JP3885697B2 - 火花点火式エンジンの制御装置 - Google Patents

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  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)
  • Combined Controls Of Internal Combustion Engines (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、火花点火式エンジンの制御装置に関し、より詳しくは、多気筒エンジンにおいて燃費改善及びエミッション向上のために各気筒の燃焼状態および吸排気弁の開閉時期を制御する装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、火花点火式エンジンにおいて、各気筒内の混合気の空燃比を理論空燃比よりも大きいリーン空燃比とした状態で燃焼を行わせることにより燃費改善を図る技術が研究されており、燃焼室内に直接燃料を噴射する燃料噴射弁を備え、低回転低負荷域等では上記燃料噴射弁から圧縮行程で燃料を噴射することにより成層燃焼を行わせ、これによって超リーン燃焼を実現するようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
このようなエンジンにおいては、排気ガス浄化用の触媒として通常の三元触媒(HC,CO及びNOxに対して理論空燃比付近で浄化性能の高い触媒)だけではリーン運転時にNOxに対して充分な浄化性能が得られないため、酸素過剰雰囲気でNOxを吸着して酸素濃度低下雰囲気でNOxの離脱、還元を行うリーンNOx触媒を設けている。そして、このようなリーンNOx触媒を用いる場合、リーン運転中にリーンNOx触媒のNOx吸着量が増大したときは、例えば上記引用文献1に示されるように主燃焼以外に膨張行程中に追加燃料を噴射することで排気ガスの空燃比をリッチ化するとともにCOを生成し、これによってNOxの離脱、還元を促進するようにしている。
【0004】
上記のようなリーン運転を行うエンジンでは、リーン運転中のNOx浄化性能の確保のために上記リーンNOx触媒を必要とする。そして、高負荷域等の理論空燃比で運転される領域での排気浄化のために三元触媒も必要であって、この三元触媒に加えて上記リーンNOx触媒が設けられ、かつ、このリーンNOx触媒はNOx吸着量をある程度確保するために比較的大容量が必要となり、また、三元触媒と比べて高価であるため、コスト的に不利である。
【0005】
しかも、上記リーンNOx触媒の浄化性能を維持するためには、上述のようにNOx吸着量が増大するような所定の期間毎に、NOxの離脱、還元のため追加燃料の供給等による一時的な空燃比のリッチ化を行う必要があり、これにより、リーン燃焼による燃費改善効果が目減りしてしまうことになる。
【0006】
このような課題に対し、本願出願人は、吸気、圧縮、膨張、排気の各行程からなるサイクルを行う多気筒エンジンにおいて、少なくとも低負荷低回転域では、排気行程と吸気行程が重なる一対の気筒間において排気行程側の気筒である先行気筒から排出される既燃ガスをそのまま吸気行程側の気筒である後続気筒に導入し、この後続気筒から排出されるガスを三元触媒を備えた排気通路に導くようにするとともに、この2気筒接続状態にあるときに、上記先行気筒において理論空燃比よりも所定量大きいリーン空燃比とした状態で燃焼を行わせ、後続気筒では先行気筒から導入されたリーン空燃比の既燃ガスに燃料を供給して理論空燃比とした状態で燃焼を行わせるように燃焼状態等を制御することを考えた(特願2002−024548号)。
【0007】
これによると、少なくとも低負荷低回転域において、先行気筒ではリーン空燃比での燃焼が行われ、熱効率が高められるとともにポンピングロスが低減されることにより大幅な燃費改善効果が得られ、また、上記後続気筒では先行気筒から導入されたリーン空燃比の既燃ガスに燃料が供給されて理論空燃比とされた状態で燃焼が行われて、ポンピングロス低減による燃費効果が得られる。しかも、後続気筒から排出される理論空燃比の既燃ガスのみが三元触媒を備えた排気通路に導かれるため、三元触媒だけで充分に排気浄化性能が確保され、リーンNOx触媒も不要となる。
【0008】
更に、後続気筒の燃焼を、圧縮行程後期に燃焼室内を高温、高圧にして燃料を自己着火させるようにした圧縮着火によるものとすれば、燃焼室全体に亘り一気に燃焼するため、仕事に寄与しない遅い燃焼が避けられ、燃費改善に一層有利となる。後続気筒を圧縮着火させるためには、燃焼室内を高温、高圧にする必要があるが、上記のように2気筒接続状態とすることにより、後続気筒には先行気筒から高温の既燃ガスが導入されるので、圧縮着火が可能となっている。
【0009】
【特許文献1】
特開平10−274085号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、三元触媒だけで充分に排気浄化性能を確保しつつ、大幅な燃費改善効果を得るためには、2気筒接続状態での燃焼制御を行い、特に圧縮着火による燃焼を行うことが有効である。後続気筒で圧縮着火を行うためには、燃焼室内が高温、高圧でなければならないが、逆に高温になり過ぎるとノッキング等の異常燃焼の虞がある。従って、適正に圧縮着火を行い得る運転領域は、燃焼室内が好適な温度、圧力となるような一定の範囲内とする必要がある。そして、より大きな燃費改善効果を得るために、その範囲を拡大することが望まれていた。
【0011】
本発明は以上のような課題を考慮してなされたものであり、三元触媒だけで充分に排気浄化性能を確保しつつ、リーン燃焼やポンピングロス低減等による燃費改善効果を得るとともに、その寄与度の高い運転領域を拡大することにより、更に大きな燃費改善効果が得られる火花点火式エンジンの制御装置を提供するものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、各気筒が所定の位相差をもって吸気、圧縮、膨張、排気の各行程からなるサイクルを行うようになっている多気筒の火花点火式エンジンにおいて、少なくとも低負荷低回転域で、排気行程と吸気行程が重なる一対の気筒間において排気行程側の気筒である先行気筒から排出される既燃ガスがそのまま吸気行程側の気筒である後続気筒に気筒間ガス通路を介して導入され、この後続気筒から排出される排ガスが排気通路に導かれるような2気筒接続状態にガス流通経路を構成するとともに、上記2気筒接続状態にあるときに、上記先行気筒では理論空燃比よりも所定量大きいリーン空燃比とした状態で強制点火により燃焼を行わせ、上記後続気筒では、先行気筒から導入されたリーン空燃比の既燃ガスに実質的に理論空燃比となるような量の燃料を供給するとともに圧縮着火により燃焼を行わせるように各気筒の燃焼を制御する燃焼制御手段と、上記先行気筒に新気を導入する先行気筒吸気弁と、当該先行気筒から上記排気通路に排ガスを排出する先行気筒排気弁と、上記気筒間ガス通路から上記後続気筒に既燃ガスを導入する既燃ガス導入弁と、上記後続気筒に新気を導入する後続気筒吸気弁とを備え、少なくとも上記2気筒接続状態にあるときには、上記先行気筒吸気弁が開弁することで上記先行気筒に新気が導入されるとともに、上記既燃ガス導入弁が開弁することで上記気筒間ガス通路から上記後続気筒に既燃ガスが導入される一方、当該2気筒接続状態にあるときには、上記先行気筒排気弁と上記後続気筒吸気弁とは閉弁しており、上記2気筒接続状態となる運転領域のうち、少なくとも低負荷側の所定領域において、上記後続気筒の吸気行程下死点と上記既燃ガス導入弁の閉弁時期との間隔が、上記先行気筒の吸気行程下死点と上記先行気筒吸気弁の閉弁時期との間隔よりも短くなるように設定されていることを特徴とする火花点火式エンジンの制御装置である。
【0013】
この構成によると、少なくとも低負荷低回転域において、先行気筒では空気が過剰に存在するリーン空燃比で、強制点火による燃焼が行われ、このリーン燃焼によって熱効率が高められるとともにポンピングロスが低減され、大幅な燃費善効果が得られる。また、後続気筒では、先行気筒から導入されたリーン空燃比の既燃ガスに追加燃料が供給されて圧縮着火による燃焼が行われる。先行気筒から気筒間ガス通路を介して導入されるガスは高温であるために、追加燃料の気化が促進されるうえ、圧縮着火により燃焼室全体に亘り一気に燃焼するので、仕事に寄与しない遅い燃焼が避けられ、高い燃費改善効果が得られる。また、先行気筒ではリーン空燃比で燃焼が行われることによりNOx発生量が比較的少なく抑えられ、後続気筒では、先行気筒から既燃ガスが導入されることで多量のEGR(排気再循環)が行われているのと同等の状態となることからNOxの発生が充分に抑制され、排ガス浄化が促進される。
【0014】
しかも後続気筒から排出される理論空燃比の燃焼による排ガスのみが排気通路に導かれるので、排気通路には三元触媒を備えるだけで充分に排気浄化性能が確保される。先行気筒で熱効率の良いリーン燃焼を行いながら、リーン燃焼を行う際に従来必要とされていた、比較的高価なリーンNOx触媒を必要としないので、コストを削減することができる。
【0015】
更に、2気筒接続状態となる運転領域のうち、少なくとも低負荷側の所定領域において、上記後続気筒の吸気行程下死点と既燃ガス導入弁の閉弁時期との間隔が、上記先行気筒の吸気行程下死点と先行気筒吸気弁の閉弁時期との間隔よりも短くなるように設定されている。すなわち、後続気筒の既燃ガス導入弁(一種の吸気弁である)の閉弁時期を、新気を吸入する場合(先行気筒)に比べて早期(下死点に近い側)に閉じるようにしている。そのため、後続気筒での有効圧縮比を増大させることができる。
【0016】
従来のエンジンでは、吸気弁の閉弁時期を、吸気行程下死点よりも遅らせる(クランク角で50°程度)のが一般的である。これは吸入抵抗による吸気の遅れを補うためであり、下死点よりも遅れて閉じることにより新気の充填効率を向上させている。しかし一方では、ピストンが下死点を過ぎて上昇中にも吸気弁が開いているので、有効圧縮比は幾何学的圧縮比よりも小さくなっている。本構成によると、既燃ガス導入弁の閉弁時期をより下死点に近づけることができるので、有効圧縮比を幾何学的圧縮比に近づける、即ち増大させることができるのである。なお、このとき後続気筒に導入されるのはスロットルバルブに絞られた新気ではなく、先行気筒から排出された既燃ガスなので、既燃ガス導入弁を早期に閉じてもその充填は充分になされる。
【0017】
後続気筒の有効圧縮比を増大させると、筒内温度が上昇するため、圧縮着火し易くなる。従って、筒内温度が上昇し難く、圧縮着火性の低い低負荷領域であっても、その圧縮着火性を向上させることができる。すなわち、圧縮着火による燃焼を行うことができる運転領域をより低負荷の領域まで拡大することができるので、更に燃費を向上させ、排ガス浄化を促進させることができる。
【0018】
なお、各行程や上死点(TDC)、下死点(BDC)等の語は、ピストンの動作や位置を指すが、ピストン位置はクランク角の関数ともなっているので、一般になされているように、本明細書でも各行程やピストン位置をクランク角で示す表現に準ずる。たとえば、ピストンが上死点から下死点まで移動したとき、クランク軸が180°回転する場合、上死点と下死点との間隔はクランク角180°(以下180°CAと記す)である。また、吸気弁の開弁時期や吸気弁の開弁期間などという場合の時期や期間の単位は、クランク角とする。
【0019】
請求項2の発明は、請求項1記載の火花点火式エンジンの制御装置において、少なくとも上記2気筒接続状態にあるときに、上記後続気筒の排ガスを排出する後続気筒排気弁が設けられ、上記2気筒接続状態となる運転領域のうち、少なくとも低負荷側の所定領域において、上記後続気筒排気弁を、上記後続気筒の排気行程上死点までは開弁しつつ、上記既燃ガス導入弁の開弁時期が、上記後続気筒の吸気行程上死点となるように設定されていることを特徴とする。
【0020】
このようにすると、後続気筒の排気行程上死点付近で、後続気筒排気弁と既燃ガス導入弁とが共に開弁している期間(いわゆるバルブオーバーラップ)を短縮することができる(零とする場合も含む)。従来の一般的な設定は、吸気弁の開弁時期を吸気行程上死点よりも早期(5〜10°CA程度)としていたところ、本構成ではそれを吸気行程上死点に合わせているからである。このようにバルブオーバーラップを短縮することにより、後続気筒に導入された既燃ガスが、そのまま後続気筒排気弁を通して排気通路に排出される、いわゆる吹き抜けが防止されるとともに、後続気筒の有効圧縮率を増大させることができる。有効圧縮比の増大に伴い、圧縮着火性が向上するので、上記のように更に燃費を向上させ、排ガス浄化を促進させることができる。
【0021】
請求項3の発明は、請求項1または2記載の火花点火式エンジンの制御装置において、上記2気筒接続状態となる運転領域のうち、高負荷側の所定領域において、上記既燃ガス導入弁の閉弁時期が、低負荷側の所定領域にあるときの該時期よりも遅れ側に設定されていることを特徴とする。
【0022】
このようにすると、比較的高負荷であり、筒内温度が高く、圧縮着火性は高いものの、その筒内温度が必要以上に高過ぎて逆にノッキング等の異常燃焼が発生する虞のある場合、既燃ガス導入弁の閉弁時期を遅らせることにより、後続気筒の有効圧縮比を小さくすることができる。後続気筒の有効圧縮比を小さくすると筒内温度が低下するので、ノッキング等の異常燃焼の発生を防止することができる。従って、異常燃焼を伴わずに圧縮着火による燃焼を行い得る運転領域を、より高負荷側に拡大することができ、更に燃費を向上させ、排ガス浄化を促進させることができる。
【0023】
請求項4の発明は、請求項1または2記載の火花点火式エンジンの制御装置において、上記2気筒接続状態となる運転領域のうち、高負荷高回転側の所定領域において、上記既燃ガス導入弁の閉弁時期が、低負荷低回転側の所定領域にあるときの該時期よりも遅れ側に設定されていることを特徴とする。
【0024】
このようにすると、請求項3の発明に加え、回転数も考慮した制御を行うことができる。筒内温度は回転数によっても変化するので、制御条件として回転数を考慮することにより、より詳細で適切な圧縮着火性の制御ができる。
【0025】
請求項5の発明は、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の火花点火式エンジンの制御装置において、少なくとも上記2気筒接続状態にあるときに、上記先行気筒の既燃ガスを上記気筒間ガス通路に排出する既燃ガス排出弁が設けられ、上記2気筒接続状態となる運転領域において、上記既燃ガス排出弁の閉弁時期が、上記既燃ガス導入弁の閉弁時期よりも進み側に設定されるとともに、上記既燃ガス排出弁の開弁期間と上記既燃ガス導入弁の開弁期間とをそれぞれ個別に一定の所定値としつつ、少なくともエンジン負荷に応じて、上記既燃ガス排出弁の開弁時期と上記既燃ガス導入弁の開弁時期とが、その時期差を一定に保ちながら前後に変動するように設定されていることを特徴とする。
【0026】
このようにすると、既燃ガス排出弁の閉弁時期をエンジン負荷に応じて前後に変動させることができるので、比較的低負荷のときに既燃ガス導入弁の閉弁時期を下死点付近まで早期化させ、有効圧縮比を増大させることができる。
【0027】
このとき、既燃ガス排出弁の閉弁時期は、既燃ガス導入弁の閉弁時期よりも進み側となっているため、上死点よりも前になる。これは、従来のエンジンの一般的な排気弁の閉弁時期(上死点後50°CA程度)よりも早期になっている。既燃ガス排出弁を早期に閉じることにより、先行気筒の既燃ガスの残存量が増大する(以下内部EGRの増大という)。先行気筒の内部EGRが増大すると、その筒内温度が上昇するので、先行気筒から排出され、後続気筒に導入される既燃ガスの温度が上昇する。
【0028】
すなわち、後続気筒の有効圧縮比を増大させるとともに、後続気筒に導入される既燃ガス温度を上昇させることができる。その結果、後続気筒の筒内温度を上昇させて圧縮着火性を向上させることができる。このようにして圧縮着火による燃焼を行うことができる運転領域をより低負荷の領域まで拡大することができるので、更に燃費を向上させ、排ガス浄化を促進させることができる。
【0029】
一方、比較的高負荷のときは全体的に開弁期間を遅らせることにより、既燃ガス導入弁の閉弁時期を吸気行程下死点よりも遅らせるとともに、既燃ガス排出弁の閉弁時期を遅らせることができる。既燃ガス導入弁を下死点よりも遅らせて閉じることにより後続気筒の有効圧縮比を減少させることができる。また既燃ガス排出弁の弁時期を遅らせることにより、先行気筒の内部EGRを減少させ、後続気筒に導入される既燃ガス温度を低下させることができる。
【0030】
すなわち、後続気筒の有効圧縮比を減少させるとともに、後続気筒に導入される既燃ガス温度を低下させることができる。その結果、後続気筒の筒内温度が高くなり過ぎて異常燃焼を起こすことを防止することができる。従って、異常燃焼を伴わずに圧縮着火による燃焼を行い得る運転領域を、より高負荷側に拡大することができ、更に燃費を向上させ、排ガス浄化を促進させることができる。
【0031】
なお、各弁の開閉時期を変動させるにあたり、既燃ガス排出弁の開弁期間と既燃ガス導入弁の開弁期間とをそれぞれ個別に一定の所定値としつつ、これらの開弁時期の時期差を一定に保つようにしている。このようにすると、各弁の開閉に関る各カムの形状によって各弁の開閉時期が一義的に設定される構造のエンジンでは、カムの切換等をする必要がなく、各弁に関るカムは常に同一のカムを使用することができる。そして開弁時期の変動は、その弁の開閉に関るカムと一体回転するカムシャフトと、クランクシャフトとの位相(相対角度)を変動させることによりなすようにすれば良いので、対象となるエンジンの構造を、それぞれのカムを独立して制御するものよりも簡単にすることができ、小型、軽量、低コストのエンジンとすることができる。
【0032】
請求項6の発明は、各気筒が所定の位相差をもって吸気、圧縮、膨張、排気の各行程からなるサイクルを行うようになっている多気筒の火花点火式エンジンにおいて、少なくとも低負荷低回転域で、排気行程と吸気行程が重なる一対の気筒間において排気行程側の気筒である先行気筒から排出される既燃ガスがそのまま吸気行程側の気筒である後続気筒に気筒間ガス通路を介して導入され、この後続気筒から排出される排ガスが排気通路に導かれるような2気筒接続状態にガス流通経路を構成するとともに、上記2気筒接続状態にあるときに、上記先行気筒では理論空燃比よりも所定量大きいリーン空燃比とした状態で強制点火により燃焼を行わせ、上記後続気筒では、先行気筒から導入されたリーン空燃比の既燃ガスに実質的に理論空燃比となるような量の燃料を供給するとともに圧縮着火により燃焼を行わせるように各気筒の燃焼を制御する燃焼制御手段と、上記先行気筒に新気を導入する先行気筒吸気弁と、当該先行気筒から上記排気通路に排ガスを排出する先行気筒排気弁と、上記気筒間ガス通路から上記後続気筒に既燃ガスを導入する既燃ガス導入弁と、上記後続気筒に新気を導入する後続気筒吸気弁とを備え、少なくとも上記2気筒接続状態にあるときには、上記先行気筒吸気弁が開弁することで上記先行気筒に新気が導入されるとともに、上記既燃ガス導入弁が開弁することで上記気筒間ガス通路から上記後続気筒に既燃ガスが導入される一方、当該2気筒接続状態にあるときには、上記先行気筒排気弁と上記後続気筒吸気弁とは閉弁しており、上記2気筒接続状態となる運転領域のうち、少なくとも低負荷側の所定領域において、上記既燃ガス導入弁の開弁期間が上記先行気筒吸気弁の開弁期間よりも短く、かつ上記後続気筒の吸気行程下死点と上記既燃ガス導入弁の閉弁時期との間隔が、上記先行気筒の吸気行程下死点と上記先行気筒吸気弁の閉弁時期との間隔よりも短くなるように設定されていることを特徴とする火花点火式エンジンの制御装置である。
【0033】
この構成によると、請求項1の作用効果と同様、先行気筒ではリーン燃焼によって熱効率が高められるとともにポンピングロスが低減され、大幅な燃費善効果が得られるとともに、後続気筒では圧縮着火による燃焼を行うことで更に高い燃費改善効果が得られる。また、三元触媒を備えるだけで低コストでありながら充分に排気浄化性能が確保される。
【0034】
更に、比較的低負荷の走行状態のとき、後続気筒の既燃ガス導入弁の開弁期間が先行気筒吸気弁の開弁期間よりも短く、かつ既燃ガス導入弁の閉弁時期が先行気筒吸気弁の閉弁時期よりも吸気下死点に近くなるようにできるので、相対的に既燃ガス導入弁の閉弁時期を早期化することができ、後続気筒の有効圧縮比を増大させることができる。後続気筒の有効圧縮比を増大させると、筒内温度が上昇するため、圧縮着火し易くなる。従って、筒内温度が上昇し難く、圧縮着火性の低い低負荷領域であっても、その圧縮着火性を向上させることができ、上記のように更に燃費を向上させ、排ガス浄化を促進させることができる。
【0035】
請求項7の発明は、請求項6記載の火花点火式エンジンの制御装置において、少なくとも上記2気筒接続状態にあるときに、上記後続気筒の排ガスを排出する後続気筒排気弁が設けられ、上記2気筒接続状態となる運転領域のうち、少なくとも低負荷側の所定領域において、上記既燃ガス導入弁の開弁期間が、上記後続気筒排気弁の開弁期間よりも短くなるように設定されていることを特徴とする。
【0037】
このようにすると、いずれも相対的に既燃ガス導入弁の閉弁時期を早期化することとなる。そのため、後続気筒の有効圧縮比を増大させることができ、上記のように更に燃費を向上させ、排ガス浄化を促進させることができる。
【0038】
請求項の発明は、請求項6に記載の火花点火式エンジンの制御装置において、少なくとも上記2気筒接続状態にあるときに、上記先行気筒の既燃ガスを上記気筒間ガス通路に排出する既燃ガス排出弁が設けられ、上記2気筒接続状態となる運転領域のうち、少なくとも低負荷側の所定領域において、上記既燃ガス導入弁の開弁時期が、上記既燃ガス排出弁の開弁時期よりも遅れ側に設定されていることを特徴とする。
【0039】
このようにすると、既燃ガス導入弁の閉弁時期を吸気行程下死点付近に設定することができるので、後続気筒の有効圧縮比を増大させることができ、上記のように更に燃費を向上させ、排ガス浄化を促進させることができる。
【0040】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。図1は本発明の第1の実施形態によるエンジンの概略構成を示し、図2はエンジン本体1の一つの気筒とそれに対して設けられた吸・排気弁等の構造を概略的に示している。これらの図において、エンジン本体1は複数の気筒を有し、図示の実施形態では4つの気筒2A〜2Dを有している。各気筒2A〜2Dにはピストン3が嵌挿され、ピストン3の上方に燃焼室4が形成されている。
【0041】
各気筒2A〜2Dの燃焼室4の頂部には点火プラグ7が装備され、そのプラグ先端が燃焼室4内に臨んでいる。この点火プラグ7には、電子制御による点火時期のコントロールが可能な点火回路8が接続されている。
【0042】
燃焼室4の側方部には、燃焼室4内に燃料を直接噴射する燃料噴射弁9が設けられている。この燃料噴射弁9は、図略のニードル弁及びソレノイドを内蔵し、パルス信号が入力されることにより、そのパルス入力時期にパルス幅に対応する時間だけ駆動されて開弁し、その開弁時間に応じた量の燃料を噴射するように構成されている。なお、この燃料噴射弁9には、図外の燃料ポンプにより燃料供給通路等を介して燃料が供給され、かつ、圧縮行程での燃焼室内の圧力よりも高い燃料圧力を与え得るように燃料供給系統が構成されている。
【0043】
また、各気筒2A〜2Dの燃焼室4に対して吸気ポート11、11a,11b及び排気ポート12、12a,12bが開口し、これらのポートに吸気通路15、排気通路20等が接続されるとともに、各ポートにはそれぞれ先行気筒吸気弁31、後続気筒吸気弁31a、既燃ガス導入弁31b、後続気筒排気弁32、先行気筒排気弁32aおよび既燃ガス排出弁32b(これらの弁は従来エンジンの吸排気弁に相当する)が設けられている。更にその上方にはカムシャフト33,34と、これらと一体回転するカム26,27が設けられている。
【0044】
そして、各気筒が所定の位相差をもって吸気、圧縮、膨張、排気の各行程からなるサイクルを行うようになっており、4気筒エンジンの場合、気筒列方向一端側から1番気筒2A、2番気筒2B、3番気筒2C、4番気筒2Dと呼ぶと、図5に示すように上記サイクルが1番気筒2A、3番気筒2C、4番気筒2D、2番気筒2Bの順にクランク角で180°ずつの位相差をもって行われるようになっている。なお、図5において、EXは排気行程、INは吸気行程であり、また、Fは燃料噴射、Sは強制点火を表し、図中の星マークは圧縮着火(条件によっては強制点火)が行われることを表している。
【0045】
排気行程と吸気行程が重なる一対の気筒間には、排気行程と吸気行程が重なるときの排気行程側の気筒(当明細書ではこれを先行気筒と呼ぶ)から吸気行程側の気筒(当明細書ではこれを後続気筒と呼ぶ)へ既燃ガスをそのまま導くことができるように、気筒間ガス通路22が設けられている。当実施形態の4気筒エンジンでは、図5に示すように1番気筒2Aの排気行程(EX)と2番気筒2Bの吸気行程(IN)とが重なり、また4番気筒2Dの排気行程(EX)と3番気筒2Cの吸気行程(IN)が重なるので、1番気筒2Aと2番気筒2B、及び、4番気筒2Dと3番気筒2Cがそれぞれ一対をなし、1番気筒2A及び4番気筒2Dが先行気筒、2番気筒2B及び3番気筒2Cが後続気筒となる。
【0046】
各気筒の吸・排気ポートとこれに接続される吸気通路、排気通路及び気筒間ガス通路は、具体的には次のように構成されている。
【0047】
先行気筒である1番気筒2A及び4番気筒2Dには、それぞれ、新気を導入するための吸気ポート11と、既燃ガス(排気ガス)を排気通路に送り出すための第1排気ポート12aと、既燃ガスを後続気筒に導出するための第2排気ポート12bとが配設されている。また、後続気筒である2番気筒2B及び3番気筒2Cには、それぞれ、新気を導入するための第1吸気ポート11aと、先行気筒からの既燃ガスを導入するための第2吸気ポート11bと、既燃ガスを排気通路に送り出すための排気ポート12とが配設されている。
【0048】
図1に示す例では、1番,4番気筒2A,2Dにおける吸気ポート11および2番,3番気筒2B,2Cにおける第1吸気ポート11aが、1気筒当り2個ずつ、燃焼室の左半部側に並列的に設けられる一方、1番,4番気筒2A,2Dにおける第1排気ポート12a及び第2排気ポート12bならびに2番,3番気筒2B,2Cにおける第2吸気ポート11b及び排気ポート12が、燃焼室の右半部側に並列的に設けられている。
【0049】
1番,4番気筒2A,2Dにおける吸気ポート11および2番,3番気筒2B,2Cにおける第1吸気ポート11aには、吸気通路15における気筒別の分岐吸気通路16の下流端が接続されている。各分岐吸気通路16の下流端近傍には、共通の軸を介して互いに連動する多連スロットル弁17が設けられており、この多連スロットル弁17は制御信号に応じてアクチュエータ18により駆動され、吸入空気量を調節するようになっている。なお、吸気通路15における集合部より上流の共通吸気通路には吸気流量を検出するエアフローセンサ19が設けられている。
【0050】
1番,4番気筒2A,2Dにおける第1排気ポート12aおよび2番,3番気筒2B,2Cにおける排気ポート12には、排気通路20における気筒別の分岐排気通路21の上流端が接続されている。また、1番気筒2Aと2番気筒2Bとの間及び3番気筒2Cと4番気筒2Dとの間にそれぞれ気筒間ガス通路22が設けられ、先行気筒である1番,4番気筒2A,2Dの第2排気ポート12bに気筒間ガス通路22の上流端が接続されるとともに、後続気筒である2番,3番気筒2B,2Cの第2吸気ポート11bに気筒間ガス通路22の下流端が接続されている。
【0051】
気筒間ガス通路22には、酸素濃度に応じて出力がリニアに変化するリニアO2センサ25が設けられており、その出力に応じ、所定のリーン空燃比とされる先行気筒2A,2Dに対する燃料噴射量がフィードバック制御される。
【0052】
排気通路20における分岐排気通路21の下流の集合部には排気ガス中の酸素濃度を検出することにより空燃比を検出するO2センサ23が設けられている。O2センサ23は、理論空燃比付近で出力が急変するλO2センサであり、このO2センサ23の出力に基いて後続気筒2B,2C(各気筒独立状態のときは気筒2A,2Dを含む)に対する燃料噴射量がフィードバック制御される。さらにO2センサ23の下流の排気通路20には排気浄化用の三元触媒24が設けられている。この三元触媒24は、一般に知られているように、排気ガスの空燃比が理論空燃比(つまり空気過剰率λがλ=1)付近にあるときにHC,CO及びNOxに対して高い浄化性能を示す触媒である。
【0053】
各気筒の吸・排気ポートを開閉する各弁とこれらに対する動弁機構は、次のようになっている。
【0054】
1番,4番気筒2A,2Dにおける吸気ポート11、第1排気ポート12a及び第2排気ポート12bにはそれぞれ先行気筒吸気弁31、先行気筒排気弁32a及び既燃ガス排出弁32bが設けられ、また、2番,3番気筒2B,2Cにおける第1吸気ポート11a、第2吸気ポート11b及び排気ポート12にはそれぞれ後続気筒吸気弁31a、既燃ガス導入弁31bおよび後続気筒排気弁32が設けられている。これらの各弁は、各気筒が吸気行程または排気行程にあるときにカム26,27に押し下げられて開くが、その開閉時期は必ずしも上死点や下死点に限らず、必要に応じて数度CA(クランク角)〜数十度CAずれた時期に設定されている。
【0055】
更に当実施形態では、カム位相可変機構33a,34aによって各弁の開閉時期を条件に応じて変動させたり、弁停止機構35によって閉じ切りにしたりするようになっている。
【0056】
カム位相可変機構33a,34aは、カムシャフト33,34の回転位相をクランクシャフトの回転位相に対して変動させる、従来から知られた機構である。図1に示すようにカムシャフト33にはカム位相可変機構33aが、カムシャフト34にはカム位相可変機構34aが設けられており、それぞれ独立して制御されている(図3参照)。従って、カムシャフト33の回転によって開閉する先行気筒吸気弁31および後続気筒吸気弁31aの開閉時期は、カム位相可変機構33aによって全体的に前後に変動する。同様に、カムシャフト34の回転によって開閉する既燃ガス導入弁31b、後続気筒排気弁32、先行気筒排気弁32aおよび既燃ガス排出弁32bの開閉時期は、カム位相可変機構34aによって全体的に前後に変動する。
【0057】
弁停止機構35は、各弁を作動状態と停止状態とに切換えるもので、後続気筒吸気弁31a、既燃ガス導入弁31b、先行気筒排気弁32aおよび既燃ガス排出弁32bに設けられている。その機構は従来から知られているため詳しい図示は省略するが、例えば、カムと弁軸との間に介装されたタペットに作動油の給排が可能な油圧室が設けられ、この油圧室に作動油が供給されている状態ではカムの作動が弁に伝えられて弁が開閉作動され、油圧室から作動油が排出されたときにはカムの作動が弁に伝えられなくなることで弁が停止されるようになっているものである。後続気筒吸気弁31aおよび先行気筒排気弁32aの弁停止機構35に対する作動油給排用の通路36には、第1コントロール弁37が設けられており、既燃ガス導入弁31bおよび既燃ガス排出弁32bに対する作動油給排用の通路38には、第2コントロール弁39が設けられている(図3参照)。
【0058】
図3は当実施形態における駆動、制御系統の構成を示している。この図において、マイクロコンピュータ等からなるエンジン制御用のECU(コントロールユニット)40には、エアフローセンサ19、O2センサ23およびリニアO2センサ25からの信号が入力され、運転状態を判別するためにエンジン回転数を検出する回転数センサ47とアクセル開度(アクセルペダル踏込み量)を検出するアクセル開度センサ48とからの信号が入力される。このECU40から、点火回路8、各燃料噴射弁9、多連スロットル弁17のアクチュエータ18、第1,第2のコントロール弁37,39およびカム位相可変機構33a,34aのそれぞれに対して制御信号が出力される。
【0059】
上記ECU40は、少なくとも低負荷低回転域で、ガス流通経路を2気筒接続状態(図6参照)としつつ燃焼を行わせる制御手段を構成するものであって、運転状態判別手段41、弁停止機構制御手段42、吸入空気量制御手段43、燃焼制御手段44およびカム位相制御手段49を備えている。
【0060】
運転状態判別手段41は、回転数センサ47およびアクセル開度センサ48等からの信号によりエンジンの運転状態(エンジン回転数およびエンジン負荷)を調べ、運転状態が図4に示すような低負荷低回転側の運転領域A(エンジン負荷T1以下かつエンジン回転数r1以下)と、高負荷側ないし高回転側の運転領域B(エンジン負荷がT1を超えるか又はエンジン回転数がr1を越える)とのいずれの領域にあるかを判別する。運転領域Aの中でも、運転領域A1は比較的低負荷低回転の領域であり、運転領域A2は比較的高負荷高回転の領域である。所定の条件下(たとえばエンジンが完全に暖機された状態)において、運転領域Aでは2気筒接続状態とする特殊運転モードでの運転を行い、運転領域Bでは各気筒独立状態とする通常運転モードでの運転を行う。
【0061】
弁停止機構制御手段42は、特殊運転モードと通常運転モードとに応じ、上記各コントロール弁37,39を制御することにより、各弁停止機構35を次のように制御する。
【0062】
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【0063】
吸入空気量制御手段43は、アクチュエータ18を制御することによりスロットル弁17の開度(スロットル開度)を制御するものであり、運転状態に応じてマップ等から目標吸入空気量を求め、その目標吸入空気量に応じてスロットル開度を制御する。この場合、特殊運転モードでは、後述のように後続気筒(2番、3番気筒2B,2C)においては分岐吸気通路16からの吸気導入が遮断された状態で先行気筒から導入されるガス中の過剰空気と新たに供給される燃料との比が理論空燃比(以下これを実質的な理論空燃比という)とされつつ燃焼が行われるので、先行、後続の2気筒分の要求トルクに応じた燃料の燃焼に必要な量の空気(2気筒分の燃料の量に対して理論空燃比となる量の空気)が先行気筒(1番、4番気筒2A,2D)に供給されるように、スロットル開度が調節される。
【0064】
燃焼制御手段44は、燃料噴射制御手段45と点火制御手段46とからなっており、燃料噴射制御手段45により、各気筒2A〜2Dに設けられた燃料噴射弁9からの燃料噴射量及び噴射タイミングをエンジンの運転状態に応じて制御するとともに、点火制御手段46により運転状態に応じた点火時期の制御及び点火停止等の制御を行う。そして、特に運転状態が特殊運転モードである場合と通常運転モードである場合とで燃焼の制御(燃料噴射の制御及び点火の制御)が変更される。
【0065】
すなわち、特殊運転モードの場合、先行気筒(1番、4番気筒2A,2D)に対しては、空燃比を理論空燃比よりも大きいリーン空燃比、好ましくは理論空燃比の略2倍もしくはそれ以上とするように燃料噴射量を制御するとともに、圧縮行程で燃料を噴射して混合気の成層化を行わせるように噴射タイミングを設定し、かつ、圧縮上死点付近で強制点火を行わせるように点火タイミングを設定する。一方、後続気筒(2番、3番気筒2B,2C)に対しては、先行気筒から導入されたリーン空燃比の既燃ガスに対して燃料を供給し、実質的な理論空燃比となるように燃料噴射量を制御するとともに、吸気行程で燃料を噴射するように噴射タイミングを設定する。そして運転状態に応じて圧縮着火または強制点火による燃焼を行う。
【0066】
通常運転モードの場合には、各気筒2A〜2Dの空燃比を理論空燃比もしくはそれ以下とするように燃料噴射量を制御し、例えば通常運転モードのうちの大部分の領域において理論空燃比とし、全開負荷及びその付近の運転領域で理論空燃比よりリッチとする。そして、この場合に、各気筒2A〜2Dに対して吸気行程で燃料を噴射して混合気を均一化するように噴射タイミングを設定し、かつ、各気筒2A〜2Dとも強制点火を行わせるようにする。
【0067】
カム位相制御手段49は、運転状態判別手段41の結果に基き、カム位相可変機構33a,34aの制御を行う。制御の詳細は後述するが、例えば特殊運転モードにおいて、比較的低負荷低回転の領域(図4の領域A1)ではカム27の位相を進ませる側にカム位相可変機構34aを制御し、カムシャフト34の回転によって作動する既燃ガス排出弁32b、既燃ガス導入弁31bおよび後続気筒排気弁32の開閉時期が全体的に早期になるように設定する。一方、比較的高負荷高回転の領域(図4の領域A2)ではカム27の位相を遅らせる側にカム位相可変機構34aを制御し、カムシャフト34の回転によって作動する既燃ガス排出弁32b、既燃ガス導入弁31bおよび後続気筒排気弁32の開閉時期が全体的に遅れるよう設定する。なお、カム位相可変機構33a,34aは作動中の弁に対して作用するので、弁停止機構35によって停止状態となっている弁は、カム位相可変機構33a,34aの制御にかかわらず停止状態を維持する。
【0068】
以上のような当実施形態の装置の作用を、図5〜図9を参照しつつ説明する。
特殊運転モードでは前述のように先行気筒排気弁32a及び後続気筒吸気弁31aが停止状態、既燃ガス排出弁32b及び既燃ガス導入弁31bが作動状態とされることにより、実質的な新気及びガスの流通経路は図6に示すようになり、先行気筒(1番,4番気筒)2A,2Dから排出される既燃ガスがそのまま気筒間ガス通路22を介して後続気筒(2番,3番気筒)2B,2Cに導入されるとともに、この後続気筒2B,2Cから排出されるガスのみが排気通路20に導かれるような2気筒接続状態とされる。
【0069】
この状態において、先行気筒2A,2Dにそれぞれ吸気行程で吸気通路15から新気が導入され(図6中の矢印a)、先行気筒2A,2DではリニアO2センサ25により検出される空燃比が理論空燃比の略2倍ないしそれ以上の超リーン空燃比となるように燃料噴射量がフィードバック制御されつつ圧縮行程で燃料が噴射され、かつ、所定点火時期に点火が行われて、超リーン空燃比での成層燃焼が行われる(図5参照)。
【0070】
その後、先行気筒2A,2Dの吸気行程と後続気筒2B,2Cの排気行程が重なる期間に、先行気筒2A,2Dから排出された既燃ガスがガス通路22を通って後続気筒2B,2Cに導入される(図5中の白抜き矢印及び図6中の矢印b)。そして、後続気筒2B,2Cでは、先行気筒2A,2Dから導入されたリーン空燃比の既燃ガスに燃料が供給されて、実質的な理論空燃比となるように燃料噴射量が制御されつつ、吸気行程で燃料が噴射される。このとき、後続気筒2B,2Cでは点火プラグ7での強制点火が停止され、圧縮行程の上死点付近で燃焼室内の圧力、温度の上昇により圧縮着火が行われる。
【0071】
こうして後続気筒2B,2Cでは、多量のEGRガス相当の既燃ガス成分を含み、かつ、空燃比がリーンであるという条件下でも、同時圧縮着火により燃焼が急速に行われ、これにより熱効率が大幅に向上されることとなる。
【0072】
このように、先行気筒2A,2Dでは超リーンでの成層燃焼により熱効率が高められるとともにポンピングロスが低減され、一方、後続気筒2B,2Cでは、先行気筒2A,2Dと同様にポンピングロス低減効果が得られるとともに、圧縮着火による燃焼を行う場合には、均一な混合気分布状態で圧縮着火が行われることにより熱効率が高められるとともに、これらの作用により、燃費が大幅に改善されることとなる。
【0073】
また、先行気筒2A,2Dでは理論空燃比の略2倍もしくはそれ以上のリーン空燃比とされることでNOx発生量が比較的少なく抑えられ、後続気筒2B,2Cでは、先行気筒2A,2Dから既燃ガスが導入されることで多量のEGRが行われているのと同等の状態となることからNOxの発生が充分に抑制される。このような点からもエミッションの向上に有利となる。
【0074】
但し、特殊運転モード中であっても、後続気筒2B,2Cの筒内温度が低く、圧縮着火し難い状態のときには後続気筒2B,2Cの着火を点火プラグ7による強制点火に切換える。また逆に、後続気筒2B,2Cの筒内温度が高過ぎてノッキング等の異常燃焼が起こるような状態のときには、特殊運転モードから通常運転モードに切換える。何れの場合も圧縮着火による特殊運転モードに比べ、燃費等の向上効果が抑制される。従って、これらの効果をより多く得るためには、特殊運転モード中の圧縮着火に適した運転領域を拡大することが望ましい。
【0075】
特殊運転モード中の圧縮着火に適した運転領域を拡大するため、吸排気弁の開閉時期は次のように設定されている。
【0076】
図8は、図5の吸排気行程部分を詳細に示したものであり、特殊運転モードにおける先行気筒2A,2Dの先行気筒吸気弁31および既燃ガス排出弁32bの開閉時期と、後続気筒2B,2Cの既燃ガス導入弁31bおよび後続気筒排気弁32の開閉時期とを示す説明図である。図8(a)は特殊運転モードを行う運転状態のうち、比較的低負荷低回転の領域(図4の領域A1)の場合であり、図8(b)は同様に比較的高負荷高回転の領域(図4の領域A2)の場合である。これらの図で、横軸はクランク角を示し、Tは上死点(TDC)、Bは下死点(BDC)である。TとBとの間隔は180°CAである。また、上段は先行気筒2A,2Dを示し、下段はそれに対応する後続気筒2B,2Cを示す。そして、帯状の各部分は、各弁の開弁期間を示す。上段から下段に向かう白抜き矢印は、先行気筒2A,2Dの排気行程と後続気筒2B,2Cの吸気行程とが重なっており、先行気筒2A,2Dでの既燃ガスが後続気筒2B,2Cに導かれる状態を示す。
【0077】
図8(a)において、上段には先行気筒2A,2Dの既燃ガス排出弁32bが開弁する既燃ガス排出弁の開弁期間80と、先行気筒吸気弁31が開弁する先行気筒吸気弁の開弁期間81(斜線で示す)とを示す。下段には後続気筒2B,2Cの後続気筒排気弁32が開弁する後続気筒排気弁の開弁期間82と、既燃ガス導入弁31bが開弁する既燃ガス導入弁の開弁期間83とを示す。先行気筒吸気弁の開弁期間81は、TDC前約10°CAからBDC後約55°CA(トータル約245°CA)に設定されている。これは、従来のエンジンの一般的な設定値である。これに対し、既燃ガス導入弁の開弁期間83は、TDC前約45°CAからほぼBDC(トータル約225°CA)に設定されている。また、後続気筒排気弁の開弁期間82は、BDC前約80°CAからTDC前約25°CA(トータル約235°CA)に設定されている。
【0078】
即ち、後続気筒吸気行程下死点96と既燃ガス導入弁の閉弁時期97との間隔(約0°CA)が、先行気筒吸気行程下死点92と先行気筒吸気弁の閉弁時期93との間隔(約55°CA)よりも短くなるように設定されている。そして既燃ガス導入弁の開弁期間83は先行気筒吸気弁の開弁期間81および後続気筒排気弁の開弁期間82よりも短くなっている。このように後続気筒2B,2Cでは、既燃ガス導入弁の開弁期間83を短く設定するとともに、既燃ガス導入弁の閉弁時期97を早期かつBDCに近い時期に設定しているので、ピストン3がBDCを過ぎて上昇中にも既燃ガス導入弁31bが開いている期間が無い、若しくは短くなっている。このため、有効圧縮比が増大して幾何学的圧縮比に近づいている。この有効圧縮比の増大に伴い、後続気筒2B,2Cの筒内温度は上昇し易くなり、圧縮着火性が高くなっている。なお、このとき後続気筒2B,2Cに導入されるのは多連スロットル弁17に絞られた新気ではなく、先行気筒2A,2Dから排出された既燃ガスであり、容易に燃焼室4内に流入するため、既燃ガス導入弁31bを早期に閉じてもその充填は充分になされる。
【0079】
また、既燃ガス排出弁の開弁期間80はBDC前約80°CAからTDC前約25°CA(トータル約235°CA)に設定されている。従って、既燃ガス排出弁の閉弁時期90は既燃ガス導入弁の閉弁時期97(先行気筒2A,2DではTDCに相当)よりも約25°CA進み側に設定されている。これは、従来のエンジンの一般的な設定値(TDC後50°CA程度)よりも早期になっている。既燃ガス排出弁32bを早期に閉じることにより、先行気筒2A,2Dの内部EGR量が増大し、後続気筒2B,2Cに導入される既燃ガス温度が上昇する。
【0080】
以上のように、後続気筒2B,2Cの有効圧縮比を増大させるとともに、後続気筒2B,2Cに導入される既燃ガス温度を上昇させることにより、後続気筒2B,2Cの筒内温度を上昇させて圧縮着火性を向上させている。このようにすることにより、圧縮着火による燃焼を行うことができる運転領域をより低負荷の領域まで拡大している。
【0081】
図8(b)において、上段には先行気筒2A,2Dの既燃ガス排出弁32bが開弁する既燃ガス排出弁の開弁期間100と、先行気筒吸気弁31が開弁する先行気筒吸気弁の開弁期間101(斜線で示す)とを示す。下段には後続気筒2B,2Cの後続気筒排気弁32が開弁する後続気筒排気弁の開弁期間102と、既燃ガス導入弁31bが開弁する既燃ガス導入弁の開弁期間103とを示す。先行気筒吸気弁の開弁期間101は、図8(a)の先行気筒吸気弁の開弁期間81と同様の設定になっている。一方、既燃ガス排出弁の開弁期間100、後続気筒排気弁の開弁期間102および既燃ガス導入弁の開弁期間103(それぞれ白抜き帯線で示す)は、図8(a)の既燃ガス排出弁の開弁期間80、後続気筒排気弁の開弁期間82および既燃ガス導入弁の開弁期間83に対し、各期間の長さが等しく、各弁の開閉時期のみが全体的に約45°CAだけ遅らせた設定となっている。これは前述のように、カム位相制御手段49によってカムシャフト34の位相を約45°CA遅らせることによりなされている(図3参照)。
【0082】
図8(b)の既燃ガス導入弁の閉弁時期114は、図8(a)の既燃ガス導入弁の閉弁時期97よりも約45°CA遅れている。このため、後続気筒2B,2Cでは、ピストン3が後続気筒吸気行程下死点113を過ぎて上昇中であっても、約45°CAの間既燃ガス導入弁31bが開いている。従って、後続気筒2B,2Cの有効圧縮比は図8(a)の場合よりも減少しており、後続気筒2B,2Cの筒内温度は低下する。
【0083】
また、既燃ガス排出弁の閉弁時期112は、図8(a)の既燃ガス排出弁の閉弁時期90よりも約45°CA遅く、先行気筒排気行程上死点111後約20°CAに設定されている。このため、先行気筒2A,2Dの内部EGRは図8(a)の場合よりも減少し、後続気筒2B,2Cに導入される既燃ガス温度は低下する。
【0084】
以上のように、後続気筒2B,2Cの有効圧縮比を減少させるとともに、後続気筒2B,2Cに導入される既燃ガス温度を低下させることにより、後続気筒2B,2Cの筒内温度を低下させ、ノッキング等の異常燃焼の発生を防止している。このようにすることにより、圧縮着火による燃焼を行うことができる運転領域をより高負荷の領域まで拡大している。
【0085】
このように特殊運転モードでは、後続気筒2B,2Cの筒内温度が比較的低くなる運転領域ではその筒内温度を上昇させる方向に、筒内温度が比較的高くなる運転領域では低下させる方向に吸排気弁の開閉時期が設定されている。それによって、後続気筒2B,2Cが圧縮着火による適正な燃焼を行い得る運転領域を拡大することができ、より一層燃費改善効果と排ガス浄化の促進を図ることができる。
【0086】
一方、通常運転モードでは前述のように先行気筒排気弁32a及び後続気筒吸気弁31aが作動状態、既燃ガス排出弁32b及び既燃ガス導入弁31bが停止状態とされることにより、実質的な新気及びガスの流通経路は図7に示すようになり、実質的に各気筒2A〜2Dの吸気ポート11,11a及び排気ポート12a,12が独立し、吸気通路15から各気筒2A〜2Dの吸気ポート11,11aに新気が導入されるとともに各気筒2A〜2Dの排気ポート12a,12から排気通路20に既燃ガスが排出される。
【0087】
図9は、通常運転モードにおける先行気筒2A,2Dの先行気筒吸気弁31および既燃ガス排出弁32bの開閉時期と、後続気筒2B,2Cの既燃ガス導入弁31bおよび後続気筒排気弁32の開閉時期とを示す説明図である。横軸はクランク角を示し、Tは上死点(TDC)、Bは下死点(BDC)である。TとBの間隔は180°CAである。また、上段は先行気筒2A,2Dを示し、下段は後続気筒2B,2Cを示す。通常運転モードでは各気筒独立運転となっているので、先行気筒2A,2D、後続気筒2B,2Cともに新気を導入して強制点火による燃焼を行っている。図9の上段には先行気筒2A,2Dの先行気筒排気弁32aが開弁する既燃ガス排出弁の開弁期間120と、先行気筒吸気弁31が開弁する先行気筒吸気弁の開弁期間121とを示す。下段には後続気筒2B,2Cの後続気筒排気弁32が開弁する後続気筒排気弁の開弁期間122と、後続気筒吸気弁31aが開弁する後続気筒吸気弁の開弁期間123とを示す。
【0088】
先行気筒2A,2Dでの排気および後続気筒2B,2Cでの吸気は、特殊運転モードとは異なる弁によってなされるので、その開閉は異なるカムによりなされる。従って、先行気筒排気弁の開弁期間120および後続気筒吸気弁の開弁期間123は、図8(a)の既燃ガス排出弁の開弁期間80および既燃ガス導入弁の開弁期間83とは独立して設定することができる。図9では、先行気筒吸気弁の開弁期間121および後続気筒吸気弁の開弁期間123(斜線で示す)は、TDC前約10°CAからBDC後約55°CA(トータル約245°CA)に設定されている。また、先行気筒排気弁の開弁期間120および後続気筒排気弁の開弁期間122は、BDC前約30°CAからTDC後約25°CA(トータル約235°CA)に設定されている。これらの開弁期間は、従来のエンジンの一般的な設定に相当する。
【0089】
そして、先行気筒吸気弁の開弁期間121および後続気筒吸気弁の開弁期間123は、カム位相可変機構33aによって前後に変動可能であり、先行気筒排気弁の開弁期間120および後続気筒排気弁の開弁期間122は、カム位相可変機構34aによって前後に変動可能である。従って、カム位相可変機構33a,34aを制御することにより、先行気筒排気弁32aと先行気筒吸気弁31とが共に開弁している期間(先行気筒排気弁の開弁期間120と先行気筒吸気弁の開弁期間121とが重なっている期間:バルブオーバーラップ)を変動し得るようになっている。カム位相制御手段49は、高負荷になるほどバルブオーバーラップが大きくなるようにカム位相可変機構33a,34aを制御して、負荷に応じて最適な燃焼効率が得られるようにしている。後続気筒2B,2Cに対しても同様の制御がなされている。
【0090】
このようにして通常運転モードでは、負荷に応じて最適な吸排気時期に制御されるとともに、理論空燃比もしくはそれよりリッチとなるように吸入空気量及び燃料噴射量が制御されることにより、出力性能が確保される。
【0091】
なお図8(a),(b)および図9に示すパターンは、各開弁期間や開弁時期を限定するものではなく、特許請求の範囲内で適宜変更しても良い。例えば、図8(a)の既燃ガス導入弁の閉弁時期97は、後続気筒吸気行程下死点96よりも若干遅れるように設定しても良い。また、図8(a),(b)および図9の先行気筒吸気弁の開弁期間81,101,121を負荷に応じて異なる設定(当実施形態では、それはカム位相可変機構33aによりなされる)としても良く、当実施形態のように同一の設定としても良い(その場合、カム位相可変機構33aはなくても良い)。その他の具体的な設定値も、エンジンの要求特性に応じて好適な値に設定して良い。
【0092】
また、特殊運転モードでの走行領域Aを、領域A1,A2といった2分割ではなく、3以上に分割し、それぞれの領域に適した弁開閉時期を設定するようにしてもよい。更に分割による段階的な設定ではなく、連続的に変化させるようにしても良い。
【0093】
次に、本発明の第2の実施形態について図10〜図13に基いて説明する。なお、これらの図において第1の実施形態と同一部分には同一符号を付して示し、その重複説明を省略する。
【0094】
図10は、第2の実施形態におけるカム切換機構150の部分斜視図であり、2点鎖線で示す既燃ガス導入弁31b等のためのものである。既燃ガス導入弁31bの上方にはカムシャフト151が配設されている。カムシャフト151には第1カム152,第2カム154および第3カム156という独立したリフト特性を有する3種類のカムが一体回転するように設けられている。これらのカムと既燃ガス導入弁31bとの間には、ロッカシャフト170に支持されたロッカアームセット160が設けられている。ロッカアームセット160は、第1ロッカアーム162,第2ロッカアーム164および第3ロッカアーム166という3種類のロッカアームの集合体である。第1ロッカアーム162の先端にはバルブ当接部163と、その軸線方向位置を微調整するためのアジャストスクリュー161が設けられており、バルブ当接部163は適切な位置で既燃ガス導入弁31b等の弁軸上端に当接している。第2ロッカアーム164および第3ロッカアーム166には、図外のスプリングが、これらのロッカアームを第2カム154および第3カム156に押圧するように設けられている。従って、ロッカアームセット160の各ロッカアームが、図示のように独立して可動である場合には、各ロッカアームの上面は第1カム152,第2カム154および第3カム156の外周部に当接し、カム当接部の形状(各カムの回転半径)に応じてロッカシャフト170を支軸として上下に揺動する。
【0095】
ロッカアームセット160の内部には、後述するように5本のプランジャが2列に設けられている(図11参照。図10ではそのプランジャ穴のひとつである第4プランジャ穴204が見えている)。これらのプランジャの動きにより、第1ロッカアーム162は第2ロッカアーム164または第3ロッカアーム166と一体となり、連動し得る。ロッカシャフト170の内部には、プランジャを油圧作動させるためのオイルを導く第1作動油給排用の通路172および第2作動油給排用の通路174が設けられている。
【0096】
第1カム152は、弁停止用のカムであり、カムシャフト151と同心円の外周形状を有する。したがって第1ロッカアーム162は、その上面が第1カム152の外周面に常時当接している(第2ロッカアーム164および第3ロッカアーム166と切り離されている)とき、カムシャフト151が回転しても揺動しない。すなわち既燃ガス導入弁31b等は閉弁状態で停止している。
【0097】
第2カム154は、低負荷(または低速)用のカムであり、第1カム152と同一の外周形状を有する部分と、それより突出した外周形状を有する部分とからなる。したがって第2ロッカアーム164は、その上面が第2カム154の外周面に常時当接している(後述の第3ロッカアーム166と切り離されている)とき、カムシャフト151の回転に伴い、所定のクランク角で所定量だけ下方に揺動する。そして、このとき第1ロッカアーム162と第2ロッカアーム164とが連動するようになっていれば、第1ロッカアーム162の動作は第2カム154による第2ロッカアーム164の揺動と同一のものとなる。すなわち既燃ガス導入弁31bは所定時期に所定量だけ開弁する。
【0098】
第3カム156は、高負荷(または高速)用のカムであり、第2カム154と同一の外周形状を有する部分と、それより突出した外周形状を有する部分とからなる。したがって第3ロッカアーム166は、その上面が第3カム156の外周面に常時当接しており、カムシャフト151の回転に伴い、所定のクランク角で所定量だけ下方に揺動する。そして、このとき第1ロッカアーム162と第3ロッカアーム166とが連動するようになっていれば、第1ロッカアーム162の動作は第3カム156による第3ロッカアーム166の揺動と同一のものとなる。すなわち既燃ガス導入弁31bは所定時期に所定量だけ開弁する(開弁期間は第2ロッカアーム164のみが第1ロッカアーム162と連動する場合の開弁期間を包含する)。
【0099】
図11は、ロッカアームセット160の内部に設けられた5本のプランジャの作動を示す説明図である。図11(a)は第1ロッカアーム162が第2ロッカアーム164および第3ロッカアーム166と切り離された状態、図11(b)は第1ロッカアーム162が第2ロッカアーム164のみと連動する状態、図11(c)は第1ロッカアーム162が第2ロッカアーム164および第3ロッカアーム166と連動する状態を示す。
【0100】
第1ロッカアーム162の内部には第1プランジャ穴201および第4プランジャ穴204が設けられている。第1プランジャ穴201は第2ロッカアーム164側に開口した円形断面の凹穴である。第1プランジャ穴201の底部には第1作動油給排用の通路172から第1作動油導入路173が導かれている。第1プランジャ穴201内には円柱状の第1プランジャ181が嵌挿されている。第1プランジャ181は、その外周面で第1作動油導入路173に導かれた作動油をシールしつつ、第1プランジャ穴201内を滑らかに摺動する。第1プランジャ181の全長は、第1プランジャ穴201の深さよりも短い。
【0101】
第4プランジャ穴204は第2ロッカアーム164側と第3ロッカアーム166側とを貫通する貫通穴である。第4プランジャ穴204内には円柱状の第4プランジャ184が嵌挿されている。第4プランジャ184の全長は、第4プランジャ穴204の深さ(第1ロッカアーム162の板厚)と等しい。第4プランジャ184は、第4プランジャ穴204内を滑らかに摺動する。
【0102】
第2ロッカアーム164の内部には第2プランジャ穴202および第5プランジャ穴205が設けられている。第2プランジャ穴202は第1ロッカアーム162側に開口した円形断面の凹穴であり、第1プランジャ穴201と等しい直径となっている。第2プランジャ穴202の底部にはエア抜き穴206が設けられ、リークしたオイルを逃がしつつ内部の気圧を大気圧に保つ。第2プランジャ穴202内には有底円筒状で外径が第1プランジャ181と等しい第2プランジャ182が嵌挿されている。第2プランジャ182は、第2プランジャ穴202内を滑らかに摺動する。第2プランジャ182の全長は、第2プランジャ穴202の深さと等しい。第2プランジャ182の第1プランジャ181と当接する端部は、球状に成形されている。第2プランジャ182の内側凹部には第2プランジャスプリング187が設けられ、第2プランジャ182を常時第1プランジャ181側に付勢している。
【0103】
第5プランジャ穴205は第1ロッカアーム162側に開口した円形断面の凹穴であり、第4プランジャ穴204と等しい直径となっている。第5プランジャ穴205の底部にはエア抜き穴207が設けられ、リークしたオイルを逃がしつつ内部の気圧を大気圧に保つ。第5プランジャ穴205内には有底円筒状で外径が第4プランジャ184と等しい第5プランジャ185が嵌挿されている。第5プランジャ185は、第5プランジャ穴205内を滑らかに摺動する。第5プランジャ185の全長は、第5プランジャ穴205の深さよりも短い。第5プランジャ185の第4プランジャ184と当接する端部は、球状に成形されている。第5プランジャ185の内側凹部には第5プランジャスプリング189が設けられ、第5プランジャ185を常時第4プランジャ184側に付勢している。
【0104】
第3ロッカアーム166の内部には第3プランジャ穴203が設けられている。第3プランジャ穴203は第1ロッカアーム162側に開口した円形断面の凹穴であり、第4プランジャ穴204と等しい直径となっている。第3プランジャ穴203の底部には第2作動油給排用の通路174から第2作動油導入路175が導かれている。第3プランジャ穴203内には円柱状で外径が第4プランジャ184と等しい第3プランジャ183が嵌挿されている。第3プランジャ183は、その外周面で第2作動油導入路175に導かれた作動油をシールしつつ、第3プランジャ穴203内を滑らかに摺動する。第3プランジャ183の全長は、第3プランジャ穴203の深さと等しい。第3プランジャ183の第4プランジャ184と当接する端部は、球状に成形されている。
【0105】
図11(a)は、第1ロッカアーム162が第2ロッカアーム164および第3ロッカアーム166と切り離された状態を示し、第1作動油給排用の通路172に作動油圧が供給(以下油圧ONという)され、第2作動油給排用の通路174に作動油圧が供給されていない(以下油圧OFFという)。第1作動油給排用の通路172から導かれた第1作動油導入路173が油圧ONとなり、第1プランジャ181を右側(図の矢印方向)に押圧する。その押圧力は第2プランジャスプリング187の付勢力よりも大きく、第1プランジャ181は第2プランジャ182と一体となって右側に移動している。第2プランジャ182の全長が第2プランジャ穴202の深さと等しいので、第1プランジャ181と第2プランジャ182との接点は第1ロッカアーム162と第2ロッカアーム164との合わせ面内にある。
【0106】
一方、第2作動油給排用の通路174から導かれた第2作動油導入路175が油圧OFFとなっているので、第3プランジャ183、第4プランジャ184および第5プランジャ185は、第5プランジャスプリング189の付勢力によって一体となって左側(図の矢印方向)に移動している。第3プランジャ183の全長が第3プランジャ穴203の深さと等しいので、第3プランジャ183と第4プランジャ184との接点は第1ロッカアーム162と第3ロッカアーム166との合わせ面内にある。更に第4プランジャ184の全長が第4プランジャ穴204の深さと等しいので、第4プランジャ184と第5プランジャ185との接点は第1ロッカアーム162と第2ロッカアーム164との合わせ面内にある。
【0107】
このように、各プランジャの接点が各ロッカアームの合わせ面内にあるため、第1ロッカアーム162は第2ロッカアーム164および第3ロッカアーム166から切り離された状態となっている。このため第1ロッカアーム162は、その上面に当接する第1カム152による作動、すなわちロッカシャフト170まわりの揺動停止を行い、既燃ガス導入弁31bを閉弁状態で停止させる。
【0108】
図11(b)は、第1ロッカアーム162が第2ロッカアーム164のみと連動する状態を示し、第1作動油給排用の通路172、第2作動油給排用の通路174ともに油圧OFFとなっている。第1作動油給排用の通路172から導かれた第1作動油導入路173が油圧OFFとなっているので、第1プランジャ181および第2プランジャ182は、第2プランジャスプリング187の付勢力によって左側(図の矢印方向)に移動している。第1プランジャ181の全長が第1プランジャ穴201の深さより短いので、第2プランジャ182の一部は第1プランジャ穴201に入り込んでいる。
【0109】
一方、第2作動油給排用の通路174から導かれた第2作動油導入路175が油圧OFFとなっているので、図11(a)と同様、第3プランジャ183と第4プランジャ184との接点は第1ロッカアーム162と第3ロッカアーム166との合わせ面内にあり、第4プランジャ184と第5プランジャ185との接点は第1ロッカアーム162と第2ロッカアーム164との合わせ面内にある。
【0110】
このように、第2プランジャ182の一部が第1プランジャ穴201に入り込むことにより、第1ロッカアーム162は第2ロッカアーム164と連動する。また、第3プランジャ183と第4プランジャ184との接点が第1ロッカアーム162と第3ロッカアーム166との合わせ面内にあるので、第1ロッカアーム162と第3ロッカアーム166とは切り離された状態となっている。従って第1ロッカアーム162は、第2ロッカアーム164の上面に当接する第2カム154による作動を行う。すなわちカムシャフト151の回転に伴い、所定のクランク角で所定量だけ下方に揺動し、既燃ガス導入弁31bを開閉させる。
【0111】
図11(c)は、第1ロッカアーム162が第2ロッカアーム164および第3ロッカアーム166と連動する状態を示し、第1作動油給排用の通路172が油圧OFF、第2作動油給排用の通路174が油圧ONとなっている。第1作動油給排用の通路172から導かれた第1作動油導入路173が油圧OFFとなっているので、図11(b)と同様、第2プランジャ182の一部は第1プランジャ穴201に入り込んでいる。
【0112】
一方、第2作動油給排用の通路174から導かれた第2作動油導入路175が油圧ONとなっているので、第3プランジャ183を右側(図の矢印方向)に押圧する。その押圧力は第5プランジャスプリング189の付勢力よりも大きく、第3プランジャ183は第4プランジャ184および第5プランジャ185と一体となって右側に移動している。第5プランジャ185の全長が第5プランジャ穴205の深さよりも短いので、第4プランジャ184の一部が第5プランジャ穴205に入り込み、さらに第3プランジャ183の一部が第4プランジャ穴204に入り込んでいる。
【0113】
このように、第2プランジャ182の一部が第1プランジャ穴201に入り込み、第3プランジャ183の一部が第4プランジャ穴204に入り込むことにより、第1ロッカアーム162は第2ロッカアーム164および第3ロッカアーム166と連動する。従って第1ロッカアーム162は、第3ロッカアーム166の上面に当接する、最も回転半径の大きな第3カム156による作動を行う。すなわちカムシャフト151の回転に伴い、所定のクランク角で所定量だけ下方に揺動し、既燃ガス導入弁31bを開閉させる。その開弁期間は図11(b)の場合よりも長くなっている。
【0114】
以上のカム切換機構150は、既燃ガス導入弁31bおよび既燃ガス排出弁32bのためのものであるが、後続気筒吸気弁31aおよび先行気筒排気弁32aにも同様のカム切換機構150a(図10に括弧書きで示す)が設けられている。但し、カム切換機構150aでは第2カム154と第3カム156は同一形状である。それらのカムに当接するロッカアームセット160aは、図10に示すように第1ロッカアーム162a、第2ロッカアーム164aおよび第3ロッカアーム166aからなる。カム切換機構150aは、第1ロッカアーム162aが第2ロッカアーム164aおよび第3ロッカアーム166aから切り離され、後続気筒吸気弁31aおよび先行気筒排気弁32aを閉弁状態で停止させる状態と、第1ロッカアーム162aが第2ロッカアーム164aおよび第3ロッカアーム166aと連動し、第2カム154および第3カム156の回転によって後続気筒吸気弁31aおよび先行気筒排気弁32aを開閉させる状態とに切換える。
【0115】
図12は、ロッカアームセット160aの内部に設けられた3本のプランジャの作動を示す説明図である。図12(a)は第1ロッカアーム162が第2ロッカアーム164および第3ロッカアーム166と切り離された状態、図12(b)は第1ロッカアーム162が第2ロッカアーム164および第3ロッカアーム166と連動する状態を示す。
【0116】
ロッカアームセット160a内のプランジャ構造は、ロッカアームセット160内のプランジャ構造のうち、第3プランジャ183、第4プランジャ184および第5プランジャ185まわりの構造を設けたようなものとなっており、その詳細構造の説明はロッカアームセット160における記述と重複するので省略する。但し、第3プランジャ183の左端には、第1作動油給排用の通路172から第1作動油導入路173aが導かれている点がロッカアームセット160とは異なる。また、第2作動油給排用の通路174は、構造上省略できる場合にはなくても良い。
【0117】
図12(a)は、第1ロッカアーム162が第2ロッカアーム164および第3ロッカアーム166と切り離された状態を示し、第1作動油給排用の通路172が油圧OFFとなっている。第1作動油給排用の通路172から導かれた第1作動油導入路173aが油圧OFFとなっているので、第3プランジャ183、第4プランジャ184および第5プランジャ185は、第5プランジャスプリング189の付勢力によって一体となって左側(図の矢印方向)に移動している。従って、第3プランジャ183と第4プランジャ184との接点は第1ロッカアーム162aと第3ロッカアーム166aとの合わせ面内にあり、第4プランジャ184と第5プランジャ185との接点は第1ロッカアーム162aと第2ロッカアーム164aとの合わせ面内にある。
【0118】
このように、各プランジャの接点が各ロッカアームの合わせ面内にあるため、第1ロッカアーム162aは第2ロッカアーム164aおよび第3ロッカアーム166aから切り離された状態となっている。このため第1ロッカアーム162aは、その上面に当接する第1カム152による作動、すなわちロッカシャフト170まわりの揺動停止を行い、既燃ガス導入弁後続気筒吸気弁31aおよび先行気筒排気弁32aを閉弁状態で停止させる。
【0119】
図12(b)は、第1ロッカアーム162が第2ロッカアーム164および第3ロッカアーム166と連動する状態を示し、第1作動油給排用の通路172が油圧ONとなっている。第1作動油給排用の通路172から導かれた第1作動油導入路173aが油圧ONとなっているので、第3プランジャ183を右側(図の矢印方向)に押圧する。その押圧力は第5プランジャスプリング189の付勢力よりも大きく、第3プランジャ183は第4プランジャ184および第5プランジャ185と一体となって右側に移動している。従って第4プランジャ184の一部が第5プランジャ穴205に入り込み、さらに第3プランジャ183の一部が第4プランジャ穴204に入り込んでいる。
【0120】
このように、第4プランジャ184の一部が第5プランジャ穴205に入り込み、さらに第3プランジャ183の一部が第4プランジャ穴204に入り込むことにより、第1ロッカアーム162は第2ロッカアーム164および第3ロッカアーム166と連動する。従って第1ロッカアーム162は、第2ロッカアーム164aおよび第3ロッカアーム166aの上面に当接する第2カム154および第3カム156(同形状)による作動を行う。すなわちカムシャフト151の回転に伴い、所定のクランク角で所定量だけ下方に揺動し、既燃ガス導入弁31bを開閉させる。
【0121】
図13は当実施形態の駆動、制御系統の構成を示している。第1コントロール弁176および第2コントロール弁177は、第1作動油給排用の通路172および第2作動油給排用の通路174に導く第1作動油および第2作動油を制御(油圧ON/OFF)するためのコントロール弁である。カム切換機構150は既燃ガス導入弁31b、既燃ガス排出弁32bに設けられ、カム切換機構150aは後続気筒吸気弁31a、先行気筒排気弁32aに設けられている。
【0122】
ECU40aは、第1の実施形態のECU40に対し、弁停止機構制御手段42およびカム位相制御手段49に替えてカム切換制御手段190を備える点が異なっている。
【0123】
カム切換制御手段190は、特殊運転モードと通常運転モードとに応じ、あるいは運転状態に応じ、第1コントロール弁176および第2コントロール弁177を制御することにより、カム切換機構150およびカム切換機構150aを次のように制御する。
【0124】
特殊運転モードのうち、低負荷低速領域:
・第1作動油圧−OFF,第2作動油圧−OFF
・先行気筒排気弁32a、後続気筒吸気弁31aを停止状態(図12(a))
・既燃ガス排出弁32b、既燃ガス導入弁31bを
第2カム154(低速カム)による作動状態(図11(b))
特殊運転モードのうち、高負荷高速領域:
・第1作動油圧−OFF,第2作動油圧−ON
・先行気筒排気弁32a、後続気筒吸気弁31aを停止状態(図12(a))
・既燃ガス排出弁32b、既燃ガス導入弁31bを
第3カム156(高速カム)による作動状態(図11(c))
通常運転モード:
・第1作動油圧−ON,第2作動油圧−OFF
・先行気筒排気弁32a、後続気筒吸気弁31aを
第2カム154および第3カム156による作動状態(図12(b))
・既燃ガス排出弁32b、既燃ガス導入弁31bを停止状態(図11(a))。
【0125】
次に当実施形態の装置の作用を説明するが、第1の実施形態と重複する部分の記述は省略する。図14は、当実施形態の吸排気行程部分を詳細に示した説明図である。図14(a)は特殊運転モードを行う運転状態のうち、比較的低負荷低回転の領域(図4の領域A1)の場合であり、図14(b)は同様に比較的高負荷高回転の領域(図4の領域A2)の場合である。その他表記方法については図8に準ずる。
【0126】
図14(a)の上段には先行気筒2A,2Dの既燃ガス排出弁32bが開弁する既燃ガス排出弁の開弁期間230(斜線で示す)と、先行気筒吸気弁31が開弁する先行気筒吸気弁の開弁期間231とを示す。下段には後続気筒2B,2Cの後続気筒排気弁32が開弁する後続気筒排気弁の開弁期間232と、既燃ガス導入弁の開弁期間233(斜線で示す)とを示す。また、既燃ガス排出弁の開弁期間230および既燃ガス導入弁の開弁期間233の直下に、後述する既燃ガス排出弁の開弁期間250および既燃ガス導入弁の開弁期間253(いずれも特殊運転モードで比較的高回転高負荷の場合のもの)を参考として2点鎖線で示す。このような弁開閉時期の切換えは、カム切換機構150,150aおよびカム切換制御手段190による。先行気筒吸気弁の開弁期間231は、TDC前約10°CAからBDC後約55°CA(トータル約245°CA)に設定されている。これは、従来のエンジンの一般的な設定値である。これに対し、既燃ガス導入弁の開弁期間233は、ほぼTDCからBDC(トータル約180°CA)に設定されている。また、後続気筒排気弁の開弁期間232は、BDC前約45°CAからTDC後約10°CA(トータル約235°CA)に設定されている。
【0127】
即ち、後続気筒吸気行程下死点247と既燃ガス導入弁の閉弁時期248との間隔(約0°CA)が、先行気筒吸気行程下死点242と先行気筒吸気弁の閉弁時期243との間隔(約55°CA)よりも短くなるように設定されている。そして既燃ガス導入弁の開弁期間233は先行気筒吸気弁の開弁期間231および後続気筒排気弁の開弁期間232よりも短くなっている。このように後続気筒2B,2Cでは、既燃ガス導入弁の開弁期間233を短く設定するとともに、既燃ガス導入弁の閉弁時期248を早期かつBDCに近い時期に設定しているため、ピストン3がBDCを過ぎて上昇中にも既燃ガス導入弁31bが開いている期間が無い、若しくは短くなっている。このため、有効圧縮比が増大して幾何学的圧縮比に近づいている。この有効圧縮比の増大に伴い、後続気筒2B,2Cの筒内温度は上昇し易くなり、圧縮着火性が高くなっている。
【0128】
また、既燃ガス排出弁の開弁期間230はBDC前約45°CAからTDC前約20°CA(トータル約205°CA)に設定されている。従って、既燃ガス排出弁の閉弁時期241は既燃ガス導入弁の閉弁時期248(先行気筒2A,2DではTDCに相当)よりも約20°CA進み側に設定されている。これは、従来のエンジンの一般的な設定値(TDC後50°CA程度)よりも早期になっている。既燃ガス排出弁32bを早期に閉じることにより、先行気筒2A,2Dの内部EGRが増大し、後続気筒2B,2Cに導入される既燃ガス温度が上昇する。
【0129】
後続気筒排気弁の開弁期間232が、BDC前約45°CAからTDC後約10°CA(トータル約235°CA)に設定されているので、後続気筒排気弁32は後続気筒排気行程上死点244では開弁している。一方、既燃ガス導入弁の開弁時期246は、ほぼ後続気筒吸気行程上死点245となるように設定されている。すなわち、後続気筒排気弁32を後続気筒排気行程上死点244までは開弁しつつ、既燃ガス導入弁の開弁時期246が後続気筒吸気行程上死点245となるように設定されている。このため、後続気筒排気行程上死点244付近でのバルブオーバーラップが短縮されるので、後続気筒2B,2Cに導入された既燃ガスが、そのまま後続気筒排気弁32を通して排気通路20に排出される、いわゆる吹き抜けが防止されるとともに、後続気筒2B,2Cの有効圧縮率を増大させることができる。
【0130】
以上のように、後続気筒2B,2Cの有効圧縮比を増大させるとともに、後続気筒2B,2Cに導入される既燃ガス温度を上昇させることにより、後続気筒2B,2Cの筒内温度を上昇させて圧縮着火性を向上させている。このようにすることにより、圧縮着火による燃焼を行うことができる運転領域をより低負荷の領域まで拡大している。
【0131】
図14(b)は、比較的高負荷高回転の領域(図4の領域A2)の場合の説明図である。上段には先行気筒2A,2Dの既燃ガス排出弁32bが開弁する既燃ガス排出弁の開弁期間250(網目で示す)と、先行気筒吸気弁の開弁期間231(図14(a)と共通)とを示す。下段には後続気筒排気弁の開弁期間232(図14(a)と共通)と、既燃ガス導入弁31bが開弁する既燃ガス導入弁の開弁期間253(網目で示す)とを示す。また、既燃ガス排出弁の開弁期間250および既燃ガス導入弁の開弁期間253の直下に、図14(a)の既燃ガス排出弁の開弁期間230および既燃ガス導入弁の開弁期間233を参考として2点鎖線で示す。
【0132】
既燃ガス導入弁の開弁期間253は、TDC前約10°CAからBDC後約55°CAに設定されている。すなわち、低負荷低回転領域における既燃ガス導入弁の開弁期間233に対し、10°CA早期に開弁し、55°遅く閉弁する。従って、後続気筒2B,2Cの有効圧縮比は図14(a)の場合よりも減少しており、後続気筒2B,2Cの筒内温度は低下する。
【0133】
また、既燃ガス排出弁の開弁期間250は、BDC前約45°CAからTDC後約10°CAに設定されている。すなわち図14(a)の既燃ガス排出弁の開弁期間230よりも約30°CA長くなっている。このため、先行気筒2A,2Dの内部EGRは図14(a)の場合よりも減少し、後続気筒2B,2Cに導入される既燃ガス温度は低下する。
【0134】
以上のように、後続気筒2B,2Cの有効圧縮比を減少させるとともに、後続気筒2B,2Cに導入される既燃ガス温度を低下させることにより、後続気筒2B,2Cの筒内温度を低下させ、ノッキング等の異常燃焼の発生を防止している。このようにすることにより、圧縮着火による燃焼を行うことができる運転領域をより高負荷の領域まで拡大している。
【0135】
なお図14(a),(b)に示すパターンは、各開弁期間や開弁時期を限定するものではなく、特許請求の範囲内で適宜変更しても良い。例えば、図14(a)の既燃ガス導入弁の閉弁時期248は、後続気筒吸気行程下死点247よりも若干遅れるように設定しても良い。その他の具体的な設定値も、エンジンの要求特性に応じて好適な値に設定して良い。
【0136】
当実施形態では、吸排気バルブの設置箇所やそれぞれの機能に応じて、3通りのカム切換えをするもの、2通りのカム切換えをするもの及びカム切換えをしないものが混在するような構造としたが、その組み合わせはこれに限定するものではなく、例えば全てのバルブに対し3通りのカムとロッカアームセット160を対応させて、3通りのカム切換えをするようにしても良い。そして、第2の実施形態では不変としていた先行気筒吸気弁の開弁期間231や後続気筒排気弁の開弁期間232を、カム切換えによって変動させるようにしても良い。
【0137】
本発明は、上記第1、第2の実施形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載した発明の範囲内で、種々の変形が可能である。例えば各弁の開閉時期を要求に応じて変動させる手段は、第1の実施形態のようにカムシャフトの位相を変動させる機構や第2の実施形態のようにカムを切換える機構に限定するものではなく、特許請求の範囲に示すような設定が得られるものであれば良い。
【0138】
本発明は4気筒エンジンに限定するものではなく、先行気筒と後続気筒とからなる1対の気筒対を、3対以上好適に組み合わせた6気筒以上のエンジンに適用しても良い。
【0139】
【発明の効果】
以上のように本発明の制御装置は、少なくとも低負荷低回転域で、排気行程と吸気行程が重なる一対の気筒間において排気行程側の気筒である先行気筒から排出される既燃ガスがそのまま吸気行程側の気筒である後続気筒に気筒間ガス通路を介して導入され、この後続気筒から排出される排ガスが排気通路に導かれるような2気筒接続状態にガス流通経路を構成するとともに、上記2気筒接続状態にあるときに、上記先行気筒では理論空燃比よりも所定量大きいリーン空燃比とした状態で強制点火により燃焼を行わせ、上記後続気筒では、先行気筒から導入されたリーン空燃比の既燃ガスに燃料を供給するとともに圧縮着火により燃焼を行わせるように各気筒の燃焼を制御する燃焼制御手段とを備え、少なくとも上記2気筒接続状態にあるときに、上記先行気筒に新気を導入する先行気筒吸気弁と上記気筒間ガス通路から上記後続気筒に既燃ガスを導入する既燃ガス導入弁とが設けられ、上記2気筒接続状態となる運転領域のうち、少なくとも低負荷側の所定領域において、上記後続気筒の吸気行程下死点と上記既燃ガス導入弁の閉弁時期との間隔が、上記先行気筒の吸気行程下死点と上記先行気筒吸気弁の閉弁時期との間隔よりも短くなるように設定されていることを特徴とするので、三元触媒だけで充分に排気浄化性能を確保しつつ、リーン燃焼やポンピングロス低減等による燃費改善効果を得るとともに、その寄与度の高い運転領域を拡大することにより、更に大きな燃費改善効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態による装置を備えたエンジン全体の概略平面図である。
【図2】エンジン本体等の概略断面図である。
【図3】第1実施形態の制御系統のブロック図である。
【図4】運転領域を示す説明図である。
【図5】各気筒の排気行程、吸気行程、燃料噴射時期および点火時期等を示す図である。
【図6】低負荷低回転時の実質的な新気およびガスの流通経路を示す説明図である。
【図7】高負荷、高低回転側の運転領域にある時の実質的な新気およびガスの流通経路を示す説明図である。
【図8】第1実施形態の特殊運転モードにおける吸排気弁の開閉時期を示す説明図であり、(a)は、そのうち比較的低負荷低回転の場合、(b)は、同じく比較的高負荷高回転の場合を示す。
【図9】通常運転モードにおける吸排気弁の開閉時期を示す説明図である。
【図10】第2実施形態のカム切換機構を示す部分斜視図である。
【図11】第2実施形態における3種のカム切換機構のためのプランジャ作動説明図である。
【図12】第2実施形態における2種のカム切換機構のためのプランジャ作動説明図である。
【図13】第2実施形態の制御系統のブロック図である。
【図14】第2実施形態の特殊運転モードにおける吸排気弁の開閉時期を示す説明図であり、(a)は、そのうち比較的低負荷低回転の場合、(b)は、同じく比較的高負荷高回転の場合を示す。
【符号の説明】
1 エンジン本体
2A,2D 1番,4番気筒(先行気筒)
2B,2C 2番,3番気筒(後続気筒)
9 燃料噴射弁
11 吸気ポート
11,11a,11b 吸気ポート
12,12a,12b 排気ポート
15 吸気通路
20 排気通路
22 気筒間ガス通路
31 先行気筒吸気弁
31a 後続気筒吸気弁
31b 既燃ガス導入弁
32 後続気筒排気弁
32a 先行気筒排気弁
32b 既燃ガス排出弁
33a,34a カム位相可変機構
40,40a ECU
42 弁停止機構制御手段
44 燃焼制御手段
49 カム位相制御手段
150 カム切換機構
160 ロッカアームセット
190 カム切換制御手段

Claims (8)

  1. 各気筒が所定の位相差をもって吸気、圧縮、膨張、排気の各行程からなるサイクルを行うようになっている多気筒の火花点火式エンジンにおいて、
    少なくとも低負荷低回転域で、排気行程と吸気行程が重なる一対の気筒間において排気行程側の気筒である先行気筒から排出される既燃ガスがそのまま吸気行程側の気筒である後続気筒に気筒間ガス通路を介して導入され、この後続気筒から排出される排ガスが排気通路に導かれるような2気筒接続状態にガス流通経路を構成するとともに、
    上記2気筒接続状態にあるときに、上記先行気筒では理論空燃比よりも所定量大きいリーン空燃比とした状態で強制点火により燃焼を行わせ、上記後続気筒では、先行気筒から導入されたリーン空燃比の既燃ガスに実質的に理論空燃比となるような量の燃料を供給するとともに圧縮着火により燃焼を行わせるように各気筒の燃焼を制御する燃焼制御手段と、
    上記先行気筒に新気を導入する先行気筒吸気弁と、当該先行気筒から上記排気通路に排ガスを排出する先行気筒排気弁と、上記気筒間ガス通路から上記後続気筒に既燃ガスを導入する既燃ガス導入弁と、上記後続気筒に新気を導入する後続気筒吸気弁とを備え、
    少なくとも上記2気筒接続状態にあるときには、上記先行気筒吸気弁が開弁することで上記先行気筒に新気が導入されるとともに、上記既燃ガス導入弁が開弁することで上記気筒間ガス通路から上記後続気筒に既燃ガスが導入される一方、上記先行気筒排気弁と上記後続気筒吸気弁とが閉弁しており、
    上記2気筒接続状態となる運転領域のうち、少なくとも低負荷側の所定領域において、上記後続気筒の吸気行程下死点と上記既燃ガス導入弁の閉弁時期との間隔が、上記先行気筒の吸気行程下死点と上記先行気筒吸気弁の閉弁時期との間隔よりも短くなるように設定されていることを特徴とする火花点火式エンジンの制御装置。
  2. 少なくとも上記2気筒接続状態にあるときに、上記後続気筒の排ガスを排出する後続気筒排気弁が設けられ、
    上記2気筒接続状態となる運転領域のうち、少なくとも低負荷側の所定領域において、上記後続気筒排気弁を、上記後続気筒の排気行程上死点までは開弁しつつ、上記既燃ガス導入弁の開弁時期が、上記後続気筒の吸気行程上死点となるように設定されている
    ことを特徴とする請求項1記載の火花点火式エンジンの制御装置。
  3. 上記2気筒接続状態となる運転領域のうち、高負荷側の所定領域において、上記既燃ガス導入弁の閉弁時期が、低負荷側の所定領域にあるときの該時期よりも遅れ側に設定されていることを特徴とする請求項1または2記載の火花点火式エンジンの制御装置。
  4. 上記2気筒接続状態となる運転領域のうち、高負荷高回転側の所定領域において、上記既燃ガス導入弁の閉弁時期が、低負荷低回転側の所定領域にあるときの該時期よりも遅れ側に設定されていることを特徴とする請求項1または2記載の火花点火式エンジンの制御装置。
  5. 少なくとも上記2気筒接続状態にあるときに、上記先行気筒の既燃ガスを上記気筒間ガス通路に排出する既燃ガス排出弁が設けられ、
    上記2気筒接続状態となる運転領域において、上記既燃ガス排出弁の閉弁時期が、上記既燃ガス導入弁の閉弁時期よりも進み側に設定されるとともに、
    上記既燃ガス排出弁の開弁期間と上記既燃ガス導入弁の開弁期間とをそれぞれ個別に一定の所定値としつつ、
    少なくともエンジン負荷に応じて、上記既燃ガス排出弁の開弁時期と上記既燃ガス導入弁の開弁時期とが、その時期差を一定に保ちながら前後に変動するように設定されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の火花点火式エンジンの制御装置。
  6. 各気筒が所定の位相差をもって吸気、圧縮、膨張、排気の各行程からなるサイクルを行うようになっている多気筒の火花点火式エンジンにおいて、
    少なくとも低負荷低回転域で、排気行程と吸気行程が重なる一対の気筒間において排気行程側の気筒である先行気筒から排出される既燃ガスがそのまま吸気行程側の気筒である後続気筒に気筒間ガス通路を介して導入され、この後続気筒から排出される排ガスが排気通路に導かれるような2気筒接続状態にガス流通経路を構成するとともに、
    上記2気筒接続状態にあるときに、上記先行気筒では理論空燃比よりも所定量大きいリーン空燃比とした状態で強制点火により燃焼を行わせ、上記後続気筒では、先行気筒から導入されたリーン空燃比の既燃ガスに実質的に理論空燃比となるような量の燃料を供給するとともに圧縮着火により燃焼を行わせるように各気筒の燃焼を制御する燃焼制御手段と、
    上記先行気筒に新気を導入する先行気筒吸気弁と、当該先行気筒から上記排気通路に排ガスを排出する先行気筒排気弁と、上記気筒間ガス通路から上記後続気筒に既燃ガスを導入する既燃ガス導入弁と、上記後続気筒に新気を導入する後続気筒吸気弁とを備え、
    少なくとも上記2気筒接続状態にあるときには、上記先行気筒吸気弁が開弁することで上記先行気筒に新気が導入されるとともに、上記既燃ガス導入弁が開弁することで上記気筒間ガス通路から上記後続気筒に既燃ガスが導入される一方、上記先行気筒排気弁と上記後続気筒吸気弁とが閉弁しており、
    上記2気筒接続状態となる運転領域のうち、少なくとも低負荷側の所定領域において、上記既燃ガス導入弁の開弁期間が上記先行気筒吸気弁の開弁期間よりも短く、かつ上記後続気筒の吸気行程下死点と上記既燃ガス導入弁の閉弁時期との間隔が、上記先行気筒の吸気行程下死点と上記先行気筒吸気弁の閉弁時期との間隔よりも短くなるように設定されていることを特徴とする火花点火式エンジンの制御装置。
  7. 少なくとも上記2気筒接続状態にあるときに、上記後続気筒の排ガスを排出する後続気筒排気弁が設けられ、
    上記2気筒接続状態となる運転領域のうち、少なくとも低負荷側の所定領域において、上記既燃ガス導入弁の開弁期間が、上記後続気筒排気弁の開弁期間よりも短くなるように設定されていることを特徴とする請求項6記載の火花点火式エンジンの制御装置。
  8. 少なくとも上記2気筒接続状態にあるときに、上記先行気筒の既燃ガスを上記気筒間ガス通路に排出する既燃ガス排出弁が設けられ、
    上記2気筒接続状態となる運転領域のうち、少なくとも低負荷側の所定領域において、上記既燃ガス導入弁の開弁時期が、上記既燃ガス排出弁の開弁時期よりも遅れ側に設定されていることを特徴とする請求項6に記載の火花点火式エンジンの制御装置。
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