JP2007106951A - 溶液、ダイレクトプレーティング用材料及びプリント配線板 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ダイレクトプレーティングにより金属層を形成するための表面aを少なくとも有するダイレクトプレーティング用材料であって、表面aの表面粗度は、カットオフ値0.002mmで測定した算術平均粗さで0.5μm以下となっており、かつ表面aは、一般式(1)〜(6)のいずれかで表される構造のうち、1つ以上の構造を有するポリイミド樹脂を含有することを特徴とするダイレクトプレーティング用材料によって上記課題を解決しうる。
【選択図】 なし
Description
一方、浴の安定性の問題や廃液の規制強化の問題等から、近年無電解めっきを用いずに導電化し、直接電気銅めっきを行うダイレクトプレーティングが提案され、普及し始めている。
しかし、ダイレクトプレーティングは上記各種材料表面との接着性が低い場合が多い。特に、上述したプリント配線板の製造に適用した場合、ダイレクトプレーティングにより形成した金属層と絶縁材料との接着性は低いというのが課題であった。特に、表面粗度が小さい平滑な表面を有する絶縁材料に対して、ダイレクトプレーティングにより金属層を強固に接着するのは非常に困難であった。
一方、例えば表面に配線を形成したプリント配線板などを製造する際、絶縁材料上に金属層を形成する場合、できるだけ平滑な表面に、強固に金属層が形成されていることが非常に望ましい。
これまで知られているプリント配線板に用いられる絶縁シートは、様々な手法で表面を粗化させ、いわゆるアンカー効果によって金属層との接着性を得ていた(例えば特許文献1参照)。しかし、表面粗度が小さい場合には金属層と樹脂材料との接着性は低く、微細配線形成には限界があった。
1)ダイレクトプレーティングにより金属層を形成するための表面aを少なくとも有するダイレクトプレーティング用材料であって、表面aの表面粗度は、カットオフ値0.002mmで測定した算術平均粗さで0.5μm以下となっており、かつ表面aは、下記一般式(1)〜(6)のいずれかで表される構造のうち、1つ以上の構造を有するポリイミド樹脂を含有することを特徴とするダイレクトプレーティング用材料。
2)パラジウム、導電性ポリマー、カーボンのいずれかにより導電化されていることを特徴とする1)に記載のダイレクトプレーティング用材料。
3)ダイレクトプレーティングにより金属層を形成するための表面aを有し、かつ、下記一般式(1)〜(6)のいずれかで表される構造のうち、1つ以上の構造を有するポリイミド樹脂を含有する単層シートであって、表面aの表面粗度はカットオフ値0.002mmで測定した算術平均粗さで0.5μm以下となっていることを特徴とする単層シート。
4)パラジウム、導電性ポリマー、カーボンのいずれかにより導電化されていることを特徴とする3)に記載の単層シート。
5)少なくともダイレクトプレーティングにより金属層を形成するための表面aを有する層Aを含む2層以上の層から構成された絶縁シートであって、表面aの表面粗度はカットオフ値0.002mmで測定した算術平均粗さで0.5μm以下となっており、かつ層Aは、下記一般式(1)〜(6)のいずれかで表される構造のうち、1つ以上の構造を有するポリイミド樹脂を含有することを特徴とする絶縁シート。
6)パラジウム、導電性ポリマー、カーボンのいずれかにより導電化されていることを特徴とする5)に記載の絶縁シート。
7)3)記載の単層シートまたは、請求項5記載の絶縁シートの、層A上に金属層が形成されていることを特徴とする積層体。
8)3)記載の単層シートまたは、5)に記載の絶縁シートを用いてなるプリント配線板。
9)下記一般式(1)〜(6)のいずれかで表される構造のうち、1つ以上の構造を有するポリイミド樹脂を含有する溶液であって、1)に記載の表面aを形成するために用いられることを特徴とするポリイミド樹脂を含有する溶液。
10)下記一般式(1)〜(6)のいずれかで表される構造のうち、1つ以上の構造を有するポリアミド酸を含有する溶液であって、1)に記載の表面aを形成するために用いられることを特徴とするポリアミド酸を含有する溶液。
本発明のダイレクトプレーティング用材料は、ダイレクトプレーティングにより金属層を形成するための表面aを少なくとも有するダイレクトプレーティング用材料であって、表面aの表面粗度は、カットオフ値0.002mmで測定した算術平均粗さで0.5μm以下となっており、かつ表面aは、上記一般式(1)〜(6)のいずれかで表される構造のうち、1つ以上の構造を有するポリイミド樹脂を含有することを特徴とするダイレクトプレーティング用材料である。
以下に本発明のダイレクトプレーティング用材料について、特にプリント配線板に適用した場合について説明する。
本発明の上記一般式(1)〜(6)のいずれかで表される構造のうち、1つ以上の構造を有するポリイミド樹脂は、上記一般式(1)〜(6)のいずれかで表される構造のうち、1つ以上の構造を有していれば、いかなるポリイミド樹脂を用いても良い。例えば、上記一般式(1)〜(6)のいずれかで表される構造のうち、1つ以上の構造を有する酸二無水物成分あるいは上記一般式(1)〜(6)のいずれかで表される構造のうち、1つ以上の構造を有するジアミン成分を用いて、ポリイミド樹脂の前駆体であるポリアミド酸を製造し、これをイミド化してポリイミド樹脂を製造する方法、官能基を有する酸二無水物成分あるいは官能基を有するジアミン成分を用いて官能基を有するポリアミド酸を製造し、この官能基と反応しうる官能基、及び上記一般式(1)〜(6)のいずれかで表される構造のうち、1つ以上の構造を有する化合物を反応させて、シロキサン構造が導入されたポリアミド酸を製造し、これをイミド化してポリイミド樹脂を製造する方法、官能基を有する酸二無水物成分あるいは官能基を有するジアミン成分を用いて官能基を有するポリアミド酸を製造し、これをイミド化して官能基を有するポリイミドを製造し、この官能基と反応しうる官能基、及び上記一般式(1)〜(6)のいずれかで表される構造のうち、1つ以上の構造を有する化合物を反応させて、シロキサン構造が導入されたポリイミド樹脂を製造する方法、などが挙げられる。ここで、上記一般式(1)〜(6)のいずれかで表される構造のうち、1つ以上の構造を有するジアミンは比較的容易に入手することが可能であるため、上記の中でも、酸二無水物成分と、上記一般式(1)〜(6)のいずれかで表される構造のうち、1つ以上の構造を有するジアミン成分とを反応させて目的とするポリイミド樹脂を製造することが好ましい。
次に、本発明のポリイミド樹脂として、酸二無水物成分と、上記一般式(1)〜(6)のいずれかで表される構造のうち、1つ以上の構造を有するジアミン成分とを用いた場合の製造例について説明する。
一般式(1)〜(6)のいずれかで表される構造のうち、1つ以上の構造を有するジアミン成分を用いることにより、得られるポリイミド樹脂は、ダイレクトプレーティングにより形成された金属層と強固に接着するという特徴を有するようになる。
1)ジアミン成分を有機極性溶媒中に溶解し、これと実質的に等モルの酸二無水物成分を反応させて重合する方法。
2)酸二無水物成分とこれに対し過小モル量のジアミン成分とを有機極性溶媒中で反応させ、両末端に酸無水物基を有するプレポリマーを得る。続いて、全工程において酸二無水物成分とジアミン成分が実質的に等モルとなるようにジアミン成分を用いて重合させる方法。
3)酸二無水物成分とこれに対し過剰モル量のジアミン成分とを有機極性溶媒中で反応させ、両末端にアミノ基を有するプレポリマーを得る。続いてここにジアミン成分を追加添加後、全工程において酸二無水物成分とジアミン成分が実質的に等モルとなるように酸二無水物成分を用いて重合する方法。
4)酸二無水物成分を有機極性溶媒中に溶解させた後、実質的に等モルとなるようにジアミン化合物成分を用いて重合させる方法。
5)実質的に等モルの酸二無水物成分とジアミン成分の混合物を有機極性溶媒中で反応させて重合する方法。
表面aを有する層には、上述の上記一般式(1)〜(6)のいずれかで表される構造のうち、1つ以上の構造を有するポリイミド樹脂が必ず含有されているが、表面aを有する層には、他の成分を含有させることも可能である。他の成分としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂などの樹脂を適宜使用することができる。これによって、ダイレクトプレーティングにより形成された金属層との接着性を損なうことなく、耐熱性を向上させることが可能となる。特に、熱硬化性樹脂を使用することは、層Aの耐熱性が向上するとともに、層Bや、高分子フィルムCとの接着性が向上するという利点も有するため、好ましい。熱硬化性樹脂は、上記一般式(1)〜(6)のいずれかで表される構造のうち、1つ以上の構造を有するポリイミド樹脂100重量部に対して、3〜100重量部含むことが、耐熱性や接着性のバランスの取れた特性が得られることから好ましい。
また、熱硬化性樹脂としては、ビスマレイミド樹脂、ビスアリルナジイミド樹脂、フェノール樹脂、シアナート樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、トリアジン樹脂、ヒドロシリル硬化樹脂、アリル硬化樹脂、不飽和ポリエステル樹脂などをあげることができ、これらを単独または適宜組み合わせて用いることができる。また、前記熱硬化性樹脂以外に、高分子鎖の側鎖または末端に、エポキシ基、アリル基、ビニル基、アルコキシシリル基、ヒドロシリル基などの反応性基を有する側鎖反応性基型熱硬化性高分子を使用することも可能である。
この条件を満たす場合、特に本発明のダイレクトプレーティング用材料をプリント配線板用途で使用する際には、良好な微細配線形成性を有する。このような表面を有する層Aを形成するには、例えば、
(1)表面処理を行わない。
(2)支持体、あるいは合紙などの材料の、ダイレクトプレーティングを施すための層Aと接する面の表面粗度を適切に選択する。
(3)少なくともダイレクトプレーティングを施すための表面aを有する層Aを含む2層以上の層から構成されたシートの場合は、層Aに接する層の表面粗度を適切に選択する。
(4)層Aに含まれるポリイミド樹脂の組成や、層Aを形成する際の乾燥条件を適切に選択する。
などの方法を、適宜組み合わせればよい。
具体的には、サンドブラスト等の物理的な表面粗化や、アルカリ可溶性成分を配合し、アルカリ溶液で処理する等の化学的な表面粗化を実施しないことが好ましい。
また、本発明のダイレクトプレーティング用材料が支持体上に形成されたシートである場合は、支持体の表面粗度は十分に小さくすることが好ましい。さらに、該シートを用いて内層配線板と積層する場合は、積層の際に該シート上に対向させる合紙の表面粗度も十分に小さくすることが好ましい。従って、支持体あるいは合紙の表面粗度は、カットオフ値0.002mmで測定した算術平均粗さで0.5μm以下であることが好ましい。
また、少なくともダイレクトプレーティングを施すための表面aを有する層Aを含む2層以上の層から構成されたシートの場合は、層Aに接する層の表面粗度が、層Aの表面に影響する場合があるので、層Aに接する層の表面粗度も十分に小さくすることが好ましい。従って、層Aに接する層の表面粗度は、カットオフ値0.002mmで測定した算術平均粗さで0.5μm以下であることが好ましい。
また、ダイレクトプレーティングを施すための表面aの表面粗度は、上記一般式(1)〜(6)のいずれかで表される構造のうち、1つ以上の構造を有するポリイミド樹脂に用いられる、酸二無水物成分やジアミン成分の種類や、配合比により変動する。例えば、上記一般式(6)で表されるジアミンを多く用いた場合、組み合わせる酸二無水物成分あるいはその他のジアミン成分の種類によっては、相分離を起こしてRaが大きくなる場合がある。また、上記一般式(6)で表されるポリイミド樹脂と熱可塑性ポリイミド樹脂をブレンドする場合、相分離を起こしてRaが大きくなる傾向にある。また、乾燥条件なども考慮する。本発明のダイレクトプレーティングを施すための表面aの表面粗度は、微少な範囲の表面の粗さが小さいものであるので、層Aに含まれる上記一般式(1)〜(6)のいずれかで表される構造のうち、1つ以上の構造を有するポリイミド樹脂の組成や、層Aの乾燥条件を組み合わせによって、その表面粗度は変動する。従って、ポリイミド樹脂の組成や、層Aの乾燥条件を種々変更してみて、目的とする表面粗度が得られていることを確認すればよい。
また、その他の成分を含有させた場合にも、配合量や樹脂の組み合わせによっては相分離を起こしてRaが大きくなる場合があるので、含有される他の成分の配合量や樹脂を種々変更してみて、目的とする表面粗度が得られていることを確認すればよい。
ダイレクトプレーティングにより金属層を形成するための表面aを有し、かつ上記一般式(1)〜(6)のいずれかで表される構造のうち、1つ以上の構造を有するポリイミド樹脂を含有する単層シートについて説明する。例えば、ダイレクトプレーティングを施す表面aを形成する溶液を支持体上に流延塗布し、その後乾燥せしめることにより表面aを有するシートを製造する。このシートを内層配線板や高分子フィルム等の所望の材料上に積層することにより表面aを形成することができる。表面aを形成する溶液として、ポリイミド樹脂を含有する溶液を用いる場合は、該溶液を支持体上に流延塗布し、その後熱風オーブン等を用いて乾燥する。乾燥条件は特に制限はないが、樹脂を溶解している溶媒が十分に揮発するような条件で乾燥することが好ましい。また、シートの発泡を抑えるために、温度を段階的に変化させて乾燥させても良い。
表面aを形成する溶液として、ポリアミド酸を含有する溶液を用いる場合は、該溶液を支持体上に流延塗布し、その後熱風オーブン等を用いて乾燥する。この場合は、乾燥の際にイミド化まで行うのが製造効率がよく好ましいため、最終的に150〜400℃の温度で乾燥とイミド化を行うのが好ましい。
単層シートの厚みは、ダイレクトプレーティングとの接着性や、回路埋め込み性の観点から、2〜100μmであることが好ましい。
本発明のダイレクトプレーティング用材料は、表面aを有しさえすればいかなる構成からなる材料であっても構わない。例えば、本発明のダイレクトプレーティング用材料をプリント配線板、特にビルドアップ配線板等のリジッドプリント配線板に適用する場合、上記一般式(1)〜(6)のいずれかで表される構造のうち、1つ以上の構造を有するポリイミド樹脂を含有する単層シートであっても良いし、表面aを有する層Aと、形成された回路と対向させるための層Bとから構成される材料であっても良いし、表面aを有する層A/高分子フィルムC/層Bとから構成される材料であっても良い。また、本発明のダイレクトプレーティング用材料をプリント配線板、特にフレキシブルプリント配線板に適用する場合、表面aを有する層A/高分子Cとから構成される材料であっても良いし、表面aを有する層A/高分子フィルムC/表面aを有する層Aとから構成される材料であっても良い。
本発明でいうダイレクトプレーティングとは、絶縁材料および/または導電性材料表面に導電化処理を行い、その後直接電解めっきによりめっきを行う方法を言う。
(本発明の溶液)
本発明の溶液は、表面aを形成するために用いられることを特徴とする一般式(1)〜(6)のいずれかで表される構造のうち、1つ以上の構造を有するポリイミド樹脂を含有する溶液である。該溶液は、上述したように、ポリイミド溶液以外にも他の成分を含んでいても良く、またこれら樹脂成分を溶解するいかなる溶媒をも使用することができる。ここで溶解するとは、溶媒に対して樹脂成分が1重量%以上溶解することをいう。
次に本発明のダイレクトプレーティング用材料の製造方法について説明する
本発明の、ダイレクトプレーティング用材料の形態の1つは、ポリイミド樹脂を含有する溶液である。例えば、ダイレクトプレーティングを施すための表面Aを形成する上記溶液を製造し、該溶液を浸漬、スプレーによるコーティング、スピンコート等の公知の方法により、内層配線板や高分子フィルム等の所望の材料上に塗布、乾燥せしめて表面aを形成することができる。
本発明の、ダイレクトプレーティング用材料の形態の1つは、ポリアミド酸溶液である。例えば、ダイレクトプレーティングを施すための表面Aを形成する上記溶液を製造し、該溶液を浸漬、スプレーによるコーティング、スピンコート等の公知の方法により、内層配線板や高分子フィルム等の所望の材料上に塗布、イミド化せしめて表面aを形成することができる。
本発明のダイレクトプレーティング用材料の別の形態は、シートである。例えば、ダイレクトプレーティングを施す表面Aを形成する溶液を支持体上に流延塗布し、その後乾燥せしめることにより表面aを有するシートを製造する。このシートを内層配線板や高分子フィルム等の所望の材料上に積層することにより表面aを形成することができる。
尚、上述したように、本発明の表面Aとは、厚さが10Å以上を有する表面のことをいう。例えば、表面aを有する本発明のめっき材料がシート状である場合、表面aを構成する、上記一般式(1)〜(6)のいずれかで表される構造のうち、1つ以上の構造を有するポリイミド樹脂を含有する材料からなるシートであってもよいし、少なくとも片方の表面aが上記一般式(1)〜(6)のいずれかで表される構造のうち、1つ以上の構造を有するポリイミド樹脂であるシートであってもよい。
以上、本発明のダイレクトプレーティング用材料の形態と使用方法について例示したが、これに限定されるものではない。
本発明のダイレクトプレーティング用材料は、プリント配線板用途に好ましく用いる事ができる。ここで、本発明のシート状のダイレクトプレーティング用材料を用いたプリント配線板を製造する方法として、順に、樹脂フィルム基材の付いたシート状のダイレクトプレーティング用材料、回路パターンが形成された内層基板を積層し、樹脂フィルム基材を剥離することにより露出する表面A表面に対しダイレクトプレーティングを行い、回路パターン用の金属層を得る事が可能である。
表面aを有する層A/支持体(ポリエチレンテレフタレートフィルム)からなる絶縁シートを作製し、層Aとガラスエポキシ基板FR−4(商品番号:MCL−E−67、日立化成工業(株)社製;銅箔の厚さ50μm、全体の厚さ1.2mm)とを対向させ、温度170℃、圧力1MPa、真空下の条件で6分の加熱加圧を行った後、ポリエチレンテレフタレートフィルムを引き剥がして、130℃で10分、150℃で10分、180℃で30分加熱して、表面aを有する層A/FR−4からなる積層体を得た。その後、露出する表面aにデスミア、及び銅層の形成を行った。銅層の形成は、厚さ18μmを狙い、ダイレクトプレーティングにより行った。その後、180℃、30分の乾燥処理を行った後、JPCA−BU01−1998(社団法人日本プリント回路工業会発行)に従い、常態、及びプレッシャークッカー試験(PCT)後の接着強度を測定した。尚、デスミア、ダイレクトプレーティングは以下の表1、表2に記載の上村工業(株)製のプロセスで実施した。
常態接着強度:温度25℃、湿度50%の雰囲気下、24時間放置した後に測定した接着強度。
PCT後接着強度:温度121℃、湿度100%の雰囲気下、96時間放置した後に測定した接着強度。
上記接着性測定項目のサンプル作製手順において、ダイレクトプレーティングをする前の状態(デスミアまで行った状態)のサンプルを用い、表面aの表面粗度Raの測定を行った。測定は、光波干渉式表面粗さ計(ZYGO社製NewView5030システム)を用いて下記の条件で表面Aの算術平均粗さを測定した。
対物レンズ:50倍ミラウ イメージズーム:2
FDA Res:Normal
解析条件:
Remove:Cylinder
Filter:High Pass
Filter Low Waven:0.002mm
〔ポリイミド樹脂の合成例1〕
容量2000mlのガラス製フラスコに、信越化学工業株式会社製KF−8010を62g(0.075mol)と、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル15g(0.075mol)と、N,N−ジメチルホルムアミド(以下、DMFと呼ぶ)を投入し、撹拌しながら溶解させ、4,4´−(4,4´−イソプロピリデンジフェノキシ)ビス(無水フタル酸)78g(0.15mol)を添加、20℃で約1時間撹拌し、固形分濃度30%ポリアミド酸のDMF溶液を得た。上記ポリアミド酸溶液をテフロン(登録商標)コートしたバットにとり、真空オーブンで、200℃、120分、665Paで減圧加熱し、ポリイミド樹脂1を得た。
容量2000mlのガラス製フラスコに、信越化学工業株式会社製KF−8010を37g(0.05mol)と、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル21g(0.10mol)と、DMFを投入し、撹拌しながら溶解させ、4,4´−(4,4´−イソプロピリデンジフェノキシ)ビス(無水フタル酸)78g(0.15mol)を添加、20℃で約1時間撹拌し、固形分濃度30%ポリアミド酸のDMF溶液を得た。上記ポリアミド酸溶液をテフロン(登録商標)コートしたバットにとり、真空オーブンで、200℃、120分、665Paで減圧加熱し、ポリイミド樹脂2を得た。
容量2000mlのガラス製フラスコに、イハラケミカル工業(株)製エラスマー1000Pを55g(0.045mol)と、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル21g(0.105mol)と、DMFを投入し、撹拌しながら溶解させ、4,4´−(4,4´−イソプロピリデンジフェノキシ)ビス(無水フタル酸)78g(0.15mol)を添加、20℃で約1時間撹拌し、固形分濃度30%ポリアミド酸のDMF溶液を得た。上記ポリアミド酸溶液をテフロン(登録商標)コートしたバットにとり、真空オーブンで、200℃、120分、665Paで減圧加熱し、ポリイミド樹脂3を得た。
容量2000mlのガラス製フラスコに、イハラケミカル工業(株)製エラスマー1000Pを92g(0.075mol)と、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル15g(0.075mol)と、DMFを投入し、撹拌しながら溶解させ、4,4´−(4,4´−イソプロピリデンジフェノキシ)ビス(無水フタル酸)78g(0.15mol)を添加、20℃で約1時間撹拌し、固形分濃度30%ポリアミド酸のDMF溶液を得た。上記ポリアミド酸溶液をテフロン(登録商標)コートしたバットにとり、真空オーブンで、200℃、120分、665Paで減圧加熱し、ポリイミド樹脂4を得た。
容量2000mlのガラス製フラスコに、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン41g(0.143mol)と、3,3’−ジヒドロキシ−4,4’−ジアミノビフェニル1.6g(0.007mol)と、DMFを投入し、撹拌しながら溶解させ、4,4´―(4,4´―イソプロピリデンジフェノキシ)ビスフタル酸無水物78g(0.15mol)を添加、約1時間撹拌し、固形分濃度30%ポリアミド酸のDMF溶液を得た。上記ポリアミド酸溶液をテフロン(登録商標)コートしたバットにとり、真空オーブンで、200℃、180分、665Paで減圧加熱し、ポリイミド樹脂5を得た
〔層Aを形成する溶液の調合例1〕
ポリイミド樹脂1をジオキソランに溶解させ、層Aを形成する溶液(a)を得た。固形分濃度は15重量%となるようにした。
ポリイミド樹脂2をジオキソランに溶解させ、層Aを形成する溶液(b)を得た。固形分濃度は15重量%となるようにした。
ポリイミド樹脂3をジオキソランに溶解させ、層Aを形成する溶液(c)を得た。固形分濃度は15重量%となるようにした。
ポリイミド樹脂4をジオキソランに溶解させ、層Aを形成する溶液(d)を得た。固形分濃度は15重量%となるようにした。
ジャパンエポキシレジン(株)社製ビフェニル型エポキシ樹脂のYX4000H32.1g、和歌山精化工業(株)社製ジアミンのビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン17.9g、四国化成工業(株)社製のエポキシ硬化剤、2,4−ジアミノ−6−[2′−ウンデシルイミダゾリル−(1′)]ーエチル−s−トリアジン0.2gをジオキソランに溶解させ、溶液(e)を得た。該溶液の固形分濃度は50重量%とした。溶液(a)10gと溶液(e)1gを混合して層Aを形成する溶液(f)を得た。
溶液(e)27gと日本石油化学製エポキシ変性ポリブタジエンゴム(E1000−8)10gとを混合し、層Aを形成する溶液(g)を得た。
ポリイミド樹脂5をジオキソランに溶解させ、層Aを形成する溶液(h)を得た。固形分濃度は15重量%となるようにした。溶液(h)83gと溶液(e)25gと(株)龍森社製のシリカ(アドマファインS0−C5、平均粒径=1.5μm)7.5gとを混合し、層B溶液(i)を得た。
高分子フィルムとして、25μmの非熱可塑ポリイミドフィルムを作製して用いた。セパラブルフラスコ中でパラフェニレンジアミン(以下PDA)と4,4'−ジアミノジフェニルエーテル(以下ODA)各1当量をDMFに溶解し、その後p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル無水物)(以下TMHQ)1当量を加え30分間攪拌した。その後、ピロメリット酸二無水物(以下PMDA)0.9当量を加え30分間攪拌した。次いで粘度上昇に注意しながらPMDAのDMF溶液(濃度7%)を加え23℃での粘度が2000〜3000ポイズになるように調整し、ポリアミド酸重合体のDMF溶液を得た。なおDMFの使用量はジアミン成分およびテトラカルボン酸二無水物成分のモノマー仕込濃度が、18重量%となるようにした。また、重合は40℃で行った。上記ポリアミド酸溶液100gに対して、無水酢酸10gとイソキノリン10gを添加し均一に攪拌した後、脱泡を行い、ガラス板上に流延塗布し、約110℃に約5分間乾燥後、ポリアミド酸塗膜をガラス板より剥し、自己支持性を持つゲルフィルムを得た。該ゲルフィルムをフレームに固定して、その後約200℃で約1分間、約300℃で約1分間、約400℃で約1分間、約500℃で約1分間加熱し、脱水閉環乾燥し、厚み約25μmの非熱可塑ポリイミドフィルム(j)を得た。このフィルムの熱膨張係数は12ppmであった。また、圧縮モード(プローブ径3mmφ、荷重5g)の熱機械分析測定(TMA)において、10〜400℃(昇温速度:10℃/min)の温度範囲で永久圧縮変形を起こさなかったため、非熱可塑ポリイミドと判定した。また、得られた非熱可塑ポリイミドフィルムの表面粗度Raは0.01μmであった。
表3に示す層Aを形成する溶液を、支持体となる樹脂フィルム(商品名セラピールHP、東洋メタライジング社製、表面粗度Ra=0.02μm)の表面上に流延塗布した。その後、熱風オーブンにて60℃、100℃、150℃の温度で各1分加熱乾燥させ、厚み25μmの層Aを有する支持体つき絶縁シートを得た。得られたシートを用いて、各種評価項目の評価手順に従い評価した。評価結果を表3に示す。
表3に示す層Aを形成する溶液に従い、実施例1と同様の手順で層Aを有する支持体付き絶縁シートを得た。得られたシートを各種評価項目の評価手順に従い評価した。評価結果を表3に示す。
表3に示す層Aを形成する溶液を、支持体となる樹脂フィルム(商品名セラピールHP、東洋メタライジング社製、表面粗度Ra=0.02μm)の表面上に流延塗布した。その後、熱風オーブンにて60℃の温度で1分加熱乾燥させ、厚み5μmの層Aを有する支持体つき絶縁シートを得た。
続いて層Aに表3に示す最外層B溶液を流延塗布し、熱風オーブンにて80℃、100℃、120℃、140℃、150℃の温度で、各1分ずつ加熱乾燥させ、層Aと層B両者を併せた厚みが40μmの支持体つき絶縁シートを得た。この、層B/層A/支持体からなる絶縁シートを用いて、層Bとガラスエポキシ基板FR−4とを対向させ、温度170℃、圧力1MPa、真空下の条件で6分の加熱加圧を行った後、ポリエチレンテレフタレートフィルムを引き剥がして、130℃で10分、150℃で10分、180℃で30分加熱して層B/層A/FR−4からなる積層体を得た。その後は実施例1と同様にして各種評価項目の評価手順に従い評価した。評価結果を表3に示す。
表3に示す層Aを形成する溶液を、25μmのポリイミドフィルム(j)に流延塗布した。その後、熱風オーブンにて60℃の温度で1分加熱乾燥させ、厚み5μmの表面Aを有するポリイミドフィルムを得た。
続いて形成した層Aと反対のポリイミドフィルム面に表3に示す最外層B溶液を流延塗布し、熱風オーブンにて80℃、100℃、120℃、150℃、170℃の温度で、各1分ずつ加熱乾燥させ、5μmの表面A/25μmのポリイミドフィルム/35μmの層Bからなる構成の絶縁シートを得た。この、層B/ポリイミドフィルム/層Aからなる絶縁シートを用いて、層Bとガラスエポキシ基板FR−4とを対向させ、温度170℃、圧力1MPa、真空下の条件で6分の加熱加圧を行った後、合紙を引き剥がして、130℃で10分、150℃で10分、180℃で30分加熱して層B/層A/FR−4からなる積層体を得た。尚、積層の際の合紙としてはアフレックス50N(旭硝子(株)製)を用いた。その後は実施例1と同様にして各種評価項目の評価手順に従い評価した。評価結果を表3に示す。
溶液(g)を用い、デスミアを行わなかった以外は実施例1と同様の手順で各種評価項目の評価手順に従い評価した。評価結果を表4に示す。表4から分かるように接着強度が低い。
Claims (10)
- ダイレクトプレーティングにより金属層を形成するための表面aを少なくとも有するダイレクトプレーティング用材料であって、表面aの表面粗度は、カットオフ値0.002mmで測定した算術平均粗さで0.5μm以下となっており、かつ表面aは、下記一般式(1)〜(6)のいずれかで表される構造のうち、1つ以上の構造を有するポリイミド樹脂を含有することを特徴とするダイレクトプレーティング用材料。
- パラジウム、導電性ポリマー、カーボンのいずれかにより導電化されていることを特徴とする請求項1に記載のダイレクトプレーティング用材料。
- ダイレクトプレーティングにより金属層を形成するための表面aを有し、かつ、下記一般式(1)〜(6)のいずれかで表される構造のうち、1つ以上の構造を有するポリイミド樹脂を含有する単層シートであって、表面aの表面粗度はカットオフ値0.002mmで測定した算術平均粗さで0.5μm以下となっていることを特徴とする単層シート。
- パラジウム、導電性ポリマー、カーボンのいずれかにより導電化されていることを特徴とする請求項3に記載の単層シート。
- 少なくともダイレクトプレーティングにより金属層を形成するための表面aを有する層Aを含む2層以上の層から構成された絶縁シートであって、表面aの表面粗度はカットオフ値0.002mmで測定した算術平均粗さで0.5μm以下となっており、かつ層Aは、下記一般式(1)〜(6)のいずれかで表される構造のうち、1つ以上の構造を有するポリイミド樹脂を含有することを特徴とする絶縁シート。
- パラジウム、導電性ポリマー、カーボンのいずれかにより導電化されていることを特徴とする請求項5に記載の絶縁シート。
- 請求項3記載の単層シートまたは、請求項5記載の絶縁シートの、層A上に金属層が形成されていることを特徴とする積層体。
- 請求項3記載の単層シートまたは、請求項5記載の絶縁シートを用いてなるプリント配線板。
- 下記一般式(1)〜(6)のいずれかで表される構造のうち、1つ以上の構造を有するポリイミド樹脂を含有する溶液であって、請求項1に記載の表面aを形成するために用いられることを特徴とするポリイミド樹脂を含有する溶液。
- 下記一般式(1)〜(6)のいずれかで表される構造のうち、1つ以上の構造を有するポリアミド酸を含有する溶液であって、請求項1に記載の表面aを形成するために用いられることを特徴とするポリアミド酸を含有する溶液。
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WO2013171827A1 (ja) * | 2012-05-14 | 2013-11-21 | 三菱化学株式会社 | 熱可塑性ポリイミド及び積層体 |
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-
2005
- 2005-10-17 JP JP2005301354A patent/JP2007106951A/ja active Pending
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