JP2006333769A - 茶抽出物 - Google Patents

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寛 北條
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Kensuke Yagi
健介 八木
Fumio Nanjo
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Abstract

【課題】 茶飲料製造時に添加することで、特別な製造工程や新規な製造設備を必要とせず、工程が煩雑になること無く簡便にフロック発生の抑制乃至防止効果を有し、また外観の色調安定性と茶本来の優れた滋味を供することができる茶抽出物を提供すること。
【解決手段】 本発明の茶抽出物は、成分(A)としてアルミニウム0.15〜1.20重量%と、成分(B)としてテオガリンを含有し、成分(A)の含有量(重量%)と成分(B)の含有量(重量%)からなる次式
64(A−0.65)+(B−0.10)=Cとした時にCが19.2以下であることを特徴とするものである。
【選択図】 なし

Description

本発明は、茶飲料に添加した際にフロック発生の抑制乃至防止効果を有し、また、外観の色調安定性及び茶本来の優れた滋味を供することができる茶抽出物、及びそれを添加してなる茶飲料及びその製造方法、並びに茶飲料のフロック発生の抑制乃至防止方法及び茶飲料の外観の色調安定性向上方法、及び滋味の損失防止方法に関する。
茶に含まれる苦渋味成分である茶カテキンは、抗う触作用、血圧上昇抑制作用、体脂肪抑制作用等の生理機能を有することが明らかにされ、注目を集めている。そこで、飲料を摂取する時にこうした茶カテキンの生理作用をより効果的に享受するために、茶カテキンを含む茶抽出物を添加して、高濃度の茶カテキンを含有させた茶飲料を製造する方法等が報告されている(特許文献1参照)。茶抽出物にはカフェインの少ないタイプや、カテキンを高濃度に含むタイプなど、様々なバリエーションで市販されており、手軽に飲料の成分をコントロールできる点で飲料の製造に欠かせない存在となってきている。
ところで、茶飲料を長期間保存すると、次第にフロック(綿状浮遊物及び/又は沈殿物)が観察されるようになる。フロックは、時間の経過と共に、徐々にその大きさと量が増し、好ましくない濁りを有する外観を与える。それだけでなく、このフロック発生現象は、その形状や大きさから微生物による汚染と誤認されやすい等、茶飲料の好ましくない経時的変化として扱われている場合が多い。フロック発生現象は、茶飲料全般に見られるが、緑茶において特に起こりやすい現象である。フロックの本体については、分子量が2万以上の水溶性高分子多糖成分であるとの報告(非特許文献1参照)や、茶成分の一つであるストリクチニンが加熱によってエラグ酸に分解され、このエラグ酸がタンパク質等と結合することによって形成される物質であるとの報告(特許文献2参照)等があるが、ポリフェノール、カフェイン、有機酸、金属イオン等、他成分の関与も推定され、フロックの発生原因や構成成分等については未解明な部分も多い。
茶飲料のフロック発生を抑制乃至防止する方法としては、例えば、フロック発生の原因物質と考えられている水溶性高分子多糖成分を酵素処理により分解する方法、原因物質や沈殿を限外濾過やケイ藻土濾過によって物理的に取り除く方法、フロック発生を抑制する成分を添加する方法、フロック発生の原因物質の含有量が少ない原料を使用する方法等が、従来技術として当業者に知られている。これらの従来技術の具体例を挙げれば、緑茶の温水抽出液を通常の遠心分離又は濾過により清澄化処理した液にアスコルビン酸又はその塩を添加し、ヘミセルラーゼ活性を有する酵素で処理し、必要により加熱殺菌処理する緑茶飲料の製造方法(特許文献3参照)、緑茶又は生鮮乃至乾燥茶葉を抽出して得た水溶性茶成分を限外濾過法により分画し、分子量約1万以上の高分子成分をほぼ除去することによる清澄緑茶飲料の製造方法(特許文献4参照)、フコイダン含有物を茶飲料及び茶抽出液に添加することにより、茶飲料保存時に発生する綿状沈殿物(フロック)の発生を防止する方法(特許文献5参照)、容器詰緑茶飲料中のアルミニウムイオンと水不溶性固形分の量を調整する方法(特許文献6参照)、緑茶抽出液と緑茶抽出物の濃縮物を混合した緑茶調合液に特定のアルミノシリケートを接触させ、特定成分を吸着処理することによって、容器詰緑茶飲料中の非エピ体カテキン類とエピ体カテキン類の比率、並びにアルミニウムイオンと珪素イオンの含有量を調整する方法(特許文献7参照)、ストリクチニンの含有量を指標に茶葉を選定し、茶飲料製造時のストリクチニンの含有量を調整することにより製造後に発生するフロックを未然に防止する方法(特許文献2参照)等が提案されている。
しかし、これらの方法は、少なくとも次のような欠点を有する。例えば、限外濾過処理、アルミノシリケートによる接触(吸着)処理等、特別な製造工程を設けて行う方法では、新規な製造設備が必要となるのに加え、工程が煩雑になる。特にアルミノシリケートを含む鉱物を接触させる方法は、アルミニウム以外の金属イオンが茶飲料の変色を引き起こす危険性がある。また、酵素処理による方法では、酵素反応に必要不可欠な反応時間が生産性に大きな障害を与えるだけではなく、香気成分の損失やカテキン等が酸化することによる着色現象等、外観の色調安定性に大きな障害を与える。さらに、濾過処理等によって特定の内容成分を除去する方法、酵素処理による内容成分を変化させる方法、フコイダン含有物を添加する方法では、茶浸出液が本来有している成分のバランスを乱すことになるため、味への影響が避けられない。特に、茶飲料に含まれている水溶性高分子多糖類は、フロックや変色の原因となる可能性がある一方で、茶飲料のボディー感を構成し、口当たりを柔らかくするといった重要な働きを持っており、これを分解したり除去したりする方法では、茶飲料独特の柔らかなのど越しや滋味を著しく損ない、保存安定性を付与する目的を達成できても、本格的な茶とは異なるものになってしまうという問題がある。容器詰茶飲料中のアルミニウムイオンと水不溶性固形分の量を調整する方法、ストリクチニンの含有量を指標に茶葉を選定し、茶飲料製造時のストリクチニンの含有量を調整する方法では、フロックの原因となる他成分の関与を考えると確実な方法とは言い難く、また、この方法では、必然的に使用できる茶葉が限定されてしまうという欠点がある。味覚的に良質とされる収穫期の茶葉(新茶や一番茶等)は、ストリクチニンの含有量が高く(非特許文献2参照)、アルミニウム含有量が低いため、この方法によれば、味覚的に良質とされる茶葉を使用できないことになってしまい、本来の目的である優れた茶の滋味を有する茶飲料を提供するという目的を達成することが困難となる。以上のように、これまでに知られている技術では、フロック発生を抑制乃至防止することと、外観の色調安定性と茶本来の滋味を確保するという点を十分に満足させることはできなかった。
特開2002−272373号公報 特開2003−235452号公報 特開平8−228684号公報 特開平4−45744号公報 特開2000−116327号公報 特開2004−180574号公報 特開2004−159665号公報 竹尾忠一、ソフトドリンクス技術資料、1号、1993年、P85 M. Yamamoto、他4名、Proceedingsof 2004 International Conference on O-CHA(tea) Culture and Science、HB-P-45、2005年、P551
そこで本発明は、茶飲料に添加した際にフロック発生の抑制乃至防止効果を有すると共に、外観の色調安定性と茶本来の優れた滋味を供することができる茶抽出物を提供することを目的とする。
本発明者らは上記目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、アルミニウム含有量とテオガリン含有量の関係を、望ましい値にコントロールした茶抽出物は、茶飲料に添加した際に、保存時のフロック発生を抑制乃至防止すると共に、茶飲料に対して外観の色調安定性と茶本来の優れた滋味を供することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の茶抽出物は、請求項1記載の通り、
次の成分(A)、(B):
(A)アルミニウム0.15〜1.20重量%、
(B)テオガリン
を含有し、成分(A)の含有量(重量%)と成分(B)の含有量(重量%)からなる次式
64(A−0.65)+(B−0.10)=Cとした時に
Cが19.2以下であることを特徴とするものである。
また、請求項2に記載の通り、請求項1記載の茶抽出物においてテオガリンの含有量が3.0重量%以下であることを特徴とするものである。
また、請求項3記載の茶抽出物は、請求項1または2記載の茶抽出物において、タンニンの含有量が50重量%以下であることを特徴とする。
また、請求項4記載の茶抽出物は、請求項1乃至3のいずれかに記載の茶抽出物において、緑茶を原料としたものであることを特徴とする。
また、本発明の茶飲料の製造方法は、請求項5記載の通り、請求項1乃至4のいずれかに記載の茶抽出物を添加することによることを特徴とする。
また、本発明の茶飲料は、請求項6記載の通り、請求項5記載の製造方法で製造されてなることを特徴とする。
また、本発明の茶飲料のフロック発生の抑制乃至防止方法は、請求項7記載の通り、請求項1乃至4のいずれかに記載の茶抽出物を添加することによることを特徴とする。
また、本発明の茶飲料の外観の色調安定性向上方法、及び滋味の損失防止方法は、請求項8記載の通り、請求項1乃至4のいずれかに記載の茶抽出物を添加することによることを特徴とする。
本発明の茶抽出物によれば、茶飲料のフロック発生を抑制乃至防止するための特別な装置を必要とすることなしに、茶飲料に添加するだけで、茶本来の優れた滋味を損失させることなく、外観の色調を安定に保つと共に、フロック発生を抑制乃至防止することができる。従って、フロック発生が抑制乃至防止され、かつ、外観の色調が安定で茶本来の優れた滋味を有する茶飲料を既存の設備を利用して製造することができるので、生産性、製造コストに対する効果が非常に大きい。前述の通り、茶飲料に茶抽出物を添加することはこれまでにも行われているが、これまでの茶飲料に添加される茶抽出物は、単に茶飲料に含まれる茶カテキンの含有量を増強することでその優れた生理作用を効果的に享受できるようにすることを目的としたものであり、茶飲料のフロック発生を抑制乃至防止する手段として用いることができ、かつ、茶飲料に対して外観の色調安定性と茶本来の優れた滋味を供することができるアルミニウム及びテオガリンの含有量が所定の組成になるように調整された茶抽出物は、これまでに全く知られていない新規なものである。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の茶抽出物は、成分(A)としてアルミニウム0.15〜1.20重量%と、成分(B)としてテオガリンを含有し、成分(A)と成分(B)の含有量(重量%)からなる次式〔64(A−0.65)+(B−0.10)〕が19.2以下であることを特徴とするものである。本発明において、茶抽出物とは、原料となる茶葉を水又は熱水又は含水有機溶媒で抽出し、遠心分離や濾過等の固液分離手段で不溶物を除去した茶抽出液、或いはこれを必要に応じてエバポレーターや凍結乾燥機等により濃縮液や乾燥物の形態にしたものを意味する。本発明の茶抽出物は、例えば、原料となる茶葉や抽出方法を適宜選択してアルミニウム及びテオガリンの含有量をしかるべき組成となるように調整することで製造することができる。また、上記の方法で得られたアルミニウム及びテオガリンの含有量が所定の組成ではない茶抽出物に対し、さらに溶媒分画法、限外濾過法、ゲル濾過法、透析等の公知の分離・精製方法を実施することによって、アルミニウム及びテオガリンの含有量が所定の組成になるように調整することで製造することもできる。
また本発明の茶抽出物においては、複数の茶抽出物を混ぜ合わせてアルミニウム及びテオガリンの含有量を調整することも可能であり、例えば市販されている茶抽出物等を混ぜ合わせてアルミニウム及びテオガリンの含有量を望ましい値にコントロールすることで製造することもできる。また、アルミニウム化合物やアルミニウムを含有する天然物等を用いて本発明の茶抽出物のアルミニウム及びテオガリンの含有量を調整してもよく、このような方法を用いれば、例えば、本実施例2にもあるように、アルミニウム及びテオガリンの含有量が所定の組成ではない茶抽出物も原料の一部として使用することが可能である。市販の茶抽出物としては、三井農林(株)の商品名「ポリフェノン」、(株)伊藤園の商品名「テアフラン」、太陽化学(株)の商品名「サンフェノン」等が挙げられる。またアルミニウム化合物やアルミニウムを含有する天然物としては、活性白土、酸性白土、ゼオライト、カオリン、ベントナイト等のアルミニウム含有鉱物性物質の他、硫酸アンモニウムアルミニウム、硫酸カリウムアルミニウム、硫酸ナトリウムアルミニウム、塩化アルミニウム、臭化アルミニウム、ホウ酸アルミニウム、リン酸アルミニウム、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、三フッ化アルミニウム、酢酸アルミニウム、乳酸アルミニウム、ラウリン酸アルミニウム、オレイン酸アルミニウム、ステアリン酸アルミニウム等の無機アルミニウム化合物や有機アルミニウム化合物が挙げられる。各種のアルミニウム塩は水和物の形態であってもよい。これらの中では、硫酸アンモニウムアルミニウム(焼アンモニウムミョウバン)、硫酸カリウムアルミニウム(焼ミョウバン)とこれらの水和物である硫酸アンモニウムアルミニウム・12水(アンモニウムミョウバン)、硫酸カリウムアルミニウム・12水(ミョウバン又はカリミョウバン)は、食品添加物として認可されているため好適に用いることができる。また、アルミニウムを含有する葉菜類、海藻類、貝類等の動植物の抽出物を用いることもできる。
本発明の茶抽出物の原料となる茶葉とは、茶樹(Camellia Sinensis)の葉、又は茎、或いはこれらを原料として製造された加工品を指す。この加工品としては、例えば、緑茶や花茶等の不発酵茶、ウーロン茶等の半発酵茶、紅茶等の完全発酵茶等を挙げることができ、いずれも本発明の茶抽出物を製造するための原料として使用可能であるが、中でも緑茶を原料とすることが好ましい。緑茶葉中に含まれるアルミニウムとテオガリンの存在量は、本発明の茶抽出物を製造するために好適なものであり、また、添加対象である茶飲料との風味の兼ね合いに優れるからである。
ここで言う緑茶は、茶樹の葉、又は茎を収穫後速やかに蒸気又は火熱で熱する作業を含む工程により茶葉中の酵素活性を停止させ、即ち、茶の加工における発酵を防止することにより茶葉本来の成分や緑色が保持されるように製造されてなるものである。緑茶には茶樹の栽培方法や製造方法の違いにより様々なタイプがあり、具体的には煎茶、玉露、茎茶、かぶせ茶、碾茶、抹茶、番茶、ほうじ茶、釜炒り茶等を例示することができる。アルミニウムは中国茶や番茶、ほうじ茶等に多く含まれていること、テオガリンは1番茶や2番茶等の煎茶に多く含まれていることが知られており、これらの緑茶葉を適宜選択、及び組み合わせて原料とすれば、目的とする茶抽出物を容易に製造することが可能となる。
本発明の茶抽出物は、成分(A)としてアルミニウムを0.15〜1.20重量%含有する。アルミニウムの含有量が上限値を上回ると、茶飲料に添加した際に、フロック発生の抑制乃至防止効果は発揮するものの、茶飲料に含まれるカテキン等のポリフェノール成分がアルミニウムと結合体を形成して沈殿を起こす原因となったり人体に悪影響を及ぼしたりする恐れがあるため望ましくない。一方、アルミニウムの含有量が下限値を下回ると、フロック発生の抑制乃至防止効果を発揮しなくなる恐れがあるため望ましくない。アルミニウムの含有量は、好ましくは0.20〜1.10重量%、より好ましくは0.30〜1.00重量%、特に好ましくは0.40〜0.90重量%である。
また、本発明の茶抽出物は、成分(A)であるアルミニウムと成分(B)であるテオガリンの含有量(重量%)の関係を表した次式〔64(A−0.65)+(B−0.10)=C〕において、Cは19.2以下となるように調整することが必要であり、好ましくは14.1以下、より好ましくは9.6以下、さらに好ましくは6.4以下、特に好ましくは3.2以下、最も好ましくは0.6以下である。茶抽出物中のアルミニウム含有量とテオガリン含有量の関係を望ましい値にコントロールすることで、フロックの抑制乃至防止効果を有し、かつ飲料に添加した際に外観の色調安定性と優れた滋味を示す茶抽出物となる。
本発明の茶抽出物が茶飲料に添加した際にフロック発生をより効果的に抑制乃至防止する為には、茶抽出物のテオガリンの含有量は、3.0重量%以下が好ましく、2.5重量%以下がより好ましく、2.0重量%以下が最も好ましい(なお下限値は通常0.01重量%である)。ここで、テオガリンとはケミカルアブストラクツ登録番号(CAS登録番号)が17365−11−6の公知の化合物であり、茶飲料に含まれるこの化合物は、茶葉やウラジロガシ(学名:Quercus stenophylla)の樹皮(必要ならばH. Nishimura、他2名、Phytochemistry、第23巻、第11号、1984年、P2621を参照)等を原料として自体公知の方法で単離精製した標準物質を使用し、HPLCを用いて定量分析することができる。
また、本発明の茶抽出物に含まれるタンニンの含有量は50重量%以下が好ましく、40重量%以下がより好ましい(なお下限値は通常1.0重量%である)。茶抽出物に含まれるタンニンの含有量が多すぎると、茶飲料に添加した際に、苦味や渋味を強く発現させてしまい、味のバランスが崩れて滋味を損なってしまう恐れがあると共に変色の原因となり易い。
なお、本発明の茶抽出物には、その効果を阻害しない範囲内において、茶カテキン等の茶抽出物に通常含まれる成分を含んでいてもよい。
本発明の茶抽出物の茶飲料への添加は、茶飲料の製造工程のいずれかの段階で行えばよく、いずれの段階で行っても、長期にわたってフロック発生が抑制乃至防止され、外観の色調が安定であり、茶本来の優れた滋味を有する茶飲料を製造することができる。茶飲料の一般的な製造工程としては、まず、原料とする茶葉を20〜50倍重量の温水又は熱水にて抽出する。抽出時間、温度は、使用する茶葉の種類、求める茶飲料の品質や呈味性(例えば低温で抽出すると旨みが強くなり高温で抽出すると渋味が強くなる)等によって適宜調整するが、通常は45〜95℃で3〜30分の抽出を行い、必要に応じて抽出操作中に撹拌を行う。次いで茶殻等の不溶物を濾過や遠心分離等により除去することにより茶抽出液を得る。これに、水を加えて飲用に適した濃度に希釈し、必要に応じて酸化防止のために100〜2000ppmのアスコルビン酸又はその塩等を添加したり、100〜2000ppmの炭酸水素ナトリウム等を添加することでpHを5.0〜7.0に調整したりして、茶飲料調合液とする。最後にこの茶飲料調合液を金属缶やプラスチック容器、ペットボトル、ガラス瓶、紙容器等の密封容器に充填して茶飲料として製品化する。これら工程中には必要に応じて殺菌工程が含まれていてもよい。本発明の茶抽出物の茶飲料への添加は、茶抽出液を希釈して茶飲料調合液とする段階か茶飲料調合液に対して行うことが作業効率上好ましい。
本発明の茶抽出物の茶飲料への添加量は、本発明の茶抽出物が所定の効果を奏する添加量であれば特に限定されるものではなく、茶飲料の製造工程における原料とする茶葉の種類や使用量、抽出方法、茶飲料の成分組成や形態等によって適宜調整することができるが、通常、本発明の茶抽出物を添加する前の茶飲料調合液(密封容器への充填工程と殺菌工程を行う前のもの)のタンニンの含有量に基づき、その0.05〜20倍量、即ち、例えば、タンニンの濃度が50mg%の茶飲料調合液においては、茶飲料調合液100mlに対して本発明の茶抽出物を2.5mg〜1g添加するのが効果的である(茶抽出物がタンニンを多量に含有する場合は本発明の茶抽出物を添加した後の茶飲料調合液のタンニンの含有量に基づいて添加量を設定するのが好ましい)。茶飲料調合液のタンニンの含有量に対する茶抽出物の添加量は、より好ましくは0.1〜10倍量であり、特に好ましくは0.2〜5倍量である。一般的にタンニンの含有量が多く、濃い茶飲料ほど、フロックの発生原因となる他の成分の影響等もあり、フロックが発生し易い為、茶抽出物の添加量も多めにするのが好ましい。
また、上記のような添加量で本発明の茶抽出物を添加した後の茶飲料調合液(密封容器への充填工程と殺菌工程を行う前のもの)の成分(A)であるアルミニウムと成分(B)であるテオガリンの重量比率〔(B)/(A)〕は、茶飲料調合液のタンニンの濃度が0〜100mg%の場合は3.3〜25であるのが好ましく、100〜200mg%の場合は1.2〜20であるのが好ましく、200mg%を超える場合は0.5〜15であるのが好ましい。このような重量比率であることで、茶飲料調合液のフロック発生は効果的に抑制乃至防止されるとともに、茶飲料調合液の外観の色調安定性と茶本来の優れた滋味が供される。なお、テオガリンは加熱殺菌工程中における熱によって変化してしまい、調合時の30〜60%量までに減少してしまうので、加熱殺菌工程を経た容器詰茶飲料における〔(B)/(A)〕の値は茶飲料調合液のタンニンの濃度が0〜100mg%の場合は1.0〜15であるのが好ましく、100〜200mg%の場合は0.4〜12であるのが好ましく、200mg%を超える場合は0.2〜9であるのが好ましい。
本発明の茶抽出物の添加対象である茶飲料としては、緑茶や花茶等の不発酵茶、ウーロン茶等の半発酵茶、紅茶等の完全発酵茶等が挙げられる。通常、発酵が弱い茶葉ほど、柔らかなのど越しと滋味を感じ易く、また、これらが損なわれやすい。従って、本発明の茶抽出物は、このような発酵が弱い茶葉を用いた茶飲料、具体的には緑茶や花茶(ジャスミン茶等)の製造に適用することでより効果的に機能する。また、本発明の茶抽出物の添加対象である茶飲料は、金属缶やプラスチック容器、ペットボトル、ガラス瓶、紙容器等の密封容器に充填して製品化された容器詰茶飲料であることが、フロック発生の抑制乃至防止効果が顕著に発揮されるので好ましい。なお、容器詰茶飲料の製造時には、主原料の茶葉以外に、副原料として玄米や各種植物の葉、茎、根等をブレンドしたものや、酸化防止剤、保存料、環状オリゴ糖、食物繊維、乳化剤、色素、香料、安定剤、pH調整剤、酸味料、甘味料、果汁、栄養強化剤等を単独又は組み合わせて使用しても構わない。
なお、本発明の茶抽出物を茶飲料に添加することによるフロック発生の抑制乃至防止効果は、それ自体で十分なものであるが、その効果を補完したり増強したりするために、必要に応じて公知のフロック発生の抑制乃至防止方法、例えば、酵素処理により水溶性高分子多糖成分を分解する方法、原因物質や沈殿を限外濾過やケイ藻土濾過によって物理的に取り除く方法等を併用してもよい。
なお、本発明の茶抽出物は、キャンディー、ガム、ゼリー等の菓子類、医薬部外品、化粧料等の原料となる茶濃縮エキスの沈殿防止にも用いることができる。
以下に実施例を挙げ、本発明をさらに詳しく説明する。ただし、本発明はこれに限定されるものではない。
実施例1:
アルミニウムとテオガリンの含有量が異なる種々の茶抽出物(本発明品1〜2、比較品1〜5)について、容器詰緑茶飲料に対するフロック発生の抑制乃至防止効果と、容器詰緑茶飲料の外観の色調安定性、及び滋味に与える影響を試験した。
本発明品1:
緑茶葉(番茶)100gを90℃の熱水1000mLに投入し、撹拌しながら30分間抽出を行い、100メッシュのステンレスフィルターで茶葉を分離した後、ネル濾過により抽出液中の沈殿物や浮遊物を取り除き、茶抽出液を得た。次に、アルミニウムとテオガリンの含有量が好適な緑茶抽出物を得るために、これに酢酸エチル500mlを加え、分液漏斗を用いて激しく混合した後に静置して水層と酢酸エチル層を分液した。この操作を2度繰り返して得られた水層(酢酸エチル抽出残渣)をエバポレーターで濃縮後、凍結乾燥機で乾固させ、本発明品となる緑茶抽出物17g(アルミニウム含有量(A)=0.35重量%、テオガリン含有量(B)=0.19重量%、〔64(A−0.65)+(B−0.10)〕=5.7、タンニン含有量=7.2重量%)を得た。
本発明品2:
本発明品1の茶抽出物10gを精製水250mlに溶解した。この溶液を分画分子量10,000の限外濾過膜(PS/10K、マイクロゴン社製)を使用し、限外濾過を行った。透過液量が200mlに達した時点で、濃縮液に精製水200mlを加え、連続して限外濾過した。濃縮液が50mlになったところで、液量を維持するように精製水を加えながら引き続き限外濾過し、透過液750mlを得た。得られた透過液を濃縮乾燥し、本発明品となる緑茶抽出物8g(アルミニウム含有量(A)=0.72重量%、テオガリン含有量(B)=0.04重量%、〔64(A−0.65)+(B−0.10)〕=0.3、タンニン含有量=1.8重量%)を得た。
比較品1:
本発明品1の製造工程において作製された酢酸エチル層画分について、これを一つにまとめ、無水硫酸ナトリウムで一晩脱水後、濃縮乾固して、比較品となる緑茶抽出物13g(アルミニウム含有量(A)=0.01重量%、テオガリン含有量(B)=0.01重量%、〔64(A−0.65)+(B−0.10)〕=26.3、タンニン含有量=77.0重量%)を得た。
比較品2:
緑茶葉(煎茶)100gを90℃の熱水1000mLに投入し、攪拌しながら30分間抽出を行い、100メッシュのステンレスフィルターで茶葉を分離した後、ネル濾過により抽出液中の沈殿物や浮遊物を取り除き、茶抽出液を得た。この茶抽出液をエバポレーターで濃縮後、凍結乾燥機により乾固させ、比較品となる緑茶抽出物31g(アルミニウム含有量(A)=0.10重量%、テオガリン含有量(B)=2.02重量%、〔64(A−0.65)+(B−0.10)〕=23.0、タンニン含有量=41.3重量%)を得た。
比較品3:
比較品2における緑茶葉(煎茶)のかわりにジャスミン茶を用いたこと以外は比較品2と同様にして、比較品となるジャスミン茶抽出物26g(アルミニウム含有量(A)=0.07重量%、テオガリン含有量(B)=3.20重量%、〔64(A−0.65)+(B−0.10)〕=31.1、タンニン含有量=35.1重量%)を得た。
比較品4:
三井農林(株)の商品名「ポリフェノンKN」(アルミニウム含有量(A)=0.16重量%、テオガリン含有量(B)=2.76重量%、〔64(A−0.65)+(B−0.10)〕=22.4、タンニン含有量=37.9重量%)を比較品となる緑茶抽出物として用いた。
比較品5:
本発明品1と同様の緑茶葉(番茶)100gを食品添加物として市販されているミョウバン(硫酸カリウムアルミニウム・12水、和光純薬(株)製、アルミニウム含有量=5.69重量%)10gを加えた90℃の熱水1000mLに投入し、攪拌しながら30分間抽出を行い、100メッシュのステンレスフィルターで茶葉を分離した後、ネル濾過により抽出液中の沈殿物や浮遊物を取り除き、茶抽出液を得た。この茶抽出液を凍結乾燥機により乾固させ、比較品となる緑茶抽出物42g(アルミニウム含有量(A)=2.34重量%、テオガリン含有量(B)=1.30重量%、〔64(A−0.65)+(B−0.10)〕=184.2、タンニン含有量=28.5重量%)を得た。
なお、上記のアルミニウム、テオガリン、タンニンの含有量は、各サンプルを適量の純水に溶解した後、0.45μmメンブランフィルター(DISMIC−13HP;ADVANTEC)で濾過し、以下の方法で求めた。
1.アルミニウム含有量の測定方法
装置 :ICP−AES CIROS CCD−M(リガク)
プラズマ電力 :1400W
ポンプ流量 :1ml/min
プラズマガス流量 :Ar,13.0L/min
補助ガス流量 :Ar,1.0L/min
ネブライザーガス流量 :Ar,1.0L/min
分析線 :396.152nm
標準液 :関東化学製化学分析用標準液を使用
2.テオガリン含有量の測定方法
装置 :アライアンスHPLC/PDAシステム(日本ウォーターズ)
カラム :Mightysil RP−18 GP、4.6mmφ×150mm(5μm)(関東化学)
移動相(A液):体積比でアセトニトリル:0.05%リン酸水=25:1000
移動相(B液):体積比でアセトニトリル:0.05%リン酸水:メタノール=10:400:200
グラジエント :注入3分後から25分後にA液100%からB液100%に達するリニアグラジエント
流速 :1ml/min
検出 :UV275nm
カラム温度 :40℃
3.タンニン含有量の測定方法
日本食品分析センター編、「五訂 日本食品標準成分分析マニュアルの解説」、中央法規、2001年7月、p.252に記載の公定法(酒石酸鉄試薬法)に従って求めた。
(試験方法)
茶飲料用にブレンドした緑茶葉100gを、557ppmとなるようにL−アスコルビン酸ナトリウムを添加した60℃のイオン交換水3000gで5分間抽出し、100メッシュのステンレスフィルターで茶葉を分離した後、濾紙(No.26、アドバンテック(株)製)を用いて濾過し、2700gの緑茶抽出液を得た。この緑茶抽出液をタンニン濃度が55mg%(55mg/100mL)となるようにイオン交換水で希釈し(タンニン含有量の測定は上記の酒石酸鉄試薬法に従って行った)、L−アスコルビン酸と炭酸水素ナトリウムを緑茶希釈液1000gあたり0.3gずつ加え、緑茶飲料調合液を得た。この緑茶飲料調合液に、本発明品1の茶抽出物を緑茶飲料調合液1000gに対して350mg添加し、耐熱性ガラス容器に300gずつ80℃でホットパック充填して密封し、レトルト殺菌処理(121℃、10分間)を行って容器詰緑茶飲料を製造した。
また、本発明品1の茶抽出物のかわりに本発明品2の茶抽出物、比較品2の緑茶抽出物、比較品3のジャスミン茶抽出物、比較品4の市販茶抽出物、比較品5のミョウバン入り茶抽出物をそれぞれ用い、緑茶飲料調合液1000gに対して350mg添加して、同様に容器詰緑茶飲料を製造した。また、本発明品1の茶抽出物のかわりに比較品1の茶抽出物を用い、緑茶飲料調合液1000gに対して180mg添加して、同様に容器詰緑茶飲料を製造した。また、対照用容器詰緑茶飲料として、緑茶飲料調合液自体をそのまま耐熱性ガラス容器に300gずつ80℃でホットパック充填して密封し、レトルト殺菌処理したものを製造した。
また、緑茶葉を同様に抽出して、緑茶抽出液を得、これをタンニン濃度が100mg%となるように希釈し、L−アスコルビン酸と炭酸水素ナトリウムを緑茶希釈液1000gあたり0.6gずつ加え、緑茶飲料調合液を得た。この緑茶飲料調合液に、本発明品1の茶抽出物を緑茶飲料調合液1000gに対して3.0g添加し、耐熱性ガラス容器に300gずつ80℃でホットパック充填して密封し、レトルト殺菌処理(121℃、10分間)を行って容器詰緑茶飲料を製造した。
また、本発明品1の茶抽出物のかわりに本発明品2の茶抽出物、比較品2の緑茶抽出物、比較品3のジャスミン茶抽出物、比較品4の市販茶抽出物、比較品5のミョウバン入り茶抽出物をそれぞれ用い、緑茶飲料調合液1000gに対して3.0g添加して、同様に容器詰緑茶飲料を製造した。また、本発明品1の茶抽出物のかわりに比較品1の茶抽出物を用い、緑茶飲料調合液1000gに対して2.0g添加して、同様に容器詰緑茶飲料を製造した。また、対照用容器詰緑茶飲料として、緑茶飲料調合液自体をそのまま耐熱性ガラス容器に300gずつ80℃でホットパック充填して密封し、レトルト殺菌処理したものを製造した。
以上で得られた容器詰緑茶飲料を室温に冷却後、25℃の恒温機中に保存し、経時的なフロックの発生を目視観察してフロック発生の日数を記録した。30日以上発生が見られなかったサンプルは「発生なし」とした。また茶抽出物未添加の対照品と比較して、フロックの発生日が2倍以上遅くなっていた場合に、フロック抑制効果がある、とした。また、これらの容器詰緑茶飲料を2週間保存した後、滋味について官能試験を行った。試験は10人のパネラーによる3点満点の評価(3点:良い、2点:やや良い、1点:やや悪い、0点:悪い)で行い、全パネラーから得られた平均点で表した。また同様に2週間保存後のサンプルを、分光式色差計(型番:SE−2000 日本電色工業(株))を用いて透過光でL値、a値、b値を測定し、それぞれ初発品に対する色差ΔEを計算して色調の変動を調べた。一般的に色差ΔEが3.2以下で同じ色だと見なされている。ΔEの計算は次式から求めた。
L0:初発品L値 a0:初発品a値 b0:初発品b値
L1:保存品L値 a1:保存品a値 b1:保存品b値
ΔE=√〔(L0−L1)+(a0−a1)+(b0−b1)
実施例2:
次に、実施例1における本発明品2の茶抽出物と比較品2または/及び比較品4の茶抽出物、若しくは比較品2の茶抽出物と比較品5の茶抽出物をブレンドすることで調製したアルミニウムとテオガリンの含有量が異なる種々の茶抽出物(本発明品3〜6)について、容器詰緑茶飲料に対するフロック発生の抑制乃至防止効果と、容器詰緑茶飲料の外観の色調安定性、及び滋味に与える影響を試験した。
本発明品3:
本発明品2の茶抽出物6.0gと比較品2の茶抽出物4.0gをブレンドし、本発明品となる茶抽出物10g(アルミニウム含有量(A)=0.47重量%、テオガリン含有量(B)=0.83重量%、〔64(A−0.65)+(B−0.10)〕=2.6、タンニン含有量=17.6重量%)を得た。
本発明品4:
本発明品2の茶抽出物2.5gと比較品4の茶抽出物7.5gをブレンドし、本発明品となる茶抽出物10g(アルミニウム含有量(A)=0.30重量%、テオガリン含有量(B)=2.08重量%、〔64(A−0.65)+(B−0.10)〕=11.8、タンニン含有量=28.9重量%)を得た。
本発明品5:
本発明品2の茶抽出物4.0gと比較品2の茶抽出物3.0gと比較品4の茶抽出物3.0gをブレンドし、本発明品となる茶抽出物10g(アルミニウム含有量(A)=0.37重量%、テオガリン含有量(B)=1.45重量%、〔64(A−0.65)+(B−0.10)〕=7.0、タンニン含有量=24.5重量%)を得た。
本発明品6:
比較品2の茶抽出物6.0gと比較品5の茶抽出物4.0gをブレンドし、本発明品となる茶抽出物10g(アルミニウム含有量(A)=1.00重量%、テオガリン含有量(B)=1.73重量%、〔64(A−0.65)+(B−0.10)〕=10.3、タンニン含有量=36.2重量%)を得た。
(試験方法)
実施例1の試験方法と同様にして、緑茶抽出液を得、これをタンニン濃度が55mg%となるように希釈し、L−アスコルビン酸と炭酸水素ナトリウムを緑茶希釈液1000gあたり0.3gずつ加え、緑茶飲料調合液を得た。この緑茶飲料調合液1000gに本発明品3〜6の茶抽出物を緑茶希釈液1000gに対して50mg又は100mg別々に添加し、耐熱性ガラス容器に300gずつ80℃でホットパック充填して密封し、レトルト殺菌処理(121℃、10分間)を行って容器詰緑茶飲料を製造した。
また、対照用容器詰緑茶飲料として、緑茶飲料調合液自体をそのまま耐熱性ガラス容器に300gずつ80℃でホットパック充填して密封し、レトルト殺菌処理したものを製造した。こうして製造した容器詰緑茶飲料に対し、実施例1と同様の評価を行った。
(試験結果)
それぞれの容器詰緑茶飲料についてのフロック発生日数と官能評価、及び色差の測定結果を表1に示す。また、それぞれの容器詰緑茶飲料の緑茶飲料調合液に茶抽出物を添加した段階(密封容器への充填工程と殺菌工程を行う前のもの)でのタンニン、アルミニウム、テオガリンの含有量を表1に示す(測定方法は上記の通り)。表1から明らかなように、アルミニウムとテオガリンの含有量の値を望ましい関係にコントロールした本発明品の茶抽出物を添加した容器詰緑茶飲料は、フロック発生が効果的に抑制乃至防止されているとともに、外観の色調を安定に保ち、茶本来の優れた滋味を有する事が確認された。
Figure 2006333769
実施例3:
実施例1で用いた本発明品1の茶抽出物を添加して容器詰茶飲料を作製した。
茶飲料用にブレンドした緑茶葉100gを、557ppmとなるようにL−アスコルビン酸ナトリウムを添加した60℃のイオン交換水3000gで5分間抽出し、100メッシュのステンレスフィルターで茶葉を分離した後、濾紙(No.26、アドバンテック(株)製)を用いて濾過し、2700gの緑茶抽出液を得た。この緑茶抽出液をタンニン濃度が55mg%(55mg/100mL)となるようにイオン交換水で希釈し(タンニン含有量の測定は上記の酒石酸鉄試薬法に従って行った)、L−アスコルビン酸と炭酸水素ナトリウムを緑茶希釈液1000gあたり0.3gずつ加え、緑茶飲料調合液を得た。この緑茶飲料調合液に、本発明品1の茶抽出物を緑茶飲料調合液1000gに対して350mg添加し、耐熱性ガラス容器に300gずつ80℃でホットパック充填して密封し、レトルト殺菌処理(121℃、10分間)を行って本発明品7の容器詰緑茶飲料を製造した。
また、対照用容器詰緑茶飲料として、緑茶飲料調合液自体をそのまま耐熱性ガラス容器に300gずつ80℃でホットパック充填して密封し、レトルト殺菌処理したものを製造した。
また、茶飲料用にブレンドしたジャスミン茶葉100gを70℃のイオン交換水3000gで5分間抽出し、100メッシュのステンレスフィルターで茶葉を分離した後、濾紙(No.28、アドバンテック(株)製)を用いて濾過し、2600gのジャスミン茶抽出液を得た。このジャスミン茶抽出液をタンニン濃度が50mg%(50mg/100mL)となるようにイオン交換水で希釈し(タンニン含有量の測定は上記の酒石酸鉄試薬法に従って行った)、L−アスコルビン酸を1000gあたり0.3g加え、炭酸水素ナトリウムを加えてpHを6.1に調整し、ジャスミン茶飲料調合液を得た。このジャスミン茶飲料調合液に、本発明品1の茶抽出物をジャスミン茶飲料調合液1000gに対して350mg添加し、耐熱性ガラス容器に300gずつ80℃でホットパック充填して密封し、レトルト殺菌処理(121℃、10分間)を行って本発明品8の容器詰ジャスミン茶飲料を製造した。
また、対照用容器詰ジャスミン茶飲料として、ジャスミン茶飲料調合液自体をそのまま耐熱性ガラス容器に300gずつ80℃でホットパック充填して密封し、レトルト殺菌処理したものを製造した。
こうして製造した容器詰緑茶飲料に対し、実施例1と同様の評価を行った。
(結果)
それぞれの容器詰茶飲料についてのフロック発生日数と官能評価、及び色差の測定結果を表2に示す。また、それぞれの容器詰茶飲料の茶飲料調合液に茶抽出物を添加した段階(密封容器への充填工程と殺菌工程を行う前のもの)でのタンニン、アルミニウム、テオガリンの含有量を表1に示す(測定方法は上記の通り)。表2から明らかなように、アルミニウムとテオガリンの含有量の値を望ましい関係にコントロールした茶抽出物を添加した本発明品の容器詰茶飲料は、フロック発生が効果的に抑制乃至防止されているとともに、外観の色調を安定に保ち、茶本来の優れた滋味を有する事が確認された。
Figure 2006333769
本発明は、茶飲料に添加した際にフロック発生の抑制乃至防止効果を有し、また、外観の色調安定性と茶本来の優れた滋味を供することができる茶抽出物及びそれを添加してなる茶飲料を提供することができる点において産業上の利用可能性を有する。

Claims (8)

  1. 次の成分(A)、(B):
    (A)アルミニウム0.15〜1.20重量%、
    (B)テオガリン
    を含有し、成分(A)の含有量(重量%)と成分(B)の含有量(重量%)からなる次式
    64(A−0.65)+(B−0.10)=Cとした時に
    Cが19.2以下となる茶抽出物。
  2. テオガリンの含有量が3.0重量%以下である請求項1記載の茶抽出物。
  3. タンニンの含有量が50重量%以下である請求項1または2記載の茶抽出物。
  4. 緑茶を原料としたものである請求項1乃至3のいずれかに記載の茶抽出物。
  5. 請求項1乃至4のいずれかに記載の茶抽出物を添加することによる茶飲料の製造方法。
  6. 請求項5記載の製造方法で製造されてなる茶飲料。
  7. 請求項1乃至4のいずれかに記載の茶抽出物を添加することによる茶飲料のフロック発生の抑制乃至防止方法。
  8. 請求項1乃至4のいずれかに記載の茶抽出物を添加することによる茶飲料の外観の色調安定性向上方法、及び滋味の損失防止方法。




















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