JP2007131920A - 耳率が小さく且つ板幅方向の耳率が安定した缶蓋用アルミニウム合金板およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 SA(自己焼鈍)製法でも耳率が小さく且つ広幅の板においても板幅方向の耳率が安定した缶蓋用アルミニウム合金板を得る。
【解決手段】 特定組成のAl−Mg−Mn系合金を熱間圧延後、冷間圧延前や冷間圧延途中に中間焼鈍工程を付与せずに製造した缶蓋用アルミニウム合金板の両端部および板中央部での3点における耳率の平均値の絶対値が8%以下であり、且つ3点における耳率の(最大値−最小値)が2%以下とする。製法としては、熱間粗圧延板と熱間仕上圧延での熱間圧延油の噴き付け量や圧下量を細かく制御して板幅方向での温度分布等を一定範囲に制御し、その後冷間圧延前や冷間圧延途中に焼鈍工程を付与することなく冷間圧延により最終板厚まで圧延する。
【選択図】 無し

Description

本発明はアルミニウム合金板の製造方法であり、特に陰圧缶用のアルミニウム缶蓋用のアルミニウム合金板に関する。すなわち、缶内部に充填する飲料が炭酸を含まない、コーヒー、茶等を対象とし、アルミニウムまたはスチール製の缶胴体と本発明のアルミニウム合金板で成形した缶蓋体を巻き締めることにより、1個の飲料缶製品となり得る。
缶蓋材の耳率を良化させる方法は、特許文献1等にアルミニウム合金板の製法等を規定する手法により公知化されている。しかし、比較的板幅の広いアルミニウム合金板の耳率を幅方向にて均一且つ絶対値を低くする手法は見出されていない。
特開2001−073106号公報
アルミニウム合金板の耳率が悪いと、成形された缶蓋体のカール部の高さ(カールハイト)が円周方向にて均一とならない。カールハイトが円周方向で不均一になってしまうと、缶胴体との勘合の際に、カールハイトが部分的に高い箇所にて缶胴体と点接触してしまうため、部分的に勘合されない不具合が生じてしまう。そのため、缶蓋用アルミニウム合金板にはできるだけ、耳率の低いことが要求されている。
本発明の対象となる製造方法は、熱間圧延終了後、もしくは冷間圧延のパス間に中間焼鈍を施さないような工程、いわゆるSA(Self−Annealing、自己焼鈍)工程である。SA工程は、焼鈍処理を省略できるため、コスト的には有利であるが、以下のようなデメリットがある。自己焼鈍以外の工程であれば、中間焼鈍の熱処理条件(温度、時間)や中間焼鈍前までの冷間圧延の圧下率、中間焼鈍後の冷間圧延率の変更等により、耳率の制御がより容易に変更可能となるが、SA工程であれば、熱間圧延以降で熱処理が付与されないため、耳率の制御が制限されてしまう。
また、比較的幅の広いアルミニウム合金板では、圧延中または圧延後において、幅中央部と幅端部の冷却能の差に起因して、幅方向の位置的な温度偏差が生じる。この温度偏差は、熱間圧延直後のアルミニウム合金板の組織形成時に顕著に影響し、幅方向の位置的な組織偏差に繋がる。缶蓋用アルミニウム合金板は、幅方向にて安定した耳率となることが要求されるため、幅方向の位置的な組織偏差をできるだけ小さくしなければならない。
上記課題を解決するには、請求項1に記載した通り、Mg:2.0〜3.5%、Mn:0.2〜0.7%、Si: 0.3%以下、Cu:0.15%以下、Fe:0.5%以下を含有し残部Al及び不可避不純物よりなり、熱間圧延後、冷間圧延前や冷間圧延途中に中間焼鈍工程を付与せずに製造した缶蓋用アルミニウム合金板の両端部および板中央部での3点における耳率の平均値の絶対値が8%以下であり、且つ3点における耳率の(最大値−最小値)が2%以下となるような、耳率が小さく且つ板幅方向の耳率が安定した缶蓋用アルミニウム合金板とする。
また、その製造方法は請求項2に記載した通り、Mg:2.0〜3.5%、Mn:0.2〜0.7%、Si: 0.3%以下、Cu:0.15%以下、Fe:0.5%以下を含有し残部Al及び不可避不純物よりなるアルミニウム合金の熱間粗圧延板を、熱間仕上げ圧延板するに際し、
熱間仕上げ圧延開始直前において、幅中央部の温度が400〜470℃で、幅端部の温度が幅中央部の温度に比べて5〜30℃低い、板厚15〜50mmの板を用意し、
熱間仕上圧延において幅方向に3本以上設置された噴射用の各ノズルより吹き付ける熱間圧延油の流量を個々に制御し、板幅を均等に3分割(その各領域を、板端部、板中央部、板端部と呼ぶ)したときの、各領域に噴き付ける熱間圧延油の流量を圧延板の単位幅当たり50〜250リットル/メートル・分 の範囲内とし、且つ板端部の領域に噴き付ける熱間圧延油の流量を、板中央部の領域に噴き付ける熱間圧延油の流量の50〜80%とし、熱間仕上圧延の総圧下率80〜95%にて圧延し、
熱間仕上圧延終了後は巻き取り直後のコイル側面温度が310〜340℃となるようにアルミニウム圧延板をコイル状に巻き取り、
その後冷間圧延前や冷間圧延途中に焼鈍工程を付与することなく冷間圧延により最終板厚まで圧延することを特徴とする、
耳率が小さく且つ板幅方向の耳率が安定した缶蓋用アルミニウム合金板の製造方法である。
本発明によればコスト的に有利だが耳率制御が制限されるSA(自己焼鈍)製法でも耳率が小さく且つ広幅の板においても板幅方向の耳率が安定した缶蓋用アルミニウム合金板が得られる。
本発明は、特に熱間圧延後、冷間圧延前や冷間圧延途中に中間焼鈍工程を付与せずに製造した缶蓋用アルミニウム合金板の両端部および板中央部での3点における耳率の平均値の絶対値が8%以下であり、且つ3点における耳率の(最大値−最小値)が2%以下となるアルミニウム合金板に関する。
一般的に缶蓋の成形には、予め材料の異方性を考慮して、蓋のカール部、チャックウォール部を形成する箇所の材料の量を制御するような手法がなされている。具体的には、深絞りを施すブランク板を真円ではなく非円とし、絞りパンチよりも径の大きな箇所の材料が中央部に集まってくる流れ込み量を変化させ、絞ったあとの蓋の高さを均一化させる。例えば45°方向に耳が高い材料であれば、45°方向に凹部、0−90°方向に凸部となるような非円ブランクを準備する。このような手法によれば、材料の異方性が大きくても、成形された缶蓋はほぼカールハイトを揃えることが可能となる。但し、このような手法も量的な限界があり、極端に非円なブランクを用いて缶蓋を作成すると、絞り時の円周方向圧縮歪の偏差に起因して蓋の形状が歪んでしまう。
本発明では、缶蓋用アルミニウム合金板の両端部および板中央部での3点における耳率の平均値の絶対値が8%以下であり、且つ3点における耳率の(最大値−最小値)が2%以下となることとする。耳率の平均値の絶対値が8%を超えてしまうと、非円ブランクでのカールハイト矯正の許容限界を超えるため、缶蓋として成形したときにカール部の高さが部分的に高い箇所が生じてしまうか、もしくは形状の歪んだ缶蓋が作成されてしまう。缶蓋用アルミニウム合金板の両端部および板中央部での3点における耳率の(最大値−最小値)が2%を超えると、成形位置により蓋の形状が異なってしまい、同一材料にて選別の必要が生じ、コスト高になるため避けなければならない。
次に、本発明で規定している合金成分の作用および範囲限定の理由を述べる。
Mgは固溶硬化による強度向上に寄与する元素でその含有量を2.0〜3.5%とする。2%未満では強度向上の効果が不十分である。一方、3.5%を超えるとアルミニウム合金板の積層欠陥エネルギーが減少し、圧延時や成形中の加工硬化が大きくなり、成形性が低下するとともに、熱間圧延終了後の再結晶組織形成に影響を及ぼす。
Mnは強度を向上させるとともに、Al−Mn−Fe系の第2層粒子形成に影響を及ぼす元素で含有量を0.2〜0.7%とする。0.2%未満では、必要強度が得られないとともに第2層粒子の分布密度が少なすぎるために、アルミニウム合金板の集合組織に影響を及ぼし、0.7%を超えると、粗大な第2層粒子が発生してしまい、缶蓋のリベット成形の際に割れが発生しやすくなる。
Siは、アルミニウムの不可避不純物であり、Al(Fe,Mn)Si系化合物(α相)、MgSi等の第2相粒子形成に影響を及ぼす元素で含有量を0.3%以下とする。。0.3%を超える範囲では、粗大な第2相粒子が発生してしまい、缶蓋のリベット成形の際に割れが発生しやすくなる。
Cuは、冷延や塗装焼付け時のAl−Mg−Cu系析出による強度上昇、耐熱性の向上に必要な元素で含有量を0.15%以下とする。0.15%を超えると強度過剰により、成形性が低下する。
Feアルミニウムの不可避不純物であり、Mn同様にAl−Mn−Fe系の第2相粒子形成に影響を及ぼす元素で含有量を0.5%以下とする。0.5%を超えると、粗大な第2相粒子が発生してしまい、成形性が低下する。
上記の合金元素の他、鋳塊の組織微細化のためTi0.01%〜0.15%を単独であるいはB0.0001%〜0.05%とともに含有させることが多い。各々下限に満たないと鋳塊の組織微細化の効果が足りず、Tiが0.15%を超えるとTiAlが晶出し成形性を害し、Bが0.05%を超えるとTiBの粗大粒子が混入し成形性を害する。
その他、各元素0.05%未満、合計で0.15%未満の不純物の含有は差し支えない。
上記組成を有するアルミニウム合金を主にDC鋳造等により常法に従って鋳塊を製造する。
必要により面削した後、均質化のため、熱間圧延温度に昇温するために、1段あるいは2段の加熱をおこなう。
次に、熱間圧延に関する限定理由を述べる。
一般的に熱間圧延時に用いる熱間圧延油は、鉱油を基油とし油性剤を加えたものを水に乳化させたものである。その使用目的は、潤滑、冷却のためである。本発明では特に後者の作用に着目し、熱間粗圧延後に板の幅中央部と幅端部の冷却能の差に起因して生じた幅方向の位置的な温度偏差がある熱間粗圧延板を熱間仕上圧延する際に、板に噴射する熱間圧延油の量を幅方向で変化させることにより、熱間仕上圧延された材料の組織を板幅方向にて均一化することを特徴とする。
そのため、熱間仕上圧延開始直前の幅中央部の温度が400〜470℃で、幅端部の温度が、幅中央部の温度に比べて5〜30℃低い、板厚15〜50mmの熱間粗圧延板を用意する。それを熱間仕上圧延において、板幅を均等に3分割(その各領域を、板端部、板中央部、板端部と呼ぶ)したときの、各領域に噴き付ける熱間圧延油の流量を圧延板の単位幅当たり50〜250リットル/メートル・分 の範囲内とし、且つ板端部の領域に噴き付ける熱間圧延油の流量を、板中央部の領域に噴き付ける熱間圧延油の流量の50〜80%とする。
熱間仕上げ圧延開始直前において、幅中央部の温度が470℃を超えると、熱間仕上圧延時に熱間圧延油を噴き付けても冷却作用が追いつかず、温度が高くなりすぎてしまい、ピックアップインクルージョンのような表面不良を生じてしまう。400℃未満であると、後述するような熱間仕上終了温度を確保することができず、材料の再結晶化がなされない。
熱間仕上げ圧延開始直前において、幅端部の温度が幅中央部の温度に比べて30℃を超えて低い場合は、本発明のように熱間仕上圧延油の噴射方法を工夫したとしても十分な効果が得られないため対象とはしない。また、5℃未満しか変わらない条件は、すなわち熱間粗圧延と熱間仕上圧延間の板の保持時間が短いような状態を意味するが、そのような条件での製造は工業的には不能である。
熱間粗圧延上がり、すなわち熱間仕上げ圧延開始直前の板厚は、15〜50mmとする。タンデム式熱間仕上圧延機にて圧延する場合、圧延終了後に再結晶化した材料の組織は、立方体方位の結晶粒が優位となる。熱間仕上圧延の圧延量が大きいほど、この立方体方位の結晶粒の占める割合が多くなり、それに伴い製品板の耳は0‐90°方向に高くなりやすい。熱間粗圧延後の板厚が50mm超であれば、圧延終了後に再結晶化した材料中の立方体方位結晶粒が過多となり、製品の耳率が高くなってしまう。15mm未満では、熱間仕上圧延での圧下量が少なすぎるため工業的ではない。
熱間仕上圧延において幅方向に3本以上設置された噴射用の各ノズルより吹き付ける熱間圧延油の流量を個々に制御し、板幅を均等に3分割(その各領域を、板端部、板中央部、板端部と呼ぶ)したときの、各領域に噴き付ける熱間圧延油の流量が50リットル/メートル・分 未満であると、各領域での潤滑、冷却作用が十分でなくなり、板表面が劣化してしまう。250リットル/メートル・分 を超えても上記作用の効果が飽和するため、省資源の観点から好ましくない。
熱間粗圧延後に板の幅中央部と幅端部の冷却能の差に起因して生じた幅方向の位置的な温度偏差が生じるが、板中央部に比べて板端部の方が冷えやすいため、熱間仕上圧延において板端部の領域に噴き付ける熱間圧延油の流量は、板中央部の領域に噴き付ける熱間圧延油の流量に比べて、少なくしなければならない。板端部の領域に噴き付ける熱間圧延油の流量を、板中央部の領域に噴き付ける熱間圧延油の流量の50%未満では、板端部の領域に噴き付ける熱間圧延油の流量が少なくなり、潤滑、冷却作用が不足する。流量の比率が80%を超えると、過度な冷却状態を引き起こし、板全体の温度が下がってしまい、熱間仕上圧延直後の材料の再結晶化が十分なされない。
熱間仕上圧延機の幅方向に熱間圧延油噴射用のノズルを3本以上設置しているのは、少なくとも板の両端2箇所と中央部1箇所に噴き付ける必要があるためである。熱間仕上圧延機の熱間圧延油噴射用のノズルの数は幅方向に3本以上とする。圧延する板幅によっても変わるが、好ましくは7本以上が良い。板への噴射点の相互間隔は、均等または不均等でも良い。
板中央部と板端部との温度差が大きいほど、板に噴射する熱間圧延油の量は、中央部のノズルほど多く、端部に近いノズルほど少なくする。この様に各ノズルより吹き付ける熱間圧延油の流量を個々に制御する。
熱間仕上圧延ロールの1段当たりの圧下率は60%以下とするのが好ましい。圧下率が60%を超えると、圧延ロールへの板の噛み込み性が悪くなる。押し込み力を大きくして無理やり圧延しようとしても、板のエッジ部とロールとの接触によりロールに傷をつけてしまい、その傷の板への再転写により表面不良が発生してしまう。下限値は特に指定をしないが、工業的な見地より、好ましくは、30〜60%とした方が良い。
熱間仕上圧延の総圧下率は80〜95%とする。熱間仕上圧延の総圧下率は、製品板の耳率に影響する。圧下率が高いほど、熱間仕上圧延後の材料再結晶時に、立方体方位に近い結晶粒がより優先的に成長する。続く冷間圧延にて材料組織はファイバー状に延ばされ、材料組織の方位はランダム化される。熱間圧延後に成長する結晶粒中に立方体方位の量が多ければ、冷間圧延された材料の耳率は、マイナス耳(0−90°に強い)が強くなり、少なければ、プラス耳(45°に強い)が強くなる。
熱間仕上圧延の総圧下率が80%未満であれば、熱間圧延後に成長する結晶粒中に立方体方位の量が少なすぎるため、製品の耳率がプラス耳方向に悪くなる。95%を超えると、立方体方位の量が多すぎるため、製品の耳率がマイナス耳方向に悪くなる。
熱間仕上圧延終了後にはアルミニウム圧延板をコイル状に巻き取るが、巻き取り直後のコイル側面温度は310〜340℃とする。このコイル側面温度は、熱間仕上圧延の圧延速度、圧延油の吹き付け量、圧延油の温度等により制御する。コイル側面温度が310℃未満であると、材料が十分に再結晶されないため、製品の耳率の絶対値が大きくなると共に板幅方向の耳率が安定しない。340℃を超えると、熱間仕上圧延時に材料の温度が高くなりすぎるため、ピックアップインクルージョンのような表面不良を生じてしまう。
その後、冷間圧延前や冷間圧延途中に焼鈍工程を付与することなく、冷間圧延により最終板厚まで圧延する。
上記のような製造方法を採ることにより、缶蓋用アルミニウム合金板の両端部および板中央部での3点における耳率の平均値の絶対値が8%以下であり、且つ3点における耳率の(最大値−最小値)が2%以下である、耳率が小さく且つ板幅方向の耳率が安定した缶蓋用アルミニウム合金板が製造可能となる。
以下に実施例を示す。特性の評価方法は以下の通り実施した。
<評価方法>
・塗装焼付け後の素板耐力
冷間圧延板から圧延方向を長手方向としたJIS5号引張り試験片をオイルバスにて塗装焼付相当の処理(250℃×10秒)した後、引張り速度20mm/分で引張り試験を行い、0.2%耐力値を測定した。塗装焼付け後の耐力値が230MPa以下の場合、缶蓋としての必要強度が不足するため不良となる。
・缶蓋成形性(リベット成形性)
塗装焼付け処理を施した最終板に、多段の張り出し成形を付与し、割れの有無を目視にて確認した。500枚の板に成形を施し、1枚でも 割れが認められた場合、不良(×)とした。
・耳率(幅方向分布を含む)
Φ57の円形ブランクから絞り率48%の円筒容器を作成し、円筒容器の側壁高さを、円周方向にピッチ45°で合計8点測定し、下式のような計算から耳率を求めた。
耳率 =(45°の平均高さ−0、90°の平均高さ)/(全測定点の平均高さ)
円形ブランクのサンプリングは、アルミニウム合金板の幅方向から3点を測定し、3点の平均値の耳率が8%超を不良(×)とした。また、3点の耳率のうち、(最大値−最小値)が2%以上を不良(×)とした。
本発明の請求項1に示す範囲内の合金組成(Mg2.25%、Mn0.25%、Si0.11%、Cu0.06%、Fe0.21%、残部Al及び不可避不純物。表2の発明例Aに該当。)を有するAl合金を常法により溶解鋳造し鋳塊を製造した。次いで490℃×3時間にて均質化処理をした後、熱間粗圧延を施した。
次に、熱間仕上圧延を施すに際して赤外線式放射温度計にて熱間仕上げ圧延開始直前の材料の長手頭相当部と尻相当部の温度を測定した。
表1記載の条件のもと、4段タンデム式圧延機にて熱間仕上げ圧延を実施し、コイル巻上げ直後のコイル側面温度を接触式温度計にて測定した。なお、熱間仕上圧延に用いた圧延油の噴射ノズルの数は7つとし、一部の条件(発明例6,7,8及び比較例12)では、全てのノズルを使用することなく3〜5本のノズルにより、圧延油を噴き付けた。一部の条件(比較例12)では、圧延油を板幅方向に対して変化させず、一部の条件(比較例13,14)では上記の放射温度計にて測定した熱間仕上げ圧延開始直前の圧延板の温度に関わらず、一定量の熱間圧延油を噴き付けた。熱間仕上圧延ロールの1段当たりの圧下率は全て60%以下とした。上記の放射温度計にて測定した熱間仕上げ圧延開始直前の圧延板の温度を入力因子とし、圧延油の流量と圧延速度(制御因子)を可変させることにより、熱間仕上圧延機の出側における材料温度(出力因子)を一定にするように制御を行った。その後、中間焼鈍を行うことなく冷間圧延を施し0.25mmのアルミニウム合金板を製造した。
Figure 2007131920
本発明の規定範囲で熱間仕上圧延を施しているアルミニウム合金板は、耳率の平均値が−8%以下であり、幅方向にサンプリングした耳率の最大値と最小値の差が2%以内となっている。また、塗装焼付け後の耐力についても230MPa以上を確保し、缶蓋成形性も良好となっている。
比較例9は、熱間粗圧延上がり板厚(表では「熱間仕上圧延直前板厚」)が発明の規定上限から外れているため、熱間仕上圧延の総圧下率が大きくなり、最終板の耳率の平均値がマイナス耳方向に大きくなっている。
比較例10は、熱間仕上圧延直前の長手尻相当部の幅中央部板温度が発明の規定下限より低すぎるため、また比較例11は、熱間仕上圧延直前の長手頭相当部の幅端部板温度が低く幅中央部と幅端部との温度差が発明の上限を超えたため、どちらも熱間仕上圧延後の巻取直後コイル側面温度が低くなり、材料の再結晶が十分なされなかった。結果として、板幅方向の耳率偏差が大きくなるとともに、強度上昇に起因して成形性が劣った。
比較例12は、熱間仕上圧延時に圧延油を板中央部の1箇所のみから噴射させて圧延した例であるが、板中央部と板端部の組織が均一にならず、板幅方向の耳率偏差が大きくなった。
比較例13、14は、圧延油の噴射流量を材料温度に関わらず一定流量にて噴射させた例であるが、いずれの場合も板幅方向の耳率偏差が大きくなった。
表2に示す合金組成のAl合金を常法により溶解鋳造し鋳塊を製造した。次いで490℃×3時間にて均質化処理をした後、熱間粗圧延により板厚30mmとした。その後、4段タンデム式圧延機にて実施例1の発明例1に示す条件(表1参照)にて熱間仕上げ圧延を実施した。その後、中間焼鈍を行うことなく冷間圧延を施し0.25mmのアルミニウム合金板を製造した。
Figure 2007131920
表2に結果を示す。本発明の合金組成範囲内であるA〜Fは、耳率の平均値及び幅方向での偏差が少なく、また塗装焼付け後の耐力及び、缶蓋(リベット)成形性が良好な結果が得られている。
G〜Mは規定範囲を逸脱しているため、十分な特性結果が得られていない。
比較例G,Iは、それぞれMg,Mnが本発明の規定上限から外れているため、缶蓋の成形性が劣っており、比較例H,Jは、それぞれMg,Mnが本発明の規定下限から外れているため、塗装後の耐力が十分に得られていない。比較例K,L,Mは、それぞれSi,Cu,Feが本発明の規定上限から外れているため、缶蓋の成形性が劣っている。

Claims (2)

  1. Mg:2.0〜3.5%(mass%、以下同じ)、Mn:0.2〜0.7%、Si: 0.3%以下、Cu:0.15%以下、Fe:0.5%以下を含有し残部Al及び不可避不純物よりなり、熱間圧延後、冷間圧延前や冷間圧延途中に中間焼鈍工程を付与せずに製造した缶蓋用アルミニウム合金板の両端部および板中央部での3点における耳率の平均値の絶対値が8%以下であり、且つ3点における耳率の(最大値−最小値)が2%以下となるような、耳率が小さく且つ板幅方向の耳率が安定した缶蓋用アルミニウム合金板。
  2. Mg:2.0〜3.5%、Mn:0.2〜0.7%、Si: 0.3%以下、Cu:0.15%以下、Fe:0.5%以下を含有し残部Al及び不可避不純物よりなるアルミニウム合金の熱間粗圧延板を、熱間仕上げ圧延板するに際し、
    熱間仕上げ圧延開始直前において、幅中央部の温度が400〜470℃で、幅端部の温度が幅中央部の温度に比べて5〜30℃低い、板厚15〜50mmの板を用意し、
    熱間仕上圧延において幅方向に3本以上設置された噴射用の各ノズルより吹き付ける熱間圧延油の流量を個々に制御し、板幅を均等に3分割(その各領域を、板端部、板中央部、板端部と呼ぶ)したときの、各領域に噴き付ける熱間圧延油の流量を圧延板の単位幅当たり50〜250リットル/メートル・分 の範囲内とし、且つ板端部の領域に噴き付ける熱間圧延油の流量を、板中央部の領域に噴き付ける熱間圧延油の流量の50〜80%とし、熱間仕上圧延の総圧下率80〜95%にて圧延し、
    熱間仕上圧延終了後は巻き取り直後のコイル側面温度が310〜340℃となるようにアルミニウム圧延板をコイル状に巻き取り、
    その後冷間圧延前や冷間圧延途中に焼鈍工程を付与することなく冷間圧延により最終板厚まで圧延することを特徴とする、
    耳率が小さく且つ板幅方向の耳率が安定した缶蓋用アルミニウム合金板の製造方法。
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