JP2007098558A - 軟質材用開孔具 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】シャンク部2と支持首部3と刃部4とを有し、刃部4は、軟質材Nの肉厚と同等以上の軸方向長さと、丸孔12の半径距離で描かれる円柱状背面13と、周方向に有限とすべき幅を持たせる両側縁14とを有して刃身10を形成させたものであり、支持首部3は刃部4の円柱状背面13よりも括れた細径に形成されたものであり、刃身10には先方向きの切り刃20と支持首部3向きのカエリ刃21とが設けられている。
【選択図】図1
Description
この提案に係るドリルでは、被加工物Wをドリルが突き抜けた後、一旦、ドリルを軸心の直交方向(一偏心方向)へ少しだけ移動させ(横に振り)、且つ軸方向に若干引き戻して面取刃を孔周縁に押し付けるといった動作や、その後の軸方向押し出し及び横振りの戻しといった復帰動作を組み合わせた複雑な面取り工程が必要であった。すなわち、結果として工程の減少には繋がっておらず、また通常のボール盤では使用不可能であるといった欠点を有していた。
それ故、回転加工装置が低トルクである場合にはその駆動回転が止まってしまったり、回転加工装置が高トルクである場合にはドリル100が折れてしまったりするおそれがある。また、仮に孔開けができたとしても、その孔径はドリル径よりも径小となってしまったり、孔形状が円形でなく歪になってしまったりする。
なお、この開孔具120による孔開け加工では、切り刃(刃先縁123b〜側縁123c)によって外周がカットされてできる円板状乃至円柱状のチップ状切り滓Gが、徐々に形成される丸孔の内部で開孔具120によって押し縮められてゆき、開孔具120が軟質材Nを突き抜けた時点で、その突き抜け先へ一緒に排出されるようになる。このチップ状切り滓Gは、所謂、バリTとは全く異質のものである。このように切断メカニズムやチップ状切り滓Gの発生事情に鑑みれば、この開孔具120はドリル100による孔開け加工とは技術的思想が全く別異であることが明らかである。
またこの孔開けした相手が軟質材Nであり、当然にチップ状切り滓Gも同じ軟質材Nであることから、図13に示すように、チップ状切り滓Gを引きちぎった後に小さな凹みXや小さな凸片Yが生じることがあるが、場合によっては(軟質材Nにより製作される商品、或いはその商品の製作者によっては)、これら凹みXや凸片Yが商品価値を下げる要因と判断されることもあった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、ゴムなどの軟質材に孔開け加工をするための軟質材用開孔具において、円形の綺麗な丸孔を開けることができ、孔周縁にチップ状切り滓を残留させることないようにし、しかも寿命を長引かせることができるようにした軟質材用開孔具を提供することを目的とする。
即ち、本発明は、軟質材へ丸孔を形成させる開孔具に関するものであって、この開孔具は、回転加工装置の工具取付部に把持させるシャンク部と、このシャンク部の先に支持首部を介して設けられた刃部とを有している。
刃部は少なくとも一つの刃身を有している。この刃身は、軟質材の肉厚と同等以上の軸方向長さと、シャンク部の回転軸心まわりに、開孔させようとする丸孔の半径距離で描かれる円柱状背面と、周方向に有限とすべく幅を持たせる両側の側縁とを有して形成されている。このような刃部に対し、支持首部は、刃部の円柱状背面よりも括れた細径に形成されている。
このような構成を具備する開孔具であれば、刃部における切り刃により、本出願人が嘗て開発した開孔具(図11及び図12参照)と同様に、形成しようとする丸孔の孔輪郭に沿って筋引きするようなカット作用(剃刀やカッター刃と同じような切断メカニズム)で、軟質材に円形の綺麗な丸孔を開けることができる。
従って、実際に開孔具が軟質材から引き抜かれた後は、軟質材にチップ状切り滓が残留することはない。当然に、孔開け加工を終えた後、いちいち、チップ状切り滓の有無を点検したりチップ状切り滓を引きちぎるといった面倒な作業は不要になる。また、チップ状切り滓の引きちぎりが原因となる小さな凹みや凸片も生じないので、軟質材により製作される商品の価値が低下することも防止できる。
刃部は、シャンク部の回転軸心を挟んだ対向配置で一対の刃身が設けられたものとするのが好適である。このようにすれば刃身の数だけカット作用を増加でき、切れ味を高め、且つ各刃身の強度負担を減らして刃部としての耐久性を高めるうえで好適となる。また刃部の形成は、刃身を単一的に設ける場合に比してむしろ容易となる。
なお、この場合、支持首部は、シャンク部の回転軸心周りで正多角形の断面形状を有して形成するものとして、この正多角形の中の一辺の両端位置(角部の稜線)が、刃部のカエリ刃に設けられた刃底に一致するように位置付けるのがよい。これは、カエリ刃を形成させるに際してワイヤ放電加工を採り入れるうえで好都合となる。
図1乃至図7は、本発明に係る軟質材用開孔具1の第1実施形態を示している。軟質材Nは、自動車のドア周りなどに取り付けるゴム製のシーリングチューブとしてある。この開孔具1は、シャンク部2と、このシャンク部2の先に支持首部3を介して設けられた刃部4とを有して、一体形成されている。形成素材には例えば超硬合金が用いられている。
シャンク部2は、回転加工装置5の工具取付部(チャック部等)6に把持させるところであり、断面円形をはじめ、回り止め用の面取りが施された様々な断面形状(半月状や四角形、或いはその他の多角形など)として形成された棒状部分である。このシャンク部2の長さや太さなどは、刃部4の外径に応じて適宜選択すればよい。
なお、この刃部4において、シャンク部2の回転軸心からの最大外径となる部位(丸孔12の半径位置)は上記のように円柱状背面13となっているが、これに対して支持首部3は、刃部4の円柱状背面13よりも括れた細径に形成されている。また、両刃身10の対向間に設けられたVノッチ状のスリ割り11は、この支持首部3まで達している。
このようにして形成された切り刃20は、円柱状背面13と同一面上に存在する。すなわち、開孔具1を回転させつつ軟質材Nの表面へ押し付けてゆくと、この切り刃20は、軟質材Nに対してその表面に直交して当接し、また開孔させようとする丸孔12に対してはその孔内周面に面対偶で当接する状態となる。そのためこの切り刃20では、丸孔12の孔輪郭に沿って筋引きするようなカット作用(剃刀やカッター刃と同じような切断メカニズム)が生じ、軟質材Nに対して円形の綺麗な丸孔12を開けることができる。
このようにして形成されたカエリ刃21もまた、円柱状背面13と同一面上に存在する。すなわち、開孔具1で軟質材Nに丸孔12を形成させることによって刃部4が軟質材Nを突き抜けた後、この丸孔12内において開孔具1を同軸上で引き戻すようにすると、このカエリ刃21は、軟質材Nに対してその裏面に直交する位置関係となり、また丸孔12に対してはその孔内周面に面対偶で当接するような状態となる。
上記した支持首部3は、シャンク部2の回転軸心周りで正多角形の断面形状(本第1実施形態では正六角形とした)を有して形成されている。そしてこの正多角形の一辺の両端位置(角部稜線)が、刃部4のカエリ刃21に設けられた刃底26に一致するように位置付けられている。これは、カエリ刃21を形成させるに際してワイヤ放電加工を採用しているためである。
なお、図5に示したように、刃部4の外径Φ(軟質材Nに設ける丸孔12の孔径に同じ)は1〜10mm程度に対応でき、また刃身10の軸方向長さLは1〜2mm程度に対応できる。また刃身10の対向間に設けるVノッチ状のスリ割り11の開き角度θは20〜50°程度(30°前後が好適)にでき、この場合、20°より小さいと軟質材Nから発生するピッチなどがスリ割り11内に付着したとときにこれを除去し難くなる不具合に繋がり、また50°より大きいと切り刃20の切れ味低下に繋がるおそれがある。支持首部3に対するカエリ刃21の起角αは20〜60°程度(30°前後が好適)にでき、この場合、20°より小さいとカエリ刃21の強度低下に繋がり、60°より大きいとカエリ刃21の切れ味低下に繋がるおそれがある。
のみならず、開孔具1が軟質材Nを突き抜けた後、その突き抜け先へ一緒に排出されたチップ状切り滓Gが軟質材Nから巧く剥がれ落ちずに残ってしまったとしても、開孔具1を軟質材Nから引き抜くときに、刃部4におけるカエリ刃21により、丸孔12の開孔縁とチップ状切り滓Gとの繋がった部分が筋引き様のカット作用(剃刀やカッター刃と同じような切断メカニズム)によって確実に切り落とされる。
なお、第1実施形態の開孔具1は、各刃身10に設けられた切り刃20及びカエリ刃21において、それらの刃先縁22,25からそれぞれ、両側の側縁14に及んで刃先が設けられているので、回転方向は限定されない。すなわち、正回転で使用することも逆回転で使用することもできるので、使用可能な現場を選ばない(汎用性が高くなる)利点がある。
図9は、本発明に係る開孔具1の第2実施形態を示したもので、この開孔具1では、刃部4の刃身10に対し、その幅方向中央部にダイヤモンド製の補強部30を設けてある点にある。このような補強部30は、開孔具1の形成素材とする超硬の丸棒を製作する段階で、この丸棒を成型する型内の所定箇所へダイヤモンドチップを埋め込み、この丸棒が得られた後に、支持首部3や刃部4を形成させるためのワイヤ放電加工を行えばよいものである。
例えば、刃身10は一つだけとすることもできる。また切り刃20やカエリ刃21は、それらの刃先縁22,25からいずれか一方の側縁14(回転時に先行する方の側縁14)に及ぶ領域だけに刃先を設けたものとすることができる。
支持首部3は、その断面形状を正方形から正十角形のうち所望角数の断面形状とすることができる。
2 シャンク部
3 支持首部
4 刃部
5 回転加工装置
6 工具取付部
10 刃身
12 丸孔
13 円柱状背面
14 側縁
20 切り刃
21 カエリ刃
22 切り刃の刃先縁
24 カエリ刃における中央の刃先縁
25 カエリ刃における両脇の刃先縁
26 カエリ刃の刃底
N 軟質材
Claims (6)
- 軟質材(N)へ丸孔(12)を形成させる開孔具であって、回転加工装置(5)の工具取付部(6)に把持させるシャンク部(2)とこのシャンク部(2)の先に支持首部(3)を介して設けられた刃部(4)とを有し、
上記刃部(4)は少なくとも一つの刃身(10)を有したもので、この刃身(10)は、軟質材(N)の肉厚と同等以上の軸方向長さと、シャンク部(2)の回転軸心まわりに、開孔させようとする丸孔(12)の半径距離で描かれる円柱状背面(13)と、周方向に有限とすべく幅を持たせる両側の側縁(14)とを有して形成されており、上記支持首部(3)は刃部(4)の円柱状背面(13)よりも括れた細径に形成されたものであり、
上記刃身(10)には、
先方を向く刃先縁(22)から少なくとも一方の側縁(14)に及ぶ領域に形成された切り刃(20)と、
支持首部(3)の方を向く刃先縁(24,25)から少なくとも一方の側縁(14)に及ぶ領域に形成されたカエリ刃(21)とが設けられていることを特徴とする軟質材用開孔具。 - 前記刃部(4)の刃身(10)に設けられた切り刃(20)及びカエリ刃(21)は、それらの刃先縁(22)(24,25)から両側の側縁(14)に及ぶ領域に形成されていることを特徴とする請求項1記載の軟質材用開孔具。
- 前記刃部(4)には、シャンク部(2)の回転軸心を挟んだ対向配置で一対の刃身(10)が設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の軟質材用開孔具。
- 前記刃部(4)のカエリ刃(21)は、周方向に複数の刃先縁(24,25)を有したものとされ、各刃先縁(24,25)の隣接間に凹部状の刃底(26)が形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の軟質材用開孔具。
- 前記支持首部(3)は、シャンク部(2)の回転軸心周りで正多角形の断面形状を有して形成されており、この正多角形の中の一辺の両端位置が前記刃部(4)のカエリ刃(21)に設けられた刃底(26)に一致して位置付けられていることを特徴とする請求項4記載の軟質材用開孔具。
- 前記刃部(4)の切り刃(20)及びカエリ刃(21)は、油中ワイヤ放電加工で得られる表面粗さ及び硬度を有していることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の軟質材用開孔具。
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CN103770152A (zh) * | 2013-12-31 | 2014-05-07 | 郑州轻工业学院 | 一种用于软质材料规则取孔的中空刀具 |
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