JP2007023309A - 耐食性に優れた溶融亜鉛合金めっき鋼板 - Google Patents

耐食性に優れた溶融亜鉛合金めっき鋼板 Download PDF

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雅典 松野
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Abstract

【課題】 シミ等の外観を劣化させる原因となる可溶性成分の溶出を極力抑え、長期間にわたって良好な表面性状,耐食性を維持する溶融亜鉛合金めっき鋼板を提供する。
【解決手段】 表層Mg濃度:10〜50質量%のMg含有亜鉛合金めっき層板の上に、Mg濃化界面反応層を介して化成皮膜が形成された溶融亜鉛合金めっき鋼板である。界面反応層はフッ化マグネシウム,リン酸マグネシウム,マグネシウムとバルブメタル酸素酸塩との複合化合物の一種又は二種以上を含み、化成皮膜はバルブメタルの水酸化物,酸化物,フッ化物の一種又は二種以上を含む。
【選択図】 図1

Description

本発明は、内装材,外装材,表装材,配管,機械構造用部材,外置き式電気機器のケーシング材等として使用され、腐食性雰囲気下に長期間放置されても良好な表面状態を維持する溶融亜鉛合金めっき鋼板に関する。
耐食性の良好な鋼材として亜鉛めっき鋼板が多用されている。しかし、亜鉛めっき鋼板は、湿潤雰囲気,排ガス雰囲気,海塩粒子飛散雰囲気に長期間にわたって曝されると、鋼板表面に白錆が発生し、外観が劣化する。白錆の発生は亜鉛めっき鋼板をクロメート処理することにより防止できるが、クロメート処理は環境負荷が大きく、Crイオンを含む排液の処理に多大な負担がかかる。
そこで、チタン系,ジルコニウム系,リン酸塩系等の薬液を用いたCrフリーの表面処理法が検討されている。たとえば、特許文献1,2では、Ti,Zr,Hfのフッ化物イオンと各種金属イオンからなる化成処理液を塗布することを提案している。特許文献3では、チタン,ジルコニウム化合物とリン酸化合物,グアニジン化合物を含む皮膜を鋼板表面に形成している。
特開平5-195244号公報 特表平10-505636号公報 特開2004-2950号公報
Ti,Zr等のバルブメタルの酸化物皮膜は高い絶縁性を示し優れたバリア効果を呈するが、ピンホール等の欠陥が皮膜に存在すると、欠陥起点の腐食が発生しやすい。皮膜欠陥を起点とする腐食は、化成皮膜に自己修復機能を付与することにより防止できる。かかる観点から、可溶成分であるバルブメタルのフッ化物を共存させ、バルブメタルの溶出・再析出により欠陥部を自己修復できる化成皮膜を提案した(特許文献4)。自己修復機能の付与によってクロメート皮膜に匹敵する防食能をもつ化成皮膜が得られるが、皮膜付着量の増量に伴い可溶成分が多くなると、湿潤雰囲気下で可溶成分の溶出に起因するシミ等の外観不良が懸念される。
特許第3302684号公報
外観不良の原因である可溶成分の溶出を、化成皮膜の自己修復機能に悪影響を及ぼさない程度に抑制できると、長期にわたって美麗な表面を維持する化成処理鋼板が得られる。本発明者等は、かかる観点から化成皮膜の物性や原板の表面状態について種々調査・検討した。その結果、下地に用いる溶融亜鉛合金めっき鋼板と化成皮膜との間に環境遮断能の高い界面反応層を介在させるとき、薄い化成皮膜であっても十分な長期耐食性が維持されることを解明した。
本発明は、かかる知見をベースとし、Mgをフッ化物,リン酸塩,複合化合物等として含む界面反応層を下地めっき鋼板/化成皮膜の界面に形成することにより、クロメート皮膜を凌駕する耐食性を呈し、長期にわたって外観劣化もない溶融亜鉛合金めっき鋼板を提供することを目的とする。
本発明は、Mg含有亜鉛合金めっき層が設けられた溶融めっき鋼板を基材に使用している。Mg含有亜鉛合金めっき層は、好ましくは10〜50質量%の範囲に表層Mg濃度が調整されている。
溶融めっき鋼板は、フッ化マグネシウム,リン酸マグネシウム,マグネシウムとバルブメタル酸素酸塩との複合化合物等を含む界面反応層を介し、バルブメタルの水酸化物,酸化物,酸素酸,酸素酸塩,フッ化物等を含む化成皮膜で被覆されている。化成皮膜は、バルブメタル化合物の他にマグネシウムの化合物,リン酸塩を含むことができる。
本発明者等は、先に提案した自己修復型化成皮膜について更に検討を進める過程で、Mgを含む亜鉛合金めっき層が形成された溶融めっき鋼板を原板に使用すると、薄い化成皮膜であっても耐食性が飛躍的に向上することを見出した。優れた耐食性が発現される機構を究明するため、化成処理した溶融めっき鋼板の深さ方向に関する元素分布及び各元素の結合状態をESCA,AESを用いて分析した結果、亜鉛合金めっき層/化成皮膜の界面にフッ化マグネシウム,リン酸マグネシウム,マグネシウムとバルブメタル酸素酸塩との複合化合物等を含む界面反応層が生じており、耐食性に優れているものほど界面反応層の成長が明瞭に観察された。
界面反応層が耐食性の向上に及ぼす影響は、次のように説明でき、後述の実施例でも裏付けられる。
バルブメタルを主体にする化成皮膜は優れたバリア効果を示すが、ピンホール等の欠陥を起点とする腐食が発生しやすい。この腐食は皮膜欠陥を介して腐食性因子が下地をアタックすることで生じた結果であり、下地/化成皮膜の間に界面反応層を介在させ、皮膜欠陥を透過してきた腐食性因子を遮断することにより防止できる。
下地処理により界面反応層と同様な機能をもつ表面改質層を形成することでも腐食防止を期待できるが、下地処理で形成される表面改質層は、化成処理液の塗布時に溶解してしまうので、界面反応層のような耐食性向上効果が得られない。また、下地処理,化成処理の二段階処理となるため、工数,管理項目の増加をもたらし、工程負荷が増加するので製造性の面からも好ましくない。
界面反応層による耐食性向上効果は、フッ化物,リン酸塩,バルブメタル酸素酸塩との複合化合物から選ばれた一種又は二種以上のマグネシウム化合物を含むことにより格段に向上する。マグネシウム化合物含有による耐食性向上は、次のように推察される。
Mgを亜鉛系めっき鋼板のめっき層に添加した場合、めっき層表面に均一な腐食生成物が生成し、めっき鋼板の腐食を遅延させる効果がある。フッ化物,リン酸塩,バルブメタル酸素酸塩との複合化合物等のマグネシウム化合物も、バリア作用の他にめっき層の溶出(腐食)を遅延させる作用を界面反応層に付与する。このような界面反応層がバルブメタル主体の化成皮膜と組み合わされているので、耐食性が飛躍的に向上する。
また、フッ化物,リン酸塩,バルブメタル酸素酸塩との複合化合物等のマグネシウム化合物は、水に対して難溶性を示すので、界面反応層の形成時に界面に濃縮して皮膜を緻密化し、皮膜形成後は腐食環境下でも溶出し難い。このことも、優れた耐食性が長期にわたって維持される原因と考えられる。
実施の形態
〔下地及び溶融めっき〕
本発明では、Mg含有亜鉛合金めっき層が形成された溶融めっき鋼板を使用しているが、めっき原板には低炭素鋼,中炭素鋼,高炭素鋼,合金鋼,Ti添加鋼,Nb添加鋼等がある。常法に従って溶融Zn-Mg合金めっきされるが、Zn-Mg合金めっき層のMg含有量を好ましくは0.1〜10質量%(更に好ましくは、1.0〜4.0質量%)の範囲に調整する。Zn-Mg合金めっき層は、他にAl,Si,Ti,B,Fe等を含むこともできる。Zn-Mg合金めっき層は溶融めっき浴の組成をほぼ反映しているので、溶融めっき浴組成を管理することにより目標組成のめっき層を形成できる。
Mgは、めっき層表層に濃化しやすい元素であり、めっき層全体としての含有量を0.1質量%以上とすることにより表層Mg濃度を10質量%以上にできる。しかし、Mg含有量が10質量%を超えるめっき層を形成しようとすると、Mg酸化物系のドロスが溶融めっき浴に発生しやすくなり、生産性を低下させる。発生したドロスがめっき層に巻き込まれると、めっき欠陥にもなる。好ましくは、1.0〜4.0質量%の範囲でMg含有量を選定する。
Mg酸化物系ドロスの発生はAl添加で抑えられるが、Alは、めっき層/下地鋼の密着性,耐食性の改善にも有効である。このような効果は、0.1質量%以上のAl含有で顕著になる。しかし、Al含有量が20質量%を超えると、溶融めっき浴中でFe-Zn系金属間化合物が生成しやすくなり、ドロスの多量発生に起因する品質低下を招きやすい。Alを添加する場合、好ましくは0.1〜15質量%の範囲で含有量を選定する。
Siは亜鉛合金めっき層の耐食性向上に有効な成分であり、めっき層/下地鋼の界面でFe-Zn合金化反応,Fe-Al合金化反応を抑制する作用を呈し、0.005質量%以上でSiの添加効果がみられる。しかし、2質量%を超える過剰量のSiを添加しても、増量に見合った効果が得られず、却ってドロスの多量発生,品質低下等の悪影響が現れやすくなる。
Sb,Pbは、亜鉛合金めっき層の表面にスパングル模様をつける必要がある場合に添加される。Sb,Pbの添加効果は0.005質量%以上でみられるが、1.0質量%を超えて過剰添加しても増量に見合った効果が得られない。
以上の成分の他に、Ti,Ni,B,Fe等が含まれる場合、或いは不可避的不純物として混入する場合があるが、何れも0.1質量%以下に規制する限り、化成処理後の溶融亜鉛合金めっき鋼板に有害な影響を及ぼさない。
所定組成に調整した溶融めっき浴にめっき原板を浸漬し引き上げることによって、Mg:0.1〜10質量%のMg含有亜鉛合金めっき鋼板が製造される。溶融めっき浴から引き上げた後、空冷,水冷,冷却速度等の冷却条件を制御することにより亜鉛合金めっき層の表層Mg濃度を調整できる。めっき層表層のMg分散状態に関しては、AES分析法で1000μm角の領域を走査分析し、同様にArスパッタでめっき層表面から深さ100nmまでの表層域を繰返し分析することによりMg分散状態を確認できる。
本発明者等による実験結果は、亜鉛合金めっき層の表面から深さ100nmまでの表層域におけるMg濃度を10質量%以上にすると、耐食性が向上することを示している。しかし、表層Mg濃度が50質量%を超えると、亜鉛合金めっき層から溶出するMg量が増え、連続製造ラインで化成処理液に汚染物質として混入するMg量が多くなり、化成処理液の安定性低下が懸念される。表層Mg濃度は、亜鉛合金めっき層のMg含有量,溶融めっき鋼板の冷却条件を管理することにより10〜50質量%の範囲に収められる。
〔化成処理〕
表層Mg濃度:10〜50質量%のMg含有亜鉛合金めっき鋼板に化成処理液を吹き付け、水洗せずに乾燥することにより、亜鉛合金めっき層上に界面反応層を介し化成皮膜が形成される。化成処理液には、バルブメタルのカチオン,酸素酸アニオン,フロロ錯体等の錯イオンを含む水溶液が使用される。バルブメタルにはTi,Zr,Hf,V,Mo等がある。
以下の化成処理液ではTiを例にとって説明するが、Ti以外のバルブメタルを使用する場合も同様である。
化成処理液の主成分であるTiソースには、水又は酸に溶解する限りハロゲン化物,アンモニウム塩,水素酸塩,酸素酸塩,有機酸塩等、各種Ti化合物を使用できる。たとえば、KnTiF6(K:アルカリ金属又はアルカリ土類金属,n:1又は2),H2TiF6,(NH4)2TiF6,(NH4)3TiO25,TiCl4,TiO2,K2TiO3,TiOSO4,Ti(SO4)2,Ti(OH)4,K2[TiO(COO)2]等が挙げられる。
バルブメタル以外の成分としてリン酸塩,マグネシウム塩,フッ化物,多価フェノール,酸化剤等を化成処理液に添加しても良い。
リン酸塩を添加した処理液を用いた化成処理では、バルブメタルとリン酸塩との難溶性化合物が形成されるので、化成皮膜の緻密度が高くなり一層優れた耐食性が化成皮膜に付与される。リン酸塩には、水又は酸に溶解する限り、正リン酸,ポリリン酸,亜リン酸,次亜リン酸,リン酸ナトリウム,リン酸マグネシウム,リン酸カリウム,リン酸カルシウム,リン酸マンガン,リン酸亜鉛等の金属リン酸塩やリン酸アンモニウム等がある。
リン酸又はリン酸塩の添加効果は、P/バルブメタル換算モル比を0.1〜4の範囲に維持するとき最も顕著になる。P/バルブメタル換算モル比<0.1では、リン酸又はリン酸塩の添加効果が不十分で、界面反応層の形成も十分でない。逆にP/バルブメタル換算モル比>4では、エッチング過多になって化成処理液の寿命が短くなる。
化成処理液に添加したマグネシウム化合物は、界面反応層のMgソースとなり、Mg含有界面反応層の形成を促進させる。また、化成皮膜中でバルブメタルの酸素酸塩やリン酸と反応することにより、化成皮膜を緻密化して耐食性を一層向上させる。マグネシウム化合物としては、水又は酸に溶解する限り酸化物,水酸化物,リン酸塩,シュウ酸塩,酒石酸塩,他の有機酸塩等、各種化合物が挙げられる。
マグネシウム塩の添加効果は、Mg/バルブメタル換算モル比が0.01〜0.5の範囲にあるとき最も顕著になる。Mg/バルブメタル換算モル比<0.1では、マグネシウム塩添加による耐食性向上効果,界面反応層形成効果が不足しやすい。逆にMg/バルブメタル換算モル比>0.5では、長期連続製造時にめっき層から混入する汚染物で化成処理液のpH値が上昇して沈殿が生じやすくなり、化成処理液の寿命が短くなる。
化成処理液には、必要に応じフッ化物,多価フェノール,酸化剤等を添加しても良い。
フッ化物は、基材との反応性を高め、界面反応層の生成反応を短時間で終了させる。フッ化物としては、水又は酸に溶解する限り種類が拘束されるものではないが、フッ化アンモニウム,バルブメタルのフッ化物等が挙げられる。
多価フェノールは、基材に対する化成皮膜の密着性を高め、後塗装性の向上にも寄与する。官能基を多く有するフェノールほど好ましく、具体的にはタンニン酸,カテキン,フラボノイド等が使用される。多価フェノールは、好ましくは0.05g/l以上(より好ましくは、0.5g/l以上)の濃度で添加効果が顕著になる。しかし、20g/lを超える過剰添加は、化成処理液の安定性にとって好ましくない。
バルブメタルの酸素酸,バルブメタルの酸素酸塩,過酸化物,硝酸,硝酸塩等の酸化剤を化成処理液に添加すると、化成皮膜の緻密性,加工性を改善できる。酸化剤は、基材と反応して酸素を放出し、またイソ多重酸となってTi系皮膜であればチタノール骨格に取り込まれ、化成皮膜の無機高分子化を促進させ、結果として化成皮膜を緻密化する。
バルブメタルの酸素酸、酸素酸塩では、Mo,V,Wの酸素酸,酸素酸塩が最も好ましく、三酸化モリブデン,モリブデン酸,モリブデン酸アンモニウム,五酸化バナジウム,バナジン酸アンモニウム,タングステン酸アンモニウム,タングステン酸カリウム等が挙げられる。
他には、硝酸,硝酸アンモニウム,硝酸マグネシウム,硝酸カルシウム,硝酸コバルト,硝酸ニッケル,硝酸アルミニウム,過酸化水素,過酸化マグネシウム,過酸化ホウ素等が酸化剤に挙げられる。
酸化剤は、酸化剤/バルブメタル換算モル比:0.1〜10で添加することが好ましい。酸化剤/バルブメタル換算モル比:0.1未満ではバルブメタル化合物の高分子化が十分に進行せず、逆に10を超える酸化剤/バルブメタル換算モル比ではエッチング過多になり化成処理液の寿命が短くなる。
化成処理液の安定性は、オキシカルボン基を有する有機酸や有機酸塩を添加し、金属イオンとキレート反応させることにより向上する。有機酸又は有機酸塩には、酒石酸,酒石酸アンモニウム,クエン酸,マロン酸及びこれらの塩がある。有機酸又は有機酸塩の添加効果は、有機酸/バルブメタル換算モル比:0.1以上でみられ、有機酸/バルブメタル換算モル比が多くなるほど顕著になるが、3を超える有機酸/バルブメタル換算モル比ではエッチング過多になりやすく却って安定性が低下する。
フッ素系,ポリエチレン系,スチレン系等の有機ワックスや二硫化モリブデン,タルク等の無機系潤滑剤を化成処理液に添加して皮膜に導入すると、化成皮膜に潤滑性が付与される。低融点のワックスは、化成皮膜の乾燥時に皮膜表面にブリードして潤滑性を発現すると考えられる。高融点の有機ワックスや無機系潤滑剤は,化成皮膜に分散状態で存在するが,皮膜の最表層では島状分布で皮膜表面に露出することにより潤滑性を発現する。潤滑剤の添加効果は0.5g/l以上の濃度で顕著になるが、50g/lを超える過剰量を添加しても増量に見合った効果が得られない。
易酸化性元素であるMgを含む亜鉛合金めっき鋼板は黒変色しやすい材料であるが、Fe,Co,Niの一種又は二種以上の金属塩を化成処理液に添加し、化成皮膜に導入することにより黒変色を防止できる。
また、Ca,Sr,Mn,B,Si,Sn,Alの酸化物,リン酸塩等の無機化合物を化成皮膜に分散させると、化成皮膜が緻密化し耐水性が向上する。
各主成分を配合した化成処理液は、好ましくはpH0.5〜4に調整される。pH0.5未満では、エッチング過多になり化成処理液の寿命が短くなる。逆に、pH値が4を超えると、化成処理液の安定性が極端に悪化する。化成処理液は5〜70℃の温度域に保持することが好ましく、5℃未満では化成処理液の凍結が懸念され、70℃を超えるとエッチング過多になり化成処理液の寿命が短くなる。
化成処理液は、ロールコート法,スピンコート法,スプレー法等で化成処理原板に塗付される。塗付後、水洗せずに乾燥することにより、所定性能をもつ化成皮膜が亜鉛合金めっき層の表面に形成される。乾燥は常温でも可能であるが,連続操業を考慮すると50℃以上に保持して乾燥時間を短縮することが好ましい。高温乾燥ほど乾燥時間が短くなるが、過度の高温加熱ではリン酸が分解し、所定の化成皮膜が得られなくなる虞がある。
化成処理液の塗布量は、バルブメタル換算付着量が1〜500mg/m2となる化成皮膜が形成されるように調整することが好ましい。1mg/m2未満の付着量では十分な性能が得られず、逆に500mg/m2を超える付着量では塗装鋼板の成形加工時にパウダリングが発生しやすくなる。
化成皮膜を形成した後、更に潤滑性や耐食性を付与するため有機皮膜を化成皮膜に積層しても良い。この種の有機皮膜は、たとえばウレタン系樹脂,エポキシ系樹脂,ポリエチレン,ポリプロピレン,エチレン-アクリル酸共重合体等のオレフィン系樹脂,ポリスチレン等のスチレン系樹脂,ポリエステル或いはこれらの共重合体又は変性物,アクリル樹脂の一種又は二種以上を主成分とする塗料から成膜される。有機皮膜を膜厚:0.1〜5μmで化成皮膜上に設けると、クロメート皮膜を凌駕する高耐食性が得られる。
表1に示す各種めっき鋼板を化成処理原板として用意した。(1)〜(6)の溶融めっき鋼板については、溶融めっき浴から引き上げられた鋼帯の冷却条件を制御することにより、亜鉛合金めっき層の表層Mg濃度を10〜40質量%の範囲に調整した。原板(7)は、比較のために用いた電気亜鉛めっき鋼板である。表層Mg濃度の測定は、前述の方法に依った。なお、めっき層中のZn,Mgの合計濃度が100%に達しないのは、Zn,Mg以外の成分や不純物がめっき層に含まれているからである。
Figure 2007023309
各めっき鋼板を脱脂,酸洗した後、表2の化成処理液を塗付し、水洗せずに加熱・乾燥することにより化成皮膜を形成した。乾燥温度,バルブメタル換算付着量を表3に示す。比較のため、市販クロメート処理液(ZM-3387:日本パーカライジング株式会社製)を化成処理液No.11として用い、同様な条件下でクロメート皮膜を形成した。
Figure 2007023309
Figure 2007023309
試験No.1(原板No.4,化成処理液No.1)で形成された化成皮膜について、オージェ電子分光分析し、化成処理鋼板の深さ方向に関する元素分布を測定した。SiO2換算スパッタレート:2nm/秒でスパッタリングしたときの測定結果を図1に示す。
図1から明らかなように、深さ方向に関する濃度分布は元素ごとに異なり、スパッタ時間の経過でみてMg濃度が立ち上がる時点t1とZn濃度が立ち上がる時点t2との間にズレがあった。Zn濃度の立上りは亜鉛合金めっき層がスパッタリングされていることを示すが、Zn濃度の立上りより早い時点でMgの立上りがあることは、化成皮膜と亜鉛合金めっき層(下地)との間にMgが濃化した界面反応層が生成している証拠である。
Mg含有亜鉛合金めっき層を有する原板No.2〜6を化成処理した場合にも同様なMg濃化界面反応層を検出できたが、Mgを含んでいないめっき層を有する原板No.7では、化成皮膜とは異質の中間層が亜鉛合金めっき層/化成皮膜の界面に検出されなかった。
界面反応層,化成皮膜の元素濃度はAES分析結果から決定した。なお、化成皮膜の元素濃度測定に際しては、界面反応層の影響を避けるため化成皮膜の中間部を測定部位(図2のA)に選定した。界面反応層の元素濃度測定に際しては、下地めっき層の影響を受けないように界面反応層の中間部(図2のB)を測定部位に選定した。
化成処理された各めっき鋼板から試験片を切り出し、平坦部腐食試験に供した。
平坦部腐食試験では、端面シールした試験片にJIS Z2371に準拠して35℃の5%NaCl水溶液を噴霧した。塩水噴霧を所定時間継続した後、試験片表面を観察し白錆発生面積率を求めた。そして、白錆発生面積率が5%以下を◎,5〜10%を○,10〜30%を△,30〜50%を▲,50%以上を×として耐食性を評価した。
表4〜6の調査結果にみられるように、Mg濃化した界面反応層が下地鋼/化成皮膜の界面にある本発明例では、塩水噴霧240時間後においても白錆発生のない健全な表面状態を維持していた。
これに対し、界面にMgがあってもMg濃度が10質量%に満たないと塩水噴霧240時間後に白錆が発生しており、界面のMg濃度低下に伴い白錆発生傾向が顕著になった。なお、表4〜6における濃度:10質量%未満のMgは、Mg含有亜鉛合金めっき層の表面に生じたMg濃化層と異なり、化成皮膜に添加したマグネシウム成分に由来する。
Figure 2007023309
Figure 2007023309
Figure 2007023309
以上に説明したように、Mg濃化した界面反応層を介してクロムフリー化成皮膜がMg含有亜鉛合金めっき層に設けられている溶融亜鉛合金めっき鋼板は、化成皮膜からの可溶性成分の溶出を自己修復機能に支障をきたさない程度に抑え、薄い化成皮膜であっても長期間にわたって美麗な外観を維持する。したがって、外装材,内装材,表装材,配管,機械構造用部材,外置き式電気機器のケーシング材等、広汎な分野での使用に適した素材が提供される。
亜鉛合金めっき層/化成皮膜の界面にMg濃化した界面反応層が生成していることを説明するグラフ

Claims (3)

  1. Mg含有亜鉛合金めっき層の上に、フッ化マグネシウム,リン酸マグネシウム,マグネシウムとバルブメタル酸素酸塩との複合化合物から選ばれた一種又は二種以上を含む界面反応層を介し、バルブメタルの水酸化物,酸化物,酸素酸,酸素酸塩,フッ化物の一種又は二種以上を主成分とする化成皮膜が形成されていることを特徴とする耐食性に優れた溶融亜鉛合金めっき鋼板。
  2. Mg含有亜鉛合金めっき層の表層Mg濃度が10〜50質量%である請求項1記載の溶融亜鉛合金めっき鋼板。
  3. 化成皮膜がマグネシウム化合物及びリン酸塩を含む請求項1又は2記載の溶融亜鉛合金めっき鋼板。
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