JP2007278400A - Lngタンク - Google Patents
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Abstract
【課題】 LNG漏洩時の冷熱収縮によってもコーナー部の樹脂系材料の接合部が剥離破壊することなく、かつ施工が容易な二次バリア槽を備えたLNGタンクを提供する。
【解決手段】 LNGが収容される内槽と、内槽を覆う外槽と、内槽と外槽の間に設けられた二次バリア槽とを備えたLNGタンクにおいて、二次バリア槽を、平面状の繊維強化プラスチック41、43と弯曲状のガラス繊維強化プラスチック42とから構成し、弯曲状のガラス繊維強化プラスチック42のヤング率を、−163℃の温度下で300GPa以下とし、平面状のガラス繊維強化プラスチック41、43と弯曲状のガラス繊維強化プラスチック42を、端部同士で接着層21を介して重ね合わせるとともに、この接着層21の部分を越えるようにそれらの表面に後硬化型のガラス繊維強化プラスチック23を貼り付けることで接合する。
【選択図】 図2
【解決手段】 LNGが収容される内槽と、内槽を覆う外槽と、内槽と外槽の間に設けられた二次バリア槽とを備えたLNGタンクにおいて、二次バリア槽を、平面状の繊維強化プラスチック41、43と弯曲状のガラス繊維強化プラスチック42とから構成し、弯曲状のガラス繊維強化プラスチック42のヤング率を、−163℃の温度下で300GPa以下とし、平面状のガラス繊維強化プラスチック41、43と弯曲状のガラス繊維強化プラスチック42を、端部同士で接着層21を介して重ね合わせるとともに、この接着層21の部分を越えるようにそれらの表面に後硬化型のガラス繊維強化プラスチック23を貼り付けることで接合する。
【選択図】 図2
Description
本発明は、LNGの漏洩を防止するための二次バリア槽を備えたLNGタンクに関する。
近年、地球環境問題から、クリーンなエネルギーとして天然ガスが注目され、その需要は益々高まる傾向にある。液化天然ガス(liquid natural gas:LNG)は、メタンを主成分とする天然ガスを水分、硫黄化合物、二酸化炭素などの不純物を除去した後、超低温に冷却、液化したものである。LNGタンクは、液化天然ガスを−163℃以下に保持して貯蔵するための装置であって、地上式LNGタンクや地下式LNGタンクが知られている。
このうち、特に、主に日本国内向けの地上式のLNGタンクにおいては、LNGを収容する内槽と、この内層を覆う外槽とから構成される二重殻式のLNGタンクが一般に用いられている。内槽には、LNGに接触する面が冷熱衝撃に耐えるように、低温での優れた強度と靭性を有する9%Ni鋼の溶接構造が採用されている(非特許文献1参照)。9%Ni鋼は、線膨張係数が低く、LNGを液体状態に保持ことができる−163℃以下の低温においても脆性破壊を起こすことがない部材である。
また、海外では、内槽と外槽の間に、LNGの漏洩に備えて二次バリア槽を設けた三重殻式のLNGタンクが用いられている。二次バリア槽には、LNGの漏洩時の冷熱衝撃に耐えるように、9%Ni鋼の溶接構造が採用されている。しかしながら、9%Ni鋼は、レアメタルであるNiを使用するため価格が高く、また充分に供給される状況にはない。さらに、9%Ni鋼を母材および溶接材料として使用するには、溶接施工において高度な技量を必要とするという問題がある。
一方、LNG船であるが、二次バリアに、アルミニウムシートをガラス繊維で挟んだ構造の積層体が採用されている(非特許文献2)。この構造の積層体によれば、LNGの漏洩時の熱収縮をひだのたわみで吸収することができる。
LNG地上式貯槽指針、社団法人日本ガス協会、平成14年8月 LNG船用CS1メンブレンシステム(CS1 membrane system for LNG integrated tanks)、ガストランスポート&テクニガス(Gaztransport & Technigaz)
LNG地上式貯槽指針、社団法人日本ガス協会、平成14年8月 LNG船用CS1メンブレンシステム(CS1 membrane system for LNG integrated tanks)、ガストランスポート&テクニガス(Gaztransport & Technigaz)
二次バリア槽に低価格な樹脂系材料を用いると、LNGと接触した際の冷熱収縮によって、二次バリア槽のコーナー部の樹脂系材料の接合部が剥離破壊する可能性がある。よって、ボルトにより樹脂系材料を接合して強度を増すことが考えられるが、ボルト穴の加工や位置決めなどの工程が新たに必要になり、施工が複雑になるという問題がある。
そこで本発明は、上記の問題に鑑み、冷熱収縮によってもコーナー部の樹脂系材料の接合部が剥離破壊することなく、かつ施工が容易な二次バリア槽を備えたLNGタンクを提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明は、LNGが収容される内槽と、この内槽を覆う外槽と、前記内槽と前記外槽の間に設けられた二次バリア槽とを備えたLNGタンクにおいて、前記二次バリア槽が、平面状の繊維強化プラスチックと弯曲状のガラス繊維強化プラスチックとから構成されており、前記弯曲状のガラス繊維強化プラスチックのヤング率が、−163℃の温度下で30GPa以下であり、前記平面状のガラス繊維強化プラスチックと前記弯曲状のガラス繊維強化プラスチックは、それらの端部同士が接着層を介して重ね合わされているとともに、この接着層の部分を越えるようにそれらの表面に後硬化型のガラス繊維強化プラスチックが貼り付けられていることで、接合されていることを特徴とする。
前記後硬化型のガラス繊維強化プラスチックの端部は、前記接着層の部分の端部から、前記弯曲状のガラス繊維強化プラスチックの厚さの3〜5倍の長さだけ越えて貼り付けられていることが好ましい。前記接着層は、−163℃において接着強度が3MPa以上である接着剤を用いて形成されたものであることが好ましい。前記平面状及び弯曲状のガラス繊維強化プラスチックの樹脂は、難燃化ビニルエステルと延性樹脂を含んでなり、前記接着層を形成する接着剤は、ビニルエステル系またはポリエステル系のプライマー剤と延性樹脂を含んでなることが好ましい。
本発明によれば、二次バリア槽のコーナー部に用いた弯曲状のガラス繊維強化プラスチックが−163℃という低温下でもヤング率が30GPa以下と低剛性であるために熱変形を吸収して、接着部に発生する剥離力を低減するとともに、接着層の部分を越えるように貼り付けられた後硬化型(施工時はフレキシブルで、施工後に硬化させるタイプ)のガラス繊維強化プラスチックが接着層をLNGから保護し、かつ弯曲状と平面状の繊維強化プラスチックを直に接合する。よって、LNG漏洩時の冷熱収縮によってもコーナー部の弯曲状のガラス繊維強化プラスチックの接合部が剥離破壊することなく液密性を保つことができる。
また、弯曲状のガラス繊維強化プラスチックおよび後硬化型のガラス繊維強化プラスチックはいずれも軽量であり、弯曲状のガラス繊維強化プラスチックを平面状の繊維強化プラスチックに接着層を介して接着した後、これらの上から後硬化型のガラス繊維強化プラスチックを貼り付けて紫外線等で硬化させることで接合できるので、容易に施工することができる。
以下に、図面を参照して、本発明に係るLNGタンクの一実施の形態について説明する。図1は、本実施の形態に係るLNGタンクの全体構造を模式的に示す断面図である。図1に示すように、地上式三重殻LNGタンク1は、LNG8が収容される内槽2と、この内層を覆う外槽3と、内槽2からLNGが万一漏洩した場合の二次バリア槽4とから主に構成される。
外槽3は、円形の平底を有する円筒形状である。外槽3は、プレストレストコンクリート材から形成することができる。プレストレストコンクリート材は、あらかじめ鋼材で圧縮力を与えておき引張力に対する抵抗を高めたものであって、鉄筋コンクリート部材よりも、軽量化ができ、耐久性・水密性に優れた性能を有する。外槽3は、側壁高さが約40m〜50m、円形状の底の直径が約80m〜100mとなるように設計することができる。しかし、外槽3の厚さやサイズは、LNG収容量などにより変化するので、当業者であれば、所望のLNG収容量に適合するように外槽3のサイズを設計することができる。また、外槽3の内壁には、一般構造用鋼からなるモイスチャーバリア槽(図示せず)を設けることができる。
外槽3内には、支持材10を介して、同じく円形の平底を有する円筒形の二次バリア槽4を設ける。二次バリア槽4は、万一に内槽2が破損してLNGが漏出した場合の非常用バリアである。二次バリア槽4は、その側板の高さが外槽3の側壁高さよりも低く、外槽3の側壁内側にアンカー9により取り付ける。外槽3と二次バリア槽4との間には、間隙を設ける。この間隙には二次保冷材7を充填する。なお、支持材10は、内槽2の側壁の直下部に位置する箇所に設ける。支持材10は、外槽の底面下の土中に設置される杭(図示せず)に荷重を伝えるようになっている。二次バリア槽4の構造の詳細については後述する。
二次バリア槽4の底板上であって支持材10の間には、一次保冷材6を敷き詰める。内槽2は、この一次保冷材6および支持材10を介して、二次バリア槽4の内側に設置する。内槽2は、平底を有する円筒形の容器である。内槽2は、深さが約30m〜約40m、直径が約60m〜約100mであり、約10〜20万klのLNGを収容することができる。そして、LNGを−163℃の液状で保存しうる保冷機能と、LNG及びガス化したLNGを外部に漏らさないための液密性及び気密性、上記容量のLNGの荷重に耐えられるだけの強度を備える。内槽2の材質としては、従来用いられている9%Ni鋼を用いるが、9%Ni鋼の代わりに一般構造用鋼を用い、LNG接触面に上述したガラス繊維強化プラスチックを適用した樹脂鋼複合バリア材を用いてもよい。
内槽2と二次バリア槽4の側壁の間、および内槽2と外槽3の側壁の間には、粉末状保冷材5を充填する。粉末保冷材5としては、断熱性を有し、二次バリア槽4と内槽2との間隙に充填しやすい粉末状の保冷材であって、LNGと反応しないものを用いる。内槽2に収容されたLNG8を−163℃に保冷し、かつ、LNGが内槽2から漏出した場合に危険な反応が生ずるのを防ぐためである。具体的には、粉末保冷材5として、パーライトを用いる。
また、一次保冷材6としては、安価で堅固な保冷材を用いることが好ましい。内槽2底部から大きな面圧を受けるためである。具体的には、グラスウールを使用する。二次保冷材7としては、面圧保持機能を有するものを用いることが好ましい。内槽2底部から大きな面圧を受けるためである。具体的には、硬質ポリウレタンフォームまたはグラスウールを用いる。支持材10としては、保冷機能と内槽の外壁の荷重保持機能を有するものを用いることができる。具体的には、パーライトコンクリートを用いる。
さらに、地上式三重殻LNGタンク1には、図示しない蓋と、LNGの搬出手段、搬入手段となる配管等を設け、LNG8は内槽2内に密閉された状態で保持される。
次に、二次バリア槽4の構造について詳細に説明する。図2は、二次バリア槽4の隅角部を拡大した断面図である。図2に示すように、二次バリア槽4は、側板パネル41と底板パネル43との間にコーナーパネル42を接合することで構成する。側板パネル41と底板パネル43の表面にコーナーパネル42の裏面を重ね合わせ、この重ね合わせ部分には接着剤を塗布し、接着層21を形成するとともに、側板パネル41または底板パネル43の表面からコーナーパネル42の表面にかけて更に紫外線硬化ガラス繊維強化プラスチック(GFRP)23を重ね合わせることで、これらパネルを接合する。
側板パネル41、コーナーパネル42、底板パネル43の各材料には、漏出したLNG(−163℃)と接触しても熱変形を吸収し、パネルの接着部に発生する垂直方向の剥離力を低減して、液密性を維持するように、−163℃の温度下でヤング率が30GPa以下の低剛性を有するガラス繊維強化プラスチック(GFRP)を用いる。このようなGFRPの具体的な構成としては、樹脂として、難燃化ビニルエステルと延性樹脂との混合物を使用し、ガラス繊維として、ガラスクロスとガラスマットを併用する。なお、ヤング率の測定はJIS K 7054に準拠する。より好ましいヤング率は10〜30GPaの範囲である。また、LNG温度下での引張強度は100MPa以上が好ましい。
難燃化ビニルエステルとは、ハロゲン化したビニルエステル系樹脂であり、酸素指数が26以上の難燃性を有するものが好ましい。酸素指数の測定はJIS K 7201に準拠する。延性樹脂としては、−163℃におけるひずみが2%以上の延性を有するものが好ましく、2〜4%の延性がより好ましい。延性樹脂の伸びの測定はJIS K 7113に準拠する。これらの配合割合は、難燃化ビニルエステルを20〜50重量%、延性樹脂を50〜80重量%とすることが好ましい。
ガラスクロスとは、ガラスのヤーン(糸)を生地に織ったものである。ガラスマットとは、ガラス長繊維を(2.5〜5cm)程度にカットし、バインダーで固めたシートである。ガラスクロスは、#400〜600(400〜600g/m2)、特に#580のガラス繊維の平織クロスを用いる。そして、ガラスクロス3層、ガラスマット1層、ガラスクロス3層の順に積層する。GFRPの厚さTは、厚くし過ぎると熱応力に伴う荷重が大きくなるため、2〜8mmの範囲にすることが好ましい。
接着層21は、パネルの低温収縮によって発生する平面方向の剪断力と垂直方向の剥離力を支持する必要がある。よって、接着層21に用いる接着剤としては、−163℃において2%以上の延性を有し、接着強度が3MPa以上であるものが好ましい。このような接着剤としては、接着するパネルのGFRPに使用されている難燃化ビニルエステルと同族であるビニルエステル系またはポリエステル系のプライマー剤に、延性樹脂を加えたものを使用する。このようにGFRPと同族の樹脂を適用することで、接着面に対する濡れ性を向上でき、接着強度・剥離強度が上昇するとともに、延性樹脂を配合することで、低温下での延性が増大し、したがって、接着層21のラップ長さが長くなっても接着強度の低下を防止でき、上記の特性を得ることができる。接着剤の延性の測定はJIS K 6850に準拠する。接着強度の測定はJIS K 6850に準拠する。接着剤は−163℃において2〜4%の延性、3〜8MPaの接着強度のものがより好ましい。
接着剤の配合割合としては、上記のビニルエステル系またはポリエステル系のプライマー剤を50〜90重量%、延性樹脂を10〜50重量%とすることが好ましい。また、接着剤の粘度を高めるために、任意にポリエステル粉末を10〜50重量%添加することができる。
紫外線硬化GFRP23は、接着層21が漏出したLNGに直接触れないように保護するとともに、仮に接着層21が剥離破壊してもパネル間の接合をこの紫外線硬化GFRP23で維持して液密性を保つものである。また、紫外線硬化GFRP23は、硬化前のプリプレグシートがゼリー状であり、パネル41〜42のGFRPの成形面が荒れていても良く馴染む一方、紫外線を照射することで硬化し、優れた強度を発現することから、簡易施工が可能になる。紫外線硬化GFRP23は、剛性がGFRPパネル41〜43と同等以下(30GPa以下)で、LNG温度下での引張強度が100MPa以上で、GFRPパネル41〜43との低温接着強度が2MPa以上であることが好ましい。より好ましい範囲は、引張強度が100〜200MPaで、低温接着強度が2〜6MPaである。
このような紫外線硬化GFRPの具体的な構成としては、樹脂として、パネル41〜43と同様の難燃化ビニルエステルと延性樹脂との混合物を使用する。また、ガラス繊維としては、ガラスクロスとガラスマットに加えて、さらにサーフェースマットを併用する。サーフェースマットとは、ガラスの長繊維をランダム配向にバインダーで固めた厚さの薄いシートであり、接着面への馴染みが良い。
ガラスクロスは、パネルと同様に#400〜600(400〜600g/m2)、特に#580のガラス繊維の平織クロスを用いる。そして、サーフェースマット1層、ガラスクロス2層、ガラスマット1層、ガラスクロス2層、サーフェースマット1層の順に積層する。紫外線硬化GFRPの厚さは、2〜10mmの範囲にすることが好ましい。このように、パネルに使用するGFRPに比べ、ガラスクロスの積層回数を減らすことで、樹脂の含浸性を良くすることができ、気泡や未含浸部が減って透明になることから、検査がし易くなるとともに、低温下での強度及び接着部の剥離強度や引張せん断強度が向上する。
紫外線硬化GFRP23は、コーナーパネル42の表面において、接着層21よりも長さLだけ超えて覆うように貼り付ける。この長さLは、コーナーパネル42の厚さTの3〜5倍の長さにすることが好ましい。長さLが厚さTの3倍未満だと、接着層21において3枚のGFRPの荷重がコーナーパネル42のたった1枚のGFRPに掛かり、応力が集中してより接着層21の強度が低下する。一方、長さLが厚さTの5倍を超えると、荷重を支持しない部分が長くなり、より接着層21の強度が低下する。なお、紫外線硬化GFRP23の端部がコーナーパネル42の弯曲部にあると、コーナーパネル42の剛性が上がり、接着層21の強度が低下するので、コーナーパネル42の弯曲の開始点Cよりも手前側までに設ける。
また、紫外線硬化GFRP23を側板パネル41または底板パネル43の表面に接着する長さは、上記と同様の理由から、コーナーパネル42の厚さTの3〜5倍の長さにする。接着層21の長さは、漏出したLNGと接触してもパネルの接合を維持して液密性を保持するために、コーナーパネル42の厚さTの10〜50倍とすることが好ましい。
次に、アンカー9の構造について詳細に説明する。図3は、二次バリア槽4のアンカー9の周辺部を拡大した断面図である。図3に示すように、二次バリア槽4の側板パネル41は、その上端部を外槽3に設けたアンカー9の垂直部92に表面に支持して設ける。アンカー9は、外槽3の内壁に沿って周回して設ける。
アンカー9の垂直部92の表面と側板パネル41の裏面とは、接着層31を介して接着する。接着層31に使用する接着剤としては、LNG漏洩時の二次バリア槽4の円周方向の冷熱収縮によっても、接着層31の破壊が側板パネル41の界面で生じないものが好ましく、例えば、ビニルエステル系接着剤や、ウレタン系接着剤、エポキシ系接着剤、シリコン系接着剤を使用する。
側板パネル41の表面から、側板パネル41およびアンカー9の垂直部92の上端を通り、アンカー9の垂直部92の裏面の水平部91の手前まで、紫外線硬化GFRP33で覆う。これにより、漏出したLNGが二次バリア槽4の上端を越えても、接着層31にLNGが浸透するのを防止できる。また、二次バリア槽4の側板は、複数の側板パネル41を並べ、隣接する側板パネルの端部同士の表面に紫外線硬化GFRPのプリプレグシートを貼り付け、これを硬化させることで接合して構築する。よって、隣接する側板パネル41の間には隙間が発生する。漏出したLNGが二次バリア槽4の上端を越えると、この隙間にLNGが浸入するが、上記のように紫外線硬化GFRP33で上端を覆うことでこの隙間へのLNGの浸入を防止できる。
さらに、側板パネル41とアンカー9の垂直部92は、紫外線硬化GFRP33の表面から挟扼用金属板37をそれぞれ介して、ボルト35とナット36により挟扼する。このように、挟扼用金属板37を介して挟み付けることにより、ボルト35及びナット36の接合力を面圧として均等に伝達することができ、接着層31の剥離破壊を防止できるとともに、接着剤が硬化する前に接着層31に圧力を保持しておくことができる。挟扼用金属板37、ボルト35およびナット36の材質には、低温においても靭性が高いSUS304等のステンレス鋼を用いる。
以上の構成の地上式三重殻LNGタンク1によれば、二次バリア槽4のGFRP製のコーナーパネル42が−163℃という低温下でもヤング率が30GPa以下と低剛性であるために熱変形を吸収して、接着層21に発生する剥離力を低減するとともに、接着層21の部分を越えるように貼り付けられた紫外線硬化GFRP23が接着層21をLNGから保護し、かつ側板パネル41または底板パネル43とコーナーパネル42とを直に接合する。よって、LNG漏洩時の冷熱収縮によっても側板パネル41または底板パネル43とコーナーパネル42との接合部が剥離破壊することなく液密性を保つことができる。
また、側板パネル41、コーナーパネル42、底板パネル43および紫外線硬化GFRP23はいずれも9%Ni鋼に比べて安価であるとともに、軽量で取り扱いが容易である。さらに施工も、アンカー9や支持材10に側板パネル41や底板パネル43を固定した後、これらの端部表面にコーナーパネル42の端部裏面を接着層21を介して接着し、その上から紫外線硬化GFRP23を貼り付け、紫外線を照射して硬化させることで接合できるので、容易に施工することができる。
なお、上記の実施の態様では、紫外線硬化GFRP23を用いたが、紫外線に限定されず、紫外線または可視光により硬化する光硬化型GFRPを使用することができる。この場合、プリプレグシートが施工前に硬化するのを防止するために、紫外線または可視光遮断シートで覆っておくことが好ましい。
(接着部の引張せん断試験)
長さ150mm×幅30mm×厚さ4mmの2枚のGFRPを、接着剤を用いてラップ長さ100mmで重ね合わせて接着して試験体を作製した。なお、GFRPは、樹脂として難燃化ビニルエステルと延性樹脂を用い、繊維として#580のガラスクロス3層、ガラスマット1層、#580のガラスクロス3層を順に積層したものを用いた。接着剤は、上記の難燃化ビニルエステルと同族のビニルエステル系プライマー剤80重量%と延性樹脂20重量%とを含有するものを用いた。この接着試験体についてJIS K 6850に準拠して−163℃の温度下での接着強度を測定したところ約6MPaであった。また、GFRP自体の引張強度は約180MPa(−163℃下、JIS K 7054)であった。
長さ150mm×幅30mm×厚さ4mmの2枚のGFRPを、接着剤を用いてラップ長さ100mmで重ね合わせて接着して試験体を作製した。なお、GFRPは、樹脂として難燃化ビニルエステルと延性樹脂を用い、繊維として#580のガラスクロス3層、ガラスマット1層、#580のガラスクロス3層を順に積層したものを用いた。接着剤は、上記の難燃化ビニルエステルと同族のビニルエステル系プライマー剤80重量%と延性樹脂20重量%とを含有するものを用いた。この接着試験体についてJIS K 6850に準拠して−163℃の温度下での接着強度を測定したところ約6MPaであった。また、GFRP自体の引張強度は約180MPa(−163℃下、JIS K 7054)であった。
(コーナー部構造の低温挙動)
90°の角度に湾曲した上記性状のGFRPの両端に2枚の上記性状のGFRPを、上記と同じラップ長さで上記接着剤にて重ね合わせて接着するとともに、そのラップ部分をその両端部から5〜40mmだけ超えるように紫外線硬化GFRPプリプレグを湾曲の内側面に貼り付けた後、紫外線を照射することで、コーナー部を有する構造体を作製した。この構造体について−163℃に急冷した場合の熱応力構造解析を行った結果、コーナー部がバネの挙動を示し、このバネ効果により接着部に負荷される剥離荷重が大きく軽減され、接着部が剥離することなく構造体の形状を保持できることがわかった。
90°の角度に湾曲した上記性状のGFRPの両端に2枚の上記性状のGFRPを、上記と同じラップ長さで上記接着剤にて重ね合わせて接着するとともに、そのラップ部分をその両端部から5〜40mmだけ超えるように紫外線硬化GFRPプリプレグを湾曲の内側面に貼り付けた後、紫外線を照射することで、コーナー部を有する構造体を作製した。この構造体について−163℃に急冷した場合の熱応力構造解析を行った結果、コーナー部がバネの挙動を示し、このバネ効果により接着部に負荷される剥離荷重が大きく軽減され、接着部が剥離することなく構造体の形状を保持できることがわかった。
1 地上式三重殻LNGタンク
2 内槽
3 外槽
4 二次バリア槽
5 粉末保冷材
6 一次保冷材
7 二次保冷材
8 LNG
9 アンカー
21、31 接着層
23、33 紫外線硬化ガラス繊維強化プラスチック
35 ボルト
36 ナット
37 挟扼用金属板
41 側板パネル
42 コーナーパネル
43 底板パネル
91 水平部
92 垂直部
93 溶接部
2 内槽
3 外槽
4 二次バリア槽
5 粉末保冷材
6 一次保冷材
7 二次保冷材
8 LNG
9 アンカー
21、31 接着層
23、33 紫外線硬化ガラス繊維強化プラスチック
35 ボルト
36 ナット
37 挟扼用金属板
41 側板パネル
42 コーナーパネル
43 底板パネル
91 水平部
92 垂直部
93 溶接部
Claims (4)
- LNGが収容される内槽と、この内槽を覆う外槽と、前記内槽と前記外槽の間に設けられた二次バリア槽とを備えたLNGタンクであって、
前記二次バリア槽が、平面状の繊維強化プラスチックと弯曲状のガラス繊維強化プラスチックとから構成されており、
前記弯曲状のガラス繊維強化プラスチックのヤング率が、−163℃の温度下で30GPa以下であり、
前記平面状のガラス繊維強化プラスチックと前記弯曲状のガラス繊維強化プラスチックは、それらの端部同士が接着層を介して重ね合わされているとともに、この接着層の部分を越えるようにそれらの表面に後硬化型のガラス繊維強化プラスチックが貼り付けられていることで、接合されているLNGタンク。 - 前記後硬化型のガラス繊維強化プラスチックの端部が、前記接着層の端部から、前記弯曲状のガラス繊維強化プラスチックの厚さの3〜5倍の長さだけ越えて貼り付けられている請求項1に記載のLNGタンク。
- 前記接着層の接着強度が3MPa以上となるように、接着剤を用いて前記接着層が形成された請求項1〜2のいずれかに記載のLNGタンク。
- 前記平面状及び弯曲状の繊維強化プラスチックの樹脂が、難燃化ビニルエステルと延性樹脂を含んでなり、前記接着層を形成する接着剤が、ビニルエステル系またはポリエステル系のプライマー剤と延性樹脂を含んでなる請求項1〜3のいずれかに記載のLNGタンク。
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---|---|---|---|
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Publication Number | Publication Date |
---|---|
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Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2006105926A Withdrawn JP2007278400A (ja) | 2006-04-07 | 2006-04-07 | Lngタンク |
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Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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2006
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