本発明の一実施形態について図1ないし図8に基づいて説明すると以下の通りである。すなわち、本実施の形態に係る通信システム100は、図2に示すように、携帯通信端末(通信装置)1、基地局40、携帯通信端末(他の通信装置)50、および表示装置(情報処理装置)30を備えてなる構成である。なお、この図2は、本発明の実施形態を示すものであり、通信システム100の概略構成の一例を示すブロック図である。
上記通信システム100では、携帯通信端末1が基地局40を介して、公衆回路網を利用して携帯通信端末50と通信を確立し相互に通話を行うことができる。また、携帯通信端末1は、表示用データ17を表示装置30に対して赤外線を利用した近距離無線通信により伝送することができる。このため、表示装置30は、携帯通信端末1から受信した表示用データ17に基づく表示を行うことができる。
なお、図2では、携帯通信端末1と基地局40を介して通信を行う他の携帯通信端末として、携帯通信端末50のみを示しているが、この携帯通信端末50のみに限定されるものではない。すなわち、他の携帯通信端末として例えば、複数の携帯通信端末または固定された通信端末が利用可能であるが、本実施形態では説明の便宜上、携帯通信端末1と基地局40を介して通信する通信相手側装置を携帯通信端末50とする。
また、携帯通信端末1と赤外線を利用した近距離無線通信により接続される接続先の装置として、表示装置30を示しているがこれに限定されるものでははい。携帯通信端末1と赤外線を利用した無線通信が可能であり、かつ携帯通信端末1から送信されるデータ(例えば表示用データ、音声データ等)を処理可能とするものであればよい。
(携帯通信端末のハードウェア構成)
次に上記した携帯通信端末1のハードウェア構成について図3を参照して説明する。図3は、本発明の実施形態を示すものであり、携帯通信端末1の要部構成を示すブロック図である。また、この図3における点線は本実施の形態に係る携帯通信端末1と他の携帯通信端末50との間で送受信される信号の流れを示しており、直線は、携帯通信端末1における制御信号の流れを示している。
上記携帯通信端末1は、図3に示すように、アンテナ2、着信信号検出部3、回線閉結部4、RF処理部5、ベースバンド処理部6、オーディオI/F(音声制御手段)7、近距離無線通信部(無線通信部)10、バイブレーション発生部(振動発生部)11、表示部12、入力部13、計時部14、表示データ記録部15、および主制御部16を備えてなる構成である。
着信信号検出部3は、アンテナ2を介して基地局40から受信した信号に基づき、携帯通信端末50からの着信の有無を検出するものである。着信信号検出部3は、検出した結果を主制御部16に通知する。また、着信信号検出部3アンテナ2を介して受信した信号を後述する回線閉結部4を通じてRF処理部5に送信する。
回線閉結部4は、主制御部16からの指示に応じて、通信回線のONおよびOFFの制御を行うものであり、例えば、携帯通信端末50との通信を確立する場合は通信回線をONし、通信を切断する場合はOFFするように切り替える。
RF処理部5は、携帯通信端末1と基地局40の間でやり取りする信号の強さを制御するものである。RF処理部5は、電波を遠くまで飛ばせるように信号の送信電力を増幅する送信アンプ(不図示)、および携帯通信端末1から基地局40へ信号を送信する際に無線信号に変換し、基地局40から受信した無線信号にその逆の処理をする変復調器(不図示)などから構成される。
ベースバンド処理部6は、携帯通信端末1と基地局40との間で確実に通信するために、受発信する信号そのものに対して処理を施すものである。そして、このベースバンド処理部6による処理によって、基地局40を介して携帯通信端末50から送信されてくる音声をオーディオI/F7を通じてスピーカ9aまたはハンズフリースピーカ(出力部)9bから出力したり、マイク8aまたはハンズフリーマイク(受け付け部)8bから入力される音声を、オーディオI/F7を通じて受信し、基地局40を介して携帯通信端末50に送信したりすることができるようになっている。
また、ベースバンド処理部6は、信号を受信する際は、複数のデータ信号が混在する中から、自端末に向けられて基地局40から送信されたデータ信号を抽出したり、複数の電波信号を受信して1つの電波に合成することで、受信能力を高めたりするなどの処理も行う。
オーディオI/F7は、ベースバンド処理部6から受信した信号を、スピーカ9aもしくはハンズフリースピーカ9bを通じて外部に出力させたり、マイク8aもしくはハンズフリーマイク8bを通じて受信した音声をベースバンド処理部6に送信したりするものである。
また、このオーディオI/F7は、主制御部16からの指示に応じてスピーカ9aおよびマイク8aの組み合わせと、ハンズフリースピーカ9bおよびハンズフリーマイク8bの組み合わせとを相互に切り替えることができる。
なお、このハンズフリースピーカ9bおよびハンズフリーマイク8bの組み合わせとは、携帯通信端末1のユーザが後述する入力部13を操作することなく、いわゆるハンズフリー状態で携帯通信端末50からの着信に応答できるように設けられているスピーカおよびマイクの組み合わせである。一方、スピーカ9aおよびマイク8aの組とは、携帯通信端末50からの着信時に入力部13を操作してオフフック状態とし応答する場合に利用するものである。
すなわち、本実施の形態に係る携帯通信端末1では、後述するが、近距離無線通信部10がデータを表示装置30に送信している最中に、携帯通信端末50からの着信がある場合、ハンズフリーマイク8bおよびハンズフリースピーカ9bが有効となるように構成されている。
なお、図3では、マイク8aおよびスピーカ9aの組み合わせとハンズフリーマイク8bおよびハンズフリースピーカ9bの組み合わせとを別々に設けたが、通常の通話時とハンズフリー状態での通話時とにおいてスピーカおよびマイクを兼用できる場合は、別途設ける必要はない。
近距離無線通信部10は、主制御部16からの指示に応じて、表示データ記憶部15に格納されたデータを赤外線により表示装置30に伝送するものである。
バイブレーション発生部11は、主制御部16からの指示に応じて、当該携帯通信端末1のユーザに着信の検出を振動により通知するものである。
表示部12は、主制御部16からの指示に応じて当該携帯通信端末1が有するデータを表示させたり、携帯通信端末1の操作メニュー等を表示させたりするものである。
入力部13は、携帯通信端末1への操作指示または情報などを入力するためのものであり、該入力部13は、例えば、テンキー、十字キー、操作キー、あるいはタッチパネル等によって実現できる。なお、上記操作指示には、携帯通信端末50からの着信に対する受話指示も含まれるており、この受話指示を実行するための操作キーを受話ボタンと称する。
計時部14は、主制御部16からの指示に応じて、設定された時間を計測するためのものである。
表示データ記憶部15は、読み書き可能な記録媒体であり、後述するが、表示装置30に送信するためのデータである表示用データ17と、携帯通信端末1における着信を通知するための情報である通知データ15とが格納されている。
主制御部16は、携帯通信端末1が備える各部の各種制御を行うものである。
(携帯通信端末の着信処理に関わるソフトウェア構成)
ここで、図1を参照して、携帯通信端末1における着信処理に関わるソフトウェア構成について説明する。なお、図1は本実施の形態に係る携帯通信端末1の主制御部16の、着信処理時に関わる詳細を示すブロック図である。
図1に示すように、携帯通信端末1は、主制御部16が機能ブロックとしてオーディオI/F切り替え指示部(音声制御手段)21、回線閉結指示部22、近距離無線通信中判定部(無線通信判定手段)23、着呼通知制御部(着信情報出力手段)24、およびデータ転送制御部(着信情報出力手段)25を備える。
なお、これら各機能ブロックは、例えば、主制御部16としてのCPUがROM等に記憶されているプログラムをRAM等に読み出し実行することにより実現できる。
上記オーディオI/F切り替え指示部21は、オーディオI/F7に指示して、マイク8aおよびスピーカ9bの組み合わせと、ハンズフリーマイク8bおよびハンズフリースピーカ9bの組み合わせとにおいて、起動状態(アクティブ状態)とする組み合わせを切り替えるものである。
このオーディオI/F切り替え指示部21は、後述する近距離無線通信中判定部23からの判定結果に応じて、上記起動状態とする組み合わせを切り替えるように指示している。すなわち、オーディオI/F切り替え指示部21は、近距離無線通信中判定部23から、近距離無線通信部10によるデータ伝送中に着信があった旨の判定を受け付けると、オーディオI/F7に対して、ハンズフリーマイク8bおよびハンズフリースピーカ9bの組み合わせが起動状態(アクティブ状態)となるように指示する。
なお、オーディオI/F7とオーディオI/F切り替え指示部21とによって音声制御手段を実現する。
回線閉結指示部22は、回線閉結部8に指示して通信回線のONおよびOFFを指示するものである。この回線閉結指示部22は、近距離無線通信中判定部23または入力手段13からの指示に応じて、通信回線をONする。
近距離無線通信中判定部23は、近距離無線通信部10による表示用データの伝送中に、着信があるか否かについて判定するものである。
すなわち、近距離無線通信中判定部23は、着信を検知した旨を示す情報を、着信信号検出部3から受信すると、データ転送制御部25に対して、近距離無線通信部10がデータ転送中であるか否かを問い合わせる。そして、近距離無線通信中判定部23は、この問い合わせに対する応答に基づき、近距離無線通信部10がデータ転送中であるか否かを判定する。
近距離無線通信判定部23は、近距離無線通信部10がデータ転送中であると判定した場合、着呼通知制御部24に対して、近距離無線通信部10による通信中でありかつ、着信を受け付けた旨を知らせる通知を行うように指示する。
さらにまた、近距離無線通信判定部23は、計時部14に指示して所定時間の経過を計測させる。そして、所定時間経過後に、回線閉結指示部22に通信回線をONするように指示するとともに、オーディオI/F切り替え指示部21に、ハンズフリーマイク8bおよびハンズフリースピーカ9bの組み合わせがアクティブ状態となるように指示する。
なお、この所定時間としては、着信の通知を受けてからユーザがオフフックとするまでに必要となる時間、すなわち約3〜5秒程度であることが好ましい。
一方、近距離無線通信判定部23は、着信時に近距離無線通信部10によるデータ転送が実行中でないと判定した場合、着呼通知制御部24に対して、近距離無線通信部10による通信が行われていないことを示す情報とともに、着信がある旨を知らせる通知を行うように指示する。さらに、携帯通信端末1において着信をバイブレーションにより通知するように設定がなされている場合は、該バイブレーションの発生も着呼通知制御部24に指示する。
着呼通信制御部24は、近距離無線通信中判定部23からの指示に応じて、着信の通知を制御するものである。すなわち、近距離無線通信中判定部23から近距離無線通信部10による通信中に着信を受け付けた旨を知らせる通知を受信すると、表示装置30において表示させている映像に重畳させてこの着信を受け付けた旨を示す通知用データ18を表示させるように、データ転送制御部25に指示する。
一方、着信時に近距離無線通信部10によるデータ転送が実行中でないと判定した場合、オーディオI/F7を制御してスピーカ9aから呼び鈴を鳴らすようにする。さらにまた、携帯通信端末1において着信をバイブレーションにより通知するように設定がなされている場合は、着呼通知制御部24は、バイブレーションの発生を指示する情報を近距離無線通信中判定部23から受信し、該指示情報に応じて、バイブレーション発生部11を制御してバイブレーションを発生させる。
データ転送制御部25は、近距離無線通信部10を制御して表示用データを表示装置30に伝送させ表示させたり、着呼通知制御部24からの指示に応じて、通知用データ(着信情報)18を表示データ記憶部15から読み出し、伝送させている表示用データ17に基づく映像に重畳させて表示させたりするように制御するものである。
なお、着呼制御部24とデータ転送制御部25とによって着信情報出力手段を実現することができる。
(近距離無線通信処理)
上述のように、本実施の形態に係る携帯通信端末1では、近距離無線通信部10により、表示装置30に対して表示用データ17を伝送することができるようになっている。そこで、以下において、図4を参照して本実施の形態に係る携帯通信端末1における近距離無線通信処理に関する処理フローを説明する。なお、図4は、本実施の形態に係る携帯通信端末1における近距離無線通信処理の一例を示すフローチャートである。
まず、携帯通信端末1と表示装置30との間の接続が確立できるように、近距離無線通信部10の有する指向性を考慮して、携帯通信端末1を配置する。そして、入力部13から入力された近距離無線通信処理の実行指示に応じて、近距離無線通信部10が、データ転送制御部25による制御の下、表示装置30に接続するための準備、すなわちネゴシエーションを行う(ステップS11これ以降S11というふうに称する)。
次に、携帯通信端末1では、データ転送制御部25が、表示装置30との無線による接続に成功したか否かを判定する(S12)。この判定において、「NO」の場合、すなわち、無線による接続に失敗して接続が確立できない場合は、この近距離無線通信処理を終了する。
一方、ステップS12の判定において「YES」の場合は、データ転送制御部25からの指示に応じて、近距離無線通信部10が、表示用データ17を表示装置30に転送する。すなわち、データ転送制御部25は、表示装置30とのネゴシエーションにより該表示装置30との接続の確立を確認し、無線による接続に成功したと判定した場合、表示データ記憶部15から表示用データ17を読み出し、近距離無線通信部10に該表示用データ17の転送を指示する。
そして、このデータ転送制御部25からの指示に応じて、近距離無線通信部10は、表示用データ17を表示装置30に転送する。
次に、データ転送制御部25は、表示用データ17の転送が終了したか否かに関して監視しており、表示用データ17の転送が終了したか否かを判定する(S13)。ここで、データ転送制御部25が、表示用データ17の転送が終了したと判定した場合(S13において「YES」)、データ転送制御部25は、近距離無線通信処理を終了する。
一方、表示用データ17の転送が終了していない間、すなわち、ステップS13において「NO」と判定されている間は、データ転送制御部25は、規定のデータ量ずつ、表示用データ17を読み出す。そして、データ転送制御部25は、読み出した表示用データ17を、近距離無線通信部10を制御して規定データ量ずつ順次表示装置30に転送する(S14)。
ここで、この表示用データ17の転送中に携帯通信端末50から着信がある場合、携帯通信端末1は、無線通信時着信制御処理を行う(S15)。以上が、本実施の形態に係る携帯通信端末1における近距離無線通信処理の一例である。
(無線通信時着信制御処理)
次に、上記図4に示したステップS15の携帯通信端末1における無線通信時着信制御処理の詳細について図5を参照して説明する。この図5は、本実施の形態に係る携帯通信端末1における、無線通信時着信制御処理の一例を示すフローチャートである。
まず、携帯通信端末1は、携帯通信端末50からの着信を示す着信信号を検出したか否かを判定する(S21)。すなわち、携帯通信端末1において着信信号検出部3が、携帯通信端末50からの着信を示す着信信号の検出の有無を監視している。
ここで、着信信号検出部3が着信信号を検出していない間(S21において「NO」)では、特に次の処理は行われない。一方、着信信号検出部3が着信信号を検出した場合(S21において「YES」)、携帯通信端末1は、近距離無線通信処理中であるか否かを判定する(S22)。すなわち着信信号検出部3は、携帯通信端末50からの着信を示す着信信号を検出した場合、着信の検出を示す情報を近距離無線通信中判定部23に送信する。近距離無線通信中判定部23は、着信の検出を示す情報を受信すると、データ転送制御部25に対して、近距離無線通信中であるか否かについて問い合わせる。
なお、本実施形態では、図4において、近距離無線通信処理を行っているためステップS22の判定は「YES」となる。すなわち、近距離無線通信中判定部23は、データ転送制御部25から近距離無線通信中である旨を示す情報を受信すると(S22において「YES」)、着呼通知制御部24に対して着呼通知設定がなされているか否かを問い合わせる(S23)。
この着呼通知設定とは、着信がある旨の通知を表示用データ17の伝送先である表示装置30において表示可能とする設定である。この設定は、例えば、表示部12に表示させたメニュー画面を参照し、入力部13から設定の指示を入力する。そして、入力部13からの設定指示は、着呼通知制御部24に送信されることによって実現できる。
なお、本実施の形態に係る携帯通信端末1において表示装置30と近距離無線通信を実行していない場合(ステップS22において「NO」の場合)、当該携帯通信端末1において着信を通知する着信音を発生させるなど通常の着信処理を実行する(S29)。
次のステップS23において着呼通知設定が行われている場合(S23において「YES」)、携帯通信端末1は、通知用データ17を近距離無線通信で表示装置30に送信し、表示させるように指示する(S24)。すなわち、近距離無線通信中判定部2からの問い合わせに対して、着呼通知制御部24から着呼通知の設定がなされている旨の通知を受信すると、近距離無線通信中判定部23は、着呼通知制御部24に対して、表示用データ17の転送中に着信を受け付けた旨を通知する。この近距離無線通信中判定部23からの通知に応じて、着呼通知制御部24は、データ転送制御部25に通知用データ18を読み出し、表示装置30に送信するように指示する。
そして、データ転送制御部25は、上記着呼通知制御部24からの指示に応じて、通知用データ18を表示データ記憶部15から読み出し、近距離無線通信部10によって表示装置30に送信するように制御する。
ところで、本実施の形態に係る表示装置30では、携帯通信端末1から受信した通知用データ18を、図6(a)に示すように、表示用データ17に基づく映像に重畳して表示するように構成されている。
なお、この通知用データ18に基づく表示の態様はこれに限定されるものではなく、図6(b)に示すように表示用データ17に基づく映像を一時非表示とし、代わりに通知用データ18に基づく表示のみを行う構成であってもよい。
また、上記通知用データ18は、表示装置30において表示可能なデータであったが、これに限定されるものではなく、例えば携帯通信端末50からの着信がある旨を通知可能とする音声(着信音またはメッセージ)であってもよい。
このように、通知用データ18が音声(着信音またはメッセージ)である場合も同様に着呼通知制御部24からの指示に応じてデータ転送制御部25が近距離無線通信部10を制御して、表示装置30に通知用データ18を出力する。
そして、表示装置30において、図6(c)に示すように、受信した通知用データ18に基づく音声を出力し、携帯通信端末1に携帯通信端末50からの着信がある旨を通知することができる。
なお、着呼通知設定が行われていない場合(S23において「NO」)、上記したステップS24に示す処理は実行しない。
また、上記近距離無線中判定部23は、表示装置30に対して表示用データ17の転送中に着信を受け付けたと判定した場合、計時部14に所定時間の測定を開始するように指示する。この近距離無線通信中判定部23からの指示に応じて、計時部14は、所定時間の測定を開始する(S25)。そして、計時部14が、経過時間をカウントし(S26)、所定時間の経過を確認すると(S27において「YES」)、所定時間経過した旨を近距離無線通信中判定部23に通知する。
近距離無線通信中判定部23は、計時部14から所定時間経過した旨の通知を受信すると、オーディオI/F切り替え指示部21に対して、ハンズフリーマイク8bおよびハンズフリースピーカ9bがアクティブ状態となるようにオーディオI/F7を切り替え制御するように指示する。また、この時、近距離無線通信中判定部23は、回線閉結指示部22にも指示して、回線閉結部4を制御して通信回線をONにさせる。
オーディオI/F切り替え指示部21は、オーディオI/F7を制御して、ハンズフリーマイク8bおよびハンズフリースピーカ9bがアクティブ状態となるように切り替え、いわゆるハンズフリー状態で通話可能となるように設定する(S30)。
以上のようにして、本実施の形態にかかる携帯通信端末1は、所定時間経過後においてハンズフリー状態で通話可能となるように設定する。
一方、計時部14によって時間経過を計測している最中、すなわち、所定時間が未経過である状態において(S27において「NO」)、入力部13の受話キーの押下を検知した場合(S28において「YES」)、携帯通信端末1は通常通話処理29を実行する(S29)。
すなわち、ユーザが入力部13の受話キーを押下すると、オフフック状態とする情報を回線閉結指示部22に通知する。この通知を回線閉結指示部22が受信すると、回線閉結部4を制御して通信回線をONとするとともに、近距離無線通信中判定部23に、オフフック状態とする旨通知する。
なお、所定時間が未経過である状態において、受話キーの押下を検知していない場合は(S28において「NO」)、計時部14は、ステップS25の処理に戻って経過時間のカウントを続行する。
このようにして、携帯通信端末1は、所定時間が未経過の間に入力部13の受話キーによる入力を受け付けた場合、通常通話処理を実行する。
以上のように、本実施の形態に係る携帯通信端末1は、表示用データの転送中に着信がある場合、ハンズフリー状態で通話が可能となるように設定できる。このため、本実施の形態に係る携帯通信端末1は、着信に応じたユーザによる操作によって移動させられてしまうことがないため、赤外線を利用した近距離無線通信が途絶えることを防ぐことができる。
すなわち、本実施の形態に係る携帯通信装置1では、表示用データの転送中に携帯通信装置50から着信がある場合、ハンズフリー状態で応答可能である。このため、ユーザは、従来のような、携帯通信端末1を動かさないように注意を払いつつ、入力部13を操作してオフフックとするなどの不便な操作を強いられることがない。
さらに、従来では近距離無線通信によるデータ転送は、通常、当該携帯通信端末1を台の上などに置いて固定して通信している。このため、当該携帯通信端末1の表示部12において着呼を通知する表示を視聴することが困難となる場合があった。
しかしながら、本実施の形態に係る携帯通信端末1では、この着呼を通知する表示を、上記したように表示用データ17の転送先である表示装置30において表示させることができる。このため、携帯通信端末1のユーザはこの着呼の通知を表示装置30における表示によって確認することができる。
また、携帯通信端末1は、所定時間経過後に、ハンズフリー状態とすることができる構成である。このため、ハンズフリー状態での通話を所望せず、かつ近距離無線通信によるデータ通信よりも着信に対する応答を優先する場合、ハンズフリー状態に設定を切り替える前に通常の通話処理を行うことができる。
また、携帯通信端末1は、表示装置30と近距離無線通信による表示用データ17の転送中に携帯通信装置50からの着信を受け付けた場合、通知用データ18も近距離無線通信によって表示装置30に出力する構成である。
このため、携帯通信端末1のユーザは、表示装置30における通知用データ18に基づく表示によって、携帯通信端末50からの着信を視覚的に把握することができる。したがって、例えば、表示装置30において表示用データ17に基づく映像の再生中に該映像とともに出力する音声のボリュームが大きい場合であっても、携帯通信端末50からの着信を通知することが可能となる。
また、上記通知用データ18が音声の場合は、該ユーザは携帯通信端末50からの着信を聴覚的に把握することができる。したがって、例えば、表示装置30において表示用データ17に基づく映像の再生中に該映像とともに出力する音声を一時消去し、通知用データに基づく音声を出力することにより、表示装置30において再生されている映像に注視しているユーザに対して携帯通信端末50からの着信を通知することが可能となる。
本実施の形態に係る携帯通信端末1では、表示装置30に出力するデータを、携帯通信端末50からの着信を通知する映像または音声としていた。しかしながら、通知用データ18はこれらに限定されるものでははい。例えば、これら映像と音声とを組み合わせて通知用データ18としてもよい。このように通知用データ18が音声と映像との組み合わせである場合、表示装置30において携帯通信端末50からの着信を視覚的および聴覚的に通知することができる。
また、本実施の形態に係る携帯通信端末1は、図1および図3に示すように、バイブレーション発生部11を備える構成である。このため、携帯通信端末1は、携帯通信端末50からの着信をバイブレーション(振動)の発生により当該携帯通信端末1のユーザに通知することができる。
しかしながら、表示装置30に対して近距離無線通信を実行している最中に携帯通信端末50から着信がありバイブレーションが発生すると携帯通信端末1の本体が振動により動いてしまい、表示装置30との通信が途切れてしまう。
このため、本実施の形態に係る携帯通信端末1では、着信時にバイブレーションが発生するように設定されている場合、表示装置30と近距離無線通信を行っているときは、このバイブレーションの設定が有効とならないように設定されていることが好ましい。
そこで、以下において着信時の通知としてバイブレーションの設定を行う場合における近距離無線通信処理について図7および図8を参照して説明する。図7は、本実施の形態に係る携帯通信端末1における、バイブレーション設定時の近距離無線通信処理の一例を示すフローチャートである。図8は、本実施の形態に係る携帯通信端末1における、無線通信時着信制御処理の別の一例を示すフローチャートである。
より具体的には、まず図7に示すように、携帯通信端末1において着信時の通知としてバイブレーションの設定をおこなう(S41)。すなわち、バイブレーション設定を指示する、入力部13の操作ボタンをユーザが押下すると、該操作ボタンからの制御信号が着呼通知制御部24に送信される。着呼通知制御部24は、この制御信号を受信すると、着信時にバイブレーション発生部11を起動させ、バイブレーションを発生させることが可能な設定状態とする。
そして、次のステップS42において携帯通信端末1は、表示装置30との間での近距離無線通信の準備を行う。そして、無線による接続を確立した場合(S43において「YES」)、送信すべきデータをすべて転送するまで(S44において「YES」となるまで)、携帯通信端末1は、表示用データ17を表示装置30に規定データ量ずつ転送する(S45)。なお、これらの処理ステップS42〜ステップS45までは、図4に示すステップS11〜ステップS14までの処理と同様であるため、その詳細な説明は省略する。
以上のようにデータを表示装置30に転送している際に、携帯通信端末50から着信がある場合における処理について図8を参照してより具体的に説明する。
上記したように近距離無線通信中に携帯通信端末50からの着信があると(S51において「YES」)、この着信を着信信号検出部3が検出する。そして、この検出結果を、近距離無線通信中判定部23に送信する。
近距離無線通信中判定部23は、着信信号検出部3からの検出結果に基づき、データ転送制御部25に現在近距離無線通信中であるか否かを問い合わせる。ここで、上記したように本実施の形態に係る携帯通信端末1は、表示装置30に表示用データ17を転送するために、近距離無線通信中である。このため、ステップS52における判定は「YES」となり次のステップS53に進むこととなる。なお、上記したステップS51〜ステップS52までの処理は図5におけるステップS21〜ステップS22までの処理同様であるため、その詳細な説明は省略する。
ただし、ステップS52において「NO」場合、すなわち、携帯通信端末1が近距離無線通信中ではない場合、図5では、ステップS22からそのままステップS29の通常通話処理に処理を進めた。しかしながら、ここでは、ステップS63に進んで、本実施の形態に係る携帯通信端末1において着信時にバイブレーションが起動するように設定がなされているか否か判定する。
この判定において、「YES」の場合、すなわち、ステップS63において、「YES」の場合、本実施の形態に係る通信端末1ではバイブレーションを起動させる(S64)。
すなわち、近距離無線通信中判定部23から近距離無線通信中ではなく、かつ着信がある旨の通知を受信した場合、着呼通知制御部24は、着信時にバイブレーションを発生するように設定がなされているか否かを判定する。なお、本実施形態では、図7におけるステップS41において既にバイブレーションの設定がなされているため、ステップS63での判定は「YES」となる。
このようにステップS63において「YES」と判定される場合、携帯通信端末1では、着呼通知制御部24がバイブレーション発生部11を制御して、バイブレーションを発生させるように起動する。そして、バイブレーションを発生させ携帯通信端末50からの着信を通知した後は、ステップS61に進み通常通話処理を実行する。
一方、ステップS63において「NO」の場合、すなわち着信時にバイブレーションが起動するように設定されていない場合は、ステップS61にそのまま進み通常通話処理を実行する。
上記ステップS52において、携帯通信端末1が近距離無線通信により表示用データ17の転送中であると判定される場合(S52において「YES」の場合)、ステップS53において、上記したステップS63と同様に、着信時にバイブレーションを起動させるように設定がなされているか否か判定する。上記したように本実施形態では、ステップS41において既に着信時にバイブレーションが起動するように設定がなされているためステップS53での判定は「YES」となる。
上記したようにステップS53における判定が「YES」の場合、着呼通知制御部24は、着信時におけるバイブレーションの起動を禁止させるように制御する。すなわち、バイブレーション発生部11を起動させてバイブレーションを発生させることを禁止する(S54)。
そして、次にステップS55に進み着呼通知の設定がなされているか判定する。なお、このステップS55以降〜ステップS62までは、図5に示すステップS23〜ステップS62までと同様の処理となるため説明は省略する。
以上のように、本実施の形態に係る携帯通信端末1は、着信時にバイブレーションが起動するように設定している場合、近距離無線通信中に着信があったとき、該着信に応じてバイブレーションが起動しないように設定されている。
このため、携帯通信端末1では、バイブレーションの起動によって携帯通信端末1が移動してしまい、近距離無線通信が失敗するといった問題を防ぐことができる。
なお、上記した携帯通信端末1では、近距離無線通信中に着信がある場合、表示用データ17の転送先である表示装置30において着信の通知を行う構成であった。また、バイブレーションが設定されており、近距離無線通信中でないときに着信がある場合、バイブレーションが起動して着信を通知する構成でもあった。
上記携帯通信端末1は、さらには、携帯通信端末50からの着信に応じて、近距離無線通信中であるか否かに関わらず、着信音または着信メッセージ等の音声が出力されたり、発光したりするように設定されていてもよい。
このように、着信時に音声を出力する場合は、近距離無線通信中判定部23を通じて、他の携帯通信端末50からの着信を確認すると、着呼通知制御部24が通知用データ18を読み出し、オーディオI/F7を制御してスピーカ9aおよび/またはスピーカ9bから着信を通知する音声を出力する。
一方、発光によって携帯通信端末1からの着信を通知する場合は、携帯通信端末1がさらに発光部(不図示)を備え、近距離無線通信中判定部23を通じて、他の携帯通信端末50からの着信を確認すると、着呼通知制御部24がこの発光部を制御して発光させるように構成する。
最後に、携帯通信装置1の各ブロック、特に主制御部16は、ハードウェアロジックによって構成してもよいし、次のようにCPUを用いてソフトウェアによって実現してもよい。
すなわち、携帯通信端末1は、各機能を実現する制御プログラムの命令を実行するCPU(central processing unit)、上記プログラムを格納したROM(read only memory)、上記プログラムを展開するRAM(random access memory)、上記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアである携帯通信端末1の制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、上記携帯通信端末1に供給し、そのコンピュータ(またはCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成可能である。
上記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM/MO/MD/DVD/CD−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系などを用いることができる。
また、携帯通信端末1を通信ネットワークと接続可能に構成し、上記プログラムコードを通信ネットワークを介して供給してもよい。この通信ネットワークとしては、特に限定されず、例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(virtual private network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、特に限定されず、例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、上記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
なお、本実施の形態に係る携帯通信端末1では、近距離無線通信部10は、主制御部16からの指示に応じて赤外線を利用した近距離無線通信を実行する構成であったが、これに限定されるものではなく例えば、音波、超音波を用いた音響通信、または電磁波の超短波や、電波を利用した一種のレーザー通信を実行する構成であってもよい。
なお、本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。