JP2007170447A - スラストころ軸受の軌道輪の製造方法およびスラストころ軸受の軌道輪の製造装置 - Google Patents

スラストころ軸受の軌道輪の製造方法およびスラストころ軸受の軌道輪の製造装置 Download PDF

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Abstract

【課題】転動疲労寿命を長くしたスラストころ軸受の軌道輪の製造方法を提供する。
【解決手段】スラストころ軸受の軌道輪の製造方法は、軌道面にクラウニング形状を形成するクラウニング形成工程(図1(D))と、軌道輪を加熱処理した後に、軌道輪を金型内に拘束した状態で、軌道輪を冷却して焼入れ処理を行う焼入れ工程(図1(E))とを含む。このような製造方法で製造されたスラストころ軸受の軌道輪は、軌道面にクラウニング形状を有し、そりやうねりが低減されているため、ころの片当たりを防止することができる。
【選択図】図1

Description

この発明は、スラストころ軸受の軌道輪の製造方法およびスラストころ軸受の軌道輪の製造装置に関する。
カーエアコン用コンプレッサやオートマチックトランスミッション等において、スラスト荷重が発生する箇所に使用されるころ軸受には、スラストころ軸受が使用される。スラストころ軸受は、針状ころに代表される複数のころと、ころを転動させる軌道面を有する軌道輪と、保持器とからなる。
図22および図23は、従来のスラストころ軸受の要部を示す断面図である。図22を参照して、スラストころ軸受111は、軌道輪としてのスラスト内輪112aおよびスラスト外輪112bと、複数のころ113と、複数のころ113を保持する保持器114とを備える。スラスト内輪112aおよびスラスト外輪112bは、ころ113が転走する軌道面116a、116bを有する。また、スラスト内輪112aの径方向中央部は、バーリング加工により開口されており、開口孔の縁側には、軸方向に延びた鍔部115aが設けられている。同様に、スラスト外輪112bの径方向中央部も開口されており、その外径側には、軸方向に折り曲げられた鍔部115bが設けられている。
スラスト内輪112aとスラスト外輪112bは、軌道面116a、116bが対面するように配置される。複数のころ113は、その間に配置され、軌道面116a、116bを転走する。なお、ころ113が転走する軌道面116a、116bには、サイジングやプレステンパーなどのそり直し工程およびバレル研磨処理がなされており、そりやうねりはほとんどなく、平らな形状となっている。
また、図22で示す鍔部115a、115bを有する軌道輪を備えるスラストころ軸受111の他に、図23で示すように、スラストころ軸受111と同様の構成で、鍔部115a、115bを有さず、軌道輪117a、117bの形状が平板状であるスラストころ軸受118も存在する。
次に、上記した従来のスラストころ軸受111に備えられる軌道輪であるスラスト内輪112aの製造方法の一例について、簡単に説明する。図24は、スラスト内輪112aの製造方法の概略を示すフローチャートである。図24を参照して、まず、スラスト内輪112aの素材となる平板状の鋼板を用意する(図24(A))。ここで、スラスト内輪112a等の材質としては、SPC材、SCM材、SK材等が利用される。次に、打ち抜き刃を有する打ち抜きプレスによって外径を打ち抜き(図24(B))、バーリング加工を行って、スラスト内輪112aの径方向中央部を開口し、鍔部115aを設ける(図24(C))。
その後、スラスト内輪112aの硬度向上のため、連続炉において、浸炭焼入焼戻処理や、光輝熱処理等の熱処理が行われる(図24(D)、(E))。なお、ここで、誘導コイル等による加熱を利用し、金型プレスを焼入れ媒体として軌道輪をプレスしながら冷却して焼入れを行う技術が、特開2005−113186号公報(特許文献1)に開示されている。熱処理後、スラスト内輪112aの軌道面116aに発生しているそりやうねりをサイジングやプレステンパーなどのそり直し工程において除去し(図24(F))、バレル研磨処理を施して平滑に仕上げ(図24(G))、洗浄を行った後(図24(H))、所望のスラスト内輪112aを得る。
なお、このようにして得られたスラスト内輪112aと、同様の工程で得られたスラスト外輪112bと、ころと、保持器とを組み込んで、上記したスラストころ軸受が製造される。
ここで、スラスト内輪の軌道面にクラウニング形状を施し、ころのエッジロードの発生等を防止して軸受寿命を延ばした技術が、特許3628033号(特許文献2)に開示されている。特許文献2によると、スラスト内輪等の軌道面の径方向中央部に、軸方向に凸状のクラウニング形状を設けている。軌道面にクラウニング形状を設けることにより、ころの転走時におけるころの転動面と軌道面との片当たりを低減し、ころのエッジロードの発生等を防止している。こうすることにより、軌道輪の転動疲労寿命を長くし、ひいては、このような軌道輪を備えるスラストころ軸受の寿命を延ばしている。
特開2005−113186号公報(段落番号0034〜0036) 特許3628033号(段落番号0015〜0021、図1等)
昨今、製造時におけるコストダウンの観点から、そりやうねりを除去するサイジングやプレステンパーなどのそり直し工程は省略される傾向にある。その結果、軌道輪には、浸炭焼入焼戻処理や、光輝熱処理等の熱処理工程において発生したそりやうねりが残存することになる。そうすると、特許文献2のように、軌道面にクラウニング形状を設けていても、軌道輪にそりやうねりが残存するため、ころが片当たりするおそれがある。ころが片当たりすると、ころのエッジロードが軌道輪に発生し、軌道輪の転動疲労寿命が短くなるおそれがある。
特に、カーエアコン用コンプレッサ等に使用されるスラストころ軸受については、スラスト荷重が軸に対して非対称に加わり、偏荷重がかかるため、片当たりが発生しやすい。さらに、小型化や軽量化が望まれる方向性においては、より高荷重を受ける必要があり、さらにころのエッジロードが発生するおそれが高くなる。
この場合、特許文献1に開示されるように、金型プレスを焼入れ媒体として軌道輪をプレスしながら冷却して焼入れを行うと、そりやうねりの発生を低減することができる。
しかし、平板状の軌道輪を金型プレスでプレスして焼入れを行う特許文献1に開示の技術では、クラウニング形状を設けた軌道輪に対し、クラウニング形状が損なわれることになるため、そのまま適用することはできない。
この発明の目的は、転動疲労寿命を長くしたスラストころ軸受の軌道輪の製造方法を提供することである。
この発明の他の目的は、転動疲労寿命を長くしたスラストころ軸受の軌道輪を、容易に製造することができるスラストころ軸受の軌道輪の製造装置を提供することである。
この発明に係るスラストころ軸受の軌道輪の製造方法は、ころを転動させる軌道面を持つスラストころ軸受の軌道輪の製造方法である、ここで、スラストころ軸受の軌道輪の製造方法は、軌道面にクラウニング形状を形成するクラウニング形成工程と、軌道輪を加熱処理した後に、軌道輪を金型内に拘束した状態で、軌道輪を冷却して焼入れ処理を行う焼入れ工程とを含む。
このように構成することにより、焼入れ工程において、軌道輪を拘束した状態で冷却しているため、軌道輪のそりやうねりを低減することができる。そうすると、ころの転走時において、そりやうねりが低減された軌道輪の軌道面に形成されたクラウニング部ところの転動面が接触することになるため、そり直し工程を行わなくとも、ころの片当たりが抑制される。その結果、ころのエッジロードが発生するおそれは減少し、軌道輪の転動疲労寿命を長くすることができる。
好ましくは、クラウニング形成工程と焼入れ工程を同じ金型で行う。こうすることにより、精度よくクラウニング形状を設けた軌道輪を製造することができる。また、軌道輪の製造工程を短縮することができるため、製造時間の短縮や製造設備の簡易化等を図ることができ、生産性を向上することができる。
より好ましくは、焼入れ工程は、金型を冷却することにより、軌道輪を冷却して焼入れを行う。溶液やエアーやガス等の冷却媒体のみを用いた場合には、局部的な冷却により、硬度が不均一となり、結果として、軌道輪の破損を招くことになる。しかし、軌道輪を拘束している金型を冷却することにより軌道輪を冷却すれば、そりやうねりを発生することなく、かつ、軌道輪を均一に冷却することができるため、軌道輪の硬度を均一にすることができる。
さらに好ましくは、焼入れ工程は、金型内に拘束された軌道輪に対して、冷却媒体を接触させることにより行う。こうすることにより、冷却能力を向上させることができ、より効率的に焼入れを行うことができる。
さらに好ましくは、加熱処理は、誘導加熱により行われる。軌道輪を構成する上記した材料は、一旦、所定の温度まで加熱した後、これを冷却して焼入れすることにより、硬度を得ている。ここで、このような加熱処理を行うことにより、短時間で温度を上昇することができる。そうすると、後の焼入れ工程との相乗効果で、軌道輪の組織構造に関して、内部層において、オーステナイトの結晶進行化を抑制し、表面層において、粒界酸化層をほとんど形成させることはなくなる。したがって、内部層および表面層において、軌道輪の硬度を向上することができ、亀裂等が発生するおそれが少なくなる。その結果、軌道輪の破損を防ぐことができる。なお、製造時間も短縮することができる。ここで、粒界酸化層とは、軌道輪の最表面から、酸化物が形成されている領域の最も深い部分までを含む層をいう。
この発明の他の局面においては、スラストころ軸受の軌道輪の製造装置は、ころを転動させる軌道面を持つスラストころ軸受の軌道輪の製造装置である。ここで、スラストころ軸受の軌道輪の製造装置は、軌道面にクラウニングを形成するクラウニング形成部と、軌道輪を加熱する加熱部と、軌道輪を拘束した状態で、軌道輪を冷却して焼入れを行う金型を含む。
このようなスラストころ軸受の軌道輪の製造装置を使用すると、軌道面にクラウニングが形成された軌道輪を、拘束した状態で冷却する焼入れを行うことができる。したがって、軌道面にクラウニング形状を有し、そりやうねりが低減されたスラストころ軸受の軌道輪を、容易に製造することができる。
この発明に係るスラストころ軸受の軌道輪の製造方法を使用すると、焼入れ工程において、軌道輪を拘束した状態で冷却しているため、軌道輪のそりやうねりを低減することができる。そうすると、ころの転走時において、そりやうねりが低減された軌道輪の軌道面に設けられたクラウニング部ところの転動面が接触することになるため、そり直し工程を行わなくとも、ころの片当たりが抑制される。その結果、ころのエッジロードが発生するおそれは減少し、軌道輪の転動疲労寿命を長くすることができる。
また、この発明に係るスラストころ軸受の軌道輪の製造装置を使用すると、軌道面にクラウニングが形成された軌道輪を、拘束した状態で冷却する焼入れを行うことができる。したがって、軌道面にクラウニング形状を有し、そりやうねりが低減されたスラストころ軸受の軌道輪を、容易に製造することができる。
以下、この発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図2は、この発明の一実施形態に係るスラストころ軸受の軌道輪の製造方法で製造されたスラスト内輪の要部を示す断面図である。図2を参照して、スラスト内輪12aは、ころが転走する軌道面16aを有する。スラスト内輪12aの径方向中央部は、バーリング加工により開口され、開口孔の縁側には、鍔部15aが設けられている。軌道面16aの径方向中央部には、軸方向に凸状のクラウニング部17aが形成されている。軌道面16aの反対側に位置する面19の径方向の中央部20は、凸状のクラウニング部17aの形状に対応するように、凹状となっているが、これは、後述する製造方法においてプレス加工により成型されているためである。なお、クラウニング部17aが形成される径方向の寸法Lは、転走するころの軌道面に接触する長さよりも長く構成する。クラウニング部17aの高さSについては、後述する。
図3は、同様の方法で製造されたスラスト外輪の要部を示す断面図である。図3を参照して、スラスト外輪12bは、径方向中央部が開口され、ころが転走する軌道面16bを有し、外径側には、軸に垂直な方向に折り曲げられた鍔部15bが設けられている。また、上記したスラスト内輪12aと同様に、軌道面16bの径方向中央部には、軸方向に凸状のクラウニング部17bが形成されている。
なお、上記したスラスト内輪12aおよびスラスト外輪12bの材質としては、炭素含有率が、0.4重量%以上であり、1.2重量%以下である炭素鋼を使用する。0.4重量%よりも含有炭素量が少ないと、後述する焼入れ処理工程において、軸受寿命を満足するのに十分な硬度を得ることができないためである。また、1.2重量%よりも含有炭素量が多いと、焼入れ後において、マルテンサイト化せずにオーステナイトとして残る残留オーステナイト量が多くなり、結果として、この場合も硬度が低下するためである。このような条件を満たす炭素鋼の材質として、SAE1070等がある。
次に、上記したスラスト内輪12aおよびスラスト外輪12bを備えるスラストころ軸受の構成について説明する。図4は、図2に示すスラスト内輪12aおよび図3に示すスラスト外輪12bを備えるスラストころ軸受の要部を示す断面図である。図4を参照して、スラストころ軸受11は、軌道輪としてのスラスト内輪12aおよびスラスト外輪12bと、複数のころ13と、複数のころ13を保持する保持器14とを備える。
スラスト内輪12aおよびスラスト外輪12bは、軌道面16a、16bが対面するように配置される。複数のころ13は、その間に配置され、軌道面16a、16bに設けられたクラウニング部17a、17bを転走する。すなわち、ころ13が転走する際には、ころ13の転動面18とスラスト内輪12aおよびスラスト外輪12bのクラウニング部17a、17bとが当接することになる。
次に、上記したスラスト内輪12aの製造方法の一例について説明する。図1は、スラスト内輪12aの製造方法の概略を示すフローチャートである。図1および図2を参照して、上記したスラスト内輪12aの製造方法について、説明する。まず、一連の製造方法を簡単に説明すると、始めに、スラスト内輪12aの素材となる上記した材質の平板状の鋼板を用意し(図1(A))、打ち抜き刃を有するプレスによって外径を打ち抜く(図1(B))。その後、バーリング加工によって、スラスト内輪12aの径方向中央部を開口するとともに、内径側に鍔部15aを設ける(図1(C))。次に、スラスト内輪12aの軌道面16aに、後述するクラウニング形成装置を用いてクラウニング部17aを形成する(図1(D))。その後、クラウニング部17aが形成されたスラスト内輪12aを加熱処理した後、後述する焼入れプレス装置を用いて焼入れ処理を施し(図1(E))、焼戻しを施す(図1(F))。スケール落としを施した後(図1(G))、最後に、このようにして得られたスラスト内輪12aを洗浄し(図1(H))、所望のスラスト内輪12aを得る。なお、スラスト外輪12bについても、同様の製造工程で製造される。
次に、上記した製造工程のうち、図1(D)に示すクラウニング形成工程、図1(E)に示す焼入れ工程について、詳細に説明する。
まず、図1(D)に示すクラウニング形成工程について説明する。図5は、上記したクラウニング形成工程において使用されるクラウニング形成装置を示す概略断面図である。まず、図5を参照して、クラウニング形成装置21の構成について説明すると、クラウニング形成装置21は、上側に位置する凸状プレス冶具22と、下側に位置する凹状プレス冶具23とを備える。凸状プレス冶具22は、スラスト内輪12aと位置決めを行う固定部24と、凹状プレス冶具23との位置決めを行う係合部25と、軌道面16aの反対側の面19からスラスト内輪12aを押す凸状クラウニング成型部26とを備える。凹状プレス冶具23は、スラスト内輪12aを固定し位置決めを行う固定孔27と、凸状プレス冶具22との位置決めを行う係合部28と、軌道面16aに形成されるクラウニング部17aの形状に沿う凹状クラウニング形成部29とを備える。なお、図5において、係合部25は凹状であり、係合部28は凸状であるが、凹凸形状は、いずれに設けられていても構わず、互いに係合することにより、凸状プレス冶具22と凹状プレス冶具23との位置決めができればよい。
次に、スラスト内輪12aの軌道面16aに、クラウニング部17aを形成する方法について説明する。まず、内径側に鍔部15aを有するスラスト内輪12aを、凹状プレス冶具23の固定孔27に、鍔部15aが固定孔27の内径面にはめあうように取り付ける。次に、凸状プレス冶具22を、図5中の矢印Bの方向に移動させる。そうすると、凸状クラウニング形成部26が、スラスト内輪12aの軌道面16aの径方向中央部における反対側の面19を押し込んでいく。そうすると、凹状クラウニング形成部29に沿うような形状で、スラスト内輪12aの軌道面16aの径方向中央部に、クラウニング部17aが形成される。この場合、係合部25、係合部28により、クラウニング部17aが形成される径方向の位置は、大きくずれることはない。
なお、軌道面16aに設けられるクラウニング部17aの形状について、精度を求めない場合には、図6で示すようなクラウニング形成装置31によって、スラスト内輪12aの軌道面16aに、クラウニング部17aを形成することにしてもよい。図6は、図5に示すクラウニング形成装置21の他の態様であるクラウニング形成装置31を示す概略断面図である。図5および図6を参照して、クラウニング形成装置31と図5に示したクラウニング形成装置21との相違は、凹状プレス冶具33に、凹状クラウニング形成部29の代わりに、逃げ部35が設けられている点である。このような構成とすることにより、凸状プレス冶具32に備えられた凸状クラウニング形成部34を軌道面16aの反対側の面19に押し当てて、クラウニング部17aを形成した場合、凸状クラウニング形成部34の形状のみに沿って、クラウニング部17aが形成されることになる。この場合、軌道面16a側に形成されるクラウニング部17aの形状は、フリーな状態で形成されるため、クラウニング部17aの形状の精度を確保することは困難であるが、容易に、クラウニング部17aを形成することができる。
次に、図1(E)に示す焼入れ工程で使用する焼入れプレス装置について説明する。図7は、焼入れ工程で使用される焼入れプレス装置36を示す概略断面図である。まず、図7を参照して、焼入れプレス装置36の構成について説明すると、焼入れプレス装置36は、金型の上型に該当する上型焼入れプレス冶具37と、金型の下型に該当する下型焼入れプレス冶具38とを備える。上型焼入れプレス冶具37は、上記したクラウニング形成装置21、31における凸状プレス冶具22、32と同様に、スラスト内輪12aの径方向の位置決めおよび固定を行う固定部と、係合部とを備える。また、下型焼入れプレス冶具38も、クラウニング形成装置21、31に含まれる凹状プレス冶具23、33と同様に、スラスト内輪12aの位置決めおよび固定を行う固定孔と、係合部とを備える。上型焼入れプレス冶具37および下型焼入れプレス冶具38には、その内部において周方向に連結する冷却孔39、40が設けられている。また、下型焼入れプレス冶具38には、スラスト内輪12aが取り付けられた際に、軌道面16aに設けられたクラウニング部17aと干渉しないように、逃げ部41が設けられている。このような逃げ部41を設けることにより、クラウニング形成工程で形成したクラウニング部17aの形状を損なうことはない。また、逃げ部41には、外部から焼入れ液体または焼入れ気体等の冷却媒体を送り込むため、下型焼入れプレス冶具38の内部を通って外部と通じる注入孔42が設けられている。
次に、上記した焼入れプレス装置36を用いて、スラスト内輪12aに焼入れ(加熱処理および焼入れ処理)を行う方法について説明する。まず、軌道面16aにクラウニング部17aが形成されたスラスト内輪12aを、所定の温度まで加熱する。ここで、スラスト内輪12aの加熱は、誘導コイル等を利用して、これに通電を行うことにより昇温する誘導加熱を行う。こうすることにより、極めて短時間で、所定の温度までスラスト内輪12aを昇温することができる。特に、スラスト内輪12aは、薄板状であるため、このような加熱方法においても、数秒程度で昇温することができる。
次に、加熱したスラスト内輪12aを、下型焼入れプレス冶具38にセットする。その後、上型焼入れプレス冶具37を下方向に移動させて、上型焼入れプレス冶具37および下型焼入れプレス冶具38によりスラスト内輪12aを拘束した状態で、冷却し焼入れする。この時、冷却孔39、40に水等の液体や冷却用の気体を流して、上型焼入れプレス冶具37および下型焼入れプレス冶具38を冷却することにより、両焼入れプレス冶具37、38の温度を加熱することなく一定温度にしながら、スラスト内輪12aを安定して焼入れを行うことができる。
このように焼入れ処理を行うことにより、クラウニング部17aの形状を損なうことはない。また、スラスト内輪12aを拘束した状態で冷却して焼入れを行っているため、スラスト内輪12aのそりやうねりを低減することができる。したがって、後の工程において、サイジングやプレステンパーなどのそり直し加工を施す必要はない。さらに、上型焼入れプレス冶具37および下型焼入れプレス冶具38といった金型を、冷却媒体として焼入れを行うことができるため、均一にスラスト内輪12aを焼入れすることができる。そうすると、スラスト内輪12aを均一な硬度分布とすることができ、転動疲労寿命等の点において有利な結晶組織の構造を、スラスト内輪12aの内部層および表面層に形成することができる。結晶構造の詳細については、後述する。
ここで、この発明の一実施形態にかかるスラストころ軸受の軌道輪の製造装置は、凸状クラウニング成型部26等を備えるクラウニング形成装置21等と、誘導加熱を行う加熱部と、上型焼入れプレス冶具37および下型焼入れプレス冶具38といった金型を備える焼入れプレス装置36等とを含む。
なお、注入孔42を通じて、外部側から逃げ部41に、冷却媒体を送り込み、スラスト内輪12aに直接、冷却媒体を接触されるようにしてもよい。こうすることにより、スラスト内輪12aに対して、冷却を促進することができる。この場合、上型焼入れプレス冶具37および下型焼入れプレス冶具38内によって、スラスト内輪12aは拘束されているため、そりやうねりが発生するおそれはない。なお、注入孔42は、複数設けてもよく、また、上型焼入れプレス冶具37側に設けてもよい。
また、冷却孔39、40を上型焼入れプレス冶具37等に設けられない場合や、加熱量が大きく、冷却孔39等を利用した冷却のみでは十分ではない場合、図8に示すように、焼入れプレス装置43の上型焼入れプレス冶具44および下型焼入れプレス冶具45の側面に、放熱用の冷却フィン46、47を設けてもよい。このように構成された焼入れプレス装置43を用いると、冷却性能がより向上する。
なお、上記した同様の工程で、スラスト外輪12bを製造することもできる。図9は、クラウニング形成工程の際に使用されるクラウニング形成装置51の概略断面図である。図9を参照して、クラウニング形成装置51は、凸状プレス冶具52と、凹状プレス冶具53とを備え、凸状プレス冶具52は、固定部54と、係合部55と、凸状クラウニング形成部56とを有する。また、凹状プレス冶具53は、固定孔57と、係合部58と、凹状クラウニング形成部59とを備える。
次に、スラスト外輪12bにクラウニング部を形成する方法について説明すると、まず、凹状プレス冶具53にスラスト外輪12bを取り付ける。次に、上方に位置する凸状プレス冶具52を下方向に移動させ、スラスト外輪12bの軌道面16bの反対側の面から凸状クラウニング形成部56を押し当てると、スラスト外輪12bの軌道面16bに、凸状のクラウニング部17bが形成される。
このようにして、スラスト外輪12bに、クラウニング部17bを形成し、スラスト内輪12aと同様に加熱および焼入れを行って、スラスト外輪12bを製造する。
また、上記の実施の形態については、クラウニング形成工程を行った後に、焼入れ工程を行うことにしたが、これに限らず、クラウニング形成工程および焼入れ工程を、同じ金型を用いて行うことにしてもよい。
図10は、クラウニング形成工程と焼入れ工程を同じ金型を用いて行う場合に使用するクラウニング形成兼焼入れプレス装置を示す断面図である。図10を参照して、まず、クラウニング形成兼焼入れプレス装置61の構成について説明する。クラウニング形成兼焼入れプレス装置61は、凸状焼入れプレス冶具62と、凹状焼入れプレス冶具63とを備える。凸状焼入れプレス冶具62は、上記したクラウニング形成装置21に備えられた凸状プレス冶具22と同様に、固定部64と、係合部65と、凸状クラウニング形成部66とを有する。また、焼入れプレス装置36に備えられた上型焼入れプレス冶具37と同様に、冷却孔67を有する。凹状焼入れプレス冶具63についても、上記したクラウニング形成装置21に備えられた凹状プレス冶具23と同様に、固定孔68と、係合部69と、凹状クラウニング形成部70とを有する。また、焼入れプレス装置36に備えられた下型焼入れプレス冶具38と同様に、冷却孔71を有する。
次に、クラウニング形成工程と焼入れ工程を同じ金型を用いて行う方法について、図10を参照して説明する。まず、クラウニング形状が形成されていないスラスト内輪12aを、誘導コイル等で加熱する。その後、クラウニング形成兼焼入れプレス装置61の凹状焼入れプレス冶具63に取り付ける。次に、凸状焼入れプレス冶具62を下方向に移動させ、スラスト内輪12aを加圧する。そうすると、凸状焼入れプレス冶具62に設けられた凸状クラウニング形成部66および凹状焼入れプレス冶具63に設けられた凹状クラウニング形成部70により、スラスト内輪12aの径方向中央部に、凹状クラウニング形成部70の形状に沿ったクラウニング部17aが形成される。
ここで、凸状焼入れプレス冶具62および凹状焼入れプレス冶具63によって、スラスト内輪12aは拘束される。この状態で、冷却孔67、71に冷却媒体を送り込み、凸状焼入れプレス冶具62および凹状焼入れプレス冶具63を冷却して両プレス冶具62、63の温度を安定させて、スラスト内輪12aを冷却し、焼入れを行う。
こうすることに、クラウニング形成工程および焼入れ工程を同時に行うことができる。そうすると、焼入れ工程において使用される焼入れプレス62、63を使用し、同じ金型で軌道輪の軌道面にクラウニング形状を形成することができる。その結果、上記した効果、すなわち、均一な硬度分布、転動疲労寿命等の点における有利な結晶構造、スラスト内輪12aのそり、うねりの低減に加え、クラウニング形成工程におけるクラウニング形成装置を省略することができ、製造工程および製造設備の削減を図ることができる。特に、クラウニング部17aの形状に沿って、凸状焼入れプレス冶具62および凹状焼入れプレス冶具63がスラスト内輪12aを拘束して焼入れを行っているため、精度よくクラウニング部17aを形成することができる。
なお、この場合においても、冷却孔67、71の冷却能力だけでは不十分である場合には、図11で示すように、クラウニング形成兼焼入れプレス装置72の凸状焼入れプレス冶具73および凹状焼入れプレス冶具74に冷却フィン75、76を設けることにより、冷却性能を向上させることにしてもよい。
また、上記した図8に示す焼入れプレス装置43と同様に、クラウニング部の形状について、精度を要求しない場合には、図12に示すように、クラウニング形成兼焼入れプレス装置77の凹状焼入れプレス冶具78に、逃げ部79を設けるだけでもよい。なお、逃げ部79と外部に通じる注入孔80を設け、この注入孔80を利用して、冷却媒体を流し込むことにしてもよい。
スラスト外輪12bを製造する際も同様に、クラウニング形成工程および焼入れ工程を同時に行うことができる。図13は、この場合に使用されるクラウニング形成兼焼入れプレス装置を表す概略断面図である。図13を参照して、クラウニング形成兼焼入れプレス装置81は、凸状焼入れプレス冶具82と、凹状焼入れプレス冶具83とを備える。凸状焼入れプレス冶具82は、上記と同様、固定部84と、係合部85と、凸状クラウニング形成部86とを有し、かつ、冷却孔87および冷却能力の向上のための冷却フィン88を有する。凹状焼入れプレス冶具83についても同様に、固定孔89と、係合部90と、凹状クラウニング形成部91とを有し、かつ、冷却孔92および冷却能力の向上のための冷却フィン93とを有する。スラスト外輪12bを誘導コイル等によって加熱し、凹状焼入れプレス冶具83に取り付け、凸状焼入れプレス冶具82を下方向に移動して、クラウニング部17bを形成する。また、これと同時に冷却孔87、92に冷却媒体を流し、焼入れを行う。
次に、このようにして得られたスラスト内輪12a等の軌道輪の内部層および表面層の組織構造について説明する。
また、図14に、焼入れ処理とクラウニング形成処理を同じ金型で行う製造方法の概略フローチャートを示す。
上記したように、軌道輪には、図1(E)および図1(F)の工程において、誘導加熱による加熱処理および金型プレスを焼入れ媒体とした焼入れ処理が施されている。そうすると、軌道輪の内部層における旧オーステナイト結晶粒界は、非常に少なくなる。旧オーステナイト結晶粒界とは、軌道輪の鋼組織が焼入れ工程においてオーステナイト化した際に形成される結晶粒界であって、鋼組織を腐食液により腐食させた場合、優先的に腐食されて出現する境界線をいう。旧オーステナイト結晶粒界で閉じられた領域が多くなるにつれ、内部起点型の亀裂等が発生しやすくなる。
ここで、軌道輪の内部におけるオーステナイト層の観察方法について説明すると、まず、軌道輪の軌道面に垂直な方向に、軌道輪を切断する。次に、切断された断面を鏡面研磨し、ピクリン酸飽和水溶液に界面活性剤を加えた液、たとえば、ピクリン酸飽和水溶液に界面活性剤を加えたもの(JIS G 0551 付属書1)に浸漬する。そして、鏡面研磨した面を腐食させた後、光学顕微鏡で400倍に拡大し、その組織を観察する。
このようにして観察された軌道輪の内部層の結晶組織の顕微鏡写真を、図15(A)、(B)に示す。ここで、図15(A)は、この発明の一実施形態に係る製造方法で製造された軌道輪の内部層の結晶組織を示す顕微鏡写真であり、図15(B)は、従来の熱処理方法として光輝熱処理を施した軌道輪の内部層の結晶組織を示す顕微鏡写真である。なお、従来の熱処理としては、光輝熱処理炉において850℃で40分間保持した後、油冷することにより焼入れを行っている。また、図15(A)を元に描いた旧オーステナイト結晶粒界の模式図を、図16(A)に、図15(B)を元に描いた旧オーステナイト結晶粒界の模式図を、図16(B)に示す。ここで、旧オーステナイト結晶粒界の存在比率を測定する際には、実サイズにおいて、225μm×175μmの四角形状で仕切られた領域内の存在比率を測定することにしてもよい。
図15(A)、(B)および図16(A)、(B)を参照して、まず、図15(A)および図16(A)において、内部層の結晶組織における旧オーステナイト結晶粒界は、ほとんど進行しておらず、全体の視野に比較して、10%以下である。これは、上記した誘導加熱において、極めて短時間で昇温し、その後金型プレスを焼入れ媒体として焼入れしたことにより、オーステナイトの結晶化が進行せず、オーステナイト結晶粒界を生じさせなかったことによるものである。
これに対し、図15(B)および図16(B)においては、内部層の結晶組織における旧オーステナイト結晶粒界の進行は進んでおり、ほとんどすべての視野に対し、旧オーステナイト結晶粒界が存在し、全体の視野に比較して、90%以上である。これは、熱処理工程において、オーステナイトの結晶化が進行し、オーステナイト結晶粒界を生じさせたことによるものである。
このような旧オーステナイト結晶粒界は、周辺組織と異なった組織構造であるため、内部起点型の亀裂が促進するおそれがある。したがって、このような加熱処理および焼入れ処理を行うことにより、旧オーステナイト結晶粒界を低減することができ、具体的には、全体視野の10%以下とすることにより、内部起点型の亀裂の発生を抑制することができる。そうすると、軌道面の転動疲労寿命を長くすることができる。
一方、軌道輪の表面層には、浸炭熱処理等により、鋼中のCr、Mn等の合金元素と雰囲気ガス中に存在する酸素とが反応して、酸化物が形成される。ここで、最表面から酸化物が形成されている領域の最も深い部分までを含む粒界酸化層においては、周辺組織と異なった組織構造を有するため、この場合も硬度が低くなり、表面起点型の亀裂等が発生しやすくなる。
軌道輪の表面層における旧オーステナイト層の観察方法について説明する。まず、軌道輪を、軌道面に垂直な方向に切断する。次に、切断した面を鏡面研磨した後、研磨面を室温で3%ナイタルに浸漬して腐食させた。なお、腐食は、数秒程度で進行するが、軌道輪に使用される鋼種によって、腐食の進行状態は異なるので、腐食度合いを確認しながら浸漬する。
このようにして得られた表面層の断面を、光学顕微鏡により観察した。このときの顕微鏡写真を、図17(A)、(B)に示す。図17(A)は、この発明の一実施形態に係る製造方法で製造した軌道輪の表面層の結晶組織を示す顕微鏡写真であり、図17(B)は、従来の熱処理方法として光輝熱処理を施した軌道輪の表面層の結晶組織を示す顕微鏡写真である。図17(A)および(B)を参照して、図17(A)においては、粒界酸化層はほとんど観察されず、最表面から少なくとも1μm以下である。これは、上記した誘導加熱において、極めて短時間で昇温し、その後焼入れしたことにより、表面層の酸化反応がほとんど進行しなかったことによるものである。一方、図17(B)においては、最表面から6μm程度の位置まで、粒界酸化層が観察される。したがって、この発明に係る焼入れ工程を行うことにより、粒界酸化層をほとんど形成することはないため、表層起点型の亀裂の発生を抑制することができる。そうすると、軌道輪の転動疲労寿命を長くすることができる。
このように、この発明に係る焼入れ工程を行うことにより、内部起点型および表層起点型の亀裂の発生を抑制することができるので、軌道輪の破損を防止することができ、転動疲労寿命を長くすることができる。
ここで、上記したこの発明の一実施形態に係るスラストころ軸受の軌道輪の製造方法で製造された軌道輪および従来の製造方法で製造された軌道輪について、その軌道面のそり、うねりを測定した。この測定結果を表1に示す。図18(A)は、スラスト内輪12aを軸方向からみた図、図18(B)は、スラスト内輪12aの断面図である。表1において、そり、うねりを測定した箇所は、図18(A)の点線で示すように、軌道面16aの軌道径の中央部である。測定器は、真円度測定器(タリロンド265:テーラーホブソン社製)を使用した。なお、この部分の母線形状曲線の例を、図19に示す。
表1を参照して、現行品である平板状のスラスト軌道輪のそり、うねりの平均値は、0.074mmであるのに対し、この発明におけるスラストころ軸受の軌道輪の製造方法で製造されたクラウニング付平板状スラスト軌道輪のそり、うねりの平均値は、0.024mmである。したがって、そり、うねりの平均値は、現行品と比較して、約1/3に低減されている。
また、軌道輪の硬度は、転動疲労寿命を考慮すると、一般的には、浸炭焼入焼戻処理または光輝熱処理等を行って得られる最低限の硬度であるHV653以上が必要である。現行品の軌道輪が、HV720であるのに対し、この発明における製造方法で製造された軌道輪は、HV780であり、硬度においても、現行品よりも優れているとともに、HV653以上であり、転動疲労寿命を低下させることはない。
次に、このような軌道輪を備えるスラストころ軸受の寿命を比較するための試験を行った。試験条件を表2に、試験結果を表3に示す。なお、寿命は、現行品に対する比である寿命比で算出した。
表3を参照して、現行における浸炭焼入れ処理をした平板状のスラスト軌道輪に対して、この発明に係る製造方法で製造したクラウニング付平板状スラスト軌道輪を含むスラストころ軸受は、寿命が3.8倍である。また、製造時において、クラウニング形状を設けず、焼入れプレスによる焼入れ処理を行った平板状スラスト軌道輪を含むスラストころ軸受は、現行品に対して、寿命が2.9倍程度であるため、これに対しても、より長寿命となっている。
また、ここで、上記したこの発明に係る製造方法で製造したスラスト内輪のクラウニング高さSと、このようなスラスト内輪を含むスラストころ軸受の寿命との関係を試験した。なお、クラウニング高さSとは、基準となる軌道面16aに対して、クラウニング部17aの最大高さを表し、図2における寸法Sで示される。図20は、上記したこの発明に係る製造方法で製造したスラスト軌道輪のクラウニング高さSと、このスラスト軌道輪を含むスラストころ軸受の寿命比との関係を表すグラフである。なお、ここで、寿命比とは、実際に寿命試験を行ったときに測定された寿命と、形状から算出した計算寿命との比であり、この寿命比の値が1から大きくなるほど、実寿命が長く、好ましい。また、この場合において、クラウニング高さSがマイナスとは、図21に示すように、たとえば、スラスト内輪96の軌道面97に形成されたクラウニング部98が、軌道面97よりも下方向に凹んでいる状態を示す。
図20を参照して、クラウニング高さSは、0.001〜0.013mmであれば、1よりも大きいため、長寿命を図ることができる。したがって、上記したこの発明における製造方法におけるクラウニング形成工程において、クラウニング部17a等を形成する際には、スラスト内輪12a等の材質、大きさ等を考慮して、クラウニング高さSを0.001〜0.013mmとなるようにするとよい。
以上より、この発明に係るスラストころ軸受の軌道輪の製造方法を使用すると、焼入れ工程において、軌道輪を拘束した状態で冷却しているため、軌道輪のそりやうねりを低減することができる。そうすると、ころの転走時において、そりやうねりが低減された軌道輪の軌道面に設けられたクラウニング部ところの転動面が接触することになるため、そり直し工程を行わなくとも、ころの片当たりが抑制される。その結果、ころのエッジロードが発生するおそれは減少し、軌道輪の転動疲労寿命を長くすることができる。
また、この発明に係るスラストころ軸受の軌道輪の製造装置を使用すると、軌道面にクラウニングが形成された軌道輪を、拘束した状態で冷却する焼入れを行うことができる。したがって、軌道面にクラウニング形状を有し、そりやうねりが低減されたスラストころ軸受の軌道輪を、容易に製造することができる。
なお、上記の実施の形態においては、軌道輪を加熱処理する工程として、誘導加熱を行ったが、これに限らず、他の加熱方法により、軌道輪を加熱することにしてもよい。
また、上記したスラストころ軸受に含まれるころには、針状ころや棒状ころ、円筒ころ等が含まれる。また、上記した実施の形態において、スラストころ軸受は、複数のころの間隔を保持する保持器を有することとしたが、これに限らず、保持器を有しないスラストころ軸受についても、適用される。なお、上記の実施の形態においては、鍔部を有する軌道輪について説明したが、これに限らず、鍔部を有しない軌道輪についても適用される。
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示した実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
この発明に係るスラストころ軸受の軌道輪の製造方法およびスラストころ軸受の軌道輪の製造装置は、転動疲労寿命を長くした軌道輪を製造することができるため、長寿命が要求されるカーエアコン用コンプレッサやトランスミッション等に使用されるスラストころ軸受に含まれるスラストころ軸受の軌道輪を製造する際に、有効に利用できる。
この発明の一実施形態に係るスラスト内輪の製造方法の概略を示すフローチャートである。 スラストころ軸受の軌道輪であるスラスト内輪の要部を示す断面図である。 スラストころ軸受の軌道輪であるスラスト外輪の要部を示す断面図である。 図2に示すスラスト内輪および図3に示すスラスト外輪を備えるスラストころ軸受の要部を示す断面図である。 スラスト内輪を製造する際に使用されるクラウニング形成装置の概略断面図である。 図5に示すクラウニング形成装置の他の実施形態である。 スラスト内輪を製造する際に使用される焼入れプレス装置の概略断面図である。 図7に示す焼入れプレス装置の他の実施形態である。 図5に示すクラウニング形成装置のさらに他の実施形態である。 スラスト内輪を製造する際に使用されるクラウニング形成兼焼入れプレス装置の概略断面図である。 図10に示すクラウニング形成兼焼入れプレス装置の他の実施形態である。 図10に示すクラウニング形成兼焼入れプレス装置のさらに他の実施形態である。 図10に示すクラウニング形成兼焼入れプレス装置のさらに他の実施形態である。 この発明の他の実施形態に係るスラスト内輪の製造方法の概略を示すフローチャートである。 スラスト内輪の内部層の結晶組織の観察写真であり、(A)従来における光輝熱処理による熱処理を施した軌道輪、(B)この発明に係る焼入れ処理を施した軌道輪を示す。 図15(A)、(B)に表された内部組織の模式図である。 スラスト内輪の表面層の結晶組織の観察写真であり、(A)従来における光輝熱処理による熱処理を施した軌道輪、(B)この発明に係る焼入れ処理を施した軌道輪を示す。 スラスト軌道輪のそり、うねりを測定する箇所を示す図であり、(A)スラスト軌道輪を軸方向からみた図、(B)スラスト軌道輪の断面図である。 軌道面のそり、うねりの母線形状曲線の一例を示すグラフである。 スラスト軌道輪のクラウニング高さSと、スラスト軌道輪を含むスラストころ軸受の寿命比との関係を表すグラフである。 クラウニング部がマイナスの値を示すスラスト内輪の要部を示す断面図である。 従来における鍔付スラストころ軸受の要部を示す断面図である。 従来における平板状のスラストころ軸受の要部を示す断面図である。 従来におけるスラストころ軸受の軌道輪の製造方法の概略を示すフローチャートである。
符号の説明
11 スラストころ軸受、12a,96 スラスト内輪、12b スラスト外輪、13 ころ、14 保持器、15a,15b 鍔部、16a,16b,97 軌道面、17a,17b,98 クラウニング部、18 転動面、19 面、20 中央部、21,31,51 クラウニング形成装置、22,32,52 凸状プレス冶具、23,33,53 凹状プレス冶具、24,54,64,84 固定部、25,28,55,58,65,69,85,90 係合部、26,34,56,66,86 凸状クラウニング形成部、27,57,68,89 固定孔、29,59,70,91 凹状クラウニング形成部、35,41,79 逃げ部、36,43 焼入れプレス装置、37,44 上型焼入れプレス冶具、38,45 下型焼入れプレス冶具、39,40,67,71,87,92 冷却孔、42,80 注入孔、46,47,75,76,88,93 冷却フィン、61,72,77,81 クラウニング形成兼焼入れプレス装置、62,73,82 凸状焼入れプレス冶具、63,74,78,83 凹状焼入れプレス冶具。

Claims (6)

  1. ころを転動させる軌道面を持つスラストころ軸受の軌道輪の製造方法であって、
    軌道面にクラウニング形状を形成するクラウニング形成工程と、
    軌道輪を加熱処理した後に、前記軌道輪を金型内に拘束した状態で、前記軌道輪を冷却して焼入れ処理を行う焼入れ工程とを含む、スラストころ軸受の軌道輪の製造方法。
  2. 前記クラウニング形成工程と前記焼入れ工程を同じ金型で行う、請求項1に記載のスラストころ軸受の軌道輪の製造方法。
  3. 前記焼入れ工程は、前記金型を冷却することにより、前記軌道輪を冷却して焼入れを行う、請求項1または2に記載のスラストころ軸受の軌道輪の製造方法。
  4. 前記焼入れ工程は、前記金型内に拘束された前記軌道輪に対して、冷却媒体を接触させることにより行う、請求項1〜3のいずれかに記載のスラストころ軸受の軌道輪の製造方法。
  5. 前記加熱処理は、誘導加熱により行われる、請求項1〜4のいずれかに記載のスラストころ軸受の軌道輪の製造方法。
  6. ころを転動させる軌道面を持つスラストころ軸受の軌道輪の製造装置であって、
    軌道面にクラウニングを形成するクラウニング形成部と、
    軌道輪を加熱する加熱部と、
    前記軌道輪を拘束した状態で、前記軌道輪を冷却して焼入れを行う金型とを含む、スラストころ軸受の軌道輪の製造装置。
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