JP2006521361A - 長時間作用生物活性コンジュゲート - Google Patents

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Abstract

本発明は、アルブミンなどの高分子と反応させて共有結合複合体を形成し得るさせる生物活性化合物を提供し、得られた複合体はイン・ビボで所望の生物活性を示す。より詳しくは、これらの複合体は、架橋基と共有結合している生物活性部分とタンパク質とを含んでなる単離された複合体である。これらの複合体は、生物活性部分、例えばレニン阻害剤またはウイルス融合阻害剤ペプチドと、精製および単離タンパク質とをコンジュゲートさせることにより製造される。これらの複合体は非コンジュゲート分子に比べて血流中で寿命が長く、非コンジュゲート分子に比べて長時間生物活性を示す。本発明はまた、ウイルス感染の阻害剤であり、かつ/または抗融合特性を示す抗ウイルス化合物を提供する。特に、本発明は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)、ヒトパラインフルエンザウイルス(HPV)、麻疹ウイルス(MeV)、およびサル免疫不全ウイルス(SIV)などのウイルスに対して阻害活性を有し、しかもウイルス感染の処置のために長時間作用を有する化合物を提供する。

Description

発明の詳細な説明
本願は2003年11月10日出願の仮出願60/518,892、2003年3月24日出願の60/456,472、および2003年3月25日出願の60/456,952の優先権を主張するものであり、これら各々の内容は引用することによりその全開示内容を本明細書の一部とする。
発明の分野
本発明はアルブミンなどのタンパク質と反応させて共有結合複合体を形成させるために用い得る生物活性化合物に関し、得られた複合体はイン・ビボ(in vivo)において所望の生物活性を示す。より詳しくは、これらの複合体は、架橋基と共有結合している生物活性部分とタンパク質とを含んでなる単離された複合体である。一実施形態では、このタンパク質はアルブミン、またはHSAなどの血液タンパク質である。もう1つの実施形態では、このタンパク質は組換えHSAである。これらの複合体は、生物活性部分、例えばレニン阻害剤またはウイルス融合阻害剤ペプチドと、精製および単離タンパク質とをコンジュゲートさせることにより製造される。これらの複合体は非コンジュゲート分子に比べて血流中での寿命が長く、非コンジュゲート分子に比べて長時間生物活性を示す。所望により、本発明の化合物および複合体は単離および精製される。本発明はまた、イン・ビボにおいて所望の生物作用を達成する方法であって、哺乳類宿主の血流中に本発明の新規な単離された複合体を投与することを含んでなる方法を提供する。
本発明はまた、ウイルス感染の阻害剤である、ヌクレオシド、ヌクレオシド類似体、ヌクレオチド、ヌクレオチド類似体、ポリペプチド、ポリペプチド誘導体、ペプチド類似体化合物およびそれらの生物複合形態をはじめとする化合物を提供する。本発明はまた、多剤耐性ウイルス感染を含むウイルス感染の処置のために、長時間作用を有するこれら阻害剤の生物複合形態を投与する方法を提供する。
特に、本発明は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)を阻害する化合物およびそれらの生物複合形態、ならびに多剤耐性HIV感染(mdrHIV)を含むHIV感染の処置のために長時間作用を提供する阻害剤の生物複合形態を投与する方法を提供する。
発明の背景
哺乳類宿主への投与に有用なある種の活性ペプチドおよびタンパク質治療薬は薬物動態特性が不十分であり、そのペプチドまたはタンパク質が特定の標的と結合できる前に、哺乳類系により迅速に代謝および排除されてしまうことが多い。一般に、生物学的に活性な薬剤は、投与すると、酵素分解およびクリアランスを受けやすい。結果として、ある種の活性剤は頻繁に投与しなければならず、その結果、その薬剤の血漿レベルに望ましくない大きな変動が生じ、種々の有害な副作用および/または効力の低下を招くことがある。有効な治療のためには、活性剤はその活性部位に運搬されなければならないか、または生物活性の有意な損失なく標的部位に直接投与しなければならない。
薬物の多くは経口投与される。一般に、投与量は治療レベルを維持するために薬物を繰り返し投与する必要があり、経時的に血中レベルが急速に低下することから、最初のレベルは所望の治療レベルを超えるものとなる。これらの問題を回避するため、ポンプなどの機械システム、徐放性または遅放性錠剤およびカプセル剤、持続性薬剤および関連の技術による生物活性剤の投与をはじめ、種々の技術的アプローチがデザインされている。
注射により投与される治療薬でも、イン・ビボにおけるそれらの限られた寿命に関する同様の問題を生じる。また、注射の繰り返しは不便かつ極めて望ましくない。よって、血中への生物学的に活性な薬剤の簡単な投与を可能とし、しかも、イン・ビボにおいて長時間治療薬の有効レベルを維持する新たな方法が必要である。
HIV/AIDS
後天性免疫不全症候群(AIDS)はHIV−1の感染によって引き起こされる致死的な疾病である。2002年の終わりまでに、世界中で4,200万人がHIV−1に感染し、2,000万人を超える人がHIV/AIDSで死に至るであろう。薬剤耐性株のHIVも患者集団に広まっている。現在の推計では、薬物処置されたHIV感染患者の最大50%が薬剤耐性株のHIVを保菌していると見られる。薬剤耐性HIVの伝染率は米国だけで10〜15%の間である。近い将来、報告症例は劇的に増え続けると見られている。よって、AIDSの治療に有効な薬物およびワクチンの開発が大いに求められる。
AIDSウイルスは1983年にはじめて確認された。それは数種の名称および頭字語で知られていた。それはもともと三番目に知られているTリンパ球ウイルス(HTLV− III)であり、免疫系の細胞内で複製する能力を有し、著しい細胞破壊と免疫不全を起こす。AIDSウイルスは、複製の際に逆転写酵素を用いるウイルスファミリーであるレトロウイルスである。この特定のレトロウイルスはまた、リンパ節腫関連ウイルス(LAV)、AIDS関連ウイルス(ARV)および最も最近では、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)として知られている。
ウイルスの多様性:
HIVは、サル免疫不全ウイルス(SIV)、および哺乳類において免疫不全疾患を引き起こす他の多くのレトロウイルスを含む、レトロウイルスのレンチウイルスファミリーのメンバーである。これまでにHIVの異なる2つのタイプ、すなわち、HIV−1とHIV−2が述べられているが、世界中ではHIV−1感染のほうが多い。頭字語HIVは本明細書では、特に断りのない限り、包括的に総てのHIV−1ウイルスをさして用いる。HIV−1はさらに、major(M)、outlier(O)、およびnew(N)の3つの群に分類される。これまでのほとんどのHIV−1単離物はM群の、異なる10のクレード、またはサブタイプのうちの1つに属する。このM群サブタイプは文字A〜Jで表される。サブタイプBは米国およびヨーロッパで最も多い。しかしながら、サブタイプCが世界のHIVの50%近くを占め、アフリカでは最も多い。アフリカには総てのサブタイプが存在し、Cクレード以外は明瞭な地理的地域にクラスターをなす傾向にある。サブタイプの同定は通常、env遺伝子の配列決定、およびサブタイプに「フィンガープリント」を与えているgp41配列の比較により行われる。
ウイルスの生活環:
HIVは主としてCD4担持ヘルパー/インデューサーT細胞に感染し、また、膜表面にCD4糖タンパク質を発現する他の細胞にも感染できる。最近の証拠は、細胞表面における特定のケモカイン受容体の同時局在が効率的なウイルス感染に不可欠であることを示した。HIVはCD4+リンパ球に対して細胞変性作用を有し、それらの数は一定年数の間に着実に減少し、免疫系が著しく損なわれることとなる。また、HIV感染は神経機能の低下および痴呆を招くこともある。効果的な化学療法で処置しなければ、HIV感染はほぼ常に致死的であり、日和見感染、癌または神経変性性疾患から死を招く。
HIV−1ゲノムは少なくとも9つの異なる遺伝子を含む。最も大きな遺伝子はgag(構造タンパク質をコードする)、pol(ウイルスの酵素であるプロテアーゼ、逆転写酵素およびインテグラーゼ、をコードする)およびenv(エンベロープ糖タンパク質をコードする)である。gag、polおよびenv遺伝子のホモログは総てのレトロウイルスに見られる。
このゲノムのgagおよびpol領域は、ラージポリタンパク質前駆体へと翻訳されるポリシストロニックのメッセンジャーRNAをコードしている。これらのウイルスポリタンパク質は次に、それ自体pol遺伝子の産物であるウイルスコードプロテアーゼにより、成熟構造タンパク質と酵素に切断される。この2つのEnvタンパク質、gp120とgp41は細胞内酵素によってより大きな前駆体(gp160)から切断されたものである。
例えばTat、Rev、Vpr、およびNefなどの他のHIV−1遺伝子産物が介在してウイルスの生活環を調節する。Nefはまた、粒子感染力に影響を及ぼす。遺伝子産物VifおよびVpuはそれぞれウイルスの感染力およびウイルス粒子の成熟において機能する。ウイルスゲノムは各末端を長い末端反復配列(LTRs)によりフランキングされている。LTRsは、転写を活性化できる細胞タンパク質の結合部位を含み、また、ウイルスシグナルの制御下にある。HIVの複雑な調節は、ウイルスに潜伏期を確保させた後、種々のシグナルに迅速に応答させ、高レベルのウイルスタンパク質およびビリオンを合成させ、多数のウイルス子孫の生産および放出、その後の感染細胞の破壊、および多数の健康なCD4+リンパ球の再感染に至らせる。
抗レトロウイルス薬:
抗レトロウイルス化学療法の分野は、レトロウイルス、特にHIVに対して効果的な薬剤の必要に応じて発達した。2002年の終わりまでに、16の抗レトロウイルス薬がFDAによりHIV/AIDSの処置のために認可された。多くの方法論があるが、基本的には、薬剤は抗レトロウイルス活性を示し、これらの薬剤は総て、ウイルスの逆転写酵素か、またはウイルスのプロテアーゼのいずれかを阻害する。高活性抗レトロウイルス療法(HAART)は、ウイルス複製を強く抑制し、AIDSの発症を予防または遅延することができる、種々の薬物「カクテル」、または3種以上の抗レトロウイルス薬の組合せをさす(Mitsuya, H. , and J. Erickson. 1999. Discovery and development of antiretroviral therapeutics for HIV infection. , p. 751-780. In T. C. Merigan and J. G. Bartlet and D. Bolognesi(ed.) Textbook of AIDS Medicine. Williams & Wilkins, Baltimore)。しかしながら、HIV−1感染に対して効果的な長期抗レトロウイルス療法を提供するその能力は、当初は検出できないレベルにまで好適なウイルス抑制を達成した者のうち40〜50%が最終的には処置の失敗を被ることから、部分的な奏功でしかなかった(Grabar et al., 2000. Factors associated with clinical and virological failure in patients receiving a triple therapy including a protease inhibitor. Aids.14:141-9; Wit et al., 1999. Outcome and predictors of failure of highly active antiretroviral therapy: one-year follow-up of a cohort of human immunodeficiency virus type 1- infected persons. J Infect Dis. 179:790-8)。さらに、HIV−1に感染し、抗ウイルス療法を受けたことがない個体の10〜40%がHAART下で持続的なウイルス複製(血漿HIV RNA>500コピー/ml)を示し(Gulick et al., 1997. Treatment with indinavir, zidovudine, and lamivudine in adults with human immunodeficiency virus infection and prior antiretroviral therapy. N Engl J Med. 337:734-9; Hammer et al. 1997. A controlled trial of two nucleoside analohues plus indinavir in persons with human immunodeficiency virus infection and CD4 cell counts of 200 per cubic millimeter or less. AIDS Clinical Trials Group 320 Study Team. N Engl J Med. 337:725-33; Staszewski et al., 1999. Efavirenz plus zidovudine and lamivudine, efavirenz plus indinavir, and indinavir plus zidovudine and lamivudine in the treatment of HIV-1 infection in adults. Study 006 Team. N Engl J Med. 341:1865-73)、これはおそらく薬剤耐性HIV−1変異体の伝播によるものである(Wainberg, M. A., and G. Friedland. 1998. Public health implications of antiretroviral therapy and HIV drug resistance. JAMA. 279:1977-83)。さらにまた、HIV−1感染が進行した患者においては、これらの抗HIV薬により部分的な免疫再構成が獲得されているに過ぎないことが明らかである。
薬剤耐性:
HIVの薬剤耐性突然変異株の急速な出現および拡散が現行の薬剤を無効とし、処置の失敗の主な原因の1つとなっている。最近の推計では、北アメリカの薬物投与を受けた患者の75%を超える者が、多剤「カクテル」で用いられた16のFDA認可抗レトロウイルス薬の1以上に対して耐性のあるHIVを保菌していると見られる。薬剤耐性HIVは新たな感染の最大12%を占める。薬剤耐性HIV株は、HIV野生株に感染し、至適用量より低い1以上の抗レトロウイルス薬に曝された個体において出現する(Burger, et al, Antivir. Ther., 1998)。主要な3つのクラスの抗レトロウイルス薬、すなわち、ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤(NRTI)、非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤(NNRTI)、およびプロテアーゼ阻害剤(PI)が存在する。選択される最初の薬剤耐性HIV株は特定の薬物投与計画に依存し、多くの場合、ある薬物を同じクラスの別のものに置き換える必要がある。しかしながら、複数の突然変異を有する新しい株の選択を続けていくと、多くの場合、クラス特異的薬剤耐性、さらについには完全な処置の失敗に至る。同じクラスの薬剤の交差耐性は警くほど高速で拡がっている(Erickson, et al, AIDS, 13:S 189, (1999); Gulnik, et al, Vitam. Horm., 58:213 (2000); Menendez-Arias, et al, Trends Pharmacol. Sci., 23:381 (2002))。
薬剤の副作用:
薬剤耐性は至適レベルより低い薬剤の存在下における低レベルでの複製の結果として出現するという十分認知されている理論に基づき、カクテル中の薬剤ごとの最大許容量を定めることが抗レトロウイルス治療の慣例となっている。HIVは慢性かつ不治の感染であるので、最大用量での抗レトロウイルス薬カクテルの日々の投与が要求されることから、極めて高いピークの薬剤レベルがもたらされる。この実践は、これらの多くの薬剤の慢性毒性による、警くべき高速の、生命をおびやかす副作用を招いている(総説としては、Tozser, et al, Ann. NY Acad. Sci. 946: 145 (2001)参照)。HAART毒性に関連するより重篤な副作用のいくつかとして、肝臓障害、心疾患および脂肪異栄養症が挙げられる(Chen, et al, J. Clin. Endocrinol. Metab., 87:4845(2002); Holstein, et al, Exp. Clin. Endocrinol. Diabetes 109:389 (2001))。耐性と副作用が組み合わさる結果、薬剤投与計画の遵守が難しくなり、最終的には処置の失敗率が40〜45%の間となる(Wit, et al, J. Infect. Dis. 179:790 (1999); Fatkenheuer, et al, AIDS 11:F113 (1997); Lucas, et al, Ann. Intern. Med. 131:81 (1999); Chen, et al, 41st Intl Conf Antimicrob. Agents Chemother., Abstract I-1914 (2001))。このように、現在HAARTを受けている実質的な数の患者が間もなく治療の選択肢を使い果たしてしまう。
HAARTの長期的利益は遵守の難しさと薬剤耐性という二重の問題によって制限される。これらの問題に加え、薬剤が極端に高いことが、全世界のHIVに感染している人々がHAARTに手を伸ばすことを著しく制限している。よって、1)野生型と薬剤耐性ウイルスに有効であり、2)安全で無毒であり、かつ、3)製造、または少なくとも流通が比較的安価である新しい治療薬の差し迫った必要がある。これらの必要性は、効力、薬理学、安全性、および薬剤の作用機序に関する従来の問題に加わるとすると、大きな挑戦を突きつけている(De Clercq, Clin Microbiol Rev. 10:674-93 (1997); Erickson et al., AIDS 13:S189-204 (1999))。
融合阻害剤および長期治療のためのそれらの制限要因:
薬剤耐性問題に対する魅力的な対策の1つは、現在市場に出ているものとは異なる作用機序を備えた薬剤を開発することである。基本的に、薬剤が細胞培養物中で抗レトロウイルス活性を示し得る方法は複数ある。新規な作用機序を備えたHIVの阻害剤が、DeClerq, Curr Med Chem. 8:1543-72 (2001)に概説されている。これらの化合物のうち、HIV融合のポリペプチド阻害剤(「抗融合性ペプチド」)はヒト臨床試験で有効であることが示されている。HIVはヒトリンパ球および膜結合CD4糖タンパク質とケモカイン受容体を有する他の細胞種に感染する。CD4担持細胞のHIV感染の最初の段階は、ウイルス膜結合HIV gp41エンベロープタンパク質を介して、ウイルス膜と非共有結合的に結合しているHIV gp120エンベロープタンパク質によるCD4受容体の認識である。gp41タンパク質、または「融合タンパク質」は、融合ペプチドおよび2つの自己会合型ヘリックス形成セグメント(「N−ヘリックス」および「C−ヘリックス」)を含むいくつかの「融合性」ドメインを含む。
CD4およびケモカイン受容体に対するgp120タンパク質の認識および結合は、融合性ドメインの露出、細胞膜へのgp41の挿入、および2つのヘリックス形成セグメントの自己会合による「ヘアピン」構造の形成を誘発する。gp41のヘアピン構造の形成はウイルスと細胞の融合において不可欠な段階であると考えられ、完成まで最大30分を要するゆっくりとしたプロセスである。膜融合の事象は、通常の細胞プロセスでは日常的なものであるが、例えば、エンベロープウイルスの細胞内への侵入、およびウイルス感染細胞と健常細胞との異常な融合を含み、シンシチウムの形成、およびその後の細胞の排除または死滅をもたらす種々の病態にも関与している。ペプチドおよび小分子が、例えば標的細胞のレトロウイルス感染の阻害を含む、膜融合関連事象の阻害、またはそうでなければ破壊することが知られている。
融合反応を妨げることによってCD4細胞のHIV感染を阻害する多くのポリペプチドが述べられている。これらのいわゆる「抗融合性ペプチド」のいくつかは、gp41の2つのヘリックス形成セグメントのいずれかの天然アミノ酸配列に由来する(Jiang et al, Curr. Pharmaceut. Design 8:563 (2002))。gp41のN−またはC−ヘリックス形成領域のいずれかに由来する配列からなるポリペプチドは、細胞培養アッセイにおいて抗ウイルス活性を示す。種々の単離された組換え形態のHIV−1、HIV−2およびSIV融合タンパク質のX線結晶構造およびNMR溶液構造は、それらが総て逆行性のらせん束型フォールドを備えた三量体を形成することを示している。これらの束は3セットのヘアピンからなり、その各々は一本のタンパク質鎖に由来する2つのヘリックス形成セグメントの間の逆行性の会合によって形成されている。これらのヘアピンは第一の、またはN末端らせんセグメントが三量体の内部の束で会合し、第二の、またはC末端セグメントが2つの隣接するN末端らせんによって形成されている溝と相互作用するような配置となっている。従って、このヘアピン構造は、三量体の基礎構成ブロックであることに相対して、その三量体の4次構造への組み立ての結果であると思われる。
T−20としても知られるDP178(Wild, et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 91:9770 (1994))、C34(Chan, et al, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 95:15613 (1998))およびDP107をはじめとするC末端およびN末端七反復領域由来のペプチドは強力な抗ウイルス活性を示す。
全開示内容が本明細書の一部とされる米国特許第6,013,263号、同第6,017,536号および同第6,020,459号も同様に、HIV−1単離物LAI(HIV−1LAI)由来のgp41のアミノ酸638〜673に相当する36アミノ酸のペプチドDP178、およびHIV−1 LAI由来のgp41のアミノ酸558〜595に相当する38アミノ酸のペプチドDP107を開示しており、いずれも強力な抗HIV−1活性を示す。WO00/06599はgp41を不活性化し、さらにはHIV−1の細胞への侵入を防止または低減するためのC34の使用を教示している。それらは遷移状態の際に、gp41の三量体のコイルドコイル構造、またはコア構造に結合し、それにより内在するC−らせんの結合を防ぐと仮定されている。34残基のペプチドであるT−20は薬剤投与患者のウイルス負荷を効果的に引き下げることが示されている。これにより、gp41が新たな抗HIV薬の開発のための有望な標的であると確認された。残念なことに、T−20の治療送達はそのペプチド特性により制限されている。T−20の半減期は1.8時間という短いものであり(Kilby, et al, Nat. Med., 4:1302 (1998))、1日2回、皮下注射により投与する必要がある。注射部位の炎症が一般的な副作用反応であり、薬剤の処方および製造への取り組みの結果、処置が高コストとなっている。T−20はまた、イン・ビトロおよびイン・ビボの双方で薬剤耐性につながる多数の単一突然変異の選択により効果がなくなっている。
バックアップFIであるT−1249は第II相臨床試験下にある。この化合物はT−20よりもいっそう長いペプチドである。その主な利点はT−20よりも強力で、半減期が長いことである。しかしながら、T−1249はなお毎日注射する必要があるという問題があり、この薬剤を用いて薬剤耐性変異株も容易に選択されている。
多くのポリペプチド同様、T−20もT−1249も、静脈内または皮下投与しなければならず、両者とも、主として迅速な血清クリアランスならびにペプチダーゼおよびプロテアーゼ活性のために、イン・ビボにおける半減期が短い。これらの薬理学的制限はこれらの薬剤の治療の有効性を低いものとし、同時に高コストの処置となってしまう。
C34も、T−20およびT−1249と同様、主として迅速な血清クリアランスならびにペプチダーゼおよびプロテアーゼ活性のために、イン・ビボにおける半減期が短いという問題がある。そして、これにより、その有効な抗ウイルス活性は著しく低下する。
一般に、当技術分野で記載されている抗融合性ポリペプチドおよびペプチド類似体の多くは、T−20およびT−1249の場合に、それらが30〜40アミノ酸のオーダーで、同様のサイズのものである範囲で見られるものと同じ制限の問題がある。
現行の抗レトロウイルス治療は生命をおびやかす副作用と生命をおびやかす薬剤耐性の発生との間のトレードオフである。従って、それらの治療有効性を妥協することなく、これらの薬剤の慢性毒性を軽減する薬剤レベルで抗レトロウイルス薬を提供する方法の普遍的な必要性がある。一例として、その抗融合活性に実質的に影響を及ぼすことなく、イン・ビボにおいてC34のようなペプチドの半減期を延長させる方法が必要である。また、薬剤耐性HIV感染、特にT−20およびT−1249に耐性のあるウイルス株による感染の処置に有効な阻害剤を開発する必要もある。さらに、野生型感染の治療状況下で、薬剤耐性HIVの出現を防ぐ、または遅延させることができる薬剤を開発する必要もある。
例えば、これらの薬剤を長期的に見て毒性の低い用量で投与することができるように、逆転写酵素阻害剤およびプロテアーゼ阻害剤の半減期を延長させる方法も必要である。このような方法は、年間の患者1人当たりに必要な累積薬剤量が現行の治療法の場合よりも少なくなることから、費用を抑えた治療法となる可能性がある。
以上のような問題を鑑みれば、薬剤耐性HIV株に対する阻害剤が必要である。さらに、薬剤耐性HIV gp41に対する阻害剤も必要である。なおさらに、感染個体における薬剤耐性HIV株の出現を防止または遅延させ得るHIV阻害剤も必要である。薬剤耐性HIV株を阻害し、野生型HIV感染の状況下で薬剤耐性株の出現を遅延させる能力を有する阻害剤は「耐性忌避」(resistance-repellent)阻害剤と定義されている。
また、長時間作用を有するHIV融合阻害剤も必要である。In vivoにおいてウイルス複製の持続型抑制を有するイン・ビボにおいて半減期が長い阻害剤は「長時間持続型」(long-lasting)阻害剤と定義される。
耐性忌避阻害剤と長時間持続型阻害剤は各々、HIV/AIDS処置に明白かつ独特な優位性があることを認識すべきである。これら2つの特性を単一の薬剤で組み合わせることは抗ウイルス治療の革命的進展をもたらすことも認識すべきである。耐性を忌避しかつ長時間持続型である阻害剤は広域持続型阻害剤と定義されている。
プロドラッグとしての血清アルブミン:
ドキソルビシン−アルブミンコンジュゲートは抗新生物プロドラッグ薬として開示されている(F. Kratz et al, J. Med. Chem. 2000, 43, 1253-1256)。しかしながら、このコンジュゲートは、腫瘍細胞のリソソームおよびインドソーム中に存在する、薬物を低pH値で放出させる酸感受性リンカーを用いて調製されたものである。このコンジュゲートの調製法は、コストがかかると考えられていた薬剤アルブミンコンジュゲートのエクス・ビボ(ex vivo)合成および同定を回避するためにデザインされたものである。
発明の概要
本発明は、タンパク質と反応して共有結合複合体(ここで、得られる複合体はイン・ビボにおいて所望の生物活性を示すことが分かっている)を形成するために用いられ得る生物活性化合物に関する。より具体的には、これらの複合体は抗ウイルス化合物などの化合物と架橋基とを含んでなる単離された複合体であり、この血液成分はアルブミンなどのタンパク質である。本発明はまた、抗ウイルス活性などの所望のイン・ビボ活性を達成する方法であって、哺乳類宿主の血流中に本発明の新規な単離された複合体を投与することを含んでなる方法も提供する。
一実施形態では、有効成分として本発明の抗ウイルス複合体などの精製された複合体を含んでなる医薬組成物が提供される。本発明の医薬組成物は、所望により、本発明の抗ウイルス複合体などの1以上のコンジュゲート0.001%〜100%を含むことができる。これらの医薬組成物は、血流中に生物活性剤を投与するための、当技術分野で公知の種々の方法により投与または同時投与することができる。本発明の好ましい態様では、これらの組成物は注射により投与することができる。もう1つの好ましい態様では、これらの組成物は点滴により投与することができる。この組成物は有利には、このコンジュゲートの緩衝生理食塩水溶液を含むことができる。
もう1つの実施形態では、生物活性剤、特に抗ウイルス薬などの治療薬を含んでなる単離されたコンジュゲート複合体の送達のための方法および組成物が提供され、この場合、薬剤を含んでなる複合体は非コンジュゲート薬に比べて血流中で長い半減期を有する。
本発明は、架橋基に共有結合または架橋されている生物活性化合物の使用を含み、この架橋基は、そのタンパク質上に存在する官能基と共有結合を形成することができる少なくとも1つの化学反応性部分を含んでなる。単離された複合体を、それら複合体を宿主の血液、特に宿主の血流中に投与する前に調製することで、非コンジュゲート生物活性剤に比べて長時間血流中で有効な治療効果を維持する生物活性複合体が生成される。
特に、本発明は、HIV gp41およびHIVの耐性忌避、長時間持続型、かつ、広域持続型の阻害剤、それらの組成物、デザイン法、および救済療法および第一線療法の双方において薬剤耐性HIVおよび野生型HIV感染を処置するためのそれらの使用を提供する。
一実施形態では、本発明は、野生型および薬剤耐性変異体gp41タンパク質を標的とし、かつ、野生型および薬剤耐性HIV株に対して抗ウイルス活性を有するHIV gp41の耐性忌避阻害剤を提供する。特に、これらの化合物は、gp41の配列に自然発生の多型を含み、かつ、T−20および/またはT−1249に対する耐性を付与する突然変異を含む野生型HIV株に対して有効である。一実施形態では、これらの阻害剤はgp41のNおよびC末端らせん反復領域のペプチド配列に関連するペプチド配列である。
もう1つの実施形態では、本発明は、野生型および薬剤耐性変異体gp41タンパク質を標的とし、かつ、野生型および薬剤耐性HIV株に対して抗ウイルス活性を有するHIV gp41の広域持続型(永続性)阻害剤のデザインに関する。特に、これらの化合物はgp41の配列に自然発生の多型を含み、かつ、T−20および/またはT−1249に対する耐性を付与する突然変異を含む野生型HIV株に対して有効である。HIV gp41の広域持続型阻害剤のデザインは、修飾されたペプチドが血液成分上の利用可能な官能基と反応して安定な共有結合を形成できるような、抗ウイルスおよび/または抗融合活性を示すペプチドの化学反応性修飾に関する。本発明の一実施形態では、これらの修飾ペプチドは血液成分上のアミノ基、ヒドロキシル基、またはチオール基と反応性があって安定な共有結合を形成する反応性基を含んでなる。本発明のもう1つの実施形態では、この反応性基はマレイミドなど、血液タンパク質(アルブミンなどの可動性の血液タンパク質を含む)上のチオール基と反応性のある部分であり得る。
より具体的には、本発明は、イン・ビボまたはエクス・ビボのいずれかにおいて血液成分上のチオール基と反応して安定な共有結合を形成できる広域持続型gp41阻害剤を提供する。さらに、本明細書で開示される方法から形成される複合体はそれ自体、非修飾化合物よりも安定であり、かつ、長時間作用する。本発明から形成されたこれらの複合体は、対応する非修飾化合物に比べてイン・ビボにおいて長い半減期を有する。本発明の複合体は、約4時間〜約120日の間、加水分解切断または分解に対して安定である。
さらなる実施形態では、本発明は、血清アルブミンなどの可動の血液タンパク質と共有結合されているHIV gp41の広域持続型阻害剤のバイオコンジュゲート組成物の、そのバイオコンジュゲート型の阻害剤が野生型および薬剤耐性HIV株の双方に対して抗ウイルス活性を有するようなデザインに関する。特に、これらの化合物は、gp41の配列に自然発生の多型を含み、かつ、T−20および/またはT−1249に対する耐性を付与する突然変異を含む野生型HIV株に対して有効である。本発明の一実施形態では、バイオコンジュゲートは血液成分上のアミノ基、ヒドロキシル基、またはチオール基と反応して安定な共有結合を形成する反応性基を含んでなる修飾ペプチドを用いて形成される。本発明のもう1つの実施形態では、この反応性基はマレイミドなど、血液タンパク質(アルブミンなどの可動性の血液タンパク質を含む)上のチオール基と反応性のある部分であり得る。
本発明はまた、HIV−1 gp41の野生型または薬剤耐性変異型との複合体において結合した上記の化合物も提供する。
本発明はさらに、上記のような阻害剤を、薬学上許容される添加剤、賦形剤または希釈剤とともに含んでなる医薬組成物を提供する。この組成物はさらに、さらなるHIV gp41阻害剤および/またはHIVプロテアーゼ阻害剤および/またはHIV逆転写酵素 阻害剤を含んでもよい。
本発明はさらに、上記の医薬組成物を患者に投与することを含んでなる、HIV感染を被っている患者の処置方法を提供する。
さらなる実施形態では、本発明は、タンパク質と反応させて共有結合複合体を形成するために用い得る(ここで、得られる複合体はイン・ビボでレニン阻害活性を発揮することが分かっている)生物活性化合物に関する。より具体的には、これらの複合体はレニン阻害剤と架橋基とを含んでなる単離された複合体であり、血液成分はアルブミンなどのタンパク質である。本発明はまた、本発明の新規な単離された複合体を哺乳類宿主の血流中に投与することを含んでなる、イン・ビボにおいてレニン活性を阻害する方法も提供する。
一実施形態では、有効成分として本発明の精製されたレニン阻害剤複合体を含んでなる医薬組成物を提供する。本発明の医薬組成物は所望により本発明の1以上のレニン阻害剤複合体の0.001%〜100%を含んでよい。これらの医薬組成物は、血流中に生物活性剤を投与するために当技術分野で公知の種々の方法により投与または同時投与することができる。本発明の好ましい一態様では、これらの組成物は注射により投与することができる。もう1つの好ましい態様では、これらの組成物は点滴により投与することができる。
もう1つの実施形態では、生物活性剤、特にレニン阻害剤などの治療薬を含んでなる単離されたコンジュゲート複合体の送達のための方法および組成物を提供し、これらの薬剤を含んでなる複合体は非コンジュゲート剤に比べて血流中の半減期が長い。
本発明は、架橋基に共有結合または架橋されている生物活性化合物の使用を含み、この架橋基は、そのタンパク質上に存在する官能基と共有結合を形成することができる少なくとも1つの化学反応性部分を含んでなる。単離された複合体を、それらの複合体を宿主の血液、特に宿主の血流中に投与する前に調製することで、非コンジュゲート生物活性剤に比べて長時間血流中で有効な治療効果を維持する生物活性複合体が生成される。
定義:
特に断りのない限り、本明細書および特許請求の範囲で用いられる次の用語は本願の目的のために次の意味を有す。
本明細書において「複合体」とは、抗ウイルス化合物またはレニン阻害剤などの生物活性剤、架橋基およびアルブミンなどのタンパク質を含んでなる化合物である。
「誘導体」は、数種の他の化合物に由来し、通常その一般構造を維持する化合物を意味する。
単離された化合物のような「単離された」とは、その自然の状態においてその化合物に不随する他の成分から実質的に分離されている、アルブミンのような天然由来の化合物などの化合物である。血液または血漿から得られる化合物に適用される際の「単離された」とは、化合物が抗ウイルス薬またはレニン阻害剤などの生物活性剤とさらにコンジュゲートされる前に、血液または血漿中の他の生物学的化合物または成分から精製または単離された形態である、血液タンパク質または血漿由来の特定の生物成分などの化合物を意味する。単離された化合物は、それが天然に存在するものとは異なる物理環境で存在し、かつ/またはその化合物が生物活性剤との反応を受ける前の、天然の他の成分から完全にまたは部分的に分離または精製されている。本発明の単離された化合物または複合体は、本発明の抗ウイルス薬またはレニン阻害剤などの生物活性剤と、血液または血漿の望まない成分との反応による妨害が最小限で、より選択的に反応またはコンジュゲーション可能となるという利点を有する。
本明細書において「リンカー」とは、生物活性化合物AVをアルブミンなどのタンパク質Prと架橋または付着して、生物活性化合物、リンカーおよびタンパク質を含んでなるる共有結合複合体を形成する架橋基をさす。
「薬学上許容される」とは、一般に安全、無毒、かつ、生物学的にもその他の点でも望ましくなくはない医薬組成物を調製するのに有用なものを意味し、獣医学的使用ならびにヒト医薬的使用に許容されるものを含む。
「薬学上許容される塩」とは、上記に定義したように薬学上許容され、かつ、所望の薬理活性を有する本発明の阻害剤の塩を意味する。このような塩としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸を伴って、または酢酸、プロピオン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、シクロペンタンプロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、乳酸、マロン酸、コハク酸、リンゴ酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、o−(4−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、桂皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1,2−エタンジスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ラウリル硫酸、グルコン酸、グルタミン酸、ヒドロキシナフト酸、サリチル酸、ステアリン酸、ムコン酸などの有機酸を伴って形成された酸付加塩が挙げられる。
薬学上許容される塩としてはまた、無機または有機塩基と反応し得る酸性プロトンが存在する場合に形成され得る塩基付加塩をも含む。許容される無機塩基としては、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アルミニウムおよび水酸化カルシウムが挙げられる。許容される有機塩基としては、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トロメタミン、N−メチルグルカミンなどが挙げられる。
「保護誘導体」とは、1以上の反応性部位が保護基で遮断されている阻害剤の誘導体を意味する。保護誘導体は阻害剤もしくは抗ウイルス薬の製造に有用であるか、またはそれ自体阻害剤または抗ウイルス薬として有効であり得る。好適な保護基の包括的なリストはT. W. Greene, Protecting Groups in Organic Synthesis, 3rd edition, John Wiley & Sons, Inc. 1999に見出せる。
「治療上有効な量」とは、疾病を処置するために動物に投与した際にその疾病に対するそのような処置を達成するに十分な量を意味する。
「処置」または「治療」は本発明の化合物の、いずれかの投与を意味し、
(1)疾病の素因を持っている可能性があるが、疾病の病理または症候をまだ持っていない、または示していない動物において、その疾病の発生を予防すること、
(2)疾病の病理および症候を持っている、または示している動物において疾病を阻害すること(すなわち、病理または症候のさらなる進行を停止すること)、または
(3)疾病の病理および症候を持っている、または示している動物において疾病を改善すること(すなわち、病理および症候を逆転させること)
を含む。
「安定な」:コンジュゲートは標的と結合するまで切断されず、かつ、アルブミンなど、コンジュゲートの高分子成分が、標的と結合するまで実質的に分解されなければ安定である。この高分子は、プロテアーゼ切断がいくらか起こっても、そのコンジュゲートが約50kDAより大きい分子量を保持していれば、実質的に分解されていない。コンジュゲートは少なくとも約50kDAの分子量を保持していれば完全であるとみなされる。
「実質的に保持する」:コンジュゲートは、その活性が非コンジュゲート薬理活性部分の少なくとも約10%である(モル比においてはそれより高くてもよい)場合に、薬理活性部分の活性を実質的に保持している。一般に、コンジュゲートの活性は非コンジュゲート薬理活性の0.1〜10倍であるが、活性のさらなる増強が見られることもある。
「薬理学上不活性」:コンジュゲートにおいて用いられる高分子に関して、その分子が無毒であることを意味する。この分子はコンジュゲートのものとは異なる生物活性を有していてもいなくてもよいが、通常は有していない。「生物活性がない」とは、被験体への非コンジュゲート担体の投与が被験体の正常な生理に実質的な摂動が生じないことを意味する。
「偽ペプチド」または「ペプチド類似体(peptide mimetics)」または「ペプチド類似体(peptidomimetics)」とは、ペプチドの構造、特性および活性を模倣するようにデザインされたペプチドの構造類似体である修飾ペプチドを意味する。修飾ペプチドは、同等または改良された生物活性を示しつつ、高レベルの酵素分解耐性によって非修飾ペプチドに比べて改良された生物活性および機能活性を有する。
そうではないことが特に示されている場合を除き、本明細書に記載の総てのペプチドについて、このペプチド配列はN−アセチル化合物などのN−保護誘導体およびC−アミド誘導体、ならびに遊離アミノおよび遊離カルボキシ化合物を示すと理解される。
発明の詳細な説明
本発明は、優れた薬理特性を有し、哺乳類被験体に投与した際に持続的な生物活性を生じる、生物活性または薬理活性部分と高分子とのコンジュゲート(精製コンジュゲートを含む)を提供する。特に、本発明は、薬理活性部分が薬理上不活性な高分子担体と共有結合しており、薬理活性部分と担体との架橋がイン・ビボにおいて安定であり、完全な化合物が薬理活性部分の薬理活性を実質的に保持し、かつ、哺乳類に投与した際の化合物の有効半減期が非コンジュゲート薬理活性部分の少なくとも約2倍であるような単離された化合物を提供する。この担体は有利にはHSAであり、これらのコンジュゲートはヒトの治療および予防の方法に用いられる。
これまでの研究で、高分子部分に架橋された生物活性分子を含むコンジュゲートが記載されている。研究の重要な部分として、例えば、細胞傷害性薬剤ドキソルビシンおよびメトトレキサートのヒト血清アルブミン(HSA)へのコンジュゲートが記載されている。これらの方法論では、原理は、イン・ビボにおいて所望の部位におけるコンジュゲートの取り込みの際に働く不安定な架橋により細胞傷害性薬剤とHSAとを架橋させることであった。一般に、この不安定な架橋は酸感受性であり、細胞の、エンドソームの酸性環境への取り込みの際に働く。従ってこの方法では、このコンジュゲートは、本質的に、分解されて生物活性分子を放出する必要があるプロドラッグ部分として見られていた。
その他の研究では、「活性化された」生物活性分子を被験体の血流中へ注射する方法が記載されており、この場合、活性化部分はHSAなど、1以上の血液タンパク質と結合してin situでコンジュゲートを形成すると仮定される。この方法には、組成物の制御ができないこと、およびコンジュゲートが生成されても、その用量が不明であることをはじめとする多くの欠点がある。さらに、多くの活性化生物活性分子は水性溶解度が限られており、化学的に不安定で、それにより活性化部分の取り扱いおよび投与が問題となるだけでなく、イン・ビボにおける反応性および用量がさらに不明となる。
またその他の研究では、HSAと目的のタンパク質を含む融合タンパク質の製造が記載されている。これらの方法は、もちろん、組換えDNA法によって作製可能な分子のコンジュゲートに限定される。また、HSAに対するペプチドまたはタンパク質の結合部位はHSAのC末端またはN末端のいずれかに限定され、その結合の性質は必ずペプチド結合を介する。
一般に、血液タンパク質成分に対する薬剤の非共有結合または吸着は、薬理活性に利用できる遊離薬剤の濃度を低下させる範囲においては欠点として見られる。しかし、本発明者らは驚くべきことに、エクス・ビボで調製され、かつ、不安定でないリンカーを有する高分子部分に架橋されたペプチドおよび非ペプチド生物活性分子のコンジュゲートが、これまでに記載されている方法および組成物よりも価値ある利点を提供することを見出した。特に、エクス・ビボで調製された(生物活性分子がHSAに共有結合されている)このような「覆い隠された(cloaked)」組成物(高分子が生物活性部分を「覆い隠す(clock)」場合)は、従来既知の組成物に対し、予期できないような優れた薬理特性、特に薬物動態特性を有することが判明している。
特に、本発明者らは、生物活性部分とHSAなどの高分子とのエクス・ビボコンジュゲーションが、厳密に制御された用量で精製および投与可能な、溶解度の高いコンジュゲートをもたらすということを見出した。覆い隠されたコンジュゲートはコンジュゲートとして生物学的に活性であり、すなわち、それはそのコンジュゲートから生物活性部分を放出するプロドラッグとして働くのではなく、コンジュゲートの切断は生物活性に必要ではない。さらに、ひと度、そのコンジュゲートを被験体に投与すれば、驚くほど長いイン・ビボ半減期を有し、優れた組織分布を有し、コンジュゲートの生物活性部分の活性に相当する持続的活性を生じる。さらに、放射性標識コンジュゲートを用いたアッセイでは、被験体に投与した後、投与した実質的に総てのコンジュゲートがイン・ビボを占めることが示された。これに対し、放射性標識活性部分を用いたアッセイでは、コンジュゲートはおそらくin situで形成され、被験体に投与する最大50%の生物活性が見込めない。さらに、生物活性部分と高分子との間の化学コンジュゲーションはリンカーの長さおよび性質を可変とする。
有利には、生物活性部分および高分子は生物活性部分の「ハプテン化」およびコンジュゲートに対する免疫応答の発生を避けるために、約1:1の比で架橋させる。さらに、生物活性部分は高分子の単一部位に付加するのが有利である。例えば、HSAの極めて反応性のあるシステイン34(C34)との選択的架橋を用いてもよい。例えば、マレイミド含有リンカーを用いたC34への選択的架橋のための方法は当技術分野で公知である。好適なリンカーは例えばPierce (Rockford, IL)から市販されている。
生物活性部分の1を超える分子を高分子と架橋させる場合は、これは高分子の単一点に結合している「多価」リンカーを介して有利に達成される。例えば、リンカーへの複数の生物活性部分の結合を可能とするHSAのC34にリンカーを付加することができる。多価リンカーは当技術分野で公知であり、例えば、HSAのC34との反応のためのチオ親和性基(thiophilic group)、およびリンカーへの複数の生物活性部分の結合を可能とする複数の求核基(NHまたはOHなど)または求電子基(活性エステルなど)を含み得る。
有利には、生物活性部分はHSAなどの高分子の作用を「覆い隠す」作用を最大化するための高分子よりも相対的にサイズが小さい。当業者ならば、生物活性部分のサイズについて厳密な上限を定めることはできないことが分かるであろうが、分子量が50kD未満、10kD未満、および有利には7.5kDまたは5kD未満の分子が使用できると考えられる。
生物活性部分と高分子との架橋方法は当技術分野で公知であり、例えば、引用することによりその全開示内容が本明細書の一部とされるWO00/76550で述べられている。このような方法はまた、融合阻害剤ペプチドおよびレニン阻害剤のコンジュゲートに関して以下にさらに詳しく記載する。当業者ならば、ウイルス融合阻害剤およびレニン阻害剤に関して述べられているコンジュゲーション法は一般に生物活性部分の一式に適用でき、単に本技術の例示である。同様に、コンジュゲートの精製方法(必要であれば)、当技術分野で公知である。例えば、過剰な生物活性部分をコンジュゲートの透析により除去することができ、これをさらに逆相HPLC、イオン交換クロマトグラフィー、および/またはサイズ排除クロマトグラフィーなどにより精製することができる。
生物活性化合物
本発明は、本明細書の記載の方法を用いて「覆い隠す」ことができる多様な生物および/または薬理活性部分のを包含する。下記に例示されるレニン阻害剤およびウイルス融合阻害剤の他、薬理特性の上昇および特に持続的活性が望まれる実質的にいずれの分子を覆い隠してもよい。覆い隠すことができる基の例としてはペプチドおよび非ペプチド分子が挙げられる。特定の例としては、コレステロール低下および血圧降下化合物などの代謝作用を有する化合物、創傷治癒薬、抗生物質(抗感染薬を含む)、抗酸化剤、化学療法薬、抗癌薬剤、抗炎症薬、および抗増殖性薬をはじめとする神経疾患の処置用の化合物(このコンジュゲートは所望によりCNSに直接投与することができる)が挙げられる。これらの分子の例は当技術分野で周知のものであり、単に例示としては以下のものが挙げられる。
マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)の阻害剤、ウロキナーゼ受容体のアンタゴニスト、ウロキナーゼの阻害剤、erb−2受容体アンタゴニスト、TRAIL受容体アンタゴニスト、抗脈管形成ペプチド、疼痛用のオピオイドおよび抗侵害受容類似体、レニン阻害剤などの抗高血圧薬;アンギオテンシン受容体アンタゴニスト;ナトリウム***増加性ペプチド誘導体;インターフェロン(C型肝炎の処置用のαおよびβインターフェロンを含む)などの抗ウイルス;シアノビリン誘導体;インスリンなどの代謝障害の処置用化合物;プロテイナーゼ、バクテリオファージライシン、ウイルス侵入および融合阻害剤(HSV−2−陰部ヘルペスのようなヘルペスウイルスなどのウイルス用)などの細菌および酵母細胞外毒性因子;ウイルス糖タンパク質D−ネクチン−2相互作用、CD81とのHCV−E1、E2糖タンパク質相互作用、LDL受容体およびその他の細胞特異的および肝特異的補因子、マラリアプラスメプシン、住血吸虫アスパラギン酸プロテイナーゼ、タンパク質ミスフォールディング疾患を引き起こすタンパク質を安定化させるシャペロンまたはこれらのタンパク質の生産をダウンレギュレートし、かつ、アルツハイマー病などの疾病の処置に使用され得る薬物(例えば、セクレターゼ阻害剤)
ACE−阻害剤、α−およびβ−アドレナリン作動薬および拮抗薬、アドレノコルチコイド、ホルモン、アルドースレダクターゼ阻害剤、アルドステロン拮抗薬、5−αレダクターゼ阻害剤、鎮痛薬、麻酔薬、食欲不振薬、駆虫薬、抗座瘡薬、抗アレルギー薬、抗脱毛薬、抗アメーバー薬、抗アンドロゲン薬、抗狭心症薬、抗不整脈薬、抗動脈硬化症薬、抗関節炎薬/抗リウマチ薬、抗喘息薬、抗菌薬、アミノグリコシド系抗生物質、アンサマイシン、抗生物質、および抗菌薬、例えば、ラクタム、リンコスアミド、マクロライド、ポリペプチド、テトラサイクリン、2,4−ジアミノピリジン、ニトロフラン、キノリンおよび類似体、スルホンアミド、スルホン、抗生物質、抗胆石形成薬、抗コレステロール血症、抗コリン作動薬、抗凝固薬、鎮痙薬、、抗鬱薬、ヒドラジド/ヒドラジン、ピロリドン、テトラサイクリン、抗糖尿病薬、ビグアニド、ホルモン、スルホンウレア誘導体、下痢止め、抗利尿薬、抗運動障害薬、抗湿疹薬、制吐薬、抗癲癇薬、抗エストロゲン薬、抗繊維症薬、抗膨満薬、抗真菌薬、抗緑内症薬、血液脳関門ペプチド(BBBペプチド)、RGDペプチド、グルカゴン様ペプチド、抗ゴナドトロピン、抗通風薬、抗出血および抗ヒスタミン薬、三環式抗鬱薬、抗コレステロール血症薬、抗高脂血症薬、抗高脂血症薬(anthyperlipidemic)、および抗高リポタンパク質血症薬、アリールオキシアルカン酸誘導体、胆汁酸隔離薬、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤、ニコチン酸誘導体、甲状腺ホルモン/類似体、抗高ホスファターゼ血症、抗高血圧症薬、アリールエタノールアミン誘導体、アリールオキシプロパノールアミン誘導体、ベンゾチアジアジン誘導体、n−カルボキシアルキル誘導体、ジヒドロピリジン誘導体、グアニジン誘導体、ヒドラジン/フタラジン、イミダゾール誘導体、第四級アンモニウム化合物、キナゾリニルピペラジン誘導体、レセルピン誘導体、スルホンアミド誘導体、抗甲状腺機能亢進薬、抗降圧薬、抗甲状腺機能低下薬、抗炎症薬、アミノアリールカルボン酸誘導体、アリール酢酸誘導体、アリール酪酸誘導体、アリールカルボン酸(アリールプロピオン酸誘導体を含む)、ピラゾール、ピラゾロン、サリチル酸誘導体、チアジンカルボキサミド、抗らい病薬、抗白血病薬、抗脂肪血薬、抗脂血症薬、抗マラリア薬、抗躁薬、抗メトヘモグロビン血症、抗片頭痛薬、抗真菌薬、抗悪心薬、抗新生物薬およびアルキル化剤、代謝拮抗物質、酵素、アンドロゲン、抗副腎薬、抗アンドロゲン、抗エストロゲン、プロゲストゲン、尿道保護薬、抗骨粗鬆症薬、抗パジェット薬、抗パーキンソン病、抗蠕動薬、抗褐色細胞腫薬、抗ニューモシスティス症薬、抗前立腺肥大薬、抗原虫薬、アンチプロゾアル(antiprozoal)薬、抗掻痒薬、抗乾癬薬および抗精神病薬、ブチロフェン、フェノチアジン、チオキサンテン、抗発熱薬、抗リウマチ薬、抗リケッチア症薬、抗脂漏薬および防腐薬/抗感染薬、抗痙攣薬、駆梅薬、抗血栓薬、抗結核薬、抗腫瘍薬、鎮咳薬、抗潰瘍薬、抗尿結石薬、抗蛇毒素および抗めまい薬、プリン/ピリミジノン、抗不安薬、アリールピペラジン、ベンゾジアゼピン誘導体、カルバミン酸塩、収斂薬、ベンゾジアゼピン拮抗薬、β−遮断薬、気管支拡張薬、エフェドリン誘導体、カルシウムチャネル遮断薬、アリールアルキルアミン、ジヒドロピリジン誘導体、ピペラジン誘導体、カルシウム調節薬、カルシウム抑制薬、癌化学療法薬、毛細血管保護薬、炭酸脱水素酵素阻害剤、心抑制薬、強心薬、下剤、陽イオン交換樹脂、CCK拮抗薬、中枢刺激薬、脳血管拡張薬、キレート薬、コレシストキニン拮抗薬、コレイソリティック(choleitholytic)薬、胆汁分泌促進薬、コリン作動薬、コリンエステラーゼ阻害剤、コリンエステラーゼ再活性薬、CNS刺激薬、認知活性化薬、避妊薬、眼圧制御薬、冠動脈拡張薬、細胞保護薬、ドーパミン受容体拮抗薬、殺外寄生体薬、催吐薬、酵素、消化薬、粘液溶解薬、ペニシリン不活性化薬、タンパク質分解薬、酵素誘導薬、エストロゲン拮抗薬、胃プロトンポンプ阻害剤、胃液分泌阻害剤、α−グルコシダーゼ阻害剤、性腺刺激成分、性腺刺激ホルモン、成長ホルモン阻害剤、成長ホルモン放出因子、成長刺激薬、造血薬、溶血薬、デモスタティック薬(demostatic)、ヘパリン拮抗薬、肝保護薬、ヒスタミンh受容体拮抗薬、ヒスタミンH2受容体拮抗薬、免疫調節薬、免疫抑制薬、変力薬、表皮剥奪薬、乳汁分泌刺激ホルモン、脂肪増加薬、ミネラルコルチコイド、マイナートランキライザー、縮瞳薬、モノアミンオキシダーゼ阻害剤、粘液溶解薬、筋弛緩薬、散瞳薬、麻薬、麻薬拮抗薬、神経抑制薬、神経筋遮断薬、神経保護薬、NMDA拮抗薬、ヌートロピック(nootropic)薬、NSAID薬、卵巣ホルモン、子宮収縮薬、GP−41ペプチド、インスリン向性ペプチド副交感神経作動薬、殺シラミ薬、ペプシン阻害剤、末梢血管拡張薬、蠕動刺激薬、色素沈着薬、血漿増量薬、カリウムチャネル活性化薬/開放薬、昇圧薬、プロゲストゲン、プロラクチン阻害剤、プロスタグランジン/プロスタグランジン類似体、プロテアーゼ阻害剤、プロトンポンプ阻害剤、逆転写酵素阻害剤、殺疥癬虫薬、硬化剤、鎮静薬/睡眠薬、セロトニン受容体作用薬、セロトニン受容体拮抗薬、セロトニン取り込み阻害剤、骨格筋弛緩薬、ソマトスタチン類似体、鎮痙薬、便秘薬、スクシニルコリン協力薬、交感神経作用薬、血栓溶解薬、甲状腺ホルモン、甲状腺阻害剤、甲状腺刺激性ホルモン、尿酸***薬、血管拡張薬、昇圧薬、および血管保護薬。
抗ウイルス化合物および複合体:
本発明はまた、ウイルス病の処置に関して長期または持続的な活性を有する抗ウイルス化合物も提供する。本発明はまた、これらの化合物を用いたウイルス病の処置方法も提供する。本発明の化合物は高いイン・ビボ安定性と、例えばペプチダーゼまたはプロテアーゼ分解による低い分解感受性を有する。結果として、本発明の化合物は現在利用できる抗ウイルス化合物よりも投与頻度が少なくなり得る。これらの化合物は例えば、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、ヒト呼吸器合胞体ウイルス(RSV)、ヒトパラインフルエンザウイルス(HPV)、麻疹ウイルス(MeV)およびサル免疫不全ウイルス(SIV)をはじめとする多くのウイルスの感染予防薬および/または治療薬として使用できる。
本発明の化合物は少なくとも1つの血液成分と、または種々の異なる血液成分と共有結合することにより、それらの持続的活性を達成する。この架橋はイン・ビボまたはイン・ビボで行うことができる。この架橋をイン・ビボで行う場合、この化合物は、例えば患者に投与する前に所望により濾過によりさらに精製してもよい。天然アミノ酸からなるペプチド化合物に関しては、共有結合は化学的手段による、例えば好適な架橋剤によるか、または血液成分との融合タンパク質の作製によるかのいずれかで達成することができる。非ペプチド化合物、または非天然アミノ酸を含む化合物については、この架橋は化学的手段により達成され得る。当業者ならば、本発明での使用に好適な血液成分に気づくであろう。特定の実施形態では、血液成分はヒト血清アルブミンであり、もう1つの実施形態では、血液成分はヒトまたはヒト化抗体、抗体フラグメントまたは抗体誘導体である。この抗体、抗体フラグメントまたは抗体誘導体は所望により、ヒト血清アルブミンなどの血液成分と特異的に結合する抗体、抗体フラグメントまたは抗体誘導体であってよい。
抗ウイルス化合物
本発明の化合物は抗ウイルス活性の有意な損失なく血液成分とコンジュゲート可能な抗ウイルス活性を有する化合物を含む。本発明のこの文脈では、抗ウイルス活性の有意な損失とは、化合物の用量が、コンジュゲートされた化合物の抗ウイルス活性が好適なイン・ビボ活性を得るために、モル数で少なくとも10倍高められなければならない程度にまで低下している状態をさす。
本発明での使用に好適な化合物としては、限定されるものではないが、ウイルス融合のペプチド阻害剤、ウイルス酵素のヌクレオシドおよびヌクレオシド類似体、非ヌクレオシドおよび非ヌクレオシド類似体およびヌクレオチドおよびヌクレオチド類似体阻害剤、ウイルスプロテアーゼの阻害剤、ならびに細胞へのウイルス侵入を阻害するケモカイン共受容体遮断薬が挙げられる。これらの化合物の各々の例は当技術分野で公知のものである。
限定されるものではないが代表的な化合物としては、例えば、
ヌクレオシド類似体、例えばシトシン−アラビノシド、アデニン−アラビノシド、ヨードキシウリジンおよびアシクロビルなど、
ヌクレオシドおよびヌクレオチド逆転写酵素阻害剤(NRTI)、例えば、AZT、ddI、ddC、d4T、3TC、アバカビル、テノホビル、エムトリシタビン、アムドキソビル、dOTC、およびd4TMP、
非ヌクレオシド逆転写酵素阻害剤(NNRTI)、例えば、ネビラピン、デラビリジン、エファビレンズ、チオカルボキシアニリドUC−781、カプラビリン、SJ−3366、DPC083、およびTMC125/R165335、
プロテアーゼ阻害剤(PI)、サキナビル、リトナビル、インジナビル、ネルフィナビル、アムプレナビル、ロピナビル、アタザナビル、モゼナビル、トリプラナビル、およびTMC−114を含む、
ウイルス吸着阻害剤、例えばコサラン誘導体、およびシアノビリン−N共受容体拮抗薬(例えば、TAK−779およびAMD3100など)、ウイルス融合阻害剤(ペンタフシドT−20、ベツリン酸、R170591、VP−14637、およびNMS03など、
およびウイルス脱殻阻害剤、例えばアゾジカルボンアミド
が挙げられる。
使用可能なその他の抗ウイルス化合物としては、ラミブジン、ファムシクロビル、ロブカビルおよびアデフォビル、リバビリン、インテグラーゼ阻害剤(ジケト酸)、転写阻害剤(テマクラジン、フラボピリドール)、ウイルス脱殻阻害剤(プレコナビル);RNAレプリカーゼ阻害剤(VP−32947);DNAポリメラーゼ阻害剤(A−5021、L−およびD−シクロヘキセニルグアニン);二環式フロピリミジン類似体;シドフォビル;ノイラミニダーゼ阻害剤(ザナミビル、オセルタミビル、RWJ−270201);アデフォビルジピボキシル;N−グリコシル化阻害剤(N−ノニル−デオキシノジリマイシン);およびIMPデヒドロゲナーゼ阻害剤およびS−アデノシルホモシステインヒドロラーゼ阻害剤
が挙げられる。
特にHIV感染の処置には、
ウイルスエンベロープ糖タンパク質gp120(ポリスルフェート、ポリスルホネート、ポリカルボキシレート、ポリオキソメタレート、ポリヌクレオチド、および負電荷を持つアルブミン)との結合によりウイルス吸着を阻害する;
ウイルス共受容体CXCR4(すなわち、ビシクラム(AMD3100)誘導体)およびCCR5(すなわち、TAK−779誘導体)の遮断によりウイルス侵入を阻害する;
ウイルスエンベロープ糖タンパク質gp41(T−20、T−1249)との結合によるウイルス細胞融合を阻害する;
NCp7ジンクフィンガー標的化薬(2,2’−ジチオビスベンズアミド(DIBA)、アザジカルボンアミド(ADA)によりウイルスの組み立ておよび分解を阻害する;
4−アリール−2,4−ジオキソブタン酸誘導体などのインテグラーゼ阻害剤によりプロウイルスDNAの組み込みを阻害する;および
転写(トランス活性化)プロセスの阻害剤(フラボピリドール、フルオロキノロン)によりウイルスmRNAの転写を阻害する
化合物が使用できる。
リンカーL1およびL2:
血液成分と抗ウイルス薬とを架橋させるには、種々の異なるリンカーまたは架橋基L1およびL2を使用できる。これらの架橋基は二価であっても多価であってもよい。例えば、式Iの複合体において、L1は、Prと付着させる場合にはn価、また、AVと付着させる場合にはm価であってよく、ここで、mおよびnは上記で定義した整数である。同様に、式IIの複合体では、L2はPrと付着させる場合にはo価、また、AVと付着させる場合にはp価であってよく、ここでoおよびpは上記で定義した通りである。架橋基中に存在し得る官能基の非排他的な例としては、N−ヒドロキシスクシンイミド、N−ヒドロキシスルホスクシンイミドなどのヒドロキシル基を有する化合物、ならびにマレイミド−ベンゾイル−スクシンイミド、γ−マレイミド−ブチリルオキシスクシンイミドエステル、マレイミドプロピオン酸、N−ヒドロキシスクシンイミド、イソシアネート、チオエステル、チオノカルボン酸エステル、イミノエステル、カルボジイミド、無水物またはエステルなどの他の化合物が挙げられる。
さらに、アミド、エステル、イミン、チオエーテル、ジスルフィド、置換アミンなどを形成するには、カルボキシレート、ハロゲン化酸、アジド、ジアゾ、カルボジイミド、無水物、ヒドラジン、アルデヒド、チオール、またはアミノ基などの官能基を有する特定の架橋基が使用できる。使用可能な他の特定の官能基の例としては、アシルオキシメチルケトン、アジリジン、ジアゾメチルケトン、エポキシド、ヨード−、ブロモ−またはクロロアセトアミド、α−ハロエステル、α−ハロケトン、スルホニウム、クロロエチルスルフィド、O−アルキルイソ尿素、アルキルハリド、ビニルスルホン、アクリルアミド、ビニルピリジン、有機金属化合物、アリールジスルフィド、チオスルホネート、アルデヒド、 ニトリル、α−ジケトン、α−ケトアミド、α−ケトエステル、ジアミノケトン、セミカルバゾン、およびジヒドラジドが挙げられる。
リンカーとして選択可能な化合物の性質および種類は反応の種類、抗ウイルス薬の中で望まれる相対的反応性、選択性、可逆性および安定性、アルブミンまたは血液成分上のリンカーおよび官能基によって異なる。例えば、コンジュゲート複合体を形成するある種の反応は、アルキル化反応、ミカエル型反応、付加−排除反応、硫黄、カルボニルまたはシアノ基への付加、または金属結合の形成から生じる。
一般に、これらの反応から生じる共有結合は抗ウイルス薬の有効寿命の間、安定である。一実施形態では、これらの複合体において形成される共有結合は、その生物活性サブユニットが活性部位での放出を意図しない限り、安定なままである。
これらのリンカーは、アルブミンなどのタンパク質と複数の抗ウイルス薬とを架橋させるため、または複数のアルブミンと単一の抗ウイルス薬を架橋させるために利用できる二官能基または多官能基を有する化合物からなり得る。特定の好ましい実施形態では、このリンカーは、HSAと1以上の抗ウイルス薬とを架橋させる多官能基を含んでなる。一実施形態では、本明細書で用いられるような架橋化合物としては、単一工程で抗ウイルス薬とタンパク質とを架橋させることができるいずれの化合物も含む。もう1つの実施形態では、これらの架橋化合物は、まず抗ウイルス薬と架橋して、タンパク質とさらに反応し得る阻害剤−リンカー中間体を形成させる。もう1つの実施形態では、架橋化合物は、まずタンパク質と反応させて、抗ウイルス薬とさらに反応し得るタンパク質−リンカー中間体を形成させる。上記の各組合せでは、所望により、これらの架橋化合物を、さらに反応を行わせて式Iまたは式IIの複合体を形成させる前に、さらに精製および/または単離してもよい。
このような多官能化合物の非排他的例としては、アジドベンゾイルヒドラジド、N−[4−(p−アジドサリチルアミノ)ブチル]−3’−[2’−ピリジルジチオ]プロピオンアミド]、ビス−スルホスクシンイミジルスベレート、ジメチルアジピミデート、ジスクシンイミジルタルトレート、N−y−マレイミドブチリルオキシスクシンイミドエステル、N−ヒドロキシスルホスクシンイミジル−4−アジドベンゾエート、N−スクシンイミジル[4−アジドフェニル]−1,3’−ジチオプロピオネート、N−スクシンイミジル[4−ヨードアセチル]アミノベンゾエート、グルタルアルデヒド、およびスクシンイミジル4−[N−マレイミドメチル]シクロヘキサン−1−カルボキシレートからなる群から選択される少なくとも1つの官能基を有する化合物が挙げられる。
使用および標準的な化学変換に便宜なリンカーもしくは架橋基、または所望の用量で生理学上許容され、かつ、所望の時間、血流中で安定な化合物を形成するリンカーを用いることができる。この架橋基は脂肪族、脂環式、芳香族、複素環式、またはそれらの組合せであってよい。架橋基として使用可能な基の例としては、アルキレン、アリーレン、アラルキレン、シクロアルキレン、ポリエーテルなどが挙げられる。特定の実施形態では、多官能性ポリエチレングリコール(PEG)およびそれらの誘導体もまたリンカーとして使用可能である。
これらの架橋基は架橋鎖に少なくとも1つの原子、より好ましくは鎖内に1〜200の間の原子、最も好ましくは鎖内に2〜50個の原子を有し得る。鎖内の原子は直鎖であってもよく、または鎖は、各々置換または非置換型の1以上の環の一部であってもよく、その鎖はO、N、PおよびSからなる群から選択される炭素またはヘテロ原子を含み得る。これらの環は、各々置換または非置換型の脂肪族、複素環式、芳香族もしくは複素芳香族またはその混合物であり得る。いくつかの実施形態では、アミノ酸またはペプチドまたは上記の混合物として用いられるアミノ酸を架橋基として用いてもよい。
一実施形態では、L1は存在せず、AVはPrと直接付着されている。もう1つの実施形態では、L2は存在せず、AVはPrと直接付着されている。
もう1つの実施形態では、式Iの複合体に関して、L1は1を超えるAVと1つのPrとを架橋し得る架橋基であり、例えば、mは2以上である。一実施形態では、mは1、2または3であり、nは1〜30である。1つの好ましい実施形態では、式Iの複合体に関して、Prはアルブミンであり、nは1である。もう1つの特定の実施形態では、Prはアルブミンであり、AVは抗ウイルス薬であり、かつ、nは2〜25である。
もう1つの実施形態では、式IIの複合体に関して、L2は1を超えるPrと1つのAVとを架橋し得る架橋基であり、例えばこの場合、oは2以上である。一実施形態では、Prはアルブミンであり、AVは抗ウイルス薬であり、oは1、2または3であり、かつ、pは1〜5である。
もう1つの実施形態では、この架橋基は、抗ウイルス薬などの阻害剤が、所望により触媒またはカップリング剤を用いて、タンパク質と直接反応させ、これにより、形成される複合体がタンパク質に直接付着されている抗ウイルス薬のみを含んでなるような場合には存在しなくともよい。このような直接カップリング反応の例は、無水混合物により活性化されるカルボン酸のカップリング反応、その後の中間体無水混合物のカップリング反応である。
タンパク質成分Pr:
本発明の単離された複合体を作製するには、種々の血液成分が使用できる。天然の血液成分としては血液タンパク質を含み、これには赤血球、および免疫グロブリン(IgMおよびIgGなど)、血清アルブミン、トランスフェリン、p90およびp38が含まれる。好ましい実施形態では、血液成分または血液タンパク質はアルブミンである。より好ましくは、アルブミンはタンパク質ヒト血清アルブミン(HSA)である。
本発明で用いるアルブミンはまた、組換えアルブミンであってもよい。例えば、組換えヒトアルブミンは、微生物を、ヒト血清アルブミンのアミノ酸配列をコードするヌクレオチドコード配列で形質転換することにより作製できる。
一般に、極めて幅広い最終純度および生成物収率をもたらす、血液または血漿から化合物の単離のために利用可能な極めて広範な異なる方法が存在する。アルブミンは血漿中に存在する主要なタンパク質であり、例えばJP03/258728、EP428758、EP452753、および6,638,740、ならびにその中に引用されている参照文献に開示されているように、血液から抽出することできる。種々の化合物の単離のための非排他的な方法のさらなる例は、選択的可逆的沈殿、イオン交換クロマトグラフィー、タンパク質アフィニティークロマトグラフィー、疎水性クロマトグラフィー、チオ親和性クロマトグラフィー(J. Porath et al; FEBS Letters, vol. 185, p. 306, 1985 ; K. L. Knudsen et al, Analytical Biochemistry, vol 201, p.170, 1992)、および種々の樹脂マトリックス(WO96/00735;WO96/09116)に基づくものであり得る。純度の確定された特定の血液成分が市販されている。
架橋化合物AV−L1およびAV−L2の製造:
一実施形態では、本発明の架橋化合物AV−L1またはAV−L2を製造し、さらなる精製および/または単離なく、アルブミンとのコンジュゲーションに用いることができる。架橋化合物の純度はリンカーの性質、AVの性質、ならびにAVとリンカーとの付着に用いる反応の種類および反応条件によって異なる。もう1つの特定の実施形態では、非精製架橋化合物を製造し、少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも97%、最も好ましくは少なくとも98%の純度で得られる。
特定の実施形態では、本発明は、単離された架橋化合物、すなわちAV−L1またはAV−L2の作製方法に関する。好ましい実施形態では、単離された架橋化合物AV−L1およびAVL2はリンカーに付着されている抗ウイルス薬である。一実施形態では、この単離された架橋化合物はPrとコンジュゲートさせる前に精製してもよい。もう1つの特定の実施形態では、架橋化合物AV−L1またはAV−L2を単離し、少なくとも95%、好ましくは 少なくとも97%、より好ましくは少なくとも98%、最も好ましくは少なくとも99%またはそれ以上の純度まで精製する。
架橋化合物は化学合成の分野で公知の標準的な方法を用いて作製することができる。これらの化合物は、イン・ビボ適用に好適な精製産物を得るために、カラムクロマトグラフィーまたはHPLCによるなど、当技術分野で公知の標準的な方法を用いて精製することができる。これらの架橋化合物は、式IおよびIIの複合体を形成するために、アルブミンなどのタンパク質とさらにコンジュゲートさせてもよい。
血液成分との共有結合:
本発明での使用に好適な血液成分は当技術分野で公知である。ヒト血清アルブミン(「HSA」)はヒト血液の主成分であり、本発明での使用に特に適している。特に、HSAは、 抗ウイルス化合物とこのタンパク質との共有結合のための反応性チオール部分を提供する露出した表面システイン残基を有する。チオールとの架橋に特に適した活性化リンカーとしては、マレイミドなどの不飽和環状イミド、α−ヨード−およびα−ブロモアセテートなどのα−ハロエステル、ならびにビニルピリジン誘導体が挙げられる。好適な活性化リンカーは例えばPierce Chemical(Rockford,IL)から市販されている。HSAと架橋させるための好適な活性化化合物を作製する方法は当技術分野で公知である。例えば、引用することによりその全開示内容が本明細書の一部とされる米国特許第5,612,034号参照。
本発明の1つの変形では、このリンカーはシステイン34のチオール基と特異的に架橋され、リンカーの求電子基上のチオール基の求核反応によって形成され得る。
さらに、HSAの遺伝子をクローニングしたが、これによりHSAを含む融合タンパク質が容易に作成できる。治療適用を有するこれらの融合タンパク質としては、限定されるものではないが、血液成分と融合したポリペプチド、抗体、もしくはペプチド、またはその断片および変異体が挙げられる。これらの融合タンパク質は保存期間が長く、かつ/または治療活性が長い。融合タンパク質の作製方法は当技術分野で公知である。例えば、引用することによりその全開示内容が本明細書の一部とされるWO01/79271およびWO01/79258参照。融合タンパク質の作製は持続型の抗ウイルス薬ペプチド誘導体を作製するのに有用である。
抗ウイルス化合物との架橋に好適なもう1つの血液成分として免疫グロブリン(「Ig」)分子がある。Igは持続性であり、血中に比較的高濃度で存在する。in vitroカップリングに関して、Igは、容易に安定性が得られ、単離が容易であり、かつ、Igコンジュゲートの作製方法が当技術分野で周知であるという利点を有する。さらに、Ig遺伝子は容易に容易にクリーニングでき、組換えIgおよびIg融合タンパク質を作製できる。完全ヒトIgを得る方法は当技術分野で周知である。例えば、引用することによりその全開示内容が本明細書の一部とされる米国特許第5,969,108号および同第6,300,064号参照。さらに、例えばHSAに対する結合など、特定の所望の結合活性を有するIgを選択するためのファージディスプレー法が当技術分野で周知である。例えば、米国特許第5,885,793号、同第5,969,108号、および同第6,300,064号参照。本発明の文脈では、Igは当技術分野で公知の好適な免疫グロブリンまたは免疫グロブリン誘導体のいずれをもさし、例えば完全IgG、IgM、Fabフラグメント、F(ab’)フラグメント、および単鎖Fvフラグメントが含まれる。
本発明での使用に好適なその他の血液成分としては、トランスフェリン、フェリチン、ステロイド結合タンパク質、チロキシン結合タンパク質、およびα−2−マクログロブリンが挙げられる。
ペプチドに関しては、活性化リンカーはリジン側鎖などの反応性側鎖残基と結合させることができる。例えば、活性エステル部分およびマレイミド部分を含むリンカーは、リジン側鎖を介して活性エステル(N−ヒドロキシスクシンイミジルエステルなど)において、またはペプチドのN末端において選択的に反応させることができる。非ペプチジル抗ウイルス化合物に関しては、熟練の化学者ならば、活性エステルなど、好適な架橋部分と選択的に反応し得る化合物上の求核(または求電子)原子または基が容易に分かるであろう。好適な求核部分としては、限定されるものではないが、アミノおよびヒドロキシル基が挙げられる。例えば、ヌクレオシドおよびヌクレオチド類似体に関しては、ヒドロキシル基はカップリング反応のための求核試薬として働き得る。ヌクレオチドに関しては、カップリングはまた、例えばホスホエステルの形成により達成することができる。同様の戦略を、他の抗ウイルス化合物、例えばプロテアーゼ阻害剤および他の酵素阻害剤において使用することもでき、カップリングは酵素活性部位から離れた求核基を用いて達成することができる。
天然および組換え双方のHSAおよびヒトIgは市販されており、本発明での使用に好適である。
これらの抗ウイルス化合物は熟練の化学者に周知の合成法を用いて製造することができる。例えば、ペプチドは固相ペプチド合成の周知の技術を用いて製造することができる。例えば、Solid Phase Peptide Synthesis, 2nd Ed., Pierce Chemical Company, Rockford, IL, (1984)参照。同様にペプチド断片を合成した後、化合するか連結して所望の配列を形成させてもよい。
その他の化合物は当技術分野で公知の方法を用いるか、または公知の方法に対する簡単な変更によって製造できる。
架橋化合物Pr−L1およびPr−L2の製造:
本発明の特定の適用に関して、Prで表される化合物はアルブミンであってもよく、さらなる精製または単離なく、商業ソースから得たまま用いて架橋化合物Pr−L1およびPr−L2を製造することができる。特定の実施形態では、PrはHSAである。もう1つの実施形態では、アルブミンは本明細書で開示されているように、当技術分野で公知の種々の方法を用いてさらに精製してもよい。
一実施形態では、架橋化合物Pr−L1およびPr−L2は、リンカーL1またはL2(これらは誘導体化または活性化してもよい)を溶液中でPrで処理し、反応が実質的に完了するまで反応混合物をモニタリングすることにより製造することができる。特定の好ましい実施形態では、Prはタンパク質である。もう1つの好ましい実施形態では、タンパク質はHSAまたは組換えHSAである。
もう1つの好ましい実施形態では、得られる架橋化合物Pr−L1またはPr−L2は実質的に純粋であり、すなわち、これらの架橋化合物は少なくとも10%、好ましくは少なくとも30%、より好ましくは少なくとも50%の純度で得られる。PrがHSAまたは組換えHSAである場合、架橋化合物とともに存在し得る成分は、HSA出発材料中に存在している未反応HSAおよび種々の生物成分からなり得る。好ましくは、HSAまたは組換えHSAは乾物ベースで少なくとも10%の純度である。
架橋化合物とともに存在する過剰量のHSAまたはHSA関連生物材料は、その後のAVとのコンジュゲーション工程の有意な妨げとならない。さらに、これらの関連生物材料およびコンジュゲート複合体はまた、イン・ビボでの使用に関して薬理学上安全である。
しかしながら、ある実施形態では、有意な量の妨害なく、またはその他の所望でない血液成分とのコンジュゲート反応から得られる所望でない副生成物の形成なく、それらの化合物とAVとの選択的反応を可能とするための架橋化合物Pr−L1またはPr−L2の純度は乾物ベースで少なくとも10%であり得る。しかしながら、HSAまたは組換えHSAなど所望のPrの純度は、例えば、Ih上の官能基ならびにリンカー上で利用される官能基の性質によって異なる。一般に、HSAまたは組換えHSAの純度が高いほど、リンカー上の官能基の反応性が高いかどうかが必要となり、反応性の低いリンカー上の官能基よりも所望でない副生成物が形成する可能性がある。
アルブミンは宿主の血漿または血液アルブミンから得、所望のレベルの純度まで精製し、リンカーと架橋させればよい。血液または血漿からのアルブミンの精製はアルブミンの精製に関して当技術分野で公知の十分確立された標準法を用いて行えばよい。精製血液アルブミンを用いると、本発明の単離された複合体は比較的均質な官能基化タンパク質集団からなる。
式Iまたは式IIの複合体の製造:
一実施形態では、式Iまたは式IIの複合体は、リンカーが存在しない場合、AV−L1またはAV−L2とPrとのコンジュゲーション、Pr−L1またはPr−L2とAVとのコンジュゲーション、またはAVとPrとのコンジュゲーションにより複合体を形成することで製造することができる。
一実施形態では、AV−L1またはAV−L2の溶液を、コンジュゲーション反応が完全となると思われるような条件下でPrと合わせる。特定の実施形態では、架橋化合物はリンカーに付着している抗ウイルス薬であり、この架橋化合物をHSAの水溶液に加えられる。得られた溶液を、反応が実質的に完了するまでインキュベートする。
一実施形態では、AV−L1またはAV−L2を、コンジュゲーション反応がHSAの単一部位に対して選択的に進行することを保証すべく、過剰量のHSAと合わせる。例えば、HSA上の単一部位においてAV−L1が形成されれば、例えばnが1である式Iの単一の複合体の同定が容易にできる。特定の一実施形態では、AV−L1またはAV−L2とHSAとのコンジュゲート反応はHSAの単一のシステインで起こる。特定の理論に何ら縛られるものではないが、いくつかの反応については、このコンジュゲート反応は、力学的生成物を形成させるためにシステイン−SH基によっても起こり、これが次に熱力学的生成物を形成させるためにリジンなどの別のアミノ酸官能基へと再配列されると考えられる。
もう1つの実施形態では、このコンジュゲート反応は、例えば1を超えるAVが単一のHSAと架橋して式Iの複合体を形成している、すなわち、nが1を超える式Iの複合体を形成し得る。所望により、リンカーL1が1を超えるAV基と付着し得る多官能性リンカーである場合、mは1より大きい。一実施形態では、式Iの複合体は(AV)m−L1に対して過剰量のPrを合わせることにより製造することができる。好ましくは、(AV)m−L1に対するPrの比は約50〜100である。もう1つの特定の実施形態では、この比は約10〜30である。なおさらなる特定の実施形態では、この比は約約2〜5である。
一実施形態では、Prは、少なくとも約1.1:1、より好ましくは少なくとも約1.2:1、最も好ましくは少なくとも約1.4:1の比で(AV)m−L1に加えられる。Prがアルブミンである場合、好ましい比は、アルブミン1に対して遊離チオール0.7という仮定に基づく。好ましくは、得られる複合体は、アルブミンなどのPr成分がコンジュゲーションのために約70%の遊離チオール官能価しか持たないため、1:1複合体として形成される。HSAまたは組換えHSAなどの過剰量のPrは薬理学上安全であり、さらに精製する必要もない。生成混合物中に過剰量のPrが存在する場合は、所望によりコンジュゲート複合体は少なくとも10%の純度まで精製することができる。特定の実施形態では、コンジュゲート複合体は少なくとも約20%、または少なくとも約30%まで精製することができる。
もう1つの実施形態では、式Iの複合体はPrに対して過剰量の(AV)m−L1を合わせることにより製造することができる。好ましくは、Prに対する(AV)m−L1の比は約50〜100である。もう1つの特定の実施形態では、この比は約10〜30である。なおさらなる特定の実施形態では、この比は約約2〜5である。生成混合物中に過剰量の(AV)m−L1が存在する場合は、所望によりコンジュゲート複合体は少なくとも10%の純度まで精製することができる。特定の実施形態では、コンジュゲート複合体は少なくとも約20%、または少なくとも約30%まで精製することができる。
もう1つの実施形態では、式Iまたは式IIの複合体は、化学量論比の(AV)m−L1とPr、または化学量論比のAVとL2−(Pr)oから、すなわち1:1の比で製造することができる。所望により、これらの製造法から得られる生成物はさらに少なくとも10%の純度まで精製することができる。特定の実施形態では、このコンジュゲート複合体は少なくとも約20%、または少なくとも約30%まで精製することができる。なおさらなる特定の実施形態では、この1:1コンジュゲート複合体はさらに約90%を超える純度まで精製することができる。
もう1つの実施形態では、アルブミン中に存在するコンジュゲートシステインは反応前に遊離システインを減らす。
所望により、このコンジュゲート反応から形成される複合体は投与前にさらに精製することもできる。
一実施形態では、このコンジュゲート反応から得られる式Iまたは式IIの複合体は、それらの複合体とともに存在する過剰量のHSAまたはHSA関連生物材料はイン・ビボ使用に関して薬理学的に安全であるので、さらなる処理または精製なしに投与することができる。
上記実施形態の各々では、AVはペプチド抗ウイルス薬であり、PrはHSAまたは組換えHSAである。
一実施形態では、リンカーおよびアルブミンとともに保護または非保護抗ウイルス薬を含んでなる単離された複合体はさらに精製した後、宿主に戻してもよい。
本発明の方法から形成された複合体は、生理学的特性、薬物動態的特性および安全性が長時間にわたって十分確立されるまで動物またはヒト宿主において試験することができる。一般に、これらの複合体の測定半減期は約5〜7日、より一般には少なくとも約7〜10日、好ましくは15〜20日またはそれ以上である。一般に、この持続時間は種に依存する。例えば、ヒトアルブミンでは半減期は約17〜19日である。抗ウイルス薬の性質、架橋基およびアルブミンの純度により、複合体の有効治療濃度は少なくとも1ヶ月以上であり得る。
半減期は、式Iまたは式IIの複合体、AV−L化合物、L−Pr化合物、またはAV化合物の、これら複合体または化合物の同位元素(例えば、131I、125I、Tc、Cr、3Hなど)または蛍光色素での標識、および既知量の標識複合体または化合物の血管注射の後における全血、血漿または血清レベルの一連の測定により判定することができる。赤血球(半減期約60日)、血小板(半減期約4〜7日)、血管内層の内皮細胞、およびアルブミン、ステロイド結合タンパク質、フェリチン、α2−マクログロブリン、トランスフェリン、チロキシン結合タンパク質、免疫グロブリン、特にIgGなどの寿命の長い血清タンパク質が挙げられる。好ましい半減期に加え、これらの被験体成分は好ましくは本発明の化合物の治療上有用な量の結合を可能とするに十分な細胞数または濃度である。細胞内寿命の長い血液成分については、細胞数が少なくとも2,000/μlで、血清タンパク質濃度が少なくとも1μg/ml、通常には少なくとも約0.01mg/ml、より通常には少なくとも約1mg/mlであるのが好ましい。
しかしながら、複合体の性質が、抗ウイルス薬などの生物活性剤AVが複合体から切断され、宿主中に放出されるようにデザインする場合、複合体および/または生物活性剤の有効治療濃度のために望ましい半減期は上記の測定半減期と異なる場合がある。生物活性剤の放出速度は一部には、放出される生物薬における価数または官能価、架橋基の性質、タンパク質の純度および種類、投与組成物、投与様式などによって異なる。よって、種々の架橋基および生物薬が使用可能であり、血液の環境、血液の成分、特に酵素、肝臓における活性、またはその他の薬剤は、宿主中での生物薬の所望の速度での放出を伴った架橋期の切断が起こり得る。
本発明の単離された複合体は、非コンジュゲート化合物に比べて薬物動態、溶解度、バイオアベイラビリティ、分布、および/または免疫原性が改良された生物活性化合物をもたらす。
驚くことに、式Iおよび式IIの複合体は、本発明の方法に従って製造および使用した場合、AV成分自体よりも有意に長い時間、有効治療濃度をもたらす。さらに、本発明の複合体は、AV成分自体を投与した場合に比べて改良された溶解度、分布、薬物動態をもたらし、かつ、免疫原性の低下をもたらす。
本発明者らは驚くべきことに、精製成分からエクス・ビボで製造したコンジュゲート(特に、HSA、リンカーおよび抗ウイルス薬)を被験体に投与すると、被験体の血流中の内在性アルブミンとin situ結合する活性化化合物の注射によるコンジュゲートのイン・ビボ製造によって製造されたコンジュゲートに比べ、著しく有効なコンジュゲートの組織生体分布をもたらすことを見出した。さらに、本発明者らは、コンジュゲートがイン・ビボで製造される場合に見られる化合物の劇的な損失に比べ、投与後、実質的に総てのコンジュゲートが何時間も、または場合によっては何日も循環中に留まることを見出した。この有効性により、患者が有効物質の注射を受ける回数が減り、また、一回の投与で与えなければならない抗ウイルス薬の量も減る。
本発明の文脈では、組成物の治療上有効な量とは、被験体に投与した場合に、患者の疾病、症状または症候群の処置に有効であるか、または症候、疾病、症状または症候群の改善に有効である程度まで所望の生理作用をもたらす量を意味すると理解される。
血液成分とペプチド抗ウイルスを含む融合タンパク質の製造に関しては、融合タンパク質をコードする遺伝子を好適なベクター中のフレーム内に置き、このベクターを用いて好適な宿主細胞を形質転換する。これらの遺伝子はいずれの順序で配置してもよく(すなわち、抗ウイルスペプチドは融合タンパク質のN末端に置いてもC末端に置いてもよい)、直接融合させてもよいし、あるいはリンカーペプチドによって分離してもよい。好適なリンカーペプチドは当技術分野で公知であり、例えばグリシンおよびセリン残基の混合物を含むリンカーなど、それら自体はほとんど二次構造を持たず、かつ、親水性であるペプチド配列を含む。HSAの融合タンパク質の製造方法はWO01/79271およびW001/79258に記載され、同様の方法を他の血液成分との融合タンパク質の製造に使用することもできる。
本発明は特に、細胞膜とのウイルス融合を阻害するペプチドの使用を意図し、特にHIVの融合を阻害するペプチドを意図する。特定のペプチド阻害剤は一般に最大約51のアミノ酸を含み、本明細書に記載の配列を有するペプチドを含む。特に、これらのペプチドは図1に示される配列を含み得る。これらの配列はHIV単離物に見られる配列に由来し、図1で示される配列よりも長いペプチドについては、例えば、ペプチド配列の残りの部分は示されている配列のN末端側にあってもC末端側にあってもよい。このような付加的配列は例えばHIV単離物において定義された配列と隣接して存在する配列からなり得るか、または含み得る。
式Iおよび式IIの単離された複合体の投与:
一実施形態では、本発明の単離された複合体の投与はボーラスを用いて達成することができるが、定量流などを用いた輸液により時間をかけてゆっくり導入してもよい。
本発明の複合体は生理学上許容される媒質、例えば脱イオン水、リン酸緩衝生理食塩水、生理食塩水、マンニトール、水性グルコース、アルコール、植物油などで投与することができる。単回の注射を用いてもよいが、所望により2回以上の注射を用いてもよい。この複合体はシリンジ、トロカール、カテーテルなどをはじめとする便宜ないずれかの手段により投与することができる。投与の特定の様式は投与量、単回ボーラスか連続投与かなどによって異なる。投与は、導入部位が本発明にとって重要でなければ、好ましくは血流の速い部位において血管内、例えば静脈内、末梢または中枢血管への投与であり得る。投与が緩慢放出技術または保護マトリックスと組み合わされる場合には他の経路の使用も見出せる。
驚くべきことに、例えばアルブミンなどの単離された血液タンパク質から、本発明の方法によって製造された単離された複合体の投与は、非コンジュゲート抗ウイルス薬と比べて、またはアルブミンなどの単離された血液タンパク質から製造されたものではない複合体に比べて長時間血流中で有効な治療効果を維持する抗ウイルスコンジュゲート複合体をもたらすことを述べておく。
一実施形態では、本発明は、薬学上許容される塩の形態のこれら化合物を提供する。
もう1つの実施形態では、本発明は、立体異性体混合物で存在する化合物を提供する。さらにもう1つの実施形態では、本発明は、単一の立体異性体としての化合物を提供する。
さらにもう1つの実施形態では、本発明は、有効成分としてその化合物を含んでなる医薬組成物を提供する。さらにもう1つの特定の変形では、本発明は、組成物が錠剤またはデポー製剤として投与するための個体である、医薬組成物を提供する。もう1つの特定の変形では、本発明は、組成物がIVまたは皮下投与に適した液体製剤である医薬組成物を提供する。さらにもう1つの特定の変形では、本発明は、組成物が非経口投与に適した液体製剤である医薬組成物を提供する。
これらの実施形態、または本明細書に記載され、クレームされているさらなる実施形態、変形、または個々の化合物の総てに関して、そのような実施形態、変形および/または個々の化合物は総て、特に断りのない限り、単一の立体異性体の形態であれ、立体異性体の混合物の形態であれ、総ての薬学上許容される塩の形態を包含するものとすることを述べておく。同様に、本発明に明示またはクレームされた実施形態、変形および/または個々の化合物のいずれかに1以上の潜在的キラル中心が存在する場合、特に断りのない限り、双方の潜在的キラル中心を包含するものとすることを述べておく。
本発明の化合物のプロドラッグ誘導体は、本発明の化合物の置換基を修飾することにより製造することができ、次にこれらをイン・ビボにおいて異なる置換基に変換する。多くの場合、プロドラッグはそれ自体もまた、本発明の化合物の範囲に入ることを述べておく。例えば、プロドラッグはカルバミル化剤(例えば、1,1−アシルオキシアルキルカルボノクロライド、パラ−ニトロフェニルカーボネートなど)またはアシル化剤と化合物を反応させることにより製造することができる。プロドラッグを作製する方法のさらなる例はSaulnier et al. (1994), Bioorgenic and Medicinal Chemistry Letters, Vol. 4, p. 1985に記載されている。
本発明の化合物の保護誘導体もまた製造できる。保護基の作出およびそれらの除去に適用できる技術の例はT. W. Greene, Protecting in Organic Synthesis, 3rd edition, John Wiley & Sons, Inc. 1999に見出すことができる。
本発明の化合物はまた、本発明の工程中に溶媒和物(例えば、水和物)として便宜に調製または形成することができる。本発明の化合物の水和物は、水性/有機溶媒混合物から、ジオキサン、テトラヒドロフランまたはメタノールなどの有機溶媒を用いて再結晶させることにより便宜に調製できる。
本明細書において「薬学上許容される塩」は、特に塩が遊離型の化合物または異なる塩形態の化合物に比べて改良された薬物動態特性を化合物に付与する場合にその塩の形態で利用される本発明のいずれの化合物も包含するものとする。薬学上許容される塩形態はまた、それまでに持っていなかった所望の薬物動態特性を化合物にまず付与することができ、かつ、身体のその治療活性に関して化合物の薬力学に正の影響を及ぼしさえする。好ましく作用し得る薬物動態特性の例は、化合物が細胞膜をわたって輸送される様式であり、これは次に化合物の吸着、分布、生物変換および***に直接的かつ正の影響を及ぼし得る。医薬組成物の投与経路は重要であり、種々の解剖学的、生理学的および病理学的因子がバイオアベイラビリティに重要な影響を及ぼし得るが、化合物の溶解度は通常、用いるその特定の塩形態の特徴に依存する。当業者ならば、化合物の水溶液はその化合物の、処置する被験体身体への最も迅速な吸収をもたらし、液体溶液および懸濁液ならびに固体投与形では化合物のあまり迅速な吸収は得られないことが分かるであろう。
ペプチドおよび複合体:
本発明の一実施形態において、
配列:
Y1−X−X−Y2−X−X−X−Y3−X−X−X−Y4−X−X−Y5−X−X−Y6
[ここで、
この配列はこのペプチドのN末端、C末端または内部の位置に存在し;
Y1はW、Y、F、H、L、N、Q、E、D、KおよびRからなる群から選択され;
Y2はW、Y、F、H、L、N、Q、E、D、KおよびRからなる群から選択され;
Y3はI、V、L、A、S およびTからなる群から選択され;
Y4はT、S、I、K、N、H、R、Q、EおよびDからなる群から選択され;
Y5はI、V、T、K、L、N、Q、D、E、RおよびHからなる群から選択され;
Y6はP、GおよびC以外の任意のアミノ酸からなる群から選択;かつ、
Xは各々独立に任意のアミノ酸である]
を含んでなる最大51個のアミノ酸からなるペプチドが提供される。
本発明のもう1つの実施形態において、
配列:
Y1−X−X−Y2−X−X−X−Y3−X−X−X−Y4−X−X−Y5−X−X−Y6−Y7
[ここで、
Y1はW、Y、F、H、L、N、Q、E、D、KおよびRからなる群から選択され;
Y2はW、Y、F、H、L、N、Q、E、D、KおよびRからなる群から選択され;
Y3はI、V、L、A、SおよびTからなる群から選択され;
Y4はT、S、I、K、N、H、R、Q、EおよびDからなる群から選択され;
Y5はI、V、T、K、L、N、Q、D、E、RおよびHからなる群から選択され;
Y6はP、GおよびC以外の任意のアミノ酸からなる群から選択され;
Y7はI、L、V、N、Q、K、R、H、EおよびDからなる群から選択され;かつ、
Xは各々独立に任意のアミノ酸である]
を含んでなる最大51個のアミノ酸からなるペプチドが提供される。
本発明のもう1つの実施形態において、
配列:
Y1−X−X−Y2−X−X−X−Y3−X−X−X−Y4−X−X−Y5−X−X−Y6−Y7−X−X−X−Y8
[ここで、
Y1はW、Y、F、H、L、N、Q、E、D、KおよびRからなる群から選択され;
Y2はW、Y、F、H、L、N、Q、E、D、KおよびRからなる群から選択され;
Y3はI、V、L、A、SおよびTからなる群から選択され;
Y4はT、S、I、K、N、H、R、Q、EおよびDからなる群から選択され;
Y5はI、V、T、K、L、N、Q、D、E、RおよびHからなる群から選択され;
Y6はP、GおよびC以外の任意のアミノ酸からなる群から選択され;
Y7はI、L、V、N、Q、K、R、H、EおよびDからなる群から選択され;
Y8はQ、H、R、N、E、D、KおよびPからなる群から選択され;かつ、
Xは各々独立に任意のアミノ酸である]
を含んでなる、最大51個のアミノ酸からなるペプチドが提供される。
本発明のもう1つの実施形態において、
配列:
Y1−X−X−Y2−X−X−X−Y3−X−X−X−Y4−X−X−Y5−X−X−Y6−Y7−X−X−X−Y8−X−Y9
[ここで、
Y1はW、Y、F、H、L、N、Q、E、D、KおよびRからなる群から選択され;
Y2はW、Y、F、H、L、N、Q、E、D、KおよびRからなる群から選択され;
Y3はI、V、L、A、SおよびTからなる群から選択され;
Y4はT、S、I、K、N、H、R、Q、EおよびDからなる群から選択され;
Y5はI、V、T、K、L、N、Q、D、E、RおよびHからなる群から選択され;
Y6はP、GおよびC以外の任意のアミノ酸からなる群から選択され;
Y7はI、L、V、N、Q、K、R、H、EおよびDからなる群から選択され;
Y8はQ、H、R、N、E、D、KおよびPからなる群から選択され;
Y9はQ、H、N、E、D、K、R、LおよびPからなる群から選択され;かつ、
Xは各々独立に任意のアミノ酸である]
を含んでなる、最大51個のアミノ酸からなるペプチドが提供される。
本発明のもう1つの実施形態において、
配列:
Y1−X−X−Y2−X−X−X−Y3−X−X−X−Y4−X−X−Y5−X−X−Y6−Y7−X−X−X−Y8−X−Y9−Y10
[ここで、
Y1はW、Y、F、H、L、N、Q、E、D、KおよびRからなる群から選択され;
Y2はW、Y、F、H、L、N、Q、E、D、KおよびRからなる群から選択され;
Y3はI、V、L、A、SおよびTからなる群から選択され;
Y4はT、S、I、K、N、H、R、Q、EおよびDからなる群から選択され;
Y5はI、V、T、K、L、N、Q、D、E、RおよびHからなる群から選択され;
Y6はP、GおよびC以外の任意のアミノ酸からなる群から選択され;
Y7はI、L、V、N、Q、K、R、H、EおよびDからなる群から選択され;
Y8はQ、H、R、N、E、D、KおよびPからなる群から選択され;
Y9はQ、H、N、E、D、K、R、LおよびPからなる群から選択され;
Y10はQ、H、N、E、D、KおよびRからなる群から選択され;かつ、
Xは各々独立に任意のアミノ酸である]
を含んでなる、最大51個のアミノ酸からなるペプチドが提供される。
本発明のもう1つの実施形態において、
配列:
Y1−X−X−Y2−X−X−X−Y3−X−X−X−Y4−X−X−Y5−X−X−Y6−Y7−X−X−X−Y8−X−Y9−Y10−X−X−Y11
[ここで、
Y1はW、Y、F、H、L、N、Q、E、D、KおよびRからなる群から選択され;
Y2はW、Y、F、H、L、N、Q、E、D、KおよびRからなる群から選択され;
Y3はI、V、L、A、SおよびTからなる群から選択され;
Y4はT、S、I、K、N、H、R、Q、EおよびDからなる群から選択され;
Y5はI、V、T、K、L、N、Q、D、E,RおよびHからなる群から選択され;
Y6はP、GおよびC以外の任意のアミノ酸からなる群から選択され;
Y7はI、L、V、N、Q、K、R、H、EおよびDからなる群から選択され;
Y8はQ、H、R、N、E、D、KおよびPからなる群から選択され;
Y9はQ、H、N、E、D、K、R、LおよびPからなる群から選択され;
Y10はQ、H、N、E、D、KおよびRからなる群から選択され;
Y11はN、S、T、V、AおよびDからなる群から選択され;かつ、
Xは各々独立に任意のアミノ酸である]
を含んでなる、最大51個のアミノ酸からなるペプチドが提供される。
本発明のもう1つの実施形態において、
配列:
Y1−X−X−Y2−X−X−X−Y3−X−X−X−Y4−X−X−Y5−X−X−Y6−Y7−X−X−X−Y8−X−Y9−Y10−X−X−Y11−Y12
[ここで、
Y1はW、Y、F、H、L、N、Q、E、D、KおよびRからなる群から選択され;
Y2はW、Y、F、H、L、N、Q、E、D、KおよびRからなる群から選択され;
Y3はI、V、L、A、SおよびTからなる群から選択され;
Y4はT、S、I、K、N、H、R、Q、EおよびDからなる群から選択され;
Y5はI、V、T、K、L、N、Q、D、E、RおよびHからなる群から選択され;
Y6はP、GおよびC以外の任意のアミノ酸からなる群から選択され;
Y7はI、L、V、N、Q、K、R、H、EおよびDからなる群から選択され;
Y8はQ、H、R、N、E、D、KおよびPからなる群から選択され;
Y9はQ、H、N、E、D、K、R、LおよびPからなる群から選択され;
Y10はQ、H、N、E、D、KおよびRからなる群から選択され;
Y11はN、S、T、V、AおよびDからなる群から選択され;
Y12はE、V、K、G、R、Q、D、N、H、TおよびSからなる群から選択され;かつ、
Xは各々独立に任意のアミノ酸である]
を含んでなる最大51個のアミノ酸のペプチドが提供される。
本発明のもう1つの実施形態において、
配列:
Y1−X−X−Y2−X−X−X−Y3−X−X−X−Y4−X−X−Y5−X−X−Y6−Y7−X−X−X−Y8−X−Y9−Y10−X−X−Y11−Y12−X−X−Y13
[ここで、
Y1はW、Y、F、H、L、N、Q、E、D、KおよびRからなる群から選択され;
Y2はW、Y、F、H、L、N、Q、E、D、KおよびRからなる群から選択され;
Y3はI、V、L、A、SおよびTからなる群から選択され;
Y4はT、S、I、K、N、H、R、Q、EおよびDからなる群から選択され;
Y5はI、V、T、K、L、N、Q、D、E、RおよびHからなる群から選択され;
Y6はP、GおよびC以外の任意のアミノ酸からなる群から選択され;
Y7はI、L、V、N、Q、K、R、H、EおよびDからなる群から選択され;
Y8はQ、H、R、N、E、D、KおよびPからなる群から選択され;
Y9はQ、H、N、E、D、K、R、LおよびPからなる群から選択され;
Y10はQ、H、N、E、D、KおよびRからなる群から選択され;
Y11はN、S、T、V、AおよびDからなる群から選択され;
Y12はE、V、K、G、R、Q、D、N、H、TおよびSからなる群から選択され;
Y13はL、I、V、KおよびRからなる群から選択され;かつ、
Xは各々独立に任意のアミノ酸である]
を含んでなる最大51個のアミノ酸のペプチドが提供される。
本発明のもう1つの実施形態において、
配列:
Y1−X−X−Y2−X−X−X−Y3−X−X−X−Y4−X−X−Y5−X−X−Y6−Y7−X−X−X−Y8−X−Y9−Y10−X−X−Y11−Y12−X−X−Y13−Y14
[ここで、
Y1はW、Y、F、H、L、N、Q、E、D、KおよびRからなる群から選択され;
Y2はW、Y、F、H、L、N、Q、E、D、KおよびRからなる群から選択され;
Y3はI、V、L、A、SおよびTからなる群から選択され;
Y4はT、S、I、K、N、H、R、Q、EおよびDからなる群から選択され;
Y5はI、V、T、K、L、N、Q、D、E、RおよびHからなる群から選択され;
Y6はP、GおよびC以外の任意のアミノ酸からなる群から選択され;
Y7はI、L、V、N、Q、K、R、H、EおよびDからなる群から選択され;
Y8はQ、H、R、N、E、D、KおよびPからなる群から選択され;
Y9はQ、H、N、E、D、K、R、LおよびPからなる群から選択され;
Y10はQ、H、N、E、D、KおよびRからなる群から選択され;
Y11はN、S、T、V、AおよびDからなる群から選択され;
Y12はE、V、K、G、R、Q、D、N、H、TおよびSからなる群から選択され;
Y13はL、I、V、KおよびRからなる群から選択され;
Y14はL、S、M、Y、N、Q、E、D、KおよびRからなる群から選択され;かつ、
Xは各々独立に任意のアミノ酸である]
を含んでなる最大51個のアミノ酸のペプチドが提供される。
本発明のもう1つの実施形態において、
配列:
Y2−X−X−X−Y3−X−X−X−Y4−X−X−Y5−X−X−Y6−Y7−X−X−X−Y8−X−Y9−Y10−X−X−Y11−Y12−X−X−Y13−Y14
[ここで、
Y2はW、Y、F、H、L、N、Q、E、D、KおよびRからなる群から選択され;
Y3はI、V、L、A、SおよびTからなる群から選択され;
Y4はT、S、I、K、N、H、R、Q、EおよびDからなる群から選択され;
Y5はI、V、T、K、L、N、Q、D、E、RおよびHからなる群から選択され;
Y6はP、GおよびC以外の任意のアミノ酸からなる群から選択され;
Y7はI、L、V、N、Q、K、R、H、EおよびDからなる群から選択され;
Y8はQ、H、R、N、E、D、KおよびPからなる群から選択され;
Y9はQ、H、N、E、D、K、R、LおよびPからなる群から選択され;
Y10はQ、H、N、E、D、KおよびRからなる群から選択され;
Y11はN、S、T、V、AおよびDからなる群から選択され;
Y12はE、V、K、G、R、Q、D、N、H、TおよびSからなる群から選択され;
Y13はL、I、V、KおよびRからなる群から選択され;
Y14はL、S、M、Y、N、Q、E、D、KおよびRからなる群から選択され;かつ、
Xは各々独立に任意のアミノ酸である]
を含んでなる最大51個のアミノ酸からなるペプチドが提供される。
本発明のもう1つの実施形態において、
配列:
Y3−X−X−X−Y4−X−X−Y5−X−X−Y6−Y7−X−X−X−Y8−X−Y9−Y10−X−X−X11−Y12−X−X−Y13−Y14
[ここで、
Y3はI、V、L、A、SおよびTからなる群から選択され;
Y4はT、S、I、K、N、H、R、Q、EおよびDからなる群から選択され;
Y5はI、V、T、K、L、N、Q、D、E、RおよびHからなる群から選択され;
Y6はP、GおよびC以外のアミノ酸からなる群から選択され;
Y7はI、L、V、N、Q、K、R、H、EおよびDからなる群から選択され;
Y8はQ、H、R、N、E、D、KおよびPからなる群から選択され;
Y9はQ、H、N、E、D、K、R、LおよびPからなる群から選択され;
Y10はQ、H、N、E、D、KおよびRからなる群から選択され;
Y11はN、S、T、V、AおよびDからなる群から選択され;
Y12はE、V、K、G、R、Q、D、N、H、TおよびSからなる群から選択され;
Y13はL、I、V、KおよびRからなる群から選択され;
Y14はL、S、M、Y、N、Q、E、D、KおよびRからなる群から選択され;かつ、
Xは各々独立に任意のアミノ酸である]
を含んでなる最大51個のアミノ酸のペプチドが提供される。
本発明のもう1つの実施形態において、
配列:
Y4−X−X−Y5−X−X−Y6−Y7−X−X−X−Y8−X−Y9−Y10−X−X−Y11−Y12−X−X−Y13−Y14
[ここで、
Y4はT、S、I、K、N、H、R、Q、EおよびDからなる群から選択され;
Y5はI、V、T、K、L、N、Q、D、E、RおよびHからなる群から選択され;
Y6はP、GおよびC以外の任意のアミノ酸からなる群から選択され;
Y7はI、L、V、N、Q、K、R、H、EおよびDからなる群から選択され;
Y8はQ、H、R、N、E、D、KおよびPからなる群から選択され;
Y9はQ、H、N、E、D、K、R、LおよびPからなる群から選択され;
Y10はQ、H、N、E、D、KおよびRからなる群から選択され;
Y11はN、S、T、V、AおよびDからなる群から選択され;
Y12はE、V、K、G、R、Q、D、N、H、TおよびSからなる群から選択され;
Y13はL、I、V、KおよびRからなる群から選択され;
Y14はL、S、M、Y、N、Q、E、D、KおよびRからなる群から選択され;かつ、
Xは各々独立に任意のアミノ酸である]
を含んでなる最大51個のアミノ酸からなるペプチドが提供される。
本発明のもう1つの実施形態において、
配列:
Y5−X−X−Y6−Y7−X−X−X−Y8−X−Y9−Y10−X−X−Y11−Y12−X−X−Y13−Y14
[ここで、
Y5はI、V、T、K、L、N、Q、D、E、RおよびHからなる群から選択され;
Y6はP、GおよびC以外の任意のアミノ酸からなる群から選択され;
Y7はI、L、V、N、Q、K、R、H、EおよびDからなる群から選択され;
Y8はQ、H、R、N、E、D、KおよびPからなる群から選択され;
Y9はQ、H、N、E、D、K、R、LおよびPからなる群から選択され;
Y10はQ、H、N、E、D、KおよびRからなる群から選択され;
Y11はN、S、T、V、AおよびDからなる群から選択され;
Y12はE、V、K、G、R、Q、D、N、H、TおよびSからなる群から選択され;
Y13はL、I、V、KおよびRからなる群から選択され;
Y14はL、S、M、Y、N、Q、E、D、KおよびRからなる群から選択され;かつ、
Xは各々独立に任意のアミノ酸である]
を含んでなる最大51個のアミノ酸からなるペプチドが提供される。
本発明のもう1つの実施形態において、
配列:
Y6−Y7−X−X−X−Y8−X−Y9−Y10−X−X−Y11−Y12−X−X−Y13−Y14
[ここで、
Y6はP、GおよびC以外の任意のアミノ酸からなる群から選択され;
Y7はI、L、V、N、Q、K、R、H、EおよびDからなる群から選択され;
Y8はQ、H、R、N、E、D、KおよびPからなる群から選択され;
Y9はQ、H、N、E、D、K、R、LおよびPからなる群から選択され;
Y10はQ、H、N、E、D、KおよびRからなる群から選択され;
Y11はN、S、T、V、AおよびDからなる群から選択され;
Y12はE、V、K、G、R、Q、D、N、H、TおよびSからなる群から選択され;
Y13はL、I、V、KおよびRからなる群から選択され;
Y14はL、S、M、Y、N、Q、E、D、KおよびRからなる群から選択され;かつ、
Xは各々独立に任意のアミノ酸である]
を含んでなる最大51個のアミノ酸からなるペプチドが提供される。
本発明のもう1つの実施形態において、
配列:
W−X−X−W−X−X−X−I−X−X−X−T−X−X−I−X−X−L−I−X−X−X−Q−X−Q−Q−X−X−N
[ここで、
Xは各々独立に任意のアミノ酸である]
を含んでなる最大51個のアミノ酸からなるペプチドが提供される。
本発明のもう1つの実施形態において、
配列:
W−X1−X2−W−X3−X4−X5−I−X6−X7−X8−T−X9−X10−I−X11−X12−L−I−X13−X14−X15−Q−X16−Q−Q−X17−X18−N−X19−X20−X21−X22−X23
[ここで、
X1はM、L、I、Q、T、RおよびKからなる群から選択され;
X2はE、D、QおよびKのいずれかであり;
X3はE、DおよびKからなる群から選択され;
X4はK、R、E、Q、NおよびTからなる群から選択され;
X5はE、L、R、KおよびQからなる群から選択され;
X6はN、D、S、E、Q、K、R、H、T、IおよびGからなる群から選択され;
X7はN、Q、D、E、K、S、TおよびYからなる群から選択され;
X8はY、F、H、I、VおよびSからなる群から選択され;
X9はG、K、R、H、D、E、S、T、NおよびQからなる群から選択され;
X10はK、H、E、Q、T、V、I、L、M、A、Y、FおよびPからなる群から選択され;
X11はH、K、E、YおよびFからなる群から選択され;
X12はT、S、Q、N、E、D、R、K、H、W、G、AおよびMからなる群から選択され;
X13はD、E、Q、T、K、R、A、VおよびGからなる群から選択され;
X14はD、E、K、H、Q、N、S、I、L、V、AおよびGからなる群から選択され;
X15はS、Aおよび(P)からなる群から選択され;
X16はN、K、S、T、D、E、Y、IおよびVからなる群から選択され;
X17はE、D、N、K、GおよびVからなる群から選択され;
X18はK、R、H、D、E、N、Q、T、M、IおよびYからなる群から選択され;
X19はE、V、Q、M、L、JおよびGからなる群から選択され;
X20はQ、N、E、K、R、H、LおよびFからなる群から選択され;
X21はE、D、N、S、K、AおよびGからなる群から選択され;
X22はL、IおよびYからなる群から選択され;かつ、
X23はI、L、M、Q、SおよびYからなる群から選択される]
を含んでなる最大51個のアミノ酸からなるペプチドが提供される。
前記実施形態の一変形例において、ペプチドは図1に示される配列からなる群から選択される配列を含んでなる。
本発明のもう1つの実施形態において、
式Iまたは式II:
Figure 2006521361
[式中、
mは1〜5の整数であり;
nは1〜100の整数であり;
oは1〜5の整数であり;
pは1〜100の整数であり;
AVは抗ウイルス化合物であり;
L1およびL2はAVとPrを共有結合する多価リンカーであるか、またはL1およびL2は存在せず;
Prはタンパク質であり;かつ、
この複合体はイン・ビボにおいて抗ウイルス活性を有する]
の単離された複合体が提供される。
前記実施形態の一変形例において、前記抗ウイルス化合物がペプチドである。もう1つの変形例において、前記ペプチドの分子量が約100kDA未満である。もう1つの変形例において、前記ペプチドの分子量が約30kDA未満である。さらにもう1つの変形例において、前記ペプチドの分子量が約10kD未満である。
特定の一変形例において、前記ペプチドがペプチド類似体である。
本発明のもう1つの実施形態において、前記ペプチドが
Figure 2006521361
ペプチドDP178(T−20);および
ペプチドT−1249
[ここで、
X1はM、L、I、Q、T、RおよびKからなる群から選択され;
X2はE、D、QおよびKのいずれかであり;
X3はE、DおよびKからなる群から選択され;
X4はK、R、E、Q、NおよびTからなる群から選択され;
X5はE、L、R、KおよびQからなる群から選択され;
X6はN、D、S、E、Q、K、R、H、T、IおよびGからなる群から選択され;
X7はN、Q、D、E、K、S、TおよびYからなる群から選択され;
X8はY、F、H、I、VおよびSからなる群から選択され;
X9はG、K、R、H、D、E、S、T、NおよびQからなる群から選択され;
X10はK、H、E、Q、T、V、I、L、M、A、Y、FおよびPからなる群から選択され;
X11はH、K、E、YおよびFからなる群から選択され;
X12はT、S、Q、N、E、D、R、K、H、W、G、AおよびMからなる群から選択され;
X13はD、E、Q、T、K、R、A、VおよびGからなる群から選択され;
X14はD、E、K、H、Q、N、S、I、L、V、AおよびGからなる群から選択され;
X15は S、Aおよび(P)からなる群から選択され;
X16はN、K、S、T、D、E、Y、IおよびVからなる群から選択され;
X17はE、D、N、K、GおよびVからなる群から選択され;
X18はK、R、H、D、E、N、Q、T、M、IおよびYからなる群から選択され;
X19はE、V、Q、M、L、JおよびGからなる群から選択され;
X20はQ、N、E、K、R、H、LおよびFからなる群から選択され;
X21はE、D、N、S、K、AおよびGからなる群から選択され;
X22はL、IおよびYからなる群から選択され;かつ、
X23はI、L、M、Q、SおよびYからなる群から選択される]
からなる群から選択される配列を含んでなる最大51個のアミノ酸からなる。
最大51のアミノ酸からなるペプチド断片を含んでなる本明細書に開示されているペプチド配列は、その51のアミノ酸ペプチドのN末端、C末端またはその内部のどこかに位置する51のアミノ酸ペプチドの断片である。1つの変形では、これらのペプチドはC末端アミド(−CONH)およびそれらの保護誘導体である。もう1つの変形では、ペプチドはC末端エステル(すなわち、−COOR、ここで、Rは置換または非置換(C1−15)アルキルである)。
所望により、この断片を含んでなる本明細書に開示されているペプチド配列は当業者に公知の標準的な保護基によってさらに保護することができる。これらのペプチドの保護誘導体は抗ウイルス化合物の製造に有用であるか、またはそれらの部分的または完全保護形態において有効抗ウイルス化合物としてそれ自体有用である。すなわち、複合体において誘導体化または保護または部分的に保護されたペプチド断片は標的と結合し、治療的生物活性を顕在化させる能力をなお保持し得る。例えば、ペプチド断片のアミノ基の代表的な保護基としては、アセチル、tert−ブトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニルなどが挙げられる。好適かつ代表的な保護基は、T. W. Greene, Protecting Groups in Organic Synthesis, 3rd edition, John Wiley & Sons, Inc. 1999に見出すことができる。
一実施形態では、これらペプチド断片の保護基はC末端アミドおよび/またはN末端アセチル基およびそれらの誘導体を含んでなる。これらのペプチドは、−NH、−SH、− OH、−COOHなどをはじめとする、アミノ酸のいずれの官能基を有してもよく、リンカーと付着させてもよい。
本発明の1つの変形では、そのタンパク質が血液成分である、上記実施形態および変形の複合体を提供する。もう1つの変形では、血液成分は赤血球、免疫グロブリン、IgM、IhG、血清アルブミン、トランスフェリン、P90およびP38、フェリチン、ステロイド結合タンパク質、チロキシン結合タンパク質、およびα−2−マクログロブリンからなる群から選択される。さらにもう1つの変形では、血液成分はヒト血清アルブミンであり、リンカーはペプチドリンカーである。
1つの特定の変形では、血液成分はヒト血清アルブミンであり、リンカーは非ペプチドリンカーである。
本発明の特定の一実施形態では、この複合体は融合タンパク質である。
本発明の1つの変形では、直鎖L1またはL2はイン・ビボにおいて加水分解切断に対して安定な非変性リンカーである。よって、本発明の複合体は、イン・ビボにおいて加水分解切断に対して安定な化合物を提供する。さらに、本発明の複合体はまた、それ自体有効化合物でもあり、イン・ビボでの加水分解時に生成または放出される単にペプチドのプロドラッグではない。
WO00/76550(F. Kratz)は天然または組換えアルブミンなどのチオール結合基に付着されているスペーサー基に付着されている医薬および/または診断用活性物質を開示している。しかしながら、この開示は、医薬化合物または診断活性物質の放出が好ましく、それは低分子量有効物質は、それが薬理学上有効である標的分子と反応しなければならないためであることを教示している。さらに、Kratzは、このスペーサー分子は、加水分解的である化合物、および/またはpH依存的である化合物、および/または酵素的に切断されやすい化合物から選択されることを教示している。好ましくは、これらのスペーサー分子は酸感受性または酸に不安定なスペーサーである。
リンカーL1またはL2は疎水性リンカー、親水性リンカー、または1を超えるリンカーが存在する場合にはその組合せであり得る。種々の溶解性および細胞透過性の特性を得るために種々の異なるリンカーL1またはL2を選択することができる。
本発明の抗ウイルス化合物が1以上のリンカーと付着しているペプチドである場合、リンカーL1またはL2は、N末端、C末端、例えばリジン、アスパラギン酸、グルタミン酸もしくはシステイン、またはその組合せなどの内部アミノ酸上の反応性側鎖においてペプチドと付着させることができる。
本発明の1つの変形では、リンカーL1またはL2は、AVとPrを共有結合させる少なくとも2つの官能基を含んでなる。もう1つの変形では、リンカーL1またはL2はヒト血清中で長時間、加水分解上安定である。
本発明の複合体は、それ自体、非複合化化合物よりも加水分解切断または分解に対して安定な化合物である。1つの変形では、本発明の複合体は、ヒト血清中での半減期が4時間〜120日であり、加水分解切断または分解に対して安定である。特定の変形では、本発明の複合体は約8時間〜約30日間、加水分解切断または分解に対して安定である。
1つの特定の変形では、リンカーL1またはL2がヒト血清中で8時間〜30日間安定な本発明の複合体を提供する。
上記変形および実施形態のもう1つの特定の変形では、リンカーL1またはL2は、アシルオキシメチルケトン、アジリジン、ジアゾメチルケトン、エポキシド、ヨード−、ブロモ−またはクロロアセトアミド、α−ハロエステル、α−ハロケトン、スルホニウム、クロロエチルスルフィド、O−アルキルイソ尿素、アルキルハリド、ビニルスルホン、アクリルアミド、アクリレート、ビニルピリジン、有機金属化合物、アリールジスルフィド、チオスルホネート、アルデヒド、ニトリル、α−ジケトン、α−ケトアミド、α−ケトエステル、ジアミノケトン、セミカルバゾン、およびジヒドラジドからなる群から選択される化合物の誘導体である。
上記変形および実施形態のもう1つの特定の変形では、リンカーL1またはL2は、アジドベンゾイルヒドラジド、N−[4−(p−アジドサリチルアミノ)ブチル]−3’−(2’−ピリジルジチオ)プロピオンアミド、ビス−スルホスクシンイミジルスベレート、ジメチルアジピミデート、ジスクシンイミジルタルトレート、N−y−マレイミドブチリルオキシスクシンイミドエステル、N−ヒドロキシスルホスクシンイミジル−4−アジドベンゾエート、N−スクシンイミジル[4−アジドフェニル]−1,3’−ジチオプロピオネート、N−スクシンイミジル[4−ヨードアセチル]アミノベンゾエート、グルタルアルデヒド、スクシンイミジル4−[N−マレイミドメチル]シクロヘキサン−1−カルボキシレート、N−ヒドロキシスルホスクシンイミド、マレイミド−ベンゾイル−スクシンイミド、γ−マレイミド−ブチリルオキシスクシンイミドエステル、マレイミドプロピオン酸、N−ヒドロキシスクシンイミド、イソシアネート、チオエステル、チオノカルボン酸エステル、イミノエステル、カルボジイミド、無水物および炭酸エステルからなる群から選択される化合物の誘導体である。
1つの特定の実施形態では、タンパク質がアルブミンである、本発明の複合体が提供される。上記実施形態の1つの変形では、乾物ベースで少なくとも10%の純度のアルブミンがHSAまたは組換えHSAである。
もう1つの変形では、この結合はヒトアルブミンのCys−34に対するものである。さらにもう1つの変形では、この結合はヒトアルブミンのリジンに対するものである。
本発明の1つの特定の変形では、mが1であり、nが1であり、かつ、タンパク質がHSAまたは組換えHSAである上記開示の複合体が提供される。もう1つの変形では、nは1であり、タンパク質はHSAまたは組換えHSAであり、複合体はさらに少なくとも30%の純度まで精製される。さらにもう1つの特定の変形では、mは1、nは2であり、かつ、タンパク質はHSAまたは組換えHSAである。
一実施形態では、複合体は、化学量論比の(AV)−L1とPr、または化学量論比のAVとL2−(Pr)を合わせることにより製造される。よって、(AV)−L1とPrの比、またはAVとtoL2−(Pr)の比は1:1である。もう1つの特定の変形では、複合体は、少なくとも約1.3:1の比率のPrと(AV)−L1の混合物を合わせることにより製造される。
上記実施例の1つの変形では、L1およびL2は存在せず、この複合体は、AVの活性化中間体を形成させた後にその活性化AV中間体とPrを縮合させることにより製造される。上記の変形では、AVの活性化中間体は無水混合物またはN,N’−カルボニルジイミダゾール試薬から製造される。
上記の変形によれば、この複合体は少なくとも約30%の純度までさらに精製される。予期しないことに、エクス・ビボにおけるコンジュゲート複合体の形成によりイン・ビボでコンジュゲート化合物を形成するよりも予期せぬ利点が得られることが判明した。例えば、比較的不溶性の抗ウイルス薬の場合、エクス・ビボでのコンジュゲーションは溶解度のより高い薬剤または複合体を形成する。化合物の安定性の向上に加え、本発明の複合体の形成の結果、不溶性の非コンジュゲート薬剤を投与する場合より投与(注射による)が著しく有利な処方物のための溶解度の高い複合体が得られる。抗ウイルス薬のエクス・ビボコンジュゲーションが安定な薬剤処方物を形成するので、この方法は安定な生理学的溶液の調製を可能とする。本発明の複合体を含有する組成物の安定な可溶溶液の調製が可能であるので、経口または非経口投与が容易な、この複合体の生理食塩水溶液の調製が可能となる。
さらに、エクス・ビボにおける複合体の形成は、この複合体の投与が注射部位に刺激が少なく、他のタンパク質との非特異的反応を回避でき、かつ、イン・ビボアプローチよりも複合体の治療的血中レベルの向上が達せられるので、複合体のイン・ビボ形成よりも好ましことが分かっている。
もう1つの実施形態では、本発明は、血液成分に共有結合されている非ペプチド抗ウイルス化合物を含んでなる抗ウイルス組成物を提供する。
上記実施形態および変形の各々によれば、上記実施形態および変形に従い、複合体と生理学上許容される担体とを含んでなる組成物が提供される。1つの変形では、組成物は生理食塩水を用いて処方されるか、または生理食塩水を用いずに処方される。もう1つの変形では、この組成物は非経口投与様に処方される。
本発明の組成物の投与としては、皮下、筋肉内、眼内、包内、脊髄内、胸骨内、脳内、心室内(ICV)、静脈内などの他の経路による注射をはじめとする非経口投与を含み得る。
上記の1つの変形では、この組成物は溶液、使用前に溶媒と合わせる乾燥製品、懸濁液、エマルション、および液体濃縮物からなる群から選択される。
本発明のもう1つの実施形態では、イン・ビボにおいてHIV gp41およびHIVの活性を阻害する方法が提供され、その方法は、
哺乳類宿主の血流中に上記実施形態および変形の単離されたコンジュゲート複合体を投与することを含み、この複合体は、抗ウイルス化合物と、そのタンパク質と反応して安定な共有結合を形成する少なくとも1つの反応性官能基を有するリンカーとを付着させることにより形成され、かつ、
この単離されたコンジュゲート複合体は、非コンジュゲート抗ウイルス化合物に比べて長時間血流中で有効な治療効果を維持する量で投与される。
上記方法の1つの変形では、この方法は上記実施形態および変形において開示した複合体に適用可能である。
もう1つの変形では、この方法はタンパク質を用い、そのタンパク質はHSAまたは組換えHSAである。
上記方法の特定の変形では、反応性官能基を含んでなるリンカーは、アシルオキシメチルケトン、アジリジン、ジアゾメチルケトン、エポキシド、ヨード−、ブロモ−またはクロロアセトアミド、α−ハロエステル、α−ハロケトン、スルホニウム、クロロエチルスルフィド、O−アルキルイソ尿素、アルキルハリド、ビニルスルホン、アクリルアミド、アクリレート、ビニルピリジン、有機金属化合物、アリールジスルフィド、チオスルホネート、アルデヒド、ニトリル、α−ジケトン、α−ケトアミド、α−ケトエステル、ジアミノケトン、セミカルバゾン、およびジヒドラジドからなる群から選択される化合物である。
一実施形態では、イン・ビボにおいて抗ウイルス活性を惹起する方法であって、
哺乳類宿主の血流中に上記実施形態および変形の複合体を抗ウイルス活性に有効な量を提供するに十分な量で投与することを含み、
それにより、その複合体が非結合抗ウイルス化合物の寿命に比べて長時間血流中で維持される方法が提供される。
本発明のもう1つの実施形態では、宿主において抗ウイルス活性を惹起する方法であって、
a)化合物AV−L1またはAV−L2(ここで、AVは分子量60kD未満のペプチド抗ウイルス化合物であり、L1またはL2はAVと共有結合しているリンカーである)を製造すること;
b)エクス・ビボにおいて、この化合物AV−L1またはAV−L2を、単離されたタンパク質で、化合物AV−L1またはAV−L2がそのタンパク質と共有結合して上記実施形態および変形のタンパク質複合体を形成するに十分な時間処理すること;および
c)処理したタンパク質複合体を宿主に投与すること
を含む方法が提供される。
上記実施形態の1つの変形では、このタンパク質はアルブミンである。上記のもう1つの変形では、このアルブミンはHSAまたは組換えHSAである。
1つの変形によれば、このアルブミンは、アルブミンを化合物AV−L1またはAV−L2で処理する前に血液から採取、精製および単離される。上記方法のもう1つの変形では、アルブミンは乾物ベースで少なくとも10%のレベルの純度まで精製される。さらにもう1つの変形では、アルブミンは95%を超えるレベルの純度まで精製される。
もう1つの実施形態では、本発明は、宿主において抗ウイルス活性を惹起する方法であって、
a)化合物AV−L1またはAV−L2(ここで、AVは分子量60kD未満の抗ウイルス化合物ペプチドであり、L1またはL2はAVと共有結合しているリンカーである)を製造すること;
b)エクス・ビボにおいて、化合物AV−L1またはAV−L2を、単離された1以上のタンパク質Prで、化合物AV−L1またはAV−L2が1以上の単離されたタンパク質と共有結合して、上記実施形態および変形の1以上の修飾タンパク質複合体を形成するのに十分な時間処理すること;および
c)その修飾タンパク質を宿主に投与すること
を含む方法を提供する。
この実施形態の1つの変形では、このタンパク質はアルブミンである。もう1つの変形では、このアルブミンは化合物AV−L1またはAV−L2で処理する前に血液から採取、精製および単離される。さらにもう1つの変形では、アルブミンはHSAまたは組換えHSAである。
一実施形態では、本発明は、治療上有効な量の上記実施形態および変形の複合体またはその生理学上許容される塩と、薬学上許容される担体、賦形剤または希釈とを含んでなる医薬組成物を提供する。
一実施形態では、本発明は、HIVウイルスの活動を阻害する方法であって、そのような処置が必要であると思われる宿主に、有効量の上記実施形態および変形の複合体、またはその薬学上許容される塩を投与することを含む方法を提供する。
1つの変形では、本発明は、ウイルス感染を被っている被験体を処置する方法であって、そのような被験体に有効量の上記実施形態および変形の組成物を投与することを含む方法を提供する。上記変形によれば、被験体はHIV感染を被っている。
もう1つの実施形態では、本発明は、ウイルス感染に曝されている疑いのある患者の予防方法であって、そのような被験体に有効量の上記変形の組成物を投与することを含む方法を提供する。
処置方法
本発明は既存の抗ウイルス薬の特性を利用する。本発明の化合物によって阻害され得るウイルスとしては、限定されるものではないが、例えば米国特許第6,013,263号および米国特許第6,017,536号の中の表V〜VIIおよびIX〜XIVに一覧化されている全ウイルス株が挙げられる。これらのウイルスとしては、例えば、HIV−1、HIV−2、およびヒトTリンパ球ウイルス(HTLV−IおよびHTLV−II)をはじめとするヒトレトロウイルス、ならびにウシ白血病ウイルス、ネコ肉腫ウイルス、ネコ白血病ウイルス、サル免疫不全ウイルス(SIV)、サル肉腫ウイルス、サル白血病、およびヒツジ進行性肺炎ウイルスをはじめとする非ヒトレトロウイルスが挙げられる。例えば、ヒト呼吸器合胞体ウイルス(RSV)、イヌジステンバーウイルス、ニューカッスル病ウイルス、ヒトパラインフルエンザウイルス(HPIV)、インフルエンザウイルス、麻疹ウイルス(MeV)、エプスタイン−バーウイルス、B型肝炎ウイルス、およびサルメイソン−ファイザーウイルスなどの非レトロウイルスも本発明の化合物により阻害可能である。非エンベロープウイルスも阻害可能であり、限定されるものではないが、ポリオウイルスなどのピコルナウイルス、A型肝炎ウイルス、エンテロウイルス、エコーウイルス、コクサッキーウイルス、パピローマウイルスなどのパポーバウイルス、パルボウイルス、アデノウイルス、およびレオウイルスが挙げられる。
本発明の化合物は下記の方法および当技術分野で公知の他の方法に従って患者に投与することができる。化合物誘導体の有効治療用量は当業者に周知の手法により決定することができる。
これらの化合物はまた、それまでに感染していない個体に予防的に投与することもできる。これは、個体がウイルス伝播の高いリスクのある感染個体と接触した場合に起こり得るような、個体がウイルスに曝されていた場合に有利であり得る。これは、HIVウイルスなどのウイルスに対して知らないうちに治癒している場合に特に有利であり得る。一例として、本発明の化合物の予防的投与は、医療従事者がHIV感染個体の血液に曝された場合、またはある個体がその個体がHIVウイルスに曝された可能性がある高リスク活動に従事したような他の場合に有利である。
本発明の化合物の好ましい投与経路は、化合物が血流中に循環してそれらの所望の標的に達することができる静脈投与である。しかしながら、本発明の方法は、患者の体内の化合物の循環を可能とするいずれの投与方法も含む。
本発明の化合物および医薬組成物は単独で用いてもよいし、または他の抗ウイルス化合物と併用してもよい。例えば、本発明の化合物および医薬組成物は種々の薬剤「カクテル」すなわち、ウイルスの複製を抑制し、エイズの発症を予防または遅延させる可能性のある3種以上のまたは組合せで用いてもよい。
本発明を十分説明してきたが、本発明は以下の限定されない例を参照してさらに認識および理解することができる。
本発明の化合物は所望により以下の一般反応スキームに従って合成することができる。
式Iの複合体の製造:
Figure 2006521361
式IIの複合体の製造:
Figure 2006521361
式Iの複合体の製造に関して上記スキームに示されるように、抗ウイルス薬をまずリンカーL1に付着させて抗ウイルス薬−リンカーAV−L1を形成した後、これをタンパク質Prと反応させて式Iの複合体を形成する。しかしながら、まずリンカーL1をタンパク質Prに付着させてリンカー−タンパク質化合物L1−Prを形成した後、これを抗ウイルス薬と架橋させて式Iの複合体に連結させるということも実施可能である。同様に、本発明はまた、式IIの複合体の製造に上記で述べたものの逆配列も適用可能であることも教示する。
実施例1:HIV融合阻害剤ペプチドのデザインおよび製造
推定されるHIV融合阻害剤ペプチドの配列はgp41三量体らせん融合性複合体の結晶構造を用いてモデル化されたものである(Jiang et al, 2002に総説)。ペプチド配列は、融合性複合体のN末端三重らせんコアによって形成される溝に適合するらせんセグメントを形成するようにモデル化された。モデル化されたらせんペプチドの内部結合および外部露出面の評価を用い、モデルペプチドのアミノ酸の配列および組成を決定した。モデルペプチドの溶解度およびその他の物理化学特性を改良するため、複合体形成後に露出側鎖を有するアミノ酸を変更する。N末端三重らせんコアと結合するアミノ酸は結合親和性および抗ウイルス活性の決定因子である。
表1および2の大部分のペプチドは表面残基の変化を反映し、HIV HXB2株に対する同等に有効な抗ウイルス化合物であると推定されたものである。表1のペプチドは総てN末端にアセチル基、C末端にアミド基を有する。
これらのペプチドはTentagel−S−RAM樹脂(Rapp Polymer)0.25mmol/gにて標準的な固相技術を用いて製造した。HPLCでの純度は総て90%を超え、適切な質量スペクトルを示した。
樹脂上での合成プロトコール
1.脱保護−25%ピペリジン/DMF(5+25分)
2.洗浄−DMF(6×1分)
3.カップリング−ネガティブカイザー試験では、3当量のFmoc−アミノ酸+3当量のTCTU+6当量のDIEA(約1時間);Asn31およびLys33では3時間
4.洗浄−DMF(5×1分)
5.末端アセチル化−無水酢酸/DIEA
樹脂からの切断
TFA−m−クレゾール−チオアニソール−トリイソプロピルシラン(85:5:5:5)2時間、RT
真空蒸発
エーテルにより沈殿(粗収率〜80%)
精製
Biosphere C−18カラムを用いたHPLC
移動相−A:水/0.1%TFA B:アセトニトリル/0.1%TFA
勾配−10〜20%B/10分、20〜40%B/90分
検出−UV220nm
95%を超える画分を回収および凍結乾燥した。
分析
HPLC:カラム−Luna C18
移動相−A:水/0.04%HPO B:アセトニトリル/0.04%HPO
勾配−5〜65%B/30分
検出−UV220nm
MS[MH]
TCTU=O−(1H−6−クロロベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムテトラフルオロボレート
DIEA=ジイソプロピルエチルアミン
実施例2:ペプチドの抗ウイルス活性の評価
これらのペプチドの抗ウイルス効力を、従前に記載されているもの(参照文献1〜3)に微修正を施し、MT4細胞による細胞傷害性アッセイを用い、HIV−1 HXB2またはNL4−3株に対して分析した。MT−4細胞(1.5×10/ml)を、96穴マイクロタイタープレート中、種々の濃度の試験化合物の存在下で、200 50%組織培養感染用量(TCID50)のウイルスに曝し、5日間37℃でインキュベートした。HIVの細胞傷害性は、各穴に終濃度0.75mg/mlとなるように3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−イル)−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロミド(MTT)溶液を加え、1時間37℃でインキュベートすることで測定した。インキュベーション後、細胞をイソプロパノール/Triton−X100/HCl(1000:50:25)溶液に溶解した。マイクロプレートリーダー(Spectramax, Molecular Devices)にて540nmおよび690nmで吸光度をモニタリングした。MT−4細胞はAIDS Research and Reference Reagent Program (ARRRP, Division of AIDS, NIAID, NIH: MT-4 の Dr. D. Richman)から入手した。細胞を、10%ウシ胎児血清、50Uのペニシリンおよび50μgのストレプトマイシン/ml(Invitrogen, Carlsbad CA)を添加したRPMI 1640増殖培地で増殖させた。全供試化合物のIC50値は表1に示されている。
参考文献
Figure 2006521361
Figure 2006521361
実施例3a:化学反応性修飾HIV融合阻害剤ペプチドの製造
ペプチド2および7の類似体は、様々な配列のペプチドの薬物動態活性を増強するための手順の一般適用を示す。SPI−30014およびSPI−70038(下表2参照)は上記のような固相合成技術を用いて製造した。N末端をアセチル化する代わりにFmoc−8−アミノ−3,6−ジオキサオクタン酸、TCTU、DIEAと3時間反応させ、上記のように洗浄した後、3−マレイミドプロピオン酸、TCTU、DIEAと3時間反応させた。切断および精製は上記の通りとした。
SPI−30014 MH4545
SPI−70038 MH4673
実施例3b:クエンチ型の(quenched)修飾HIV融合阻害剤ペプチドの製造
非反応性対照を生成するため、マレイミド含有ペプチドを過剰量のβ−メルカプトエタノールを用いてクエンチした。得られたクエンチ型のペプチド(SPI−30014QおよびSPI−70038Q)はHSAと共有結合を形成することができない。これらのクエンチ型誘導体は次のようにして製造した。
1mgのSPI−30014を22.0μlのDMSOに溶解した。この溶液5μlを45μlの53mMβ−メルカプトエタノール水溶液(終濃度47.7mM)に加え、37℃で5時間インキュベートした。ペプチド:β−メルカプトエタノールのモル比は1:51であり、ペプチドの終濃度は0.9mMであった。
同様に、1mgのSPI−70038を21.4μlのDMSOに溶解した。この溶液5μlを45μlの53mMβ−メルカプトエタノール水溶液(終濃度47.7mM)に加え、37℃で5時間インキュベートした。ペプチド:β−メルカプトエタノールのモル比は1:58であり、ペプチドの終濃度は0.8mMであった。
実施例4:長時間作用HIV融合阻害剤HSA−ペプチドコンジュゲートの製造
1mgのSPI−30014を22.0μlのDMSOに溶解した。この溶液10μlを90μlの25%HSA(Seracare)に加え、37℃で5時間インキュベートした。最終反応混合物中のペプチド:HSAのモル比は約1:4であり、ペプチドの終濃度は0.9mMであった。
同様に、1mgのSPI−70038を21.4μlのDMSOに溶解した。この溶液10μlを90μlの25%HSA(Seracare) に加え、37℃で5時間インキュベートした。最終反応混合物中のペプチド:HSAのモル比は約1:4であり、ペプチドの終濃度は0.8mMであった。
得られたHSA−ペプチドコンジュゲート、SPI−30014HSAおよびSPI−70038HSAを抗ウイルス活性に関して試験し、薬物動態特性を反応性中間体(SPI−30014およびSPI−70038)およびクエンチ型非コンジュゲートペプチド(SPI−30014QおよびSPI−70038Q)と比較した。
実施例5:修飾型およびコンジュゲート型HIV融合阻害剤ペプチドの抗ウイルス活性の評価
マレイミド含有ペプチド、クエンチ型非コンジュゲートペプチド、およびペプチド−HSAコンジュゲートの抗ウイルス効力を、実施例2に記載のようにMT4細胞による細胞傷害性アッセイを用い、HXB2 HIV−1に対して分析した。これらの化合物のIC50値は表2に示されている。反応型およびクエンチ型のペプチドの活性は同等である。各HSA−ペプチドコンジュゲートの抗ウイルス活性は約3〜4倍低下している。
Figure 2006521361
実施例6:長時間作用HIV融合阻害剤の薬物動態特性の評価
ペプチド−HSAコンジュゲート(SPI−30014HSAおよびSPI−70038HSA)およびクエンチ型非コンジュゲートペプチド(SPI−30014QおよびSPI−70038Q)を体重400〜500gのSprague−Dawleyラットに静脈投与した。試験化合物をDMSO(ペプチド)またはリン酸緩衝生理食塩水(HSA−ペプチドコンジュゲート)で調製し、0.5〜0.6μmol/kgの一回量を静脈投与した(注入速度は2.0ml/分、総注入時間は約20秒とした)。血清サンプルを投与後5分、30分、1、2、8、24、48および72時間で回収した。ラット血漿中の抗ウイルスペプチドおよびコンジュゲートの濃度を、細胞に基づく抗ウイルス生物検定を用いて分析した。各時点で、血清サンプルをまず増殖培地で1:10希釈した後、これを複数の一連の希釈液に用い、MT4細胞および上記のHIV−1 HXB2ウイルスを用いた標準的な抗ウイルスアッセイで分析した。IC50値を求め、HIV−1 HXB2の細胞傷害活性の50%を阻害するのに必要なサンプル血清の%として表した。対応する動物の投与前血清を培地で10倍希釈したものを含む参照サンプルを調製した。この希釈サンプルにDMSO水溶液中、所定の濃度のペプチドまたはペプチド−HSAコンジュゲートを加えた。次にこのサンプルを試験時点のサンプルと同様に、抗ウイルスアッセイで分析した。このIC50参照値を求め、ペプチドまたはペプチド−HSAコンジュゲートの濃度として表した。次に、各試験時点の血清サンプル中のペプチドまたはペプチド−HSAコンジュゲートの濃度を、対応する動物からの血清中の参照サンプルで得られたIC50値を基に算出した。
濃度(nM)=[IC50参照値(nM)/IC50(サンプル血清の%)]×100%
ラット血漿における試験化合物の、時間に対する濃度の特性が図2および3に示されている(ラット2〜3個体の平均)。非コンジュゲート(対照)ペプチドは迅速なクリアランス特性を示し、8時間までに80%のペプチドが失われる。これに対し、2つのHSA−ペプチドコンジュゲートの最終半減期は12〜14時間の範囲であった。HSA−ペプチドコンジュゲートの半減期は、齧歯類で報告されているHSA単独の半減期(15.8時間)と同等である(1).1. M.Gaizutis, Pesce A. J., Pollak V. E. 1975. Renal clearace of human and rat alumins in the rat. Proc. Soc. Exp. Biol. Med. 148(4): 947-952。
これらの結果は、抗ウイルス化合物の半減期、分布、および排出はクローキング(cloaking)タンパク質(HSA)によって決定されたが、抗ウイルス活性は弾頭型ペプチドによって決定されたことを示す。動物における血漿活性のこの延長は、コンジュゲートの有効な生物活性の保持を考えれば予期できないことである。この知見は、分子の弾頭部分が明らかに露出していることを示唆し、従って、体内で代謝、分解、排除およびクリアランスプロセスを受けるものと考えられりが、発明者らの結果はそれがこれらのプロセスから保護されるといういうことを示唆する。
実施例7:本発明の複合体を形成するためのコンジュゲーション反応:
DMSO中、マレイミドプロピオニルアミノエトキシエトキシアセチル誘導体化抗ウイルスペプチドの10mM溶液を、HSAの25%水溶液に加えた。この反応混合物における最終ペプチド濃度は1mMであり、反応混合物中のペプチド:HSAのモル比は1:4であった。この溶液を37℃で5時間インキュベートした。インキュベーションが完了したら、コンジュゲートを4℃で保存した。
実施例8:本発明の複合体を形成するためのコンジュゲーション反応:
DMSO中、トランス−4−(マレイミジルメチル)シクロヘキサン−1−カルボニル誘導体化抗ウイルスペプチドの10mM溶液を、HSAの25%水溶液に加えた。この反応混合物における最終ペプチド濃度は1mMであり、反応混合物中のペプチド:HSAのモル比は1:4である。この溶液を37℃で5時間インキュベートした。インキュベーションが完了したら、コンジュゲートを4℃で保存する。
実施例9:本発明の複合体を形成するためのコンジュゲーション反応:
DMSO中、N−(3−{2−[2−(3−アミノ−プロポキシ)−エトキシ]−エトキシ}−エトキシ)−プロピル)−2−ブロモアセトアミド誘導体化抗ウイルスペプチドの10mM溶液を、HSAの25%水溶液に加えた。この反応混合物における最終ペプチド濃度は1mMであり、反応混合物中のペプチド:HSAのモル比は1:4である。この溶液を37℃で5時間インキュベートした。インキュベーションが完了したら、コンジュゲートを4℃で保存する。
実施例10:本発明の複合体を形成するためのコンジュゲーション反応:
DMSO中、マレイミドプロピオニルアミノエトキシエトキシアセチル誘導体化抗ウイルスペプチドの10mM溶液を、HSAの25%水溶液に加えた。この反応混合物における最終ペプチド濃度は1mMであり、反応混合物中のペプチド:HSAのモル比は1:1である。この溶液を37℃で5時間インキュベートした。インキュベーションが完了したら、コンジュゲートを4℃で保存する。
実施例11:本発明の複合体を形成するためのコンジュゲーション反応:
DMSO中、マレイミドプロピオニルアミノエトキシエトキシアセチル誘導体化抗ウイルスペプチドの10mM溶液を、HSAの25%水溶液に加えた。この反応混合物における最終ペプチド濃度は1mMであり、反応混合物中のペプチド:HSAのモル比は10:1である。この溶液を37℃で5時間インキュベートした。インキュベーションが完了したら、コンジュゲートを4℃で保存する。
アッセイ例:
実施例12:HIV融合のペプチジル阻害剤に関する結合実験
HIV融合のコンジュゲート阻害剤の結合親和性は、N末端におけるGCN4のセグメントおよびC末端におけるHIV−1 GP41の最初の7回反復領域に由来する17残基を含むキメラペプチド(IQN17)を用いて測定する(Cell 99, 103-115)。GP41(C28)の第二の7回反復領域由来の28残基のペプチドを、そのカルボキシル末端において蛍光分子Alexa−430(Molecular Probs)で標識する。この結合を、標識C28をIQN17で滴定することにより測定する。結合および非結合C28の濃度をキャピラリーゾーン電気泳動により測定する。3μMのC28および8μmのIQN17において、約80%のC28がIQN17と結合する。非標識ペプチドに関して、IQN17と50%C28を競合する量がそのIC50値を示す。
レニン阻害化合物および複合体
本発明は、タンパク質と反応させて共有結合複合体を形成させるために用い得る生物活性化合物に関し、得られた複合体はイン・ビボでレニン阻害活性を示すことが分かっている。より詳しくは、これらの複合体は、レニン阻害剤と架橋基とを含んでなる単離された複合体であり、この血液成分はアルブミンなどのタンパク質である。本発明はまた、イン・ビボにおいてレニン活性を阻害する方法であって、哺乳類宿主の血流中に本発明の新規な単離された複合体を投与することを含む方法も提供する。
一実施形態では、有効成分として本発明の精製レニン阻害剤複合体を含んでなる医薬組成物が提供される。本発明の医薬組成物は所望により本発明の0.001%〜100%の1以上のレニン阻害剤複合体を含んでなる。これらの医薬組成物は、血流中に生物活性剤を投与するための当技術分野で公知の種々の方法によって投与または同時投与することができる。本発明の好ましい態様では、これらの組成物は注射により投与することができる。もう1つの好ましい態様では、これらの組成物は点滴により投与することができる。
もう1つの実施形態では、生物活性剤、特にレニン阻害剤などの治療薬を含んでなる単離されたコンジュゲート複合体の送達のための方法および組成物が提供され、この場合、薬剤を含んでなる複合体は非コンジュゲート薬に比べて血流中で長い半減期を有する。
本発明は、架橋基に共有結合または架橋されている生物活性化合物の使用を含み、この架橋基は、そのタンパク質上に存在する官能基と共有結合を形成することができる少なくとも1つの化学反応性部分を含んでなる。単離された複合体を、それらの複合体を宿主の血液、特に宿主の血流中に投与する前に調製することで、非コンジュゲート生物活性剤に比べて長時間血流中で有効な治療効果を維持する生物活性複合体が生成される。
一実施形態では、本発明は式Iまたは式II:
Figure 2006521361
[式中、
mは1〜5の整数であり;
nは1〜100の整数であり;
oは1〜5の整数であり;
pは1〜100の整数であり;
Ihはレニン阻害剤であり;
L1およびL2はIhとPrを共有結合する多価リンカーであるか、またはL1およびL2は存在せず;
Prはタンパク質であり;かつ、
この複合体はイン・ビボレニン阻害活性を有する]
の単離された複合体を提供する。
もう1つの実施形態では、このレニン阻害剤Ihはペプチドである。もう1つの実施形態では、このペプチドは約60kDA未満の分子量を有する。もう1つの実施形態では、このペプチドは約10kDA未満の分子量を有する。さらにもう1つの実施形態では、このペプチドは約1000DA未満の分子量を有する。
特定の一実施形態では、このペプチドはペプチド類似体である。もう1つの実施形態では、このペプチドはC末端における遷移状態類似体である。
一実施形態では、このC末端における遷移状態類似体は
Figure 2006521361
Figure 2006521361
からなる群から選択される。
もう1つの実施形態では、IhはIva-Val-Val-Sta-Ala-Sta, Boc-Phe-His-Sta-Ile-AMP, Boc-Phe- His-Sta-Ala-Sta-OMe, Boc-Phe-His-Sta-Leu-NHCH2Ph, Boc-Phe-His-ACHPA- Leu-AMB, Boc-Phe-His-Sta-Leu-AMB, Boc-Pro-Phe-His-Sta-Ile-AMP, Iva-Phe- Nle-Sta-Ala-Sta, Iva-His-Pro-Phe-His-Sta-Ala-Sta, Iva-His-Pro-Phe-His-Sta-Leu-Phe-NH2, Ac-His-Pro-Phe-Val-Sta-Leu-Phe-NH2, Ac-His-Pro-Phe-His-ACHPA-Leu-Phe-NH2, Ac-Trp-Pro-Phe-His-Sta-Ile-NH2, Ac-(HCO-Trp)-Pro-Phe-His-Sta-Ile-NH2, Pro-His-Pro-Phe-His-Sta-Ile-His-D-Lys, Pro-His-Pro-Phe-His-Sta-Ile-Phe- NH2, Z-Arg-Arg-Pro-Phe-His-Sta-Ile-His-Lys(Boc)-OMe, Pro-His-Pro-Phe-His-Phe-Phe-Val-Tyr-Lys, His-Pro-Phe-His-Leu-D-Leu-Val-Tyr-OH, Pro-His-Pro-Phe-His-Leu(CH2NH) Val-Ile-His-Lys(H-142), Boc-Phe-His-Cha-(CH2NH)Val-NH2(S)-Me(Bu), Pro-His-Pro-Phe-His-Leu-Phe-Val-Tyr-OH, Boc-His-Pro-Phe-His-Leu(CH(OH)CH2)Val-Ile-His-OH(H-261)およびPEC-Phe-His-ACHPA-ILeNHC(CH2OH)2CH3からなる群から選択されるレニン阻害剤ペプチドである。
もう1つの実施形態では、IhはIva-Val-Val-Sta-Ala-Sta, Boc-Phe-His-Sta-Ile-AMP, Boc-Phe- His-Sta-Ala-Sta-OMe, Boc-Phe-His-Sta-Leu-NHCH2Ph, Boc-Phe-His-ACHPA- Leu-AMB, Boc-Phe-His-Sta-Leu-AMB, Boc-Pro-Phe-His-Sta-Ile-AMP, Iva-Phe- Nle-Sta-Ala-Sta, Iva-His-Pro-Phe-His-Sta-Ala-Sta, Iva-His-Pro-Phe-His-Sta-Leu-Phe-NH2, Ac-His-Pro-Phe-Val-Sta-Leu-Phe-NH2, Ac-His-Pro-Phe-His-ACHPA-Leu-Phe-NH2, Ac-Trp-Pro-Phe-His-Sta-Ile-NH2, Ac-(HCO-Trp)-Pro-Phe-His-Sta-Ile-NH2, Pro-His-Pro-Phe-His-Sta-Ile-His-D-Lys, Pro-His-Pro-Phe-His-Sta-Ile-Phe- NH2, Z-Arg-Arg-Pro-Phe-His-Sta-Ile-His-Lys(Boc)-OMe, Pro-His-Pro-Phe-His-Phe-Phe-Val-Tyr-Lys, His-Pro-Phe-His-Leu-D-Leu-Val-Tyr-OH, Pro-His-Pro-Phe-His-Leu(CH2NH) Val-Ile-His-Lys(H-142), Boc-Phe-His-Cha-(CH2NH)Val-NH2(S)-Me(Bu), Pro-His-Pro-Phe-His-Leu-Phe-Val-Tyr-OH, Boc-His-Pro-Phe-His-Leu(CH(OH)CH2)Val-Ile-His-OH(H-261)およびPEC-Phe-His-ACHPA-ILeNHC(CH2OH)2CH3からなる群から選択されるレニン阻害剤ペプチドであり、Prがアルブミンである。
特定の実施形態では、このリンカーL1またはL2はIhとPrを共有結合させる少なくとも2つの官能基を含んでなる。もう1つの実施形態では、このリンカーL1またはL2はヒト血清中で長時間、加水分解上安定である。特に、このリンカーは、被験体に投与した場合に、その有効コンジュゲートが長時間にわたって血圧に持続的降下をもたらすに十分、加水分解上安定である。特定の実施形態では、このリンカーは、そのコンジュゲートが1日、2日、3日、4日、5日、6日、7日もしくはそれ以上、または14日もしくはそれ以上の間、血圧に持続的降下をもたらすに十分、安定である。さらにもう1つの実施形態では、このリンカーL1またはL2は8時間および30日の半減期の間、ヒト血清中で安定である。
本発明のもう1つの実施形態では、このリンカーL1またはL2は、アシルオキシメチルケトン、アジリジン、ジアゾメチルケトン、エポキシド、ヨード−、ブロモ−またはクロロアセトアミド、α−ハロエステル、α−ハロケトン、スルホニウム、クロロエチルスルフィド、O−アルキルイソ尿素、アルキルハリド、ビニルスルホン、アクリルアミド、アクリレート、ビニルピリジン、有機金属化合物、アリールジスルフィド、チオスルホネート、アルデヒド、ニトリル、α−ジケトン、α−ケトアミド、α−ケトエステル、ジアミノケトン、セミカルバゾン、およびジヒドラジドからなる群から選択される化合物の誘導体である。
一実施形態では、このリンカーL1またはL2は、アジドベンゾイルヒドラジド、N−[4−(p−アジドサリチルアミノ)ブチル]−3’−[2’−ピリジルジチオ]プロピオンアミド]、ビス−スルホスクシンイミジルスベレート、ジメチルアジピミデート、ジスクシンイミジルタルトレート、N−y−マレイミドブチリルオキシスクシンイミドエステル、N−ヒドロキシスルホスクシンイミジル−4−アジドベンゾエート、N−スクシンイミジル[4−アジドフェニル]−1,3’−ジチオプロピオネート、N−スクシンイミジル[4−ヨードアセチル]アミノベンゾエート、グルタルアルデヒド、スクシンイミジル4−[N−マレイミドメチル]シクロヘキサン−1−カルボキシレート、N−ヒドロキシスルホスクシンイミド、マレイミド−ベンゾイル−スクシンイミド、γ−マレイミド−ブチリルオキシスクシンイミドエステル、マレイミドプロピオン酸、N−ヒドロキシスクシンイミド、イソシアネート、チオエステル、チオノカルボン酸エステル、イミノエステル、カルボジイミド、無水物および炭酸エステルからなる群から選択される化合物の誘導体である。
本発明の特定の一実施形態では、このタンパク質は赤血球、ならびにIgMおよびIgGなどの免疫グロブリン、血清アルブミン、トランスフェリン、P90およびP38からなる群から選択される。もう1つの特定の変形では、このタンパク質はアルブミンである。もう1つの変形では、このアルブミンは乾物ベースで少なくとも10%の純度のHSAまたは組換えHSAである。さらなる変形では、この結合はヒトアルブミンのCys−34に対するものである。さらにもう1つの変形では、この結合はヒトアルブミンのリジンに対するものである。
一実施形態では、本発明は、mが1であり、nが1または2であり、かつ、タンパク質がHSAまたは組換えHSAである式Iまたは式IIの複合体を提供する。
上記実施形態のもう1つの変形では、nが1であり、タンパク質がHSAまたは組換えHSAであり、この複合体は少なくとも30%の純度までさらに精製される。さらにもう1つの変形では、mは1であり、nは2であり、かつ、タンパク質はHSAまたは組換えHSAである。
1つの変形では、複合体は、化学量論比の(Ih)−L1とPr、または化学量論比のIhとL2−(Pr)を合わせることにより製造される。もう1つの変形では、複合体は、少なくとも約1.3:1の比率のPrと(Ih)−L1の混合物を合わせることにより製造される。
もう1つの実施形態では、本発明は、LIおよびL2が存在しない式Iまたは式IIの複合体を提供し、この複合体はIhの活性化中間体を形成させた後、その活性化Ih中間体とPrとを縮合させることにより製造される。もう1つの変形では、このIhの活性化中間体は無水混合物またはN,N’−カルボニルジイミダゾール試薬から製造される。所望により、この複合体は少なくとも30%の純度までさらに精製される。
本発明の一実施形態では、このレニン阻害剤は分子量約1000DA未満のペプチド類似体である。
もう1つの実施形態では、式Iまたは式IIの複合体と生理学上許容される担体とを含んでなる組成物が提供される。もう1つの実施形態では、上記組成物は非経口投与用に処方されている。もう1つの実施形態では、上記組成物は溶液、使用前に溶媒と合わせる乾燥製品、懸濁液、エマルション、および液体濃縮物からなる群から選択される。
もう1つの実施形態では、本発明は、イン・ビボにおいてレニン活性を阻害する方法を提供し、その方法は、
哺乳類宿主の血流中に式Iまたは式IIの単離されたコンジュゲート複合体を投与することを含み、この複合体は、レニン阻害剤と、そのタンパク質と反応して安定な共有結合を形成する少なくとも1つの反応性官能基を有するリンカーとを付着させることにより形成され、かつ、
この単離されたコンジュゲート複合体は、非コンジュゲートレニン阻害剤に比べて長時間血流中で有効な治療効果を維持する量で投与される。
1つの変形では、本発明は、その複合体が上記複合体のいずれかによる複合体である方法を提供する。上記方法のもう1つの変形では、そのタンパク質はHSAまたは組換えHSAである。
上記方法の1つの変形では、リンカーは反応性官能基を含んでなり、アシルオキシメチルケトン、アジリジン、ジアゾメチルケトン、エポキシド、ヨード−、ブロモ−またはクロロアセトアミド、α−ハロエステル、α−ハロケトン、スルホニウム、クロロエチルスルフィド、O−アルキルイソ尿素、アルキルハリド、ビニルスルホン、アクリルアミド、アクリレート、ビニルピリジン、有機金属化合物、アリールジスルフィド、チオスルホネート、アルデヒド、ニトリル、α−ジケトン、α−ケトアミド、α−ケトエステル、ジアミノケトン、セミカルバゾン、およびジヒドラジドからなる群から選択される化合物である。
1つの変形では、イン・ビボにおいてレニン活性を阻害する方法であって、
哺乳類宿主の血流中に式Iまたは式IIの複合体をレニン阻害に有効な量を提供するに十分な量で投与することを含み、
それにより、その複合体が非結合レニン阻害剤の寿命に比べて長時間血流中で維持される方法を提供する。
さらにもう1つの実施形態では、宿主においてレニン活性を阻害する方法であって、
a)化合物Ih−L1またはIh−L2(ここで、Ihは分子量60kD未満のレニン阻害剤ペプチドであり、L1またはL2はIhと共有結合しているリンカーである)を製造すること;
b)エクス・ビボにおいて、この化合物Ih−L1またはIh−L2を単離されたタンパク質で、化合物Ih−L1またはIh−L2がそのタンパク質と共有結合して式Iまたは式IIのタンパク質複合体を形成するに十分な時間処理すること;および
c)処理したタンパク質複合体を宿主に投与すること
を含む方法が提供される。
上記方法の1つの変形では、このタンパク質はアルブミンである。もう1つの変形では、このアルブミンはHSAまたは組換えHSAである。上記方法のさらにもう1つの変形では、このアルブミンは、アルブミンを化合物Ih−L1またはIh−L2で処理する前に血液から採取、精製および単離される。もう1つの変形では、このアルブミンは乾物ベースで少なくとも10%のレベルの純度まで精製される。さらにもう1つの変形では、アルブミンは95%を超えるレベルの純度まで精製される。
もう1つの実施形態では、本発明は、宿主においてレニン活性を阻害する方法であって、
a)化合物Ih−L1またはIh−L2(ここで、Ihは分子量60kD未満のレニン阻害ペプチドであり、L1またはL2はIhと共有結合しているリンカーである)を製造すること;
b)エクス・ビボにおいて、化合物Ih−L1またはIh−L2を単離された1以上のタンパク質Prで、化合物Ih−L1またはIh−L2が1以上の単離されたタンパク質と共有結合して、式Iまたは式IIの1以上の修飾タンパク質複合体を形成するのに十分な時間処理すること;および
c)その修飾タンパク質を宿主に投与すること
を含む方法を提供する。
上記方法の1つの変形では、このタンパク質はアルブミンである。もう1つの変形では、このアルブミンは化合物Ih−L1またはIh−L2で処理する前に血液から採取、精製および単離される。本方法のさらにもう1つの変形では、このアルブミンはHSAまたは組換えHSAである。
一実施形態では、治療上有効な量の上記複合体またはその生理学上許容される塩と、薬学上許容される担体、賦形剤または希釈剤とを含んでなる医薬組成物が提供される。もう1つの変形では、被験体の血圧を降下させる方法であって、治療上有効量の上記組成物を被験体に投与することを含む方法が提供される。さらにもう1つの変形では、本発明は、患者が高血圧症に罹患している場合の上記方法を提供する。上記方法のさらにもう1つの変形では、患者は軽度、中度または重度の高血圧症に罹患している。
もう1つの実施形態において、前記遷移状態類似体が式:
Figure 2006521361
[式中、
Rは、各々置換型または非置換型の(C1−10)アルキル、(C6−12)シクロアルキル、カルボニル(C1−10)アルキル、スルホニル(C1−3)アルキル、スルフィニル(C1−3)アルキル、(C2−12)アルケニル、(C2−12)アルキニル、アリール、アリール(C1−10)アルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリール(C1−10)アルキルからなる群から選択され;かつ、
R’は、各々置換型または非置換の(C1−10)アルキル、(C6−12)シクロアルキル、カルボニル(C1−10)アルキル、(C1−10)アルコキシカルボニル、(C1−10)アルキルアミノカルボニル、スルホニル(C1−3)アルキル、スルフィニル(C1−3)アルキル、(C2−12)アルケニル、(C2−12)アルキニル、アリール、アリール(C1−10)アルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリール(C1−10)アルキル、アルキルスルホニル(C1−10)アルキル、アリールスルホニル(C1−10)アルキル、ヘテロアリールスルホニル(C1−10)アルキル、(C1−10)アルキルホスホネートおよび(C1−10)アルキルホスホニルからなる群から選択される]
の化合物である。
もう1つの実施形態において、前記遷移状態類似体が式:
Figure 2006521361
[式中、
Rは、各々置換型または非置換型の(C1−10)アルキル、(C6−12)シクロアルキル、カルボニル(C1−10)アルキル、スルホニル(C1−3)アルキル、スルフィニル(C1−3)アルキル、(C2−12)アルケニル、(C2−12)アルキニル、アリール、アリール(C1−10)アルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリール(C1−10)アルキルからなる群から選択され;かつ、
R”は、各々置換型または非置換の(C1−4)アルキル、(C6−12)シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ビシクロアルキル、カルボニル(C1−10)アルキル、チオカルボニル(C1−3)アルキル、スルホニル(C1−3)アルキル、スルフィニル(C1−3)アルキル、アミノ、イミノ(C1−3)アルキル、(C1−10)アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、(C2−12)アルケニル、(C2−12)アルキニル、アリール、アリール(C1−10)アルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリール(C1−10)アルキル、(C9−12)ビシクロアリール、ヘテロ(C8−12)ビシクロアリール、アミノスルホニル、アルキルスルホニル、アルキルスルホニル(C1−10)アルキル、アリールスルホニル、アリールスルホニル(C1−10)アルキル、ヘテロアリールスルホニル、ヘテロアリールスルホニル(C1−10)アルキル、ホスホネート、(C1−10)アルキルホスホニル、スルホニル基およびスルフィニル基からなる群から選択される]
の化合物である。
さらにもう1つの実施形態において、前記遷移状態類似体が式:
Figure 2006521361
[式中、
Rは、各々置換型または非置換型の(C1−10)アルキル、(C6−12)シクロアルキル、カルボニル(C1−10)アルキル、スルホニル(C1−3)アルキル、スルフィニル(C1−3)アルキル、(C2−12)アルケニル、(C2−12)アルキニル、アリール、アリール(C1−10)アルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリール(C1−10)アルキルからなる群から選択され;かつ、
R”は、各々置換型または非置換の(C1−4)アルキル、(C6−12)シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ビシクロアルキル、カルボニル(C1−10)アルキル、チオカルボニル(C1−3)アルキル、スルホニル(C1−3)アルキル、スルフィニル(C1−3)アルキル、アミノ、イミノ(C1−3)アルキル、(C1−10)アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、(C2−12)アルケニル、(C2−12)アルキニル、アリール、アリール(C1−10)アルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリール(C1−10)アルキル、(C9−12)ビシクロアリール、ヘテロ(C8−12)ビシクロアリール、アミノスルホニル、アルキルスルホニル、アルキルスルホニル(C1−10)アルキル、アリールスルホニル、アリールスルホニル(C1−10)アルキル、ヘテロアリールスルホニル、ヘテロアリールスルホニル(C1−10)アルキル、ホスホネート、(C1−10)アルキルホスホニル、スルホニル基およびスルフィニル基からなる群から選択される]
の化合物である。
もう1つの実施形態において、前記遷移状態類似体が式:
Figure 2006521361
[式中、
Rは、各々置換型または非置換型の(C1−10)アルキル、(C6−12)シクロアルキル、カルボニル(C1−10)アルキル、スルホニル(C1−3)アルキル、スルフィニル(C1−3)アルキル、(C2−12)アルケニル、(C2−12)アルキニル、アリール、アリール(C1−10)アルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリール(C1−10)アルキルからなる群から選択され;かつ、
R”は、各々置換型または非置換の(C1−4)アルキル、(C6−12)シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ビシクロアルキル、カルボニル(C1−10)アルキル、チオカルボニル(C1−3)アルキル、スルホニル(C1−3)アルキル、スルフィニル(C1−3)アルキル、アミノ、イミノ(C1−3)アルキル、(C1−10)アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、(C2−12)アルケニル、(C2−12)アルキニル、アリール、アリール(C1−10)アルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリール(C1−10)アルキル、(C9−12)ビシクロアリール、およびヘテロ(C8−12)ビシクロアリールからなる群から選択される]
の化合物である。
本発明は、非コンジュゲートレニン阻害剤に比べて寿命の長いレニン阻害剤として使用できる化合物および組成物に関する。
本発明は、架橋基に共有結合または架橋されている生物活性化合物の使用を含んでなり、この架橋基は、タンパク質または血液タンパク質上に存在する官能基と共有結合を形成することができる少なくとも1つの化学反応性部分を含んでなる。一実施形態では、このタンパク質はアルブミンである。単離された複合体を、それらの複合体を宿主の血液、特に宿主の血流中に投与する前にエクス・ビボで調製することで、その生物活性複合体は非コンジュゲート生物活性剤に比べて長時間血流中で有効な治療効果を維持する。
有用な用量における長期の寿命とは通常、少なくとも2日、より好ましくは少なくとも5日、いっそうより好ましくは、少なくとも10日、最も好ましくは少なくとも15日である。コンジュゲートできるタンパク質としては、赤血球、IgMおよびIgGなどの免疫グロブリン、血清アルブミン、トランスフェリン、p90およびp38が挙げられる。好ましい実施形態では、このタンパク質はアルブミンである。もう1つの実施形態では、このタンパク質は組換えアルブミンである。
多数の生物活性剤または治療薬がこのタンパク質とのコンジュゲートとして使用できる。好ましい実施形態では、生物活性剤または治療薬Ihはレニン阻害剤である。このレニン阻害剤はIhで示され、L1またはL2で示される架橋基と反応して阻害剤−架橋基化合物Ih−L1またはIh−L2を形成し、さらに1以上のタンパク質Prと反応し得る活性官能基を含んでなる。一実施形態では、このタンパク質は、阻害剤−架橋基化合物と反応して式I:
[(Ih)m−L1]Pr I
の複合体を形成し得る複数の異なる官能基を有する。
もう1つの実施形態では、このタンパク質は、阻害剤−架橋基化合物と反応して式II:
Ih−[L2−(Pr) II
[式中、Ihは生物活性剤であり、L1およびL2はIhとPrを架橋し得る架橋基であり、Prは血液成分であり、mおよびoは1〜5の整数であり、かつ、nおよびpは1〜100の整数である]
の複合体を形成し得る複数の異なる官能基を有する。
アルブミンなどのタンパク質では多くの官能基が利用できる。限定されるものではないが、官能基としては、アミノ基、カルボキシル基およびチオ基が挙げられる。架橋基と共有結合を形成するのにこれらのタンパク質における官能基のいずれを用いてもよいが、架橋基またはリンカー上の官能基の性質によって、ある官能基が別のものよりも好ましいという場合がある。例えば、アミン基の反応はアミド基を有するコンジュゲートを形成し、カルボキシル基はアミドまたはエステル基を有するコンジュゲートを形成し、また、チオ基はチオエーテルまたはチオエステルを形成し得る。
生物活性剤Ih:
生物活性剤Ihは、哺乳類宿主に投与した場合に所望の生物応答を惹起し、かつ、最小限の免疫応答しか誘導しない、酵素阻害剤などのいずれの化合物であってもよい。好ましくは、この生物活性剤はレニン阻害剤である。より好ましくは、この薬剤はペプチドまたはペプチド類似体レニン阻害剤である。本発明では多様なレニン阻害剤が使用できる。ペプチドまたはペプチド類似体レニン阻害剤の非排他的な例を表に示す。好ましくは、このレニン阻害剤は分子量約60kDA未満、より好ましくは約10kDA未満、最も好ましくは約1000DA未満のペプチド類似体である。
Figure 2006521361
リンカーL1およびL2:
血液成分とレニン阻害剤とを架橋させるには、種々の異なるリンカーまたは架橋基L1およびL2を使用できる。これらの架橋基は二価であっても多価であってもよい。例えば、式Iの化合物において、L1は、Prと付着させる場合にはn価、また、Ihと付着させる場合にはm価であってよく、ここで、mおよびnは上記で定義した整数である。同様に、式IIの複合体では、L2はPrと付着させる場合にはo価、また、Ihと付着させる場合にはp価であってよく、ここでoおよびpは上記で定義した通りである。架橋基中に存在し得る官能基の非排他的な例としては、N−ヒドロキシスクシンイミド、N−ヒドロキシスルホスクシンイミドなどのヒドロキシル基を有する化合物、ならびにマレイミド−ベンゾイル−スクシンイミド、γ−マレイミド−ブチリルオキシスクシンイミドエステル、マレイミドプロピオン酸、N−ヒドロキシスクシンイミド、イソシアネート、チオエステル、チオノカルボン酸エステル、イミノエステル、カルボジイミド、無水物またはエステルなどの他の化合物が挙げられる。
さらに、アミド、エステル、イミン、チオエーテル、ジスルフィド、置換アミンなどを形成するには、カルボキシレート、酸ハロゲン化物、アジド、ジアゾ、カルボジイミド、無水物、ヒドラジン、アルデヒド、チオール、またはアミノ基などの官能基を有する特定の架橋基が使用できる。使用可能な他の特定の官能基の例としては、アシルオキシメチルケトン、アジリジン、ジアゾメチルケトン、エポキシド、ヨード−、ブロモ−またはクロロアセトアミド、α−ハロエステル、α−ハロケトン、スルホニウム、クロロエチルスルフィド、O−アルキルイソ尿素、アルキルハリド、ビニルスルホン、アクリルアミド、ビニルピリジン、有機金属化合物、アリールジスルフィド、チオスルホネート、アルデヒド、 ニトリル、α−ジケトン、α−ケトアミド、α−ケトエステル、ジアミノケトン、セミカルバゾン、およびジヒドラジドが挙げられる。
リンカーとして選択可能な化合物の性質および種類は反応の種類、レニン阻害剤の中で望まれる相対的反応性、選択性、可逆性および安定性、アルブミンまたは血液成分上のリンカーおよび官能基によって異なる。例えば、コンジュゲート複合体を形成するある種の反応は、アルキル化反応、ミカエル型反応、付加−排除反応、硫黄、カルボニルまたはシアノ基への付加、または金属結合の形成から生じる。
一般に、これらの反応から生じる共有結合はレニン阻害剤の有効寿命の間、安定である。一実施形態では、これらの複合体において形成される共有結合は、その生物活性サブユニットが活性部位での放出を意図しない限り、安定なままである。
これらのリンカーは、アルブミンなどのタンパク質と複数のレニン阻害剤とを架橋させるため、または複数のアルブミンと単一のレニン阻害剤を架橋させるために利用できる二官能基または多官能基を有する化合物からなり得る。特定の好ましい実施形態では、このリンカーは、HSAと1以上のレニン阻害剤とを架橋させる多官能基を含んでなる。一実施形態では、本明細書で用いられるような架橋化合物としては、単一工程でレニン阻害剤とタンパク質とを架橋させることができるいずれの化合物も含む。もう1つの実施形態では、これらの架橋化合物は、まずレニン阻害剤と架橋して、タンパク質とさらに反応し得る阻害剤−リンカー中間体を形成させる。もう1つの実施形態では、架橋化合物は、まずタンパク質と反応させて、レニン阻害剤とさらに反応し得るタンパク質−リンカー中間体を形成させる。上記の各組合せでは、所望により、これらの架橋化合物を、さらに反応を行わせて式Iまたは式IIの複合体を形成させる前に、さらに精製および/または単離してもよい。
このような多官能化合物の非排他的例としては、アジドベンゾイルヒドラジド、N−[4−(p−アジドサリチルアミノ)ブチル]−3’−[2’−ピリジルジチオ]プロピオンアミド]、ビス−スルホスクシンイミジルスベレート、ジメチルアジピミデート、ジスクシンイミジルタルトレート、N−y−マレイミドブチリルオキシスクシンイミドエステル、N−ヒドロキシスルホスクシンイミジル−4−アジドベンゾエート、N−スクシンイミジル[4−アジドフェニル]−1,3’−ジチオプロピオネート、N−スクシンイミジル[4−ヨードアセチル]アミノベンゾエート、グルタルアルデヒド、およびスクシンイミジル4−[N−マレイミドメチル]シクロヘキサン−1−カルボキシレートからなる群から選択される少なくとも1つの官能基を有する化合物が挙げられる。
使用および標準的な化学変換に便宜なリンカーもしくは架橋基、または所望の用量で生理学上許容され、かつ、所望の時間、血流中で安定な化合物を形成するリンカーを用いることができる。この架橋基は脂肪族、脂環式、芳香族、複素環式、またはそれらの組合せであってよい。架橋基として使用可能な基の例としては、アルキレン、アリーレン、アラルキレン、シクロアルキレン、ポリエーテルなどが挙げられる。特定の実施形態では、多官能性ポリエチレングリコール(PEG)およびそれらの誘導体もまたリンカーとして使用可能である。
これらの架橋基は架橋鎖に少なくとも1つの原子、より好ましくは1〜200の間の原子、最も好ましくは鎖内に2〜50個の原子を有し得る。鎖内の原子は直鎖であってもよく、または鎖は、各々置換または非置換型の1以上の環の一部であってもよく、その鎖はO、N、PおよびSからなる群から選択される炭素またはヘテロ原子を含み得る。これらの環は、各々置換または非置換型の脂肪族、複素環式、芳香族もしくは複素芳香族またはその混合物であり得る。いくつかの実施形態では、アミノ酸またはペプチドまたは上記の混合物と用いられるアミノ酸を架橋基として用いてもよい。
一実施形態では、L1は存在せず、IhはPrと直接付着されている。もう1つの実施形態では、L2は存在せず、IhはPrと直接付着されている。
もう1つの実施形態では、式Iの複合体に関して、L1は1を超えるIhと1つのPrとを架橋し得る架橋基であり、例えば、mは2以上である。一実施形態では、mは1、2または3であり、nは1〜30である。1つの好ましい実施形態では、式Iの複合体に関して、Prはアルブミンであり、nは1である。もう1つの特定の実施形態では、Prはアルブミンであり、Ihはレニン阻害剤であり、かつ、nは2〜25である。
もう1つの実施形態では、式IIの複合体に関して、L2は1を超えるPrと1つのIhとを架橋し得る架橋基であり、例えばこの場合、oは2以上である。一実施形態では、Prはアルブミンであり、Ihはレニン阻害剤であり、oは1、2または3であり、かつ、pは1〜5である。
もう1つの実施形態では、この架橋基は、レニン阻害剤などの阻害剤が、所望により触媒またはカップリング剤を用いて、タンパク質と直接反応させ、これにより、形成される複合体がタンパク質に直接付着されているレニン阻害剤のみを含んでなるような場合には存在しなくともよい。このような直接カップリング反応の例は、無水混合物により活性化されるカルボン酸のカップリング反応、その後の中間体無水混合物のカップリング反応である。
タンパク質成分Pr:
本発明の単離された複合体を作製するには、種々の血液成分が使用できる。天然の血液成分としては血液タンパク質を含み、これには赤血球、および免疫グロブリン(IgMおよびIgGなど)、血清アルブミン、トランスフェリン、p90およびp38が含まれる。好ましい実施形態では、血液成分または血液タンパク質はアルブミンである。より好ましくは、アルブミンはタンパク質ヒト血清アルブミン(HSA)である。
本発明で用いるアルブミンはまた、組換えアルブミンであってもよい。例えば、組換えヒトアルブミンは、微生物を、ヒト血清アルブミンのアミノ酸配列をコードするヌクレオチドコード配列で形質転換することにより作製できる。
一般に、極めて幅広い最終純度および生成物収率をもたらす、血液または血漿から化合物の単離のために利用可能な極めて広範な異なる方法が存在する。アルブミンは血漿中に存在する主要なタンパク質であり、例えばJP03/258728、EP428758、EP452753、および6,638,740、ならびにその中に引用されている参照文献に開示されているように、血液から抽出することできる。種々の化合物の単離のための非排他的な方法のさらなる例は、選択的可逆的沈殿、イオン交換クロマトグラフィー、タンパク質アフィニティークロマトグラフィー、疎水性クロマトグラフィー、チオ親和性クロマトグラフィー(J. Porath et al; FEBS Letters, vol. 185, p. 306, 1985 ; K. L. Knudsen et al, Analytical Biochemistry, vol 201, p.170, 1992)、および種々の樹脂マトリックス(WO96/00735;WO96/09116)に基づくものであり得る。純度の確定された特定の血液成分が市販されている。
架橋化合物Ih−L1およびIh−L2の製造:
一実施形態では、本発明の架橋化合物Ih−L1またはIh−L2を製造し、さらなる精製および/または単離なく、アルブミンとのコンジュゲーションに用いることができる。架橋化合物の純度はリンカーの性質、Ihの性質、ならびにIhとリンカーとの付着に用いる反応の種類および反応条件によって異なる。もう1つの特定の実施形態では、非精製架橋化合物を製造し、少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも97%、最も好ましくは少なくとも98%の純度で得られる。
特定の実施形態では、本発明は、単離された架橋化合物、すなわちIh−L1またはIh−L2の作製方法に関する。好ましい実施形態では、単離された架橋化合物Ih−L1およびIhL2はリンカーに付着されているレニン阻害剤である。一実施形態では、この単離された架橋化合物はPrとコンジュゲートさせる前に精製してもよい。もう1つの特定の実施形態では、架橋化合物Ih−L1またはIh−L2を単離し、少なくとも95%、好ましくは 少なくとも97%、より好ましくは少なくとも98%、最も好ましくは少なくとも99%またはそれ以上の純度まで精製する。
架橋化合物は化学合成の分野で公知の標準的な方法を用いて作製することができる。これらの化合物は、イン・ビボ適用に好適な精製産物を得るために、カラムクロマトグラフィーまたはHPLCによるなど、当技術分野で公知の標準的な方法を用いて精製することができる。これらの架橋化合物は、式IおよびIIの複合体を形成するために、アルブミンなどのタンパク質とさらにコンジュゲートさせてもよい。
架橋化合物Pr−L1およびPr−L2の製造:
本発明の特定の適用に関して、Prで表される化合物はアルブミンであってよく、さらなる精製または単離なく、商業ソースから得たまま用いて架橋化合物Pr−L1およびPr−L2を製造することができる。特定の実施形態では、PrはHSAである。もう1つの実施形態では、アルブミンは本明細書で開示されているように、当技術分野で公知の種々の方法を用いてさらに精製してもよい。
一実施形態では、架橋化合物Pr−L1およびPr−L2は、リンカーL1またはL2(これらは誘導体化または活性化してもよい)を溶液中でPrで処理し、反応が実質的に完了するまで反応混合物をモニタリングすることにより製造することができる。特定の好ましい実施形態では、Prはタンパク質である。もう1つの好ましい実施形態では、タンパク質はHSAまたは組換えHSAである。
もう1つの好ましい実施形態では、得られる架橋化合物Pr−L1またはPr−L2は実質的に純粋であり、すなわち、これらの架橋化合物は少なくとも10%、好ましくは少なくとも30%、より好ましくは少なくとも50%の純度で得られる。PrがHSAまたは組換えHSAである場合、架橋化合物とともに存在し得る成分は、HSA出発材料中に存在している未反応HSAおよび種々の生物成分からなり得る。好ましくは、HSAまたは組換えHSAは乾物ベースで少なくとも10%の純度である。
架橋化合物とともに存在する過剰量のHSAまたはHSA関連生物材料は、その後のIhとのコンジュゲーション工程の有意な妨げとならない。さらに、これらの関連生物材料およびコンジュゲート複合体はまた、in vioでの使用に関して薬理学上安全である。
しかしながら、ある実施形態では、有意な量の妨害なく、またはその他の所望でない血液成分とのコンジュゲート反応から得られる所望でない副生成物の形成なく、それらの化合物とIhとの選択的反応を可能とするために架橋化合物Pr−L1またはPr−L2の純度は乾物ベースで少なくとも10%であり得る。しかしながら、HSAまたは組換えHSAなど所望のPrの純度は、例えば、Ih上の官能基ならびにリンカー上で利用される官能基の性質によって異なる。一般に、HSAまたは組換えHSAの純度が高いほど、リンカー上の官能基の反応性が高いかどうかが必要となり、反応性の低いリンカー上の官能基よりも所望でない副生成物が形成する可能性がある。
アルブミンは宿主の血漿または血液アルブミンから得、所望のレベルの純度まで精製し、リンカーと架橋させればよい。血液または血漿からのアルブミンの精製はアルブミンの精製に関して当技術分野で公知の十分確立された標準法を用いて行えばよい。精製血液アルブミンを用いると、本発明の単離された複合体は比較的均質な官能基化タンパク質集団からなる。
式Iまたは式IIの複合体の製造:
一実施形態では、式Iまたは式IIの複合体は、リンカーが存在しない場合、Ih−L1またはIh−L2とPrとのコンジュゲーション、Pr−L1またはPr−L2とIhとのコンジュゲーション、またはIhとPrとのコンジュゲーションにより複合体を形成することで製造することができる。
一実施形態では、Ih−L1またはIh−L2の溶液を、コンジュゲーション反応が完全となると思われるような条件下でPrと合わせる。特定の実施形態では、架橋化合物はリンカーに付着しているレニン阻害剤であり、この架橋化合物をHSAの水溶液に加える。得られた溶液を、反応が実質的に完了するまでインキュベートする。
一実施形態では、Ih−L1またはIh−L2を、コンジュゲーション反応がHSAの単一部位に対して選択的に進行することを保証すべく、過剰量のHSAと合わせる。例えば、HSA上の単一部位においてIh−L1が形成されれば、例えばnが1である式Iの単一の複合体の同定が容易にできる。特定の一実施形態では、Ih−L1またはIh−L2とHSAとのコンジュゲート反応はHSAの単一のシステインで起こる。特定の理論に何ら縛られるものではないが、いくつかの反応については、このコンジュゲート反応は、動力学的生成物を形成させるためにシステイン−SH基によっても起こり、これが次に熱力学的生成物を形成させるためにリジンなどの別のアミノ酸官能基へと再配列されると考えられる。
もう1つの実施形態では、このコンジュゲート反応は、例えば1を超えるIhが単一のHSAと架橋して式Iの複合体を形成している、すなわち、nが1を超える式Iの複合体を形成し得る。所望により、リンカーL1が1を超えるIh基と付着し得る多官能性リンカーである場合、mは1より大きい。一実施形態では、式Iの複合体は(Ih)m−L1に対して過剰量のPrを合わせることにより製造することができる。好ましくは、(Ih)m−L1に対するPrの比は約50〜100である。もう1つの特定の実施形態では、この比は約10〜30である。なおさらなる特定の実施形態では、この比は約約2〜5である。
一実施形態では、Prは、少なくとも約1.1:1、より好ましくは少なくとも約1.2:1、最も好ましくは少なくとも約1.4:1の比で(Ih)m−L1に加える。Prがアルブミンである場合、好ましい比は、アルブミン1に対して遊離チオール0.7という仮定に基づく。好ましくは、得られる複合体は、アルブミンなどのPr成分がコンジュゲーションのために約70%の遊離チオール官能価しか持たないため、1:1複合体として形成される。HSAまたは組換えHSAなどの過剰量のPrは薬理学上安全であり、さらに精製する必要もない。生成混合物中に過剰量のPrが存在する場合は、所望によりコンジュゲート複合体は少なくとも10%の純度まで精製することができる。特定の実施形態では、コンジュゲート複合体は少なくとも約20%、または少なくとも約30%まで精製することができる。
もう1つの実施形態では、式Iの複合体はPrに対して過剰量の(Ih)m−L1を合わせることにより製造することができる。好ましくは、Prに対する(Ih)m−L1の比は約50〜100である。もう1つの特定の実施形態では、この比は約10〜30である。なおさらなる特定の実施形態では、この比は約約2〜5である。生成混合物中に過剰量の(Ih)m−L1が存在する場合は、所望によりコンジュゲート複合体は少なくとも10%の純度まで精製することができる。特定の実施形態では、コンジュゲート複合体は少なくとも約20%、または少なくとも約30%まで精製することができる。
もう1つの実施形態では、式Iまたは式IIの複合体は、化学量論比の(Ih)m−L1とPr、または化学量論比のIhとL2−(Pr)oから、すなわち1:1の比で製造することができる。所望により、これらの製造法から得られる生成物はさらに少なくとも10%の純度まで精製することができる。特定の実施形態では、このコンジュゲート複合体は少なくとも約20%、または少なくとも約30%まで精製することができる。なおさらなる特定の実施形態では、この1:1コンジュゲート複合体はさらに約90%を超える純度まで精製することができる。
もう1つの実施形態では、アルブミン中に存在するコンジュゲートシステインは反応前に遊離システインを減らす。
所望により、このコンジュゲート反応から形成される複合体は投与前にさらに精製することもできる。
一実施形態では、このコンジュゲート反応から得られる式Iまたは式IIの複合体は、それらの複合体とともに存在する過剰量のHSAまたはHSA関連生物材料はイン・ビボ使用に関して薬理学的に安全であるので、さらなる処理または精製なしに投与することができる。
上記実施形態の各々では、Ihはペプチドまたはペプチド類似体レニン阻害剤であり、PrはHSAまたは組換えHSAである。
一実施形態では、リンカーおよびアルブミンとともに保護または非保護レニン阻害剤を含んでなる単離された複合体はさらに精製した後、宿主に戻してもよい。
本発明の方法から形成された複合体は、生理学的特性、薬物動態学的特性および安全性が長時間にわたって十分確立されるまで動物またはヒト宿主において試験することができる。一般に、これらの複合体の測定半減期は約5〜7日、より一般には少なくとも約7〜10日、好ましくは15〜20日またはそれ以上である。一般に、この持続時間は種に依存する。例えば、ヒトアルブミンでは半減期は約17〜19日である。レニン阻害剤の性質、架橋基およびアルブミンの純度により、複合体の有効治療濃度は少なくとも1ヶ月以上であり得る。
半減期は、式Iまたは式IIの複合体、Ih−L化合物、L−Pr化合物、またはIh化合物の、これら複合体または化合物の同位元素(例えば、131I、125I、Tc、Cr、3Hなど)または蛍光色素での標識、および既知量の標識複合体または化合物の血管注射の後に全血、血漿または血清レベルの一連の測定により判定することができる。赤血球(半減期約60日)、血小板(半減期約4〜7日)、血管内層の内皮細胞、およびアルブミン、ステロイド結合タンパク質、フェリチン、α2−マクログロブリン、トランスフェリン、チロキシン結合タンパク質、免疫グロブリン、特にIgGなどの寿命の長い血清タンパク質が挙げられる。好ましい半減期に加え、これらの被験体成分は好ましくは本発明の化合物の治療上有用な量の結合を可能とするに十分な細胞数または濃度である。細胞内寿命の長い血液成分については、細胞数が少なくとも2,000/μlで、血清タンパク質濃度が少なくとも1μg/ml、通常には少なくとも約0.01mg/ml、より通常には少なくとも約1mg/mlであるのが好ましい。
しかしながら、複合体の性質が、レニン阻害剤などの生物活性剤Ihが複合体から切断され、宿主中に放出されるようにデザインする場合、複合体および/または生物活性剤の有効治療濃度のために望ましい半減期は上記の測定半減期と異なる場合がある。生物活性剤の放出速度は一部には、放出される生物薬における価数または官能価、架橋基の性質、タンパク質の純度および種類、投与組成物、投与様式などによって異なる。よって、種々の架橋基および生物薬が使用可能であり、血液の環境、血液の成分、特に酵素、肝臓における活性、またはその他の薬剤は、宿主中での生物薬の所望の速度での放出を伴った架橋期の切断が起こり得る。
本発明の単離された複合体は、非コンジュゲート化合物に比べて薬物動態、溶解度、バイオアベイラビリティ、分布、および/または免疫原性が改良された生物活性化合物をもたらす。
驚くことに、式Iおよび式IIの複合体は、本発明の方法に従って製造および使用した場合、Ih成分自体よりも有意に長い時間、有効治療濃度をもたらす。さらに、本発明の複合体は、Ih成分自体を投与した場合に比べて改良された溶解度、分布、薬物動態をもたらし、かつ、免疫原性の低下をもたらす。
本発明者らは驚くべきことに、精製成分からエクス・ビボで製造したコンジュゲート(特に、HSA、リンカーおよびレニン阻害剤)を被験体に投与すると、被験体の血流中の内在性アルブミンとin situ結合する活性化化合物の注射によるコンジュゲートのイン・ビボ製造によって製造されたコンジュゲートに比べ、著しく有効なコンジュゲートの組織生体分布をもたらすことを見出した。さらに、本発明者らは、コンジュゲートがイン・ビボで製造される場合に見られる化合物の劇的な損失に比べ、投与後、実質的に総てのコンジュゲートが何時間も、または場合によっては何日も循環中に留まることを見出した。この有効性により、患者が有効物質の注射を受ける回数が減り、また、一回の投与で与えなければならないレニン阻害剤の量も減る。
本発明の文脈では、組成物の治療上有効な量とは、被験体に投与した場合に、患者の疾病、症状または症候群の処置に有効であるか、または症候、疾病、症状または症候群の改善に有効である程度まで所望の生理作用をもたらす量を意味すると理解される。特に、抗高血圧性の複合体または組成物の治療上有効な量とは、高血圧の被験体に投与した場合に、収縮期圧および/または拡張期圧に所望の降下をもたらす量を意味すると理解される。
式Iおよび式IIの単離された複合体の投与:
一実施形態では、本発明の単離された複合体の投与はボーラスを用いて達成することができるが、定量流などを用いた輸液により時間をかけてゆっくり導入してもよい。
本発明の複合体は生理学上許容される媒質、例えば脱イオン水、リン酸緩衝生理食塩水、生理食塩水、マンニトール、水性グルコース、アルコール、植物油などで投与することができる。単回の注射を用いてもよいが、所望により2回以上の注射を用いてもよい。この複合体はシリンジ、トロカール、カテーテルなどをはじめとする便宜ないずれかの手段により投与することができる。投与の特定の様式は投与量、単回ボーラスか連続投与かなどによって異なる。投与は、導入部位が本発明にとって重要でなければ、好ましくは血流の速い部位において血管内、例えば静脈内、末梢または中枢血管への投与であり得る。投与が緩慢放出技術または保護マトリックスと組み合わされる場合には他の経路の使用も見出せる。
驚くべきことに、例えばアルブミンなどの単離された血液タンパク質から、本発明の方法によって製造された単離された複合体の投与は、非コンジュゲートレニン阻害剤と比べて、またはアルブミンなどの単離された血液タンパク質から製造されるものではない複合体に比べて長時間血流中で有効な治療効果を維持するレニン阻害剤コンジュゲート複合体をもたらすことを述べておく。
一実施形態では、本発明は、薬学上許容される塩の形態のこれら化合物を提供する。
もう1つの実施形態では、本発明は、立体異性体混合物で存在する化合物を提供する。さらにもう1つの実施形態では、本発明は、単一の立体異性体としての化合物を提供する。
さらにもう1つの実施形態では、本発明は、有効成分としてその化合物を含んでなる医薬組成物を提供する。さらにもう1つの特定の変形では、本発明は、組成物が錠剤またはデポー製剤として投与するための個体である、医薬組成物を提供する。もう1つの特定の変形では、本発明は、組成物がIVまたは皮下投与に適した液体製剤である医薬組成物を提供する。さらにもう1つの特定の変形では、本発明は、組成物が非経口投与に適した液体製剤である医薬組成物を提供する。
すべての実施形態、および本明細書に記載され、クレームされているさらなる実施形態、変形、または個々の化合物の総てに関して、そのような実施形態、変形および/または個々の化合物は総て、特に断りのない限り、単一の立体異性体の形態であれ、立体異性体の混合物の形態であれ、総ての薬学上許容される塩の形態を包含するものとすることを述べておく。同様に、本発明に明示またはクレームされた実施形態、変形および/または個々の化合物のいずれかに1以上の潜在的キラル中心が存在する場合、特に断りのない限り、双方の潜在的キラル中心を包含するものとすることを述べておく。
本発明の化合物のプロドラッグ誘導体は、本発明の化合物の置換基を修飾することにより製造することができ、次にこれらをイン・ビボにおいて異なる置換基に変換する。多くの場合、プロドラッグはそれ自体もまた、本発明の化合物の範囲に入ることを述べておく。例えば、プロドラッグはカルバミル化剤(例えば、1,1−アシルオキシアルキルカルボノクロライド、パラ−ニトロフェニルカーボネートなど)またはアシル化剤と化合物とを反応させることにより製造することができる。プロドラッグを作製する方法のさらなる例はSaulnier et al. (1994), Bioorgenic and Medicinal Chemistry Letters, Vol. 4, p. 1985に記載されている。
本発明の化合物の保護誘導体もまた製造できる。保護基の作出およびそれらの除去に適用できる技術の例はT. W. Greene, Protecting in Organic Synthesis, 3rd edition, John Wiley & Sons, Inc. 1999に見出すことができる。
本発明の化合物はまた、本発明の工程の際に溶媒和物(例えば、水和物)として便宜に調製または形成することができる。本発明の化合物の水和物は、水性/有機溶媒混合物から、ジオキサン、テトラヒドロフランまたはメタノールなどの有機溶媒を用いて再結晶させることにより便宜に調製できる。
本明細書において「薬学上許容される塩」は、特に塩が遊離型の化合物または異なる塩形態の化合物に比べて改良された薬物動態特定を化合物に付与する場合に、その塩の形態で利用される本発明のいずれの化合物も包含するものとする。薬学上許容される塩形態はまた、それまでに持っていなかった所望の薬物動態特性を化合物にまず付与することができ、かつ、身体のその治療活性に関して化合物の薬力学に正の影響を及ぼしさえする。好ましく作用し得る薬物動態特性の例は、化合物が細胞膜をわたって輸送される様式であり、これは次に化合物の吸着、分布、生物変換および***に直接的かつ正の影響を及ぼし得る。医薬組成物の投与経路は重要であり、種々の解剖学的、生理学的および病理学的因子がバイオアベイラビリティに重要な影響を及ぼし得るが、化合物の溶解度は通常、用いるその特定の塩形態の特徴に依存する。当業者ならば、化合物の水溶液はその化合物の、処置される被験体身体への最も迅速な吸収をもたらし、液体溶液および懸濁液ならびに固体投与形では化合物のあまり迅速な吸収は得られないことが分かるであろう。
レニン阻害剤の使用の適用
本発明の式Iおよび式IIの複合体はレニン阻害剤としても使用できる。レニンは血圧の制御に重要な役割を果たし得るエンドペプチダーゼである。レニンアンギオテンション系は、レニンがタンパク質基質アンギオテンシノーゲンを切断してアンギオテンシンIを得る多調節タンパク質分解カスケードである。アンギオテンシン変換酵素(ACE)はデカペプチドであるアンギオテンシンIから末端のジペプチドを除去して、強力な昇圧活性を示すアンギオテンシンIIの形成を触媒する。レニンは高い基質特異性を有するアスパルチルプロテアーゼであり、血圧の制御に関与するレニン−アンギオテンシン系の最初のタンパク質分解段階である。レニン阻害剤は霊長類[J. Hypertension, 1, 399 (1983), J. Hypertension 1 (suppl 2), 189 (1983)]およびヒト[Lancet II, 1486 (1983), Trans. Assoc. Am. Physicians, 96,365 (1983),J. Hypertension, 3, 653 (1985)]において血圧を降下させることが示されていることから、高血圧症の制御に有用である可能性がある。
注射製剤
本発明はまた、一般に皮下、筋肉内または静脈内のいずれかへの注射を特徴とする非経口投与により本発明のレニン阻害剤を投与するためにデザインされた組成物を対象とする。注射製剤は通常のいずれかの慣用形態、例えば、溶液もしくは懸濁液、注射前に液体で溶液または懸濁液とするのに好適な固体、またはエマルションとして調製することができる。
本発明の注射製剤と併用可能な賦形剤の例としては、限定されるものではないが、水、生理食塩水、デキストロース、グリセロール、エタノール、またはDMSOが挙げられる。これらの注射組成物はまた、所望により、微量の湿潤剤、乳化剤、pH緩衝剤、安定剤、溶解促進剤、および他のこのような薬剤、例えば、酢酸ナトリウム、ソルビタンモノラウレート、オレイン酸トリエタノールアミンおよびシクロデキストリンなどのような無毒な補助物質を含んでもよい。本明細書では、一定レベルの用量が維持される緩慢放出または徐放系の埋植(例えば、米国特許第3,710,795号参照)も意図される。このような非経口組成物に含まれる有効化合物のパーセンテージはその特定の性質ならびに化合物の活性および被験体の必要に大きく依存する。
これらの処方物の非経口投与としては、静脈内、皮下および筋肉内投与が挙げられる。非経口投与用の製剤としては、調製済み無菌注射液、皮下錠剤をはじめとする、本明細書に記載の、使用直前に溶媒と合わせるだけの凍結乾燥粉末などの無菌乾燥可溶性製品、調製済み無菌注射懸濁液、使用直前にビヒクルと合わせるだけの無菌乾燥不溶性製品および無菌エマルションが挙げられる。これらの溶液は水性であっても非水性であってもよい。
静脈投与する場合、好適な担体の例としては、限定されるものではないが、生理食塩水またはリン酸緩衝生理食塩水(PBS)、ならびにグルコース、ポリエチレングリコール、およびポリプロピレングリコールおよびそれらの混合物などの増粘剤および可溶化剤を含有する溶液が挙げられる。
所望により非経口に使用できる薬学上許容される担体の例としては、限定されるものではないが、水性ビヒクル、非水性ビヒクル、抗菌薬、等張剤、緩衝剤、酸化防止剤、局所麻酔薬、沈殿防止・分散剤、乳化剤、隔離またはキレート剤、およびその他の薬学上許容される物質が挙げられる。
所望により使用できる水性ビヒクルの例としては、塩化ナトリウム注射液、リンゲル注射液、等張性デキストロース注射液、無菌水注射液、デキストロースおよび乳酸加リンゲル注射液が挙げられる。
所望により使用できる非水性非経口ビヒクルの例としては、植物起源の硬化油、綿実油、コーン油、ゴマ油、およびラッカセイ油が挙げられる。
特に製剤が複数用量容器に封入され、従って、保存して何回もアリコートを取り出すようにデザインされている場合には、菌性または静真菌濃度の抗菌薬を非経口製剤に加えればよい。使用できる抗菌薬の例としては、フェノールまたはクレゾール、水銀剤、ベンジルアルコール、クロロブタノール、メチルおよびプロピルp−ヒドロキシ安息香酸エステル、チメロサール、塩化ベンザルコニウムおよび塩化ベンゼトニウムが挙げられる。
使用できる等張剤の例としては、塩化ナトリウムおよびデキストロースが挙げられる。使用できるバッファーの例としては、リン酸塩およびクエン酸塩が挙げられる。使用できる酸化防止剤の例としては、重亜硫酸ナトリウムが挙げられる。使用できる局所麻酔薬の例としては、塩酸プロカインが挙げられる。使用できる沈殿防止・分散剤の例としては、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびポリビニルピロリドンが挙げられる。
使用できる乳化剤の例としては、ポリソルベート80(TWEEN80)が挙げられる。金属イオンの隔離剤またはキレート剤としては、EDTAが挙げられる。
医薬担体はまた所望により、水混和性のビヒクルとしてエチルアルコール、ポリエチレングリコールおよびプロピレングリコール、ならびにpH調整剤として水酸化ナトリウム、塩酸、クエン酸または乳酸を含んでもよい。
非経口処方物中のレニン阻害剤複合体の濃度は、注射により所望の薬理作用をもたらすに十分な薬学上有効な量が投与されるように調節することができる。使用するレニン阻害剤複合体の厳密な濃度および/または用量は、当業者に知られているように、最終的には患者または動物の齢、体重および状態によって異なる。
単位投与非経口製剤はアンプル、バイアルまたは針つきのシリンジに封入することができる。非経口投与用の総ての製剤は当技術分野で知られ、慣行されているように無菌でなければならない。
注射製剤は局所投与用および全身投与用にデザインすることができる。一般に、治療上有効な用量は、処置する組織に対して少なくとも約0.1重量%〜最大約90重量%以上、好ましくは1重量%を超える濃度のレニン阻害剤を含むように処方される。これらのレニン阻害剤複合体は一度に投与してもよいし、あるいは、少量を複数回に分割して一定の時間間隔で投与してもよい。厳密な用量および処置期間は組成物を非経口投与する場所、担体、および既知の試験プロトコールを用いて、あるいはイン・ビボまたはin vitro試験データから外挿することによって実験的に決定できる他の変数の関数であると理解される。濃度および用量の値はまた、処置する個体の齢によっても異なることを述べておく。さらに、任意の特定の患者にとっての特定の投与計画は、その個体の必要およびその処方物の投与を実施する、または管理する人の専門的判断に応じて時間とともに調節する必要があり得ると理解される。ゆえに、本明細書に示される濃度範囲は例であって、クレームの処方物の範囲または実践を限定するものではない。
レニン阻害剤複合体は所望により、微粉または他の好適な形態で懸濁させてもよいし、あるいは、より溶解度の高い有効生成物を産生するよう、またはプロドラッグを産生するように誘導体化してもよい。得られた混合物の形態は、意図する投与様式、および選択された担体またはビヒクル中での化合物の溶解度をはじめとする多くの因子によって異なる。この有効濃度はその疾病の症候を改善するのに十分なものであり、経験的に決定することができる。
これらの投与方法の各々に関して好適な処方物は例えば“Remington: The Science and Practice of Pharmacy”, A. Gennaro, ed., 20th edition, (2000), Lippincott, Williams & Wilkins, Philadelphia, PAに見出せる。
参照文献
アルブミンのアルキル化についての種々の方法が報告されている。
例えば、
Figure 2006521361
Figure 2006521361
である。
本出願に引用されているすべて文献の全開示内容は参照することによりここに組み込まれる。
レニン阻害剤の例
レニン阻害剤コンジュゲート複合体の製造
本発明の化合物を合成するために、種々の方法が開発され得る。これらの化合物を合成するための代表的な方法は実施例に示されている。しかしながら、本発明の化合物はまた、他者が考案し得る他の合成経路によって合成することもできることを述べておく。
本発明のある種の化合物は、その化合物に特定の立体化学(例えば、キラル中心)を付与する他の原子と結合した原子を有するということが容易に分かるであろう。本発明の化合物の合成は異なる立体異性体(鏡像異性体、ジアステレオマー)の混合物の形成をもたらし得ると考えられる。特定の立体化学が明示されていなければ、化合物の詳細は、あり得る種々の立体異性体の総てを包含するものとする。
異なる立体異性体の混合物を分離するための種々の方法が当技術分野で公知ある。例えば、化合物のラセミ混合物を光学的に活性な分割剤と反応させてジアステレオ異性体化合物対を形成させることができる。次にこれらのジアステレオマーを分割して、光学的に純粋な鏡像異性体を回収すればよい。また、分離可能な複合体を用いて鏡像異性体(例えば、結晶性ジアステレオ異性体塩)を分割してもよい。ジアステレオマーは一般に十分異なる物理特性(例えば、融点、沸点、溶解度、反応性など)を有し、これらの相違点を利用してそれらは容易に分離できる。例えば、ジアステレオマーは一般にクロマトグラフィーにより、または溶解度の違いに基づく分離/分割技術によって分離することができる。これらの化合物の立体異性体をそれらのラセミ混合物から分割するのに使用できる技術のより詳細な記載は、Jean Jacques Andre Collet, Samuel H. Wilen, Enantiomers, Racemates and Resolutions, John Wiley & Sons, Inc.(1981)に見出せる。
本発明の化合物はまた、遊離塩基の形態の化合物を薬学上許容される無機または有機酸と反応させることにより、薬学上許容される酸付加塩として製造することもできる。あるいは、遊離酸の形態の化合物を薬学上許容される無機または有機塩基と反応させることにより、化合物の薬学上許容される塩基付加塩を製造することもできる。化合物の薬学上許容される塩の製造に好適な無機および有機の酸および塩基は本願の定義の節で示されている。あるいは、これら化合物の塩形態は、出発物質または中間体の塩を用いて製造することもできる。
これらの化合物の遊離酸または遊離塩基の形態は、対応する塩基付加塩または酸付加塩の形態から製造することができる。例えば、酸付加塩の形態の化合物は、好適な塩基(例えば、水酸化アンモニウム溶液、水酸化ナトリウムなど)で処理することにより、対応する遊離塩基へと変換することができる。塩基付加塩の形態の化合物は、好適な酸(例えば、塩酸など)で処理することにより、対応する遊離酸へと変換することができる。
これら化合物の保護誘導体は当業者に公知の方法により作製することができる。保護基の作出およびそれらの除去に適用できる技術の詳細な記載は、T. W. Greene, Protecting Groups in organic Synthesis, 3rd edition, John Wiley & Sons, Inc. 1999に見出せる。
本発明の化合物は、本発明の工程中に溶媒和物(例えば、水和物)として便宜に調製または形成することができる。本発明の化合物の水和物は、水性/有機溶媒混合物から、ジオキサン、テトラヒドロフランまたはメタノールなどの有機溶媒を用いて再結晶させることにより便宜に調製できる。
本発明の化合物はまた、その化合物のラセミ混合物を光学的活性な分割剤と反応させてジアステレオ異性体化合物対を形成させ、ジアステレオマーを分離し、光学的に純粋な鏡像異性体を回収することにより、それらの個々の立体異性体として製造することもできる。鏡像異性体の分割は化合物の共有結合ジアステレオマー誘導体を用いて行うことができるが、分離可能な複合体が好ましい(例えば、結晶性ジアステレオ異性体塩)。ジアステレオマーは異なる物理特性(例えば、融点、沸点、溶解度、反応性など)を有し、これらの相違点を利用して容易に分離することができる。ジアステレオマーはクロマトグラフィーにより、または好ましくは溶解度の違いに基づく分離/分割技術によって分離することができる。次に、ラセミ化をもたらすことのないいずれかの実施手段により、その光学的に純粋な鏡像異性体を分割剤とともに回収する。
本明細書において、これらの方法、スキームおよび例で用いた記号および慣例は、最新の科学文献、例えば、the Journal of the American Chemical Societyまたはthe Journal of Biological Chemistryで用いられているものに合致している。一般に、アミノ酸残基を表すには標準的な一文字または三文字略号を用い、これらは特に断りのない限り、L−配置であるものと仮定される。特に断りのない限り、総ての出発物質は商業的供給者から入手し、さらに精製することなく用いる。
本発明のレニン阻害剤の合成スキーム
本発明のレニン阻害剤は種々の反応スキームに従って合成することができる。本明細書では実施例として、いくつかの例示的スキームを示す。当業者ならば他の反応スキームも容易に考案できる。
以下に記載する反応では、反応性官能基、例えばヒドロキシ、アミノ、イミノ、チオまたはカルボキシ基は、これらが最終生成物において望まれる場合には、反応におけるそれらの望ましくない関与を避けるために保護する必要がある場合がある。通常の保護基は標準的な慣行に従って使用することができる、例えば、T. W. Greene and P.G.M. Wuts in“Protective Groups in organic Chemistry”John Wiley and Sons, 1991参照。
本発明の化合物は所望により次の一般的反応スキームに従って合成され得る。
式Iの複合体の製造:
Figure 2006521361
式IIの複合体の製造:
Figure 2006521361
実施例13:複合体を形成するためのコンジュゲーション反応:
DMSO中、マレイミドプロピオニルアミノエトキシエトキシアセチル誘導体化ペプチドの10mM溶液を、HSAの25%水溶液に加えた。この反応混合物における最終ペプチド濃度は1mMであり、反応混合物中のペプチド:HSAのモル比は1:4であった。この溶液を37℃で5時間インキュベートした。インキュベーションが完了したら、コンジュゲートを4℃で保存した。
実施例14:複合体を形成するためのコンジュゲーション反応:
DMSO中、トランス−4−(マレイミジルメチル)シクロヘキサン−1−カルボニル誘導体化ペプチドの10mM溶液を、HSAの25%水溶液に加えた。この反応混合物における最終ペプチド濃度は1mMであり、反応混合物中のペプチド:HSAのモル比は1:4である。この溶液を37℃で5時間インキュベートした。インキュベーションが完了したら、コンジュゲートを4℃で保存する。
実施例15:複合体を形成するためのコンジュゲーション反応:
DMSO中、N−(3−{2−[2−(3−アミノ−プロポキシ)−エトキシ]−エトキシ}−エトキシ)−プロピル)−2−ブロモアセトアミド誘導体化ペプチドの10mM溶液を、HSAの25%水溶液に加えた。この反応混合物における最終ペプチド濃度は1mMであり、反応混合物中のペプチド:HSAのモル比は1:4である。この溶液を37℃で5時間インキュベートした。インキュベーションが完了したら、コンジュゲートを4℃で保存する。
実施例16:複合体を形成するためのコンジュゲーション反応:
DMSO中、マレイミドプロピオニルアミノエトキシエトキシアセチル誘導体化ペプチドの10mM溶液を、HSAの25%水溶液に加えた。この反応混合物における最終ペプチド濃度は1mMであり、反応混合物中のペプチド:HSAのモル比は1:1である。この溶液を37℃で5時間インキュベートした。インキュベーションが完了したら、コンジュゲートを4℃で保存する。
実施例17:複合体を形成するためのコンジュゲーション反応:
DMSO中、マレイミドプロピオニルアミノエトキシエトキシアセチル誘導体化ペプチドの10mM溶液を、HSAの25%水溶液に加えた。この反応混合物における最終ペプチド濃度は1mMであり、反応混合物中のペプチド:HSAのモル比は10:1である。この溶液を37℃で5時間インキュベートした。インキュベーションが完了したら、コンジュゲートを4℃で保存する。
当業者ならば、本発明の精神または範囲から外れることなく、本発明の化合物、組成物、キットおよび方法に種々の改変および変形を行えることが明らかであろう。よって、本発明は、それらが添付の特許請求の範囲およびそれらの等価物の範囲内にある限り、本発明の改変および変形も包含するものとする。
イン・ビトロアッセイの例
レニン阻害活性を測定するための種々のアッセイがCartledge, et al. Ann. Clin. Biochem. 262-278 (2000)に記載されている。
実施例18:イン・ビトロにおけるレニン阻害活性の測定
レニン阻害活性の蛍光測定
レニン酵素活性を測定する1つの方法では、蛍光に基づくマイクロプレートリーダーにおける合成ペプチド基質の切断を用いる。レニンに対するペプチド基質の一方の末端に蛍光団(5−(アミノエチル)アミノナフタレンスルホネート,EDANS)を、他方の末端に非蛍光発色団(4’−ジメチルアミノアゾベンゼン−4−カルボキシレート,DABCYL)を結合させる。レニンによる切断後、生成物(ペプチド−EDANS)が明るい蛍光を発する。レニン基質の500μM原液は、1mgの基質に877μLのジメチルスルホキシド(DMSO)を加えることにより調製できる。この原液をアッセイバッファーに加えて終濃度2μMとする。少量(最終量の3%未満)のレニン含有溶液をアッセイバッファーで希釈する。蛍光基質の切断の初速度は、37℃で5〜8分、490nmにて蛍光シグナルの上昇をモニタリングすることにより測定される。発明者らのコンジュゲートはこのアッセイにおいてナノモル下〜高いマイクロモルまでの活性を示す。
1. J Protein Chem 10, 553 (1991)
2. Anal Biochem 210, 351 (1993)
3. Science 247, 954 (1990)
4. J Protein Chem 9, 663 (1990)
血漿レニン阻害剤の測定
血漿レニン活性をHaber et al. (1)によって最初に記載された方法に基づいて測定する。要するに、血漿サンプルを2つのアリコートに分ける。一方のアリコートを37℃で3〜18時間インキュベートし、もう一方のアリコートは氷上で維持する。そのアンギオテンシンI濃度を、製造業者のプロトコールに従い、RIAまたはELISA形式の市販のキットを用いて測定する。0〜4℃に維持したアリコートのアンギオテンシンI濃度を、37℃のアリコートで得られたものから差し引き、レニン活性の数値を求める。
血漿におけるレニン活性はまた、切断産物のHPLC分離を用い、外から加えたレニンペプチド基質に対して測定することもできる。切断産物はLC−MS分析によって検出することができる。あるいは、ペプチド基質は分光光度的に検出可能な蛍光団または発色団によって修飾することもできる。HPLC分析の前に沈殿により血漿タンパク質を取り除いてもよい。
血漿中におけるレニン阻害剤および/またはレニン阻害剤−HSAコンジュゲートの濃度は、市販のクエンチ型蛍光基質(3)を用いて、pH7.0〜8.0で、外から加えた組換えヒトレニンに対して血漿サンプルの阻害力を測定する、酵素に基づくアッセイ(2)によって測定する。
1. Haber E, Koerner T, Page LB, Kliman B, Purnode A. Application of a radioimmunoassay for angiotensin I to the physiologic measurements of plasma renin activity in normal human subjects. J Clin Endocrinol Metab. 1969, 29(10):1349-55
2. Gulnik S., Erickson, J. W., Yu, B. Protease assay for therapeutic drug monitoring. 2003, W003040390
3. Wang GT, Chung CC, Holzman TF, Krafft GA. A continuous fluorescence assay of renin activity. Anal Biochem. 1993, 210(2):351-9
実施例18:イン・ビボ試験
コンジュゲートをラットに静脈投与する。アルブミンとコンジュゲートされていない阻害剤を対照群に投与する。血清サンプルを投与後5分、30分、1時間、2時間、8時間、24時間、48時間および72時間で採取する。レニン阻害活性を上記の方法の1つにより測定する。ペプチドまたはペプチド−HSAコンジュゲートの血清濃度を較正曲線から算出した。これらの実験の結果に基づけば、以下の結論が導き出せる。
対照ペプチドは迅速な排除を伴うクリアランス特性を示した。
HSAコンジュゲートの最終半減期は、この種におけるHSAの場合と同様、12〜14時間の範囲である。
ヒトレニン阻害による抗高血圧活性は、内因性プロモーターを有するヒトアンギオテンシノーゲンと内因性プロモーターを有するヒトレニンに関して二重にトランスジェニックである高血圧ラットで測定することができる。
Bohlender, et al. Hypertension 428-434 (1997)
ラットレニンの阻害がヒトレニンの阻害に匹敵する場合には、抗高血圧活性をナトリウム枯渇ラットで測定できる。
Allan, et al. JPET 283:661-665, (1997)
実施例19:レニン阻害剤誘導体の生物活性
上記に示した情報は明らかに、Ih−L−Pr複合体上のビオチン環がアビジンとの結合に関して関与可能であることを示している。次の一連の実験は、その可溶性遊離酸型でIC50値が約50nMであるIh−L−Pr複合体が標的タンパク質とコンジュゲーションした後もなお生物活性を有するかどうかに取り組むように計画されている。
材料および方法: 以下の手順は無菌条件下で行う。ウサギ血漿は新しく抜き取ってヘパリン化した血液から得る。1つの8mLの血漿のアリコートを室温で60分、5μMのIh−L−Pr複合体とともにインキュベートする。もう1つの同量のアリコートも同様に、5μMのIh−L−Pr複合体とともにインキュベートする。これらの反応混合物を4℃で一晩保存する。これらのサンプルのアリコートを、標準的なレニンラジオイムノアッセイ(RIA)による全レニン阻害剤含量の分析のためにとっておく。37℃まで温めた後、この血漿サンプルを2個体の自己のウサギに注射する。次に、これらのウサギを所定の間隔で採血する。血液は2500rpmで5分間遠心分離した後、その血漿アリコートをRIAにより分析する。
結果:Ih−L−Pr複合体のNHSエステルで誘導体化した血漿タンパク質は、長時間血液循環した後、バイオアベイラビリティーと阻害性を維持していたコンホメーションで阻害剤を実際に維持していた。ここでもまた、検出可能な阻害剤の量を循環中の血液量による血漿の希釈の効果に関して標準化されたものである。
これらデータは、レニン阻害剤Ihの遊離酸のレベルが急速に低下し、1時間後には検出できないことを示している。他方、Ih−L−Pr複合体として修飾された血漿タンパク質はこのレニンアッセイにおいて阻害的であるが、このことは、このコンジュゲーションが阻害剤Ihの生物活性を損なわなかったことを示す。さらに、見られる阻害のレベルは10日目までは有意には低下しない。数種の豊富な血漿タンパク質(アルブミンおよび免疫グロブリン)は寿命が長く、この送達特性を説明することができよう。従って、これらの結果は明らかに、アルブミンなどの血漿タンパク質に誘導体化レニン阻害剤を共有結合させると、その分子の生物活性を損なわず、血中での阻害剤Ihの寿命が有意に延長される。
上記の結果から、本発明が、式Iおよび式IIの複合体の使用により、レニン阻害Ihを含む大いに改良された処置を提供するのは明らかである。本発明の使用により、レニン阻害剤Ihは長時間維持され、従って、反復投与は必要なくなり、患者の応諾も必要なくなり、防御が保証される。本発明の誘導体化レニン阻害剤は、生物活性を保持し、免疫原性を示さないまま、赤血球、血漿タンパク質およびその他種々の血管成分と共有結合して式Iおよび式IIの複合体を形成する。
本発明をその特定の実施形態に関して記載してきたが、さらなる改変が可能であると理解され、本願は一般に本発明の原理に従い、本発明が属す技術分野の既知または慣例の実践の範囲内にあるような、また、以上に示した必須の特徴に当てはめることができるような、また、添付の特許請求の範囲の範囲内に入るような本記載からの逸脱を含む、本発明のバリエーション、使用または適合のいずれもを包含するものとする。
本発明の融合阻害剤ペプチドを示す。 Sprague−Dawleyラットにおける非コンジュゲート(SPI−30014Q)とHSAコンジュゲート(SPI30014HSA)融合阻害剤ペプチドの薬物動態を示す。 Sprague−Dawleyラットにおける非コンジュゲート(SPI−70038Q)とHSAコンジュゲートHIV(SPI−70038HSA)融合阻害剤ペプチドの薬物動態を示す。 Sprague−Dawleyラットにおける反応性ペプチド(SPI−30014)とHSA−ペプチドコンジュゲート(SPI−30014HSA)の薬物動態を示す。 Sprague−Dawleyラットにおける反応性ペプチド(SPI−70038)とHSAペプチドコンジュゲート(SPI−70038HSA)の薬物動態を示す。

Claims (145)

  1. 下記の配列を含んでなる最大51個のアミノ酸からなるペプチド:
    Y1−X−X−Y2−X−X−X−Y3−X−X−X−Y4−X−X−Y5−X−X−Y6
    [ここで、
    この配列は該ペプチドのN末端、C末端または内部の位置に存在し;
    Y1はW、Y、F、H、L、N、Q、E、D、KおよびRからなる群から選択され;
    Y2はW、Y、F、H、L、N、Q、E、D、KおよびRからなる群から選択され;
    Y3はI、V、L、A、S およびTからなる群から選択され;
    Y4はT、S、I、K、N、H、R、Q、EおよびDからなる群から選択され;
    Y5はI、V、T、K、L、N、Q、D、E、RおよびHからなる群から選択され;
    Y6はP、GおよびC以外の任意のアミノ酸からなる群から選択され;かつ、
    Xは各々独立に任意のアミノ酸である]。
  2. 下記の配列を含んでなる最大51個のアミノ酸からなるペプチド:
    Y1−X−X−Y2−X−X−X−Y3−X−X−X−Y4−X−X−Y5−X−X−Y6−Y7
    [ここで、
    Y1はW、Y、F、H、L、N、Q、E、D、KおよびRからなる群から選択され;
    Y2はW、Y、F、H、L、N、Q、E、D、KおよびRからなる群から選択され;
    Y3はI、V、L、A、SおよびTからなる群から選択され;
    Y4はT、S、I、K、N、H、R、Q、EおよびDからなる群から選択され;
    Y5はI、V、T、K、L、N、Q、D、E、RおよびHからなる群から選択され;
    Y6はP、GおよびC以外の任意のアミノ酸からなる群から選択され;
    Y7はI、L、V、N、Q、K、R、H、EおよびDからなる群から選択され;かつ、
    Xは各々独立に任意のアミノ酸である]。
  3. 下記の配列を含んでなる、最大51個のアミノ酸からなるペプチド:
    Y1−X−X−Y2−X−X−X−Y3−X−X−X−Y4−X−X−Y5−X−X−Y6−Y7−X−X−X−Y8
    [ここで、
    Y1はW、Y、F、H、L、N、Q、E、D、KおよびRからなる群から選択され;
    Y2はW、Y、F、H、L、N、Q、E、D、KおよびRからなる群から選択され;
    Y3はI、V、L、A、SおよびTからなる群から選択され;
    Y4はT、S、I、K、N、H、R、Q、EおよびDからなる群から選択され;
    Y5はI、V、T、K、L、N、Q、D、E、RおよびHからなる群から選択され;
    Y6はP、GおよびC以外の任意のアミノ酸からなる群から選択され;
    Y7はI、L、V、N、Q、K、R、H、EおよびDからなる群から選択され;
    Y8はQ、H、R、N、E、D、KおよびPからなる群から選択され;かつ、
    Xは各々独立に任意のアミノ酸である]。
  4. 下記の配列を含んでなる、最大51個のアミノ酸からなるペプチド:
    Y1−X−X−Y2−X−X−X−Y3−X−X−X−Y4−X−X−Y5−X−X−Y6−Y7−X−X−X−Y8−X−Y9
    [ここで、
    Y1はW、Y、F、H、L、N、Q、E、D、KおよびRからなる群から選択され;
    Y2はW、Y、F、H、L、N、Q、E、D、KおよびRからなる群から選択され;
    Y3はI、V、L、A、SおよびTからなる群から選択され;
    Y4はT、S、I、K、N、H、R、Q、EおよびDからなる群から選択され;
    Y5はI、V、T、K、L、N、Q、D、E、RおよびHからなる群から選択され;
    Y6はP、GおよびC以外の任意のアミノ酸からなる群から選択され;
    Y7はI、L、V、N、Q、K、R、H、EおよびDからなる群から選択され;
    Y8はQ、H、R、N、E、D、KおよびPからなる群から選択され;
    Y9はQ、H、N、E、D、K、R、LおよびPからなる群から選択され;かつ、
    Xは各々独立に任意のアミノ酸である]。
  5. 下記の配列を含んでなる、最大51個のアミノ酸のペプチド:
    Y1−X−X−Y2−X−X−X−Y3−X−X−X−Y4−X−X−Y5−X−X−Y6−Y7−X−X−X−Y8−X−Y9−Y10
    [ここで、
    Y1はW、Y、F、H、L、N、Q、E、D、KおよびRからなる群から選択され;
    Y2はW、Y、F、H、L、N、Q、E、D、KおよびRからなる群から選択され;
    Y3はI、V、L、A、SおよびTからなる群から選択され;
    Y4はT、S、I、K、N、H、R、Q、EおよびDからなる群から選択され;
    Y5はI、V、T、K、L、N、Q、D、E、RおよびHからなる群から選択され;
    Y6はP、GおよびC以外の任意のアミノ酸からなる群から選択され;
    Y7はI、L、V、N、Q、K、R、H、EおよびDからなる群から選択され;
    Y8はQ、H、R、N、E、D、KおよびPからなる群から選択され;
    Y9はQ、H、N、E、D、K、R、LおよびPからなる群から選択され;
    Y10はQ、H、N、E、D、KおよびRからなる群から選択され;かつ、
    Xは各々独立に任意のアミノ酸である]。
  6. 下記の配列を含んでなる、最大51個のアミノ酸からなるペプチド:
    Y1−X−X−Y2−X−X−X−Y3−X−X−X−Y4−X−X−Y5−X−X−Y6−Y7−X−X−X−Y8−X−Y9−Y10−X−X−Y11
    [ここで、
    Y1はW、Y、F、H、L、N、Q、E、D、KおよびRからなる群から選択され;
    Y2はW、Y、F、H、L、N、Q、E、D、KおよびRからなる群から選択され;
    Y3はI、V、L、A、SおよびTからなる群から選択され;
    Y4はT、S、I、K、N、H、R、Q、EおよびDからなる群から選択され;
    Y5はI、V、T、K、L、N、Q、D、E,RおよびHからなる群から選択され;
    Y6はP、GおよびC以外の任意のアミノ酸からなる群から選択され;
    Y7はI、L、V、N、Q、K、R、H、EおよびDからなる群から選択され;
    Y8はQ、H、R、N、E、D、KおよびPからなる群から選択され;
    Y9はQ、H、N、E、D、K、R、LおよびPからなる群から選択され;
    Y10はQ、H、N、E、D、KおよびRからなる群から選択され;
    Y11はN、S、T、V、AおよびDからなる群から選択され;かつ、
    Xは各々独立に任意のアミノ酸である]。
  7. 下記の配列を含んでなる最大51個のアミノ酸のペプチド:
    Y1−X−X−Y2−X−X−X−Y3−X−X−X−Y4−X−X−Y5−X−X−Y6−Y7−X−X−X−Y8−X−Y9−Y10−X−X−Y11−Y12
    [ここで、
    Y1はW、Y、F、H、L、N、Q、E、D、KおよびRからなる群から選択され;
    Y2はW、Y、F、H、L、N、Q、E、D、KおよびRからなる群から選択され;
    Y3はI、V、L、A、SおよびTからなる群から選択され;
    Y4はT、S、I、K、N、H、R、Q、EおよびDからなる群から選択され;
    Y5はI、V、T、K、L、N、Q、D、E、RおよびHからなる群から選択され;
    Y6はP、GおよびC以外の任意のアミノ酸からなる群から選択され;
    Y7はI、L、V、N、Q、K、R、H、EおよびDからなる群から選択され;
    Y8はQ、H、R、N、E、D、KおよびPからなる群から選択され;
    Y9はQ、H、N、E、D、K、R、LおよびPからなる群から選択され;
    Y10はQ、H、N、E、D、KおよびRからなる群から選択され;
    Y11はN、S、T、V、AおよびDからなる群から選択され;
    Y12はE、V、K、G、R、Q、D、N、H、TおよびSからなる群から選択され;かつ、
    Xは各々独立に任意のアミノ酸である]。
  8. 下記の配列を含んでなる最大51個のアミノ酸のペプチド:
    Y1−X−X−Y2−X−X−X−Y3−X−X−X−Y4−X−X−Y5−X−X−Y6−Y7−X−X−X−Y8−X−Y9−Y10−X−X−Y11−Y12−X−X−Y13
    [ここで、
    Y1はW、Y、F、H、L、N、Q、E、D、KおよびRからなる群から選択され;
    Y2はW、Y、F、H、L、N、Q、E、D、KおよびRからなる群から選択され;
    Y3はI、V、L、A、SおよびTからなる群から選択され;
    Y4はT、S、I、K、N、H、R、Q、EおよびDからなる群から選択され;
    Y5はI、V、T、K、L、N、Q、D、E、RおよびHからなる群から選択され;
    Y6はP、GおよびC以外の任意のアミノ酸からなる群から選択され;
    Y7はI、L、V、N、Q、K、R、H、EおよびDからなる群から選択され;
    Y8はQ、H、R、N、E、D、KおよびPからなる群から選択され;
    Y9はQ、H、N、E、D、K、R、LおよびPからなる群から選択され;
    Y10はQ、H、N、E、D、KおよびRからなる群から選択され;
    Y11はN、S、T、V、AおよびDからなる群から選択され;
    Y12はE、V、K、G、R、Q、D、N、H、TおよびSからなる群から選択され;
    Y13はL、I、V、KおよびRからなる群から選択され;かつ、
    Xは各々独立に任意のアミノ酸である]。
  9. 下記の配列を含んでなる最大51個のアミノ酸のペプチド:
    Y1−X−X−Y2−X−X−X−Y3−X−X−X−Y4−X−X−Y5−X−X−Y6−Y7−X−X−X−Y8−X−Y9−Y10−X−X−Y11−Y12−X−X−Y13−Y14
    [ここで、
    Y1はW、Y、F、H、L、N、Q、E、D、KおよびRからなる群から選択され;
    Y2はW、Y、F、H、L、N、Q、E、D、KおよびRからなる群から選択され;
    Y3はI、V、L、A、SおよびTからなる群から選択され;
    Y4はT、S、I、K、N、H、R、Q、EおよびDからなる群から選択され;
    Y5はI、V、T、K、L、N、Q、D、E、RおよびHからなる群から選択され;
    Y6はP、GおよびC以外の任意のアミノ酸からなる群から選択され;
    Y7はI、L、V、N、Q、K、R、H、EおよびDからなる群から選択され;
    Y8はQ、H、R、N、E、D、KおよびPからなる群から選択され;
    Y9はQ、H、N、E、D、K、R、LおよびPからなる群から選択され;
    Y10はQ、H、N、E、D、KおよびRからなる群から選択され;
    Y11はN、S、T、V、AおよびDからなる群から選択され;
    Y12はE、V、K、G、R、Q、D、N、H、TおよびSからなる群から選択され;
    Y13はL、I、V、KおよびRからなる群から選択され;
    Y14はL、S、M、Y、N、Q、E、D、KおよびRからなる群から選択され;かつ、
    Xは各々独立に任意のアミノ酸である]。
  10. 下記の配列を含んでなる最大51個のアミノ酸からなるペプチド:
    Y2−X−X−X−Y3−X−X−X−Y4−X−X−Y5−X−X−Y6−Y7−X−X−X−Y8−X−Y9−Y10−X−X−Y11−Y12−X−X−Y13−Y14
    [ここで、
    Y2はW、Y、F、H、L、N、Q、E、D、KおよびRからなる群から選択され;
    Y3はI、V、L、A、SおよびTからなる群から選択され;
    Y4はT、S、I、K、N、H、R、Q、EおよびDからなる群から選択され;
    Y5はI、V、T、K、L、N、Q、D、E、RおよびHからなる群から選択され;
    Y6はP、GおよびC以外の任意のアミノ酸からなる群から選択され;
    Y7はI、L、V、N、Q、K、R、H、EおよびDからなる群から選択され;
    Y8はQ、H、R、N、E、D、KおよびPからなる群から選択され;
    Y9はQ、H、N、E、D、K、R、LおよびPからなる群から選択され;
    Y10はQ、H、N、E、D、KおよびRからなる群から選択され;
    Y11はN、S、T、V、AおよびDからなる群から選択され;
    Y12はE、V、K、G、R、Q、D、N、H、TおよびSからなる群から選択され;
    Y13はL、I、V、KおよびRからなる群から選択され;
    Y14はL、S、M、Y、N、Q、E、D、KおよびRからなる群から選択され;かつ、
    Xは各々独立に任意のアミノ酸である]。
  11. 下記の配列を含んでなる最大51個のアミノ酸からなるペプチド:
    Y3−X−X−X−Y4−X−X−Y5−X−X−Y6−Y7−X−X−X−Y8−X−Y9−Y10−X−X−X11−Y12−X−X−Y13−Y14
    [ここで、
    Y3はI、V、L、A、SおよびTからなる群から選択され;
    Y4はT、S、I、K、N、H、R、Q、EおよびDからなる群から選択され;
    Y5はI、V、T、K、L、N、Q、D、E、RおよびHからなる群から選択され;
    Y6はP、GおよびC以外の任意のアミノ酸からなる群から選択され;
    Y7はI、L、V、N、Q、K、R、H、EおよびDからなる群から選択され;
    Y8はQ、H、R、N、E、D、KおよびPからなる群から選択され;
    Y9はQ、H、N、E、D、K、R、LおよびPからなる群から選択され;
    Y10はQ、H、N、E、D、KおよびRからなる群から選択され;
    Y11はN、S、T、V、AおよびDからなる群から選択され;
    Y12はE、V、K、G、R、Q、D、N、H、TおよびSからなる群から選択され;
    Y13はL、I、V、KおよびRからなる群から選択され;
    Y14はL、S、M、Y、N、Q、E、D、KおよびRからなる群から選択され;かつ、
    Xは各々独立に任意のアミノ酸である]。
  12. 下記の配列を含んでなる最大51個のアミノ酸からなるペプチド:
    Y4−X−X−Y5−X−X−Y6−Y7−X−X−X−Y8−X−Y9−Y10−X−X−Y11−Y12−X−X−Y13−Y14
    [ここで、
    Y4はT、S、I、K、N、H、R、Q、EおよびDからなる群から選択され;
    Y5はI、V、T、K、L、N、Q、D、E、RおよびHからなる群から選択され;
    Y6はP、GおよびC以外の任意のアミノ酸からなる群から選択され;
    Y7はI、L、V、N、Q、K、R、H、EおよびDからなる群から選択され;
    Y8はQ、H、R、N、E、D、KおよびPからなる群から選択され;
    Y9はQ、H、N、E、D、K、R、LおよびPからなる群から選択され;
    Y10はQ、H、N、E、D、KおよびRからなる群から選択され;
    Y11はN、S、T、V、AおよびDからなる群から選択され;
    Y12はE、V、K、G、R、Q、D、N、H、TおよびSからなる群から選択され;
    Y13はL、I、V、KおよびRからなる群から選択され;
    Y14はL、S、M、Y、N、Q、E、D、KおよびRからなる群から選択され;かつ、
    Xは各々独立に任意のアミノ酸である]。
  13. 下記の配列を含んでなる最大51個のアミノ酸からなるペプチド:
    Y5−X−X−Y6−Y7−X−X−X−Y8−X−Y9−Y10−X−X−Y11−Y12−X−X−Y13−Y14
    [ここで、
    Y5はI、V、T、K、L、N、Q、D、E、RおよびHからなる群から選択され;
    Y6はP、GおよびC以外の任意のアミノ酸からなる群から選択され;
    Y7はI、L、V、N、Q、K、R、H、EおよびDからなる群から選択され;
    Y8はQ、H、R、N、E、D、KおよびPからなる群から選択され;
    Y9はQ、H、N、E、D、K、R、LおよびPからなる群から選択され;
    Y10はQ、H、N、E、D、KおよびRからなる群から選択され;
    Y11はN、S、T、V、AおよびDからなる群から選択され;
    Y12はE、V、K、G、R、Q、D、N、H、TおよびSからなる群から選択され;
    Y13はL、I、V、KおよびRからなる群から選択され;
    Y14はL、S、M、Y、N、Q、E、D、KおよびRからなる群から選択され;かつ、
    Xは各々独立に任意のアミノ酸である]。
  14. 下記の配列を含んでなる最大51個のアミノ酸からなるペプチド:
    Y6−Y7−X−X−X−Y8−X−Y9−Y10−X−X−Y11−Y12−X−X−Y13−Y14
    [ここで、
    Y6はP、GおよびC以外の任意のアミノ酸からなる群から選択され;
    Y7はI、L、V、N、Q、K、R、H、EおよびDからなる群から選択され;
    Y8はQ、H、R、N、E、D、KおよびPからなる群から選択され;
    Y9はQ、H、N、E、D、K、R、LおよびPからなる群から選択され;
    Y10はQ、H、N、E、D、KおよびRからなる群から選択され;
    Y11はN、S、T、V、AおよびDからなる群から選択され;
    Y12はE、V、K、G、R、Q、D、N、H、TおよびSからなる群から選択され;
    Y13はL、I、V、KおよびRからなる群から選択され;
    Y14はL、S、M、Y、N、Q、E、D、KおよびRからなる群から選択され;かつ、
    Xは各々独立に任意のアミノ酸である]。
  15. 下記の配列を含んでなる最大51個のアミノ酸からなるペプチド:
    W−X−X−W−X−X−X−I−X−X−X−T−X−X−I−X−X−L−I−X−X−X−Q−X−Q−Q−X−X−N
    [ここで、
    Xは各々独立に任意のアミノ酸である]。
  16. 下記の配列を含んでなる最大51個のアミノ酸からなるペプチド:
    W−X1−X2−W−X3−X4−X5−I−X6−X7−X8−T−X9−X10−I−X11−X12−L−I−X13−X14−X15−Q−X16−Q−Q−X17−X18−N−X19−X20−X21−X22−X23
    [ここで、
    X1はM、L、I、Q、T、RおよびKからなる群から選択され;
    X2はE、D、QおよびKのいずれかであり;
    X3はE、DおよびKからなる群から選択され;
    X4はK、R、E、Q、NおよびTからなる群から選択され;
    X5はE、L、R、KおよびQからなる群から選択され;
    X6はN、D、S、E、Q、K、R、H、T、IおよびGからなる群から選択され;
    X7はN、Q、D、E、K、S、TおよびYからなる群から選択され;
    X8はY、F、H、I、VおよびSからなる群から選択され;
    X9はG、K、R、H、D、E、S、T、NおよびQからなる群から選択され;
    X10はK、H、E、Q、T、V、I、L、M、A、Y、FおよびPからなる群から選択され;
    X11はH、K、E、YおよびFからなる群から選択され;
    X12はT、S、Q、N、E、D、R、K、H、W、G、AおよびMからなる群から選択され;
    X13はD、E、Q、T、K、R、A、VおよびGからなる群から選択され;
    X14はD、E、K、H、Q、N、S、I、L、V、AおよびGからなる群から選択され;
    X15はS、Aおよび(P)からなる群から選択され;
    X16はN、K、S、T、D、E、Y、IおよびVからなる群から選択され;
    X17はE、D、N、K、GおよびVからなる群から選択され;
    X18はK、R、H、D、E、N、Q、T、M、IおよびYからなる群から選択され;
    X19はE、V、Q、M、L、JおよびGからなる群から選択され;
    X20はQ、N、E、K、R、H、LおよびFからなる群から選択され;
    X21はE、D、N、S、K、AおよびGからなる群から選択され;
    X22はL、IおよびYからなる群から選択され;かつ、
    X23はI、L、M、Q、SおよびYからなる群から選択される]。
  17. 図1で示される配列からなる群から選択される配列を含んでなる、請求項16に記載のペプチド。
  18. 下記式Iまたは式IIで表される、単離された複合体:
    Figure 2006521361
    [式中、
    mは1〜5の整数であり;
    nは1〜100の整数であり;
    oは1〜5の整数であり;
    pは1〜100の整数であり;
    AVは抗ウイルス化合物であり;
    L1およびL2はAVとPrとを共有結合させる多価リンカーであるか、またはL1およびL2は存在せず;
    Prはタンパク質であり;かつ、
    この複合体はイン・ビボにおいて、抗ウイルス活性を有する]。
  19. 前記抗ウイルス化合物がペプチドである、請求項18に記載の複合体。
  20. 前記ペプチドの分子量が約100kDA未満である、請求項19に記載の複合体。
  21. 前記ペプチドの分子量が約30kDA未満である、請求項19に記載の複合体。
  22. 前記ペプチドの分子量が約10kD未満である、請求項19に記載の複合体。
  23. 前記ペプチドがペプチド類似体である、請求項19に記載の複合体。
  24. 前記ペプチドが
    Figure 2006521361
    ペプチドDP178(T−20);および
    ペプチドT−1249
    [ここで、
    X1はM、L、I、Q、T、RおよびKからなる群から選択され;
    X2はE、D、QおよびKのいずれかであり;
    X3はE、DおよびKからなる群から選択され;
    X4はK、R、E、Q、NおよびTからなる群から選択され;
    X5はE、L、R、KおよびQからなる群から選択され;
    X6はN、D、S、E、Q、K、R、H、T、IおよびGからなる群から選択され;
    X7はN、Q、D、E、K、S、TおよびYからなる群から選択され;
    X8はY、F、H、I、VおよびSからなる群から選択され;
    X9はG、K、R、H、D、E、S、T、NおよびQからなる群から選択され;
    X10はK、H、E、Q、T、V、I、L、M、A、Y、FおよびPからなる群から選択され;
    X11はH、K、E、YおよびFからなる群から選択され;
    X12はT、S、Q、N、E、D、R、K、H、W、G、AおよびMからなる群から選択され;
    X13はD、E、Q、T、K、R、A、VおよびGからなる群から選択され;
    X14はD、E、K、H、Q、N、S、I、L、V、AおよびGからなる群から選択され;
    X15は S、Aおよび(P)からなる群から選択され;
    X16はN、K、S、T、D、E、Y、IおよびVからなる群から選択され;
    X17はE、D、N、K、GおよびVからなる群から選択され;
    X18はK、R、H、D、E、N、Q、T、M、IおよびYからなる群から選択され;
    X19はE、V、Q、M、L、JおよびGからなる群から選択され;
    X20はQ、N、E、K、R、H、LおよびFからなる群から選択され;
    X21はE、D、N、S、K、AおよびGからなる群から選択され;
    X22はL、IおよびYからなる群から選択され;かつ、
    X23はI、L、M、Q、SおよびYからなる群から選択される]
    からなる群から選択される配列を含んでなる最大51個のアミノ酸からなる、請求項19に記載の複合体。
  25. 前記タンパク質が血液成分である、請求項24に記載の複合体。
  26. 前記血液成分が赤血球、免疫グロブリン、IgM、IhG、血清アルブミン、トランスフェリン、P90およびP38、フェリチン、ステロイド結合タンパク質、チロキシン結合タンパク質、およびα−2−マクログロブリンからなる群から選択される、請求項25に記載の複合体。
  27. 前記血液成分がヒト血清アルブミンであり、リンカーがペプチドリンカーである、請求項25に記載の複合体。
  28. 前記血液成分がヒト血清アルブミンであり、リンカーが非ペプチドリンカーである、請求項25に記載の複合体。
  29. 前記複合体が融合タンパク質である、請求項27に記載の複合体。
  30. 前記リンカーL1またはL2がイン・ビボにおいて加水分解切断に対して安定な非変性リンカーである、請求項18に記載の複合体。
  31. 前記リンカーL1またはL2が、AVとPrとを共有結合させる少なくとも2つの官能基を含んでなる、請求項18に記載の複合体。
  32. 前記リンカーL1またはL2が、ヒト血清中において長時間加水分解上安定である、請求項18に記載の複合体。
  33. 前記リンカーL1またはL2が、ヒト血清中において8時間〜30日の半減期の間安定である、請求項18に記載の複合体。
  34. 前記リンカーL1またはL2が、アシルオキシメチルケトン、アジリジン、ジアゾメチルケトン、エポキシド、ヨード−、ブロモ−またはクロロアセトアミド、α−ハロエステル、α−ハロケトン、スルホニウム、クロロエチルスルフィド、O−アルキルイソ尿素、アルキルハリド、ビニルスルホン、アクリルアミド、アクリレート、ビニルピリジン、有機金属化合物、アリールジスルフィド、チオスルホネート、アルデヒド、ニトリル,α−ジケトン、α−ケトアミド、α−ケトエステル、ジアミノケトン、セミカルバゾン、およびジヒドラジドからなる群から選択される化合物の誘導体である、請求項18に記載の複合体。
  35. 前記リンカーL1またはL2が、アジドベンゾイルヒドラジド、N−[4−(p−アジドサリチルアミノ)ブチル]−3’−(2’−ピリジルジチオ)プロピオンアミド、ビス−スルホスクシンイミジルスベレート、ジメチルアジピミデート、ジスクシンイミジルタルトレート、N−y−マレイミドブチリルオキシスクシンイミドエステル、N−ヒドロキシスルホスクシンイミジル−4−アジドベンゾエート、N−スクシンイミジル[4−アジドフェニル]−1,3’−ジチオプロピオネート、N−スクシンイミジル[4−ヨードアセチル]アミノベンゾエート、グルタルアルデヒド、スクシンイミジル4−[N−マレイミドメチル]シクロヘキサン−1−カルボキシレート、N−ヒドロキシスルホスクシンイミド、マレイミド−ベンゾイル−スクシンイミド、γ−マレイミド−ブチリルオキシスクシンイミドエステル、マレイミドプロピオン酸、N−ヒドロキシスクシンイミド、イソシアネート、チオエステル、チオノカルボン酸エステル、イミノエステル、カルボジイミド、無水物および炭酸エステルからなる群から選択される化合物の誘導体である、請求項18に記載の複合体。
  36. 前記タンパク質がアルブミンである、請求項25に記載の複合体。
  37. 前記アルブミンが、乾物ベースで少なくとも10%の純度であるHSAまたは組換えHSAである、請求項36に記載の複合体。
  38. 前記結合がヒトアルブミンのCys−34に対するものである、請求項36に記載の複合体。
  39. 前記結合がヒトアルブミンのリジンに対するものである、請求項36に記載の複合体。
  40. mが1であり、nが1であり、かつ、タンパク質がHSAまたは組換えHSAである、請求項18に記載の複合体。
  41. nが1であり、タンパク質がHSAまたは組換えHSAであり、かつ、複合体が少なくとも30%の純度までさらに精製される、請求項18に記載の複合体。
  42. mが1であり、nが2であり、かつ、タンパク質がHSAまたは組換えHSAである、請求項18に記載の複合体。
  43. 化学量論比の(AV)−L1とPr、または化学量論比のAVとL2−(Pr)を合わせることにより製造される、請求項18に記載の複合体。
  44. 少なくとも約1.3:1の比率のPrと(AV)−L1の混合物を合わせることにより製造される、請求項18に記載の複合体。
  45. L1およびL2が存在せず、AVの活性化中間体を形成した後に、その活性化AV中間体とPrを縮合させることにより製造される、請求項18に記載の複合体。
  46. AVの活性化中間体が混合無水物またはN,N’−カルボニルジイミダゾール試薬から製造される、請求項45に記載の複合体。
  47. 少なくとも約30%の純度までさらに精製される、請求項43〜46のいずれか一項に記載の複合体。
  48. 血液成分に共有結合されている非ペプチド抗ウイルス化合物を含んでなる、抗ウイルス組成物。
  49. 請求項18に記載の複合体と生理学上許容される担体とを含んでなる、組成物。
  50. 生理食塩水を用いて処方された、または生理食塩水を用いずに処方された、請求項49に記載の組成物。
  51. 非経口投与用に処方された、請求項50に記載の組成物。
  52. 溶液、使用前に溶媒と合わせる乾燥製品、懸濁液、エマルション、および液体濃縮物からなる群から選択される、請求項51に記載の組成物。
  53. イン・ビボにおいてHIV gp41およびHIVの活性を阻害する方法であって、
    哺乳類宿主の血流中に請求項18に記載の単離されたコンジュゲート複合体を投与することを含んでなり、この複合体は、抗ウイルス化合物と、そのタンパク質と反応して安定な共有結合を形成する少なくとも1つの反応性官能基を有するリンカーとを付着させることにより形成され、かつ、
    この単離されたコンジュゲート複合体が、非コンジュゲート抗ウイルス化合物に比べて長時間血流中で有効な治療効果を維持する量で投与される、方法。
  54. 前記複合体が請求項26に記載の複合体である、請求項53に記載の方法。
  55. 前記タンパク質がHSAまたは組換えHSAである、請求項53に記載の方法。
  56. 反応性官能基を含んでなるリンカーが、アシルオキシメチルケトン、アジリジン、ジアゾメチルケトン、エポキシド、ヨード−、ブロモ−またはクロロアセトアミド、α−ハロエステル、α−ハロケトン、スルホニウム、クロロエチルスルフィド、O−アルキルイソ尿素、アルキルハリド、ビニルスルホン、アクリルアミド、アクリレート、ビニルピリジン、有機金属化合物、アリールジスルフィド、チオスルホネート、アルデヒド、ニトリル、α−ジケトン、α−ケトアミド、α−ケトエステル、ジアミノケトン、セミカルバゾン、およびジヒドラジドからなる群から選択される化合物である、請求項53に記載の方法。
  57. イン・ビボにおいて抗ウイルス活性を惹起する方法であって、
    哺乳類宿主の血流中に請求項18に記載の複合体を抗ウイルス活性に有効な量を提供するに十分な量で投与すること、
    それにより、その化合物が非結合抗ウイルス化合物の寿命に比べて長時間血流中で維持されることを含んでなる、方法。
  58. 宿主において抗ウイルス活性を惹起する方法であって、
    a)化合物AV−L1またはAV−L2(ここで、AVは分子量60kD未満のペプチド抗ウイルス化合物であり、L1またはL2はAVと共有結合しているリンカーである)を製造すること;
    b)エクス・ビボにおいて、この化合物AV−L1またはAV−L2を単離されたタンパク質で、化合物AV−L1またはAV−L2がそのタンパク質と共有結合して請求項18に記載のタンパク質複合体を形成するに十分な時間処理すること;および
    c)処理したタンパク質複合体を宿主に投与すること
    を含んでなる、方法。
  59. 前記タンパク質がアルブミンである、請求項58に記載の方法。
  60. 前記アルブミンがHSAまたは組換えHSAである、請求項59に記載の方法。
  61. 前記アルブミンが、アルブミンを化合物AV−L1またはAV−L2で処理する前に血液から採取、精製および単離される、請求項59に記載の方法。
  62. 前記アルブミンが乾物ベースで少なくとも10%の純度まで精製される、請求項61に記載の方法。
  63. 前記アルブミンが95%を超える純度まで精製される、請求項61に記載の方法。
  64. 宿主において抗ウイルス活性を惹起する方法であって、
    a)化合物AV−L1またはAV−L2(ここで、AVは分子量60kD未満の抗ウイルス化合物ペプチドであり、L1またはL2はAVと共有結合しているリンカーである)を製造すること;
    b)エクス・ビボにおいて、化合物AV−L1またはAV−L2を単離された1以上のタンパク質Prで、化合物AV−L1またはAV−L2が1以上の単離されたタンパク質と共有結合して、請求項18に記載の1以上の修飾タンパク質複合体を形成するのに十分な時間処理すること;および
    c)その修飾タンパク質を宿主に投与すること
    を含んでなる、方法。
  65. 前記タンパク質がアルブミンである、請求項64に記載の方法。
  66. 前記アルブミンが、化合物AV−L1またはAV−L2で処理する前に血液から採取、精製および単離される、請求項65に記載の方法。
  67. 前記アルブミンがHSAまたは組換えHSAである、請求項65に記載の方法。
  68. 治療上有効な量の請求項18に記載の複合体、またはその生理学上許容される塩と、薬学上許容される担体、賦形剤または希釈剤とを含んでなる、医薬組成物。
  69. HIVウイルスの活動を阻害する方法であって、そのような処置が必要であると思われる宿主に、有効量の請求項18に記載の複合体、またはその薬学上許容される塩を投与することを含んでなる、方法。
  70. ウイルス感染を被っている被験体を処置する方法であって、そのような被験体に有効量の請求項49に記載の組成物を投与することを含んでなる、方法。
  71. ウイルス感染を被っている被験体を処置する方法であって、そのような被験体に有効量の請求項50に記載の組成物を投与することを含んでなる、方法。
  72. ウイルス感染を被っている被験体を処置する方法であって、そのような被験体に有効量の請求項51に記載の組成物を投与することを含んでなる、方法。
  73. ウイルス感染を被っている被験体を処置する方法であって、そのような被験体に有効量の請求項52に記載の組成物を投与することを含んでなる、方法。
  74. 前記被験体がHIV感染を被っている、請求項70に記載の方法。
  75. 前記被験体がHIV感染を被っている、請求項71に記載の方法。
  76. ウイルス感染に曝されている疑いのある患者の予防方法であって、そのような被験体に有効量の請求項49に記載の組成物を投与することを含んでなる、方法。
  77. ウイルス感染に曝されている疑いのある患者の予防方法であって、そのような被験体に有効量の請求項50に記載の組成物を投与することを含んでなる、方法。
  78. ウイルス感染に曝されている疑いのある患者の予防方法であって、そのような被験体に有効量の請求項51に記載の組成物を投与することを含んでなる、方法。
  79. ウイルス感染に曝されている疑いのある患者の予防方法であって、そのような被験体に有効量の請求項52に記載の組成物を投与することを含んでなる、方法。
  80. ウイルス感染に曝されている疑いのある患者の予防方法であって、そのような被験体に有効量の請求項53に記載の組成物を投与することを含んでなる、方法。
  81. 下記式Iまたは式IIで表される、単離された複合体:
    Figure 2006521361
    [式中、mは1〜5の整数であり;nは1〜100の整数であり;oは1〜5の整数であり;pは1〜100の整数であり;Ihはレニン阻害剤であり;L1およびL2はIhとPrとを共有結合させる多価リンカーであるか、またはL1およびL2は存在せず;Prはタンパク質であり;かつ、その複合体がイン・ビボにおいてレニン阻害活性を有する]。
  82. 前記レニン阻害剤がペプチドである、請求項81に記載の複合体。
  83. 前記ペプチドの分子量が約60kDA未満である、請求項82に記載の複合体。
  84. 前記ペプチドの分子量が約10kDA未満である、請求項82に記載の複合体。
  85. 前記ペプチドの分子量が約1000DA未満である、請求項82に記載の複合体。
  86. 前記ペプチドがペプチド類似体である、請求項82〜85のいずれか一項に記載の複合体。
  87. 前記ペプチド類似体がC末端における遷移状態類似体である、請求項66に記載の複合体。
  88. 前記遷移状態類似体が下記式の化合物である、請求項87に記載の複合体:
    Figure 2006521361
    [式中、
    Rは、各々置換型または非置換型の(C1−10)アルキル、(C6−12)シクロアルキル、カルボニル(C1−10)アルキル、スルホニル(C1−3)アルキル、スルフィニル(C1−3)アルキル、(C2−12)アルケニル、(C2−12)アルキニル、アリール、アリール(C1−10)アルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリール(C1−10)アルキルからなる群から選択され;かつ、
    R’は、各々置換型または非置換の(C1−10)アルキル、(C6−12)シクロアルキル、カルボニル(C1−10)アルキル、(C1−10)アルコキシカルボニル、(C1−10)アルキルアミノカルボニル、スルホニル(C1−3)アルキル、スルフィニル(C1−3)アルキル、(C2−12)アルケニル、(C2−12)アルキニル、アリール、アリール(C1−10)アルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリール(C1−10)アルキル、アルキルスルホニル(C1−10)アルキル、アリールスルホニル(C1−10)アルキル、ヘテロアリールスルホニル(C1−10)アルキル、(C1−10)アルキルホスホネートおよび(C1−10)アルキルホスホニルからなる群から選択される]。
  89. 前記遷移状態類似体が下記式の化合物である、請求項87に記載の複合体:
    Figure 2006521361
    [式中、
    Rは、各々置換型または非置換型の(C1−10)アルキル、(C6−12)シクロアルキル、カルボニル(C1−10)アルキル、スルホニル(C1−3)アルキル、スルフィニル(C1−3)アルキル、(C2−12)アルケニル、(C2−12)アルキニル、アリール、アリール(C1−10)アルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリール(C1−10)アルキルからなる群から選択され;かつ、
    R”は、各々置換型または非置換の(C1−4)アルキル、(C6−12)シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ビシクロアルキル、カルボニル(C1−10)アルキル、チオカルボニル(C1−3)アルキル、スルホニル(C1−3)アルキル、スルフィニル(C1−3)アルキル、アミノ、イミノ(C1−3)アルキル、(C1−10)アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、(C2−12)アルケニル、(C2−12)アルキニル、アリール、アリール(C1−10)アルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリール(C1−10)アルキル、(C9−12)ビシクロアリール、ヘテロ(C8−12)ビシクロアリール、アミノスルホニル、アルキルスルホニル、アルキルスルホニル(C1−10)アルキル、アリールスルホニル、アリールスルホニル(C1−10)アルキル、ヘテロアリールスルホニル、ヘテロアリールスルホニル(C1−10)アルキル、ホスホネート、(C1−10)アルキルホスホニル、スルホニル基およびスルフィニル基からなる群から選択される]。
  90. 前記遷移状態類似体が下記式の化合物である、請求項87に記載の複合体:
    Figure 2006521361
    [式中、
    Rは、各々置換型または非置換型の(C1−10)アルキル、(C6−12)シクロアルキル、カルボニル(C1−10)アルキル、スルホニル(C1−3)アルキル、スルフィニル(C1−3)アルキル、(C2−12)アルケニル、(C2−12)アルキニル、アリール、アリール(C1−10)アルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリール(C1−10)アルキルからなる群から選択され;かつ、
    R”は、各々置換型または非置換の(C1−4)アルキル、(C6−12)シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ビシクロアルキル、カルボニル(C1−10)アルキル、チオカルボニル(C1−3)アルキル、スルホニル(C1−3)アルキル、スルフィニル(C1−3)アルキル、アミノ、イミノ(C1−3)アルキル、(C1−10)アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、(C2−12)アルケニル、(C2−12)アルキニル、アリール、アリール(C1−10)アルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリール(C1−10)アルキル、(C9−12)ビシクロアリール、ヘテロ(C8−12)ビシクロアリール、アミノスルホニル、アルキルスルホニル、アルキルスルホニル(C1−10)アルキル、アリールスルホニル、アリールスルホニル(C1−10)アルキル、ヘテロアリールスルホニル、ヘテロアリールスルホニル(C1−10)アルキル、ホスホネート、(C1−10)アルキルホスホニル、スルホニル基およびスルフィニル基からなる群から選択される]。
  91. 前記遷移状態類似体が下記式の化合物である、請求項87に記載の複合体:
    Figure 2006521361
    [式中、
    Rは、各々置換型または非置換型の(C1−10)アルキル、(C6−12)シクロアルキル、カルボニル(C1−10)アルキル、スルホニル(C1−3)アルキル、スルフィニル(C1−3)アルキル、(C2−12)アルケニル、(C2−12)アルキニル、アリール、アリール(C1−10)アルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリール(C1−10)アルキルからなる群から選択され;かつ、
    R”は、各々置換型または非置換の(C1−4)アルキル、(C6−12)シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、ビシクロアルキル、カルボニル(C1−10)アルキル、チオカルボニル(C1−3)アルキル、スルホニル(C1−3)アルキル、スルフィニル(C1−3)アルキル、アミノ、イミノ(C1−3)アルキル、(C1−10)アルコキシ、アリールオキシ、ヘテロアリールオキシ、(C2−12)アルケニル、(C2−12)アルキニル、アリール、アリール(C1−10)アルキル、ヘテロアリール、ヘテロアリール(C1−10)アルキル、(C9−12)ビシクロアリール、およびヘテロ(C8−12)ビシクロアリールからなる群から選択される]。
  92. C末端の前記遷移状態類似体が
    Figure 2006521361
    Figure 2006521361
    からなる群から選択される、請求項87に記載の複合体。
  93. IhがIva-Val-Val-Sta-Ala-Sta, Boc-Phe-His-Sta-Ile-AMP, Boc-Phe- His-Sta-Ala-Sta-OMe, Boc-Phe-His-Sta-Leu-NHCH2Ph, Boc-Phe-His-ACHPA- Leu-AMB, Boc-Phe-His-Sta-Leu-AMB, Boc-Pro-Phe-His-Sta-Ile-AMP, Iva-Phe- Nle-Sta-Ala-Sta, Iva-His-Pro-Phe-His-Sta-Ala-Sta, Iva-His-Pro-Phe-His-Sta-Leu-Phe-NH2, Ac-His-Pro-Phe-Val-Sta-Leu-Phe-NH2, Ac-His-Pro-Phe-His-ACHPA-Leu-Phe-NH2, Ac-Trp-Pro-Phe-His-Sta-Ile-NH2, Ac-(HCO-Trp)-Pro-Phe-His-Sta-Ile-NH2, Pro-His-Pro-Phe-His-Sta-Ile-His-D-Lys, Pro-His-Pro-Phe-His-Sta-Ile-Phe- NH2, Z-Arg-Arg-Pro-Phe-His-Sta-Ile-His-Lys(Boc)-OMe, Pro-His-Pro-Phe-His-Phe-Phe-Val-Tyr-Lys, His-Pro-Phe-His-Leu-D-Leu-Val-Tyr-OH, Pro-His-Pro-Phe-His-Leu(CH2NH) Val-Ile-His-Lys(H-142), Boc-Phe-His-Cha-(CH2NH)Val-NH2(S)-Me(Bu), Pro-His-Pro-Phe-His-Leu-Phe-Val-Tyr-OH, Boc-His-Pro-Phe-His-Leu(CH(OH)CH2)Val-Ile-His-OH(H-261)およびPEC-Phe-His-ACHPA-ILeNHC(CH2OH)2CH3からなる群から選択されるレニン阻害剤ペプチドである、請求項81に記載の複合体。
  94. IhがIva-Val-Val-Sta-Ala-Sta, Boc-Phe-His-Sta-Ile-AMP, Boc-Phe- His-Sta-Ala-Sta-OMe, Boc-Phe-His-Sta-Leu-NHCH2Ph, Boc-Phe-His-ACHPA- Leu-AMB, Boc-Phe-His-Sta-Leu-AMB, Boc-Pro-Phe-His-Sta-Ile-AMP, Iva-Phe- Nle-Sta-Ala-Sta, Iva-His-Pro-Phe-His-Sta-Ala-Sta, Iva-His-Pro-Phe-His-Sta-Leu-Phe-NH2, Ac-His-Pro-Phe-Val-Sta-Leu-Phe-NH2, Ac-His-Pro-Phe-His-ACHPA-Leu-Phe-NH2, Ac-Trp-Pro-Phe-His-Sta-Ile-NH2, Ac-(HCO-Trp)-Pro-Phe-His-Sta-Ile-NH2, Pro-His-Pro-Phe-His-Sta-Ile-His-D-Lys, Pro-His-Pro-Phe-His-Sta-Ile-Phe- NH2, Z-Arg-Arg-Pro-Phe-His-Sta-Ile-His-Lys(Boc)-OMe, Pro-His-Pro-Phe-His-Phe-Phe-Val-Tyr-Lys, His-Pro-Phe-His-Leu-D-Leu-Val-Tyr-OH, Pro-His-Pro-Phe-His-Leu(CH2NH) Val-Ile-His-Lys(H-142), Boc-Phe-His-Cha-(CH2NH)Val-NH2(S)-Me(Bu), Pro-His-Pro-Phe-His-Leu-Phe-Val-Tyr-OH, Boc-His-Pro-Phe-His-Leu(CH(OH)CH2)Val-Ile-His-OH(H-261)およびPEC-Phe-His-ACHPA-ILeNHC(CH2OH)2CH3からなる群から選択されるレニン阻害剤ペプチドであり、Prがアルブミンである、請求項81に記載の複合体。
  95. 前記リンカーL1またはL2が、IhとPrとを共有結合させる少なくとも2つの官能基を含んでなる、請求項81に記載の複合体。
  96. 前記リンカーL1またはL2が、ヒト血清中で長時間加水分解上安定である、請求項81に記載の複合体。
  97. 前記リンカーL1またはL2が、ヒト血清中で8時間〜30日の半減期の間安定である、請求項81に記載の複合体。
  98. 前記リンカーL1またはL2が、アシルオキシメチルケトン、アジリジン、ジアゾメチルケトン、エポキシド、ヨード−、ブロモ−またはクロロアセトアミド、α−ハロエステル、α−ハロケトン、スルホニウム、クロロエチルスルフィド、O−アルキルイソ尿素、アルキルハリド、ビニルスルホン、アクリルアミド、アクリレート、ビニルピリジン、有機金属化合物、アリールジスルフィド、チオスルホネート、アルデヒド、ニトリル、α−ジケトン、α−ケトアミド、α−ケトエステル、ジアミノケトン、セミカルバゾン、およびジヒドラジドからなる群から選択される化合物の誘導体である、請求項81に記載の複合体。
  99. 前記リンカーL1またはL2が、アジドベンゾイルヒドラジド、N−[4−(p−アジドサリチルアミノ)ブチル]−3’−(2’−ピリジルジチオ)プロピオンアミド、ビス−スルホスクシンイミジルスベレート、ジメチルアジピミデート、ジスクシンイミジルタルトレート、N−y−マレイミドブチリルオキシスクシンイミドエステル、N−ヒドロキシスルホスクシンイミジル−4−アジドベンゾエート、N−スクシンイミジル[4−アジドフェニル]−1,3’−ジチオプロピオネート、N−スクシンイミジル[4−ヨードアセチル]アミノベンゾエート、グルタルアルデヒド、スクシンイミジル4−[N−マレイミドメチル]シクロヘキサン−1−カルボキシレート、N−ヒドロキシスルホスクシンイミド、マレイミド−ベンゾイル−スクシンイミド、γ−マレイミド−ブチリルオキシスクシンイミドエステル、マレイミドプロピオン酸、N−ヒドロキシスクシンイミド、イソシアネート、チオエステル、チオノカルボン酸エステル、イミノエステル、カルボジイミド、無水物および炭酸エステルからなる群から選択される化合物の誘導体である、請求項81に記載の複合体。
  100. 前記タンパク質が赤血球、ならびにIgMおよびIgGなどの免疫グロブリン、血清アルブミン、トランスフェリン、p90およびp38からなる群から選択される、請求項81に記載の複合体。
  101. 前記タンパク質がアルブミンである、請求項100に記載の複合体。
  102. 前記アルブミンが、乾物ベースで少なくとも10%の純度であるHSAまたは組換えHSAである、請求項101に記載の複合体。
  103. 前記結合がヒトアルブミンのCys−34に対するものである、請求項101に記載の複合体。
  104. 前記結合がヒトアルブミンのリジンに対するものである、請求項101に記載の複合体。
  105. mが1であり、nが1または2であり、かつ、タンパク質がHSAまたは組換えHSAである、請求項81に記載の複合体。
  106. nが1であり、タンパク質がHSAまたは組換えHSAであり、かつ、複合体が少なくとも30%の純度までさらに精製される、請求項81に記載の複合体。
  107. mが1であり、nが2であり、かつ、タンパク質がHSAまたは組換えHSAである、請求項81に記載の複合体。
  108. 化学量論比の(Ih)−L1とPr、または化学量論比のIhとL2−(Pr)を合わせることにより製造される、請求項81に記載の複合体。
  109. 少なくとも約1.3:1の比率のPrと(Ih)−L1の混合物を合わせることにより製造される、請求項81に記載の複合体。
  110. L1およびL2が存在せず、Ihの活性化中間体を形成した後に、その活性化Ih中間体とPrを縮合させることにより製造される、請求項81に記載の複合体。
  111. Ihの活性化中間体が混合無水物またはN,N’−カルボニルジイミダゾール試薬から製造される、請求項110に記載の複合体。
  112. 少なくとも約30%の純度までさらに精製される、請求項108〜11のいずれか一項に記載の複合体。
  113. 前記レニン阻害剤が分子量約1000DA未満のペプチド類似体である、請求項108に記載の複合体。
  114. 請求項81に記載の複合体と生理学上許容される担体とを含んでなる組成物。
  115. 非経口投与用に処方された、請求項114に記載の組成物。
  116. 溶液、使用前に溶媒と合わせる乾燥製品、懸濁液、エマルション、および液体濃縮物からなる群から選択される、請求項115に記載の組成物。
  117. イン・ビボにおいてレニン活性を阻害する方法であって、
    哺乳類宿主の血流中に請求項81に記載の単離されたコンジュゲート複合体を投与することを含んでなり、この複合体は、レニン阻害剤と、そのタンパク質と反応して安定な共有結合を形成する少なくとも1つの反応性官能基を有するリンカーとを付着させることにより形成され、かつ、
    この単離されたコンジュゲート複合体が、非コンジュゲートレニン阻害剤に比べて長時間血流中で有効な治療効果を維持する量で投与される、方法。
  118. 前記組成物が請求項100に記載の複合体である、請求項117に記載の方法。
  119. 前記タンパク質がHSAまたは組換えHSAである、請求項117に記載の方法。
  120. 反応性官能基を含んでなるリンカーが、アシルオキシメチルケトン、アジリジン、ジアゾメチルケトン、エポキシド、ヨード−、ブロモ−またはクロロアセトアミド、α−ハロエステル、α−ハロケトン、スルホニウム、クロロエチルスルフィド、O−アルキルイソ尿素、アルキルハリド、ビニルスルホン、アクリルアミド、アクリレート、ビニルピリジン、有機金属化合物、アリールジスルフィド、チオスルホネート、アルデヒド、ニトリル、α−ジケトン、α−ケトアミド、α−ケトエステル、ジアミノケトン、セミカルバゾン、およびジヒドラジドからなる群から選択される化合物である、請求項117に記載の方法。
  121. イン・ビボにおいてレニン活性を阻害する方法であって、
    哺乳類宿主の血流中に請求項81に記載の複合体を、レニン阻害に有効な量を提供するに十分な量で投与すること;
    それにより、その化合物が非結合レニン阻害剤の寿命に比べて長時間血流中で維持されることを含んでなる、方法。
  122. 宿主においてレニン活性を阻害する方法であって、
    a)化合物Ih−L1またはIh−L2(ここで、Ihは分子量60kD未満のレニン阻害剤ペプチドであり、L1またはL2はIhと共有結合しているリンカーである)を製造すること;
    b)化合物Ih−L1またはIh−L2を単離されたタンパク質を、エクス・ビボにおいて、化合物Ih−L1またはIh−L2がそのタンパク質と共有結合して請求項81に記載のタンパク質複合体を形成するに十分な時間処理すること、および
    c)処理したタンパク質複合体を宿主に投与すること
    を含んでなる、方法。
  123. 前記タンパク質がアルブミンである、請求項122に記載の方法。
  124. 前記アルブミンがHSAまたは組換えHSAである、請求項123に記載の方法。
  125. 前記アルブミンが、アルブミンを化合物Ih−L1またはIh−L2で処理する前に、血液から採取、精製および単離される、請求項123に記載の方法。
  126. 前記アルブミンが乾物ベースで少なくとも10%の純度まで精製される、請求項125に記載の方法。
  127. 前記アルブミンが95%を超える純度レベルまで精製される、請求項125に記載の方法。
  128. 宿主においてレニン活性を阻害する方法であって、
    a)化合物Ih−L1またはIh−L2(ここで、Ihは分子量60kD未満のレニン阻害剤ペプチドであり、L1またはL2はIhと共有結合しているリンカーである)を製造すること;
    b)エクス・ビボにおいて、化合物Ih−L1またはIh−L2を単離された1以上のタンパク質Prで、化合物Ih−L1またはIh−L2が1以上の単離されたタンパク質と共有結合して、請求項81に記載の1以上の修飾タンパク質複合体を形成するのに十分な時間処理すること;および
    c)その修飾タンパク質を宿主に投与すること
    を含んでなる、方法。
  129. 前記タンパク質がアルブミンである、請求項128に記載の方法。
  130. 前記アルブミンが、化合物Ih−L1またはIh−L2で処理する前に、血液から採取、精製および単離される、請求項129に記載の方法。
  131. 前記アルブミンがHSAまたは組換えHSAである、請求項129に記載の方法。
  132. 治療上有効な量の請求項81に記載の複合体、またはその生理学上許容される塩と、薬学上許容される担体、賦形剤または希釈剤とを含んでなる医薬組成物。
  133. 被験体の血圧を降下させる方法であって、その被験体に治療上有効な量の請求項132に記載の組成物を投与することを含んでなる、方法。
  134. 前記患者が高血圧症である、請求項133に記載の方法。
  135. 前記患者が軽度、中度または重度高血圧症である、請求項134に記載の方法。
  136. 高分子担体と共有結合している薬理活性部分を含んでなり、
    前記担体が薬理学的に不活性であり、
    前記薬理活性部分と担体の間の架橋がイン・ビボにおいて安定であり、
    完全な化合物が前記薬理活性部分の薬理活性を実質的に保持し、かつ、
    哺乳類に投与した際に前記化合物の有効半減期が前記薬理活性部分の少なくとも約2倍である、
    単離された化合物。
  137. 前記高分子担体がタンパク質である、請求項136に記載の化合物。
  138. 前記高分子担体が前記哺乳類と同じ起源のアルブミンである、請求項136に記載の化合物。
  139. 前記アルブミンがヒト血清アルブミンである、請求項138に記載の化合物。
  140. 前記薬理活性部分がリンカー部分を介して前記担体とコンジュゲートされている、請求項136に記載の化合物。
  141. 前記薬理活性部分が前記担体と直接架橋されている、請求項136に記載の化合物。
  142. 少なくとも2つの薬理活性部分分子が前記担体とコンジュゲートされている、請求項136に記載の化合物。
  143. 前記担体との架橋が前記担体上のリジン側鎖を介するものである、請求項137に記載の化合物。
  144. 前記担体との架橋が前記担体上のシステイン側鎖を介するものである、請求項137に記載の化合物。
  145. 前記担体がHSAであり、前記架橋がHSAのC34を介するものである、請求項136に記載の化合物。
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