本発明の実施の一形態について図1〜図14に基づいて説明すれば以下の通りである。
本液晶表示装置1(表示装置)は、図13に示されるように、パネル11と、信号処理部5(表示装置の駆動装置)と、ドライバ制御回路7と、電源13とを備える。パネル11は、マトリクス状に配されたサブ画素SPIX(1,1)〜SPIX(n,m)を有する画素アレイ2と、データ信号線駆動回路3と、走査信号線駆動回路4とを備える。
信号処理部5は、映像信号源VSからの入力映像データに基づいて第1および第2サブフレームの表示データDAT1およびDAT2を生成し、これをドライバ制御回路7に出力する。この表示データDAT1・2は、処理後の各サブ画素への表示データから構成されており、あるフレームにおける各サブ画素への表示データは、各サブフレームにおける各サブ画素への表示データの組み合わせとして与えられている。また、本実施形態では、表示データDAT1・2を構成する各映像データも時分割で伝送している。
より詳細に説明すると、信号処理部5は、表示データDAT1・2を伝送する際、あるフレーム用の表示データDAT1・2を全て伝送した後に、次のフレーム用の表示データDAT1・2を伝送するなどして、各フレーム用の表示データを時分割伝送している。また、当該各フレームは、2つのサブフレーム(第1および第2サブフレーム)から構成されており、信号処理部5は、例えば、第1サブフレーム用の表示データDAT1を全て伝送した後で、次に伝送する第2サブフレーム用の表示データDATを伝送するなどして、各サブフレーム用の映像データを時分割で伝送している。
ここで、上記映像信号源VSは、入力映像データを生成できれば、どのような装置であってもよい。図18(a)に示すように、液晶表示装置1を含むテレビジョン受像機100aは、映像信号源VSと液晶表示装置1とを備え、当該映像信号源VSには、例えば、テレビ放送信号が入力される。さらに、当該映像信号源VSは、当該テレビ放送信号からのチャネルを選択し、選択されたチャネルのテレビ映像信号を、入力映像データとしてコントローラ2へ出力するチューナ部TSを備える。
また、図18(b)に示すように、液晶表示装置1を含む液晶モニタ装置100bは、例えば、パーソナルコンピュータなどからの映像のモニタ信号をパネル11への映像信号として出力するモニタ信号処理部161を備える。なお、当該モニタ信号処理部161は信号処理部5を含むものであってもよいし、その前段または後段に設けられる回路であってもよい。
また、映像信号源VSから信号処理部5へ与えられる入力映像データは、アナログ信号であってもよいし、デジタル信号であってもよい。また、フレーム単位(画面全体単位)で伝送されていてもよいし、1フレームを複数のフィールドに分割すると共に、当該フィールド単位で伝送(インタレース伝送)されていてもよいが、以下では、デジタルの入力映像データがフレーム単位で伝送される場合を前提とする。すなわち、本実施の形態に係る映像信号源VSは、映像信号線を介して液晶映像表示装置1の信号処理部5に入力映像データを伝送する際、あるフレーム用の映像データを全て伝送した後に、次のフレーム用の映像データを伝送するなどして、各フレーム用の映像データを時分割伝送している。
パネル11は、例えば、R、G、Bの各色を表示可能なサブ画素から1つの画素を構成し、各サブ画素の輝度を制御することによって、カラー表示可能なパネルである。画素アレイ2には、図13に示すように、走査信号線GL1〜GLmおよびデータ信号線SL1〜SLnが設けられ、両者の交点近傍には、サブ画素SPIX(1,1)〜SPIX(n,m)がマトリクス状に配されている。ここで、データ信号線駆動回路3はデータ信号線SL1〜SLnを駆動する。また、走査信号線駆動回路4は走査信号線GL1〜GLmを駆動する。
なお、上記各部および各回路は、電源13からの電力供給によって動作する。また、本実施形態では、走査信号線GL1〜GLmに沿った方向に隣接する3つのサブ画素SPIXから、1つの画素PIXが構成されている。
まず、液晶表示装置1全体の概略構成および動作を説明する。説明の便宜上、例えば、i番目のデータ信号線SLiのように、位置を特定する必要がある場合にのみ、位置を示す数字または英字を付して参照し、位置を特定する必要がない場合や総称する場合には、位置を示す文字を省略して参照する。
上記画素アレイ2は、複数(この場合は、n本)のデータ信号線SL1〜SLnと、各データ信号線SL1〜SLnに、それぞれ交差する複数(この場合は、m本)の走査信号線GL1〜GLmとを備えており、1からnまでの任意の整数をi、および1からmまでの任意の整数をjとすると、データ信号線SLiおよび走査信号線GLjの組み合わせ毎に、サブ画素SPIX(i,j) が設けられている。
本実施形態の場合、図13・14に示されるように、各サブ画素SPIX(i,j)は、隣接する2本のデータ信号線SL(i−1)・SLiと、隣接する2本の走査信号線GL(j−1)・GLjとで囲まれた部分に配されている。サブ画素SPIX(i,j)は、スイッチング素子として、ゲートが走査信号線GLjへ、ドレインがデータ信号線SLiに接続された電界効果トランジスタSW(i,j)と、当該電界効果トランジスタSW(i,j)のソースに、一方電極が接続された画素容量Cp(i,j)とを備えている。また、画素容量Cp(i,j)の他端は、全サブ画素SPIX…に共通の共通電極線に接続されている。上記画素容量Cp(i,j)は、液晶容量CL(i,j)と、必要に応じて付加される補助容量Cs(i,j)とから構成されている。
上記サブ画素SPIX(i,j)において、走査信号線GLjが選択されると、電界効果トランジスタSW(i,j)が導通し、データ信号線SLiに印加された電圧が画素容量Cp(i,j)へ印加される。一方、当該走査信号線GLjの選択期間が終了して、電界効果トランジスタSW(i,j)が遮断されている間、画素容量Cp(i,j)は、遮断時の電圧を保持し続ける。ここで、液晶の透過率あるいは反射率は、液晶容量CL(i,j)に印加される電圧によって変化する。したがって、走査信号線GLjを選択し、当該サブ画素SPIX(i,j)への表示データDAT(i,j,k)に応じた電圧をデータ信号線SLiへ印加すれば、当該サブ画素SPIX(i,j)の表示状態を、表示データDAT(i,j,k)に合わせて変化させることができる。
本実施形態に係る上記液晶表示装置は、液晶セルとして、垂直配向モードの液晶セル、すなわち、電圧無印加時には、液晶分子が基板に対して略垂直に配向し、サブ画素SPIX(i,j)の液晶容量CL(i,j)への印加電圧に応じて、液晶分子が垂直配向状態から傾斜する液晶セルを採用しており、当該液晶セルをノーマリブラックモード(電圧無印加時には、黒表示となるモード)で使用している。
上記構成において、図13に示す走査信号線駆動回路4は、各走査信号線GL1〜GLmへ、例えば、電圧信号など、選択期間か否かを示す信号を出力している。また、走査信号線駆動回路4は、選択期間を示す信号を出力する走査信号線GLjを、例えば、ドライバ制御回路7から与えられるクロック信号GCKやスタートパルス信号GSPなどのタイミング信号に基づいて変更している。これにより、各走査信号線GL1〜GLmは、予め定められたタイミングで、順次選択される。
さらに、データ信号線駆動回路3は、走査信号線駆動回路4が選択中の走査信号線GLjに対応する各サブ画素SPIX(1,j)〜SPIX(n,j)へ、各データ信号線SL1〜SLnを介して、それぞれへの表示データに応じた信号を出力する。ここでは、データ信号線駆動回路3は、ドライバ制御回路7から出力された表示データをDA変換し、各データ信号線SL1〜SLnにアナログの信号電位を書き込んでいくことになる。
なお、データ信号線駆動回路3は、ドライバ制御回路7から入力される、クロック信号SCKおよびスタートパルス信号SSPなどのタイミング信号に基づいて、上記サンプリングタイミングや出力信号の出力タイミングを決定している。
一方、各サブ画素SPIX(1,j)〜SPIX(n,j)は、自らに対応する走査信号線GLjが選択されている間に、自らに対応するデータ信号線SL1〜SLnに与えられた信号に応じて、発光する際の輝度や透過率などを調整して、自らの明るさを決定する。
ここで、走査信号線駆動回路4は、走査信号線GL1〜GLmを順次選択している。したがって、画素アレイ2の全画素を構成するサブ画素SPIX(1,1)〜SPIX(n,m)を、それぞれへのデータが示す明るさ(階調)に設定でき、画素アレイ2へ表示される映像を更新できる。
〔実施の形態1〕
本発明の実施の形態1を図1〜図13に基づいて説明すれば以下のとおりである。
図1・13および図2に示されるように、本液晶映像表示装置1の信号処理部5は、制御部2および記憶部6を備え、該制御部2は、γ変換部17と、ノイズ付加部34および丸め処理部36並びにアドレスカウンタ35を含む多階調処理部21と、該多階調処理部21の後段に設けられたサブフレームデータ生成部22と、セレクタ部24とを備える。
記憶部6にはγ変換テーブル12、ノイズデータ13、第1サブフレームデータ用LUT18および第2サブフレームデータ用LUT19等が格納されている。また、記憶部6のフレームメモリ20にはフレーム単位でデータD2が格納され、順次サブフレームデータ生成部22に読み出される。
γ変換部17には図1に示すように、外部の映像信号源VSからの入力映像データ(例えば、8ビットのデジタルデータ)が入力される。
γ変換部17は、入力映像データのγ(例えば2.2)を適切なγ(例えば、1.0)に変換するものであり、8ビットの入力映像データと、記憶部6のγ変換テーブル12とに基づいて、10ビットのγ変換済のデータD1を生成する。このように、ビット幅を拡張(256階調⇒1024階調)してγ変換を行うことで、高精度(高自由度)のγ変換を行うことができる。もっとも、通常の(ビット幅拡張を行わない)8ビット→8ビットγ変換を行っても構わない。
多階調処理部21は、図1・図2に示されるように、ノイズ付加部34と、丸め処理部36と、アドレスカウンタ35とを備え、10ビットデータに対する高精度ノイズ処理を行うことで擬似輪郭の発生を大幅に抑制するとともに丸め処理によってビット縮小を行う。
まず、ノイズ付加部34は、アドレスカウンタ35を参照しつつ記憶部6から所定のノイズデータ13を読み出し、これを(γ変換済)データD1に加算する。
このノイズデータ13は、画素アレイ2の各サブ画素に与えられるランダムな数値を示すものであり、このランダムな数値は空間的平均値(空間ノイズの場合)あるいは時間的平均値(時間ノイズの場合)がほぼ0となっている。
なお、空間ノイズは、図8(a)に模式的に示されるように、任意フレームにおいて各分割表示領域(全表示領域含む)でその平均値が0となるように各サブ画素に与えられる空間的にランダムな数値である。また、時間ノイズは、図8(b)に模式的示されるように、任意サブ画素において、所定時間(フレーム)の平均値が0となるように該サブ画素に与えられる時間的にランダムな数値である。
ここで、図8(a)(b)に示すように、このランダムな数値の絶対値(ノイズ量)の最大値をノイズレベルとする。このノイズレベルはノイズデータの最大ビット幅に対応する。ここで、ノイズレベルが高すぎると、ノイズがパターンとして液晶表示装置のユーザに認識されるおそれがある。よってノイズレベルはノイズパターンがユーザに認識されない範囲に設定する。本実施の形態では、このノイズレベルを10ビットデータにおける下位6ビットとしている(後に詳述)。すなわち、ノイズ付加部34は、各サブ画素に対してランダムに、−64〜+64階調(10ビット1024階調表現)の調整(増減)を行うことで10ビットの(ノイズ付加後)データD1’を生成する。
空間ノイズの場合、16×16あるいは32×32など、予め定められたブロック(分割表示領域)分のノイズデータが記憶部6に記録されている。空間ノイズを各フレームで変化させることなく付加する場合、ノイズ付加部34は、各フレームに渡って、同一サブ画素SPIX(i,j)には同じ量(値)のノイズが付加されるようにアドレスカウンタ35をリセットする。すなわち、映像信号源VSから入力映像データと共に伝送される水平同期信号および垂直同期信号の少なくとも一方に同期してアドレスカウンタ35をリセットする。こうすれば、液晶表示装置1が画素アレイ2に静止画を表示する場合に、チラツキやノイズ感が低減される。また、空間ノイズを所定フレームごとに変化させる場合、ノイズ付加部34は、アドレスカウンタ35のリセットタイミングと各フレームの最初のデータとの位相差をフレーム毎に変更する。例えば、あるフレームにおいて最初のデータを読み出した時点でアドレスカウンタをリセットするとともにノイズメモリの最初のアドレスに記憶されたノイズデータを上記最初のデータに付加する。そして、続く次フレームでは、アドレスカウンタのリセットタイミングを1データ分早く設定するとともにノイズメモリの2番目のアドレスに記憶されたノイズデータを最初のデータに付加する。
ここで、画素アレイ2の空間分解能および輝度分解能が人間の視覚の限界に近いか、限界以上に高い範囲に設定されている場合、同一の空間ノイズを各サブフレームに付加しても、ノイズパターンが液晶表示装置1のユーザに視認されるおそれはない。しかしながら、画素アレイ2の空間分解能および輝度分解能が人間の視覚の限界を大幅に下回り、1つ1つのサブ画素SPIX(i,j)が視認可能な場合(例えば、20インチのVGAディスプレイや40インチのXGAディスプレイ)、このような固定ノイズを付加すると、ノイズパターンとしてユーザに認識されるおそれが高い。そこで、20インチのVGAディスプレイや40インチのXGAディスプレイに適用する場合を含む、ノイズパターンが視認されやすい場合には、空間ノイズを所定のフレームごとに変化させるかあるいは時間ノイズを与えることが好ましい。これにより、ユーザによるノイズパターンの視認を回避でき、表示品質を向上することができる。
さらに、ノイズパターンが視認されにくくするために、ノイズレベルを変化させることもできる。例えば、図3に示すように、多階調処理部21にノイズレベル調整部30を設ける。このノイズレベル調整部30は、記憶部6から読み出したノイズデータ13のノイズレベルをデータD1に基づいて調整し、これをノイズ付加部34に出力する。
例えば、ノイズデータ13が空間ノイズであれば、ノイズレベル調整部30は、データD1から、MPEG(Moving Picture Expert Group)ブロック等の分割表示領域に含まれるサブ画素SPIXへの平均入力階調を算出し、この平均入力階調が高い領域は高ノイズレベルとなるように、低い領域は低ノイズレベルとなるように、記憶部6から読み出した各サブ画素へのノイズ(量)を調整(例えば、定数倍)する。平均入力階調が高いブロック(分割表示領域)ではノイズが相対的に小さくなるためユーザにノイズパターンが認識されにくい。そこで、ノイズレベルを高く設定する。一方、平均入力階調が低いブロック(分割表示領域)ではノイズが相対的に大きくなるためユーザにノイズパターンが認識やすい。そこで、ノイズレベルを低く設定する。この結果、データD1(各サブ画素への入力階調)に応じた適切なノイズレベルを設定でき、ノイズレベルを固定した場合よりも表示品質を向上させることができる。
なお、平均入力階調を算出するブロックは任意の大きさの分割表示領域であればサイズは何でも構わない。ただし、MPEG映像のように、所定のブロック単位で符号化された映像を表示する場合には、分割表示領域のサイズを符号化のブロックサイズに一致させることが望ましい。上記では、分割表示領域に含まれる全てのサブ画素SPIXの入力階調を平均する場合を例にして説明したが、これに限るものではない。例えば、ブロック内のある走査信号線GLに対応するサブ画素SPIX(i,j)など、ブロック内の一定数のサブ画素SPIXへの入力階調を平均化する構成であれば、周囲と大幅に異なる階調のサブ画素を基準にしてしまうことでノイズレベルを不適切な値に設定してしまうという不具合を回避できる。
さらに、ノイズデータ13が時間ノイズであれば、ノイズレベル調整部30は、データD1に基づいて、入力階調が高いサブ画素SPIXへのノイズは高ノイズレベルとなるように、低いサブ画素SPIXへのノイズは低ノイズレベルとなるように、記憶部6から読み出した各サブ画素へのノイズ(量)を調整(例えば、定数倍)する。
ここで、ノイズレベルの具体的な数値について説明を追加する。
ノイズ付加部34で付加されるノイズは、液晶表示装置1のユーザによって観察している階調が周囲のサブ画素とどの程度異なっているか(変動率)、および目指す輝度とどの程度異なっているか(誤差)として認識される。一般に、液晶表示装置のように、100ppiを基準にして絵作りする分野では、上記誤差の許容限界は、白輝度の5%程度であり、上記変動率の許容限界は、表示階調の5%程度であることが知られている。
サブ画素SPIXへの階調をx階調だけ増加したときに、画素の透過率が、周囲の輝度(階調を増加する前の透過率)を基準に何%だけ増加するかを計算したところ、画素アレイのγ特性がγ=2.8であり、データD1が10ビットで表現される場合、xが32〜48階調以内であれば、殆どの階調で上記変動率が上記許容限界に収まることが確認できた。この結果、32〜48階調(10ビット1024階調表現)のノイズであれば、殆どの階調で上記許容限界を下回り、ユーザに見かけ上表示品質が劣化していないと感じさせることができる。
したがって、1つの画素を単独で視認できない距離で見ることが想定されている場合、2〜3画素(6〜9サブ画素)の間で、上記変動率および誤差が5%を下回るように設定すればよい。ここで、上記ノイズデータが略正規分布であるとすると、32〜48〔階調〕×61/2〜91/2=80〜144〔階調〕となる。したがって、7ビット程度、すなわち、データD1よりも3ビット程度少ないビット幅で時間的に固定のノイズを付加しても、ノイズパターンが映像表示装置のユーザに視認されるおそれはほぼないといえる。ただし、画素サイズが大きくなっても観察距離はそれに比例する程には増大しないため、画素サイズが大きくなる程ノイズデータの許容レベルが小さくなる。これに鑑みると、144階調(10ビットデータの下位7ビット)以内という数値範囲の中でも、上記ノイズレベルとして多くの液晶表示装置で好適な数値は80階調以内であり、さらに好ましくは、64階調(10ビットデータの下位6ビット)以内である。
丸め処理部36は、図3に示すように、ノイズ付加部34から出力されるデータD1’(10ビット)から8ビットの(下位ビット切捨て後)データD2を生成する。すなわち、10ビットデータD1’の下位2ビットを切り捨てることで8ビットのデータD2とする。さらに、丸め処理部36は、生成したこのデータD2をフレームメモリ20に書き込む。
このような多階調処理部21の各部の処理により、液晶パネル11全体でみれば、γ変換後の10ビットデータ(データD1)の情報量をほぼそのままに、それ以降の処理を8ビットデータで行うことができる。すなわち、本実施形態では、γ変換部17から出力されるデータD1のビット幅が10ビットであるが、フレームメモリ20に格納されるデータのビット幅は8ビットにまで削減されている。これにより、フレームメモリ20に必要なメモリ容量を削減できる。また、丸め処理部36以降の回路において、データのビット幅が10ビットから8ビットに削減されているので、それぞれを接続するための配線の数および占有面積も4/5に削減でき、それらの回路での演算量も削減できる。
なお、映像データは高速伝送する必要があるため、伝送速度の遅い回路によって映像データを伝送するためには、複数の回路を並列に設けて交互に動作させる必要がある。すなわち、データのビット数が増大すると、回路の占有面積が増大してしまう。この点、本実施の形態ではビット幅が4/5に削減されているので、並列に動作する回路を設ける場合であっても、多階調処理部21を設けず10ビットのままで処理する場合に比較して回路面積の増大を抑制することができる。
サブフレームデータ生成部22は、図1に示すように、フレームメモリ20に書き込まれたデータD2を倍速(倍クロック)で2回読み出し、データD2aおよびD2bを取得する。ここで、サブフレームデータ生成部22は、1回目に読み出したデータD2aと第1サブフレームデータ用LUT18とに基づいて、第1サブフレームデータD3aを生成し、続いて、2回目に読み出した第2データD2bと、第2サブフレームデータ用LUT19とに基づいて、第2サブフレームデータD3bを生成する。
この第1サブフレームデータ用LUT18および第2サブフレームデータ用LUT19は、それぞれ第1および第2サブフレームに対応して設けられており、図10(a)に示すように、データD2a(D2b)の階調(入力階調、8ビット)とデータD3a(D3b)の階調(出力階調、8ビット)を組み合わせた対応表である。
ここで、図10(a)に示されるように、第1サブフレームデータ用LUT18では、最小輝度0から第1中間輝度L1を経た第2中間輝度L2までの入力階調に対して出力階調がGmin(0階調あるいはその近傍)とされる一方、該第2中間輝度L2から第3中間輝度L3を経た最大輝度(255階調)までの入力階調に対して出力階調がGmin〜Gmaxまで増加させられている。
また、第2サブフレームデータ用LUT19では、最小輝度0から第1中間輝度L1を経た第2中間輝度L2までの入力階調に対して出力階調がGminからGmaxまで増加させられる一方、該第2中間輝度L2から第3中間輝度L3を経た最大輝度(255階調)までの入力階調に対して出力階調がGmax(最大近傍)とされている。
例えば、あるサブ画素に関するデータD2a・D2b(入力階調)がGxであれば、第1サブフレームの表示データD3aがGp、第2サブフレームの表示データD3bがGqとなり、GpとGqによる表示輝度の時間的総和(時間的積分値)がGxに対応する表示輝度となる。これにより、第1サブフレームが暗表示、第2サブフレームが明表示となる。
本実施の形態に係るサブフレームデータ生成部22の作用および効果についてより詳細に説明すれば以下のとおりである。
サブフレームデータ生成部22は、各フレーム毎にサブフレームの個数(この場合は、2回)ずつ、当該フレームメモリ20から、データD2a・D2bを読み出す。また、第1サブフレームデータ用LUT18(以下、LUT18)には、読み出したデータD2aが取り得る値のそれぞれに関連付けて、その値を取った場合に出力すべきデータD3aを示す値が記憶されている。同様に、第2サブフレームデータ用LUT19(以下、LUT19)には、上記取り得る値のそれぞれに関連付けて、その値を取った場合に出力すべきデータD3bを示す値が記憶されている。さらに、サブフレームデータ生成部22は、第LUT18を参照して、読み出したD2aに対応するデータD3aを出力すると共に、LUT19を参照して、上記読み出したD2bに対応するデータD3bを出力することができる。なお、LUT18・19に記憶されている値は、出力するデータD3a・D3bを特定できれば、例えば、上記取り得る値との差などであってもよいが、本実施形態では、データD3a・D3bの値自体が格納されており、サブフレームデータ生成部22は、各LUT18・19から読み出した値を、データD3a・D3bとして出力している。LUT18・19に格納されている値は、上記各取り得る値をg、当該値gに対応して、それぞれに格納されている値を、P1、P2とするとき、以下のように設定されている。なお、第1サブフレームのデータD3aの方が高い輝度を示すように設定してもよいが、以下では、第2サブフレームのデータD3bが、第1サブフレームのデータD3a以上の輝度を示すように設定されている場合について説明する。すなわち、gが予め定められた閾値以下の階調(閾値の示す輝度と同じかより低い輝度)を示している場合、値P1は、暗表示用に定められた範囲内の値に設定され、値P2は、当該値P1と上記値gとに応じた値に設定されている。なお、暗表示用の範囲は、暗表示用に予め定められた階調以下の階調であり、当該暗表示用に予め定められた階調が最低輝度を示している場合は、最低輝度を示す階調(黒)である。また、当該暗表示用に予め定められた階調は、後述する白浮きの量を所望の量以下に抑制可能な値に設定することが望ましい。これとは逆に、gが予め定められた閾値よりも明るい階調(閾値の示す輝度よりも高い輝度)を示している場合、値P2は、明表示用に定められた範囲内の値に設定され、値P1は、当該値P2と上記値gとに応じた値に設定されている。なお、明表示用の範囲は、明表示用に予め定められた階調以上の階調であり、当該明表示用に予め定められた階調が最高輝度を示している場合は、最高輝度を示す階調(白)である。また、当該明表示用に予め定められた階調は、後述する白浮きの量を所望の量以下に抑制可能な値に設定することが望ましい。この結果、あるフレームにおける、サブ画素SPIXへのデータD2(入力階調)が、上記閾値以下の階調を示している場合、すなわち、低輝度領域では、当該フレームにおけるサブ画素SPIXの輝度の高低は、主として、値P2の大小によって制御される。したがって、サブ画素SPIXの表示状態を、フレームのうち、少なくともサブフレームの期間には、暗表示状態にすることができる。これにより、あるフレームにおけるデータD2が低輝度領域の階調を示しているときに、当該フレームにおけるサブ画素SPIXの発光状態を、CRT(Cathode-Ray Tube)のようなインパルス型発光に近づけることができ、画素アレイ2に動画表示する際の画質を向上できる。また、あるフレームにおける、サブ画素SPIXへのデータD2(入力階調)が、上記閾値よりも高い階調を示している場合、すなわち、高輝度領域では、当該フレームにおけるサブ画素SPIXの輝度の高低は、主として、値P1の大小によって制御される。したがって、両サブフレームの輝度を略等分に割り振る構成と比較して、サブ画素の、第1サブフレームにおける輝度と、第2サブフレームにおける輝度との差を大きく設定できる。この結果、あるフレームにおけるデータD2が高輝度領域の階調を示しているときにも、殆どの場合で、当該フレームにおけるサブ画素SPIXの発光状態をインパルス型発光に近づけることができ、画素アレイ2に動画表示する際の画質を向上できる。さらに、上記構成では、データD2が高輝度領域の階調を示しているとき、第2サブフレームデータD3bは、明表示用に定められた範囲内の値になり、データD2の示す輝度が高くなるに従って、第1サブフレームデータD3aが大きくなる。したがって、白表示が指示された場合にも暗表示する期間を必ず設ける構成と比較して、当該フレームにおけるサブ画素SPIXの輝度を高くすることができる。この結果、サブ画素SPIXの発光状態を上記インパルス型に近づけることによって、動画表示時の画質を向上しているにも拘わらず、サブ画素SPIXの輝度の最高値を大幅に増大させることができ、より明るい液晶画像表示装置1を実現できる。ここで、広視野角といわれているVAパネルでも、視野角度による階調特性の変化を完全になくすことはできず、例えば左右方向の視野角度が大きくなると階調特性が悪化してしまう。例えば、視野角度が60度となると、正面からパネルを望む場合(視野角度0度)に対し、階調γ特性が変わり、中間調の輝度が明るくなる白浮き現象が起こってしまう。また、IPSモードの液晶表示パネルに関しても、光学フィルムなどの光学特性の設計にもよるが、程度の大小はあれ、視野角度の増加に応じて階調特性の変化が起こってしまう。これに対して、上記構成では、データD2が高輝度領域の階調と低輝度領域の階調とのいずれを示しているときであっても、サブフレームデータD3aおよびD3bの一方は、明表示用に定められた範囲内の値、あるいは、暗表示用に定められた範囲内の値に設定されており、当該フレームにおけるサブ画素SPIXの輝度の高低は、主として、他方の大小によって制御される。ここで、上記白浮きの量(想定している輝度とのズレ)は、中間階調の場合で最も大きくなり、充分に低い輝度の場合、および、充分に高い輝度の場合には、比較的少ない値に留められている。したがって、各サブフレームの双方を同程度に増減して上記輝度の高低を制御する構成(双方が中間調になる構成)、あるいは、フレーム分割せずに表示する構成と比較して、発生する白浮きの総量を大幅に抑えることができ、液晶画像表示装置1の視野角特性を大幅に向上できる。
図1・2に戻り、セレクタ部24は、上記のように(サブフレームデータ生成部22で)生成された第1サブフレームデータD3aおよび第2サブフレームデータD3bを順次切り替え、これらを第1サブフレームの表示データDAT1および第2サブフレームの表示データDAT2としてデドライバ制御回路7に出力する。
〔実施の形態2〕
本発明の実施の他の形態について図4〜図13に基づいて説明すれば以下の通りである。
図4に示されるように、本実施の形態における信号処理部105は制御部102および記憶部106を備え、この制御部102は、サブフレームデータ生成部122と、補完ビット付加部47a・47bおよびノイズ付加部44a・44b並びに丸め処理部46a・46bを含む多階調処理部121と、セレクタ部24とを備え、映像信号源VSからの入力映像データに基づいて第1および第2サブフレームの表示データDAT1およびDAT2を生成し、これをドライバ制御回路7に出力する。本実施の形態ではサブフレームデータ生成部122を多階調処理部121の前段に設ける。
記憶部106には、第1ノイズデータ113、第2ノイズデータ114、第1サブフレームデータ用LUT28および第2サブフレームデータ用LUT29等が格納されている。また、記憶部106のフレームメモリ20には入力映像データが格納され、順次サブフレームデータ生成部122に読み出される。
サブフレームデータ生成部122は、図4に示すように、フレームメモリ20に書き込まれた入力映像データを倍速(倍クロック)で2回読み出し、D4aおよびD4bを取得する。ついで、サブフレームデータ生成部22は、1回目に読み出したデータD4aと第1サブフレームデータ用LUT28とに基づいて、第1サブフレームデータD5aを生成し、続いて、2回目に読み出したD4bと、第2サブフレームデータ用LUT29とに基づいて、第2サブフレームデータD5bを生成する。
この第1サブフレームデータ用LUT28および第2サブフレームデータ用LUT29は、それぞれ第1および第2サブフレームに対応して設けられており、図10(b)に示すように、D4a(D4b)の階調(入力階調、8ビット)とD5a(D5b)の階調(出力階調、8ビット)を組み合わせた対応表である。
ここで、図10(b)に示されるように、第1サブフレームデータ用LUT28では、最小輝度0から第1中間輝度L’1を経た第2中間輝度L’2までの入力階調に対して出力階調がG’min(0階調あるいはその近傍)とされる一方、該第2中間輝度L’2から第3中間輝度L’3を経た最大輝度(255階調近傍)の入力階調に対して出力階調がG’min(0階調あるいはその近傍)〜最大輝度(255階調近傍)まで増加している。
また、第2サブフレームデータ用LUT29では、最小輝度0から第1中間輝度L’1を経た第2中間輝度L’2までの入力階調に対して輝度階調がG’min〜G’maxまで増加させられる一方、該第2中間輝度L’2から第3中間輝度L’3を経た最大輝度(255階調)までの入力階調に対して出力階調がG’max(最大値近傍)とされている。
例えば、あるサブ画素に関するデータD4a・D4b(入力階調)がG’xであれば、第1サブフレームの表示データD5aがG’p、第2サブフレームの表示データD5bがG’qとなり、G’pとG’qによる表示輝度の時間的総和(時間的積分値)がG’xに対応する表示輝度となる。なお、第1サブフレームが暗表示、第2サブフレームが明表示である。
なお、本実施の形態に係るサブフレームデータ生成部122の作用および効果は、上述しらサブフレームデータ生成部22と同様(ただし、LUT18をLUT28に、LUT19をLUT29に、データD2をデータD4に、データD3をデータD5に読み替えるものとする)である。
本実施の形態では、図5に示すように、この第1サブフレームデータ用LUT28及び第2サブフレームデータ用LUT29の設計値にあらかじめγ変換(8ビット→8ビット)を反映させておくことができる。これにより、γ変換テーブルやγ変換部を設ける必要がなく、信号処理部105の低コスト化が可能である。
多階調処理部21は、図4・5に示されるように、補完ビット付加部47a・47bと、ノイズ付加部44a・44bと、丸め処理部46a・46bと、アドレスカウンタ45とを備え、8ビットデータD5a・D5bにビット幅拡張処理を行った後にノイズ処理を行うことで擬似輪郭を大幅に抑制し、かつ丸め処理によってビット幅縮小を行い、8ビットのデータD7a・D7bを出力する。
まず、補完ビット付加部47aは、データD5aに補完ビットとして、下位2ビットを付加し、10ビットのデータD6aを生成する。同様に、補完ビット付加部47bはデータD5bに補完ビットとして、下位2ビットを付加し、10ビットのデータD6bを生成する。この補完ビット付加部47a・47bによるビット幅拡張(階調変換)処理によって、γ変換の精度あるいは自由度を高めることができる。
なお、図5において補完ビット付加部47a・47bを設けず(ビット幅拡張を行わず)サブフレームデータ生成部122からの8ビットデータD5a・D5bをそのまま多階調処理部121(ノイズ付加部44a・44b)に出力しても構わない。
また、上記図5の構成では、サブフレームデータ生成部122および補完ビット付加部47a・47bによって8→10ビットγ変換を行っているが、図7に示すように、設計値にあらかじめγ変換(8ビット→10ビット)を反映させた、第1および第2サブフレームデータ用LUT38・39を用意しておくこともできる。すなわち、サブフレームデータ生成部222は、フレームメモリ20から読み出したデータD4aと第1サブフレームデータ用LUT38(10ビット)とに基づいて、第1サブフレームデータD6a(10ビット)を生成し、多階調処理部121へ出力する。同様に、サブフレームデデータD4bと第1サブフレームデータ用LUT39(10ビット)とに基づいて、第1サブフレームデータD6b(10ビット)を生成し、多階調処理部121へ出力する。こうすれば、補完ビット付加部47a・47bを設ける必要がなくなり、信号処理部105の小型化・低コスト化が可能である。ただし、これらビット幅拡張処理回路をサブフレームデータ生成回路と一体回路にするか、別回路構成にするかは利用者の都合により適宜選択される。本発明の表示装置がテレビなどの部品として供給される場合、利用者は、指示どおりに表示する滑らかなガンマを求めることが多く、ビット拡張処理がデバイス特性の補正という側面で用いられることになるため、一体回路の方が都合が良い。一方で、この表示装置が最終商品に近い状態で供給される場合、利用者は自由に階調特性を指定できることを望むことが多く、したがって別回路構成の方が都合が良い。
図4・5に戻って、ノイズ付加部44aは、アドレスカウンタ45aを参照しつつ(γ変換済)データD6aに第1ノイズデータ113を付加し、10ビットのデータD6a’を生成する。同様に、ノイズ付加部44bは、アドレスカウンタ45bを参照しつつ(γ変換済)データD6baに第2ノイズデータ114を付加し、10ビットのデータD6b’を生成する。
この第1ノイズデータ113はおよび第2ノイズデータ114は、空間ノイズ(図8(a)参照)であっても時間ノイズ(図8(b)参照)であっても良い。ただし、そのノイズレベルが高すぎると、ノイズがパターンとして液晶表示装置101のユーザに認識されるおそれがある。よってノイズレベルはノイズパターンがユーザに認識されない範囲に設定する。
なお、本実施の形態の場合、暗表示の第1サブフレームではノイズが相対的に大きくなるためユーザにノイズパターンが認識されやすい。よって、第1ノイズデータ113のノイズレベルを低く設定する。一方、明表示の第2サブフレームではノイズが相対的に小さくなるためユーザにノイズパターンが認識されにくい。よって、第2ノイズデータ114のノイズレベルを(第1ノイズデータ113より)高く設定する。
例えば、暗表示側の第1サブフレームのノイズレベルを、明表示側の第2サブフレームの1/2程度とする。具体的には、第1サブフレームに与える第1ノイズデータ113のノイズレベルを3ビット(1024階調表示で8階調)以内、第2サブフレームに与える第2ノイズデータ114のノイズレベルを4ビット(1024階調表示で16階調)以内とする。
このようにすることで、実施の形態1と比較して、図10(b)の破線で囲んだ部分(入力階調がL’1〜L’3の領域)で発生する急激な輝度変化や白浮きを抑えることができる。この点をより詳細にすれば以下のとおりである。
図15のグラフa1・a2は第1(暗表示)および第2(明表示)サブフレームデータ用のLUTの具体例を示している。ただし、入力階調は512階調表現、出力階調はフーム積算輝度を8bitガンマ変換したものであり、元々の表示ガンマを2.2とする。また、第1および第2サブフレームデータ用のLUTを図15のグラフa1・a2のように設定したときの各サブフレームの表示階調を図15グラフb〜dに示す。ただし、グラフbはライズとディケイの応答速度比率(td/tr)を一定値4と仮定したの表示階調を示し、グラフcは(td/tr)を一定値2と仮定した場合の表示階調を示し、グラフdは(td/tr)を一定値1と仮定した場合の表示階調を示している。ディケイに対するライズの応答速度が遅くなるほど、第1→2サブフレームでの階調遷移(ライズ応答)がずれる。グラフdでは、入力階調が256階調(/512階調)のときに(第1サブフレームは0階調)、第2サブフレームは190階調(/256階調)程度までしか上昇しない。
ところで、実際の表示では、ライズとディケイの応答速度比率(td/tr)がグラフb〜dの仮定(一定)のようにはならず、入力階調によって変化する。すなわち、液晶の応答速度は有限であるため、ノーマリーブラックの垂直配向(VAモード)であれば、暗表示期間が0近傍から上昇すると急激にライズ応答時間が早くなり、階調による応答時間が比較的変化の少ないディケイ応答とあわせてフレーム間の積算輝度は急激に上昇する。図15でこの応答速度比率の変化を考慮すると、中間階調を過ぎた付近でライズの応答速度が急激にアップすることで、例えばグラフdは中間の256階調(512階調表現)を過ぎた付近で曲線rを介してグラフbに移行する。このように、暗表示のサブフレームへのノイズ付加は、周辺階調が暗いこととに加えて応答速度に対する影響が大きく、結果的に、フレーム積算輝度を大きく変動させるおそれがある。したがって、サブフレームデータは、暗表示期間の輝度変動が全体輝度に大きく影響しないように選定するとともに、それにあわせてノイズレベルが暗表示のサブフレームと明表示のサブフレームとで異ならせることが好ましい。
さて、多階調処理部側でノイズレベルを調整させることも可能である。例えば、図6に示すように、多階調処理部221にノイズレベル調整部150a・150bを設ける。このノイズレベル調整部150aは、読み出したノイズデータ115のノイズレベルをデータD4aの階調(入力階調)に応じて調整し、これをノイズ付加部44aに出力する。同様に、ノイズレベル調整部150bは、読み出したノイズデータ115のノイズレベルをデータD4bの階調に応じて調整し、これをノイズ付加部44bに出力する。なお、ノイズレベル調整部150a・150bが、D6a・D6bの階調に基づいてノイズデータ115のノイズレベルを調整し、これをノイズ付加部44a・44bに出力する構成をとることも可能である。
このようにすることで、実施の形態1と比較して、図10(b)の破線で囲んだ部分(入力階調がL’1〜L’3の領域)で発生する急激な輝度変化や白浮きを抑えることができる。
ここで、ノイズデータ115が空間ノイズであれば、ノイズレベル調整部150aは、データD4aから、MPEG(Moving Picture Expert Group)ブロック等の分割表示領域に含まれるサブ画素SPIXへの平均入力階調を算出し、この平均入力階調が高い領域は高ノイズレベルとなるように、低い領域は低ノイズレベルとなるように、読み出した各サブ画素へのノイズ(量)を調整(例えば、定数倍)する。同様に、ノイズレベル調整部150bは、データD4bから、MPEG(Moving Picture Expert Group)ブロック等の分割表示領域に含まれるサブ画素SPIXへの平均入力階調を算出し、この平均入力階調が高い領域は高ノイズレベルとなるように、低い領域は低ノイズレベルとなるように、記憶部106から読み出した各サブ画素へのノイズ(量)を調整(例えば、定数倍)する。
さらに、ノイズデータ115が時間ノイズであれば、ノイズレベル調整部150は、データD4a・D4bに基づいて、入力階調が高い各サブ画素SPIXへは高ノイズレベルとなるように、低いサブ画素SPIXには低ノイズレベルとなるように、各サブ画素へのノイズ(量)を調整(例えば、定数倍)する(図9参照)。
さらに、このノイズレベル調整部150によって、図11(a)〜(c)に示すように、第1および第2ノイズデータのノイズレベルをデータD4a・D4b(入力階調)に応じて変化させることもできる。
すなわち、図11(a)のように、データD4aの階調が最小輝度から第3中間輝度L’3(図10(b)参照)まで変化するのに従い、ノイズレベル調整部150aは暗表示の第1サブフレームのノイズレベル(NL1)を一定レベルn(第1レベル:±1ビット程度)に保ち、ノイズレベル調整部150bは明表示の第2サブフレームのノイズレベル(NL2)をこれより高い一定のレベルN(第2レベル:±3ビット程度)に保つ。一方で、上記階調が第3中間輝度L’3から最大輝度まで変化するのに従い、ノイズレベル調整部150aはNL1をレベルnから増加させ、ノイズレベル調整部150bはNL2をレベルNのままに保つ。
また、図11(b)のように、データD6aの階調が最小輝度から第3中間輝度L’3まで変化するのに従い、ノイズレベル調整部150aは暗表示の第1サブフレームのノイズレベル(NL1)を0近傍レベルに保ち、ノイズレベル調整部150bは明表示の第2サブフレームのノイズレベル(NL2)を0より高いレベルNp(第3レベル)から逓増させる。一方で、上記階調が第3中間輝度L’3から最大輝度まで変化するのに従い、ノイズレベル調整部150aはNL1を0からレベルNq(>Np)まで増加させ、ノイズレベル調整部150bはNL2を引続きレベルNqまで逓増させる。
また、図11(c)のように、データD6aの階調が最小輝度から第3中間輝度L’3まで変化するのに従い、ノイズレベル調整部150aは暗表示の第1サブフレームのノイズレベル(NL1)を所定階調分0に保った後に徐々に増加させ、ノイズレベル調整部150bは明表示の第2サブフレームのノイズレベル(NL2)を0より高いレベルNx(第4レベル)からレベルNyまで増加させる。一方で、上記階調が第3中間輝度L’3から最大輝度まで変化するのに従い、ノイズレベル調整部150aはNL1を引続き増加させてNcとし、ノイズレベル調整部150bはNL2をレベルNyから0まで急減させる。
例えば、図10(b)において、D4a・D4bの入力階調がG’xであるとき、このノイズ調整に、図11(b)を適用すれば、第1サブフレームのノイズレベル(NL1)は図12(a)のように、第2サブフレームのノイズレベル(NL2)は図12(b)のようになる。また、D4a・D4bの入力階調がG’yであるとき、このノイズ調整に、図11(c)を適用すれば、第1サブフレームのノイズレベル(NL1)は図12(c)のように、第2サブフレームのノイズレベル(NL2)は図12(d)のようになる。
以下に、各ノイズレベルの設定に係る一具体例を説明する。図16のグラフa・bはそれぞれ、図15で説明した応答速度を考慮した、第1(暗表示)および第2(明表示)サブフレーム用のLUT28・29(図5参照)の一例を示すグラフである。また、図17は、この図16のグラフa・bに示されるLUTと組み合わせる入力階調−ノイズレベル(ただし、入力階調は8ビット256階調表現、ノイズレベルは10ビット1024階調表現)の一設定例である。該設定は、例えば図6におけるノイズレベル調整部150a・150bで行われる。なお、グラフc・dは応答速度を考慮しない原理的なLUT(第1および第2サブフレーム用のLUT)を示す参考用のグラフである。
図17のグラフaに示されるように、第1(暗表示)サブフレームについては、入力階調(D4a)が0〜70階調(8ビット256階調表現)付近までそのノイズレベルがほぼ0に保たれ、入力階調(D4a)が90〜256階調の間にそのノイズレベルがほぼ0から45階調(10ビット1024階調表現)程度まで増加させられる。また、グラフbに示されるように、第2(明表示)サブフレームについては、入力階調(D4b)が0〜256階調(8ビット256階調表現)の間にそのノイズ階調が20(10ビット1024階調表現)から64階調(10ビット1024階調表現)まで増加させられる。ここで、図16のグラフbの変極点(入力階調160階調付近、2回微分が−から+)に対応して、第2サブフレーム(明表示)に与えるノイズのノイズレベルにも、入力階調160階調付近に変極点(2回微分が−から+)をつけておくことが好ましい(図17グラフb参照)。
このようにすれば、データD4a・D4b(図6参照)に基づいて、暗表示サブフレームおよび明表示サブフレームそれぞれに応じた(適切な)ノイズレベルを設定でき、図10(b)の破線で囲んだ領域(入力階調がL’1〜L’3の領域)、より具体的には図15の曲線r近傍での急激な輝度変化や白浮きを大幅に低減することができる。
図5に戻って、丸め処理部46aは、ノイズ付加部44aから出力されるデータD6a’(10ビット)から8ビットの(下位ビット切捨て後)データD7aを生成する。すなわち、10ビットデータD6a’の下位2ビットを切り捨てることで8ビットのデータD7aとする。同様に、丸め処理部46bは、図5に示すように、ノイズ付加部44bから出力されるデータD6b’(10ビット)から8ビットの(下位ビット切捨て後)データD7bを生成する。すなわち、10ビットデータD6b’の下位2ビットを切り捨てることで8ビットのデータD7bとする。
なお、セレクタ部24は、丸め処理部46a・46bから出力されたD7a・D7bを順次切り替え、第1サブフレームの表示データDAT1および第2サブフレームの表示データDAT2としてドライバ制御回路7に出力する。
なお、上記各実施形態では、制御部2(102)の各部または一部を、上述した機能を実現するためのプログラムと、そのプログラムを実行するハードウェア(コンピュータ)との組み合わせで実現してもよい。一例として、液晶表示装置101に接続されたコンピュータが、これを駆動する際に使用されるデバイスドライバとして、制御部2(102)を実現してもよい。また、液晶表示装置101に内蔵あるいは外付けされる変換基板として、制御部2(102)の各部が実現され、ファームウェアなどのプログラムの書き換えによって、当該制御部2(102)の各部を実現する回路の動作を変更できる場合には、当該ソフトウェアが記録された記録媒体を配布したり、当該ソフトウェアを通信路を介して伝送するなどして、当該ソフトウェアを配布し、上記ハードウェアに、そのソフトウェアを実行させることによって、当該ハードウェアを、上記各実施形態の制御部2(102)として動作させてもよい。
これらの場合は、上述した機能を実行可能なハードウェアが用意されていれば、当該ハードウェアに、上記プログラムを実行させるだけで、上記各実施形態に係る制御部2(102)を実現できる。
より詳細に説明すると、ソフトウェアを用いて実現する場合、CPU、あるいは、上述した機能を実行可能なハードウェアなどからなる演算手段が、ROMやRAMなどの記憶装置に格納されたプログラムコードを実行し、図示しない入出力回路などの周辺回路を制御することによって上記各実施形態に係る制御部2(102)を実現できる。
この場合、処理の一部を行うハードウェアと、当該ハードウェアの制御や残余の処理を行うプログラムコードを実行する上記演算手段とを組み合わせても実現することもできる。さらに、上記各部材のうち、ハードウェアとして説明した部材であっても、処理の一部を行うハードウェアと、当該ハードウェアの制御や残余の処理を行うプログラムコードを実行する上記演算手段とを組み合わせても実現することもできる。なお、上記演算手段は、単体であってもよいし、装置内部のバスや種々の通信路を介して接続された複数の演算手段が共同してプログラムコードを実行してもよい。
上記演算手段によって直接実行可能なプログラムコード自体、または、後述する解凍などの処理によってプログラムコードを生成可能なデータとしてのプログラムは、当該プログラム(プログラムコードまたは上記データ)を記録媒体に格納し、当該記録媒体を配付したり、あるいは、上記プログラムを、有線または無線の通信路を介して伝送するための通信手段で送信したりして配付され、上記演算手段で実行される。
なお、通信路を介して伝送する場合、通信路を構成する各伝送媒体が、プログラムを示す信号列を伝搬し合うことによって、当該通信路を介して、上記プログラムが伝送される。また、信号列を伝送する際、送信装置が、プログラムを示す信号列により搬送波を変調することによって、上記信号列を搬送波に重畳してもよい。この場合、受信装置が搬送波を復調することによって信号列が復元される。一方、上記信号列を伝送する際、送信装置が、デジタルデータ列としての信号列をパケット分割して伝送してもよい。この場合、受信装置は、受信したパケット群を連結して、上記信号列を復元する。また、送信装置が、信号列を送信する際、時分割/周波数分割/符号分割などの方法で、信号列を他の信号列と多重化して伝送してもよい。この場合、受信装置は、多重化された信号列から、個々の信号列を抽出して復元する。いずれの場合であっても、通信路を介してプログラムを伝送できれば、同様の効果が得られる。
ここで、プログラムを配付する際の記録媒体は、取外し可能である方が好ましいが、プログラムを配付した後の記録媒体は、取外し可能か否かを問わない。また、上記記録媒体は、プログラムが記憶されていれば、書換え(書き込み)可能か否か、揮発性か否か、記録方法および形状を問わない。記録媒体の一例として、磁気テープやカセットテープなどのテープ、あるいは、フロッピー(登録商標)ディスクやハードディスクなどの磁気ディスク、または、CD−ROMや光磁気ディスク(MO)、ミニディスク(MD)やデジタルビデオディスク(DVD)などのディスクが挙げられる。また、記録媒体は、ICカードや光カードのようなカード、あるいは、マスクROMやEPROM、EEPROMまたはフラッシュROMなどのような半導体メモリであってもよい。あるいは、CPUなどの演算手段内に形成されたメモリであってもよい。
なお、上記プログラムコードは、上記各処理の全手順を上記演算手段へ指示するコードであってもよいし、所定の手順で呼び出すことで、上記各処理の一部または全部を実行可能な基本プログラム(例えば、オペレーティングシステムやライブラリなど)が既に存在していれば、当該基本プログラムの呼び出しを上記演算手段へ指示するコードやポインタなどで、上記全手順の一部または全部を置き換えてもよい。
また、上記記録媒体にプログラムを格納する際の形式は、例えば、実メモリに配置した状態のように、演算手段がアクセスして実行可能な格納形式であってもよいし、実メモリに配置する前で、演算手段が常時アクセス可能なローカルな記録媒体(例えば、実メモリやハードディスクなど)にインストールした後の格納形式、あるいは、ネットワークや搬送可能な記録媒体などから上記ローカルな記録媒体にインストールする前の格納形式などであってもよい。また、プログラムは、コンパイル後のオブジェクトコードに限るものではなく、ソースコードや、インタプリトまたはコンパイルの途中で生成される中間コードとして格納されていてもよい。いずれの場合であっても、圧縮された情報の解凍、符号化された情報の復号、インタプリト、コンパイル、リンク、または、実メモリへの配置などの処理、あるいは、各処理の組み合わせによって、上記演算手段が実行可能な形式に変換可能であれば、プログラムを記録媒体に格納する際の形式に拘わらず、同様の効果を得ることができる。