JP2007063627A - 疲労特性に優れた軸受用鋼部品およびその製造方法 - Google Patents

疲労特性に優れた軸受用鋼部品およびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】
表層部の旧オーステナイト粒径を微細化して疲労特性を向上させ、ベアリング゛内外輪,ベアリングボールなどに好適な焼入れ処理が施される軸受用部品およびその製造方法を提供する。
【解決手段】表層において、前組織における球状化炭化物が1.15個/μm2以上、焼入れ後の旧オーステナイト粒の平均粒径を3.5μm以下とし、成分組成は好ましくはC:0.6〜1.5mass%、Si:0.1〜1.0mass%、Mn:0.1〜1.5mass%、Al:0.1mass%以下、Cr:0.05〜2.0mass%、必要に応じてS、Cu、Ni、Mo、W、Ti、Nb、B、Sb、Nの一種または二種以上を添加する。球状化炭化物の単位面積あたり個数が1.15個/μm2以上の鋼に、Ac3点-10℃〜Ac3点の温度間での平均加熱速度を0.5℃/s以上とし、Ac3点以上Ac3点+130℃以下の温度で、Ac3点以上の保持時間が500秒以下である加熱を施して焼入れ処理を行う。
【選択図】 図2

Description

本発明は,ベアリング内外輪,ベアリングボールなど焼入れ処理が施されている軸受用部品およびその製造方法に関し、特に、表層部の旧オーステナイト粒径を微細化して疲労特性を向上させたものに関する。
自動車、機械などに利用されているベアリングなどの軸受用鋼部品は、優れた転動疲労特性が要求される。軸受用鋼部品は、疲労特性が要求される部位に,通常焼入れ・焼戻しが施されて使用される。
転動疲労寿命を向上させる方法としては、例えば、特許文献1には、S53Cレベルの亜共析鋼(フェライト、パーライト組織)に2回以上のオーステナイト単相域への高周波熱処理を行い、旧オーステナイト粒径を微細化し、疲労寿命を向上させる方法が記載されており、その到達旧オーステナイト粒径は最小粒径のものでも6.2μmで、転動疲労寿命は従来材に比較して1.2〜1.5倍程度である。
一方、過共析鋼については本文献には記載がないが、一般的に、過共析鋼の場合は通常焼入れ材でも旧オーステナイト粒は6〜10μmを呈しているが、更なる最適熱処理化による旧オーステナイト粒の微細化処理を行わなければ転動疲労寿命の向上は期待できないとされる。
特開2002-256336号公報
本発明は、上述した現状に鑑み開発されたもので、焼入れ前の前組織における残留炭化物密度を最適化することによる疲労寿命向上効果と、残留炭化物のヒ゜ンニンク゛効果を利用したγ粒径微細化による疲労寿命向上効果とを利用し、従来よりも転動疲労寿命を向上させた軸受用部品およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは,上記問題を解決するために鋭意検討を行なった結果、前組織中の炭化物が球状化され、その炭化物密度が単位面積あたりの個数で1.15μm2以上である鋼を、球状化炭化物が消滅しないAc3以上〜Acm温度以下の温度に、Ac3点以上の滞留時間が500秒以下となる条件で加熱後、焼入れる場合、通常の球状化炭化物密度の鋼より炭化物のピンニングによる粒成長抑制効果が有利に働き、焼入れ前のオーステナイト粒径が平均粒径3.5μm以下に微細化し、転動疲労寿命が上昇するとともに、炭化物密度が最適化されて疲労寿命が向上するという知見を得た。
本発明は、得られた知見に、更に検討を加えて完成されたものであり、その要旨構成は以下のとおりである。
1 表層において、前組織における球状化炭化物が1.15個/μm2以上、焼入れ後の旧オーステナイト粒の平均粒径が3.5μm以下であることを特徴とする疲労特性に優れた軸受用鋼部品。
2 前記鋼部品の成分組成が、
C:0.6〜1.5mass%、
Si:0.1〜1.0mass%、
Mn:0.1〜1.5mass%、
Al:0.1mass%以下、
Cr:0.05〜2.0mass%
を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなることを特徴とする1記載の疲労特性に優れた軸受用鋼部品。
3 更に、
S:0.03mass%以下、
Cu:1.0mass%以下、
Ni:1.0mass%以下、
Mo:1.0mass%以下、
W:1.0mass%以下、
Ti:0.01mass%以下、
Nb:0.5mass%以下、
B:0.01mass%以下、
Sb:0.0050mass%以下
N:0.01mass%以下
のうちから選ばれる1種または2種以上を含有することを特徴とする2記載の疲労特性に優れた軸受用鋼部品。
4 前記表層部の型さがHv700以上であることを特徴とする1乃至3の何れか一つに記載の疲労特性に優れた軸受用鋼部品。
5 球状化炭化物の単位面積あたり個数が1.15個/μm2以上の鋼に、Ac3点-10℃〜Ac3点の温度間での平均加熱速度を0.5℃/s以上とし、Ac3点以上、Ac3点+130℃以下の温度で、Ac3点以上の保持時間が500秒以下である加熱を施して焼入れ処理を行うことを特徴とする疲労特性に優れた軸受用鋼部品の製造方法。
6 2または3記載の成分組成を有し、球状化炭化物の単位面積あたり個数が1.15個/μm2以上の鋼に、Ac3点-10℃〜Ac3点の温度間での平均加熱速度を0.5℃/s以上とし、Ac3点以上Ac3点+130℃以下の温度で、Ac3点以上の保持時間が500秒以下である加熱を施して焼入れ処理を行うことを特徴とする疲労特性に優れた軸受用鋼部品の製造方法。
本発明によれば、表層部が、旧オーステナイト粒の平均粒径が3.5μm以下の微細な組織となり、転動疲労寿命特性に優れた軸受用鋼部品が容易に得られ、工業的に非常に有用である。
以下、本発明を具体的に説明する。
[微視組織]
本発明に係る軸受用鋼部品では、焼入れ前の前組織における球状化炭化物の単位面積あたり個数を1.15個/μm2以上、表層の焼入れ組織における旧オーステナイト粒の平均粒径を3.5μm以下に規定する。
図1に、1.0mass%C鋼の旧オーステナイト粒径に及ぼす球状炭化物密度の影響を示す。球状炭化物密度が高くなると急激に焼入れ後の旧オーステナイト粒径が微細化し、球状炭化物密度1.15μm2以上で、平均粒径が3.5μm以下となり略一定となる。
図2に、旧γ粒径とB10疲労寿命の関係に及ぼす球状炭化物密度の影響を示す。球状炭化物密度1.20μm2の素材は、旧オーステナイト粒の平均粒径が3.5μm以下となると、寿命比は2以上となり、B10疲労寿命が向上する。
一方、球状炭化物密度1.01μm2の素材は、旧オーステナイト粒が変化しても寿命比1.5以下でB10疲労寿命は殆ど変化せず、球状炭化物密度1.20μm2の素材と比較すると疲労寿命に劣る。なお、本発明において球状化炭化物とは、アスペクト比が3.0以下の炭化物を指す。
このように、焼入れ前の前組織において炭化物密度を1.15μm2以上とすると、炭化物密度1.15μm2未満の鋼に比べて、旧γ粒が微細化し、また、旧オーステナイト粒の平均粒径が3.5μm以下において、炭化物密度1.15μm2未満の鋼に比べ疲労寿命が大幅に向上する。
また、球状化炭化物の炭化物表面積の増加により、焼入れ時の母相への炭化物溶け込みが推進され、軸受用鋼部品の転動疲労寿命が大幅に向上する。
球状化炭化物密度の調整は、球状化焼鈍、低温圧延+球状化焼鈍、低温加工のいずれかの方法が好ましいが、本発明では特に規定しない。
1 球状化焼鈍
球状化焼鈍はAe3点直上への加熱によるパーライト中の層状炭化物を溶け込ませ、球状化炭化物の種を作り、その後、徐冷却により球状化炭化物としている。Ae3点直上への加熱条件を低温、短時間均熱とすることで球状化炭化物密度を1.15個/μm2以上とする。具体的には、720℃±10℃で1〜4時間の均熱とする。
2 低温圧延+球状化焼鈍
素材圧延過程において、少なくとも仕上げ加工においてパーライト変態終了温度以下で減面率10%以上の圧延を行ない、パーライト組織中の炭化物を分断させる。その後、球状化焼鈍を行ない、球状化炭化物密度を1.15個/μm2以上とする。
3 低温加工
素材圧延過程において、パーライト変態終了温度以下の温間域で減面率30%以上の圧延を行ない、パーライト組織中の炭化物を分断させ、炭化物密度を1.15個/μm2以上とする。尚、圧延を,製品の鍛造などに変えても問題はない。
球状化炭化物密度が1.15個/μm2以上の素材から製品を製造する場合,焼入れを行なう前であれば,鍛造工程の間に軟化焼鈍を実施したり、温間鍛造のための加熱を行なっても、焼入れ前の炭化物形態が球状化炭化物で、その密度が1.15個/μm2以上であれば、焼入れ処理時のピンニング゛効果が消滅しないため問題ない。
尚、炭化物が析出する基地組織は、フェライト、ベイナイト、マルテンサイトのいずれであってもよい。
本発明に係る軸受用鋼部品は、焼入れ後において、表層以外の組織は特に規定しない。表層に限らず全厚方向において旧オーステナイト粒の平均粒径が3.5μm以下となっていてもその効果が損なわれることはない。
疲労寿命を向上させるためには、焼入れ後において、表層部の硬さが硬いほど有利で、表層部の硬さはHv700以上であることが好ましい。
本発明に係る軸受用鋼部品に好適な成分組成について説明する。
[成分組成]
C:0.6%〜1.5mass%
Cは,焼入れ部において部品の疲労寿命を得るために必要となる硬度確保のために必要な元素であり、0.6mass%未満では焼入れ部で十分な硬度および疲労強度が得られない。
一方、1.5mass%を超えて添加すると、焼入れ前の加工性(剪断性,鍛造性)を劣化させる。よって、好適なC含有量範囲は0.65%〜1.5mass%とすることが好ましい。
Si:0.1〜1.0mass%
Siは,転動疲労寿命を向上するため0.1mass%以上含有されていることが好ましい。しかし,1.0mass%を越えて添加すると,Cと同様,焼入れ前の加工性(剪断性,鍛造性)を劣化させる。よって、Siの好適含有量範囲は0.1〜1.0mass%以下とすることが好ましい。
Mn:0.1〜1.5mass%
Mnは,焼入性を向上するため,0.1mass%以上含有する。しかし,過剰に添加すると焼入れ前の加工性(剪断性,鍛造性)を劣化させる。このため,その含有量の上限は1.5mass%以下とすることが好ましい。
Cr:0.05〜2.0mass%
Crは焼入性向上および炭化物球状化を促進による焼入れ前の硬度低下・加工性向上の効果があるため0.05以上含有されていることが好ましい。しかし、2.0mass%を超えて添加しても効果が飽和してしまうため0.05〜2.0mass%の範囲で含有されていることが好ましい。
Al:0.1mass%以下
Alは、強力な脱酸作用を持ち,鋼の清浄化を向上させる効果を有する成分であるため含有されていることが好ましい。0.10mass%を超えて添加した場合には,鋼の清浄化がむしろ劣化し,疲労寿命が低下することから,その含有量を0.1mass%以下とすることが好ましい。更に好ましくは、0.005〜0.1mass%である。
以上が本発明の好適な基本成分組成で、残部はFeおよび不可避的不純物である。不可避的不純物としては、P、S、N、Oが挙げられ、Pは0.05mass%まで、Oは0.0150mass%までを許容する。
S、Nは不可避的不純物としても混入する場合、Sは0.01%まで、Nは0.0080%まで許容するが、積極的に添加してもよい。所望する特性を向上させる場合、S、Cu、Ni、Mo、W、Ti、Nb、B、Sb、Nの一種または二種以上を添加する。
S:0.03mass%以下
SはMnと結合して,MnSを形成して被削性を向上するため添加してもよい。0.03mass%を越えて添加するとMnSが割れの起点となり疲労寿命を著しく低下するため、添加する場合は、その含有量の上限は0.03mass%とすることが好ましい。
Cu:1.0mass%以下
Cuは焼入れ性向上により焼入れ部の硬度向上効果があるため添加してもよい。この効果を得るため、添加する場合には1.0mass%以下とする。
Ni:1.0mass%以下
Niは焼入性増大や焼入れ部の靭性を向上させるため、添加する場合は1.0mass%を上限に添加する。また,Cu添加時には熱間脆性抑制のためにNiをCu添加量の1/2添加することが好ましい。
Mo:1.0mass%以下
Moは焼入性向上効果や焼戻し軟化抵抗の効果があるため添加してもよいが,加工性が悪くなるため、添加する場合は1.0mass%以下とすることが好ましい。
W:1.0mass%以下
Wは焼入性向上効果があるため添加してもよいが,加工性が悪くなるため、添加する場合は、1.0mass%以下とすることが好ましい。
Ti:0.01mass%以下
Tiは窒化物形成によるオーステナイト粒成長抑制効果があるため添加してもよいが、0.01mass%を超えると,疲労特性が劣化するため、添加する場合は0.01mass%以下とすることが好ましい。
Nb:0.5mass%以下
Nbは窒化物(もしくは炭窒化物)形成によるオーステナイト粒成長抑制効果があるため添加してもよいが、その含有量が0.5mass%を超えるとその効果は飽和するので、添加する場合は、0.5mass%以下とすることが好ましい。
B:0.01mass%以下
Bは焼入性向上効果があるため0.01mass%を上限に添加してもよいが、その含有量が0.01mass%を超えるとその効果は飽和するため、添加する場合は、0.01mass%以下とすることが好ましい。
Sb:0.0050mass%以下
Sbは、ミクロ組織変化の遅延に対して効果があり、転動疲労特性の劣化を防止する作用を有するので、添加してもよい。しかし、その含有量が0.0050mass%を超えると、靭性が劣化するので、添加する場合は、0.0050mass%以下とすることが好ましい。
N:0.01mass%以下
Nは、不可避的不純物として存在するが、窒化物(もしくは炭窒化物)を形成し,γ粒微細化に効果がある。過剰添加は鋼の加工性を劣化させるため、添加する場合は0.01mass%以下であることが好ましい。
[焼入れ処理条件]
本発明に係る軸受用鋼部品は、炭化物形態を球状化炭化物とし、その単位面積あたり個数が1.15個/μm2以上の焼入れ前の前組織を備えた鋼素材、好ましくは棒鋼あるいは線材を、鍛造工程を経てベアリング゛内外輪、ベアリングボール等の軸受用鋼部品の形状に加工した後、表層部焼入れを施す。旧オーステナイト粒の平均粒径が3.5μm以下となる表層部を得るための条件について説明する。
焼入れ処理は、Ac3点-10℃〜Ac3点間を0.5℃/s以上で加熱し、加熱温度:Ac3点以上、Ac3+130℃以下、保持時間500秒以下として行う。
加熱温度は、焼入れ後、均一な焼入れ組織とするため、Ac3点以上とする。一方、Ac3点+130℃超では、球状化炭化物が存在していても、ピンニング゛効果が低減して、オーステナイトの粒成長が生じ、焼入れ後の組織の旧オーステナイト粒の平均粒径が3.5μm超となるため、Ac3点以上、Ac3点+130℃以下とする。
Ac3点以上で、500秒を超えて保持すると、球状化炭化物によるピンニング効果によっても、粒成長に十分な時間となり、焼入れ後の組織の旧オーステナイト粒径が3.5μm超となってしまうため、Ac3点以上の保持時間は500秒以下とする。
加熱速度は、Ac3点-10℃〜Ac3点間で0.5℃/s以上とする。該温度域での加熱速度が、0.5℃/s未満の場合、オーステナイトへの核生成駆動力の減少などの影響で、オーステナイト粒径が粗大化し、焼入れ後の組織の旧オーステナイト粒径が3.5μm超となるため、0.5℃/s以上とする。加熱速度はAc3点-10℃〜Ac3点間での平均値とする。
尚、焼入れ処理は、複数回行うと、より微細な表層部が得られ好ましい。複数回の焼入れ処理を行う場合、少なくとも、最終の焼入れ処理時にのみ(N回焼入れ処理を施す場合には、N回目のみ)、上述した条件を適用する。
最終の焼入れ処理に先立って行う焼入れ処理(N回焼入れ処理を施す場合には、1〜N-1回目までの焼入れ処理)は、焼入れ後において、球状炭化物が残存する組織が得られるように、加熱温度をAcm点(球状化炭化物がオーステナイトに溶け込みオーステナイト単相となる温度)以下とすれば、その他の条件は適宜選定すればよく,最終焼入れ工程の条件に限定されない。
但し、焼入れ処理の回数は、生産性・コストを考慮すると2回行なうのが好適である。焼入れ装置は、高周波加熱装置を利用すると表層部が最も加熱されて好ましいが部品の形状に適したものを選定すればよく、特に規定しない。
本発明においては、焼入れ処理の後に焼戻し処理を行ってもよい。但し、焼戻し処理を行う場合、焼戻し温度が高温となると、表層部が軟化して、疲労強度が低下し、焼入れ表層部の旧オーステナイト粒径を微細化した効果が損なわれるため、焼戻しを行う場合は、200℃以下とし、Hv700以上の表層を得ることができる。
上記の条件で、焼入れ処理、焼戻し処理が施された後は、必要に応じて仕上げの研磨処理を施し、軸受用鋼部品とする。
表1に示す各種組成の実験用100kg鋼塊を、1250℃で15hソーキングを行なった後、850℃以上で熱間鍛造し、φ20mm棒鋼とした。得られた棒鋼を1000℃に30分間再加熱後、800℃〜600℃の種々の温度でφ13mmに温間圧延し、その後、770℃×1時間の球状化焼鈍(SA)により、フェライトと平均アスペクト比1.3〜1.5、球状化炭化物密度を種々に変化させた。
これらの棒鋼の直径の中心部分よりφ12mm×22mm長さのラジアル型転動疲労試験片を粗加工し、種々の熱処理条件で焼入れ処理を行なった。焼戻しは170℃で行ない、仕上げ加工を行なった後、組織観察、硬さ試験および疲労試験に供した。表2に熱処理条件を示す。高周波焼入れ装置を用いた場合、加熱速度が700℃/s以上と早くなっている。
評価は、表層部ビッカース硬度、表層部旧オーステナイト粒径を調査するとともに,ラジアル疲労試験によるB10寿命で転動疲労特性を評価した。尚、表層部のビッカース硬度はラジアル試験片の長手方向断面(以下L断面)で表層から0.1mm内部のビッカース硬度を荷重2.94N(300gf)で5点測定し平均した。
表層部の旧オーステナイト粒径は、旧オーステナイト粒腐食を行ない、L断面表層直下においてSEMを用いて5000倍で4視野写真撮影し、切断法を行なった。切断法では、各視野において縦および横方向に4分割する線分3本を引き、この線分(1視野当たり108μm)が旧オーステナイト粒界と交差した数(X)を測定し、「ある視野での平均旧オーステナイト粒径 (μm) = 108/(0.89×X)」として算出した後、4視野の平均を出した。
ラジアル疲労試験は、ヘルツ応力5884MPa(600kgf/mm2)、回転数約46400cpmで20本試験を行ない、B10寿命を求めた。
表2(その1〜3)に熱処理条件に併せて、得られた試験結果を示す。表2において、焼入れ前の前組織における球状炭化物密度が1.15個/μm2未満で、焼入れ条件が本発明範囲外となるものを従来例とし、焼入れ前の前組織における球状炭化物密度が本発明範囲内であるが焼入れ条件が本発明範囲外のものを比較例とした。
焼入れ前の前組織における球状炭化物密度と焼入れ条件が本発明範囲内の場合(発明例)、平均旧オーステナイト粒径が微細で、従来例と比較して疲労寿命に優れている。焼入れ条件が本発明範囲内であっても、焼入れ前の前組織における球状炭化物密度が本発明範囲外の場合、疲労特性は本発明例より劣っていた。尚、同一粒径で比較した場合、球状炭化物密度が高いほどB10寿命に優れていた。
Figure 2007063627
Figure 2007063627
Figure 2007063627
Figure 2007063627
旧オーステナイト粒径に及ぼす球状炭化物密度の影響を示す図。 旧オーステナイト粒径とB10疲労寿命の関係に及ぼす球状炭化物密度の影響を示す図。

Claims (6)

  1. 表層において、前組織における球状化炭化物が1.15個/μm2以上、焼入れ後の旧オーステナイト粒の平均粒径が3.5μm以下であることを特徴とする疲労特性に優れた軸受用鋼部品。
  2. 前記鋼部品の成分組成が、
    C:0.6〜1.5mass%、
    Si:0.1〜1.0mass%、
    Mn:0.1〜1.5mass%、
    Al:0.1mass%以下、
    Cr:0.05〜2.0mass%
    を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなることを特徴とする請求項1記載の疲労特性に優れた軸受用鋼部品。
  3. 更に、
    S:0.03mass%以下、
    Cu:1.0mass%以下、
    Ni:1.0mass%以下、
    Mo:1.0mass%以下、
    W:1.0mass%以下、
    Ti:0.01mass%以下、
    Nb:0.5mass%以下、
    B:0.01mass%以下、
    Sb:0.0050mass%以下
    N:0.01mass%以下
    のうちから選ばれる1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項2記載の疲労特性に優れた軸受用鋼部品。
  4. 前記表層部の型さがHv700以上であることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一つに記載の疲労特性に優れた軸受用鋼部品。
  5. 球状化炭化物の単位面積あたり個数が1.15個/μm2以上の鋼に、Ac3点-10℃〜Ac3点の温度間での平均加熱速度を0.5℃/s以上とし、Ac3点以上Ac3点+130℃以下の温度で、Ac3点以上の保持時間が500秒以下である加熱を施して焼入れ処理を行うことを特徴とする疲労特性に優れた軸受用鋼部品の製造方法。
  6. 請求項2または3記載の成分組成を有し、球状化炭化物の単位面積あたり個数が1.15個/μm2以上の鋼に、Ac3点-10℃〜Ac3点の温度間での平均加熱速度を0.5℃/s以上とし、Ac3点以上Ac3点+130℃以下の温度で、Ac3点以上の保持時間が500秒以下である加熱を施して焼入れ処理を行うことを特徴とする疲労特性に優れた軸受用鋼部品の製造方法。
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