JP2006257341A - ポリアリレートの製造方法及びポリアリレート - Google Patents
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Abstract
【課題】 得られる成形体が従来のビスフェノールAを原料としたポリアリレートよりもさらに耐熱性に優れる、ポリアリレートの製造方法及びポリアリレートを提供すること。
【解決手段】芳香族ジカルボン酸又はその誘導体(a)と、下記一般式(1)
【化1】
〔Ar1〜Ar4は芳香族骨格、R1〜R4はアルキル基、アルコキシ基、フェニル基、アミノ基またはハロゲン原子、R5〜R12は水素原子或いはアルキル基、アルコキシ基またはフェニル基、Xは直接結合、アルキレン鎖、オキシアルキレン鎖、カルボニル基、エーテル結合、チオエーテル結合、またはスルホニル基、n1〜n4は繰り返し数の平均で、各々独立に0〜10であって、且つ0.1≦(n1+n2+n3+n4)≦10である。〕
で表されるジヒドロキシ化合物(b)とを重合することを特徴とするポリアリレートの製造方法、及びポリアリレート。
【選択図】 なし
【解決手段】芳香族ジカルボン酸又はその誘導体(a)と、下記一般式(1)
【化1】
〔Ar1〜Ar4は芳香族骨格、R1〜R4はアルキル基、アルコキシ基、フェニル基、アミノ基またはハロゲン原子、R5〜R12は水素原子或いはアルキル基、アルコキシ基またはフェニル基、Xは直接結合、アルキレン鎖、オキシアルキレン鎖、カルボニル基、エーテル結合、チオエーテル結合、またはスルホニル基、n1〜n4は繰り返し数の平均で、各々独立に0〜10であって、且つ0.1≦(n1+n2+n3+n4)≦10である。〕
で表されるジヒドロキシ化合物(b)とを重合することを特徴とするポリアリレートの製造方法、及びポリアリレート。
【選択図】 なし
Description
本発明は、耐熱性に優れ、電子材料用等に好適に用いることができるポリアリレート及びその製造方法に関する。
従来、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン〔ビスフェノールA〕の残基とテレフタル酸およびイソフタル酸の残基とからなる非晶性ポリアリレートはエンジニアリングプラスチックとして知られており、得られる成形体の耐熱性が高く、衝撃強度に代表される機械的強度や寸法安定性に優れ、加えて非晶性で透明であるために電気・電子、自動車、機械等の分野に幅広く応用されている。また、上記のポリアリレートは、その優れた電気的特性(絶縁性、誘電特性等)を利用して、コンデンサー用のフィルムや電子写真感光体のバインダー用樹脂の様な電子材料用途への応用が行われており、その製造方法についても種々検討されている(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、電子材料用途における耐熱性に対する要求は、ますます厳しいものになり、従来のポリアリレートでは、耐熱性が不十分な用途が生じ、さらに耐熱性に優れたポリアリレートが求められている。
上記のような実状に鑑み、本発明の課題は、得られる成形体が従来のビスフェノールAを原料としたポリアリレートよりもさらに耐熱性に優れる、ポリアリレートの製造方法及びポリアリレートを提供することにある。
本発明者はこの様な課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、芳香族ジカルボン酸又はその誘導体と、下記一般式にて表される特定のジヒドロキシ化合物とを反応させて得られるポリアリレートを用いると、耐熱性に優れる成形体が得られる事を見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、芳香族ジカルボン酸又はその誘導体(a)と、下記一般式(1)
で表されるジヒドロキシ化合物(b)とを重合することを特徴とするポリアリレートの製造方法を提供するものである。
更に、本発明は、下記一般式(2)
で表される骨格を有し、且つ固有粘度(ηinh)が0.20〜3.00dlg−1であることを特徴とするポリアリレートをも提供するものである。
本発明によれば、極めて優れた耐熱性を有するポリアリレートを提供でき、コンデンサー用材料や電子写真感光体のバインダー用材料の様な要求特性が厳しい電子材料用途へ好適に用いることが出来る。
以下、本発明を詳細に説明する。本発明のポリアリレートの製造方法は、芳香族ジカルボン酸又はその誘導体(a)と、下記一般式(1)
で表されるジヒドロキシ化合物(b)とを重合することを特徴とする。
前記芳香族ジカルボン酸又はその誘導体(a)としては、特に限定されるものではなく、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、3−tert−ブチルイソフタル酸、ジフェン酸、4,4’−ジカルボキシジフェニルエーテル、ビス(p−カルボキシフェニル)アルカン、4,4’−ジカルボキシフェニルスルホン等又はそれらの誘導体が挙げられる。誘導体としては、例えば、前記芳香族ジカルボン酸ジメチルエステル等の低級アルキルエステル、芳香族ジカルボン酸ハライド等が挙げられる。これらの芳香族ジカルボン酸またはその誘導体(a)としては、1種類で用いることもできるし、2種類以上で併用することも可能である。特に好適に用いることができる芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸やイソフタル酸、低級アルキルエステルとしてはテレフタル酸ジメチルエステルやイソフタル酸ジメチルエステル、芳香族ジカルボン酸ハライドとしてはテレフタル酸クロライドやイソフタル酸クロライドが挙げられる。これら好適なものの中でも、テレフタル酸系化合物とイソフタル酸系化合物の等量混合物が特に好ましい。
前記ジヒドロキシ化合物(b)は、各々の水酸基に対してパラ位同士で結合されたビスフェノール類(ビフェノール類)構造を基本骨格として、各々の水酸基に対して存在する4個のオルソ位の水素原子が置換基によって置換され、且つ、各々の水酸基に対して存在する4個のメタ位の水素原子のうち、少なくとも1個の水素原子が脂肪族炭化水素基を介して芳香族骨格に置換された構造である。尚、前記一般式(1)中のR5〜R12、Ar1〜Ar4が、繰り返し単位ごとに同一であっても異なっていても良い。また、繰り返し数の平均値であるn1、n2、n3、n4としては、0.1〜3であることが、得られる成形体の物性バランスに優れる点から好ましいものである。
これらの中でも、前記一般式(1)中のR1、R2、R3、R4が同一でも異なっていても良い炭素数1〜4のアルキル基であることが、得られる成形体の耐熱性に優れる点及び原料入手が容易である点から好ましく、特にメチル基であることがより好ましい。
また、前記一般式(1)中のAr1、Ar2、Ar3、Ar4が同一でも異なっていても良いアルキル基を置換基として有していてもよいベンゼン骨格であることが、得られる成形体の耐熱性に優れる点から好ましく、特に炭素数1〜6のアルキル基を置換基として有していてもよいベンゼン骨格であることがより好ましい。
更に、前記一般式(1)中のR5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12が水素原子であることが、得られる成形体の耐熱性や機械的強度に優れる点から好ましい。
前記一般式(1)で表されるジヒドロキシ化合物(b)としては、例えば、下記一般式(3)
この化合物の構造は、水酸基に対してメタ位の関係にある4箇所中、少なくとも1箇所がベンジル基で置換されていることを意味するものである。また該置換基中のベンジル基は必ずしも1個ではなく、2個以上のベンジル基が連結していてもよいことを意味する。すなわち、前記一般式(3)で表されるジヒドロキシ化合物(b)は、ベンジル基の置換個数が異なる複数種類構造物の混合物であっても良い。例えるならば下記構造式、
該ジヒドロキシ化合物(b)の水酸基当量としては、特に限定されるものではないが、150〜1,000g/eq.の範囲であることが、耐熱性や機械強度がより優れるポリアリレートを提供できる点から好ましいものである。
前記ジヒドロキシ化合物(b)の製造方法としては、特に限定されるものではないが、以下の方法によって合成することが工業的入手が容易な原料を用いる点、及び生産性が良好である点から好ましい。
前記ジヒドロキシ化合物(b)の製造方法としては、例えば、下記一般式(4)
で表される2個のヒドロキシ基に対して4箇所のオルト位に置換基を有する2価フェノール化合物(x1)と、下記一般式(5)
で表される化合物、又は下記一般式(6)
で表される化合物である芳香族系変性剤(a2)とを反応させることで得ることができる。
前記2価フェノール化合物(x1)として好ましいものは、例えば、Xが直接結合の場合、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’,5,5’−テトラメチルビフェノール、3,3’−ジターシャリーブチル−5,5’−ジメチルビフェニル−4,4’−ジオール、3,3’,5,5’−テトラターシャリーブチルビフェニル−4,4’−ジオール、3,3’,5,5’−テトラメトキシビフェニル−4,4’−ジオール、3,3’,5,5’−テトラブトキシビフェニル−4,4’−ジオール等が挙げられ、またXが置換基を有していてもよいアルキレン基の場合、3,3’,5,5’−テトラメチルビスフェノールA、3,3’,5,5’−テトラメチルビスフェノールF等が挙げられ、またXが置換基を有していてもよいフェニル基の場合、3,5,3”,5”−テトラメチル−[1,1’;4’,1”]ターフェニル−4,4”−ジオール等が挙げられ、またXが置換基を有していてもよいアミノ基の場合、4−[(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メチルアミノ]−2,6−ジメチルフェノール等が挙げられ、またXがカルボキシル基の場合、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’,5,5’−テトラメチルベンゾフェノン等が挙げられ、またXがエーテル結合の場合、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’,5,5’−テトラメチルジベンゾエーテル等が挙げられ、またXがチオ基の場合、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’,5,5’−テトラメチルジベンゾチオエーテル等が挙げられ、またXがスルホニル基の場合、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’,5,5’−テトラメチルビスフェノールスルホン等が挙げられる。
芳香族系変性剤(x2)としては、前記一般式(5)又は前記一般式(6)で表されるものであり、例えば、前記一般式(5)で表される化合物として好ましいものは、Xがハロゲン原子の場合、ベンジルクロライド、ベンジルブロマイド、ベンジルアイオダイト、o−メチルベンジルクロライド、m−メチルベンジルクロライド、p−メチルベンジルクロライド、p−エチルベンジルクロライド、p−イソプロピルベンジルクロライド、p−tert−ブチルベンジルクロライド、p−シクロヘキシルベンジルクロライド、p−フェニルベンジルクロライド、5−クロロメチルアセナフチレン、2−ナフチルメチルクロライド、7−メチル−2−ナフチルメチルクロライド及びこれらの核置換異性体、α−メチルベンジルクロライド、α,α−ジメチルベンジルクロライド等が挙げられ、Xがアルコキシ基の場合、炭素数1〜4のアルコキシ基であることが好ましく、ベンジルメチルエーテル、o−メチルベンジルメチルエーテル、m−メチルベンジルメチルエーテル、p−メチルベンジルメチルエーテル、p−エチルベンジルメチルエーテル及びこれらの核置換異性体、ベンジルエチルエーテル、ベンジルイソプロピルエーテル、ベンジルn−プロピルエーテル、ベンジルイソブチルエーテル、ベンジルn−ブチルエーテル、p−メチルベンジルメチルエーテル及びその核置換異性体等が挙げられ、Xが水酸基の場合、ベンジルアルコール、o−メチルベンジルアルコール、m−メチルベンジルアルコール、p−メチルベンジルアルコール、p−エチルベンジルアルコール、p−イソプロピルベンジルアルコール、p−tert−ブチルベンジルアルコール、p−シクロヘキシルベンジルアルコール、p−フェニルベンジルアルコール、2−ナフチルカルビノール、7−メチル−2−ナフチルカルビノール及びこれらの核置換異性体、α−メチルベンジルアルコール、α,α−ジメチルベンジルアルコール等が挙げられる。
又、前記一般式(6)で表される化合物として好ましいものは、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン等が挙げられる。
前記2価フェノール類(x1)と前記芳香族系変性剤(x2)との割合としては、得られる成形体の物性バランスに優れる点から、前記2価フェノール類(x1)と芳香族系変性剤(x2)との比(x1)/(x2)が1/0.1〜1/10(モル比)であることが好ましく、特に前記比として1/0.1〜1/5であることが好ましい。
前記2価フェノール類(x1)と前記芳香族系変性剤(x2)との反応としては、酸触媒存在下で行うことが望ましい。使用可能な酸触媒としては、前記芳香族系変性剤(x2)の種類によっても異なるが、リン酸、硫酸、塩酸などの無機酸、シュウ酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、フルオロメタンスルホン酸などの有機酸、塩化アルミニウム、塩化亜鉛、塩化第2錫、塩化第2鉄、ジエチル硫酸などのフリーデルクラフツ触媒を単独または併用して用いることができる。
また、酸触媒は目標とする変性率などにより、その種類及び使用量を選択すればよく、特に限定されるものではないが、例えば無機酸や有機酸の場合は2価フェノール類(x1)100重量部に対し、0.001〜5.0重量部、好ましくは0.01〜3.0重量部であり、フリーデルクラフツ触媒の場合は2価フェノール類(x1)1モルに対し、0.2〜3.0モル、好ましくは0.5〜2.0モル使用するのが好ましい。
前記芳香族系変性剤(x2)による反応は、用いる2価フェノール類(x1)に応じて、無溶媒下または均一溶液を形成する可溶性溶媒下に行うことができる。上記可溶性溶媒としては、例えば、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルなどのエチレングリコールやジエチレングリコールのモノ又はジエーテル、ジメチルホルムアミドやジメチルスルホキシドのような非プロトン性極性溶媒、クロロベンゼン、ニトロベンゼンなどを挙げることができる。また、これらの有機溶剤は単独で、あるいは数種類を混合して用いることが出来る。このような可溶性溶媒を使用することにより、安定的に芳香族系変性剤(x2)によって変性されたジヒドロキシ化合物(b)を得ることができる。
前記反応は無溶媒下、または前記可溶性溶媒下に、2価フェノール類(x1)と、前記芳香族系変性剤(x2)と、前記酸触媒を溶解させ、60〜180℃、好ましくは80〜160℃程度の温度で、1〜10時間程度維持することによって行うことができる。また、反応中に生成するハロゲン化水素、水、或いはアルコール類などを系外に分留管などを用いて留去することは、反応を速やかに行う上で好ましい。
また、得られるジヒドロキシ化合物(x)の着色が大きい場合は、それを抑制するために、酸化防止剤や還元剤を添加しても良い。酸化防止剤としては特に限定されないが、例えば2,6−ジアルキルフェノール誘導体などのヒンダードフェノール系化合物や2価のイオウ系化合物や3価のリン原子を含む亜リン酸エステル系化合物などを挙げることができる。還元剤としては特に限定されないが、例えば次亜リン酸、亜リン酸、チオ硫酸、亜硫酸、ハイドロサルファイトまたはこれら塩などが挙げられる。
反応終了後は、酸触媒を中和処理、水洗処理あるいは分解することにより除去し、抽出、蒸留などの一般的な操作により、目的とする変性ジヒドロキシ化合物(x)を分離することができる。中和処理や水洗処理は常法に従って行えばよく、なんら限定されるものではないが、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、アンモニア、トリエチレンテトラミン、アニリン等の塩基性物質を中和剤として用いることができる。
前記手法で得られるジヒドロキシ化合物(b)は、2価フェノール類(x1)のヒドロキシ基に対してメタ位の全部または一部にアリールアルキル基が導入された構造を有するものであって、アリールアルキル基部分も繰り返し単位を有する。従って、上記反応によって得られるジヒドロキシ化合物(b)は、複数の構造を有する2種以上の混合物として得られるものである。前記手法によって得られたジヒドロキシ化合物(b)は、混合物のまま各種用途に使用することができるが、必要に応じて、さらに蒸留やカラム処理等の分別操作を加え、単一の成分にすることも可能であり、あるいはより成分数の少ない混合物に分離することもでき、目的とする硬化物の物性等に応じて、適宜選択して用いることが好ましい。
前記芳香族ジカルボン酸又はその誘導体(a)と前記ジヒドロキシ化合物(b)との反応比率としては、得られるポリアリレートの成形性に優れ、成形体の耐熱性や機械強度が優れることから、(a)/(b)=1/0.8〜1/1.2(モル比)であることが好ましい。
又、得られるポリアリレートの溶剤溶解性等を改良する目的等のために、必要に応じて、ジヒドロキシ化合物として、その他のジヒドロキシ化合物(c)を併用して用いることも可能である。この時、芳香族ジカルボン酸又はその誘導体(a)と、ジヒドロキシ化合物(b)とその他のジヒドロキシ化合物(c)の合計との反応比率としては、(a)/〔(b)+(c)〕=1/0.8〜1/1.2(モル比)であることが好ましく、又、耐熱性に優れた成形体が得られる点から、10モル%≦(b)/[(b)+(c)]<100モル%であることが好ましく、40モル%≦(b)/[(b)+(c)]<100モル%であることがさらに好ましく、その比率は、溶媒溶解性や保存安定性とのバランスを考慮して、所望の特性が得られるように任意に調整すればよい。
前記その他のジヒドロキシ化合物(c)としては、何ら制限されるものではなく、種々のものを使用することが可能であり、例えば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、ビス(4−メチル−2−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−エチルヘキサン、2,2−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1、1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−2−メチルプロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−イソプロピル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2、2−ビス(3−sec−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)−2−メチルプロパン、4,4’−〔1、4−フェニレン−ビス(1−メチルエチリデン)〕ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)、1、1−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ビス(2−ヒドロキシフェニル)メタン、2,4’−メチレンビスフェノール、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチル−ブタン、ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、3,3−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、3,3−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、3,3−ビス(3、5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2、2−ビス(2−ヒドロキシ−3、5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ノナン、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)デカン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)デカン、1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3−tert−ブチル−5−メチルフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、1,1−ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)−2−メチルプロパン、2,2−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3,5−ジ−sec−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)エタン、1,1−ビス(3−ノニル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチル−6−メチルフェニル)メタン、1,1−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)酢酸ブチルエステル、1,1−ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2−ヒドロキシ−5−フルオロフェニル)メタン、2,2−ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルメタン、1,1−ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−1−(p−フルオロフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−(p−フルオロフェニル)メタン、2,2−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−ニトロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジメチルシラン、ビス(2,3,5−トリメチル−4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ドデカン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ドデカン、2,2−ビス(3、5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)ドデカン、1,1−ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)−2−メチルプロパン、1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン酸メチルエステル、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン酸エチルエステル、ビス(2−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(2−ヒドロキシ−3−アリルフェニル)メタン、2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(2−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−2−メチルプロパン、1,1−ビス(2−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)エタン、ビス(2−ヒドロキシ−5−フェニルフェニル)メタン、1,1−ビス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、ビス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−シクロヘキシルフェニル)メタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタデカン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)ペンタデカン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)ペンタデカン、ビス(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルフェニル)メタン、2,2−ビス(3−スチリル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−(p−ニトロフェニル)エタン、ビス(3,5−ジフルオロ−4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3,5−ジフルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルメタン、ビス(3,5−ジフルオロ−4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、ビス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、2,2−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチル−5−メチル−シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチル−5,5−ジメチル−シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチル−4−メチル−シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチル−5−エチル−シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチル−5−メチル−シクロペンタン、1,1−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチル−5−メチル−シクロヘキサン、1,1−ビス(3,5−ジフェニル−4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチル−5−メチル−シクロヘキサン、1,1−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチル−5−メチル−シクロヘキサン、1,1−ビス(3−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチル−5−メチル−シクロヘキサン、1,1−ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチル−5−メチル−シクロヘキサン、1,1−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチル−5−メチル−シクロヘキサン等のビスフェノール類、1,4−ジ(4−ヒドロキシフェニル)−p−メンタン、1,4−ジ(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−p−メンタン、1,4−ジ(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−p−メンタン等のテルペンジフェノール類、4,4’−ビフェノール、2,2’−ジメチル−4,4’−ビフェノール、2,2’,3,3’−テトラメチル−4,4’−ビフェノール、2,2’,3,3’,5,5’−ヘキサメチル−4,4’−ビフェノール等のビフェノール類、1,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,2−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン等の2個のフェノール類がアルキレン鎖で連結されている化合物等を挙げることができる。これらの2価ヒドロキシ化合物は、1種類で用いることもできるし、2種類以上で併用することも可能である。
これらの中でも、上記のビスフェノール類が好ましく、特に2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールC)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(ビスフェノールZ)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン(ビスフェノールAP)が好ましい。
またポリマーの耐熱性を損なわない範囲で共重合するその他のジヒドロキシ化合物(c)を、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、ドデカンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジオール、1,4−ジヒドロキシメチルシクロヘキサン等の2価アルコールで置換してもよい。
また分子鎖末端を封止するために、適当な末端封止剤を用いることができる。その具体例としては、フェノール、クレゾール、p−tert−ブチルフェノール等の一価のフェノール類、安息香酸クロライド、メタンスルホニルクロライド、フェニルクロロホルメート等の一価の酸クロライド類、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、2−ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ドデシルアルコール、ステアリルアルコール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール等の一価のアルコール類、酢酸、プロピオン酸、オクタン酸、シクロヘキサンカルボン酸、安息香酸、トルイル酸、フェニル酢酸、p−tertーブチル安息香酸、p−メトキシフェニル酢酸等の一価のカルボン酸等が挙げられる。また、ポリアリレートとしては必ずしも直鎖状のポリマーである必要はなく、例えば、3官能以上の物質を重合時に添加して分岐構造が導入されたものであってもよい。
前記芳香族ジカルボン酸又はその誘導体(a)と前記ジヒドロキシ化合物(b)、必要に応じて併用されるその他のジヒドロキシ化合物(c)、及び前記末端封止剤〔以下、前記ジヒドロキシ化合物(b)、その他のジヒドロキシ化合物(c)、及び前記末端封止剤をまとめてジヒドロキシ化合物類と略記する。〕との重合反応の方法としては、特に限定されるものではなく、種々の方法で製造することができるが、例えば、
1)芳香族ジカルボン酸ハライドとジヒドロキシ化合物類とを有機溶剤中で反応させる溶液重合法
2)芳香族ジカルボン酸とジヒドロキシ化合物類とを無水酢酸の存在下で加熱する溶融重合法
3)芳香族ジカルボン酸とジヒドロキシ化合物類とをジアリルカーボネートの存在下で加熱する溶融重合法
4)芳香族ジカルボン酸エステルとジヒドロキシ化合物類とをエステル交換触媒の存在下で加熱する溶融重合法
5)水と相溶しない有機溶剤に溶解させた芳香族ジカルボン酸ハライドとアルカリ水溶液に溶解させたジヒドロキシ化合物類とを混合する界面重合法
等が挙げられ、特に界面重合法、或いは溶融重合法が好適である。
1)芳香族ジカルボン酸ハライドとジヒドロキシ化合物類とを有機溶剤中で反応させる溶液重合法
2)芳香族ジカルボン酸とジヒドロキシ化合物類とを無水酢酸の存在下で加熱する溶融重合法
3)芳香族ジカルボン酸とジヒドロキシ化合物類とをジアリルカーボネートの存在下で加熱する溶融重合法
4)芳香族ジカルボン酸エステルとジヒドロキシ化合物類とをエステル交換触媒の存在下で加熱する溶融重合法
5)水と相溶しない有機溶剤に溶解させた芳香族ジカルボン酸ハライドとアルカリ水溶液に溶解させたジヒドロキシ化合物類とを混合する界面重合法
等が挙げられ、特に界面重合法、或いは溶融重合法が好適である。
前記界面重合法は、溶液重合法と比較して反応が速く、そのため酸ハライドの加水分解を最小限に押さえることが可能であり、低カルボキシル価のポリマーを得る場合には有利である。
前記界面重合法での製造方法をさらに詳細に説明すると、ジヒドロキシ化合物類のアルカリ水溶液を調製し、次いで重合触媒を加える。一方、水と相溶せず、かつポリアリレートを溶解する様な溶媒に芳香族ジカルボン酸ハライドを溶解させた溶液を先のアルカリ溶液に混合する。用いる溶媒の沸点以下、好ましくは25℃〜0℃の温度で1時間〜5時間撹拌しながら反応を行うことによってポリアリレートを得ることができる。
前記重合触媒としては、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリヘキシルアミン、トリドデシルアミン、N、N−ジメチルシクロヘキシルアミン、ピリジン、キノリン、ジメチルアニリン等の第三級アミン、トリメチルベンジルアンモニウムハライド、トリブチルベンジルアンモニウムハライド、トリエチルベンジルアンモニウムハライド、テトラブチルアンモニウムハライド等の第四級アンモニウム塩、トリメチルベンジルホスホニウムハライド、トリブチルベンジルホスホニウムハライド、トリエチルベンジルホスホニウムハライド、テトラブチルホスホニウムハライド、トリフェニルベンジルホスホニウムハライド、テトラフェニルホスホニウムハライド等の第四級ホスホニウム塩、18−クラウン−6,18−ベンゾクラウン−6,18−ジベンゾクラウン−6,15−クラウン−5等のクラウンエーテルが挙げられる。これらの中で、トリブチルベンジルアンモニウムハライド、テトラブチルアンモニウムハライド、テトラブチルホスホニウムハライドが反応速度が速く、酸ハライドの加水分解を最小限に押さえる点で特に好ましい。
前記溶媒としては、例えば塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、クロロベンゼン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、o−、m−、p−ジクロロベンゼン等の塩素系溶媒、トルエン、ベンゼン、キシレン等の芳香族系炭化水素等が挙げられる。
また前記アルカリとしては、例えば、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等が挙げられる。
また芳香族ジカルボン酸或いはそのエステルとジヒドロキシ化合物類とを加熱する溶融重合法としては、必要に応じてジアリルカーボネート触媒(エステル交換触媒)存在下、常圧、次いで真空下(例えば100Pa〜5Pa)、目的とするポリアリレートの軟化点(軟化点が発現しない場合はガラス転移点)以上に、例えば200〜350℃で加熱して反応させる方法が挙げられる。特に後述の固有粘度(ηinh)が1.50dlg−1以上のポリアリレートを得る場合は、この方法が有用である。
前記エステル交換触媒としては、例えば、三酸化アンチモン等のアンチモン化合物、酢酸第一錫、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ジアセテート等の錫化合物、テトラブチルチタネート等のチタン化合物、酢酸亜鉛等の亜鉛化合物、酢酸カルシウム等のカルシウム化合物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属塩等が挙げられる。これらの中でも、テトラブチルチタネートが好ましく用いられる。また、前記触媒の使用量としては、概ね、使用する酸成分1モルに対し、0.01〜0.5モル%が好ましく、0.03〜0.3モル%がより好ましい。
また前記溶融重合法では、とくに、縮合反応を促進するため、留出物(水或いはフェノール分)を反応系からの除去が反応の進行に効果的であるので、反応中の生成樹脂表面の面積を広く取ることができ、且つ高粘度樹脂を攪拌できるものが好ましい。これらの反応装置としては、この様な高粘度重合反応器として、例えば、ダブルヘリカル型攪拌翼の付いたバッチ式反応装置、螺旋構造の攪拌翼を有する混練反応装置、具体的には、ねじれ格子状攪拌翼を内部に有する竪型混練反応装置、板状攪拌翼と螺旋状変形バッフル翼を組み合わせた竪型混練反応装置、部分螺旋構造の攪拌翼とスプリング状攪拌翼を有している横型混練反応装置、内部に2軸の多段攪拌翼を有し、かつ、各攪拌翼の先端部にスクレーパが配設された横型混練反応装置、例えば、三菱重工業(株)製「SCR」または「HVR」、(株)日立製作所製「日立格子翼重合機」、(株)日立製作所製「日立メガネ翼重合機」等の横型一軸または横型二軸押出機等が挙げられる。
本発明のポリアリレートは、下記一般式(2)
で表される骨格を有し、且つ固有粘度(ηinh)が0.2〜3.0dlg−1であることを特徴とする。
これらの中でも、得られる成形体の耐熱性に優れる点から、前記一般式(2)中のR1、R2、R3、R4がメチル基であり、且つ、Ar1、Ar2、Ar3、Ar4が同一でも異なっていても良い炭素数1〜6のアルキル基を置換基として有していてもよいベンゼン骨格であり、Ar5が置換基を有していてもよいベンゼン骨格又はナフタレン骨格でありXは直接結合であるポリアリレートであることが好ましい。
ポリアリレートの分子量は、前述した末端封止剤の添加量によってコントロールすることができ、固有粘度(ηinh)[希釈対数粘度]はポリマーの分子量に直接関係する値であり、ある高分子希薄溶液の粘度をη、濃度をc、溶媒粘度をη0とすると、{ln(η/η0)}/cで表される値である。前記固有粘度としては、例えば、1,1,2,2−テトラクロロエタンまたは、1,1,2,2−テトラクロロエタン/フェノール=40/60(重量比)を粘度測定用の溶媒として用い、25℃、1g/dl溶液で測定する。本発明のポリアリレートの固有粘度(ηinh)は、機械的特性の観点点から0.20dlg−1以上であることを必須とし、0.25dlg−1以上が特に好ましい。また、溶融時の成形加工特性の観点から3.00dlg−1以下であることを必須とする。なお、溶媒に溶解して使用する場合は、溶媒に対する溶解性が良好である点から1.20dlg−1以下が好ましい。
また、本発明のポリアリレートのカルボキシル価は、電気的な特性が良好な点から20モル/トン以下が好ましく、中でも15モル/トン〜1モル/トン以下が特に好ましい。本発明のポリアリレートのカルボキシル価測定方法は、種々の方法を採用することができる。例えば、ポリアリレートをベンジルアルコールとクロロホルムの混合溶媒に溶解し、KOHのベンジルアルコール水溶液で中和滴定することにより測定することができる。
また本発明のポリアリレートは必ずしも直鎖状のポリマーである必要はなく、例えば、3官能以上の物質を重合時に添加して分岐構造が導入されたものであってもよい。
次に本発明を実施例、比較例により具体的に説明する。
合成例1 ジヒドロキシ化合物(b−1)の合成
温度計、滴下ロート、冷却管、分留管、撹拌器を取り付けたフラスコに4,4’−ジヒドロキシ−3,3’,5,5’−テトラメチルビフェニル242g(1.0モル)、ベンジルアルコール432g(4.0モル)を仕込み、室温下、窒素を吹き込みながら撹拌した。メタンスルホン酸10gを添加した。その後発熱に注意しながら油浴中で150℃まで加熱し、分留管を用いて生成する水分を抜き出した後、更に5時間反応させた。反応終了後、更にメチルイソブチルケトン1400gを加え、溶解後、分液ロートに移した。次いで洗浄水が中性を示すまで水洗後、有機層から溶媒を加熱減圧下に除去し、褐色固体579gを得た。FD−MSチャートの結果より、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’,5,5’−テトラメチルビフェニルの分子量(Mw:242)に、ベンジル基分(Mw:90)が1個(M+=332)、2個(M+=422)、3個(M+=512)、4個(M+=602)、5個(M+=692)、6個(M+=782)、・・・付いたピークが確認され、またアセチル化法による水酸基当量の測定では305g/eq.(理論値301g/eq.)が得られたことから、下記式
温度計、滴下ロート、冷却管、分留管、撹拌器を取り付けたフラスコに4,4’−ジヒドロキシ−3,3’,5,5’−テトラメチルビフェニル242g(1.0モル)、ベンジルアルコール432g(4.0モル)を仕込み、室温下、窒素を吹き込みながら撹拌した。メタンスルホン酸10gを添加した。その後発熱に注意しながら油浴中で150℃まで加熱し、分留管を用いて生成する水分を抜き出した後、更に5時間反応させた。反応終了後、更にメチルイソブチルケトン1400gを加え、溶解後、分液ロートに移した。次いで洗浄水が中性を示すまで水洗後、有機層から溶媒を加熱減圧下に除去し、褐色固体579gを得た。FD−MSチャートの結果より、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’,5,5’−テトラメチルビフェニルの分子量(Mw:242)に、ベンジル基分(Mw:90)が1個(M+=332)、2個(M+=422)、3個(M+=512)、4個(M+=602)、5個(M+=692)、6個(M+=782)、・・・付いたピークが確認され、またアセチル化法による水酸基当量の測定では305g/eq.(理論値301g/eq.)が得られたことから、下記式
合成例2 ジヒドロキシ化合物(b−2)の合成
合成例1において、ベンジルアルコールを216g(2.0モル)に変更した以外は、合成例1と同様にして、Nが約2の前記式で表されるジヒドロキシ化合物(b−2)413gが得られた。これのアセチル化法による水酸基当量は、213g/eq.(理論値211g/eq.)であった。
合成例1において、ベンジルアルコールを216g(2.0モル)に変更した以外は、合成例1と同様にして、Nが約2の前記式で表されるジヒドロキシ化合物(b−2)413gが得られた。これのアセチル化法による水酸基当量は、213g/eq.(理論値211g/eq.)であった。
実施例1 ポリアリレート(1)の製造
合成例1で得られたジヒドロキシ化合物(b−1)610g、テトラブチルベンジルアンモニウムクロライド2.1g及び水酸化ナトリウム103gを水5100gに溶解した。この溶液に、テレフタル酸クロライド102g(0.5モル)とイソフタル酸クロライド102g(0.5モル)を塩化メチレン4100gに溶解したものを加えた。さらに、3時間攪拌を続けた後、酢酸を加えて反応を停止した後、塩化メチレン相を水で洗浄した。その後、塩化メチレン相を大量のメタノール中に投入しポリマーを沈澱させた。沈澱したポリマーを、濾過、乾燥して目的のポリアリレート(1)を得た。生成ポリアリレートのFT−IR分析をおこない、原料のジヒドロキシ化合物由来のOH伸縮振動(3200−3400cm−1)の消失とエステル結合に由来するC−CO−O伸縮振動(1170−1260cm−1)の存在を確認し、下記式
合成例1で得られたジヒドロキシ化合物(b−1)610g、テトラブチルベンジルアンモニウムクロライド2.1g及び水酸化ナトリウム103gを水5100gに溶解した。この溶液に、テレフタル酸クロライド102g(0.5モル)とイソフタル酸クロライド102g(0.5モル)を塩化メチレン4100gに溶解したものを加えた。さらに、3時間攪拌を続けた後、酢酸を加えて反応を停止した後、塩化メチレン相を水で洗浄した。その後、塩化メチレン相を大量のメタノール中に投入しポリマーを沈澱させた。沈澱したポリマーを、濾過、乾燥して目的のポリアリレート(1)を得た。生成ポリアリレートのFT−IR分析をおこない、原料のジヒドロキシ化合物由来のOH伸縮振動(3200−3400cm−1)の消失とエステル結合に由来するC−CO−O伸縮振動(1170−1260cm−1)の存在を確認し、下記式
で表される構造単位をもち、末端がアルコール基またはカルボキシル基であるポリアリレート(1)であることが確認できた。得られたポリアリレート(1)のガラス転移温度を、示差走査熱量分析器(昇温速度20℃/min)を用いて測定した。また、1,1,2,2−テトラクロロエタンを粘度測定用の溶媒として用い、25℃、1g/dl溶液で固有粘度(ηinh)を測定した。その結果を表1に示す。
実施例2 ポリアリレート(2)の製造
実施例1において、ジヒドロキシ化合物(b−1)をジヒドロキシ化合物(A−2)422gに変更した以外は、実施例1と同様にして目的のポリアリレート(2)を得た。実施例1と同様にして、分析した結果、上記式においてNが約2の構造をもち、末端がアルコール基またはカルボキシル基であるポリアリレートであることが確認できた。得られたポリアリレート(2)のガラス転移温度を、示差走査熱量分析器(昇温速度20℃/min)を用いて測定した。また、1,1,2,2−テトラクロロエタンを粘度測定用の溶媒として用い、25℃、1g/dl溶液で固有粘度(ηinh)を測定した。その結果を表1に示す。
実施例1において、ジヒドロキシ化合物(b−1)をジヒドロキシ化合物(A−2)422gに変更した以外は、実施例1と同様にして目的のポリアリレート(2)を得た。実施例1と同様にして、分析した結果、上記式においてNが約2の構造をもち、末端がアルコール基またはカルボキシル基であるポリアリレートであることが確認できた。得られたポリアリレート(2)のガラス転移温度を、示差走査熱量分析器(昇温速度20℃/min)を用いて測定した。また、1,1,2,2−テトラクロロエタンを粘度測定用の溶媒として用い、25℃、1g/dl溶液で固有粘度(ηinh)を測定した。その結果を表1に示す。
実施例3 ポリアリレート(3)の製造
合成例1で得られたジヒドロキシ化合物(b−1)610g、テトラブトキシシラン5g、テレフタル酸83g(0.5モル)、イソフタル酸83g(0.5モル)を、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)1000gに溶解し、窒素雰囲気下150℃で5時間攪拌した。次いで、DMFを留去しながら310℃まで昇温し、2時間加熱した後、徐々に減圧(5Paまで)しながら350℃まで昇温して1時間反応させて、ポリアリレート(3)を得た。生成ポリアリレートのFT−IR分析をおこない、原料のジヒドロキシ化合物由来のOH伸縮振動(3200−3400cm−1)の消失とエステル結合に由来するC−CO−O伸縮振動(1170−1260cm−1)の存在を確認し、ポリアリレート(1)と同一の構造であることを確認した。得られたポリアリレート(3)のガラス転移温度を、示差走査熱量分析器(昇温速度20℃/min)を用いて測定した。また、1,1,2,2−テトラクロロエタンを粘度測定用の溶媒として用い、25℃、1g/dl溶液で固有粘度(ηinh)を測定した。その結果を表1に示す。
合成例1で得られたジヒドロキシ化合物(b−1)610g、テトラブトキシシラン5g、テレフタル酸83g(0.5モル)、イソフタル酸83g(0.5モル)を、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)1000gに溶解し、窒素雰囲気下150℃で5時間攪拌した。次いで、DMFを留去しながら310℃まで昇温し、2時間加熱した後、徐々に減圧(5Paまで)しながら350℃まで昇温して1時間反応させて、ポリアリレート(3)を得た。生成ポリアリレートのFT−IR分析をおこない、原料のジヒドロキシ化合物由来のOH伸縮振動(3200−3400cm−1)の消失とエステル結合に由来するC−CO−O伸縮振動(1170−1260cm−1)の存在を確認し、ポリアリレート(1)と同一の構造であることを確認した。得られたポリアリレート(3)のガラス転移温度を、示差走査熱量分析器(昇温速度20℃/min)を用いて測定した。また、1,1,2,2−テトラクロロエタンを粘度測定用の溶媒として用い、25℃、1g/dl溶液で固有粘度(ηinh)を測定した。その結果を表1に示す。
比較例1
ジヒドロキシ化合物の代わりに、ビスフェノールA228g(1.0モル)を用いた以外は、実施例1と同様にしてポリアリレート(4)を得た。生成ポリアリレートのFT−IR分析を行い、原料の2価フェノール由来のOH伸縮振動(3200−3400cm−1)の消失とエステル結合に由来するC−CO−O伸縮振動(1170−1260cm−1)の存在を確認し、下記式
ジヒドロキシ化合物の代わりに、ビスフェノールA228g(1.0モル)を用いた以外は、実施例1と同様にしてポリアリレート(4)を得た。生成ポリアリレートのFT−IR分析を行い、原料の2価フェノール由来のOH伸縮振動(3200−3400cm−1)の消失とエステル結合に由来するC−CO−O伸縮振動(1170−1260cm−1)の存在を確認し、下記式
Claims (7)
- 芳香族ジカルボン酸又はその誘導体(a)と、下記一般式(1)
で表されるジヒドロキシ化合物(b)とを重合することを特徴とするポリアリレートの製造方法。 - ジヒドロキシ化合物(b)が、前記一般式(1)中のR1、R2、R3、R4がメチル基であり、且つ、Ar1、Ar2、Ar3、Ar4が同一でも異なっていても良い炭素数1〜6のアルキル基を置換基として有していてもよいベンゼン骨格であり、Xは直接結合であるジヒドロキシ化合物である請求項1記載のポリアリレートの製造方法。
- 芳香族ジカルボン酸又はその誘導体(a)が、テレフタル酸又はその誘導体、イソフタル酸又はその誘導体、オルトフタル酸又はその誘導体、2,6−ナフタレンジカルボン酸又はその誘導体、3−tert−ブチルイソフタル酸又はその誘導体、ジフェン酸又はその誘導体、4,4’−ジカルボキシジフェニルエーテル又はその誘導体、ビス(p−カルボキシフェニル)アルカン又はその誘導体、及び4,4’−ジカルボキシフェニルスルホン又はその誘導体からなる群から選ばれる1種以上の芳香族ジカルボン酸又はその誘導体である請求項1記載のポリアリレートの製造方法。
- 前記ジヒドロキシ化合物(a)以外のその他のジヒドロキシ化合物(c)を併用して反応させる請求項1記載のポリアリレートの製造方法。
- 芳香族ジカルボン酸又はその誘導体(a)と、ジヒドロキシ化合物(b)とその他のジヒドロキシ化合物(c)の合計との反応比率(a)/〔(b)+(c)〕=1/0.8〜1/1.2(モル比)で反応させる請求項1〜4の何れか1項記載のポリアリレートの製造方法。
- 下記一般式(2)
で表される骨格を有し、且つ固有粘度(ηinh)が0.20〜3.00dlg−1であることを特徴とするポリアリレート。 - 前記一般式(2)中のR1、R2、R3、R4がメチル基であり、且つ、Ar1、Ar2、Ar3、Ar4が同一でも異なっていても良い炭素数1〜6のアルキル基を置換基として有していてもよいベンゼン骨格であり、Ar5が置換基を有していてもよいベンゼン骨格又はナフタレン骨格でありXは直接結合である請求項6記載のポリアリレート。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2005079222A JP2006257341A (ja) | 2005-03-18 | 2005-03-18 | ポリアリレートの製造方法及びポリアリレート |
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-
2005
- 2005-03-18 JP JP2005079222A patent/JP2006257341A/ja active Pending
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