JPWO2019131168A1 - 積層フィルム及び食品包装袋 - Google Patents

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Abstract

表面層(A)、中間層(B)及びシール層(C)とが積層された積層フィルムであって、前記表面層(A)、中間層(B)及びシール層(C)がプロピレン系樹脂を含有し、前記中間層(B)が植物由来のバイオマスポリエチレン(b1)を含有し、前記バイオマスポリエチレン(b1)のメルトフローレートが1.5g/10min以上である積層フィルムにより、樹脂植物由来成分を適用しつつも、好適なシール強度や耐衝撃性と共に、広範な温度域での良好な溶断シール強度を実現できる。

Description

本発明は、植物由来原料を使用した積層フィルム及び食品包装袋に関する。
近年、環境負荷低減を目的に、包装材に使用する樹脂フィルムの原料の一部を、石油等の化石燃料由来成分を主成分とした樹脂から、植物由来成分を主成分とした樹脂に置き換える検討がなされている。
植物由来の樹脂を使用した樹脂フィルムとしては、例えば、基材と積層してラミネートチューブやスタンディングパウチに使用するシーラントフィルムとして、植物由来の直鎖状低密度ポリエチレンを使用したシーラントフィルム(特許文献1〜2参照)や、植物由来の低密度バイオマスポリエチレンを使用したシーラント層と基材とを備えた蓋材(特許文献3)等が開示されている。
特開2016−145086号公報 特開2012−167172号公報 特開2015−231870号公報
植物由来の樹脂は、環境対応性は高いものの化石燃料由来の樹脂とは異なる性質を示すことが多く、単に置き換えるとヒートシール性や耐衝撃性、耐破袋性等が低下する場合があった。しかし、上記文献にて開示された樹脂フィルムは、植物由来の樹脂を使用するものであるが、スタンディングパウチや蓋材等の用途に適用される際にはラミネート基材との積層がなされるためラミネート基材を有さないフィルム構成での耐衝撃性や耐破袋性等は何ら考慮されていない。
また、溶断シールにより包装袋を製袋する場合等、各種の包装形態に適用するには溶断シール性を有する必要があり、各種用途に応じた製造条件下で好適なシール性を実現するためには広範な温度域で良好な溶断シール強度を有することが望まれる。
なお、上記文献にて開示された樹脂フィルムはエチレン系樹脂を主体とするものであるが、プロピレン系樹脂を主体とするフィルム構成においても、化石燃料由来の樹脂の植物由来樹脂への置き換えが望まれている。
本発明が解決しようとする課題は、プロピレン系樹脂を主体とするフィルム構成において、植物由来成分を適用しつつ、好適なシール強度や耐衝撃性を有し、広範な温度域で良好な溶断シール強度を有する積層フィルムを提供することにある。
特に、植物由来成分を多く含有する場合にも、好適なシール強度や耐衝撃性を有する積層フィルムを提供すること、さらには、プロピレン系樹脂を主体とするフィルム構成において、樹脂植物由来成分を適用しつつ、ラミネート基材を使用しなくとも、好適なシール強度や耐衝撃性を実現できる積層フィルムを提供することにある。
本発明は、表面層(A)、中間層(B)及びシール層(C)とが積層された積層フィルムであって、前記表面層(A)、中間層(B)及びシール層(C)がプロピレン系樹脂を含有し、前記中間層(B)が植物由来のバイオマスポリエチレン(b1)を含有し、前記バイオマスポリエチレン(b1)のメルトフローレートが1.5[g/10min]以上である積層フィルムにより上記課題を解決するものである。
本発明の積層フィルムは、植物由来の樹脂を使用しながらも、好適なシール強度と耐衝撃性を有し、広範な温度域で良好な溶断シール強度を有することから各種包装材として好適に使用できる。特に、ラミネート基材を積層しない構成でも優れた耐衝撃性を有することから、ピロー包装やガゼット包装の包装袋用として好適に使用できる。特に、本発明の積層フィルムは溶断強度にも優れることからパン等の食品の包装に使用するガゼット包装袋用途として好適である。
本発明の積層フィルムは、少なくとも表面層(A)、中間層(B)及びシール層(C)を有し、一方の表層が表面層(A)、他方の表層がシール層(C)からなる積層フィルムであり、表面層(A)、中間層(B)及びシール層(C)にプロピレン系樹脂を含有し、中間層(B)が植物由来のバイオマスポリエチレン(b1)を含有し、当該バイオマスポリエチレン(b1)のメルトフローレートが1.5[g/10min]以上の積層フィルムである。
[表面層(A)]
本発明の積層フィルムに使用する表面層(A)は、包装用フィルムの印刷が設けられる層等の表層を構成する層である。当該表面層はプロピレン系樹脂を主たる樹脂成分として含有し、当該プロピレン系樹脂としては、例えば、プロピレンの単独重合体、プロピレン−α−オレフィン共重合体(プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体、プロピレン−α−オレフィンブロック共重合体)等を使用できる。
表面層(A)に含まれる樹脂成分中のプロピレン系樹脂の含有量は、好適な溶断強度や製袋適性を得やすいことから、50質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、80質量%以上であることがさらに好ましく、85質量%以上であることがさらに好ましい。また、表面層(A)に含まれる樹脂成分が、実質的にプロピレン系樹脂のみからなる表面層であってもよい。
プロピレン−α−オレフィン共重合体中のα−オレフィン含有量は、10質量%以下であることが好ましく、8質量%以下であることがより好ましく、6質量%であることがさらに好ましい。また、好適な耐衝撃性を得やすいことから、α−オレフィン含有量が2質量%以上であることが好ましく、3質量%以上であることがより好ましく、4質量%以上であることがさらに好ましい。
本発明の積層フィルムを透明フィルムとする際には、表面層(A)に使用するプロピレン系樹脂として、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体を好ましく使用できる。プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体としては、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−1−ブテンランダム共重合体、プロピレン−エチレン−1−ブテンランダム共重合体等が例示でき、これらは単独で使用してもよいし、併用してもよい。なかでも、好適な透明性を得やすいことから、プロピレン−エチレンランダム共重合体を好ましく使用できる。
プロピレン−エチレンランダム共重合体のメルトフローレート(MFR)は、積層フィルムを形成できる範囲であれば特に制限されないが、0.5g/10分以上であることが好ましく、3g/10分以上であることがより好ましく、5g/10分以上であることがより好ましい。また、良好な成型性を得るため、MFRは20g/10分以下であることが好ましく、15g/10分以下であることがより好ましく、12g/10分以下であることがより好ましい。
プロピレン−エチレンランダム共重合体の密度は、0.880g/cm以上0.905g/cm以下であることが好ましく、0.890g/cm以上0.900g/cm以下であることがより好ましい。
プロピレン−エチレンランダム共重合体の融点は、製袋時の溶断シール刃への付着を防ぐ点から、110℃以上であることが好ましく、115℃以上であることがより好ましい。また、製袋時の溶断シール時に、溶断シール強度を発現させるために、十分な溶断玉形成が必要なため、150℃以下であることが好ましく、145℃以下であることがより好ましい。
プロピレン−エチレンランダム共重合体を使用する場合には、表面層(A)に含まれる樹脂成分中のプロピレン−エチレンランダム共重合体の含有量は、好適な透明性や包装適性を得やすいことから、35質量%以上であることが好ましく、45質量%以上であることがより好ましく、50質量%以上であることがさらに好ましい。また、その含有量が75質量%以下であることが好ましく、65質量%以下であることがより好ましく、60質量%以下であることがさらに好ましい。
また、溶断シール時に十分な溶断玉を形成させやすいことから、より低融点であるプロピレン−1−ブテン共重合体やプロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体等のランダム共重合体を、上記プロピレン−エチレンランダム共重合体と併用することも好ましい。なかでも、プロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体を、特に好ましく使用できる。
プロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体としては、プロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体のエチレン含有量及びブテン含有量がそれぞれ25質量%以下であることが好ましく、15質量%以下であることがより好ましく、10質量%であることがさらに好ましい。また、好適な低温シール性を得やすいことから、エチレン含有量及びブテン含有量がそれぞれ0.5質量%以上であることが好ましく、1.5質量%以上であることがより好ましく、3質量%以上であることがさらに好ましい。
プロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体のメルトフローレート(MFR)は、積層フィルムを形成できる範囲であれば特に制限されないが、0.5g/10分以上であることが好ましく、3.0g/10分以上であることがより好ましく、5.0g/10分以上であることがより好ましい。また、良好な成型性を得るため、MFRは20g/10分以下であることが好ましく、15g/10分以下であることがより好ましく、12g/10分以下であることがより好ましい。
プロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体の密度は、0.880g/cm以上0.905g/cm以下であることが好ましく、0.890g/cm以上0.900g/cm以下であることがより好ましい。
プロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体の融点は、製袋時の溶断シール刃への付着を防ぐ点から、105℃以上であることが好ましく、110℃以上であることがより好ましい。また、製袋時の溶断シール時に、溶断シール強度を発現させるために、十分な溶断玉形成が必要なため、145℃以下であることが好ましく、140℃以下であることがより好ましい。
プロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体を使用する場合には、表面層に含まれる樹脂成分中のプロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体の含有量は、好適な溶断シール強度を得やすいことから、15質量%以上であることが好ましく、25質量%以上であることがより好ましく、30質量%以上であることがさらに好ましい。また、その含有量が55質量%以下であることが好ましく、45質量%以下であることがより好ましく、40質量%以下であることがさらに好ましい。
一方、本発明の積層フィルムをマット性のフィルムとする場合には、表面層(A)に使用するプロピレン系樹脂として、プロピレン系ブロック共重合体樹脂、特にプロピレン−α−オレフィンブロック共重合体を好ましく使用できる。α−オレフィンとしては、エチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル・1−ペンテン、1−オクテン等が例示でき、なかでもエチレンがマット感、耐寒性・剛性のバランスに優れるため好ましい。
プロピレン系ブロック共重合体樹脂のメルトフローレート(MFR)は、成形が容易であり、また好適な耐衝撃性やマット感を得やすいことから、0.5g/10分以上であることが好ましく、1g/10分以上であることがより好ましい。また、20g/10分以下であることが好ましく、10g/10分以下であることがより好ましい。
プロピレン系ブロック共重合体樹脂の融点は、好適な製袋性を得やすいことから、155℃以上であることが好ましく、165℃以下であることが好ましい。
表面層(A)に使用するプロピレン系ブロック共重合体樹脂は単一の共重合体を使用しても、複数の共重合体を使用してもよい。複数使用する場合には、使用するプロピレン系ブロック共重合体樹脂の含有量の総量を下記範囲とすることが好ましい。
表面層(A)中に使用され、マット感や溶断強度や製袋適性とのバランスに優れたプロピレン系ブロック共重合体樹脂としては、BC8、BC7(日本ポリプロ社製)、E150GK,F704V(プライムポリマー社製)、PC480A、PC684S、PC380A、VB370A(サンアロマー社製)などが挙げられる。
プロピレン系樹脂としてプロピレン系ブロック共重合体樹脂を使用する場合には、表面層(A)に含まれる樹脂成分中のプロピレン系ブロック共重合体の含有量は、マット感や溶断強度や製袋適性のバランスで適宜調整すればよいが、表面層(A)に使用する樹脂成分中の50質量%以上含有することが好ましく、70質量%以上含有することがより好ましい。当該範囲とすることで、意匠性に優れた、均一性のあるマット感を得やすくなる。なかでも、耐衝撃性を高くする際には80〜100質量%とすることが好ましく、マット感を向上させる際には、70〜90質量%とすることが好ましい。
また、表面層(A)中には、上記プロピレン系樹脂以外の包装フィルムに使用される各種オレフィン系樹脂を使用してもよい。当該プロピレン系樹脂以外のオレフィン系樹脂としては、例えば、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)等のポリエチレン樹脂や、エチレン−1−ブテン共重合、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−メチルメタアクリレート共重合体(EMMA)、エチレン−エチルアクリレート共重合体(EEA)、エチレン−メチルアクリレート(EMA)共重合体、エチレン−エチルアクリレート−無水マレイン酸共重合体(E−EA−MAH)、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)等のエチレン系共重合体;更にはエチレン−アクリル酸共重合体のアイオノマー、エチレン−メタクリル酸共重合体のアイオノマー等を使用できる。これらプロピレン系樹脂以外のオレフィン系樹脂を使用する場合には、表面層(A)に含まれる樹脂成分中の当該オレフィン系樹脂の含有量が20質量%以下であることが好ましい。
本発明においては、これらオレフィン系樹脂のなかでも、製袋時に有効な広い温度域で柔軟性があり、プロピレン系樹脂と良好な分散性が得られることから、エチレン−1−ブテン共重合体を好ましく使用できる。当該共重合体は特に透明フィルムとする際に特に好ましく使用できる。当該エチレン−1−ブテン共重合体を使用する場合には、好適な低温シールを得やすいことから、表面層に含まれる樹脂成分中の当該エチレン−1−ブテン共重合体の含有量が1〜20質量%であることが好ましく、5〜15質量%であることが好ましい。
エチレン−1−ブテン共重合体のMFR(230℃、21.18N)は、積層フィルムを形成できる範囲であれば特に制限されないが、0.5g/10分以上であることが好ましく、2.0g/10分以上であることがより好ましく、3.0g/10分以上であることがより好ましい。また、良好な成型性を得るため、MFRは20g/10分以下であることが好ましく、15g/10分以下であることがより好ましく、10g/10分以下であることがより好ましい。
エチレン−1−ブテン共重合体の密度は、0.870g/cm以上0.900g/cm以下であることが好ましく、0.875g/cm以上0.895g/cm以下であることがより好ましい。
また、表面層(A)中に使用する各種樹脂を植物由来原料を使用した樹脂を使用してもよい。積層フィルム中の植物由来のバイオマス材料比率を上げたい場合には、表面層(A)に含まれる樹脂成分中のバイオマスポリオレフィンの含有量を10質量%以上とすることが好ましく、20〜50質量%とすることがより好ましい。一方、ヒートシール性や溶断シール性、耐衝撃性等の上記各種特性を重視する場合には、表面層(A)に含まれる樹脂成分中のバイオマスポリオレフィンの含有量を10質量%未満とすることが好ましく、5質量%未満とすることが好ましく、実質的にバイオマス材料を含有しないことも好ましい。
表面層(A)中には、本発明の効果を損なわない範囲で各種の添加剤を配合してもよい。当該添加剤としては、酸化防止剤、耐候安定剤、帯電防止剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、滑剤、核剤、顔料等を例示できる。
表面層(A)のJIS B−0601に基づく表面粗さ(Ra)は0.2〜1.0であることが好ましく、0.3〜0.7であることがより好ましい。表面粗さを当該範囲とすることで、その他の成分(スリップ剤やアンチブロッキング剤等の添加剤)の追添量を低減、あるいは場合によっては併用しなくても、表面滑り性に優れるフィルムが得られ、製袋スピードの向上に繋がり、製袋後の付き揃え、梱包作業の向上・効率化になり、内容物を充填してから自動包装機等によって包装する際の作業性が向上する。
表面層(A)表面の摩擦係数(ASTM D−1894)としては、0.05〜0.7が好ましく、0.07〜0.6が更に好ましく、0.1〜0.5がより好ましい。当該範囲とすることで、包装時のフィルム送り性や製袋後の付き揃え性、梱包作業性等を向上させやすく、またクロージャーによる結束時のフィルム破れを好適に抑制しやすくなる。なお、当該摩擦係数は、表面層に使用する樹脂成分に応じて、滑材及びアンチブロッキング剤等の添加剤を適宜添加して調整できる。
[中間層(B)]
本発明の積層フィルムの中間層(B)は、プロピレン系樹脂を含有し、さらに、メルトフローレートが1.5g/10min以上の植物由来のバイオマスポリエチレン(b1)を含有する層である。当該中間層を使用することで、良好なヒートシール性や広範な温度域での好適な溶断シール性と共に、好適な耐衝撃性や耐破袋性を有する積層フィルムを得ることができる。
中間層(B)に使用する植物由来のバイオマスポリエチレン(b1)は、サトウキビ、トウモロコシ、ビート等を出発原料とする植物由来のエチレンから生成されるポリエチレン系樹脂である。当該バイオマスポリエチレン(b1)としては、例えば、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、線状中密度ポリエチレン(LMDPE)、線状高密度ポリエチレン(LHDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)等が挙げられ、これらは単独でも、2種類以上を混合して使用してもよい。これらのなかでも、特に、直鎖状低密度ポリエチレンであることが好ましい。直鎖状低密度ポリエレンとしては、密度が0.925g/cm以下であることが好ましく、0.920g/cm以下であることがより好ましい。使用する直鎖状低密度ポリエチレンの密度を上記範囲とすることで、好適な溶断強度と高い耐衝撃性、耐破袋性を兼備しやすくなる。
中間層(B)に使用するバイオマスポリエチレン(b1)のMFRは1.5g/10min以上である。当該MFRのバイオマスポリエチレンを使用することで、バイオマスポリエチレンの含有量を多くしても、広範な温度域で優れた溶断強度を実現できる。当該MFRは、1.8g/10min以上が好ましく、2g/10min以上がより好ましい。また、上限は特に制限されないが、25g/10min以下であることが好ましく、20g/10min以下であることがより好ましい。当該範囲とすることで、好適な製膜性や成形性を得やすくなる。
中間層(B)に含まれる樹脂成分中の植物由来のバイオマスポリエチレン(b1)の含有量は、高い環境負荷低減効果を有しつつ、好適な剛性や耐衝撃性、包装袋としての製袋加工適性等を得やすいことから、5質量%以上であることが好ましく、8質量%以上であることがより好ましく、10質量%以上であることがより好ましい。上限は特に制限されないが、特に優れた耐衝撃性や加工適性等を得る場合には、60質量%以下とすることが好ましく、50質量%以下とすることがさらに好ましく、40質量%以下とすることが特に好ましい。
中間層(B)に用いられるバイオマスポリエチレン(b1)は、サトウキビなどの植物を原料としてモノマー生成し、石油由来の製造方法と同様にして製造できる。製造方法としては、特に制限はなく、公知の方法で製造されたものでできる。例えば、チーグラー・ナッタ触媒やメタロセン触媒を用いた製造法が上げられる。
具体的には、チタン含有化合物自体またはチタン含有化合物をマグネシウム化合物等の担体に担持させたものを主触媒とし、有機アルミニウム化合物を助触媒とした触媒系で、プロピレン単独または所望のエチレンなどのα−オレフィンを添加して重合を行う方法を挙げることが出来る。この重合は、スラリー重合法、溶液重合法、気相重合法等のいずれのプロセスでもよい。
また、均一系触媒を用いてもよく、従来から用いられているバナジュウム化合物と有機アルミニウム化合物とからなる触媒、あるいはシクロペンタジエニル基、置換シクロペンタジエニル基、インデニル基、置換インデニル基等を1又は2個を配位子とするジルコニウム、チタン、ハフニウムなどの遷移金属化合物、該配位子が幾何学的に制御された遷移金属化合物とアルミノキサンやイオン性化合物などの助触媒からなるメタロセン系触媒等の均一系触媒系も挙げることができる。メタロセン触媒は、必要により有機アルミ化合物を用いて、溶媒存在下の均一系重合のほか、スラリー重合法、気相重合法等のいずれのプロセスでもよい。
このようなバイオマスポリエチレン(b1)の市販品としては、ブラスケム社製SLL218、SLL318、SLH218、SBC818、SPB208、SEB853等が例示できる。
中間層(B)中には、上記バイオマスポリエチレン(b1)に、石油等の化石燃料を原料とするポリエチレン系樹脂である化石燃料由来のポリエチレン(b2)を併用してもよい。当該化石燃料由来のポリエチレン(b2)としては、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、直鎖状中密度ポリエチレン(LMDPE)、直鎖状高密度ポリエチレン(LHDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)等のポリエチレン樹脂や、エチレン−ブテン−ゴム共重合体(EBR)、エチレン−プロピレン−ゴム共重合体(EPR)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−メチルメタアクリレート共重合体(EMMA)、エチレン−エチルアクリレート共重合体(EEA)、エチレン−メチルアクリレート(EMA)共重合体、エチレン−エチルアクリレート−無水マレイン酸共重合体(E−EA−MAH)、エチレン−アクリル酸共重合体(EAA)、エチレン−メタクリル酸共重合体(EMAA)、等のエチレン系共重合体;更にはエチレン−アクリル酸共重合体のアイオノマー、エチレン−メタクリル酸共重合体のアイオノマー等が挙げられ、単独でも、2種類以上を混合して使用して良い。これらのなかでも、LLDPEやLDPE、EBRが好ましく、直鎖状低密度ポリエチレンであることが特に好ましい。直鎖状低密度ポリエレンとしては、密度が0.915g/cm以下であることが好ましく、0.910g/cm以下であることがより好ましく、0.906g/cm以下であることがさらに好ましい。使用する直鎖状低密度ポリエチレンの密度を上記範囲とすることで、好適な溶断強度と高い耐衝撃性、耐破袋性を兼備しやすくなる。直鎖状低密度ポリエチレンは一種を使用しても複数種を併用してもよい。
化石燃料由来の直鎖状低密度ポリエチレンのMFR(190℃、21.18N)は、10g/10分以下であることが好ましく、1〜5g/10分であることがより好ましい。MFRを当該範囲とすることで、フィルムの成膜性を向上させやすく、分散性も良く、均一なフィルムを得られやすくなる。
化石燃料由来のポリエチレン(b2)を使用する場合には、中間層(B)に含まれる樹脂成分中の化石燃料由来のポリエチレン(b2)の含有量は、好適な製袋適性や溶断シール強度と耐破袋性とを得やすいことから、3質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることがより好ましく、8質量%以上であることがさらに好ましく、10質量%以上であることが特に好ましい。また、30質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましく、15質量%以下であることがさらに好ましい。
中間層(B)に使用するプロピレン系樹脂は、上記表面層(A)に使用するプロピレン系樹脂と同様のものを好ましく使用でき、プロピレンの単独重合体、プロピレン−α−オレフィン共重合体(プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体、プロピレン−α−オレフィンブロック共重合体)等を例示できる。
中間層(B)に含まれる樹脂成分中のプロピレン系樹脂の含有量は、好適な溶断強度や製袋適性を得やすいことから、10質量%以上であることが好ましく、20質量%以上であることがより好ましく、30質量%以上であることがさらに好ましい。また、80質量%以下であることが好ましく、70質量%以下であることがより好ましく、60質量%以下であることがさらに好ましい。
本発明の積層フィルムを透明フィルムとする際には、プロピレン系樹脂として、プロピレン単独重合体、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体を好ましく使用できる。プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体としては、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−1−ブテン共重合体、プロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体等が例示できる。これらは単独で使用してもよいし、併用してもよい。
プロピレン単独重合体のMFR(230℃、21.18N)は、積層フィルムを形成できる範囲であれば特に制限されないが、0.5g/10分以上であることが好ましく、2.0g/10分以上であることがより好ましく、3.0g/10分以上であることがより好ましい。また、良好な成型性を得るため、MFRは20g/10分以下であることが好ましく、15g/10分以下であることがより好ましく、10g/10分以下であることがより好ましい。
プロピレン単独重合体の密度は、0.880g/cm以上0.920g/cm以下であることが好ましく、0.885g/cm以上0.915g/cm以下であることがより好ましい。
プロピレン単独重合体の融点は、より製袋等の加工適性を保持する観点から、145℃以上であることが好ましく、150℃以上であることがより好ましい。
また、プロピレン系樹脂として、プロピレン単独重合体とプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体を併用することも好ましい。当該プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体としては、上記表面層(A)と同様のものを好ましく使用でき、特にプロピレン−エチレン共重合体を好ましく使用できる。当該プロピレン−エチレン共重合体としては、透明フィルムとする際の上記表面層(A)と同様のものを好ましく使用でき、エチレン含量やMFR、密度、融点等の好ましい範囲も上記表面層(A)で使用できるプロピレン−エチレン共重合体と同様である。
プロピレン系樹脂としてプロピレン単独重合体を使用する場合には、中間層(B)に含まれる樹脂成分中のプロピレン単独重合体の含有量は、好適な剛性や透明性を得やすいことから35質量%以上であることが好ましく、45質量%以上であることがより好ましく、50質量%以上であることがさらに好ましい。また、好適な衝撃強度を得やすいことから、85質量%以下であることが好ましく、80質量%以下であることがより好ましく、75質量%以下であることがさらに好ましい。
また、プロピレン−エチレン共重合体を使用する場合には、中間層(B)中に含まれる樹脂性分中のプロピレン−エチレン共重合体の含有量は、好適な製袋適性や耐破袋性を得やすいことから、5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましい。また、30質量%以下であることが好ましく、25質量%以下であることがより好ましい。
中間層(B)に含まれる樹脂成分は、上記の各種樹脂を適宜の含有量にて使用すればよいが、積層フィルムの全厚を薄く設計した際の剛性と衝撃強度の劣化を抑制しやすいことから、中間層(B)に含まれる樹脂成分中のプロピレン系樹脂の含有量を55質量%以上、かつ、エチレン系樹脂の含有量を5〜45質量%とすることが好ましい。なかでも、中間層(B)に含まれる樹脂成分中のプロピレン単独重合体の含有量を50〜80質量%、プロピレン−エチレンランダム共重合体を5〜25質量%とし、植物由来のバイオマスポリエチレン(b1)と化石燃料由来のポリエチレン(b2)の合計量を5〜45質量%とすることが、特に好ましい。
本発明の積層フィルムをマット性のフィルムとする場合には、プロピレン系樹脂として、プロピレン系ブロック共重合体樹脂を好ましく使用できる。当該プロピレン系ブロック共重合体樹脂としては、マット調フィルムとする際の上記表面層(A)に使用するプロピレン系ブロック共重合体樹脂と同様のものを好ましく使用できる。当該プロピレン系ブロック共重合体樹脂は単一の共重合体を使用しても、複数の共重合体を使用してもよい。
マット調フィルムとする際の中間層(B)に含まれる樹脂成分中のプロピレン系ブロック共重合体の含有量は、好適な耐衝撃性やマット感を得やすいことから95質量%以下であることが好ましく、85質量%以下であることがより好ましく、80質量%以下であることがさらに好ましく、75質量%以下であることが特に好ましい。また、好適な製袋時の安定性を得やすいことから、15質量%以上であることが好ましく、20質量%以上であることがより好ましく、25質量%以上であることがより好ましく、30質量%以上であることが特に好ましい。
また、中間層(B)に含まれる樹脂成分として、バイオマスポリエチレン(b1)、化石燃料由来のポリエチレン(b2)及びプロピレン系ブロック共重合体(b3)の3成分のみを使用する場合には、これらの含有量の比(バイオマスポリエチレン(b1)/化石燃料由来のポリエチレン(b2)/プロピレン系ブロック共重合体(b3))が、質量比で2/3/95〜30/25/45とすることが好ましく、10/5/85〜25/20/55とすることがより好ましい。当該比率とすることで、好適なマット調を有しつつ優れた耐破袋性、特に低温下での優れた耐破袋性・耐摩擦性の積層フィルムを得ることができる。
また、当該ブロック共重合体樹脂と併用して、上記したようなオレフィン系樹脂を使用してもよく、なかでも、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体を好ましく使用できる。当該プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体としては、上記表面層(A)と同様のものを好ましく使用でき、特にプロピレン−エチレン共重合体を好ましく使用できる。当該プロピレン−エチレン共重合体としては、透明フィルムとする際の上記表面層(A)と同様のものを好ましく使用でき、エチレン含量やMFR、密度、融点等の好ましい範囲も上記表面層(A)で使用できるプロピレン−エチレン共重合体と同様である。
当該ブロック共重合体樹脂と併用して、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体を使用する場合には、中間層(B)に含まれる樹脂成分中のプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体の含有量が5質量%以上であることが好ましく、15質量%以上であることがより好ましく、25質量%以上であることがさらに好ましい。また、50質量%以下とすることが好ましく、45質量%以下とすることがより好ましく、40質量%以下とすることがさらに好ましい。当該中間層にプロピレン−α―オレフィンランダム共重合体を使用することで、耐破袋性を維持しつつ製袋時により優れた溶断シール強度を得ることができる。
中間層(B)に含まれる樹脂成分は、上記の各種樹脂を適宜の含有量にて使用すればよいが、積層フィルムの全厚を薄く設計した際の剛性と衝撃強度の劣化を抑制しやすいことから、中間層(B)に含まれる樹脂成分中のプロピレン系樹脂の含有量を55質量%以上、かつ、エチレン系樹脂の含有量を7〜45質量%とすることが好ましい。なかでも、プロピレン系樹脂として、プロピレン系ブロック共重合体(b3)とプロピレン−エチレンランダム共重合体とを使用して、これらの総量を55質量%以上とし、エチレン系樹脂として、植物由来のバイオマスポリエチレン(b1)と化石燃料由来のポリエチレン(b2)とを使用して、これらの総量を7〜45質量%とすることが、特に好ましい。
さらに、中間層(B)に含まれる樹脂成分として、バイオマスポリエチレン(b1)、化石燃料由来のポリエチレン(b2)、プロピレン系ブロック共重合体(b3)及びプロピレン−エチレンランダム共重合体のみを使用し、これらの含有量の比(バイオマスポリエチレン(b1)/化石燃料由来のポリエチレン(b2)/プロピレン系ブロック共重合体(b3)/プロピレン−エチレンランダム共重合体)が、質量比で2/3/65/30〜25/20/15/40とすることが好ましく、10/5/50/35〜15/15/30/40とすることがより好ましい。当該比率とすることで、好適なマット調を有しつつ優れた耐破袋性、特に低温下での優れた耐破袋性・耐摩擦性の積層フィルムを得ることができる。
なお、当該中間層(B)においても上記表面層にて例示したような添加剤を適宜使用してもよい。
[シール層(C)]
本発明に使用するシール層(C)は、積層フィルムのシール層同士の接着や、積層フィルムと他の容器やフィルム等との接着に使用する層である。当該シール層は、使用態様や被シール対象に応じて、好適なシール強度が得られる樹脂種を適宜選択すればよい。例えば、シール層同士をシールして包装袋として使用する場合には、適度なシール強度が得られる点から、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−1−ブテン共重合体等のプロピレン−α−オレフィン共重合体、1−ブテン−プロピレン共重合体等のα−オレフィン−プロピレン共重合体を含有するシール層を好適に使用できる。なかでも、低温での易開封シール時のヒートシール温度や強度の調整が容易で、ヒートシール温度幅が広く、易開封シールとして適度なヒートシール強度を得やすいことから、プロピレン−1−ブテン共重合体又は1−ブテン−プロピレン共重合体等のブテン系樹脂が好ましい。
プロピレン−1−ブテン共重合体や1−ブテン−プロピレン共重合体を使用する場合には、好適なシール性や耐ブロッキング性を得やすいことから、共重合体中の1−ブテン含有量が60〜95モル%であることが好ましく、65〜95%であることがより好ましく、70〜90モル%であることがさらに好ましい。また、好適な低温シール性を得やすいことから、プロピレン含有量が2〜10モル%であることが好ましく、3〜9モル%であることがより好ましく、4〜8モル%であることがさらに好ましい。
プロピレン−1−ブテン共重合体や1−ブテン−プロピレン共重合体等のブテン系樹脂を使用する場合には、ブテン系樹脂の含有量はシール層に含まれる樹脂成分中の50質量%以下とすることが好ましく、40質量%以下とすることがより好ましく、30質量%以下とすることがさらに好ましい。また、10質量%以上とすることが好ましく、15質量%以上とすることがより好ましい。ブテン系樹脂の含有量が当該範囲であると、好適な低温シール性や製袋品の溶断強度や耐裂け性を得やすく、また低コスト化にも有利である。
上記ブテン系樹脂に併用する樹脂としては、他のポリオレフィン系樹脂を適宜使用できるが、シール強度を好適に調整しやすいことから、プロピレン−α−オレフィン共重合体や、エチレン−α−オレフィン共重合体を好ましく使用でき、プロピレン−α−オレフィン共重合体を特に好ましく使用できる。
プロピレン−α−オレフィン共重合体中のα−オレフィンの含有量は、特に制限されないが1〜20質量%であることが好ましく、1.5〜15質量%がより好ましい。α−オレフィンとしては、エチレン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン等が例示できる。なかでも、上記中間層にて例示したようなプロピレン−エチレンランダム共重合体を好ましく使用できる。MFRは良好な成形性を得やすいことから、0.5〜20g/10分であることが好ましく、2〜10g/10分がより好ましい。
他のオレフィン系樹脂の含有量は、好適な低温シール性を得やすいことから、シール層に含まれる樹脂成分中の90質量%以下とすることが好ましく、85質量%以下とすることがより好ましい。また、50質量%以上とすることが好ましく、60質量%以上とすることがより好ましい。
特に、本発明の積層フィルムを使用して包装袋を形成する際に、シール層同士をヒートシールした易開封部を設ける場合には、ブテン系樹脂とプロピレン−α−オレフィン共重合体とを、ブテン系樹脂/プロピレン−α−オレフィン共重合体で表される質量比が20/80〜50/50となる割合で併用することが好ましい。
また、シール層(C)中に使用する各種樹脂を植物由来原料を使用した樹脂を使用してもよい。積層フィルム中の植物由来のバイオマス材料比率を上げたい場合には、シール層(C)に含まれる樹脂成分中のバイオマスポリオレフィンの含有量を10質量%以上とすることが好ましく、20〜50質量%とすることがより好ましい。一方、ヒートシール性や溶断シール性、耐衝撃性等の上記各種特性を重視する場合には、シール層(C)に含まれる樹脂成分中のバイオマスポリオレフィンの含有量を10質量%未満とすることが好ましく、5質量%未満とすることが好ましく、実質的にバイオマス材料を含有しないことも好ましい。
シール層(C)中には、本発明の効果を損なわない範囲で各種の添加剤を配合してもよい。当該添加剤としては、酸化防止剤、耐候安定剤、帯電防止剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、滑剤、核剤、顔料等を例示できる。
シール層(C)表面の摩擦係数(ASTM D1894)としては、0.01〜0.4が好ましく、0.02〜0.35が更に好ましく、0.05〜0.30がより好ましい。当該範囲とすることで、包装時のフィルム送り性や製袋後のしわや盛上り抑制による梱包作業を向上させやすくなる。また、パン等の内容物を充填する際の内容物とフィルム内面との擦れによる傷の抑制や、耐摩耗性、対裂け性の向上がしやすく、フィルム破れを好適に抑制しやすくなる。なお、当該摩擦係数は、シール層に使用する樹脂成分に応じて、滑材及びアンチブロッキング剤等の添加剤を適宜添加して調整できる。
[積層フィルム]
本発明の積層フィルムは、少なくとも上記の表面層(A)、中間層(B)及びシール層(C)を有する積層フィルムであり、積層フィルムの一方の表層が表面層であり、他方の表層がシール層からなる積層フィルムである。当該構成の積層フィルムは、広範な温度域でも好適な溶断シール強度を有し、かつ、耐衝撃性や耐破袋性に優れることから、各種包装用のフィルムとして好適に使用できる。
本発明の積層フィルムの厚みは使用する用途や態様に応じて適宜調整すればよいが、包装用途における減容化や流通時の耐破袋性とを両立させやすいことから、その総厚みが20〜60μmであることが好ましく、25〜50μmであることがより好ましい。
また、各層の厚みや厚み比率は、特に制限されるものではないが、例えば、表面層の厚みとしては、2〜20μmであることが好ましく、3〜15μmであることがより好ましい。中間層の厚みは3〜30μmであることが好ましく、5〜20μmであることがより好ましい。シール層の厚みが1〜10μmであることが好ましく、2〜8μmであることがより好ましい。
また、表面層の厚み比率は、好適な溶断強度、製袋適性を得やすいことから、積層フィルムの総厚みの15%以上とすることが好ましく、20%以上とすることがより好ましい。また、35%以下とすることが好ましく、30%以下とすることがより好ましい。中間層の厚み比率は、好適な剛性や溶断強度、製袋適性を得やすいことから、積層フィルムの総厚みの30%以上とすることが好ましく、40%以上とすることがより好ましい。また、70%以下とすることが好ましく、65%以下とすることがより好ましい。シール層の厚み比率は、好適な易開封性や溶断強度、製袋適性を得やすいことから、積層フィルムの総厚みの5%〜30%が好ましく、10〜25%がより好ましい。
本発明の積層フィルムは、積層フィルム全体に含まれる樹脂成分中の植物由来のバイオマスポリエチレンの含有量が、環境負荷低減の点から2質量%以上であることが好ましく、3質量%以上であることがより好ましく、5質量%以上であることがより好ましい。
本発明の積層フィルムの曇り度は、包装する内容物を視認しやすいことから、10%以下であることが好ましく、5.5%以下であることがより好ましく、4.5%以下であることがさらに好ましい。本発明の積層フィルムは、このような高い透明性を有する場合にも、好適な包装適性を有しつつ、内容物とフィルムとの摩擦やこすれによる裂け等の破袋が生じにくい。本発明の積層フィルムの透明性を高くする際には、各層において、ブロック共重合体等の曇り度を高くする樹脂成分を使用しないか、あるいは使用する際にも当該含有量を好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下とすることで透明性を向上できる。
本発明の積層フィルムは、上記表面層、中間層及びシール層以外の任意の他の樹脂層が積層されていてもよいが、他の樹脂層の厚みは総厚み中の20%以下であることが好ましく、上記表面層、中間層及びシール層からなる構成が特に好ましい。なお、当該構成においては中間層が複数積層された中間層であってもよい。
具体的な層構成の例としては、表面層とシール層との間に中間層を設けた表面層/中間層/シール層の三層構成、あるいは、中間層を複数層にて構成した表面層/中間層1/中間層2/シール層の四層構成、等を好ましく例示できる。なかでも、フィルムの特性の調整や、フィルムの製造が容易であることから、表面層/中間層/シール層からなる三層構成を好ましく使用できる。
本発明の積層フィルムの製造方法としては、特に限定されないが、例えば、各層に用いる樹脂又は樹脂混合物を、それぞれ別々の押出機で加熱溶融させ、共押出多層ダイス法やフィードブロック法等の方法により溶融状態で積層した後、インフレーションやTダイ・チルロール法等によりフィルム状に成形する共押出法が挙げられる。この共押出法は、各層の厚さの比率を比較的自由に調整することが可能で、衛生性に優れ、コストパフォーマンスにも優れた多層フィルムが得られるので好ましい。当該製造方法により得られる積層フィルムは、実質的に無延伸の多層フィルムとして得られるため、真空成形による深絞り成形等の二次成形も可能となる。
表面層には、印刷インキとの接着性等を向上させるため、表面処理を施すことも好ましい。このような表面処理としては、例えば、コロナ処理、プラズマ処理、クロム酸処理、火炎処理、熱風処理、オゾン・紫外線処理等の表面酸化処理、あるいはサンドブラスト等の表面凹凸処理を挙げることができるが、好ましくはコロナ処理である。
本発明の積層フィルムからなる包装材としては、食品、薬品、工業部品、雑貨、雑誌等の用途に用いる包装袋、容器、容器の蓋材等が挙げられる。特に、マット感が従来になく優れる点から、和紙等に似た包装材を提供でき、高級感を引き出すために用いる食品用等に好適に用いることができる。
前記包装袋は、本発明の積層フィルムのシール層をヒートシール層として、シール層同士を重ねてヒートシール、あるいは表面層とシール層とを重ね合わせてヒートシールすることにより、シール層を内側として形成した包装袋であることが好ましい。例えば当該積層フィルム2枚を所望とする包装袋の大きさに切り出して、それらを重ねて3辺をヒートシールして袋状にした後、ヒートシールをしていない1辺から内容物を充填しヒートシールして密封することで包装袋として用いることができる。さらには自動包装機によりロール状のフィルムを円筒形に端部をシールした後、上下をシールすることにより包装袋を形成することも可能である。
また、食パン用の包装袋とする場合には、印刷面を折り込んでシールすることでガゼット部を有する包装袋とすることができる。具体的には、本発明の積層フィルムのシール層が袋の内側になるようにして製袋機、例えばトタニ技研工業(株)製HK−40等により底部ガゼット袋に加工する。本発明の積層フィルムは、好適な溶断強度や製袋適性を実現できることから、底部ガゼット袋用途として特に好適に使用できる。底部ガゼット袋のサイド部と底部ガゼット部(底部の折込部)の溶断シール強度が7.5N〜30N/15mm、好ましくは10〜30N/15mmとなるよう溶断シール温度や製袋速度を調整することが好ましい。
得られた底部ガゼット袋は、食パン自動充填機に供給され、食パン充填後、易開封性でかつヒートシール強度が、0.1〜5N/15mm、好ましくは0.2〜4N/15mmとなる条件でヒートシールして、易開封性食パン包装袋とし、更に必要に応じて、袋の上部、好ましくは食パンの上部で易開封性シール部分の形成や、袋の上部をプラスチック板、テープ、ひも等の結束具を用いて結束により封止してもよい。
また、バターロール等のような各種パンの集積包装とする場合には、横ピロー型自動包装機、例えばフジキカイ(株)製FW−3400αV型等に、シール層が袋の内側になるようにしてロール状形態で供給する。本発明の積層フィルムは、ピロー包装時のヒートシール性や易開封性にも優れることから、ピロー包装袋用としても特に好適に使用できる。横ピロー型自動包装機では、フィルムのヒートシール面を重ね合わせてヒートシールして袋を形成しながらパンを内包させる。この際、該包装機によるピロー包装袋の底部と背貼り部分のシール強度が7.5N〜30N/15mm、好ましくは8〜20N/15mmになるようヒートシール温度や包装速度を調整することが好ましい。次いで、易開封性でかつヒートシール強度が0.1〜5N/15mm、好ましくは0.2〜4N/15mmとなる条件でヒートシールして易開封性シール部分を形成してもよく、その近傍をプラスチック板、テープ、ひも等の結束具を用いて結束してもよい。
また、シール層とヒートシール可能な別のフィルムを重ねてヒートシールすることにより包装袋・容器・容器の蓋を形成することも可能である。その際、使用する別のフィルムとしては、比較的機械強度の弱いLDPE、EVA、ポリプロピレン等のフィルムを用いることができる。また、LDPE、EVA、ポリプロピレン等のフィルムと、比較的引き裂き性の良い延伸フィルム、例えば、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(OPET)、二軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPP)等とを貼り合わせたラミネートフィルムも用いることができる。
上記のとおり本発明の積層フィルムは好適な耐衝撃性や耐破袋性を実現できることから、各種の包装用途に好適に適用できる。特に低温でも優れた耐衝撃性を実現できることから、低温下での包装や流通がなされることの多い食品包装用途に好適である。
なかでも、本発明の積層フィルムは、鋭利な先端部や鉤部を有する結束具(クロージャー)が使用される食パンや菓子パン等のパン包装に適用した際に、結束時の破袋が生じにくく、また、移送時に当該結束具や搬送容器との接触が生じた場合にもピンホールや裂けが生じにくい。また内容物である食品とフィルム内面(シール面)とのこすれや混入されたプラスチックトレーとの摩擦、突き刺し等によるピンホールや裂けも生じにくい。さらに、本発明の積層フィルムは、ガゼット部を形成した場合にも好適な溶断シール強度を確保できることから、パン包装用途に特に好適に適用できる。
次に、実施例及び比較例を挙げて本発明をより詳しく説明する。以下、特に断りのない限り、「部」及び「%」は質量基準である。
(実施例1)
表面層、中間層及びシール層の各層を形成する樹脂成分として、各々下記の樹脂を使用して、各層を形成する樹脂混合物を調整した。これら混合物を3台の押出機に各々供給し、表面層/中間層/シール層にて形成される積層フィルムの各層の平均厚さが7/18/5μmとなるように共押出して、厚さ30μmの積層フィルムを成形した。次いで、得られた積層フィルムの表面層に、表面エネルギーが33mN/mになるようにコロナ放電処理を施して、積層フィルムを得た。
表面層:プロピレン−エチレン共重合体(エチレン含量:2%、密度:0.90g/cm、メルトインデックス(以下、MIという。):6g/10分間、融点140℃)(以下、COPP(1)と称する。)55質量部と、プロピレン−エチレン−1−ブテン三元共重合体(密度:0.90g/cm、MFR:5.4g/10分(190℃、21.18N))を35質量部と、結晶性エチレン−1−ブテン共重合体(密度:0.88g/cm、MI:4g/10分)10質量部とからなる混合物
中間層:プロピレン単独重合体(密度:0.90g/cm、MFR:7.5g/10分)(以下、HOPP(1)と称する。)65質量部と、プロピレン−エチレン共重合体(エチレン含量:5.2%、密度:0.90g/cm、MFR:5.4g/10分間)(以下、COPP(2)と称する。)10質量部と直鎖状低密度ポリエチレン(密度:0.905g/cm、MFRI:4.0g/10分間)(以下、LLDPE(1)と称する。)15質量部、そして、バイオポリエチレンであるサトウキビ由来直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂のBraskem社SLL318(密度:0.918g/cm、MFR=2.7g/10分)(以下、バイオPE(1)と称する。)10質量部の樹脂混合物
シール層:COPP(2)70質量部、1−ブテン−プロピレン共重合体(密度:0.90g/cm、MFR(測定温度230℃):4g/10分間)30質量部
(実施例2)
中間層に使用する樹脂混合物の樹脂成分を下記とした以外は実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
中間層:HOPP(1)65質量部、COPP(2)10質量部、LLDPE(1)15質量部、バイオポリエチレンであるサトウキビ由来直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂のBraskem社SLH218(密度:0.916g/cm、MFR=2.3g/10分)(以下、バイオPE(2)と称する。)10質量部
(実施例3)
中間層に使用する樹脂混合物の樹脂成分を下記とした以外は実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
中間層:HOPP(1)60質量部、COPP(2)15質量部、LLDPE(1)10質量部、バイオPE(1)15質量部
(実施例4)
中間層に使用する樹脂混合物の樹脂成分を下記とした以外は実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
中間層:HOPP(1)55質量部、COPP(2)20質量部、LLDPE(1)10質量部、バイオPE(2)15質量部
(実施例5)
表面層及び中間層に使用する樹脂混合物の樹脂成分を下記とし、表面層/中間層/シール層にて形成される積層フィルムの各層の平均厚さが7/18/5μmとなるように共押出しした以外は実施例1と同様にして積層フィルムを成形した。
表面層:プロピレン−エチレンブロック共重合体(密度:0.90g/cm、MI:8g/10分間、融点160℃)(以下、プロピレン系ブロック共重合体(1)と称する)100質量部
中間層:COPP(2)35質量部、プロピレン−エチレンブロック共重合体(密度:0.90g/cm、MI:6g/10分間、融点160℃)(以下、プロピレン系ブロック共重合体(2)と称する)40質量部、LLDPE(1)10質量部、バイオPE(1)15質量部
(実施例6)
中間層に使用する樹脂混合物の樹脂成分を下記とした以外は実施例5と同様にして積層フィルムを得た。
中間層:COPP(2)35質量部、プロピレン系ブロック共重合体(2)40質量部、LLDPE(1)10質量部、バイオPE(2)15質量部
(実施例7)
中間層に使用する樹脂混合物の樹脂成分を下記とした以外は実施例5と同様にして積層フィルムを得た。
中間層:COPP(2)35質量部、プロピレン系ブロック共重合体(2)35質量部、LLDPE(1)10質量部、バイオPE(1)20質量部
(実施例8)
中間層に使用する樹脂混合物の樹脂成分を下記とした以外は実施例5と同様にして積層フィルムを得た。
中間層:COPP(2)35質量部、プロピレン系ブロック共重合体(2)40質量部、LLDPE(1)5質量部、バイオPE(2)20質量部
(比較例1)
中間層に使用する樹脂混合物の樹脂成分を下記とした以外は実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
中間層:HOPP(1)65質量部、COPP(2)10質量部、LLDPE(1)15質量部、バイオポリエチレンであるサトウキビ由来直鎖状低密度ポリエチレン系樹脂のBraskem社SLL118(密度:0.918g/cm、MFR=1.0g/10分)(以下、バイオPE(3)と称する。)10質量部
(比較例2)
中間層に使用する樹脂混合物の樹脂成分を下記とした以外は実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
中間層:HOPP(1)60質量部、COPP(2)15質量部、LLDPE(1)10質量部、バイオPE(3)15質量部
(比較例3)
中間層に使用する樹脂混合物の樹脂成分を下記とした以外は実施例5と同様にして積層フィルムを得た。
中間層:COPP(2)35質量部、プロピレン系ブロック共重合体(2)40質量部、LLDPE(1)10質量部、バイオPE(3)15質量部
(比較例4)
中間層に使用する樹脂混合物の樹脂成分を下記とした以外は実施例5と同様にして積層フィルムを得た。
中間層:COPP(2)35質量部、プロピレン系ブロック共重合体(2)35質量部、LLDPE(1)10質量部、バイオPE(3)20質量部
(参考例1)
中間層に使用する樹脂混合物の樹脂成分を下記とした以外は実施例1と同様にして積層フィルムを得た。
中間層:HOPP(1)75質量部、COPP(2)15質量部、LLDPE(1)10質量部
上記の実施例及び比較例で得られた積層フィルムを用いて、下記の試験及び評価を行った。得られた結果は下表のとおりである。
[剛性の測定]
実施例及び比較例にて得られたフィルムの23℃における1%接線モジュラス(単位:MPa)を、ASTM D−882に基づき、テンシロン引張試験機〔株式会社エー・アンド・デー製〕を用いて測定した。測定はフィルム製造時の押出方向(以下、「MD」という)及びフィルム幅方向(以下、「CD」という)にて実施した。
◎:剛性が600MPa以上
○:剛性が550MPa以上600MPa未満
△:剛性が450以上550MPa未満
×:剛性が450Mpa未満
[製袋適性評価]
実施例及び比較例にて得られたフィルムのシール層を内側にしてフィルムを半折後、底部にガセットを入れて、シール温度(製袋温度)300℃で溶断シールして製袋(製袋機:トタニ技研工場(株)製HK−40、製袋速度:120枚/分)して底ガゼット袋(縦:345mm(サイド部:245mm、ガゼット部:60mm)、横235mm)を作製し、製袋適性を評価した。また、300枚を1組として、付き揃えて束にしてまとめ、付き揃え性を評価した。
○:120ショットの製袋速度でもフィルムが追随し、付き揃え性も問題ない
△:120ショットの製袋速度でもフィルムは追随するが、一部付き揃え性が問題となる
×:120ショットの製袋速度に追随出来ないものがあり、付き揃え性が悪い
[溶断強度]
実施例及び比較例にて得られたフィルムを用いて上記製袋適性評価と同様にして底ガゼット袋を作製した。得られた底ガゼット袋5枚の両側のガゼット部中央と、ガゼット以外のサイド部の中央から、それぞれ長さ70mm、幅15mmの試験片を、溶断シール部が長さ方向の中央部となるよう10枚ずつ切り出して、23℃、引張速度300mm/分でテンシロン引張試験機((株)エー・アンド・デー製)で引っ張った際の最大荷重を溶断強度として測定した。溶断シールのシール温度(製袋温度)を260℃〜360℃の範囲で20℃毎に変更して同様の測定を行った。
◎:ガゼット部及びサイド部の溶断強度がいずれも16N/15mm以上
○:ガゼット部及びサイド部の溶断強度がいずれも15N/15mm以上16N/15mm未満
○△:ガゼット部及びサイド部の溶断強度がいずれも14.5N/15mm以上15N/15mm未満
△:ガゼット部及びサイド部の溶断強度がいずれも13N/15mm以上14.5N/15mm未満
×:ガゼット部及びサイド部の少なくとも一方の溶断強度が13N/15mm未満
[ヒートシール強度]
実施例及び比較例にて得られたフィルムを用いて上記製袋適性評価と同様にして底ガゼット袋を作製した。得られた底ガゼット袋の開口部上端から下に50mmの部分と開口部と平行にヒートシーラー(テスター産業(株)製:圧力0.2MPa、時間1秒間、シール温度:上部シールバー95℃,下部シールバー50℃、シールバー形状:300m×10mmの平面)でヒートシールした。得られた底ガゼット袋5枚のヒートシール部から、それぞれ長さ70mm、幅15mmの試験片を、ヒートシール部が幅方向の中央部となるよう2枚ずつそれぞれ10枚ずつ切り出して、23℃、引張速度300mm/分でテンシロン引張試験機((株)エー・アンド・デー製)で引き剥がすときの最大荷重をヒートシール強度として測定した。
○:ヒートシール強度が5N/15mm未満であり、引き剥がした際のフィルム破れ無し
×:ヒートシール強度が5N/15mm以上、又は、引き剥がした際のフィルム破れあり
[衝撃強度の測定]
実施例及び比較例にて得られたフィルムを、0℃下に調整した恒温室内で6時間保持した後、直径1.5インチの球状の金属性の衝撃頭を用いてフィルムインパクト法による衝撃強度を測定した。
◎:衝撃強度が0.20以上
○:衝撃強度が0.15(J)以上0.20未満
△:衝撃強度が0.1(J)以上0.15未満
×:衝撃強度が0.1(J)未満
Figure 2019131168
Figure 2019131168
上記表から明らかなとおり、実施例1〜8の本発明の積層フィルムは、好適なシール強度、耐衝撃性を有し、かつ、広範な温度域で良好な溶断シール強度を有するものであった。一方、比較例1〜4の積層フィルムは、広範な温度域で良好な溶断シール強度を得られにくいものであった。

Claims (14)

  1. 表面層(A)、中間層(B)及びシール層(C)とが積層された積層フィルムであって、
    前記表面層(A)、中間層(B)及びシール層(C)がプロピレン系樹脂を含有し、
    前記中間層(B)が植物由来のバイオマスポリエチレン(b1)を含有し、
    前記バイオマスポリエチレン(b1)のメルトフローレートが1.5g/10min以上であることを特徴とする積層フィルム。
  2. 前記バイオマスポリエチレン(b1)が直鎖低密度ポリエチレンである請求項1に記載の積層フィルム。
  3. 前記中間層(B)に含まれる樹脂成分中のバイオマスポリエチレン(b1)の含有量が15質量%以上である請求項1又は2に記載の積層フィルム。
  4. 前記中間層(B)が、プロピレン系樹脂として、プロピレン−エチレン共重合体樹脂を中間層(B)に含まれる樹脂成分中の5質量%以上含有する請求項1〜3のいずれかに記載の積層フィルム。
  5. 前記表面層(A)が、プロピレン−エチレンランダム共重合体樹脂を、表面層(A)に含まれる樹脂成分中の50質量%以上含有する請求項1〜4のいずれかに記載の積層フィルム。
  6. 前記中間層(B)が、プロピレン単独重合体を中間層(B)に含まれる樹脂成分中の30質量%以上含有する請求項5に記載の積層フィルム。
  7. 前記表面層(A)が、プロピレン系ブロック共重合体樹脂を、表面層(A)に含まれる樹脂成分中の50質量%以上含有する請求項1〜4のいずれかに記載の積層フィルム。
  8. 前記中間層(B)が、プロピレン系ブロック共重合体樹脂を、中間層(B)に含まれる樹脂成分中の15質量%以上含有する請求項7に記載の積層フィルム。
  9. 前記シール層(C)が、プロピレン−エチレン共重合体樹脂及びブテン系樹脂を含有する請求項1〜8のいずれかに記載の積層フィルム
  10. 前記中間層(B)が、化石燃料由来のポリエチレン(b2)を、中間層(B)に含まれる樹脂成分中の3質量%以上含有する請求項1〜9のいずれかに記載の積層フィルム。
  11. 前記化石燃料由来のポリエチレン(b2)のメルトフローレートが3〜10g/10minである請求項10に記載の積層フィルム。
  12. 請求項1〜11の何れかに記載の積層フィルムを使用した食品包装袋。
  13. ガゼット部を有する請求項12に記載の食品包装袋。
  14. パン包装に使用する請求項12又は13に記載の食品包装袋。
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