JP2006298414A - 油脂成分包装用紙 - Google Patents

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Abstract

【課題】
固形の食用油脂成分の包装用紙に関するものであり、具体的にはバター包装に使用するアルミ貼合紙であり、いわゆる耐油剤を含有することなく、またラミネート加工等施すといった複雑な工程を経ることなく、安価なアルミ貼合紙に代表される油脂成分包装用紙を提供することにある。
【解決手段】
アイスピックという試験法に基づいて、鋭意検討した結果、冷凍保存後の開封時の紙剥がれは、原紙に耐油性がなくとも、ヤンキードライヤー型抄紙機で抄紙し、原紙のサイズ度、密度、平滑度などの紙質を調整することで実用可能な品質を得る。このアイスピックという試験法は冷凍処理・保存される食品等に使用される包装用紙にも適用可能で、各種包装用紙への用途拡大利用が期待される。
【選択図】
なし

Description

本発明は、固形の食用油脂成分を包装するための包装用紙に関するものであり、さらに具体的には油脂成分不透過シートと紙支持体の積層シートで、且つ紙支持体に食用油脂成分を配置して包装するものであり、且つ紙支持体に耐油剤を含有することなく、該用途に適した包装用紙およびその製造方法に関するものである。
固形の食用油脂成分を包装するための包装用紙は、油脂成分不透過シートと紙支持体の積層シートから構成されている。ここで、固形の油脂成分とは、バター、マーガリン、ショートニング等である。油脂成分不透過シートとは、金属箔、プラスチックフィルム等であり、アルミ箔が好んで使用される。従って、例えば、バターの包装にはアルミ箔と紙支持体(原紙ともいう)を貼合したアルミ貼合紙が使用されてきた。しかも従来から、バターの包装に使用するには、バターの原紙への浸透を押える必要があるとされ、原紙にいわゆる耐油剤を含有した紙が使用されてきた。耐油剤としては、主として有機フッ素化合物が使用されている(例えば、非特許文献1)。しかし、この有機フッ素化合物は高温化では一部変性を起こして、いわゆる環境ホルモン物質になるおそれがあるとの報告がなされ、人体への影響が懸念されるため、食品包装用途への使用が見直されている。
耐油剤含有紙の代替としては、プラスチックフィルムを紙表面にラミネートしたり、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニリデン、カルボキシメチルセルロース等を紙表面に多量に塗工したものが用いられ、さらにはラミネート材料や製造方法について多くの提案がなされている。
特許文献1には、紙基材の少なくとも片面に、アンダーコート層とトップコート層の2層からなる樹脂層を設け、トップコート層に耐水耐油剤を含有する耐水耐油紙が提案されている。
特許文献2には、厚さ15〜30μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルム層と、フィルム層の表面に接着剤により積層されている表面紙層と、前記フィルム層の裏面に接着剤により積層されている表面紙層とからなる防湿耐油紙が提案されている。
特許文献3には、表面粗さが30〜5μmおよびコッブ吸水度が50〜20g/m・2分である製紙用天然繊維を主体とする基紙の片面または両面に、アクリル系エマルジョン100質量部に対しワックス系エマルジョンを1〜20質量部の割合で配合した水性エマルジョンを固形分で3〜20g/m塗布した加熱乾燥したヒートシール適性があり易離解性である再生可能な耐水耐油紙が提案されている。
特許文献4には、紙基材上に離解可能な接着性ホットメルト組成物層を設け、さらにその上に離解可能な耐水耐油性ホットメルト組成物層を設けた易離解性耐水耐油紙が提案されている。
これらの表面加工品は、油成分をはじくのではなく、紙の細孔を封鎖して油成分の浸透を防止するものである。ラミネート加工や、塗工加工などは、抄紙とは別工程での加工が必要になること、また、細孔を埋めるために塗工剤を多量に塗工する必要があり、製造コストがかかり、安価な原紙を供給することが困難となる。
また、最近では、薬品の安全性を謳った耐油剤が上市されているものの、耐油性の効果が低かったり、完全には安全性が確認されていないものであったり、満足できるものではない。
「特殊機能紙」紙業タイムス社、1997年7月1日、p.398 特開平9−87994号公報 実開平6−32027号公報 特開平9−3795号公報 特開2003−301399号公報
本発明は、これらの従来技術の課題を克服し、人体への影響が懸念される原材料を使用せず、かつ低コストで油脂成分包装用紙およびその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、かかる背景に鑑み、人体への影響懸念がない原材料を使用し、かつ低コストで油脂成分包装用紙、とりわけバター包装紙の紙支持体としての原紙について検討を重ねた。
この検討を進めていく中で、アルミ箔と貼合して使用するバター包装紙は、原紙が耐油性を持たなくとも、原紙の品質を調整することで実用可能な品質を得ることができる可能性を見出した。
当該用途の場合、アルミ箔と貼合するため、バターの油成分が、アルミ箔を通過して外側まで染み出すことはない。原紙に油成分が染みると、アルミ箔と原紙との貼合部分の接着強度が低下して、アルミ箔と原紙が剥れてしまったり、あるいは、紙の強度が極度に低下して破れてしまうことがある。こういった貼合性、あるいは紙が破けるといった問題点は、原紙に耐油性がなくとも、原紙の平滑度、強度などの紙質を調整することで解消できることがわかった。
しかし、当該用途の場合、バターを包装した後に冷凍保存される場合が多く、この冷凍保存後に、開封した際に紙が剥れたり、破けるという問題点が生じることがわかった。鋭意検討の結果、この紙の剥れは、バターの油分ではなく、水分が関与していること、そして、包装の際に原紙に水分が浸透して、冷凍保存によりそのまま水分が凍り付き、開封する際に紙に張り付いて紙が剥れるという現象であることがわかった。
この紙が剥れる現象は、実際にバターを包装した際に発生する現象であるが、本発明者らが検討を進めていく中で、以下の原紙の試験方法による評価結果と極めて密接な関連があることを見出した。
(試験方法)
温度23℃、湿度50%に調湿された雰囲気下において、
1)6cm角の原紙のアルミ箔と接しない面に、氷(原紙との接触面は2.5×2.5cm)を置き、そのまま5分間放置する。
2)氷をのせたまま冷凍する(−5±2℃)。
3)2時間冷凍した後に、冷凍庫から取り出し、直ちに、原紙から氷を垂直に剥がす。
この際の原紙の表面状態により評価点をつける。評価点は5回の試験を行い平均値で算出する。
1…原紙が破ける、全体が剥れる、2…原紙の一部が剥れる、
3…原紙の前面が毛羽立つ、4…原紙の一部が毛羽立つ、5…毛羽立ちなし
原紙は、そのままの状態のほかに、紙の流れ方向、および巾方向に折目を入れたて開いたもの(谷折り)、合計2種類について試験を行う。折目を入れた紙の場合は、折目が中心に当たるように氷を置く。
この試験方法を、以下、アイスピック(平)、アイスピック(折)と称する。
本発明者らが鋭意検討した結果、アイスピック(平)、(折)の評価点が4.0以上であれば、冷凍保存後の開封時の紙剥れが発生しないことを見出した。さらに、このアイスピック(平)、(折)は、原紙に耐油性がなくとも、原紙のサイズ度、密度、平滑度などの紙質により調整することが可能であることを見出したのである。
パルプの種類、叩解度にもよるが、添加する薬品の量を調整すること、ならびに、ヤンキードライヤー型抄紙機で抄紙すること、さらには、適度なカレンダー処理を施すことにより好適な紙質となることを見出し、耐油剤を含有しない、バター包装紙を開発するに至った。本発明は、以下の各発明を包含する。
(1)固形の食用油脂成分を包装するための包装用紙において、該包装用紙は、油脂成分不透過シートと紙支持体の積層シートで、且つ紙支持体に食用油脂成分を配置して包装するものであり、
前記紙支持体は、ワックスピックが16〜26、透気度が45〜120秒、ステキヒトサイズ度が3〜20秒、油脂成分不透過シートと接する面の平滑度が250〜800秒であり、且つ紙支持体にフッ素樹脂を含有しないことを特徴とする包装用紙。
(2)紙支持体が、坪量が30〜55g/m、且つ密度が0.75〜1.05g/cmであることを特徴とする請求項1に記載の包装用紙。
(3)紙支持体が、パルプ絶乾質量に対して、ロジンサイズ剤の添加率が0.3〜1.2質量%であり、カチオン変性澱粉の添加率が0.3〜1.5質量%であることを特徴とする(1)または(2)項に記載の包装用紙。
(4)油脂成分不透過シートが、アルミ箔であることを特徴とする(1)〜(3)項のいずれか1項に記載の包装用紙。
(5)固形の油脂成分を包装するための包装用紙の製造方法において、フッ素樹脂を含有せず、且つ下記条件を具備する支持体と、油脂成分不透過シートを積層することを特徴とする包装用紙の製造方法。
「条件」
1)6cm角の紙支持体の油脂成分不透過シートを積層しない面に、温度温度23℃、湿度50%に調湿された雰囲気下において、氷(紙支持体との接触面は2.5×2.5cm)を置き、そのまま5分間放置する。
2)次いで、氷をのせたまま2時間冷凍する(−5±2℃)。
3)次いで、温度23℃、湿度50%に調湿された雰囲気下に取り出し、直ちに、紙支持体から氷を垂直に剥がす。
4)この際の紙支持体の表面状態の評価点が4.0以上である。
評価点は5回の試験を行い平均値で算出する。
1…紙支持体が破ける、全体が剥れる、2…紙支持体の一部が剥れる
3…紙支持体の前面が毛羽立つ、4…紙支持体の一部が毛羽立つ、5…毛羽立ちなし
紙支持体は、そのままの状態のほかに、紙の流れ方向、および巾方向に折目を入れたて開いたもの(谷折り)、合計2種類について試験を行う。折目を入れた紙の場合は、折目が中心に当たるように氷を置く。
(6)紙支持体の油脂成分不透過シートを積層しない面の撥油度が0〜1であることを特徴とする(5)項に記載の包装用紙の製造方法。
(7)紙支持体が、パルプ絶乾質量に対して、ロジンサイズ剤の添加率が0.3〜1.2質量%であり、カチオン変性澱粉の添加率が0.3〜1.5質量%であることを特徴とする(5)または(6)項に記載の包装用紙の製造方法。
(8)紙支持体が、ヤンキードライヤー型抄紙機で抄紙することを特徴とする(5)〜(7)のいずれか1項に記載の包装用紙の製造方法。
(9)紙支持体が、オンマシンでのカレンダー処理を行うことを特徴とする(5)〜(8)項のいずれか1項に記載の包装用紙の製造方法。
本発明により、各種の紙質の範囲を設定することにより、耐油剤を含まず、安価なバター包装紙の原紙を提供することができる。さらには、フッ素樹脂を含有しない油脂成分包装用紙およびその製造方法を提供することができる。
本発明の方法を適用するパルプ繊維は特に限定されず、通常用いられている公知の製紙用パルプに適用でき、サルファイトパルプ、クラフトパルプ、ソーダパルプ等のケミカルパルプ、セミケミカルパルプ、メカニカルパルプ等木材パルプ、或いは、こうぞ、みつまた、麻などの非木材パルプ、古紙を処理して製造される脱墨パルプのいずれでもよく、未晒パルプでも晒パルプでもよい。但し、良好な地合が必要となるため、繊維長の短い広葉樹材が適している。さらに、食品包装用途であることを考えれば、ECF漂白(Elemetal Chlorine Free漂白:分子状塩素を使用しないパルプ漂白法で二酸化塩素は使用される)、あるいはTCF漂白(Totally Chlorine Free漂白:塩素系薬剤を全く使用せず、酸素系薬品を使用する)であることが望ましい。
用いるパルプの種類により異なるが、晒し広葉樹クラフトパルプを用いる場合には、カナディアンスタンダードフリーネス値(JIS P 8121による)で300〜500ml、さらに好ましくは330〜410mlの範囲にパルプを叩解する。パルプの叩解機は、ビーター、ダブルディスクリファイナーなどが知られており、ダブルディスクリファイナーが叩解効率が優れており、好適に用いられるが、本発明に用いる叩解機は特に限定されない。
本発明の方法を適用する抄紙機は、ヤンキードライヤー式の抄紙機である。ヤンキードライヤー式の抄紙機は、大径のドライヤーに湿紙を貼付けて、湿紙を乾燥する方式の抄紙機であり、ドライヤー形式が多筒式のものと比較して、製造される紙の透気度が高く、平滑度が高いという特徴を有する。本発明の原紙は、バターの水分の浸透を抑えることが必要となるため、透気度が高いことが望ましい。また、アルミ箔と貼合する際には、原紙が平滑であることが望ましく、さらに、前記したバターの油成分が原紙に染みた際の、原紙とアルミ箔との接着強度も高くなるため望ましい。したがって、本発明の原紙はヤンキードライヤー式の抄紙機で抄造することが最適である。
原紙に高い透気度を付与する方法としては、パルプ繊維を高度に叩解する、乾燥した紙をマシンカレンダー、あるいはオフマシンのスーパーカレンダー処理して、紙を潰すなどの方法がある。しかし、パルプ繊維を高度に叩解するには、叩解設備上の制約があり、また、高度に叩解したパルプ繊維は、抄紙機での乾燥が悪く、抄紙速度を極端に落とさなければならず、生産効率が極端に悪化するなどの問題点がある。また、カレンダー処理等で紙を潰す方法もあるが、多筒式抄紙機で抄造した紙は、ヤンキードライヤー式抄紙機で抄造した紙と比べて、一般的に透気度が低く、該用途に必要な透気度を出すためには、相当の圧力が必要となる。そして、カレンダーでの圧力をかけすぎると紙が薄くなり紙腰がなくなるため、加工時に断紙を起こすなど、加工適性が悪くなる。紙を潰し、尚且つ相応の紙厚みを保つには、原紙の米坪を上げる必要があり、経済性の観点から好ましくない。原紙の平滑度を上げる方法も、カレンダー処理が用いられるが、多筒式抄紙機で抄造した紙は、ヤンキードライヤー式抄紙機で抄紙した紙に比べて平滑度が低く、当該用途に適した平滑を得るためには、透気度の場合と同様な問題点が生じる。
ヤンキードライヤー型抄紙機で抄造した紙は、高い平滑度、高い透気度が得られるが、当該用途に用いる場合には、さらに平滑度、透気度を高める必要があることがわかった。
ヤンキードライヤー型抄紙機は、紙の片面だけがドライヤーに接する。このため、ヤンキードライヤー型抄紙機で抄紙した紙は、ドライヤーに接した面(以下、表面と称する)は、前記の通り平滑度が高いが、ドライヤーに接しない面(以下、裏面と称する)は平滑度が低い。
当該用途では、表面がアルミ箔と貼合され、裏面がバターに接するが、冷凍保存後の開封時の紙剥れは、裏面の平滑度に大きく左右されることがわかったのである。
本発明者らが検討した結果、オンマシンで適度なカレンダー処理を施すことにより、好適な紙質が達成できることを見出した。前記の通り、カレンダーで過度に紙を潰すと、紙厚が小さくなり紙腰が低下してしまうが、紙腰を保ち、且つ、必要とする平滑度、透気度が得られるカレンダー処理の条件を見出した。
使用するパルプの条件や抄紙機のプレスの条件等でもちろん必要となるカレンダーの処理条件は変わってくるが、線圧が20〜60kN/m、温度が20〜60℃、さらに好ましくは線圧が30〜50kN/m、温度が30〜50℃の範囲であるが、もちろん使用する原料、抄紙機の特性、抄紙速度により条件がかわるため、この範囲に制限されるものではない。
本発明では、紙への水分の浸透を抑制するためにサイズ剤、および紙の強度を増強するために紙力増強剤を使用する。サイズ剤は、製紙薬品メーカーから各種のものが市販されているが、本発明ではロジンサイズ剤が好適に用いられる。ロジンサイズ剤の使用量は、原料パルプの絶乾質量に対して0.3〜1.2質量%、好ましくは、0.3〜0.9質量%である。サイズ剤の使用量が多いほど水分の浸透を抑制する効果が高く、当該用途での品質が向上するが、1.2%以上使用しても効果が頭打ちとなり、コストも高くなる。紙力増強剤も製紙薬品メーカーから各種のものが市販されているが、本発明ではカチオン変性澱粉が好適に用いられる。カチオン変性澱粉の使用量は、原料パルプの絶乾質量に対して0.3〜1.5質量%、好ましくは、0.3〜1.2質量%である。カチオン変性澱粉の使用量が多いほど、当該用途での品質は向上するが、1.5%以上使用しても効果は頭打ちとなる。
本発明では、上記のサイズ剤、紙力増強剤の他にも、品質、操業面のための薬品を適宜選択して使用することができる。使用に際しては、人体への安全性に十分留意することが必要であるが、安全性が確認されたものについては、種類、使用量は特に、制限を受けない。
このようにして得られた、バター包装紙用原紙の坪量は、30〜55g/mである。坪量が30g/m以下だと、紙腰が弱く、断紙など加工性に問題点が生じるため好ましくない。また、55g/mを超えたものは、品質上には特に問題ないが、コスト面で不利となる。
原紙の密度は0.75〜1.05g/cm、好ましくは、0.80〜0.90g/cmである。密度が0.75g/cm未満では、前記した紙剥れの原因となる水分の浸透を防ぐには不十分であり、1.05g/cm以上にすると、紙厚の低下のため紙腰が弱く、加工適性に劣るため好ましくない。
原紙のワックスピックは16〜26、好ましくは、16〜23である。ワックスピックが16未満では、強度が弱すぎて紙剥れを防ぐことが困難であり、26を越えても効果は変わらないため、26以上にする意味がない。
原紙の透気度は45〜120秒、好ましくは、55〜100秒である。透気度は原紙の通気性の尺度であるが、原紙の空孔量に相関する数値であり、液体の浸透性についての目安ともなる。透気度が45秒未満だと、バターの水分の浸透を十分に防ぐことができず、紙剥れを引起すため好ましくない。原紙の透気度が120秒を超えても効果は変わらないため、120秒を越える透気度にする意味がない。
原紙のステキヒトサイズ度は3〜20秒、好ましくは、3〜12秒である。ステキヒトサイズ度が高いほど水分の浸透を抑制するが、ステキヒトサイズ度が3秒未満では、水分の浸透抑制が不十分であるため好ましくない。ステキヒトサイズ度が20秒を超えても効果はかわらないため意味がない。
原紙の表面の平滑度は250〜800秒である。当該用途では、原紙の表面にアルミ箔を貼合して使用する。原紙の表面の平滑度は、アルミ箔との貼合度合いに影響し、平滑度が250秒未満では、アルミ箔との貼り合わせが悪く、接着強度が低くなるためバターの油成分が原紙に浸透した際に、アルミ箔と原紙が剥れてしまう危険が生じる。平滑度が800秒を超えても効果は変わらないため、800秒を超える平滑度にする意味がない。
原紙の裏面の平滑度は、8〜50秒である。当該用途では、原紙の裏面はバターと接する。バターを包装した際に、バターの水分が原紙に浸透すると、前記したように、冷凍保存中に原紙にバターが凍りつき、開封の際に紙が剥れたり、破れたりする現象が生じる。原紙の裏面の平滑度が8秒未満では、このような開封時の紙剥れが発生するため、好ましくない。原紙の裏面の平滑度が50秒を越えても、開封時の紙剥れに対する効果は変わらず、かえって平滑度を上げるために、過度のカレンダー処理をすると、紙厚が低下し、紙腰が弱くなり、加工性が悪くなる懸念が生じる。
前記した、原紙のアイスピック(平)、(折)は4.0以上である。4.0未満では、冷凍保存後に開封した際に紙が剥れてしまうことがあり、バター包装紙としては適さない。
原紙の撥油度は0〜1である。前記したように、本発明の原紙は耐油剤を含まないため耐油性を有しない。
本発明の原紙は、アルミ箔と貼合して使用される。使用されるアルミ箔、貼合の方式は特に制限はなく、既知のものを使用することができるが、バター包装紙としての強度、折り適性、デッドホールド性に応じてアルミ箔の厚さは適宜選択される。
以下に実施例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、勿論、本発明はこれらに限定されるものではない。尚、以下の実施例及び比較例において、%とあるのは、すべて質量%であり、パルプ繊維スラリーへの添加剤の添加量は、絶乾紙料質量に対する質量%で示した。
<実施例1>
広葉樹晒クラフトパルプに、パルプ絶乾質量に対して、ロジンサイズ剤(商品名SPN775、荒川化学工業社製)を0.7%、カチオン変性澱粉を0.8%配合した原料を、長網ヤンキー式抄紙機にて抄紙して、坪量40.0g/m2の原紙を得た。抄紙に当たっては、線圧30kN/m、温度50℃の条件でマシンカレンダー処理をおこなった。得られた原紙を23℃の温度、50%相対湿度の条件下で24時間調湿した後、以下の紙質の評価を行った。
(1)ワックスピック:TAPPI 459om−99に準拠して測定した。
(2)透気度:JIS P 8117に準拠して測定した。
(3)ステキヒトサイズ度:JIS P 8122に準拠して測定した。
(4)撥油度:JAPAN TAPPI No.41に準拠して測定した。
(5)平滑度:JIS P 8119に準拠して測定した。
(6)アイスピック(平)、(折):前記の方法により評価した。
(7)包装紙適性
さらに、下記の条件でバターの包装紙としての包装紙適性試験をおこなった。
アルミ箔貼合機で、原紙の表面にエチレン酢酸ビニル(EVA)エマルジョンを2g/m塗布し、厚さ7μmのアルミ箔を貼合して、アルミ箔貼合紙を得た。
(a)接着強度
6cm角のアルミ箔貼合紙の原紙側の面に、2.5×2.5×2.5cmの大きさにカットした市販のバターをのせて、30℃で1時間放置したのち、バターを除き、アルミ箔と原紙の接着強度を評価した。原紙にバターが染みた部分を切り取り、原紙とアルミ箔とを爪で剥がし、アルミ箔との接着性を以下の規準で評価した。
○…無理に剥がそうとすると、アルミ箔が破けてしまう。(接着性良好)
△…部分的に剥れる
×…アルミ箔と原紙が剥れる(接着性不良)
(b)開封時の紙剥れ
前記したアイスピック試験において、氷の代わりにバターを使用して同様の試験をおこなった。
6cm角のアルミ箔貼合紙の原紙側の面に、2.5×2.5×2.5cmの大きさにカットした市販のバターをのせて、30℃で1時間放置したのち、
1)バターをのせたまま冷凍する(−5±2℃)。
2)2時間冷凍した後に、冷凍庫から取り出し、直ちに原紙からバターを垂直に剥がす。
この際の原紙の表面状態により、評価点をつける。評価点は5回の試験を行い平均値で算出する。
1…原紙が破ける、全体が剥れる、2…原紙の一部が剥れる、
3…原紙の前面が毛羽立つ、4…原紙の一部が毛羽立つ、5…毛羽立ちなし
また、バターを包装する際には、紙はバターの大きさに沿って折られるが、その折目の部分で紙が剥れる現象が顕著に起こることを見出し、評価する原紙は、そのままの状態のほかに、紙の流れ方向、および巾方向に折目を入れたて開いたもの(谷折り)、合計2種類について試験を行うこととした。以下、原紙がそのままの状態での試験を、バターピック(平)、折目をいれた原紙での試験を、バターピック(折)と称する。
<実施例2>
ロジンサイズ剤の添加率を0.4%、カチオン変性澱粉の添加率を0.4%とした以外は、実施例1と同様にして抄紙して、坪量40.0g/mの原紙を得た。得られた原紙を、実施例1と同様にして紙質を評価した。
<比較例1>
ロジンサイズ剤の添加率を0.1%、カチオン変性澱粉の添加率を0.15%とした以外は、実施例1と同様にして原紙を抄紙した。得られた原紙を同様に紙質評価した。
<比較例2>
マシンカレンダー処理をおこなわない以外は、実施例1と同様にして抄紙して坪量40.0g/mの原紙を得た。得られた原紙を、同様に紙質を評価した。
<比較例3>
広葉樹晒クラフトパルプに、パルプ絶乾質量に対して、ロジンサイズ剤(商品名SPN775、荒川化学工業社製)を0.7%、カチオン変性澱粉を0.8%配合した原料を長網多筒式抄紙機にて抄紙して、坪量40.0g/m2の原紙を得た。抄紙に当たっては、線圧30kN/m、温度50℃の条件でマシンカレンダー処理をおこなった。得られた原紙を同様にして紙質を評価した。
Figure 2006298414
上記各実施例と比較例の評価結果を表1に示す。表1から明らかなように、実施例1、2の原紙は、加工適性、およびバター包装紙としての適性に優れている。一方、比較例1〜3の原紙は、接着性や開封時の紙剥れに問題が生じるため、バター包装紙として適さない。
本発明は、バターの包装に使用するアルミ貼合紙に代表される油脂成分包装用紙として使用可能であり、さらに、特にアイスピックという試験法の適用により、冷凍処理・保存される食品等の包装用紙としての利用が期待できるものである。

Claims (9)

  1. 固形の食用油脂成分を包装するための包装用紙において、該包装用紙は、油脂成分不透過性シートと紙支持体の積層シートで、且つ紙支持体側に食用油脂成分を配置して包装するものであり、
    前記紙支持体は、ワックスピックが16〜26、透気度が45〜120秒、ステキヒトサイズ度が3〜20秒、油脂成分不透過シートと接する面の平滑度が250〜800秒であり、且つ紙支持体にフッ素樹脂を含有しないことを特徴とする包装用紙。
  2. 紙支持体が、坪量が30〜55g/m、且つ密度が0.75〜1.05g/cmであることを特徴とする請求項1に記載の包装用紙。
  3. 紙支持体が、パルプ絶乾質量に対して、ロジンサイズ剤の添加率が0.3〜1.2質量%であり、カチオン変性澱粉の添加率が0.3〜1.5質量%であることを特徴とする請求項1又は2に記載の包装用紙。
  4. 油脂成分不透過性シートが、アルミ箔であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の包装用紙。
  5. 固形の食用油脂成分を包装するための包装用紙の製造方法において、フッ素樹脂を含有せず、且つ下記条件を具備する紙支持体と、油脂成分不透過性シートを積層することを特徴とする包装用紙の製造方法。
    「条件」
    1)紙支持体の油脂成分不透過性シートを積層しない面に、温度23℃、湿度50%に調湿された雰囲気下において、氷(紙支持体との接触面は2.5×2.5cm)を置き、そのまま5分間放置する。
    2)次いで、氷をのせたまま2時間冷凍(−5±2℃)する。
    3)次いで、温度23℃、湿度50%に調湿された雰囲気下に取り出し、直ちに、紙支持体から氷を垂直方向に剥がす。
    4)この際の紙支持体の表面状態の評価点が4.0以上である。
    評価点は5回の試験を行い平均値で算出する。
    1…紙支持体が破ける、全体が剥がれる、2…紙支持体の一部が剥がれる、
    3…紙支持体の全面が毛羽立つ、4…紙支持体の一部が毛羽立つ、5…毛羽立ちなし
    紙支持体は、そのままの状態のほかに、紙の流れ方向、および幅方向に折目を入れて開いたもの(谷折り)、合計2種類について試験を行う。折目を入れた紙の場合は、折目が中心に当たるように氷を置く。
  6. 紙支持体の油脂成分不透過性シートを積層しない面の撥油度が0〜1であることを特徴とする請求項5に記載の包装用紙の製造方法。
  7. 紙支持体が、パルプ絶乾質量に対して、ロジンサイズ剤の添加率が0.3〜1.2質量%であり、カチオン変性澱粉の添加率が0.3〜1.5質量%であることを特徴とする請求項5又は6に記載の包装用紙の製造方法。
  8. 紙支持体が、ヤンキードライヤー型抄紙機で抄紙することを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項に記載の包装用紙の製造方法。
  9. 紙支持体が、オンマシンでのカレンダー処理を行うことを特徴とする請求項5〜8のいずれか1項に記載の包装用紙の製造方法。

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