JP2006272954A - 溶液製膜方法及び設備並びにポリマーフイルム - Google Patents

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Abstract

【課題】遅相軸のバラつきを抑える。
【解決手段】テンタ装置100は、左右の各レール120、122に沿って移動するクリップ150、152を備え、このクリップ150、152により湿潤フイルム87の両側部を把持して搬送する。左レール120と右レール122との間の幅は、テンタ入口134からテンタ出口136へかけて拡張され、搬送中に湿潤フイルム87の延伸が行われる。左右の各レール120、122は、テンタ装置100の中心軸155からクリップ150までの距離をA、中心軸155からクリップ152までの距離をBとしたときに、−0.03<(A−B)/(A+B)<0.03を満たすように形成される。これにより湿潤フイルム87を幅方向両側へ均等に延伸でき、遅相軸のバラつきを抑えることができる。
【選択図】図4

Description

本発明は、フイルムの幅方向で向かい合う第1、第2の把持手段を備え、前記把持手段により前記フイルムを把持しながら搬送するとともに、前記搬送中に前記第1、第2の把持手段の幅を広げ、前記フイルムを幅方向に延伸する溶液製膜方法及び設備、並びに、このような方法及び設備によって製膜したポリマーフイルムに関するものである。
ポリマーフイルムを製膜する方法として、溶液製膜方法が知られている。この方法は、ポリマーを溶媒によって溶解してドープにした後、このドープを回転移動するバンドやドラムなどの支持体上にダイから流延して流延膜を形成し、この流延膜を支持体から剥ぎ取り、乾燥させてポリマーフイルムを得るものである。
支持体から剥ぎ取られた流延膜(湿潤フイルム)は、テンタ装置により搬送され、この搬送の間に乾燥される。テンタ装置は、湿潤フイルムの両側部をクリップによって把持しながら搬送を行う。また、テンタ装置では、搬送の間にクリップの幅を広げてゆくことで、湿潤フイルムの延伸を行う場合もある。この延伸により、屈折率異方性を発現させることができる。このため、延伸は、液晶表示装置などに用いられるポリマーフイルムを製膜する場合に多用される。
しかし、延伸を行うことによって、屈折率異方性を発現させることができるものの、適切な延伸が行われないと、遅相軸の角度にバラつきが生じてしまう。そして、このように遅相軸がバラついているフイルムを液晶表示装置などに用いた場合、コントラストの低下や、色味の変化などを悪化させる要因となってしまう。このため、本出願人は、特許文献1において、延伸時の条件を規定し、遅相軸のバラつきを抑える方法を提案している。
特開2005−313614号
しかしながら、液晶表示装置の高輝度化や大画面化に伴い、遅相軸のバラつきをさらに減少させることが求められている。
本発明は、上記背景を鑑みてなされたものであり、遅相軸のバラつきを減少させることのできる溶液製膜方法及び設備、並びに、遅相軸のバラつきの少ないポリマーフイルムを提供する事を目的としている。
上記目的を達成するために、本発明の溶液製膜方法及び設備は、フイルムの長手方向と平行な前記テンタ装置の中心軸から、第1各把持手段までの距離をA、前記中心軸から第2各把持手段までの距離をBとしたときに、−0.03<(A−B)/(A+B)<0.03を満たすことを特徴としている。
前記搬送中に乾燥風を送風して前記フイルムを乾燥させるとともに、前記フイルムの幅が変化している間、前記乾燥風の温度を一定に保つことが好ましい。
さらに、このような溶液製膜方法及び設備によってポリマーフイルムを製膜してもよい。
本発明によれば、テンタ装置の中心軸から、第1、第2の各把持手段までの距離をほぼ等しくすることで、フイルムを両側方向にバランス良く延伸緩和することができるので、遅相軸のバラつきを抑えることができる
さらに、このような溶液製膜方法及び設備を用いることで、遅相軸のバラつきが少ない高品位なポリマーフイルムを製膜できる。
以下、ポリマーフイルムとして、セルロースアシレートフイルムを製膜する場合について説明を行う。
[原料]
セルロースアシレートは、セルロースの水酸基への置換度が下記式(1)〜(3)の全てを満足するセルロースアシレート(以下、TACと称する)を用いることが好ましい。
(1) 2.5≦A+B≦3.0
(2) 0≦A≦3.0
(3) 0≦B≦2.9
但し、式中A及びBは、セルロースの水酸基に置換されているアシル基の置換度を表わし、Aはアセチル基の置換度、またBは炭素原子数3〜22のアシル基の置換度である。なお、TACの90質量%以上が0.1mm〜4mmの粒子を用いることが好ましい。
セルロースを構成するβ−1,4結合しているグルコース単位は、2位、3位および6位に遊離の水酸基を有している。セルロースアシレートは、これらの水酸基の一部または全部を炭素数2以上のアシル基によりエステル化した重合体(ポリマー)である。アシル置換度は、2位、3位および6位それぞれについて、セルロースの水酸基がエステル化している割合(100%のエステル化は置換度1)を意味する。
全アシル置換度、即ち、DS2+DS3+DS6は2.00〜3.00が好ましく、より好ましくは2.22〜2.90であり、特に好ましくは2.40〜2.88である。また、D6S/(DS2+DS3+DS6)は0.28以上が好ましく、より好ましくは0.30以上、特に好ましくは0.31〜0.34である。ここで、DS2はグルコース単位の2位の水酸基のアシル基による置換度(以下、「2位のアシル置換度」とも言う)であり、DS3は3位の水酸基のアシル基による置換度(以下、「3位のアシル置換度」とも言う)であり、DS6は6位の水酸基のアシル基による置換度である(以下、「6位のアシル置換度」とも言う)。
本発明のセルロースアシレートに用いられるアシル基は1種類だけでもよいし、あるいは2種類以上のアシル基が使用されていてもよい。2種類以上のアシル基を用いるときは、そのひとつがアセチル基であることが好ましい。2位、3位及び6位の水酸基のアセチル基による置換度の総和をDSAとし、2位、3位及び6位の水酸基のアセチル基以外のアシル基による置換度の総和をDSBとすると、DSA+DSBの値は、好ましくは2.22〜2.90であり、より好ましくは2.40〜2.88である。また、DSBは0.30以上であることが好ましく、特に好ましくは0.7以上である。さらにDSBはその20%以上が6位水酸基の置換基であることが好ましく、より好ましくは25%以上が6位水酸基の置換基であり、30%以上がさらに好ましく、特には33%以上が6位水酸基の置換基であることが好ましい。また、セルロースアシレートの6位の置換度の値が0.75以上であることが好ましく、さらに好ましくは0.80以上であり特に好ましくは0.85以上であるセルロースアシレートを用いることである。これらのセルロースアシレートにより溶解性の好ましい溶液(ドープ)が作製できる。特に非塩素系有機溶媒において、良好な溶液の作製が可能となる。更に粘度が低く濾過性のよい溶液の作製が可能となる。
セルロースアシレートは、リンター綿,パルプ綿のどちらから得られたものでもよいが、リンター綿から得られたものが好ましい。
本発明のセルロースアシレートの炭素数2以上のアシル基としては、脂肪族基でもアリール基でもよく特に限定されない。それらは、例えばセルロースのアルキルカルボニルエステル、アルケニルカルボニルエステルあるいは芳香族カルボニルエステル、芳香族アルキルカルボニルエステルなどであり、それぞれさらに置換された基を有していてもよい。これらの好ましい例としては、プロピオニル基、ブタノイル基、ペンタノイル基、ヘキサノイル基、オクタノイル基、デカノイル基、ドデカノイル基、トリデカノイル基、テトラデカノイル基、ヘキサデカノイル基、オクタデカノイル基、iso−ブタノイル基、t−ブタノイル基、シクロヘキサンカルボニル基、オレオイル基、ベンゾイル基、ナフチルカルボニル基、シンナモイル基などを挙げることが出来る。これらの中でも、プロピオニル基、ブタノイル基、ドデカノイル基、オクタデカノイル基、t−ブタノイル基、オレオイル基、ベンゾイル基、ナフチルカルボニル基、シンナモイル基などがより好ましく、特に好ましくはプロピオニル基、ブタノイル基である。
ドープを調製する溶媒としては、芳香族炭化水素(例えば、ベンゼン,トルエンなど)、ハロゲン化炭化水素(例えば、ジクロロメタン,クロロベンゼンなど)、アルコール(例えば、メタノール,エタノール,n−プロパノール,n−ブタノール,ジエチレングリコールなど)、ケトン(例えば、アセトン,メチルエチルケトンなど)、エステル(例えば、酢酸メチル,酢酸エチル,酢酸プロピルなど)及びエーテル(例えば、テトラヒドロフラン,メチルセロソルブなど)などが挙げられる。
炭素原子数1〜7のハロゲン化炭化水素や、ジクロロメタンが好ましく用いられる。TACの溶解性、流延膜の支持体からの剥ぎ取り性、フイルムの機械的強度など及びフイルムの光学特性などの物性の観点から、ジクロロメタンの他に炭素原子数1〜5のアルコールを一種ないし数種類混合することが好ましい。アルコールの含有量は、溶媒全体に対し2質量%〜25質量%が好ましく、5質量%〜20質量%がより好ましい。アルコールとしては、メタノール,エタノール,n−プロパノール,イソプロパノール,n−ブタノールなどが挙げられ、またこれらの混合物も好ましく用いられる。
最近、環境に対する影響を最小限に抑えるため、ジクロロメタンを用いない溶媒組成も提案されている。この目的に対しては、炭素原子数が4〜12のエーテル、炭素原子数が3〜12のケトン、炭素原子数が3〜12のエステルが好ましく、これらを適宜混合して用いる。これらのエーテル、ケトン及びエステルは、環状構造を有していてもよい。エーテル、ケトン及びエステルの官能基(すなわち、−O−,−CO−及び−COO−)のいずれかを二つ以上有する化合物も、溶媒として用いることができる。溶媒は、アルコール性水酸基のような他の官能基を有していてもよい。二種類以上の官能基を有する溶媒の場合、その炭素原子数は、いずれかの官能基を有する化合物の規定範囲内であればよい。
なお、セルロースアシレートの詳細については、特開2005−104148号の[0140]から[0195]に記載されており、本発明にも適用できる。同様に、溶媒及び可塑剤,劣化防止剤,紫外線吸収剤,光学異方性コントロール剤,染料,マット剤,剥離剤などの添加剤ついても、特開2005−104148号の[0196]から[0516]に詳細に記載されており、本発明にも適用できる。
[原料ドープの製造]
図1に原料ドープ製造ライン10を示す。原料ドープの製造は、始めに溶媒タンク11からバルブ12を開き、溶媒を溶解タンク13に送る。次にホッパ14に入れられているTACを溶解タンク13に計量しながら送り込む。添加剤タンク15から添加剤溶液をバルブ16の開閉操作を行って必要量を溶解タンク13に送り込む。なお、添加剤は溶液として送り込む方法以外にも、例えば添加剤が常温で液体の場合には、その液体の状態で溶解タンク13に送り込むことも可能である。また、添加剤が固体の場合には、ホッパを用いて溶解タンク13に送り込むことも可能である。添加剤を複数種類添加する場合には、添加剤タンク15中に複数種類の添加剤を溶解させた溶液を入れておくこともできる。または、多数の添加剤タンクを用いてそれぞれに添加剤が溶解している溶液を入れて、それぞれ独立した配管により溶解タンク13に送り込むこともできる。
前述した説明においては、溶解タンク13に入れる順番が、溶媒(混合溶媒の場合も含めた意味で用いる)、TAC、添加剤であったが、この順番に限定されるものではない。TACを計量しながら溶解タンク13に送り込んだ後に、好ましい量の溶媒を送液することもできる。また、添加剤は必ずしも溶解タンク13に予め入れる必要はなく、後の工程でTACと溶媒との混合物に混合させることもできる。
溶解タンク13を包み込むようにジャケット17が備えられている。モータ18により回転する第1攪拌翼19が取り付けられている。さらに、モータ20により回転する第2攪拌翼が取り付けられていることが好ましい。なお、第1攪拌翼は、アンカー翼であることが好ましく、第2攪拌翼21は、ディゾルバータイプの偏芯攪拌機を用いることが好ましい。ジャケット17に伝熱媒体を流して溶解タンク13内を−10℃〜55℃の範囲に温度調整することが好ましい。第1攪拌翼19,第2攪拌翼21を適宜選択して回転させることでTACが溶媒中で膨潤した膨潤液22を得ることができる。
膨潤液22をポンプ25により加熱装置26に送液する。加熱装置26は、ジャケット付き配管を用いることが好ましく、更に膨潤液22を加圧できる構成であることが好ましい。膨潤液22を加熱または加圧加熱条件下でTACなどを溶媒に溶解させて原料ドープを得る。なお、この場合に膨潤液22の温度は、0℃〜97℃であることが好ましい。また、膨潤液22を−150℃〜−10℃の温度に冷却する冷却溶解法を行うこともできる。加熱溶解法及び冷却溶解法を適宜選択して行うことでTACを溶媒に十分溶解させることが可能となる。温調機27により原料ドープの温度を略室温とした後に、濾過装置28により濾過を行い原料ドープ中の不純物を取り除く。濾過装置28の濾過フィルタの平均孔径が100μm以下であることが好ましい。また、濾過流量は、50L/hr以上であることが好ましい。濾過後の原料ドープは、バルブ29を介してストックタンク30に入れられる。
前記原料ドープは、後述する溶液製膜用ドープとして用いることが可能である。しかしながら、膨潤液22を調製した後にTACを溶解させる方法は、TACの濃度を上昇させるほど時間がかかりコストの点で問題が生じる場合がある。その場合には、目的とするTAC濃度より低濃度の原料ドープを調製した後に目的とする濃度の原料ドープを調製する濃縮工程を行うことが好ましい。濾過装置28で濾過された原料ドープをバルブ29を介してフラッシュ装置31に送液する。フラッシュ装置31内で原料ドープ中の溶媒の一部を蒸発させる。蒸発した溶媒は、凝縮器(図示しない)により液体とした後に回収装置32で回収する。その溶媒は再生装置33により原料ドープ調製用の溶媒として再生を行い再利用することがコストの点から有利である。
濃縮された原料ドープをフラッシュ装置31からポンプ34を用いて抜き出す。さらに、原料ドープ中の泡抜きを行うことが好ましい。泡抜きは、公知のいずれの方法により行っても良く、例えば超音波照射法が挙げられる。その後に濾過装置35に送液して異物の除去を行う。なお、この際に原料ドープの温度が0℃〜200℃であることが好ましい。このようにして、TAC濃度が5質量%〜40質量%の原料ドープ36を製造することができる。なお、製造された原料ドープ36は、ストックタンク30に貯蔵される。
TACフイルムを得る溶液製膜法での、素材、原料、添加剤の溶解方法、濾過方法、脱泡、添加方法については、特開2005−104148号の[0517]から[0616]に詳しく記載されており、本発明に適用できる。
[溶液製膜方法]
図2にフイルム製膜ライン40を示す。ストックタンク30には、モータ41で回転する攪拌翼42が取り付けられている。攪拌翼42を回転させることで原料ドープ36を常に均一にしている。ストックタンク30には、中間層用ドープ流路43,支持体面用ドープ流路44,エアー面用ドープ流路45が接続されている。原料ドープ36は、それぞれの流路43,44,45に設けられているポンプ46,47,48により送液される。フィードブロック70に送液されて合流した後に流延ダイ71から流延バンド72上に流延される。
「ドープの製造工程」
中間層用ドープ流路43中の原料ドープ(以下、中間層用原料ドープと称する。)に、スタックタンク50に入れられている中間層用添加剤51がポンプ52により送液されて混合される。その後に静止型混合器(スタティックミキサー)53により攪拌混合されて均一となる。これにより中間層用ドープが生成される。中間層用添加剤51には、例えば紫外線吸収剤,レターデーション制御剤などの添加剤が予め含まれた溶液(または分散液)が入れられている。
支持体面用ドープ流路44中の原料ドープ(以下、支持体面用原料ドープと称する。)に、ストックタンク55に入れられている支持体面用添加剤56がポンプ57により送液されて混合される。その後に静止型混合器58により攪拌混合されて均一となる。これにより支持体面用ドープが生成される。支持体面用添加剤56には、支持体である流延バンドからの剥離を容易とする剥離促進剤(例えば、クエン酸エステルなど)、フイルムをロール状に巻き取った際にフイルム面間での密着を抑制するマット剤(例えば、二酸化ケイ素などの微粒子粉体)などの添加剤が予め含有されている。なお、支持体面用添加剤56には、可塑剤,紫外線吸収剤などの添加剤が含まれていてもよい。
エアー面用ドープ流路45中の原料ドープ(以下、エアー面用原料ドープと称する。)に、ストックタンク60に入れられているエアー面用添加剤61がポンプ62により送液されて混合される。その後に静止型混合器63により攪拌混合されて均一となる。これにより、エアー面用ドープが生成される。エアー面用添加剤61には、フイルムをロール状に巻き取った際にフイルム面間での密着を抑制するマット剤(例えば、二酸化ケイ素などの微粒子粉体)などの添加剤が予め含有されている。なお、エアー面用添加剤61には、剥離促進剤,可塑剤,紫外線吸収剤などの添加剤が含まれていてもよい。
そして、各原料ドープに各種添加剤を添加することによって生成された各ドープは、フィードブロック70にそれぞれ所望の流量で送液される。フィードブロック70内で各ドープが合流した後に流延ダイ71から流延バンド72上に流延される。
「流延工程」
流延ダイ71の材質は2層ステンレス鋼を用いることが好ましい。その熱膨張率が2×10−5(℃−1)以下の素材を用いることが好ましい。また、電解質水溶液での強制腐食試験でSUS316と略同等の耐腐食性を有するものを用いることもできる。さらに、その素材はジクロロメタン、メタノール、水の混合液に3ヵ月浸漬しても気液界面にピッティング(孔開き)が生じない耐腐食性を有するものを用いる。さらに、鋳造後1ヶ月以上経過したものを研削加工して流延ダイ71を作製することが好ましい。これにより流延ダイ71内を流れるドープの面状が一定に保たれる。流延ダイ71及びフィードブロック70の接液面の仕上げ精度は表面粗さで1μm以下、真直度はいずれの方向にも1μm/m以下のものを用いることが好ましい。スリットのクリアランスは自動調整により0.5mm〜3.5mmの範囲で調整可能なものを用いる。流延ダイ71のリップ先端の接液部の角部分について、Rはスリット全巾に亘り50μm以下のものを用いる。また、流延ダイ71内での剪断速度は1(1/sec)〜5000(1/sec)となるように調整されているものを用いることが好ましい。
流延ダイ71の幅は特に限定されるものではないが、最終製品となるフイルムの幅の1.0倍〜2.0倍程度のものを用いることが好ましい。また、製膜中は、所定の温度に保持されるように温調機を取り付けることが好ましい。また、流延ダイ71にはコートハンガー型のものを用いることが好ましい。さらに、厚み調整ボルト(ヒートボルト)を所定の間隔で設けてヒートボルトによる自動厚み調整機構を取り付けることがより好ましい。ヒートボルトは予め設定されるプログラムによりポンプ(高精度ギアポンプが好ましい)46〜48の送液量に応じてプロファイルを設定し製膜を行うことが好ましい。また、フイルム製膜ライン40中に図示しない厚み計(例えば、赤外線厚み計)のプロファイルに基づく調整プログラムによってフィードバック制御を行ってもよい。流延エッジ部を除いて任意の2点の厚み差は1μm以内に調整し、幅方向厚みの最小値で最も大きな差が3μm以下となるように調整することが好ましい。また、厚み精度は±1.5μm以下に調整されているものを用いることが好ましい。
リップ先端に硬化膜が形成されていることがより好ましい。硬化膜の形成方法は、特に限定されるものではないが、セラミックスコーティング、ハードクロムメッキ、窒化処理方法などが挙げられる。硬化膜としてセラミックスを用いる場合には、研削でき気孔率が低く脆くなく耐腐食性が良く、かつ流延ダイ71と密着性が良くドープと密着性がないものが好ましい。具体的には、タングステン・カーバイド(WC),Al,TiN,Crなどが挙げられるが特に好ましくはWCを用いることである。WCコーティングは、溶射法で行うことができる。
流延ダイ71のスリット端に流出するドープが、局所的に乾燥固化することを防止するために溶媒供給装置(図示しない)をスリット端に取り付けることが好ましい。ドープを可溶化する溶媒(例えば、ジクロロメタン86.5質量部,アセトン13質量部,n−ブタノール0.5質量部の混合溶媒)を流延ビード端部とスリットとの気液界面に供給することが好ましい。なお、この液を供給するポンプの脈動率は5%以下のものを用いることが好ましい。
流延ダイ71の下方には、回転ローラ73,74に掛け渡された流延バンド72が設けられている。流延バンド72は、図示しない駆動装置により回転ローラ73,74が回転することに伴い無端で走行する。流延バンド72の移動速度、すなわち流延速度は、10m/分〜200m/分であることが好ましい。また、流延バンド72の表面温度を所定の値にするために回転ローラ73,74に伝熱媒体循環装置75が取り付けられていることが好ましい。流延バンド72の表面温度は、−20℃〜40℃であることが好ましい。回転ローラ73,74内には伝熱媒体流路が形成されており、その中を所定の温度に保持されている伝熱媒体が通過することにより回転ローラ73,74の温度を所定の値に保持できる。
流延バンド72の幅は特に限定されるものではないが、ドープの流延幅の1.1倍〜3.0倍の範囲のものを用いることが好ましい。また、長さは10m〜200m、厚みは、0.3mm〜10mmであり、表面粗さは0.05μm以下となるように研磨したものを用いることが好ましい。材質は、ステンレス製であることが好ましく、十分な耐腐食性と強度とを有するようにSUS316製であることがより好ましい。また、流延バンド72の全体の厚みムラは0.5%以下のものを用いることが好ましい。
回転ローラ73,74が駆動する際に流延バンド72に生じるテンションが1.5×10kg/mとなるように調整することが好ましい。また、流延バンド72と回転ローラ73,74との相対速度差は、0.01m/min以下となるように調整する。流延バンド72の速度変動を0.5%以下とし、流延バンド72が一回転する際に生じる幅方向の蛇行は1.5mm以下とすることが好ましい。この蛇行を制御するために流延バンド72の両端を検出する検出器(図示しない)を設け、その測定値に基づきフィードバック制御を行うことがより好ましい。さらに、流延ダイ71直下における流延バンド72表面の回転ローラ73の回転に伴う上下方向の位置変動が200μm以下となるように調整することが好ましい。
なお、回転ローラ73,74を直接支持体として用いることも可能である。この場合には、回転ムラが0.2%以下となるように高精度で回転させることが好ましい。この場合には、回転ローラ73,74の表面の平均粗さを0.01μm以下とすることが好ましい。そこで、クロムメッキ処理などを行い十分な硬度と耐久性を持たせる。なお、支持体(流延バンド72や回転ローラ73,74)の表面欠陥は最小限に抑制する必要がある。具体的には、30μm以上のピンホールは皆無であり、10μm以上30μm未満のピンホールは1個/m以下であり、10μm未満のピンホールは2個/m以下とすることが好ましい。
流延ダイ71、流延バンド72などは流延室76に収められている。流延室76内の温度を所定の値に保つため温調設備77が取り付けられている。流延室76の温度が−10℃〜57℃であることが好ましい。また、揮発している有機溶媒を凝縮回収するための凝縮器(コンデンサ)78が設けられている。凝縮液化した有機溶媒は、回収装置79により回収され再生させた後に、ドープ調製用溶媒として再利用される。
流延ダイ71からドープ(エアー面用ドープ,中間層用ドープ,支持体面用ドープ)を流延ビードを形成させながら流延バンド72上に共流延して流延膜80を形成する。なお、このときのそれぞれドープの温度は、−10℃〜57℃であることが好ましい。また、流延ビードの形成を安定化させるため減圧チャンバ81が流延ビード背面に取り付けられ、所望の圧力に調整されていることが好ましい。ビード背面は、前面との圧力よりも−10Pa〜−2000Paの範囲で減圧することが好ましい。さらに、減圧チャンバ81の温度を所定の温度に保つため、ジャケット(図示しない)を取り付けることが好ましい。減圧チャンバ81の温度は特に限定されるものではないが、10℃〜50℃の範囲であることが好ましい。また、流延ビードの形状を所望のものにたもつため流延ダイ71のエッジ部に吸引装置(図示しない)を取り付けることが好ましい。エッジ吸引風量は、1L/min〜100L/minの範囲であることが好ましい。
流延膜80は、流延バンド72の走行とともに移動する。このときに流延膜80中の溶媒を蒸発させるため送風機82,83,84を設けることが好ましい。送風機の取り付け位置は、流延バンド72の上部上流側82,下流側83,流延バンド72下部84に設けられている形態を図示しているがこれに限定されるものではない。また、形成直後の流延膜80に乾燥風が吹き付けられることによる膜面の面状変動を抑制するために遮風装置85が設けられていることが好ましい。なお、図では支持体として流延バンドを用いている例を示しているが、流延ドラムを用いることも可能である。流延ドラムの表面温度は、−20℃〜40℃であることが好ましい。
「剥取り、乾燥工程」
流延膜80が自己支持性を有するものとなった後に剥取ローラ86で支持しながら湿潤フイルム87として流延バンド72から剥ぎ取る。その後に多数のローラが設けられている渡り部90に送られる。渡り部90では、送風機91から所定温度の乾燥風を送風することで湿潤フイルム87の乾燥を進行させる。このとき乾燥風の温度が、20℃〜250℃であることが好ましい。なお、渡り部90では下流側のローラの回転速度を上流側のローラの回転速度より速くすることにより湿潤フイルム87にドローを付与させることも可能である。
渡り部90の下流側には、テンタ装置100が設けられている。テンタ装置100は、湿潤フイルム87の両側部をクリップ150、152(図3参照)によって把持して搬送する。湿潤フイルム87は、乾燥風送風機98が設置された乾燥ケーシング99内に搬送され、この乾燥ケーシング99内を搬送される間に、乾燥風送風機98から所定温度の乾燥風を送風されて、さらに乾燥される。また、テンタ装置100は、この搬送の間に、湿潤フイルム87を幅方向に引き延ばす延伸を行う。テンタ装置100により乾燥及び延伸された湿潤フイルム87は、フイルム101として送り出される。詳しくは後述するが、本発明は、このテンタ装置100に工夫を施すことによって、フイルム101に生じる遅相軸のバラつきを抑えている。
テンタ装置100から送られたフイルム101は、その両側縁部が耳切装置102により切断される。切断された両側縁部は、図示しないカッターブロワーによりクラッシャー103に送られる。クラッシャー103によりフイルムの縁部は、粉砕されてチップとなる。このチップをドープ調製用に再利用することがコストの点から有利である。なお、両側縁部の切断は、省略することもできるが、流延工程から後述するフイルムを巻き取る工程までのいずれかで行うことが好ましい。
次にフイルム101は、多数のローラ104が備えられている乾燥室105に送られる。乾燥室105内の温度は、特に限定されるものではないが、50℃〜180℃の範囲であることが好ましい。乾燥室105でフイルム101は、ローラ104に巻き掛けられながら搬送され溶媒は揮発して乾燥される。また、乾燥室105には、吸着回収装置106が取り付けられている。揮発溶媒は、吸着回収装置106により吸着回収される。溶媒成分が除去された大気は乾燥室105内に乾燥風として再度送風される。なお、乾燥室105は、乾燥温度を変えるために複数の区画に分割されていることがより好ましい。また、耳切装置102と乾燥室105との間に予備乾燥室(図示しない)を設け、フイルム101の予備乾燥を行い、フイルム温度の急激な上昇を抑制することが好ましい。このように予備乾燥を行うことで、フイルム温度の急激な上昇に伴うフイルムの形状変化を防止できる。
フイルム101は、冷却室107に搬送され、略室温まで冷却される。なお、乾燥室105と冷却室107との間に調湿室(図示しない)を設けてもよい。調湿室でフイルム101の所望の湿度及び温度に調整された空気を吹き付ける。これにより、フイルム101のカールの発生や巻き取る際の巻き取り不良の発生を抑制できる。
フイルム101が搬送されている間の帯電圧が所定の範囲(例えば、−3kV〜+3kV)となるように強制除電装置(除電バー)108を設けている。図では、冷却室107の下流側に設けられている例を図示しているがその位置に限定されるものではない。さらに、ナーリング付与ローラ109を設けて、フイルム101の両縁にエンボス加工でナーリングを付与することが好ましい。なお、ナーリングされた箇所の凹凸が、1μm〜200μmであることが好ましい。
「巻き取り工程」
最後に、フイルム101を巻取室110内の巻取ローラ111で巻き取る。この際に、プレスローラ112で所望のテンションを付与しつつ巻き取ることが好ましい。なお、テンションは巻取開始時から終了時まで徐々に変化させることがより好ましい。巻き取られるフイルム101は、長手方向(流延方向)に少なくとも100m以上とすることが好ましい。また、幅方向が600mm以上であることが好ましく、1400mm以上1800mm以下であることがより好ましい。また、1800mmより大きい場合にも効果がある。
前述のように、本実施形態では3種類のドープを共流延したので、フイルム101の目的とする特性を容易に得ることができる。すなわち、フイルム101をロールとして巻き取る際に、フイルム面間での密着を防止する必要がある。そのため、ドープ中にマット剤を添加することが好ましいが、通常マット剤は光学特性の悪化(例えば、透明性の悪化など)を招く。そこで、本実施形態のようにフイルムの表裏面となる支持体面用ドープとエアー面用ドープとにマット剤を含有させ、中間層用ドープには含有させないことにより、表面密着性を低下させると共に所望の光学特性を得ることが可能となる。
なお、共流延には、上述した実施形態のように2種類以上のドープを同時に流延する同時積層共流延と、2種類以上のドープを下層側から順番に流延する逐次積層共流延とがあるが、これらのいずれにも本発明を適用できる。また、これら両共流延を組み合わせてもよい。また、流延を行う際には、図2に示されているようにフィードブロック70を取り付けた流延ダイ71を用いてもよいし、マルチマニホールド型流延ダイを用いてもよい。共流延により多層からなるフイルムは、空気面側の層の厚さ及び/又は支持体側の層の厚さがそれぞれ全体のフイルム厚さ中で0.5%〜30%であることが好ましい。さらに、同時積層共流延を行う場合に、ダイスリットから支持体にドープを流延する際に、高粘度ドープを低粘度ドープで包み込まれることが好ましい。また、同時積層共流延を行なう場合に、ダイスリットから支持体にドープを流延する際に内部のドープは、そのドープよりもアルコールの組成比が大きなドープで包み込まれることが好ましい。
流延ダイ、減圧チャンバ、支持体などの構造、共流延、剥離法、延伸、各工程の乾燥条件、ハンドリング方法、カール、平面性矯正後の巻取り方法から、溶媒回収方法、フイルム回収方法まで、特開2005−104148号の[0617]から[0889]に詳しく記述されている。これらの記載も本発明に適用できる。
[性能・測定法]
(カール度・厚み)
巻き取られたセルロースアシレートフイルムの性能及びそれらの測定法は、特開2005−104148号の[0112]から[0139]に記載されている。これらも本発明にも適用できる。
[表面処理]
前記セルロースアシレートフイルムの少なくとも一方の面が表面処理されていることが好ましい。前記表面処理が真空グロー放電処理、大気圧プラズマ放電処理、紫外線照射処理、コロナ放電処理、火炎処理、酸処理またはアルカリ処理の少なくとも一種であることが好ましい。
[機能層]
(帯電防止・硬化層・反射防止・易接着・防眩)
前記セルロースアシレートフイルムの少なくとも一方の面が下塗りされていてもよい。
さらに前記セルロースアシレートフイルムをベースフイルムとして、他の機能性層を付与した機能性材料として用いることが好ましい。前記機能性層が帯電防止層、硬化樹脂層、反射防止層、易接着層、防眩層及び光学補償層から選択される少なくとも1層を設けることが好ましい。
前記機能性層が、少なくとも一種の界面活性剤を0.1mg/m〜1000mg/m含有することが好ましい。また、前記機能性層が、少なくとも一種の滑り剤を0.1mg/m2〜1000mg/m含有することが好ましい。さらに、前記機能性層が、少なくとも一種のマット剤を0.1mg/m〜1000mg/m含有することが好ましい。さらには、前記機能性層が、少なくとも一種の帯電防止剤を1mg/m〜1000mg/m含有することが好ましい。セルロースアシレートフイルムに、種々様々な機能、特性を実現するための表面処理機能性層の付与方法は、上記以外にも、特開2005−104148号の[0890]から[1087]に詳細な条件、方法も含めて記載されている。これらも本発明に適用できる。
(用途)
このようにして製膜されたセルロースアシレートフイルムは、特に液晶表示装置に用いられる偏光板保護フイルムとして有用である。特開2005−104148号には、セルロースアシレートフイルムを、TN型,STN型,VA型,OCB型,反射型、その他の液晶表示装置に用いる例が詳しく記載されている。また、同出願には光学的異方性層を付与した、セルロースアシレートフイルムや、反射防止、防眩機能を付与したセルロースアシレートフイルムについての記載もある。さらに、同出願には、適度な光学性能を付与した二軸性セルロースアシレートフイルムを光学補償フイルムとして用いる例も記載されており、製膜されたセルロースアシレートフイルムは、各種用途に用いることができる。
なお、セルロースアシレートフイルムを例に説明をしたが、ドープの原料としてセルロースアシレート以外のポリマーを用いたポリマーフイルムに対しても本発明を適用することもできる。前記ポリマーフイルムが光学フイルムであることが好ましい。前記ポリマーフイルムがセルロースエステルフイルムであることが好ましい。前記セルロースエステルフイルムは、セルロースアシレートフイルムであることが好ましく、セルロースアセテートフイルムであることがより好ましく、最も好ましくはセルローストリアセテートフイルムである。また、本発明には前記セルロースエステルフイルムを各種光学機能性フイルムに用いるものも含まれる。例えば、写真感光材料のベースフイルム,偏光板の保護フイルム、光学補償フイルムのベースフイルムなどである。さらに、本発明には、前記光学機能性フイルムを用いて構成される液晶表示装置も含まれる。また、本発明は、フイルムの厚みが、15μm以上100μm以下の薄いフイルムを製造する際にも適用できる。
以下、本発明に係るテンタ装置100について詳しく説明する。図3に示すように、テンタ装置100は、前述した乾燥ケーシング99の内部に、左レール120と、右レール122と、これら各レール120、122に案内されるエンドレスチェーン130、132とが設けられている。エンドレスチェーン130、132は、テンタ入口134側に設けられた原動スプロケット140、142と、テンタ出口136側に設けられた従動スプロケット141、143との間に掛け渡されている。原動スプロケット140、142は、図示しない駆動機構により回転駆動され、エンドレスチェーン130、132を移動させる。
エンドレスチェーン130、132には、それぞれ複数のクリップ150、152が取り付けられており、これら各クリップ150、152は、各エンドレスチェーン130、132の移動とともに移動する。各クリップ150、152は、テンタ入口134にて湿潤フイルム87の側部をそれぞれ把持し、そのままテンタ出口136まで搬送した後、テンタ出口136にてこの把持を解除する。テンタ装置100は、この搬送の間に乾燥風を送風して湿潤フイルム87を乾燥させる。
また、テンタ装置100では、テンタ入口134からテンタ出口136へかけて、左レール120と右レール122との間の幅を拡張し、各クリップ150、152間の幅を搬送中に広げてゆくことで、湿潤フイルム87の延伸を行っている。延伸の程度は適宜設定され、例えば、0.5%〜300%の範囲で湿潤フイルム87が延伸される。そして、この延伸を行うことで、テンタ装置100から送られるフイルム101に、屈折率異方性が発現する。
しかし、湿潤フイルム87が幅方向両側へ均等に延伸されないと、湿潤フイルム87にヨレが発生してしまい、遅相軸のバラツキが大きくなってしまう。このため、本発明のテンタ装置100では、搬送方向の任意の位置において、テンタ装置100の中心軸155からクリップ150までの距離をA、中心軸155からクリップ152までの距離をBとしたときに、
−0.03<(A−B)/(A+B)<0.03
を満たすように、左右の各レール120、122を形成している。このように、湿潤フイルム87を幅方向両側へ均等に延伸することによって、湿潤フイルム87のヨレを無くし、遅相軸のバラつきを小さくすることができる。
なお、上記実施形態では、延伸を行った後、湿潤フイルムの幅を変化させずテンタ出口まで搬送する例で説明をしたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図4に示すテンタ装置200のように、左レール220右レール222の間の幅を、一端大きく拡張した後、若干狭めることによって、湿潤フイルム87を延伸した後、緩和させてもよい。この場合も、搬送方向任意の位置において、テンタ装置200の中心軸155からクリップ220までの距離をA、中心軸155からクリップ222までの距離をBとしたときに、−0.03<(A−B)/(A+B)<0.03を満たすように、左右の各レール220、222を形成する。こうすることで、湿潤フイルム87のヨレを無くし、遅相軸のバラつきを小さくすることができる。なお、図4においては、上述した実施形態と同様の部材については同様の符号を付して説明を省略する。
また、このように延伸の後、緩和を行う場合、湿潤フイルムの把持を開始したときの左右各レールのクリップ間の幅をL1(mm)とし、湿潤フイルムを幅方向に最大に延伸したときのクリップ間の幅をL2(mm)とし、湿潤フイルムを緩和して湿潤フイルムを離す際のクリップ間の幅をL3(mm)としたときに、1<(L2−L3)/L1×100<15であることが好ましい。
さらに、上記実施形態では、テンタ装置により搬送される湿潤フイルムに対して、1つの乾燥風送風機から所定温度の乾燥風を送風する例で説明をしたが、本発明はこれに限定されるものではない。それぞれ異なる温度の乾燥風を送風する複数の乾燥風送風機を設けてもよい。この場合、乾燥ケーシング内に仕切板などを設けることで、乾燥ケーシングを複数乾燥ゾーンに区画し、各乾燥ゾーン毎に乾燥風の温度を設定すればよい。なお、乾燥風の温度は、50℃以上180℃以下の範囲で、乾燥風送風機毎に略同一温度であることが好ましい。また、延伸や緩和により湿潤フイルムの幅が変化している間は、送風する乾燥風の温度を等しくすることが好ましい。
以下、本発明の具体的な実施例について、比較例と比較しながら説明する。原料ドープの組成を下記に示す。
(1)組成
・セルローストリアセテート(TAC) 100質量部
(アセチル基による置換度2.81(酢化度60.2%),Mw/Mn=2.7,粘度平均重合度305,ジクロロメタン溶液中6質量%の粘度350mPa・s)
・ジクロロメタン(第1溶媒) 430質量部
・メタノール(第2溶媒) 48質量部
・可塑剤A 7.6質量部
・可塑剤B 3.8質量部
なお、上記可塑剤Aはトリフェニルフォスフェート(TPP)、可塑剤Bはビフェニルジフェニルフォスフェート(BDP)である。
なお、上記のセルローストリアセテートは、残存酢酸量が0.1質量%以下であり、Ca含有量が58ppm、Mg含有量が42ppm、Fe含有量が0.5ppmであり、遊離酢酸40ppm、さらに硫酸イオンが15ppm含むものであった。また6位アセチル基の置換度は0.91であり全アセチル中の32.5%であった。また、アセトン抽出分は8質量%、重量平均分子量/数平均分子量比は2.5であった。また、イエローインデックスは1.7であり、ヘイズは0.08、透明度は93.5%であり、Tg(ガラス転移温度;DSCにより測定)は160℃、結晶化発熱量は6.4J/gであった。このセルローストリアセテートは、綿から採取したセルロースを原料としてセルローストリアセテートを合成した。
(2)仕込み
図1に示す原料ドープ製造ライン10を用いた。攪拌羽根19,21を有する4000Lのステンレス製溶解タンク13に、前記複数の溶媒を混合して混合溶媒として攪拌・分散しつつ、セルローストリアセテート粉体(フレーク)をホッパ14から徐々に添加し、全体が2000kgとなるように調製した。なお、溶媒は、すべてその含水率が0.5質量%以下のものを使用した。溶解タンク13内を攪拌剪断速度が最初は5m/sec(剪断応力5×10kgf/m/sec)の周速で攪拌するディゾルバータイプの偏芯攪拌軸21および、中心軸にアンカー翼19を有して周速1m/sec(剪断応力1×10kgf/m/sec)で攪拌する条件下で30分間分散した。分散の開始温度は25℃であり、最終到達温度は48℃となった。分散終了後、高速攪拌は停止し、アンカー翼19の周速を0.5m/secとしてさらに100分間攪拌し、セルローストリアセテートフレークを膨潤させて膨潤液22を得た。膨潤終了までは窒素ガスでタンク内を0.12MPaになるように加圧した。この際のタンク内の酸素濃度は2vol%未満であり防爆上で問題のない状態を保った。また原料ドープ中の水分量は0.3質量%であった。
(3)溶解・濾過
膨潤液22を溶解タンク13からポンプ25でジャケット付配管26に送液した。ジャケット付き配管26で50℃まで加熱し、更に2MPaの加圧下で90℃まで加熱し、完全溶解させた。加熱時間は15分であった。温調機27で36℃まで温度を下げ、公称孔径8μmの濾材を有する濾過装置28を通過させて固形分濃度が19質量%の原料ドープ(以下、濃縮前原料ドープと称する)を得た。この際、濾過1次圧は1.5MPa、2次圧は1.2MPaとした。なお、高温にさらされるフィルタ、ハウジング及び配管はハステロイ合金製で耐食性の優れたものを利用し保温加熱用の熱媒を流通させるジャケットを有するものを使用した。
(4)濃縮・濾過・脱泡
濃縮前原料ドープを80℃で常圧に調整されているフラッシュ装置31内でフラッシュさせて、蒸発した溶媒を凝縮器で液化して回収装置32で回収分離した。フラッシュ後の原料ドープの固形分濃度は、21.8質量%となった。なお、回収された溶媒は、再生装置33で再利用のために調整された。フラッシュ装置31のフラッシュタンクには中心軸にアンカー翼を有しており、周速0.5m/secで攪拌して脱泡を行った。フラッシュタンク内の原料ドープの温度は25℃であり、タンク内の平均滞留時間は50分であった。この原料ドープを採取して25℃で測定したせん断粘度はせん断速度10(1/s)で450Pa・sであった。
つぎに、この原料ドープに弱い超音波照射することで泡抜きを実施した。その後、ポンプ34を用いて1.5MPaに加圧した状態で、濾過装置35に送液した。濾過装置35では、最初公称孔径10μmの焼結繊維金属フィルタを通過させ、ついで同じく10μmの焼結繊維フィルタを通過させた。それぞれの1次圧は1.5MPa,1.2MPaであり、2次圧は1.0MPa,0.8MPaであった。濾過後の原料ドープの温度を36℃に調整して2000Lのステンレス製ストックタンク30内に貯蔵した。ストックタンク30は中心軸にアンカー翼42を有して周速0.3m/secで常時攪拌された。なお、濃縮前ドープから原料ドープを調製する際に、各装置のドープ接液部には、腐食などの問題は全く生じなかった。
(5)吐出
図2に示すフイルム製膜ライン40を用いてフイルム製膜を行った。続いてストックタンク30内の原料ドープ36を1次増圧用のギアポンプ46,47,48で高精度ギアポンプの1次側圧力が0.8MPaになるようにインバーターモーターによりフィードバック制御を行い送液した。高精度ギアポンプ46〜48は容積効率99.2%、吐出量の変動率0.5%以下の性能であった。また、吐出圧力は1.5MPaであった。ドープの送液流路は、中間層用ドープ流路43、支持体面用ドープ流路44,エアー面用ドープ流路45の3流路を用いた。そして、流延ダイ71は、幅が1.8mであり共流延用に調整したフィードブロック70を装備して、3層構造のフイルムを成形した。
(6)ドープの製造
レターデーション制御剤(N,N’−di−m−トリル−N’’−p−メトキシフェニル−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリアミン)と、ジクロロメタン86.5質量部、メタノール13質量部、n−ブタノール0.5質量部の混合溶媒と、上記の原料ドープ36とを混合させた中間層用添加液51をストックタンク50に入れた。中間層用添加液51をポンプ52により中間層用ドープ流路43中の原料ドープ36に送液した。そして、スタティックミキサー53を介して混合させて、中間層用ドープを生成した。
マット剤である二酸化ケイ素(粒径15nm モース硬度 約7)を0.05質量部と剥離促進剤であるクエン酸エステル混合物(クエン酸,クエン酸モノエチルエステル,クエン酸ジエチルエステル,クエン酸トリエチルエステル)を0.006質量部と原料ドープ36と混合溶媒とを溶解または分散させて支持体面用添加液56とした。この混合溶媒とは、ジクロロメタン86.5質量部、メタノール13質量部、n−ブタノール0.5質量部の混合物である。支持体面用添加液56をストックタンク55に入れ、ポンプ57を用いて所望の流量で支持体面用ドープ流路44中に流れている原料ドープ36に送液した。そして、スタティックミキサー58で混合させて、支持体面用ドープを生成した。
二酸化ケイ素を混合溶媒に分散させてエアー面用添加液61を調製しストックタンク60に入れた。この混合溶媒とは、ジクロロメタン86.5質量部、メタノール13質量部、n−ブタノール0.5質量部の混合物である。エアー面用添加液61をポンプ62によりエアー面用ドープ流路45中の原料ドープ36に送液した。そして、スタティックミキサー63を介して混合させて、エアー面用ドープを生成した。
(7)流延
そして、目的とするTACフイルムの膜厚(露出面側層,中間層,支持体面側層)がそれぞれ4μm,73μm,3μmであり、製品厚みが80μmとなるように、各ドープ(中間層用ドープ,支持体面用ドープ,エアー面用ドープ)の流量を調整して流延を行った。流延は、流延膜80の幅W2が1570mmとなるように行った。各ドープの温度を36℃に調整するため、流延ダイ71にジャケット(図示しない)を設けてジャケット内に供給する伝熱媒体の入口温度を36℃とした。
流延ダイ71、フィードブロック70、配管は製膜時にはすべて36℃に保温した。流延ダイ71はコートハンガータイプのものを用い、厚み調整ボルト(ヒートボルト)が20mmピッチに設けられており、ヒートボルトによる自動厚み調整機構を具備しているものを使用した。ヒートボルトは予め設定したプログラムにより高精度ギアポンプの送液量に応じたプロファイルを設定することもでき、フイルム製膜ライン40内に設置した赤外線厚み計(図示しない)のプロファイルに基づいた調整プログラムによってフィードバック制御も可能な性能を有するものである。流延エッジ部20mmを除いたフイルムで50mm離れた任意の2点の厚み差は1μm以内であり、幅方向厚みの最小値で最も大きな差が3μm/m以下となるように調整した。また、各層の平均厚み精度は両外層が±2%以下、主流が±1%以下に制御され、全体厚みは±1.5%以下となるように調整した。
流延ダイ71の1次側には減圧するための減圧チャンバ81を設置した。減圧チャンバ81の減圧度は流延ビードの前後で1Pa〜5000Paの圧力差が生じるようになっていて、流延スピードに応じて調整が可能なものである。また、減圧チャンバ81の温度は、流延部周囲のガスの凝縮温度よりも高く設定できる機構を具備したものであった。ビード前後、後部にラビリンスパッキン(図示しない)を設けた。また、両端には開口部を設けた。さらに、そこから、流延ビードの両縁の乱れを調整するためにエッジ吸引装置(図示しない)が取り付けられているものを用いた。
流延ダイ71の材質は2層ステンレス鋼であり、熱膨張率が2×10−5(℃−1)以下の素材であり、電解質水溶液での強制腐食試験でSUS316製と略同等の耐腐食性を有する素材を使用した。また、ジクロロメタン,メタノール,水の混合液に3ヶ月浸漬しても気液界面にピッティング(孔開き)が生じない耐腐食性を有する素材を使用した。流延ダイ71及びフィードブロック70の接液面の仕上げ精度は表面粗さで1μm以下、真直度はいずれの方向にも1μm/m以下であり、スリットのクリアランスは1.5mmに調整した。ダイリップ先端の接液部の角部分について、Rはスリット全巾に亘り50μm以下になるように加工した。ダイ内部での剪断速度は1(1/sec)〜5000(1/sec)の範囲であった。また、流延ダイ71のリップ先端には、溶射法によりWCコーティングをおこない硬化膜を設けた。
さらに流延ダイ71のスリット端には流出するドープが、局所的に乾燥固化することを防止するために、ドープを可溶化する前記混合溶媒を流延ビード端部とスリット気液界面に片側で0.5ml/minで供給した。この液を供給するポンプの脈動率は5%以下のものを用いた。また、減圧チャンバ81によりビード背面の圧力を150Pa低くした。減圧チャンバ81の温度を一定にするために、ジャケット(図示しない)を取り付けた。そのジャケット内に35℃に調整された伝熱媒体を供給した。エッジ吸引風量は、1L/min〜100L/minの範囲で調整可能なものを用い、本実施例では30L/min〜40L/minの範囲で適宜調整した。
支持体として幅2.1mで長さが70mのステンレス製のエンドレスバンドを流延バンド72として利用した。流延バンド72の厚みは1.5mmであり、表面粗さは0.05μm以下になるように研磨した。材質はSUS316製であり、十分な耐腐食性と強度を有するものとした。流延バンド72の全体の厚みムラは0.5%以下であった。流延バンド72は、2個の回転ローラ73,74により駆動させた。その際の流延バンド72のテンションは1.5×10kg/mに調整し、流延バンド72と回転ローラ73,74との相対速度差が0.01m/min以下になるように調整した。また、流延バンド72の速度変動は0.5%以下であった。また1回転の幅方向の蛇行は1.5mm以下に制限するように流延バンド72の両端位置を検出して制御した。また、流延ダイ71直下におけるダイリップ先端と流延バンド72との上下方向の位置変動は200μm以下とした。この流延バンド72上に流延ダイ71から3層のドープ(エアー面,中間層,支持体面)を共流延した。
回転ローラ73,74は、流延バンド72の温度調整を行えるように、内部に伝熱媒体を送液できるものを用いた。流延ダイ71側の回転ローラ73には5℃の伝熱媒体(水)を流し、他方の回転ローラ74には40℃の伝熱媒体(水)を流した。流延直前の流延バンド72中央部の表面温度は15℃であり、その両端の温度差は6℃以下であった。なお、流延バンド72は、表面欠陥がないものが好ましく、30μm以上のピンホールは皆無であり、10μm〜30μmのピンホールは1個/m以下、10μm未満のピンホールは2個/m以下であるものを用いた。
流延室76の温度は、温調設備77を用いて35℃に保った。流延バンド72上に流延されたドープから形成された流延膜80は、最初に平行流の乾燥風により乾燥した。乾燥する際の乾燥風からの流延膜80への総括伝熱係数は24kcal/m・hr・℃であった。乾燥風の温度は流延バンド72上部の上流側を135℃とし、下流側を140℃とした。また、流延バンド72下部は、65℃となるように送風機82,83,84から送風した。それぞれの乾燥風の飽和温度は、いずれも−8℃付近であった。流延バンド72上の乾燥雰囲気における酸素濃度は5vol%に保持した。なお、酸素濃度を5vol%に保持するため空気を窒素ガスで置換した。また、流延室76内の溶媒を凝縮回収するために、凝縮器(コンデンサ)78を設け、その出口温度は、−10℃に設定した。
(8)剥取り・乾燥
遮風装置85により、流延後5秒間は乾燥風が直接流延膜80に当たらないようにして、流延ダイ71直近の静圧変動を±1Pa以下に抑制した。流延膜80中の溶媒比率が乾量基準で150質量%になった時点で、この流延膜80を剥取ローラで支持しながら湿潤フイルム87として剥ぎ取った。このときの剥取テンションは10kgf/mであり、剥取不良を抑制するために流延バンド72の速度に対して剥取速度(剥取ローラドロー)は、100.1%〜110%の範囲で適切に調整した。湿潤フイルム87の表面温度は15℃であった。流延バンド72上での乾燥速度は、平均60質量%乾量基準溶媒/minであった。乾燥して発生した溶媒ガスは、−10℃の凝縮器78で凝縮液化して回収装置79で回収した。回収された溶媒は調整がなされた後に、ドープ調製用溶媒として再利用した。その際に、溶媒に含まれる水分量を0.5%以下に調整した。溶媒が除去された乾燥風は再度加熱して乾燥風として再利用した。湿潤フイルム87を渡り部90のローラを介して搬送し、テンタ装置に送った。このときに送風機91から40℃の乾燥風を湿潤フイルム87に送風した。なお、渡り部90のローラで搬送している際に、湿潤フイルム87に約20Nのテンションを付与した。
本実施例では、図2に示すテンタ装置100に代えて、図4に示す、延伸の後、緩和を行うタイプのテンタ装置200を用いた。テンタ装置200では、湿潤フイルム87の幅の5%にあたる幅範囲を、左右の各レール220、222のクリップ150、152それぞれ把持しながら、乾燥ケーシング99内を搬送し、乾燥風を送風して乾燥させた。クリップ150、152には、20℃の伝熱媒体を供給して冷却した。原動スプロケット140、142の速度変動は0.5%以下にした。また、乾燥ケーシング99内を3ゾーンに分け、それぞれのゾーンの乾燥風温度を上流側から90℃、100℃、110℃とした。乾燥風のガス組成は−10℃の飽和ガス濃度とした。テンタ装置200内での平均乾燥速度は120質量%(乾量基準溶媒)/minであった。テンタ出口136では湿潤フイルム87内の残留溶媒の量が、7質量%となるようにテンタ装置200条件を調整した。テンタ装置200内で蒸発した溶媒は、−10℃の温度で凝縮させ液化して回収した。凝縮回収用に凝縮器(図示しない)を設け、その出口温度は−8℃に設定した。溶媒に含まれる水分量を0.5質量%以下に調整して再使用した。そして、テンタ装置200により搬送されながら乾燥、延伸された湿潤フイルム87をフイルム101として送り出した。
そして、テンタ装置200の出口から30秒以内に両端の耳切を耳切装置102で行った。NT型カッターにより両側50mmの耳をカットし、カットした耳はカッターブロワー(図示しない)によりクラッシャー103に風送して平均80mm程度のチップに粉砕した。このチップは、再度ドープ調製用原料としてTACフレークと共にドープ製造の際に原料として利用した。テンタ装置200の乾燥雰囲気における酸素濃度は5vol%に保持した。なお、酸素濃度を5vol%に保持するため空気を窒素ガスで置換した。後述する乾燥室105で高温乾燥させる前に、100℃の乾燥風が供給されている予備乾燥室(図示しない)でフイルム101を予備加熱した。
フイルム101を乾燥室105で高温乾燥した。乾燥室105を4区画に分割して、上流側から120℃,130℃,130℃,130℃の乾燥風を送風機(図示しない)から給気した。フイルム101のローラ104による搬送テンションは100N/巾として、最終的に残留溶媒量が、0.3質量%になるまでの約10分間乾燥した。前記ローラ104のラップ角度は、90度および180度とした(図2では誇張して示している)。前記ローラ104の材質はアルミ製もしくは炭素鋼製であり、表面にはハードクロム鍍金を施した。ローラ104の表面形状はフラットなものとブラストによりマット化加工したものとを用いた。ローラ104の回転による振れは全て50μm以下であった。また、テンション100N/巾でのローラ撓みは0.5mm以下となるように選定した。
乾燥風に含まれる溶媒ガスは、吸着回収装置106を用いて吸着回収除去した。吸着剤は活性炭であり、脱着は乾燥窒素を用いて行った。回収した溶媒は、水分量0.3質量%以下に調整してドープ調製用溶媒として再利用した。乾燥風には溶媒ガスの他、可塑剤,UV吸収剤,その他の高沸点物が含まれるので冷却除去する冷却器およびプレアドソーバーでこれらを除去して再生循環使用した。そして、最終的に屋外排出ガス中のVOC(揮発性有機化合物)は10ppm以下となるよう、吸脱着条件を設定した。また、全蒸発溶媒のうち凝縮法で回収する溶媒量は90質量%であり、残りの大部分は吸着回収により回収した。
乾燥されたフイルム101を第1調湿室(図示しない)に搬送した。乾燥室105と第1調湿室との間の渡り部には、110℃の乾燥風を給気した。第1調湿室には、温度50℃、露点が20℃の空気を給気した。さらに、フイルム101のカールの発生を抑制する第2調湿室(図示しない)にフイルム101を搬送した。第2調湿室では、フイルム101に直接90℃,湿度70%の空気をあてた。
調湿後のフイルム101は、冷却室107で30℃以下に冷却して両端耳切りを行った。搬送中のフイルム帯電圧は、常時−3kV〜+3kVの範囲となるように強制除電装置(除電バー)108を設置した。さらにフイルム101の両端にナーリング付与ローラ109でナーリングを行った。ナーリングは片側からエンボス加工を行うことで付与し、ナーリングする幅は10mmであり、最大高さは平均厚みよりも平均12μm高くなるように押し圧を設定した。
(9)巻取り
そして、フイルム101を巻取室110に搬送した。巻取室110は、室内温度28℃,湿度70%に保持した。さらに、フイルム帯電圧が−1.5kV〜+1.5kVになるようにイオン風除電装置(図示しない)も設置した。このようにして得られたフイルム(厚さ80μm)101の製品幅は、1475mmとなった。巻取ローラ111の径は169mmのものを用いた。巻き始めテンションは360N/巾であり、巻き終わりが250N/巾になるようなテンションパターンとした。巻き取り全長は3940mであった。巻き取りの際の周期を400mとし、オシレート幅を±5mmとした。また、巻取ローラ111にプレスローラ112を押し圧50N/巾に設定した。巻き取り時のフイルムの温度は25℃、含水量は1.4質量%、残留溶媒量は0.3質量%であった。
(10)比較評価
上述のようにフイルム101を製造する過程のうち、(8)にて説明したテンタ装置200において、左右の各レール220、222の仕様を変更しながらフイルム101を製造し、製造されたフイルム101の遅相軸のバラつきを調べて評価を行った。左右のレールの仕様と、フイルムの遅相軸のバラつきとの関係を表1に示す。表1に示すように、仕様の変更では、テンタ入口134、最大拡張時、テンタ出口136のそれぞれにおけるクリップ150、152間の幅L1(mm)、L2(mm)、L3(mm)、及び、テンタ装置200の中心軸155からクリップ150までの距離A、中心軸155からクリップ152までの距離Bを変化させた。そして、クリップ150、152間の幅に対する距離Aと距離Bの差の割合(|A−B|/(A+B)×100)が3%未満であるものを実施例とした。他方、クリップ150、152間の幅に対する距離Aと距離Bの差の割合(|A−B|/(A+B)×100)が3%以上であるものを比較例とした。
[比較例1]
比較例1では、L1を1478mm、L2を1918mm、L3を1780mmとし、クリップ150、152間の幅に対する距離Aと距離Bの差の割合(以下、単に左右差と称する)を3.2%とした。この比較例1では、遅相軸の最小軸角度が89.7度であり、遅相軸の最大軸角度が91.8であった。比較例1は、最小軸角度と最大軸角度との差(遅相軸のバラつき)が2.1度と広範囲に渡っており、評価は×とした。
[比較例2]
比較例2では、L1を1475mm、L2を1918mm、L3を1826mmとし、クリップ150、152間の幅に対する距離Aと距離Bの差の割合(以下、単に左右差と称する)を4.0%とした。この比較例2では、遅相軸の最小軸角度が88.4度であり、遅相軸の最大軸角度が91.6であった。比較例2は、最小軸角度と最大軸角度との差(遅相軸のバラつき)が3.2度と広範囲に渡っており、評価は×とした。
[比較例3]
比較例3では、L1を1478mm、L2を1888mm、L3を1765mmとし、クリップ150、152間の幅に対する距離Aと距離Bの差の割合(以下、単に左右差と称する)を3.5%とした。この比較例3では、遅相軸の最小軸角度が89.0度であり、遅相軸の最大軸角度が91.6であった。比較例3は、最小軸角度と最大軸角度との差(遅相軸のバラつき)が2.6度と広範囲に渡っており、評価は×とした。
[実施例1]
実施例1では、L1を1478mm、L2を1803mm、L3を1765mmとし、クリップ150、152間の幅に対する距離Aと距離Bの差の割合(以下、単に左右差と称する)を0.8%とした。この実施例1では、遅相軸の最小軸角度が89.5度であり、遅相軸の最大軸角度が90.5であった。実施例1は、最小軸角度と最大軸角度との差(遅相軸のバラつき)が1.0度と狭い範囲に収まっていたため、評価は○とした。
[実施例2]
実施例2では、L1を1478mm、L2を1841mm、L3を1765mmとし、クリップ150、152間の幅に対する距離Aと距離Bの差の割合(以下、単に左右差と称する)を0.3%とした。この実施例2では、遅相軸の最小軸角度が90.3度であり、遅相軸の最大軸角度が90.9であった。実施例2は、最小軸角度と最大軸角度との差(遅相軸のバラつき)が0.6度と狭い範囲に収まっていたため、評価は○とした。
[実施例3]
実施例3では、L1を1478mm、L2を1871mm、L3を1765mmとし、クリップ150、152間の幅に対する距離Aと距離Bの差の割合(以下、単に左右差と称する)を0.5%とした。この実施例3では、遅相軸の最小軸角度が90.0度であり、遅相軸の最大軸角度が90.7であった。実施例3は、最小軸角度と最大軸角度との差(遅相軸のバラつき)が0.7度と狭い範囲に収まっていたため、評価は○とした。
[実施例4]
実施例4では、L1を1478mm、L2を1888mm、L3を1765mmとし、クリップ150、152間の幅に対する距離Aと距離Bの差の割合(以下、単に左右差と称する)を1.0%とした。この実施例4では、遅相軸の最小軸角度が89.3度であり、遅相軸の最大軸角度が90.2であった。実施例4は、最小軸角度と最大軸角度との差(遅相軸のバラつき)が0.9度と狭い範囲に収まっていたため、評価は○とした。
[実施例5]
実施例5では、L1を1478mm、L2を1903mm、L3を1765mmとし、クリップ150、152間の幅に対する距離Aと距離Bの差の割合(以下、単に左右差と称する)を1.2%とした。この実施例5では、遅相軸の最小軸角度が89.4度であり、遅相軸の最大軸角度が90.7であった。実施例5は、最小軸角度と最大軸角度との差(遅相軸のバラつき)が1.3度と狭い範囲に収まっていたため、評価は○とした。
[実施例6]
実施例6では、L1を1478mm、L2を1918mm、L3を1765mmとし、クリップ150、152間の幅に対する距離Aと距離Bの差の割合(以下、単に左右差と称する)を0.2%とした。この実施例6では、遅相軸の最小軸角度が89.8度であり、遅相軸の最大軸角度が90.2であった。実施例6は、最小軸角度と最大軸角度との差(遅相軸のバラつき)が0.4度と狭い範囲に収まっていたため、評価は○とした。
[実施例7]
実施例7では、L1を1478mm、L2を1918mm、L3を1780mmとし、クリップ150、152間の幅に対する距離Aと距離Bの差の割合(以下、単に左右差と称する)を0.3%とした。この実施例7では、遅相軸の最小軸角度が89.6度であり、遅相軸の最大軸角度が90.3であった。実施例7は、最小軸角度と最大軸角度との差(遅相軸のバラつき)が0.7度と狭い範囲に収まっていたため、評価は○とした。
[実施例8]
実施例8では、L1を1475mm、L2を1918mm、L3を1826mmとし、クリップ150、152間の幅に対する距離Aと距離Bの差の割合(以下、単に左右差と称する)を0.1%とした。この実施例8では、遅相軸の最小軸角度が89.8度であり、遅相軸の最大軸角度が90.2であった。実施例8は、最小軸角度と最大軸角度との差(遅相軸のバラつき)が0.4度と狭い範囲に収まっていたため、評価は○とした。
[実施例9]
実施例9では、L1を1475mm、L2を1932mm、L3を1838mmとし、クリップ150、152間の幅に対する距離Aと距離Bの差の割合(以下、単に左右差と称する)を1.1%とした。この実施例9では、遅相軸の最小軸角度が89.4度であり、遅相軸の最大軸角度が90.6であった。実施例9は、最小軸角度と最大軸角度との差(遅相軸のバラつき)が1.2度と狭い範囲に収まっていたため、評価は○とした。
[実施例10]
実施例10では、L1を1475mm、L2を1947mm、L3を1849mmとし、クリップ150、152間の幅に対する距離Aと距離Bの差の割合(以下、単に左右差と称する)を0.5%とした。この実施例10では、遅相軸の最小軸角度が89.9度であり、遅相軸の最大軸角度が90.7であった。実施例10は、最小軸角度と最大軸角度との差(遅相軸のバラつき)が0.8度と狭い範囲に収まっていたため、評価は○とした。
[実施例11]
実施例11では、L1を1465mm、L2を1841mm、L3を1765mmとし、クリップ150、152間の幅に対する距離Aと距離Bの差の割合(以下、単に左右差と称する)を0.8%とした。この実施例11では、遅相軸の最小軸角度が89.5度であり、遅相軸の最大軸角度が90.4であった。実施例11は、最小軸角度と最大軸角度との差(遅相軸のバラつき)が0.9度と狭い範囲に収まっていたため、評価は○とした。
[実施例12]
実施例12では、L1を1478mm、L2を1803mm、L3を1765mmとし、クリップ150、152間の幅に対する距離Aと距離Bの差の割合(以下、単に左右差と称する)を0.7%とした。この実施例12では、遅相軸の最小軸角度が89.4度であり、遅相軸の最大軸角度が90.2であった。実施例12は、最小軸角度と最大軸角度との差(遅相軸のバラつき)が0.8度と狭い範囲に収まっていたため、評価は○とした。
[実施例13]
実施例13では、L1を1478mm、L2を1841mm、L3を1765mmとし、クリップ150、152間の幅に対する距離Aと距離Bの差の割合(以下、単に左右差と称する)を0.4%とした。この実施例13では、遅相軸の最小軸角度が89.9度であり、遅相軸の最大軸角度が90.5であった。実施例13は、最小軸角度と最大軸角度との差(遅相軸のバラつき)が0.6度と狭い範囲に収まっていたため、評価は○とした。
[実施例14]
実施例14では、L1を1478mm、L2を1871mm、L3を1765mmとし、クリップ150、152間の幅に対する距離Aと距離Bの差の割合(以下、単に左右差と称する)を0.6%とした。この実施例14では、遅相軸の最小軸角度が89.8度であり、遅相軸の最大軸角度が90.5であった。実施例14は、最小軸角度と最大軸角度との差(遅相軸のバラつき)が0.7度と狭い範囲に収まっていたため、評価は○とした。
Figure 2006272954
(11)総評
以上のように、クリップ150、152間の幅に対する距離Aと距離Bの差の割合(左右差)が小さい程、遅相軸のバラつきも小さいことが確認できた。また、左右差を3%未満とすることで、遅相軸のバラつきを小さな範囲に抑えた良好な光学特性を有するフイルムを製造できることが確認できた。
ドープの製造ラインを表す説明図である。 フイルム製膜ラインを表す説明図である。 テンタ装置の平面図である。 延伸の後、緩和を行うテンタ装置の平面図である。
符号の説明
10 ドープ製造ライン
40 フイルム製膜ライン
87 湿潤フイルム
100、200 テンタ装置
101 フイルム
120、220 左レール
122、222 右レール
130、132 エンドレスチェーン
134 テンタ入口
136 テンタ出口
150、152 クリップ
155 中心軸

Claims (4)

  1. フイルムの幅方向で向かい合う第1、第2の把持手段を有するテンタ装置を備え、前記テンタ装置により、前記フイルムの幅方向両側部を把持しながら搬送するとともに、前記搬送中に前記第1、第2の把持手段の幅を広げ、前記フイルムを幅方向に延伸する溶液製膜方法において、
    前記フイルムの長手方向と平行な前記テンタ装置の中心軸から、前記第1各把持手段までの距離をA、前記中心軸から前記第2各把持手段までの距離をBとしたときに、
    −0.03<(A−B)/(A+B)<0.03
    を満たすことを特徴とする溶液製膜方法。
  2. 前記搬送中に乾燥風を送風して前記フイルムを乾燥させるとともに、前記フイルムの幅が変化している間、前記乾燥風の温度を一定に保つことを特徴とする請求項1記載の溶液製膜方法。
  3. 請求項1または2記載の溶液製膜方法により製膜したことを特徴とするポリマーフイルム。
  4. フイルムの幅方向で向かい合う第1、第2の把持手段を有するテンタ装置を備え、前記テンタ装置により前記フイルムの幅方向両側部を把持しながら搬送するとともに、前記搬送中に前記第1、第2の把持手段の幅を広げ、前記フイルムを幅方向に延伸する溶液製膜設備において、
    前記フイルムの長手方向と平行な前記テンタ装置の中心軸から、前記第1各把持手段までの距離をA、前記中心軸から前記第2各把持手段までの距離をBとしたときに、
    −0.03<(A−B)/(A+B)<0.03
    を満たすことを特徴とする溶液製膜設備。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN104416898A (zh) * 2013-08-26 2015-03-18 谢书伟 制造宽幅偏振片的新拉伸工艺

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