限定されるものではない。例えば、アルミナ焼結体、フェノール樹脂、ガラスエポキシ樹脂もしくはガラスなどからなる基板、またはガラス、樹脂もしくはセラミックなどからなる建材、または樹脂もしくはセラミックなどによって表面が形成された電気機器などを挙げることができる。また、上記基材の形状としても、特に限定されるものではなく、例えば、板状、フィルム状などを挙げることができる。
金属微粒子分散体を基材上に配置する方法は、特に限定されるものではなく、公知の方法を適宜用いることができる。具体的に金属微粒子分散体を基材上に配置する方法としては、ディッピング、スクリーン印刷、スプレー方式、バーコート法、スピンコート法および刷毛による方法などを挙げることができる。なお、本明細書中にて「配置する」とは、上記基材上に金属微粒子分散体を付着させることを意図する。
上記基材上に配置される金属微粒子分散体の形状は、上記方法によって形成することのできる形状であればよく、特に限定されるものではない。具体的には、膜状、網目状、直線状または帯状に配置することができる。
上記基材上に配置される金属微粒子分散体の量も特に限定されるものではなく、作製したい導電材料に応じて、適宜選択することができる。つまり、作製したい導電材料の形状、厚さ、大きさなどによって適宜選択することができる。
基材上に配置された金属微粒子分散体は、例えば加熱処理が施されることによって、分散媒などが除去され、その結果、基材上に導電材料が形成される。上記加熱処理は、オーブンなど公知の方法を用いて行うことが可能である。また、上記加熱処理の温度および時間としては、特に限定されるものではないが、150℃にて30分間の加熱処理であることが好ましい。また、上記加熱処理の温度および時間としては、250℃にて30分間の加熱処理であることが更に好ましい。
以下に示す実施例および比較例では、金属微粒子として銀微粒子を用い、金属微粒子分散体として銀コロイド溶液を作成した。なお、以下の実施例および比較例では、得られた銀コロイド溶液を濾過した後、各分散媒に置換している。このとき、上記濾過の過程において、余剰の分散剤などは除去されるが、金属微粒子の表面には分散剤が吸着している。そして、実施例1〜6に記載されている分散媒などを用いることによって、金属微粒子の表面に吸着した分散剤の分散効果が増す。その結果、本発明の金属微粒子分散体および金属微粒子分散体を利用した導電材料を作製することができる。以下にその詳細について説明する。
〔実施例1〕
硝酸銀3.0gをイオン交換水1.0Lに溶解し、硝酸銀水溶液を調製した。次にクエン酸ナトリウム12.0g、タンニン酸0.5gおよびpH調整用の1N水酸化ナトリウム水溶液10mLをイオン交換水1.0Lに加えて攪拌した。その後、先に調製した硝酸銀水溶液を添加し、1時間攪拌することによって、銀コロイド溶液を得た。得られた銀コロイド溶液を、分画分子量5万の限外濾過膜(アドバンテック東洋製)を用いて濾過し、不純物イオンを除去した。濾過は、1.0Lのイオン交換水を10回、計10Lのイオン交換水を通して行い、その結果、分散媒は水に置換された。その後、980Gにて10分間の遠心分離を行って沈殿を除去し、上清を金属微粒子分散体として回収した。
〔実施例2〕
硝酸銀3.0gをイオン交換水1.0Lに溶解し、硝酸銀水溶液を調製した。次にグリシン5.0g、タンニン酸0.65gおよびpH調整用の1N水酸化ナトリウム水溶液10mLをイオン交換水1.0Lに加えて攪拌した。その後、先に調製した硝酸銀水溶液を添加し、1時間攪拌することによって、銀コロイド溶液を得た。得られた銀コロイド溶液を、分画分子量5万の限外濾過膜(アドバンテック東洋製)を用いて濾過し、不純物イオンを除去した。濾過は、1.0Lのイオン交換水を10回、計10Lのイオン交換水を通して行い、その結果、分散媒は水に置換された。その後、980Gにて10分間の遠心分離を行って沈殿を除去し、上清を金属微粒子分散体として回収した。
〔実施例3〕
硝酸銀3.0gをイオン交換水1.0Lに溶解し、硝酸銀水溶液を調製した。次に硫酸鉄(II)5.0g、クエン酸ナトリウム12.0gおよびpH調整用の1N水酸化ナトリウム水溶液10mLをイオン交換水1.0Lに加えて攪拌した。その後、先に調製した硝酸銀水溶液を添加し、1時間攪拌することによって、銀コロイド溶液を得た。得られた銀コロイド溶液を、分画分子量5万の限外濾過膜(アドバンテック東洋製)を用いて濾過し、不純物イオンを除去した。濾過は、1.0Lのイオン交換水を10回、計10Lのイオン交換水を通して行った。その後、エチルアルコールを用いて1.0Lで3回濾過することで、分散媒はエチルアルコールに置換された。その後、980Gにて10分間の遠心分離を行って沈殿を除去し、上清を金属微粒子分散体として回収した。
〔実施例4〕
硝酸銀3.0gをイオン交換水1.0Lに溶解し、硝酸銀水溶液を調製した。次に硫酸鉄(II)5.0g、グリシン5.0gおよびpH調整用の1N水酸化ナトリウム水溶液10mLをイオン交換水1.0Lに加えて攪拌した。その後、先に調製した硝酸銀水溶液を添加し、1時間攪拌することによって、銀コロイド溶液を得た。得られた銀コロイド溶液を、分画分子量5万の限外濾過膜(アドバンテック東洋製)を用いて濾過し、不純物イオンを除去した。濾過は、1.0Lのイオン交換水を10回、計10Lのイオン交換水を通して行った。その後、メチルアルコールを用いて1.0Lで3回濾過することで、分散媒はメチルアルコールに置換された。その後、980Gにて10分間の遠心分離を行って沈殿を除去し、上清を金属微粒子分散体として回収した。
〔実施例5〕
硝酸銀3.0gをイオン交換水1.0Lに溶解し、硝酸銀水溶液を調製した。次にクエン酸ナトリウム12.0g、タンニン酸0.5gおよびpH調整用の1N水酸化ナトリウム水溶液10mLをイオン交換水1.0Lに加えて攪拌した。その後、先に調製した硝酸銀水溶液を添加し、1時間攪拌することによって、銀コロイド溶液を得た。得られた銀コロイド溶液を、分画分子量5万の限外濾過膜(アドバンテック東洋製)を用いて濾過し、不純物イオンを除去した。濾過は、1.0Lのイオン交換水を10回、計10Lのイオン交換水を通して行った。その後、1,3−プロパンジオールを用いて500mLで2回濾過することで、分散媒は1,3−プロパンジオールに置換された。その後、980Gにて10分間の遠心分離を行って沈殿を除去し、上清を金属微粒子分散体として回収した。
〔実施例6〕
硝酸銀3.0gをイオン交換水1.0Lに溶解し、硝酸銀水溶液を調製した。次に硫酸鉄(II)5.0g、クエン酸ナトリウム12.0gおよびpH調整用の1N水酸化ナトリウム水溶液10mLをイオン交換水1.0Lに加えて攪拌した。その後、先に調製した硝酸銀水溶液を添加し、1時間攪拌することによって、銀コロイド溶液を得た。得られた銀コロイド溶液を、分画分子量5万の限外濾過膜(アドバンテック東洋製)を用いて濾過し、不純物イオンを除去した。濾過は、1.0Lのイオン交換水を10回、計10Lのイオン交換水を通して行った。その後、シクロヘキサノールを用いて1.0Lで3回濾過することで、分散媒はシクロヘキサノールに置換された。その後、980Gにて10分間の遠心分離を行って沈殿を除去し、上清を金属微粒子分散体として回収した。
〔実施例7〕
遠心分離の条件を8882Gにて30分間としたことを除いて、実施例1と同様に行った。
〔実施例8〕
遠心分離の代わりに3時間の静置を行ったことを除いて、実施例1と同様に行った。
〔実施例9〕
まず、限外濾過膜を用いて、実施例1にて作製した金属微粒子分散体から水を濾別することにより、金属微粒子分散体中の固形分の濃度を上昇させた。その結果、固形分の濃度が20重量%である金属微粒子分散体を6g得た。さらに、当該金属微粒子分散体に4.0gの水を加えて、固形分の濃度が12重量%である金属微粒子分散体を得た。
〔実施例10〕
限外濾過膜を用いて、実施例1にて作製した金属微粒子分散体から水を濾別することにより、金属微粒子分散体中の固形分の濃度を上昇させた。
〔比較例1〕
硝酸銀3.0gをイオン交換水1.0Lに溶解し、硝酸銀水溶液を調製した。次にクエン酸ナトリウム12.0g、タンニン酸0.5gおよびpH調整用の1N水酸化ナトリウム水溶液10mLをイオン交換水1.0Lに加えて攪拌した。その後、先に調製した硝酸銀水溶液を添加し、1時間攪拌することによって、銀コロイド溶液を得た。得られた銀コロイド溶液を、分画分子量5万の限外濾過膜(アドバンテック東洋製)を用いて濾過し、不純物イオンを除去した。濾過は、1.0Lのイオン交換水を10回、計10Lのイオン交換水を通して行った。その後、980Gにて10分間の遠心分離を行って沈殿を除去し、上清を金属微粒子分散体として回収した。得られた金属微粒子を比誘電率が12.0よりも小さいo−クレゾール1.0L中に投入し、上澄みを除去した。この場合、分散媒をo−クレゾールに完全に置換することはできず、分散媒中に水が残留した。当該金属微粒子は、o−クレゾールに対して分散安定性が良くない。したがって、当該金属微粒子分散体を用いて導電材料を作製する場合、金属微粒子分散体を強制的に攪拌した後、金属膜を形成した。その結果、金属膜中の金属微粒子は、凝集していた。
〔比較例2〕
硝酸銀3.0gをイオン交換水1.0Lに溶解し、硝酸銀水溶液を調製した。次にクエン酸ナトリウム12.0g、タンニン酸0.5gおよびpH調整用の1N水酸化ナトリウム水溶液10mLをイオン交換水1.0Lに加えて攪拌した。その後、先に調製した硝酸銀水溶液を添加し、1時間攪拌することによって、銀コロイド溶液を得た。得られた銀コロイド溶液を、分画分子量5万の限外濾過膜(アドバンテック東洋製)を用いて濾過し、不純物イオンを除去した。濾過は、1.0Lのイオン交換水を10回、計10Lのイオン交換水を通して行った。その後、980Gにて10分間の遠心分離を行って沈殿を除去し、上清を金属微粒子分散体として回収した。得られた金属微粒子を比誘電率が12.0よりも小さい酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル1.0L中に投入し、上澄みを除去した。この場合、分散媒を酢酸エチレングリコールモノエチルエーテルに完全に置換することはできず、分散媒中に水が残留した。当該金属微粒子は、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテルに対して分散安定性が良くない。したがって、当該金属微粒子分散体を用いて導電材料を作製する場合、金属微粒子分散体を強制的に攪拌した後、金属膜を形成した。その結果、金属膜中の金属微粒子は、凝集していた。
〔比較例3〕
硝酸銀3.0gをイオン交換水1.0Lに溶解し、硝酸銀水溶液を調製した。次にクエン酸ナトリウム12.0g、硫酸鉄(II)5.0gおよびpH調整用の1N水酸化ナトリウム水溶液10mLをイオン交換水1.0Lに加えて攪拌した。その後、先に調製した硝酸銀水溶液を添加し、1時間攪拌することによって、銀コロイド溶液を得た。得られた銀コロイド溶液を、分画分子量5万の限外濾過膜(アドバンテック東洋製)を用いて濾過し、不純物イオンを除去した。濾過は、1.0Lのイオン交換水を10回、計10Lのイオン交換水を通して行った。その後、980Gにて10分間の遠心分離を行って沈殿を除去し、上清を金属微粒子分散体として回収した。得られた金属微粒子を比誘電率が12.0よりも小さい酢酸エチレングリコールモノメチルエーテル1.0L中に投入し、上澄みを除去した。この場合、分散媒を酢酸エチレングリコールモノメチルエーテルに完全に置換することはできず、分散媒中に水が残留した。当該金属微粒子は、酢酸エチレングリコールモノメチルエーテルに対して分散安定性が良くない。したがって、当該金属微粒子分散体を用いて導電材料を作製する場合、金属微粒子分散体を強制的に攪拌した後、金属膜を形成した。その結果、金属膜中の金属微粒子は、凝集していた。
〔比較例4〕
硝酸銀3.0gをイオン交換水1.0Lに溶解し、硝酸銀水溶液を調製した。次にクエン酸ナトリウム12.0g、タンニン酸0.5gおよびpH調整用の1N水酸化ナトリウム水溶液10mLをイオン交換水1.0Lに加えて攪拌した。その後、先に調製した硝酸銀水溶液を添加し、1時間攪拌することによって、銀コロイド溶液を得た。得られた銀コロイド溶液を、分画分子量5万の限外濾過膜(アドバンテック東洋製)を用いて濾過し、不純物イオンを除去した。濾過は、1.0Lのイオン交換水を10回、計10Lのイオン交換水を通して行った。その後、980Gにて10分間の遠心分離を行って沈殿を除去し、上清を金属微粒子分散体として回収した。得られた金属微粒子を比誘電率が12.0よりも小さいトルエン1.0L中に投入した。水はトルエンに対して親和性が低いため、水とトルエンとは混和しない。したがって、当該金属微粒子分散体を用いて導電材料を作製する場合、金属微粒子分散体を強制的に攪拌した後、金属膜を形成した。その結果、金属膜中の金属微粒子は、凝集していた。
〔比較例5〕
硝酸銀3.0gをイオン交換水1.0Lに溶解し、硝酸銀水溶液を調製した。次にアルギン酸ナトリウム0.5g、硫酸鉄(II)5.0gおよびpH調整用の1N水酸化ナトリウム水溶液10mLをイオン交換水1.0Lに加えて攪拌した。その後、先に調製した硝酸銀水溶液を添加し、1時間攪拌することによって、銀コロイド溶液を得た。得られた銀コロイド溶液を、分画分子量5万の限外濾過膜(アドバンテック東洋製)を用いて濾過し、不純物イオンを除去した。濾過は、1.0Lのイオン交換水を10回、計10Lのイオン交換水を通して行い、その結果、分散媒は水に置換された。その後、980Gにて10分間の遠心分離を行って沈殿を除去し、上清を金属微粒子分散体として回収した。なお、後段の表2に示すように、比較例5では、重量減少量は10重量%を超える。
〔比較例6〕
硝酸銀3.0gをイオン交換水1.0Lに溶解し、硝酸銀水溶液を調製した。次にアルギン酸ナトリウム0.5g、硫酸鉄(II)5.0gおよびpH調整用の1N水酸化ナトリウム水溶液10mLをイオン交換水1.0Lに加えて攪拌した。その後、先に調製した硝酸銀水溶液を添加し、1時間攪拌することによって、銀コロイド溶液を得た。得られた銀コロイド溶液を、分画分子量5万の限外濾過膜(アドバンテック東洋製)を用いて濾過し、不純物イオンを除去した。濾過は、1.0Lのイオン交換水を10回、計10Lのイオン交換水を通して行った。その後、メチルアルコールを用いて1.0Lで3回濾過することで、分散媒はメチルアルコールに置換された。その後、980Gにて10分間の遠心分離を行って沈殿を除去し、上清を金属微粒子分散体として回収した。なお、後段の表2に示すように、比較例6では、重量減少量は10重量%を超える。
〔比較例7〕
硝酸銀3.0gをイオン交換水1.0Lに溶解し、硝酸銀水溶液を調製した。次にアルギン酸ナトリウム0.5g、硫酸鉄(II)5.0gおよびpH調整用の1N水酸化ナトリウム水溶液10mLをイオン交換水1.0Lに加えて攪拌した。その後、先に調製した硝酸銀水溶液を添加し、1時間攪拌することによって、銀コロイド溶液を得た。得られた銀コロイド溶液を、分画分子量5万の限外濾過膜(アドバンテック東洋製)を用いて濾過し、不純物イオンを除去した。濾過は、1.0Lのイオン交換水を10回、計10Lのイオン交換水を通して行った。その後、1,3−プロパンジオールを用いて500mLで2回濾過することで、分散媒は1,3−プロパンジオールに置換された。その後、980Gにて10分間の遠心分離を行って沈殿を除去し、上清を金属微粒子分散体として回収した。なお、後段の表2に示すように、比較例7では、重量減少量は10重量%を超える。
〔比較例8〕
遠心分離を行わなかったことを除いて、実施例1と同様に行った。
〔比較例9〕
まず、限外濾過膜を用いて、実施例1にて作製した金属微粒子分散体から水を濾別することにより、金属微粒子分散体中の固形分の濃度を上昇させた。その結果、固形分の濃度が20重量%である金属微粒子分散体を6g得た。さらに、当該金属微粒子分散体に114gの水を加えて、固形分の濃度が1.0重量%である金属微粒子分散体を得た。
〔比較例10〕
限外濾過膜を用いて、実施例1にて作製した金属微粒子分散体から水を濾別することにより、金属微粒子分散体中の固形分の濃度を上昇させた。
〔導電材料の作製〕
実施例および比較例にて作製した銀コロイド溶液を、刷毛によってスライドガラス上に帯状に配置した。その後、オーブン中で150℃にて30分間、または250℃にて30分間の条件にて加熱処理して膜状の導電材料を作製した。
〔評価方法〕
電気抵抗は、直流精密測定器ダブルブリッジ2769−10(横河M&C(株)製)を用いて測定した。電気抵抗は、測定端子間距離と膜の厚さに基づいて、体積抵抗率に換算して算出した。換算式を以下に示す。
(体積抵抗率ρv)=(抵抗値R)×(金属膜幅w)×(金属膜の厚さt)/(端子間距離L)
なお、金属膜の厚さは、三次元表面形状測定装置NT1100(日本ビーコ(株)/WYKO製)を用いて測定した。
〔熱重量分析〕
実施例および比較例にて作製した銀コロイド溶液を30℃以下で乾燥させた後に得られる固形分について熱重量分析を行い、重量減少量を測定した。重量減少量は、上記固形分を窒素雰囲気下におき、10℃/minの昇温速度にて500℃まで昇温させることによって求められた。測定にはSII製熱重量分析装置EXSTAR6000 TG/DTA6300(セイコー電子工業株式会社製)を用いた。
〔結果〕
表1および表2に、実施例1〜6および比較例1〜7にて作製した銀コロイド溶液を用いて作製した金属膜の体積抵抗率を示す。ここで表1は、比誘電率が異なる分散媒を用いた金属微粒子分散体によって作製した金属膜の特性を示している。また、表2は、重量減少量が異なる金属微粒子分散体によって形成した金属膜の特性を示している。
Figure 2007200775
Figure 2007200775
実施例1〜6の銀コロイド溶液では、銀微粒子は分散媒中で安定して分散していた。
また、実施例1、3および5にて作製した銀コロイド溶液を用いて作製した金属膜の場合、150℃にて30分間の加熱処理にて金属膜を作製すれば、10−6 Ωcm台の低い体積抵抗率を有する金属膜が得られた。また、実施例2、4および6にて作製した銀コロイド溶液を用いて作製した金属膜の場合、250℃にて30分間の加熱処理にて金属膜を作製すれば、10−6 Ωcm台の低い体積抵抗率を有する金属膜が得られた。
比較例1〜7の銀コロイド溶液では、銀微粒子は分散媒中で安定して分散することができなかった。
また、比較例1〜4にて作製した銀コロイド溶液を用いて作製した金属膜の場合、250℃にて30分間の加熱処理にて金属膜を作製しても、体積抵抗率は、10−5 Ωcm台までしか下がらなかった。また、比較例5〜7にて作製した銀コロイド溶液を用いて作製した金属膜の場合、250℃にて30分間の加熱処理にて金属膜を作製しても、体積抵抗率が10−4 Ωcm台以上であって、その結果、十分な導電性を発現しなかったり、通電しなかったりした。
次いで表3に、実施例1、7、8および比較例8にて作製した銀コロイド溶液中の金属微粒子の粒子径、金属微粒子の安定性、および当該銀コロイド溶液を用いて作製した金属膜の体積抵抗率を示す。
Figure 2007200775
表3から明らかなように、遠心分離や静置にて粒子径の大きな金属微粒子を除くことによって、導電性が向上するとともに、金属微粒子の分散安定性が向上した。
次いで表4に、実施例1、9、10、および比較例9、10にて作製した銀コロイド溶液について、熱重量分析にて測定した重量減少量を示すとともに、当該銀コロイド溶液を用いて作製した金属膜の体積抵抗率および成膜状態を示す。
Figure 2007200775
表4から明らかなように、金属微粒子分散体中の固形分が低すぎると、連続的な金属膜が得られず、通電しない。逆に、金属微粒子分散体中の固形分が高すぎると、塗工時の取り扱いが困難になる。その結果、塗工中に固形分が析出し、金属膜の表面に顕著な凹凸が生じる。また、クラックも発生する。
なお本発明は、以上説示した各構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態や実施例にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態や実施例についても本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明の金属微粒子分散体および金属微粒子分散体を利用した導電材料は、太陽電池パネル配線、フラットパネルディスプレイの電極、回路基板やICカードの配線、スルーホールまたは回路、ブラウン管の電磁波遮蔽材、建材または自動車の赤外線遮蔽材、電子機器や携帯電話の静電気帯電防止剤、曇ガラスの熱線遮蔽材、樹脂に導電性を付与するためのコーティングやその部品を製造する分野に利用することが可能である。更に、本発明の金属微粒子分散体および金属微粒子分散体を利用した導電材料は、エレクトロニクス、通信および医療機器などに関わる分野に広く応用することが可能である。

Claims (5)

  1. 表面に分散剤が吸着した金属微粒子を分散媒中に分散させてなる金属微粒子分散体であって、
    該分散剤は、分子内にカルボキシル基および水酸基の少なくとも一方を有し、
    該分散媒の比誘電率が、12.0以上であることを特徴とする金属微粒子分散体。
  2. 前記金属微粒子がHよりも酸化還元電位が低い金属からなることを特徴とする請求項1に記載の金属微粒子分散体。
  3. 前記金属微粒子が、金、銀、銅、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、イリジウムおよびオスミウムからなる群より選ばれる1種以上の金属からなることを特徴とする請求項2に記載の金属微粒子分散体。
  4. 表面に分散剤が吸着した前記金属微粒子を30℃以下で乾燥させて得られる固形分を、窒素雰囲気下、10℃/minの昇温速度にて500℃まで昇温する条件で熱重量分析を行ったとき、重量減少量が、0.1重量%以上、10重量%以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の金属微粒子分散体。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の金属微粒子分散体を基材上に配置し、その後、加熱処理することによって作製されることを特徴とする導電材料。
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