JP2006276661A - 偏光子の製造方法、偏光子、偏光板、光学フィルムおよび画像表示装置 - Google Patents

偏光子の製造方法、偏光子、偏光板、光学フィルムおよび画像表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 高い偏光度を持ち、かつ高い透過率を有する、ポリビニルアルコール系フィルムからなるヨウ素系偏光子の実用的な製造方法を提供すること。
【解決手段】 ポリビニルアルコール系フィルムに、一軸延伸処理工程およびヨウ素染色処理工程を少なくとも含む偏光子の製造方法において、ヨウ素染色処理工程を施す前に、ポリビニルアルコール系フィルムに、高エネルギー線を照射する工程を有することを特徴とする偏光子の製造方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、偏光子の製造方法に関する。また本発明は当該製造方法により得られた偏光子、偏光子を用いた偏光板、光学フィルムに関する。さらには当該偏光板、光学フィルムを用いた液晶表示装置、有機EL表示装置、PDP等の画像表示装置に関する。
液晶表示装置等の画像表示装置は、電子卓上計算機、時計、パーソナルコンピュター、ワードプロセッサ、テレビ、計器類、カーナビゲーションシステムや自動車インスツルメント等の構成要素として広く使用されている。このような、液晶表示装置は、通常、液晶の配向変化を可視化させるための偏光板を備えている。偏光板は、液晶表示装置の表示特性に非常に大きな影響を及ぼすものである。
偏光板としては、一般的に、ヨウ素や有機染料等の二色性物質を吸着配向させたポリビニルアルコール系フィルム等の偏光子の両面に、トリアセチルセルロースフィルム等の保護フィルムを積層したもの等が用いられている。当該偏光板が、高い偏光性能が必要な用途に用いられる場合には、偏光子としては、二色性物質としてヨウ素を含有する偏光子が用いられている。
近年では、液晶表示装置の高性能化が進み、高い視認性を得るために液晶パネルにはコントラストの向上が求められている。すなわち、黒はより黒く、白はより白く明るいことが望まれており、それに伴い、偏光子の偏光性能の更なる向上が求められている。したがって、偏光性能としては、高い偏光度を持ちながら、高い透過率を有することが非常に重要となっている。
このような偏光板を得るために、これまでに多くの方法が提案されている。例えば、高重合度のポリビニルアルコールを用いたフィルムを一軸延伸してなる偏光子が提案されている(特許文献1、特許文献2参照)。また、シンジオタクティシティー45モル%以上50モル%未満、重合度が1000〜30000のポリビニルアルコールを用いたフィルムを一軸延伸してなる偏光子が提案されている(特許文献3参照)。また、ポリビニルアルコール系フィルムのホウ素化合物中での処理工程中に二段延伸を行う方法が提案されている(特許文献4参照)。また、ポリビニルアルコール系フィルムの染色工程またはそれ以前の工程での延伸倍率とホウ素化合物処理工程中での延伸倍率とが特定の関係になるように二段延伸を行う方法が提案されている(特許文献5参照)。また、二段延伸の提案に加えて、一浴目の浴温度を二浴目の浴温度よりも高くする方法が提案されている(特許文献6参照)。
前記方法の中で、高重合度のポリビニルアルコールを用いる方法は、特性の向上に最も効果的であるが、重合度の高いポリビニルアルコールやタクティシティーを偏らせたポリビニルアルコールを用いる方法では、製膜前の溶液が室温放置下で不安定であったり、均一な製膜が難しかったりするため、実用的ではない。またホウ素化合物中において二段延伸を行う方法も効果があるが、通常用いられている偏光子に比べて、特性を上げるには限界があった。
特許第2543748号明細書 特許第2631403号明細書 特許第3317494号明細書 特許第2512408号明細書 特許第3392196号明細書 特開2003−240945号公報
本発明は、高い偏光度を持ち、かつ高い透過率を有する、ポリビニルアルコール系フィルムからなるヨウ素系偏光子の実用的な製造方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、当該製造方法により得られた偏光子、当該偏光子を用いた偏光板、光学フィルムを提供することを目的とする。さらには当該偏光板、光学フィルムを用いた画像表示装置を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、以下に示す偏光子の製造方法により前記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、ポリビニルアルコール系フィルムに対し、一軸延伸処理工程およびヨウ素染色処理工程を少なくとも含む偏光子の製造方法において、
ヨウ素染色処理工程を施す前に、ポリビニルアルコール系フィルムに、高エネルギー線を照射する工程を有することを特徴とする偏光子の製造方法、に関する。
上記本発明の製造方法では、高エネルギー線照射工程を、ポリビニルアルコール系フィルムを水中に浸漬した状態で行うことが好ましい。
上記本発明の製造方法では、高エネルギー線が、電子線であり、その照射量が、50〜500kGyであることが好ましい。
また本発明は、前記製造方法により得られた偏光子、に関する。
また本発明は、前記偏光子の少なくとも片面に、透明保護層を設けた偏光板、に関する。
また本発明は、前記偏光板が、少なくとも1枚積層されていることを特徴とする光学フィルム、に関する。
さらに本発明は、前記偏光板または前記光学フィルムが用いられていることを特徴とする画像表示装置、に関する。
本発明では、ポリビニルアルコール系フィルムに一軸延伸処理工程およびヨウ素染色処理工程を施したヨウ素系偏光子を製造するに際して、ヨウ素染色処理を施す前に、ポリビニルアルコール系フィルムに高エネルギー線を照射することにより、ポリビニルアルコール系フィルムを架橋させている。かかる架橋によって、ヨウ素染色処理が効果的に行われるものと推測され、高い偏光度を持ち、かつ高い透過率を有するポリビニルアルコール系フィルムからなるヨウ素系偏光子が得られる。
かかる偏光子またはこれを用いた偏光板、さらには、位相差板、反射板、半透過反射板、視覚補償フィルム、輝度向上フィルム等を積層した光学フィルムを画像表示装置に適用することにより、特性を向上できる。特に、液晶表示装置においては、液晶パネルのコントラストが向上するとともに、単体透過率が高いため、コントラストを下げることなく、同じ電力量での輝度が大幅に向上する。また、これまでと同様の輝度に設定するならば、消費電力を抑えることができる。
本発明の偏光子に適用されるポリビニルアルコール系フィルムの材料には、ポリビニルアルコールまたはその誘導体が用いられる。ポリビニルアルコールの誘導体としては、ポリビニルホルマール、ポリビニルアセタール等があげられる他、エチレン、プロピレン等のオレフィン、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸等の不飽和カルボン酸そのアルキルエステル、アクリルアミド等で変性したものがあげられる。ポリビニルアルコールの重合度は、1000〜10000程度、ケン化度は80〜100モル%程度のものが一般に用いられる。
前記ポリビニルアルコール系フィルム中には可塑剤等の添加剤を含有することもできる。可塑剤としては、ポリオールおよびその縮合物等があげられ、たとえばグリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等があげられる。可塑剤の使用量は、特に制限されないがポリビニルアルコール系フィルム中20重量%以下とするのが好適である。
前記ポリビニルアルコール系フィルム(未延伸フィルム)は、常法に従って、少なくとも、一軸延伸処理工程およびヨウ素染色処理工程が施されるが、ヨウ素染色処理工程を施す前に、ポリビニルアルコール系フィルムに、高エネルギー線を照射する工程を有する。本発明では、高エネルギー線照射によりポリビニルアルコール系フィルムを架橋させている。
プラスチックフィルムに、高エネルギー線を照射して架橋することは知られているが、高エネルギー線の照射は、架橋反応を生じさせるとともに、崩壊反応がともに生じる場合が多い。例えば、アクリル系ポリマーでは架橋反応が起こりやすく、メタクリル系ポリマーでは崩壊反応が起こりやすいことが知られている。また、高エネルギー線照射による架橋反応を優先させる条件としては、例えば、加熱しながら照射する方法、水の共存下で照射する方法、酸素の供給されにくい状態で照射する方法等があげられる。したがって、本発明においては、ポリビニルアルコール系フィルムの架橋反応を優先するように、前記条件のなかの少なくとも1つの条件を満足する状態で高エネルギー線照射を行うことが好ましい。特にポリビニルアルコール系フィルムは、親水性が高いため、水の共存下で高エネルギー線を照射することが好ましい。例えば、ポリビニルアルコール系フィルムを水中に浸漬した状態で高エネルギー線を照射するのが好ましい。なお、ポリビニルアルコール系フィルムを浸漬する水浴の温度は、特に限定されるものではないが、15〜55℃、さらには20〜40℃とするのが好ましい。
高エネルギー線照射工程に用いられる、高エネルギー線としては、例えば、γ線、X線、中性子線、電子線などがあげられる。これらのなかでも、電子線が好ましい。高エネルギー線として電子線を用いる場合、その照射量は主に使用するポリビニルアルコール系フィルムの厚みに依存するが、通常は、50〜500kGy程度、好ましくは120〜380kGy、さらに好ましくは200〜300kGyである。照射量が低すぎると、電子線が保護フィルムを透過する際に減衰して、フィルム架橋を十分でない場合があり、一方、照射量が多すぎると、フィルムの崩壊が生じる可能性がある。
ヨウ素染色処理は、高エネルギー線照射処理が施された上記フィルムに対して行う。ヨウ素染色処理は、上記フィルムをヨウ素溶液に浸漬することにより一般に行われる。ヨウ素溶液として用いられるヨウ素水溶液は、ヨウ素の他に、溶解助剤として例えばヨウ化カリウム等によりヨウ素イオンを含有させた水溶液などが用いられる。ヨウ素濃度は0.01〜1重量%程度、好ましくは0.02〜0.5重量%であり、ヨウ化カリウム濃度は0.01〜10重量%程度、さらには0.02〜8重量%で用いるのが好ましい。
ヨウ素染色処理にあたり、ヨウ素溶液の温度は、通常20〜50℃程度、好ましくは25〜40℃である。浸漬時間は通常10〜300秒間程度、好ましくは20〜240秒間の範囲である。
なお、必要に応じて、ヨウ素染色処理の前にポリビニルアルコール系フィルムを水に浸漬して、水洗してもよい。前記水中への浸漬は、高エネルギー線照射処理とともに行うことができる。ポリビニルアルコール系フィルムを水洗することで、ポリビニルアルコール系フィルム表面の汚れやブロッキング防止剤を洗浄することができるほかに、ポリビニルアルコール系フィルムを膨潤させることで染色のムラなどの不均一を防止する効果もある。
一軸延伸処理における延伸方法は特に制限されず、湿潤延伸法と乾式延伸法のいずれも採用できる。乾式延伸法の延伸手段としては、たとえば、ロール間延伸方法、加熱ロール延伸方法、圧縮延伸方法等があげられる。前記乾式延伸法において、未延伸フィルムは、通常、加熱状態とされる。湿式延伸法の延伸手段としては、たとえば、フィルムを延伸した後に、水溶液中でのロール間延伸方法等があげられる。延伸は多段で行うこともできる。通常、未延伸フィルムは厚さ30〜150μm程度のものが用いられる。延伸フィルムの延伸倍率は目的に応じて適宜に設定できるが、総延伸倍率は2〜7倍程度、好ましくは3〜6.5倍、さらに好ましくは3.5〜6倍とするのが望ましい。延伸フィルムの厚さは5〜40μm程度が好適である。
一軸延伸処理は、ヨウ素染色処理前、ヨウ素染色処理中、ヨウ素染色処理後の何れの段階で行ってもよい。また、一軸延伸処理は、複数の工程で施すこともでき、例えば、ヨウ素染色処理前、ヨウ素染色処理時、ヨウ素染色処理の後の2段階または3段階の工程で施すことができる。
また、高エネルギー線処理は、ヨウ素染色処理前であれば、一軸延伸処理前、一軸延伸処理中、一軸延伸処理後の何れの段階で行ってもよい。なお、高エネルギー線処理を、ヨウ素染色処理後に行うと、ヨウ素が分解してしまい好ましくない。
本発明の偏光子の製造方法では、上記工程の他に、ホウ酸処理工程、金属イオン処理工程、ヨウ素イオン処理工程等を施すことができる。
ホウ酸処理は、ホウ酸水溶液へポリビニルアルコール系フィルムを浸漬することにより行う。ホウ酸水溶液中のホウ酸濃度は、2〜15重量%程度、好ましくは3〜10重量%である。ホウ酸水溶液中には、ヨウ化カリウムによりカリウムイオンおよびヨウ素イオンを含有させることができる。ホウ酸水溶液中のヨウ化カリウム濃度は0.5〜10重量%程度、さらには1〜8重量%とするのが好ましい。ヨウ化カリウムを含有するホウ酸水溶液は、着色の少ない偏光子、即ち可視光のほぼ全波長域に亘って吸光度がほぼ一定のいわゆるニュートラルグレーの偏光子を得ることができる。
ホウ酸処理にあたり、ホウ酸水溶液の温度は例えば30℃以上、好ましくは40〜85℃の範囲である。浸漬時間は、通常、1〜1200秒間、好ましくは10〜600秒間、さらに好ましくは20〜500秒程度である。ホウ酸処理を施す段階は、ヨウ素染色処理の後である。また、ホウ酸処理は一軸延伸中または延伸後に行われる。ホウ酸処理は複数回行なってもよい。
金属イオン処理は、金属塩を含む水溶液に、ポリビニルアルコール系フィルムを浸漬することにより行う。金属イオン処理により、種々の金属イオンをポリビニルアルコール系フィルム中に含有させる。
金属イオンとしては、特に色調調整や耐久性付与の点からコバルト、ニッケル、亜鉛、クロム、アルミニウム、銅、マンガン、鉄などの遷移金属の金属イオンが好ましく用いられる。これら金属イオンのなかでも、色調調整や耐熱性付与などの点から亜鉛イオンが好ましい。亜鉛塩としては、塩化亜鉛、ヨウ化亜鉛などのハロゲン化亜鉛、硫酸亜鉛、酢酸亜鉛などがあげられる。
金属イオン処理には、金属塩溶液が用いられる。以下金属イオン処理のなかでも、亜鉛塩水溶液を用いた場合の代表例として、亜鉛含浸処理について説明する。
亜鉛塩水溶液中の亜鉛イオンの濃度は、0.1〜10重量%程度、好ましくは0.3〜7重量%の範囲である。また、亜鉛塩溶液はヨウ化カリウム等によりカリウムイオンおよびヨウ素イオンを含有させた水溶液を用いるのが亜鉛イオンを含浸させやすく好ましい。亜鉛塩溶液中のヨウ化カリウム濃度は0.5〜10重量%程度、さらには1〜8重量%とするのが好ましい。
亜鉛含浸処理にあたり、亜鉛塩溶液の温度は、通常15〜85℃程度、好ましくは25〜70℃である。浸漬時間は通常1〜120秒程度、好ましくは3〜90秒間の範囲である。亜鉛含浸処理にあたっては、亜鉛塩溶液の濃度、ポリビニルアルコール系フィルムの亜鉛塩溶液への浸漬温度、浸漬時間等の条件を調整することによりポリビニルアルコール系フィルムにおける亜鉛含有量が前記範囲になるように調整する。亜鉛含浸処理の段階は特に制限されず、ヨウ素染色処理の前でもよく、ヨウ素染色処理後のホウ酸水溶液への浸漬処理の前、ホウ酸処理中、ホウ酸処理後でもよい。またヨウ素染色溶液中に亜鉛塩を共存させておいて、ヨウ素染色処理と同時に行ってもよい。また亜鉛含浸処理とともに一軸延伸処理を行なうことができうる。また、亜鉛含浸処理は複数回行なってもよい。なお、亜鉛含浸処理(金属イオン処理)は高エネルギー線照射処理後である。
前記処理の施されたポリビニルアルコール系フィルム(延伸フィルム)は、表面に析出物が発生する場合があり、常法に従って、洗浄工程、乾燥工程に供することができる。
洗浄工程は、例えば、水により行うことができる。水洗浄工程は、通常、純水にポリビニルアルコール系フィルムを浸漬することにより行う。水洗浄温度は、通常、5〜50℃、好ましくは10〜45℃、さらに好ましくは15〜40℃の範囲である。浸漬時間は、通常、10〜300秒間、好ましくは20〜240秒間程度である。
また洗浄工程は、ヨウ化カリウム等によるヨウ素イオン処理を行うことができる。ヨウ素イオン処理には、たとえば、ヨウ化カリウム等によりヨウ素イオンを含有させた水溶液を用いる。ヨウ化カリウム濃度は0.5〜10重量%程度、さらには1〜8重量%とするのが好ましい。ヨウ素イオン含浸処理にあたり、その水溶液の温度は、通常15〜60℃程度、好ましくは25〜40℃である。浸漬時間は通常1〜120秒程度、好ましくは3〜90秒間の範囲である。ヨウ素イオン処理の段階は、乾燥工程前であれば特に制限はない。ヨウ素イオン処理は、水洗浄と組み合わせて行うことができ、水洗浄の前または後において行うことができる。
また洗浄工程には、前記の他、ホウ酸、亜鉛塩等の金属塩を含有することもできる。
乾燥工程は、通常、20〜75℃、好ましくは25〜70℃にて、1〜5分間程度乾燥させることにより行なう。乾燥により偏光子が得られる。乾燥は、フィルムの変形や、色相が著しく変化しない条件で実施することができる。
得られた偏光子は、常法に従って、その少なくとも片面に透明保護層を設けた偏光板とすることができる。透明保護層はポリマーによる塗布層として、またはフィルムのラミネート層等として設けることができる。透明保護フィルムを形成する、透明ポリマーまたはフィルム材料としては、適宜な透明材料を用いうるが、透明性や機械的強度、熱安定性や水分遮断性などに優れるものが好ましく用いられる。前記透明保護フィルムを形成する材料としては、例えばポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル系ポリマー、二酢酸セルロースや三酢酸セルロース等のセルロース系ポリマー、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系ポリマー、ポリスチレンやアクリロニトリル・スチレン共重合体(AS樹脂)等のスチレン系ポリマー、ポリカーボネート系ポリマーなどがあげられる。また、ポリエチレン、ポリプロピレン、シクロ系ないしはノルボルネン構造を有するポリオレフィン、エチレン・プロピレン共重合体の如きポリオレフィン系ポリマー、塩化ビニル系ポリマー、ナイロンや芳香族ポリアミド等のアミド系ポリマー、イミド系ポリマー、スルホン系ポリマー、ポリエーテルスルホン系ポリマー、ポリエーテルエーテルケトン系ポリマー、ポリフェニレンスルフィド系ポリマー、ビニルアルコール系ポリマー、塩化ビニリデン系ポリマー、ビニルブチラール系ポリマー、アリレート系ポリマー、ポリオキシメチレン系ポリマー、エポキシ系ポリマー、あるいは前記ポリマーのブレンド物なども前記透明保護フィルムを形成するポリマーの例としてあげられる。透明保護フィルムは、アクリル系、ウレタン系、アクリルウレタン系、エポキシ系、シリコーン系等の熱硬化型、紫外線硬化型の樹脂の硬化層として形成することもできる。
また、特開2001−343529号公報(WO01/37007)に記載のポリマーフィルム、たとえば、(A)側鎖に置換および/または非置換イミド基を有する熱可塑性樹脂と、(B)側鎖に置換および/または非置換フェニルならびにニトリル基を有する熱可塑性樹脂を含有する樹脂組成物があげられる。具体例としてはイソブチレンとN−メチルマレイミドからなる交互共重合体とアクリロニトリル・スチレン共重合体とを含有する樹脂組成物のフィルムがあげられる。フィルムは樹脂組成物の混合押出品などからなるフィルムを用いることができる。これらのフィルムは位相差が小さく、光弾性係数が小さいため偏光板の歪みによるムラなどの不具合を解消することができ、また透湿度が小さいため、加湿耐久性に優れる。
保護フィルムの厚さは、適宜に決定しうるが、一般には強度や取扱性等の作業性、薄層性などの点より1〜500μm程度である。特に1〜300μmが好ましく、5〜200μmがより好ましい。
また、保護フィルムは、できるだけ色付きがないことが好ましい。したがって、Rth=(nx−nz)・d(ただし、nxはフィルム平面内の遅相軸方向の屈折率、nzはフィルム厚方向の屈折率、dはフィルム厚みである)で表されるフィルム厚み方向の位相差値が−90nm〜+75nmである保護フィルムが好ましく用いられる。かかる厚み方向の位相差値(Rth)が−90nm〜+75nmのものを使用することにより、保護フィルムに起因する偏光板の着色(光学的な着色)をほぼ解消することができる。厚み方向位相差値(Rth)は、さらに好ましくは−80nm〜+60nm、特に−70nm〜+45nmが好ましい。
保護フィルムとしては、偏光特性や耐久性などの点より、トリアセチルセルロース等のセルロース系ポリマーが好ましい。特にトリアセチルセルロースフィルムが好適である。一方、トリアセチルセルロースなどの保護フィルムは、厚み方向の位相差値Rthが大きく、色付きが問題となるが、イソブチレンとN−メチルマレイミドからなる交互共重合体とアクリロニトリル・スチレン共重合体とを含有する樹脂組成物等は、厚み方向の位相差値Rthが30nm以下のものを使用可能であり、色付きをほぼ解消することができる。なお、偏光子の両側に保護フィルムを設ける場合、その表裏で同じポリマー材料からなる保護フィルムを用いてもよく、異なるポリマー材料等からなる保護フィルムを用いてもよい。
前記透明保護フィルムの偏光子を接着させない面には、ハードコート層や反射防止処理、スティッキング防止や、拡散ないしアンチグレアを目的とした処理を施したものであってもよい。
ハードコート処理は偏光板表面の傷付き防止などを目的に施されるものであり、例えばアクリル系、シリコーン系などの適宜な紫外線硬化型樹脂による硬度や滑り特性等に優れる硬化皮膜を透明保護フィルムの表面に付加する方式などにて形成することができる。反射防止処理は偏光板表面での外光の反射防止を目的に施されるものであり、従来に準じた反射防止膜などの形成により達成することができる。また、スティッキング防止処理は隣接層との密着防止を目的に施される。
またアンチグレア処理は偏光板の表面で外光が反射して偏光板透過光の視認を阻害することの防止等を目的に施されるものであり、例えばサンドブラスト方式やエンボス加工方式による粗面化方式や透明微粒子の配合方式などの適宜な方式にて透明保護フィルムの表面に微細凹凸構造を付与することにより形成することができる。前記表面微細凹凸構造の形成に含有させる微粒子としては、例えば平均粒径が0.5〜50μmのシリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化錫、酸化インジウム、酸化カドミウム、酸化アンチモン等からなる導電性のこともある無機系微粒子、架橋又は未架橋のポリマー等からなる有機系微粒子などの透明微粒子が用いられる。表面微細凹凸構造を形成する場合、微粒子の使用量は、表面微細凹凸構造を形成する透明樹脂100重量部に対して一般的に2〜50重量部程度であり、5〜25重量部が好ましい。アンチグレア層は、偏光板透過光を拡散して視角などを拡大するための拡散層(視角拡大機能など)を兼ねるものであってもよい。
なお、前記反射防止層、スティッキング防止層、拡散層やアンチグレア層等は、透明保護フィルムそのものに設けることができるほか、別途光学層として透明保護層とは別体のものとして設けることもできる。
前記偏光子と透明保護フィルムとの接着処理には、接着剤が用いられる。接着剤としては、イソシアネート系接着剤、ポリビニルアルコール系接着剤、ゼラチン系接着剤、ビニル系ラテックス系、水系ポリエステル等を例示できる。前記接着剤は、通常、水溶液からなる接着剤として用いられ、通常、0.5〜60重量%の固形分を含有してなる。接着剤には、架橋剤を含有させることができる。また、他の添加剤や、酸等の触媒を配合することができる。接着剤としては、ポリビニルアルコール系フィルムとの接着性が良好なポリビニルアルコール系接着剤が好適である。ポリビニルアルコール系接着剤に好適な架橋剤としては、ホウ酸、ホウ砂、グルタルアルデヒド、メラミン、シュウ酸などを用いることができる。
本発明の偏光板は、前記透明保護フィルムと偏光子を、前記接着剤を用いて貼り合わせることにより製造する。接着剤の塗布は、透明保護フィルム、偏光子のいずれに行ってもよく、両者に行ってもよい。貼り合わせ後には、乾燥工程を施し、塗布乾燥層からなる接着層を形成する。偏光子と透明保護フィルムの貼り合わせは、ロールラミネーター等により行うことができる。接着層の厚さは、特に制限されないが、通常1〜500nm程度、好ましくは10〜300nm、さらに好ましくは20〜100nmである。
本発明の偏光板は、実用に際して他の光学層と積層した光学フィルムとして用いることができる。その光学層については特に限定はないが、例えば反射板や半透過板、位相差板(1/2や1/4等の波長板を含む)、視角補償フィルムなどの液晶表示装置等の形成に用いられることのある光学層を1層または2層以上用いることができる。特に、本発明の偏光板に更に反射板または半透過反射板が積層されてなる反射型偏光板または半透過型偏光板、偏光板に更に位相差板が積層されてなる楕円偏光板または円偏光板、偏光板に更に視角補償フィルムが積層されてなる広視野角偏光板、あるいは偏光板に更に輝度向上フィルムが積層されてなる偏光板が好ましい。
反射型偏光板は、偏光板に反射層を設けたもので、視認側(表示側)からの入射光を反射させて表示するタイプの液晶表示装置などを形成するためのものであり、バックライト等の光源の内蔵を省略できて液晶表示装置の薄型化を図りやすいなどの利点を有する。反射型偏光板の形成は、必要に応じ透明保護層等を介して偏光板の片面に金属等からなる反射層を付設する方式などの適宜な方式にて行うことができる。
なお、半透過型偏光板は、上記において反射層で光を反射し、かつ透過するハーフミラー等の半透過型の反射層とすることにより得ることができる。半透過型偏光板は、通常液晶セルの裏側に設けられ、液晶表示装置などを比較的明るい雰囲気で使用する場合には、視認側(表示側)からの入射光を反射させて画像を表示し、比較的暗い雰囲気においては、半透過型偏光板のバックサイドに内蔵されているバックライト等の内蔵光源を使用して画像を表示するタイプの液晶表示装置などを形成できる。すなわち、半透過型偏光板は、明るい雰囲気下では、バックライト等の光源使用のエネルギーを節約でき、比較的暗い雰囲気下においても内蔵光源を用いて使用できるタイプの液晶表示装置などの形成に有用である。
偏光板に更に位相差板が積層されてなる楕円偏光板または円偏光板について説明する。直線偏光を楕円偏光または円偏光に変えたり、楕円偏光または円偏光を直線偏光に変えたり、あるいは直線偏光の偏光方向を変える場合に、位相差板などが用いられる。特に、直線偏光を円偏光に変えたり、円偏光を直線偏光に変える位相差板としては、いわゆる1/4波長板(λ/4板とも言う)が用いられる。1/2波長板(λ/2板とも言う)は、通常、直線偏光の偏光方向を変える場合に用いられる。
楕円偏光板はスーパーツイストネマチック(STN)型液晶表示装置の液晶層の複屈折により生じた着色(青又は黄)を補償(防止)して、前記着色のない白黒表示する場合などに有効に用いられる。更に、三次元の屈折率を制御したものは、液晶表示装置の画面を斜め方向から見た際に生じる着色も補償(防止)することができて好ましい。円偏光板は、例えば画像がカラー表示になる反射型液晶表示装置の画像の色調を整える場合などに有効に用いられ、また、反射防止の機能も有する。上記した位相差板の具体例としては、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリプロピレンやその他のポリオレフィン、ポリアリレート、ポリアミドの如き適宜なポリマーからなるフィルムを延伸処理してなる複屈折性フィルムや液晶ポリマーの配向フィルム、液晶ポリマーの配向層をフィルムにて支持したものなどがあげられる。位相差板は、例えば各種波長板や液晶層の複屈折による着色や視角等の補償を目的としたものなどの使用目的に応じた適宜な位相差を有するものであってよく、2種以上の位相差板を積層して位相差等の光学特性を制御したものなどであってもよい。
また上記の楕円偏光板や反射型楕円偏光板は、偏光板又は反射型偏光板と位相差板を適宜な組み合わせで積層したものである。かかる楕円偏光板等は、(反射型)偏光板と位相差板の組み合わせとなるようにそれらを液晶表示装置の製造過程で順次別個に積層することによっても形成しうるが、前記の如く予め楕円偏光板等の光学フィルムとしたものは、品質の安定性や積層作業性等に優れて液晶表示装置などの製造効率を向上させうる利点がある。
視角補償フィルムは、液晶表示装置の画面を、画面に垂直でなくやや斜めの方向から見た場合でも、画像が比較的鮮明にみえるように視野角を広げるためのフィルムである。このような視角補償位相差板としては、例えば位相差フィルム、液晶ポリマー等の配向フィルムや透明基材上に液晶ポリマー等の配向層を支持したものなどからなる。通常の位相差板は、その面方向に一軸に延伸された複屈折を有するポリマーフィルムが用いられるのに対し、視角補償フィルムとして用いられる位相差板には、面方向に二軸に延伸された複屈折を有するポリマーフィルムとか、面方向に一軸に延伸され厚さ方向にも延伸された厚さ方向の屈折率を制御した複屈折を有するポリマーや傾斜配向フィルムのような二方向延伸フィルムなどが用いられる。傾斜配向フィルムとしては、例えばポリマーフィルムに熱収縮フィルムを接着して加熱によるその収縮力の作用下にポリマーフィルムを延伸処理又は/及び収縮処理したものや、液晶ポリマーを斜め配向させたものなどが挙げられる。位相差板の素材原料ポリマーは、先の位相差板で説明したポリマーと同様のものが用いられ、液晶セルによる位相差に基づく視認角の変化による着色等の防止や良視認の視野角の拡大などを目的とした適宜なものを用いうる。
また良視認の広い視野角を達成する点などより、液晶ポリマーの配向層、特にディスコティック液晶ポリマーの傾斜配向層からなる光学的異方性層をトリアセチルセルロースフィルムにて支持した光学補償位相差板が好ましく用いうる。
偏光板と輝度向上フィルムを貼り合わせた偏光板は、通常液晶セルの裏側サイドに設けられて使用される。輝度向上フィルムは、液晶表示装置などのバックライトや裏側からの反射などにより自然光が入射すると所定偏光軸の直線偏光または所定方向の円偏光を反射し、他の光は透過する特性を示すもので、輝度向上フィルムを偏光板と積層した偏光板は、バックライト等の光源からの光を入射させて所定偏光状態の透過光を得ると共に、前記所定偏光状態以外の光は透過せずに反射される。この輝度向上フィルム面で反射した光を更にその後ろ側に設けられた反射層等を介し反転させて輝度向上フィルムに再入射させ、その一部又は全部を所定偏光状態の光として透過させて輝度向上フィルムを透過する光の増量を図ると共に、偏光子に吸収させにくい偏光を供給して液晶表示画像表示等に利用しうる光量の増大を図ることにより輝度を向上させうるものである。
偏光板に前記光学層を積層した光学フィルムは、液晶表示装置等の製造過程で順次別個に積層する方式にても形成することができるが、予め積層して光学フィルムとしたものは、品質の安定性や組立作業等に優れていて液晶表示装置などの製造工程を向上させうる利点がある。積層には粘着層等の適宜な接着手段を用いうる。前記の偏光板やその他の光学フィルムの接着に際し、それらの光学軸は目的とする位相差特性などに応じて適宜な配置角度とすることができる。
前述した偏光板や、偏光板を少なくとも1層積層されている光学フィルムには、液晶セル等の他部材と接着するための粘着層を設けることもできる。粘着層を形成する粘着剤は特に制限されないが、例えばアクリル系重合体、シリコーン系ポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエーテル、フッ素系やゴム系などのポリマーをベースポリマーとするものを適宜に選択して用いることができる。特に、アクリル系粘着剤の如く光学的透明性に優れ、適度な濡れ性と凝集性と接着性の粘着特性を示して、耐候性や耐熱性などに優れるものが好ましく用いうる。
また上記に加えて、吸湿による発泡現象や剥がれ現象の防止、熱膨張差等による光学特性の低下や液晶セルの反り防止、ひいては高品質で耐久性に優れる液晶表示装置の形成性などの点より、吸湿率が低くて耐熱性に優れる粘着層が好ましい。
粘着層は、例えば天然物や合成物の樹脂類、特に、粘着性付与樹脂や、ガラス繊維、ガラスビーズ、金属粉、その他の無機粉末等からなる充填剤や顔料、着色剤、酸化防止剤などの粘着層に添加されることの添加剤を含有していてもよい。また微粒子を含有して光拡散性を示す粘着層などであってもよい。
偏光板や光学フィルムの片面又は両面への粘着層の付設は、適宜な方式で行いうる。その例としては、例えばトルエンや酢酸エチル等の適宜な溶剤の単独物又は混合物からなる溶媒にベースポリマーまたはその組成物を溶解又は分散させた10〜40重量%程度の粘着剤溶液を調製し、それを流延方式や塗工方式等の適宜な展開方式で偏光板上または光学フィルム上に直接付設する方式、あるいは前記に準じセパレータ上に粘着層を形成してそれを偏光板上または光学フィルム上に移着する方式などがあげられる。
粘着層は、異なる組成又は種類等のものの重畳層として偏光板や光学フィルムの片面又は両面に設けることもできる。また両面に設ける場合に、偏光板や光学フィルムの表裏において異なる組成や種類や厚さ等の粘着層とすることもできる。粘着層の厚さは、使用目的や接着力などに応じて適宜に決定でき、一般には1〜500μmであり、5〜200μmが好ましく、特に10〜100μmが好ましい。
粘着層の露出面に対しては、実用に供するまでの間、その汚染防止等を目的にセパレータが仮着されてカバーされる。これにより、通例の取扱状態で粘着層に接触することを防止できる。セパレータとしては、上記厚さ条件を除き、例えばプラスチックフィルム、ゴムシート、紙、布、不織布、ネット、発泡シートや金属箔、それらのラミネート体等の適宜な薄葉体を、必要に応じシリコーン系や長鏡アルキル系、フッ素系や硫化モリブデン等の適宜な剥離剤でコート処理したものなどの、従来に準じた適宜なものを用いうる。
なお本発明において、上記した偏光板を形成する偏光子や透明保護フィルムや光学フィルム等、また粘着層などの各層には、例えばサリチル酸エステル系化合物やベンゾフェノール系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物やシアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物等の紫外線吸収剤で処理する方式などの方式により紫外線吸収能をもたせたものなどであってもよい。
本発明の偏光板または光学フィルムは液晶表示装置等の各種装置の形成などに好ましく用いることができる。液晶表示装置の形成は、従来に準じて行いうる。すなわち液晶表示装置は一般に、液晶セルと偏光板または光学フィルム、及び必要に応じての照明システム等の構成部品を適宜に組立てて駆動回路を組込むことなどにより形成されるが、本発明においては本発明による偏光板または光学フィルムを用いる点を除いて特に限定はなく、従来に準じうる。液晶セルについても、例えばTN型やSTN型、π型などの任意なタイプのものを用いうる。
液晶セルの片側又は両側に偏光板または光学フィルムを配置した液晶表示装置や、照明システムにバックライトあるいは反射板を用いたものなどの適宜な液晶表示装置を形成することができる。その場合、本発明による偏光板または光学フィルムは液晶セルの片側又は両側に設置することができる。両側に偏光板または光学フィルムを設ける場合、それらは同じものであってもよいし、異なるものであってもよい。さらに、液晶表示装置の形成に際しては、例えば拡散板、アンチグレア層、反射防止膜、保護板、プリズムアレイ、レンズアレイシート、光拡散板、バックライトなどの適宜な部品を適宜な位置に1層又は2層以上配置することができる。
次いで有機エレクトロルミネセンス装置(有機EL表示装置)について説明する。一般に、有機EL表示装置は、透明基板上に透明電極と有機発光層と金属電極とを順に積層して発光体(有機エレクトロルミネセンス発光体)を形成している。ここで、有機発光層は、種々の有機薄膜の積層体であり、例えばトリフェニルアミン誘導体等からなる正孔注入層と、アントラセン等の蛍光性の有機固体からなる発光層との積層体や、あるいはこのような発光層とペリレン誘導体等からなる電子注入層の積層体や、またあるいはこれらの正孔注入層、発光層、および電子注入層の積層体等、種々の組み合わせをもった構成が知られている。
このような構成の有機EL表示装置において、有機発光層は、厚さ10nm程度ときわめて薄い膜で形成されている。このため、有機発光層も透明電極と同様、光をほぼ完全に透過する。その結果、非発光時に透明基板の表面から入射し、透明電極と有機発光層とを透過して金属電極で反射した光が、再び透明基板の表面側へと出るため、外部から視認したとき、有機EL表示装置の表示面が鏡面のように見える。
電圧の印加によって発光する有機発光層の表面側に透明電極を備えるとともに、有機発光層の裏面側に金属電極を備えてなる有機エレクトロルミネセンス発光体を含む有機EL表示装置において、透明電極の表面側に偏光板を設けるとともに、これら透明電極と偏光板との間に位相差板を設けることができる。
位相差板および偏光板は、外部から入射して金属電極で反射してきた光を偏光する作用を有するため、その偏光作用によって金属電極の鏡面を外部から視認させないという効果がある。特に、位相差板を1/4波長板で構成し、かつ偏光板と位相差板との偏光方向のなす角をπ/4に調整すれば、金属電極の鏡面を完全に遮蔽することができる。
以下に本発明を実施例および比較例をあげて具体的に説明する。なお、各例中の%は重量%である。
実施例1
厚さ75μmのポリビニルアルコールフィルム(平均重合度2400,ケン化度99.9%)を30℃の水中に浸漬し、水共存下の状態とした。次いで、前記フィルムに対して、電子線260kGyを照射した。その後、水中で、延伸倍率3倍まで膨潤一軸延伸した後、ヨウ化カリウム濃度0.33%、ヨウ素濃度0.048%を含有する30℃の染色浴中に50秒間浸漬して染色した。次いで、40℃のホウ酸濃度3%、ヨウ化カリウム濃度3%を含有するホウ酸水溶液中に20秒間浸漬した後、65℃のホウ酸濃度8%、ヨウ化カリウム濃度5%のホウ酸水溶液中に40秒間浸漬しながら6.3倍まで延伸した。その後、ヨウ化カリウム濃度1%の水溶液に25℃で20秒間浸漬した。その後、70℃で2分間乾燥して偏光子を得た。得られた偏光子の両側に、表面をケン化処理した厚さ80μmのトリアセチルセルロースフィルムをポリビニルアルコール系接着剤で貼り合わせた後、60℃で4分間乾燥させて偏光板を得た。
比較例1
実施例1において、電子線を照射しなかったこと以外は、実施例1と同様にして偏光子を得た。また実施例1と同様にして偏光板を得た。
得られた偏光板の光学特性(単体透過率,偏光度)を以下の方法により測定した。結果を表1に示す。
(単体透過率)
分光光度計(村上色彩技術研究所製,DOT−3)を用いて測定し、JIS Z 8701の2度視野角(C光源)により、視感度補正を行ったY値である。
(クロスニコル偏光度)
2枚の同じ偏光板を偏光軸が平行になるように重ね合わせた場合の透過率(H0)と、直交に重ねた場合の透過率(H90)とを、上記の透過率の測定に準じて測定し、以下の式から偏光度を求めた。平行の場合の透過率(H0)と、直交の場合の透過率(H90)は視感度補正を行ったY値である。偏光度(%)=√(H0−H90)/(H0+H90)×100。
Figure 2006276661

Claims (7)

  1. ポリビニルアルコール系フィルムに対して、一軸延伸処理工程およびヨウ素染色処理工程を少なくとも含む偏光子の製造方法において、
    ヨウ素染色処理工程を施す前に、ポリビニルアルコール系フィルムに、高エネルギー線を照射する工程を有することを特徴とする偏光子の製造方法。
  2. 高エネルギー線照射工程を、ポリビニルアルコール系フィルムを水中に浸漬した状態で行うことを特徴とする請求項1記載の偏光子の製造方法。
  3. 高エネルギー線が、電子線であり、その照射量が、50〜500kGyであることを特徴とする請求項1または2記載の偏光子の製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法により得られた偏光子。
  5. 請求項4記載の偏光子の少なくとも片面に、透明保護層を設けた偏光板。
  6. 請求項5記載の偏光板が、少なくとも1枚積層されていることを特徴とする光学フィルム。
  7. 請求項4記載の偏光子、請求項5記載の偏光板または請求項6記載の光学フィルムが用いられていることを特徴とする画像表示装置。
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