JP2006256807A - 画像形成装置 - Google Patents

Abstract

【課題】 シート材（用紙）の搬送に関するレイアウト上の自由度を高めることで、種々の問題を解消して利便を図る。
【解決手段】 縦型タンデムタイプのレーザプリンタ１は、定着後の用紙３をスイッチバックさせてから排紙トレイ２７上に排出させるスイッチバック搬送路３０を備えている。用紙３は、手前方向に画像形成面を下に向けた姿勢（フェイスダウン）で排紙トレイ２７上に排出される。また、スイッチバック後の用紙３の搬送速度を、画像形成時の搬送速度よりも上げることで、プリントアウトが完了するまでの時間を短縮できる。
【選択図】 図１

Description

本発明は、画像形成装置に関し、特にタンデム方式の画像形成装置に関する。

電子写真技術を用いた画像形成装置の一方式として、いわゆる縦型タンデムタイプのカラーレーザプリンタが知られている（例えば特許文献１参照）。図８及び図９は、このようなレーザプリンタの一例を示している。このレーザプリンタ１００は、感光体ドラム１０１やトナー収容部１０２を有した各色に対応するプロセスカートリッジ１０３を４つ備えており、これらが装置本体１０４内に上下方向に並んで収容されている。装置本体１０４内の前部には、装置下部の給紙カセット１０５から供給される用紙１０６を上方へ搬送する搬送ベルト１０７が設けられ、各プロセスカートリッジ１０３の感光体ドラム１０１が搬送ベルト１０７に対向するように配置されている。搬送ベルト１０７は、装置本体１０４の前面に開閉可能に設けられたカバー体１０８に保持されており、図９に示すように、このカバー体１０８を搬送ベルト１０７とともに開放することで、各プロセスカートリッジ１０３の交換やジャム処理等を行うことができるようになっている。また、プロセスカートリッジ１０３の後方には、感光体ドラム１０１の露光を行う露光装置１０９が配置されている。さらに、装置本体１０４の上部には定着器１１０と排紙トレイ１１１とが設けられ、搬送ベルト１０７から上方に送られた用紙１０６が定着器１１０を経てから後方へ向けて湾曲され、排紙トレイ１１１上に排出されるようになっている。
特開２００３−１８６３４８公報

しかしながら、上記のレーザプリンタ１００では、画像形成後の用紙１０６が後方へ向けて排出されるために排紙トレイ１１１から取り出しにくいという問題がある。特に排紙トレイ１１１の上方に原稿読取部を搭載しようとした場合には、用紙１０６が一層取り出しにくくなる。これに対し、排紙トレイ１１１を定着器１１０より手前側に配置して、定着器１１０を通過した用紙１０６を前方へ湾曲させつつ排出させるような構成も考えられるが、この場合には、用紙１０６が画像形成面を上に向けた姿勢（フェイスアップ）で排紙トレイ１１１上に排出されることになるため、複数枚の印刷を行う際にページ順序が入れ替わってしまうという問題が生じる。また、この場合、排紙トレイ１１１が装置の前方へ張り出し、装置全体の奥行き寸法が大きくなってしまうという問題もある。

このように、縦型タンデムタイプのレーザプリンタにおいては、用紙の搬送に関するレイアウト上の制約によって、種々の問題を生じることとなっていた。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、シート材（用紙）の搬送に関するレイアウト上の自由度を高めることで、種々の問題を解消して利便を図ることが可能な画像形成装置を提供することを目的とする。

上記の目的を達成するための手段として、請求項１の発明に係る画像形成装置は、装置本体と、シート材に対向させることで担持した現像剤像を転写させる像担持体を有し、前記装置本体内に上下方向に並んで設けられた複数のプロセスカートリッジと、シート材に転写された現像剤像を定着させる定着器と、定着後のシート材が積載されるトレイと、前記定着器から送り出されたシート材をスイッチバックさせて前記トレイへ導くスイッチバック搬送路と、前記スイッチバック搬送路中に配され、シート材の搬送方向を反転させる反転搬送手段と、を備えたところに特徴を有する。

請求項２の発明は、請求項１に記載のものにおいて、前記スイッチバック搬送路は、前記像担持体と対向する面を下に向けた姿勢で前記シート材を前記トレイ上へ導くところに特徴を有する。

請求項３の発明は、請求項１または請求項２に記載のものにおいて、前記装置本体は、その一側面に前記プロセスカートリッジを着脱可能な開口部を備えるとともに、前記開口部を開閉可能に覆うカバー体を備え、前記トレイに対するシート材の排出方向が前記カバー体の設けられた面側と同一であるところに特徴を有する。

請求項４の発明は、請求項３に記載のものにおいて、前記スイッチバック搬送路は、前記シート材を、前記定着器よりも前記カバー体の設けられた面とは反対側寄りの位置で、スイッチバックさせるところに特徴を有する。

請求項５の発明は、請求項１から請求項４のいずれかに記載のものにおいて、前記装置本体の内部には、スイッチバック時の前記シート材を受け入れるシート材退避部が設けられているところに特徴を有する。

請求項６の発明は、請求項１から請求項５のいずれかに記載のものにおいて、前記トレイの上方を覆うように配置され、原稿画像を読み取り可能な原稿読取部を備えているところに特徴を有する。

請求項７の発明は、請求項６に記載のものにおいて、前記原稿読取部は、前記トレイの上方位置から退避不能に構成されているところに特徴を有する。

請求項８の発明は、請求項１から請求項７のいずれかに記載のものにおいて、前記定着器通過後のシート材の搬送速度が前記定着器通過前のシート材の搬送速度よりも大きいところに特徴を有する。

請求項９の発明は、請求項８に記載のものにおいて、前記反転搬送手段は、前記シート材の搬送方向を反転する際に、その搬送速度を上げるところに特徴を有する。

請求項１０の発明は、請求項１から請求項９のいずれかに記載のものにおいて、連続印刷時において、スイッチバック前のシート材の搬送速度Ｖ１と、スイッチバック後のシート材の搬送速度Ｖ２と、先のシート材がスイッチバックする前における先のシート材の後端と後続のシート材の先端との間隔Ｇとが次の関係式を満たすところに特徴を有する。
Ｖ１・Ｐ／Ｖ２≦Ｇ
ただし、Ｐ：シート材の長さ

＜請求項１の発明＞
縦型タンデムタイプの画像形成装置において、定着後のシート材をスイッチバックさせてからトレイ上に排出させる構成とすることで、シート材の搬送に関するレイアウト上の自由度が高められ、これにより種々の問題を解消して利便を図ることが可能になる。

＜請求項２の発明＞
シート材が画像形成面（像担持体と対向する面）を下に向けた姿勢（フェイスダウン）でトレイ上に排出されるため、複数ページの印刷を行う際にページ順序が入れ替わらない。

＜請求項３の発明＞
シート材の排出方向とカバー体のある面側とが同一であるため、同方向を手前側にすれば、トレイ上のシート材の取り出しと、プロセスカートリッジの着脱との両方の作業が行い易くなる。

＜請求項４の発明＞
スイッチバック搬送路は、シート材を定着器よりもカバー体の設けられた面とは反対側寄りの位置でスイッチバックさせる構成であるため、シート材を定着器から前方へ向けて湾曲させつつトレイ上に排出する構成に比べて、トレイを奥側（カバー体と反対側）に配置することができ、トレイの手前側（カバー体側）への出っ張りを小さくすることができる。

＜請求項５の発明＞
スイッチバック時のシート材を受け入れるシート材退避部が装置本体の内部に設けられているため、スイッチバック時にシート材が外物に接触したり汚れたりすることを防止できる。

＜請求項６の発明＞
原稿読取部がトレイの上方を覆うように配置される場合でも、シート材がカバー体のある面側（手前側）に排出されるので、シート材がカバー体と反対面側（奥側）に排出されるものに比べて、トレイからのシート材の取り出しが容易である。

＜請求項７の発明＞
トレイからシート材を取り出す際に原稿読取部を退避させることができない画像形成装置においては、シート材がカバー体のある面側（手前側）に排出されることによる利便性が特に大きい。

＜請求項８の発明＞
定着器通過後のシート材の搬送速度を定着器通過前のシート材の搬送速度よりも大きくすることにより、シート材が定着後にトレイに排出されるまでの時間を短縮することができる。

＜請求項９の発明＞
反転搬送手段においてシート材の搬送方向の切換と搬送速度の切換とを同時に行うようにすれば、両切換を別々に行う場合に比べて搬送機構を簡単な構成にすることができる。

＜請求項１０の発明＞
連続印刷時において、この関係式を満たすように設定すれば、スイッチバック時に先のシート材と後続のシート材とが干渉しない。また、先後のシート材間の間隔Ｇがこの関係式を満たす範囲内でできるだけ小さくなるように設定すれば、全てのプリントアウトが完了するまでの時間を短縮することができる。

次に本発明を縦型タンデムタイプのカラーレーザプリンタに適用した一実施形態について図１から図７を参照して説明する。
図１及び図２は、画像形成装置としてのレーザプリンタ１の概略構成を示しており、図１はカバー体１４を閉鎖した状態を示し、図２はカバー体１４を開放した状態を示している。なお、以下の説明においては、図１〜図６の右側を前方とする。

本レーザプリンタ１は、装置本体としての略箱状の本体ケーシング２を備えており、その底部には、シート材としての用紙３（図３等参照）が積載される給紙カセット４が前方へ引き出し可能に設けられている。給紙カセット４に積載される用紙３は、給紙カセット４の前端上部に設けられた給紙ローラ５により給紙路７を通じて上方へ送り出される。なお、詳細には示さないが、給紙路７中には用紙３の先端及び後端を検出する用紙センサが設けられており、その検出結果に基づいて用紙３の長さ寸法等が検出される。

本体ケーシング２の前面（一側面）には、開口部８が形成されている。さらに、この開口部８の奥側（後方）には、カートリッジ収容部９が設けられ、そこにブラック、シアン、マゼンタ、イエローの各色に対応した４つのプロセスカートリッジ１０が上下方向に並んで配置されている。

各プロセスカートリッジ１０は、現像剤としてのトナーを収容する現像剤収容部としての箱状のトナー収容部１１、像担持体としての感光体ドラム１２、及び感光体ドラム１２上に形成された静電潜像をトナーにより可視像化する現像手段（図示せず）などを備えている。各プロセスカートリッジ１０は、カートリッジ収容部９内に感光体ドラム１２を開口部８側、トナー収容部１１を奥側とした向きで装着されている。

また、本体ケーシング２の前面には開口部８を開閉可能に覆うカバー体１４が設けられている。このカバー体１４は、全体として厚板状をなし、その下端に設けられた軸部１４Ａが本体ケーシング２における開口部８の下縁付近に取り付けられることで、この軸部１４Ａを中心に回動可能とされている。カバー体１４は、図１に示すように開口部８を閉鎖した閉鎖位置と、図２に示すように本体ケーシング２の前側に倒伏して開口部８を開放させた開放位置との間で変位可能である。

カバー体１４の内面には、無端状の搬送ベルト１５が上下方向に沿った姿勢で張架されている。搬送ベルト１５は、前述の給紙ローラ５から給紙路７を通じて送られた用紙３を上方へ搬送し、その用紙３の一方の面（後側の面）を各感光体ドラム１２に順に対向させる。搬送ベルト１５の内側には、各感光体ドラム１２に対向して感光体ドラム１２との間に転写バイアスを印加するための転写ローラ１３（図７参照、他の図では図示を省略している）が設けられており、これにより各感光体ドラム１２上に形成されたトナー像が、用紙３に転写される。なお、カバー体１４を開放したときには、搬送ベルト１５がカバー体１４とともに前側に変位して、各感光体ドラム１２の前方が開放されるため、各プロセスカートリッジ１０が開口部８を通して着脱可能となる。また、カバー体１４を開放することで、ジャム処理などの作業も容易に行うことができる。

本体ケーシング２内におけるカートリッジ収容部９の奥側には、露光装置１６が設けられている。この露光装置１６は、ケース１７内に、レーザ発光部（図示せず）、回転駆動されるポリゴンミラー１９、各種のレンズ２０及び反射鏡２１などを備えている。露光装置１６は、レーザ発光部から発光される各色の画像データに基づくレーザ光を、図１に鎖線で示すように、各感光体ドラム１２の表面に照射することで静電潜像を形成する。

搬送ベルト１５の上側には、定着器２３が設けられている。この定着器２３は、加熱ローラ２４や押圧ローラ２５等を備えており、用紙３上に転写されたトナー像を紙面に熱定着させつつ、その用紙３を下流側へ搬送する。また、本体ケーシング２内における定着器２３の後方には、反転搬送手段として正逆回転可能な一対の反転搬送ローラ２６が設けられている。さらに、本体ケーシング２における定着器２３の上方には、画像形成後の用紙３を積載する排紙トレイ２７が設けられている。この排紙トレイ２７は、本体ケーシング２の前方へ張り出すとともに、前端上がりに若干傾斜している。また、搬紙トレイ２７の後端には、用紙３を搬紙トレイ２７上へ送り出す排紙ローラ２８が設けられている。

さらにレーザプリンタ１には、定着器２３から送り出された用紙３をスイッチバックさせて排紙トレイ２７へ導くスイッチバック搬送路３０（各図に波線で示す）が設けられている。このスイッチバック搬送路３０は、以下に説明するように、進入路３０Ａと、用紙退避部３０Ｂと、排出路３０Ｃとから構成されている。進入路３０Ａは、定着器２３における両ローラ２４，２５間のニップ位置から一対の反転搬送ローラ２６間のニップ位置Ｎまでの間を繋ぐように設けられ、上側に湾曲する略弧状をなしている。用紙退避部３０Ｂは、一対の反転搬送ローラ２６間のニップ位置Ｎから下方へ垂直に延びて形成されている。この用紙退避部３０Ｂは、スイッチバック時の用紙３を受け入れ可能なスリット状の空間であり、本体ケーシング２内における露光装置１６の後側に配置されている。排出路３０Ｃは、一対の反転搬送ローラ２６間のニップ位置Ｎから上方に延びており、前述の進入路３０Ａはこの排出路３０Ｃの途中の分岐点Ｂにおいて斜め前方に分岐している。排出路３０Ｃは、その分岐点Ｂから上方に延びて、本体ケーシング２上部にて前側に湾曲しており、排紙ローラ２８から排紙トレイ２７上に連なるように構成されている。

排紙トレイ２７の上方には、原稿読取部３１が排紙トレイ２７の一部を覆うように設けられている。この原稿読取部３１は、フラットベッド方式のスキャナとして構成されており、本体部３１Ａの上側に設けられたＡＤＦ３２を上方に開くと、本体部３１Ａ上に形成された原稿載置面（図示せず）が露出して、その原稿載置面上に各種原稿を載置した状態で読み取りができるように構成されている。また、原稿読取部３１の本体部３１Ａには、前方への張り出し部分の上面に、このレーザプリンタ１の各種操作を行うための操作パネル３３が設けられている。また、原稿読取部３１の本体部３１Ａは、本体ケーシング２に固定されており、即ち排紙トレイ２７の上方位置から退避不能に構成されている。

次に連続印刷時におけるレーザプリンタ１の動作について説明する。
図３〜図６における（ａ）から（ｇ）は、連続印刷時におけるレーザプリンタ１の動作を示す説明図である。なお、以下の説明では、用紙３について一枚目と二枚目とを区別する必要がある場合にはそれぞれ符号３Ａ，３Ｂを付して説明する。

レーザプリンタ１が連続印刷動作を開始すると、まず一枚目の用紙３Ａが給紙ローラ５によって給紙カセット４から給紙路７を通して搬送ベルト１５へ送り出される。そして、用紙３Ａが搬送ベルト１５により上方に搬送される間に、用紙３Ａには各感光体ドラム１２から各色のトナーが順に転写される。続いて用紙３Ａは定着器２３に送られ、そこでトナー像が熱定着される。ここで、搬送ベルト１５及び定着器２３における用紙３の搬送速度は一定であり、Ｖ１（mm／sec）に設定されている。一方、一枚目の用紙３Ａが搬送ベルト１５により搬送されている間に、所定のタイミングで二枚目の用紙３Ｂが給紙ローラ５により送り出される。ここで、一枚目の用紙３Ａの後端と二枚目の用紙３Ｂの先端との間の間隔は、Ｇ（mm）に設定されている。

１枚目の用紙３Ａの先端は、定着器２３を通過後、スイッチバック搬送路３０の進入路３０Ａにより後方へ導かれる（図３（ａ）参照）。その用紙３Ａの先端が反転搬送ローラ２６のニップ位置Ｎに至るより前に、反転搬送ローラ２６が正方向（用紙３を下方へ送る方向）に回転駆動される。このときの反転搬送ローラ２６の外周面における回転速度はＶ１（mm／sec）に設定されており、このため、用紙３Ａの先端が反転搬送ローラ２６のニップ位置Ｎに到達すると、その用紙３ＡはＶ１（mm／sec）の速度を保ったまま用紙退避部３０Ｂに搬送される（図３（ｂ）参照）。

続いて、用紙３Ａの後端が進入路３０Ａと排出路３０Ｃとの分岐点Ｂを超えると（図４（ｃ）参照）、用紙３Ａの後端が反転搬送ローラ２６のニップ位置Ｎに到達するよりも前に、反転搬送ローラ２６が逆方向に回転される。これにより、用紙３Ａの搬送方向が下方向から上方向へ反転（スイッチバック）し、用紙３Ａは後端側から排出路３０Ｃへ搬送される（図４（ｄ）参照）。このときの反転搬送ローラ２６の外周面における回転速度、即ち反転方向への用紙３Ａの搬送速度はＶ２（mm／sec）に設定されている。こうして、用紙３Ａは、排出路３０Ｃに沿って上方へ導かれて、前方へ向けて湾曲され（図５（ｅ）参照）、その後排紙ローラ２８により同じくＶ２（mm／sec）の速度で排紙トレイ２７上に排出される（図５（ｆ）参照）。このとき、用紙３Ａは、画像形成面を下に向けた姿勢（フェイスダウン）で排紙トレイ２７上に排紙される。なお、上述した反転後の用紙３Ａの搬送速度Ｖ２（mm／sec）を反転前の用紙３Ａの搬送速度Ｖ１（mm／sec）よりも大きい値に設定することにより、印刷開始から排紙までにかかる時間を短縮することができる。

一方、二枚目の用紙３Ｂは、一枚目の用紙３Ａと入れ違いに反転搬送ローラ２６のニップ位置Ｎに至り、そこで一枚目の用紙３Ａと同様にスイッチバック動作を開始する（図５（ｆ）及び図６（ｇ）参照）。即ち、二枚目の用紙３Ｂは、反転搬送ローラ２６によりＶ１（mm／sec）の速度で、用紙退避部３０Ｂに取り込まれた後、排出路３０Ｃに沿ってＶ２（mm／sec）の速度で排紙トレイ２７上に排出される。

ここで、スイッチバック前後の用紙３Ａ、３Ｂの搬送速度Ｖ１，Ｖ２（mm／sec）と、一枚目と二枚目の用紙３Ａ，３Ｂ間の間隔Ｇ（mm）との各値の設定例を図７によって説明する。なお、図７は、用紙３の搬送経路を単純化して示した説明図である。
同図に示すように、一枚目の用紙３Ａの後端が分岐点Ｂに至ったときに、二枚目の用紙３Ｂの先端との間隔はＧ（mm）である。なお、各用紙３Ａ，３Ｂの長さ寸法をＰ（mm）とする。この状態から、反転搬送ローラ２６が反転されることによって一枚目の用紙３Ａの前端（用紙退避部３０Ｂの奥側の端部）が分岐点Ｂを通過するまでの時間（Ｐ／Ｖ２）が、二枚目の用紙３Ｂの先端が分岐点Ｂに至るまでの時間（Ｇ／Ｖ１）よりも小さければ、一枚目と二枚目の用紙３Ａ，３Ｂが干渉することがないことから、次の式が導き出される。
Ｐ／Ｖ２≦Ｇ／Ｖ１・・・・・（Ａ）
この（Ａ）式を変形して、
Ｖ１・Ｐ／Ｖ２≦Ｇ・・・・・（Ｂ）
即ち、前述の搬送速度Ｖ１，Ｖ２（mm／sec）及び用紙３Ａ，３Ｂ間の間隔Ｇ（mm）の値がこの関係式（Ｂ）を満たすように設定すれば、一枚目と二枚目の用紙３Ａ，３Ｂが干渉しないように構成することができる。特に、Ｖ１＝Ｖ２の場合には、
Ｐ≦Ｇ・・・・・・・・・・・（Ｃ）
を満たすように設定すればよい。

以上のように本実施形態によれば、縦型タンデムタイプのレーザプリンタ１において、定着後の用紙３をスイッチバックさせてから排紙トレイ２７上に排出させる構成とすることで、用紙３の搬送に関するレイアウト上の自由度が高められ、これにより種々の問題を解消して利便を図ることが可能になる。

また、用紙３が画像形成面を下に向けた姿勢（フェイスダウン）で排紙トレイ２７上に排出されるため、複数ページの印刷を行う際にページ順序が入れ替わらない。

また、用紙３の排出方向とカバー体１４のある面側とが同一であるため、同方向を手前側にすれば、排紙トレイ２７上の用紙３の取り出しと、プロセスカートリッジ１０の着脱との両方の作業が行い易くなる。さらに、給紙カセット４も同じ面側に引き出し可能に設けられているため、用紙３を補給する作業も行い易い。

さらに、スイッチバック搬送路３０は、用紙３を定着器２３よりも後方（カバー体１４の設けられた面とは反対側寄りの位置）でスイッチバックさせる構成であるため、用紙３を定着器２３から前方へ向けて湾曲させつつトレイ上に排出する構成に比べて、排紙トレイ２７を奥側（後方）に配置することができ、排紙トレイ２７の手前側（カバー体１４側）への出っ張りを小さくすることができる。

また、スイッチバック時の用紙３を受け入れる用紙退避部３０Ｂが本体ケーシング２の内部に設けられているため、スイッチバック時に用紙３が外物に接触したり汚れたりすることを防止できる。

また、原稿読取部３１が排紙トレイ２７の上方を覆うように配置される場合でも、用紙３がカバー体１４のある面側（手前側）に排出されるので、用紙３がカバー体１４と反対面側（奥側）に排出されるものに比べて、排紙トレイ２７からの用紙３の取り出しが容易である。

さらに、排紙トレイ２７から用紙３を取り出す際に原稿読取部３１を退避させることができないレーザプリンタ１においては、用紙３がカバー体１４のある面側（手前側）に排出されることによる利便性が特に大きい。

また、定着器２３通過後の用紙３の搬送速度を定着器２３通過前の用紙３の搬送速度よりも大きくすることにより、用紙３が定着後に排紙トレイ２７に排出されるまでの時間を短縮することができる。

さらに、反転搬送ローラ２６において、用紙３の搬送方向の切換と搬送速度の切換とを同時に行うようにすれば、両切換を別々に行う場合に比べて搬送機構、例えば駆動用モータの動力を搬送ローラに伝達するためのギア機構等を簡単な構成にすることができる。

また、連続印刷時において、上述の関係式（Ｂ）を満たすように設定すれば、スイッチバック時に先の用紙３Ａと後続の用紙３Ｂとが干渉しない。また、先後の用紙３Ａ，３Ｂ間の間隔Ｇがこの関係式（Ｂ）を満たす範囲内でできるだけ小さくなるように設定すれば、全てのプリントアウトが完了するまでの時間を短縮することができる。

＜他の実施形態＞
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
（１） 上記実施形態では、複数のプロセスカートリッジを垂直方向に並べて配置したものを示したが、本発明によれば、例えば下側のプロセスカートリッジを前側、上側のプロセスカートリッジを後側にずらすなど、斜め方向に並べて配置しても良い。
（２） 上記実施形態では、装置本体内にスイッチバック時のシート材を受け入れるシート材退避部を設けたものを示したが、スイッチバック時にシート材が装置本体の外側に露出されるように構成しても良い。
（３） 上記実施形態では、シート材の搬送方向を切り替える時（スイッチバック時）にシート材の搬送速度を上げるように構成したが、本発明によれば、シート材の搬送方向の切換と搬送速度の切換とを別々に行うようにしても良い。例えば、シート材が定着器を通過した直後に、搬送速度を上げるようにしても良い。

本発明の一実施形態に係るレーザプリンタにおいてカバー体を閉鎖した状態を示す概略断面図 カバー体を開放した状態を示す概略断面図 （ａ）（ｂ）連続印刷時におけるレーザプリンタの動作を示す概略断面図 （ｃ）（ｄ）連続印刷時におけるレーザプリンタの動作を示す概略断面図 （ｅ）（ｆ）連続印刷時におけるレーザプリンタの動作を示す概略断面図 （ｇ）連続印刷時におけるレーザプリンタの動作を示す概略断面図 用紙の搬送経路を単純化して示した説明図 従来のレーザプリンタにおいてカバー体を閉鎖した状態を示す概略断面図 従来のレーザプリンタにおいてカバー体を開放した状態を示す概略断面図

符号の説明

１…レーザプリンタ（画像形成装置）
２…本体ケーシング（装置本体）
３…用紙（シート材）
８…開口部
１０…プロセスカートリッジ
１１…トナー収容部（現像剤収容部）
１２…感光体ドラム（像担持体）
１４…カバー体
２３…定着器
２６…反転搬送ローラ（反転搬送手段）
２７…排紙トレイ（トレイ）
３０…スイッチバック搬送路
３０Ｂ…用紙退避部（シート材退避部）
３１…原稿読取部

Claims (10)

1. 装置本体と、
   シート材に対向させることで担持した現像剤像を転写させる像担持体を有し、前記装置本体内に上下方向に並んで設けられた複数のプロセスカートリッジと、
   シート材に転写された現像剤像を定着させる定着器と、
   定着後のシート材が積載されるトレイと、
   前記定着器から送り出されたシート材をスイッチバックさせて前記トレイへ導くスイッチバック搬送路と、
   前記スイッチバック搬送路中に配され、シート材の搬送方向を反転させる反転搬送手段と、
   を備えたことを特徴とする画像形成装置。
2. 前記スイッチバック搬送路は、前記像担持体と対向する面を下に向けた姿勢で前記シート材を前記トレイ上へ導くことを特徴とする請求項１に記載の画像形成装置。
3. 前記装置本体は、その一側面に前記プロセスカートリッジを着脱可能な開口部を備えるとともに、前記開口部を開閉可能に覆うカバー体を備え、
   前記トレイに対するシート材の排出方向が前記カバー体の設けられた面側と同一であることを特徴とする請求項１または請求項２に記載の画像形成装置。
4. 前記スイッチバック搬送路は、前記シート材を、前記定着器よりも前記カバー体の設けられた面とは反対側寄りの位置で、スイッチバックさせることを特徴とすることを特徴とする請求項３に記載の画像形成装置。
5. 前記装置本体の内部には、スイッチバック時の前記シート材を受け入れるシート材退避部が設けられていることを特徴とする請求項１から請求項４のいずれかに記載の画像形成装置。
6. 前記トレイの上方を覆うように配置され、原稿画像を読み取り可能な原稿読取部を備えていることを特徴とする請求項１から請求項５のいずれかに記載の画像形成装置。
7. 前記原稿読取部は、前記トレイの上方位置から退避不能に構成されていることを特徴とすることを特徴とする請求項６に記載の画像形成装置。
8. 前記定着器通過後のシート材の搬送速度が前記定着器通過前のシート材の搬送速度よりも大きいことを特徴とする請求項１から請求項７のいずれかに記載の画像形成装置。
9. 前記反転搬送手段は、前記シート材の搬送方向を反転する際に、その搬送速度を上げることを特徴とすることを特徴とする請求項８に記載の画像形成装置。
10. 連続印刷時において、スイッチバック前のシート材の搬送速度Ｖ１と、スイッチバック後のシート材の搬送速度Ｖ２と、先のシート材がスイッチバックする前における先のシート材の後端と後続のシート材の先端との間隔Ｇとが次の関係式を満たすことを特徴とする請求項１から請求項９のいずれかに記載の画像形成装置。
    Ｖ１・Ｐ／Ｖ２≦Ｇ
    ただし、Ｐ：シート材の長さ

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