JP2004238338A - 工業用殺菌剤 - Google Patents
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Abstract
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、工業用殺菌剤に関する。詳しくは、紙・パルプ工業における抄紙工程水や、各種工業用の冷却水や洗浄水などの工業用水、重油スラッジ、金属加工油剤、繊維油剤、塗料、ラテックス、接着剤、紙用塗工液、糊剤などの工業原料や工業製品に用いた際に優れた微生物防除効果を発揮する工業用殺菌剤に関する。
【0002】
【技術背景】
従来より、上記した技術分野においては、それらに有害な微生物が繁殖しやすく、生産性や品質、作業性低下の原因となっている。
パルプ工場や製紙工場におけるパルプ調製工程や抄紙工程などにおいて、バクテリア、糸状菌、酵母などの微生物の繁殖によってスライムが形成される。
スライムは、製紙工程中の水を使用するあらゆる部分に付着し、しばしば剥離、離脱し、スクリーンやパイプを詰まらせたり、パルプスラリー中に混入して、紙切れ、あるいは製品汚染の原因となり、品質の低下や種々の障害を発生させ、殊に近年の高速抄紙においては、著しい生産性低下や断紙、損紙などの経済的損失を招く。
【0003】
また近年、パルプ工場や製紙工場などにおいては、サイズ剤、紙力増強剤、歩留まり向上剤などの添加薬剤の使用により、富栄養化や白水回収率の向上が図られ、微生物の繁殖に一層適した環境となっており、特に白水回収率の向上はスライム防除剤に対する耐性菌の出現しやすい状況を作り出し、スライム防除剤の効力低下の原因となっている。
他方、塗料、糊剤、金属加工油剤、繊維加工油剤などの工業製品においても微生物が非常に繁殖しやすく、腐敗した場合、悪臭を発生したり、著しい品質の低下を招いたりするなどの種々の障害を発生させている。
【0004】
当該技術分野において、有害微生物の防除剤としては、例えば、有機金属化合物類、有機塩素化合物類、有機硫黄化合物類、有機窒素化合物類、第四級アンモニウム塩類などが用いられてきた。
しかし、これらの化合物は、人体に有害であるとか、魚介類などに対し悪影響を与えるなど、環境保護上でも問題を生じるものが多く、例えば、2,2−ジブロモ−3−ニトリロプロピオンアミドなどの使用が知られている。この2,2−ジブロモ−3−ニトリロプロピオンアミドなどは、作用に偏りがあるため、微生物に対する効力が不十分であるうえ、シアノ基を有する化合物であるため、作業に際しての人体への影響や排水を介しての動植物などの環境への影響が危惧されている。
【0005】
【発明の目的】
本発明は、これらの問題を解決すべく、人体や環境に与える影響が小さく、しかも広範囲の微生物に有効な工業用殺菌剤を提供することを目的とする。
【0006】
【発明の概要】
本発明者らは、上記目的を達成するために、より広範囲の微生物に有効な工業用殺菌剤について種々検討を行った結果、下記一般式Iで表されるオルトフタルアルデヒドと下記一般式IIで表されるN−置換ベンゾイソチアゾリン系化合物とを共用することにより、優れた微生物防除効果を得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、一般式Iで表されるオルトフタルアルデヒド、および一般式IIで表されるN−置換ベンゾイソチアゾリン系化合物を有効成分として含有することを特徴とする工業用殺菌剤を要旨とし、一般式IIで表されるN−置換ベンゾイソチアゾリン系化合物は、N−ブチルベンゾイソチアゾリン−3−オンであることが好ましい。
下式中、Rは置換基を有していてもよい炭化水素基を示し、ベンゼン環は置換基を有していてもよい。
【0008】
【化4】
一般式I
一般式II
【0009】
また、本発明者らは、上記の工業用殺菌剤を見出すとともに、これに下記の化合物をさらに共用することにより、より優れた微生物防除効果を得られることをも見出している。
すなわち、本発明は、上記の化合物とともに、(1)一般式IIIを有するハロゲン化脂肪族ニトロアルコール,(2)ハロゲン化酢酸エステル,(3)アルキレンローダネイト,(4)チオシアナトチアゾール,(5)ハロゲン化シアノ酢酸アミド,(6)ジスルホール,(7)ヨードメチルスルホン,(8)ハロゲン化アルキルフェニルケトン,(9)ハロゲン化チオフェン,(10)ハロゲン化シアノアルキル,(11)チアジアジン,(12)ベンズイソチアゾリン,(12)アルキルトリアゾール,(14)イミダゾールアミノフォーメート、およびそのスルホン酸塩,(15)N−マレイミド,(16)チアゾリルベンツイミダゾール,(17)チオカーバメイト、およびその塩,(18)チオールピリジンオキシド塩、およびその不溶性塩,(19)ハロゲン化アルキルスルホン,(20)ニトロアルキルモルホリン,(21)アルキレンジアール,(22)ハロゲン化オキシム,(23)ポリアミン,(24)グアニジン塩,(25)ハロゲン化ベンゼンジカルボニトリル,(26)一般式IVを有するイソチアゾリン、およびその塩、(27)アルキルベンズアミドからなる群から選ばれる少なくとも1種を含有していてもよい。
【0010】
【化5】
一般式III
式中、
R2:水素基、ハロゲン基、または−CH(OR4)−R3示す基
R3:水素基、または炭素数1〜3のアルキル基
R4:水素基、またはアセチル基
X:ハロゲン基
【0011】
【化6】
一般式IV
式中、
R5:炭素数1〜8のアルキル基
R6:水素基、ハロゲン基、または炭素数1〜8のアルキル基
R7:水素基、またはハロゲン基
【0012】
本発明の工業用殺菌剤は、上記一般式Iで表されるオルトフタルアルデヒド、および上記一般式IIで表されるN−置換ベンゾイソチアゾリン系化合物(以下、これらの化合物を「[A]成分」と記すことがある)を有効成分として含有する。
一般式Iで表されるオルトフタルアルデヒドは、抗菌剤として常用されているもので、一般に市販されているものを用いればよい。
一般式IIで表される化合物のRは、置換基を有していてもよい炭化水素基を示し、具体的には、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ニトロ基、アルキルチオ基、カルボキシル基またはそのエステル、ハロゲン原子、カルボニル基、シアノ基などの置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基などの炭化水素基を示す。
また、一般式IIで表される化合物のベンゼン環は、置換基を有していてもよく、具体的には、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ニトロ基、アルキルチオ基、カルボキシル基またはそのエステル、ハロゲン原子などの置換基が挙げられる。
一般式IIで表されるN−置換ベンゾイソチアゾリン系化合物の具体例としては、N−ブチルベンゾイソチアゾリン−3−オン、N−フェニルベンゾイソチアゾリン−3−オンなどが挙げられ、中でもN−ブチルベンゾイソチアゾリン−3−オンが好ましい。
【0013】
[A]成分と共用してもよい化合物としては、(1)上記一般式IIIを有するハロゲン化脂肪族ニトロアルコール,(2)ハロゲン化酢酸エステル,(3)アルキレンローダネイト,(4)チオシアナトチアゾール,(5)ハロゲン化シアノ酢酸アミド,(6)ジスルホール,(7)ヨードメチルスルホン,(8)ハロゲン化アルキルフェニルケトン,(9)ハロゲン化チオフェン,(10)ハロゲン化シアノアルキル,(11)チアジアジン,(12)ベンズイソチアゾリン,(13)アルキルトリアゾール,(14)イミダゾールアミノフォーメート、およびそのスルホン酸塩,(15)N−マレイミド,(16)チアゾリルベンツイミダゾール,(17)チオカーバメイト、およびその塩,(18)チオールピリジンオキシド塩、およびその不溶性塩,(19)ハロゲン化アルキルスルホン,(20)ニトロアルキルモルホリン,(21)アルキレンジアール,(22)ハロゲン化オキシム,(23)ポリアミン,(24)グアニジン塩,(25)ハロゲン化ベンゼンジカルボニトリル,(26)上記一般式IVを有するイソチアゾリン、およびその塩、(27)アルキルベンズアミドからなる群から選ばれる少なくとも1種が挙げられる(以下、これらの化合物を「[B]成分」と記すことがある)。
【0014】
[B]成分のうち、好ましい化合物の具体例としては、2,2−ジブロモ−2−ニトロエタノール、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−ジオール、1,1−ジブロモ−1−ニトロ−2−プロパノール、2,2−ジブロモ−2−ニトロ−1−アセトキシエタン、2,2−ジブロモ−2−ニトロ−1−アセトキシプロパン、2−ブロモ−2−ニトロ−1,3−ジアセトキシプロパン、トリブロモニトロメタン、β−ブロモ―β―ニトロスチレン、5−ブロモ−5−ニトロ−1,3−ジオキサン、5−ブロモ−2−メチル−5−ニトロ−1,3−ジオキサン、メチレンビスチオシアネート、4,5−ジクロロ−1,2−ジチオール−3−オン、2,2−ジブロモ−3−ニトリロプロピオンアミド、1,2−ビス−ブロモアセトキシ−2−エタン、1,2−ビス−ブロモアセトキシ−2−ブテン、1,2−ビス−ブロモアセトキシプロパン、p−クロロフェナシルブロマイド、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン、2−メチル−1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン、2−ブチル−1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−ブチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、4,5−ジクロロ−2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2,4,6−トリフルオロイソフタロニトリル、2,4,5,6−テトラクロロイソフタロニトリル、3,3,4,4,−テトラクロロテトラヒドロチオフェン−1,1−ジオキシド、ヘキサブロモジメチルスルホン、1,2−ジブロモ−2,4−ジシアノブタン、ヘキサヒドロ−1,3,5−トリス(2−ヒドロキシエチル)−s−トリアジン、N−マレイミド、N−ブチルベンズアミドなどが挙げられる。
[B]成分は、防除の対象となる微生物により、最も好ましい化合物を選択する。
[B]成分を[A]成分と共用することにより、[A]成分を単独で用いた場合と同等、またはそれ以上の微生物防除効果を得ることができる。
【0015】
[A]成分のうち、一般式Iで表されるオルトフタルアルデヒドと、一般式IIで表されるN−置換ベンゾイソチアゾリン系化合物との配合割合は、重量比で0.1:99.9〜99.9:0.1、好ましくは1:10〜10:1の任意の配合比で用いることができ、防除の対象となる微生物によって、より好ましい配合比を選択する。
【0016】
また、[B]成分を用いる場合、[B]成分が少なすぎれば[B]成分を併用する意義が発現せず、多すぎれば相対的に[A]成分の配合量が少なくなりすぎて[A]成分による殺菌効果を得ることができなくなるため、[A]成分と[B]成分との配合割合は、重量比で1:99〜99:1、好ましくは1:10〜10:1であり、防除の対象となる微生物によって、より好ましい配合比を選択する。
【0017】
さらに、本発明の工業用殺菌剤を殺菌対象に添加する際の濃度は、少なすぎれば殺菌効果を得ることができず、多すぎると効果が飽和するのみならず、本発明の工業用殺菌剤の後処理を要するなどの不都合が発生することがあるため、一般には、0.00001〜3重量%程度であり、好ましくは0.000025〜0.5重量%程度である。
【0018】
本発明の工業用殺菌剤は、[A]成分、またはこれに[B]成分を加えたものを溶媒に溶解し、液剤の形で用いることが望ましいが、場合によってはエマルジョンやサスペンジョンとして製剤することもできる。
また、必要に応じてノニオン系、カチオン系、アニオン系の界面活性剤、消泡剤、酸化防止剤などの安定剤を添加することもできる。
【0019】
溶媒を用いる場合は、プロピレンカーボネートが好ましいが、場合によっては水、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のグリコール類、酢酸エチル、マレイン酸ジメチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、トルエン、キシレン等の芳香族類、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジオキサン等を用いることもできる。これらの溶剤は単独でも良く、また2種以上の混合溶媒でも良い。
【0020】
安定剤として界面活性剤を用いる場合は、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、オキシエチレン・オキシプロピレンブロックポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル系、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキル硫酸エステル塩、第四級アンモニウム塩、ポリオキシエチレンアルキルアミンなどを単独で、または複数を混合して用いることができる。
【0021】
本発明の工業用殺菌剤は、対象物に添加することにより優れた微生物防除効果を発揮する。
この対象物は、工業用水、抄紙工程水、工業用冷却水、工業用設備の循環液、工業用洗浄水などの工業用水、工業用油剤、高分子ラテックス、塗工液、糊料、塗料、金属加工油、印刷インキ、接着剤、サイズ剤、皮革などの工業製品などが主であるが、本発明の工業用殺菌剤は、これらの他にも、微生物防除が必要とされるものの殆どに適用が可能である。
【0022】
なお、一般式IIで表されるN−置換ベンゾイソチアゾリン系化合物は、経時的にジチオ−2,2−ビス(ブチルベンズアミド)を副生する。
これは、一般式IIで表されるN−置換ベンゾイソチアゾリン系化合物が、単独で存在していようと、本発明の工業用殺菌剤である一般式Iで表されるオルトフタルアルデヒドとの合剤であろうと、またこの合剤に他の化合物(例えば、下記の[B]成分)が配合されていようと、同じであり、この副生物は生成してしまう。
しかし、このような副生物の生成があっても、本発明の工業用殺菌剤の効果には何ら影響を及ぼすものではない。
【0023】
【実施例】
〔製剤例〕製剤例の処方を次に示す。なお、製剤例中の部は重量部を意味する。
製剤例1
オルトフタルアルデヒド 10部
N−ブチルベンゾイソチアゾリン−3−オン 5部
プロピレンカーボネート 85部
製剤例2
オルトフタルアルデヒド 10部
N−ブチルベンゾイソチアゾリン−3−オン 5部
メチレンビスチオシアネート 3部
プロピレンカーボネート 82部
製剤例3
オルトフタルアルデヒド 10部
N−ブチルベンゾイソチアゾリン−3−オン 5部
1,2−ビス−ブロモアセトキシ−2−ブテン 10部
プロピレンカーボネート 75部
製剤例4
オルトフタルアルデヒド 10部
N−ブチルベンゾイソチアゾリン−3−オン 5部
2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン 5部
プロピレンカーボネート 80部
製剤例5
オルトフタルアルデヒド 10部
N−フェニルベンゾイソチアゾリン−3−オン 5部
プロピレンカーボネート 85部
製剤例6
オルトフタルアルデヒド 10部
N−フェニルベンゾイソチアゾリン−3−オン 5部
メチレンビスチオシアネート 3部
プロピレンカーボネート 82部
製剤例7
オルトフタルアルデヒド 10部
N−フェニルベンゾイソチアゾリン−3−オン 5部
1,2−ビス−ブロモアセトキシ−2−ブテン 20部
プロピレンカーボネート 65部
比較製剤例1
オルトフタルアルデヒド 15部
プロピレンカーボネート 85部
比較製剤例2
N−ブチルベンゾイソチアゾリン−3−オン 15部
プロピレンカーボネート 85部
比較製剤例3
オルトフタルアルデヒド 10部
2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン 5部
プロピレンカーボネート 85部
比較製剤例4
2,2−ジブロモ−3−ニトリロプロピオンアミド 10部
N−ブチルベンゾイソチアゾリン−3−オン 5部
プロピレンカーボネート 85部
比較製剤例5
N−フェニルベンゾイソチアゾリン−3−オン 15部
プロピレンカーボネート 85部
比較製剤例6
2,2−ジブロモ−3−ニトリロプロピオンアミド 10部
N−フェニルベンゾイソチアゾリン−3−オン 5部
プロピレンカーボネート 85部
【0024】
実施例1(微生物最小発育阻止濃度の測定)
製剤例1、5、比較製剤例1、2、5で調製した本発明および比較の工業用殺菌剤を、それぞれジメチルスルホキシド、および滅菌水にて希釈し、0.5、1、5、10、20、30、40、50、60、70、100、330、660、1000ppmになるようにそれぞれシャーレに添加し、普通寒天培地(細菌類)、サブロー寒天培地(黴、酵母類)に混合して平板培地を調製した。
この平板培地に予め前培養して106個/mL程度に希釈調整した表1の供試微生物懸濁液を一白金耳量接種し、細菌類は37℃にて48時間、黴・酵母類は28℃にて7日間静置培養した後、これらの供試微生物に対する最小発育阻止濃度を測定した。結果を表2,表3に示す。
【0025】
【表1】
供試微生物
バシラス サブチリス(Bacillus subtilis)
IFO−3134(Bs、細菌)
エシェリヒア コリ(Escherichia coli)
IFO−3806(EC、細菌)
クレブシエラ ニューモニア(Klebsiella pneumoniae)
IFO−3319(Kp、細菌)
シュードモナス アエルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa)
IFO−12689T(Pa、細菌)
スタフィロコッカス オーレウス(Staphylococcus aureus)
IFO−12732(Sa、細菌)
アスペギルス ニガー(Aspergillus niger)
IFO−6341(An、黴類)
ペニシリウム シトリウム(Penicillium citrinum)
IFO−6352(Pc、黴類)
グリオクラジウム ビレンス(Gliocladium virens)
IFO−6355(Gv、黴類)
デバリオマイセス ハンセニイ(Debaryomyces hansenii)
IFO−1084(Dh、酵母)
ゲオトリウム キャンデタム (Geotrichum candidum)
IFO−4598(Gc、酵母)
【0026】
【表2】
【0027】
【表3】
【0028】
表2、表3から明らかなように、本発明の工業用殺菌剤である製剤例1、5は、その有効成分2種をそれぞれ単独で用いた比較製剤例1、2、5に比べて供試微生物の生育阻止作用が増大している。
【0029】
実施例2
A製紙株式会社の製紙工程から採取した白水(生菌数:7.8×107/mL)10mLを三角フラスコに取り、製剤例1〜7、比較製剤例3、4、6で調製した本発明および比較の工業用殺菌剤を、それぞれ20、40ppmになるように添加して32℃にて振盪培養し、30分後と1時間後の生菌数を測定した。
生菌数測定は、普通寒天培地を用い、平板混釈法で33℃にて2日間培養することにより行った。
また、比較のため、白水10mL以外は何も添加していないもの(ブランク)についても同様の検討を行った。
これらの結果を表4に示す。
【0030】
【表4】
【0031】
表4から明らかなように、全ての薬剤で有効な殺菌作用が見られたが、本発明による製剤例1〜5は、比較製剤例3、4,6に比較して明らかな殺菌作用の増大が見られた。
【0032】
実施例3
B製紙株式会社の製紙工程から採取した白水(生菌数:8.6×105個/mL)と、SCD(ソイビーン・カゼイン・ダイジェスト)培地と、製剤例1〜7または比較製剤例3、4、6の希釈液とを、7:2:1(v/v)で混合し、各製剤例がそれぞれ20ppm、40ppmとなるように調整したものを培養液とした。
この培養液5mLを培養セルに取り、33℃で振盪培養しながら、650nmにおける吸光度変化を経時的に測定して発育抑制時間を算出した。
発育抑制時間は、薬剤を添加した培養液の吸光度変化(上昇分)が0.10までに要した時間から、ブランク(培養液5mL以外は何も添加していないもの)が0.10に達するまでに要した時間を差し引いて算出した。
この結果を表5に示す。
なお、供試薬剤の効力が強いほど、発育抑制時間は長くなる。
また、吸光度測定には大岳製作所製・微生物増殖曲線自記装置“Bio Scanner OT−BS−48”を使用した。
【0033】
【表5】
【0034】
表5に示したように、製剤例1〜7は、比較製剤例3、4、6に比べて発育抑制時間が長く、菌の発育阻止作用が増大していることが確認された。
【0035】
実施例4
ラテックス(C社製)99重量部に、同製品の腐敗物(生菌数:細菌5.2×107個/mL、真菌(黴、酵母)7.8×104個/mL)を1重量部加え試料とした。
この試料に製剤例1〜7、比較製剤例3、4、6をそれぞれ500ppm、1000ppmになるように添加して、30℃の恒温器に保存し、1週間毎に細菌、および真菌の生菌数を測定した。
また、各回の生菌数測定後毎に培養開始時と同様に腐敗物を1重量部加えた。
生菌数測定は、細菌は普通寒天培地、真菌はサブロー寒天培地を用いた平板混釈法で、細菌は32℃にて2日間、真菌は28℃にて5日間培養することにより行った。
更に、比較のため、試料以外は何も添加していないもの(ブランク)についても同様の検討を行った。結果を表6〜9に示す。
【0036】
【表6】
【0037】
【表7】
【0038】
【表8】
【0039】
【表9】
【0040】
【表10】
【0041】
【表11】
【0042】
【表12】
【0043】
表6〜12に示したように、製剤例1〜7は全て試験開始から4週間過ぎても腐敗は起きず、少量の添加にても優れた細菌、真菌の発育阻止作用が認められるのに対し、比較製剤例3、4、6は発育阻止作用が弱いことが確認される。
一方、薬剤を添加していないラテックスは、5日で悪臭を放って腐敗した。
【0044】
実施例5
エマルジョン型繊維油剤(D社製)を滅菌水で20倍に希釈したもの99重量部に、同製品の腐敗物を希釈したもの(生菌数:細菌2.5×106/mL、真菌2.1×103/mL)を1重量部加え試料とした。
この試料に製剤例1〜7、比較製剤3、4、6をそれぞれ400、800ppmになるように添加して、30℃の恒温器に保存し、1週間毎に細菌、真菌(黴、酵母)の生菌数を測定した。
また、各回の生菌数測定後毎に培養開始時と同様に腐敗物を1重量部加えた。
生菌数測定は、細菌は普通寒天培地、真菌はサブロー寒天培地を用いた平板混釈法で、細菌は32℃にて2日間、真菌は28℃にて5日間培養することにより行った。
更に、比較のため、試料以外は何も添加していないもの(ブランク)についても同様の検討を行った。
これらの結果を表13〜19に示す。
【0045】
【表13】
【0046】
【表14】
【0047】
【表15】
【0048】
【表16】
【0049】
【表17】
【0050】
【表18】
【0051】
【表19】
【0052】
表10〜19に示したように、本発明による製剤例1〜7は全て試験開始から4週間過ぎても腐敗は起きず、少量の添加にても優れた細菌、真菌の発育阻止作用が認められるのに対し、比較製剤例3、4、6は発育阻止作用が弱いことが確認される。一方、薬剤を添加していない試料は、5日で悪臭を放って腐敗した。
【0053】
【発明の効果】
本発明の工業用殺菌剤は、対象物に少量添加するのみで、長時間に渡り、かつ広範囲に及ぶ微生物の増殖を防止し、優れた微生物防除作用を発揮する。
そして、少量の添加で、長時間に渡って、広範囲の微生物の増殖を防止することができる結果として、人体や環境に与える影響を軽減させることができる。
Claims (3)
- 一般式IIで表されるN−置換ベンゾイソチアゾリン系化合物が、N−ブチルベンゾイソチアゾリン−3−オンであることを特徴とする請求項1に記載の工業用殺菌剤。
- さらに、(1)一般式IIIを有するハロゲン化脂肪族ニトロアルコール,(2)ハロゲン化酢酸エステル,(3)アルキレンローダネイト,(4)チオシアナトチアゾール,(5)ハロゲン化シアノ酢酸アミド,(6)ジスルホール,(7)ヨードメチルスルホン,(8)ハロゲン化アルキルフェニルケトン,(9)ハロゲン化チオフェン,(10)ハロゲン化シアノアルキル,(11)チアジアジン,(12)ベンズイソチアゾリン,(13)アルキルトリアゾール,(14)イミダゾールアミノフォーメート、およびそのスルホン酸塩,(15)N−マレイミド,(16)チアゾリルベンツイミダゾール,(17)チオカーバメイト、およびその塩,(18)チオールピリジンオキシド塩、およびその不溶性塩,(19)ハロゲン化アルキルスルホン,(20)ニトロアルキルモルホリン,(21)アルキレンジアール,(22)ハロゲン化オキシム,(23)ポリアミン,(24)グアニジン塩,(25)ハロゲン化ベンゼンジカルボニトリル,(26)一般式IVを有するイソチアゾリン、およびその塩、(27)アルキルベンズアミドからなる群から選ばれる少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の工業用殺菌剤。
【化2】
一般式III
式中、
R2:水素基、ハロゲン基、または−CH(OR4)−R3示す基
R3:水素基、または炭素数1〜3のアルキル基
R4:水素基、またはアセチル基
X:ハロゲン基
【化3】
一般式IV
式中、
R5:炭素数1〜8のアルキル基
R6:水素基、ハロゲン基、または炭素数1〜8のアルキル基
R7:水素基、またはハロゲン基
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