JP2007046128A - 微細フェライト組織を有する熱延鋼板の製造方法 - Google Patents

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Masahiro Fukushima
傑浩 福島
Manabu Eto
学 江藤
Tamotsu Sasaki
保 佐々木
Yoshiori Kono
佳織 河野
Masayuki Wakita
昌幸 脇田
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Abstract

【課題】 従来以上の結晶粒微細化、具体的には平均2μm未満のフェライト結晶粒径を実現するための製造方法を提供する。
【解決手段】 質量%でC:0.04〜0.20%、Si:0.01〜2.0%、Mn:0.5〜3.0%を含有し残部はFe及び不可避的不純物よりなる素材鋼板をオーステナイト単相で平均粒径が30μm以下となるように、マルテンサイトを含む相からオーステナイト単相となるように逆変態を含む加工熱処理を加えるA工程と、前記第A工程に引き続き圧延機入側温度がAe3変態点以上の温度域で圧下率30〜55%の1パス圧延を行う第1圧延を含むB工程と、前記第B工程の後、圧延機入側温度が(Ae3変態点−60℃)以上(Ae3変態点+20℃)未満の温度域で圧下率35〜60%の1パス圧延を行う第2圧延を含むC工程と、引き続き第2圧延後0.2秒以内に600℃/sec以上の冷却速度で(Ae3変態点−130℃)以下の温度まで冷却するD工程とを備える。
【選択図】 図1

Description

本発明は、炭素鋼のフェライト結晶粒径を微細化する熱延鋼板の製造方法に関する。
フェライト結晶粒の微細化により強度と共に靱性が高められることは知られており、微細フェライト組織を持つ熱延鋼板の製造技術は、鉄鋼材料の材料機能発現のための重要な技術である。また特殊な元素を用いずに強度強化が図れるため、製品のリサイクル性も高く、地球環境に対する負荷も少ない。
微細フェライト組織を持つ熱延鋼板を得る手段として、大歪み加工法が従来から多く研究されている。例えば、特許文献1には、変態域で、1パスまたは累積の大圧下により炭素鋼で粒径3〜5μmの細粒フェライト組織を有する高強度熱延鋼板が得られることが開示されている。
また、特許文献2には、650〜950℃の温度域で、圧下率40%以上で圧下し、更に2秒以内に連続して圧下率40%以上の圧下を加えることにより2〜3μm程度の細粒フェライト組織が得られることが開示されている。
これらはいずれも圧延中のフェライト変態やフェライト再結晶による結晶粒微細化機構を活用するものとされている。
特開昭58−123823号公報 特開昭59−229413号公報
上記公報などによる方法では、2〜3μm程度が細粒化の限界であった。本発明は、従来以上の結晶粒微細化、具体的には平均2μm未満のフェライト結晶粒径を実現するための製造方法を提供することを課題とするものである。
以下、本発明について説明する。なお、本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記するが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
本発明は、図1の工程図に概略的に示されるように、熱間加工に適する高温状態にあり、所定の組成を有する素材鋼板を、オーステナイト単相で平均粒径が30μm以下となるように、マルテンサイトを含む相からオーステナイト単相となるように逆変態を含む加工熱処理を加えるA行程(20)、1パスの第1圧延(30)、その直後に行う第2圧延(40)、及びその直後に行う冷却(50)を含む各工程により処理して、微細フェライト組織を有する熱延鋼板を得るものである。
本発明者らは、短パス間時間で高圧下圧延が可能な多スタンド熱間試験圧延機(10)(図2参照。詳細は後述する。)を用いて実験した結果から、微細結晶粒を得るため有効な下記の条件を見出した。これらの適切な組み合わせにより、従来の方法によるもの以上の結晶粒微細化が得られることを知見し本発明を完成するに至った。これを金属結晶組織に注目して表現すれば、
(1)最終パスたる第2圧延(40)まではフェライト変態させず、フェライト変態前のオーステナイトは、極力微細化した上で、且つ転位密度を高める。
(2)A行程(20)において、十分にオーステナイトを微細化する。
(3)第1圧延(30)においては、動的再結晶・静的再結晶が著しく早くなるような超高圧下圧延を避けつつも、十分な圧下率の圧延を行って、歪みを蓄積し、転位密度を高める。
(4)第1圧延(30)と最終パスたる第2圧延(40)とのパス間時間はオーステナイトの再結晶や回復を極力少なくし、歪みの蓄積効果を高めるために、従来圧延方法に比べて短いパス間時間とするとともに、温度を過冷オーステナイト域も含む比較的低い温度とする。
(5)最終パスたる第2圧延(40)においても、十分な圧下率の圧延を行って、歪みを蓄積し、転位密度を高める。このときの出側温度を所定の範囲とする。
(6)第2圧延(40)後は速やかに冷却(50)して、フェライト変態を促進し、フェライト粒成長を抑制する。
ことを本質とする。
かくして本発明は、微細フェライト組織を有する熱延鋼板の製造方法であって、以下の特徴を有することにより前記課題を解決するものである。
(1)質量%でC:0.04〜0.20%、Si:0.01〜2.0%、Mn:0.5〜3.0%を含有し残部はFe及び不可避的不純物よりなる素材鋼板をオーステナイト単相で平均粒径が30μm以下となるように、マルテンサイトを含む相からオーステナイト単相となるように逆変態を含む加工熱処理を加えるA工程と、前記第A工程に引き続き圧延機入側温度がAe3変態点以上の温度域で圧下率30〜55%の1パス圧延を行う第1圧延を含むB工程と、前記第B工程の後、圧延機入側温度が(Ae3変態点−60℃)以上(Ae3変態点+20℃)未満の温度域で圧下率35〜60%の1パス圧延を行う第2圧延を含むC工程と、引き続き第2圧延後0.2秒以内に600℃/sec以上の冷却速度で(Ae3変態点−130℃)以下の温度まで冷却するD工程とを備え、
前記第2圧延は、該第2圧延の圧延機入側温度が(Ae3変態点−60℃)以上(Ae3変態点−30℃)未満ならば、第1圧延後0.6sec以内に、入側温度が(Ae3変態点−30℃)以上(Ae3変態点−5℃)未満ならば、第1圧延後0.5sec以内に、入側温度が(Ae3変態点−5℃)以上(Ae3変態点+20℃)未満ならば、第1圧延後0.3sec以内に行うことを特徴とする熱延鋼板の製造方法。
(2)前記第2圧延の圧延機入側温度が(Ae3変態点−60℃)以上(Ae3変態点+20℃)未満となるように、前記第1圧延と第2圧延の間で鋼板を冷却することを特徴とする請求項1記載の熱延鋼板の製造方法。
上記B工程の第1圧延(30)前の板表面温度は、歪み蓄積効果を高める観点から、(Ae3変態点+30℃)未満となることが好ましく、そのために圧延前に鋼板を待機させて空冷によって温度を調整しても良いし、水冷によって温度を調整してもよい。
本発明によれば、汎用的な炭素鋼のフェライト結晶粒径を著しく微細化できる。その効果として、特殊な元素を用いずに強度強化が図れるため、製品のリサイクル性も高く、地球環境に対する負荷を軽減することができる。
以下、本発明について具体的に説明する。本発明は下記の5点により構成され、それらに制約をかけるものである。
(素材鋼板):質量%で、C:0.04〜0.20%、Si:0.01〜2.0%、Mn:0.5〜3.0%を含有し、残部はFe及び不可避的不純物よりなる。
(A工程):工程終了時の組織がオーステナイト単相で平均粒径が30μm以下となるように、マルテンサイトを含む相からオーステナイト単相となるように逆変態を含む加工熱処理を加える。
(B工程):引き続きAe3変態点以上の温度域で、圧下率30〜55%の1パス圧延である第1圧延を行う。
(C工程):(Ae3変態点−60℃)以上(Ae3変態点+20℃)未満の温度域で圧下率35〜60%の1パス圧延を行う第2圧延を行う。
(D工程):第2圧延の後、0.2秒以内に600℃/sec以上の冷却速度で(Ae3変態点−130℃)以下の温度まで冷却する。
以下、それぞれの項目について詳細に説明する。
(素材鋼板)
本発明による素材の成分としては、普通炭素鋼成分でよく、具体的には、質量%でC:0.04〜0.20%、Si:0.01〜2.0%、Mn:0.5〜3.0%を含有し、残部はFe及び不可避的不純物よりなる素材鋼板とされる。
C:0.04〜0.20質量%
Cは、主に鋼の強度を確保するために必要な元素であるが、多量に含有させると鋼材の溶接性劣化、靱性の著しい低下、プレス成形時の成形性劣化を引き起こす。したがって、本発明の微細フェライト組織を有する熱延鋼板のC含有量は0.20質量%を上限とする。また、C含有量が0.04質量%未満になると結晶粒微細化効果を確保しにくくなるので、C含有量の下限は0.04質量%とする。好ましいC含有量は、 0.07質量%〜0.16質量%である。
Si:0.01〜2.0質量%
Siは、製鋼時の脱酸を行うために必要であり、また鋼板の加工性を高める作用がある合金元素であるが、含有量が2.0質量%を超えると、本発明の微細フェライト組織を有する熱延鋼板としての靭性が損なわれるため、その含有量は2.0質量%を上限とする。一方、含有量が少なすぎると製鋼時の脱酸が十分に行われないので、Si量の下限値は、0.01質量%である。好ましいSi含有量は、0.01質量%〜1.5質量%である。
Mn:0.5〜3.0質量%
Mnは、安価な元素であり、鋼の強度を高める効果を有する元素である。またSによる熱間脆性を防ぎ、Ae3変態点を低下させる。Mnの含有量が0.5質量%未満であると、かかる効果を十分に発現することができないのでMn含有量の下限値は0.5質量%である。一方、Mnの含有量が3.0質量%を超えるとかかる効果は飽和し、むしろ、熱延鋼板の加工性を劣化させるとともに、熱延鋼板の表面性状を悪化させるため、好ましくない。したがって、Mnの含有量は3.0質量%以下とする。好ましいMn含有量は、0.5質量%〜2.0質量%である。
(素材及びA工程)
最終的に微細なフェライト組織を得るためには、仕上げの2パス圧延前のオーステナイト粒径が微細である必要があり、本発明者らは基礎実験によりその粒径が30μm以下であれば最終的に平均粒径2μm以下のフェライト粒径が得られるという知見を得た。一方オーステナイト粒径が微細な組織を得るためには、大きな加工を加える方法や熱処理をする方法があり得るが、熱処理を活用すれば加工度は比較的小さくてすむというメリットがある。本発明の実施例においては、実用化プロセスを前提にした図2に示す試験設備により基礎試験を行った。図2の詳細については後述する。
一方、図3は、上記実用化プロセスを想定した製造装置(ライン)の一例である。図示の製造ライン100は、製造工程が紙面左から右方向に流れるように配置されている。すなわち、紙面左側から順に、スラブ連鋳機101、粗圧延装置102、急速冷却装置103、急速加熱装置104、仕上げ圧延装置105、及び、急速冷却装置106が配列されている。粗圧延装置102は、2スタンドの圧延機102A、102Bがタンデムに配置されている。また、仕上げ圧延装置105は、4スタンドの圧延機105A〜105Dが直列に配置されている。圧延機105Bと105Cとの間、及び圧延機105Cと105Dとの間にはパス間冷却装置107A、107Bがそれぞれ配置されている。
かかる製造ライン100を想定した上で、本発明者らはスラブ連鋳機101による連続鋳造で得られる鋳造組織を持つスラブを、粗圧延装置102により、少なくとも2パストータル50%以上の粗圧延を行えば少なくとも平均粒径300ミクロン以下のオーステナイト組織が得られるという知見を基礎実験により得た。そして、急速冷却装置103、及び急速加熱装置104により急冷・再加熱の熱処理によりオーステナイト粒径を微細化する。この微細化にあたり、急冷後の組織としてマルテンサイトを含むように急冷し、その後オーステナイト単相となる温度まで再加熱すればよいことは公知の事実であり、マルテンサイト変態温度に達しない冷却、マルテンサイト変態しないような遅い冷却速度の冷却を行なった場合、十分なオーステナイトの微細化効果が得にくくなる。従って、本発明では加工熱処理においてマルテンサイトを含む相からオーステナイト単相となるように逆変態を含むことにした。後述する本発明の実施例においては急冷後のマルテンサイト分率が50%以上と十分にマルテンサイト組織を得ることができ、その素材を加熱所要時間が300秒程度となるような急速再加熱を行い、圧下率50%の圧延を1パス行って、オーステナイト組織を凍結させて調べたところ、平均粒径30ミクロン以下のオーステナイト粒径が得られた。(実施例1〜15)
加工を行なわず、熱処理のみでオーステナイト粒径30μm以下とすることも可能であるが、複数回の熱処理が必要となること、また鋳造で非常に薄いスラブを製造する必要があり、製造効率が大きく低下するため、加工と熱処理を組み合わせた加工熱処理を用いることにした。
また熱処理を用いずに加工のみでオーステナイト粒径30μm以下とすることも可能であるが、加工熱処理を用いることでオーステナイトの微細化に必要な加工度が小さくなり、図3の実用化プロセス例に示すように従来の鉄鋼の熱間圧延製造設備に対して著しく少ない圧延機数(図3では粗圧延2スタンド102A、及び102B、仕上圧延4スタンド105A〜105D)で超微細粒フェライト鋼板を製造可能となるため、加工と熱処理を組み合わせた加工熱処理を用いることにした。
(B工程)
上記A工程に連続して、上記圧延により得られた被圧延材に入側温度がAe3変態点以上の温度域で、圧下率30〜55%の1パス圧延を行う(第1圧延)。圧下率がこの範囲より小さいと微細粒が得られない。その理由は明確でないが、圧下率が不十分であると圧下による歪み蓄積が不十分となるためと推察される。また、圧下率がこの範囲より大きくなると圧延負荷が過大となり、設備の巨大化、設備限界の超過、焼き付き発生等の圧延の不安定化、などの問題も生じる。
入側温度をAe3変態点以上の温度域とするのは、第1圧延前の温度がAe3変態点未満となると、被圧延材が過冷オーステナイト域である時間が長くなり、第2圧延に至るまでにフェライト変態してしまうためである。
また第1圧延前の温度が高すぎると、再結晶や回復が発生し易くなり、微細粒フェライトを得にくくなるため、(Ae3変態点+30℃)未満とすることが好ましい。
第1圧延前温度の調整は空冷・待機時間の変更で調整可能である。また温度を大きく下げる必要がある場合は水冷を行ってもよい。
(C〜D工程)
C工程では、(Ae3変態点−60℃)以上(Ae3変態点+20℃)未満の温度域で圧下率35〜60%で1パスの第2圧延を行い、引き続きD工程において、(Ae3変態点−130℃)以下の温度まで冷却する。この際、第1圧延終了時点から第2圧延を経て冷却中に鋼板温度が(Ae3変態点−130℃)に達するまでの合計時間を1.0sec以下とすることが好ましい。
C工程以降における本発明の顕著な特徴は圧延で歪みを蓄積し始めてから冷却をほぼ終了するまでの所要時間を極めて短くすることにある。これは圧延によって鋼板中に多量に蓄積させた歪みのエネルギーが回復や再結晶によって消費されないうちに、その極力多くをフェライト変態に寄与させる、という考えに基づくものである。従って歪みの蓄積が開始されてからフェライト変態が始まるまでの時間をできるだけ短くして、途中で回復や再結晶が生じる時間的余裕を与えないようにすることが狙いであり、本技術の最大の特徴である。歪みの蓄積が進めば進むほど回復、再結晶の速度が早くなるため、歪み蓄積の初期段階では時間短縮の必要性は小さく、反対に歪み蓄積の最終段階から冷却にかけての時間短縮の必要性は大きい。従って本発明においては第1圧延以降の時間について規定するものである。
(製造設備)
本発明の微細フェライト組織を有する熱延鋼板を製造する設備は、図3に示すように加工熱処理設備102〜104と、2スタンド以上からなるタンデム圧延設備105と、該圧延設備の出側に配置された冷却装置106よりなる。圧延設備105の各スタンド105A〜105Dは所定値以上の圧下率を実現することが必要であり、また第1圧延と第2圧延との間のパス間時間を長くとも0.6秒以内に収めるため、所定の圧延速度を要し、圧延機間の距離は所定値以内に設定することが必要である。また冷却装置106はタンデム圧延設備105の出側近傍に配置して、第2圧延後の被圧延材を直ちに冷却できるようにすることが必要である。また、第1圧延と第2圧延の間で水冷を行う場合は、水冷ヘッダー(パス間冷却装置)107A、107Bを圧延機ハウジング内、あるいはハウジング間に配置することが必要である。
表1に示す成分に調整した厚さ35mm、幅100mm、長さ90mmの素材に対して、加工熱処理、熱間圧延、冷却を行った。
なお、表中に記載のとおり、本供試材のAe3変態点は、830℃である。Ae3変態点とは鋼がオーステナイト域である温度からフェライト変態を開始する熱的平衡温度である。
Figure 2007046128
熱間圧延は図2に示すような、加熱炉11に引き続き配置される3スタンド熱間圧延機10を製作して使用した。第1スタンド(F1)1と第2スタンド(F2)2との間の距離は、2.1m、第2スタンド(F2)2と第3スタンド(F3)3との間の距離は1.0mであり、パス間時間が0.6秒以下の圧延が可能である。なお、第2スタンド(F2)2と第3スタンド(F3)3との間に、スタンド間水冷ヘッダ13を配設した。各圧延スタンドの圧下率は、40%以上取れるようにした。加熱炉11から各スタンド1〜3を通過した供試材4は冷却装置12に導かれる。圧延機仕様及び圧延条件を表2に示す。
Figure 2007046128
加工熱処理中および加工熱処理後のオーステナイト粒径、および熱間圧延・冷却後のフェライト平均粒径を加工熱処理条件および第1〜2圧延の圧延条件、冷却条件と共に表3に示す。
素材をオーステナイト単相となる温度まで加熱し、所定時間の等温保持を行った後、オーステナイト単相温度域で少なくとも1パス以上の熱間圧延を行い、その後オーステナイト単相温度域から水冷焼き入れを行い、50%以上のマルテンサイト組織を含む供試材とした。加熱温度・等温保持時間の条件および熱間圧延の条件を調整することによりオーステナイト粒径が35〜50μmである供試材に造り分けた。
上記供試材に対して室温からオーステナイト単相域となる900℃前後にまで加熱所要時間が300秒程度、加熱保持時間0秒となるように加熱炉11にて再加熱を行い、逆変態させた。試番1〜15については再加熱後に第1スタンド(F1)にて1パス50%の圧延加工を行い、オーステナイトを微細化させた後にB工程以降の熱間圧延・冷却を行った。試番16,17については再加熱後そのまま、B工程以降の熱間圧延・冷却を行った。素材からB工程に至るまでの一連の加熱・冷却・圧延のプロセスが、請求項におけるA工程の加工熱処理に相当する。
上述のA工程に引き続き、B工程の第一圧延を第2スタンド(F2)で行い、C工程の第2圧延を第3スタンド(F3)で行い、D工程の水冷を水冷装置12で行った。
なお、結晶粒の粒径測定手法としてはASTM切断法を採用した。表面から100μmの位置、板厚1/4位置、板厚1/2位置について粒径の計測を行い、加算平均値を平均粒径とした。オーステナイト粒径はサンプルを水冷焼き入れしたのち、顕微鏡サンプルに加工・研磨し、ピクリン酸エッチングにより旧オーステナイト粒界を明確にさせて測定し、フェライト粒径は、加工・研磨した顕微鏡サンプルをナイタール液にてエッチングしてフェライト粒界を明確にさせて測定した。
Figure 2007046128
表3において、本発明が規定する範囲からはずれる試番1、3、5、7、9〜16は、熱間圧延・冷却後(以下において「製造後」という。)の平均フェライト粒径が2.0μmを超えるものであるか、あるいは典型的なフェライト圧延組織である層状のフェライト組織であった。
試番9は、B工程の第1圧延における圧下率が、本発明が規定する「30〜55%」に満たない20%であったため、製造後の平均粒径が2.0μmを超えるものとなった。圧下率20%の第1圧延によっては、歪みの蓄積、転位の高密度化が十分なものではなかったものと推定される。
試番10は、B工程の第1圧延前温度が、本発明が規定する「Ae3変態点以上」(本実施例の供試材のAe3変態点:830℃)に満たない780℃であったため、製造後の組織が層状のフェライト組織となった。Ae3変態点以下の過冷状態が長くなり、第2圧延前にフェライト変態が生じたためと思われる。
試番13は、C工程の第2圧延における圧下率が、本発明が規定する「35〜60%」に満たない30%であったため、製造後の平均粒径が2.0μmを超えるものとなった。圧下率30%の第2圧延によっては、歪みの蓄積、転位の高密度化が十分なものではなかったものと推定される。
試番1は、C工程において、第2圧延前温度が、本発明が規定する「(Ae3変態点−60℃)以上」に満たない、750℃であったため、製造後の組織が層状のフェライト組織となった。Ae3変態点以下の過冷度が大きくなり、第2圧延前にフェライト変態が生じたためと思われる。
試番3、5、7は第2圧延の圧延機入り側温度に対する第1圧延後第2圧延までの本発明が規定する所定の時間を超えているため、製造後の平均粒径が2.0μmを超えるものとなった。
試番11、12は、C工程における第2圧延後D工程における冷却までの時間が本発明が規定する「0.2秒以内」を超えた、0.5秒であったため、製造後の平均粒径が2.0μmを超えるものとなった。
試番14は、D工程における本発明の規定する冷却速度「600℃/sec以上」を下回る250℃/secであったため、製造後の平均粒径が2.0μmを超えるものとなった。
試番15は、D工程における冷却停止温度が、本発明が規定する「Ae3変態点−130℃以下」(本実施例ではAe3変態点が830℃なので、「700℃以下」)を超える710℃であったため、冷却によるフェライト変態促進が不十分で且つフェライト変態後の粒成長が大きいあったと考えられ、製造後の平均粒径が2.0μmを超えるものとなった。
試番16は、A工程における加工熱処理後の平均オーステナイト粒径が30μmを超えており、最終的に得られるフェライト平均粒径が2.0μmを超えるものとなった。
本発明で規定する範囲で加工熱処理、熱間圧延、冷却が行われた試番2、4、6、8、及び17にあっては、製造後の平均粒径が2.0μm未満の層状でない細粒フェライト組織が主体となる熱延鋼板が得られた。
本発明の製造方法の工程を示す図である。 実施例に使用した熱間圧延機等の設備を示す図である。 本発明の実用化プロセス例を示す図である。
符号の説明
1 第1スタンド(F1)
2 第2スタンド(F2)
3 第3スタンド(F3)
4 供試材
10 3スタンド熱間圧延機
11 加熱炉
12 冷却装置
13 スタンド間水冷ヘッダ13
20 A工程
30 第1圧延
40 第2圧延
50 冷却
100 製造ライン
101 スラブ連続鋳造機
102 粗圧延装置
103 急速冷却装置
104 急速加熱装置
105 仕上げ圧延機
106 急速冷却装置
107A、107B パス間冷却装置(水冷ヘッダー)

Claims (2)

  1. 質量%でC:0.04〜0.20%、Si:0.01〜2.0%、Mn:0.5〜3.0%を含有し残部はFe及び不可避的不純物よりなる素材鋼板をオーステナイト単相で平均粒径が30μm以下となるように、マルテンサイトを含む相からオーステナイト単相となるように逆変態を含む加工熱処理を加えるA工程と、前記第A工程に引き続き圧延機入側温度がAe3変態点以上の温度域で圧下率30〜55%の1パス圧延を行う第1圧延を含むB工程と、前記第B工程の後、圧延機入側温度が(Ae3変態点−60℃)以上、(Ae3変態点+20℃)未満の温度域で圧下率35〜60%の1パス圧延を行う第2圧延を含むC工程と、引き続き該第2圧延後0.2秒以内に600℃/sec以上の冷却速度で(Ae3変態点−130℃)以下の温度まで冷却するD工程とを備え、
    前記第2圧延は、該第2圧延の圧延機入側温度が(Ae3変態点−60℃)以上(Ae3変態点−30℃)未満ならば、第1圧延後0.6sec以内に、入側温度が(Ae3変態点−30℃)以上(Ae3変態点−5℃)未満ならば、第1圧延後0.5sec以内に、入側温度が(Ae3変態点−5℃)以上(Ae3変態点+20℃)未満ならば、第1圧延後0.3sec以内に行うことを特徴とする熱延鋼板の製造方法。
  2. 前記第2圧延の圧延機入側温度が(Ae3変態点−60℃)以上(Ae3変態点+20℃)未満となるように、前記第1圧延と第2圧延の間で鋼板を冷却することを特徴とする請求項1記載の熱延鋼板の製造方法。
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