JP2006290062A - 電動パワーステアリング装置用減速ギヤ - Google Patents
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Abstract
【課題】高面圧条件下での機械的強度と耐摩耗性とに優れた特性を有する、操舵補助出力発生用電動モータの出力をステアリングシャフトに伝達するための電動パワーステアリング装置用減速ギヤの提供。
【解決手段】減速ギヤ20が、ポリアミド樹脂と平均繊維径1〜4μmの繊維状充填材とを特定量含有したポリアミド樹脂組成物からなる樹脂部3を金属製芯管1の外周に一体に設け、前記樹脂部3の外周面にギヤ歯10を形成して構成されたウォームホイール11を備える電動パワーステアリング装置用減速ギヤ20により達成される。
【選択図】図1
【解決手段】減速ギヤ20が、ポリアミド樹脂と平均繊維径1〜4μmの繊維状充填材とを特定量含有したポリアミド樹脂組成物からなる樹脂部3を金属製芯管1の外周に一体に設け、前記樹脂部3の外周面にギヤ歯10を形成して構成されたウォームホイール11を備える電動パワーステアリング装置用減速ギヤ20により達成される。
【選択図】図1
Description
本発明は、電動モータによる補助出力を、減速歯車機構を介して車両のステアリング機構に伝達する電動パワーステアリング装置に関し、特に金属製芯管(以下、芯金とも称する。)の外周に、樹脂組成物からなり外周面にギヤ歯が形成された樹脂部を一体に設けてなる従動歯車を備え、グリース潤滑される電動パワーステアリング装置に関する。
自動車に組み込まれる電動パワーステアリング装置には、電動モータに比較的高回転低トルクのものが使用されるため、電動モータとステアリングシャフトとの間に減速機構が組み込まれている。減速機構としては、一組で大きな減速比が得られる等の理由から、図1に示されるような、電動モータ(図示せず)の回転軸に連結するウォーム12とウォーム12に噛み合うウォームホイール11とから構成される電動パワーステアリング装置用減速ギヤ20(以下、単に減速ギヤともいう。)が、一般的に使用される。
このような減速ギヤ20では、ウォームホイール11とウォーム12の両方を金属製とすると、ハンドル操作時に歯打ち音や振動音等の不快音が発生するという不具合が生じていた。そこで、ウォームホイール11に、金属製の芯管1の外周に、樹脂製で外周面にギヤ歯10を形成してなる樹脂部3を一体化させたものを使用して騒音対策を行っている。
上記樹脂部3には、例えば、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアセタール、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)などのべ一ス樹脂にガラス繊維や炭素繊維等の強化材を配合した材料の他、ガラス繊維、炭素繊維等の強化材を含有しないMCナイロン(モノマーキャストナイロン)、ポリアミド6、ポリアミド66等が使用されている。中でも、寸法安定性やコストを考慮して、強化材を含有しないMCナイロン、ガラス繊維を含有したポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド46等が主流となっている。この場合、使用されているガラス繊維の平均繊維径は、10〜13μmである。
特公平6-60674号公報
しかしながら、近年、装置の小型化と更なる高出力への対応のため、ウォームホイールにも小径化、高伝達トルク化が求められるとともに、より優れた耐摩耗性が要求されつつあり、そうした場合、従来のポリアミド樹脂組成物では、ウォームホイールとして十分な特性が得られなくなるという問題が生じてくる。
本発明は、このような状況に艦みてなされたものであり、電動パワーステアリング装置の小型化、高出力化に伴い、従来材より高いレベルで要求されることになる機械強度と耐摩耗性を確保した樹脂組成物からなるウォームホイールを備えた電動パワーステアリング用減速ギヤを提供することを目的とする。
上記目的は、操舵補助出力発生用電動モータの出力をステアリングシャフトに伝達するための電動パワーステアリング装置用減速ギヤにおいて、前記減速ギヤが、少なくともポリアミド樹脂と繊維状充填材とを含有するポリアミド樹脂組成物からなる樹脂部を金属製芯管の外周に一体に設けると共に、前記樹脂部の外周面にギヤ歯を形成して構成されるウォームホイールを備えることを特徴とする電動パワーステアリング装置用減速ギヤであって、前記繊維状充填材の平均繊維径が1〜4μmであり、且つ、前記繊維状充填材の含有量が前記ポリアミド樹脂組成物の重量に対して10〜50重量%であることを特徴とする電動パワーステアリング装置用減速ギヤにより達成される。
本発明によれば、ウォームホイールの樹脂部を、少なくともポリアミド樹脂と繊維状充填材とを含有するポリアミド樹脂組成物で形成することにより、従来よりも高い面圧使用条件での機械的強度及び耐摩耗性等に優れた、高信頼性の電動パワーステアリング装置用減速ギヤを提供することが出来る。
本発明に係る樹脂組成物からなるウォームホイールには、小径化、及び作動トルクの増大に伴う高面圧使用条件にも対応可能な歯の強度及び耐摩耗性が確保されることになり、従って、本発明の樹脂組成物は、高面圧使用環境下においても、高信頼性を有する電動パワーステアリング装置用減速ギヤ用の材料として極めて好適なものとすることができるのである。
本発明の上記目的は、好ましくは、操舵補助出力発生用電動モータの出力をステアリングシャフトに伝達するための電動パワーステアリング装置用減速ギヤにおいて、前記減速ギヤが、少なくともポリアミド樹脂と繊維状充填材とを含有するポリアミド樹脂組成物からなる樹脂部を金属製芯管の外周に一体に設けると共に、前記樹脂部の外周面にギヤ歯を形成して構成されるウォームホイールを備えることを特徴とする電動パワーステアリング装置用減速ギヤであって、前記繊維状充填材の平均繊維径が1〜4μmであり、且つ、前記繊維状充填材の含有量が前記ポリアミド樹脂組成物の重量に対して10〜50重量%であり、且つ前記ポリアミド樹脂が、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド46からなる群から選ばれ、且つ、前記繊維状充填材が、ガラス繊維であることを特徴とする電動パワーステアリング装置用減速ギヤにより達成される。
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
図1は、本発明の減速ギヤの一例を示す斜視図であるが、金属製の芯管1の外周に、樹脂製でその外周端面にギヤ歯を形成した樹脂部3を一体化したウォームホイールを備える。このような構成自体は、従来のウォームホイールと同様である。また、ウォーム12には制限はなく、従来と同様に金属製とすることができる。
初めに、図1の斜視図を参照しながら説明する。ウォームホイール11は、芯金1と芯金1の外周に一体的に設けられた樹脂部3とで構成されている。そして、樹脂部3の外径面には、金属製等のウォーム12と噛み合う歯10が形成されている。
次に、平歯車25の構成を、図2の斜視図を参照しながら説明する。平歯車25は、芯金22と芯金22の外周に一体的に設けられた樹脂部23とで構成されている。そして、樹脂部23の外径面には、金属製等の平歯車26と噛み合う歯24が形成されている。
さらに、はすば歯車37の構成を、図3の斜視図を参照しながら説明する。はすば歯車37は、芯金42と芯金42の外周に一体的に設けられた樹脂部43とで構成されている。そして、樹脂部43の外径面には、金属製等のはすば歯車38と噛み合う歯44が形成されている。
次に、かさ歯車39の構成を、図4の斜視図を参照しながら説明する。かさ歯車39は、芯金42aと芯金42aの外周に一体的に設けられた樹脂部43aとで構成されている。そして、樹脂部43aの外径面には、金属製等のかさ歯車40と噛み合う歯44aが形成されている。
その次に、ハイポイドギヤ50の構成を、図5の斜視図を参照しながら説明する。ハイポイドギヤ50は、芯金42bと芯金42bの外周に一体的に設けられた樹脂部43bとで構成されている。そして、樹脂部43bの外径面には、金属製等のハイポイドギヤ51と噛み合う歯44bが形成されている。
図1に戻って説明すると、樹脂部3を形成する樹脂組成物としては、従来の性能とコストとのバランスを考慮すると、強化材を含有しないMCナイロン、平均繊維径10〜13μmのガラス繊維を含有したポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド46等が好ましいとされていた。これらの樹脂材料は、従来の使用条件では一定以上の性能を示し、ウォームホイール11の相手材である金属製のウォーム12の摩耗に対して有利に働き、減速ギヤとして機能することができる。しかしながら、装置の小型化、作動トルク増大の結果もたらされる、非常に過酷な使用条件下では、ギヤ歯10の過大な摩耗、変形に伴って所望の機能が発揮されなくなることが十分想定された。このため、ウォームホイール用材料として、従来材料より性能レベルの高い、信頼性に優れる樹脂組成物の適用が強く求められていた。
本発明に係る電動パワーステアリング装置用減速ギヤ用の樹脂組成物のベース樹脂であるポリアミド樹脂について詳細に述べる。本発明に係るポリアミド樹脂は、主鎖中にアミド結合(−NH−CO−)を有し、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド46、ポリアミドMXD−6に代表される分子鎖中に芳香環を導入したポリアミドを含む。
ポリアミド樹脂にはいくつかの製造方法があるが、本発明に係るポリアミド樹脂は、いかなる製造方法により得られたものでも良い。例えば、ラクタム又はアミノカルボン酸から得られる場合とジアミンとジカルボン酸の重縮合で製造される場合がある。
本発明に係るポリアミド樹脂組成物には、繊維状充填材が含まれる。本発明に係る繊維状充填材には、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、炭化珪素繊維、ウォラスナイト、及び/又は酸化亜鉛ウィスカー、チタン酸カリウム・ウィスカー、ホウ酸アルミニウム・ウィスカーなどのウィスカー類が含まれる。尚、上記繊維状充填材は、単独で又は2種類以上を併用して用いても良い。
本発明に係る繊維状充填材の平均繊維径は、1〜4μmである。平均繊維径が1μm未満では、繊維状充填材の製造技術的の点で困難であるだけでなくコスト高になるといった欠点があり、4μmを超えると、成形品(ウォームホイール)の物性の飛躍的向上が望めないといった問題が発生する。
本発明に係る繊維状充填材のポリアミド組成物に対する含有量は、全体の10〜50重量%、好ましくは15〜35重量%である。繊維状充填材の含有量が10重量%未満の場合は、機械的強度、および寸法変化の改善効果が少ない。繊維状充填材の含有量が50重量%を超える場合には、ウォーム12を損傷し易くなり、ウォーム12の摩耗が促進されて減速ギヤとしての耐久性が不足する可能性がある。
本発明に係るポリアミド樹脂組成物において、ベース樹脂であるポリアミド樹脂が、少なくともポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド46からなる群から選ばれ、且つ、繊維状充填材が、特定の大きさのガラス繊維であることが、好適である。
本発明に係る繊維状充填材として、ガラス繊維の表面が、結束剤及び/又はカップリング剤等を含む表面処理剤により処理されていることが、更に好適である。
以下には、ガラス繊維に関し、従来よりも微細な繊維の使用、及び特定の結束剤を含む表面処理剤の使用による、ポリアミド樹脂組成物の物性向上の理由を述べる。
本発明に係る樹脂組成物に含有する、強化材としての繊維状充填材は、好適には、平均繊維径で1〜4μmの範囲に入るガラス繊維が用いられるが、平均繊維径が1〜4μmのガラス繊維は、従来の平均繊維径が10〜13μmのガラス繊維と同じ含有量とした場合、実質の本数が増加することになる。そして、これに伴い強化材であるガラス繊維の全表面積が飛躍的に増大する結果として、従来の平均繊維径が10〜13μmのガラス繊維を用いた場合より補強効率が向上するのである。このことは、ガラス繊維以外の他の繊維状充填材についてもいえる。繊維状充填材の平均繊維径が5〜9μmの場合も従来よりも充填材の全表面積が増大するものの、その効果は限定的で不十分である。
更に、前記平均繊維径1〜4μmのガラス繊維を含む本発明に係るポリアミド樹脂組成物によるウォームホイール成形体の、ガラス繊維による、吸水速度低減効果、つまり寸法変化抑制効果は、平均繊維径10〜13μmのガラス繊維を同一重量含有させたポリアミド樹脂組成物によるウォームホイール成形体より大幅に大きくなる。平均繊維径5〜9μmの場合にもこの寸法変化抑制効果が得られるが、十分でない。このような性質も、同一重量含有率の場合、実質の本数が増加することによってガラス繊維によるポリアミド分子鎖の拘束作用の程度が大きくなることによる。
更に、ガラス繊維を含むポリアミド樹脂組成物によるウォームホイール成形体おいては、同一重量含有率で比較して、平均繊維径1〜4μmの揚合、平均繊維径10〜13μmの場合よりも、より高面圧条件下での使用においても、歯部の摩耗がより生じにくくなっている。平均繊維径5〜9μmの場合も有効ではあるが、効果が十分ではない。これは、ガラス繊維本数の増加分だけ、より大きな荷重を受けることが可能となることに起因すると考えられる。
以上、ガラス繊維につき説明したが、上記の従来よりも微細な繊維の使用による効果はガラス繊維以外の繊維状充填材にも当てはまり、平均繊維径が1μm〜4μmのガラス繊維等を充填したポリアミド樹脂組成物によるウォームホイール成形体であれば、高面圧下での摩耗耐久性や寸法安定性に優れた、高信頼性の電動パワーステアリング装置用減速ギヤを提供することができるのである。
尚、本発明に係るガラス繊維の含有量は、全体の10〜50重量%、好ましくは15〜35重量%である。ガラス繊維の含有量が10重量%未満の場合は、機械的強度、および寸法変化の改善効果が少ない。ガラス繊維の含有量が50重量%を超える場合には、ウォーム12を損傷し易くなり、ウォーム12の摩耗が促進されて減速ギヤとしての耐久性が不足する可能性がある。
また、本発明に係るガラス繊維の平均繊維長は100〜900μm、より好ましくは300〜600μmである。平均繊維長が100μm未満の場合は、短すぎて補強効果及び寸法抑制効果が少なく、好ましくない。また平均繊維長が900μmを超える場合は、寸法抑制効果、および補強効果が向上するものの、樹脂部成形工程での繊維の破損や、配向性の低下による成形精度悪化が想定されるようになり、外径部に歯形状を有する樹脂部の成形が困難になり、好ましくない。本発明に適した平均繊維長は、ガラス繊維について説明したが、繊維状充填材全般についても当てはまるといえる。
ところで、本発明に係るガラス繊維は、紡糸後に、ポリアミド樹脂との接着性を考慮して、表面処理剤により表面処理が施されていることが更に好ましい。具体的には、本発明に係るガラス繊維は、結束剤と呼ばれる樹脂系エマルジョンやガラスとポリアミド樹脂の双方を結合するためのカップリング剤、および潤滑剤、静電気防止剤等の様々な成分が加えられた表面処理剤により処理され使用されていることが更に好ましい。
尚、カップリング剤には、シラン系、クロム系、チタン系等があるが、現在はシラン系カップリング剤の使用が大半を占めている。シラン系カップリング剤は、一端にガラス繊維と結合するシラノール基を、他端にベース樹脂マトリックス、あるいは、結束剤と結合可能な有機官能基を有している。尚、ポリアミド樹脂等の熱可塑性樹脂をマトリックスとする繊維強化樹脂組成物の場合には、結束剤は樹脂マトリックス中に溶融、拡散せずに、ガラス繊維表面に残留する。このため、繊維強化熱可塑性樹脂のカップリング剤としては、結束剤との接着に優れたアミノシラン系のカップリング剤(具体的には、N−β−(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、あるいはγ−アミノプロピルトリエトキシシラン等)が好適である。従って、ポリアミド樹脂においては、表面処理剤によりガラス繊維表面を処理した場合、ガラス繊維−カップリング剤−結束剤−樹脂マトリックスの4層構造が形成されることになる。
一方、結束剤としては、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、酢酸ビニル樹脂、及びアクリル樹脂等を用いることができる。いずれを用いた場合においても作用効果は認められるが、特に、エポキシ樹脂を用いた場合の作用効果は大きく好適である。
しかし、更にガラス繊維とポリアミド樹脂との接着状況を改善し、構造的欠陥部とみなせ、摩耗発生の起点となるガラス繊維とポリアミド樹脂との界面の結合力を、より強固なものへと向上させることを目的として、結束剤、あるいは結束剤とカップリング剤との組合せ等についての研究を重ねた結果、発明者は、ポリアミド樹脂におけるガラス繊維の結束剤としては無水マレイン酸を一成分とするコポリマー(具体的には無水マレイン酸とビニルエステルとのコポリマー、無水マレイン酸とビニルエーテルとのコポリマー、あるいは無水マレイン酸とアクリル酸とのコポリマー等)が特に好適であることを見出した。その理由は次の通りである。即ち、結束剤とカップリング剤との組合せを、無水マレイン酸を一成分とするコポリマーとアミノシラン系カップリング剤、との組合せとすることで、強力なガラス繊維−カップリング剤−結束剤−樹脂マトリックスの4層構造を構築させ、非常に強固なガラス/ポリアミド樹脂界面構造を形成させる結果として、本発明に係る樹脂組成物により得られる電動パワーステアリング用ウォームホイール成形体の耐摩耗性を更に向上させることが可能となるためである。
更に、本発明に係るポリアミド樹脂組成物には、ゼオライト、カオリン、マイカ、クレー、タルク、アルミナ、シリカなどの非繊維状充填剤も添加することができる。また、顔料、染料、帯電防止剤、およびフッ素樹脂などの固体潤滑剤、などの配合剤も必要に応じて極小量添加してもよい。更には、添加剤として、成形時、および使用時の熱による劣化を防止するために、ヨウ化物系熱安定剤やアミン系酸化防止剤を、それぞれ単独あるいは併用して添加してもよい。
[ガラス繊維平均繊維径と表面処理剤の組み合わせ効果の試験評価]
(具体例1)
本発明に係るポリアミド樹脂であるナイロン66(宇部興産(株)製UBEナイロン2020U)をベース樹脂として用い、本発明に係る繊維状充填材の平均繊維径の違いが物性に及ぼす効果と表面処理剤による処理効果を調べるために、平均繊維径が13μm、6μm、及び3μmであり、平均繊維長が500μmである3種のガラス繊維をガラス繊維強化ナイロン66組成物の重量に対して30重量%含有させた。ガラス繊維は、カップリング剤としてγ−アミノプロピルトリエトキシシランを含み、結束剤の条件を変更した表面処理剤で処理した。結束剤は、無添加と、エポキシ樹脂と、無水マレイン酸及び酢酸ビニルのコポリマーとの3つの場合について試験した。合計9種のガラス繊維平均繊維径−表面処理剤の組合せが異なるガラス繊維強化ナイロン66組成物を作製した。
(具体例1)
本発明に係るポリアミド樹脂であるナイロン66(宇部興産(株)製UBEナイロン2020U)をベース樹脂として用い、本発明に係る繊維状充填材の平均繊維径の違いが物性に及ぼす効果と表面処理剤による処理効果を調べるために、平均繊維径が13μm、6μm、及び3μmであり、平均繊維長が500μmである3種のガラス繊維をガラス繊維強化ナイロン66組成物の重量に対して30重量%含有させた。ガラス繊維は、カップリング剤としてγ−アミノプロピルトリエトキシシランを含み、結束剤の条件を変更した表面処理剤で処理した。結束剤は、無添加と、エポキシ樹脂と、無水マレイン酸及び酢酸ビニルのコポリマーとの3つの場合について試験した。合計9種のガラス繊維平均繊維径−表面処理剤の組合せが異なるガラス繊維強化ナイロン66組成物を作製した。
樹脂組成物の調製:上記のナイロン66:70重量%と上記の表面処理したガラス繊維:30重量%とをヘンシェルミキサー(三井三池工業(株)製のFM10B)で混合した後、スクリューを備えた一軸押出機(田辺プラスチック機械(株)製のVS30−28V押出機)により押出して、本発明に係るポリアミド樹脂組成物の成形用ペレットを得た。
それらのダンベル状試験片において、引張試験(試験法ASTM D−638)を実施して、各試験条件の引張強さを比較検討した。表1にそれらの結果を示した。
[ガラス繊維平均繊維径と表面処理剤の組み合わせ効果のウォームホイール試験体評価]
(実施例1)
芯金は、炭素を0.45%含有の機械構造用炭素鋼の素材で外径45mm、幅13mmに加工、表面に深さ0.4mmのローレット加工を施し、脱脂した。
(実施例1)
芯金は、炭素を0.45%含有の機械構造用炭素鋼の素材で外径45mm、幅13mmに加工、表面に深さ0.4mmのローレット加工を施し、脱脂した。
樹脂部のポリアミド樹脂組成物は、ナイロン66が70wt%+ガラス繊維が30wt%であり、ナイロン66は、宇部興産(株)製UBEナイロン2020Uである。ガラス繊維は、結束剤として無水マレイン酸と酢酸ビニルのコポリマーと、カップリング剤としてγ−アミノプロピルトリエトキシシランとを含む表面処理剤で表面処理したもの(平均繊維径3μm、平均繊維長500μm)である。
樹脂組成物の調製:上記のナイロン66:70重量%と上記の表面処理したガラス繊維:30重量%とをヘンシェルミキサー(三井三池工業(株)製のFM10B)で混合した後、スクリューを備えた一軸押出機(田辺プラスチック機械(株)製のVS30−28V押出機)により押出して、本発明に係るポリアミド樹脂組成物の成形用ペレットを得た。
外径部に切削代を残したはすば形状を有し、内径54mm、外径83mm、幅15.5mmの大きさの樹脂部を、射出成形機(日本製鋼所(株)製N70−BII型射出成形機)を使用してポリアミド66樹脂組成物の温度を280‐300℃、射出圧力を1.18×107Pa(120kgf/cm2)、射出保持圧力を9.81×106Pa(100kgf/cm2)にて芯金部をコアにして、接着剤としてγ−アミノプロピルトリエトキシシランを用い、インサート成形した。歯部を約0.5mm切削してウォームホイールに仕上げた。
(比較例1)
結束剤としての無水マレイン酸と酢酸ビニルのコポリマーと、カップリング剤としてのγ−アミノプロピルトリエトキシシランとを含む表面処理剤を使用し、表面処理を施した、平均繊維径6μmのガラス繊維(含有量:30重量%)により強化したナイロン66からなる成形材料を用いる以外は、実施例1と同様の手法により、ウォームホイール試験体を作製した。
結束剤としての無水マレイン酸と酢酸ビニルのコポリマーと、カップリング剤としてのγ−アミノプロピルトリエトキシシランとを含む表面処理剤を使用し、表面処理を施した、平均繊維径6μmのガラス繊維(含有量:30重量%)により強化したナイロン66からなる成形材料を用いる以外は、実施例1と同様の手法により、ウォームホイール試験体を作製した。
(比較例2)
結束剤としての無水マレイン酸と酢酸ビニルのコポリマーと、カップリング剤としてのγ−アミノプロピルトリエトキシシランとを含む表面処理剤を使用し、表面処理を施した、平均繊維径13μmのガラス繊維(含有量:30重量%)により強化したナイロン66からなる成形材料を用いる以外は、実施例1と同様の手法により、ウォームホイール試験体を作製した。
結束剤としての無水マレイン酸と酢酸ビニルのコポリマーと、カップリング剤としてのγ−アミノプロピルトリエトキシシランとを含む表面処理剤を使用し、表面処理を施した、平均繊維径13μmのガラス繊維(含有量:30重量%)により強化したナイロン66からなる成形材料を用いる以外は、実施例1と同様の手法により、ウォームホイール試験体を作製した。
作製した実施例1、比較例1、2のウォームホイール試験体を、実際の自動車の電動パワーステアリング装置に組み込み耐久性を評価した。試験は、雰囲気温度を80℃にコントロールして、10万回の操舵を行い、ウォームホイールの摩耗が初期に対して40μm以下を合格とした。1万回ごとに摩耗は測定した。結果を表2に示す。
以上、円筒ウォームギアであるウォームホイールについて説明してきたが、この発明はこれに限られるものではなく、他の形式のギヤにも適用できることはいうまでもない。例えば、図2に示す平歯車、図3に示すはすば歯車、図4に示すかさ歯車、図5に示すハイポイドギヤ等へ適用することができる。
本発明の樹脂製歯車は、例えば、電動パワーステアリング装置のパワーアシスト部を構成する歯車減速機構等に好適である。
1 芯管
3 樹脂部
10 ギヤ歯
11 ウォームホイール
12 ウォーム
20 減速ギヤ
3 樹脂部
10 ギヤ歯
11 ウォームホイール
12 ウォーム
20 減速ギヤ
Claims (6)
- 操舵補助出力発生用電動モータの出力をステアリングシャフトに伝達するための電動パワーステアリング装置用減速ギヤにおいて、前記減速ギヤが、少なくともポリアミド樹脂と繊維状充填材とを含有するポリアミド樹脂組成物からなる樹脂部を金属製芯管の外周に一体に設けると共に、前記樹脂部の外周面にギヤ歯を形成して構成されるウォームホイールを備えることを特徴とする電動パワーステアリング装置用減速ギヤであって、前記繊維状充填材の平均繊維径が1〜4μmであり、且つ、前記繊維状充填材の含有量が前記ポリアミド樹脂組成物の重量に対して10〜50重量%であることを特徴とする電動パワーステアリング装置用減速ギヤ。
- 前記ポリアミド樹脂が、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド46からなる群から選ばれ、且つ、前記繊維状充填材が、ガラス繊維であることを特徴とする、請求項1記載の電動パワーステアリング装置用減速ギヤ。
- 前記ガラス繊維が、100〜900μmの平均繊維長を有することを特徴とする、請求項2記載の電動パワーステアリング装置用減速ギヤ。
- 前記ガラス繊維が、結束剤、カップリング剤、潤滑剤、及び/又は静電防止剤等を含む表面処理剤により処理されていることを特徴とする、請求項2又は3のいずれか1項記載の電動パワーステアリング装置用減速ギヤ。
- 前記ガラス繊維が、少なくとも結束剤とカップリング剤を含む表面処理剤により処理されていることを特徴とする、請求項2又は3のいずれか1項記載の電動パワーステアリング装置用減速ギヤ。
- 前記結束剤が、無水マレイン酸を一成分とするコポリマーを含むことを特徴とする、請求項4又は5のいずれか1項記載の電動パワーステアリング装置用減速ギヤ。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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- 2005-04-07 JP JP2005110807A patent/JP2006290062A/ja active Pending
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