JP2008189958A - 均一微細フェライト組織を有する熱延鋼板、及びその製造方法 - Google Patents

均一微細フェライト組織を有する熱延鋼板、及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】2次加工における変形能、又は均一な変形能を向上させる熱延鋼板を提供する。
【解決手段】フェライトを主相とし、質量%でC:0.04〜0.20%、Si:0.01〜2.0%、Mn:0.5〜3.0%を含有し残部はFe及び不可避的不純物からなる熱延鋼板であって、鋼板の表面から板厚の1/4深さ位置におけるフェライト結晶粒径D2が2.0μm未満であるとともに、鋼板の表面から板厚1/2深さ位置におけるフェライト結晶粒径D3と、前記鋼板の表面から50μm深さ位置におけるフェライト結晶粒径D1との関係が(D3−D1)/D2≦0.4を満たし、鋼板の表面から50μm深さ位置における前記フェライト結晶粒の圧延方向粒径Drと板厚方向粒径Dtとが式(1)を満たすことを特徴とする。 |(Dr−Dt)/((Dr+Dt)/2)|≦0.25(1)
【選択図】図1

Description

本発明は、板厚方向に均一な超微細フェライト組織を有する熱延鋼板及びその製造方法に関する。
フェライト結晶粒の微細化により強度と共に靱性が高められることは知られており、微細フェライト組織を持つ熱延鋼板の製造技術は、鉄鋼材料の材料機能発現のための重要な技術である。また特殊な元素を用いずに強度強化が図れるため、製品のリサイクル性も高く、地球環境に対する負荷も少ない。
微細フェライト組織を持つ熱延鋼板を得る手段として、大歪み加工法が従来から多く研究されている。例えば、特許文献1には、変態域で、1パスまたは累積の大圧下により炭素鋼で粒径3〜5μmの細粒フェライト組織を有する高強度熱延鋼板が得られることが開示されている。
また、特許文献2には、650〜950℃の温度域で、圧下率40%以上で圧下し、更に2秒以内に連続して圧下率40%以上の圧下を加えることにより2〜3μm程度の細粒フェライト組織が得られることが開示されている。
これらはいずれも圧延中のフェライト変態やフェライト再結晶による結晶粒微細化機構を活用するものとされている。
さらに特許文献3には、3パス以上の圧延でパス間時間を極短時間とし、圧延による歪みを高めた上で、圧延後に速やかに冷却する熱延鋼板の製造方法が開示されている。これによれば、フェライト変態の促進、及びフェライトの粒成長を抑制することができ、TiやNb等の析出強化元素を含まない単純組成炭素鋼にて結晶粒径2μm未満の微細フェライト組織を得ることが可能となる。
特開昭58−123823号公報 特開昭59−229413号公報 特開2005−226123号公報
しかし、特許文献1又は2に記載の発明では、粒径が2μm未満のフェライト組織を得ることは難しい。また、結晶粒径の微細化を狙って圧延温度を低温とするとフェライトは圧延方向に展伸された層状の加工組織となり、材料の2次加工の変形能が低下する問題がある。
また、特許文献3に記載の発明では、フェライト粒径が2μm未満で等軸な組織を得ることができるが、最終パスの圧下率は35〜60%であり大圧下圧延となり、これにより得られた微細粒熱延鋼板は板厚方向に粒径差を生じ、特にその粒径差が平均粒径の40%を超えるときには材料の2次加工時の均一変形能を阻害する要因となる。
このように従来の技術では、析出強化元素を含有しないこと、板厚方向のフェライト粒径差が小さいこと、結晶粒径が過度に圧延方向に伸展していないこと、及びフェライト結晶粒径が2μm未満であること、を満たす熱延鋼板を得ることはできなかった。そのため、結晶粒を微細化しても強度は上昇するが層状組織となって2次加工における変形能が低下し、又は板厚方向に大きな粒径差が生じて2次加工における均一な変形能が低下する場合があった。
そこで本発明は、上記問題点に鑑み、2次加工における変形能、又は均一な変形能を向上させる熱延鋼板を提供することを課題とする。
以下、本発明の熱延鋼板、及びその製造方法について説明する。なお、本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記するが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
請求項1に記載の発明は、フェライトを主相とし、質量%でC:0.04〜0.20%、Si:0.01〜2.0%、Mn:0.5〜3.0%を含有し残部はFe及び不可避的不純物からなる熱延鋼板であって、鋼板の表面から板厚の1/4深さ位置におけるフェライト結晶粒径D2が2.0μm未満であるとともに、鋼板の表面から板厚1/2深さ位置におけるフェライト結晶粒径D3と、前記鋼板の表面から50μm深さ位置におけるフェライト結晶粒径D1との関係が(D3−D1)/D2≦0.4を満たし、鋼板の表面から50μm深さ位置における前記フェライト結晶粒の圧延方向粒径Drと板厚方向粒径Dtとが式(1)を満たすことを特徴とする熱延鋼板を提供することにより前記課題を解決するものである。
|(Dr−Dt)/((Dr+Dt)/2)|≦0.25 (1)
ここで「主相」とは、当該鋼板の任意の断面において、該断面の面積に対して50%以上の面積を占める相である。また、D1、D2、D3で表される各粒径は平均粒径を表し、当該平均粒径はASTM切断法により得られる値である。さらに、鋼板の表面から50μm深さに位置するD1、Dr、Dtの粒径については、D1=(Dt+Dr)/2の関係を有する。
そして、図1の工程図に概略的に示されるように、熱間加工に適する高温状態にあり、所定の組成を有する素材鋼板を、総圧下率で80%以上、又はオーステナイト単相で平均粒径が30μm以下となるように圧延する第1圧延(20)、1パスの第2圧延(30)、その直後に行う第3圧延(40)、及びその直後に行う冷却(50)を含む各工程により処理して、上記の熱延鋼板を得る。
本発明者らは、短パス間時間で高圧下圧延が可能な多スタンド熱間試験圧延機(10)(図3参照。詳細は後述する。)を用いて実験した結果から、均一な微細結晶粒を得るため有効な下記の条件を見出した。これらの適切な組み合わせにより、従来の方法によるもの以上に均一な微細フェライト結晶粒が得られることを知見して本発明を完成するに至った。これを金属結晶組織に注目して次のように表現することができる。
(1)最終パスたる第3圧延(40)まではフェライト変態させず、フェライト変態前のオーステナイトは、極力微細化した上で、且つ転位密度を高める。
(2)第1圧延(20)において、十分にオーステナイトを微細化し、再結晶させる。
(3)第2圧延(30)においては、動的再結晶・静的再結晶が著しく早くなるような超高圧下圧延を避けつつも、十分な圧下率の圧延を行って、歪みを蓄積し、転位密度を高める。
(4)第2圧延(30)と最終パスたる第3圧延(40)とのパス間時間はオーステナイトの再結晶や回復を極力少なくし、歪みの蓄積効果を高めるために、従来圧延方法に比べて短いパス間時間とするとともに、温度を過冷オーステナイト域も含む比較的低い温度とする。
(5)最終パスたる第3圧延(40)においても、十分な圧下率の圧延を行って、歪みを蓄積し、転位密度を高める。このときの出側温度を所定の範囲とする。
(6)第3圧延(40)後は速やかに冷却(50)して、フェライト変態を促進し、フェライト粒成長を抑制する。
(7)少なくとも、第3圧延(40)で、潤滑状態で圧延を行い、圧延により加えられる歪の板厚方向分布を下げ、より均一な歪を与える。
(8)少なくとも、第3圧延(40)では、潤滑状態で圧延を行い、高圧下・高速圧延にて生じる摩擦発熱による温度上昇を抑制し、歪の蓄積効果を高める。
(9)潤滑圧延により与えられる相当歪量は低下するものの、温度上昇が抑制される効果により結晶粒微細化効果を維持・向上できる。
かくして、請求項2に記載の発明は、フェライトを主相とし、質量%でC:0.04〜0.20%、Si:0.01〜2.0%、Mn:0.5〜3.0%を含有し残部はFe及び不可避的不純物からなる熱延鋼板を製造する方法であって、Ae3変態点以上の温度域を維持して総圧下率80%以上で圧延する第1圧延(20)を含むA工程と、A工程に引き続き圧延機入側温度がAe3変態点以上の温度域で圧下率30〜55%の1パス圧延を行う第2圧延(30)を含むB工程と、B工程の後、圧延機入側温度を所定の温度域として圧下率35〜70%の1パス圧延を行う第3圧延(40)を含むC工程と、引き続き該第3圧延後0.2sec以内に600℃/sec以上の冷却速度で(Ae3変態点−130℃)以下の温度まで冷却する(50)D工程とを備え、C工程における、所定の温度域が(Ae3変態点−60℃)以上(Ae3変態点−30℃)未満ならば、0.6sec以内に、所定の温度域が(Ae3変態点−30℃)以上(Ae3変態点−5℃)未満ならば、0.5sec以内に、所定の温度域が(Ae3変態点−5℃)以上(Ae3変態点+20℃)未満ならば、0.3sec以内に第3圧延を行うとともに、少なくとも第3圧延で被圧延材と圧延ロールとの間に圧延油を供給してクーロン摩擦係数が0.25以下で圧延することを特徴とする。
ここで、Ae3変態点とは鋼がオーステナイト域である温度からフェライト変態を開始する熱的平衡温度である。また、圧延における「クーロン摩擦係数」はOROWANの不均一圧延理論による2次元圧延解析を行い、摩擦係数を変数として先進率や圧延荷重が実測値に一致するように逆算して求めた。先進率は圧延ロールに予めマークを付しておき、当該マークが材料に転写される転写間隔を測定することにより得ることができる。
請求項3に記載の発明は、フェライトを主相とし、質量%でC:0.04〜0.20%、Si:0.01〜2.0%、Mn:0.5〜3.0%を含有し残部はFe及び不可避的不純物からなる熱延鋼板を製造する方法であって、圧延終了時の組織がオーステナイト単相で平均粒径が30μm以下となるように圧延する第1圧延(20’)を含むA’工程と、A’工程に引き続き圧延機入側温度がAe3変態点以上の温度域で圧下率30〜55%の1パス圧延を行う第2圧延(30)を含むB工程と、B工程の後、圧延機入側温度が(Ae3変態点−60℃)以上(Ae3変態点+20℃)未満の温度域で圧下率35〜70%の1パス圧延を行う第3圧延(40)を含むC工程と、引き続き第3圧延後0.2sec以内に600℃/sec以上の冷却速度で(Ae3変態点−130℃)以下の温度まで冷却する(50)D工程とを備え、第3圧延は、該第3圧延の入側温度が(Ae3変態点−60℃)以上(Ae3変態点−30℃)未満ならば、第2圧延後0.6sec以内に、入側温度が(Ae3変態点−30℃)以上(Ae3変態点−5℃)未満ならば、第2圧延後0.5sec以内に、入側温度が(Ae3変態点−5℃)以上(Ae3変態点+20℃)未満ならば、第2圧延後0.3sec以内に行うとともに、少なくとも第3圧延で被圧延材と圧延ロールとの間に圧延油を供給してクーロン摩擦係数が0.25以下で圧延することを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の熱延鋼板の製造方法において、第1圧延(20’)は、連続する複数パスの圧延であり、かつ、該第1圧延の入側温度が850℃以上900℃未満であれば総圧下率65%以上、900℃以上950℃未満であれば総圧下率70%以上、950℃以上1000℃未満であれば総圧下率75%以上、1000℃以上であれば総圧下率80%以上であることを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項2〜4のいずれか一項に記載の熱延鋼板の製造方法において、第3圧延(40)の入側温度が(Ae3変態点−60℃)以上(Ae3変態点+20℃)未満となるように、第2圧延(30)と第3圧延(40)の間で鋼板を冷却することを特徴とする。
本発明の熱延鋼板によれば、従来の微細粒フェライト鋼板では不利とされていた2次加工時の変形能、均一変形能を改善することが可能となる。また、析出強化元素を含有せず、汎用的な成分の鋼板で結晶粒微細化により高強度とすることが可能であるため、製品のリサイクル性にも優れ、地球環境に対する負荷を軽減することができる。
本発明の熱延鋼板の製造方法によれば、上記特徴を有する鋼板を確実に製造することができる。具体的には、本発明により、析出強化元素を含有しないこと、板厚方向のフェライト粒径差が小さいこと、結晶粒径が過度に圧延方向に伸展していないこと、及びフェライト結晶し粒径が2μm未満であること、を満たす熱延鋼板を製造することが可能となった。
本発明のこのような作用及び利得は、次に説明する発明を実施するための最良の形態から明らかにされる。
始めに、本発明の鋼板について説明する。
<鋼板に含有される成分>
本発明の鋼板に含有される成分は、普通炭素鋼に含まれるものと同じでよく、具体的には、質量%でC:0.04〜0.20%、Si:0.01〜2.0%、Mn:0.5〜3.0%を含有し、残部はFe及び不可避的不純物よりなる素材鋼板とされる。以下に各々について説明する。
C:0.04〜0.20質量%
Cは、主に鋼の強度を確保するために必要な元素であるが、多量に含有させると鋼材の溶接性劣化、靱性の著しい低下、プレス成形時の成形性劣化を引き起こす。従って、本発明の微細フェライト組織を有する熱延鋼板のC含有量は0.20質量%を上限とする。また、C含有量が0.04質量%未満になると結晶粒微細化効果を確保しにくくなるので、C含有量の下限は0.04質量%とする。好ましいC含有量は、0.07質量%〜0.16質量%である。
Si:0.01〜2.0質量%
Siは、製鋼時の脱酸を行うために必要であり、また鋼板の加工性を高める作用がある合金元素であるが、含有量が2.0質量%を超えると、本発明の微細フェライト組織を有する熱延鋼板としての靭性が損なわれるため、その含有量は2.0質量%を上限とする。一方、含有量が少なすぎると製鋼時の脱酸が十分に行われないので、Si量の下限値は、0.01質量%である。好ましいSi含有量は、0.01質量%〜1.5質量%である。
Mn:0.5〜3.0質量%
Mnは、安価な元素であり、鋼の強度を高める効果を有する元素である。またSによる熱間脆性を防ぎ、Ae3変態点を低下させる。Mnの含有量が0.5質量%未満であると、かかる効果を十分に発現することができないのでMn含有量の下限値は0.5質量%である。一方、Mnの含有量が3.0質量%を超えるとかかる効果は飽和し、むしろ、熱延鋼板の加工性を劣化させるとともに、熱延鋼板の表面性状を悪化させるため、好ましくない。したがって、Mnの含有量は3.0質量%以下とする。好ましいMn含有量は、0.5質量%〜2.0質量%である。
<フェライト相>
本発明の鋼板は主相をフェライト相とするものである。従って、鋼板を任意の断面で切断したときの断面積に対してフェライト相の断面積が50%以上であればよい。好ましくは70%以上である。
<フェライト結晶粒径>
本発明の鋼板のフェライト結晶は鋼板の板厚方向において所定の均一な粒径分布を有する。具体的には次の通りである。
鋼板表面から板厚方向に50μmの位置におけるフェライト結晶粒径をD1、鋼板表面から板厚方向に該板厚の1/4の深さにおけるフェライト結晶粒径をD2、及び鋼板表面から板厚方向に該板厚の1/2の深さにおけるフェライト結晶粒径をD3としたときに、次式(2)を満たす。
(D3−D1)/D2≦0.4 (2)
ここでD1、D2、D3はそれぞれの位置における平均粒径を表しており、当該平均粒径はASTM切断法により得られたものである。式(2)により板厚方向の分布比を定量的に評価することができ、式(2)を満たすことにより、鋼板の板厚方向で所定の均一な粒径分布が得られていることを意味する。
<フェライト結晶粒の縦横の関係>
さらに本発明の鋼板は鋼板表面から板厚方向に50μmの位置おけるフェライト粒において、圧延方向の粒径をDr、板厚方向の粒径をDtとしたときに次式(1)を満たす。
|(Dr−Dt)/((Dr+Dt)/2)|≦0.25 (1)
ここで、Dr、Dtは、圧延材の幅方向に垂直な断面でフェライト組織を顕微鏡観察し、切断法にて粒径を算出する際に、圧延方向の測定と板厚方向の測定を分離して行うことにより得る。そして、式(1)により粒子の縦横比を定量的に評価することができ、式(1)を満たすことにより層状でなく、等軸度合が高い組織が形成されていることを意味する。
以上の本発明の鋼板により、従来の微細粒フェライト鋼板では不利とされていた2次加工時の変形能、均一変形能を改善することが可能となる。また、析出強化元素を含有せず、汎用的な成分の鋼板で結晶粒微細化により高強度とすることが可能であるため、製品のリサイクル性にも優れ、地球環境に対する負荷を軽減することができる。
次に本発明の熱延鋼板の製造方法について説明する。
図1は第一実施形態に係る本発明の熱延鋼板の製造方法S1(以下、単に「製造方法S1」と記載することがある。)のフロー図で、適宜説明を記載したものである。製造方法S1は、工程A、工程B、工程C、及び工程Dの4つの工程をこの順に含むものである。図1を参照しつつ各工程について説明する。
<工程A>
工程Aは、オーステナイト単層となるAe3変態点以上の温度域で、総圧下率80%以上の第1圧延を含む工程である。ここで第1圧延は多パス圧延が好ましいが、これに限定されるものではない。この第1圧延により、加熱後のオーステナイト粒径が30〜600μmの素材を粒径30μm以下程度の被圧延材に圧延することができる。
<工程B>
工程Bは、上記工程Aに連続して、該工程Aにより得られた被圧延材に対し、Ae3変態点以上の温度域で、圧下率30〜55%の1パス圧延である第2圧延を含む工程である。圧下率がこの範囲より小さいと微細粒が得られない。その理由は明確でないが、圧下率が不十分であると圧下による歪み蓄積が不十分となるためと推察される。また、圧下率がこの範囲より大きくなると圧延負荷が過大となり、設備の巨大化、設備限界の超過、焼き付き発生等の圧延の不安定化、などの問題も生じる。入側温度をAe3変態点以上の温度域とするのは、第2圧延前の温度がAe3変態点未満となると、被圧延材が過冷オーステナイト域である時間が長くなり、第3圧延に至るまでにフェライト変態してしまうためである。また第2圧延前の温度が高すぎると、再結晶や回復が発生し易くなり、微細粒フェライトを得にくくなるため、(Ae3変態点+30℃)未満とすることが好ましい。第2圧延前温度の調整は空冷・待機時間の変更で調整可能である。また温度を大きく下げる必要がある場合は水冷を行ってもよい。
<工程C>
工程Cは、上記工程Bの後、温度域によって特定される時間内に、圧下率35〜70%の1パス圧延である第3圧延を含む工程である。具体的には次の通りである。
(条件1)第3圧延前温度が(Ae3変態点−60℃)以上(Ae3変態点−30℃)未満ならば、第2圧延の後0.6sec以内に、圧下率35〜70%の1パス圧延である第3圧延を行う。
(条件2)第3圧延前温度が(Ae3変態点−30℃)以上(Ae3変態点−5℃)未満ならば、第2圧延の後0.5sec以内に、圧下率35〜70%の1パス圧延である第3圧延を行う。
(条件3)第3圧延前温度が(Ae3変態点−5℃)以上(Ae3変態点+20℃)未満ならば、第2圧延の後0.3sec以内に、圧下率35〜70%の1パス圧延である第3圧延を行う。
歪みの蓄積効果を高めるには第2圧延と第3圧延の間隔、すなわちパス間時間は極力短い方が良いが、パス間時間の短縮には、圧延機群の設置空間や圧延速度の点で制約がある。パス間時間は上記の値以上であると結晶粒微細化効果が明らかに低下する。その理由は、B工程における第2圧延とC工程における第3圧延との間のパス間時間が長い程、また第3圧延前温度が高い程、静的再結晶が発生してしまうため、歪みの蓄積が不十分となるためと推察する。第3圧延前温度が低い程、第2圧延〜第3圧延間の時間が長くてもよいのは、温度が低いほど再結晶が抑制されるためと推察する。また、第3圧延前温度を低くし過ぎると第3圧延前のフェライト変態が生じやすくなるため、本発明では(Ae3変態点−60)℃以上とする。本下限温度は正確にはC行程およびその後のD行程で行う冷却に要する時間との関連があると考えられる。結晶粒微細化に効果があると推定している「未再結晶域での歪みを蓄積」を効果的に行うためには、上記条件1、条件2、又は条件3の範囲とする必要がある。
また、上記C工程の第3圧延前の温度が(Ae3変態点−60℃)以上(Ae3変態点+20℃)未満となるように制御する手段としては、第2圧延における発熱、昇温を予測し、圧延後の温度が上記温度域となるように第2圧延前の温度を調整することが考えられるが、第2圧延前温度は圧延前の変態を避けるためAe3変態点以上とする制約がある。一方、第2圧延における昇温を抑制する手段として第2圧延の速度を下げてロール抜熱量を増やす方法などもあるが、第3圧延までのパス間時間を短くする必要から圧延速度低減には限界があり、圧延後温度を調整しきれないこともある。そこで、第2圧延以降第3圧延までの間で鋼板を冷却する手段が求められる。設備配置の自由度を高める観点から、短い距離で大きな温度降下量が得られる急速冷却装置の使用が望ましく、例えば10℃の温度降下が必要であれば、長くても0.6secのパス間時間内で冷却するために17℃/sec以上の冷却速度が必要となる。パス間での再結晶や回復を極力少なくし歪みの蓄積効果を高めるという視点から言えば、パス間冷却による温度調整は極力第2圧延後短時間の内に完了する方が良く、より大きな冷却速度を有する冷却手段を用いて第2圧延直後に冷却を完了するのが望ましい。
第3圧延の圧下率が35%未満では歪みの蓄積が不足し、その後の冷却過程でのフェライト変態を促進する効果が不十分である。一方、第3圧延の圧下率が70%を超えると、加工中の再結晶・変態の発生、その後の冷却に影響を与える程の加工発熱が生じるため、結晶粒の微細化効果が薄れる。また、圧延負荷が過大となり、設備の巨大化、設備限界の超過、圧延の不安定化等の問題も生じる。
さらに第3圧延では、被圧延材と圧延ロールとの間に圧延油を供給し、クーロン摩擦係数が0.25以下で圧延を行う。上記第1〜第3圧延を無潤滑で圧延した場合、特に高圧下圧延において板表層側で大きなせん断歪みが発生する。この歪み量の差により板厚方向の組織差を生じることが多い。また、特に高圧下高速圧延では摩擦による発熱が結晶微細化に影響を与えるほど大きい。この温度上昇によりフェライト結晶微細化が阻害されることがある。
これに対して少なくとも第3圧延で潤滑により摩擦係数を下げて圧延を行うと、板厚方向の歪み量が均等化され、これにともない板厚方向の組織が均等化されるとともに、摩擦発熱が低減されて過大な発熱を抑制することができる。これにより、結晶粒微細化に有利となる。
また、潤滑圧延により圧延負荷を下げることができるので、設備面や発熱面から制約される圧下率上限を引き上げることができる。例えば50%圧下の場合、摩擦係数μ=0.4の無潤滑圧延に対し、摩擦係数μ=0.15の潤滑圧延を行えば、圧延荷重を40%以上軽減することができ、摩擦による圧延材の温度上昇を50℃以上軽減することができる。このため第3圧延入側及び出側における温度制御が容易となり、冷却設備の規模・負荷を軽減することができる。以上のような効果を十分に得るには摩擦係数を0.25以下とする必要がある。また、その付随的効果として、現状の熱間圧延設備を改造することなく使用することができる範囲が広がる等の実用化の観点からも効果が大きい。
最終的な製品フェライト組織は、鋼板の加工の影響が大きいため、第3圧延で潤滑することは必須であるが、その他に第1圧延、第2圧延で潤滑圧延をしてもよい。また、摩擦係数は0.1より小さくなると圧延時の材料先端部の噛み込み性が著しく悪化する可能性があるため、摩擦係数は0.1以上であることが望ましい。
<D工程>
D工程は、C工程の後、0.2sec以内に600℃/sec以上の冷却速度で(Ae3変態点−130℃)以下の温度まで冷却する工程である。これにより、平均粒径が2.0μm以下の細粒フェライト組織が50%以上を占める熱延鋼板が得られる。上記条件での冷却を行うことによりオーステナイトの再結晶・回復が抑制され、フェライト変態が促進される。好ましくは、(Ae3変態点−130℃)以下で、(Ae3変態点−200℃)以上の温度域まで冷却をおこなう。なお、上記D工程において、C工程の第3圧延終了後、冷却の開始までの時間を0.1sec以内とすることが好ましい。さらに冷却速度を900℃/sec以上とすることが望ましい。これらにより、平均粒径が1.5μm以下の細粒フェライト組織が50%以上を占める熱延鋼板を得ることができる。
以上のような製造工程S1により、本発明の鋼板を確実に製造することができる。具体的には、本発明により、析出強化元素を含有しないこと、板厚方向のフェライト粒径差が小さいこと、結晶粒径が過度に圧延方向に伸展していないこと、及びフェライト結晶し粒径が2μm未満であること、を満たす熱延鋼板を製造することが可能となる。
図2は第二実施形態に係る本発明の熱延鋼板の製造方法S2(以下、単に「製造方法S2」と記載することがある。)のフロー図で、適宜説明を記載したものである。製造方法S2は、工程A’、工程B、工程C、及び工程Dの4つの工程をこの順に含むものである。すなわち製造方法S2は、製造工程S1における工程Aが工程A’とされたもので、工程A’以降の工程である工程B、工程C、工程Dは共通である。従ってここでは、工程A’についてのみ説明し、他の工程については省略する。
工程A’は、圧延終了時の組織がオーステナイト単相で平均粒径が30μm以下となるように、素材を圧延する第1圧延を含む工程である。これは、オーステナイト粒径が小さく単位体積当たりの粒界面積が大きいほど、後工程の第2、第3圧延において効率良く歪みが蓄積され、更にその後のフェライト変態の際に変態の核生成サイトが増して、フェライト粒の微細化に寄与するものと考えられるからである。そしてこの時点でフェライト組織が混在すると、後工程の圧延で伸ばされ、最終的に加工組織のまま残ってしまうため、鋼板の機械特性上好ましくない。
オーステナイト粒径を30μm以下にするために、具体的には、連続する複数パスからなる圧延を行い、入側温度が850℃以上900℃未満であれば総圧下率65%以上、900℃以上950℃未満であれば総圧下率70%以上、950℃以上1000℃未満であれば総圧下率75%以上、1000℃以上であれば総圧下率80%以上の圧延を行えばよい。
本発明に関わる基礎実験において、パス数を2〜4パス、総圧下率を60〜80%、圧延前温度を830℃〜1050℃として、圧延終了後に圧延材を組織凍結し、オーステナイト粒径を計測した結果、上記の温度および総圧下率条件に含まれていればオーステナイト平均粒径は30μm以下となる知見を得た。
オーステナイト平均粒径を30μm以下にする条件は特に限定されるわけではないが、パス数1の圧延では1パス超大圧下圧延が必要となり圧延負荷が過大となるため、好ましくない。圧下率を限定してパス数を増やしすぎると1パスあたりの圧下率が低下しオーステナイト粒の再結晶による微細化効果を得にくくなるため、好ましくない。1パスあたりの圧下率としては27%以上であることが好ましい。
なお、本発明では、第1圧延前の素材に圧延を施してもよいため、鋳造状態からの圧延の総パス数を限定するものではない。また、上記第1圧延の後、短時間の内にB工程の第2圧延を行っても差し支えないが、反対に第2圧延までが長時間になると、オーステナイト粒が成長するため好ましくない。基礎実験において全行程を連続して行う場合には、第1圧延の最終パス終了後1〜10sec程度の内に第2圧延を行ったが、この範囲であれば最終的に得られたフェライト組織に大きな違いは見られなかった。
以上のような製造工程S2によっても、本発明の鋼板を確実に製造することができる。具体的には、本発明により、析出強化元素を含有しないこと、板厚方向のフェライト粒径差が小さいこと、結晶粒径が過度に圧延方向に伸展していないこと、及びフェライト結晶し粒径が2μm未満であること、を満たす熱延鋼板を製造することが可能となる。
製造設備は、熱処理設備と、2スタンド以上からなるタンデム圧延設備と、該圧延設備の出側に配置された冷却装置を備えている。圧延設備の各スタンドは所定値以上の圧下率を実現することが必要であり、また第2圧延と第3圧延との間のパス間時間を長くとも0.6sec以内に収めるため、所定の圧延速度を要し、圧延機間の距離は所定値以内に設定することが必要である。また冷却装置はタンデム圧延設備の出側近傍に配置して、第三圧延後の被圧延材を直ちに冷却できるようにすることが必要である。また、第2圧延と第3圧延の間で水冷を行う場合は、水冷ヘッダを圧延機ハウジング内、あるいはハウジング間に配置することが必要である。
また、本発明の製造方法S1、S2に供される素材鋼板は、鋳造材のままでもよいが、鋳造時の内部欠陥の低減やオーステナイト径の微小化のために、1回以上の熱間加工を施しておき、粒径600μm以下のオーステナイト組織を得ておくことが好ましい。具体的には、連続鋳造−熱間圧延プロセスにおいては1パス以上の粗圧延を終えた状態であればよい。本発明に関わる基礎実験においては、結晶粒径が約30μmのフェライト組織を有する素材を、下記A工程に入る前に所定温度(例えば1000〜1200℃)にて所定時間(例えば1〜2時間)保持し、オーステナイト粒径を30〜600μmとして実験を行った。
次に実施例によりさらに詳しく説明する。ただし、本発明は本実施例に限定されるものではない。
表1にA〜Dで示す成分に調整した素材を、幅100mm、長さ70〜200mmの切り板に切断して供試材とした。この供試材を炉内温度1000℃の加熱炉中に1時間保持した後、熱間圧延・冷却を実施した。なお、表中に記載のとおり、本供試材である鋼種A、B、C、DのAe3変態点は、それぞれ830℃、800℃、770℃、750℃である。Ae3変態点とは鋼がオーステナイト域である温度からフェライト変態を開始する熱的平衡温度である。
Figure 2008189958
熱間圧延は図3に示すような、加熱炉11に引き続き配置される3スタンド熱間圧延機10を使用した。第1スタンド(F1)1と第2スタンド(F2)2との間の距離は、2.1m、第2スタンド(F2)2と第3スタンド(F3)3との間の距離は1.0mであり、パス間時間が0.6秒以下の圧延が可能である。なお、第2スタンド(F2)2と第3スタンド(F3)3との間に、スタンド間水冷ヘッダ13を配設した。各圧延スタンドの圧下率は、40%以上取れるようにした。加熱炉11から各スタンド1〜3を通過した供試材4は冷却装置12に導かれる。潤滑ヘッダ14は、各スタンドの入側に設置されており、ワークロールに向けて潤滑材を噴射することができる。圧延機仕様及び圧延条件を表2に示す。
Figure 2008189958
表2に示されているように、供試材4は、第1スタンド(F1)1において、70〜80%の総圧下率となるように4〜5パスの圧延を行なった。その後、第2スタンド(F2)2と第3スタンド(F3)3とにより、第2圧延、第3圧延をそれぞれ実施した。
表3には、本実施例でおこなった試験における各工程の条件等を示した。ここで表中に記載された平均γ(オーステナイト)粒径は、後工程に供される試験片とは別の試験片を準備し、同じ条件で第1圧延をした当該試験片を室温まで急冷し、組織観察により計測した。
Figure 2008189958
表3に示されているように、試番1〜32で表した各試験において、備考欄に示した「製造方法S1」で示した試番の試験は、上記した製造方法S1の各要件を満たした製造方法で鋼板を製造したものである。同様に「製造方法S2」で示した試番の試験は、上記した製造方法S2の各要件を満たした製造方法で鋼板を製造したものである。さらにいずれの製造方法にも該当する試番の試験では「製造方法S1、S2」と示した。備考欄が空欄のものはいずれの要件も満たさない製造方法である。
表4には試番1〜32で示した各製造方法で製作した熱延鋼板について分析した結果を示す。
Figure 2008189958
表4からわかるように、C工程において適切に潤滑圧延をした本発明例では、板厚方向における粒径分布の均一性が良好であるとともに、粒子形状の縦横比が小さい鋼板を得ることができる。すなわち層状でない組織を有するものとなっている。これによって伸びが良好であり、2次加工性に優れた熱延鋼板を得ることができる。機械的性質については、試番1〜7、及び試番30〜32の例についてのみ実際に測定をおこなった。試番1〜7については鋼種Aによるものであるが、いずれの場合においても本発明例の方が高い伸びを示している。一方、試番30〜32については、含有成分が異なるので、試番4〜7の結果とは直接比較することはできないが、組織から得られる本発明の効果を有するものである。試番31については、伸びの値が他に比べて小さいが、これは鋼種CがC(炭素)を多くの含有していることに起因する。以上より組織から考えられる機械的性質が顕著に現れていることがわかる。
図4に本発明例の1つである鋼板、及び比較例の1つである鋼板の組織拡大図を示した。本発明例は試番3、比較例1は試番4、によるものである。これによっても本発明の製造方法により、板厚方向に均一なフェライト結晶粒径分布をもつ等軸な組織を有する鋼板を得ることができることがわかる。
以上、現時点において、最も実践的であり、かつ、好ましいと思われる実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は、本願明細書中に開示された実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲および明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う、均一微細フェライト組織を有する熱延鋼板、及びその製造方法も本発明の技術的範囲に包含されるものとして理解されなければならない。
第一実施形態に係る本発明の製造方法のフロー図である。 第二実施形態に係る本発明の製造方法のフロー図である。 圧延装置の例を示す図である。 実施例の結果の一例を示す鋼板の組織拡大図である。
符号の説明
1 第1スタンド(F1)
2 第2スタンド(F2)
3 第3スタンド(F3)
4 共試材
10 3スタンド熱間圧延機置
11 加熱炉
12 冷却装置
13 スタンド間冷水ヘッダ
14 潤滑ヘッダ
20 第1圧延
30 第2圧延
40 第3圧延
50 冷却

Claims (5)

  1. フェライトを主相とし、質量%でC:0.04〜0.20%、Si:0.01〜2.0%、Mn:0.5〜3.0%を含有し残部はFe及び不可避的不純物からなる熱延鋼板であって、
    前記鋼板の表面から板厚の1/4深さ位置におけるフェライト結晶粒径D2が2.0μm未満であるとともに、
    前記鋼板の表面から板厚1/2深さ位置におけるフェライト結晶粒径D3と、前記鋼板の表面から50μm深さ位置におけるフェライト結晶粒径D1との関係が(D3−D1)/D2≦0.4を満たし、
    前記鋼板の表面から50μm深さ位置における前記フェライト結晶粒の圧延方向粒径Drと板厚方向粒径Dtとが式(1)を満たすことを特徴とする熱延鋼板。
    |(Dr−Dt)/((Dr+Dt)/2)|≦0.25 (1)
  2. フェライトを主相とし、質量%でC:0.04〜0.20%、Si:0.01〜2.0%、Mn:0.5〜3.0%を含有し残部はFe及び不可避的不純物からなる熱延鋼板を製造する方法であって、
    Ae3変態点以上の温度域を維持して総圧下率80%以上で圧延する第1圧延を含むA工程と、
    前記A工程に引き続き圧延機入側温度がAe3変態点以上の温度域で圧下率30〜55%の1パス圧延を行う第2圧延を含むB工程と、
    前記B工程の後、圧延機入側温度を所定の温度域として圧下率35〜70%の1パス圧延を行う第3圧延を含むC工程と、
    引き続き該第3圧延後0.2sec以内に600℃/sec以上の冷却速度で(Ae3変態点−130℃)以下の温度まで冷却するD工程とを備え、
    前記C工程における、所定の温度域が(Ae3変態点−60℃)以上(Ae3変態点−30℃)未満ならば、0.6sec以内に、所定の温度域が(Ae3変態点−30℃)以上(Ae3変態点−5℃)未満ならば、0.5sec以内に、所定の温度域が(Ae3変態点−5℃)以上(Ae3変態点+20℃)未満ならば、0.3sec以内に第3圧延を行うとともに、
    少なくとも前記第3圧延で被圧延材と圧延ロールとの間に圧延油を供給してクーロン摩擦係数が0.25以下で圧延することを特徴とする熱延鋼板の製造方法。
  3. フェライトを主相とし、質量%でC:0.04〜0.20%、Si:0.01〜2.0%、Mn:0.5〜3.0%を含有し残部はFe及び不可避的不純物からなる熱延鋼板を製造する方法であって、
    圧延終了時の組織がオーステナイト単相で平均粒径が30μm以下となるように圧延する第1圧延を含むA’工程と、
    前記A’工程に引き続き圧延機入側温度がAe3変態点以上の温度域で圧下率30〜55%の1パス圧延を行う第2圧延を含むB工程と、
    前記B工程の後、圧延機入側温度が(Ae3変態点−60℃)以上(Ae3変態点+20℃)未満の温度域で圧下率35〜70%の1パス圧延を行う第3圧延を含むC工程と、
    引き続き第3圧延後0.2sec以内に600℃/sec以上の冷却速度で(Ae3変態点−130℃)以下の温度まで冷却するD工程とを備え、
    前記第3圧延は、該第3圧延の入側温度が(Ae3変態点−60℃)以上(Ae3変態点−30℃)未満ならば、第2圧延後0.6sec以内に、入側温度が(Ae3変態点−30℃)以上(Ae3変態点−5℃)未満ならば、第2圧延後0.5sec以内に、入側温度が(Ae3変態点−5℃)以上(Ae3変態点+20℃)未満ならば、第2圧延後0.3sec以内に行うとともに、
    少なくとも前記第3圧延で被圧延材と圧延ロールとの間に圧延油を供給してクーロン摩擦係数が0.25以下で圧延することを特徴とする熱延鋼板の製造方法。
  4. 前記第1圧延は、連続する複数パスの圧延であり、かつ、該第1圧延の入側温度が850℃以上900℃未満であれば総圧下率65%以上、900℃以上950℃未満であれば総圧下率70%以上、950℃以上1000℃未満であれば総圧下率75%以上、1000℃以上であれば総圧下率80%以上であることを特徴とする請求項3に記載の熱延鋼板の製造方法。
  5. 前記第3圧延の入側温度が(Ae3変態点−60℃)以上(Ae3変態点+20℃)未満となるように、前記第2圧延と前記第3圧延の間で鋼板を冷却することを特徴とする請求項2〜4のいずれか一項に記載の熱延鋼板の製造方法。
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