JP2006261656A - 圧電アクチュエータおよびその製造方法 - Google Patents

圧電アクチュエータおよびその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】アニール処理による圧電特性の低下を抑制できる圧電アクチュエータ、およびインクジェットヘッドの製造方法を提供することにある。
【解決手段】振動板2と圧電層4との間に、互いに溶融開始温度の異なる低温溶融層3Aと高温溶融層3Bとからなる下部電極3を設ける。下部電極3を焼成する焼成工程においては、低温溶融層3Aのみが溶融する低い温度で焼成を行い、圧電層4アニール処理工程においては、高温溶融層3Bが溶融する高い温度でアニール処理を行う。このとき、焼成工程においては、低温溶融層3Aにおいて白金ナノ粒子の溶融が起こり、密着性および拡散防止効果が発揮される。そして、アニール工程においては、高温溶融層3Bにおいて白金粒子が溶融し、密着性および拡散防止効果が発揮される。アニール処理による圧電アクチュエータの圧電特性の低下を抑制できる。
【選択図】図2

Description

本発明は、圧電アクチュエータおよびその製造方法に関し、さらに詳細には、良好な圧電特性を有する圧電アクチュエータおよびその製造方法並びにインクジェットヘッドの製造方法に関する。
インクジェットヘッド等に用いられる圧電アクチュエータの一例が、特許文献1に記載されている。この圧電アクチュエータでは、流路形成体においてノズル開口と連通する圧力室の開口部を閉じるように設けられる基板(振動板)を備え、この基板上に下部電極、圧電層、上部電極が積層されている。下部電極と上部電極との間に電界を印加すると、圧電層の変形に伴って基板が撓み、圧力室内のインクが加圧されてノズル開口から吐出される。
このような圧電アクチュエータは、例えば以下のようにして製造される。まず、基板上に、Ptペースト等の金属ペーストを塗布し、焼成することにより下部電極を形成する。次いで、この下部電極上に、エアロゾルデポジション法(AD法)により圧電層を形成する。このエアロゾルデポジション法では、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等の圧電材料の微粒子を気体中に分散させたもの(エアロゾル)を基板表面に向けて噴射させ、微粒子を基板上に衝突・堆積させることにより圧電膜を形成する。
特開2001−54946公報
ここで、上記のようなAD法は、吹き付けられた圧電材料の粒子が基板に衝突して粉砕しつつ付着するものであるため、衝突による粒子の微細化、格子欠陥の発生等が生じ、形成される圧電膜の圧電特性を充分に確保できないことがある。このため、圧電層形成後に、この圧電層にアニール処理を施して圧電特性を回復させる必要がある。
ところが、高い圧電特性を得ようとして高温でアニール処理を行うと、基板に含まれる元素が圧電膜中に拡散し、かえって圧電特性を低下させてしまうことがある。加えて、各層を構成する材料の熱膨張率の差によって重なり合う層の界面に応力が生じ、層間剥離が起こるために、充分な圧電特性が得られなくなることがある。
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、アニール処理による圧電特性の低下を抑制できる圧電アクチュエータ、およびその製造方法、並びにインクジェットヘッドの製造方法を提供することにある。
本発明者らは、アニール処理による圧電特性の低下を抑制できる圧電アクチュエータおよびその製造方法並びにインクジェットヘッドの製造方法を開発すべく鋭意研究してきたところ、以下の知見を見出した。
上記したような慣用の方法で圧電アクチュエータを製造する際に、下部電極層は以下のような挙動を示す。まず、基板上に金属ペーストを塗布し、焼成する段階では、下部電極層を構成する金属粒子が互いに融着することによって緻密化が起こる。ところが、この後に行われる圧電層のアニール処理において、この下部電極層には再度熱が加えられることとなる。このとき、下部電極層を構成する粒子が徐々に粒成長し、粒界が発達していく。このため、基板に含まれる元素が粒界に沿って下部電極層を通過し易くなり、圧電層への拡散が大きくなってしまうのである。
そこで、焼成温度およびアニール温度をできるだけ低温とすることによって、下部電極層の焼結を遅らせ、アニール処理時における下部電極層を緻密化の段階に止めることによって、拡散を抑制することが考えられる。しかし、焼成温度を低くすると下部電極層と隣り合う層との密着性が充分に得られなくなるおそれがある。また、充分なアニール温度を確保しなければ、圧電特性の回復が充分に行われなくなるおそれがある。
これらのことから、本発明者は、基板と圧電層との間に拡散防止層を設け、この拡散防止層を溶融開始温度の高い層と低い層との積層構造とすることにより、アニール処理時において基板と圧電層との間での拡散元素の拡散を抑制しつつ、圧電特性の回復効果や密着性を確保できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明の第1の態様に従えば、基板上に、溶融開始温度TM1及び最大収縮温度TS1を有する第1拡散防止層と、溶融開始温度TM2及び最大収縮温度TS2を有する第2拡散防止層を形成する拡散防止層形成工程と、
前記拡散防止層を、TM1 < TM2 < T <TS1を満たす焼成温度Tcで焼成する焼成工程と、
前記拡散防止層上に圧電層を形成する圧電層形成工程と、
前記圧電層を、TM2 < T < TS2を満たすアニ−ル温度Tでアニールするアニール処理工程とを含む圧電アクチュエータの製造方法が提供される。
本発明によれば、基板と圧電層との間に、互いに溶融開始温度の異なる複数の層を積層した拡散防止層を形成するとともに、この拡散防止層を焼成する焼成工程においては、他の層よりも溶融開始温度の低い一部の層のみが溶融する温度で焼成を行い、圧電層形成後のアニール処理工程においては、最も溶融開始温度が高い層が溶融する温度でアニール処理を行う。
このとき、まず焼成工程においては、低融点層(第1拡散防止層)において材料粒子が溶融して焼成が進行し、焼結した低融点層が隣り合う層との密着性を担う。また、焼成により低融点層が緻密化し、基板から他の層への元素の拡散を抑制する役割を果たす。同時に高融点層の一部が溶融を開始し密着性を確保する。一方、アニール工程においては、低融点層においては粒成長が進行するため、拡散防止効果が徐々に失われていくが、高融点層(第2拡散防止層)においては材料粒子が溶融して焼成が進行し、緻密な層が形成される。これにより、低融点層に代わって高融点層が拡散防止効果を担うようになる。また密着性に関しては、高温で焼成する方が、拡散防止層の各層を構成する材料粒子同士、および拡散防止層と基板、圧電層との界面での結合が強固となる。したがって、高温のアニール処理により、強い密着性を確保して層間剥離を防止することができる。このようにして、基板と圧電層との間での拡散元素の拡散を抑制しつつ、圧電特性の回復効果や密着性を確保することができる。
本発明において拡散防止層を形成する層については、第1拡散防止層及び第2拡散防止層にさらに、追加の拡散防止層(第3拡散防止層)を加えてもよい。すなわち、拡散防止層を形成する層は、3層以上であっても構わない。また、これら複数の層は、互いに異なる材料により形成されていても良く、同一の材料により形成されていても良い。特に、複数の層を互いに親和性の良い同種の材料により形成すれば、焼成工程において、溶融開始温度の低い一部の層のみが溶融する程度の低温で焼成しても、これら複数の層を互いに強く密着させることができるため、好ましい。
前記拡散防止層形成工程が、前記基板上に第1拡散防止層を形成する第1拡散防止層形成工程と、第1拡散防止層上に第2拡散防止層を積層する第2拡散防止層形成工程とを含み得る。焼成工程においては複数の層のうち基板側の層(第1拡散防止層)が溶融、焼結することにより、基板と拡散防止層との密着性を確保でき、アニール工程においては複数の層のうち圧電層側の層(第2拡散防止層)が溶融、焼結することにより、拡散防止層と圧電層との密着性を確保できるからである。
拡散防止層は、非導電性材料により形成されていてもよく、導電性材料により形成されていても良い。非導電性材料としては、例えばアルミナ、ジルコニア等の絶縁性セラミックス材料を、導電性材料としては、例えばAu、Pt、Ag、Ti等の金属材料、あるいは、インジウム−スズ酸化物(ITO)、SrRuO(SRO)等の導電性酸化物等を例示することができる。特に、この拡散防止層を形成する複数の層のうち圧電層と接する層(第2拡散防止層)を導電性材料によって形成すれば、この導電性の層を下部電極としても使用することができる。
特に、他の層よりも溶融開始温度の低い低温溶融層を構成する材料として、ナノスケールの粒子径をもつ金属ナノ粒子、具体的には粒径50nm以下のものを好ましく使用することができる。このような金属微粒子は、粒子径が非常に小さいためにその金属本来の物理的性質とは異なった性質を示し、特に、融点が大きく低下することが知られている。したがって、低温で熱処理して金属の薄膜を形成する材料として好ましく用いることができる。
拡散防止層を構成する複数の層を構成する材料、特にその材料の溶融開始温度は、各層を構成する材料の組み合わせや、アニール処理時の温度条件等によって選択することができる。本発明では最も高い溶融開始温度をもつ層(第2拡散防止層)を構成する材料を、アニール温度で溶融可能な材料により形成する。具体的には、低温で溶融する層(第1拡散防止層)の最大収縮温度TS1を600℃以下とし、高温で溶融する層(第2拡散防止層)の最大収縮温度TS2を650℃以上にし得る。
本発明において、第1拡散防止層が電極層であり、前記圧電層上にさらに別の電極層を形成することを含み得る。圧電層をエアロゾルデポジション法で形成し得る。アニ−ル温度Tが550℃〜1100℃にし得る。
更に本発明に従えば本発明の方法によって圧電アクチュエータを製造することと;前記圧電層の上面に駆動電極を形成する駆動電極形成工程と;インクを吐出するためのインク吐出ノズルに連通するとともに一面側に開口する開口部を備えた圧力室が設けられたインク流路形成体を圧電アクチュエータに取り付ける工程とを備えるインクジェットヘッドの製造方法が提供される。
本発明の第2の態様に従えば、圧電アクチュエータであって、
基板と、基板上に形成された第1拡散防止層と、第1拡散防止層上に形成された第2拡散防止層と、第2拡散防止層上に形成されるとともアニ−ル温度Tでアニ−ル処理された圧電層とを備え、第1拡散防止層の溶融開始温度TM1が溶融開始温度TM2よりも低く、アニ−ル温度Tが第2拡散防止層の溶融開始温度TM2よりも高く且つ第2拡散防止層の最大収縮温度TS2よりも低い圧電アクチュエータが提供される。
本発明の圧電アクチュエータでは、第1拡散防止層及び第2拡散防止層が所定の関係を満たす溶融開始温度及び最大収縮温度を有するので、基板と圧電層の密着性を確保しつつ、基板と圧電層との間のアニ−ル処理時における元素拡散が防止されている。
本発明の圧電アクチュエータにおいて、第1拡散防止層が焼成温度Tで焼成されており、焼成温度Tは第1拡散防止層の溶融開始温度TM1よりも高く且つ第1拡散防止層の最大収縮温度TS1よりも低くし得る。第1拡散防止層の焼成時に第2拡散防止層は完全溶融しないために、製造プロセスにおける第2拡散防止層の熱負荷を低減することができる。これにより良好な圧電特性及び機械的強度が確保された圧電アクチュエータが提供される。
第1拡散防止層と第2拡散防止層が同じ材料から形成してそれらの密着性を向上し得る。また、第1拡散防止層が粒径50nm以下の白金ナノ粒子から形成され、第2拡散防止層が粒径200nm以上の白金ナノ粒子から形成され得る。これにより、第1及び第2拡散防止層の密着性を向上しつつ、それらの拡散防止層の温度特性、特に溶融開始温度及び最大収縮温度を異ならしめることができる。
第1及び第2拡散防止層が電極層として作用し、前記圧電層上にさらに別の電極層が設けられ得る。圧電層がエアロゾルデポジション法で形成されていてもよい。
以下、本発明を具体化した一実施形態について、図1〜図8を参照しつつ詳細に説明する。
図1には、本実施形態のインクジェットヘッド10を示す。インクジェットヘッド10は、インク20が収容される複数の圧力室16を備えた流路ユニット11(インク流路形成体)と、この流路ユニット11上に圧力室16を閉じるように接合されたアクチュエータプレート1(圧電アクチュエータ)とを備えている。
流路ユニット11は、全体として平板状をなしており、ノズルプレート12、マニホールドプレート13、流路プレート14、および圧力室プレート15がこの順に積層されている。各プレート12、13、14、15は、互いにエポキシ系の熱硬化性接着剤にて接合されている。
ノズルプレート12は、ポリイミド系の合成樹脂材料にて形成されており、その内部にはインク20を噴射するための複数のインク吐出ノズル19となる孔が整列して形成されている。マニホールドプレート13は、金属材料、例えばステンレス(SUS430)にて形成され、その内部には、インク吐出ノズル19に接続する複数のノズル流路18となる孔が設けられている。流路プレート14は、同じくステンレス(SUS430)にて形成されており、内部にノズル流路18に連通した複数のプレッシャ流路17となる孔が設けられている。圧力室プレート15は同じくステンレス(SUS430)にて形成され、その内部にはプレッシャ流路17に連通した複数の圧力室16となる孔が設けられている。圧力室16は、流路プレート14、マニホールドプレート13に設けられた図示しないマニホールド流路、および共通インク室を介してインクタンクに接続されている。このようにして、インクタンクに接続された共通インク室から、マニホールド流路、圧力室16、プレッシャ流路17およびノズル流路18を経てインク吐出ノズル19へと至るインク流路が形成されている。
この流路ユニット11に積層されるアクチュエータプレート1は、圧力室16の壁面の一部を構成する振動板2(または基板)上に、下部電極3、圧電層4、上部電極5がこの順に積層されている。
振動板2は、例えばステンレス(SUS430)にて矩形状に形成されており、流路ユニット11の上面に熱圧着により接合されて、流路ユニット11の上面全体を覆う形態となっている。なお、この振動板2は、流路ユニット11を構成するマニホールドプレート13、流路プレート14、および圧力室プレート15と同種の金属材料により形成されており、これにより、振動板2を流路ユニット11に熱圧着する際の反りを防止することができる。
この振動板2の上面(流路ユニット11に接する面と反対側の面)には、全面にわたって下部電極3が形成されている。この下部電極3は、振動板2に含まれるFe、Cr等の元素が圧電層4に拡散することを防止するための拡散防止層を兼ねるものであって、互いに溶融開始温度の異なる導電性材料からなる層により構成された2層構造となっている。下側(振動板2と接する側)の層は、例えば白金ナノ粒子等の、粒径50nm以下の金属ナノ粒子によって形成された低温溶融層3A(第1拡散防止層)である。一方、上側(圧電層4と接する側)の層は、例えば低温溶融層3Aを構成する粒子と同成分であって、かつ、粒径が低温溶融層3Aを構成する粒子よりも大きな白金粒子によって形成された高温溶融層3B(第2拡散防止層)である。この下部電極3は、駆動回路IC(図示せず)のグランドに接続されてグランド電極として使用される。
この下部電極3の上面(振動板2に密着されている側と逆側の面)に形成される圧電層4は、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等の強誘電体の圧電セラミックス材料から形成されており、振動板2との間で下部電極3を挟み込むようにしながら、振動板2の表面全体に均一な厚みで積層されている。この圧電層4は、エアロゾルデポジション(AD)法により形成されたものであって、その厚み方向に分極するように分極処理が施されている。
この圧電層4の上面(下部電極3に密着されている側と逆側の面)には、複数の上部電極5が設けられている。各上部電極5は、圧電層4の上面において圧力室プレート15の各圧力室16に対応する領域にそれぞれ設けられている。これらの上部電極5はそれぞれ図示しないリード部を介して駆動回路ICに接続されており、駆動電極として使用される。
印刷を行う際には、駆動回路ICから所定の駆動信号が発せられると、上部電極5の電位が下部電極3よりも高い電位とされ、圧電層4の分極方向(厚み方向)に電界が印加される。すると、圧電層4が厚み方向に膨らむとともに、面方向に収縮する。これにより、圧電層4および振動板2(即ちアクチュエータプレート1)において圧力室16の開口部16Aに対応する領域が、圧力室16側に凸となるように局所的に変形する(ユニモルフ変形)。このため、圧力室16の容積が低下して、インク20の圧力が上昇し、インク吐出ノズル19からインク20が噴射される。その後、上部電極5が下部電極3と同じ電位に戻されると、圧電層4と振動板2とが元の形状になって圧力室16の容積が元の容積に戻るので、インク20をインクタンクに連通するマニホールド流路より吸い込む。
次に、このインクジェットヘッド10を製造する方法について説明する。まず、ステンレスにより形成されたマニホールドプレート13、流路プレート14、圧力室プレート15に、それぞれノズル流路18、プレッシャ流路17、圧力室16となる孔をエッチングにより形成する。次いで、これらを積層した状態で接合し、流路ユニット11の大半を形成する(流路形成体形成工程)。なお、ノズルプレート12は合成樹脂材料により形成されているため、後述するアニール処理の際に加熱すると溶融するから、ここでは接合せず、アニール処理の後に接合する。
次に、図2Aに示すように、ステンレスにより形成された振動板2を流路ユニット11における圧力室プレート15の上面に位置合わせした状態で重ねて熱圧着により接合し、振動板2によって各圧力室16を閉鎖する(振動板接合工程)。
次に、図2Bに示すように、振動板2上に拡散防止層を兼ねる下部電極3を形成する(拡散防止層形成工程)。まず、粒径50nm以下の白金ナノ粒子、例えば50nm(あるいは10nmまたは5nm)の白金粒子を分散剤に分散したペーストを調整する。そして、このペーストを振動板2上に塗布し、乾燥することで、振動板2上に低温溶融層3Aを形成する(第1拡散防止層形成工程)。次いで、上述の白金ナノ粒子よりも粒径の大きな白金粒子、例えば200nmの白金粒子を分散剤に分散したペーストを調整する。そして、このペーストを低温溶融層3A上に塗布し、乾燥することで、高温溶融層3Bを形成する(第1拡散防止層形成工程)。このようにして、低温溶融層3Aと高温溶融層3Bとの2層により構成される下部電極3を形成する。低温溶融層3Aと高温溶融層3Bは、溶融開始温度が互いに異なる。
次に、この下部電極3の焼成を行う(焼成工程)。焼成は、高温溶融層3Bを構成する白金粒子が完全溶融せず、低温溶融層3Aを構成する白金ナノ粒子のみが溶融する温度で行う。この実施形態では350℃〜500℃の温度で焼成する。ここで、低温溶融層3Aを構成する金属ナノ粒子は金属本来の融点よりもはるかに低い温度で溶融・融着する低融点材料であるため、約100〜200℃というきわめて低い温度で溶融開始し、振動板2、および高温溶融層3Bと密着する。粒径が小さいほど溶融開始温度は低いことが分っており、例えば粒径が10nm程度の場合は150℃で溶融開始する。また、低温溶融層3Aと高温溶融層3Bとは互いに同一の材料(ここでは白金)により形成されてのでそれらの親和性が高く、低温溶融層3Aのみが溶融する程度の低温で焼成しても互いに強く密着する。また、この低温焼成による低温溶融層3Aの粒子の焼結によって低温溶融層3Aが緻密化し、振動板2からの元素の低温溶融層3Aへの拡散を防止することができる。それゆえ、低温溶融層3Aは焼成時の拡散防止層としての役割を果たす。
次に、図2Cに示すように、圧電層4をエアロゾルデポジション法(AD法)によって形成する(圧電層形成工程)。図3には、圧電層4を形成するための成膜装置30の概略図を示した。この成膜装置30は、材料粒子Mをキャリアガスに分散させてエアロゾルZを形成するエアロゾル発生器31、およびエアロゾルZを噴射ノズル37から噴出させて基板に付着させるための成膜チャンバ35を備えている。
エアロゾル発生器31には、内部に材料粒子Mを収容可能なエアロゾル室32と、このエアロゾル室32に取り付けられてエアロゾル室32を振動する加振装置33とを備えている。エアロゾル室32には、キャリアガスを導入するためのガスボンベBが導入管34を介して接続されている。導入管34の先端はエアロゾル室32内部において底面付近に位置し、材料粒子M中に埋没するようにされている。キャリアガスとしては、例えばヘリウム、アルゴン、窒素等の不活性ガスや空気、酸素等を使用することができる。
成膜チャンバ35には、圧電層4を形成する基板を取り付けるためのステージ36と、このステージ36の下方に設けられた噴射ノズル37が備えられている。噴射ノズル37は、エアロゾル供給管38を介してエアロゾル室32に接続されており、エアロゾル室32内のエアロゾルZが、エアロゾル供給管38を通って噴射ノズル37に供給されるようになっている。また、この成膜チャンバ35には、粉体回収装置39を介して真空ポンプPが接続されており、その内部を減圧できる。
この成膜装置30を用いて圧電層4を形成する際には、まず、振動板2をステージ36にセットする。次いで、エアロゾル室32の内部に材料粒子Mを投入する。材料粒子Mとしては、例えばチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)を使用することができる。
そして、ガスボンベBからキャリアガスを導入して、そのガス圧で材料粒子Mを舞い上がらせる。それととともに、加振装置33によってエアロゾル室32を振動することで、材料粒子Mとキャリアガスとを混合してエアロゾルZを発生させる。そして、成膜チャンバ35内を真空ポンプPにより減圧することにより、エアロゾル室32と成膜チャンバ35との間の差圧により、エアロゾル室32内のエアロゾルZを高速に加速しつつ噴射ノズル37から噴出させる。噴出したエアロゾルZに含まれる材料粒子Mは振動板2に衝突して堆積し、圧電層4を形成する。
続いて、必要な圧電特性を得るために、形成した圧電層4のアニール処理を行う(アニール処理工程)。このとき、充分な圧電特性の回復を図るためには、ある程度高温で充分な時間をかけてアニール処理を行わなければならない。アニール温度としては、この実施形態(圧電層材料がチタン酸ジルコン酸鉛の場合)、
550℃〜1100℃が好適である。しかし、高温アニ−ル雰囲気のために、振動板2に含まれる元素が圧電層4中に拡散し、かえって圧電特性を低下させてしまうことになる。しかし、本実施形態では振動板2と圧電層4との間に拡散防止機能を有する下部電極3を設けて拡散を抑制することができる。
ここで、金属粒子の粒径の違いによる焼成中の挙動の違いを図4〜図7を参照しつつ考察する。図4には、平均粒径10nm、50nm、200nm(0.2μm)および800nm(0.8μm)の白金粒子を用いた電極層の焼成の経過(焼成収縮率の変化)を示すグラフを示した。焼成収縮率は、応力測定器で測定した電極層にかかる応力測定値から計算により求めた。また、図5には、平均粒径200nmの白金粒子を使用した場合の、700℃、800℃、900℃、1000℃での溶融の様子を示す電子顕微鏡写真を、図6には、平均粒径800nmの白金粒子を使用した場合の、900℃、1000℃、1100℃、1200℃での溶融の様子を示す電子顕微鏡写真を示した。また、図7には図4から得られた平均粒子径に対する最大収縮温度の変化を示した。
図4の焼成収縮率の変化から分かるように、白金粒子の粒径が200nmである場合、約250℃程度で、収縮率が0%から有意の正の値に増加する。この温度が溶融開始温度であり、白金粒子の溶融が始まると考えられる。さらに温度が上昇して、電極層が一時的に膨張する(収縮率が正の範囲)。さらに温度が上昇すると、収縮率は負の値に転じる。収縮率が再び0%になる温度は緻密化が始まる温度と考えられる。こうして温度上昇に伴い、粒子が互いに引っ張り合いながら密着することで電極層(拡散防止層)が収縮していく。そして、約800℃〜900℃で粒子が完全に溶融し、この後、粒成長に転じて粒界が大きくなることにより電極層が再度膨張していくと考えられる。図5において、温度上昇と共に200nmの粒子間の隙間が粒子の溶融により埋まってゆく様子が分ろう。ここで、収縮率の変化を示す曲線の変曲点(収縮率が負の範囲)が最大収縮率を示しており、この温度(膨張開始温度または最大収縮温度)を超えると電極の膨張が再開する。
白金粒子の平均粒径が800nmである場合、粒径200nmの層とほぼ同様の挙動を示すものの、粒子径が大きいことから粒子が完全に溶融するために、すなわち、膨張を再開するまでに粒径200nmの場合よりも高温を要し、電極層は約1100℃〜1200℃まで収縮を続ける。そして、約1100℃を越えたところ(膨張開始温度:最大収縮温度)で粒成長に転じて電極層が再度膨張していく。図6の1200℃の写真を見ると、1100℃まで現れていた金属粒子の隙間が溶融により消滅し、粒界(境界)が1μmを超える程度にまで発達していることが分る。このように、電極層を構成する金属粒子の粒径によって、電極層が緻密化から膨張に転じる温度(膨張開始温度:最大収縮温度)に相違が生じる。
さらに、平均粒径が50nmになると、図4に示したように、焼成収縮率が上昇し始める温度、すなわち,溶融開始温度(約200℃)がさらに低くなり、また、収縮率が再び0%になる温度(緻密化開始温度:約400℃)及び収縮率が最大になる温度(最大収縮温度:約560℃)も平均粒径が200nmの場合よりも低くなることが分る。また、平均粒径が10nmになると、図4に示したように、,溶融開始温度(約150℃)がさらに低くなり、また、収縮率が再びゼロになる温度(緻密化開始温度:約260℃)及び収縮率が最小になる温度(最大収縮温度:約320℃)も粒径が50nmの場合よりも低くなることが分る。
平均粒径が50nm及び10nmの焼成収縮率は以下のようにして市販の金粒子を含むペーストを使って求めた。発明者の知見によると、白金粒子の挙動は同じ貴金属である金粒子の挙動と極めて類似していることが分っている。また、種々の平均粒径に対して最大収縮温度の対数表示がほぼ線形になることが予測される。このような知見に基づいて、発明者は、平均粒径が3nmの金粒子のペースト(ハリマ化成:NPG−J)を用いてその最大収縮温度230〜250℃(ハリマ化成カタログ値)の値を基準(240℃)として平均粒径が10nm及び50nmにおける収縮率を各温度で計算(累乗回帰 y=b*x)により求めた。具体的には、図7に示すように、平均粒子径が3、200、800nmのデータから得られている最大収縮率を示す温度(最大収縮温度)をプロットし、近似曲線(=累乗回帰曲線)の最小二乗誤差(ここでは(1−R)を示す。Rは決定係数ともいい、統計的な確かさを示す値として一般的に用いられている指標である。決定係数とはある変数Y(被説明変数)をある変数X(説明変数)で回帰分析したとき、Yの変動をXの変動で説明可能である部分の割合を表す統計量である。決定係数は0と1との間の数値をとり、1に近いほど説明可能である部分の割合が高いことを示す。)が最も小さくなるように近似曲線を決定した(b=179.75、n=0.2753、R=0.9985)。この決定した近似曲線に基づき、10、50nmの最大収縮率を達成する温度(最大収縮温度)を予測し、10nmに対して340℃、50nmに対して530℃を算出した。収縮率において生じる物理変化の経緯(膨張→収縮→再膨張)は、同じ材料であれば粒径が変わってもその発現温度が変化するのみで、基本的に変化しないことが分かっている。よって、単位体積あたりの表面積の影響が大きい200nmの収縮率の変化を基に、10、50nmの場合の収縮率変化を、200nmの時の最大収縮温度(800℃)と先に求められた10、50nmの最大収縮温度(340℃、530℃)との比率を勘案して、粒子径の減少とともに急峻な変化をするものとし、図4に示すような曲線変化をするものであると決定した。また、参考までに、金の粒子径に対する融点の変化を示すグラフを図8に示す。このグラフより、融点(温度特性)が粒子径に依存して変化することが分ろう。但し、ここでの融点は、溶融開始温度ではなく、完全溶融する温度を示す。
上述した平均粒径200nmまたは800nmの白金粒子は、本実施形態における高温溶融層3Bを形成しており、10nmまたは50nmの白金粒子は本実施形態における低温溶融層3Aを形成している。また、平均粒径3nmの金粒子(溶融開始温度は約150℃)を用いて形成した層を低温溶融層3Aとして用いることもできる。すなわち、高温溶融層3Bは低温溶融層3Aよりも溶融開始温度及び最大収縮温度において高い。
本実施形態のアニール処理工程においては、圧電層4の圧電特性の回復が充分に行われる程度の高温(ここでは900℃で)加熱が行われる。このとき、低温溶融層3Aにおいては、白金粒子が完全に溶融して粒成長に転じ、粒界が発達することによって、拡散防止機能が失われていく。これは、アニ−ル温度Tが低温溶融層3Aの最大収縮率を示す温度(最大収縮温度TS1)よりも高いからである。しかし、先の焼成工程では、低温溶融層3Aの溶融開始温度TM1が比較的低いので焼成温度Tも比較的低くてよい。それゆえ、焼成工程では、焼成温度Tは低高温溶融層3Aの最大収縮温度TS1を超えておらず、低温溶融層3Aが完全溶融されていない(TM1<TM2<T<T S1)。アニ−ル工程で、高温溶融層3Bの溶融開始温度TM1がアニ−ル温度Tよりも高いので、高温溶融層3B中の白金粒子が溶融して緻密化する。但し、アニ−ル温度Tは高温溶融層3Bの最大収縮温度TS2を超えていないために、粒界の発達は起こらない(TM2<T<TS2)。それゆえ、高温溶融層3Bは拡散防止効果を担うようになる。これにより、振動板2から圧電層4への拡散が抑制される。また、溶融、焼結した高温溶融層3Bが圧電層4に強く密着し、圧電層4と高温溶融層3Bとの密着が確保される。さらに、高温でのアニ−ル(焼成)により、低温溶融層3Aにおいても隣り合う振動板2、および高温溶融層3Bとの界面での結合がより強固となる。これにより、層間剥離を防止することができる。このような原理で、アニ−ル処理工程において、基板から圧電層への拡散防止が図られている。
図2A〜2Dに示す製造プロセスに戻って、図2Dに示すように、各圧電層4の上面の各圧力室16に対応する領域に、に上部電極5、および各上部電極5に接続した複数のリード部(図示せず)を形成する(駆動電極形成工程)。上部電極5及びリード部を形成するには、例えば、圧電層4上の全域に導体膜を形成した後、フォトリソグラフィ・エッチング法を利用して所定のパターンに形成してもよく、あるいは圧電層4の上面に直接スクリーン印刷により形成しても良い。
この後、上部電極5−下部電極3間に通常のインク噴射動作時よりも強い電界を印加して、両電極間の圧電層4を厚み方向に分極する(分極処理)。最後にノズルプレート12をマニホールドプレート13に接合する。以上によりアクチュエータプレート1が完成する。
以上のように本実施形態によれば、振動板2と圧電層4との間に、互いに溶融開始温度の異なる低温溶融層3Aと高温溶融層3Bとからなる下部電極3を設ける。そして、この下部電極3を焼成する焼成工程においては、低温溶融層3Aのみが溶融する低い温度で焼成を行い、圧電層4のアニール処理工程においては、高温溶融層3Bが溶融する高い温度でアニール処理を行う。
このとき、まず焼成工程においては、低温溶融層3Aにおいて白金ナノ粒子の溶融が起こり、隣り合う層との密着性を担う。また、焼成により低温溶融層3Aが緻密化し、振動板2から他の層への元素の拡散を抑制する。そして、アニール工程においては、低温溶融層3Aにおいては粒成長が進行するため、拡散防止効果が失われていくが、高温溶融層3Bにおいて白金粒子が溶融して緻密な層が作られ、拡散防止効果を担う。
さらに、低温溶融層3Aと高温溶融層3Bとが互いに同一の材料により形成されているので、焼成工程において、低温溶融層3Aのみが溶融する程度の低温で焼成しても、低温溶融層3Aと高温溶融層3Bとを互いに強く密着させることができる。またアニール処理工程においては、高温での焼成により、下部電極3の各層を構成する金属粒子同士、および下部電極3と振動板2、圧電層4との界面での結合が強固となる。したがって、強い密着性を確保して層間剥離を防止することができる。
本発明の技術的範囲は、上記した実施形態によって限定されるものではなく、例えば、次に記載するようなものも本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、拡散防止層を兼ねる下部電極3を、低温溶融層3Aと高温溶融層3Bとの2層構造としたが、拡散防止層の構成は本実施形態に限るものではなく、3層以上であってもよい。
(2)上記実施形態では、低温溶融層3Aと高温溶融層3Bを白金粒子により形成したが、他の金属、例えば銀、または金の粒子により形成しても良い。また、拡散防止層を構成する複数の層を必ずしも同種の材料により形成する必要はなく、例えば異種の金属材料によって形成しても良い。例えば、低温溶融層3Aとして、5nm程度の粒径の金のナノ粒子(溶融開始温度が約150℃で、最大収縮温度が約220〜250℃)を分散したペーストを用い、高温溶融層3Bは、200nmの白金粒子(溶融開始温度が約200℃で、最大収縮温度が約800℃)を分散剤に分散したペーストを用いてもよい。このような場合であっても、TM1 < TM2 < T < T S1、TM2 < T < TS2を満足するように、焼結温度T(例えば、約210℃)及びアニール温度(例えば、500℃〜700℃)を選択すればよい。
(3)上記実施形態では、低温溶融層3Aと高温溶融層3Bとをいずれも導電性材料により形成したが、一部の層のみを導電性材料により形成し、他の層を例えばアルミナ等の非導電性材料により形成しても良い。具体的には、例えば基板と接する層をアルミナ層とし、その上に金属材料からなるとともに下部電極を兼ねる低温溶融層、高温溶融層を積層しても良い。
(4)上記実施形態では、ノズルプレート12を合成樹脂材料にて形成したが、マニホールドプレート13等と同様に、ステンレス(SUS430)等の金属材料により形成しても良い。この場合、ノズルプレート12は流路形成体形成工程において、マニホールドプレート13、流路プレート14、圧力室プレート15とともに接合しても良い。
本実施形態のインクジェットヘッドの断面図である。 アクチュエータプレートの製造工程を示す断面図である。 AD法を用いる成膜装置の概略図である。 異なる平均粒径を有する白金粒子から形成された拡散防止層の収縮率の温度に対する変化を示すグラフである。 平均粒径200nmの白金粒子を使用した場合の、700℃、800℃、900℃、1000℃での溶融の様子を示す電子顕微鏡写真である。 平均粒径800nmの白金粒子を使用した場合の、900℃、1000℃、1100℃、1200℃での溶融の様子を示す電子顕微鏡写真である。 図4から得られた平均粒子径に対する最大収縮温度の変化を示するグラフである。 金の粒子径に対する融点の変化を示すグラフである。
符号の説明
1…アクチュエータプレート(圧電アクチュエータ)
2…振動板(基板)3…下部電極(拡散防止層)
3A…低温溶融層(一の層)
3B…高温溶融層(他の層)
4…圧電層
10…インクジェットヘッド
11流路ユニット(インク流路形成体)
16…圧力室
16A…開口部
19…インク吐出ノズル

Claims (17)

  1. 基板上に、溶融開始温度TM1及び最大収縮温度TS1を有する第1拡散防止層と、溶融開始温度TM2及び最大収縮温度TS2を有する第2拡散防止層を形成する拡散防止層形成工程と、
    前記拡散防止層を、TM1 < TM2 < T < T S1を満たす焼成温度Tcで焼成する焼成工程と、
    前記拡散防止層上に圧電層を形成する圧電層形成工程と、
    前記圧電層を、TM2 < T < TS2を満たすアニ−ル温度Tでアニールするアニール処理工程とを含む圧電アクチュエータの製造方法。
  2. 前記拡散防止層形成工程が、前記基板上に第1拡散防止層を形成する第1拡散防止層形成工程と、第1拡散防止層上に第2拡散防止層を積層する第2拡散防止層形成工程とを含む請求項1に記載の圧電アクチュエータの製造方法。
  3. 第1拡散防止層及び第2拡散防止層のうち少なくとも前記圧電層と接する層を導電性材料により形成する請求項1又は2に記載の圧電アクチュエータの製造方法。
  4. 第1拡散防止層及び第2拡散防止層を互いに同種の材料により形成する請求項1〜3の何れかに記載の圧電アクチュエータの製造方法。
  5. 第1拡散防止層を粒径50nm以下の金属ナノ粒子により形成する請求項1〜4の何れかに記載の圧電アクチュエータの製造方法。
  6. 第1拡散防止層の最大収縮温度TS1が600℃以下であり、第2拡散防止層の最大収縮温度TS2が650℃以上である請求項1〜5の何れかに記載の圧電アクチュエータの製造方法。
  7. 第1拡散防止層が電極層であり、前記圧電層上にさらに別の電極層を形成することを含む請求項1〜6の何れかに記載の圧電アクチュエータの製造方法。
  8. 圧電層をエアロゾルデポジション法で形成する請求項1に記載の圧電アクチュエータの製造方法。
  9. アニ−ル温度Tが、550〜1100℃である請求項1に記載の圧電アクチュエータの製造方法。
  10. 請求項1に記載の製造方法によって圧電アクチュエータを製造することと、
    前記圧電層の上面に駆動電極を形成する駆動電極形成工程と、
    インクを吐出するためのインク吐出ノズルに連通するとともに一面側に開口する開口部を備えた圧力室が設けられたインク流路形成体を圧電アクチュエータに取り付ける工程とを備えるインクジェットヘッドの製造方法。
  11. 圧電アクチュエータであって、
    基板と、
    基板上に形成された第1拡散防止層と、
    第1拡散防止層上に形成された第2拡散防止層と、
    第2拡散防止層上に形成されるとともアニ−ル温度Tでアニ−ル処理された圧電層とを備え、
    第1拡散防止層の溶融開始温度TM1が第2拡散防止層の溶融開始温度TM2よりも低く、アニ−ル温度Tが第2拡散防止層の溶融開始温度TM2よりも高く且つ第2拡散防止層の最大収縮温度TS2よりも低い圧電アクチュエータ。
  12. 第1拡散防止層が焼成温度Tで焼成されており、焼成温度Tは第1拡散防止層の溶融開始温度TM1よりも高く且つ第2拡散防止層の最大収縮温度TS2よりも低い請求項11に記載の圧電アクチュエータ。
  13. 第1拡散防止層と第2拡散防止層が同じ材料から形成されている請求項12に記載の圧電アクチュエータ。
  14. 第1拡散防止層が粒径50nm以下の白金ナノ粒子から形成され、第2拡散防止層が粒径200nm以上の白金ナノ粒子から形成されている請求項13に記載の圧電アクチュエータ。
  15. 第1及び第2拡散防止層が電極層として作用し、前記圧電層上にさらに別の電極層が設けられている請求項1に記載の圧電アクチュエータ。
  16. 圧電層がエアロゾルデポジション法で形成されている請求項11に記載の圧電アクチュエータ。
  17. 前記アニ−ル温度が、550〜1100℃である請求項11に記載の圧電アクチュエータ。

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