JP2006282555A - 工業用抗菌剤およびそれを用いた工業的抗菌方法 - Google Patents

工業用抗菌剤およびそれを用いた工業的抗菌方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 細菌、かび、酵母などの広範な微生物に対して有効な抗菌効果を有し、かつその効果が持続する工業用抗菌剤を提供することを課題とする。
【解決手段】 一般式(1):
【化1】
Figure 2006282555

(式中、R1およびR2は、互いに同一または異なって、水素または低級アルキル基を示す)で表わされるオキサチアジン系化合物と、臭素原子、臭素原子とシアノ基または臭素原子とニトロ基のいずれかを有する臭素系工業用殺菌剤の少なくとも1種とを相乗効果を奏する割合で含有することを特徴とする工業用抗菌剤により、上記の課題を解決する。
【選択図】 なし

Description

この発明は、工業用抗菌剤およびそれを用いた工業的抗菌方法に関する。さらに詳しくは、この発明は、紙・パルプ工業における抄紙工程水、各種工業用の冷却水および洗浄水、ならびに金属加工油剤、繊維油剤、ペイント類、各種ラテックス、防汚塗料、紙用塗工液、糊剤、澱粉スラリー、木材などの工業製品の殺菌・静菌および防腐・防かび用として有用である工業用抗菌剤およびそれを用いた工業的抗菌方法に関する。
この発明における抗菌は、微生物を死滅させる殺菌、微生物の増殖を阻止する静菌・防腐・防かびを意味する。
従来から紙・パルプ工業における抄紙工程水や各種工業用の冷却水には、細菌や真菌によるスライムが発生し、このスライムが生産品の品質低下や生産効率の低下などの障害をひき起こすことが知られている。また、多くの工業製品、例えば金属加工油剤、繊維油剤、ペイント類、各種ラテックス、防汚塗料、紙用塗工液、糊剤、澱粉スラリー、木材などでは細菌やかびによる腐敗や汚染が発生し、これらが製品を汚損し、製品価値を低下させることが知られている。
これらの微生物による障害を防止するため、多くの殺菌剤が使用されてきた。古くは有機水銀化合物、塩素化フェノール化合物やホルマリンなどが使用されていたが、これらの薬剤は人体や魚介類に対する毒性が強く、環境汚染をひき起こすために使用が規制されるようになり、最近では比較的低毒性の工業用殺菌剤が汎用されている。
これらの工業用殺菌剤の中で、この発明の有効成分であるオキサチアジン系化合物については、種々の工業用殺菌剤との組み合わせからなる組成物が知られている。例えば、ベンズイミダゾール系化合物との組み合わせ(特開平11−217308号公報:特許文献1)、イソチアゾロン系化合物および/またはハロアセチレン系化合物との組み合わせ(特開2000−53510号公報:特許文献2)、界面活性剤と水系溶媒との組み合わせ(特開2000−302601号公報:特許文献3)、1−[[(3−ヨード−2−プロピニル)オキシ]メトキシ]−4−メトキシベンゼン、1−クロロ−4−[[(3−ヨード−2−プロピニル)オキシ]メトキシ]ベンゼン、2−ピリジンチオール−1−オキシド亜鉛塩、2−ピリジンチオール−1−オキシド銅塩、2−ピリジンチオール−1−オキシドナトリウム塩、2,2−ジチオ−ビス(ピリジン−1−オキシド)、2−メチルチオ−4−t−ブチルアミノ−6−シクロプロピルアミノ−s−トリアジンから選ばれる1種以上との組み合わせ(特開2002−265310号公報:特許文献4)が挙げられる。
また、この発明の有効成分である臭素系工業用殺菌剤については、種々の化合物とそれらの組み合わせからなる組成物が知られている。例えば、1,4−ビス(ブロモアセトキシ)−2−ブテン、1,2−ビス(ブロモアセトキシ)エタン、1,2,3−トリス(ブロモアセトキシ)プロパンおよび1,2−ビス(ブロモアセトキシ)プロパンなどのブロム酢酸エステル系化合物;2,2−ジブロモ−3−ニトリロプロピオンアミドおよび2−ブロモ−2−ブロモメチルグルタロニトリルなどのブロムシアノ系化合物;2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール、1,1−ジブロモ−1−ニトロ−2−プロパノール、2,2−ジブロモ−2−ニトロエタノール、1,1−ジブロモ−1−ニトロ−2−アセトキシエタン、1,1−ジブロモ−1−ニトロ−2−アセトキシプロパン、2−ブロモ−2−ニトロ−1,3−ジアセトキシプロパン、トリブロモニトロメタン、6−ブロモ−6−ニトロスチレン、5−ブロモ−5−ニトロ−1,3−ジオキサン、5−ブロモ−2−メチル−5−ニトロ−1,3−ジオキサンなどのブロモニトロ系化合物が挙げられる。
これらの工業用殺菌剤については、例えば、特開平2−42007号公報(特許文献5)に記載されている。
しかしながら、例えば、特開2000−53510号公報(特許文献2)に記載の工業用殺菌剤、例えばオキサチアジン系化合物と5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾロン−3−オンとの組み合わせからなる殺菌剤を木材などの防腐対象系に使用する場合、薬剤を添加する前の生菌数が低く、腐敗していない防腐対象系においては引き続き有効な防腐効果が期待できるが、腐敗した防腐対象系においては十分な防腐効果が期待できないという問題がある。
したがって、広範な微生物に対して有効な抗菌効果を有し、かつその効果が持続する、より優れた工業用抗菌剤が求められている。
特開平11−217308号公報 特開2000−53510号公報 特開2000−302601号公報 特開2002−265310号公報 特開平2−42007号公報
この発明は、細菌、かび、酵母などの広範な微生物に対して有効な抗菌効果を有し、かつその効果が持続する工業用抗菌剤を提供することを課題とする。
この発明の発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、特定のオキサチアジン系化合物と、臭素原子、臭素原子とシアノ基または臭素原子とニトロ基のいずれかを有する臭素系工業用殺菌剤の少なくとも1種とを組み合わせることにより、広範な微生物に対して有効な抗菌効果が発揮され、かつその効果が持続するという意外な事実を見出し、この発明を完成するに到った。
かくして、この発明によれば、一般式(1):
Figure 2006282555
(式中、R1およびR2は、互いに同一または異なって、水素または低級アルキル基を示す)
で表わされるオキサチアジン系化合物と、臭素原子、臭素原子とシアノ基または臭素原子とニトロ基のいずれかを有する臭素系工業用殺菌剤の少なくとも1種とを相乗効果を奏する割合で含有することを特徴とする工業用抗菌剤が提供される。
また、この発明によれば、抗菌対象系に、上記の工業用抗菌剤を、有効成分の合計濃度として0.5〜300mg/リットルとなるように同時または別々に添加することを特徴とする工業的抗菌方法が提供される。
この発明の工業用抗菌剤は、新規な有効成分の組み合わせからなり、抗菌スペクトルが広く、優れた抗菌効果を有し、かつその効果が持続する。また、既存の工業用抗菌剤により耐性菌(菌、かび)が発生している場合でも、この発明の工業用抗菌剤は、その効果を発揮することができ、産業上極めて有用である。
この発明の工業用抗菌剤は、一般式(1)で表わされるオキサチアジン系化合物と、臭素原子、臭素原子とシアノ基または臭素原子とニトロ基のいずれかを有する臭素系工業用殺菌剤の少なくとも1種とを相乗効果を奏する割合で含有する。
この発明で用いられるオキサチアジン化合物は、一般式(1)で表され、式中、R1およびR2は、互いに同一または異なって、水素または低級アルキル基を示す。
1およびR2の低級アルキル基としては、炭素数1〜4の直鎖状もしくは分岐状のアルキル基が挙げられ、具体的には、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチルのような直鎖状のアルキル基、イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチルのような分岐状のアルキル基が挙げられる。
1が低級アルキル基である場合には、オキサチアジン環の5位または6位のいずれか一方、好ましくは6位が低級アルキル基で置換される。
1の最も好ましい態様は水素である。
また、R2が低級アルキル基である場合には、ベンゾ[b]チエン環の4位、5位、6位または7位のいずれか1つ、好ましくは5位が低級アルキル基で置換される。
2の最も好ましい態様は水素である。
このような式(1)で表わされるオキサチアジン系化合物の具体例としては、例えば、3−ベンゾ[b]チエン−2−イル−5,6−ジヒドロ−1,4,2−オキサチアジン4−オキシド、3−(5−メチルベンゾ[b]チエン−2−イル)−5,6−ジヒドロ−1,4,2−オキサチアジン4−オキシドおよび3−ベンゾ[b]チエン−2−イル−5−ヒドロ−6−メチル−1,4,2−オキサチアジン4−オキシドなどが挙げられる。
式(1)には含まれないが、5,6−ジヒドロ−3−(2−チエニル)−1,4,2−オキサチアジン4−オキシドも上記の例示化合物と同様に、オキサチアジン系化合物として用いることができる。
この発明では、これらのオキサチアジン系化合物を単独で、または2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記のオキサチアジン系化合物の中でも、抗菌効果の点および入手し易さの点で、3−ベンゾ[b]チエン−2−イル−5,6−ジヒドロ−1,4,2−オキサチアジン4−オキシドが特に好ましい。この化合物は、例えば、ヤンセン・ファルマスウティカ・エヌ・ヴェー社(ベルギー)から、製品名「ベトキサジン」として提供されている。
この発明で用いられる臭素系工業用殺菌剤は、臭素原子、臭素原子とシアノ基または臭素原子とニトロ基のいずれかを有する化合物であり、例えば、臭素原子を有するブロム酢酸エステル系化合物、臭素原子とシアノ基を有するブロムシアノ系化合物、臭素原子とニトロ基を有するブロモニトロ系化合物などが挙げられる。
ブロム酢酸エステル系化合物としては、1,4−ビス(ブロモアセトキシ)−2−ブテン、1,2−ビス(ブロモアセトキシ)エタン、1,2,3−トリス(ブロモアセトキシ)プロパンおよび1,2−ビス(ブロモアセトキシ)プロパンなどが挙げられる。
ブロムシアノ系化合物としては、2,2−ジブロモ−3−ニトリロプロピオンアミド、2−ブロモ−2−ブロモメチルグルタロニトリルなどが挙げられる。
ブロモニトロ系化合物としては、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール、1,1−ジブロモ−1−ニトロ−2−プロパノール、2,2−ジブロモ−2−ニトロエタノール、1,1−ジブロモ−1−ニトロ−2−アセトキシエタン、1,1−ジブロモ−1−ニトロ−2−アセトキシプロパン、2−ブロモ−2−ニトロ−1,3−ジアセトキシプロパン、トリブロモニトロメタン、6−ブロモ−6−ニトロスチレン、5−ブロモ−5−ニトロ−1,3−ジオキサン、5−ブロモ−2−メチル−5−ニトロ−1,3−ジオキサンなどが挙げられる。
これらの臭素系工業用殺菌剤の中でも、抗菌効果の点で、1,4−ビス(ブロモアセトキシ)−2−ブテン、1,2−ビス(ブロモアセトキシ)エタン、1,2,3−トリス(ブロモアセトキシ)プロパン、1,2−ビス(ブロモアセトキシ)プロパン、2,2−ジブロモ−3−ニトリロプロピオンアミド、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール、2,2−ジブロモ−2−ニトロエタノールおよび2−ブロモ−2−ニトロ−1,3−ジアセトキシプロパンが特に好ましい。
この発明の工業用抗菌剤は、オキサチアジン化合物と臭素系工業用殺菌剤とを、相乗効果を奏する割合で含有する。
オキサチアジン系化合物と臭素系工業用殺菌剤とが配合割合は、重量比で1:100〜10:1であるのが好ましい。この配合割合が上記の範囲であれば、相乗的な殺菌効果が顕著に発揮される。
臭素系工業用殺菌剤がブロム酢酸エステル系化合物である場合には、その配合割合は、重量比で1:10〜2:1であるのが特に好ましい。
臭素系工業用殺菌剤がブロムシアノ系化合物および/またはブロモニトロ系化合物である場合には、その配合割合は、重量比で10:1〜2:1であるのが特に好ましい。
この発明の工業用抗菌剤は、通常液剤の形態で、一液製剤化して用いるのが好ましいが、その抗菌対象系およびその使用目的に応じて、ペースト剤、粉剤、粒剤などに製剤化して用いてもよい。また、製剤の長期貯蔵安定性などの点でそれぞれの有効成分を分離して保管するのが好ましい場合には、有効成分をそれぞれ別々に製剤化し、使用に際してそれらを併用しても差し支えない。
抗菌対象系が製紙工程のプロセス水や工業用冷却水などの各種水系の場合には、有効成分の溶解、分散性を考慮して、有機溶媒および分散剤を用いた液剤とするのが好ましい。
有機溶媒としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、tert−ブタノールなどのアルコール系溶媒;エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテルなどのグリコール系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶媒;ジオキサン、テトラヒドロフラン、エチルエーテルなどのエーテル系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチルなどのエステル系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン、メチルナフタレン、ソルベントナフサなどの芳香族系溶媒;四塩化炭素、クロロホルム、塩化メチレンなどのハロゲン化炭化水素系溶媒;ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリルなどの極性溶媒などが挙げられ、抗菌対象系が水系の場合には、親水性のものが好ましく、油系の場合には、親油性のものが好ましい。これらの溶媒は、単独で、または2種以上を組み合わせて用いてもよい。
分散剤としては、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤または両性界面活性剤をいずれも使用できるが、製剤としての安定性の点でノニオン性界面活性剤が好ましい。
これら製剤の配合割合は、製剤100重量部に対して、この発明の工業用抗菌剤の有効成分の合計量1〜60重量部、残部を有機溶媒とするのが好ましい。また、必要に応じて、分散剤が有効成分の合計1重量部に対して少なくとも0.5重量部配合されていてもよい。
また、抗菌対象系が重油スラッジ、切削油、油性塗料などの油系の場合には、灯油、重油、スピンドル油などの炭化水素溶媒を用いた液剤とするのが好ましく、各種界面活性剤を用いてもよい。
さらに、この発明の工業用抗菌剤の有効成分がそれぞれに直接溶解または分散し得る抗菌対象系に対しては、有効成分を直接、または固体希釈剤(例えば、カオリン、クレー、ベントナイト、CMCなど)で希釈された粉剤として用いてもよく、上記の界面活性剤を併用してもよい。また、有効成分の組み合わせによっては、溶媒や界面活性剤を用いずに有効成分のみを用いてもよい。
この発明の工業用抗菌剤の添加対象としては、紙・パルプ工業における抄紙工程水、各種工業用の冷却水および洗浄水、ならびに金属加工油剤、繊維油剤、ペイント類、各種ラテックス、防汚塗料、紙用塗工液、糊剤、澱粉スラリー、木材などが挙げられる。
この発明の工業用抗菌剤の添加量は、有効成分の組み合わせおよび抗菌対象系の種類により適宜設定すればよいが、この発明の工業用抗菌剤は、有効成分が合計濃度として0.5〜300mg/リットル好ましくは1〜150mg/リットルとなるように同時または別々に添加される。
有効成分の合計濃度が上記の範囲であれば、相乗的な殺菌効果が顕著に発揮される。
例えば、抗菌対象系が紙・パルプ工業における抄紙工程水、各種工業用の冷却水である場合には、有効成分が合計濃度は、0.5〜300mg/リットル、より好ましくは、1〜150mg/リットルである。
この発明の工業用抗菌剤は、抗菌対象系に添加する際に、必要に応じて水に希釈して用いてもよい。
(実施例)
この発明を以下の製剤例および試験例により説明するが、これらの製剤例および試験例により限定されるものではない。
製剤例は各有効成分を各種有機溶媒に混合し、攪拌混合することにより調製することができる。
製剤例および試験例で用いられる化合物の略称を以下に示す。なお、製剤例の化合物の数値は全て重量%である。
ベトキサジン : 3−ベンゾ[b]チエン−2−イル−5,6−ジヒドロ−1,4,2−オキサチアジン4−オキシド
BBAB : 1,4−ビス(ブロモアセトキシ)−2−ブテン
BBAE : 1,2−ビス(ブロモアセトキシ)エタン
TBAP : 1,2,3−トリス(ブロモアセトキシ)プロパン
BBAP : 1,2−ビス(ブロモアセトキシ)プロパン
DBNPA : 2,2−ジブロモ−3−ニトリロプロピオンアミド
BNPD : 2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール
DBNE : 2,2−ジブロモ−2−ニトロエタノール
BNDAP : 2−ブロモ−2−ニトロ−1,3−ジアセトキシプロパン
DCOIT : 4,5−ジクロロ−2−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン
NaPt : ナトリウムピリチオン
MDG : エチレングリコールモノメチルエーテル
製剤例1
ベトキサジン 3
BBAE 10
MDG 87
製剤例2
ベトキサジン 1
BBAE 30
MDG 69
製剤例3
ベトキサジン 3
TBAP 10
MDG 87
製剤例4
ベトキサジン 1
TBAP 30
MDG 69
製剤例5
ベトキサジン 3
BBAP 10
MDG 87
製剤例6
ベトキサジン 1
BBAP 30
MDG 69
製剤例7
ベトキサジン 3
DBNPA 10
MDG 87
製剤例8
ベトキサジン 1
DBNPA 30
MDG 69
製剤例9
ベトキサジン 3
DBNE 7
MDG 90
製剤例10
ベトキサジン 1
DBNE 15
MDG 84
試験例1(殺菌効果確認試験)
供試菌(Pseudomonas aeruginosa)を液体ブイヨン培地に接種し、30℃で18時間振とうして培養液を得た。得られた培養液を新たな液体ブイヨン培地に1%加え、さらに6時間振とうして、種菌として試験に供する培養液を得た。
得られた培養液を滅菌純水に対して1.0%加えて、L字型試験管に10ml分注した。L字型試験管に各薬剤(ベトキサジンとBNPDもしくはBBAB)を所定の濃度になるよう添加し、30℃で3時間振とうした。振とう後、各L字型試験管中の生菌数を測定し、次式により殺菌率を算出した。同様の試験を繰り返して、殺菌率が99.9%以上になる各薬剤の有効成分の濃度を決定した。なお、薬剤無添加の生菌数は、3.2×106cfu/mlであった。
得られた結果を、殺菌率が99.9%以上になる各薬剤の有効成分の濃度をプロットし、図1および2を得た。
Figure 2006282555
図1および図2の試験結果から、この発明の工業用抗菌剤は、細菌に対して有効な殺菌力を有することがわかる。
試験例2(抄紙工程におけるスライム付着防止効果確認試験)
某製紙工場の段ボール原紙の抄紙工程において、バット底部に付着するスライムを採取し、これを用いて試験を行った。このスライムを顕微鏡で観察したところ、細菌のスライムとかびの菌糸が混在していることが確認できた。
抄紙工程水に対して0.5%w/vのスライムを加え、ミキサーを用いてスライムを破砕し、試料とした。試料に含まれる菌種および生菌数、試料のpHを以下に示す。
菌 種(細菌):Psedomonas sp、Sphingomonas sp、Burkholderia sp、
Vibrio sp、Ralstonia sp
(かび):Cladosporium sp、Fusarium sp、Aureobasidium sp
生菌数(細菌):3.4×106cfu/ml
(かび):2.7×104cfu/ml
pH :6.4
容量500mlのビーカーの内壁面にプラスチックワイヤーを巻き付け(外形:φ85mm×90mm)、このビーカーに調製した試料400mlを入れた。ビーカーを恒温槽付きのジャーテスターに設置し、試料を回転数70rpmで撹拌しながら30℃に保持した。
次いで、表1に示す各薬剤を所定の濃度になるように添加して、試料と薬剤とを30分間接触させた後、ゆっくり試料を捨てた。その後、ビーカーに新たに調製した試料400ml入れた。この操作を1日2回、7日間繰り返した。なお、薬剤を添加しないこと以外は上記と同様にして、ブランク試験も行った。
Figure 2006282555
試験終了後、試料を捨て、プラスチックワイヤーに付着したスライムを顕微鏡で観察し、次式によりスライムがワイヤーに付着した割合(付着率)を算出し、表2の基準により評価した。得られた結果を表3に示す。
Figure 2006282555
Figure 2006282555
Figure 2006282555
表2の結果から、この発明の工業用抗菌剤は、製紙工場の抄紙工程で発生するスライムおよびかびに対して、有効な付着防止効果を有することがわかる。
試験例3(エマルション製品における殺菌・防かび効果確認試験)
某社のエマルション製品の腐敗品および正常品を用いて試験を行った。各製品に含まれる細菌とかびの生菌数、各製品のpHを以下に示す。
腐敗品 生菌数(細菌):3.5×106cfu/ml
(かび):3.2×105cfu/ml
pH :6.8
正常品 生菌数(細菌):<102cfu/ml
(かび):<102cfu/ml
pH :6.9
正常品に対して10重量%の腐敗品を加えて攪拌し、得られた混合液を容量30mlのポリ瓶に20gずつ分注した。攪拌直後の細菌およびかびの生菌数は、それぞれ4.2×105cfu/mlおよび2.6×104cfu/mlであった。
次いで、各ポリ瓶に表4に示す各薬剤を所定の濃度になるように添加し、30℃で8日間、静置培養して経日的に生菌数を測定した。なお、1日目および4日目のそれぞれ生菌数の測定後に、種菌として1重量%の腐敗品を添加した。また、薬剤を添加しないこと以外は上記と同様にして、ブランク試験も行った。得られた結果を表5に示す。
Figure 2006282555
Figure 2006282555
表4の結果から、この発明の工業用抗菌剤は、細菌、かびに対して有効な抗菌・防かび性を有し、かつその効果が持続することがわかる。
薬剤(ベトキサジン+BNPD)による殺菌効果確認試験の結果を示す図である(試験例1)。 薬剤(ベトキサジン+BBAB)による殺菌効果確認試験の結果を示す図である(試験例1)。

Claims (4)

  1. 一般式(1):
    Figure 2006282555
    (式中、R1およびR2は、互いに同一または異なって、水素または低級アルキル基を示す)
    で表わされるオキサチアジン系化合物と、臭素原子、臭素原子とシアノ基または臭素原子とニトロ基のいずれかを有する臭素系工業用殺菌剤の少なくとも1種とを相乗効果を奏する割合で含有することを特徴とする工業用抗菌剤。
  2. 臭素系工業用殺菌剤が、1,4−ビス(ブロモアセトキシ)−2−ブテン、1,2−ビス(ブロモアセトキシ)エタン、1,2,3−トリス(ブロモアセトキシ)プロパン、1,2−ビス(ブロモアセトキシ)プロパン、2,2−ジブロモ−3−ニトリロプロピオンアミド、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール、2,2−ジブロモ−2−ニトロエタノールおよび2−ブロモ−2−ニトロ−1,3−ジアセトキシプロパンから選択される少なくとも1種である請求項1に記載の工業用抗菌剤。
  3. オキサチアジン系化合物と臭素系工業用殺菌剤との配合割合が、重量比で1:100〜10:1である請求項1または2に記載の工業用抗菌剤。
  4. 抗菌対象系に、請求項1〜3のいずれか1つに記載の工業用抗菌剤を、有効成分の合計濃度として0.5〜300mg/リットルとなるように同時または別々に添加することを特徴とする工業的抗菌方法。
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