JP2019048400A - 積層構造体およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐圧性および極低温への耐熱性の少なくとも一方が必要とされるタンクに適用可能であり、従来よりも軽量化され、かつ、ガス漏洩を抑えられる技術を提供することを目的とする。【解決手段】強化繊維とマトリックス樹脂とを含む複合材が積層された積層構造体1であって、第1複合材5で構成された下側外層2と、第2複合材7で構成された内層3と、第1複合材6で構成された上側外層4と、を備え、内層3は、下側外層2と上側外層4との間に挟まれるように配置され、第2複合材7は、第1複合材5,6よりも薄い積層構造体1。【選択図】図1

Description

本発明は、耐圧タンクおよび極低温タンクに適用可能な複合材を積層させた積層構造体およびその製造方法に関するものである。
宇宙往還機に適用されるタンクのうち、例えば液体水素等を収容するタンクは、耐圧性および極低温への耐熱性が必要とされる。現在、耐圧性が必要とされるタンクの材質は金属(例えばアルミニウム(Al))が主である。
将来のロケット運用では、一段タンクの再使用が考えられている。再使用に伴い必要となる着陸構造および電気系統の冗長対策は重量増加を伴う。この重量増加を補うため、タンクの軽量化が必須とされている。
タンクを軽量化するには、軽量な材料を採用すればよい。例えば従来材料がAlであれば、この従来材料よりも軽い金属(例えばAl−Li合金)、あるいは、特許文献1に記載されているような繊維強化樹脂等の複合材の使用が考えられる。通常、耐圧性が必要とされるタンクの材質が複合材である場合、タンク内側には、ガス漏洩防止を目的としたライナが適用される。ライナは、金属製あるいは樹脂製である。
タンクを軽量化するための別の手段としては、ライナを有さないタンクの採用も考えられる。特許文献2には、航空機の浄化槽タンクおよび貯水槽タンクの製造方法が開示されている。特許文献2では、樹脂材料または樹脂複合材による内層の外周面に繊維強化プラスチックを巻付けたタンクが開示されている。
特開2002−36235号公報 特開2007−268929号公報
表1に、タンク材料と重量およびコストとの関係を示す。表1において、重量およびコストの数値は、従来材料であるAlからなるタンクを基準とした規格値である。表1のガス漏洩の項目は、既出文献および過去の社内研究等により得られた知見である。
Figure 2019048400
Al−Li合金および繊維強化樹脂(例えば炭素繊維強化樹脂(CFRP))は、軽量ではあるが、概してAlよりも高価である。そのため、従来よりも軽量な材料を用いると製造コストが高くなる。
複合材に適用されるライナ材は、概して複合材と熱膨張係数が異なる。例えば、炭素繊維強化樹脂からなるタンクの内側に樹脂製ライナを適用した場合、極低温用途において、熱膨張差により炭素繊維強化樹脂と樹脂製ライナとが剥離することが懸念される。
液体水素等を収容するタンクでは、タンク内のガス圧によりタンク壁に歪が負荷される、あるいは、液体水素等との接触によりタンク内壁が極低温環境に曝される。このような場合、タンク内壁にマイクロクラック(微細なクラック)が発生し、このマイクロクラックを介してタンク内部からタンク外部にガスが漏洩する可能性がある。
従来は、タンクの内側に提供されたライナでガスの漏洩を防止できるが、特許文献2のようにライナレスのタンクとした場合、ガス漏洩を防止できないことが懸念される。特許文献2で製造される浄化槽タンクおよび貯水槽タンクは、圧力容器ではなく、ガス漏洩に対する評価について言及していない。よって、特許文献2に記載されたライナレスのタンクを、単純に液体水素等が収容されるタンクとして採用することはできない。
表1によれば、CFRP(ライナなし)ではガス漏洩が生じる。表1のCFRPの積層構成は、後述の比較例と同じである。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、耐圧性および極低温への耐熱性の少なくとも一方が必要とされるタンクに適用可能であり、従来よりも軽量化され、かつ、ガス漏洩を抑えられる技術を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の積層構造体およびその製造方法は以下の手段を採用する。
本発明は、強化繊維とマトリックス樹脂とを含む複合材が積層された積層構造体であって、第1複合材で構成された下側外層と、第2複合材で構成された内層と、第1複合材で構成された上側外層と、を備え、前記内層は、前記下側外層と前記上側外層との間に挟まれるように配置され、前記第2複合材は、前記第1複合材よりも薄い積層構造体を提供する。
また、本発明は、強化繊維とマトリックス樹脂とを含む複合材が積層された積層構造体の製造方法であって、第1プリプレグで構成されたプレ下側外層、前記第1プリプレグより薄い第2プリプレグで構成されたプレ内層、第1プリプレグで構成されたプレ上側外層、を順に積層させた後、加熱・加圧し、前記マトリックス樹脂を硬化させて成形品とする積層構造体の製造方法を提供する。ここで「プレ」とは、マトリックス樹脂が硬化される前の状態にあることを意味する。
本発明者らは、鋭意研究の結果、厚さの異なる複合材を積層構造体の厚さ中央に組み入れた積層構成とすることで、従来よりも長い時間、積層構造体のガスバリア性を維持できるとの知見を得た。
上記発明によれば、下側外層と上側外層との間に内層を設け、この内層を、外層を構成する第1複合材よりも薄い第2複合材で構成することにより、従来よりもガス漏洩にかかる時間を長くできる。その結果、時間経過に伴うガス漏洩量の増大が抑制される。
成形品の厚さが同じであれば、複合材が薄いほど、積層枚数が増える。積層枚数の増加は、材料コストおよび作業コストの上昇につながるため、最小にするのが好ましい。上記発明に係る積層構造体は、すべてを第2複合材で構成せずに、第2複合材よりも厚い第1複合材で構成された下側外層および上側外層で、内層を挟むような積層構成とする。厚さの異なる第1複合材と第2複合材とを組み合わせることで、複合材のトータルの積層枚数を抑えつつ、必要なガスバリア性を確保できる。上側外層および下側外層の第1複合材は、従来用いられていた複合材と同等の厚さであってよい。
上記発明の一態様において、前記内層は、複数の前記第2複合材が積層された構成であり、前記第2複合材は、前記強化繊維が任意の一方向に配向された一方向性複合材であり、前記内層において、隣接する第2複合材同士の繊維配向が異なっていることが好ましい。
隣接する第2複合材では、それぞれで独立してマイクロクラックが生じる。繊維配向が異なれば、マイクロクラックが生じやすい向きも変わる。隣接した第2複合材で生じたマイクロクラックの向きが異なっていれば、マイクロクラック同士が重なる面積が少なくなる。結果として、内層の厚さ方向でのガス漏洩パス断面積が小さくなり、一定時間でのガス漏洩量が低減される。よって、第2複合材を第1複合材よりも薄くしたことにより得られるメリットを生かすためには、異なる繊維配向の第2複合材を隣接させた方がよい。
上記発明の一態様において、前記第1複合材は、前記強化繊維が任意の一方向に配向された一方向性複合材であり、前記下側外層の前記第1複合材および前記上側外層の前記第1複合材は、前記内層を中心として繊維配向が鏡面対称に配置されていることが好ましい。
積層構造体の厚さ方向中央にある内層を鏡面として、下側外層の繊維配向と上側外層の繊維配向とが対称となる疑似等方積層とすることで、成形品に発生する残留応力を小さく抑えることができる。
上記発明の一態様において、前記第2複合材の厚さは、前記第1複合材の厚さの1/2n(nは0を含まない自然数)とすることが好ましい。
従来の積層構造体の設計では、積層させる複合材の厚さはすべて等しい。これに対して上記発明では、積層構造体を厚さ方向に下側外層/内層/上側外層と区分けし、厚さ中央にある内層を構成する第2複合材を、上下外層を構成する第1複合材よりも薄くする。言い換えると、上記発明では、従来の積層構成の一部を内層に置き換える。第2複合材の厚さを第1複合材の1/2n(nは自然数)とした場合、1層の第1複合材を2n層の第2複合材に置き換えれば、厚さを変えずに、容易に、上記発明の積層構成とすることができる。
上記発明の一態様において、前記第2複合材の厚さは、50μm以上100μm以下であることが好ましい。
本発明者らは、鋭意研究の結果、第2複合材には最適なガスバリア性を得るための適切な厚さがあるとの知見を得た。第2複合材の厚さを上記範囲とすることで、第2複合材の積層数を最小にしつつ、ガス漏洩量を低く抑えられる。
本発明によれば、外層の間に内層を設け、内層に薄い複合材を採用することで、ライナレスであってもガス漏洩量を低く抑えられる積層構造体となる。
一実施形態に係る積層構造体の積層構成を示す概略図である。 実施例1〜3および比較例のプレ供試体の積層構成を示す図である。 ガス漏洩量確認試験に用いた試験装置の概略図である。 ガス漏洩量確認試験の試験フロー図である。 ガス漏洩量測定の結果を示す図である。 任意の第1複合材に発生したマイクロクラックの模式図である。 隣接した第2複合材に発生したマイクロクラックの模式図である。 第1複合材を4層積層させた場合の漏洩パスの模式図である。 第2複合材を8層積層させた場合の漏洩パスの模式図である。
本実施形態に係る積層構造体は、極低温タンクおよび耐圧タンク等へ適用できる。極低温タンクおよび耐圧タンクは、例えば液体水素が収容された宇宙往還機用の燃料タンク等である。「極低温」とは、−200℃以上−189℃以下である。「耐圧」とは、例えばタンク内の0.5MPa以上50MPa以下のガス圧に耐えうる構成であることを意味する。
以下で、本発明に係る積層構造体の一実施形態について、図面を参照して説明する。
図1に、本実施形態に係る積層構造体の積層構成を示す。本実施形態に係る積層構造体1は、下側外層2と内層3と上側外層4とが順に積層された構成とされる。内層3は、下側外層2と上側外層4との間に挟まれるよう配置されている。ここで「上側」は、内層3の一方の面側であり、「下側」は内層3の他方の面側である。
下側外層2は、1層以上の第1複合材5で構成されている。上側外層4は、1層以上の第1複合材6で構成されている。下側外層2を構成する第1複合材5と、上側外層4を構成する第1複合材6の積層数は等しい。図1において、下側外層2および上側外層4は、それぞれ3つの第1複合材5,6が積層された3層構成である。
第1複合材5,6は、強化繊維およびマトリックス樹脂によって構成される。強化繊維は、炭素繊維である。マトリックス樹脂は、エポキシ樹脂等を用いることができる。第1複合材5,6において、マトリックス樹脂は、完全またはほぼ完全に硬化した後の状態で存在する。
第1複合材5,6に含まれる強化繊維およびマトリックス樹脂の量は一様である。第1複合材5,6中に占めるマトリックス樹脂の含有量(RC)は、30重量%以上40重量%以下とするのが好ましい。RCを上記範囲とすることで、複合材構造に適した繊維体積含有率となる。マトリックス樹脂は、均一相構造であることが好ましい。強化繊維の径および長さは、特に限定されない。
第1複合材5,6は、硬化剤および硬化促進剤等を含んでもよい。硬化剤および硬化促進剤は、マトリックス樹脂の硬化を促進させるものであればよい。
第1複合材5,6の厚さは、適用製品に応じて適宜設定され得る。航空宇宙機の技術分野に適する第1複合材の厚さは、100μm以上200μm以下である。
第1複合材5,6は、強化繊維が任意の一方向に配向された一方向性複合材である。図1では、強化繊維が主に0°に配向された第1複合材からなる層、強化繊維が主に45°に配向された第1複合材からなる層および強化繊維が主に−45°に配向された第1複合材からなる層が示されている。
図1に示されるように、下側外層2の第1複合材5および上側外層4の第1複合材6は、それぞれ積層構造体の板厚中央(内層)を鏡面として繊維配向が対称に配置されていることが好ましい。下側外層2と上側外層4との積層構成を疑似等方積層とすることで、成形品での残留応力の発生を抑制できる。
内層3は、複数の第2複合材7が積層された構成である。
第2複合材7は、強化繊維およびマトリックス樹脂によって構成される。第2複合材7は、厚さ以外の要素について、第1複合材5,6と同様である。第2複合材7の厚さは、第1複合材5,6の厚さの1/2n(nは0を含まない自然数)であるとよい。第2複合材7の厚さは、25μm以上100μm、好ましくは50μm以上100μm以下である。
内層3では、繊維配向の異なる層が隣接されるように第2複合材7が積層されている。第2複合材7は、可能な範囲で、繊維配向が積層構造体の板厚中央mで鏡面対称に近づくように配置されることが好ましい。積層構造体の板厚中央mを挟む2つの中央層は、繊維の積層角度が重ならないことを優先させる。
内層3において、第2複合材7は、積層構造体の板厚中央mに対して力学的な対称性を保持できる層数が積層される。第2複合材7の積層数は、偶数単位にできるとよい。その場合、第2複合材7の積層最小数は、4である。
「力学的な対称性を保持できる」とは、内層3を板厚中央mで2つに区分けした場合に、各区画に含まれる第2複合材7のトータルの繊維配向バランスが2つの区画間で均等または略均等であることを意味する。
例えば、積層構成が90°/45°/0°/−45°/45°/0°/−45°/90°である内層3を板厚中央mで2つに区分けした場合、各区画は『90°/45°/0°/−45°』および『45°/0°/−45°/90°』なる。この2つの区画は、ともに0°、±45°,90°の第2複合材7を含む。0°および90°の第2複合材7は、板厚中央mで繊維配向が鏡面対称に配置されている。2つの区画間で対称位置にあるが繊維配向が一致しない層(45°と−45°)は、その繊維配向が90°異なる関係にある。2つの区画間で繊維配向が一致しない層同士の繊維配向が90°異なる関係である場合、本実施形態では、トータルの繊維配向バランスが略均等になるものとする。繊維方向が同一である層を隣接させると、第2複合材7を第1複合材5,6よりも薄くする効果が損なわれる。当該積層構成では、隣接する層の繊維方向は異なるよう配置されている。
例えば、第2複合材7の積層構成が90°/45°/−45°/90°である内層3を板厚中央mで2つに区分けした場合、各区画は『90°/45°』および『−45°/90°』となる。この2つの区画では、各区画に含まれるトータルの繊維配向が完全に一致しないが、2つの区画間で一致しない層(45°と−45°)は、その繊維配向が90°異なる関係にある。90°の第2複合材7は、板厚中央mで繊維配向が鏡面対称に配置されている。よって、当該積層構成では、トータルの繊維配向バランスが略均等になる。
以下で、本実施形態に係る積層構造体1の製造方法を説明する。
本実施形態に係る製造方法では、第1プリプレグで構成されたプレ下側外層、第1プリプレグより薄い第2プリプレグで構成されたプレ内層、第1プリプレグで構成されたプレ上側外層、を順に積層させた後、加熱・加圧し、マトリックス樹脂を硬化させて成形品(積層構造体1)とする。
詳細には、まず、強化繊維が45°方向に配向された第1プリプレグ、強化繊維が0°方向に配向された第1プリプレグ、および強化繊維が−45°方向に配向された第1プリプレグを順に積層し、プレ下側外層を形成する。
次に、プレ下側外層の上に、強化繊維が90°方向に配向された第2プリプレグ、強化繊維が45°方向に配向された第2プリプレグ、強化繊維が−45°方向に配向された第2プリプレグ、強化繊維が90°方向に配向された第2プリプレグを順に積層し、プレ内層を形成する。
次に、プレ内層の上に、強化繊維が−45°方向に配向された第1プリプレグ、強化繊維が0°方向に配向された第1プリプレグ、および強化繊維が45°方向に配向された第1プリプレグを順に積層し、プレ上側外層を形成する。
プレ下側外層/プレ内層/プレ上側外層を加熱・加圧成形し、マトリックス樹脂を硬化させる。これにより、下側外層2/内層3/上側外層4を備えた積層構造体1が得られる。
「プリプレグ」は、複合材の中間材料である。「プリプレグ」は、強化繊維などの長繊維(連続繊維)からなる補強材にマトリックス樹脂を含浸させたシートである。「プリプレグ」においてマトリックス樹脂は半硬化の状態にある。「プリプレグ」のマトリックス樹脂をさらに硬化させたものが複合材となる。第1プリプレグおよび第2プリプレグのマトリックス樹脂を完全にまたは略完全に硬化させたものは、第1複合材5,6および第2複合材7となる。本明細書において「硬化させる」とは、マトリックス樹脂を、プリプレグの半硬化の状態から、さらに硬化させた状態にすることを意味する。
本実施形態において、第1プリプレグの厚さは、100μm以上200μm以下が好ましい。このようなプリプレグは、成形品の厚さの調整がしやすい。
第2プリプレグは、第1プリプレグよりも薄い。第2プリプレグの厚さは、第1プリプレグの厚さの1/2n(nは0を含まない自然数)である。第2プリプレグの厚さは、例えば、25μm以上100μm、好ましくは50μm以上100μm以下にするとよい。
加熱・加圧成形は、既存の方法で実施されうる。
<ガス漏洩量確認試験>
上記実施形態に係る構成の積層構造体(実施例1〜3)および従来構成の積層構造体(比較例)を用いて、ガス漏洩量の確認試験を実施した。
(供試体の作製)
プリプレグには、福井県工業技術センター・セーレン社製のものを用いた。強化繊維は、炭素繊維(T800SC−24000−10E)とした。マトリックス樹脂は、一般エポキシ樹脂(jER828+jER1001/硬化剤:DICY15、硬化促進剤:DCMU99)とした。
使用したプリプレグの概要を表2に示す。
Figure 2019048400
表3に、実施例1〜3および比較例のプレ供試体の積層構成の概略を示す。各プレ供試体のトータルの厚さは、同一とした。
Figure 2019048400
図2に、繊維配向を表示したプレ供試体の積層構成を示す。実施例1〜3では、積層角度が重ならないように、異なる繊維配向のプリプレグを隣接させた。比較例では、従来設計に従って、繊維配向がプレ供試体の板厚中央で鏡面対称となるようにプリプレグを疑似等方積層させた。
表3および図2に示した構成となるように、プリプレグをハンドレイアップ法により積層してプレ供試体とした。プレ供試体をオートクレーブにより加熱・加圧(130℃、0.5MPa、2Hrs)し、マトリックス樹脂を硬化させたものを供試体とした。
図3および図4を参照して試験の概要を説明する。図3は、試験装置の概略図である。図4は、操作フロー図である。
(S1)He漏洩量測定−1
まず、給気管10および吸気管11を備えた密閉治具12を供試体13の中央部に設置した。常温(25℃)・歪付与なしの状態で、Heガスボンベ14と接続している給気管10からのHeガスで加圧(0.49MPa)するとともに、吸引機能を有したHeリークディテクター15(株式会社アルバック製)に接続した吸気管11によって吸引し、供試体13を透過したHe量(He漏洩量)を測定した。
(S2)He漏洩量測定−2
次に、供試体13の両端部をチャック16で挟持し、引っ張り荷重により4500μ歪みを付与した状態(室温:25℃)で、供試体を透過したHe量(He漏洩量)を測定した。
(S3)極低温歪み負荷
次いで、供試体を液体窒素(LN)中に浸漬し、4500μ歪みを付与した状態で30分保持した。
(S4)He漏洩量測定−3
その後、供試体を室温に戻し、4500μ歪みを付与した状態(室温:25℃)で、上記(S2)と同様にHe漏洩量を測定した。
上記試験の結果を以下で説明する。
上記(S1),(S2)において、供試体からのガス漏洩量は、検出限界(バックグランドノイズレベル:1×10-9Ncm3/cm2/s)以下であった。これにより、供試体に初期不良がないことが確認された。
図5に、上記(S4)He漏洩量測定−3の結果を示す。同図において縦軸はガス漏洩量(cc/cm2/sec)である。同図では、実施例1〜3および比較例について、Heガスでの加圧開始から10分後および60分後のガス漏洩量の測定結果を示す。
10分後のガス漏洩量は、比較例と実施例1〜3とでほとんど差はなかった。比較例において、60分後のガス漏洩量は大幅に上昇した。これに対し実施例1〜3では60分後のガス漏洩量が抑制されており、比較例と比べてかなり少なかった。
この結果から、積層構成のうち、厚さ中央にある層(内層)に第2プリプレグ(ThinあるいはUltra−Thin)を適用することで、時間経過に伴うガス漏洩量の増大を抑制できることが確認された。
ガス漏洩量を抑制できた理由について、図6〜図9を参照して説明する。
図6は、任意の第1複合材25(マトリックス樹脂硬化後の第1プリプレグ)に発生したマイクロクラックXの模式図である。図7は、隣接した任意の2層の第2複合材27(マトリックス樹脂硬化後の第2プリプレグ)に発生したマイクロクラックY,Zの模式図である。
図8は、第1複合材25を4層積層させた場合の漏洩パスの模式図である。図9は、第1複合材25の1/2の厚さの第2複合材27を8層積層させた場合の漏洩パスの模式図である。図8,9中の矢印は、漏洩パスであり、すべての複合材にマイクロクラック(厚さ方向の矢印)が発生したものとする。
一般的に、強化繊維とマトリックス樹脂からなる複合材では、繊維方向と平行にマイクロクラックが発生しやすい。よって、1層の第1複合材25では、図6に示すように、厚さ方向を貫くようにマイクロクラックXが発生する。
一方、第1複合材25よりも薄い第2複合材27を2層積層させた場合、図7に示すように、各層で別々にマイクロクラックY,Zが発生する。隣接した2層の第2複合材27は、繊維配向が重複していないため、マイクロクラックY,Zは異なる方向を向く。図7で示されているように、マイクロクラックYとマイクロクラックZとは、両者の交差部のみで連絡される。すなわち、マイクロクラックYとマイクロクラックZとの接続部分Sだけが漏洩パスPとなるため、漏洩パス断面積が小さくなる。
2層の第2複合材27を合わせた厚さが、第1複合材25の厚さと同じであった場合、図7の方が一定厚さあたりを貫通するクラック面積(漏洩パス断面積)が小さくなる。貫通するクラック面積が小さくなれば、その中を通るガス量が制限される。これによりガス漏洩に要する時間が、図6よりも長くなる。
また、マイクロクラックY,Zが直接連絡していない部分では、隣接する複合材間の境界に沿ってガスが移動すると考えられる(図8,9の面方向の矢印参照)。図8,9を比較するとわかるように、積層構造体のトータルの厚さを一定とした場合、複合材の積層数が増えると、漏洩パスPが長くなる。
以上より、実施例1〜3では、Nominalの間にThinあるいはUltra−Thinを配置したことで、比較例よりもガスの流通量が制限され、漏洩パスが長くなり、結果として、時間経過に伴うガス漏洩量の増大を抑制できたものと考えられる。隣接する複合材の繊維配向が同一であると、マイクロクラックの向きが隣接する複合材間で同一となる。一定厚さにおけるクラック面積を小さくしてガスバリア性を発現させるためには、隣接する複合材を、同一積層角度が重ならないような構成とするとよい。
次に、Thinが適用された実施例1,2と、Ultra−Thinが適用された実施例3とを比較する。実施例3は、実施例1,2よりも複合材の積層数が多いが、60分におけるガス漏洩量は実施例1,2よりも高かった。
複合材中のマトリックス樹脂は、ガスバリア性を有するが、ガスの透過を完全にブロックできるものではない。実施例3のUltra−Thinは、Thinよりもガスバリア性に寄与するマトリックス樹脂の層が薄いため、ガスバリア性が低減したものと考えられる。
この結果から、最適なガスバリア性を得るための適切な第2複合材(第2プリプレグ)厚さが存在することが示唆された。上記結果によれば、第2複合材(第2プリプレグ)の適切な厚さは、50μm以上100μm以下であった。
次に、Thinを4層積層した実施例1と、Thinを8層積層した実施例2とを比較する。実施例1は、実施例2よりも複合材の積層数が少なかったが、60分におけるガス漏洩量は実施例2よりも低かった。この結果から、力学的な対称性を保持できる最小積層数だけThinを適用する場合にも十分なガスバリア性が得られることが示唆された。
1 積層構造体
2 下側外層
3 内層
4 上側外層
5,6,25 第1複合材(マトリックス樹脂硬化後の第1プリプレグ)
7,27 第2複合材(マトリックス樹脂硬化後の第2プリプレグ)
10 給気管
11 吸気管
12 密閉治具
13 供試体
14 Heガスボンベ
15 Heディテクター測定装置
16 チャック

Claims (6)

  1. 強化繊維とマトリックス樹脂とを含む複合材が積層された積層構造体であって、
    第1複合材で構成された下側外層と、第2複合材で構成された内層と、第1複合材で構成された上側外層と、を備え、
    前記内層は、前記下側外層と前記上側外層との間に挟まれるように配置され、
    前記第2複合材は、前記第1複合材よりも薄い積層構造体。
  2. 前記内層は、複数の前記第2複合材が積層された構成であり、
    前記第2複合材は、前記強化繊維が任意の一方向に配向された一方向性複合材であり、
    前記内層において、隣接する第2複合材同士の繊維配向が異なっている請求項1に記載の積層構造体。
  3. 前記第1複合材は、前記強化繊維が任意の一方向に配向された一方向性複合材であり、
    前記下側外層の前記第1複合材および前記上側外層の前記第1複合材は、前記内層を中心として繊維配向が鏡面対称に配置されている請求項1または請求項2に記載の積層構造体。
  4. 前記第2複合材の厚さは、前記第1複合材の厚さの1/2n(nは0を含まない自然数)である請求項1から請求項3のいずれかに記載の積層構造体。
  5. 前記第2複合材の厚さは、50μm以上100μm以下である請求項1から請求項4のいずれかに記載の積層構造体。
  6. 強化繊維とマトリックス樹脂とを含む複合材が積層された積層構造体の製造方法であって、
    第1プリプレグで構成されたプレ下側外層、前記第1プリプレグより薄い第2プリプレグで構成されたプレ内層、第1プリプレグで構成されたプレ上側外層、を順に積層させた後、加熱・加圧し、前記マトリックス樹脂を硬化させて成形品とする積層構造体の製造方法。
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