JP2006248066A - 積層ポリプロピレン系フイルム - Google Patents

積層ポリプロピレン系フイルム Download PDF

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Abstract

【課題】 従来技術では達成できなかった優れた直線方向のカット性を有し、かつ、手切れ性や機械的特性にも優れた積層ポリプロピレン系フイルムを提供する。
【解決の手段】 2軸配向ポリプロピレン系樹脂からなる基層(A)の少なくとも片面に、ポリプロピレン系樹脂からなる中間層(B)が積層され、中間層(B)上に、厚み18〜40μmの1軸配向ポリプロピレン系樹脂からなる1軸配向層(C)が少なくとも1層積層された、3層以上からなる積層ポリプロピレン系フイルムであり、かつ、1軸配向層(C)の配向方向に対し直交する方向におけるフイルムの引裂き伝播抵抗値TMDが60g以上であって、1軸配向層(C)の配向方向における引裂き伝播抵抗値TTDと上記TMDとの差TMD−TD(=TMD−TTD)が40g以上である、適度な機械特性と優れた直線カット性を有する積層フイルムである。
【選択図】 なし

Description

本発明は、包装材料や粘着テープ用の素材として好適な直線カット性に優れる積層ポリプロピレン系フイルムに関するものである。更に詳しくは直線カット性に優れているのみならず、機械特性、透明性、及び生産性も良好な積層ポリプロピレン系樹脂フイルムに関するものである。
2軸配向ポリプロピレンフイルムは、優れた防湿性、機械強度、透明性、表面光沢、等の優れた特長を有することから、様々な分野で用いられている。特に経済性から包装用フイルム、粘着テープとして使用される場合が多いが、2軸配向起因により容易に手で一直線に切ることができない。また、直線カット性がないので、開封性に優れた包装材料やカット性の優れたテープのための基材には適していない。
一方、1軸配向したポリプロピレン系フイルムは、延伸方向には容易に切断できる特性を有するものの、配向方向に直交する方向の機械特性(ヤング率、破断強度、破断伸度など)が劣るため、単独で包装材料や、粘着テープとして使用することは困難である(特許文献1、2参照)。
そこで、2軸配向ポリプロピレン系フイルムと1軸配向ポリプロピレン系フイルムを積層することで、両者の問題点を補完し、適度な機械強度を有し、かつ容易に手で切断し得る積層フイルムとすることが提案されている(特許文献3〜6参照)。これにより、包装材料及び粘着テープ用の基材として積層フイルムを使用することが実用化されてきた。
しかしながら、これらの従来の技術による積層フイルムは、機械物性、手切れ性では実用上の要求水準を満たすものの、フイルムを引裂く際の直線カット性が不満足なものであった。即ち、フイルムを1軸配向層の配向方向に引裂いていくとき、引裂き方向が、所定の引裂き方向から直交する方向へと角度が傾いていき、引裂き方向が不安定になり、所定の引裂き方向から外れてしまう。
引裂き方向が外れていくと、包装材料の場合、内容物を取り出すに充分な開封口を開けることが困難となったり、袋が不定形に破れて内容物が落下する等の不具合が生じてくる。また、粘着テープをテープ幅方向に引裂いていく場合、特に、幅が広い粘着テープのロールから必要量のテープを引裂いて切り取る場合、切り取り開始点から斜め方向に裂けてしまい、徐々にロールの流れ方向の長さが短くなったり(先細り)、最悪の場合、反対側まで引裂けないなどの不具合が生じ易い。
特開2002−3619号公報 特開2004−35757号公報 実開昭49−57567号公報 特開昭51−19080号公報 特開昭57−25953号公報 特開2000−25173号公報
本発明は上記した従来技術の問題点を鑑みて、従来技術では達成できなかった優れた直線カット性を有し、しかも、手切れ性や機械的特性にも優れた積層ポリプロピレン系フイルムを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の積層ポリプロピレン系フイルムは、次の事項により特定される。すなわち、
(1)2軸配向ポリプロピレン系樹脂からなる基層(A)の少なくとも片面に、ポリプロピレン系樹脂からなる中間層(B)が積層され、該中間層(B)上に、厚み18〜40μmの1軸配向ポリプロピレン系樹脂からなる1軸配向層(C)が少なくとも1層積層された、3層以上からなる積層ポリプロピレン系フイルムであって、1軸配向層(C)の配向方向に対し直交する方向におけるフイルムの引裂き伝播抵抗値TMD(g)が60g以上であり、かつ、1軸配向層(C)の配向方向におけるフイルムの引裂き伝播抵抗値TTD(g)と1軸配向層(C)の配向方向に対し直交する方向におけるフイルムの引裂き伝播抵抗値TMD(g)との差TMD−TD(=TMD−TTD)が40g以上であることを特徴とする積層ポリプロピレン系フイルムである。
(2)1軸配向層(C)の配向方向に対し直交する方向におけるフイルムの破断伸度が、100〜200%であることを特徴とする(1)に記載の積層ポリプロピレン系フイルムである。
(3)1軸配向層(C)の配向方向に対し直交する方向におけるフイルムの破断強度が、40〜60MPaであることを特徴とする(1)又は(2)に記載の積層ポリプロピレン系フイルムである。
(4)ヘイズが8%以下であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の積層ポリプロピレン系フイルムである。
(5)基材が、(1)〜(4)のいずれかに記載の積層ポリプロピレン系フイルムからなることを特徴とする包装材料である。
(6)基材が、(1)〜(4)のいずれかに記載の積層ポリプロピレン系フイルムからなることを特徴とする粘着テープである。
本発明によると、直線カット性に優れ、しかも、手切れ性、適度な強靱性、さらに透明性を有する積層ポリプロピレン系フイルムを得ることができる。このフイルムの使用により、易開封性に優れた包装材料や、直線カット性及び手切れ性に優れた粘着テープを得ることができる。
本発明の積層フイルムは、2軸配向ポリプロピレン系樹脂からなる基層(A)の少なくとも片面に、ポリプロピレン系樹脂からなる中間層(B)が積層され、中間層(B)上に、1軸配向ポリプロピレン系樹脂からなる1軸配向層(C)が少なくとも1層積層された、3層以上からなる積層ポリプロピレン系フイルムである。
このように、本発明の積層フイルムは、2軸配向された基層(A)と1軸配向された1軸配向層(C)とを含むことが必要である。これに対し、すべての層が2軸配向された積層フイルムの場合は易開封性・直線カット性に劣る。また、すべての層が1軸配向された積層フイルムの場合は、貼り合わせる際、それぞれのフイルムの配向がなす角度にも寄るが、強靱性あるいは易開封性に劣ったものになる。また、いずれかの樹脂層が無配向の場合は著しく易開封性に劣ったものになる。
本発明の積層フイルムは、1軸配向層(C)の配向方向に対し直交する方向におけるフイルムの引裂き伝播抵抗値TMD(g)が60g以上である。この伝播抵抗値TMD(g)が60g未満である場合、機械強度が劣るため、たとえば、包装材料として用いた場合、衝撃により破袋が生じたり、粘着テープとして用いた場合、1軸配向に容易に切れる問題を生じたり、直線カット性が極めて劣り、1軸配向方向と平行から外れた角度でフイルムを引き裂くと、徐々にフイルム破断部の進行方向の角度が変化する問題を生じ易い。
MD(g)を上述の範囲とするためには、1軸配向層(C)の厚みは18〜40μmが必要であり、より好ましくは20〜30μmである。直線カット性の観点から、18μm以上とすることが必要であり、経済性の観点から、40μm以下とする。
本発明の積層フイルムの基層(A)と1軸配向層(C)の厚み比の関係は、手切れ性および実用強度の観点から、基層(A)の厚み:1軸配向層(C)の厚み=1:1〜1:4の範囲にあることが好ましい。基層(A)の厚みに対し1軸配向層(C)の厚みが1倍未満である場合、直線カット性が極めて劣り、1軸配向方向と平行から外れた角度でフイルムを引き裂くと、フイルム破断部の進行方向の角度が乱れる問題を生じ易い。4倍を超える場合、1軸配向と直角方向の機械強度が不足し、加工時にフイルム破断する問題を生じる易い。
本発明の積層フイルムは、1軸配向層(C)の配向方向におけるフイルムの引裂き伝播抵抗値TTD(g)と1軸配向層(C)の配向方向に対し直交する方向におけるフイルムの引裂き伝播抵抗値TMD(g)との差TMD−TD(=TMD−TTD)が40g以上である。
MD−TDを上述の範囲内とするためには、基層(A)と1軸配向層(C)の厚み比が、基層(A)の厚み:1軸配向層(C)の厚み=2:5〜1:4であることが好ましい。基層(A)の厚みに対し、1軸配向層(C)の厚みが2.5倍未満である場合、1軸配向方向から外れた角度でフイルムを引き裂くと、徐々にフイルム破断部の進行方向の角度が変化する問題を生じ易い。
また、積層フイルムの全厚みは24〜55μmが好ましく、27〜40μmがより好ましい。包装用途では経済性の観点から、27〜35μmが好ましく、粘着テープ用途では、実用強度の観点から、35〜45μmが好ましい。
本発明の積層フイルムは、1軸配向層(C)の配向方向に対し直交する方向におけるフイルムの破断伸度が、100〜200%であることが望ましい。また、1軸配向層(C)の配向方向に対し直交する方向におけるフイルムの破断強度が、40〜60MPaであることが望ましい。破断伸度を、100〜200%の範囲とし、及び/または、破断強度を、40〜60MPaの範囲に制御することによって、直線カット性と加工に必要な機械的強度をバランス良く兼ね備えたフイルムを得ることができる。
破断伸度、破断強度を上述の範囲とするためには、基層(A)を製造する工程における長手方向の延伸倍率を4.6倍以上とすることが好ましい。また、基層(A)を製造する工程において、未延伸シートを冷却固化させる際の冷却ドラム(以後、第1金属ドラムと呼ぶ)の温度を70〜90℃とすることが望ましい。
本発明の積層フイルムは、ヘイズが、8%以下であることが望ましい。ヘイズを、8%以下の範囲に制御することによって、透明性が高いフイルムとなるので、フイルム包装した時の内容物の確認、裏面印刷時の美麗性に優れるため、包装材料として好適なフイルムを得ることができる。
ヘイズを上述の範囲とするためには、長手方向の延伸倍率を4.6倍以上とすることが好ましく、かつ、中間層(B)上に、1軸配向層(C)となる樹脂がラミネートされたシートを冷却固化させる際の冷却ドラム(以後、第2金属ドラムと呼ぶ)の温度を10〜30℃とすることが望ましい。
本発明において、基層(A)は、2軸配向されたポリプロピレン系樹脂で構成される。2軸配向することで、本発明の積層フイルムを包装材料等に使用する場合に、十分な機械的強度を付与することができる。
基層(A)に用いる樹脂は、2軸配向されたポリプロピレン系樹脂であれば特に限定はされないが、好ましくは結晶性のアイソタクチックポリプロピレン樹脂である。
また、基層(A)に用いるアイソタクチックポリプロピレン樹脂のアイソタクチック度は85%以上であることが好ましい。アイソタクチック度とは沸騰n−ヘプタンで抽出した際の非溶解分の重量割合である。アイソタクチック度が85%未満であると、キシレンやn−ヘキサンなどの溶媒による溶出分が多くなりすぎ、包装用フイルムとして不適となる場合がある。基層(A)に用いるアイソタクチックポリプロピレン樹脂のアイソタクチック度は88%以上がより好ましく、90%以上がさらに好ましい。また、該ポリプロピレン樹脂のメルトフローインデックス(MFI)は、1〜10g/10分であることが、製膜性の観点から好ましく、2.5〜6g/10分がより好ましい。
基層(A)に用いる樹脂としてはアイソタクチックポリプロピレン樹脂単独が好ましいが、プロピレン以外の第2成分、例えばエチレン、ブテン、ヘキセン等を少量(3モル%以下)ランダムに共重合したものでも良い。また、基層(A)に用いる樹脂には、許容範囲内のフイルム特性が得られるのならば、この積層フイルムの製造工程で生じたフイルム製品屑を混入させてもよい。
また、ポリプロピレンに添加することが知られている各種の添加剤、例えば安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、帯電防止剤、ブロッキング防止剤、有機滑剤、顔料、着色剤、造核剤などを必要量(通常0.01〜2重量%程度)添加しても良い。滑り性を付与し作業性や巻き取り性を向上させるための、有機架橋性粒子には、架橋シリコーンや架橋ポリメチルメタクリレート粒子などが挙げられ、無機粒子にはゼオライトや炭酸カルシウム、酸化ケイ素、リン酸カルシウムなどを例示することができる。
基層(A)の厚みは、好ましくは5〜13μm、より好ましくは5.5〜12μmである。十分な強度を確保する観点から、5μm以上とすることが好ましく、手切れ性をより優れたものとする観点から、15μm以下が好ましい。
基層(A)と1軸配向層(C)の接着強度を上げるために、基層(A)の少なくとも片面に、中間層(B)としてポリプロピレン系樹脂を積層する必要がある。中間層(B)を積層しない場合、(A)と1軸配向層(C)の接着強度が充分でないため、1軸配向方向へカットした場合、基層(A)と1軸配向層(C)との界面で容易に剥離し、カット不良の問題が生じる。積層フイルムのカット時に、基層(A)と1軸配向層(C)との界面での剥離を生じないためには、層間接着強度を120g/cm以上とすることが好ましい。その層間接着強度を得るためには、中間層(B)を構成するポリプロピレン系樹脂の結晶融解熱量が20〜90J/gとすることが好ましい。さらに好ましくは30〜85J/g、特に好ましくは40〜85J/gである。
このように、中間層(B)に用いられるポリプロピレン系樹脂は、通常のアイソタチックポリプロピレン樹脂の結晶融解熱量(100J/g以上)よりも結晶融解熱量が小さいことが好ましい。結晶融解熱量が大きすぎると、層間の接着性に劣り、空気の噛みこみによりキラキラと見える外観不良も発生し易い。結晶融解熱量を小さくすることで、層間の接着力が向上し、エアーの噛み込みを排除することが可能となる。一方、結晶融解熱量が小さすぎると加工時の耐熱性に劣る。
中間層(B)のポリプロピレン系樹脂は、結晶融解に伴う吸熱の主ピークの温度が155〜163℃にあることが好ましい。このように結晶融解に伴う吸熱のピーク温度が比較的高いと、加工時の耐熱性に問題が生じることがない。この場合の主ピークとは、単一の吸熱ピークのみ観察される場合はその単一ピークそのものを、複数の吸熱ピークが観測される場合はピーク面積全体の2/3以上を占めるものを指す。
結晶融解に伴う吸熱の主ピーク温度の上限はポリプロピレン固有の特性値として規定される。結晶融解に伴う主ピーク温度の下限は、積層ポリプロピレンフイルムの耐熱性に影響するので、結晶融解に伴う主ピーク温度が低すぎると加工時の耐熱性に問題が生じる場合があり、また、製膜時に縦延伸ロールに粘着するなどの製膜上の制約が生じる場合もある。
中間層(B)のポリプロピレン系樹脂の結晶融解に伴う吸熱の主ピークの温度は、157〜162℃にあることがより好ましく、158〜162℃にあることがさらに好ましい。副ピークが155℃未満に観察される場合は、そのピークが140℃以上にあることが好ましい。
さらに、中間層(B)のポリプロピレン系樹脂の結晶融解に伴う吸熱のすべてのピークが155〜163℃にあることが、製膜性と、加工時の耐熱性のために好ましい。
中間層(B)のポリプロピレン系樹脂としては、例えばアイソタクチックポリプロピレン樹脂を主体としたものや、エチレン・プロピレン・ランダム共重合体や、プロピレン・ブテン共重合体や、エチレン・プロピレン・ブテン三元共重合体が挙げられる。
本発明において、中間層(B)として用いるポリプロピレン系樹脂のメルトフローインデックス(MFI)は1〜20g/10分であることが、基層(A)との積層性のため好ましい。
中間層(B)の厚みは、好ましくは0.2〜2μm、より好ましくは0.5〜1.5μmである。層間接着力の観点から0.2μm以上とすることが好ましく、経済性の観点から、2μm以下が好ましい。
1軸配向層(C)はポリプロピレン系樹脂から構成される。好ましいポリプロピレン系樹脂や添加剤等については基層(A)に用いる樹脂と同様である。プロピレン以外のモノマ単位を多く共重合した共重合体の場合は、表層部分が軟化し、積層フイルムの手切れ性に悪影響を与える場合があるため、特に手切れ性の観点から、アイソタクチックポリプロピレン樹脂単独が好ましい。また、生産性や経済性等を考えると基層(A)と同一の樹脂を用いることが好ましいが、必ずしもそれに限定されるものではない。
本発明の積層ポリプロピレン系フイルムは、2軸配向ポリプロピレン系樹脂からなる基層(A)の少なくとも片面に、ポリプロピレン系樹脂からなる中間層(B)が積層され、中間層(B)上に、1軸配向ポリプロピレン系樹脂からなる1軸配向層(C)が少なくとも1層積層された、3層以上からなる積層ポリプロピレン系フイルムであるが、基層(A)の片面のみに中間層(B)及び1軸配向層(C)が積層されたフイルムの場合、基層(A)に対し中間層(B)及び1軸配向層(C)が積層されなかった面には、必要に応じ、第4の層が積層されても良い。
第4の層の樹脂としては、例えば、接着性確保のために、中間層(B)と同様の樹脂が積層されても良い。また、滑り性を付与するには、ポリプロピレン系樹脂に有機架橋粒子あるいは無機粒子が添加されたものや、エチレン−プロピレンブロック共重合体、エチレン−プロピレンブロック共重合体と高密度ポリエチレンの混合物などが積層されることが好ましい。その積層の方法には、基材との共押出しや、押出しラミネート、コーティングなどが挙げられるがこれに制約されるものではない。
また、積層フイルムの表面は、必要に応じ、コロナ放電処理、火炎処理などで活性化しても良い。
本発明の積層フイルムは、次の方法により製造することができる。
基層(A)に用いる原料の樹脂、および中間層(B)に用いる樹脂を準備し、これらを別々の押出機に供給して230〜290℃の温度で融解させ、濾過フィルターを経た後、短管あるいは口金内で合流せしめ、目的とする積層厚み比となる積層状態でスリット状口金から押し出し、冷却用ドラム(第1金属ドラム)に巻き付けてシート状に冷却固化せしめ、未延伸積層フイルムとする。この第1金属ドラムの温度はフイルムを結晶化させるために40〜95℃とする。
ついで、基層(A)と中間層(B)が積層された状態の未延伸積層フイルム(D)を115〜145℃の温度に加熱し、長手方向4〜7倍に1軸に延伸した後、中間層(B)上に、1軸配向層(C)となる樹脂を230〜290℃の温度で、所定の積層厚みでスリット状口金から押し出し、ラミネートし、次いで、10〜30℃に制御された冷却用ドラム(第2金属ドラム)に巻き付けてシート状に冷却固化せしめ、3層積層フイルムとする。次いで、3層積層フイルムをテンター式延伸機に導入し、クリップで3層積層フイルムの両端を把持しながら、140〜170℃で幅方向に7〜11倍に延伸した後、100〜160℃で弛緩熱処理し冷却する。さらに、必要に応じ、空気あるいは窒素あるいは炭酸ガスと窒素の混合雰囲気中で、コロナ放電処理した後、巻き取る。
また、各層の厚みは、口金出口の間隙や、各樹脂の押出量を適宜調整することで望みの厚みとすることができる。 上記した製造工程における条件のうち、本発明の積層フイルムの特徴を満足し優れた開封性を得るためには、特に、幅方向の延伸条件や冷却ドラム温度が重要である。
本発明の積層ポリプロピレン系フイルムは、易開封性と適度な強靱性、直線カット性、透明性を有しており、包装材料や粘着テープの基材として好ましく用いられる。
以下に本発明の積層プロピレン系フイルムが好ましく用いられる包装体および該包装体の代表的な構成例を示す。
包装体に用いられる代表的な構成例としては、本発明の積層ポリプロピレン系フイルム(G層)の片面に、必要に応じて印刷を施し、次いで、プロピレン単体、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・プロピレン・ブテン共重合体、低密度ポリエチレン、メタロセン触媒を用いたポリエチレンもしくはポリプロピレンもしくはエチレン・プロピレン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体などの中から適宜選ばれるヒートシール性樹脂を積層した(H層)構成体が挙げられる(G層/(印刷)/H層)。G層を直線カット性の優れた積層フイルムにすることで開封性が良くなるので、レーザー等によるキズ加工や、延伸フイルム製の誘導体を用いなくとも、直線的な開封口を作ることができる。
また、印刷性を高めるためには、適宜、本発明のフイルムの印刷面側に易印刷性樹脂を積層したり、表面処理することもできる。該構成体のガスバリア性能などを向上させるためには、印刷面とヒートシール層(H層)の間に、ポリビニルアルコール、エチレン・ビニルアルコール共重合体などのガスバリア性樹脂層(I層)を積層することもできる(G層/(印刷)/I層/H層)。
ガスバリア性能、内容物隠蔽性などを向上させるためには、本発明の積層ポリプロピレン系フイルム(G層)の片面に蒸着層を設けた後にヒートシール層(H層)を設けることもできる((印刷)/G層/蒸着層/H層)。この際、本発明の積層フイルム(G層)の金属蒸着膜が付設される面に公知の蒸着膜易接着性樹脂を予め積層しておけば、ガスバリア性能をさらに向上させることができる。また、ガスバリア性能、内容物隠蔽性などを向上させるために、G層/(印刷)/アルミ箔/H層としてもよい。
また、上記ヒートシール性樹脂、易印刷性樹脂、蒸着膜易接着性樹脂、ガスバリア性樹脂などは、ドライラミネート、押出ラミネート、コーティングなどにより積層することが好ましい。さらに、本発明のフィルム(G層)のH層と反対の面に上記したようなヒートシール性の樹脂を予め積層しておけば、両面ヒートシール性の構成体とすることができる。
(縦ピロー/横ピロー包装体)
ガスバリア性構成体を、縦型もしくは横型のピロー包装機で、内容物を充填、製袋し、縦型もしくは横型ピロー包装体とする。このピロー包装体は、ガスバリア性等の特性は従来品と同等を維持しつつ、開封性が改善され、特に直線カット性が優れている。該包装体は、菓子用袋として好ましく用いられ、充填する内容物としては、スナック、キャンディー、チョコレート、クッキー、冷菓などが挙げられる。
(三方/四方シール包装体)
ガスバリア性構成体を、縦型もしくは横型の三方/四方シール包装機で、内容物を充填、製袋し、三辺もしくは四辺をヒートシールすることにより三方シールもしくは四方シール包装体とする。このシール包装体のガスバリア性等の特性は従来品と同等を維持しつつ、開封性が改善され、特に直線カット性が優れている。該包装体は、液体用袋として好ましく用いられ、充填する内容物としては、液体調味料用やシャンプー・リンスなどが挙げられる。また、それらの試供品などの充填に用いる小袋として使用される。
(カップ状容器のふた)
構成体を、カップ状容器の縁部分に付設して蓋を形成し、カップ状包装体とする。この包装体は、従来品と同等の特性を維持しつつ、開封性、特に直線カット性に優れている。該包装体は、食品用容器として好ましく用いられ、充填する内容物としては、ゼリー、プリンなどが挙げられる。
(スタンドパウチ)
構成体を、所望の形状に製袋加工し、内容物を充填した後、スタンドパウチとする。このスタンドパウチは、従来品と同等の特性を維持しつつ、開封性が改善され、軽量化されたスタンドパウチを得ることができる。すなわち、G層を直線カット性の優れた積層フイルムにすることで開封性が良くなるので、レーザーによるキズ加工や、延伸フイルム製の誘導体を用いなくとも、直線的な開封口を作ることができる。
該包装体は、トイレタリーなどの詰替容器や菓子用袋として好ましく用いられ、充填する内容物としては、シャンプー、ボディーソープ、液体洗剤、スナック、キャンディー、チョコレート、クッキー、冷菓などが挙げられる。
(オーバーラップフィルム)
代表的な構成例としては、本発明の積層ポリプロピレン系フィルム(G層)の片面に必要に応じて印刷を施した構成体が挙げられる(G層/(印刷))。この際、本発明のフィルム(G層)の少なくとも片面にヒートシール性の樹脂を予め共押出、ドライラミネート、押出ラミネート、コーティングなどにより積層しておけば、ヒートシール性を付与することができる。また、加熱収縮性が必要な場合には、本発明のフイルム製膜の際に、適宜条件を変更すればよい(例えば、用いるポリプロピレンの代わりにエチレン・プロピレン共重合体を適用する、延伸後の弛緩を行わない、など)。
かかる構成体において、本発明の積層ポリプロピレン系フイルムを用いることにより、従来品と同等の特性を維持しつつ、優れた開封性が達成される。G層を直線カット性の優れた積層フイルムにすることで開封性が良くなるので、レーザー等によるキズ加工や、延伸フイルム製の誘導体を用いなくとも、直線的な開封口を作ることができる。かかる構成体は、カートンケースなどの上包み包装に好ましく用いられる。
(溶断シール包装体)
本発明の積層ポリプロピレン系フイルム(G層)を溶断シールによって袋状にすることによって、シーラント基材なしに単体で使用して包装体とする。包装される内容物の具体例としては、サンドイッチやホットドッグ等の調理パン類や、おにぎり、巻きずしなどの米飯類が挙げられる。この際、本発明のフイルムに加え、袋内面側に、パン類については内容物具材の保護フイルムや、また、米飯類については具材同士の接触を避けるための隔離用フイルムを重ねることが望ましい。
かかる構成体において、本発明の積層ポリプロピレン系フイルムを用いることにより、従来品と同等の特性を維持しつつ、優れた開封性が達成される。直線カット性の優れた積層フイルムを使用することで、開封性が良くなるので、レーザー等によるキズ加工や、延伸フイルム製の誘導体を用いなくとも、直線的な開封口を作ることができる。
また、本発明の積層プロピレン系フイルム(G層)を粘着テープとして用いる場合、積層プロピレン系フイルム(G層)の片面に、必要に応じて印刷と、アクリルなどの公知の粘着性樹脂を用いた粘着層(J層)、剥離性も高めるためにシリコーンなどの公知の離型樹脂層(K層)を設けた構成体が挙げられる(K層/G層/(印刷)/J層、K層/(印刷)/G層/J層)。また、印刷性を高めるためには、適宜、本発明のフイルムの印刷面側に易印刷性樹脂を積層したり、表面処理することもできる。また、意匠性のためにエンボス加工を行っても良い。カット性をさらに向上させるために、また外観を損なわない程度に、フイルム断面や表面に対しキズ加工、電子線照射、X線照射を行っても良い。
以上のことから、本発明の積層ポリプロピレン系フイルムは、包装用、工業用等に好ましく用いることができる。
[特性値の測定法]
本発明における特性値は以下の方法で測定した。
(1)アイソタクチック度(%)
ポリプロピレン樹脂を60℃以下の温度のn−ヘプタンで2時間抽出し、樹脂中の添加物を除去する。その後、130℃で2時間真空乾燥する。これから重量W(mg)の試料を取り、ソックスレー抽出器に入れ沸騰n−ヘプタンで12時間抽出する。次に、この試料を取り出しアセトンで十分洗浄した後、130℃で6時間真空乾燥しその後常温まで冷却し、重量W’(mg)を測定し、次式によりアイソタクチック度を求める。
アイソタクチック度=(W’/W)×100(%)。
(2)メルトフローインデックス(MFI:g/10分)
ASTM−D−1238に準じて、230℃、2.16kgの条件で測定した。
(3)結晶融解吸熱のピーク温度(℃)と結晶融解熱量(J/g)
Seiko Instruments社製の熱分析装置RDC220型に、5mgの中間層樹脂をアルミニウムパンに封入して装填し、20℃/分の速度で昇温し、結晶融解吸熱のピーク温度を求めた。また、吸熱ピークの面積により、同社製の熱分析システムSSC5200の内蔵プログラムを用い結晶融解熱量を算出した。2種以上の樹脂の混合物で吸熱ピークが複数の場合は、それぞれの結晶融解熱量の和を結晶融解熱量とした。
(5)エチレン含有量(重量%)
各層の樹脂について、高分子分析ハンドブック(1985年、朝倉書店発行)の第256頁“(i)ランダム共重合体”の項に記載の方法に従って、IRスペクトル法で決定した。
(6)樹脂層の厚み(μm)及び厚み比率
ミクロトームでフイルム断面を切り出し、該フイルム断面を走査電子顕微鏡で観察して厚みを求める。
装置:日本電子(株)製JEM-1200EX
観察倍率:1000倍
加速電子:100kV
樹脂層が区分し難い場合は、必要に応じて染色法により層区分することができる。
(7)各層の配向状態
各層の配向状態(1軸配向であるか、2軸配向であるか)は、各層を剥離し分離させ、X線回折象により確認する。(例えば、参考文献「高分子加工ワンポイント2フイルムを作る」9章E項(1993年共立出版社刊行))。
(8)機械特性(破断伸度(%)、破断強度(MPa))
JIS−Z1702に規定された方法に従い破断伸度は、JIS K7127、破断強度は、JIS K7128に従い測定した。具体的には、25℃、65%RH環境下にて24時間保管したフイルムからサンプル(測定方向:150mm、測定方向と直角の方向:1cmのサイズ)を切り出した。(株)オリエンテック製のフイルム強伸度測定装置(AMF/RTA−100)を用いて、25℃、65%RH環境下にて、原長50mm、引張り速度300mm/分で伸張して測定した。
(9)引裂き伝播抵抗(g)
フイルムを長手方向(もしくは幅方向)が130mm、幅方向(もしくは長手方向)が40mmとなるように試料をサンプリングする。図1に示すように、カッターナイフにて、試料の中央部分に、「コ」の字状(長手方向に2本の線、幅方向に1本の線)の切り込み(a)を入れる。切り込みを入れた試料の上半分部分(d)を折り曲げ線(e)で折り返し(折り曲げ角180度)、「コ」の字状切り込み内側部分(b)を折り返し、図2に示す状態とする。この状態を保持したまま、「コ」の字状切り込み内側部分(b)の上端と、下端側部分(c)の下端とをそれぞれ把持し、記録計付きの引張試験器(島津製作所製オートグラフIM−100型)にて、200mm/分の速度で引っ張り、抵抗力T(g)を測定する。この際、(d)の部分が引裂き伝播抵抗測定シロとなる。
(ア)1軸配向層(C)の配向方向に対し直交する方向におけるフイルムの引裂き伝播抵抗値TMDの場合の試料
フイルムを、長手方向(MD)が130mm、幅方向(TD)が40mmとなるように試料をサンプリングする。
(イ)1軸配向層(C)の配向方向におけるフイルムの引裂き伝播抵抗値TTDの場合の試料
フイルムを、幅方向(TD)が130mm、長手方向(MD)が40mmとなるように試料をサンプリングする。
(10)開封性(直線カット性)
長手方向(MD)に120mm、幅方向(TD)に180mm、となるようにサンプリングしたフイルムの、1軸配向層(C)とは逆の面の全周囲(f)に、図3に示すように、10mm幅の両面粘着テープを枠状に貼り付ける。該フイルムを用い、化粧石鹸(牛乳石鹸共進社(株)製の牛乳石鹸“カウブランド赤箱a1“)1個(外装箱及び内袋を外した固形石鹸のみ)を、石鹸の長径がフイルムの長手方向(MD)になるように、かつ、1軸配向層(C)が表層になるように粘着テープ同士を合わせ、ピロー形態に包装する(図4)。
このピロー包装体の背貼り部分(g)の中央部に2mmのノッチ(切り込み)(h)を入れ、ノッチ(h)から10〜20mm離れた位置の瀬張り部分をそれぞれ両手で摘み、勢い良くMD外側(図4の破線矢印の方向)に引張り開封する。開封時の引き裂き線を目視観察し、下記及び図5に示す4区分で判定した。
測定回数は、各水準10回ずつ行なった。
◎・・・全周に渡ってほぼ1直線に開封できる。
○・・・段差あるが、ほぼ直線に開封できる。
△・・・コーナー付近で長手方向へややカット面が流れるが、開封できる。
×・・・長手方向に破れ開封できない。
(11)ヘイズ(%)
フイルムを、50mm×50mmにサンプリングし、スガ試験機(株)製直読ヘーズコンピューターHGM−2DPを用いて測定した。
本発明を実施例により説明する。
[実施例1]
基層(A)に用いる樹脂として、アイソタクチックポリプロピレン(アイソタクチック度:96%、MFI:2.0g/10分)のものを準備し、中間層(B)に用いる樹脂として、アイソタクチックポリプロピレン(アイソタクチック度:86%、MFI:2.8g/10分、結晶融解に伴う吸熱のピーク温度:161℃、結晶融解熱量:77J/g)のものを準備し、これらを別々の押出機に供給して250℃の温度で融解させ、濾過フィルターを経た後、口金内で合流させた後、スリット状口金から押し出し、90℃にコントロールした冷却ドラム(第1金属ドラム)で冷却し、未延伸積層フイルムを得た。
この未延伸積層フイルムを120℃の温度に予熱し、長手方向(MD)に4.8倍に延伸した後、その中間層(B)上に、1軸配向層(C)として、250℃の温度で融解したアイソタクチックポリプロピレン(アイソタクチック度:96%、MFI:15g/10分)を押し出し、ラミネートし、25℃にコントロールした冷却ドラム(第2金属ドラム)で冷却し、3層積層フイルムを得た。次いでテンター式延伸機で160℃で横方向(TD)に10倍延伸し、コロナ放電処理した後、巻き取った。
得られた3層積層フイルムにおける各層の厚みは、2軸配向の基層(A)が5μm、中間層(B)が1μm、1軸配向層(C)は18μmで、積層フイルムの総厚みが24μmであった。この各層の厚みは、各層の口金出口の間隙と各層の樹脂の押出量により調整した。
[実施例2]
2軸配向の基層(A)が5.5μm、1軸配向層(C)が19μm、積層フイルムの総厚みが25.5μmとなるように変更したこと以外は実施例1と同じ条件で製膜し評価をした。
[実施例3]
中間層(B)に用いる樹脂を、エチレン−プロピレンブロック共重合体(エチレン含有率4.2%、MFI:7.8g/10分、結晶融解に伴う吸熱のピーク温度:140℃)に変更し、かつ、厚みについて、2軸配向の基層(A)が5.4μm、中間層(B)が1.5μm、1軸配向層(C)が21.6μm、積層フイルムの総厚みが28.5μmとなるように変更したこと以外は実施例1と同じ条件で製膜し評価をした。
[実施例4]
長手方向(MD)延伸前の予熱温度125℃、横方向(TD)延伸前の予熱温度を165℃にし、かつ、2軸配向の基層(A)が9.7μm、1軸配向層(C)が27.3μm、積層フイルムの総厚みが28.5μmとなるように変更したこと以外は実施例3と同じ条件で製膜し評価をした。
[実施例5]
長手方向(MD)延伸前の予熱温度125℃、横方向(TD)延伸前の予熱温度を165℃にし、かつ、2軸配向の基層(A)が10.7μm、中間層(B)が1.0μm、1軸配向層(C)が27.3μm、積層フイルムの総厚みが39.0μmとなるように変更したこと以外は実施例3と同じ条件で製膜し評価をした。
[実施例6]
冷却ドラム(第1金属ドラム)の温度を95度、長手方向(MD)延伸前の予熱温度を130℃、横方向(TD)延伸前の予熱温度を170℃にし、かつ、2軸配向の基層(A)が13μm、中間層(B)が2μm、1軸配向層(C)が40μm、積層フイルムの総厚みが55.0μmとなるように変更したこと以外は実施例1と同じ条件で製膜し評価をした。
各実施例の結果を表1に示す。表1に示すように、実施例1〜4による積層フイルムは、開封性(直線カット性)、機械特性に優れ、かつヘイズについても優れた結果が得られた。一方、実施例5による積層フイルムは、破断強度が60MPaを超えていたため、フイルムのコシが強すぎ実施例1〜4に比べやや開封性に劣るものであった。
また、実施例6による積層フイルムは、破断伸度が300%を超えていたため、フイルム伸びが大きく、実施例1〜4に比べ開封性(直線カット性)がやや劣っていた。さらに、第1金属ドラムの温度が95℃と高いため表面が結晶化しすぎ、ヘイズ(透明性)がやや劣るものであった。
[比較例1]
冷却ドラム(第1金属ドラム)の温度を65度、長手方向(MD)延伸前の予熱温度を135℃、横方向(TD)延伸前の予熱温度を175℃にし、かつ、2軸配向の基層(A)が5.7μm、1軸配向層(C)が17.3μmとなるように変更したこと以外は実施例1と同じ条件で製膜し評価をした。
[比較例2]
冷却ドラム(第1金属ドラム)の温度を65度、長手方向(MD)延伸前の予熱温度135℃、横方向(TD)延伸前の予熱温度を175℃にし、かつ、2軸配向の基層(A)が4.7μm、1軸配向層(C)が17.3μm、積層フイルムの総厚みが23.5μmとなるように変更したこと以外は実施例3と同じ条件で製膜し評価をした。
[比較例3]
冷却ドラム(第1金属ドラム)の温度を65度、長手方向(MD)延伸前の予熱温度135℃、横方向(TD)延伸前の予熱温度を175℃にし、かつ、2軸配向の基層(A)が4μm、1軸配向層(C)が18μm、積層フイルムの総厚みが23.5μmとなるように変更したこと以外は実施例3と同じ条件で製膜し評価をした。
[比較例4]
第1金属ドラムの温度を65度、長手方向(MD)延伸前の予熱温度135℃、横方向(TD)延伸前の予熱温度を175℃にし、かつ、2軸配向の基層(A)が5μm、中間層(B)が1μm、1軸配向層(C)が18μm、積層フイルムの総厚みが24.0μmとなるように変更したこと以外は実施例3と同じ条件で製膜し評価をした。
[比較例5]
第1金属ドラムの温度を65度、長手方向(MD)延伸前の予熱温度135℃、横方向(TD)延伸前の予熱温度を175℃にし、かつ、2軸配向の基層(A)が9.7μm、1軸配向層(C)が28μm、積層フイルムの総厚みが38.7μmとなるように変更したこと以外は実施例1と同じ条件で製膜し評価をした。
各比較例の結果を表1に示す。表1に示すように、これらの比較例では、開封性はいずれも不十分であった。
Figure 2006248066
本発明の積層ポリプロピレン系フイルムは、直線カット性に優れて、しかも、機械特性、透明性にも優れるので、包装材料や粘着テープの基材として好ましく用いられる。また、優れた直線カット性を活かし、紙、金属薄箔、プラスチックフイルム、不織布など異素材に貼り合わせ、カット性を付与することも可能である。具体的には紙と貼り合わせポスター、カレンダー類に使用するなどが考えられる。
また、表面にシリコーンコーティングなどの離型処理を施し、工業用工程紙や保護膜として利用することも可能である。
引裂き伝播抵抗を測定する際に準備する試料を示す平面図である。 引裂き伝播抵抗を測定する際の試料の状態、引っ張り方向を模式的に示す斜視図である。 開封時の直線カット性を評価するために準備する試料を示す平面図である。 開封時の直線カット性を評価するために作製した包装体、その引裂き手順を示す斜視図である。 開封時の直線カット性を評価する際の判定基準を示す斜視図である。
符号の説明
a.「コ」の字状の切り込み位置
b.「コ」の字状の切り込み内側部分
c.下端側部分
e.折り曲げ線
f.全周囲部分(両面粘着テープ貼り付け部)
g.背貼り部分
h.ノッチ(切り込み)

Claims (6)

  1. 2軸配向ポリプロピレン系樹脂からなる基層(A)の少なくとも片面に、ポリプロピレン系樹脂からなる中間層(B)が積層され、該中間層(B)上に、厚み18〜40μmの1軸配向ポリプロピレン系樹脂からなる1軸配向層(C)が少なくとも1層積層された、3層以上からなる積層ポリプロピレン系フイルムであって、1軸配向層(C)の配向方向に対し直交する方向におけるフイルムの引裂き伝播抵抗値TMD(g)が60g以上であり、かつ、1軸配向層(C)の配向方向におけるフイルムの引裂き伝播抵抗値TTD(g)と1軸配向層(C)の配向方向に対し直交する方向におけるフイルムの引裂き伝播抵抗値TMD(g)との差TMD−TD(=TMD−TTD)が40g以上であることを特徴とする積層ポリプロピレン系フイルム。
  2. 1軸配向層(C)の配向方向に対し直交する方向におけるフイルムの破断伸度が、100〜200%であることを特徴とする請求項1に記載の積層ポリプロピレン系フイルム。
  3. 1軸配向層(C)の配向方向に対し直交する方向におけるフイルムの破断強度が、40〜60MPaであることを特徴とする請求項1又は2に記載の積層ポリプロピレン系フイルム。
  4. ヘイズが8%以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の積層ポリプロピレン系フイルム。
  5. 基材が、請求項1〜4のいずれかに記載の積層ポリプロピレン系フイルムからなることを特徴とする包装材料。
  6. 基材が、請求項1〜4のいずれかに記載の積層ポリプロピレン系フイルムからなることを特徴とする粘着テープ。
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