JP2007092690A - 4サイクル火花点火式エンジン - Google Patents

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Abstract

【課題】火花点火式エンジンにおいて通常運転モードから圧縮自己着火運転モードへの移行時に、一時的なノッキングの発生を抑制する。
【解決手段】エンジンの部分負荷域では圧縮自己着火による燃焼を行わせる圧縮自己着火運転モードとし、エンジンの高負荷域では火花点火により燃焼を行わせる通常運転モードとする燃焼制御手段120を備えている。また、燃焼室に直接燃料を噴射する燃料噴射弁28を備えるとともに、上記通常運転モードから上記圧縮自己着火運転モードへの移行直後は、噴射燃料の少なくとも一部を圧縮行程後半に噴射するように、燃料噴射弁28からの燃料噴射を制御する燃料噴射制御手段140を備えている。
【選択図】図2

Description

本発明は4サイクル火花点火式エンジンに関し、特に、予混合圧縮自己着火燃焼(HCCI:Homogeneous−Charge Compression−Ignition combustion。この明細書で「圧縮自己着火」という)を行わせる運転モードと火花点火を行わせる運転モードとを有する4サイクル火花点火式エンジンに関するものである。
一般に、内部EGRガスを用いて、混合気の着火性を向上し、排気性能を高めるにあたり、広い運転領域で必要なEGR率を確保する技術が知られている(例えば特許文献1)。この先行技術に係る構成では、吸気行程の中で排気バルブを開き、いわゆる内部EGRを実現するようにしている。
特開2001−107759号公報
上記のように吸気行程の中で排気バルブを開いて内部EGRを得る手法は、燃費改善のための圧縮自己着火に利用することができる。すなわち、火花点火式エンジン(ガソリンエンジン)においても、ディーゼルエンジンと同様に圧縮行程終期に燃焼室内を高温、高圧にすることで混合気を自己着火させることができ、この圧縮自己着火によると、燃焼室全体が一気に燃焼するため、燃焼効率が高められて燃費が大幅に改善され、かつ、NOxの発生が抑制され、エミッションの改善にも有利となる。そして、上記のように吸気行程の中で排気バルブを開くようにすると多量の内部EGRを得ることができ、これにより筒内温度を高めて圧縮自己着火を行わせることができる。
なお、圧縮自己着火を行わせるための手法としては、このほかに、吸気を加熱する手段を設けることなども考えられている。
ところで、上記のように内部EGRや吸気加熱等で圧縮自己着火を行わせる場合、高負荷域ではノッキングが生じやすくなるとともに、多量の内部EGR等によってトルクが高められなくなることから、所定の部分負荷域で圧縮自己着火運転を行い、高負荷域では圧縮自己着火を停止して、火花点火による燃焼を行わせるようにする必要がある。
このようにする場合に、火花点火が行われていた高負荷域から部分負荷域へ移行して圧縮自己着火運転に切換った直後は、それまで高負荷運転であったが故に燃焼室温度が高くなっている上に、さらに高温の内部EGR等によって筒内温度が過度に高められることにより、一時的にノッキングが生じ易くなるという問題がある。
本発明は上記の事情に鑑み、火花点火が行われていた高負荷域から部分負荷域へ移行して圧縮自己着火運転に切換った直後に、ノッキングの発生を抑制し、エンジンの燃焼状態を良好に保つことができる4サイクル火花点火式エンジンを提供するものである。
上記課題を解決するため、本発明は、エンジンの部分負荷域では燃焼室内の混合気を圧縮自己着火により燃焼させる圧縮自己着火運転モードに燃焼状態を制御し、エンジンの高負荷域では、圧縮自己着火を停止させて、燃焼室内の混合気を火花点火により燃焼させる通常運転モードに燃焼状態を制御するようにした火花点火式エンジンにおいて、エンジンの燃焼室に直接燃料を噴射する燃料噴射弁と、エンジンの運転状態を判定する運転状態判定手段と、上記運転状態判定手段による判定に基づき、エンジンの運転状態が少なくとも上記圧縮自己着火運転モードの運転領域と上記通常運転モードの運転領域との境界付近にあるときはいずれの運転モードでも吸気行程で燃料を噴射するとともに、上記通常運転モードから上記圧縮自己着火運転モードへの移行直後は、噴射燃料の少なくとも一部を圧縮行程後半に噴射するように、上記燃料噴射弁からの燃料噴射を制御する燃料噴射制御手段とを備えたものである。
この構成によると、上記通常運転モードから上記圧縮自己着火運転モードへの移行直後に、それまでの高負荷域での通常運転モードによる高温燃焼により燃焼室の温度が高くなっている状態で圧縮自己着火運転モードに切換ることにより筒内温度が過度に高くなる傾向に対し、圧縮行程後半に噴射された燃料の気化潜熱で適度に筒内温度が引き下げられ、ノッキングが抑制されることとなる。
この発明において、上記燃料噴射制御手段は、上記通常運転モードから上記圧縮自己着火運転モードへの移行直後に、燃料噴射を吸気行程と圧縮行程後半とに分割して行うように制御することが好ましい。このようにすると、吸気行程噴射により燃料の気化、霧化および拡散(混合気の均質化)が図られつつ、圧縮行程後半での噴射により過熱を抑制する作用が得られる。
また、上記圧縮自己着火運転モードでは、排気弁を排気行程での開弁動作のほかに吸気行程で開弁させ、あるいは吸気弁を吸気行程での開弁動作のほかに排気行程で開弁させることにより、内部EGRで筒内温度を高めて圧縮自己着火を行わせることが好ましい。
このようにすると、部分負荷域で、多量の内部EGRにより筒内温度が高められて圧縮自己着火が良好に行われる。
このようにする場合に、上記燃料噴射制御手段は、上記通常運転モードから上記圧縮自己着火運転モードへの移行直後に、噴射燃料の少なくとも一部を圧縮行程後半に噴射する制御を、各気筒に対してそれぞれ1サイクル分だけ行うようにすればよい。
すなわち、内部EGRで筒内温度を高めて圧縮自己着火を行わせるようにする場合、圧縮自己着火運転モードへの移行直後において、特に1サイクルの期間には、その前の通常運転モードでの燃焼による高温の排気ガスが筒内に導入されて筒内温度が過度に高くなり易いため、各気筒に対してそれぞれ1サイクル分は圧縮行程後半に燃料噴射を行うことで効果的に過熱が抑制される。
以上のように、本発明の4サイクル火花点火式エンジンによると、通常運転モードから圧縮自己着火運転モードへの移行直後には、圧縮行程後半に燃料が噴射されてその気化潜熱で筒内温度が引き下げられることにより、筒内温度が過度に高くなる傾向が是正されてノッキングが抑制され、燃焼状態を良好に保つことができる。
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好ましい形態について説明する。
図1は、本発明の実施の一形態に係る4サイクル火花点火式エンジン10の概略構成を示す構成図であり、図2は図1に係るエンジン本体20の一つの気筒とそれに対して設けられた吸排気弁等の構造を示す断面略図である。
これらの図において、図示の4サイクル火花点火式エンジン10のエンジン本体20は、クランクシャフト21を回転自在に支持するシリンダブロック22と、シリンダブロック22の上部に配置されたシリンダヘッド23とを一体的に有している。
シリンダブロック22およびシリンダヘッド23には、複数の気筒24が設けられている。各気筒24には、クランクシャフト21に連結されたピストン25と、ピストン25が気筒24内に形成する燃焼室26とが公知の構成と同様に設けられている。なお、シリンダブロック22には、クランクシャフト21の回転角(クランク角)を検出するクランク角センサ27が設けられている。
各燃焼室26の側部には、当該燃焼室26に直接燃料を噴射する燃料噴射弁28が設けられている。また、各燃焼室26の頂部には、点火プラグ29が装備され、そのプラグ先端が燃焼室26内に臨んでいる。点火プラグ29には、電子制御による点火タイミングのコントロールが可能な点火回路29aが接続されている。
エンジン本体20は、当該気筒24内に対して新気を供給する吸気システム30と、気筒24の燃焼室26で燃焼した既燃ガスを排気する排気システム50とを有している。
吸気システム30は、新気を気筒24内に供給するための吸気管31と、この吸気管31の下流側に連通するインテークマニホールド32を備え、このインテークマニホールド32はサージタンクから分岐してそれぞれ対応する気筒24に接続される分岐吸気管33を備えている。図示の実施形態において、各気筒24には、2つ一組の吸気ポート24aが形成されており(図1参照)、前記分岐吸気管33の下流端は、各気筒24の吸気ポート24aに対応して二股に形成されている。
吸気システム30の吸気管31には、エアフローセンサ34が設けられている。さらに吸気管31には、吸気流量を調節するスロットル弁35が設けられている。このスロットル弁35は、アクチュエータ36によって開閉駆動されるように構成されている。また、スロットル弁35の下流の吸気管31には、吸気管圧力を検出する圧力センサ37が設けられている。
各気筒24に設けられた各吸気ポート24aには吸気弁40が設けられ、図示の実施形態では吸気ポートに対応して各気筒毎に2つずつの吸気弁40が設けられている。各吸気弁40は、動弁機構41によって駆動される構成になっている。この動弁機構41は、吸気弁の開閉タイミングを可変にする吸気弁駆動手段を有し、当実施形態では、吸気弁駆動手段として、吸気弁40の開弁タイミング(位相角度)を変更可能なVCT(Variable Camshaft Timing機構)42と、吸気弁40のリフト量(開弁量)を無段階で変更可能なVVE(Variable Valve Event)43とを備えている。
図3は、図1の実施形態に係る動弁機構41の具体的な構成を示す斜視図である。
同図に示すように、動弁機構41は、各気筒24が並ぶ方向(図1参照)に沿って延びるカムシャフト41aを備えており、このカムシャフト41aに対してVCT42とVVE43とが組み込まれている。
VCT42は、カムシャフト41aの端部に固定されるロータ(入力部材)42aと、ロータ42aの外周に同心に配置されたケーシング(出力部材)42bと、このケーシング42bに固定され、前記カムシャフト41aの外周に相対的に回動自在に配置されたスプロケット42cとを有している。スプロケット42cには、クランクシャフト21(図2参照)から駆動力を伝達するチェーン42dが巻回されている。また、ロータ42aとケーシング42bとの間には、図略の作動油室が形成されており、電磁弁42eの油圧制御によって、ロータ42aとケーシング42bは、一体的な回転動作または相対的な回転動作に切換えられるようになっている。これにより、VCT42は、クランクシャフト21に対するカムシャフト41aの位相をずらすことで吸気弁40の開弁開始時期および閉弁時期を同時に変更することが可能な作動時期可変機構を構成している。後述するように、電磁弁42eは、ECU100によって駆動制御されるようになっており、この駆動制御により、ロータ42aとケーシング42bとが連結と非連結とに切換わるようになっている。
次に、VVE43は、吸気弁40に対応して各気筒毎に一対ずつの吸気カム43a、43bを備えている。これらの吸気カム43a,43bは、その間に設けられたスリーブ状の連結部43cによって互いに連結され、カムシャフト41aに対しては相対回転自在に取り付けられている。
図4は、図3のVVEの要部を示す断面図であり、(A)は大リフト制御状態においてリフト量が0のときを示し、(B)は大リフト制御状態においてリフト量が最大のときを示し、(C)は小リフト制御状態においてリフト量が0のときを示し、(D)は小リフト制御状態においてリフト量が最大のときを示している。
図3並びに図4(A)〜(D)に示すように、カムシャフト41aに対して相対回転自在に取り付けられた吸気カム43a,43bを揺動させるために、カムシャフト41aには、気筒24毎に設けられた偏心カム43dが固定されている。この偏心カム43dは、図4(A)〜(D)から明らかなように、カムシャフト41aに対して偏心している。偏心カム43dの外周には、オフセットリンク43eが回動自在に取り付けられている。オフセットリンク43eの外周部には、径方向に突出する突部43fが一体に設けられている。この突部43fには、カムシャフト41aと平行な連結ピン43gが貫通しており、この連結ピン43gによって、オフセットリンク43eの両側面には、それぞれリンクアーム43h、43iの一端部が回動自在に取り付けられている。一方のリンクアーム43hは、オフセットリンク43eと前記吸気カム43bとを連結するものであり、その他端部が、カムシャフト41aと平行なピン43jによって吸気カム43bの膨出部近傍部分に回動自在に連結されている。また、他方のリンクアーム43iは、オフセットリンク43eの位相を変更するコントロールシャフト43kにオフセットリンク43eを連結するためのものであり、このコントロールシャフト43kに固定されたコントロールアーム43mの端部に対し、リングアーム43iの他端部がカムシャフト41aと平行なピン43nで回動自在に連結されている。
図3に示すように、コントロールシャフト43kの途中部には、扇形のウォームホイール43pが固定されており、このウォームホイール43pに噛合するウォームギヤ43qが、ステッピングモータ43rによって回転駆動されるようになっている。後述するように、ステッピングモータ43rは、ECU100によって駆動制御されるようになっており、この駆動制御により、コントロールアーム43mの位相が決定され、それによってオフセットリンク43eの位相が決定されるので、タペット61を駆動する吸気カム43bの回動軌跡が当該吸気弁40の軸方向において変化し、バルブリフト量が無段階で変更されるようになっている。
図4(B)に示すように、タペット61は、吸気弁40のバルブステム40aの端部に固定されている。他方、吸気弁40のバルブステム40aは、周知のバルブガイド40bにガイドされている。このバルブガイド40bの外周には、スプリングシート部40cが一体に形成されており、このスプリングシート部40cには、当該タペット61の内奥部に形成されたスプリングシート部61aとの間に縮設されるバルブスプリング40dが着座している。
前記吸気カム43bは、このタペット61に接合し、バルブスプリング40dの付勢力を受けている。
この状態において、ステッピングモータ43rによりコントロールシャフト43kおよびコントロールアーム43mを回動させて、図4(A)(B)に示すようにピン43nをコントロールシャフト43kの下方に位置付けると、吸気カム43bの揺動角が大きくなり、リフトピークにおけるバルブのリフト量が最も大きな大リフト制御状態になる。また、そこからコントロールアーム43mなどの回動によってピン43nを上方へ移動させると、これに応じて吸気カム43bの揺動角は小さくなり、図4(C)(D)に示すようにピン43nをカムシャフト41aの上方に位置付けると、バルブのリフト量が最も小さな小リフト制御状態になる。
図4(A)(B)に示す大リフト制御状態において、吸気カム43bは、同図(B)に示すようにカムノーズの先端側でタペット61を押圧し、該タペット61を介して吸気弁40を大きくリフトさせたリフトピークの状態(吸気カム43bがタペット61を介して吸気弁40を大きくリフトさせた状態)と、同図(A)に示すように吸気弁40(吸気弁40)のリフト量が0になる状態との間で揺動する。小リフト制御状態である図4(C)(D)の場合も同様にリフトピークの状態(カムノーズの基端側でタペット61を押圧)とリフト量0の状態との間で揺動する(同図(D)および(C)参照)。
図5は、図4(B)(D)の制御状態を模式的に表わすものであり、(A)は大リフト制御位置、(B)は小リフト制御位置に対応している。なお図5(A)(B)では、コントロールアーム43mおよびリンクアーム43h,43iについては簡略に直線で表しており、また、偏心カム43dの中心(オフセットリンク43eの外輪の中心)の回転軌跡を符号T0として示している。
まず、図5(A)を参照して吸気カム43b自体のプロファイルを説明すると、この吸気カム43bの周面には、曲率半径が所定角度範囲一定の基円面(ベースサークル区間)θ1と、該θ1に続いて曲率半径が漸次大きくなっているカム面(リフト区間)θ2とが形成されている。
図5(A)に実線で示すのは吸気弁40がリフトピーク近傍にある図4(B)の状態であり、このときには、リンクアーム43hによってピン43jが最も上方に引き上げられ、吸気カム43bは、カム面θ2のカムノーズ先端側がタペット61に当接した状態になっている。一方、仮想線で示すのはバルブリフト量Hが0の状態(図4(A))であり、このときには吸気カム43bの基円面θ1がタペット61に接していて、吸気弁40が閉じた状態になっている。
そして、カムシャフト41a(偏心カム43d)が図の時計回りに回転すると、これに伴いオフセットリンク43eの一端側(図の下端側)は、図に矢印で示すようにカムシャフト41aの軸心X周りを公転することになるが、このオフセットリンク43eの他端部の変位はそこに連結されたリンクアーム43iによって規制される。すなわち、リンクアーム43iは、コントロールシャフト43kの下方に位置付けられたピン43nを中心に図の実線の位置と仮想線の位置との間を揺動し、これに伴い、オフセットリンク43eの他端側(連結ピン43g)は、偏心カム43dが1回転する度に、ピン43nを中心として往復円弧運動をすることになる(この連結ピン43gの運動軌跡をT1として示す)。
前記連結ピン43gの往復円弧運動T1に伴い、この同じ連結ピン43gによって一端部がオフセットリンク43eに連結されているリンクアーム43hの他端部(ピン43j)は、図にT2として示す軌跡で往復円弧運動し、そのピン43jによってリンクアーム43hに連結されている吸気カム43bが図の実線の位置と仮想線の位置との間で揺動運動をする。すなわち、前記連結ピン43gが上方に移動するときには、リンクアーム43hによってピン43jが上方に引き上げられて、吸気カム43bのカムノーズがタペット61を押し下げ、これによりバルブスプリング40d(図4(B)参照)を圧縮しながら、吸気弁40をリフトさせる。
一方、連結ピン43gが下方に移動するときには、リンクアーム43hによってピン43jが下方に押し下げられて、吸気カム43bのカムノーズが上昇することになるので、前記の圧縮されたバルブスプリング40dの反力によってタペット61が押し上げられて、前記カムノーズの上昇に追従するように上方に移動し、吸気弁40が引き上げられて、吸気通路24aの吸気ポートが閉じられる。
つまり、大リフト制御状態では、吸気カム43bがその周面の基円面θ1およびカム面θ2の略全体によってタペット61を押圧するように大きく揺動し、このように大きな揺動角に対応してバルブのリフト量が大きくなるものである。
また、前記の大リフト制御状態から、コントロールアーム43mをコントロールシャフト43kの軸心回りに上方へ略水平になるまで回動させて、図4(D)や図5(B)に示すように、リンクアーム43iの回動軸であるピン43nを大リフト制御状態よりもカムシャフト41aの回転方向の手前側に位置付けると、小リフト制御状態になる。この図5(B)においても図5(A)と同様に吸気弁40がリフトピーク近傍にある状態を実線で示し、リフト量Hが0の状態を仮想線で示している。
図5(B)において、カムシャフト41a(偏心カム43d)が回転すると、前記大リフト制御状態と同様にオフセットリンク43eの連結ピン43gはリンクアーム43iによって変位が規制され、コントロールシャフト43kの側方に位置するピン43nを中心として、往復円弧運動T3をする(リンクアーム43iは図の実線位置と仮想線位置との間で往復回動する)。そして、その連結ピン43gの往復円弧運動T3に伴ってリンクアーム43hのピン43jが往復円弧運動T4をし、そのピン43jによってリンクアーム43hに連結されている吸気カム43bが、図の実線の位置と仮想線の位置との間で揺動運動をして、吸気弁40を開閉するようになる。
つまり、小リフト制御状態では、前記大リフト制御状態と比べて吸気カム43bの揺動角が小さくなり、この吸気カム43bが、その周面の基円面θ1およびこれに連続するカム面θ2の一部分のみによってタペット61を押圧するようになって、バルブのリフト量が小さくなるものである。
なお、当実施形態では、図2に示すように、4気筒のエンジンに対してVVE43を2組設け、各VVE43が2気筒ずつ個別に、排気弁のリフト量の調節を行い得るようになっている。
上述したVCT42、VVE43により、吸気弁40は、その開閉タイミング並びにバルブリフト量Hを変更可能に構成されている。
次に、排気システム50は、図1、図2に示すように、各気筒24に2つ一組で形成された排気ポート24bに接続された二股状の分岐排気管51を下流排出側で集合させたエキゾーストマニホールド52と、このエキゾーストマニホールド52の下流側集合部に接続されて、エキゾーストマニホールド52から既燃ガスを排出する排気管53とを有している。
上記各排気ポート24bには排気弁60が設けられている。この排気弁60も、一つの気筒24に対し、2つ一組で装備されている。各排気弁60は、動弁機構62によって駆動されるようになっている。この動弁機構62は、排気弁60を排気行程での開弁動作のほかに吸気行程で再度開弁させる再開弁動作を可能にするように構成されるとともに、この再開弁動作の実行、停止を切換可能にする排気弁駆動手段として、ロストモーション機能を有する弁動作切換機構70を備えている。
すなわち、上記動弁機構62は、伝動機構64と、伝動機構64を介しクランクシャフト21の駆動力で駆動されるカムシャフト62aとを備え、一方の排気弁60に対し、異なる位相で排気弁60を駆動する二組の排気カム62b、62cがカムシャフト62aに設けられるとともに、これらの排気カム62b、62cと一方の排気弁60との間に弁動作切換機構70が設けられている。そして、この弁動作切換機構70により、排気カム62b、62cの両方の駆動を排気弁60に伝える状態と一方の排気カム62bの駆動のみを排気弁60に伝える状態とに切換可能となっている。二組の排気カム62b、62cのうちの一方は、排気行程において気筒24内の既燃ガスを排出するために排気弁60を開く第1排気カム62bであり、他方は、後述する吸気行程で排気弁60を再度開いて、筒内に排気ガスを還流させる第2排気カム62cである。当実施形態では、第1排気カム62bは2つ一組の対をなしており、第2排気カム62cはカムシャフト62aの軸方向において第1排気カム62b、62b間に配置されている(図7参照)。なお、他方の排気弁60は、カムシャフト62aに設けられた1つの排気カムで直動式のタペットを介して駆動され、常に排気行程でのみ開かれるようになっている。
上記弁動作切換機構70の具体的構造を、図6〜図8によって説明する。
図6は弁動作切換機構70の分解斜視図、図7は弁動作切換機構70の正面断面図、図9は弁動作切換機構70の平面断面図である。
これらの図を参照して、弁動作切換機構70は、第2排気カム62cが排気弁60のステム60aを押し下げる機能をON/OFFするいわゆるロストモーションを実現するためのものであり、図示の例では、タペット型のもので具体化されている。
すなわち、この弁動作切換機構70は、矩形のハウジング71と、ハウジング71内に昇降可能に収容され、前記排気弁60のステム60aの端部に固定されるサイドタペット72と、サイドタペット72に対し、当該サイドタペット72と相対変位可能に組み付けられ、センタタペット73とを有している。そして、上記サイドタペット72に第1排気カム62bが当接し、センタタペット73に第2排気カム62cが当接している。
サイドタペット72は、略円筒形に形成されており、平面でみて前記カムシャフト62aと直交する直径方向に収容凹部72aを形成している。収容凹部72aの両側の壁部72bには、前記カムシャフト62aと平行な挿通孔72cが形成されている。各挿通孔72cには、有底のスリーブ状ホルダ75a、75bが、それぞれ開口部を対向させた姿勢で固定されている。一方のスリーブ状ホルダ75aの外側には軸受76が固定され、その軸受76に保持された転動体76aが、ハウジング71の内壁に形成された縦溝71aに転がり接触している。これにより、サイドタペット72は、周方向の回動が規制された状態で、軸方向(排気弁60を開閉する方向)沿いに移動可能になっている。サイドタペット72の下部には、バルブスプリング60dを受けるスプリングシート72dが固定されている。
他方、センタタペット73は、平面でみて前記サイドタペット72の収容凹部72aの輪郭に沿う「I」字形の構造体であり、前記収容凹部72aと、ハウジング71に設けられた係止部に規定されたストロークSにおいて、サイドタペット72に対し相対的に昇降可能に組み付けられ、前記排気カム62cに臨んでいる。
センタタペット73は、サイドタペット72の収容凹部72aの底部に配置された一対のコイルばね77によって、常時、排気カム62cの方へ付勢されている。このコイルばね77は、バルブスプリング60dよりも付勢力が充分小さくなるよう、ばね係数が設定されている。このため、自由状態において、サイドタペット72の壁部72bの上面と、センタタペット73の上面とは、図7に示すように面一になっている。センタタペット73には、上記自由状態において前記挿通孔72cと同心に連通するピン孔73aが穿設されている。このピン孔73aには、ピンユニット78が収容されている。
ピンユニット78は、一方のスリーブ状ホルダ75aの内に出没可能に設けられたロックプランジャ78aと、このロックプランジャ78aとスリーブ状ホルダ75aの間に介装されるコイルばね78bと、ロックプランジャ78aのコイルばね78bと反対側に同心に配置されたロックピン78cと、ロックピン78cを前記ロックプランジャ78a側に駆動するために他方のスリーブ状ホルダ75b内に進退可能に収容されるロック解除プランジャ78dと、ロックピン78cを支持するためにピン孔73aの両開口端に固定される一対のブッシュ78e、78fと、ロックピン78cの略中央部に一体形成されたフランジ78gと軸受76の配置されている側のブッシュ78eとの間に介装されて、フランジ78gを介し、ロックピン78cをロック解除プランジャ78d側へ付勢するコイルばね78hとを有している。自由状態において、ロックプランジャ78aおよびロックピン78cは、それぞれ壁部72bと、センタタペット73との間に介在し、センタタペット73をサイドタペット72にロックした状態になる。この状態では、サイドタペット72が第1排気カム62bに駆動されたときに排気弁60を開作動するとともに、センタタペット73が第2排気カム62cに駆動されたときもサイドタペット72を介して排気弁60を開作動することになる。
また、軸受76が設けられた側とは反対側において、壁部72bとこれに固定されたスリーブ状ホルダ75bとには、作動油路PHが形成されている。そして、後述するECU100の制御によって、この作動油路PHに作動油回路79から作動油が供給されると、ロック解除プランジャ78dが、図7、図8の左側に駆動されて、ロックピン78cを壁部72bからセンタタペット73へ押込み、これと同時にロックプランジャ78aも対応する壁部72b内に押込まれ、これらの部材によるロックが解除される。このロック解除状態において、センタタペット73が第2排気カム62cに駆動されると、センタタペット73は、サイドタペット72の収容凹部72a内で昇降し、その力は、コイルばね77に吸収されて排気弁60には伝達されなくなる。これにより、サイドタペット72が第1排気カム62bに駆動されたときにのみ排気弁60が開作動して、第2カム62cによる排気弁60の開作動(吸気行程での排気弁の再開弁動作)を停止させることが可能になる。作動油回路79には、電磁弁79aが設けられており、この電磁弁79aは、制御装置としてのECU100によって制御されるようになっている。
なお、当実施形態では、図2に示すように、作動油路79及び電磁弁79aを2組設けることにより、2気筒ずつ個別に弁動作切換機構70を作動させることができるようになっている。
また、4サイクル火花点火式エンジン10には、ECU100が設けられている。
図1に示すように、ECU100は、CPU101、メモリ102、インターフェース103並びにこれらのユニット101〜103を接続するバス104を有している。
ECU100のメモリ102には、制御マップやデータ並びにプログラムが記憶されており、CPU101がこれら制御マップやデータ並びにプログラムを実行することによって、図2に示すように、エンジン回転数およびエンジン負荷等の運転状態を判定する運転状態判定手段110と、判定された運転状態に応じてエンジンの燃焼を制御する燃焼制御手段120と、判定された運転状態に応じてスロットル弁35を制御するスロットル弁制御手段130と、燃料噴射弁28からの燃料噴射を制御する燃料噴射制御手段140とを機能的に有している。
上記燃焼制御手段120は、吸気システム30の動弁機構41に設けられたVCT42の電磁弁42eを制御するVCT制御手段121と、吸気システム30に設けられたVVE43のステッピングモータ43rを制御するVVE制御手段122と、電磁弁79aを駆動制御することにより、排気弁60に対して設けられた弁動作切換機構70を切換制御する排気弁制御手段123と、点火プラグ29による点火を制御する点火制御手段124とを含んでいる。
ECU100には、入力要素として、クランク角センサ27、エアフローセンサ34、圧力センサ37、アクセル開度センサ66等の各種検出手段が接続されている。他方、制御要素として、スロットル弁35のアクチュエータ36、動弁機構41のVCT42に設けられた電磁弁42e、各弁動作切換機構70を駆動する作動油回路79の電磁弁79a、吸気システム30に設けたVVE43のステッピングモータ43r、点火プラグ29による点火をコントロールする点火回路29a、燃料噴射弁28等が接続されている。
次に、ECU100に記憶されている制御特性について、図9〜図11を参照しながら説明する。
図9は、上記ECU100の燃焼制御手段120による運転状態に応じた制御を行うための運転領域設定の一例を示す特性図である。
同図に示すように、ECU100に設定されている運転領域としては、いわゆる圧縮自己着火を行う圧縮自己着火運転モード(図中にHCCIと表記)の領域Aと、火花点火運転を行う通常運転モード(図中にSIと表記)の領域Bとが設定されている。圧縮自己着火運転モードの領域Aは、エンジン回転数neが比較的低い低中回転領域において、所定のエンジン負荷以下の領域となっている。また、通常運転モードの領域Bは、圧縮自己着火運転モードの領域A以外の領域、つまり高回転側および高負荷側の領域である。
ECU100の運転状態判定手段110は、クランク角センサ27やアクセル開度センサ66等から、エンジンの運転状態を検出し、運転状態が上記領域A,Bの何れにあるかを判定する。
図10(A)(B)は、運転状態に応じた吸気弁40および排気弁60の開弁動作の特性を示す図である。この運転状態に応じた開弁動作の特性を説明する。
領域Aでは、圧縮自己着火運転モードの制御として、図10(A)に示すように排気弁60の開弁動作EX1、吸気弁40の開弁動作INaおよび排気弁60の再開弁動作EX2が設定される。つまり、排気弁60が排気行程で開かれ(EX1)、次いで、吸気上死点付近で排気弁60が閉じられるとともに吸気弁40が開かれ(INa)、さらに吸気行程の途中で排気弁60が再開弁動作を行い(EX2)、かつ、吸気弁40が下死点より前で閉弁するように設定される。そして、このような設定に従って吸気弁40および排気弁60が開閉作動するように、VCT制御手段121、VVE制御手段122および排気弁制御手段123による制御が行われる。
なお、領域A内で運転状態が変ると、それに応じ、吸気弁40の閉弁時期が、下死点より前の期間で変化するように調整される。すなわち、VCT制御手段121およびVVE制御手段122が閉弁時期調整手段として機能し、領域A内でエンジン負荷が高くなるに伴い、吸気弁40の閉弁時期が下死点に近づいて吸気弁開弁期間が長くなり、かつ、吸気弁リフト量も大きくなるように調整される。
一方、領域Bでは、通常運転モードの制御として、図10(B)に示すように、排気弁60は排気行程における開弁動作EX1のみを行って、吸気行程での再開弁動作EX2を停止し、吸気弁40は、領域Aでの開弁特性と比べて吸気弁閉時期が遅角(好ましくは下死点後まで遅角)され、開弁期間および開弁リフト量が大きくなるように開弁特性(INb)が設定される。そして、このような設定に従って吸気弁40および排気弁60が開閉作動するように、VCT制御手段121、VVE制御手段122および排気弁制御手段123による制御が行われるとともに、点火制御手段124による制御で火花点火が行われる。
図11は、4気筒4サイクルエンジンの各気筒の行程と、火花点火運転から圧縮自己着火運転への移行時の着火状態の変化とを示している。なお、この図において、FおよびF1,F2は燃料噴射、Cは自己着火、Sは火花点火をそれぞれ示している。
この図のように、各気筒では1サイクル(エンジン2回転)の間に吸入、圧縮、膨張、排気の4行程が順次行われる。そして、4気筒4サイクルエンジンでは一般に、気筒列方向一端側から順に第1〜第4気筒(#1〜#4)とすると、第2気筒(#2)、第1気筒(#1)、第3気筒(#3)、第4気筒(#4)の順にクランク角で180°ずつの位相差をもって上記各行程が行われる。
また、当実施形態では第1、第2気筒(#1,#2)を第1グループ、第3、第4気筒(#3,#4)を第2グループとして、各グループ毎に2気筒ずつ、吸気弁40および排気弁60の開弁特性が制御される。
このようにした場合に、運転状態判定手段により火花点火運転の領域(図9中の領域B)から圧縮自己着火運転の領域(図9中の領域A)への移行が判定されたとき、吸気行程中に吸気弁および排気弁の特性を切換えることができないため、移行判定時点t後に、各グループ毎に、2気筒のうちで吸気行程が遅い方の気筒の吸気行程直後に、電磁弁79aが制御されることにより再開弁動作が行われる状態に排気弁開弁特性が切換えられる。この排気弁開弁特性切換のタイミングは、図11中に一点鎖線の楕円で囲って示すように、第1グループでは第1気筒の圧縮行程(第2気筒の膨張行程)、第2グループでは第4気筒の圧縮行程(第3気筒の膨張行程)となる。また、この排気弁開弁特性の切換えとともに、吸気弁開弁特性も図10(B)に示す特性(INb)から図10(A)に示す小リフト特性(INa)に切換えられる。このように排気弁および吸気弁の開弁特性が切換えられた後は、圧縮自己着火が行われる。
また、上記燃料噴射制御手段140による燃料噴射の制御として、少なくとも通常運転モードの運転領域と圧縮自己着火運転モードの運転領域との境界付近にあるときは、いずれのモードでも燃料噴射Fが吸気行程で行われるように制御されるが、通常運転モードから圧縮自己着火運転モードへの移行直後は、噴射燃料の少なくとも一部が圧縮行程後半に噴射されるように制御される。すなわち、各気筒において排気弁および吸気弁の開弁特性が切換えられた後において初めての吸気行程からの少なくとも1サイクル分は、圧縮行程後半に燃料噴射が行われ、当実施形態では、吸気行程と圧縮行程後半とに分割噴射F1,F2が行われるようになっている。
図12及び図13は、ECU100の燃焼制御手段120等による制御の一例をフローチャートで示している。このフローチャートを、図9〜図11も参照しつつ説明する。
ECU100は、先ずステップS1で、運転状態が領域Aにあるか否かを判定し、その判定がYESのときは、ステップS2で、全気筒とも、エンジン回転数および負荷に応じて圧縮自己着火運転モード(HCCIモード)のマップから求めた吸排気弁の開弁特性(図10(A)参照)とし、つまり吸気弁は閉時期が下死点より前で小リフトの特性、排気弁は再開弁動作を実行する特性とし、これにより圧縮自己着火運転を行う。
ステップS1の判定がNOの場合、つまり運転状態が高負荷側や高回転側の領域(領域B)にあるときには、ステップS3で、全気筒とも、エンジン回転数および負荷に応じて通常運転モード(SIモード)のマップから求めた吸排気弁の開弁特性(図10(B)参照)および点火時期で、火花点火運転を行う。
ステップS3に続いてステップS4で、運転状態が領域Bから領域Aへ移行したか否を判定する。移行していなければ、ステップS3を繰返し、通常運転モードを持続する。
運転状態が領域Bから領域Aへ移行したときは、ステップS5で、先に吸排気弁の開弁特性の切換可能な気筒が第1グループか否かを判別する。つまり、図11中に示したように上記開弁特性の切換が可能な時期は第1グループと第2グループとで異なり、領域Bから領域Aへの移行の時期によっていずれのグループが先に切換可能になるかが変ってくるので、それをステップS5で判別している。
ステップS5の判定がYESの場合(あるいは後記ステップS15の判定がNOの場合)は、ステップS6で、第1グループにおいて所定タイミング(第1気筒の圧縮行程初期)を過ぎたら排気弁を再開弁特性、吸気弁を小リフト特性とするように切換える。続いてステップS7で、第1グループでの開弁特性の切換えが完了したか否かを判定し、完了していれば、ステップS8で、第1グループの気筒において、1サイクル分だけ、燃料噴射弁28からの燃料噴射を吸気行程と圧縮行程の分割噴射とした状態で、圧縮自己着火運転を行わせる。
ステップS8に続いてステップS9で、全グループでの吸排気弁の開弁特性の切換えが完了したかどうかを判定し、完了していなければ、ステップS10でフラッグFを「1」にセットする。
上記ステップS5の判定がNOの場合や、上記ステップS10の処理の後は、ステップS11に移る。このステップS11では、第2グループにおいて所定タイミング(第4気筒の圧縮行程初期)を過ぎたら排気弁を再開弁特性、吸気弁を小リフト特性とするように切換える。次にステップS12で、フラッグFが「1」か否かを判定し、その判定がYESであれば、ステップS13で、第2グループでの開弁特性の切換えが完了したか否かを判定する。なお、ステップS7の判定がNOの場合もステップS13の判定に移る。
第2グループでの開弁特性の切換えが完了していれば、ステップS14で、第2グループの気筒において、1サイクル分だけ、燃料噴射弁28からの燃料噴射を吸気行程と圧縮行程の分割噴射とした状態で、圧縮自己着火運転を行わせる。
続いてステップS15で、全グループでの開弁特性の切換えが完了したかどうかを判定する。完了していなければ、上記ステップS6に移る。
上記ステップS9又はステップS15で、全グループでの開弁特性の切換えが完了していることを判定したときは、ステップS16でフラッグFを「0」にするとともに、ステップS17で、燃料噴射弁28からの燃料噴射を吸気行程の一括噴射とした状態で、圧縮自己着火運転を行わせる。
以上のような当実施形態のエンジンによると、低中回転領域における所定負荷以下の運転領域Aでは、圧縮自己着火運転モードに燃焼状態が制御される。つまり、図10(A)に示すように、吸気弁40が小リフト特性とされるとともに吸気行程の途中で排気弁60が再開弁動作を行うように制御される。これにより、排気弁再開弁動作中に排気ポートから排気ガスが燃焼室内に導入されて、多量の内部EGRが得られ、この内部EGRで筒内温度が高められて、圧縮自己着火による燃焼が行われ、燃焼効率が高められて燃費が大幅に改善される。一方、高負荷側や高回転側の運転領域Bでは、圧縮自己着火を行わせようとすると、ノッキングが生じ易くなるとともに、多量の内部EGRによってトルクが高められなくなるため、図10(B)に示すように、排気弁60の再開弁動作が停止されるとともに吸気弁40が通常のリフト特性とされて、この状態で混合気を火花点火により燃焼させる通常運転モードに燃焼状態が制御される。
ところで、図9中に矢印で示すように運転状態が領域Bから領域Aに変化することによって通常運転モードから圧縮自己着火運転モードに移行したときの移行直後には、一時的にノッキングが生じ易くなる傾向が本来的にある。
すなわち、圧縮自己着火運転モードへの移行直後は、それまで比較的高負荷側の領域Bにあったため筒内温度が高く、また、火花点火運転の方が圧縮自己着火運転よりも熱効率が悪くて排気温度が高いので、圧縮自己着火運転モードへの移行直後の最初の排気弁再開弁動作時には、その前の火花点火運転時の高温の排気ガスが内部EGRとして筒内に導入される。このため、圧縮自己着火運転モードへの移行直後の特に1サイクル目は、筒内温度が高くなりすぎてノッキングが生じ易い。
これに対し、当実施形態では、通常運転モードから圧縮自己着火運転モードへの移行直後に、各気筒に対してそれぞれ1サイクル分は、燃料の一部を圧縮行程後半に噴射しているため、その圧縮行程後半に噴射した燃料の気化潜熱で適度に筒内温度が引き下げられ、ノッキングの発生が抑制されることとなる。そして、当実施形態のように吸気行程と圧縮行程後半とに分割噴射されるようになっていると、吸気行程で噴射された燃料は着火までの間に充分に気化、霧化されるとともに燃焼室全体に均一に拡散されるため、良好に圧縮自己着火による燃焼が行われる。
なお、本発明のエンジンの具体的構造は上記実施形態に限定されず、種々変更可能である。
例えば、上記実施形態では、圧縮自己着火運転モードへの移行直後におけるノッキング防止のための制御として分割噴射を行っているが、圧縮行程後半に一括に燃料を噴射してもよい。
また、圧縮自己着火運転モードへの移行直後に各気筒に対してそれぞれ1サイクル分だけ分割噴射を行っているが、それまでの運転状態の影響で圧縮自己着火運転モードへの移行後に筒内温度が過度に高くなる傾向が数サイクルに及ぶような場合、上記分割噴射又は圧縮行程後半の一括噴射を数サイクルにわたって行うようにしてもよい。
圧縮自己着火運転時の吸排気弁の制御としては、上記実施形態のように排気弁を吸気行程で再度開弁させるようにする代りに、吸気弁を吸気行程での開弁のほかに排気行程で開弁させるようにしてもよく、このようにすれば、排気行程での吸気弁開弁動作中に燃焼室内の既燃ガスの一部が吸気ポート側に流出し、これが次の吸気行程で燃焼室内に戻されるので、この場合も多量の内部EGRが得られ、筒内温度が高められることとなる。また、これらの手法では多量の内部EGRにより圧縮自己着火を可能にしているが、これに代えて、あるいはこれと併用して、吸気加熱手段により吸気加熱することで圧縮自己着火を可能にしてもよい。この場合も、圧縮自己着火運転モードへの移行時はそれまでの運転状態の影響で筒内温度が過度に高くなり易い傾向があるので、圧縮自己着火運転モードへの移行直後の1サイクルないし数サイクルの期間は、上記分割噴射又は圧縮行程後半の一括噴射により筒内温度を適度に引き下げてノッキングを抑制することが望ましい。
本発明の一実施形態に係る4サイクル火花点火式エンジンの概略構成を示す構成図である。 図1に係るエンジンの一つの気筒とそれに対して設けられた吸排気弁等の構造を示す断面略図である。 図1の実施形態に係る動弁機構の具体的な構成を示す斜視図である。 図3中に示すのVVEの要部を示す断面図であり、(A)は大リフト制御状態においてリフト量が0のときを示し、(B)は大リフト制御状態においてリフト量が最大のときを示し、(C)は小リフト制御状態においてリフト量が0のときを示し、(D)は小リフト制御状態においてリフト量が最大のときを示している。 図4(B)(D)の制御状態を模式的に表わすものであり、(A)は大リフト制御位置、(B)は小リフト制御位置に対応している。 排気弁に対して設けられた弁動作切換機構の分解斜視図である。 上記弁動作切換機構の正面断面図である。 上記弁動作切換機構の平面断面図である。 図1の実施形態に係るエンジンにおいて運転状態に応じた制御を行うための運転領域設定の一例を示す特性図である。 排気弁吸気弁の開弁特性を示す図であって、(A)は部分負荷域にある場合の特性、(B)は高負荷域にある場合の特性を示す。 4気筒4サイクルエンジンの各気筒の行程と、火花点火運転から圧縮自己着火運転への移行時の着火状態の変化とを示す説明図である。 ECUによる制御の一例を示すフローチャートである。 図12のフローチャートの続きの部分である。
符号の説明
10 火花点火式エンジン
24 気筒
28 燃料噴射弁
29 点火プラグ
29a 点火回路
40 吸気弁
60 排気弁
100 ECU
120 燃焼制御手段
140 燃料噴射制御制御手段

Claims (4)

  1. エンジンの部分負荷域では燃焼室内の混合気を圧縮自己着火により燃焼させる圧縮自己着火運転モードに燃焼状態を制御し、エンジンの高負荷域では、圧縮自己着火を停止させて、燃焼室内の混合気を火花点火により燃焼させる通常運転モードに燃焼状態を制御するようにした火花点火式エンジンにおいて、
    エンジンの燃焼室に直接燃料を噴射する燃料噴射弁と、
    エンジンの運転状態を判定する運転状態判定手段と、
    上記運転状態判定手段による判定に基づき、エンジンの運転状態が少なくとも上記圧縮自己着火運転モードの運転領域と上記通常運転モードの運転領域との境界付近にあるときはいずれの運転モードでも吸気行程で燃料を噴射するとともに、上記通常運転モードから上記圧縮自己着火運転モードへの移行直後は、噴射燃料の少なくとも一部を圧縮行程後半に噴射するように、上記燃料噴射弁からの燃料噴射を制御する燃料噴射制御手段とを備えたことを特徴とする4サイクル火花点火式エンジン。
  2. 上記燃料噴射制御手段は、上記通常運転モードから上記圧縮自己着火運転モードへの移行直後に、燃料噴射を吸気行程と圧縮行程後半とに分割して行うように制御することを特徴とする請求項1記載の4サイクル火花点火式エンジン。
  3. 上記圧縮自己着火運転モードでは、排気弁を排気行程での開弁動作のほかに吸気行程で開弁させ、あるいは吸気弁を吸気行程での開弁動作のほかに排気行程で開弁させることにより、内部EGRで筒内温度を高めて圧縮自己着火を行わせることを特徴とする請求項1又は2に記載の4サイクル火花点火式エンジン。
  4. 上記燃料噴射制御手段は、上記通常運転モードから上記圧縮自己着火運転モードへの移行直後に、噴射燃料の少なくとも一部を圧縮行程後半に噴射する制御を、各気筒に対してそれぞれ1サイクル分だけ行うことを特徴とする請求項3記載の4サイクル火花点火式エンジン。
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