JP2006300762A - 燃料コンパクト及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 高温ガス炉用燃料コンパクトの燃焼の高度化に伴って要求される核***生成物の閉じ込め機能を向上すること。
【解決手段】 燃料コンパクトの脱脂工程後で焼成工程前のコンパクト成型体10の外表面に炭化珪素を含む粘結剤12を塗布し、次いでこのコンパクト成型体10を炭化珪素又は黒鉛から成る円筒管14に挿入し、その後このコンパクト成型体10と円筒管14とを焼成しコンパクト成型体10と円筒管14とを一体化した燃料コンパクトを製造する。
【選択図】 図1
【解決手段】 燃料コンパクトの脱脂工程後で焼成工程前のコンパクト成型体10の外表面に炭化珪素を含む粘結剤12を塗布し、次いでこのコンパクト成型体10を炭化珪素又は黒鉛から成る円筒管14に挿入し、その後このコンパクト成型体10と円筒管14とを焼成しコンパクト成型体10と円筒管14とを一体化した燃料コンパクトを製造する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、高温ガス炉用燃料コンパクト及びその製造方法に関し、特に高温ガス炉の核***生成物の閉じ込め機能を改良した燃料コンパクト及びその製造方法に関するものである。
高温ガス炉は、燃料を含む炉心構造を熱容量が大きく高温で健全性を維持する黒鉛で構成し、炉心を冷却するために、高温下でも化学反応が起こることがないヘリウムガスを冷却ガスとして用いているので、固有の安全性が高く、約900℃の高い出口温度のヘリウムガスを回収して、この高温熱を発電、水素製造、化学プラント等の広い分野で利用することができる。
この高温ガス炉の燃料は、二酸化ウランをセラミック状に焼結した直径が約350〜650ミクロンの燃料核の周囲に4層の被覆を施して形成されている。第一層は、密度が約1g/cm3の低密度熱分解炭素の被覆であり、これは、ガス状の核***生成物(FP)のガス溜めとしての機能と燃料核のスウェリングを吸収するバッファとしての機能とを併せ持っている。第二層は、密度が約1.8g/cm3の高密度熱分解炭素の被覆であり、これは、ガス状FPの保持機能を有する。第三層は、密度が約3.2g/cm3の炭化珪素(SiC)の被覆であり、これは、固体FPの保持機能を有すると共に、被覆の主要な補強部材としての機能を有する。最後に、第四層は、第二層と同様に、密度が約1.8g/cm3の高密度熱分解炭素の被覆であり、これは、ガス状FPの保持機能と第三層の保護層としての機能を有する。
一般的な被覆燃料粒子は、約500〜1000ミクロンの直径を有する。この被覆燃料粒子は、黒鉛マトリックス中に分散させた後、一定形状の燃料コンパクトの形態に成型加工され、この燃料コンパクトの一定数量を黒鉛筒に入れ、上下を栓で閉じて燃料棒とされる。この燃料棒は、六角柱型黒鉛ブロックの複数の挿入口に差し込まれて高温ガス炉の燃料となる。多数個の六角柱型黒鉛ブロックをハニカム配列に多段に重ねて炉心を構成している。
高温ガス炉の燃料は、一般的には、次のようにして製造される。まず、酸化ウラン粉末を硝酸に溶かして硝酸ウラニル原液とし、この硝酸ウラニル原液に純水、増粘剤を添加し攪拌して滴下原液を作る。増粘剤は、滴下された硝酸ウラニル原液の滴液が落下中にそれ自体の表面張力で真球状になるように作用する。このような増粘剤としては、アルカリ条件下で凝固する性質を有する樹脂、例えば、ポリビニールアルコール樹脂、ポリエチレングリコール、メトローズ等を使用することができる。このように調製された滴下原液は、所定の温度に冷却されて粘度が調整された後、細径の滴下ノズルを振動させる等の方法を用いてアンモニア水中に滴下される。
滴液は、アンモニア水溶液表面に着水するまでの空間でアンモニアガスを吹き付けて表面をゲル化させることによって着水時の変形が防止される。硝酸ウラニルは、アンモニア水中でアンモニアと充分に反応させ、重ウラン酸アンモニウムの粒子となる。この粒子は、大気中で焙焼され三酸化ウラン粒子となり、更に還元焼結されて高密度のセラミック二酸化ウランの燃料核となる。
この燃料核は、流動床に装荷され、この流動床内に供給される反応ガス(被覆ガス)が熱分解されて燃料核の上に被覆が施される。第一層の低密度熱分解炭素は、約1400℃でアセチレン(C2H2)を熱分解して被覆される。第二層及び第四層の高密度熱分解炭素は、約1400℃でプロピレン(C3H6)を熱分解して被覆される。第三層のSiCは、約1600℃でメチルトリクロロシラン(CH3SiCl3)を熱分解して被覆される。このように4層の被覆が施されて被覆燃料粒子が得られる。
高温ガス炉用燃料コンパクトは、黒鉛粉末と粘結剤とから成る黒鉛マトリックスに被覆燃料粒子を分散させプレス又はモールドによって円筒形又は円柱形に成型してグリーンコンパクト(コンパクト成型体)を形成し、その後このグリーンコンパクトを粘結剤除去の目的で脱脂し、焼成して得られる。
この燃料コンパクトは、各被覆燃料粒子の燃料核の上に施される被覆層によって核***生成物を閉じ込めることができるが、燃料コンパクトの最近の燃焼の高度化に伴って核***生成物の閉じ込め機能の一層の向上が望まれている。
本発明が解決しようとする1つの課題は、燃料コンパクトの燃焼の高度化に伴って要求される核***生成物の閉じ込め機能を一層向上することができる燃料コンパクトを提供することにある。
本発明が解決しようとする他の課題は、燃料コンパクトの燃焼の高度化に伴って要求される核***生成物の閉じ込め機能を一層向上することができる燃料コンパクトの製造方法を提供することにある。
本発明の第1の課題解決手段は、被覆燃料粒子を黒鉛マトリックスに分散し成型して得られるコンパクト成型体とこのコンパクト成型体が挿入される黒鉛又は炭化珪素の円筒管とコンパクト成型体と円筒管との間に設けられた炭化珪素とから成り、コンパクト成型体と円筒管とは焼成して一体化されていることを特徴とする燃料コンパクトを提供することにある。
本発明の第2の課題解決手段は、被覆燃料粒子を黒鉛マトリックスに分散し成型し、脱脂し、焼成して高温ガス炉の核***生成物の閉じ込め機能を有する燃料コンパクトを製造する方法において、燃料コンパクトの脱脂工程後で焼成工程前のコンパクト成型体の外表面に炭化珪素を含む粘結剤を塗布し、次いでこのコンパクト成型体を炭化珪素又は黒鉛から成る円筒管に挿入し、その後このコンパクト成型体と円筒管とを焼成しコンパクト成型体と円筒管とを一体化することを特徴とする燃料コンパクトの製造方法を提供することにある。
本発明の第2の課題解決手段において、円筒管の内径は、50mm以下であり、且つ脱脂後のコンパクト成型体の外径の1.000倍以上の内径を有するのが好ましく、また円筒管は、1つのコンパクト成型体の長さ以上の長さを有し、また1つの長い円筒管に複数のコンパクト成型体を挿入してスタック化することができる。
このように、被覆燃料粒子を黒鉛マトリックスに分散し成型して得られるコンパクト成型体とこのコンパクト成型体が挿入される黒鉛又は炭化珪素の円筒管とコンパクト成型体と円筒管との間に設けられた炭化珪素とから成り、コンパクト成型体と円筒管とは焼成して一体化されていると、コンパクト成型体の周りの炭化珪素によって核***生成物の閉じ込め機能が一層向上するので、燃料コンパクトの燃焼の高度化に確実に対応することができる。
また、コンパクト成型体の周りの炭化珪素が脱脂工程後で焼成工程前のコンパクト成型体の外表面に粘結剤の形態で塗布すると、コンパクト成型体と円筒管との間に炭化珪素を容易に配置することができ、またコンパクト成型体が脱脂前ではなく、脱脂後であると、コンパクト成型体と円筒管との間に好ましくないバインダーが残存することがなく、良質の燃料を得ることができる。
また、コンパクト成型体は、黒鉛又は炭化珪素の円筒管で覆われてこの円筒管に一体化されるので、燃料コンパクトをマルチホール型の黒鉛ブロックに挿入して燃料体を形成する際に、燃料コンパクトの外周部分が磨耗してその中の被覆燃料粒子の被覆層を破損するという事態を発生することがなく、核***生成物の高い閉じ込め機能を維持することができる。
更に、円筒管を燃料コンパクトのスタック編成長さに相応する長さとしこの円筒管に複数のコンパクト成型体を挿入して一体化すると、ピン・イン・ブロック型で使用する黒鉛スリーブが不要となり、製造上経済的である。
コンパクト成型体の外周面に炭化珪素を有すると、この炭化珪素の高い耐酸化性能によって内部の被覆燃料粒子に低い耐酸化性能の被覆を有する場合の不都合を排除することができる。例えば、コンパクト成型体の内部の被覆燃料粒子の第三層の被覆が耐酸化性能を有しない炭化ジルコニウム(ZrC)から成っている場合でもこの被覆が酸化して核***生成物の閉じ込め機能が低下するのを防止することができ、このような炭化ジルコニウム(ZrC)の被覆を有する被覆燃料粒子を含む燃料コンパクトに使用するのに有益である。
本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に述べると、図1は、本発明に係わる燃料コンパクトの製造方法を工程順に示す。図1のコンパクト成型体(グリーンコンパクト)10は、図示していないが、黒鉛粉末と粘結剤とから成る黒鉛マトリックスに被覆燃料粒子を分散させプレス又はモールドによって円筒形又は円柱形に成型して得られる。
本発明の方法は、コンパクト成型体10の脱脂工程後で焼成工程前に、このコンパクト成型体10の外表面に炭化珪素を含む粘結剤12を塗布する(図1のステップS1参照)。この粘結剤12は、例えば0.04mmの厚さになるようにスプレーの如き適宜の手段で塗布される。
このように粘結剤12が塗布されたコンパクト成型体10は、図1のステップS2で示すように、別途に用意された炭化珪素又は黒鉛から成る円筒管14に挿入する。円筒管14の内径は、50mm以下であり、且つ脱脂後のコンパクト成型体10の外径D10の1.000倍以上の内径を有するのが好ましい。このようにすると、コンパクト成型体10と円筒管14との間に炭化珪素を含む粘結剤12が介在することになる。なお、円筒管14の高さは、1つのコンパクト成型体10の長さに等しいかそれより大きいのが好ましい。
その後、図1のステップS3で示すように、このコンパクト成型体10と円筒管14とを嵌合状態のまま真空雰囲気下で1400℃〜1900℃の温度で焼成してコンパクト成型体10と円筒管14とが一体化した燃料コンパクトを製造する。
このように、脱脂後のコンパクト成型体10の外表面に炭化珪素を含む粘結剤12を塗布し、このコンパクト成型体10を炭化珪素又は黒鉛から成る円筒管14に挿入し、コンパクト成型体10と円筒管14とを焼成してこのコンパクト成型体10と円筒管14とを一体化すると、コンパクト成型体10の周りの炭化珪素の粘結剤12によって高温ガス炉の運転によって発生する核***生成物の閉じ込め機能が向上し、従って燃料コンパクトの燃焼が高度化してもそれに確実に対応することができることが解る。
コンパクト成型体10は、脱脂前ではなく、脱脂後に、その外表面に粘結剤12を塗布し、円筒管14に挿入することが必要であるが、これは、もし、脱脂前であると、コンパクト成型体10に含まれるバインダーが除去されないまま円筒管14内に挿入されることになるため、コンパクト成型体10と円筒管14との間にバインダーが残留して燃料自体に亀裂や割れが生ずる虞があるためである。
また、脱脂後のコンパクト成型体10は、焼成後、円筒管14内で約1.0000〜1.0001程度膨張し、これによって、コンパクト成型体10と円筒管14とは密着して一体化するので、コンパクト成型体10の粘結剤塗布と円筒管挿入との処理は、コンパクト成型体10の焼成後ではなく、焼成前に行う。
コンパクト成型体10が黒鉛又は炭化珪素の円筒管14で覆われていると、燃料コンパクトをマルチホール型の黒鉛ブロックに挿入して燃料体を形成する際に、燃料コンパクトの外周部分が磨耗してその中の被覆燃料粒子の被覆層を破損するという事態が生ずることがなく、従って核***生成物の高い閉じ込め機能を維持することができる。
上記実施の形態では、円筒管14に1つのコンパクト成型体10を挿入したが、円筒管を燃料コンパクトのスタック編成長さに相応する長さとし、この円筒管に複数のコンパクト成型体を挿入して一体化すると、ピン・イン・ブロック型で使用する黒鉛スリーブが不要となり、燃料コンパクトを黒鉛ブロックに直接挿入することができるので好ましい。
コンパクト成型体10の成型に用いられる被覆燃料粒子の第三層の被覆に炭化珪素(SiC)ではなく、炭化ジルコニウム(ZrC)を用いることがあるが、炭化ジルコニウムは、炭化珪素のように耐酸化性能を持っていないため、高温下で酸素が存在すると、炭化ジルコニウムが二酸化ジルコニウム(ZrO2)になる。二酸化ジルコニウムは、核***生成物の閉じ込め機能を有しないので、炭化ジルコニウムを第三層の被覆とする被覆燃料粒子から作られた燃料コンパクトは、原子炉内に何らかの原因で空気が侵入し、燃料コンパクト中の黒鉛成分が酸化するようなことがあると、炭化ジルコニウムの被覆層が露出する被覆燃料粒子が残ることがある。しかし、本発明のように、コンパクト成型体10が高い耐酸化性能を有する炭化珪素で覆われると、黒鉛成分や炭化ジルコニウムの酸化が抑制されるので、燃料コンパクトの核***生成物閉じ込め機能を維持することができる。
本発明の具体的実施例においては、図1に示す方法で円柱形燃料コンパクトを製造したが、この具体例では、コンパクト成型体は、外径が約26.6mm、高さが約39mmとなるように100℃の温度と2分の保持時間とで温間プレスして形成した。次いで、このコンパクト成型体を黒鉛製トレイ上に載せ、これを電気炉内の不活性雰囲気中に入れて約800℃で脱脂した。このようにして脱脂されたコンパクト成型体の外径は、25.95mmで高さは38.1mmであった。次いで、このコンパクト成型体の外表面に炭化珪素を含む粘結剤をスプレーによって0.04mm程度の厚みまで塗布した。その後、内径が26.02mmで高さが39mmの黒鉛製円筒管内にこのコンパクト成型体を挿入し、真空雰囲気の下で約1800℃で焼成した。焼成後、コンパクト成型体と円筒管が一体化した燃料コンパクトが得られた。
本発明によれば、コンパクト成型体の外表面に炭化珪素を含む粘結剤を塗布し、このコンパクト成型体を炭化珪素又は黒鉛から成る円筒管に挿入して焼成しコンパクト成型体と円筒管とを一体化して燃料コンパクトを製造するので、コンパクト成型体の周りの炭化珪素によって核***生成物の閉じ込め機能が一層向上するので、燃料コンパクトの燃焼の高度化に確実に対応することができ、産業上の利用性が向上する。
10 コンパクト成型体
12 炭化珪素
14 黒鉛円筒管
S1 コンパクト成型体の外表面に炭化珪素を塗付する工程
S2 コンパクト成形体を黒鉛円筒管に挿入する工程
S3 コンパクト成型体と円筒管とを焼成する工程
12 炭化珪素
14 黒鉛円筒管
S1 コンパクト成型体の外表面に炭化珪素を塗付する工程
S2 コンパクト成形体を黒鉛円筒管に挿入する工程
S3 コンパクト成型体と円筒管とを焼成する工程
Claims (5)
- 被覆燃料粒子を黒鉛マトリックスに分散し成型して得られるコンパクト成型体と前記コンパクト成型体が挿入される黒鉛又は炭化珪素の円筒管と前記コンパクト成型体と円筒管との間に設けられた炭化珪素とから成り、前記コンパクト成型体と前記円筒管とは焼成一体化されていることを特徴とする高温ガス炉用の燃料コンパクト。
- 被覆燃料粒子を黒鉛マトリックスに分散し成型し、脱脂し、焼成して高温ガス炉の核***生成物の閉じ込め機能を有する燃料コンパクトを製造する方法において、前記燃料コンパクトの脱脂工程後で焼成工程前のコンパクト成型体の外表面に炭化珪素を含む粘結剤を塗布し、次いで前記コンパクト成型体を炭化珪素又は黒鉛から成る円筒管に挿入し、その後前記コンパクト成型体と円筒管とを焼成し前記コンパクト成型体と円筒管とを一体化することを特徴とする高温ガス炉用の燃料コンパクトの製造方法。
- 請求項2に記載の燃料コンパクトの製造方法であって、前記円筒管の内径は、50mm以下であり、且つ前記脱脂後のコンパクト成型体の外径の1.000倍以上の内径を有することを特徴とする燃料コンパクトの製造方法。
- 請求項2又は3に記載の燃料コンパクトの製造方法であって、前記円筒管は、1つのコンパクト成型体の長さ以上の長さを有することを特徴とする燃料コンパクトの製造方法。
- 請求項2乃至4のいずれかに記載の燃料コンパクトの製造方法であって、前記円筒管に複数のコンパクト成型体が挿入されることを特徴とする燃料コンパクトの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005123649A JP2006300762A (ja) | 2005-04-21 | 2005-04-21 | 燃料コンパクト及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2005123649A JP2006300762A (ja) | 2005-04-21 | 2005-04-21 | 燃料コンパクト及びその製造方法 |
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JP2005123649A Withdrawn JP2006300762A (ja) | 2005-04-21 | 2005-04-21 | 燃料コンパクト及びその製造方法 |
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