JP2007125745A - ガラス繊維強化プラスチック材、ガラス繊維強化プラスチックプリプレグ、ガラス繊維強化プラスチック層及びlngタンク - Google Patents

ガラス繊維強化プラスチック材、ガラス繊維強化プラスチックプリプレグ、ガラス繊維強化プラスチック層及びlngタンク Download PDF

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Abstract

【課題】 極低温下での冷熱衝撃に強く、液密信頼性に優れることにより、上記のような地上式LNGタンクの二次バリア層を構成するのに適したガラス繊維強化プラスチック材及びガラス繊維強化プラスチックプリプレグ、これらを用いて形成されるガラス繊維強化プラスチック層及びLNGタンクことを目的とする。
【解決手段】 強化用ガラス繊維が長繊維ガラスマットから成る表面保護層41と、強化用ガラス繊維がガラス繊維織物から成る熱応力支持層42と、強化用ガラス繊維が短繊維ガラスマットから成る液密層43とを備え、上記各層に合成樹脂を含浸して成ることとした。
【選択図】 図3

Description

本発明は、極低温下での冷熱衝撃に強く、液密信頼性に優れるガラス繊維強化プラスチック材ガラス繊維強化プラスチックプリプレグ、ガラス繊維強化プラスチック層及びLNGタンクに関する。
近年、地球環境問題から、クリーンなエネルギーとして天然ガスが注目され、その需要は益々高まる傾向にある。液化天然ガス(liquid natural gas:LNG)は、メタンを主成分とする天然ガスを水分、硫黄化合物、二酸化炭素などの不純物を除去した後、超低温に冷却、液化したものである。LNGタンクは、液化天然ガスを−163℃以下に保持して貯蔵するための装置であって、地上式LNGタンクや地下式LNGタンクが知られている。
このうち、特に、地上式のLNGタンクにおいては、内槽と外槽とから構成される二重殻式のLNGタンクが一般に用いられている。二重殻式のLNGタンクにおいては、LNGに接触する内槽の材料として、通常、9%Ni鋼が使用されてきた。9%Ni鋼は、線膨張係数が低く、LNGを液体状態に保持ことができる−163℃以下の低温においても脆性破壊を起こすことがなく、優れた強度と靭性を有する部材である。
しかし、9%Ni鋼は、比重が大きく、溶接などの施工が困難である。また、9%Ni鋼には地球規模で不足しているNiが用いられており、今後も需要が増加していくLNGタンク用の材料としては好ましくない。また、上記のような十分な強度と靭性を有する9%Ni鋼は、その製造に特殊な熱処理技術を必要とするため、製造自体が困難である。そのため、9%Ni鋼は価格が高く、さらに高性能の9%Ni鋼が十分に供給される状況にはない。9%Ni鋼に替わってLNGタンク内槽として使用できる新たな材料が求められている。
非特許文献1には、繊維強化プラスチックをLNG接触面に適用した、地下式のLNGタンクが記載されている。かかる地下式LNGタンクは、LNG接触面となる内槽が繊維強化プラスチックのパネルであり、その周囲にアルミ箔付きのグラスウールを巻き、さらに外側に硬質ポリウレタンフォームを巻き、その外側を鉄筋コンクリートで囲んで、鉄筋コンクリートの外側は土で荷重を支える構造となっている。
しかし、上記構造は、水深が30〜40m、直径が60〜100mにもなるLNGの液荷重を土圧で支えることができる地下式のLNGタンクには適用できるが、鋼材の液圧保持強度が十分でないため、鋼材でLNGの液荷重を支える必要のある地上式のLNGタンクには適用することができない。
そこで、本発明者らは、強度と靭性と保冷性を備え、かつ、軽量で施工が容易な材料から構成される地上式LNGタンクであって、その二次バリア層に特徴を備えた地上式LNGタンクを先に開発した(特願2005−053162)。
この地上式LNGタンクは、9%Ni鋼に代替する素材で内槽を構成し、少なくともこのような内槽と外槽とを備え、該内槽と該外槽との間隙に断熱材を充填してなり、上記内槽と上記外槽との間に、二次バリア層をさらに備え、該二次バリア層が、樹脂系バリア材から構成されるものとしていた。そして、上記二次バリア層は、LNG漏洩時の非常用バリアとして機能し、LNG漏洩時の冷熱収縮に対応でき、LNG漏洩時における液圧保持強度、ガスバリア性、液密性に十分に優れた地上式LNGタンクとしている。
しかし、上記二次バリア層について、更なる性能の向上が望まれていた。
日経産業新聞、13面、昭和53年11月30日
本発明は、上記事情に対して、極低温下での冷熱衝撃に強く、液密信頼性に優れることにより、上記のような地上式LNGタンクの二次バリア層を構成するのに適したガラス繊維強化プラスチック材及びガラス繊維強化プラスチックプリプレグ、これらを用いて形成されるガラス繊維強化プラスチック層及びLNGタンクを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は、ガラス繊維強化プラスチック材であって、強化用ガラス繊維が長繊維ガラスマットから成る表面保護層と、強化用ガラス繊維がガラス繊維織物から成る熱応力支持層と、強化用ガラス繊維が短繊維ガラスマットから成る液密層とを備え、上記各層に合成樹脂を含浸してなることを特徴とする。
本発明に係るガラス繊維強化プラスチック材は、その好適な実施の形態で、上記液密層を中心層とし、上記表面保護層と上記熱応力支持層とを積層方向に関し対称に設けている。
また、本発明に係るガラス繊維強化プラスチック材は、その好適な実施の形態で、上記合成樹脂が難燃性ビニルエステル樹脂である。
また、本発明は、別の側面でガラス繊維強化プラスチックプリプレグであり、該ガラス繊維強化プラスチックプリプレグは、本発明に係るガラス繊維強化プラスチック材に含まれる上記合成樹脂を半硬化させて成る。
また、本発明は、別の側面でガラス繊維強化プラスチック層であり、上記ガラス繊維強化プラスチック材に含まれる上記合成樹脂を硬化させて形成される。また、上記ガラス繊維強化プラスチックプリプレグに含まれる上記合成樹脂を完全硬化させて形成される。
さらに、本発明は、別の側面でLNGタンクであり、該LNGタンクは、少なくとも内槽と外槽とを備え、該内槽と該外槽との間隙に断熱材を充填してなる地上式LNGタンクであって、上記内槽と上記外槽との間に、二次バリア層をさらに備え、該二次バリア層が、本発明に係るガラス繊維強化プラスチック層を用いて構成されている。
さらに、本発明は、別の側面で地上式LNGタンクの二次バリア層用ガラス繊維強化プラスチック材であり、少なくとも内槽と外槽とを備え、該内槽と該外槽との間隙に断熱材を充填し、上記内槽と上記外槽との間に、二次バリア層をさらに備える地上式LNGタンクに用いられる。
さらに、本発明は、別の側面で地上式LNGタンクの二次バリア層用ガラス繊維強化プラスチックプリプレグであり、少なくとも内槽と外槽とを備え、該内槽と該外槽との間隙に断熱材を充填し、上記内槽と上記外槽との間に、二次バリア層をさらに備える地上式LNGタンクに用いられる。
本発明によれば、極低温下での冷熱衝撃に強く、液密信頼性に優れることにより、上記のような地上式LNGタンクの二次バリア層を構成するのに適したガラス繊維強化プラスチック材及びガラス繊維強化プラスチックプリプレグ、これらを用いて形成されるガラス繊維強化プラスチック層及びLNGタンクが提供される。
以下に本発明に係るガラス繊維強化プラスチック材及びガラス繊維強化プラスチックプリプレグ、これらを用いて形成されるガラス繊維強化プラスチック層及びLNGタンクをそれらの好適な実施の形態について、さらに詳細に説明する。
本発明に係るガラス繊維強化プラスチック材は、表面保護層となるべき長繊維ガラスマットと、熱応力支持層となるべきガラス繊維織物、液密層となるべき短繊維ガラスマットを備え、これらの各層に合成樹脂を含浸して構成される。合成樹脂は、これらの層を全て積層したものに一度に含浸すること、各層ごとに含浸すること、これらの内二層を含浸し残りの一層を別に含浸することのいずれによっても含浸することができる。一度に含浸しない場合でも、採用する合成樹脂の接着力によって相互に接着しあう。
本発明に係るガラス繊維強化プラスチック材は、含まれる合成樹脂を半硬化させることにより、ハンドリング性の良いガラス繊維強化プラスチックプリプレグとすることができる。
このようなガラス繊維強化プラスチック材又はガラス繊維強化プラスチックプリプレグに含まれる合成樹脂を硬化させることにより、ガラス繊維強化プラスチック層を形成することができる。
このようなガラス繊維強化プラスチック層は、地上式LNGタンクの二次バリア層として採用することができる。
二次バリア層では、熱衝撃によって表面層にマイクロクラックや層間剥離が発生した場合に、各部位に発生したクラックや剥離が合体して貫通クラックを形成し、漏液するおそれがある。本発明によるガラス繊維強化プラスチック層は、繊維種を組み合わせた積層構成として、熱衝撃に強く、液密信頼性に優れている。
本発明に係るガラス繊維強化プラスチック材は、好適には、上記液密層を中心層とし、上記表面保護層と上記熱応力支持層とを積層方向に関し対称に設ける。これによって、片面に反るといったことを防ぐ。なお、二枚以上のガラス繊維強化プラスチック材を接合する際には、あえて意図的に非対称の部分を縁部に形成し、反り上がった縁部に沿う断面形状の接合スリップ片を用いて接合部を上方から覆うようにするといったことも可能である。
表面保護層は、長繊維ガラスマット(サーフェイスマット)で構成されている。長繊維ガラスマットは、繊維1本を単位とした緻密なガラス繊維層であるため、繊維/樹脂界面の濡れ性が高くなる。よって、熱衝撃に対するマイクロクラック発生を防止することができる。また、積層構造をなすガラス繊維強化プラスチック層の内部を保護する保護層としても作用する。
長繊維ガラスマットには、ガラス長繊維として、径が約3μm〜13μmのものが好適に使用される。
ガラスは、アルカリ含有率によって無アルカリタイプと含アルカリタイプに大別されるが、前者は電気的及び機械的特性が優れており、電気関係の分野で使用される関係でEガラスと称され、また後者は耐薬品性が高く化学的用途に用いられるためCガラスと称されている。また、Cガラスはアルカリ含有率が高いため、アルカリ含量を下げると同時にチタンと亜鉛系の融剤を用いたECRガラスが開発され、Cガラスを代替して汎用されている。さらに、Aガラス、Lガラス及びSガラス等といったガラスも知られている。本発明で用いられるガラス長繊維としては、一般的にはEガラスが好適である。
また、該ガラス長繊維は、フィラメントを単に引き揃えただけのフィラメント糸を好適に使用することができる。通常、平均繊維長は、30mm〜80mmであり、標準質量は、300g/m2〜600g/m2である。好適には、標準質量は、400g/m2〜500g/m2である。最適には、標準質量は、450g/m2のものを採用する。
そして、このようなガラス長繊維をランダムに配向した長繊維ガラスマットは、通常0.1mm〜0.3mmの厚さ(樹脂硬化時)に構成される。
熱応力支持層は、ガラス繊維織物で構成されている。ガラス繊維織物は力学的等方性を持ったロービング織物(ロービング:繊維を数十本〜数百本単位で束ねたもの)である。このようなガラス繊維織物で構成された熱応力支持層は、熱応力に対して強力に対抗する。また、熱応力支持層自体の面外変形が防止され、液密層との層間剥離を防止する作用がある。
ガラス繊維織物を構成するガラス繊維も、好適にはEガラスを用いることができる。
このようなガラス繊維で、経糸または緯糸を構成する単繊維は、該単繊維断面の直径のいずれかが約8.5〜9.5μm程度であるか、または経糸および緯糸を構成する単繊維断面の直径が、約5.5〜7.5μm程度である。
経糸および緯糸は、単繊維を複数本引き揃えて作製される。経糸または緯糸を構成する単繊維の直径のいずれかが8.5〜9.5μmである時、単繊維を約200〜800本程度引き揃えて作製される。また、経糸および緯糸を構成する単繊維断面の直径が、約5.5〜7.5μm程度である時は、単繊維を約200〜400本程度引き揃えて、各糸条が作製される。また、経糸および緯糸の形態としては、例えば単繊維を複数本引き揃えて撚ってもよいし、単繊維を複数本引き揃えただけの無撚りの糸でもかまわない。
単繊維を複数本引き揃えて撚った糸としては、例えば通常使用されるガラス糸の撚り(約0.7〜1.0回/インチ程度)を低撚化することにより、つまりガラス糸の撚り数を約0.5回/インチ程度以下、好ましくは約0〜0.3回/インチ程度にすることにより、より糸幅は広がりやすく、経糸および緯糸ともに隣り合う糸同士が実質的に隙間なく配列された構造を形成しやすくなる。また、低撚糸を使用することにより、糸が扁平化し、糸自体の断面形状が楕円の形状から平板の形状に近づき、ガラスクロス中のガラス繊維の分布がより均一となる。
また、ガラス繊維織物の標準質量は、400g/m2〜700g/m2である。好適には、標準質量は、500g/m2〜600g/m2である。最適には、標準質量が580g/m2の平織クロスを採用する。例えば、ユニチカグラスファイバー社製のR580 H 100Kを採用することができる。
そして、ガラス繊維織物は、通常0.3mm〜0.6mmの厚さ(樹脂硬化時)に構成される。
液密層は、短繊維ガラスマット(チョップドストランドマット)で構成する。短繊維ガラスマットは合成樹脂を導入しやすく、合成樹脂とガラス繊維の接着面積が大きいため、成形圧力負荷時においても合成樹脂が流れ落ちにくく液密層を形成する作用がある。また、合成樹脂分が多くなることから隣接する熱応力支持層と強固に接着され、中立面にこのような液密層を配置することによって層間変形を少なくして層間剥離を減少させる積層構成となっている。
短繊維ガラスマットは、白金ブッシングから紡糸された繊維径10μm以上、13μm以下のガラス繊維フィラメントを用いることが好ましい。採用するガラスは、好適にはEガラスを用いることができる。
このようなガラス繊維フィラメントには、白金ブッシングからの紡糸後、集束剤を塗布することが好ましい。集束剤は、熱可塑性樹脂の乳化物と、有機シラン化合物などからなるシランカップリング剤とを、水に分散させた物である。
前記繊維径10μm以上、13μm以下の集束剤を塗布したガラス繊維フィラメントを、フィラメント本数、70本以上、200本以下で、集束させてストランドとすることが好ましい。
繊維径10μm以上、13μm以下の集束剤を塗布したガラス繊維フィラメントを、フィラメント本数、70本以上、200本以下に集束させてストランドを製造することは、ストランド製造における一般的な製造条件であり、ストランドを糸巻き状に巻き取ってなる一般的なケーキを使用することが可能であり、経済性の点からもこのようなケーキを使用することが好ましい。
このようなケーキからストランドを引っ張りつつ、カッターにて切断し、1cm〜10cmの長さ、好ましくは約5cmに裁断し短繊維とする。
そして、このような短繊維をランダム配向してマット材に成形することによって短繊維ガラスマットを得ることができる。
また、短繊維ガラスマットの標準質量は、300g/m2〜600g/m2である。好適には、標準質量は、400g/m2〜500g/m2である。最適には、標準質量450g/m2のものを採用する。例えば、ユニチカグラスファイバー社製のEM450 SSを採用することができる。
そして、短繊維ガラスマットは、通常0.2mm〜0.8mmの厚さ(樹脂硬化時)に構成される。
ガラス繊維強化プラスチック材に含浸する合成樹脂としては、好ましくは酸素指数が26以上の難燃性と、−163℃におけるひずみが2%以上の延性とを有する難燃化ビニルエステル樹脂が好適である。かかる樹脂は、自己消火性を有し、−163℃においても延びやすくクラックが生じにくい。この難燃化ビニルエステル樹脂は、臭素化ビニルエステル樹脂と可塑性ビニルエステルをブレンドした樹脂であり、日本ユピカ社製の樹脂を好適に用いることができる。
硬化後のガラス繊維強化プラスチック層の厚さは、全体として2mm〜8mm、好適には4mm〜5mmが好ましい。熱荷重は、線膨張係数、温度差、ヤング率及び板の断面積の積である。これに対し、支持可能な荷重は、接着強度とラップ面積との積である。接着強度とラップ面積との上限があるため、板の断面積を大きくするには限界がある。したがって、層の厚さは限界を持つ。
本発明に係るガラス繊維強化プラスチック層は、最も好適には、地上式二重殻LNGタンクの二次バリア層に適用される。地上式二重殻LNGタンクは、内槽と、外槽とを少なくとも備えている。内槽には、LNGが収容される。
図1の実施の形態は、このような地上式二重殻LNGタンク1を示し、外槽3は、円形の平底を有する円筒形状である。外槽3の内壁には、間隙を介して、同じく円形の平底を有する円筒形の二次バリア層4が設けられている。二次バリア層4は、その側壁高さが外槽3の側壁高さよりも低く、外槽3の側壁内側にアンカー部9により取り付けられている。間隙は、外槽3底部と二次バリア層4底部との間、外槽3内側壁部と二次バリア層4の外側壁部との間に設けられる。そして、外槽3と二次バリア層4との間隙には二次保冷材7が充填されている。また、外槽3底部と二次バリア層4底部との間隙であって、内槽2の側壁の直下部に位置する箇所には、支持材10が設けられている。支持材10は、外槽の底面下の土中に設置される杭(図示せず)に荷重を伝えるようになっている。
二次バリア層4の底部には二次保冷材7が敷き詰められている。内槽2は、二次保冷材7を介して、二次バリア層4の内側に設置される。内槽2は、平底を有する円筒形の容器である。内槽2はその内部にLNGを収容することができる。内槽2と二次バリア層4の間隙、および内槽2と外槽3との間隙には、粉末状保冷材5が充填される。
さらに、地上式二重殻LNGタンク1には、図示しない蓋と、LNGの搬出手段、搬入手段となる配管等が設けられ、LNG8は内槽2内に密閉された状態で保持されている。
次に、地上式二重殻LNGタンク1を構成する各構成要素について説明する。
内槽2は、深さが約30m〜約40m、直径が約60m〜約100mであり、約10〜20万klのLNGを収容できることが好ましい。そして、LNGを−163℃の液状で保存しうる保冷機能と、LNG及びガス化したLNGを外部に漏らさないための液密性及び気密性、上記容量のLNGの荷重に耐えられるだけの強度を備える。本実施形態においては、内槽2は、従来用いられている9%Ni鋼ではなく、LNG接触面にガラス繊維強化プラスチックを適用した樹脂系バリア材から構成される。
本実施形態による円筒形の内槽2は、側壁部と、底部とから構成される。内槽2を構成する樹脂系バリア材は、複数の層からなる。樹脂系バリア材は、側壁部、底部とも内槽2のLNG接触面に垂直な方向に積層されている。
図2は、樹脂系バリア材の一部を拡大した概念図である。内槽を構成する樹脂系バリア材2は、内槽2のLNG接触面20から順に、ガラス繊維強化プラスチック層21、フォームグラス層22、樹脂層23、ポリウレタンフォーム層24、プライマー層25、一般構造用鋼26が積層された部材である。
LNGと接触するガラス繊維強化プラスチック材21は、−163℃でLNGの搬入、搬出を繰り返してもクラックを生じにくく、液バリア機能を有する材料である。本実施形態におけるガラス繊維強化プラスチック材21は、LNG接触面に、ガラス繊維のステッチ材が設けられ、さらに延性と難燃性とを有する樹脂と、少なくとも収縮の等方性を有するガラス繊維クロスとが交互に複数層にわたって積層された積層体であることが好ましい。このような積層体は、真空含浸法で製造することができる。
具体的には、上記ステッチ材は、ガラス繊維からなるものを用いることが好ましい。ステッチ材とは、複数の縦糸ガラス繊維の上に複数の横糸ガラス繊維を重ね、交差部を適当な接着手段によって留めた材料をいう。ステッチ材は、クロスのように繊維を織って形成されたものとは異なり、うねりがないことを特徴とする。収縮の等方性を有するガラス繊維クロスは、標準質量400〜600g/m2のガラス繊維の平織クロスであることが好ましい。かかるガラス繊維クロスは、比較的目が小さく、−163℃のLNGと接触した場合にもひずみが生じにくい。上記ステッチ材、ガラス繊維クロスの両方について、ガラス繊維としては、一般的なEガラス製でも良い。
樹脂は、好ましくは酸素指数が26以上の難燃性と、−163℃におけるひずみが2%以上の延性とを有する難燃化ビニルエステル樹脂である。かかる樹脂は、自己消火性を有し、−163℃においても延びやすくクラックが生じにくい。
なお、ガラス繊維強化プラスチック材のLNG接触面にステッチ材が存在していれば、樹脂とガラス繊維クロス層との繰り返し積層回数は、必要なガラス繊維強化プラスチック材の厚さに応じて適宜決定することができる。このようにして得られたガラス繊維強化プラスチック材は、気泡が少なく繊維含有率が約65%以上となっているため、気密性が高いものである。また、うねりの少ないステッチ材をLNG接触面に用いることで、樹脂の割れを防止することができる。
本実施形態において、LNG接触面に適用するガラス繊維強化プラスチック材21は、成型され、完全に硬化されたパネルであってもよく、プリプレグシートであってもよい。プリプレグシートとする場合は、樹脂に、例えば、UV硬化剤を含んだ熱硬化性樹脂成分等を含有させ、目的箇所に貼り付けた後に完全に硬化させることができる。ガラス繊維強化プラスチック材のプリプレグシートは、パネル形状のガラス繊維強化プラスチック材接合部などに貼り付けた後で硬化させることにより、接合部を完全に覆うことができる点で特に有用である。
また別の態様によれば、本実施形態に用いるガラス繊維強化プラスチック材21は、シート状の部材であって、少なくとも2層の上記ガラス繊維強化プラスチック材のシートで、樹脂層を挟んだ、三層式のシート材であってよい。かかるシート材は、前述のガラス繊維のステッチ材と、延性と難燃性とを有する樹脂と、少なくとも収縮の等方性を有するガラス繊維クロスとを真空含浸法によりNSテープ(ノンサンディングテープ)上に積層して第一のガラス繊維強化プラスチック層を成形し、第一のガラス繊維強化プラスチック層のNSテープ側に、ガラス繊維強化プラスチック層が硬化する前に樹脂を吹きつけ、樹脂上部に、別途、予め成形・硬化させた第二のガラス繊維強化プラスチック層を貼り合わせることで製造することができる。樹脂層は、接着性とガスバリア性に優れるビニルエステル樹脂で構成することが好ましい。
かかるガラス繊維強化プラスチックの三層式のシート材は、曲面などの自由な形状に成形することができ、接着施工が容易な点で特に有利である。さらに、第一のガラス繊維強化プラスチック層と第二のガラス繊維強化プラスチック層が冷熱緩和材として樹脂層を保護し、樹脂層が冷熱衝撃によって発生するガラス繊維強化プラスチックのマイクロクラックの進展を阻止するため、ガスバリア性が保持される。また、ガラス繊維強化プラスチック層と樹脂層との界面は、樹脂同士であるためにぬれ性がよく、界面剥離に強いという利点もある。
このようなガラス繊維強化プラスチック材は、樹脂系バリア材を構成する部材としてのみならず、単独で液密性を確保するためのバリア材用途に用いることもできる。具体的には、LNGタンクの内槽の接合箇所の被覆保護用等に用いることができる。
なお、本発明は、後述する二次バリア層に好適なガラス繊維強化プラスチック材に関するものである。このような本発明に係るガラス繊維強化プラスチック材で本実施の形態のガラス繊維強化プラスチック材21を代替することもできる。
なお、本実施形態において、樹脂系バリア材を構成する部材として用いる場合、ガラス繊維強化プラスチック材21は、層厚さが2mm〜10mmであることが好ましい。液バリア機能を確保するためである。
フォームグラス層22は、第一の保冷層であって、ガラス繊維強化プラスチック材21のLNG接触面と逆側に位置する。フォームグラスは、保冷性を有し、かつ、LNG気化ガスの浸入による冷熱衝撃に耐えうる材料である。フォームグラス22層は、20〜60cmの厚さとすることが好ましい。保冷機能を確保するためである。なお、本実施形態では、ガラス繊維強化プラスチック材21と接する第一の保冷層としてフォームグラスを用いたが、保冷機能及びLNGの冷熱衝撃に耐えうる特性を有するほかの保冷材料を用いることもできる。
樹脂層23は、フォームグラス層22のガラス繊維強化プラスチック材と逆側に位置する。樹脂層23は、フォームグラス層22と、樹脂層23の外側に設けられるポリウレタンフォーム24層とを接着する機能と、LNG気化ガスのポリウレタンフォーム層24への浸入を防止するガスバリア機能を有する。樹脂としては、ビニルエステル樹脂を含んでなる接着剤を用いることが好ましい。あるいは、接着機能を有するビニルエステルシート材を、樹脂層とすることもできる。樹脂層23の厚さは、1〜3mmであることが好ましい。
ポリウレタンフォーム層24は、第二の保冷層であって、保冷機能を有し、その外側に位置する一般構造用鋼26を冷熱から保護するものである。ポリウレタンフォーム層24の厚さは、ステンレススチール材26を十分に保冷できる程度とすることが好ましく、例えば、25cm〜40cmとすることができる。なお、本実施形態では、第二の保冷層としてポリウレタンフォーム層を用いたが、空気層を多量に含んだ層(発泡層など)を有し、低熱伝導率性で、安価なほかの材料を用いることもできる。第二の保冷層は、さらに、発泡させやすく、燃えても有害ガスが出てこないといった施工性が容易なものであることが好ましい。
プライマー層25は、ポリウレタンフォーム層24と、その外側に位置する一般構造用鋼とを接着する機能と、ガスバリア機能を有するものである。特に、プライマー材としては、保冷層であるポリウレタンフォーム24層と、鋼材である一般構造用鋼26との剪断剥離を防止しうる、低温延性の大きいものを用いることが好ましい。具体的には、ビニルエステル系プライマーを使用することができる。プライマー層25の厚さは、0.5mm〜3mm程度であってよく、通常、1mm〜3mm程度とすることができる。
一般構造用鋼26は、内槽2に収容するLNGの液圧を保持し、ガスバリア機能を有するものである。一般構造用鋼26はコストの面から好ましく用いられるが、他の炭素鋼も使用可能である。一般構造用鋼26の層厚さは、内槽2の側壁を構成する樹脂系バリア材においては、頂部が薄く、底部が厚くなるように勾配をもって形成されていることが好ましい。40m以上の深さになるように収容されるLNGの液圧に適応するためである。具体的には、側壁の頂部の径方向厚さが10mm〜20mm程度であり、側壁の底部付近の径方向厚さが60mm〜80mm程度であることが好ましい。また、内槽2の底部を構成する一般構造用鋼26は、厚さが5mm〜10mm程度であることが好ましい。
このように、ガラス繊維強化プラスチック層21、フォームグラス層22、樹脂層23、ポリウレタンフォーム層24、プライマー層25、一般構造用鋼26が積層された樹脂系バリア材は、各層の特性が相まって、液バリア性、ガスバリア性、保冷性、液圧保持強度を備える。そして、各層が十分に接着されており、剥離などによる変形を防止することができる。このため、従来用いられていた9%Ni鋼に替わる鋼材として十分に内槽2を構成するのに適用することができる。なお、本実施形態においては、樹脂系バリア材を上記層構成として説明したが、上記層構成に限定されるものではない。例えば、フォームグラス層22、ポリウレタンフォーム層24は、同様の保冷機能を有する別の材料で構成された第一の保冷層、第二の保冷層であってよく、各保冷層が複数の保冷層から構成されていてもよい。また、本発明の樹脂系バリア材は、各層の機能や接着性を害しない限りにおいて、別の層をさらに備えることもできる。
本実施形態における有底円筒形状の内槽2が、上記樹脂系バリア材で構成されるとき、内槽2の底部、側壁部ともに、最外部に一般構造用鋼26の層があり、一般構造用鋼26の内壁にプライマー25層が位置し、プライマー25層の内壁にポリウレタンフォーム24が位置し、ポリウレタンフォーム24の内壁に樹脂層23が位置し、樹脂層23の内壁にフォームグラス22が位置し、フォームグラス22の内壁にガラス繊維強化プラスチック21が位置する。そして、内槽2のLNG接触面は、ガラス繊維強化プラスチック21で覆われた状態となっている。
内槽2の製造においては、最初に、一般構造用鋼26で、内槽2の側壁および底部を溶接により製造する。一般構造用鋼は、溶接により容易に施工することができ、溶接施工によればガスバリア性を確保することができる。この一般構造用鋼26の側壁および底部の内側に、プライマー25、ポリウレタンフォーム24、樹脂層23、フォームグラス22層、ガラス繊維強化プラスチック層21を順次形成することができる。
プライマー層25は、液状のプライマー材を一般構造用鋼26に直接塗布することができる。ポリウレタンフォーム層24は、その場で発泡させて、所望の厚さとすることができる。樹脂層2は、液状の樹脂接着剤をポリウレタンフォーム層24表面に直接塗布することができる。あるいは、接着機能を有するビニルエステルシート材をポリウレタンフォーム層24表面に張ることもできる。
ガラス繊維強化プラスチック材21は、フォームグラス層22の表面に、ガラス繊維強化プラスチック材のプリプレグシートまたはガラス繊維強化プラスチック材のパネルを張り付けることにより形成することができる。
このように、ガラス繊維強化プラスチック材21が適用された樹脂系バリア材で構成されている内槽2は、十分な液密性、気密性、保冷性を備え、かつ液荷重にも耐えることができる。
本実施形態に係る地上式二重殻LNGタンク1において、外槽3は、プレストレストコンクリート材から形成することができる。プレストレストコンクリート材は、あらかじめ鋼材で圧縮力を与えておき引張力に対する抵抗を高めたものであって、鉄筋コンクリート部材よりも、軽量化ができ、耐久性・水密性に優れた性能を有する。外槽3は、側壁高さが約40m〜50m、円形状の底の直径が約80m〜100mとなるように設計することができる。しかし、外槽3の厚さやサイズは、LNG収容量などにより変化するため、当業者であれば、所望のLNG収容量に適合するように外槽3のサイズを設計することができる。また、外槽3の内壁には、一般構造用鋼からなるモイスチャーバリア層(図示せず)を設けることができる。
二次バリア層4は、外槽3の内壁に設けられ、液密性を有するものである。二次バリア層4は、内槽2が破損して、LNGが漏出した場合の非常用バリアである。二次バリア層4としては、本発明に係るガラス繊維強化プラスチック材を用いて形成したガラス繊維強化プラスチック層を設けている。
図3にこのような二次バリア層4の実施の形態を示す。
この二次バリア層4は、表面保護層41と、熱応力支持層42と、液密層43とをから成る。二次バリア層4は、表面保護層41となるべき長繊維ガラスマットと、熱応力支持層42となるべきガラス繊維織物、液密層43となるべき短繊維ガラスマットを備え、これらの各層に合成樹脂を含浸し、合成樹脂を硬化させることによって形成される。長繊維ガラスマットと、ガラス繊維織物、短繊維ガラスマット、合成樹脂については、前述の通りのものを採用する。
図3に示すように、液密層43を中心層とし、表面保護層41と熱応力支持層42とを積層方向に関し対称に設けている。これによって、片面に反るといったことを防ぐ。
ガラス繊維強化プラスチック材は、含まれる合成樹脂を半硬化させることにより、ハンドリング性の良いガラス繊維強化プラスチックプリプレグとし、このようなプリプレグを複数枚接合し、完全硬化させることにより、二次バリア層4を形成することができる。
そして、図4に示すように、二枚以上のガラス繊維強化プラスチックプリプレグを接合する際には、あえて意図的に非対称の部分を縁部に形成し、反り上がった縁部44に沿う断面形状の接合スリップ片45を用いて接合部を上方から覆うようにするといったことも可能である。
そして、図2の表面保護層41は、上述の通り長繊維ガラスマット(サーフェイスマット)で構成されている。長繊維ガラスマットは、繊維1本を単位とした緻密なガラス繊維層であるため、繊維/樹脂界面の濡れ性が高くなる。よって、熱衝撃に対するマイクロクラック発生を防止することができる。また、積層構造をなす二次バリア層4の内部を保護する保護層としても作用する。
また、熱応力支持層42は、上述の通りガラス繊維織物で構成されている。ガラス繊維織物は力学的等方性を持ったロービング織物(ロービング:繊維を数十本〜数百本単位で束ねたもの)である。このようなガラス繊維織物で構成された熱応力支持層は、熱応力に対して強力に対抗する。また、熱応力支持層42自体の面外変形が防止され、液密層43との層間剥離を防止する作用がある。
液密層43は、上述の通り短繊維ガラスマット(チョップドストランドマット)で構成されている。短繊維ガラスマットは合成樹脂を導入しやすく、合成樹脂とガラス繊維の接着面積が大きいため、成形圧力負荷時においても合成樹脂が流れ落ちにくく液密層を形成する作用がある。また、合成樹脂分が多くなることから隣接する熱応力支持層42と強固に接着され、中立面にこのような液密層43を配置することによって層間変形を少なくして層間剥離を減少させる積層構成となっている。すなわち、液密層43の存在によって全体としての成形性も向上する。
以上のようにして、二次バリア層4の備えるべき属性を各層が適切に分担する。また、熱応力支持層42は、合成樹脂が含浸しにくい繊維構造を持っている。しかし、合成樹脂が含浸しやすい表面保護層41と液密層43とに挟まれることにより、熱応力支持層42にも合成樹脂が含浸しやすくなる。
ここで図1にもどって、粉末保冷材5としては、断熱性を有し、二次バリア層4と内槽2との間隙に充填しやすい粉末状の保冷材であって、LNGと反応しないものを用いることができる。内槽2に収容されたLNG8を−163℃に保冷し、かつ、LNGが内槽2から漏出した場合に危険な反応が生ずるのを防ぐためである。具体的には、粉末保冷材5として、パーライトを用いることができる。
一次保冷材6は、内槽2底部と二次バリア層4底部の間隙に充填される。一次保冷材6としては、安価で堅固な保冷材を用いることが好ましい。内槽2底部から大きな面圧を受けるためである。具体的には、グラスウールを使用することができる。二次保冷材7としては、面圧保持機能を有するものを用いることが好ましい。内槽2底部から大きな面圧を受けるためである。具体的には、硬質ポリウレタンフォームを用いることができる。
支持材10としては、保冷機能と内槽の外壁の荷重保持機能を有するものを用いることができる。特には、パーライトコンクリートが好ましい。
図1の実施形態にかかる地上式二重殻LNGタンク1は、上述のように、安価、軽量で、機能性に優れる樹脂系バリア材により内槽2、二次バリア層4が構成されているため、全体として十分な液密性、気密性、保冷性を備え、コスト的に有利なものとなっている。
なお、本実施形態においては、地上式の二重殻LNGタンクについて記載したが、本発明は、二重殻型のLNGタンクに限定されるものではない。当業者であれば、必要に応じて、多重殻型のLNGタンクを製造することができる。
また、地上式LNGタンクは、角型の地上式二重殻型LNGタンクとして構成することもできる。
従来の9%Ni鋼材を内槽に用いる場合には、溶接技術等の問題から、底面が円形の内槽が好ましく採用されている。しかし、樹脂系バリア材で内槽2を構成すれば、内槽2の外壁を構成する一般構造用鋼26の溶接は容易であり、かつ、内槽2の内壁であってLNG接触面を構成するガラス繊維強化プラスチック材21はシート状に張り込むことができるので角型のほうがより適用が容易である。また、角型の二重殻型LNGタンクは、曲げ加工等が不要であり施工が容易である。さらに、底面が円形の二重殻型LNGタンクと比較して、内径が同一の場合、容積を大きくとることができるため、一基のタンクで高容量のLNGを収容することができ、有利である。
長繊維ガラスマットとして、日東紡社製のサーフェースマット(標準質量は、450g/m2)、ガラス繊維織物として、ユニチカグラスファイバー社製のR580 H 100K(標準質量は、580g/m2)、短繊維ガラスマットとして、ユニチカグラスファイバー社製のEM450 SS(標準質量は、450g/m2)を採用した。各々の繊維に、日本ユピカ社製のブレンド樹脂(難燃性ビニルエステル樹脂)を含浸させ、図2の実施の形態と同様に張り合わせて、太陽光を照射して硬化させた。
比較例として、ガラス繊維織物として、ユニチカグラスファイバー社製のR810 H 100K(標準質量は、810g/m2)のみを用い、イノアック社製のポリウレタン樹脂を含浸させ、硬化させた。
実施例のものは、初期破損応力が200MPaで、破壊強度が490Paであった。これに対し、比較例では、初期破損応力が70MPaで、破壊強度が300Paであった。
実施例のもののほうが大幅に性能が向上していた。
なお、初期破損応力について説明を加える。
複合材料の特徴として、最終的な破壊に至る前に局所的にクラックや繊維と樹脂の剥離(総称して初期破損)が発生する。発生時には必ず荷重の低下や音の発生、荷重−変位線図の傾きの変化が生じるため、初期破損応力が定量的に把握できる。初期破損が生じる以前の荷重下では、複合材に何ら損傷が生じていないため、液密性が保証される(浸透探傷試験で確認済み)ことになる。また、低温下での液密試験が物理的に不可能なため、初期破損応力を低温下における液密限界の目安として扱うことができる。
本発明の一実施の形態に係る地上式二重殻LNGタンクの断面を示す概略図である。 樹脂系バリア材の一部を拡大した概念図である。 本発明の一実施の形態に係るガラス繊維強化プラスチック層の断面を示す概略図である。 本発明に係るガラス繊維強化プラスチックプリプレグを張り合わせる形態を説明する概念的断面図である。
符号の説明
1 地上式二重殻LNGタンク
2 内槽
3 外槽
4 樹脂系二次バリア層
5 粉末保冷材
6 一次保冷材
7 二次保冷材
20 LNG接触面
21 ガラス繊維強化プラスチック層
22 フォームグラス層
23 樹脂層
24 ポリウレタンフォーム層
25 プライマー層
26 ステンレススチール材
27 ポリウレタンフォーム
41 表面保護層
42 熱応力支持層
43 液密層

Claims (9)

  1. 強化用ガラス繊維が長繊維ガラスマットから成る表面保護層と、強化用ガラス繊維がガラス繊維織物から成る熱応力支持層と、強化用ガラス繊維が短繊維ガラスマットから成る液密層とを備え、上記各層に合成樹脂を含浸して成ることを特徴とするガラス繊維強化プラスチック材。
  2. 上記液密層を中心層とし、上記表面保護層と上記熱応力支持層とを積層方向に関し対称に設けてなることを特徴とするガラス繊維強化プラスチック材。
  3. 上記合成樹脂が難燃性ビニルエステル樹脂であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかのガラス繊維強化プラスチック材。
  4. 請求項1〜3のいずれかのガラス繊維強化プラスチック材に含まれる上記合成樹脂を半硬化させて成ることを特徴とするガラス繊維強化プラスチックプリプレグ。
  5. 請求項1〜3のいずれかのガラス繊維強化プラスチック材に含まれる上記合成樹脂を硬化させて形成されることを特徴とするガラス繊維強化プラスチック層。
  6. 請求項4のガラス繊維強化プラスチックプリプレグに含まれる上記合成樹脂を完全硬化させて形成されることを特徴とするガラス繊維強化プラスチック層。
  7. 少なくとも内槽と外槽とを備え、該内槽と該外槽との間隙に断熱材を充填してなる地上式LNGタンクであって、上記内槽と上記外槽との間に、二次バリア層をさらに備え、該二次バリア層が、請求項5又は6のガラス繊維強化プラスチック層を用いて構成されることを特徴とするLNGタンク。
  8. 少なくとも内槽と外槽とを備え、該内槽と該外槽との間隙に断熱材を充填し、上記内槽と上記外槽との間に、二次バリア層をさらに備える地上式LNGタンクに用いられる二次バリア層用ガラス繊維強化プラスチック材であって、請求項1〜3のいずれかのガラス繊維強化プラスチック材より成る地上式LNGタンクの二次バリア層用ガラス繊維強化プラスチック材。
  9. 少なくとも内槽と外槽とを備え、該内槽と該外槽との間隙に断熱材を充填し、上記内槽と上記外槽との間に、二次バリア層をさらに備える地上式LNGタンクに用いられる二次バリア層用ガラス繊維強化プラスチックプリプレグであって、請求項4のガラス繊維強化プラスチックプリプレグより成る地上式LNGタンクの二次バリア層用ガラス繊維強化プラスチックプリプレグ。
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