JP2007104340A - 画像処理装置、画像形成装置、画像処理方法、プログラム、及び記憶媒体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】デジタル複写機1において、第1処理部121は、スキャナからの入力画像データを拡張色空間の画像データに変換する。第2処理部122は、この変換後の拡張色空間の画像データを出力装置のデバイス色空間の画像データに変換する。出力部14は、第2処理部122で変換後の画像データを出力装置に出力する。第1処理部121は、スキャナからの入力画像データの形式を判断し、この判断に応じて入力画像データと拡張色空間との正規化パラメタを算出し、この正規化パラメタにより入力画像データを拡張色空間に変換する。
【選択図】図2
Description
例えば、デジタル複写機で読取った画像データを蓄積し、利用者の出力要求に応じた時間と場所とで出力する形態や、蓄積された画像データに再加工を施して出力する形態や、画像の閲覧、印刷、再加工等の動作を、デジタル複写機でないディスプレイやネットワーク上のPCなどで実行する形態が挙げられる。さらに一層のオフィス環境下での情報処理化の進展に伴い、すなわち様々な画像入力装置から入力、蓄積された画像データが、種々の画像出力装置を用いて出力される形態が多様化していくことにより、蓄積される画像データの重要性が増していくと考えられる。
しかし、近況は、種々の画像入出力装置が上梓され、これらの画像入出力装置のそれぞれの装置は、その装置固有のデバイス色空間内で画像データの入力、蓄積、記憶、出力処理が実行される状況にある。この入出力装置やデバイス色空間が装置固有である点に起因して、情報が消失する場合があった。
そこで画像入出力装置やデバイス色空間に関わらず、情報が消失せずに、汎用性が高い画像データの生成、および処理技術が求められている。この情報消失を回避するための従来技術として、例えば、特許文献1のものが挙げられる。特許文献1の技術は、画像読取り操作中に、出力装置で読取り画像を確認しながら、読取り条件を変更し、最適な画像データを記憶する技術である。
ここで、この情報が消失する原理について図13を参照して概説する。図13は、画像データの流れを示した概念図である。まず実物体である紙媒体等は、入力装置であるスキャナ等で読取られ、入力画像データが生成される。次に生成した入力画像データは、ネットワーク等を介して、処理装置である画像サーバ等に蓄積画像データとして記憶される。そして蓄積された蓄積画像データは、出力装置であるディスプレイ等に出力される。この一連の流れにおいて、紙媒体の画像データがデバイス色空間に変換される場合に、画像データ読取りと装置特性に起因して、階調や色域情報が消失する場合を、図14を参照して説明する。
図14は、横軸に入力装置のデバイス色空間の値、縦軸は前述の実物体の反射率をとって、その関係を示すグラフである。上記紙媒体から画像データへの変換は、実物体の反射率(図14の縦軸)と画像データ(図14の横軸)とをLUT等を参照して、入力装置依存の画像データに変換することで実施される。図14では、実物体の最高反射率:Rpaper[%]と入力画像データの最大値:Gmaxとを対応させ(図14のLUT(1))、変換を施し、これを処理装置に送信する。一般に、読取り時にスキャナのレンズ汚れ、画像データのノイズ等が原因で背景領域に粒状の汚れ、所謂、地肌汚れが発生する場合が多い。そこで、実物体の最高の反射率:Rpaper[%]と、画像データの仮の最大値:GpreMaxとを対応させ(図14のLUT(2))、これを処理装置にて送信する。当然ながら、元来、0〜255の情報であった画像データが、出力される際は0〜210までの画像データしか存在しないので、図14の両矢印に示した領域の画像データは、消失して出力される。
このLUT(1)、およびLUT(2)を用いて作成された画像データの概念図が図15である。両者を出力装置にて出力すると、図15(a)の場合(LUT(1))には、地汚れが発生するものの、階調性に優れる出力画像データとなる。一方、図15(b)の場合(LUT(2))には、地汚れが発生しないものの、階調性に乏しい出力画像データとなる。この場合、重要な文字情報が存在した場合、階調性の乏しさにより、情報が消失する蓄積された画像データとなる可能性がある。
そこで、本発明の目的は、画像データの情報を消失することなく、最適な画像データを出力することができるようにすることである。
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の画像処理装置において、前記第1の算出手段は、前記入力画像データの頻度分布を0〜1に正規化する第1の正規化処理手段と、前記正規化された頻度分布が略正規分布となるパラメタを算出する第2の算出手段と、をさらに備えていることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の画像処理装置において、前記第2の処理手段は、前記拡張色空間から算出される輝度の規定域である0〜100を越える虚色と、前記デバイス色空間のホワイトポイント或いはブラックポイントとを対応づける第2の正規化処理手段をさらに備えていることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項2に記載の画像処理装置において、前記第2の処理手段は、前記拡張色空間の画像データをXYZの3刺激値に変換し、前記XYZの3刺激値と前記入力画像データが入力する入力装置の標準の観察パラメタとから、色順応式におけるJCh0又はQMh0値に変換する第3の変換手段と、前記JCh0又はQMh0値と前記出力装置の観察環境の順応パラメタとからデバイス色空間における画像データsRGB’に変換する第4の変換手段と、をさらに備えていることを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、電子写真方式の画像形成装置において、請求項1〜4の何れかの一項に記載の画像処理装置を備えていることを特徴とする画像形成装置である。
請求項7に記載の発明は、請求項6記載の画像処理方法において、前記第1の算出工程は、前記入力画像データの頻度分布を0〜1に正規化する第1の正規化処理工程と、前記正規化された頻度分布が略正規分布となるパラメタを算出する第2の算出工程と、をさらに含んでいることを特徴とする。
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載の画像処理方法において、前記第2の処理工程は、前記拡張色空間から算出される輝度の規定域である0〜100を越える虚色と、前記デバイス色空間のホワイトポイント或いはブラックポイントとを対応づける第2の正規化処理工程をさらに含んでいることを特徴とする。
請求項9に記載の発明は、請求項7に記載の画像処理方法において、前記第2の処理工程は、前記拡張色空間の画像データをXYZの3刺激値に変換し、前記XYZの3刺激値と前記入力画像データが入力する入力装置の標準の観察パラメタとから、色順応式におけるJCh0又はQMh0値に変換する第3の変換工程と、前記JCh0又はQMh0値と前記出力装置の観察環境の順応パラメタとからデバイス色空間における画像データsRGB’に変換する第4の変換工程と、をさらに備えていることを特徴とする。
請求項11に記載の発明は、請求項10記載のプログラムにおいて、前記第1の算出手段は、前記入力画像データの頻度分布を0〜1に正規化する第1の正規化処理手段と、前記正規化された頻度分布が略正規分布となるパラメタを算出する第2の算出手段と、をさらにコンピュータに実行させることを特徴とする。
請求項12に記載の発明は、請求項11に記載のプログラムにおいて、前記第2の処理手段は、前記拡張色空間から算出される輝度の規定域である0〜100を越える虚色と、前記デバイス色空間のホワイトポイント或いはブラックポイントとを対応づける第2の正規化処理手段をさらにコンピュータに実行させることを特徴とする。
請求項13に記載の発明は、請求項11に記載のプログラムにおいて、前記第2の処理手段は、前記拡張色空間の画像データをXYZの3刺激値に変換し、前記XYZの3刺激値と前記入力画像データが入力する入力装置の標準の観察パラメタとから、色順応式におけるJCh0又はQMh0値に変換する第3の変換手段と、前記JCh0又はQMh0値と前記出力装置の観察環境の順応パラメタとからデバイス色空間における画像データsRGB’に変換する第4の変換手段と、をさらにコンピュータに実行させることを特徴とする。
請求項14に記載の発明は、記憶媒体において、請求項10〜13の何れか一項に記載のプログラムが記憶されていることを特徴とする記憶媒体である。
また本発明によれば、拡張色空間から算出される輝度の規定域である0〜100を越える虚色と、デバイス色空間のホワイトポイント或いはブラックポイントとを対応づける第2の正規化処理手段を備えるので、みかけ上消失した情報を再生/復元し、出力することができる。
また、本発明によれば、迅速な画像データの出力ができる。
[第1の実施形態]
図1は、本実施形態にかかるデジタル複写機を含むネットワーク全体のブロック図である。符号1は、画像処理装置を備えたデジタル複写機1であり、符号2は、画像出力装置となるディスプレイ2である。本実施形態では、デジタル複写機1、ディスプレイ2、およびPC(パーソナルコンピュータ)3、プリンタ4、画像サーバ6が、LAN(ローカルエリアネットワーク)5に接続されている。本実施形態では、このほか、ネットワークスキャナなどをLAN5に接続する構成が可能である。
また、本実施形態では、複数の情報処理装置がそれらの画像処理装置を共有しており、画像データの読取りと蓄積と出力処理とを、デジタル複写機1の操作パネルで指図するが、他にLAN5上のPC3などから指図することも可能である。さらに、画像処理装置は、デジタル複写機1内の処理部において各種処理を実行するが、PC3からの実行プログラムを介して、画像サーバ6内の処理部において実施することも可能である。
以下、本発明における画像処理装置の処理部の構成について説明する。図2は、デジタル複写機1の機能ブロック図である。画像処理部12は、本発明の画像処理装置を実施するものであり、デジタル複写機1の図示しないスキャナで読み取った画像データを入力部11によって入力し、この画像データを記憶媒体等に記憶する記憶動作が記憶部13によって行われ、画像データを処理する処理動作が画像処理部12によって行われ、画像データの出力動作を出力部14によって行う。また、これら各部の制御はシステム制御部15により実現される。システム制御部15は、各種演算を行い、各部を集中的に制御するCPUと、CPUが実行する各種制御プログラムや固定データを格納している記憶媒体となるROMと、CPUの作業エリアとなるRAMとが、バスで接続されている。CPUは、ROMの制御プログラムに基づいて各種制御を行い、特に、画像処理部12が実行する処理をROMの制御プログラムに基づく処理により実現することができる。
画像処理部12は、後述の画像データの判断処理と、正規化パラメタを算出する第1の算出処理と、得られた画像データと正規化パラメタとにより画像データを拡張色空間における画像データに変換する第1の変換処理を行う第1処理部121と、拡張色空間における画像データを出力装置となるディスプレイ2のデバイス色空間に変換する第2処理部122とからなる。
このように、画像処理部12は、第1処理部121において後述の第1処理(図4参照)を施すことにより、入力部11から入力された画像データを拡張色空間の画像データに変換し、第2処理部122により第2処理をほどこすことにより、拡張色空間の画像データを出力装置の画像データに変換する。第1及び第2処理部121、122における変換処理については図4を参照して後述する。本実施形態では、拡張色空間に、scRGB色空間を例示するが、AdobeRGB、esRGB、RIMM、ROMMなどの公知の拡張色空間に対して適用することが可能である。
[Norm_RGB]={[sRGB]−min}/{Max−min}…(1−1)
[Norm_RGB]
={[FloatRGB]−min}/{Max−min}…(1−2)
(ただし、Max:最大値、min:最小値)
以上の装置構成を有するシステムにおいて、利用者がデジタル複写機1を用いて原稿を読取り、これを出力する一連の動作を図3のフローチャートにより説明する。
まず、利用者は、デジタル複写機1の操作パネルを操作し、サイズ、解像度、濃度など読取り条件のもとで、原稿を読取る(S1)。次いで、利用者は、読取った画像データを蓄積画像データとして記憶装置13に記憶させる(S2)。そして、選択した画像データを、出力画像データとして出力する(S4)。以上の動作により、利用者は、読取り画像データを蓄積画像データとして、記憶部13に記憶する。
図4は、デジタル複写機1におけるスキャナから入力した画像データから、蓄積画像データを生成し、ディスプレイ2へ画像データを送信するまでの処理のフローチャートである。すなわち、システム制御部15のCPUは、利用者の操作する条件によって、スキャナに指令し、原稿の画像の読取りを開始する(S10)。
次いで、読取られた画像データに第1処理部121で第1処理を施して拡張色空間の画像データ、および正規化パラメタを記憶する(S20)。また、記憶された拡張色空間の画像データに第2処理部122で第2処理を施して、ディスプレイ2のデバイス色空間に対応する画像データを生成する(S30)。そして、得られた画像データをLAN5経由でディスプレイ2に出力する(S40)。
まず、第1処理部121は、入力した画像データの形式を判断し(S21)、この画像データに第1の正規化処理を施し(S22)、前記形式の判断に応じて、入力画像データと拡張色空間との正規化パラメタを算出し(S23)、正規化パラメタにより、入力画像データを拡張色空間に変換する(S24)。
この各ステップの処理/演算動作を以下に詳述する。
(S21について)
S21では、外部より入力された入力画像データは、そのデータ形式を判断する。例えば0〜255(20−1〜28−1:8[bit])の信号値を有するsRGB信号、あるいは、仮数部Mの7桁と指数部の32桁までの信号値を有する浮動小数点RGB信号((0.MMMMMMM〜1.MMMMMMMx1032):32[bit])など、である(以下、浮動小数点をFloatRGBと称す)。なお、これらの入力画像データのデータ形式は、利用者がデジタル複写機1の操作パネルで指示して判断させるようにしてもよい。ここで用いた入力画像データは、FloatRGBの画像データであり、その画像データの値の範囲は、各RGB成分に対して、0.0001〜100のオーダの画像データを用いた。
(S22について)
得られた画像データを前述の式(1−1)及び式(1−2)に従って、0〜1に正規化する。このときの正規化は各RGB成分の最大値:Maxと最小値:minにより規格化している。その頻度分布を図5(a)に示す。
(S23について)
次に、得られた画像データと拡張色空間との正規化パラメタ(n,m)を算出する。例えば、sRGB信号の場合は拡張色空間への変換パラメタは(n,m)=(8,−20)である。これはISO−22028−1の定義に定められた定数であるが、これを画像データの頻度分布の中心が、正規化後の中心となる(nφ,mφ)を算出して、これを採用することも好適である。この算出方法の概念について図5を参照して説明する。
(S24について)
ここで得られたパラメタ:(nφ,mφ)と画像データ:Norm_FloatRGBをデジタル複写機1の記憶部13に記憶しておき、次に、式(2−1)により[Shift_RGB]を算出する。この[Shift_RGB]の頻度分布を図5(b)に示す。ここで、凡そ[Shift_RGB]は正規分布に近づく。
[Shift_RGB]=(2n+m)*[Norm_RGB]…(2−1)
(S30について)
続く拡張色空間の変換行列には、上記同様に公知の行列式を採用することができる(ISO−22028−1の定義)。以上の変換を実行し、入力画像データを拡張色空間への変換を施し、記憶部に蓄積される。
以上の処理により、得られた画像データを図6に示す。なお、画像データのレンジは0.0001〜100の範囲を取るが、出力装置は0〜255までの範囲が表現限界であるため、正規化が妥当でない場合は、画像の情報がほぼ消失する(図6(a))。これに対して、本実施形態により得られた画像データが図6(b)であり、画像データの情報がほぼ残存している。但し、画像データの発光部分(図中の真中部)はデータが見かけ上消失しているが、蓄積された画像データ自身には画像情報がそのまま記憶されていることが、重要である。処理、および構成により画像データの消失がない画像処理が可能となる。
本実施形態の構成は、図1のネットワーク構成で、デジタル複写機1に図2の構成を備えている点は第1の実施形態と同様であるため、これらの点については詳細な説明を省略する。
本実施形態においては、第2処理として前述のS30に変えて図8に示すS30aの処理を実行することにより、拡張色空間の画像データをディスプレイ2のデバイス色空間に変換する場合、拡張色空間から算出される輝度の規定域である0〜100を越える虚色と、デバイス色空間のホワイトポイント或いはブラックポイントとを対応づける正規化処理を施すことで、見かけ上消失した情報を再生/復元して出力することが可能となる。
具体的には、画像データを出力装置となるプリンタ4で出力し、画像データの情報を復元したいと意図した想定とする。その際利用者は、図9に示すユーザインタフェースにより、消失情報の再現/復元処理を実行した後、画像データを出力する。
以下では、利用者がデジタル複写機1で画像データを蓄積し、これをプリンタ4で出力した後に、画像データを復元したいと意図して、画像データを再出力する際の一連の流れを説明する。
まず、利用者はデジタル複写機1のスキャナで原稿を読取り、これをプリンタ4で出力する。ここで、利用者は自身の要求する時間、場所において、画像データの情報を復元したいと意図し、画像データを再出力した一連の動作を図7のフローチャートに基づいて説明する。
まず、利用者は1回目の出力処理を行う。つまり、読取り条件を設定し原稿を読取って、蓄積画像データを記憶させる(S1,S2)。そして、蓄積された画像データを出力する(S4)。さらに、利用者が要求する場合に、2回目以降の再出力処理を行う。つまり、出力画像データの画像品質が充分か否かを判定し(S3)、不充分という判断であれば(S3のN)、後述の第2処理を実行する(S20,S30a)。充分であれば(S3のY)、第1の実施形態と同様の処理を実行する(S20,S30)。
以上の操作により、デジタル複写機1中に蓄積された画像データに対して所望の処理を施し、再出力する動作により、利用者は見かけ上では消失した情報を再生/復元して出力することが可能となる。
(S31’及びS32について)
蓄積された画像データ[Norm_RGB]および、変換パラメタ(n,m)に対して、ユーザ補正量(δn,δm)だけ増減した画像データを、式(2−3)に従って生成する。
[Shift_RGB]=(2n+δn−(m+δm))*[Norm_RGB]
…(2−3)
(ただし、δn,δmは、利用者の補正量)
(S33及びS34について)
式(3)、(4−2)、(5)の変換によって、出力デバイスの画像データ[Lab(sRGB)]が生成される。ここで、XYZにおける輝度値:Yは0〜100の範囲を越えない定義となされているが、利用者の補正量に伴い、最大輝度値:Yが100を越える可能性がある。本実施形態では、この100を越える最大輝度値をホワイトポイントとして設定し、出力する。
[scRGB]=[変換行列(A)]*[Shift_RGB]…(3)
[XYZ]=[変換行列(A)−1]*[scRGB]/2n+δn+(m+δm)
…(4−2)
[XYZ]−[変換式(B)]→[Lab(sRGB)]…(5)
(S35aについて)
ここで、出力デバイスの画像データ[Lab(sRGB)]より、プリンタ4の出力信号[Lab’(printer)]が生成される。この場合、式(6−1)に用いられるLUT(1)を図10の一点鎖線で示す。該LUT(1)では、輝度Y:0〜100を越える値は定義していないため、図示した通り、L値の明度成分(LMax)を全て(L100)に固定する、所謂クリッピング処理が施され、明度L0〜L1区間は、画像データが消失する。
[Lab(sRGB)]−[LUT(1)]→[Lab’(printer)]
…(6−1)
これに対して本実施形態では、明度成分がL100を越える値をホワイトポイントとして設定する図10の太線に示すLUT(2)とする。該LUT(2)を採用することにより、ハイライト部の階調情報が消失した画像データの階調性を再現/復元した画像データを得ることが可能となる。そこで情報の再生/復元に用いるユーザインタフェース例を以下で示す。
(S36について)
得られたLab’(printer)を式(6−2)に従い、CMYKデバイス信号に変換し、出力する。
[Lab’(printer)]−[LUT(2)]→[CMYK]…(6−2)
本実施形態の構成は、図1のネットワーク構成で、デジタル複写機1に図2の構成を備えている点は第1の実施形態と同様であるため、これらの点については詳細な説明を省略する。
本実施形態においては、図12に示す第2処理を施すことにより、拡張色空間の画像データを出力装置のデバイス色空間に変換するものである。利用者に画像データを表示する場合、予め所定の入力装置の観察環境に応じた画像データ(JCh0又はQMh0)と、利用者の所望する出力時の観察条件に応じて画像データ(XYZi)を出力することにより、変換処理が軽減され、迅速な画像データの出力が可能となる。
以下では、デジタル複写機1に蓄積された画像データ(JCh0又はQMh0)を記憶部13に記憶しておき、出力時には出力環境に応じたデバイス色空間の画像データ(sRGBi)に出力する動作処理について説明する。
デジタル複写機1を用いて、利用者が原稿を読取り、これをプリンタ4に出力する動作は第1の実施形態と同様である。ここで、利用者は自身の要求する時間、場所において、画像データの情報を出力したいと意図し、画像データを再出力した一連の動作が図11のフローチャートである。
まず、利用者は、読取り条件を設定し、デジタル複写機1のスキャナで原稿を読取って、蓄積画像データを記憶部13に記憶させる(S1、S2)。そして、蓄積された画像データを出力する(S4)。さらに、利用者が要求する場合に、2回目以降の再出力処理を行う。つまり、出力画像データの画像品質が充分か否かを判定し(S3)、不充分という判断であれば(S3のN)、後述の第2処理を実行する(S30c)。充分であれば(S3のY)、第1の実施形態と同様に規定処理を実行する(S20、S30b)。
以上の操作により、デジタル複写機1中に蓄積された画像データに対して、所望の処理を施し再出力する動作において、デジタル複写機1は迅速に出力することが可能となる。
以下の処理は、図11(a)に示す1回目の処理で第1の実施形態と同様の処理動作が実行され、利用者が画像データを再出力する場合の処理であり、拡張色空間の画像データを出力装置のデバイス色空間に変換する処理である。処理内容について図12を参照して説明する。なお、S31〜S33、S36については第1の実施形態と同様であるため、詳細な説明は省略する。
拡張色空間から算出したXYZの3刺激値を入力装置(デジタル複写機1のスキャナ)の観察パラメタとから、色順応式におけるJChあるいはQMh値に変換する処理である。この色知覚モデルにはCIECAM02等、周知のモデルを用いることが可能である。
ここでは利用者が、入力画像データを観察条件に応じた色知覚空間の値を算出する処理(XYZをJCh0又はQMh0に変換する処理)を行う。まず入力画像の観察条件情報として、順応視野の輝度([cd/m2]、通常は順応視野における白の輝度の20[%])であるLa、光源条件における試料の相対三刺激値であるXYZ、光源条件における白色光の相対三刺激値」であるXωYωZω、および、光源条件における背景の相対輝度であるYb、および、観察条件のタイプに基づいて、周囲の影響の定数c、色誘導係数Nc、明度コントラスト係数FLLおよび順応度の係数Fとを用いて、入力された観察条件に基づく、色知覚空間内のJChあるいは、QMh値が算出される。
本実施形態では、標準の観察パラメタとして、紙媒体の照明条件:300[lx],光源条件における白色光の3刺激値:D50光源(XωYωZω)=(102,100,89),背景相対輝度:Yb=20[%],観察条件は平均的な明るさとして定められたc=0.69,Nc=1.0,FLL=1.0を代入し、JCh0またはQMh0を算出する。利用者が各パラメタを逐一設定する形態や、図9に示した通り、観察条件のc,Nc,FLLと、観察光源の情報をまとめて表示し、これを適用させる構成にする形態も好適である。
(S35bについて)
前記JChあるいはQMh値と出力装置(プリンタ4)の順応パラメタとからXYZ’の3刺激値に変換する処理である。ここでは、前記観察条件に応じた色知覚空間の値:JCh0またはQMh0を出力側の環境光の白色点基準に基づき、デバイスに依存しない色空間データへ逆変換する処理を行う。まず出力画像の観察条件情報として、出力画像の観察パラメタを設定する。本実施形態では、sRGB観察環境を想定し、この光源の輝度:80[cd/m2],光源条件における白色光の3刺激値:D65(XωYωZω)=(95,100,108),背景相対輝度:Yb=20[%],観察条件は平均的な明るさとして定められたc=0.69,Nc=1.0,FLL=1.0を代入し、XYZ’を算出する。各パラメタは前述のS34を適用可能である。
ここでは、利用者が再出力を要求した際の(S3のN)における処理内容であり、前記JCh0またはQMh0におよび、出力環境条件により、出力装置(プリンタ4)のデバイス色空間の画像データ(sRGBi)を生成する。その処理方法は、以下の式(9)及び(10)に従う。なお、下式中で用いられる順応パラメタの順応白色および、順応輝度とは、以下のユーザインタフェースにおいて取得することが可能である。その表示例を図9に示すが、入出力装置(デジタル複写機1のスキャナ、プリンタ4)の順応パラメタおよび観察パラメタを表示するものである。このパラメタは表1に示す通り、デジタル複写機1の記憶部13に記憶し、これを随時読出し、利用者に表示する形態が可能である。例えば、本実施形態では順応パラメタの白色点をD50光源、輝度を80[cd/m2]として処理を施している。
以上の構成により、利用者の所望する出力時の観察条件に応じて画像データを出力することにより、変換処理が軽減され、迅速な出力が可能となる。
→JCh0又はQMh0−[色順応変換(順応パラメタ(i):出力用(順応白色:p2、順応輝度:p3[cd/m2]))]→XYZi …(9)
−[profile(D50)]→ sRGBi …(10)
(ただし順応パラメタ(i)は、利用者指定p2:D50とp3:80[cd/m2])
Claims (14)
- 入力画像データを変換して出力装置に出力する画像処理装置において、
前記入力画像データを拡張色空間の画像データに変換する第1の処理手段と、
前記変換後の拡張色空間の画像データを前記出力装置のデバイス色空間の画像データに変換する第2の処理手段と、
前記第2の処理手段で変換後の画像データを前記出力装置に出力する出力手段と、
を備え、
前記第1の処理手段は、
前記入力画像データの形式を判断する判断手段と、
前記判断に応じて前記入力画像データと前記拡張色空間との正規化パラメタを算出する第1の算出手段と、
前記正規化パラメタにより前記入力画像データを前記拡張色空間に変換する第1の変換手段と、
を備えていることを特徴とする画像処理装置。 - 前記第1の算出手段は、
前記入力画像データの頻度分布を0〜1に正規化する第1の正規化処理手段と、
前記正規化された頻度分布が略正規分布となるパラメタを算出する第2の算出手段と、
をさらに備えていることを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。 - 前記第2の処理手段は、前記拡張色空間から算出される輝度の規定域である0〜100を越える虚色と、前記デバイス色空間のホワイトポイント或いはブラックポイントとを対応づける第2の正規化処理手段をさらに備えていることを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
- 前記第2の処理手段は、
前記拡張色空間の画像データをXYZの3刺激値に変換し、前記XYZの3刺激値と前記入力画像データが入力する入力装置の標準の観察パラメタとから、色順応式におけるJCh0又はQMh0値に変換する第3の変換手段と、
前記JCh0又はQMh0値と前記出力装置の観察環境の順応パラメタとからデバイス色空間における画像データsRGB’に変換する第4の変換手段と、
をさらに備えていることを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。 - 電子写真方式の画像形成装置において、
請求項1〜4の何れか一項に記載の画像処理装置を備えていることを特徴とする画像形成装置。 - 入力画像データを変換して出力装置に出力する画像処理方法において、
前記入力画像データを拡張色空間の画像データに変換する第1の処理工程と、
前記変換後の拡張色空間の画像データを前記出力装置のデバイス色空間の画像データに変換する第2の処理工程と、
前記第2の処理手段で変換後の画像データを前記出力装置に出力する出力工程と、
を含んでいて、
前記第1の処理工程は、
前記入力画像データの形式を判断する判断工程と、
前記判断に応じて前記入力画像データと前記拡張色空間との正規化パラメタを算出する第1の算出工程と、
前記正規化パラメタにより前記入力画像データを前記拡張色空間に変換する第1の変換工程と、
を含んでいることを特徴とする画像処理方法。 - 前記第1の算出工程は、
前記入力画像データの頻度分布を0〜1に正規化する第1の正規化処理工程と、
前記正規化された頻度分布が略正規分布となるパラメタを算出する第2の算出工程と、
をさらに含んでいることを特徴とする請求項6記載の画像処理方法。 - 前記第2の処理工程は、前記拡張色空間から算出される輝度の規定域である0〜100を越える虚色と、前記デバイス色空間のホワイトポイント或いはブラックポイントとを対応づける第2の正規化処理工程をさらに含んでいることを特徴とする請求項7に記載の画像処理方法。
- 前記第2の処理工程は、
前記拡張色空間の画像データをXYZの3刺激値に変換し、前記XYZの3刺激値と前記入力画像データが入力する入力装置の標準の観察パラメタとから、色順応式におけるJCh0又はQMh0値に変換する第3の変換工程と、
前記JCh0又はQMh0値と前記出力装置の観察環境の順応パラメタとからデバイス色空間における画像データsRGB’に変換する第4の変換工程と、
をさらに備えていることを特徴とする請求項7に記載の画像処理方法。 - 入力画像データを変換して出力装置に出力する画像処理をコンピュータに実行させるコンピュータに読み取り可能なプログラムにおいて、
前記入力画像データを拡張色空間の画像データに変換する第1の処理手段と、
前記変換後の拡張色空間の画像データを前記出力装置のデバイス色空間の画像データに変換する第2の処理手段と、
前記第2の処理手段で変換後の画像データを前記出力装置に出力する出力手段と、
をコンピュータに実行させ、
前記第1の処理手段は、
前記入力画像データの形式を判断する判断手段と、
前記判断に応じて前記入力画像データと前記拡張色空間との正規化パラメタを算出する第1の算出手段と、
前記正規化パラメタにより前記入力画像データを前記拡張色空間に変換する第1の変換手段と、
をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。 - 前記第1の算出手段は、
前記入力画像データの頻度分布を0〜1に正規化する第1の正規化処理手段と、
前記正規化された頻度分布が略正規分布となるパラメタを算出する第2の算出手段と、
をさらにコンピュータに実行させることを特徴とする請求項10記載のプログラム。 - 前記第2の処理手段は、前記拡張色空間から算出される輝度の規定域である0〜100を越える虚色と、前記デバイス色空間のホワイトポイント或いはブラックポイントとを対応づける第2の正規化処理手段をさらにコンピュータに実行させることを特徴とする請求項11に記載のプログラム。
- 前記第2の処理手段は、
前記拡張色空間の画像データをXYZの3刺激値に変換し、前記XYZの3刺激値と前記入力画像データが入力する入力装置の標準の観察パラメタとから、色順応式におけるJCh0又はQMh0値に変換する第3の変換手段と、
前記JCh0又はQMh0値と前記出力装置の観察環境の順応パラメタとからデバイス色空間における画像データsRGB’に変換する第4の変換手段と、
をさらにコンピュータに実行させることを特徴とする請求項11に記載のプログラム。 - 請求項10〜13の何れか一項に記載のプログラムが記憶されていることを特徴とする記憶媒体。
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