JP2007030501A - ポリイミド複合フィルム及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ポリイミドフィルムの少なくとも片面の動摩擦係数を下げ、耐久性が高く、製造コストの低いポリイミド複合フィルム及びその製造方法を提供する。
【解決手段】ポリイミドとフッ素樹脂粒子とを含む混合物が成形され加熱硬化されたポリイミド複合フィルム(21)であって、複合フィルム(21)の表層近傍に存在する少なくとも一部のフッ素樹脂粒子(25)が、複合フィルム(21)の片面または両面に溶融流動して析出し、部分的又は全面にフッ素樹脂被膜(23)を形成している。この複合フィルム(21)は、ポリイミド前駆体溶液にフッ素樹脂粒子(22)を添加した混合溶液を金属板(28)等に所定の厚みにキャスティング成形し、加熱してイミド化し、イミド化の最高温度をフッ素樹脂の融点を越える温度とすることにより製造できる。
【選択図】 図4

Description

本発明は、ポリイミド樹脂とフッ素樹脂粒子とを含む単体層のポリイミド複合フィルムに関するものである。詳しくは高い耐熱性と寸法安定性を有し、かつ、低い摩擦係数及び離型性を兼ね備えたポリイミド樹脂とフッ素樹脂を主成分とするポリイミド複合フィルム及びその製造方法に関するものである。
ポリイミド樹脂は耐熱性、寸法安定性、機械的特性、電気的特性など優れた特性を有し、電子・電気機器あるいは航空・宇宙産業などの幅広い分野で使用されている。特にプラスチックの中でも最高の耐熱性を有する強靭なポリイミド樹脂と、同じく耐熱性が高く化学的、電気的に優れている上に離型性を併せ持つフッ素樹脂は、さまざまな組み合せや構成で複合化され、OA機器や医療機器あるいは絶縁材料などの用途で市場が拡大している。
このようにそれぞれ優れた特性を有するポリイミド樹脂とフッ素樹脂との複合化は、ポリイミドフィルムの表面にプライマーを塗布し、プライマー層を介してフッ素樹脂ディスパージョンをコーティングし焼成して積層化する方法(特許文献1、特許文献2)、あるいはポリイミドフィルムとフッ素樹脂フィルム表面をコロナ放電処理後、両フィルムを熱的にラミネートする方法が一般的である。しかし、これら従来の製造方法は、ポリイミド前駆体の作製から完成品の積層フィルムを得るまでの製造工程が長くて煩雑であり、しかもこれらの製法で得られた積層フィルムはいずれもフィルムが丸まってカールしたり、湾曲や反りが発生したりして、取り扱いが難しいという問題が指摘されている。また、いず
れも積層体であるため、ポリイミドフィルム層とフッ素樹脂層の剥離強度が小さく、十分な耐久性が得られないという問題もある。
特開平10−138264号公報 特開2000−211081号公報
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、ポリイミドとフッ素樹脂両材料の優れた特性を併せ持ち、かつ、カールや湾曲や反りの発生がなく、さらにポリイミド層とフッ素樹脂層間で剥離しないポリイミド複合フィルムとその製造方法を提供する
本発明のポリイミド複合フィルムは、ポリイミドとフッ素樹脂粒子とを含む混合物が成形され加熱硬化されたフィルムであって、前記フィルムの表層近傍に存在する少なくとも一部のフッ素樹脂粒子が、前記フィルムの片面または両面に溶融流動して析出し、部分的又は全面にフッ素樹脂被膜を形成していることを特徴とする。
本発明のポリイミド複合フィルムの製造方法は、ポリイミド前駆体溶液とフッ素樹脂粒子との混合溶液を所定の厚みにキャスティング成形し、加熱してイミド化し、フィルム成形したポリイミド複合フィルムの製造方法であって、前記イミド化の最高温度をフッ素樹脂の融点を越える温度とし、前記フィルムの表層近傍に存在する少なくとも一部のフッ素樹脂粒子を、前記フィルムの片面又は両面に溶融流動して析出させ、部分的又は全面にフッ素樹脂被膜を形成させることを特徴とする。
本発明は、ポリイミド複合フィルムの表層近傍に存在する少なくとも一部のフッ素樹脂粒子が、フィルムの片面又は両面に溶融して析出し、この溶融析出したフッ素樹脂はポリイミドと一体化し、かつ、前記フィルム表面で流動した被膜を形成しているのでフィルム表面の動摩擦係数が低く、水に対する接触角が大きく、優れた離型性を有し、ポリイミドとフッ素樹脂が持つ特性を兼ね備えた複合フィルムを提供できる。
さらに、本発明の製造方法はポリイミド前駆体溶液にフッ素樹脂粒子を混合し分散した溶液を、金属ベルト表面に流延し所定の厚みにキャスティング成形し、加熱してイミド化し、前記イミド化の最高温度をフッ素樹脂の融点を越える温度とすることにより、ポリイミドフィルムの表層近傍に存在するフッ素樹脂粒子を、ポリイミドフィルムの少なくとも片面に溶融して析出させることができる。
本発明のポリイミド複合フィルムは単体層であるため、ポリイミドとフッ素樹脂が剥離することがなく、またフィルムのカールや湾曲や反りが発生し難く、取扱いや加工性を著しく向上させることができる。またポリイミド前駆体溶液に混合するフッ素樹脂粉末の添加量を調整することによって、ポリイミド複合フィルムの低誘電率化を図ることができる。本発明のポリイミド複合フィルムは、耐熱性摺動材料や離型性フィルム、あるいは積層してプリント基板材料や、さらにテープ状にスリットして銅線の回りにラッピングすることにより電線の被覆材料として用いることができる。
本発明のポリイミド複合フィルムの基本的成分は、ポリイミドとフッ素樹脂粒子である。ポリイミドとフッ素樹脂粒子との相溶性はなく、ポリイミドフィルムの片面または両面にフッ素樹脂が溶融析出し、かつ前記溶融析出面はその表面で流動した被膜を形成している。
そして、金属ベルトなどの表面にキャスティング成形されたフッ素樹脂粒子を含むポリイミド前駆体溶液を加熱してイミド化させる際に、イミド化の最高温度をフッ素樹脂の融点を越える温度とする。これにより、フッ素樹脂粒子がポリイミドの少なくとも片面に溶融析出し、これにより低い動摩擦係数と、高い離型性を有するポリイミド複合フィルムを得ることができる。
前記フッ素樹脂被膜面は、フッ素樹脂粒子に起因する粒状模様を有していることが好ましい。これはフッ素樹脂粒子がポリイミドフィルムの表面に析出し、その形状は表面が細かな泡の状態として観察される。
前記フッ素樹脂粒子は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体(PETFE)から選ばれる少なくとも一つのフッ素樹脂であることが好ましい。
ポリイミド複合フィルムの表面に析出したフッ素樹脂を熱的に流動させ、フッ素樹脂被膜を形成させるためにはPFAやFEPのような熱可塑性フッ素樹脂が好ましい。これらのフッ素樹脂は融点以上の温度で流動し、ポリイミドフィルム両面に被膜状のフッ素樹脂として形成することができる。
またPTFE樹脂のように融点以上の温度に加熱しても溶融粘度が高く流動し難いフッ素樹脂を混合した場合、フィルム表面の構造はポリイミドが海状、フッ素樹脂粒子が島状で存在するいわゆる海島構造である。このような海島構造は、フッ素樹脂材料の持つ低い摩擦特性と微細な凹凸形状を有するため、摺動抵抗が低く、好ましい構造である。
本発明で使用するポリイミドは熱硬化性樹脂であり、ポリイミド前駆体溶液とフッ素樹脂の混合溶液を所定の厚みにキャスティング成形し、乾燥及び加熱してイミド化を完結させ、ポリイミド複合フィルムの少なくとも片面にフッ素樹脂が析出したポリイミド複合フィルムを作製することができる。前記において「所定の厚み」とは、最終的に得られるポリイミドフィルムの厚さによって定まるが、前記キャスティングフィルムを乾燥及び加熱してイミド化を完結させるまでの間に収縮する分を加味して決めることができる。
本発明のポリイミド複合フィルムは、平板シート状フィルム若しくはテープ又はこれらの巻き取り体であることが好ましい。また、本発明のポリイミド複合フィルムの好ましい厚みは、10μm以上1mm以下の範囲である。
前記方法で作製したポリイミドフィルムは、加熱イミド化工程でその被膜が空気に接している面にフッ素樹脂が溶融析出し易い。すなわち、フッ素樹脂粉末はポリイミド前駆体溶液中では混合され分散した状態で存在する。しかし加熱しイミド化を進行させる過程でフッ素樹脂の融点を超える温度まで加熱処理することにより、溶融したフッ素樹脂がポリイミドフィルムの厚み方向で、空気に接している最外層に向かって移動していくことが考えられる。
フッ素樹脂粒子がポリイミド複合フィルムの中で移動していく現象の詳細なメカニズムは不明であるが、本発明者らは数多くの実験と研究を継続した結果、前記のポリイミド前駆体溶液とフッ素樹脂の混合溶液をガラス板上に流延し、キャスティング成形し、乾燥及び加熱してイミド化を完結させポリイミド複合フィルムを作製する過程において、前記フィルムがガラスに密着している面にもフッ素樹脂が溶融析出することを見出し、確認実験を行った。
その結果、空気層に全く接していなく、ガラスに密着しているフィルム表面にもフッ素樹脂を析出させることができることを見出した。またフィルムの両面にフッ素樹脂が析出する現象は、フッ素樹脂の種類やイミド化工程の温度の違いによって異なることを見出した。
すなわち、フッ素樹脂が析出する現象は、フッ素樹脂の融点とポリイミド前駆体のイミド化温度の影響を受ける。詳細な実験結果では、芳香族テトラカルボン酸二無水物としてビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)と、芳香族ジアミンとしてパラフェニレンジアミン(PPD)を用いた剛直なポリイミドにフッ素樹脂を混合した場合、イミド化の最高温度がフッ素樹脂の融点未満では、フッ素樹脂はポリイミド複合フィルムのいずれの面にも顕著に現れないが、フッ素樹脂の融点以上まで温度を上げるとフィルムの両面にフッ素樹脂が溶融して析出し、低い摩擦抵抗を有する複合フィルムを得ることができた。
また、芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンからなるポリイミド前駆体溶液をイミド化して得られるポリイミド樹脂において、フッ素樹脂を溶融析出させるための要素として熱収縮率の大きいポリイミド樹脂が適していることを見出した。すなわち、ポリイミド前駆体溶液をガラス板上にキャスティング成形し乾燥後、300℃まで加熱しイミド化を進行させその後、冷却しポリイミドフィルムをガラス板より剥がし、再び常温からフッ素樹脂の融点以上の温度、例えば400℃まで加熱した時、300℃〜400℃の温度範囲での熱収縮率が大きいポリイミドがフッ素樹脂を溶融析出させやすいことを見出した。
詳細なテストの結果では、芳香族テトラカルボン酸二無水物成分としてBPDAと、芳香族ジアミン成分としてPPDを用い作製したポリイミドフィルムの熱収縮率は0.9%であり、またピロメリット酸二無水物(PMDA)と4,4'−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)から作製したポリイミドフィルムの熱収縮率は0.09%であった。両材料を比較するとBPDAとPPDから得られたポリイミド樹脂がフッ素樹脂を溶融析出させるためには適した材料である結果が得られた。すなわち本発明においてポリイミド樹脂からフッ素樹脂を溶融析出させるためには、300℃〜400℃における熱収縮率が大きいポリイミド樹脂を選定することが好ましい。
前記熱収縮率の詳細なテスト方法を以下に説明する。熱収縮率の測定は島津製作所社製"TMA−50"を用いた。ポリイミドフィルムはポリイミド前駆体溶液をガラス板上にイミド化完結時の厚みが50μmになるよう流延し150℃の温度で40分乾燥後、200℃で40分、さらに250℃で20分、300℃で20分加熱しポリイミドフィルムを作製した。
このフィルムを長さ10mm、幅3.5mmの短冊状に切断しその片方に2.0gの荷重をかけ"TMA−50"に装着した。熱収縮の状態は室温から400℃まで10℃/分の昇温速度で加熱し300℃から400℃における熱収縮率を算出した。
次にPTFE(融点:327℃)よりも融点の低いFEP(融点:260℃)をポリイミド前駆体溶液に混合し実験した結果では、イミド化の最高温度が300℃でフィルム両面にフッ素樹脂(FEP)が析出し、且つ、その表面は熱流動した被膜を形成し低い摩擦抵抗を有するポリイミド複合フィルムを得ることができた。
このように本発明においてポリイミド複合フィルムの両面にフッ素樹脂を析出させるにはフッ素樹脂やポリイミド樹脂の種類、およびイミド化温度などを所定の条件に設定することによりポリイミド複合フィルムの両面にフッ素樹脂を析出させることが可能になった。
本発明のポリイミド複合フィルムは単体層でもよいし、必要に応じて、多層に成形してもよい。またポリイミドやフッ素樹脂の種類、あるいはフッ素樹脂の混合量を変え、特性の異なる構成のフィルムを多層にすることもできる。
さらにフッ素樹脂を混合したポリイミド前駆体を用いキャスティング成形した後、イミド反応時の温度を制御し、ポリイミド複合フィルムの片面のみにフッ素樹脂を溶融析出させることもできる。片面にフッ素樹脂を析出させた複合フィルムは、その裏面に粘着剤を塗布したり、あるいはポリイミド複合フィルムを他の物体と接着したりする場合に、フッ素樹脂が析出していない面を有するため、粘着力や接着力を向上できるので、好ましい。
また、フッ素樹脂粒子を混合したポリイミド前駆体溶液には窒化ホウ素、チタン酸カリウム、マイカ、酸化チタン、タルク、炭酸カルシウム、窒化アルミニウム、アルミナ、炭化珪素、珪素、窒化珪素、シリカ、グラファイト、カーボンファイバー、金属粉末、酸化ベリリウム、マグネシウム、炭化タングステン、酸化マグネシウム等の熱伝導性あるいは導電性フィラー等を添加できる。
あらかじめ導電性材料や、帯電防止剤を混合分散することによって静電気の発生を抑制できポリイミド複合フィルムに塵埃の付着や、静電気によるスパークなどの現象を抑えることができ、またフィルムやテープ状での取扱い、梱包作業などが容易にできるので、好ましい。
また、窒化ホウ素、金属粉末、窒化アルミニウム、アルミナ、グラファイト等のフィラーを添加することによって複合フィルムの熱伝導性が改善でき離型性、摺動性、及び熱伝導性を兼ね備えるポリイミド複合フィルムとして電子写真装置の部材などに好適に用いることができる。
次に本発明の実施の形態について説明する。本発明において前記フッ素樹脂はPTFE,PFA,FEP,CPTFE等のフッ素樹脂を単体で、あるいは混合して使用することができる。PTFE、PFA、FEPは耐熱性、離型性に優れ本発明で使用できる好ましい材料である。
また前記フッ素樹脂の混合率(添加率)は、ポリイミド前駆体溶液の固形分に対して5〜50重量%に設定することが好ましい。より好ましくは10〜40重量%であり、特に好ましくは20重量%以上、40重量%以下である。最終的に得られるポリイミドフィルムを基準にしてもこの比率は変わらない。
フッ素樹脂の含有量が5重量%未満であると、溶融析出するフッ素樹脂が少なく、ポリイミドフィルム表面の離型性の向上や低摩擦抵抗化の効果が少なくなる。また50重量%を超えると機械強度が低くなり、フィルム表面の平滑性も損なわれ割れが生じやすくなる。
また、前記フッ素樹脂は、粉末状のものがポリイミド前駆体溶液に混合しやすく好ましい形態であり、平均粒径は0.1〜100μmの範囲が好ましい。より好ましい平均粒子径は、1.0〜50μmの範囲である。このような範囲内であると粒子の凝集が少なく、均一に分散できるからである。
なお、前記平均粒径が0.1μm未満であると粒子が二次凝集しやすく、100μmを超えるとポリイミド複合フィルムにフッ素樹脂粒子に起因する凹凸が生じやすいため、好ましくない。なお、上記フッ素樹脂粉末の平均粒径の測定はレーザ回析式粒度測定装置(ASLD−2100:島津製作所社製)やレーザ回析/散乱式粒度分布測定装置(LA−920:堀場製作所社製)で測定することが出来る。
前記のフッ素樹脂粒子の大きさを整えるため、ポリイミド前駆体溶液とフッ素樹脂粒子との混合溶液をキャスティング成形する前に、フィルターで濾過し、フッ素樹脂粒子の粗大粒子を除去することが好ましい。
また、本発明のポリイミド複合フィルムは、ポリイミドを主成分とするフィルムであり、フッ素樹脂とポリイミド前駆体溶液を混合し、金属ベルト上にキャスティング成形後、加熱イミド化したものである。前記ポリイミド前駆体溶液は、芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンとの略等モルを有機極性溶媒中で反応させて得ることができる。
前記、芳香族テトラカルボン酸二無水物の代表例としては、3,3',4,4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、2,3,3',4−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,2'−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、ペリレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物等があげられる。
また、前記芳香族ジアミンの代表例としては、4,4'−ジアミノジフェニルエーテル、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、1,5−ジアミノナフタレン、3,3'−ジクロロベンジジン、3,3'−ジアミノジフェニルメタン、4,4'−ジアミノジフェニルメタン、3,3'−ジメチル−4,4'−ビフェニルジアミン、4,4'−ジアミノジフェニルスルフィド−3,3'−ジアミノジフェニルスルホン、ベンジジン、3,3'−ジメチルベンジジン、4,4'−ジアミノフェニルスルホン、4,4'−ジアミノジフェニルプロパン、m−キシリレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジアミノプロピルテトラメチレン、3−メチルヘプタメチレンジアミン、等があげられる。
これら芳香族テトラカルボン酸二無水物及び芳香族ジアミンは、単独であるいは混合して使用することができる。またポリイミド前駆体溶液として完成させた後、それらの前駆体溶液を混合して使用することもできる。
前記芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンの組み合わせの中では、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物とパラフェニレンジアミンの組み合わせが好ましい。この前駆体から得られたポリイミドはポリマーの構造がリジッドであり、フッ素樹脂の溶融温度領域でポリイミドフィルム表面にフッ素樹脂を析出させやすく最も好ましい材料である。
前記芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンを反応させる有機極性溶媒としてはN−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホルトリアミド、ピリジン、ジメチルテトラメチレンスルホン、テトラメチレンスルホン、炭酸エチレン、炭酸ピロピレン等があげられる。これらの有機極性溶媒はフェノール、キシレン、ヘキサン、トルエン等を混合することもできる。
ポリイミド前駆体溶液は芳香族テトラカルボン酸二無水物と、芳香族ジアミンとを有機極性溶媒中で通常は90℃以下で反応させることによって得られ、溶媒中の固形分濃度は最終のポリイミド複合フィルムの仕様や加工条件によって設定することができるが10〜30質量%である。
また、有機極性溶媒中で芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンとを反応させるとその重合状況によって溶液の粘度が上昇するが、使用に際しては所定の粘度に希釈して使用することができる。製造条件や作業条件によって通常1〜5000ポイズの粘度で使用される。
本発明の製造方法において、ポリイミド複合フィルムの少なくとも片面にフッ素樹脂層を析出させるためには、フッ素樹脂の融点を越える温度に加熱する必要がある。従って、イミド化の最高温度を、混合したフッ素樹脂の融点よりも10℃以上高い温度にして、イミド化を完成させることが好ましい。
また、前記ポリイミド複合フィルムの両面にフッ素樹脂を析出させるために必要な加熱時間は、イミド化の最高温度がフッ素樹脂の融点を越える温度に到達してから30分以内の時間であることが好ましい。30分以上の加熱時間になるとフッ素樹脂の熱分解や、ポリイミドの機械的特性が低下するおそれがあるからである。
本発明のポリイミド複合フィルムは、例えば、のような方法で作製することができる。ステンレスなどの金属ベルトの表面に所定の厚みでフッ素樹脂混合ポリイミド前駆体溶液を流延し、キャスティング成形し、加熱装置に導き100〜150℃の比較的低い温度で重合溶媒を乾燥させ、その後さらに段階的に加熱してイミド化反応を進め、最終的にはフッ素樹脂の融点を越える温度で所定時間加熱してイミド化を完成させ、ポリイミド複合フィルムを得ることができる。また150〜200℃の温度で加熱処理した後、金属ベルト表面からポリイミドフィルムを分離し、フィルムの幅方向両端部をテンターなどで固定し最終のイミド化処理を行うこともできる。この製法ではイミド化加工中のポリイミドフィルムは、フッ素樹脂を析出させるための温度(フッ素樹脂の融点以上の温度)雰囲気では、フィルムが金属ベルトと接していなく加熱装置内の空気に接しているためフィルムの両面にフッ素樹脂が析出しやすく好ましい製法である。
本発明の一実施例においてポリイミド前駆体溶液にフッ素樹脂粉末を混合し、キャスト成形し、ポリイミドのイミド化温度が300℃のときのポリイミド複合フィルム10の概略拡大断面図を図1に示す。この段階まではポリイミドフィルム層11の内部のフッ素樹脂粉末12はフィルム中に分散された状態であり、表層面はほとんどポリイミド層で覆われている。この段階では水の接触角も低い。図中15は金属ベルトである。
次に、イミド化温度を400℃にすると図2に示すようにフッ素樹脂粉末は溶融し、ポリイミド表面から染み出すようにポリイミド表面層に析出する。13は空気と接している面に溶融して染み出したフッ素樹脂である。14は金属ベルトに接している面に溶融して析出したフッ素樹脂である。この状態になると水との接触角は高くなる。フッ素樹脂はポリイミドとの関係においては、非相溶で海島構造(海がポリイミド、島がフッ素樹脂)であり、かつ溶融したフッ素樹脂はポリイミド表面から部分的に析出している。
図3はポリイミド前駆体溶液に熱可塑性フッ素樹脂のFEP(融点260℃)粒子のみを単独で混合し、キャスティング成形しイミド化温度を350℃にしたときのポリイミド複合フィルムの概略拡大断面図である。ポリイミドフィルム層21の内部にFEP粉末22が分散されており、外表層面にFEPが溶融流動して析出し、部分的又は全面にフッ素樹脂被膜23を形成している。30は金属ベルト面に溶融析出したFEP粒子である。28は金属ベルトである。
図4はポリイミド前駆体溶液にPTFE(融点327℃)粒子とFEP(融点260℃)粒子を50:50の割合で混合し、キャスティング成形しイミド化温度を400℃にしたときのポリイミド複合フィルムの概略拡大断面図である。ポリイミドフィルム層21の内部にFEP粉末22とPTFE粉末24が分散されており、表層面にFEPとPTFEが溶融流動して析出し、部分的又は全面にフッ素樹脂被膜(23,25、29,30)を形成している。28は金属ベルトである。
本発明のポリイミド複合フィルムはカールしたり湾曲や反りの発生がほとんどなく複合フィルムの製造時、あるいは完成品をテープ状にスリットしたり、フィルムの梱包作業などにおいても取扱いや作業性の向上がはかれる。カールや湾曲の状態は完成品フィルムを200mm×300mmに切断したシートを平面状に静置した場合、切断した端部がカールして重なり合わない状態であればフィルムの取扱上支障をきたすことがなく好ましい。
以下、実施例に基づき本発明を更に詳細に説明する。なお、実施例及び比較例において、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物は「BPDA」と略記し、パラフェニレンジアミンは「PPD」と略記し、ピロメリット酸二無水物は「PMDA」と略記し、4,4'−ジアミノジフェニルエーテルは「ODA」とN−メチル−2−ピロリドンは「NMP」と略記する。
また、本発明で得られたポリイミド複合フィルムの動摩擦係数、及び純水に対する接触角は下記の方法で測定した。
(1)動摩擦係数の測定方法(図7に示す)
動摩擦係数の測定はJISK7125に準じて行った。水平なテーブル64の上に幅80mm長さ200mmの試験フィルム62を固定した。その上に前記試験フィルム62と同材質の試験フィルム61(幅63mm、長さ63mm、面積40cm2)を重ね、荷重200g(63mm×63mm、面積40cm2)の重り63を静置し重ね合わせた試験フィルム61を100mm/分の速度で水平に滑らせ、その荷重(動摩擦力)を測定し下記の式により動摩擦係数を計算した。65はワイヤ、66は滑車、67は引張試験機のロードセルでZの方向に巻き上げる。
動摩擦係数μD=FD/FP
D:動摩擦力(N)
P:すべり片の質量によって生じる方線力(=1.96N)
(2)接触角の測定
協和界面化学社製商品名"FACE CA−Z"測定器を用いて、23℃の純水に対する接触角を測定した。
(実施例1)
(1)フッ素樹脂混合ポリイミド前駆体溶液の製造
BPDA100重量部に対してPPD39重量部をフラスコ中でNMPに溶解(モノマー濃度18.2重量%)し、23℃の温度で6時間攪拌しながら反応させてポリイミド前駆体溶液を得た。このポリイミド前駆体溶液の回転粘度は1000ポイズであった。なお、回転粘度は温度23℃においてB型粘度計で測定した値である。次に、前記ポリイミド前駆体溶液に平均粒子径3.0μmのPTFE粉末(融点327℃:デュポン社製商品名“Zonyl MP1100”をポリイミド前駆体溶液中の固形分100重量部に対して26重量部の割合になるように添加して攪拌し、さらに平均粒子径35μmのFEP粉末(融点260℃:デュポン社製商品名“532−8110”をポリイミド前駆体溶液中の固形分100重量部に対して4重量部の割合になるように添加して攪拌し、均一に分散させた。その後250メッシュのステンレス金網を用いて粗い異物を濾過し、フッ素樹脂混合ポリイミド前駆体溶液を得た。
(2)ポリイミド複合フィルムの成形
前記フッ素樹脂混合ポリイミド前駆体溶液を(縦:500mm、横:300mm、厚み3mm)の鏡面のステンレス板上に500μmの厚みになるようキャスティング成形した。その後、120℃のオーブンに入れ60分間乾燥後、200℃の温度まで40分間で昇温させ、同温度で20分間保持し、最終イミド化処理として250℃の温度で10分間加熱した後、400℃の温度まで15分で昇温し、同温度で10分間加熱してイミド化を完了させ、室温(25℃)に冷却後、ステンレス板からポリイミド複合フィルムを取り外した。
得られた複合フィルムの厚みは55μmであり、このフィルムの両面の動摩擦係数の測定結果を表1に示す。またデジタルマイクロスコープ(キーエンス社製商品名“VHX−100”)でフィルム表面(空気に接している面)を撮影した拡大写真(1000倍)を図5に示す。外面の白く斑点状に見える部分がPTFE樹脂粒子であり、そのまわりに流動したような状態で析出している部分がFEP樹脂である。全体としてフッ素樹脂被膜面は、フッ素樹脂粒子に起因する粒状模様を有していることが確認できる。また、この複合フィルムの裏面(ステンレス板に接している面)の写真を図6に示す。黒く斑点状に見える部分はPTFE樹脂が析出ものであり、まわりの白く見える部分はFEP樹脂が溶融して流動している部分である。
(比較例1)
実施例1の条件でポリイミド前駆体溶液にフッ素樹脂粉末を混合しない以外は実施例1と同様の条件でポリイミド複合フィルムを作製した。この複合フィルムの両面の動摩擦係数、及び接触角の測定結果を表1に示す。
(実施例2)
実施例1で調合したBPDA/PPDからなるポリイミド前駆体溶液にフッ素樹脂粉末として平均粒子径35μmのFEP粉末(デュポン社製商品名“532−8110”のみをポリイミド前駆体溶液中の固形分100重量部に対して30重量部の割合になるように添加し混合しフッ素樹脂混合ポリイミド前駆体溶液を用意した。
その後実施例1と同様にステンレス板上にポリイミド前駆体溶液をキャスト成形し、乾燥および中間処理を実施し、最終イミド化処理として250℃の温度で10分加熱した後、300℃の温度まで5分で昇温させ350℃の温度で15分間加熱し、ポリイミド複合フィルムを得た。このポリイミド複合フィルムの動摩擦係数、及び接触角の測定結果を表1に示す。
(実施例3)
実施例1で調合したBPDA/PPDからなるポリイミド前駆体溶液にフッ素樹脂粉末として平均粒子径28μmのPFA樹脂粉末(三井デュポンフロロケミカル社製商品名“PFA MP102”)のみをポリイミド前駆体溶液中の固形分100重量部に対して32重量部の割合になるように添加し混合しフッ素樹脂混合ポリイミド前駆体溶液を用意した。
その後実施例1と同様にステンレス板上に前記弗素樹脂混合ポリイミド前駆体溶液をキャスティング成形し、実施例1と同様の条件でイミド化の最高温度を400℃で処理してポリイミド複合フィルムを得た。このフィルムの動摩擦係数、および接触角の測定結果を表1に示す。
(実施例4)
PMDA100重量部に対してODA75重量部をフラスコ中でNMPに溶解(モノマー濃度18.0重量%)し、23℃の温度で6時間攪拌しながら反応させてポリイミド前駆体溶液を得た。このポリイミド前駆体溶液の回転粘度は800ポイズであった。回転粘度は温度23℃においてB型粘度計で測定した値である。次に平均粒子径35μmのFEP粉末(融点260℃、デュポン社製商品名“532−8110”のみをポリイミド前駆体溶液中の固形分100重量部に対して35重量部の割合になるように添加し混合しフッ素樹脂混合ポリイミド前駆体溶液を用意した。
その後、実施例1と同様にステンレス板上にポリイミド前駆体溶液をキャスティング成形した。その後120℃のオーブンで60分間乾燥し、200℃まで15分間で昇温し、同温度で20分間加熱し、最終イミド化処理として250℃の温度で10分加熱した後、380℃の温度まで10分で昇温させ380℃の温度で15分間加熱し、ポリイミド複合フィルムを得た。このフィルムの動摩擦係数、および接触角の測定結果を表1に示す。
(比較例2)
実施例1の条件で最終のイミド化温度を250℃に変更した以外は実施例1と同様の条件でポリイミド複合フィルムを得た。このフィルムの動摩擦係数、および接触角の測定結果を表1に示す。
(実施例5)
実施例1で重合したBPDA/PPDよりなるポリイミド前駆体溶液に平均粒子径3.0μmのPTFE粉末(融点327℃:デュポン社製商品名“Zonyl MP1100”をポリイミド前駆体溶液中の固形分100重量部に対して30重量部の割合になるように添加して攪拌し均一に分散させた。その後250メッシュのステンレス金網を用いて粗い異物を濾過し、PTFE粉末混合ポリイミド前駆体溶液を用意した。
その後前記PTFE粉末混合ポリイミド前駆体溶液にさらに、酸性カーボンブラック(三菱化学(株)製、商品名「MA78」、DBP吸収量:70cm3、比表面積100m2/g当りの揮発分:2.6重量%)をポリイミド樹脂100重量部に対して17重量部、添加しポリイミド前駆体溶液中に、PTFE粉末,及びカーボンブラックの3成分を混合分散させたポリイミド前駆体溶液を作製した。
その後、前記PTFE粉末、カーボンブラック混合ポリイミド前駆体溶液をステンレス板上に400μmの厚みでキャスティング成形した。その後オーブンに入れ120℃で60分間乾燥後、200℃の温度まで40分間で昇温させ同温度で20分間保持した。次いで300℃まで20分間で昇温させ30分間保持し、さらに350℃まで15分間で昇温し、同温度で20分間加熱しイミド化を完了させた後、オーブンから取出し冷却してPTFE粉末、カーボンブラックが混合されたポリイミド複合フィルムを得た。
このポリイミド複合フィルムの厚みは39μmであり、印加電圧500vにおける体積抵抗率は1.1×108Ωcmであった。また前駆体溶液に混合した前記PTFE樹脂は複合フィルムの両面に溶融析出していたが、動摩擦係数のデータではステンレス板面に接触している面よりも外面(空気に接している面)に多く析出している結果が得られた。このポリイミド複合フィルムの動摩擦係数、及び接触角の測定結果を表1に示す。このポリイミド複合フィルムは静電気の発生が少なくフィルムの取扱いが容易であった。なお体積抵抗率は、JIS C2151の方法に従って、アドバンテスト社製のデジタル超高抵抗/微少電流計R8340/R8340Aを使用し、印加時間30秒で測定した。
(比較例3)
厚み20μmで幅200mmのポリイミドフィルム(ユーピレックス宇部興産(株)製)を用意し、プライマー(デュポン社製商品名“855−300”)を厚み6μmにコーティングし150℃の温度で約10分間乾燥した後、プライマー層の表面にフッ素樹脂ディスパージョン(デュポン社製商品名“855−510”)を焼成後の厚みが10μmになるようにロールコーターでコーティングし、370℃で焼成しポリイミドフィルムの片面にフッ素樹脂をコーティングした積層フィルムを20mの長さで作製した。このフィルムの動摩擦係数、及び接触角の測定結果を表1に示す。この積層フィルムを200mm×300mm切断したところ前記フィルムはフッ素樹脂コーティング面を内側にして直径10mmくらいの円筒状に丸まり、取扱いが難しく該積層フィルムの二次加工に支障をきたした。
Figure 2007030501
表1から明らかなとおり、本発明のポリイミド複合フィルムは動摩擦係数が低く、接触角の高い複合フィルムが得られた。また、電子顕微鏡写真による観察結果からポリイミド複合フィルムの表面にフッ素樹脂が析出していることが確認できた。これらのポリイミド複合フィルムはカールや湾曲や反りがほとんど無く、取り扱いも容易でありポリイミド樹脂の耐熱性とフッ素樹脂の離型性を兼ね備えたポリイミド複合フィルムを得ることができた。
[産業上の利用分野]
本発明のポリイミド複合フィルムは、テープ状やシート状でOA機器定着装置の耐熱性と離型性、低摺動性を必要とする部材、あるいはフッ素樹脂が溶融析出していない面に粘着剤処理した粘着性テープ、剥離フィルム、保護フィルム、電線被覆テープ、本発明のポリイミド複合フィルムを多層に積層しプリント基板材料などに適用できる。
本発明の一実施例におけるイミド化完結前の複合フィルムの概略断面図。 本発明の一実施例におけるイミド化完結後の複合フィルムの概略断面図。 本発明の一実施例におけるFEP添加の場合の被膜形成を示す概略断面図。 本発明の一実施例におけるFEPとPTFE混合添加の場合の被膜形成を示す概略断面図。 本発明の実施例1における複合フィルムの外表面(空気に接している面)の顕微鏡写真。 本発明の実施例1における複合フィルムの内表面(金属ベルトに接している面)の顕微鏡写真。 本発明の一実施例で用いた動摩擦係数の測定装置を示す概略断面図。
符号の説明
10 ポリイミド複合フィルム
11,21 ポリイミドフィルム層
12,24 PTFE樹脂粒子
13,25 空気層表面側に溶融析出したPTFE樹脂
14,29 金属ベルト接触面側に溶融析出したPTFE樹脂
22 FEP樹脂粒子
23 空気層表面に溶融析出したFEP樹脂
28 金属ベルト
30 金属ベルト面接触面側に溶融析出したFEP樹脂

Claims (9)

  1. ポリイミドとフッ素樹脂粒子とを含む混合物が成形され加熱硬化されたフィルムであって、前記フィルムの表層近傍に存在する少なくとも一部のフッ素樹脂粒子が、前記フィルムの片面又は両面に溶融流動して析出し、部分的に又は全面にフッ素樹脂被膜を形成していることを特徴とするポリイミド複合フィルム。
  2. 前記フィルムの少なくとも片面における純水に対する接触角が90°以上である請求項1に記載のポリイミド複合フィルム。
  3. 前記フィルムにおけるフッ素樹脂粒子の含有率が、5〜50重量%である請求項1又は2に記載のポリイミド複合フィルム。
  4. 前記フッ素樹脂粒子が、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−エチレン共重合体(PETFE)から選ばれる少なくとも一つのフッ素樹脂である請求項1〜3のいずれかに記載のポリイミド複合フィルム。
  5. 前記フッ素樹脂粒子の平均粒子径が、0.1〜100μmである請求項1〜4のいずれかに記載のポリイミド複合フィルム。
  6. 前記ポリイミドが、少なくとも1種の芳香族テトラカルボン酸二無水物と、少なくとも1種の芳香族ジアミンからなるポリイミド前駆体溶液を加熱イミド化したポリイミドである請求項1〜5のいずれかに記載のポリイミド複合フィルム。
  7. 前記ポリイミド複合フィルムは、平板シート状フィルム若しくはテープ又はこれらの巻き取り体である請求項1〜6のいずれかに記載のポリイミド複合フィルム。
  8. ポリイミド前駆体溶液とフッ素樹脂粒子との混合溶液を所定の厚みにキャスティング成形し、加熱してイミド化し、フィルム成形したポリイミド複合フィルムの製造方法であって、
    前記イミド化の最高温度をフッ素樹脂の融点を越える温度とし、前記フィルムの表層近傍に存在する少なくとも一部のフッ素樹脂粒子を、前記フィルムの片面または両面に溶融流動して析出させ、部分的又は全面にフッ素樹脂被膜を形成させることを特徴とするポリイミド複合フィルムの製造方法。
  9. 前記ポリイミドが、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)と、パラフェニレンジアミン(PPD)からなるポリイミド前駆体溶液を加熱イミド化したポリイミドである請求項8に記載のポリイミド複合フィルムの製造方法。
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