JP2007003945A - カラーフィルター用インクジェットインク、カラーフィルター、及び液晶表示装置 - Google Patents

カラーフィルター用インクジェットインク、カラーフィルター、及び液晶表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 P/V比が高くても、表面荒れが低減された画素等の塗膜を形成可能なカラーフィルター用インクジェットインクを提供し、上記目的を達成するインクジェットインクを用いて製造したカラーフィルター、並びに上記カラーフィルターを備えた液晶表示装置を提供する。
【解決手段】 顔料、バインダー、及びフッ素系界面活性剤を含有するカラーフィルター用インクジェットインクである。
【選択図】 図2

Description

本発明は、画素部(着色層)のような所定パターンの硬化層を形成するのに用いられるカラーフィルター用インクジェットインク、当該インクジェットインクを用いたカラーフィルター、及び当該カラーフィルターを用いた液晶表示装置に関する。
カラーフィルターには、液晶表示装置等の画像出力装置に用いられるカラーフィルター、或いは固体撮像素子等の画像入力装置に用いられるカラーフィルター等がある。例として、液晶表示装置に用いられるカラーフィルター構造の代表例を、図1を用いて説明する。
一般にカラー液晶表示装置(101)は、図1(a)に示すように、カラーフィルター1とTFT基板等の電極基板2とを対向させて1〜10μm程度の間隙部3を設け、当該間隙部3内に液晶化合物Lを充填し、その周囲をシール材4で密封した構造をとっている。カラーフィルター1は、透明基板5上に、画素間の境界部を遮光するために所定のパターンに形成されたブラックマトリックス層6と、各画素を形成するために複数の色(通常、赤(R)、緑(G)、青(B)の3原色)を所定順序に配列した画素部7と、保護膜8と、透明電極膜9とが、透明基板に近い側からこの順に積層された構造をとっている。また、カラーフィルター1及びこれと対向する電極基板2の内面側には配向膜10が設けられる。さらに間隙部3には、カラーフィルター1と電極基板2の間のセルギャップを一定且つ均一に維持するために、スペーサーが設けられる。スペーサーとしては一定粒子径を有するパール11を分散したり、又は、図1(b)に示すようにセルギャップに対応する高さを有する柱状スペーサー12を、カラーフィルターの内面側であってブラックマトリックス層6が形成されている位置と重なり合う領域に形成する。そして、各色に着色された画素それぞれ又はカラーフィルターの背後にある液晶層の光透過率を制御することによってカラー画像が得られる。
従来から行われているカラーフィルターの画素などを所定のパターン形状で形成する方法としては、例えば染色法が挙げられる。この染色法は、まずガラス基板上に染色用の材料である水溶性の高分子材料を形成し、これをフォトリソグラフィー工程により所望の形状にパターニングした後、得られたパターンを染色浴に浸漬して着色されたパターンを得る。これを3回繰り返すことによりR、G、およびBのカラーフィルター層を形成する。また、他の方法としては顔料分散法がある。この方法は、まず基板上に顔料を分散した感光性樹脂層を形成し、これをパターニングすることにより単色のパターンを得る。さらにこの工程を3回繰り返すことにより、R、G、およびBのカラーフィルター層を形成する。さらに他の方法としては、電着法や、熱硬化樹脂に顔料を分散させてR、G、およびBの3回印刷を行った後、樹脂を熱硬化させる方法等を挙げることができる。
しかしながら、いずれの方法も、R、G、及びBの3色を着色するために、同一の工程を3回繰り返す必要があり、コスト高になるという問題や、同様の工程を繰り返すため歩留まりが低下するという問題がある。
これらの問題点を解決したカラーフィルターの製造方法として、特許文献1には、熱硬化性樹脂を含有する着色インクをインクジェット方式で基板上に吹き付け、加熱することにより画素部を形成することが記載されている。
特開平9−21910号公報
インクジェット方式に用いられるインクは、パターニング時に形成領域からのインクの決壊を防ぐために顔料(P)と顔料以外の固形分(V)の重量比(以下、P/V比という)を高くする必要がある。しかしながら、この場合には、表面に荒れが生じることがあった。このような表面荒れが画素に生じると、表示ムラが生じたり、画素への入射光が散乱されるなどして、画素に透過する光に損失が生じ、コントラストの低下の問題が生じる。また、このような表面荒れが原因で、ITOを成膜した後の電流のリークが生じやすいという問題がある。
本発明は上記実状に鑑みて成し遂げられたものであり、その第一の目的は、P/V比が高くても、表面荒れが低減された画素等の塗膜を形成可能なカラーフィルター用インクジェットインクを提供することにある。
また、本発明の第二の目的は、表面荒れが低減された画素を有するカラーフィルターを提供することにある。
また、本発明の第三の目的は、上記目的を達成するカラーフィルターを備えた液晶表示装置を提供することにある。
本発明に係るカラーフィルター用インクジェットインクは、顔料、バインダー、及びフッ素系界面活性剤を含有する。
本発明に係るカラーフィルター用インクジェットインクによれば、フッ素系界面活性剤が添加されることにより、P/V比が高くても、形成される塗膜の表面荒れを低減することが可能である。形成された画素等の表面は平滑になることから、表示ムラが低減され、更に画素への入射光が散乱されたり屈折されることなく透過することが可能になり、その結果、コントラストが向上した画素を得ることができる。
本発明に係るカラーフィルター用インクジェットインクにおいては、上記フッ素系界面活性剤がフッ素化アルキル基とエチレン性二重結合を含有するモノマー(A)及びシリコーン鎖とエチレン性二重結合を含有するモノマー(B)を少なくとも用いて重合されたフッ素系共重合体であることが、P/V比が高くても形成される塗膜の表面荒れを防止する点から好ましい。
また、本発明に係るカラーフィルター用インクジェットインクにおいては、上記フッ素系界面活性剤の含有量が、固形分全体に対して0.0005〜5重量%であることが、P/V比が高くても形成される塗膜の表面荒れを防止する点から好ましい。
本発明に係るカラーフィルター用インクジェットインクにおいては、更に溶剤を含有し、該溶剤が、主溶剤として沸点が180℃〜260℃で且つ常温での蒸気圧が0.5mmHg以下の溶剤成分を溶剤全量に対して80重量%以上の割合で含有するものであることが、適度な乾燥性及び蒸発性を有するため、ヘッドから吐出した時の直進性、安定性に優れ、更に効率よく乾燥させることができる点から好ましい。
また、本発明に係るカラーフィルター用インクジェットインクは、JIS K6768に規定する濡れ性試験において示された標準液を用い、液滴を接触させて30秒後の接触角(θ)を測定し、ジスマンプロットのグラフにより求めた臨界表面張力が70mN/mの試験片の表面に対する接触角が10°以下を示すことが、インクの濡れ広がり性がよくなり画素の色抜けを防止し易い点から好ましい。
また、本発明に係るカラーフィルターは、透明基板と、当該透明基板上に設けられた画素とを少なくとも備えるカラーフィルターであって、該画素がフッ素系界面活性剤及び/またはその化学変化体を含むことを特徴とする。
本発明に係るカラーフィルターは、画素がフッ素系界面活性剤及び/またはその化学変化体を含むことにより、画素表面の平滑性が高くなるため、表示ムラが低減され、コントラストがより向上したカラーフィルターである。
本発明に係るカラーフィルターにおいては、上記フッ素系界面活性剤がフッ素化アルキル基とエチレン性二重結合を含有するモノマー(A)及びシリコーン鎖とエチレン性二重結合を含有するモノマー(B)を少なくとも用いて重合されたフッ素系共重合体であることが、画素表面の平滑性がより向上する点から好ましい。
また、本発明に係るカラーフィルターにおいては、上記フッ素系界面活性剤の含有量が、画素全体に対して0.0005〜5重量%であることが、画素表面の平滑性がより向上する点から好ましい。
本発明に係るカラーフィルターにおいては、前記画素の表面粗度(Ra)が10nm以下であることが、コントラストがより向上する点から好ましい。
更に、本発明に係る液晶表示装置は、表示側基板と液晶駆動側基板とを対向させ、両者の間に液晶を封入してなる液晶表示装置であって、前記表示側基板が前記本発明に係るカラーフィルターであることを特徴とする。
本発明に係るカラーフィルター用インクジェットインクは、P/V比が高くても、表面荒れが低減された画素等の塗膜を形成可能である。
また、本発明に係るカラーフィルターは、表面荒れが低減された画素を有するカラーフィルターである。
また、本発明によれば、表面荒れが低減された画素を有するカラーフィルターを用いることから、高品質な液晶表示装置とすることができる。
以下において本発明を詳しく説明する。
なお、本発明において(メタ)アクリレートとはアクリレート又はメタクリレートのいずれかであることを意味し、(メタ)アクリロイルとはアクリロイル又はメタクリロイルのいずれかであることを意味し、(メタ)アクリルとはアクリル又はメタクリルのいずれかであることを意味する。
1.カラーフィルター用インクジェットインク
本発明に係るカラーフィルター用インクジェットインクは、顔料、バインダー、及びフッ素系界面活性剤を含有する。
本発明に係るカラーフィルター用インクジェットインクによれば、フッ素系界面活性剤が添加されることにより、P/V比が高くても、形成される塗膜の表面荒れを低減することが可能である。形成された画素等の表面は平滑になることから、表示ムラが低減され、更に画素への入射光が散乱されたり屈折されることなく透過することが可能になり、その結果、コントラストが向上した画素を得ることができる。
以下、本発明において特徴的であるフッ素系界面活性剤から順に、本発明に係るインクジェットインクに用いられる成分を説明する。
(フッ素系界面活性剤)
本発明においては、レベリング剤としてフッ素系界面活性剤を必須成分として含むことが特徴的である。ここで、フッ素系界面活性剤とは、フッ素を含有する界面活性剤をいう。フッ素系界面活性剤は、通常、炭化水素系界面活性剤の疎水基の水素原子をフッ素原子で全部あるいは一部置換したものである。
本発明に用いられるフッ素系界面活性剤としては、中でも、フッ素化アルキル基とエチレン性二重結合を含有するモノマー(A)及びシリコーン鎖とエチレン性二重結合を含有するモノマー(B)を少なくとも用いて重合されたフッ素系共重合体であることが、インクのP/V比が高くても形成される塗膜の表面荒れを防止する点から好ましい。
フッ素化アルキル基とエチレン性二重結合を含有するモノマー(A)としては、公知のものを使用することが可能であるが、具体的には下記一般式(a1)で表される化合物、あるいは一般式(a2)で表される化合物のように1分子中に複数個のパーフロロアルキル基を有する化合物が挙げられる。
Figure 2007003945
(式中、Rf は炭素原子数1〜20のパ−フロロアルキル基又は部分フッ素化アルキル基を表し、これらのアルキル基は直鎖状又は分岐状であっても良く、また、主鎖中に酸素原子が介入したもの(例えば、−(OCFCF22CF(CF2 等)であっても良く、R はH、CH3、Cl又はFを表し、Xは2価の連結基を表し、aは0又は1を表す。)
Figure 2007003945
(式中、jは1〜14の整数を表す。)
一般式(a1)におけるXは、具体的には、下記式で表される連結鎖が挙げられる。
Figure 2007003945
(式中、nは1〜10の整数を表し、R2 はH又は炭素原子数1〜6のアルキル基を表す。)
Figure 2007003945
フッ素化アルキル基とエチレン性二重結合を含有するモノマー(A)中のパ−フロロアルキル基又は部分フッ素化アルキル基の炭素原子数は、3以上が好ましく、6以上が特に好ましい。フッ素化アルキル基とエチレン性二重結合を含有するモノマー(A)の具体例としては、以下の式(a−1)〜(a−56)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2007003945
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Figure 2007003945
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フッ素化アルキル基とエチレン性二重結合を含有するモノマー(A)は、単独の化合物を使用しても良く、2種類以上の化合物を併用しても良い。
一方、シリコーン鎖とエチレン性二重結合を含有するモノマー(B)も、公知のものを使用することが可能であり、ポリシロキサン鎖の片末端あるいは両末端に2価の連結基を介して、ビニル基、アクリロイル基、あるいはメタクリロイル基のようなエチレン性二重結合を有する官能基が連結したものが好ましい。シリコーン鎖とエチレン性二重結合を含有するモノマー(B)は、中でも、重合反応性の面から、(メタ)アクリロイル基を有することが好ましい。
シリコーン鎖とエチレン性二重結合を含有するモノマー(B)の具体例としては、例えば、一般式(b−1)で表される化合物、又は一般式(b−2)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2007003945
[式中、R3及びR4は、各々独立的に、炭素原子数1〜20のアルキル基又はフェニル基を表し、また、シロキシ単位毎に同一でも異なっていてもよい。pは3〜520の整数を表し、qは0又は1を表し、X2 は2価の連結基であって、具体的には、一般式 −CH2CH(OH)CH2OCO−、−(CH2n1NHCH2CH(OH)CH2OCO−、−(CH2n1OCO−、−(CH2n1−O−(CH2m1OCO− 又は −OCH2CH(OH)CH2 OCO−(式中、n1及びm1は、それぞれ独立的に、2〜6の整数を表す。)で表される連結鎖を表す。R1 は前記一般式(a1)において定義したものと同じものを表し、Z1はメチル基、フェニル基又は一般式 CH2=C(R1)−(X2q−で表される基を表す。]
Figure 2007003945
(式中、R5、R5'、R5"、R6、R6'、R6"、R7、R7'及びR7"は、 各々独立的に、炭素原子数1〜20のアルキル基又はフェニル基を表す。r、s及びtは、各々独立的に、0又は1〜200の整数を表す。X2、q及びR1は、一般式(b−1)において定義したものと同じものを表す。)
シリコーン鎖とエチレン性二重結合を含有するモノマー(B)のシリコ−ン鎖部分の分子量は、5,000以下が好ましく、また1,000以下が特に好ましい。また、シリコ−ン鎖部分の構造は、上記一般式(b−2)で表されるような分岐型のものが好ましく、その中でも、上記一般式(b−2)中で、r、s及びtが0のものが特に好ましい。
シリコーン鎖とエチレン性二重結合を含有するモノマー(B)の具体例としては、以下の式(b−1−1)〜(b−3−7)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2007003945
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シリコーン鎖とエチレン性二重結合を含有するモノマー(B)は、単独の化合物を使用しても良く、2種類以上の化合物を併用しても良い。
本発明に用いられるフッ素系界面活性剤としては、特に、フッ素化アルキル基とエチレン性二重結合を含有するモノマー(A)として(a−1)で表されるモノマー、シリコーン鎖とエチレン性二重結合を含有するモノマー(B)として(b−3−1)で表されるモノマーを少なくとも用いて重合されたフッ素系共重合体、或いは、フッ素化アルキル基とエチレン性二重結合を含有するモノマー(A)として(a−56)で表されるモノマー、シリコーン鎖とエチレン性二重結合を含有するモノマー(B)として(b−2−1)で表されるモノマーを少なくとも用いて重合されたフッ素系共重合体であることが、インクのP/V比が高くても形成される塗膜の表面荒れを防止する点から好ましい。
また、本発明に用いられるフッ素系界面活性剤は、その構成モノマーとして上記フッ素化アルキル基とエチレン性二重結合を含有するモノマー(A)及びシリコーン鎖とエチレン性二重結合を含有するモノマー(B)に加え、非フッ素且つ非シリコ−ン系のエチレン性二重結合を含有するモノマーを併用したものであっても良い。
非フッ素且つ非シリコ−ン系のエチレン性二重結合を含有するモノマーとしては、例えば、スチレン、核置換スチレン、アクリロニトリル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ビニルピリジン、N−ビニルピロリドン、ビニルスルホン酸、酢酸ビニルのように脂肪酸ビニル;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマール酸、イタコン酸等の一価ないし二価のカルボン酸のようにα,β−エチレン性不飽和カルボン酸;(メタ)アクリル酸(以後、この表現はアクリル酸とメタクリル酸の両方を総称するものとする。)のメチル、エチル、プロピル、ブチル、オクチル、2−エチルヘキシル、デシル、ドデシル、ステアリルエステルのようにアルキル基の炭素原子数が1〜18の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;2−ヒドロキシエチルエステル、ヒドロキシプロピルエステル、ヒドロキシブチルエステルのように(メタ)アクリル酸の炭素原子数1〜18のヒドロキシアルキルエステル;ジメチルアミノエチルエステル、ジエチルアミノエチルエステル、ジエチルアミノプロピルエステルのように(メタ)アクリル酸の炭素原子数1〜18のアミノアルキルエステル;メトキシエチルエステル、エトキシエチルエステル、メトキシプロピルエステル、メチルカルビルエステル、エチルカルビルエステル、ブチルカルビルエステルのように(メタ)アクリル酸の炭素原子数3〜18のエーテル酸素含有アルキルエステル;
ジシクロペンタニルオキシルエチル(メタ)アクリレート、イソボルニルオキシルエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、ジメチルアダマンチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、重合度1〜100のポリエチレングリコ−ル、ポリプロピレングリコ−ル、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共重合体等のポリアルキレレングリコ−ルのモノ(メタ)アクリル酸エステル又はジ(メタ)アクリル酸エステル、若しくは末端が炭素原子数1〜6のアルキル基によってキャップされた重合度1〜100のポリエチレングリコ−ル、ポリプロピレングリコ−ル、そしてエチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共重合体等のポリアルキレングリコ−ルのモノ(メタ)アクリル酸エステル、
メチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテルのようにアルキル炭素原子数が1〜18のアルキルビニルエーテル;グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレートのように(メタ)アクリル酸のグリシジルエステル;サートマー社製のスチレンマクロモノマー4500、新中村化学工業(株)製のNKエステルM−230Gのようにマクロモノマー;2−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、部分スルホン化スチレン、モノ(アクリロイルオキシエチル)アシッドホスフェ−ト、モノ(メタクリロキシエチル)アシッドホスフェ−ト等が挙げられる。
これらの非フッ素且つ非シリコ−ン系のエチレン性二重結合を含有するモノマーの中でも、側鎖にポリエチレングリコ−ル、ポリプロピレングリコ−ル、そしてエチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共重合体等のポリアルキレングリコ−ルのモノ(メタ)アクリル酸エステル又はジ(メタ)アクリル酸エステル、若しくは末端が炭素原子数1〜6のアルキル基によってキャップされた重合度1〜100の、ポリエチレングリコ−ル、ポリプロピレングリコ−ル、そしてエチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共重合体等のポリアルキレレングリコ−ルのモノ(メタ)アクリル酸エステルのようにポリオキシアルキレン基を側鎖に有する(メタ)アクリレートモノマー;炭素原子数6以上のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルのように炭素原子数6以上のアルキル基を側鎖に有する(メタ)アクリレートモノマーが好ましい。
フッ素化アルキル基とエチレン性二重結合を含有するモノマー(A)及びシリコーン鎖とエチレン性二重結合を含有するモノマー(B)と、更に必要に応じて、非フッ素且つ非シリコ−ン系のエチレン性二重結合を含有するモノマーとを共重合させるフッ素系重合体の製造方法には何ら制限はなく、公知の方法、即ち、ラジカル重合法、カチオン重合法、アニオン重合法等の重合機構に基づき、溶液重合法、塊状重合法、更にエマルジョン重合法等によって製造できるが、特にラジカル重合法が簡便であり、工業的に好ましい。
この場合、重合開始剤は、公知のものを使用することができ、例えば、過酸化ベンゾイル、過酸化ジアシル等の過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル、フェニルアゾトリフェニルメタン等のアゾ化合物、トリアセチルアセトナト マンガン等の金属キレート化合物等が挙げられる。また、重合反応には、必要に応じて、ラウリルメルカプタン、2−メルカプトエタノ−ル、エチルチオグリコ−ル酸、オクチルチオグリコ−ル酸、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のようにカップリング基を有するチオ−ル化合物等の連鎖移動剤を重合開始剤と併用することができる。
また光増感剤や光開始剤の存在下での光重合あるいは放射線や熱をエネルギー源とする重合によっても本発明に係るフッ素系のランダムもしくはブロック共重合体を得ることができる。
重合は、溶剤の存在下又は非存在下のいずれでも実施できるが、作業性の点から溶剤存在下に実施する方が好ましい。溶剤としては、例えば、エタノ−ル、イソプロピルアルコ−ル、n−ブタノ−ル、iso−ブタノ−ル、tert−ブタノ−ルのようにアルコ−ル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンのようにケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルのようにエステル類;ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドのように極性溶剤;1,1,1−トリクロルエタン、クロロホルムのようにハロゲン系溶剤;テトラヒドロフラン、ジオキサンのようにエーテル類;ベンゼン、トルエン、キシレンのように芳香族類;パ−フロロオクタン、パ−フロロトリ−n−ブチルアミンのようにフッ素化イナ−トリキッド類等が挙げられる。
フッ素化アルキル基とエチレン性二重結合を含有するモノマー(A)とシリコーン鎖とエチレン性二重結合を含有するモノマー(B)との共重合比率は、重量比で、100:1〜1:100の範囲が好ましく、40:1〜1:40の範囲が特に好ましい。また、フッ素化アルキル基とエチレン性二重結合を含有するモノマー(A)とシリコーン鎖とエチレン性二重結合を含有するモノマー(B)に、非フッ素且つ非シリコ−ン系のエチレン性二重結合を含有するモノマーを導入する場合、フッ素化アルキル基とエチレン性二重結合を含有するモノマー(A)とシリコーン鎖とエチレン性二重結合を含有するモノマー(B)との合計重量に対し、1,000倍以下が好ましく、100倍以下が特に好ましい。
本発明で使用するフッ素系重合体の分子量は、数平均分子量(Mn)で、1,000〜2000,000の範囲が好ましく、1,000〜500,000の範囲が特に好ましい。
フッ素系界面活性剤の市販品としては、中でも、大日本インキ化学工業(株)製メガファックR−08MH、メガファックF445、メガファックF470、メガファックF471、メガファックF472SFが好適に用いられる。
また、上記フッ素系界面活性剤の含有量は、固形分全体に対して0.0005〜5重量%、更に固形分全体に対して0.005〜0.5重量%、特に固形分全体に対して0.005〜0.2重量%であることが、インクのP/V比が高くても形成される塗膜の表面荒れを防止し易い点から好ましい。なおここで、配合割合を特定するためのインクジェットインクの固形分とは、溶剤を除く全ての成分を含み、液状の重合性モノマー等も固形分に含まれる。
なお、発明においては、レベリング剤としてフッ素系界面活性剤を必須成分として含むが、本発明の効果が損なわれない限り、他のレベリング剤を添加しても良い。他のレベリング剤としては、例えば、シリコン系界面活性剤、ポリオキシアルキレン系界面活性剤、脂肪酸エステル系界面活性剤、特殊アクリル系重合体などが挙げられる。
(顔料)
着色剤としての顔料は、画素(画素部)のR、G、B等やブラックマトリックス層の求める色に合わせて、有機着色剤及び無機着色剤の中から任意のものを選んで使用することができる。有機着色剤としては、例えば、染料、有機顔料、天然色素等を用いることができる。また、無機着色剤としては、例えば、無機顔料、体質顔料等を用いることができる。これらの中で有機顔料は、発色性が高く、耐熱性も高いので、好ましく用いられる。有機顔料としては、例えばカラーインデックス(C.I.;The Society of Dyers and Colourists 社発行) においてピグメント(Pigment)に分類されている化合物、具体的には、下記のようなカラーインデックス(C.I.)番号が付されているものを挙げることができる。
C.I.ピグメントイエロー1、C.I.ピグメントイエロー3、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー16、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー20、C.I.ピグメントイエロー24、C.I.ピグメントイエロー31、C.I.ピグメントイエロー55、C.I.ピグメントイエロー60、C.I.ピグメントイエロー61、C.I.ピグメントイエロー65、C.I.ピグメントイエロー71、C.I.ピグメントイエロー73、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー81、C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー95、C.I.ピグメントイエロー97、C.I.ピグメントイエロー98、C.I.ピグメントイエロー100、C.I.ピグメントイエロー101、C.I.ピグメントイエロー104、C.I.ピグメントイエロー106、C.I.ピグメントイエロー108、C.I.ピグメントイエロー109、C.I.ピグメントイエロー110、C.I.ピグメントイエロー113、C.I.ピグメントイエロー114、C.I.ピグメントイエロー116、C.I.ピグメントイエロー117、C.I.ピグメントイエロー119、C.I.ピグメントイエロー120、C.I.ピグメントイエロー126、C.I.ピグメントイエロー127、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー129、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントイエロー151、C.I.ピグメントイエロー152、C.I.ピグメントイエロー153、C.I.ピグメントイエロー154、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー156、C.I.ピグメントイエロー166、C.I.ピグメントイエロー168、C.I.ピグメントイエロー175;
C.I.ピグメントオレンジ1、C.I.ピグメントオレンジ5、C.I.ピグメントオレンジ13、C.I.ピグメントオレンジ14、C.I.ピグメントオレンジ16、C.I.ピグメントオレンジ17、C.I.ピグメントオレンジ24、C.I.ピグメントオレンジ34、C.I.ピグメントオレンジ36、C.I.ピグメントオレンジ38、C.I.ピグメントオレンジ40、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントオレンジ46、C.I.ピグメントオレンジ49、C.I.ピグメントオレンジ51、C.I.ピグメントオレンジ61、C.I.ピグメントオレンジ63、C.I.ピグメントオレンジ64、C.I.ピグメントオレンジ71、C.I.ピグメントオレンジ73;C.I.ピグメントバイオレット1、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.ピグメントバイオレット23、C.I.ピグメントバイオレット29、C.I.ピグメントバイオレット32、C.I.ピグメントバイオレット36、C.I.ピグメントバイオレット38;
C.I.ピグメントレッド1、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド4、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド8、C.I.ピグメントレッド9、C.I.ピグメントレッド10、C.I.ピグメントレッド11、C.I.ピグメントレッド12、C.I.ピグメントレッド14、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド17、C.I.ピグメントレッド18、C.I.ピグメントレッド19、C.I.ピグメントレッド21、C.I.ピグメントレッド22、C.I.ピグメントレッド23、C.I.ピグメントレッド30、C.I.ピグメントレッド31、C.I.ピグメントレッド32、C.I.ピグメントレッド37、C.I.ピグメントレッド38、C.I.ピグメントレッド40、C.I.ピグメントレッド41、C.I.ピグメントレッド42、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド48:2、C.I.ピグメントレッド48:3、C.I.ピグメントレッド48:4、C.I.ピグメントレッド49:1、C.I.ピグメントレッド49:2、C.I.ピグメントレッド50:1、C.I.ピグメントレッド52:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド57:2、C.I.ピグメントレッド58:2、C.I.ピグメントレッド58:4、C.I.ピグメントレッド60:1、C.I.ピグメントレッド63:1、C.I.ピグメントレッド63:2、C.I.ピグメントレッド64:1、C.I.ピグメントレッド81:1、C.I.ピグメントレッド83、C.I.ピグメントレッド88、C.I.ピグメントレッド90:1、C.I.ピグメントレッド97、C.I.ピグメントレッド101、C.I.ピグメントレッド102、C.I.ピグメントレッド104、C.I.ピグメントレッド105、C.I.ピグメントレッド106、C.I.ピグメントレッド108、C.I.ピグメントレッド112、C.I.ピグメントレッド113、C.I.ピグメントレッド114、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド146、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド150、C.I.ピグメントレッド151、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド168、C.I.ピグメントレッド170、C.I.ピグメントレッド171、C.I.ピグメントレッド172、C.I.ピグメントレッド174、C.I.ピグメントレッド175、C.I.ピグメントレッド176、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド179、C.I.ピグメントレッド180、C.I.ピグメントレッド185、C.I.ピグメントレッド187、C.I.ピグメントレッド188、C.I.ピグメントレッド190、C.I.ピグメントレッド193、C.I.ピグメントレッド194、C.I.ピグメントレッド202、C.I.ピグメントレッド206、C.I.ピグメントレッド207、C.I.ピグメントレッド208、C.I.ピグメントレッド209、C.I.ピグメントレッド215、C.I.ピグメントレッド216、C.I.ピグメントレッド220、C.I.ピグメントレッド224、C.I.ピグメントレッド226、C.I.ピグメントレッド242、C.I.ピグメントレッド243、C.I.ピグメントレッド245、C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド255、C.I.ピグメントレッド264、C.I.ピグメントレッド265;
C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントブルー60;C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36;C.I.ピグメントブラウン23、C.I.ピグメントブラウン25;C.I.ピグメントブラック1、ピグメントブラック7。
また、前記無機顔料あるいは体質顔料の具体例としては、酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、亜鉛華、硫酸鉛、黄色鉛、亜鉛黄、べんがら(赤色酸化鉄(III))、カドミウム赤、群青、紺青、酸化クロム緑、コバルト緑、アンバー、チタンブラック、合成鉄黒、カーボンブラック等を挙げることができる。本発明において、顔料は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
カラーフィルターの基板上に、本発明のインクジェットインクを用いてブラックマトリックス層のパターンを形成する場合には、インクジェットインク中に遮光性の高い黒色顔料を配合する。遮光性の高い黒色顔料としては、例えば、カーボンブラックや四三酸化鉄などの無機系着色剤、或いは、シアニンブラックなどの有機系着色剤を使用できる。
遮光性の高い顔料を含有するインクジェットインクで形成したインク層は、内部にまで光が到達し難いので、本発明のインクジェットインクを用いてブラックマトリックス層のパターンを形成する場合には、後述するバインダーは、光硬化性のバインダーを用いるよりも、熱硬化性バインダーを用いるのが好ましい。ただし、インク層の厚さや露光時間を長くするなど硬化方法を調節することによって、光でも硬化させることが可能である。
画素を形成する場合には、顔料をインクジェットインクの固形分全量に対して、通常は1〜60重量%、好ましくは15〜40重量%の割合で配合する。顔料が少なすぎると、インクジェットインクを所定の膜厚(通常は0.1〜2.0μm)に塗布した際の透過濃度が十分でないおそれがある。また、顔料が多すぎると、インクジェットインクを基板上へ塗布し硬化させた際の基板への密着性、硬化膜の表面荒れ、塗膜硬さ等の膜としての特性が不十分となるおそれがある。
(バインダー)
本発明に係るインクジェットインクは、成膜性や被塗工面に対する密着性を付与するために、バインダーを含有する。バインダーとしては、非硬化性の熱可塑性樹脂組成物を用いても良いが、硬化性の樹脂を含むバインダーを用いることが硬化させることにより塗膜に充分な硬度を付与するため好ましい。
硬化性バインダーとしては、例えば、加熱により重合硬化させることができる熱硬化性樹脂を含む熱硬化性バインダーや、可視光線、紫外線、電子線等により重合硬化させることができる光硬化性樹脂を含む光硬化性バインダー、更には、熱硬化性バインダー及び光硬化性バインダーの両方を含むものを用いることができる。
(1)熱硬化性バインダー
熱硬化性バインダーとしては、1分子中に熱硬化性官能基を2個以上有する化合物と硬化剤の組み合わせが通常用いられ、更に、熱硬化反応を促進できる触媒を添加しても良い。熱硬化性官能基としてはエポキシ基が好ましく用いられる。また、これらにそれ自体は重合反応性のない重合体を更に用いても良い。
1分子中に熱硬化性官能基を2個以上有する化合物として、通常は、1分子中にエポキシ基2個以上を有するエポキシ化合物が用いられる。1分子中にエポキシ基2個以上を有するエポキシ化合物は、エポキシ基を2個以上、好ましくは2〜50個、より好ましくは2〜20個を1分子中に有するエポキシ化合物(エポキシ樹脂と称されるものを含む)である。エポキシ基は、オキシラン環構造を有する構造であればよく、例えば、グリシジル基、オキシエチレン基、エポキシシクロヘキシル基等を示すことができる。エポキシ化合物としては、カルボン酸により硬化しうる公知の多価エポキシ化合物を挙げることができ、このようなエポキシ化合物は、例えば、新保正樹編「エポキシ樹脂ハンドブック」日刊工業新聞社刊(昭和62年)等に広く開示されており、これらを用いることが可能である。
エポキシ化合物としては、硬化膜に耐溶剤性や耐熱性を付与するために、比較的分子量の高い重合体と、硬化膜の架橋密度を高くしたり、低粘度化によりインクジェット吐出性能を向上させるために、比較的分子量の低い化合物とを併用することが好ましい。
i)1分子中に熱硬化性官能基を2個以上有する化合物
通常バインダー成分として用いられる比較的分子量の高い重合体であるエポキシ化合物(以下、「バインダー性エポキシ化合物」ということがある)としては、少なくとも下記式(1)で表される構成単位及び下記式(2)で表される構成単位から構成され且つグリシジル基を2個以上有する重合体を用いることができる。
Figure 2007003945
(R11は水素原子または炭素数1〜3のアルキル基であり、R12は炭素数1〜12の炭化水素基である。)
Figure 2007003945
(R13は水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基である。)
式(1)で表される構成単位は、下記式(3)で表されるモノマーから誘導される。
Figure 2007003945
(R11およびR12は式(1)と同じである。)
式(3)で表されるモノマーをバインダー性エポキシ化合物の構成単位として用いることにより、本発明のインクジェットインクから形成される硬化塗膜に充分な硬度および透明性を付与することができる。式(3)において、R12は、炭素数1〜12の炭化水素基であり、直鎖脂肪族、脂環式、芳香族いずれの炭化水素基であってもよく、さらに付加的な構造、例えば二重結合、炭化水素基の側鎖、スピロ環の側鎖、環内架橋炭化水素基等を含んでいてもよい。
上記式(3)で表されるモノマーとして具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、パラ−t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート等を例示することができる。
式(3)において、R11として好ましいのは水素またはメチル基であり、R12として好ましいのは炭素数1〜12のアルキル基であり、そのなかでも特にメチル基及びシクロヘキシル基が好ましい。上記式(3)で表されるモノマーのなかで好ましいものとして、具体的にはメチルメタクリレート(MMA)及びシクロヘキシルメタクリレート(CHMA)を挙げることができる。
重合体中の式(2)で表される構成単位は、下記式(4)で表されるモノマーから誘導される。
Figure 2007003945
(R13は式(2)と同じである。)
式(4)で表されるモノマーは、重合体中にエポキシ基(エポキシの反応点)を導入するために用いられる。当該重合体を含有するインクジェットインクは保存安定性に優れており、保存中および吐出作業中に粘度上昇を生じ難いが、その理由の一つは式(2)または式(4)中のエポキシ基がグリシジル基だからであると推測される。式(4)で表されるモノマーの代わりに脂環式エポキシアクリレートを用いると、インクジェットインクの粘度が上昇しやすい。
式(4)において、R13として好ましいのは水素またはメチル基である。式(4)で表されるモノマーとして、具体的にはグリシジル(メタ)アクリレートを例示することができ、特にグリシジルメタクリレート(GMA)が好ましい。
上記重合体は、ランダム共重合体であってもよいし、ブロック共重合体であってもよい。また、上記重合体は、カラーフィルターの各細部に必要とされる性能、例えば硬度や透明性等が確保できる限り、式(1)あるいは式(2)以外の主鎖構成単位を含んでいてもよい。そのようなモノマーとして具体的には、アクリロニトリル、スチレン等を例示することができる。
上記バインダー性エポキシ化合物中の式(1)の構成単位と式(2)の構成単位の含有量は、式(1)の構成単位を誘導する単量体と式(2)の構成単位を誘導する単量体との仕込み重量比(式(1)を誘導する単量体:式(2)を誘導する単量体)で表した時に、10:90〜90:10の範囲にあるのが好ましい。
式(1)の構成単位の量が上記の比10:90よりも過剰な場合には、硬化の反応点が少なくなって架橋密度が低くなるおそれがあり、一方、式(2)の構成単位の量が上記の比90:10よりも過剰な場合には、嵩高い骨格が少なくなって硬化収縮が大きくなるおそれがある。
また、上記バインダー性エポキシ化合物の重量平均分子量は、ポリスチレン換算重量平均分子量で表した時に3,000以上、特に4,000以上であることが好ましい。上記バインダー性エポキシ化合物の分子量が3,000よりも小さすぎるとカラーフィルターの細部としての硬化樹脂層に要求される強度、耐溶剤性等の物性が不足し易いからである。また、本発明に係るインクはインクジェット方式に用いられるので、上記バインダー性エポキシ化合物の重量平均分子量は、ポリスチレン換算重量平均分子量で表した時に20,000以下であることが好ましく、更に15,000以下であることが特に好ましい。当該分子量が20,000よりも大きすぎると粘度上昇が起こり易くなり、吐出ヘッドから吐出する時の吐出量の安定性や吐出方向の直進性が悪くなるおそれや、長期保存の安定性が悪くなるおそれがあるからである。
上記バインダー性エポキシ化合物としては、ポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)が上記範囲にあるグリシジルメタクリレート(GMA)/メチルメタクリレート(MMA)系共重合体を用いるのが特に好ましい。なお、GMA/MMA系共重合体は本発明の目的を達成し得るものである限り、他のモノマー成分を含有していてもよい。
上記バインダー性エポキシ化合物の合成例としては、例えば、温度計、還流冷却器、攪拌機、滴下ロートを備えた4つ口フラスコに、水酸基を含有しない溶剤を仕込み、攪拌しながら120℃に昇温する。水酸基を含有しない溶剤を用いるのは、合成反応の最中にエポキシ基が分解するのを避けるためである。次いで上記式(3)で表されるモノマー、上記式(4)で表されるモノマー、及び、必要に応じて他のモノマーを組み合わせた組成物と重合開始剤の混合物(滴下成分)を、2時間かけて滴下ロートより等速滴下する。滴下終了後、120℃に降温して触媒を追加し3時間反応させ、130℃に昇温し2時間保ったところで反応を終了することにより、上記バインダー性エポキシ化合物が得られる。
本発明に用いられる熱硬化性バインダーには、一分子中にエポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物であって、上記バインダー性エポキシ化合物よりも分子量が小さいもの(以下、「多官能エポキシ化合物」ということがある。)を用いても良い。中でも、上記バインダー性エポキシ化合物と当該多官能エポキシ化合物を併用することが好ましい。この場合、多官能エポキシ化合物のポリスチレン換算の重量平均分子量は、これと組み合わせるバインダー性エポキシ化合物よりも小さいことを条件に、4,000以下が好ましく、3,000以下が特に好ましい。
なお、エポキシ化合物のポリスチレン換算重量平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により求めることができ、測定条件としては、例えば、テトラヒドロフランを展開液とし、HLC−8029(東ソー株式会社製)を用いて測定することができる。
上記バインダー性エポキシ化合物には、エポキシ基(グリシジル基)が式(2)で表される構成単位によって導入されているため、上記共重合体の分子内に導入できるエポキシ量には限界がある。インクジェットインクに比較的分子量が小さい多官能エポキシ化合物を添加すると、インクジェットインク中にエポキシ基が補充されてエポキシの反応点濃度が増加し、架橋密度を高めることができる。
多官能エポキシ化合物の中でも、酸−エポキシ反応の架橋密度を上げるためには、一分子中にエポキシ基を4個以上有するエポキシ化合物を用いるのが好ましい。特に、本発明のインクジェットインクをインクジェット方式で用いる場合であって、インクジェット方式の吐出ヘッドからの吐出性を向上させるために前記バインダー性エポキシ化合物の重量平均分子量を10,000以下とした場合には、硬化樹脂層の強度や硬度が低下し易いので、そのような4官能以上の多官能エポキシ化合物をインクジェットインクに配合して架橋密度を充分に上げるのが好ましい。
多官能エポキシ化合物としては、一分子中にエポキシ基を2個以上含有するものであれば特に制限はなく、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ジフェニルエーテル型エポキシ樹脂、ハイドロキノン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリスヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、3官能型エポキシ樹脂、テトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールA含核ポリオール型エポキシ樹脂、ポリプロピレングリコール型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、グリオキザール型エポキシ樹脂、脂環型エポキシ樹脂、複素環型エポキシ樹脂などを使用できる。
より具体的には、商品名エピコート828(油化シェルエポキシ社製)などのビスフェノールA型エポキシ樹脂、商品名YDF−175S(東都化成社製)などのビスフェノールF型エポキシ樹脂、商品名YDB−715(東都化成社製)などの臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、商品名EPICLON EXA1514(大日本インキ化学工業(株
)社製)などのビスフェノールS型エポキシ樹脂、商品名YDC−1312(東都化成社製)などのハイドロキノン型エポキシ樹脂、商品名EPICLON EXA4032(大日本インキ化学工業(株)社製)などのナフタレン型エポキシ樹脂、商品名エピコートYX4000H(油化シェルエポキシ社製)などのビフェニル型エポキシ樹脂、商品名エピコート157S70(油化シェルエポキシ社製)などのビスフェノールA型ノボラック系エポキシ樹脂、商品名エピコート154(油化シェルエポキシ社製)、商品名YDPN−638(東都化成社製)などのフェノールノボラック型エポキシ樹脂、商品名YDCN−701(東都化成社製)などのクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、商品名EPICLON HP−7200(大日本インキ化学工業(株)社製)などのジシクロペンタジエンフェノール型エポキシ樹脂、商品名エピコート1032H60(油化シェルエポキシ社製)などのトリスヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、商品名VG3101M80(三井化学社製)などの3官能型エポキシ樹脂、商品名エピコート1031S(油化シェルエポキシ社製)などのテトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂、商品名デナコールEX−411(ナガセ化成工業社製)などの4官能型エポキシ樹脂、商品名ST−3000(東都化成社製)などの水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、商品名エピコート190P(油化シェルエポキシ社製)などのグリシジルエステル型エポキシ樹脂、商品名YH−434(東都化成社製)などのグリシジルアミン型エポキシ樹脂、商品名YDG−414(東都化成社製)などのグリオキザール型エポキシ樹脂、商品名エポリードGT−401(ダイセル化学社製)などの脂環式多官能エポキシ化合物、トリグリシジルイソシアネート(TGIC)などの複素環型エポキシ樹脂などを例示することができる。また、必要であれば、エポキシ反応性希釈剤として、商品名ネオトートE(東都化成社製)などを混合することができる。
これらの多官能エポキシ化合物の中でも、商品名エピコート157S70(油化シェルエポキシ社製)などのビスフェノールA型ノボラック系エポキシ樹脂、及び、商品名YDCN−701(東都化成社製)などのクレゾールノボラック型エポキシ樹脂が特に好ましい。
ii)硬化剤
本発明に用いられる熱硬化性バインダーには、通常、硬化剤が組み合わせて配合される。硬化剤としては、例えば、多価カルボン酸無水物または多価カルボン酸を用いる。
多価カルボン酸無水物の具体例としては、無水フタル酸、無水イタコン酸、無水コハク酸、無水シトラコン酸、無水ドデセニルコハク酸、無水トリカルバリル酸、無水マレイン酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水ジメチルテトラヒドロフタル酸、無水ハイミック酸、無水ナジン酸などの脂肪族または脂環族ジカルボン酸無水物;1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物などの脂肪族多価カルボン酸二無水物;無水ピロメリット酸、無水トリメリット酸、無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸などの芳香族多価カルボン酸無水物;エチレングリコールビストリメリテイト、グリセリントリストリメリテイトなどのエステル基含有酸無水物を挙げることができ、特に好ましくは、芳香族多価カルボン酸無水物を挙げることができる。また、市販のカルボン酸無水物からなるエポキシ樹脂硬化剤も好適に用いることができる。
また、本発明に用いられる多価カルボン酸の具体例としては、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ブタンテトラカルボン酸、マレイン酸、イタコン酸などの脂肪族多価カルボン酸;ヘキサヒドロフタル酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、シクロペンタンテトラカルボン酸などの脂肪族多価カルボン酸、およびフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸などの芳香族多価カルボン酸を挙げることができ、好ましくは芳香族多価カルボン酸を挙げることができる。
これら硬化剤は、1種単独でも2種以上の混合でも用いることができる。本発明に用いられる硬化剤の配合量は、エポキシ基を含有する成分(バインダー性エポキシ化合物と多官能エポキシ化合物)100重量部当たり、通常は1〜100重量部の範囲であり、好ましくは5〜50重量部である。硬化剤の配合量が1重量部未満であると、硬化が不充分となり、強靭な塗膜を形成することができない。また、硬化剤の配合量が100重量部を超えると、塗膜の基板に対する密着性が劣るうえに、均一で平滑な塗膜を形成することができない。
iii)触媒
本発明の熱硬化性バインダーには、硬化樹脂層の硬度および耐熱性を向上させるために、酸−エポキシ間の熱硬化反応を促進できる触媒を添加してもよい。そのような触媒としては、加熱硬化時に活性を示す熱潜在性触媒を用いることができる。
熱潜在性触媒は、加熱されたとき、触媒活性を発揮し、硬化反応を促進し、硬化物に良好な物性を与えるものであり、必要により加えられるものである。この熱潜在性触媒は、60℃以上の温度で酸触媒活性を示すものが好ましく、このようなものとしてプロトン酸をルイス塩基で中和した化合物、ルイス酸をルイス塩基で中和した化合物、ルイス酸とトリアルキルホスフェートの混合物、スルホン酸エステル類、オニウム化合物類等が挙げられ、前記特開平4−218561号公報に記載されているような各種の化合物を使用することができる。具体的には、(イ)ハロゲノカルボン酸類、スルホン酸類、リン酸モノ及びジエステル類などを、アンモニア、モノメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、エタノールアミン類などの各種アミン若しくはトリアルキルホスフィン等で中和した化合
物、(ロ)BF3、FeCl3、SnCl4、AlCl3、ZnCl2などのルイス酸を前述のルイス塩基で中和した化合物、(ハ)メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸などと第一級アルコール、第二級アルコールとのエステル化合物、(ニ)第一級アルコール類、第二級アルコール類のリン酸モノエステル化合物、リン酸ジエステル化合物等を挙げることができる。また、オニウム化合物としては、アンモニウム化合物[R3NR']+X-、スルホニウム化合物[R3SR']+X-、オキソニウム化合物[R3OR']+X-等を挙げることができる。なお、ここでR及びR'はアルキル、アルケニル、アリール、アルコキシ等である。
熱潜在性触媒は、1分子中に熱硬化性官能基を2個以上有する化合物及び硬化剤の合計100重量部に対して、通常は0.01〜10.0重量部程度の割合で配合する。
(2)光硬化性バインダー
i)重合体
紫外線、電子線等の光により重合硬化させることができる光硬化性樹脂を含むバインダーにおいては、成膜性や被塗工面に対する密着性を付与することを目的として比較的分子量の高い重合体を含むことが好ましい。ここでいう比較的分子量が高いとは、所謂モノマーやオリゴマーよりも分子量が高いことをいい、重量平均分子量5,000以上を目安にすることができる。比較的分子量の高い重合体としては、それ自体は重合反応性のない重合体、及び、それ自体が重合反応性を有する重合体のいずれを用いてもよく、また、2種以上を組み合わせて用いても良い。そして、比較的分子量の高い重合体を主体とし、必要に応じて、多官能のモノマーやオリゴマー、単官能のモノマーやオリゴマー、光により活性化する光重合開始材、及び、増感剤などを配合して、光硬化性バインダーを構成する。
それ自体は重合反応性のない重合体を比較的分子量の高い重合体として用いる場合には、バインダーに、2官能以上の多官能モノマー、オリゴマーのような多官能重合性成分を配合する。この場合、バインダー内において、多官能重合性成分が光照射によりそれ自体が自発的に重合するか、或いは、光照射により活性化した光重合開始剤等の他の成分の作用により重合して塗工膜中にネットワーク構造を形成し、当該ネットワーク構造内に重合反応性のない樹脂や顔料などの成分が包み込まれて硬化する。
そのような重合反応性のない重合体としては、例えば、次のモノマーの2種以上からなる共重合体を用いることができる:アクリル酸、メタクリル酸、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、スチレン、ポリスチレンマクロモノマー、及びポリメチルメタクリレートマクロモノマー。
より具体的には、メタクリル酸/ベンジルメタクリレート共重合体、メタクリル酸/ベンジルメタクリレート/スチレン共重合体、ベンジルメタクリレート/スチレン共重合体、ベンジルメタクリレートマクロモノマー/スチレン共重合体、ベンジルメタクリレート/スチレンマクロモノマー共重合体などを例示することができる。
それ自体が重合反応性を有する重合体としては、非重合性バインダーの分子に重合性の官能基を導入してなるオリゴマー又はオリゴマーよりも大分子量のポリマーであって、光照射を受けてそれ自体が重合反応を生じるか、或いは、光照射を受けて活性化した光重合開始剤などの他の成分の作用により重合反応を誘起するものを用いることができる。
各種のエチレン性二重結合含有化合物は、それ自体が重合反応性を有し、光硬化性樹脂として利用できる。従来において、例えばインク、塗料、接着剤などの各種分野で用いられているUVインクジェットインクに配合されているプレポリマーは、本発明における比較的分子量の高い重合体として使用できる。従来から知られているプレポリマーとしては、ラジカル重合型プレポリマー、カチオン重合型プレポリマー、チオール・エン付加型プレポリマーなどがあるが、いずれを用いてもよい。
この中で、ラジカル重合型プレポリマーは、市場において最も容易に入手でき、例えば、エステルアクリレート類、エーテルアクリレート類、ウレタンアクリレート類、エポキシアクリレート類、アミノ樹脂アクリレート類、アクリル樹脂アクリレート類、不飽和ポリエステル類などを例示できる。
中でも、本発明において好適に用いることができる比較的分子量の高い重合体としては、以下のグラフトポリマーが挙げられる。
本発明において好適に用いられるグラフトポリマーは、重量平均分子量が5,000以上であり、且つ、主鎖及びグラフト部分のうちの一方がスチレン系モノマー単位を含有するスチレン系ポリマー鎖により構成され、他方がメタクリレート系モノマー単位を含有するメタクリレート系ポリマー鎖により構成されるグラフトポリマーである。
上記グラフトポリマーは、スチレン系ポリマー鎖により主鎖(幹部)が構成され、メタクリレート系ポリマー鎖によりグラフト部分が構成された構造を有していても良いし、逆に、メタクリレート系ポリマー鎖により主鎖が構成され、スチレン系ポリマー鎖によりグラフト部分が構成された構造を有していても良い。上記したうちでも、スチレン系ポリマー鎖により主鎖が構成され、メタクリレート系ポリマー鎖によりグラフト部分が構成された構造を有するものの方が好ましい。
スチレン系ポリマー鎖は、スチレン系モノマーを主成分とするポリマー鎖であって、ただ1種類のスチレン系モノマーの単独重合体であってもよいし、2種類以上のスチレン系モノマーの共重合体であってもよいし、スチレン系モノマーと他のモノマーとの共重合体であってもよい。
スチレン系モノマーとは、スチレンの他、アルキル置換スチレン(メチルスチレン、エチルスチレン、トリメチルスチレン、オクチルスチレンなど)、メトキシスチレン、αメチルスチレン等の、置換基が付いたスチレンモノマーを含む。
スチレン系モノマーと共重合させることができるモノマーとしては、各種の(メタ)アクリレートモノマーや、アクリロニトリル、アミド系モノマー等が挙げられる。
本発明に係るインクジェットインクに顔料を含む場合には、顔料分散性の観点からスチレン系ポリマー鎖は、スチレン系モノマー単位を50重量%以上の割合で含有するのが好ましく、さらには60重量%以上の割合で含有するのが特に好ましい。
メタクリレート系ポリマー鎖は、メタクリレートを主成分とするポリマー鎖であり、ただ1種類のメタクリレートの単独重合体であってもよいし、2種類以上のメタクリレートの共重合体であってもよいし、メタクリレートと他のモノマーとの共重合体であってもよい。
メタクリレート系モノマーとしては、アルキルメタクリレート(メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n‐ブチルメタクリレート、iso‐ブチルメタクリレート、tert‐ブチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、オクチルメタクリレート、ラウリルメタクリレートなど)、ベンジルメタクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、テトラヒドロフタルイミドエチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート、ブトキシエチルメタクリレート、等が挙げられる。Tgが30℃以上のグラフトポリマーが得られるようにメタクリレート系モノマーを選択して用いるのが好ましい。Tgが30℃未満のグラフトポリマーは、硬化後の皮膜硬さが
低下するため、好ましくない。
また、メタクリレートと共重合させるモノマーとしては、アルキルアクリレート、ヒドロキシアルキルアクリレート、アミドモノマー、イミド基含有モノマー、アルキレングリコール(メタ)アクリレート、ダイセル化学製の商品名プラクセルFMシリーズ等を用いることができる。
メタクリレート系ポリマーは、比較的高いTgを有し、且つ、スチレンとミクロ相分離を起こすことから硬度・分散性の点で優れている。かかる観点から、メタクリレート系ポリマー鎖はメタクリレート系モノマー単位を50重量%以上の割合で含有するのが好ましく、さらに70重量%以上の割合で含有するのが特に好ましい。
上記グラフトポリマーは、エチレン性不飽和結合やエポキシ基等の光重合性基を有していてもよい。上記グラフトポリマーに光重合性基を導入することによって、反応硬化性を付与することができる。当該光重合性基が導入されたグラフトポリマーは、架橋点が向上して表面硬度が向上する点から、本発明において比較的分子量が高い光硬化性樹脂として好適に用いることができる。グラフトポリマーの重合性基がエチレン性不飽和結合である場合には、光ラジカル重合反応により硬化可能であり、当該重合性基がエポキシ基である場合には、光カチオン重合が可能である。特に、エチレン性不飽和結合を有するグラフトポリマーは、(メタ)アクリル系モノマー等のエチレン性不飽和結合含有モノマー及び/又はオリゴマーと組み合わせて用いることにより、反応硬化性に優れるインクジェットインクを得ることができる。光重合性基は、スチレン系ポリマー鎖又はメタクリレート系ポリマー鎖の一方又は両方に導入してよく、或いは、主鎖又はグラフト部の一方又は両方に導入してよい。
中でも、上記グラフトポリマーとしては、エチレン性不飽和結合をエチレン性不飽和結合当量で1200g/eq以下の割合で有し、且つ、主鎖及びグラフト部分のうちの一方がスチレン系モノマー単位を含有するスチレン系ポリマー鎖により構成され、他方がベンジルメタクリレートから誘導されるモノマー単位を含有するベンジルメタクリレート系ポリマー鎖により構成されるグラフトポリマーが好ましいグラフトポリマーとして挙げられる。メタクリレートモノマーの中でも、ベンジルメタクリレートは特に顔料分散性に優れているため、画素やブラックマトリックス層を形成するためのカラーフィルター用インクジェットインクに用いられることが好ましいからである。
当該グラフトポリマーは、スチレン系ポリマー鎖により主鎖(幹部)が構成され、ベンジルメタクリレート系ポリマー鎖によりグラフト部分が構成された構造を有していても良いし、逆に、ベンジルメタクリレート系ポリマー鎖により主鎖が構成され、スチレン系ポリマー鎖によりグラフト部分が構成された構造を有していても良い。上記したうちでも、スチレン系ポリマー鎖により主鎖が構成され、ベンジルメタクリレート系ポリマー鎖によりグラフト部分が構成された構造を有するものの方が好ましい。
当該グラフトポリマーのベンジルメタクリレート系ポリマー鎖は、ベンジルメタクリレートを主成分とするポリマー鎖であり、ベンジルメタクリレートの単独重合体であってもよいし、ベンジルメタクリレートと上述したような他のモノマーとの共重合体であってもよい。
ベンジルメタクリレート系ポリマー鎖は、ベンジルメタクリレートモノマー単位を30重量%以上の割合で含有するのが好ましく、50重量%以上の割合で含有するのが特に好ましい。
当該グラフトポリマーは、主鎖又はグラフト部分の少なくとも一方がエチレン性不飽和結合を有しており、光又は熱ラジカル重合反応により硬化可能である。当該グラフトポリマーのエチレン性不飽和結合当量は、1200g/eq以下である必要があり、700g/eq以下であるのが好ましい。ここで、エチレン性不飽和結合当量とは、グラフトポリマーの1グラム分子の重量を一分子中に含有されるエチレン性不飽和結合の数で除した値である。グラフトポリマーのエチレン性不飽和結合当量が1200g/eqを超える場合には、硬化後の皮膜硬度、及び耐溶剤性が不充分となる場合があり好ましくないからである。一方、エチレン性不飽和結合当量が1200g/eq以下のグラフトポリマーは、一分子中に含まれるエチレン性不飽和結合が多いので耐溶剤性、硬度、強度、密着性などの諸物性に優れるからである。そして、吐出性を向上させるために分子量が比較的小さいグラフトポリマーを用いる場合でも、エチレン性不飽和結合当量が1200g/eq以下であれば充分に硬化させることができるので、吐出性に優れたインクが得られ、且つ、諸物性に優れる硬化皮膜を形成できるからである。
グラフトポリマーのグラフト(枝)部分/主鎖(幹)部分の重量比は、20/80〜80/20が好ましく、30/70〜70/30であることが好ましい。グラフト部分の重量比が20%を下回ると溶解性、粘度、流動性、吐出性等が悪くなるため、好ましくない。また主鎖部分の重量比が20%を下回ると、顔料分散性が悪くなり好ましくない。
さらに、上記グラフトポリマーの酸価やアミン価を変えることによって、インクの溶剤に対する溶解性、皮膜の耐溶剤性、顔料の分散安定性、染色性、膜硬度、膜強度、などの諸物性を調節できる。
上記グラフトポリマーの製造方法としては、(1)ポリマーとパーオキサイド触媒下で、モノマーを重合させて水素引き抜きにより後グラフトする方法、(2)片末端に官能基がついたポリマーと他の官能基がついたポリマーを付加反応させる方法、及び、(3)重合性ポリマー(マクロモノマー)とモノマーを共重合させる方法などを利用できるが、生成物の純度が高い点で、マクロモノマー法が好ましい。上記グラフトポリマーの合成手順としては、特開2002−201387号公報の段落番号0094〜0105の具体例を参考にすることができる。
なお、本発明に係るインクはインクジェット方式に用いられるインクであるため、インクの粘度が高すぎて吐出ヘッドからの吐出性に悪影響を及ぼさないように、比較的分子量の高い重合体の分子量は、重量平均分子量で25,000以下であることが好ましい。
比較的分子量の高い重合体は、インクジェットインクの固形分全量に対して、1〜50重量%の割合で配合するのが好ましい。
ii)多官能重合性成分
それ自体が重合硬化できる重合性を有する比較的分子量の高い重合体を用いる場合にも、塗膜の強度や基盤に対する密着性を向上させるためには、多官能のモノマーやオリゴマーなどの多官能重合性成分を配合するのが好ましい。重合性を有する比較的分子量の高い重合体の分子は、比較的分子量の高い重合体同士で重合するだけでなく、多官能モノマー等の他の重合性成分とも重合してネットワークを形成し、硬化する。
塗工膜のネットワーク構造を形成する多官能重合性成分としては、2官能以上のモノマー又はオリゴマーを用いることができる。光硬化性樹脂に十分な膜強度や密着性を付与するために、通常は4官能以上のモノマーやオリゴマーが用いられている。
しかしながら、特に、本発明に係るインクはインクジェット方式のインクとして用いるため、比較的分子量の高い重合体以外の重合性成分としては、官能基数が比較的少ない2官能乃至3官能のモノマー又はオリゴマーやモノマーを主体として用いるのが好ましく、粘度が100cps以下の2乃至3官能モノマーを用いるのが特に好ましい。インクジェット方式の吹き付け作業中に、ヘッドの先端での粘度上昇が起こり難くなり、ヘッドの目詰まりが発生せず、作業中におけるインクの吐出性が安定するため、インクの吐出量や吐出方向が安定し、インクを基板上に所定のパターン通り正確に、且つ、均一に付着させることができるからである。
2官能乃至3官能のモノマーとしては、例えば、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、3−ブチレングリコールジメタクリレート等を例示することができる。
本発明に係るインクジェットインクにおいて、2乃至3官能モノマーの配合割合は、インクジェットインクの固形分全量に対して、20〜70重量%の割合で配合することが好ましい。
2乃至3官能モノマーの配合割合が全固形分の20重量%に満たない場合には、インクジェットインクがモノマーによって十分に希釈されず、インクの粘度が初めから高いか或いは溶剤分の揮発後に高くなり、インクジェットヘッドのノズルの目詰まりを起こすおそれがある。また、2乃至3官能モノマーの配合割合が全固形分の70重量%を超える場合には、塗膜の架橋密度が低くなり、塗膜の耐溶剤性、密着性、硬さが劣り、十分な特性が得られなくなるおそれがあるからである。
ただし、インクジェットインク中に配合される多官能モノマーが全て2乃至3官能性モノマーである場合には、インクの乾燥による粘度上昇が起こり難いので、インクジェットヘッドの吐出性が安定するが、その反面、インク層を硬化して得られた硬化層の膜強度、基板に対する密着性、耐溶剤性等が不十分となる場合がある。そこで、上記の2乃至3官能モノマーと共に、4官能以上の多官能モノマーやオリゴマーを適量配合することにより架橋密度を上げて、硬化層のパターンに十分な膜強度と密着性を付与することができる。
4官能以上の多官能モノマー、オリゴマーとしては、例えば、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート等を例示することができる。
4官能以上の多官能成分は、インクジェットインクの固形分全量に対して、通常、1〜30重量%の割合で配合することが好ましい。本発明に係るインクジェットインクは、2乃至3官能性モノマーによる吐出性安定化と、4官能以上の多官能成分による強度及び密着性向上のバランスをとるために、2乃至3官能性モノマー100重量部に対して、4官能以上の多官能成分の配合割合を、通常は1〜50重量部とし、好ましくは当該配合割合の下限を2重量部以上とし、且つ/又は、当該配合割合の上限を35重量部以下とするのが好ましい。
4官能以上の多官能成分の配合割合が前記2乃至3官能性モノマー100重量部に対して1重量部に満たない場合には、インクを硬化させた後の硬さ、耐溶剤性などの特性が十分に得られないおそれがある。また、4官能以上の多官能成分の前記配合割合が50重量部を超える場合には、インクの硬化速度が遅くなり、プロセススピードが遅くなるおそれがあるからである。
iii)単官能重合性成分
また、光硬化性バインダーには、必要に応じて、単官能のモノマー、オリゴマーを配合してもよい。
単官能のモノマー、オリゴマーとしては、例えば、スチレン、酢酸ビニル等のビニルモノマーや、n−ヘキシルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート等の単官能アクリルモノマーを例示することができる。
iv)光重合開始剤
光硬化性バインダーには、通常、使用する光源の波長に対して活性を有する光重合開始剤が配合される。光重合開始剤は、バインダーや多官能モノマーの反応形式の違い(例えばラジカル重合やカチオン重合など)や、各材料の種類を考慮して適宜選択されるが、例えば、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モンフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニル−フォスフィンオキサイド、ビスアシルフォスフィンオキサイド、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−(3−ジメチルアミノ−2−ヒドロキシプロポキシ)−3,4−ジメチル−9H−チオキサントン−9−オンメソクロライド、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−ベンゾイル−4'−メチル−ジフェニルサルファイド、3,3',4,4'−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、1,3,5−トリアクロイルヘキサヒドロ−s−トリアジン、2−〔2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔2−(フラン−2−イル)エテニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、メチルベンゾイルホルメート、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイドなどの光重合開始剤を用いることができる。
また、硬化インク層に十分な密着性、強度、硬度を付与するためには、顔料やその他の成分を含めたインクの固形分全量に占める熱硬化性及び/又は光硬化性バインダー成分の合計割合を50重量%以上とするのが好ましい。
(溶剤)
本発明のカラーフィルター用インクジェットインクには、当該インクを高濃度液又は直ちにヘッドから吐出できるように調製するために、必要に応じて溶剤を配合する。
本発明のカラーフィルター用インクジェットインクを、保存用の高濃度インク又は直ちに塗工可能な濃度のインクに調製するために、固形分を好適に溶解及び分散させる溶剤であれば、特に限定されない。
本発明のインクジェットインクは、沸点が180℃〜260℃、特に210℃〜260℃で且つ常温(特に18℃〜25℃の範囲)での蒸気圧が0.5mmHg以下、特に0.1mmHg以下の溶剤成分を主溶剤として用い、そのような主溶剤を溶剤の全量に対して80質量%以上、特に85質量%以上の割合で配合するのが好ましい。このような溶剤を用いる場合には、適度な乾燥性及び蒸発性を有するため、ヘッドから吐出した時の直進性、安定性に優れ、更に効率よく乾燥させることができる結果、インクジェット方式により基板表面に所定のパターンに合わせて吐出すると、画素部等を正確且つ均一に形成することができるからである。また、主溶剤の表面張力は、常温で29mN/m以上であることが好ましい。
沸点が180℃〜260℃で且つ常温での蒸気圧が0.5mmHg以下の溶剤成分は適度な乾燥性及び蒸発性を有している。そのため、このような溶剤成分を高い配合割合で含有する単独溶剤又は混合溶剤を用いると、インクジェットインクが吐出ヘッドのノズル先端において急速には乾燥しないので、インクの急激な粘度上昇や目詰まりが発生せず、吐出の直進性や安定性に悪影響を及ぼさないで済む。それと共に、被吐出面に吹き付けた後は乾燥が適度な速度で進行するので、インクが被塗布面になじんで塗工膜表面が水平且つ滑らかになってから、自然乾燥又は一般的な加熱工程によってインクを速やかに且つ完全に乾燥させることができる。湿潤剤や極めて沸点の高い溶剤を用いる場合と比べて、乾燥工程後の塗膜中に溶剤が残留するおそれも少ない。
有機溶剤は、必要に応じて主溶剤以外の溶剤成分を少量ならば含有していても良い。しかしながら、その場合でも、上記した沸点と蒸気圧を有する主溶剤を溶剤全量に対して80質量%以上の割合で使用することが好ましい。主溶剤の割合が溶剤全量の80質量%に満たない場合には、インクジェット方式に適した乾燥性、蒸発性を確実に得ることができない場合がある。
主溶剤は、できるだけ高い配合割合で用いるのが望ましく、具体的には少なくとも80質量%以上、好ましくは85質量%以上とし、できるだけ100質量%とするのが望ましい。
基板表面に濡れ性可変層を形成し露光することにより、基板上のインク層を形成したい部分に親インク性領域を形成し、当該親インク性領域に本発明のインクジェットインクをインクジェット方式によって選択的に付着させる場合には、主溶剤として、JIS K6768に規定する濡れ性試験において示された標準液を用い、液滴を接触させて30秒後の接触角(θ)を測定し、ジスマンプロットのグラフにより求めた臨界表面張力が30mN/mの試験片の表面に対する接触角が25°以上、好ましくは30°以上を示し、且つ、同じ測定法により求めた臨界表面張力が70mN/mの試験片の表面に対する接触角が10°以下を示すものを選択して用いてもよい。
濡れ性に関して上記挙動を示す溶剤を用いてインクを調製すると、インクは、後述する濡れ性可変層の濡れ性を変化させる前は当該濡れ性可変層の表面に対して大きな反撥性を示し、当該濡れ性可変層の濡れ性を変化させて親水性が大きくなる方向に変化させた後は当該濡れ性可変層の表面に対して大きな親和性を示す。従って、濡れ性可変層の表面の一部を選択的に露光して形成した親インク性領域に対するインクの濡れ性と、その周囲の領域に対する撥インク性領域の濡れ性の差を大きくとることができるようになり、親インク性領域にインクジェット方式で吹き付けたインクが、親インク性領域の隅々にまで均一に濡れ広がる。その結果、微細且つ精緻なインク層のパターンをインクジェット方式により形成できるようになる。
ここで、臨界表面張力に関し上記特性を有する試験片は如何なる材料で形成されていても差し支えない。臨界表面張力30mN/mを示す試験片としては、例えば、表面が平滑なポリメチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレンテレフタレート、平滑なガラス表面に前記ポリマーや表面改質剤等を塗布したものの中から実際に上記試験を行って該当するものを選択することができる。また、臨界表面張力70mN/mを示す試験片としては、例えば、ナイロンや親水化処理したガラス表面等を塗布したものの中から実際に上記試験を行って該当するものを選択することができる。
主溶剤は、以下に示すような溶剤の中から選んで用いることができる:エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテルのようなグリコールエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテートのようなグリコールエーテルエステル類;ジエチレングリコールモノメチルエーテルのようなグリコールオリゴマーエーテル類;ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテートのようなグリコールオリゴマーエーテルエステル類;酢酸エチル、安息香酸プロピルのような脂肪族又は芳香族エステル類;炭酸ジエチルのようなジカルボン酸ジエステル類;3−メトキシプロピオン酸メチルのようなアルコキシカルボン酸エステル類;アセト酢酸エチルのようなケトカルボン酸エステル類;エタノール、イソプロパノール、フェノールのようなアルコール類又はフェノール類;ジエチルエーテル、アニソールのような脂肪族又は芳香族エーテル類;2−エトキシエタノール、1−メトキシ−2−プロパノールのようなアルコキシアルコール類;ジエチレングリコール、トリプロピレングリコールのようなグリコールオリゴマー類;2−エトキシエチルアセテートのようなアルコキシアルコールエステル類;アセトン、メチルイソブチルケトンのようなケトン類。
また、本発明に係るカラーフィルター用インクジェットインクには顔料が含まれるため、特に溶剤の大部分を占める主溶剤としては、顔料の分散性、分散安定性の点から、水酸基を含有しないものを用いることが好ましい。
主溶剤として好ましいものとしては、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、アジピン酸ジエチル、シュウ酸ジブチル、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、コハク酸ジメチル、及び、コハク酸ジエチルなどを例示することができる。これらの溶剤は、沸点が180℃〜260℃で且つ常温での蒸気圧が0.5mmHg以下の要求を満たしているだけでなく、分子中に水酸基を有していない点でも好ましい。さらに、これらの溶剤は、3−メトキシブチルアセテートやプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)のような従来から顔料分散液の調製に用いられている分散性の高い溶剤と混合し或いは混合せずそのまま分散溶剤として用い、顔料分散液を調製することができる。
好ましいものとして例示した上記溶剤は、JIS K6768に規定する濡れ性試験において示された標準液を用い、液滴を接触させて30秒後の接触角(θ)を測定し、ジスマンプロットのグラフにより求めた臨界表面張力が30mN/mの試験片の表面に対する接触角が25°以上を示し、且つ、同じ測定法により求めた臨界表面張力が70mN/mの試験片の表面に対する接触角が10°以下を示すという要求も満たしている。従って、これらの溶剤は、基板表面に濡れ性可変層を設けて露光し、露光部分と未露光部分の間の濡れ性の差を利用してインクジェットインクを選択的に付着させる場合にも、主溶剤として好適に用いることができる。
また、溶剤中に水分が混入している場合も溶剤中に水分子の水酸基が存在することになるので、水酸基を有する溶剤を用いる場合と同様の問題を生じるおそれがある。従って、酸−エポキシ間の架橋反応系から水分を実質的に排除するために、水との混和性の低い有機溶剤を用いてインクジェットインクを調製するのが好ましい。かかる観点から、インクジェットインクを調製する溶剤の水に対する溶解性は、液温が20℃の水100重量部に対して20重量部以下であることが好ましい。
具体例として挙げた上記主溶剤の中では、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテートは水酸基を有しておらず、また、液温が20℃の水100重量部に対する溶解性も6.5重量部と低い水混和性を示すので、特に好ましい。
溶剤は、当該溶剤を含むインクジェットインクの全量に対して、通常は40〜95質量%の割合で用いてインクジェットインクを調製する。溶剤が少なすぎると、インクジェットインクの粘度が高く、インクジェットインクの場合にはインクジェットヘッドからの吐出が困難になる。また、溶剤が多すぎると、所定の濡れ性変化部位(インク層形成部位)に対するインク盛り量(インク堆積量)が充分でないうちに当該濡れ性変化部位に堆積させたインクの膜が決壊し、周囲の未露光部へはみ出し、さらには隣の濡れ性変化部位(インク層形成部位)にまで濡れ広がってしまう。言い換えれば、インクを付着させるべき濡れ性変化部位(インク層形成部位)からはみ出さないで堆積させることのできるインク盛り量が不充分となり、乾燥後の膜厚が薄すぎて、それに伴い充分な透過濃度を得ることができなくなる。
(顔料分散剤)
顔料分散剤は、顔料を良好に分散させるためにインクジェットインク中に必要に応じて配合される。顔料分散剤としては、例えば、カチオン系、アニオン系、ノニオン系、両性、シリコーン系等の界面活性剤や、特殊アクリル系重合体などを使用できる。界面活性剤の中でも、次に例示するような高分子界面活性剤(高分子分散剤)が好ましい。
すなわち、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類;ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類;ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート等のポリエチレングリコールジエステル類;ソルビタン脂肪酸エステル類;脂肪酸変性ポリエステル類;3級アミン変性ポリウレタン類などの高分子界面活性剤が好ましく用いられる。
上記顔料分散剤の含有量は、固形分全体に対して1〜60重量%、更に固形分全体に対して15〜40重量%であることが好ましい。
(その他の成分)
更に、本発明のカラーフィルター用インクジェットインクには、必要に応じて、その他の添加剤を1種又は2種以上配合することができる。そのような添加剤としては、次のようなものを例示できる。
a)充填剤:例えば、ガラス、アルミナなど。
b)密着促進剤:例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシランなど。
c)紫外線吸収剤:例えば、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、アルコキシベンゾフェノンなど。
d)凝集防止剤:例えば、ポリアクリル酸ナトリウムなど。
また、本発明のカラーフィルター用インクジェットインクにおいて、顔料(P)と顔料以外の固形分(V)の重量比(P/V)は、0.3〜1.5であることが好ましく、更に0.3〜0.7であることが、所定の膜厚(通常は0.1〜2.0μm)に塗布した際の透過濃度を充分にしながらパターニング時に形成領域からのインクの決壊を防ぐ点から好ましい。
(インクの物性)
本発明に係るカラーフィルター用インクジェットインクは、JIS K6768に規定する濡れ性試験において示された標準液を用い、液滴を接触させて30秒後の接触角(θ)を測定し、ジスマンプロットのグラフにより求めた臨界表面張力が70mN/mの試験片の表面に対する接触角が10°以下を示すことが、インクの濡れ広がり性がよくなり画素の色抜けを防止し易い点から好ましい。なお、画素の色抜けは、画素形成領域の一部に着色層が存在せずに白く見える部分が生じることをいう。インクジェット用インクは、当該接触角が大きくなりすぎると、インクの濡れ広がり性が悪化し、画素形成時に隅々にまでインクが広がらず、画素の色抜けが発生する場合があるからである。
(インクの製造方法)
本発明のカラーフィルター用インクジェットインクは、各成分を単独溶剤又は混合溶剤である溶剤に投入して混合し、固形成分を溶解又は分散させて製造しても良い。
しかしながら、顔料をバインダー等の他の成分と共に溶剤全体中に直接投入し攪拌混合すると、顔料を溶剤中に十分に分散させられないことが多い。そこで通常は、顔料の分散性及び分散安定性が良好な溶剤を用意し、そこに顔料を顔料分散剤と共に投入してディソルバーなどにより十分攪拌し、顔料分散液を調製する。そして、得られた顔料分散液を、顔料以外の成分と共に、ほとんど主溶剤からなるか又は主溶剤のみからなる溶剤に投入し、ディソルバーなどにより十分に攪拌混合することによって、本発明に係るインクジェットインクとすることができる。
顔料分散液を投入する残部の溶剤としては、最終的な溶剤全体の組成から顔料分散液の調製に用いた溶剤の分を差し引いた組成を有するものを用い、最終濃度にまで希釈してインクジェットインクを完成させても良い。また、顔料分散液を比較的少量の主溶剤に投入して高濃度のインクジェットインクを調製しても良い。高濃度のインクジェットインクは、そのまま保存し、使用直前に最終濃度に希釈してインクジェット方式に使用することができる。
本発明においては、特に、主溶剤として沸点が180℃〜260℃で且つ常温での蒸気圧が0.5mmHg以下の溶剤成分の配合割合を溶剤全体の90重量%以上用いる場合には、顔料分散液の調製時に3−メトキシブチルアセテートやプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)のような従来から用いられている分散溶剤を十分な量だけ用いることができない場合がある。その場合には、主溶剤として使用可能な溶剤の中から顔料の分散性、分散安定性が比較的良好なものを選択し、従来から用いられている分散溶剤と混合したものを分散溶剤として用いるか、或いは、主溶剤をそのまま分散溶剤として用いる。
(用途)
本発明に係るカラーフィルター用インクジェットインクは、カラーフィルターにおいて画素やブラックマトリックス等、所定のパターンを有する膜を形成するのに特に好適に用いられる。カラーフィルターとしては、液晶表示装置等の画像出力装置に用いられるカラーフィルター、或いは固体撮像素子等の画像入力装置に用いられるカラーフィルターのいずれにも好適に用いることができる。
2.カラーフィルター
本発明に係るカラーフィルターは、透明基板と、当該透明基板上に設けられた画素とを少なくとも備えるカラーフィルターであって、該画素がフッ素系界面活性剤及び/またはその化学変化体を含むことを特徴とする。
本発明に係るカラーフィルターにおいては、画素がフッ素系界面活性剤及び/またはその化学変化体を含むことにより、表面荒れが抑えられて、表面平滑性に優れる。その結果、画素への入射光が散乱されたり屈折されることが低減され、画素への入射光が損失なくそのまま透過することが可能になり、フッ素系界面活性剤及び/またはその化学変化体を含まない場合に比べて、表示ムラが低減され、コントラストが向上したカラーフィルターを得ることが可能である。
中でも、本発明に係るカラーフィルターにおいて、画素が上記本発明に係るインクジェットインクを用いて形成された場合には、コスト低減を実現可能で、且つ、上述のように画素の表面荒れが低減されたカラーフィルターを得ることができる。
図2は、本発明に係るカラーフィルターの一例(カラーフィルター103)を示す縦断面図である。このカラーフィルター103は、透明基板5に所定のパターンで形成されたブラックマトリックス6と、当該ブラックマトリックス上に所定のパターンで形成した画素7(7R,7G,7B)と、当該画素を覆うように形成された保護膜8を備えている。また、保護膜8上に液晶駆動用の透明電極膜9が形成されている。カラーフィルター103の最内面、この場合には透明電極上には、配向膜10が形成されている。
柱状スペーサー12は凸状スペーサーの一形状であり、ブラックマトリックス層6が形成された領域(非表示領域)に合わせて、透明電極9上の所定の複数箇所(図2では5箇所)に形成されている。柱状スペーサー12は、透明電極9上若しくは画素7上若しくは保護膜8上に形成される。カラーフィルター102においては、保護膜8上に透明電極膜9を介して柱状スペーサーが海島状に形成されているが、保護膜8と柱状スペーサー12を一体的に形成し、その上を覆うように透明電極膜9を形成しても良い。また、カラーフィルターがブラックマトリックス層を備えていない場合には、画素を形成していない領域に柱状スペーサーを形成することができる。
(透明基板)
透明基板5としては、従来よりカラーフィルターに用いられているものであれば特に限定されるものではないが、例えば石英ガラス、パイレックスガラス(登録商標)、合成石英板等の可とう性のない透明なリジット材、あるいは透明樹脂フィルム、光学用樹脂板等の可とう性を有する透明なフレキシブル材を用いることができる。この中で特にコーニング社製7059ガラスは、熱膨脹率の小さい素材であり寸法安定性および高温加熱処理における作業性に優れ、また、ガラス中にアルカリ成分を含まない無アルカリガラスであるため、アクティブマトリックス方式によるカラー液晶表示装置用のカラーフィルターに適している。本発明においては、通常、透明基板を用いるが、反射性の基板や白色に着色した基板でも用いることは可能である。また、基板は、必要に応じてアルカリ溶出防止やガスバリア性付与その他の目的で表面処理を施したものを用いてもよい。
(画素)
本発明に係るカラーフィルターの画素は、フッ素系界面活性剤及び/またはその化学変化体を含むことが特徴的である。
ここでフッ素系界面活性剤とは、上記本発明に係るインクジェットインクにおいて述べたものと同様のものであるので、ここでの説明は省略する。
また、フッ素系界面活性剤の化学変化体とは、カラーフィルター形成時や使用時に熱や光等によってフッ素系界面活性剤が化学反応を引き起こして変化したものをいう。
また、本発明に係るカラーフィルターにおいて、上記フッ素系界面活性剤の含有量は、画素全体に対して0.0005〜5重量%、更に0.005〜0.5重量%、特に0.005〜0.2重量%であることが、画素表面の平滑性が高くなる点から好ましい。ここで、画素全体に対してとは、画素すなわち着色層を形成する固形分全体に対する値をいう。
更に、本発明に係るカラーフィルターにおいて、上記画素におけるP/V比は、0.3〜1.5であることが好ましく、更に0.3〜0.7であることが、所定の膜厚(通常は0.1〜2.0μm)に塗布した際の透過濃度を充分にしながらパターニング時に形成領域からのインクの決壊を防ぐ点から好ましい。
画素は、通常、赤(R)、緑(G)、および青(B)の3色で形成される。画素における着色パターン形状は、ストライプ型、モザイク型、トライアングル型、4画素配置型等の公知の配列とすることができ、着色面積は任意に設定することができる。
本発明のカラーフィルターにおいて、この画素を形成する方法としては特に限定されるものではないが、後述するように、上記本発明に係るインクジェットインクを用いてインクジェット方式により形成されることが好ましい。これにより、高精細に画素を形成することができる上、コスト低減や歩留まり向上を実現可能で、且つ、表面荒れが低減された画素を有するカラーフィルターを得ることができるからである。
画素の厚さは、通常0.5〜2.5μm程度とする。また、赤色画素7Rが最も薄く、緑色画素7G、青色画素7Bの順に厚くなるというように各色の画素の厚さを変えて、各色ごとに最適な液晶層厚みに設定してもよい。
また、本発明に係るカラーフィルターにおいては、前記画素の表面粗度(Ra)は、10nm以下であることが、更に7.5nm以下、特に5nm以下であることが、コントラストが向上する点から好ましい。ここで、表面粗度(Ra)は、下記式で求められる算術平均粗さをいう。
Figure 2007003945
式中、Nは測定の際の基準長さに対する分割数であり、Rnは、表面に対する厚み方向を高さとした時の、分割した区画nの平均高さからの偏差である。表面粗度(Ra)は、AFM(atomic force microscope;原子間力顕微鏡)により測定することができる。
(ブラックマトリックス層)
ブラックマトリックス層6は、表示画像のコントラストを向上させるために、画素7R,7G,7Bの間及び画素形成領域の外側を取り囲むように設けられる。ブラックマトリックス層6は、スパッタリング法、真空蒸着法等によるクロム等の金属薄膜であっても良い。或いは、ブラックマトリックス層6は、樹脂バインダー中にカーボン微粒子、金属酸化物、無機顔料、有機顔料等の遮光性粒子を含有させた樹脂層であってもよい。遮光性粒子を含有させた樹脂層の場合には、感光性レジストを用いて現像によりパターニングする方法と、遮光性粒子を含有するインクジェットインクを用いてパターニングする方法がある。ブラックマトリックス層6としては、遮光性粒子を含有する上記本発明に係るインクジェットインクを用いて形成しても良い。
ブラックマトリックス層の厚さは、金属薄膜の場合は0.1〜0.2μm程度とし、遮光性樹脂層の場合は、0.5〜2.5μm程度とする。
(保護膜)
保護膜8は、カラーフィルターの表面を平坦化すると共に、画素7に含有される成分が液晶層に溶出するのを防止するために設けられる。保護膜8は、公知のネガ型の光硬化性透明樹脂組成物又は熱硬化性透明樹脂組成物を、スピンコーター、ロールコーター、スプレイ、印刷等の方法により、ブラックマトリックス層6及び画素7を覆うように塗布し、光又は熱によって硬化させることによって形成できる。
保護膜8の厚みは、使用される材料の光透過率、カラーフィルターの表面状態等を考慮して設定することができ、例えば、0.1〜2.0μmの範囲で設定することができる。
(スペーサー)
凸状スペーサーは、カラーフィルター103をTFTアレイ基板等の液晶駆動側基板と貼り合わせた時にセルギャップを維持するために、基板上の非表示領域に複数設けられる。凸状スペーサーの形状及び寸法は、基板上の非表示領域に選択的に設けることができ、所定のセルギャップを基板全体に渡って維持することが可能であれば特に限定されない。凸状スペーサーとして図示したような柱状スペーサー12を形成する場合には、2〜10μm程度の範囲で一定の高さを持つものであり、突出高さ(パターンの厚み)は液晶層に要求される厚み等から適宜設定することができる。また、柱状スペーサー12の太さは5〜20μm程度の範囲で適宜設定することができる。また、柱状スペーサー12の形成密度(密集度)は、液晶層の厚みムラ、開口率、柱状スペーサーの形状、材質等を考慮して適宜設定することができるが、例えば、赤色、緑色及び青色の各画素の1組に1個の割合で必要充分なスペーサー機能を発現する。このような柱状スペーサーの形状は柱状であればよく、例えば、円柱状、角柱状、截頭錐体形状等であっても良い。
凸状スペーサーは、例えば、硬化性樹脂組成物の塗工液をスピンコーター、ロールコーター、スプレイ、印刷等の方法により透明基板上に直接、又は、透明電極等の他の層を介して塗布し、乾燥して、硬化性樹脂層を形成する。スピンコーターの回転数は、保護膜を形成する場合と同様に500〜1500回転/分の範囲内で設定すればよい。通常、スペーサーを形成するためのインクジェットインクは光硬化性インクジェットインクが好適に用いられるため、次に、この樹脂層を凸状スペーサー用フォトマスクを介して露光し、アルカリ液のような現像液により現像して所定の凸状パターンを形成し、この凸状パターンを必要に応じてクリーンオーブン等で加熱処理(ポストベーク)することによって凸状スペーサーが形成される。
凸状スペーサーは、カラーフィルター上に直接又は他の層を介して間接的に設けることができる。例えば、カラーフィルター上にITO等の透明電極又は保護膜を形成し、その上に凸状スペーサーを形成しても良いし、カラーフィルター上に保護膜と透明電極をこの順に形成し、さらに透明電極上に凸状スペーサーを形成しても良い。
(透明電極)
透明電極9は、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO)等、およびそれらの合金等を用いて形成することができる。この透明電極の厚みは20〜500nm程度、好ましくは100〜300nm程度とすることできる。
(その他の層)
通常カラーフィルターに形成されるその他の部材をさらに含んでいても良い。例えば、インクジェット方式を用いてカラーフィルターが形成される場合には、画素間の隔壁があっても良い。インクジェット方式用の隔壁については、後述するインクジェット方式による製造方法のところで説明する。また、配向膜やその他の部材においては、通常カラーフィルターに用いられるものを用いて、通常の方法で形成することができる。
(カラーフィルターの製造方法)
次に、カラーフィルターの製造方法の一例として、上記本発明に係るカラーフィルター用インクジェットインクを用いて、インクジェット方式により製造する方法を説明する。
先ず、図3(A)に示すようにカラーフィルターの透明基板を準備する。
次に、図3(B)に示すように、透明基板5の一面側の画素部間の境界となる領域にブラックマトリックス層6を形成する。ブラックマトリックス層6として、金属薄膜を形成する場合には、当該薄膜をパターニングすることにより形成することができる。このパターニングの方法としては、スパッタリング法、真空蒸着法等の通常のパターニング方法を用いることができる。
また、ブラックマトリックス層6として、樹脂バインダー中にカーボン微粒子、金属酸化物、無機顔料、有機顔料等の遮光性粒子を含有させた層を形成する場合には、パターニングの方法としては、フォトリソグラフィー法、印刷法等一般的に用いられている方法を用いることができる。或いは、後述する画素7と同様にインクジェット方式を用いて形成しても良い。
次に、図3(C)に示すように、ブラックマトリックス層のパターンの幅方向中央に、ブラックマトリックス層よりも幅の狭い撥インク性隔壁20を必要に応じて形成する。このような撥インク性隔壁の組成は、撥インク性を有する樹脂組成物であれば、特に限定されるものではない。また、特に透明である必要はなく、着色されたものであってもよい。例えば、ブラックマトリックス層に用いられる材料であって、黒色の材料を混入しない材料等を用いることができる。具体的には、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ゼラチン、カゼイン、セルロース等の水性樹脂を1種または2種以上混合した組成物や、O/Wエマルジョン型の樹脂組成物、例えば、反応性シリコンをエマルジョン化したもの等を挙げることができる。取扱性および硬化が容易である点等の理由から、光硬化性樹脂が好適に用いられる。また、この撥インク性隔壁は、撥インク性が強いほど好ましいので、その表面をシリコン化合物や含フッ素化合物等の撥インク処理剤で処理したものでもよい。
撥インク性隔壁のパターニングは、撥インク性樹脂組成物の塗工液を用いる印刷や、光硬化性塗工液を用いるフォトリソグラフィーにより行うことができる。撥インク性隔壁の高さは、上述したようにインクジェット法により着色する際にインクが混色することを防止するために設けられるものであることから、ある程度高いことが好ましいが、カラーフィルターとした場合の全体の平坦性を考慮すると、画素の厚さに近い厚さであることが好ましい。具体的には、吹き付けるインクの堆積量によっても異なるが、通常は0.1〜2.0μmの範囲内であることが好ましい。
次に、R、G又はBの顔料が配合された上記本発明に係るカラーフィルター用インクジェットインクを用意する。そして、図3(D)に示すように、透明基板5の表面に、ブラックマトリックス層6のパターンにより画成された各色の画素形成領域21R、21G、21Bに、対応する色の画素形成用インクジェットインクをインクジェット方式により吹き付けてインク層を形成する。インク層は赤色パターン、緑色パターン及び青色パターンがモザイク型、ストライプ型、トライアングル型、4画素配置型等の所望の形態で配列されるように形成される。このインクの吹き付け工程において、インクジェットインクは、ヘッド22の先端部で粘度増大を起こし難く、良好な吐出性を維持し続ける必要がある。この場合、所定の画素形成領域内に、対応する色のインクを正確に、且つ、均一に付着させることができ、正確なパターンで色ムラや色抜けのない画素部を形成することができる。また、各色の画素形成用インクジェットインクを、複数のヘッドを使って同時に基板上に吹き付けることもできるので、印刷等の方法で各色ごとに画素部を形成する場合と比べて作業効率を向上させることができる。
次に、図3(E)に示すように、各色のインク層23R、23G、23Bを乾燥し必要に応じてプリベークした後、適宜露光及び/又は加熱することにより硬化させる。インク層を適宜露光及び/又は加熱すると、インクジェットインク中に含まれる硬化性樹脂の架橋要素が架橋反応を起こし、インク層が硬化する。
次に、図3(F)に示すように、透明基板の画素24R、24G、24Bを形成した側に、保護膜8を形成する。保護膜は、透明な樹脂組成物を用いて、スピンコーター、ロールコーター、スプレイ、印刷等の方法により形成できる。例えば、スピンコーターにより500〜1500回転/分の範囲内で塗工後、露光及び/又は加熱することにより硬化させて形成することが好ましい。
また、保護膜上の透明電極は、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO)等、およびそれらの合金等を用いて、スパッタリング法、真空蒸着法、CVD法等の一般的な方法により形成され、必要に応じてフォトレジストを用いたエッチング又は治具の使用により所定のパターンとすることができる。
その他においては、通常のカラーフィルターを形成する方法と同様の方法を用いて製造することができる。
3.液晶表示装置
更に、本発明に係る液晶表示装置は、表示側基板と液晶駆動側基板とを対向させ、両者の間に液晶を封入してなる液晶表示装置であって、前記表示側基板が前記本発明に係るカラーフィルターであることを特徴とする。
本発明に係る液晶表示装置は、上述のように表示不良が低減されたカラーフィルターを用いることから、高品質な液晶表示装置とすることができる。
上記のようにして得られるカラーフィルター103(表示側基板)と、TFTアレイ基板(液晶駆動側基板)を対向させ、両基板の内面側周縁部をシール剤により接合すると、両基板は所定距離のセルギャップを保持した状態で貼り合わされる。そして、基板間の間隙部に液晶を満たして密封することにより、本発明に係る液晶表示装置に属する、アクティブマトリックス方式のカラー液晶表示装置が得られる。
液晶表示装置におけるその他の構成及び製造方法は、通常用いられる構成及び方法を用いることができるので、ここでは説明を省略する。
本発明の液晶表示装置としては、上述したカラーフィルターを有するものであれば特に限定はされず、公知の液晶表示装置を挙げることができる。具体的には、IPS(In-Plane Switching)型、STN(Super Twisted Nematic)型、TN(Twisted Nematic)型、強誘電性型、反強誘電性型、MVAモード型等を挙げることができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
(製造例1:バインダー性エポキシ化合物の合成)
温度計、還流冷却器、攪拌機、滴下ロートを備えた4つ口フラスコに、表1に示す配合割合に従って、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(別名ブチルカルビトールアセテート、以下、BCAと示すことがある。)を40.7重量部仕込み、攪拌しながら加熱して140℃に昇温した。次いで、140℃の温度で第1表に記載した組成の単量体、及び、重合開始剤の混合物(滴下成分)54.7重量部を、2時間かけて滴下ロートより等速滴下した。滴下終了後、110℃に降温し重合開始剤及び水酸基を含有しない溶剤ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(BCA)の混合物(追加触媒成分)4.6重量部を添加し、110℃の温度を2時間保ったところで反応を終了することにより、表1に記載の特性を有するバインダー性エポキシ化合物が得られた。
Figure 2007003945
*1)表中の略号は以下の通りである。
GMA:グリシジルメタクリレート
MMA:メチルメタクリレート
パーブチルO:t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート(日本油脂(株)製商品名)
*2)重量平均分子量:ゲル浸透クロマトグラフィーによるポリスチレン換算の値である。
(製造例2:フッ素系界面活性剤の合成)
攪拌装置、コンデンサー、温度計を備えたガラスフラスコにフッ素化アルキル基含有(メタ)アクリルレート単量体(a−1)18重量部、シリコーン鎖含有エチレン性不飽和単量体(b−3−1)12重量部、分子量4000のエチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共重合体を側鎖にもつモノアクリレート化合物57重量部、テトラエチレングリコールの両末端がメタクリレート化された化合物4重量部、メチルメタクリレート9重量部、そして2−ブタノール350重量部を仕込み、窒素ガス気流中、還流下で、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル1重量部を添加した後、100℃にて15時間還流し重合を完成させた。
この重合体のゲルパーミエーショングラフによるポリスチレン換算分子量はMn=47000であった。この共重合体をフッ素系界面活性剤1とした。
(実施例1〜3、比較例1〜4:カラーフィルター用緑色インクジェットインクの調製)
(1)顔料分散液の調製
各顔料、顔料分散剤、及び有機溶剤を下記の割合で混合し、直径0.3mmのジルコニアビーズを500重量部加え、ペイントシェーカー(浅田鉄鋼社製)を用いて4時間分散し、PG36(C.I.ピグメントグリーン36)顔料分散液、PG7(C.I.ピグメントグリーン7)顔料分散液、PY138(C.I.ピグメントイエロー138)顔料分散液及びPY150(C.I.ピグメントイエロー150)顔料分散液を調製した。
[顔料分散液の組成]
・各顔料:10重量部
・顔料分散剤(Disperbyk161(ビックケミー・ジャパン製)(溶剤BCA中に固形分30重量%)):10重量部
・顔料分散補助剤(N−フェニルマレイミド/ベンジルメタクリレート共重合体(溶剤BCA中に固形分30重量%)):10重量部
・BCA(ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート):70重量部
(2)バインダーの調製
サンプル瓶にテフロン(登録商標)被覆した回転子を入れ、マグネチックスターラーに設置した。このサンプル瓶の中に、下記の割合に従って前記製造例1に記載のバインダー性エポキシ化合物、多官能エポキシ樹脂等を加え、室温で十分に攪拌溶解し、次いで、粘度調整のために希釈溶剤を加えて攪拌溶解した後、これを濾過してバインダー組成物を得た。
[バインダーの組成]
・製造例1のバインダー性エポキシ化合物(溶剤BCA中に固形分30重量%):11重量部
・多官能エポキシ樹脂(商品名エピコート154、油化シェルエポキシ製):2.2重量部
・ネオペンチルグリコールグリシジルエーテル:1.1重量部
・トリメリット酸:2.2重量部
・BCA(ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート):13.5重量部
上記調製したPG36顔料分散液19.25重量部、PG7顔料分散液13.65重量部、PY138顔料分散液24.64重量部及びPY150顔料分散液12.46重量部、及び、バインダー30重量部を充分に混合し、比較例4のインクジェットインクを調製した。その後、比較例4のインクジェットインクに、表2に示される配合割合で各界面活性剤等を添加し、実施例1〜3及び比較例1〜3のカラーフィルター用緑色インクジェットインクを得た。
Figure 2007003945
表中の略号は以下の通りである。
*3)製造例2で合成したフッ素系界面活性剤1(フッ素化アルキル基とエチレン性二重結合を含有するモノマー(A)及びシリコーン鎖とエチレン性二重結合を含有するモノマー(B)を少なくとも用いて重合されたフッ素系共重合体)
*4)R−08MH:フッ素系界面活性剤(商品名メガファックR−08MH:大日本インキ化学工業(株))
*5)F−445:フッ素系界面活性剤(商品名メガファックF445:大日本インキ化学工業(株))
*6)L−1985−50:アクリル系界面活性剤(商品名L−1985−50、楠本化成(株))
*7)EFKA3777:フルオロカーボン変性ポリマー(商品名EFKA3777、EFKA社)
*8)TSL8257:フルオロアルキルシラン(商品名TSL8257、GE東芝シリコーン(株))
*9)顔料分散液やバインダー成分等は固形分のみの重量部を表示し、インク中に含まれる溶剤は全て最下段に計上した。
[評価]
1.ムラ
基板上の塗膜形成部に、上記各インクジェットインクを用いて、インクジェット方式によって正確且つ均一に付着させた。
その後、120秒間10Torrで減圧乾燥を行い、更に、80℃のホットプレート上で10分間プリベークを行った。その後、クリーンオーブン内で、200℃で30分加熱してポストベークを行い、更に230℃で30分加熱してポストベークを行って、基板上に乾燥硬化後の平均膜厚が1.8μmとなる塗膜を形成した。
その結果、ムラの有無を、Na光源ランプによる反射ムラと透過ムラを目視で確認し、評価した。ムラがない場合を○、ムラがあった場合を×で示した。
また、テーブルライトで透過させた各塗膜の外観写真を図4に示す。
2.色度座標(x、y、輝度Y)
顕微分光測定器(オリンパス(株)製、OSP200)を使用して測定した。
3.表面粗度Raの測定
ムラの評価に用いた塗膜の表面粗度RaをAFMで測定した。AFMは日本ビーコ株式会社のNanoScopeIIIaを用いた。
(実施例4、比較例5:カラーフィルター用赤色インクジェットインクの調製)
(1)顔料分散液の調製
各顔料、顔料分散剤、及び有機溶剤を下記の割合で混合し、直径0.3mmのジルコニアビーズを500重量部加え、ペイントシェーカー(浅田鉄鋼社製)を用いて4時間分散し、PR254(C.I.ピグメントレッド254)顔料分散液及びPR177(C.I.ピグメントレッド177)顔料分散液を調製した。
[顔料分散液の組成]
・各顔料:10重量部
・顔料分散剤(Disperbyk161(ビックケミー・ジャパン製)(溶剤BCA中に固形分30重量%)):10重量部
・顔料分散補助剤(N−フェニルマレイミド/ベンジルメタクリレート共重合体(溶剤BCA中に固形分30重量%)):10重量部
・BCA(ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート):70重量部
(2)バインダーの調製
下記の割合に従って、実施例1に用いたバインダーと同様に調製した。
[バインダーの組成]
・製造例1のバインダー性エポキシ化合物(溶剤BCA中に固形分30重量%):10重量部
・多官能エポキシ樹脂(商品名エピコート154、油化シェルエポキシ製):2重量部
・ネオペンチルグリコールグリシジルエーテル:1重量部
・トリメリット酸:2重量部
・BCA(ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート):10重量部
上記調製したPR254顔料分散液68.85重量部及びPR177顔料分散液6.15重量部、及び、バインダー25重量部を充分に混合し、比較例5の赤色インクジェットインクを調製した。その後、比較例5のインクジェットインクに、表3に示される配合割合で界面活性剤を添加し、実施例4のカラーフィルター用赤色インクジェットインクを得た。
Figure 2007003945
(実施例5、比較例6:カラーフィルター用青色インクジェットインクの調製)
(1)顔料分散液の調製
各顔料、顔料分散剤、及び有機溶剤を下記の割合で混合し、直径0.3mmのジルコニアビーズを500重量部加え、ペイントシェーカー(浅田鉄鋼社製)を用いて4時間分散し、PB15:6(C.I.ピグメントブルー15:6)顔料分散液及びPV23(C.I.ピグメントバイオレット23)顔料分散液を調製した。
[顔料分散液の組成]
・各顔料:10重量部
・顔料分散剤(Disperbyk161(ビックケミー・ジャパン製)(溶剤BCA中に固形分30重量%)):10重量部
・顔料分散補助剤(N−フェニルマレイミド/ベンジルメタクリレート共重合体(溶剤BCA中に固形分30重量%)):10重量部
・BCA(ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート):70重量部
(2)バインダーの調製
下記の割合に従って、実施例1に用いたバインダーと同様に調製した。
[バインダーの組成]
・製造例1のバインダー性エポキシ化合物(溶剤BCA中に固形分30重量%):15重量部
・多官能エポキシ樹脂(商品名エピコート154、油化シェルエポキシ製):3重量部
・ネオペンチルグリコールグリシジルエーテル:1.5重量部
・トリメリット酸:3重量部
・BCA(ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート):27.5重量部
上記調製したPB15:6顔料分散液46.8重量部及びPV23顔料分散液3.2重量部、及び、バインダー50重量部を充分に混合し、比較例6の青色インクジェットインクを調製した。その後、比較例6のインクジェットインクに、表4に示される配合割合で界面活性剤を添加し、実施例5のカラーフィルター用青色インクジェットインクを得た。
Figure 2007003945
(実施例6:カラーフィルターの作製)
厚み0.7mmで10cm×10cmのガラス基板(旭硝子(株)製)上に、ブラックマトリックス用硬化性樹脂組成物を用いてフォトリソグラフィー法により線幅20μm、膜厚1.2μmのブラックマトリックスパターンを形成した。
上記基板のブラックマトリックスにより区画された赤色画素形成部に、実施例4の赤色インクジェットインクをインクジェット方式によって、正確且つ均一に付着させた。次に、同じ基板の緑色画素形成部に、実施例2の緑色用インクジェットインクをインクジェット方式によって正確且つ均一に付着させた。次に、同じ基板の青色画素形成部に、実施例5の青色用インクジェットインクをインクジェット方式によって正確且つ均一に付着させた。
その後、120秒間10Torrで減圧乾燥を行い、更に、80℃のホットプレート上で10分間プリベークを行った。その後、クリーンオーブン内で、200℃で30分加熱してポストベークを行い、更に230℃で30分加熱してポストベークを行って、基板上に乾燥硬化後の平均膜厚が1.8μmのRGB3色の画素パターンを形成した。
RGB画素パターンを形成した基板を、IPAに5分間浸漬させ、次いでIPA蒸気にて乾燥を行ない洗浄した後、基板設定温度200℃にて、6×10−3Torrの真空下でITO(酸化インジウムスズ)電極を120nmの厚さになるように成膜した。このITO成膜を行った基板を更にIPAに5分間浸漬し、IPAで蒸気洗浄を行った後、ポリイミドをスピンコートし、180℃、60分間の焼成を行って配向膜を形成し、カラーフィルターを得た。
実施例1と同様にして、色度座標x、y、輝度Y、表面粗度Raを評価した。結果を表5に示す。
(比較例7:カラーフィルターの作製)
青色インクジェットインクとして、比較例1の青色インクジェットインク、緑色インクジェットインクとして、比較例6の緑色インクジェットインク、赤色インクジェットインクとして、比較例5の赤色インクジェットインクを用いた以外は、実施例6と同様にして基板上に乾燥硬化後の平均膜厚が1.8μmのRGB3色の画素パターンを形成し、同様にカラーフィルターを製造した。
実施例1と同様にして、色度座標x、y、輝度Y、表面粗度Raを評価した。結果を表5に示す。
Figure 2007003945
フッ素系界面活性剤を含有するインクで作成した実施例のカラーフィルターにおいては、フッ素系界面活性剤を含有しないインクで作成した比較例のカラーフィルターに比べて、表面粗度が小さくなることが明らかになった。
液晶パネルの一例についての模式的断面図である。 液晶パネルの別の例についての模式的断面図である。 本発明に係るカラーフィルターの一例を示す模式的縦断面図である。 本発明のインクジェットインクを用いてカラーフィルターを製造する方法の一例を説明する図である。 実施例1〜3及び比較例1〜4のインクジェットインクを用いて形成した各塗膜の外観写真である。
符号の説明
1…カラーフィルター
2…電極基板
3…間隙部
4…シール材
5…透明基板
6…ブラックマトリックス層
7(7R、7G、7B)…画素
8…保護膜
9…透明電極膜
10…配向膜
11…パール
12…柱状スペーサー
20…撥インク性隔壁
21…画素形成領域
22…インクジェットヘッド
23…インク層
24…画素部
101、102…カラー液晶表示装置
103、104…カラーフィルター

Claims (10)

  1. 顔料、バインダー、及びフッ素系界面活性剤を含有するカラーフィルター用インクジェットインク。
  2. 前記フッ素系界面活性剤が、フッ素化アルキル基とエチレン性二重結合を含有するモノマー(A)及びシリコーン鎖とエチレン性二重結合を含有するモノマー(B)を少なくとも用いて重合されたフッ素系共重合体である、請求項1に記載のカラーフィルター用インクジェットインク。
  3. 前記フッ素系界面活性剤の含有量が、固形分全体に対して0.0005〜5重量%である、請求項1又は2に記載のカラーフィルター用インクジェットインク。
  4. 更に溶剤を含有し、該溶剤が、主溶剤として沸点が180℃〜260℃で且つ常温での蒸気圧が0.5mmHg以下の溶剤成分を溶剤全量に対して80重量%以上の割合で含有するものである、請求項1乃至3のいずれかに記載のカラーフィルター用インクジェットインク。
  5. JIS K6768に規定する濡れ性試験において示された標準液を用い、液滴を接触させて30秒後の接触角(θ)を測定し、ジスマンプロットのグラフにより求めた臨界表面張力が70mN/mの試験片の表面に対する接触角が10°以下を示す、請求項1乃至4のいずれかに記載のカラーフィルター用インクジェットインク。
  6. 透明基板と、当該透明基板上に設けられた画素とを少なくとも備えるカラーフィルターであって、該画素がフッ素系界面活性剤及び/またはその化学変化体を含むことを特徴とする、カラーフィルター。
  7. 前記フッ素系界面活性剤が、フッ素化アルキル基とエチレン性二重結合を含有するモノマー(A)及びシリコーン鎖とエチレン性二重結合を含有するモノマー(B)を少なくとも用いて重合されたフッ素系共重合体であることを特徴とする、請求項6に記載のカラーフィルター。
  8. 前記フッ素系界面活性剤の含有量が、画素全体に対して0.0005〜5重量%であることを特徴とする、請求項6又は7に記載のカラーフィルター。
  9. 前記画素の表面粗度(Ra)が10nm以下であることを特徴とする、請求項6乃至8のいずれかに記載のカラーフィルター。
  10. 表示側基板と液晶駆動側基板とを対向させ、両者の間に液晶を封入してなる液晶表示装置であって、前記表示側基板が前記請求項6乃至9のいずれかに記載のカラーフィルターであることを特徴とする、液晶表示装置。
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