以下、本発明の実施形態を添付の図面(図1〜図37)に従って説明する。但し、本発明の技術的範囲は上記の実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶものである。
ここでは、まず、図1〜図9を参照しながら、本発明の実施形態の前提となる表示装置の概念的な構成およびその動作について説明する。
図1は、本発明に係わる表示装置の概念図である。なお、これ以降、前述した構成要素と同様のものについては、同一の参照番号を付して表すこととする。
図中、1は第1の画像ソース、2は第2の画像ソース、3は第1の画像ソースからの第1の画像データ、4は第2の画像ソースからの第2の画像データ、5は表示制御部、6は表示データ、7は表示部(例えば液晶パネル等)、8は第1の画像ソース1に基づく第1の表示画像、9は第2の画像ソース2に基づく第2の表示画像、10は表示部7に対して左側に位置する観察者(利用者)、11は表示部7に対して右側に位置する観察者(利用者)である。
図1の概念図は、表示部7に対する観察者10、11の相対的位置に応じて、換言すれば表示部7に対する視野角に応じて、観察者10は第1の表示画像8を、観察者11は第2の表示画像9を実質的に同時に見ることができ、しかも各々の表示画像8、9は表示部7の表示面全体にわたって見ることができることを概念的に示している。図1において、第1の画像ソース1は例えばDVDプレーヤの映画画像やテレビ受信機の受信画像等、第2の画像ソース2は例えばカーナビゲーション装置の地図やルート案内画像等であり、それぞれの第1の画像データ3および第2の画像データ4は表示制御部5に供給され、それらを表示部7で実質的に同時に表示できるように処理される。
表示制御部5から表示データ6を供給される表示部7は、後述する視差バリアを備えた液晶パネル等で構成される。表示部7の横方向の総画素の半数が第1の画像ソース1に基づく第1の表示画像8の表示に、残りの半数の画素が第2の画像ソース2に基づく第2の表示画像9の表示に使用される。表示部7に対して左側に位置する観察者10には、第1の表示画像8に対応する画素のみが見え、第2の表示画像9は表示部7の表面に形成されている視差バリアによって遮られて実質的に見えない。また一方で、表示部7に対して右側に位置する観察者11には、第2の表示画像9に対応する画素のみが見え、第1の表示画像8は視差バリアにより遮られて実質的に見えない。なお、視差バリアについては、例えば前述の特許文献5および特許文献6に開示された構成を応用することができる。
係る構成により、単一の画面で左右の利用者に異なる情報やコンテンツを提供することができる。もちろん、第1の画像ソース1と第2の画像ソース2とが同じであれば、従来通り左右の利用者が同じ画像を見ることもできる。
上記のとおり、本発明の表示装置では、複数の画像が表示される画面はあくまでも1つであり、この1つの画面上に、それぞれ独立して画質調整が行える複数の画像(図1では、2種類の画像)を同時に表示することを可能にしている点に注意すべきである。
図2は、本発明に係るマルチビュー表示装置の車両への搭載例を示す斜視図である。図中、12は助手席、13は運転席、14はウインドシールド、15は操作部、16はスピーカである。
図1のマルチビュー表示装置の表示部7は、例えば図2に示すように、運転席13と助手席12とのほぼ中央のダッシュボード部分に配置される。マルチビュー表示装置に対する各種操作は、表示部7の表面に一体的に形成したタッチパネル(図示せず)や操作部15、または、赤外線もしくは無線リモートコントローラ(図示せず)の操作によって行われる。車両の各ドアにはスピーカ16が配置され、表示画像に連動した音声や警告音等が出力される。
運転席13に図1の観察者11が、助手席12には観察者10が座る。表示部7に対する第1視方向(運転席側)から見ることができる画像は例えばカーナビゲーション装置の地図等の画像であり、実質的に同時に第2視方向(助手席側)から見ることができる画像は例えばテレビ受信画像やDVDムービー画像である。したがって、運転席13の運転者がカーナビゲーションによる運転支援を受けるのと同時に助手席12の同乗者はテレビやDVDを楽しむことができる。しかも、それぞれの画像は例えば7インチの画面全体を使用して表示されるため、従来のマルチウインドウ表示のように画像サイズが小さくなることもない。つまり、運転者、同乗者にとっては、あたかも各々に独立した専用のディスプレイがあるかの如く、それぞれに最適な情報やコンテンツが提供されるのである。
図3は、表示部7の断面構造の概略図である。図中、100は液晶パネル、101はバックライト、102は液晶パネルのバックライト側に設置された偏光板、103は液晶パネルの発光方向側の前面に配置された偏光板、104はTFT(Thin Film Transistor)基板、105は液晶層、106はカラーフィルタ基板、107はガラス基板、108は視差バリアである。液晶パネル100は、TFT基板104とそれに対向して配置されるカラーフィルタ基板106の間に液晶層105を挟持した一対の基板と、その発光方向側の前面に配置された視差バリア108とガラス基板107とを、2枚の偏光板102・103の間に挟んだ構成となっており、バックライト101からやや離隔して配設される。また、液晶パネル100は、RGB色(三原色)で構成される画素を有する。
液晶パネル100の各画素は、左側(助手席側)表示用と、右側(運転席側)表示用に分けられて表示制御される。そして、左側(助手席側)表示用画素は、視差バリア108により右側(運転席側)への表示は遮断され、左側(助手席側)からは見えるようになっている。また一方で、右側(運転席側)表示用画素は、視差バリア108により左側(助手席側)への表示が遮断され、右側(運転席側)からは見えるようになっている。これによって、運転者と同乗者に異なった表示を提供することが可能となる。つまり、運転者にはナビゲーションの地図情報を与え、同時に同乗者にはDVDの映画等を見せることが可能となる。なお、視差バリア108、上記液晶パネルの各画素の構成を変更すれば、3方向等、複数方向に異なった画像を表示する構成も可能である。また一方で、視差バリア自体を電気的に駆動可能な液晶シャッタ等で構成して視野角を可変するようにしてもよい。
図4は、表示パネルを正面から見た構造の概略図であり、前述の図3は図4中のA−A′断面である。図中、109は左側(助手席側)表示用の画素、110は右側(運転席側)表示用の画素である。図3および図4は、例えば横方向に800画素、縦方向に480画素並べられた液晶パネル100の一部を表す。左側(助手席側)表示用の画素109と右側(運転席側)表示用の画素110は縦方向にグループ化され、交互に並んでいる。視差バリア108は、横方向にある間隔で配置され、縦方向には一様である。これによって、左側から表示パネルを見ると、視差バリア108が右側用画素110を覆い隠して、左側用画素109が見える。また同様に右側から見ると、視差バリア108が左側用画素109を覆い隠して、右側用画素110が見える。さらに正面付近では、左側用画素109と右側用画素110の両方が見えるため、左側の表示画像と右側の表示画像とが実質的に重なって見える。ここで、図4中の交互に並んだ左側用画素109および右側用画素110は、図3のようにRGB色を有しているが、各グループの縦方向内は、R列、G列、B列のように単色で構成されていてもよいし、RGBが複数混じった列として構成されていてもよい。
図5はTFT基板104の概略を示す回路図である。111は表示パネル駆動部、112は走査線駆動回路、113はデータ線駆動回路、114はTFT素子、115〜118はデータ線、119〜121は走査線、122は画素電極、123はサブピクセルである。
図5に示すように、サブピクセル123は各データ線115〜118および各走査線119〜121によって囲まれた領域を一単位とし、複数形成される。各サブピクセルには、液晶層105に電圧を印加する画素電極122とそれをスイッチング制御するTFT素子114が形成されている。表示パネル駆動部111は走査線駆動回路112およびデータ線駆動回路113の駆動タイミングを制御する。走査線駆動回路112はTFT素子114の選択走査を行い、またデータ線駆動回路113は画素電極122への印加電圧を制御する。
前記複数のサブピクセルは、第1の画像データと第2の画像データの合成データもしくは、第1と第2の個々の画像データに基づいて、例えばデータ線115と117に第1の画素データ(左側の画像表示用)を、またデータ線116と118に第2の画素データ(右側の画像表示用)を送信することよって、第1の画像を表示する第1の画像データ群と第2の画像を表示する第2の画像データ群とが形成される。
図6は、本発明に係る表示装置の概略を示すブロック図であり、いわゆるAVN(Audio Visual Navigation) 複合機への適用例である。図中、124はタッチパネル、200は制御部、201はCD/MD再生部、202はラジオ受信部、203はTV受信部、204はDVD再生、205はハードディスク(HD:Hard Disk)再生部、206はナビゲーション部、207は分配回路、208は第1の画像調整回路、209は第2の画像調整回路、210は音声調整回路、211は画像出力部、212はVICS情報受信部、213はGPS情報受信部、214はセレクタ、215は操作部、216はリモコン送受信部、217はリモコン、218はメモリ、219は外部音声/映像(画像)入力部、220はカメラ、221は明るさ検知部、222は乗員検知部、223はリア表示部、224はETC車載器、225は通信ユニットである。
表示部7は、タッチパネル124、液晶パネル100およびバックライト101から構成される。表示部7の液晶パネル100は、これまでに述べてきたように、第1視方向として運転席側から見られる画像と、第2視方向として助手席側から見られる画像とを、実質的に同時に表示することが可能となっている。なお、表示部7には、液晶パネル以外のフラットパネルディスレイ、例えば有機ELディスプレイ・パネル、プラズマ・ディスプレイ・パネル、冷陰極フラットパネルディスプレイ等を用いることもできる。
制御部200は、各種ソース(CD/MD再生部201、ラジオ受信部202、TV受信部203、DVD再生部204、HD再生部205およびナビゲーション部206)からの画像や音声は、制御部200からの指示に基づき左用に指定された画像ソースの画像データを第1の画像調整回路208に、右用に指定された画像ソースの画像データを第2の画像調整回路209に分配させる分配回路207を介して、画像であれば第1の画像調整回路208および第2の画像調整回路209に、音声であれば音声調整回路210にそれぞれ分配される。そして、第1および第2の画像調整回路208、209では、輝度や色調、コントラストなどが調整され、調整された各画像を画像出力部211にて、表示部7に表示させる。また音声調整回路210では各スピーカへの分配や音量、音声が調整され、調整された音声が、スピーカ16から出力される。
図7は画像出力部211の概略を示すブロック図である。図中、226は第1の書込回路、227は第2の書込回路、228はVRAM(Video Random Access Memory:グラフィックス・ディスプレイのフレーム・バッファ専用RAM)である。
画像出力部211は、例えば図7に示すように、第1の書込回路226と第2の書込回路227とVRAM(Video RAM)228と表示部駆動部111とを備えている。例えば、第1の書込回路226は、第1の画像調整回路208で調整された画像データのうち奇数列に対応する画像データ(すなわち、図1の第1の表示画像8用の画像データ)を、第2の書込回路227は、第2の画像調整回路209で調整された画像データのうち偶数列に対応する画像データ(すなわち、図1の第2の表示画像9用の画像データ)をもとにし、それぞれVRAM228における該当する領域に書き込む。また表示部駆動部111は液晶パネル100を駆動する回路であり、VRAM228に保持されている画像データ(第1の画像データと第2の画像データの合成データ)に基づいて、液晶表示パネル100の対応する画素を駆動する。尚、VRAM228には第1の画像データと第2の画像データの合成されたマルチビュー表示用の画像に対応するように画像データの書き込みが行われているので、駆動回路は1つでよく、その動作も通常の液晶表示装置の駆動回路の動作と同じである。また別の構成として、第1の画像データと第2の画像データを合成せずに、それぞれの画像データに基づいて、液晶表示パネルの対応する画素を駆動する第1の表示パネル駆動回路および第2の表示パネル駆動回路を用いることも考えられる。
ここで、図6で示した各種ソースの一例について説明をすると、HD再生部205を選択した場合、ハードディスク(HD)に記憶されたMP3ファイル等の音楽データやJPEGファイル等の画像データ、ナビゲーション用の地図データ等が読み出され、音楽データを選択するためのメニュー表示や画像データを表示部7に表示させることができる。
ナビゲーション部206は、ナビゲーションの為に利用される地図情報を記憶した地図情報記憶部を備え、VICS情報受信部212、GPS情報受信部213から情報を入手し、ナビゲーション動作の為の画像を作成し、表示させることができる。またTV受信部203は、アンテナからセレクタ214を介して、アナログTV放送波およびディジタルTV放送波を受信する。
図8は制御部200の概略を示すブロック図である。図中、229はインターフェース、230はCPU、231は記憶部、232はデータ記憶部である。
制御部200は分配回路207ならびに各種ソースを制御し、選択された2つのソースもしくは1つのソースについて表示を行わせる。また制御部200は、これら各種ソースをコントロールするための操作メニュー表示を表示部7に表示させることも行っている。ここで、図8で示すように、制御部200はマイクロプロセッサなどで構成され、インターフェース229を介して、表示装置内の各部や各回路を統括的に制御しているCPU230を備えている。このCPU230には、表示装置の動作に必要な各種のプログラムを保持するROMCPU7aを備えている。このCPU7aには、表示装置の動作に必要な各種のプログラムを保持するROM(Read-Only Memory:リード・オンリ・メモリ)からなるプログラム記憶部231と、各種のデータを保持するRAM(Random Access Memory:ランダム・アクセス・メモリ)からなるデータ記憶部232とが設けられている。なお、ROMやRAM等は、CPUに内蔵されたものでも、外部に設けたものでも使用することが可能である。また、ROMはフラッシュメモリのように電気的に書き替え可能な不揮発性メモリでもよい。
利用者(ユーザ)は、上記各種ソースのコントロールを、表示部7の表面に取り付けられているタッチパネル124や表示部7の周囲に設けられたスイッチ、もしくは音声認識等の入力操作や選択操作を操作部215によって行うことができる。またリモコン送受信部216を介して、リモコン217により入力もしくは選択操作をしてもよい。制御部200は、このタッチパネル124や操作部215の操作に従って、各種ソースを含めた制御を行っている。また、制御部200は、図2のように車両内に複数備え付けられたスピーカ16の各音量等を、音声調整回路210を用いて制御することができるように構成されている。また制御部200は、メモリ218に画質設定情報やプログラム、車両情報等の各種設定情報を記憶させることも行っている。
図9はメモリ218の概略を示すブロック図である。図中、233は第1の画面RAM、234は第2の画面RAM、235は画質設定情報記憶部、236は対環境調整値保持部である。なお、上記の第1の画面RAM、第2の画面RAM、画質設定情報記憶部、および対環境調整値保持部の具体的な構成に関しては、図17にても後述する。
メモリ218は、例えば図9に示すように、利用者が設定した第1の画像および第2の画像の画質の調整値がそれぞれ書き込み可能な第1の画面RAM233および第2の画面RAM234を有する。また、第1の画像および第2の画像の画質を調整する場合に、読み出すことができるプリセット値として各画質調整用に予め複数段階の画質調整値が記憶されている画質設定情報記憶部235も有する。さらに車外の明るさ変化等の周囲環境変化に応じた画質を調整するために、周囲環境に対する第1の画像および第2の画像の画質の調整値を保持する対環境調整値保持部236を有している。ここで画質設定情報記憶部235および対環境調整値保持部236は、フラッシュメモリなどの電気的に書き替え可能不揮発性メモリ又はバッテリバックアップされた揮発性メモリにより構成される。
外部音声/映像(画像)入力部219に接続された、例えば後方監視用のカメラ220からの映像(画像)を表示部7に表示するようにしてもよい。なお、後方監視用カメラ220以外に、ビデオカメラおよびゲーム機等を外部音声/映像(画像)入力部219に接続してもよい。
制御部200は、明るさ検知部221(例えば、車両のライトスイッチや光センサ)や乗員検知部222(例えば、運転席や助手席に設けられる感圧センサ)により検知された情報を元に、音声の定位位置等の設定を変更させることが可能である。
223は車両の後席用に設けられたリア表示部であり、画像出力部211を介して、表示部7に表示される画像と同じもの、または運転席用の画像もしくは助手席用の画像のいずれか一方が表示可能である。
制御部200は、ETC車載器250からの料金表示等を表示させることを行っている。また制御部200は、携帯電話などと無線接続するための通信ユニット225を制御し、これに関する表示がされるようにしてもよい。
ついで、添付図面(図10〜図18)を参照しながら、本発明の基本的な実施形態(実施例)を説明する。
図10は、本発明の第1の実施形態に係るマルチビュー表示装置の概略構成を示すブロック図である。図において、45はマルチビュー表示のための表示パネル(すなわち、表示部、図10では、マルチビュー表示パネルと記す)であり、パネルに対して例えば左側および右側から観察可能な2種類の画像を同時に表示することができるものである。この表示パネルは、前述の特許文献1に記載された構造の表示パネルを使用して実現が可能である。
図11は、表示パネル45において同時に表示される2種類の画像46、47がどのようにユーザ(利用者)に観察されるかを示す図である。図示するように、表示パネル45の左側から見るユーザには、画像46が観察され、右側から見るユーザには画像47が観察される。左側のユーザには画像47は観察できず、右側のユーザには画像46は観察できない。このため、左側のユーザは、右側のユーザの視線を気にすることなく自身の好みの画像を見ることができ、右側のユーザは左側のユーザの視線を気にすることなく自身の好みの画像を見ることができる。
図10において、2sおよび3sは第1および第2の外部の画像ソースを示す。4pは、表示パネル駆動部であり、第1および第2の外部の画像ソース2s、3sから入力された画像信号のデータを処理して表示パネル45を駆動する信号を生成する。表示パネル駆動部4pは、左側の画像46のための画質調整回路41、右側の画像47のための画質調整回路42および表示パネル駆動回路43を含んでいる。画質調整回路41は、第1の画像ソース2sの画質を、例えばブライトネス、コントラスト、シャープネス等について調整する機能を有する。同様に、画質調整回路42は、第2の画像ソース3sの画質を、ブライトネス、コントラスト、シャープネス、色調等について調整する。調整後の信号は表示パネル駆動回路43に入力され、表示パネル45上で画像46、47を表示すべく信号処理される。
図10に示す表示装置では、外部の画像ソース2sおよび3sに対してそれぞれ画質調整回路41、42が設けられているので、異なる画像ソース2s、3sからの画像信号に対して独立に画質調整が可能である。このため、画像45、46において、個々に最適調整された画質を有する画像が表示され、ユーザは快適に画像を見ることができる。
図12は、図10の具体例に係るマルチビュー表示装置の概略構成を示すブロック図である。 図12のマルチビュー表示装置は、前述の図10のマルチビュー表示装置に外部入力装置18およびCPU19を設けている。図12においても、前述の図10の場合と同様に、マルチビュー表示のための表示パネル45が設けられており、この表示パネルに対して例えば左側および右側から観察可能な2種類の画像を同時に表示することができるものである。
図12においても、前述の図10の場合と同様に、第1の画像ソース2sおよび第2の画像ソース3sが設けられている。図12のマルチビュー表示装置は、前述の図10の場合と同様に、表示パネル駆動部4pを備えている。さらに、表示パネル駆動部4pは、左側の画像46のための画質調整回路41、右側の画像47のための画質調整回路42および表示パネル駆動回路43を含んでいる。
図12の表示パネル駆動部4pは、第1の画像ソース2sおよび第2の画像ソース3sに対してそれぞれ独立に画質を調整するための複数の画質調整部(図12では、画質調整回路41および画質調整回路42)を有する画質調整装置として機能する。好ましくは、この画質調整装置は、IC(集積回路)により作製することができる。また、この画質調整装置は、表示パネル駆動回路43を含まず、複数の画質調整部(図12では、画質調整回路41および画質調整回路42)で構成されてもよい。
さらに、図12のマルチビュー表示装置は、画質調整のための設定値を入力する外部入力装置18(すなわち、入力部)と、外部入力装置18から入力された設定値に基づいて画質調整回路41および画質調整回路42を制御するCPU(Central Processing Unit:中央演算処理装置)とを備えている。なお、外部入力装置18は、図示しない画質調整開始指示操作部、画質調整操作部、および画質調整完了指示操作部を備えている。図12において、画質調整のための設定値は、外部入力装置18を用いてユーザによって設定される。この設定情報はCPU19に導入され、CPU19では当該設定情報に基づいて画質調整回路41および画質調整回路42を制御するための信号を生成する。画質調整回路41および画質調整回路42は、CPU19から出力された制御信号に基づいて第1、第2の画像ソース2s、3sからの画像データを処理することにより、各画像46、47の画質調整を行う。なお、図12のマルチビュー表示装置では、表示パネル駆動部4pの外部にCPU19を設けているが、CPU19が表示パネル駆動部4p内に含まれてもよい。
図13は、図12のCPU19の画質調整処理を説明するためのフローチャートである。この処理は、図12のCPU19が、外部入力装置18からの画質調整開始指示を検出したときに実行する。つまり、ユーザ(利用者)によって、外部入力装置18の画質調整開始指示操作部が操作されると、本フローチャートが実行される。
まず、外部入力装置18からの画質調整指示が入力されたか否かを検出し、画質調整指示が入力された場合にはステップS13bに進み、画質調整指示が入力されない場合にはステップS13cに進む(ステップS13a)。つまり、ステップS13aは、ユーザ(利用者)が外部入力装置18の画質調整操作部を用いて画質調整操作を行った場合にはステップS13bに進み、画質調整操作を行わない場合にはステップS13cに進む。
ステップS13bでは、外部入力装置18からの画質調整指示に応じて、画質調整対象画像に対応する画質調整回路に画質調整指示を出力して、ステップS13cに進む。このことにより、ユーザ(利用者)の外部入力装置18の画質調整操作に応じて、画質調整対象画像の画質が変更される。
つまり、左側の画像46が画質調整対象画像である場合、外部入力装置18からの画質調整指示(ユーザの画質調整操作)に応じて、画質調整回路41を制御して左側の画像の画質を調整し、右側の画像47が画質調整対象画像である場合、外部入力装置18からの画質調整指示(ユーザの画質調整操作)に応じて、画質調整回路41を制御して右側の画像の画質を調整してステップS13cに進む。
ステップS13cでは、外部入力装置18からの画質調整完了指示が入力されたか否かを検出し、完了指示が入力された場合(ユーザの画質調整操作部の操作があった場合)には処理を終了し、外部入力装置18からの画質調整完了指示が入力されない場合(ユーザの画質調整操作部の操作がない場合)にはステップS13aに戻る。なお、画質調整完了指示の検出方法として、外部入力装置18からの画質調整完了指示の入力の検出ではなく、外部入力装置18の最後の操作から所定時間経過した場合に、画質調整操作完了であると判別してもよい。
本処理では、外部入力装置18からの画質調整操作に応じて、画質調整対象画像の画質調整回路41、42に画質調整指示を出力する。なお、画質調整回路41、42への画質調整指示は、画質調整操作完了指示が入力された後でもよい。
図12のマルチビュー表示装置では、画質調整装置として機能する表示パネル駆動部をICにより作製するようにしているので、画質調整装置の作製工程が容易になると共に、マルチビュー表示装置全体の寸法が小さくなる。
図14は、本発明の第2の実施形態に係るマルチビュー表示装置の概略構成を示すブロック図であり、図15は、画像サイズの異なる画像が表示されている例を示す図である。なお、本図(図14、図15)において、図10〜図12と共通の符号は同一または類似の構成要素を示すのでその重複した説明は省略する。図において、50は本実施形態の特徴を示す表示パネル駆動部であり、6eは例えばリモコンの操作キー、あるいはタッチパネル入力部などで構成される外部入力装置(すなわち、入力部)を示す。なお、外部入力装置6eは、図示しない画質調整開始指示操作部、画質調整操作部、画質調整完了指示操作部、画像サイズ調整開始指示操作部、画像サイズ調整操作部、および画像サイズ調整完了指示操作部を備える。
表示パネル駆動部50は、画質調整回路51、画像サイズ調整回路52、表示パネル駆動回路53、CPU54、設定値表示回路55およびメモリ56を備えている。図10に示す実施形態のように、画質調整回路41、42を第1および第2の画像ソース2sおよび3sに対して独立して設ける構造では回路規模が比較的大きくなる問題点がある。本実施形態では、この問題を解決するために、1個の画質調整回路51をタイミング調整して用いることにより、第1、第2の画像ソース2s、3sからの異なる画像信号に別個の画質調整を可能としたものである。なお、この場合のタイミング調整については後述する。
また本実施形態の装置では、画像サイズ調整回路52を設けることによって、個々の画像46、47の独立した画像サイズ調整を可能としている。図15においては、左側の画像46に関して、拡大された画像サイズの画像46′と、縮小された画像サイズの画像46″が例示されており、右側の画像47に関して、拡大された画像サイズの画像47′と、縮小された画像サイズの画像47″が例示されている。左側の画像46、46′および画像46″は、右側の画像47、47′および47″とは独立に表示することが可能である。さらに、画像ソースにより、画像サイズがノーマル画像、ワイド画像、フル画像等種々のものが存在する。したがって、ユーザは、自己が見ている画像を画像ソースに適したものに設定することにより快適な画像の視聴が可能となるが、従来の表示装置では画像サイズ調整によって他方の画像サイズも変更されてしまうので、自己の都合により自由に画像設定を行うことができなかった。
本実施形態では、画像サイズを個々の画像ソースに対して独立に調整することが可能な画像サイズ調整回路52を設けているので、他の画像への影響を心配することなく、ユーザ自身が見ている画像のサイズ調整が可能となり、ユーザの快適な視聴が促進される。なお、画像サイズ調整回路52も画質調整回路51と同様に、1個の回路52をタイミング調整して用いることによって、別個の画像46、47の独立したサイズ調整を可能としている。
画質調整のための設定値は、外部入力装置6eを用いてユーザによって設定される。この設定情報はCPU54に導入され、CPU54では入力情報に基づいて画質調整回路51および画像サイズ調整回路52を制御するための信号を生成し、回路51、52に出力する。画質調整回路51および画像サイズ調整回路52は、CPU54から出力された制御信号に基づいて第1、第2の画像ソース2s、3sからの画像データを処理することにより、各画像46、47の画質調整、画像サイズ調整を行う。
図16は、図14のCPU54の処理を説明するためのフローチャートである。より詳しくいえば、図16の(a)は、画質調整を説明するためのフローチャートであり、図16の(b)は、画像サイズ調整処理を説明するためのフローチャートである。
図16の(a)のフローチャートは、図14のCPU54が、外部入力装置6eからの画質調整開始指示を検出したときに実行する。つまり、ユーザ(利用者)によって、外部入力装置6eの画質調整開始指示操作部が操作されると、本フローチャートが実行される。
まず、外部入力装置6eからの画質調整指示が入力されたか否かを検出し、画質調整指示が入力された場合にはステップS16bに進み、画質調整指示が入力されない場合にはステップS16cに進む(ステップS16a)。つまり、ステップS16aは、ユーザ(利用者)が外部入力装置6eの画質調整操作部を用いて画質調整操作を行った場合にはステップS16bに進み、画質調整操作を行わない場合にはステップS16cに進む。
ステップS16bでは、外部入力装置6eからの画質調整指示に応じて、画質調整回路51に、画質調整対象画像の画質調整指示を出力すると共に、メモリ54に画質調整設定値を出力して、ステップS16cに進む。このことにより、ユーザ(利用者)の外部入力装置6eの画質調整操作に応じて、画質調整対象画像の画質が変更される。
つまり、左側の画像46が画質調整対象画像である場合、外部入力装置6eからの画質調整指示(ユーザの画質調整操作)に応じて、画質調整回路51を制御して左側の画像46の画質を調整し、右側の画像47が画質調整対象画像である場合、外部入力装置18からの画質調整指示(ユーザの画質調整操作)に応じて、画質調整回路51を制御して右側の画像47の画質を調整してステップS16cに進む。
ステップS16cでは、外部入力装置6eからの画質調整完了指示が入力されたか否かを検出し、完了指示が入力された場合(ユーザの画質調整操作部の操作があった場合)には処理を終了し、外部入力装置6eからの画質調整完了指示が入力されない場合(ユーザの画質調整操作部の操作がない場合)にはステップS16aに戻る。なお、画質調整完了指示の検出方法として、外部入力装置6eからの画質調整完了指示の入力の検出ではなく、外部入力装置6eの最後の操作から所定時間経過した場合に、画質調整操作完了であると判別してもよい。
本処理では、外部入力装置6eからの画質調整操作に応じて、画質調整対象画像の画質調整回路51に画質調整指示を出力する。なお、画質調整回路51への画質調整指示は、画質調整操作完了指示が入力された後でもよい。
図16の(b)のフローチャートは、図14のCPU54が、外部入力装置6eからの画像サイズ調整開始指示を検出したときに実行する。つまり、ユーザ(利用者)によって、外部入力装置6eの画像サイズ調整開始指示操作部が操作されると、本フローチャートが実行される。
まず、外部入力装置6eからの画像サイズ調整指示が入力されたか否かを検出し、画像サイズ調整指示が入力された場合にはステップS16eに進み、画像サイズ調整指示が入力されない場合にはステップS16fに進む(ステップS16d)。つまり、ステップS16dは、ユーザ(利用者)が外部入力装置6eの画像サイズ調整操作部を用いて画像サイズ調整操作を行った場合にはステップS16eに進み、画像サイズ調整操作を行わない場合にはステップS16fに進む。
ステップS16eでは、外部入力装置6eからの画像サイズ調整指示に応じて、画像サイズ調整回路52に、画像サイズ調整対象画像の画像サイズ調整指示を出力すると共に、メモリ56に画像サイズ調整設定値を出力して、ステップS16fに進む。このことにより、ユーザ(利用者)の外部入力装置6eの画像サイズ調整操作に応じて、画像サイズ調整対象画像の画像サイズが変更される。
つまり、左側の画像46が画像サイズ調整対象画像である場合、外部入力装置6eからの画像サイズ調整指示(ユーザの画像サイズ調整操作)に応じて、画像サイズ調整回路52を制御して左側の画像46の画像サイズを調整し、右側の画像47が画像サイズ調整対象画像である場合、外部入力装置18からの画像サイズ調整指示(ユーザの画像サイズ調整操作)に応じて、画像サイズ調整回路52を制御して右側の画像47の画像サイズを調整してステップS16fに進む。
ステップS16fでは、外部入力装置6eからの画像サイズ調整完了指示が入力されたか否かを検出し、完了指示が入力された場合(ユーザの画像サイズ調整操作部の操作があった場合)には処理を終了し、外部入力装置6eからの画像サイズ調整完了指示が入力されない場合(ユーザの画像サイズ調整操作部の操作がない場合)にはステップS16dに戻る。なお、画像サイズ調整完了指示の検出方法として、外部入力装置6eからの画像サイズ調整完了指示の入力の検出ではなく、外部入力装置6eの最後の操作から所定時間経過した場合に、画像サイズ調整操作完了であると判別してもよい。
本処理では、外部入力装置6eからの画像サイズ調整操作に応じて、画像サイズ調整対象画像の画像サイズ調整回路52に画像サイズ調整指示を出力する。なお、画像サイズ調整回路52への画像サイズ調整指示は、画像サイズ調整操作完了指示が入力された後でもよい。
CPU54は、前述の図16のフローチャートが実行されたとき、さらに設定値表示回路55に制御信号を出力し、外部入力装置6eを介して入力されたユーザの設定情報を、対応する画像46あるいは47上に表示させる。なお、ユーザの設定情報を対応する画像46あるいは47上に表示させるのではなく、左側用画像(すなわち、左側の画像)46あるいは右側用画像(すなわち、右側の画像)47としてユーザの設定情報画像を表示させるようにしてもよい。
図17は、左側用画像(すなわち、左側の画像)46上として、ユーザの設定情報画像を表示させた場合の表示例を示している。今、表示パネル45の左側に位置するユーザが、自身が見ている画像をリモコン等を介して画質調整しようとする場合、左側用画像(すなわち、左側の画像)46としてユーザの設定情報画像、すなわちコントラスト50、ブライトネス50が表示される。これによって、ユーザは自身の設定の詳細を確認しながら画質調整を行うことができる。この表示は、設定を行うユーザ側のみ表示され、他方には表示されないので、他画像を視聴中のユーザは画質設定中のユーザの行為に影響を受けず、自身の視聴を続けることができる。
さらに、外部入力装置6eにおける入力の方法によっては、例えば右側の画像の画質調整の詳細を左側の画像上に、または左側用画像として表示しながら、右側の画像の画質調整を行うことができる。すなわち、左側のユーザが左側の画像46aを見ながら、右側の画像の画質調整を行うことが可能である。この場合、設定値表示回路55によって、例えば図17に示すように、左側の画像46a上に右側の画像の調整を行っていることを表示することにより、ユーザがどちらの画像を調整しているかの確認が容易となる。
前述の図14に示す装置では、外部入力装置6eからの入力情報、画質調整回路51における画質調整値、画像サイズ調整回路52における画像サイズ調整値がメモリ56に記憶される。記憶されたこれらの設定値は、ユーザによる次回の画質調整、画像サイズ調整に利用される。すなわち、次回の画質調整を行う場合、まずメモリ56に記憶された設定値に基づいて画質および画像サイズを初期設定し、かつ初期設定値を画像上にまたは画像として表示させる。これによって、ユーザは前回の設定の上に立って新たな設定を開始できるので、前回と同じ設定を望む場合は調整作業が必要なく、あるいは前回の設定値を参考にしながら新たな設定作業を進めることができる。そのため、画質調整の操作がより簡便となる。
また、メモリ56に記憶された設定値を左側用画像および右側用画像46、47の操作に共用可能とすることでメモリ回路の縮小化を図ることができ、さらに、左側用画像46または右側用画像47のいずれかで調整した設定値を他方の画像で使用したい場合に、新たに調整しなおす手間を省くことができる。なお、メモリ56は外付けのメモリであってもよい。
図18は、図14に示す回路において、タイミング調整により第1、第2の画像ソース2s、3sの画質調整を独立して行う場合のタイミングチャートを示す。なお、図16では画質調整回路51とCPU54によって画質調整を行う場合を示しているが、画像サイズ調整回路52も同様のタイミング制御により2個の画像において独立した調整が可能である。
図18のクロック1はシステム動作クロックを示し、クロック2はクロック1の2分周クロックを示す。クロック2によって第1の画像ソース、第2の画像ソースに対する画質調整の設定の振分を行っている。図18の‘設定値’において、斜線部分aは第1の画像ソースの画質調整設定値を示し、空白部分bは第2の画像ソース3の画質調整設定値を示す。
クロック2がハイレベルのとき、第1の画像ソース2sのデータと設定値の斜線部分aのデータとから第1の画像ソース2sの画質調整を行い、クロック2がロウレベルのとき、第2の画像ソース3sのデータと設定値の空白部分bのデータとから第2の画像ソースの画質調整を行う。図の‘第1の画像ソース出力’は、第1の画像ソースデータと設定値による演算結果を示し、‘第2の画像ソース出力’は第2の画像ソースデータと設定値による演算結果を示す。
すなわち、第1の画像ソースのデータA1、A2、A3、A4・・・に対して設定値aを演算した値A1×a、A2×a・・・が、第1の画像ソース出力として図16に示すタイミングで出力され、第2の画像ソースのデータB1、B2、B3、B4・・・に対して設定値bを演算した値B1×b、B2×b・・・が、第2の画像ソース出力として図16に示すタイミングで出力される。
‘第1の画像ソース出力’は図14の画質調整回路51から出力され、画像46を制御し駆動するための表示パネル駆動回路53に入力される。‘第2の画像ソース出力’も同様に画質調整回路51から出力され、画像47を制御しかつ駆動するための表示パネル駆動回路53に入力される。
以上の制御により、画質調整回路51によって2個の画像46、47の画質が独立して制御される。ブライトネス、コントラストなどの画質調整は演算器を用いて行うもので、それぞれの演算回数が異なるため、実際のタイミングは図18に示すタイミングチャートとは若干異なったものとなるが、基本的な動作は同じである。
ついで、添付図面(図19〜図37)を参照しながら、本発明のより具体的な実施形態(実施例)を説明する。
図19は、本発明の第3の実施形態に係るマルチビュー表示装置の概略構成を示すブロック図であり、図20は、図19の表示部の断面形状を概略的に示す図である。
ここでは、個々に画質の調整がなされた画像ソースからの2種類の画像データをVRAM(Video RAM)73に書き込むことにより、互いに独立した2種類の画像を同一のマルチビュー表示パネル20の画面に同時に表示するような車載用のマルチビュー表示装置の構成を簡略化して示す。
図17の第3の実施形態に係るマルチビュー表示装置においては、車両の運転席および助手席に対してマルチビュー表示を行わせるための表示部10aが設けられている。この表示部10aでは、運転席等の第1の方向から観察される第1の画像と助手席等の第2の方向から観察される第2の画像とが、同一のマルチビュー表示パネル20に対してそれぞれ同時に表示される。
マルチビュー表示パネル10aの右側から見るユーザ(例えば、運転者)には、第1の画像が観察され、左側から見るユーザ(例えば、助手席にいる乗員)には第2の画像が観察される。右側のユーザには第2の画像は観察できず、左側のユーザには第1の画像は観察できない。このため、右側のユーザは、左側のユーザの視線を気にすることなく自身の好みの画像を見ることができ、左側のユーザは右側のユーザの視線を気にすることなく自身の好みの画像を見ることができる。
さらに、図19の表示部10aは、液晶表示パネル11aの表面側に光学系分離素子13aが設けられてマルチビュー表示パネル20が形成され、さらにその前面にタッチパネル12aが形成された構造となっている。なお、原理的には、液晶表示パネル11a以外に、CRT(Cathode Ray Tube:陰極線管)やプラズマ・ディスプレイ・パネル(Plasma Display Panel)等からなる表示器を用いることもでき、また一方で、光学系分離素子13aについては、液晶シャッタで構成してアクティブなもの(例えば、可変シャッタ)とすることも可能である。
図20に示すように、タッチパネル12aは、可撓性を有する一対の透明絶縁基板120a、128a、上記一対の透明絶縁基板上に形成された透明電極122a、126a、および上記透明電極上にマトリックス状に配置されたドットスペーサ124a等から構成される。ユーザが透明絶縁基板120a上を押圧することによってドットスペーサ124aが透明電極126aに接触すると、その接点の位置が電気抵抗の測定により検出され、図19のCPU7aにおいて、入力情報が読み取られるように構成されている。なお、タッチパネル12aは、上記の構成に限定されるものではなく、他の方式のものを採用することも可能である。
図20の液晶表示パネル11aは、液晶表示素子により構成されており、縦方向に複数の帯状部の表示領域に分割され、第1の画像に対応する第1の表示領域110aと、第2の画像に対応する第2の表示領域112aとが交互に形成されている。前述のように、図20の液晶表示パネル11aの表面側に、光学系分離素子13aが配置されマルチビュー表示パネル20が形成される。そして、液晶表示パネル11aの表示素子は、表示パネル駆動回路74により駆動制御される。
光学系分離素子13aは、運転席から観察される第1の画像と、助手席から観察される第2の画像とを所定の視野角で分離してマルチビュー表示を行わせる機能を有しており、ポリカーボネイト等から形成される透明カバー(または透明絶縁基板)130aを有する。この透明カバー130aの表裏の面には、複数の遮光部131a、133aが交互に形成され、その結果として、複数の透光性スリット部132a、134aが交互に形成されている。なお、図20では、透明カバー130aの表裏の面に複数の遮光部および複数の透光性スリット部を形成する例が示されているが、透明カバー130aの一方の面のみに、複数の遮光部および複数の透光性スリット部を形成することも可能である。
図20に示すように、運転席を含む第1視野領域内の第1の乗員(例えば、運転者)171は、光学系分離素子13aの作用によって、第1の表示領域110aの集合体としての画像のみを運転席用の第1の画像として視認することができ、助手席を含む第2視野領域内の第2の乗員(例えば、助手席にいる乗員)172aは、光学系分離素子13aの作用によって、第2の表示領域112aの集合体としての画像のみを助手席用の第2の画像として視認することができる。このように実際は、1つの画面を縦方向に複数分割した1つおきの画像を視認することとなるが、1つの表示領域の幅を非常に狭くすることによって、運転席側からも、助手席側からも別々の画像をそれぞれ同時に視認することが可能になる。
好ましくは、予め設定された厚さおよび幅を有する透光性スリット部を使用して、マルチビューにおける視認角度や視認範囲や、クロストーク等が決定される。
図19のマルチビュー表示装置において、画像ソースの例として、テレビ受像機21やナビゲーション装置22、DVD再生機32等が設けられ、それぞれが異なった方向から観察できる画像ソースとなっている。
さらに、図19のマルチビュー表示装置においては、表示パネル駆動部40が設けられている。この表示パネル駆動部40は、表示することが選択された画像ソースから送出される画像データ(異なった画像ソースの画像も表示する場合は、選択された2つの画像ソースの画像データ)を処理してマルチビュー表示パネル20を駆動する信号を生成し、それぞれ対応する第1の画像および第2の画像をマルチビュー表示パネル20のそれぞれの領域にそれぞれ表示させる。
より詳しくいえば、図19の表示パネル駆動部40は、各画像ソースから送出される画像データが同時に入力される分配回路60を備えている。この分配回路60では、ユーザが選択した画像ソースの2種類の画像データ(第1の画像データ、および第2の画像データとして選択、なお、上記画像データが同じ場合もある)が次段に出力される。
さらに、図19の表示パネル駆動部40は、第1の画像が表示される領域に表示される第1の画像の画質の調整を行う第1の画質調整回路61と、第2の画像が表示される領域に表示される第2の画像の画質の調整を行う第2の画質調整回路62とを備えている。ここで、第1の画質調整回路61による第1の画像の画質の調整と、第2の画質調整回路62による第2の画像の画質の調整とは、互いに独立して遂行される。上記の第1および第2の画質調整回路61、62による画質調整方法としては、アナログ的に行う方法もあるが、入力された画像データをディジタル化して処理用のメモリ(図示されていない)に記憶し、そのメモリに記憶された画像データを演算処理することにより画質調整を行うのが実際上好ましい。
さらに、図19の表示パネル駆動部40は、第1の書込回路71と、第2の書込回路72と、VRAM73と、表示パネル駆動回路74とを備えている。ここで、第1の書込回路71は、第1の画質調整回路61で処理された画像データの内、画像の奇数列(マルチビュー表示パネル11aの画面の奇数列)に対応する画像データをVRAM73における該当する領域に書き込み、第2の書込回路72は、第2の画質調整回路62で処理された画像データの内、画像の偶数列(マルチビュー表示パネル11aの画面の偶数列)に対応する画像データをVRAM73における該当する領域に書き込む。
表示パネル駆動回路74は、液晶表示パネル11aを駆動するドライバ回路であり、VRAM73に保持されている画像データ(第1の画像データと第2の画像データの合成データ)に基づいて、液晶表示パネル11aの対応する画素を駆動する。既に説明したように、VRAM73には、マルチビュー表示用の画像に対応するように画像データの書き込みが行われているので、駆動回路は1つでよく、その動作も通常の液晶表示装置の駆動回路の動作と同じである。
さらに、図19の表示パネル駆動部40は、分配回路60、第1の画質調整回路61、第2の画質調整回路62、第1の書込回路71、第2の書込回路72、VRAM73、および表示パネル駆動回路74の動作を統括的に制御するためのマイクロコンピュータのCPU7aを備えている。このCPU7aには、表示装置の動作に必要な各種のプログラムを保持するROM等のプログラム記憶部69と、各種のデータを保持するRAM等のデータ記憶部とが設けられている。なお、ここでは、ROMやRAM等をCPUの外部に設けているが、CPUに内蔵のROMやRAM等を使用することも可能である。
さらに、図19のマルチビュー表示装置においては、各種のデータを入力するための押釦スイッチやリモコンの操作キー等の操作部27や、第1の画像または第2の画像の画質の調整状態を選択するための選択部(例えば、選択ボタン等)28を含む入力部26が設けられている。このような入力部26として、画質調整操作指示部、画質調整操作完了指示部、画質調整操作部等が挙げられ、選択部28として、画質調整複写操作部、モード切替操作部、画質調整入替操作部、画質調整設定値登録操作部、画質調整設定値読出操作部(例えば、プリセットスイッチ)等が挙げられる。なお、選択部28は、前述したタッチパネルの操作部26に含まれる。また、前述の画質調整設定値登録操作部と画質調整設定値読出操作部とを兼用する画質調整設定値登録/読出操作部を設け、操作状態(長釦/短釦)で機能(登録指示/読出指示)を切り替える場合もある。
また、画質関係のデータ記憶部として、第1の画像または/および第2の画像の画質調整設定値をプリセット値として予めまたは後述する登録処理により保持するプリセットRAM(すなわち、プリセット保持部)66や、第1の画像および第2の画像の画質調整設定値がそれぞれ書き込まれる第1の画面RAM64および第2の画面RAM65(画質調整状態記憶部63)や、第1の画像および第2の画像の各画質調整状態の頻度に関する情報を記憶する画質設定情報記憶部67や、周囲環境に対して設定される第1の画像および第2の画像の画質の調整状態を保持する対環境調整値保持部68が挙げられる。
例えば、画質設定情報記憶部67として、第1の画像における画質調整値による調整頻度と、第2の画像における画質調整設定値による調整頻度を記憶する調整頻度記憶部が挙げられる。
より詳しくいえば、プリセットRAM66には、操作部27の画質調整設定値読出操作部(例えば、プリセットスイッチ)に対応して第1の画像または/および第2の画像の画質調整設定値が記憶されるようになっている。そして、画質調整設定値読出操作部(例えば、プリセットスイッチ)が操作されれば、該当する画質調整設定値が読み出され、第1の画面RAM64または第2の画面RAM65に書き込まれ(選択された画面側に対応する)、第1の画像または/および第2の画像の画質がその画質調整設定値に基づき調整されることになる。また一方で、操作部27の画質調整設定値登録操作部(例えば、登録スイッチ)および画質調整設定値読出操作部(例えば、プリセットスイッチ)が操作されれば、第1の画像用RAM64または/および第2の画像用RAM65に書き込まれている画質調整設定値がプリセットRAM66における画質調整設定値読出操作部(例えば、プリセットスイッチ)に該当する領域に書き込まれる。なお、プリセットRAM66内のプリセット調整値の一部をメーカで設定した固定値とする方法も有用である。なお、前述したように、画質調整設定値登録操作部と画質調整設定値読出操作部とを兼用する画質調整設定値登録/読出操作部を設け、操作状態(長釦/短釦)で機能(登録指示/読出指示)を切り替えてもよい。その場合は、画質調整設定値読出操作部の操作毎に、プリセットRAM66の操作された画質調整設定値読出操作部に対応する領域に保持された画質調整設定値がサイクリックに読み出される。
さらに、図19のマルチビュー表示装置においては、運転席側および助手席側の周囲環境の変化を検出する周囲環境センサ(例えば、明るさセンサ等)17を含む各種のセンサ16aが配置されている。なお、周囲環境センサは、運転席側および助手席側の周囲環境の変化を共通に検出するための1つの周囲環境センサであってもよいし、運転席側および助手席側の周囲環境の変化をそれぞれ別々に検出するための複数の周囲環境センサであってもよい。
図19のマルチビュー表示装置によれば、運転席等から観察される第1の画像の画質の調整と、助手席等から観察される第2の画像の画質の調整とをそれぞれ独立して行う2種類の画質調整回路を設け、画質が調整された各々の画像データをVRAM73に書き込むことによって、運転席側と助手席側とで互いに独立した画像を表示することが可能になる。
なお、図19のマルチビュー表示装置においては、第1の音量・音質調整回路81、第1の音量・音質調整回路82、分配回路83、第1のスピーカ91、第2のスピーカ92、およびヘッドホン93が設けられている。
より詳しくいえば、第1の音量・音質調整回路81は、画像ソースの第1の画像データに対応する第1の音響信号の音量・音質の調整を行う機能を有しており、第2の音量・音質調整回路82は、画像ソースの第2の画像データに対応する第2の音響信号の音量・音質の調整を行う機能を有している。ここで、第1の音量・音質調整回路81による第1の音響信号の音量・音質の調整と、第2の音量・音質調整回路82による第2の音響信号の音量・音質の調整とは、互いに独立して遂行される。分配回路83は、第1の画像および第2の画像の各画像に対する音声をどのスピーカから出力するかを制御するものであり、上記の各画像に対する音声を切り替えたり、混合したりする。
分配回路83から出力される音響信号は、指定された第1のスピーカ91、第2のスピーカ92およびヘッドホン93により出力することによって、運転席側と助手席側とで互いに独立した音響信号の音質・音量の調整を行うことが可能になる。
なお、音響信号の音質・音量の調整に関しても、前述の画質調整の場合と同様の方法により、音質・音量の調整値のプリセット制御が可能である。この場合、操作したプリセットスイッチに対応した音質・音量のプリセット調整値が第1の音質・音量調整回路81または第2の音質・音量調整回路82に入力される。
図21は、2種類の画像データをVRAM73に書き込む様子を示す模式図である。図19にて説明したように、運転席Dから観察される第1の画像に対応する第1の画像データの画質の調整は、第1の画質調整回路61により遂行され、助手席から観察される第2の画像に対応する第2の画像データの画質の調整は、上記の第1の画質調整回路61とは別個の第2の画質調整回路62により遂行される。
図21に示すように、第1の画質調整回路61により画質調整がなされた第1の画像データID−1は、第1の書込回路71(図19参照)を介してVRAM73に書き込まれると共に、第2の画質調整回路62により画質調整がなされた第2の画像データID−2は、第2の書込回路72(図19参照)を介してVRAM73に書き込まれる。ここで、画質調整後の第1の画像データID−1および画質調整後の第2の画像データID−2は、1ライン毎に交互に同一のVRAM73に書き込まれる。換言すれば、VRAM73において、第1の画像データID−1は、例えば奇数番目の列の1つおきのアドレスに従って、D1、D3、D5…のように書き込まれる。また一方で、第2の画像データID−2は、例えば偶数番目の列の1つおきのアドレスに従って、P2、P4、P6…のように書き込まれる。
そして、VRAM73に保持されている第1の画像データID−1および第2の画像データID−2からなる合成画像が、表示パネル駆動回路74(図19参照)により、表示部10aに表示される。つまり最終的に、第1の画像データID−1および第2の画像データID−2は、表示部10a上の液晶表示パネル11aの第1の表示領域110aおよび第2の表示領域112aにそれぞれ表示される。
図22および図23は、CPU7aの画質調整処理を説明するためのフローチャートのその1およびその2である。この処理は、図19のCPU7aが、入力部26(操作部27)からの画質調整開始指示を検出したときに実行する。つまり、ユーザ(利用者)によって、外部入力装置(CPU7a)の画質調整開始指示操作部が操作されると、本フローチャートが実行される。なお、図22のステップS22c、S22dは、独立モードでの画質調整処理であり、ステップS22e、S22fは、独立モードでの画質複写処理であり、ステップS22g、S22hは、独立モードでのプリセット処理であり、ステップS22i、S22jは、独立モードでのプリセット読出処理であり、図23のステップS22k、S22lは、共通モードでの画質調整処理であり、ステップS22m、S22nは、共通モードでの画質入替複写処理であり、ステップS22o、S22pは、共通モードでのプリセット処理であり、ステップS22q、S22rは、共通モードでのプリセット読出処理である。
まず、後述する画質調整用画像の表示指示を画質調整回路、書込回路に出力してステップS22bに進む(ステップS22a)。
次に、入力部26(選択部28)のモード切替操作部からのモード指示を検出し、マルチビュー表示装置の現在のモードが、複数の画像の画質を独立して別個に調整する独立モードであるか、または、複数の画像の画質を共通に調整する共通モードであるかを判定し、独立モードである場合にはステップS22cに進み、共通モードである場合にはステップS22kに進む。つまり、ステップS22bでは、ユーザ(利用者)の入力部26(選択部28)のモード切替操作部の操作状態を判定し、独立モードである場合にはステップS22cに進み、共通モードである場合には図23のステップS22kに進む。
次に、図22を参照しながら、独立モードでの画質調整操作部からの調整指示による画質調整処理を説明する。
ステップS22cでは、入力部26(操作部27)から画質調整指示が入力されたか否かを判定し、画質調整指示が入力された場合にはステップS22dに進み、入力されない場合にはステップS22eに進む。つまり、ステップS22cでは、ユーザ(利用者)が入力部26(操作部27)の画質調整操作部を用いて画質調整操作を行った場合にはステップS22dに進み、そうでない場合にはステップS22eに進む。
ステップS22dでは、入力部26(操作部27)から画質調整指示に応じて画質調整設定値を調整し、画質調整対象画像に対応する画質調整状態記憶部63(第1の画面RAM64または第2の画面RAM65)に保持されている画質調整設定値を調整された画質調整設定値で書き替えると共に、調整された画質調整設定値に対応する画質調整指示を、画質調整対象画像に対応する画質調整回路(第1の画質調整回路61または第2の画質調整回路62)に出力してステップS22sに進む。つまり、ステップS22dでは、第1の画像が画質調整対象画像である場合、入力部26(操作部27)の画質調整操作部からの画質調整指示(ユーザの画質調整操作)に応じて、第1の画面RAM64の画質調整設定値を書き替えると共に、第1の画面RAM64に書き込まれた画質調整設定値に対応する画質調整指示を第1の画質調整回路61に送信して第1の画像の画質を変更し、第2の画像が画質調整対象画像である場合、入力部26(操作部27)の画質調整操作部からの画質調整指示(ユーザの画質調整操作)に応じて、第2の画面RAM65の画質調整設定値を書き替えると共に、第2の画面RAM65に書き込まれた画質調整設定値に対応する画質調整指示を第2の画質調整回路62に送信して第2の画像の画質を変更してステップS22sに進む。
次に、独立モードでの画質複写操作部からの複写指示による画質調整処理を説明する。 ステップS22eでは、入力部26(選択部28)から画質調整設定値複写指示が入力されたか否かを判定し、画質調整設定値複写指示が入力された場合にはステップS22fに進み、入力されない場合にはステップS22gに進む。つまり、ステップS22eでは、ユーザ(利用者)が入力部26(選択部28)の画質複写操作部を用いて画質複写操作を行った場合にはステップS22fに進み、そうでない場合にはステップS22gに進む。
ステップS22fでは、画質調整対象以外の画像(例えば、第2の画像)の画質調整設定値を、画質調整対象画像に対応する画質調整状態記憶部63(例えば、第2の画面RAM65)から読み出し、画質調整対象画像(例えば、第1の画像)に対応する画質調整状態記憶部63(例えば、第1の画面RAM64)の画質調整設定値を、画質調整対象以外の画像(例えば、第2の画像)に対応する画質調整状態記憶部63(例えば、第2の画面RAM65)から読み出した画質調整設定値で書き替えると共に、画質調整対象画像に対応する画質調整回路(例えば、第1の画質調整回路61)に書き替えられた画質調整設定値に対応する画質調整指示を出力し、ステップS22sに進む。つまり、画質調整対象画像(例えば、第1の画像)の画質が、画質調整対象以外の画像(例えば、第2の画像)の画質に変更される。
本処理では、前述の図19のマルチビュー表示装置に設けられている画質複写操作部のユーザ(利用者)の操作によって、画質調整設定値の複写指示が行われると、第1の画像または第2の画像のいずれか一方の画像(画質調整対象画像)の画質の画質調整設定値が、他方の画像(画質調整対象以外の画像)の画質調整設定値に変更されるように処理される。具体的には、第1の画像の画質調整状態(画質調整設定値)を第2の画像の画質調整状態(画質調整設定値)に変更する場合、第2の画面RAM65の記憶値(画質調整設定値)で第1の画面RAM64の画質調整設定値を書き替えるようにしている(あるいは、第2の画像の画質調整状態(画質調整設定値)を第1の画像の画質調整状態(画質調整設定値)に変更する場合、第1の画面RAM64の記憶値(画質調整設定値)で第2の画面RAM65の画質調整設定値を書き替えるようにしている)。この処理により、運転者が座席を変わるときに、好みの画質をそのまま引き継ぐことができる。
次に、独立モードでの画質調整設定値登録操作部からの登録指示によるプリセット処理を説明する。
ステップS22gでは、入力部26(選択部28)から画質調整設定値の登録指示が入力されたか否かを判定し、登録指示が入力された場合にはステップS22hに進み、登録指示が入力されない場合にはステップS22iに進む。つまり、ステップS22gでは、ユーザ(利用者)が入力部26(選択部28)に設けられた画質調整設定値登録操作部(例えば、プリセットスイッチ)を用いて画質調整設定値の登録操作を行った場合にはステップS22hに進み、そうでない場合にはステップS22iに進む。画質調整設定値の登録操作は、前述したようにプリセットスイッチの操作、プリセットスイッチ+登録スイッチの操作等、適宜変更可能である。
ステップS22hでは、画質調整対象画像に対応する画質調整状態記憶部63に記憶されている画質調整設定値を読み出し、操作された画質調整設定値登録操作部に対応するプリセットRAM66の領域に書き込み、ステップS22sに進む。
つまり、第1の画像が画質調整対象画像である場合、入力部26(選択部28)から登録指示(ユーザの登録操作)により、第1の画面RAM64に記憶されている画質調整設定値が、操作された画質調整設定値登録操作部に対応するプリセットRAM66に書き込まれる(あるいは、第2の画像が画質調整対象画像である場合、第2の画面RAM65に記憶されている画質調整設定値が、操作された画質調整設定値登録操作部に対応するプリセットRAM66に書き込まれる)。なお、画質調整設定値登録操作部に対応するプリセットRAM66の領域に書き込まれる画質調整設定値は、1つでもよいし、複数でもよい。さらに、プリセットRAM66の領域に書き込まれる画質調整設定値は、各画像毎に登録可能であってもよく、画像に関係なく、共通に記憶可能であってもよい。
次に、独立モードでの画質調整設定値読出操作部からの読出指示による画質調整処理を説明する。
ステップS22iでは、入力部26(選択部28)から画質調整設定値読出操作部(例えば、プリセットスイッチ)からの読出指示が入力されたか否かを判定し、読出指示が入力された場合にはステップS22jに進み、読出指示が入力されない場合にはステップS22sに進む。つまり、ステップS22iでは、ユーザ(利用者)が入力部26(選択部28)に設けられた画質調整設定値読出操作部を用いて画質調整設定値読出操作を行った場合にはステップS22jに進み、行われない場合にはステップS22sに進む。
ステップS22jでは、操作された画質調整設定値読出操作部に対応するプリセット保持部(プリセットRAM66)の領域に記憶されている画質調整設定値を読み出し、読み出された画質調整設定値で、画質調整対象画像(例えば、第1の画像)に対応する画質調整状態記憶部63(例えば、第1の画面RAM64)の画質調整設定値を書き替えると共に、書き込まれた画質調整設定値に対応する画質調整指示を、画質調整対象画像に対応する画質調整回路(例えば、第1の画質調整回路61)に出力する。このようにして、画質調整対象画像の画質調整設定値が、プリセットRAM66の領域に記憶されている所定の画質調整設定値に書き替わる。
本処理では、前述の図19のマルチビュー表示装置において、画質調整設定値読出操作部(例えば、プリセットスイッチ)の操作が行われると、操作された画質調整設定値読出操作部(例えば、プリセットスイッチ)に対応するプリセットRAM66の領域に記憶されている画質調整設定値が読み出され、画質調整対象画像(第1の画像あるいは第2の画像)の画質調整設定値の設定を行うように構成される。このような構成では、前述のように、プリセットRAM66に予め保持(メーカプリセット、ユーザプリセット)されている画質調整設定値により各々の画像における画質の調整が容易に行える。前述のように、画質調整設定値読出操作部に対応して複数の画質調整設定値が記憶されている場合、画質調整設定値読出操作部の操作毎に、記憶されている画質調整設定値がサイクリックに読み出されるようにしてもよい。
次に、図23を参照しながら、共通モードでの画質調整操作部からの調整指示による画質調整処理を説明する。
図23のステップS22kでは、入力部26(操作部27)から画質調整指示が入力されたか否かを判定し、画質調整指示が入力された場合にはステップS22lに進み、入力されない場合にはステップS22mに進む。つまり、ステップS22kでは、ユーザ(利用者)が入力部26(操作部27)の画質調整操作部を用いて画質調整操作を行った場合にはステップS22lに進み、そうでない場合にはステップS22mに進む。
ステップS22lでは、入力部26(操作部27)から画質調整指示に応じて画質調整設定値を調整し、画質調整状態記憶部63(第1の画面RAM64および第2の画面RAM65)に保持されている画質調整設定値を調整された画質調整設定値で書き替えると共に、調整された画質調整設定値に対応する画質調整指示を、画質調整回路(第1の画質調整回路61および第2の画質調整回路62)に出力して図22のステップS22sに進む。つまり、ステップS22lでは、第1の画像が画質調整対象画像である場合、入力部26(操作部27)の画質調整操作部からの画質調整指示(ユーザの画質調整操作)に応じて、第1の画面RAM64および第2の画面RAM65の画質調整設定値を書き替えると共に、第1の画面RAM64および第2の画面RAM65に書き込まれた画質調整設定値に対応する画質調整指示を第1の画質調整回路61および第2の画質調整回路62に送信して第1の画像および第2の画像の画質を変更してステップS22sに進む。なお、ステップS22lの画質調整は、第1の画像および第2の画像を同じ画質(第1の画面RAM64と第2の画面RAM65の各々が同じ値)になるように調整してもよいし、あるいは、各画像の画質調整設定値を、同じ方向(プラス方向またはマイナス方向)に同じ値だけ調整してもよい。
次に、共通モードでの画質複写操作部からの複写指示による画質調整処理を説明する。 ステップS22mでは、入力部26(選択部28)から画質調整設定値複写指示が入力されたか否かを判定し、画質調整設定値複写指示が入力された場合にはステップS22nに進み、入力されない場合にはステップS22oに進む。つまり、ステップS22mでは、ユーザ(利用者)が入力部26(選択部28)の画質複写操作部を用いて画質複写操作を行った場合にはステップS22nに進み、そうでない場合にはステップS22oに進む。
ステップS22nでは、1つの画像(例えば、第1の画像)の画質調整設定値を、1つの画像(例えば、第1の画像)に対応する画質調整状態記憶部63(例えば、第1の画面RAM64)から読み出すと共に、他の画像(例えば、第2の画像)の画質調整設定値を、他の画像(例えば、第2の画像)に対応する画質調整状態記憶部63(例えば、第2の画面RAM65)から読み出す。そして、読み出された1つの画像(例えば、第1の画像)の画質調整設定値で、他の画像(例えば、第2の画像)に対応する画質調整状態記憶部63(例えば、第2の画面RAM65)に保持されている画質調整設定値を書き替え、書き替えられた画質調整設定値に対応する画質調整指示をそれぞれに対応する画質調整回路に出力して図22のステップS22sに進む。このようにして、1つの画像(例えば、第1の画像)の画質が他の画像(例えば、第2の画像)の画質に変更されると共に、他の画像(例えば、第2の画像)の画質が1つの画像(例えば、第1の画像)の画質に変更される。なお、ステップS22mでは、各画像に対応する各画質調整設定値を、各画質調整状態記憶部63(第1の画面RAM64および第2の画面RAM65)から一旦読み出し、各画質調整状態記憶部63(第1の画面RAM64および第2の画面RAM65)の画質調整設定値を書き替えるように処理しているが、画質調整状態記憶部の定義を変更(第1の画面RAM64を第2の画面RAM65に切り替えること、および第2の画面RAM65を第1の画面RAM64に切り替えること)するようにしてもよい。
本処理では、前述の図19のマルチビュー表示装置に設けられている画質入替操作部のユーザ(利用者)の操作によって、画質調整設定値の入替指示が行われると、第1の画像の画質の画質調整状態(画質調整設定値)が、第2の画像の画質調整状態(画質調整設定値)に変更されると共に、第2の画像の画質の画質調整状態(画質調整設定値)が、第1の画像の画質調整状態(画質調整設定値)に変更されるようにする。つまり、第1の画面RAM64の値と第2の画面RAM65の値とを入れ替える。この処理により、例えば長時間運転等で運転者と助手席にいる乗員とが変わる場合等に、各々の好みの画質を引き継ぐことが可能になる。
次に、共通モードでの画質調整設定値登録操作部からの登録指示によるプリセット処理を説明する。
ステップS22oでは、入力部26(選択部28)から画質調整設定値の登録指示が入力されたか否かを判定し、登録指示が入力された場合にはステップS22pに進み、登録指示が入力されない場合にはステップS22qに進む。つまり、ステップS22oでは、ユーザ(利用者)が入力部26(選択部28)に設けられた画質調整設定値登録操作部(例えば、プリセットスイッチ)を用いて画質調整設定値の登録操作を行った場合にはステップS22pに進み、登録操作が行われない場合にはステップS22qに進む。画質調整設定値の登録操作は、前述したようにプリセットスイッチの操作、プリセットスイッチ+登録スイッチの操作等、適宜変更可能である。
ステップS22pでは、画質調整状態記憶部63(第1の画面RAM64および第2の画面RAM65)に記憶されている画質調整設定値を読み出し、操作された画質調整設定値登録操作部に対応するプリセットRAM66の領域に書き込み、図22のステップS22sに進む。
つまり、入力部26(選択部28)から登録指示(ユーザの登録操作)により、第1の画面RAM64に記憶されている画質調整設定値および第2の画面RAM65に記憶されている画質調整設定値が、操作された画質調整設定値登録操作部に対応するプリセットRAM66に書き込まれる。なお、画質調整設定値登録操作部に対応するプリセットRAM66の領域に書き込まれる画質調整設定値は、1つでもよいし、複数でもよい。さらに、プリセットRAM66の領域に書き込まれる画質調整設定値は、各画像毎に登録可能であってもよく、画像に関係なく、共通に記憶可能であってもよい。
次に、共通モードでの画質調整設定値読出操作部からの読出指示による画質調整処理を説明する。
ステップS22qでは、入力部26(選択部28)から画質調整設定値読出操作部(例えば、プリセットスイッチ)からの読出指示が入力されたか否かを判定し、読出指示が入力された場合にはステップS22rに進み、読出指示が入力されない場合には図22のステップS22sに進む。つまり、ステップS22qでは、ユーザ(利用者)が入力部26(選択部28)に設けられた画質調整設定値読出操作部を用いて画質調整設定値読出操作を行った場合にはステップS22rに進み、行われない場合にはステップS22sに進む。
ステップS22rでは、操作された画質調整設定値読出操作部に対応するプリセット保持部(プリセットRAM66)の領域に記憶されている画質調整設定値を読み出し、読み出された画質調整設定値で、第1の画像および第2の画像に対応する画質調整状態記憶部63(例えば、第1の画面RAM64および第2の画面RAM65)の画質調整設定値を書き替えると共に、書き込まれた画質調整設定値に対応する画質調整指示を、各々対応する画質調整回路(例えば、第1の画質調整回路61および第2の画質調整回路62)に出力する。このようにして、第1の画像および第2の画像に対応する画質調整設定値が、プリセットRAM66の領域に記憶されている所定の画質調整設定値に書き替わる。
本処理では、前述の図19のマルチビュー表示装置において、画質調整設定値読出操作部(例えば、プリセットスイッチ)の操作が行われると、操作された画質調整設定値読出操作部(例えば、プリセットスイッチ)に対応するプリセットRAM66の領域に記憶されている画質調整設定値が読み出され、第1の画像あるいは第2の画像の画質調整設定値の設定を行うように構成される。このような構成では、前述のように、プリセットRAM66に予め保持(メーカプリセット、ユーザプリセット)されている画質調整設定値により各々の画像における画質の調整が容易に行える。前述のように、画質調整設定値読出操作部に対応して複数の画質調整設定値が記憶されている場合、画質調整設定値読出操作部の操作毎に、記憶されている画質調整設定値がサイクリックに読み出されるようにしてもよい。また、前述のように、各画像毎に異なる画質調整設定値が画質調整設定値読出操作部に保持されている場合には、各画像で異なる画質調整設定値が読み出される。
さらに、図22のステップS22sでは、入力部26(操作部27)からの画質調整完了指示が入力されたか否かを検出し、完了指示が入力された場合には処理を終了し、完了指示が入力されない場合にはステップS22bに戻る。つまり、ステップS22sでは、ユーザ(利用者)が入力部26(操作部27)に設けられた画質調整完了操作部を用いて画質調整完了操作を行った場合には処理を終了し、行われない場合(画質調整設定値が良好でない場合)にはステップS22bに戻り、上述の処理を繰り返す。なお、画質調整完了指示の検出方法として、入力部26(操作部27)に設けられた画質調整完了操作部からの画質調整完了指示の入力を検出するのではなく、入力部26の最後の操作から所定時間経過した場合に、画質調整完了であると判別してもよい。
前述のように、独立モードまたは共通モードを選択することができるようになっているので、状況により、全表示領域の画質調整(同じ画質、同じ方向への調整)を統合して行ったり、各画像で独立して画質を調整したりすることができる。
なお、前述の複写処理は、共通モードに設けられてもよく、前述の入替処理は、単独モードに設けられてもよい。
次に、前述の画質調整用画像について説明する。図24〜図27は、画質調整用画像の表示例を示す図のその1〜その4である。
より詳しくいえば、図24の(a)は、表示部10aの画質調整対象画像が表示される領域の全領域に画質調整用画像が表示される例を示す図であり、図24の(b)は、表示部10aの画質調整対象画像が表示される領域に画質調整対象画像と画質調整用画像とが同時に表示される例を示す図であり、図25の(a)は、特定画像の一例を示す図であり、図25の(a)は、特定画像の他の例を示す図である。
さらに、図26の(a)は、表示部10aの画質調整対象画像が表示される領域に画質調整対象画像と特定画像とが同時に表示される具体的表示例を示す図であり、図26の(b)は、表示部10aの画質調整対象画像が表示される領域に画質調整対象画像と画質調整用画像として画質調整前の画像とが同時に表示される具体的表示例を示す図であり、図27の(a)は、表示部10aの画質調整対象画像が表示される領域に画質調整対象画像と画質調整用画像として画質調整対象以外の画像の画質調整状態の画像とが同時に表示される表示例を示す図であり、図27の(b)は、表示部10aの画質調整対象画像が表示される領域に画質調整用画像として前述のプリセット値で画質調整された画像が表示される表示例を示す図である。
図24の(a)においては、画質調整対象画像(例えば、第1の画像)YPが表示される表示部10aの表示領域の全領域に、画質調整の目安となる画質調整用画像が表示されている。例えば、画質調整用画像として、図25の(a)に示すような放送終了後の帯画像のような特定画像SPや、図25の(b)に示すような、画像を赤色成分(R)、緑色成分(G)、および青色成分(B)からなる三原色の色成分に分割し、各色成分に関する画質の補正処理を行えるように、三原色の各単色の図形を含む特定画像が使用される。なお、特定画像は、表示例に示したものに限定されず適宜変更可能(例えば、図17の参照番号47に示す図等)である。
ここで、図25の(a)に示すような特定画像を表示する場合、前述のような画質調整で、画質調整対象画像の画質調整を行うときに、特定画像を参考にしながら、画質調整対象画像の画質調整を容易に行うことができる。また一方で、図25の(b)に示すような特定画像を表示する場合、前述のような画質調整で画像における三原色の各色成分に関する調整を高精度に行うことが可能になる。
なお、特定画像の表示開示時点の画質は、デフォルト値、画質調整対象画像の画質、画質調整対象以外の画像の画質、前述のプリセット値の画質等、適宜変更可能である。
特に、図25の(b)においては、赤色成分(R)、緑色成分(G)、および青色成分(B)の横に書かれている四角が画質調整設定値を示す図であり、三角の右隣の四角が三原色の各色で描画された画質調整用画像に対応している。
また一方で、図24の(b)においては、表示部10aの画質調整対象画像が表示される領域に画質調整対象画像と画質調整用画像とが同時に表示されており、これらの2種類の画像を同時に表示する方法としては、図26の(a)に示すように、画質調整対象画像の一部に画質調整用画像を表示してもかまわない。また一方で、画質調整用画像として、図25の(a)、(b)に示す特定画像を表示してもよいし、後述するように、画質調整対象以外の画像、画質調整対象画像と同内容の画像等、適宜変更可能である。この構成では、前述のような画質処理で画質調整用画像を参考にしながら、画質調整対象画像の画質調整を容易に行うことができる。
図26の(a)は、画質調整対象画像の一部に画質調整用画像を表示する具体例であり、ナビゲーション用の画像の一部に特定画像が表示されている。この構成では、前述のような画質処理で特定画像を参考にしながら、画質調整対象画像の画質調整を容易に行うことができる。
なお、画質調整対象画像を参考にして、特定画像の画質を調整し、画質調整処理(操作)終了後に調整された画質を画質調整対象画像に反映させるようにしてもよいし、特定画像の一部に画質調整対象画像を表示してもよく、特定画像の表示開始時点の画質は、デフォルト値、画質調整対象画像の画質、画質調整対象以外の画像の画質、前述のプリセット値の画質等、適宜変更可能である。さらに、画質調整用画像として特定画像ではなく、後述するように、画質調整対象以外の画像、画質調整対象画像と同内容の画像等を表示してもよい。
また一方で、図26の(b)のように、表示部10aの画質調整対象画像が表示される領域に画質調整対象画像と画質調整用画像として画質調整開始時点の画質の画質調整状態の画像とを同時に表示するようにしてもよい。好ましくは、画質調整対象画像と画質調整用画像とは同一内容であるが、画質調整用画像を画質調整対象以外の画像(画質は、画質調整開始時点の画質調整対象画像の画質)を表示してもよい。この構成では、画質調整開始時点の画質と比較しながら、画質調整対象画像の画質の調整を容易に行うことができる。前述のように、画質調整用画像の一部に画質調整対象画像を表示するようにしてもよい。
また一方で、図27の(a)に示すように、表示部10aの画質調整対象画像が表示される領域に画質調整対象画像と画質調整用画像として画質調整対象以外の画像の画質調整状態の画像とを同時に表示するようにしてもよい。この例では、画質調整対象画像が表示される表示領域S1の半分の領域が、画質調整対象画像の画質調整状態に設定され、前述の調整操作により画質が変化する。また一方で、表示領域S1の他の半分の領域が、画質調整対象以外の画像の画質調整状態に設定される。この設定は、画質調整対象画像に対応する画質調整回路への画像データの書込処理および画質調整設定値を対応する値とすることにより実現できる。好ましくは、表示領域S1の半分の領域に表示される表示画像IO−Dと、表示領域の他の半分の領域に表示される表示画像IO−Pとは同一内容であるが、画質調整用画像として画質調整対象以外の画像(画質は、画質調整対象以外の画像の画質)を表示してもよい。この構成では、画質調整対象以外の画像の画質を参考にしながら、画質調整対象画像の画質の調整を容易に行うことができると共に、前述の複写操作の参考にすることができる。
なお、画質調整対象画像の画質と、画質調整用画像の画質のどちらを調整するか選択可能にし、画質調整用画像の画質を調整した場合には、画質調整完了後、画質調整対象画像の画質に反映させるようにしてもよい。
図27の(b)においては、表示部10aの画質調整対象画像が表示される領域を分割(例えば、図27の(b)に示すように、4つの画質調整用領域PR−1、PR−2、PR−3およびPR−4に分割)し、各領域に前述のプリセット値で調整された画質調整用画像を複数表示している。これも画質調整対象画像に対応する画質調整回路への画像データの書込処理および画質調整設定値を調整することにより実現できる。
なお、ここでは、複数の画質調整画像は、同一内容(画質調整対象画像の内容)であるが、前述のように異なっていてもよい。
この例によれば、複数のプリセット値で調整された画質調整用画像を表示しているので、各画質調整状態を比較することができ、画質選択の際、参考にすることができる。
なお、分割数は4つには限定されない。また一方で、1つの分割領域に画質調整対象画像の画質で調整された画像を表示するようにしてもよい。さらに、画質調整用画像は、前述の特定画像であってもよい。さらに、各領域は、画質調整設定値登録読出部に対応していてもよいし、そうでなくてもよい。全てのプリセット値に対応する画質調整用画像が、画質調整用画像が表示される領域に表示しきれない場合は、ユーザ(利用者)からの操作指示や、所定時間毎に順次読み出されるように構成してもよい。さらに、表示可能なプリセット値は、画質調整対象画像に対応するプリセット値および画質調整対象以外の画像に対応するプリセット値であってもよい。
なお、前述のように、図22のステップS22aは削除可能であるため、前述のような画質調整用画像は表示されなくてもよい。
さらに、画質調整対象以外の画像が表示される領域に、前述の画質調整用画像や、画質調整対象画像の画質が確認できる画像(例えば、画質調整対象画像が表示されている領域に表示されている画像と同内容の(同画質)の画像、画質調整対象画像の画質で調整された画質調整対象以外の画像等)を表示するように構成してもよい。この構成によれば、他方の画質調整状態を参考にして、後で画質調整(複写等も含む)が容易に行える。
図28〜図32は、図22および図23に示すCPU7aの画質調整処理の変形例を示す図のその1〜その5である。
より詳しくいえば、図28は、画質調整設定値に上限、下限が設けられた画質調整処理の一例を説明するためのフローチャートであり、図29は、図28の第1の変形例を説明するためのフローチャートであり、図30は、図28の第2の変形例を説明するためのフローチャートであり、図31は、図28の第3の変形例を説明するためのフローチャートである。さらに、図32の(a)は、調整された画質調整設定値を画質設定情報記憶部67および対環境調整保持部68に保持する処理を説明するためのフローチャートであり、図32の(b)は、画質設定情報記憶部67および対環境調整保持部68の画質調整設定値の保持例を示す図であり、図22および図23の画質調整処理に適宜追加可能である。
以下、図28〜図32の各々の画質調整処理について説明する。本処理では、画質調整設定値の調整可能範囲(適正範囲)が予め設定されているものとする。
まず、図28を参照しながら、図28の画質調整処理について説明する。
ステップS24aでは、図22(ステップS22s)の画質調整処理で調整された画質調整設定値が、予め設定された調整可能範囲(適正範囲)内か否かを判定し、適正範囲内であれば処理を終了し、適正範囲外であればステップS24bに進む。
ステップS24bでは、調整された画質調整設定値が適正範囲外であることを報知するために、対応する各構成に指示を出力して図22のステップS22bに戻る。
つまり、本処理では、調整された画質調整設定値が適正範囲外である場合、画質調整処理が完了されないようにすると共に、画質調整設定値が適正範囲内におさまるように、調整を促す。
次に、図29を参照しながら、図29の画質調整処理について説明する。
ステップS24cでは、図22の画質調整処理で調整された画質調整設定値が、予め設定された調整可能範囲(適正範囲)内か否かを判定し、適正範囲内であれば処理を終了し、適正範囲外であればステップS24dに進む。
ステップS24dでは、調整された画質調整設定値を調整可能範囲の上限または下限に調整し、対応する画質調整状態記憶部63に書き込むと共に、調整可能範囲の上限または下限に対応する画質調整指示を、対応する画質調整回路に出力して処理を終了する。
つまり、本処理では、調整された画質調整設定値が適正範囲外である場合、画質調整処理が完了されないようにすると共に、調整可能範囲の上限または下限の画質に設定する。
次に、図30を参照しながら、図30の画質調整処理について説明する。
ステップS24eでは、図22(ステップS22d、ステップS22f、ステップS22h、およびステップS22j)および図23(ステップS22l、ステップS22n、ステップS22p、ステップS22q、およびステップS22r)の画質調整処理で調整された画質調整設定値が、予め設定された調整可能範囲(適正範囲)内か否かを判定し、適正範囲内であればステップS22sに進み、適正範囲外であればステップS24fに進む。
ステップS24fでは、調整された画質調整設定値が適正範囲外であることを報知するために、対応する各構成に指示を出力して図22のステップS22bに戻る。
つまり、本処理では、調整された画質調整設定値が適正範囲外である場合、画質調整処理が完了されないようにすると共に、画質調整設定値が適正範囲内におさまるように、調整を促す。
次に、図31を参照しながら、図31の画質調整処理について説明する。
ステップS24gでは、図22(ステップS22d、ステップS22f、ステップS22h、およびステップS22j)および図23(ステップS22l、ステップS22n、ステップS22p、ステップS22q、およびステップS22r)の画質調整処理で調整された画質調整設定値が、予め設定された調整可能範囲(適正範囲)内か否かを判定し、適正範囲内であればステップS22sに進み、適正範囲外であればステップS24hに進む。
ステップS24hでは、調整された画質調整設定値を調整可能範囲の上限または下限に調整し、対応する画質調整状態記憶部63に書き込むと共に、調整可能範囲の上限または下限に対応する画質調整指示を、対応する画質調整回路に出力して図22のステップS22bに戻る。
つまり、本処理では、調整された画質調整設定値が適正範囲外である場合、画質調整処理が完了されないようにすると共に、調整可能範囲の上限または下限の画質に設定する。なお、調整可能範囲は、固定値でもよいし、前述の周囲環境センサの検出結果に基づいて設定されてもよい。
次に、図32の(a)、(b)を用いて、図22の画質調整処理で調整された画質調整設定値の画質設定情報記憶部67および対環境調整保持部68への記憶処理について説明する。
図32の(a)のステップS24iでは、図22の画質調整処理で調整された画質調整設定値を、図32の(b)で示すフォーマット図のように画質設定情報記憶部67および対環境調整保持部68に書き込み、処理を終了する。
なお、図32の(b)は、図22の画質調整処理で調整された画質調整設定値を保持するための記憶例を示すものである。この場合の記憶方法に関していえば、画質調整設定値と他の項目(例えば、環境値、頻度等)の少なくとも1つとが対になって記憶されればよい。
本処理で記憶された画質調整設定値は、後述する起動時や環境変化検出時の画質調整処理で適用される。
図33は、CPU7aの環境変化に応じた画像調整処理を説明するためのフローチャートである。本フローチャートは、マルチビュー表示装置の電源ON時(すなわち、マルチビュー表示装置の電源が投入されたとき)(あるいは、シングルビュー表示からマルチビュー表示に切り替わったとき)、またはマルチビュー表示が行われているときに定期的に実行する。
まず、ステップS25aにおいて、周囲環境センサ17からの周囲環境を検出し、ステップS25bに進む。なお、前述したように、周囲環境センサ17は、運転席側および助手席側の周囲環境を共通に検出するためのものであってもよいし、運転席側および助手席側の周囲環境を別々に検出するように複数設けられてもよい。
ステップS25bでは、周囲環境センサ17からの検出結果に応じて、対環境調整値保持部68に記憶されている調整値に基づいて第1の画面RAMおよび第2の画面RAM65の画質調整設定値を調整すると共に、調整された画質調整設定値に対応する画質調整指示を、各画質調整回路に出力して処理を終了する。この処理によれば、周囲環境センサ17による検出結果に応じて、両画像(第1の画像および第2の画像)の調整が行えるので、各画像に対して影響を及ぼす周囲環境に対する画質の調整が自動的にまとめて行える。
なお、周囲環境の変化量を検出して画像調整を行ってもよい。また一方で、対環境調整値保持部68には、調整値として、環境に応じた画質調整設定値が記憶されてもよいし、環境の変化量に応じた調整量が記憶されてもよい。この場合、調整値は、予めメーカ側で記憶された固定値であってもよいし、前述の図32の(a)、(b)で説明したような処理で記憶された画質調整設定値であってもよい。さらに、各領域毎に、調整値が記憶されていてもよい。
なお、周囲環境センサ17が運転席側および助手席側の周囲環境を共通に検出するためのものである場合には、周囲環境センサによる検出結果に応じた全表示領域の同じ方向への画質調整、または同じ画質への調整が統合して行えるので、各画像に対して共通して影響を及ぼす周囲環境の変化に対する画質の調整が自動的にまとめて行え、運転席側および助手席側の周囲環境をそれぞれ別々に検出するように複数設けられている場合には、運転席側および助手席側の各座席で異なる影響を与える周囲環境の変化に応じて画質の調整が自動的に適切に行われるようになる。このような構成では、周囲環境の変化に応じて適切な画質を設定することができる。さらに、周囲環境の変化が急激に起こった場合でも、例えばトンネルや夜間環境等の周囲環境の顕著な変化に応じた各画像の画質調整を迅速に行うことができるようになる。
図34は、CPU7aの起動時の画像調整処理を説明するためのフローチャートである。本フローチャートは、マルチビュー表示装置の電源ON時(あるいは、シングルビュー表示からマルチビュー表示に切り替わったとき)に実行する。
まず、ステップS26aにおいて、起動時の初期設定等の処理を行い、ステップS26bに進む。ステップS26bでは、画質調整状態記憶部63(第1の画面RAM64および第1の画面RAM65)に後述する所定の画質調整設定値を書き込み、書き込まれた画質調整設定値に対応する画質調整指示を、対応する画質調整回路に出力して処理を終了する。本処理では、マルチビュー表示装置の電源ON時(あるいは、シングルビュー表示からマルチビュー表示に切り替わったとき)に各画像が所定の画質に設定されるので、画質調整のための手間を省くことが可能になる。
次に、前述の所定の画質調整設定値を説明する。所定の画質調整設定値としては、例えば、予めメーカが画質設定情報記憶部67(初期画質調整設定値記憶部)に予め記憶させている初期画質調整設定値、前述の図32の(a)、(b)で説明したような、ユーザが画質設定情報記憶部67(初期画質調整設定値記憶部)に記憶させた画質調整設定値のうちの所定条件に合致する画質調整設定値、マルチビュー表示装置の電源ON時(あるいは、シングルビュー表示からマルチビュー表示に切り替わったとき)の画質調整設定値(ラストメモリともよばれる)、後述するようなマルチビュー表示装置の電源OFF時(すなわち、マルチビュー表示装置の電源が切断されたとき)(あるいは、マルチビュー表示からシングルビュー表示に切り替わったとき)に画質設定情報記憶部67(初期画質調整設定値記憶部)に記憶された画質調整設定値のうちの所定条件に合致する画質調整設定値が挙げられる。
前述の所定の画質調整設定値が、予めメーカが画質設定情報記憶部67(初期画質調整設定値記憶部)に予め記憶させている初期画質調整設定値である場合には、画質設定情報記憶部67(初期画質調整設定値記憶部)に予め記憶させている初期画質調整設定値により第1および第2の画像の画質調整を行うようにしているので、各々の画像の画質の初期画質調整状態が自動的に選択され、画質調整のための操作の手間を省くことが可能になる。
また一方で、前述の所定の画質調整設定値が、マルチビュー表示装置の電源ON時(あるいは、シングルビュー表示からマルチビュー表示に切り替わったとき)の画質調整設定値である場合には、マルチビュー表示装置の電源ON時(あるいは、シングルビュー表示からマルチビュー表示に切り替わったとき)の画質調整状態記憶部63(第1の画面RAM64および第1の画面RAM65)の画質調整設定値を、一旦画質設定情報記憶部67(初期画質調整設定値記憶部)に記憶させ、起動時に記憶させておいた画質調整設定値を読み出し、第1の画面RAM64および第1の画面RAM65に書き込むようにしてもよいし、マルチビュー表示装置の電源OFF時(あるいは、マルチビュー表示からシングルビュー表示に切り替わったとき)の第1の画面RAM64および第1の画面RAM65に設定されている画質調整設定値が消去されないように保持し続けるような構成(この場合、前述の書込処理は不要になる)であってもよい。このような構成では、マルチビュー表示装置の電源OFF直前(あるいは、マルチビュー表示からシングルビュー表示に切り替わる直前)に使用されていた画質に設定されるので、継続して使用する可能性が高い画質の調整状態を選択することができるようになり、画質調整のための操作の手間を省くことが可能になる。
さらに、前述の所定の画質調整設定値が、前述の図32の(a)、(b)で説明したような、ユーザが画質設定情報記憶部67(初期画質調整設定値記憶部)に記憶させた画質調整設定値のうちの所定条件に合致する画質調整設定値や、後述するようなマルチビュー表示装置の電源OFF時(あるいは、マルチビュー表示からシングルビュー表示に切り替わったとき)に画質設定情報記憶部67(初期画質調整設定値記憶部)に記憶された画質調整設定値のうちの所定条件に合致する画質調整設定値である場合には、マルチビュー表示装置の電源ON時(あるいは、シングルビュー表示からマルチビュー表示に切り替わったとき)に周囲環境、頻度、ラストソース等の少なくとも1つを条件に使用する可能性が高い画質調整設定値が設定されるので、使用の可能性が高い画質の調整状態を選択することができるようになる。
図35は、マルチビュー表示装置の電源OFF時(イグニッションオフ時)(あるいは、マルチビュー表示からシングルビュー表示に切り替わったとき)の画質調整設定値の記憶処理を説明するためのフローチャートである。
本フローチャートは、CPU7aが入力部26等からのマルチビュー表示装置の電源OFF指示(イグニッションオフ指示)(あるいは、マルチビュー表示→シングルビュー表示切替指示)を検出したときに実行する。つまり、ユーザ(利用者)が、表示装置の電源OFF、イグニッションオフやマルチビュー表示→シングルビュー表示に切り替わったときに上記処理が実行される。なお、本フローチャートは、図32の(a)、(b)とは処理が実行されるタイミングが異なるだけである。
ステップS27aでは、表示装置の電源OFF(イグニッションオフ)(あるいは、マルチビュー表示→シングルビュー表示に切り替わったとき)の時点の画質調整設定値を画質設定情報記憶部67および対環境調整値保持部68に記憶し、処理を終了する。なお、画質調整設定値の記憶方法に関していえば、前述の図32の(b)に示すような形態で記憶される。図32の(b)の場合と同様に、画質調整設定値と他の項目の少なくとも1つとが対になって記憶されればよい。このような構成では、周囲環境等に応じてユーザが調整した(満足している)画質調整設定値が記憶されているため、記憶された画質調整設定値を前述の図33および図34の処理に適用することにより、次回からの画質調整がより適切に行われることになる。
前述の図22〜図35に示す処理は、適宜組み合わせて使用することが可能であることはいうまでもない。
なお、前述の図19のマルチビュー表示装置のCPU7aにより、前述のようにプログラム記憶部69に格納されているプログラムを読み出し、またはCPU7aに内蔵のROMやRAM等に格納されているプログラムを用いて、前述の画像表示処理および画質調整処理を実行させることが可能である。
より具体的にいえば、前述の図19のプログラム記憶部69またはCPU7aに内蔵のROMやRAM等に格納されているプログラムは、第1の方向から観察できる第1の表示領域に表示される画像(第1の画像)と、第2の方向から観察できる第2の表示領域に表示される画像(第2の画像)とを同時に表示することが可能な表示装置において、第1の画像の画質の調整を行う第1の画質調整処理と、第2の画像の画質の調整を行う第2の画質調整処理とを含む。
好ましくは、前述の図19のプログラム記憶部69またはCPU7aに内蔵のROMやRAM等に格納されているプログラムは、同表示装置において、第1の表示領域に表示される画像(第1の画像)に対する画質調整操作に対して、第1の画像の画質の調整値を記憶する第1画質調整値記憶部の調整値を書き替える処理と、第2の表示領域に表示される画像(第2の画像)に対する画質調整操作に対して、第2の画像の画質の調整値を記憶する第2画質調整値記憶部の調整値を書き替える処理と、第1画質調整値記憶部の調整値に基づき第1の画像の画質を調整する処理と、第2画質調整値記憶部の調整値に基づき第2の画像の画質を調整する処理とを含む。
なお、前述の図19の実施形態では、マルチビュー表示を行わせるために、1層構成または2層構成の複数の透光性スリット部を有する光学系分離素子を用いた場合について説明したが、この例に限らず、光学系分離素子の代わりに液晶表示パネルのような液晶層を有し、この液晶層に印加される電界の強さに応じて複数の垂直なスリットが形成されるスリット形成部を用いてもよい(例えば、後述の図36および図37を参照のこと)。この場合、マルチビュー表示の場合には、複数の垂直なスリットを出現させ、各方向で同じ画像を見ることができるシングルビュー表示の場合には複数の垂直なスリットを消すようにすればよい。
図36は、本発明の第4の実施形態に係るマルチビュー表示装置の概略構成を示すブロック図であり、図37は、図36の表示部の断面形状を概略的に示す図である。
ここでは、前述の図19の実施形態の場合と同様に、個々に画質の調整がなされた画像ソースからの2種類の画像データをVRAM73に書き込むことにより、互いに独立した2種類の画像を同一のマルチビュー表示パネル11aの画面に同時に表示するような車載用のマルチビュー表示装置の構成を簡略化して示す。
図36の第4の実施形態に係るマルチビュー表示装置においては、前述の図19の第3の実施形態の場合と同様に、車両の運転席および助手席に対してマルチビュー表示を行わせるための表示部10aが設けられている。図36の表示部10aでは、前述の図19の第3の実施形態の場合と異なり、液晶表示パネル11aの表面側に、光学系分離素子13aの代わりに液晶シャッタ14aが形成されている。具体的には、図36の表示部10aは、液晶表示パネル11aの表面側に液晶シャッタ14aが設けられてマルチビュー表示パネル20が形成され、さらにその前面にタッチパネル12aが形成された構造となっている。図36のマルチビュー表示装置のその他の構成は、前述の図19の第3の実施形態の構成と同じである。したがって、ここでは、図36および図37の表示部10a以外の構成要素に関する詳細な説明を省略する。
図37に示すように、タッチパネル12aは、前述の図19のタッチパネルと同様に、可撓性を有する一対の透明絶縁基板120a、128a、上記一対の透明絶縁基板上に形成された透明電極122a、126a、および上記透明電極上にマトリックス状に配置されたドットスペーサ124a等から構成される。
図37の液晶表示パネル11aは、前述の図19のマルチビュー表示パネルと同様に、液晶表示パネルにより構成されており、縦方向に複数の帯状部の表示領域に分割され、運転席から観察される第1の画像が表示される第1の表示領域110aと、助手席から観察される第2の画像が表示される第2の表示領域112aとが交互に形成されている。前述のように、液晶表示パネル11aの表面側に液晶シャッタ14aが配置されてマルチビュー表示パネル20が形成される。そして、液晶表示パネル11aの表示素子は、表示パネル駆動回路74により駆動制御される。
液晶シャッタ14aは、運転席から観察される第1の画像と、助手席から観察される第2の画像とを所定の視野角で分離してマルチビュー表示を行わせる機能を有している。より詳しくいえば、液晶シャッタ14aは、2枚の透明ガラス基板141、145と、これらの透明ガラス基板141、145間に封入された液晶143と、透明ガラス基板141の下面側および透明ガラス基板145の上面側に配置された偏光板140、146とを有する。
透明ガラス基板141の液晶143側の面には、ITO(Indium-Tin Oxide:インジウム酸化錫)等からなる透明電極142が形成されている。また一方で、透明ガラス基板145の液晶143側の透明電極142と対向する面には、ITO等からなる透明電極144が形成されている。これらの相対向する透明電極142、144と、これらの透明電極142、144間の液晶143とにより、液晶シャッタ14aの主要部が構成される。
透明電極142、144は、CPU7a(図28参照)に接続されており、このCPU7aから、液晶シャッタ14aを駆動するための駆動信号が供給される。このような構成の液晶シャッタ14aにおいて、一方の透明電極142と他方の透明電極144との間に、上記駆動信号による電圧が印加されていない状態では、液晶表示パネル11aを通過した光は、例えばクロスニコルの状態に配置されている2枚の偏光板を通過して運転席および助手席の両方に到達する。
また一方で、一方の透明電極142と他方の透明電極144との間に所定の電圧が印加された場合、一方の透明電極142と他方の透明電極144との間の液晶143の向きが変化し、これらの透明電極142、144間の領域では、光が遮断される。この結果、運転席を含む第1視野領域内の第1の乗員(例えば、運転者)171は、液晶シャッタ14aの作用によって、第1の表示領域110aの集合体としての画像のみを運転席用の第1の画像として視認することができ、助手席を含む第2視野領域内の第2の乗員(例えば、助手席の乗員)172は、液晶シャッタ14aの作用によって、第2の表示領域112aの集合体としての画像のみを助手席用の第2の画像として視認することができる。このように実際は、1つの画面を縦方向に複数分割した1つおきの画像を視認することとなるが、1つの表示領域の幅を非常に狭くすることによって、運転席側からも、助手席側からも別々の画像をそれぞれ同時に視認することが可能になる。
この構成の場合、第1の画質調整回路61および第2の画質調整回路62(いずれも図36参照)は、一方の透明電極142と他方の透明電極144との間に印加される電圧の大きさを変化させて液晶シャッタ14aの透過率を制御することにより、第1の画像および第2の画像の各々の画質の補正処理(第1の画像および第2の画像の同じ方向への画質調整や、第1の画像および第2の画像が同画質の場合の画質調整等)を行うことも可能である。